中央環境審議会2013年以降の対策・施策に関する検討小委員会(第15回)議事録

日時

平成24年4月12日 5:00~18:10

場所

東海大学校友会館「望星の間」

議事次第

1 開会
2 議題
(1)
各ワーキンググループの検討を踏まえた議論について
(2)
EUの低炭素ロードマップ、エネルギーロードマップの検討状況と概要について
(3)
今後のスケジュールについて
(4)
その他
3 閉会

配布資料

資料1 今回試算における原子力発電の発電電力量と設備容量について(事務局資料)
資料2 2013年以降の対策・施策に関する検討小委員会における議論を踏まえたエネルギー消費量等の見通しの仮試算(その2)(国立環境研究所AIMプロジェクトチーム)
資料3-1 EU 2050 ロードマップ
資料3-2 EU 2050 Roadmaps
資料4 今後のスケジュールについて
参考資料1 エネルギーミックスの選択肢に関する整理(案)
(平成24年4月11日第18回基本問題委員会 資料1)
参考資料2 第8回2013年以降の対策・施策に関する検討小委員会での議論をうけた指摘事項の整理について

議事

午後 3時00分 開会

地球温暖化対策課長
それでは、定刻でございますので、ただいまから中央環境審議会地球環境部会2013年以降の対策・施策に関する検討小委員会の第15回会合を開催いたします。
本日、委員総数23名中、過半数の委員に既にご出席いただいておりまして、定足数に達しております。また、本日の審議は公開とさせていただいております。なお、カメラ撮りにつきましては、配付資料の確認のところまでとさせていただきまして、議事に入ったところでは、カメラについては退室していただきますようにお願いいたします。それでは、以降の議事進行について、西岡委員長にお願いいたします。

西岡委員長
どうも本日もご参集ありがとうございます。それでは、議事を進めさせていただきます。事務局のほうから配付資料の確認、いつものとおりお願いします。

地球温暖化対策課長
いつものように、議事次第が配られておると思いますが、配付資料一覧がその下半分にございます。資料1が今回試算における原子力発電の発電電力量と設備容量についてということで、A4の1枚でございます。資料2が2013年以降の対策・施策に関する検討小委の議論を踏まえた仮試算ということで、分厚目の資料2となっております。資料3-1、3-2については、EU事務局のほうからご提出いただいております、EUのほうの2050年ロードマップ、青い色のものが二つついておるかと思います。資料4が、いつものように、今後のスケジュール1枚紙です。参考資料1が、A4横になっておりますが、ちょっと細かい字ですけども、エネルギーミックスの選択肢に関する整理(案)、参考資料2が第8回2013年以降の対策・施策に関する検討小委員会での議論をうけた指摘事項の整理ということになっております。もし不足がございましたら、事務局のほうにお申しつけくださるようお願いいたします。
それでは、カメラの方はここで終わりということで、宜しくお願いいたします。

西岡委員長
どうもありがとうございました。それでは、議事に入ります。お手元に議事次第がございますけれども、本日の議題は、まず(1)、各ワーキンググループの検討を踏まえた議論について、そして、(2)がEUの低炭素ロードマップ、エネルギーロードマップの検討状況と概要、そして、今後のスケジュール、その他ということになっております。
まず議題の(1)になりますけど、各ワーキンググループの検討を踏まえた議論についてということで、その説明と論議に入りたいと思います。まず、資料1を事務局から説明していただきまして、その後、資料2を藤野委員より説明いただいた後、まとめて質疑応答をしたいと思っております。宜しくお願いします。

低炭素社会推進室長
それでは、資料1をご覧いただきたいと思います。こちらにつきましては、今回、国立環境研究所AIMプロジェクトチームに試算をお願いするに当たりまして、原子力発電の発電電力量と設備容量をお示ししたというものでございます。こちらにつきましては、昨日、開催をされました、そして、第16回の原子力委員会新大綱策定会議の資料で示されております2030年の値をもとに試算を事務局のほうでし、それをお示しして、国立環境研究所AIMプロジェクトチームに試算をお願いしたというものでございます。
まず、発電電力量につきましては、第18回の総合資源エネルギー調査会基本問題委員会の資料で示されました2030年の発電電力量、こちらは約1兆kWhというものですが、これと原子力発電の割合というもので、委員の意見を整理をされた資料として4ケースが示されておりますので、こちらの0、20、25、35%という原子力発電の比率をもとに試算をお願いしたというものでございます。また、設備容量に関しましては、これに加えまして、原子力委員会での資料におきまして、2030年時点での計算をする際に当たりまして、設備利用率を80%と置いて計算をされているということを参考にしながら、同じ方法を用いまして、設備容量を下の表のとおり計算をし、それをお示しして、試算を行っていただいたというものでございます。
資料1の最後に書いてございますが、今回、資料として提示されておりますのが2030年の値ということでございますので、2020年におきます値につきましては、現時点では総合資源エネルギー調査会からは示されていないということですので、提示された段階で計算を行うというのが今後の予定となっております。
資料1につきましては、以上でございます。

西岡委員長
どうもありがとうございました。今のが計算の新しい前提でございます。藤野委員、お願いします。

藤野委員
どうもありがとうございます。前回、3月28日に小委員会、4月4日の部会のほうで報告させていただきましたが、今回はその2ということで、それからの進捗についてご説明したいと思います。
まず、あけていただきまして、1ページ目のところに、前回行ったこと、今回行ったこと、次回以降に行うことを示させていただいています。3月28日の小委員会、4月4日の部会の場におきましては、2020年・2030年におけるエネルギー需要量のほうの推計の結果をお示ししました。そして、それに関わります省エネルギー・再生可能エネルギーの導入に係る投資額、また、エネルギー費用の削減額の推計結果等をお示ししました。また、QoLの向上などにつながる例をお示ししました。
今回行いましたことは、その小委員会及び部会でいただきましたご指摘事項につきまして、でき得る限り反映しておりますけれども、今日は全部をご説明する時間はちょっとありませんので、もしまだ十分に反映できていないところがありましたら、この後、ご指摘いただくか、直接事務局にお知らせいただけたらと思います。
2番目の、先ほど土居室長のほうからご報告がありました、原子力の発電に関わる2030年の選択肢というものが、総合資源エネルギー調査会基本問題委員会のほうで検討してくださっていますので、そちらを踏まえながら、2030年における一次エネルギー供給のエネルギー構成と温室効果ガス排出量について、推計した結果をお知らせします。それに伴う定量的な評価に資する素材を今日はご説明します。
次回以降、またこの場に立たないといけないことになると思いますが、今日及び次回の地球部会でご指摘いただいたところは常に反映しながらも、2020年の選択肢については、次回以降、お示しできたらというふうに思っております。
2ページ目以降につきましては、前回からご説明しているところですが、2ページの、3番目のところだけ、もう一度ご説明しますと、こちらでお示ししているのは、技術の積み上げのモデルの結果でして、例えば価格による需要量がどういうふうに変化するとか、そういったちょっと経済的な影響につきましては、別途、経済モデルというもので試算しておりますので、そちらのほうで分析の結果が出るというような役割分担になっております。また、省エネルギー・省CO2投資に伴い間接的に発生するような便益、ノンエナジーベネフィット等については、ワーキンググループでご検討いただいているんですけども、全体で定量化できていないので、こちらの試算には含めていません。
3ページ目が目次になりまして、今日はその第2部のところで、試算が進んでいるところについて、中心的にご説明したいと思います。
ページをめくっていただきまして、ずっと基本的には同じデータを示していまして、18ページ目からご説明させていただきたいのですが、18ページ目、第2部、小委員会等での議論を踏まえたエネルギー消費量等の見通しの試算、今日はこちらを中心にご説明します。
19ページ目は、ワーキンググループで検討していただいている議論、また、小委員会での議論、あと今回は特に部会での議論がありますけれども、そういったご議論いただいているものを、このAIMのモデルは定量的に組み合わせて整合性をとるようなシナリオをお示しするというような役割になっていまして、ワーキンググループの活動が非常に貴重になっています。
20ページ目にシナリオをお示ししています。今回は、特に真ん中のところでして、2030年の原子力発電の比率に関わる設定をしております。四つのケースがありまして、0%ケース、20%ケース、25%ケース、35%ケースという4通りについて検討しています。
左の成長シナリオ、慎重シナリオは、経済成長のシナリオで、右の低位ケース、中位ケース、高位ケースというのは、対策に関わるシナリオで、全部で「2×4×3」の24通りについて検討しています。
次のさらに21、22は、前回お示ししたものと基本的には変わっていません。
22ページ目、エネルギー価格につきまして、特に部会で亀山委員のほうから、エネルギー価格に関する感度解析等を進めているのかというご質問がありましたけれども、ここでは価格だけ示しておりまして、原子力の2020年のシナリオ等も、こちらで想定する際に、できるだけそういったところも検討はしたいと思っています。
24ページ目は、その原子力発電設備容量の今回の想定になっていまして、それぞれ、発電電力量に占める原子力発電の割合、0、20、25、35%というのが、それぞれの設備容量に相当するというようなことを示しています。
25ページ目のところ、これは前回と変わっておりませんで、シナリオケースのご説明になっております。26から27、28は同じものを示しております。
29ページから、具体的な定量的な結果をお示ししております。
30ページのところは、前回もお示ししましたボトムアップで、各セクターで必要なサービス量から必要なエネルギー需要を積み上げていけば、成長シナリオでは、2030年に10%から18%の削減の可能性、2010年に比べてあると。
31ページ目のほうは、慎重シナリオの結果を示してます。これも結果は前回と変わりません。
32ページ目は、2050年のマクロフレームWG、安井委員が座長をされているものを横目で見ると、どういうふうになるかというものです。
33ページ目の再エネについても、これも前回示したものと同じです。エネルギー供給ワーキンググループWGで大塚委員が座長をしてくださっているものの結果を示しています。
34ページ目に、新しい結果、原子力を含めた結果をここから示しています。一次エネルギー供給で見ましても、2030年にそれぞれの必要なエネルギー量を示しています。0%のときは14から19とか、35%まで行くと11から17%とか、そういったような削減の割合になっています。
35ページ目は、慎重シナリオのケースの結果を示しています。
36ページ目は、一次エネルギー供給の構成について示しています。再生可能エネルギー、原子力、石炭、石油、ガス、これは一次エネルギー供給なので、原子力の数字が想定しているシナリオと違うというか、見ている分母が違いますので、割合は違いますけども、こういうふうなバランスになると推計しました。
37ページ目は、慎重シナリオのケースになります。
それで、38ページ目ですけれども、そのときの発電電力量の構成がどういうふうになるかというものを試算した結果を示しています。低位、中位、高位で示していまして、再生可能エネルギーはそれぞれで変わらずに、原子力の想定に応じて火力の必要な量というものが変わってくるのではないかというような推計結果を示しています。
39ページ目のほうは、慎重シナリオのほうの計算結果というものを示しています。再生可能エネルギーのシェアも、それぞれ22%から34%だったりというふうなことで、残りを火力、原子力等で賄うというものになっています。
40ページ目からは、また議論になっています設備容量のほう、こちらのほうを示しています。下から、原子力がありまして、想定しましたように、20%で3,000万kWとか、25%で3,600万kWとか、35%で5,000万kWというような想定のときに、再生可能エネルギーと、あと揚水のほうは変えていませんが、LNGだったりとか、石油だったりとか、石炭というものが、どういうふうに役割を得るんだろうかというようなことを試算しておる結果を示しています。
41ページ目が、そういったものをすべて組み合わせたときに、温室効果ガスの排出量がどういうように変化するかというものを示しています。やはり原子力が0%のケースは、一番温室効果ガスの削減率は少なくなっておりまして、1990年に比べて、低位で5%、中位で15%、高位で20%、20%のときは14、24、29、25%のときは16、26、30、35%のときは20、30、34%というような結果が推計されました。これは成長シナリオのときで、42ページ目のところは慎重シナリオの計算結果というものを示しています。経済の伸びが成長シナリオよりは少ないので、それに伴って削減率は成長シナリオよりは大きくなっています。それぞれ0%のときに10、19、25とか、20%のときに19、28、33とか、というような割合になっています。これをまとめたものが43ページ目のところになっています。これは見たとおりではあるんですけれども、大ざっぱに言って、成長と慎重で大体5%前後の開きがあるのかなというのが見えることと、高位、中位、低位で、それぞれ4%とか10%の開きがあるのかなというところが、この表から見てとれるかと思います。
44ページ目からは、そのときの追加投資額、追加投資額というものは、例えば交通の移動の需要があったときに、車で移動とするときに、従来型の自動車で行くのか、またはハイブリッド自動車で行くのかというもので、ハイブリッド自動車にするときに、さらに必要になるお金の部分を追加投資額と呼んでいるものです。計算結果自体はそれから変わっていませんけれども、こういった結果になっています。これは念のためですが、累積投資額になっていまして、例えば35兆円とかというものは、現在から2020年、現在といっても、これは2010年から計算していますので、単純に平均すると年間3.5兆円の投資をして、省エネメリットとして、2020年までに年間1.7兆円とか、その後の2021年から2030年まで見通すと、20兆円を簡単に10で割った大体2兆円のメリットがあるというような試算の結果です。委員会でご指摘があった、その割引率の想定ですけれども、今のところ、これはまだ0で示していますが、ちょっといろいろ作業が、立て込んでいて、まだ割引率を変えた結果についてはお示しできていません。
45ページ目は、2030年までの投資の結果というものを示しています。
46ページ目が、前回の小委員会でも、部会のときでも、非常にご議論があった追加投資額の内訳の結果を示しています。左側がその累積投資額で、合計したものが先ほどのグラフの中に入り込んでいますが、今回、右側に省エネメリットというものを示しています。それぞれ、すまいだったりとか、乗用車、ものづくり、オフィス・店舗、物流、省エネの各セクターの数字を示しています。省エネメリットの数字は累積額で書いていますけれども、中の11百万KLとか、そういった数字は2030年時点での削減量を示していますところを、ちょっと注意して見ていただければと思います。
そして、47ページ目に、その対策、追加投資額から算出される費用と、その削減量との関係、これは削減コストカーブの説明をしています。これはどういうふうに計算しているかといいますと、その各投資主体、企業だったり、家庭だったり、そういったところから見た年間当たりの対策費用というものは、追加的投資費用を投資主体が費用を回収しようと思う年数で割りまして、それに年間維持管理費用を足して、それからエネルギー費用の年間節約額を引いたものというものとして定義しています。
削減費用の計算として、その上で計算しました対策費用に対して、GHG排出削減量、年間の削減量で割ったものを温室効果ガスの削減費用というふうに定義しています。右がその概念図になっていまして、中には、ここでいう対策Aとか、対策Bというものですけれども、物によっては、こういう計算で見るとマイナスのコスト、つまり、回収したいと思う年数の間に回収をできるというようなものもありますし、またはC、D、E、Fのように、回収年数の間には回収できませんが、もうちょっとかかると回収できるかもしれませんけれども、そういったものを示すというのがこの排出削減費用カーブの役割です。
48ページ目に、投資回収年数の設定は、非常にこれは大事になっていくんですが、先ほど冨田委員に事前にご指摘いただいたんですけれども、そこの説明を間違えて書いていて、非常に恥ずかしいのをご指摘いただいて助かったのですけれども、二つのケースを設定していますが、上に示しているケースが、ちょっと反対に書いていまして、下の政策による後押しなどによって長期の回収年を前提に投資が行われる場合というのが上のケースで、これは社会的な回収年数を用いた場合というものを上で想定しています。つまり、例えば投資回収年数、上のほうで3年とかというふうに設定してしまうと、その後、ずっと省エネをすることで、エネルギー費用の年間節約額で回収分あるんですけども、そこを長く見てあげるケースが、社会的な回収年数を用いた場合というようなものになります。
下に示している、例えば民生機器3年とか、乗用・トラック3年とか、それをこちらでは各主体が短期の回収年を念頭に投資を行う場合というもののケースで設定しています。それを主観的な回収年数を用いた場合というふうに名前をつけていますけれども、その場合は、その上の社会的な回収年数よりも短いケース、市場で比較的観測されるものなのかもしれませんが、そうしてしまうと、特に省エネ機器のメリットというのは見えづらくなるというようなことです。
それぞれ計算したらどういうふうになるかというのを示したのが49ページ目以降になります。49ページ目の2030年の高位ケースで見ますと、社会的な回収年数を用いると、かなりネガティブなマイナスの削減費用でやられる対策はあるんですが、これをその主観的な回収年数で見ますと、照明の照度低減と、コスト自体はあまりかからないような対策、最初のイニシャルコストがかからないものはマイナスなんですけども、ほかのものを押しなべてプラスに出ていく可能性があるというものです。
50ページ目は、それで中位のケースの計算結果を示しています。ちなみに、下に削減量(千トンCO2)のところまで書いていまして、ここまでの削減をするときに、それぞれこういう費用が必要になるんですけども、押しなべて見てみますと、家庭部門の省エネ住宅とか、高効率給湯とか、高効率空調、こちらのほうが高い値になっていっていまして、特に短期の回収年を想定すると、電力部門とか業務部門、また、産業部門のほうは左側に比較的あるんですけれども、やはり家庭部門のものが右側のコストの高いものになってしまうというような結果が見えてきます。
51ページ目は、それの低位ケースのものを示しています。
全体的な様子をこちらなりに見てみますと、52ページ目ですけれども、まず、削減費用が比較的安い対策技術というのは、ものづくりのプロセス技術だったりとか、オフィス・店舗などの対策技術、再生可能エネルギー技術等、赤いドットで囲んでいるところがあります。比較的高いもので見ますと、住まいの対策技術とか、自動車の対策技術、オフィス・店舗などの一部の対策技術というものが、見ていただくとあると思います。
もしこの対策コストのカーブだけで見てみますと、そうなると、家庭部門とか自動車部門というものは、あまり経済的ではないねというようなことになってしまいますが、一方で、今回、こちらの力不足もあって、入れられていない、すまい、自動車分野のQoLというか、ノンエナジーベネフィットの部分の向上が見込まれるというところが入っていないので、このカーブだけでそちらはやめてしまうと、そちらのQoLの効果というものが見えてこなくなるということです。5からはもうちょっと書いていますけれども、そういった分野が、やはり市場、これからのグリーン成長の源になり得るのではないかということだったり、主観的な回収年数を用いた場合に、削減費用が高い技術でも、政策の後押しでもうちょっと安くなるというものもあり得たりとか、これは社会的な回収年数を見た場合ですけれども、ということで、この結果の見方も、こちらで図れるコストというものの範囲で見たときにはこういう結果になりますけれども、でも、それが本当に政策として実施できるかどうかというところについては、いろいろバリアがあって、そこをワーキンググループでもかなり議論していただいたところだと思うんですが、そういうのも踏まえて、今まで低位とか、中位とか、高位とか、そういった政策の進展具合のシナリオをつくってきたということになります。
53ページ目からは、もうちょっと違う見方で、今までの結果を見たらどういうふうになるかということです。例えば化石燃料の輸入金額を見ますと、まず大前提として、コスト等検証委員会で議論していただいていますが、原油価格が2010年の84ドル/バレルから、2030年には123ドル/バレルとか、そういうふうに上昇すると想定されていることとかも踏まえて見ていくと、もし固定ケースでいう、今までの延長でやってしまうと、化石燃料の輸入金額は相当上がっていくんですが、それぞれ対策を打つことで、20兆円を切っていくような輸入金額になっていくのかなというような結果になります。
54ページ目は、エネルギーの自給率について、こちらなりに推計したものになります。現時点での足元として、7%とか、6%とか、7%の、海外に依存しない、そのエネルギーの比率、ここでは、海外に依存しないエネルギーとして再生可能エネルギー、ただし、輸入バイオマスを除く部分を海外に依存しないエネルギーとして定義していますけれども、これが低位、中位、高位、あと原子力の想定によって、13%、14%から20%、21%ぐらいまでの範囲で、依存しない割合を高めることができるというようなことを示しています。
55ページ目は、一次エネルギー供給に占める石油の割合になります。今の現状が大体40%ぐらいというところで見ていったときに、2030年断面で、それほど割合自体は、実は計算した結果、一番少なくなって34%ぐらいなんですけれども、ただ、全体量自体は省エネだったりとか、そういったことで減っていますので、絶対量は絶対量で見ていただけたらと思います。
56ページ目は、慎重シナリオの結果を示しています。
57ページ目は、再生可能エネルギーの割合で、低位から高位まで、最大20%から、58ページ目の慎重シナリオだと21%とか、そういったところまで、可能性があるのかなということをお示しさせていただいています。
59ページ目からは、発電電力量に占める再生可能エネルギーの割合です。ちょっと箱の中の表現、一部間違えていまして、「成長シナリオの一次エネルギー供給に占める再生可能エネルギーの割合」と書いていますが、これ、以下全部、「発電電力量」の誤りです。すみません。
それぞれそういう割合になっていまして、60ページ目のところは、慎重シナリオの割合になっております。
61ページ目は、これも本当に参考までですけれども、分散エネルギー発電の割合というものを試算しています。ここでは、分散エネルギー発電としまして、大規模水力を除く再生可能エネルギー発電と、及びあと自家発電を定義しています。現時点で14%あるものが、成長シナリオで、それぞれ33とか、42とか、45%とかというような割合になるのではないかとか、または、慎重シナリオのほうでも一部積み増しがあって、こういった割合に、これは定義次第ですけれども、なるということが試算をしてわかりました。
63ページ目以降は、前回からお示しさせていただいているもので、優良ストックの例だったりとかです。
65ページ目、66ページ目に、総括としまして、定量的なもので今回わかったことを含めて、示させていただいています。まず、温室効果ガスの削減量だったり、省エネがどれぐらいまで進むのだろうか、再エネ、石油比率、原子力発電比率、分散エネルギー比率、海外依存度とか、投資額とか、優良ストックのシェアとか、こういったものを取りまとめの表として示させていただいています。
67ページ目以降は、前回から示させていただいているところで、一部、ご指摘いただいたところを反映して直したところもありますので、特に直っているか、ちょっとぱらぱらと見ていただけたらと思いますが、1カ所だけ、115ページ目のところでして、大野委員のご指摘で、自動車業界のほうでも精査な議論をするために、販売台数を示していただけないかというご指摘がありましたので、現時点でこちらでわかるもの、想定しているものというものを示させていただいております。
あと、ちょっと戻りまして、ちょっと資料が多過ぎて、ごめんなさい。前回、例えば部会の新美委員だったり、ほかの方々からもご指摘いただいて、ちょっとページ数が今出てこない。クオリティー・オブ・ライフのところは、ごめんなさい、ちょっとまだ精査中で、ワーキンググループの先生にも聞きながら、エビデンスのほうを確認しているところです。
最後のほうに行っていただいて、135ページ目のほう、まとめのほうに行っていただけたらと思いますが、今回やったことというのは、前までは原子力の比率が、2020年も、2030年も、ちょっとこちらでは想定できていなかったので、最終エネルギー需要と、あと再生可能エネルギーの割合を中心にご説明しましたけれども、2030年の原子力の割合というものが、基本問題委員会のほうでご検討していただいていますので、その数字を使いまして、一次エネルギー供給がどうなるか、そしてさらには、温室効果ガス排出量がどうなるかというような試算を行いました。それとともに、特に136ページ目の真ん中の下のほうに書いていますが、削減費用と削減量の関係というものについて、排出削減コストのカーブを示させていただいています。
それで、あと137、138ページは、前回行ったことのところを再掲させていただいています。
最後、139ページ目のところで、また次回以降に行うことということで、結局、今回、2020年の原子力発電の選択肢というものをこちらでは組み込んでおりませんので、それも踏まえて、また今日、ご議論いただき、部会でご議論いただいたところをでき得る限り反映させていただいて、最終的にこちらのほうで、AIMのほうの試算結果としてできるものというものをさせていただければというのが現状になります。
私のほうからは以上です。どうもありがとうございました。

西岡委員長
どうもありがとうございました。それでは、今、二つ説明がございましたけれども、これに対する質疑応答、ご意見、ご質問がございましたら、いただきたいと思います。例によってネームプレートを立てていただきまして、順次ご発言願います。
それでは、大塚委員のほうからお願いします。

大塚委員
最初の資料1のほうとの関係で、2点ほど申し上げておきたいと思いますけども、一つは、先ほど、ご議論がありましたように、2020年の発電電力量と設備容量に関して、原発についてですけども、現在、基本問題委員会からは選択肢が提示されていないということですが、ここが決まらないと、こちらのほうの、温暖化対策のほうを考えたときのエネルギーについても決まらないものですから、是非委員会の委員の方に書面等で意見を出していただいて、案を取りまとめた上で、こちらのほうで使わせていただくということを是非お願いしたいというのが1点でございます。
もう1点でございますけども、2030年については、発電電力量について、あるいは設備容量について、出ているわけですけども、現在、原子力等規制法で出されている、新聞にも出ている案というのは、40年廃炉で、あと新増設なしで、福島の原発は廃止、廃炉という、そういう案なんですけども、それだと10から15%ぐらいに2030年にはなると思われますが、その案がないということになってしまっていて、どういうふうになるかは、私自身の意見というよりは、一番、多分法案との関係で言うと、蓋然性が高いような案がないという状況で判断をするというのは、なかなか難しくあるのかなというふうに思っておりまして、10%とか15%という検討も、我々としてはしたほうがいいのではないかということを、シナリオの一つとしてということで、別に私がそれがいいと思っているということでは必ずしもないのですけども、蓋然性としてはそういうものが高いのではないかと思いますので、それがシナリオとしてないというのは、ちょっとどうかなという感じがするということを申し上げておきたいと思います。以上でございます。

西岡委員長
続けて、大野委員、お願いします。

大野委員
ありがとうございました。この会議体の一番の使命というのは、いきなり政策の議論に入る前に、こういう数字なんかをきちっと確認すると、そっちがまず先にあると思っていまして、その上で地球環境部会のほうに上げていくんだと思うんですね。そういう意味で、先ほど藤野委員から、販売台数のデータとか、ありがとうございました。同じような観点で、今日、二つ教えていただきたいのですが、今後、私ども、数字をちゃんと、別に疑っているわけじゃないですが、検証していきたいと思っていまして、一つはCO2の計数ですね。原発0%とか、20%とか出ますと、CO2の計数をお使いになって、こういう計算をされていると思うんですが、その値そのものを、ちょっとどこかに書いてあるのかもしれませんが、各ケースを教えていただけないかというのが一つです。
それから、2番目は、このコストの話なんですけども、例えば48ページからコストカーブが書いてあります。これ、私の記憶ですと、大分前にも環境省さんかどうかは覚えていないのですが、コストカーブを拝見して、何か議論した覚えがありまして、そういう数年前の記憶をたどってみると、乗用車の燃費向上とか、次世代車というのが、一番左側に当時は書いてございまして、一番安かったんです。こんなに安くありませんよと、何か意見を言った記憶があるんですけど、今日見てちょっとびっくりして、むしろ一番右のほうに行ってしまったものですから、一番端から端へ行ってしまったなと思っていたんですけども。これ、物すごく怖くて、ちょっとした計算前提とか変えると、がばっと大きく変わってしまうんですよね。慎重にやらないといけないんです。かなりいろんなパラメーターの影響だと思うんですけど、例えば一つ、例を挙げると、投資回収年なんかは、昔は10年ぐらいでやっていたんだと思うんですね。この3年にすると、やっぱり相当変わるんだと思うんで、私、個人的には5年ぐらいが適切だと思っているんですけども、そういう話とかいろいろあると思うんで、私どもも自分で計算してみたいと思っているんですけど、また、いつも同じ質問で恐縮ですが、いろいろどういう前提で計算されたとか教えていただければ、いろいろ私どももカウンタープロポーザルで数字を出したいと思っていますので、宜しくお願いしたいと思います。

西岡委員長
この委員会では、二人ずつぐらいまとめてご返事いただくことになっていまして、まず最初に、藤野委員のほうから、できるところで結構です。それから、あと経産省のほうからも説明いただきます。

藤野委員
まず、2030年の原子力の比率につきましては、基本問題委員会のご議論も待ちつつも、特に小委員会及び部会のほうのご意見で、是非やるべきだということになれば、頑張りますという答えだと思います。
それで、大野委員のほうから、数字をきちっと確認するという、本当にそのためにモデルを使っておりますので、ご指摘いただいたところをお示ししたいと思います。
あと、投資回収年数につきましては、振り返るに、2008年の中期目標検討委員会のときから、そういった削減コストカーブというものを示し続けていて、ちょっと我々も確認する時間がなかったので、本当に左から右まで行ってしまったのか、ちょっともう一度、こちらも確認しますけれども、そのときからも、短い投資回収年数と長い投資回収年数というか、そちらのほうの数字を示しておりましたけれども、確認するとともに、あと前回のとき、個票といって、我々、勝手に個票と名前をつけていたんですけども、対策ごとに単価をどういうふうに想定したとか、または燃費をどういうふうに想定しているとかというのをつくっておりますので、そちらの個票について、ちょっと時間がうまく間に合っていないんですけれども、最終的にはお示ししたいと思っております。

西岡委員長
どうもありがとうございました。本日、資源エネルギー庁の後藤課長にご臨席いただいておりまして、2020年の原子力発電の割合について、ご説明願えればと思います。

資源エネルギー庁総合政策課長
ご紹介いただきました後藤でございます。実は、昨日も総合資源エネルギー調査会の基本問題委員会も開催しておりまして、私ども、エネルギー・環境会議からのタスクアウトされている部分もあるので、できるだけ早くいろいろまとめていきたいとは思っておりますが、正直申し上げて、委員の間の議論が必ずしも収れんしているという状況にはなかなか至っていないと思ってございます。もともと出した今の四つのシナリオも、委員の先生方の数字をある程度、私どもがあまり手を入れずにまとめたものであって、最初に出てきた段階で数字がなかった部分でなっておりますけど、昨日もまたいろいろと議論が出ておりますので、またこれは引き続き三村委員長ともご相談しながら、どういうことをやっていったらいいのかは、また引き続き考えたいと思います。そういう意味で、今申し上げたように、10から15%ぐらいがあってしかるべきではないかというご意見に関しては、またそこは引き続き、検討課題だと思ってございます。
それから、2020年、30年の数字をまず議論しておりまして、委員会の中でも議論が出ておりますけど、それが30年の先、どっちに向いているんだと。手前も、だからどっちを向いているんだということだと思いますが、上がるのか、下がるのかということについても、まだ数字の単なる意味ではなくて、その性格づけ等の議論をしっかりやろうということになっておりまして、なかなか正直、方向性も確実に収れんしていると言いがたい状況でございますので、現段階では、まずは2020年、2030年の数字をとにかくまとめるのに全力を尽くしていきたいというふうに思っておりまして、その後、できるだけ早いタイミングで、2020年の数字も出せればというふうに思ってございます。現状、なかなか事務局で、何というのでしょうか、コントロールしているわけでは全くないものですから、あと何回かかるか、正直わからないような状況でございますので、大変申し訳ございませんけれども、そういう現状をご理解いただければというふうに思います。

西岡委員長
どうもありがとうございました。それでは、荻本委員、それから大聖委員、続けてお願いします。

荻本委員
それでは、46ページの、前もいろいろコメントが集中した表なんですが、今回、ここにメリットというのを出していただいているんですが、これが、すまいとか、オフィスとか、かなり大くくりになっておりまして、例えばすまいですと、外皮性を向上することと、給湯器と、照明・家電・HEMSと、こういうものは恐らく独立に選ぶことができるはずなんですが、メリットがくくられて表示されているということで、例えば、じゃあ、外皮を向上したらいいのか、給湯器をかえたらいいのかと。お金は100万円なんですよという人に対して、これはちょっと答えになっていないかなというふうに思いますので、少なくともこの表で言えば、この縦方向の項目ごとに、分けられるものは分けて、省エネメリットというものを是非出していただけないかと。
それから、割引率はゼロにしていると、45ページで記述がありますが、これはそうでなければどう見えるのかというのは、ちょっとどこかにコメントか、どこか書いていただきたいと。
それから、ちょっと小さな話ですが、このページの創エネの系統対策というところは、実際にはどの創エネに対する対策なのかという分解も可能でないわけではないということですから、どこまでやるかは、あまりやり過ぎると大変なことになってしまうのですが、選ぶ方が比較して選べるように分けていただけないかというのが、最初のお願いでございます。
それから、二つ目は、今度は60ページぐらいの再生可能エネルギーの割合とか電力量というところなんですが、前にも検討の中で出てきていましたように、わずかではあるんですが、抑制というものが必要だということが報告されていまして、それがここには全く出てこないんですね。私、これ、全体の報告書はどういう構成になるかにもよるとは思うんですが、少なくとも、ここだけ見ると、これが抑制が入った数字なのか、抑制が入っていない数字なのか、よくわからないと。今回の抑制の検討の性格としては、例えば地域をくくって抑制量を出していますから、うまくすれば、ここまで抑制量は減らせるはずなんだけれども、場合によっては、もう少し出るかもしれない。そういう不確実性が若干混じっているということもございますので、ここに書いてある電力量とか、割合というのが、どういう性格の数字なのかということは、少なくともコメントにはつけていただいて、抑制との関係を明らかにしていただければいいかなと思っております。以上です。

大聖委員
先ほど大野委員からもコメントがありましたけれども、追加投資額の関連の44、45、46ページあたりのところで、ちょっとコメントをさせていただきたいと思います。乗用車の関連のコストアップ部分です。これは、量産効果によって下がるというようなイフェクトもある訳です。生産台数が増えますと、それだけコストダウンができる。それによって全体の負担が減るということがあります。それから、次世代自動車の売れ行きについて過去数年をフォローしてみますと、エコカー減税とか、購入補助の影響というのは実はきわめて大きいです。ですから、減税効果と量産効果というのは、実はリンクしている面があるということを、これは数値予測モデルではどうやって考慮するかというのは大変なんですけれども、それもう少し加味していただくといいと思います。
それから、回収年数が3年というのは、ちょっと短いという実感を持っております。
さらにもう一つは、ちょっと細かいことになりますけれども、貨物車と乗用車では回収年数が違うと思いますし、CO2の削減の効果も違います。トラックは、割と投資に対して回収が、量産効果があまり働かない分だけ、難しい面があるかなと思いますので、その辺をもう少し細かくブレークダウンできるようでしたら、お願いしたいと思っております。
それから、もう一つは、回収の中には、走行距離によって変わってくる面もありますので、それもやはり加味すべきではないかなと。年間当たりの走行距離が短くなれば、それだけ回収年数も延びてしまう、そういう面があるということです。ちょっと細かいことになりますけれども、以上であります。

西岡委員長
どうもありがとうございました。藤野委員。

藤野委員
ご指摘どうもありがとうございます。まず、46ページ目の追加投資額の内訳のところで、ちょっとこちらの作業が間に合っていなくて、大ぐくりな数字になっておりますので、でき得る限り皆さんのご判断に役に立つ数字に修正していきたいと思います。再生可能エネルギーの抑制のところで、こちら、ちょっと技術モデルで積み上げて計算しているところもあって、価格効果だったりとか、そういった経済的な要素がうまく入れ切れていないところもあったりとかもしますので、そちらのほうの説明も含めて、皆さんに意図が伝わるように、資料を充実させていきたいと思います。
あと、大聖委員のほうからのご指摘、非常にありがたくて、これ全体を横並びで見るために、非常に簡単な想定で計算してしまっていて、大事な要素が抜け落ちておりますので、できる限り、計算できないところも、そういった背景がありますよというようなことは、きちんと書かせていただきたいと思います。以上です。

西岡委員長
どうもありがとうございました。冨田委員。

冨田委員
ありがとうございます。資料1について1点、それから、資料2について、3点お聞きしたいと思います。
まず、資料1ですけれども、2030年の発電電力量、約1兆kWhに対する原子力発電の割合ということで、4ケースということなんですが、資料2のほうの中でも1兆kWh相当ということですが、省エネの、あるいは節電のやり方によって、若干前後はしております。事務局からのタスクアウトとして、この割合を一定と考えるのか、それとも、億kWh、こちらの電力量ベース、これもぴったりじゃないと思うんですけども、それを一定と考えるのかによって、少し考え方が違うと思います。資料2のほうは、右側のほうのkWhを基準に考えていらっしゃるということですが、それでいいかどうかを確認させてください。
それから、資料2のほうですけれども、もう既に何度か話題になっている46ページのところですけども、私もこれらのデータを使って計算をしてみると、省エネのkLに対するコストは、大体3倍ぐらい違っています。項目を細かく分けていただきたいということと、それから、これは省エネですが、この小委員会の目的としては省CO2ですので、CO2削減量に対するコストということで計算をしていただければと思います。それが、その次の47ページ以降の考え方とも整合するということだろうと思います。
47ページの、これはいわゆるMACカーブと呼ぶのでしょうか。削減費用と、それから削減量の比率をとるということですけれども、削減量について、系統電力に関わる対策の削減量は、電気の排出係数を幾らとして計算しているのかということをお聞きしたいと思います。考え方によって、削減量が倍、半分ぐらい違いますので、このカーブも随分変わってくるのではないかなと思います。
それから、回収年数、社会的な回収年数にするか、主観的かというところですけれども、政策の後押しをすることによって、回収年数の考え方は長くできるのではないかということですが、どういう政策の後押しを考えるかによるわけですけども、例えば補助金みたいなものを考えると、投資するほうからすれば、投資コストがかかりませんということになりますが、社会的な費用としてはかかっているということになると思います。それから、例えば義務化、法律で義務化すると、法律事項なんだから、これはもうやるのが当然と。コストは考えない、追加コストは考えないということになりますが、必ずしもその法律を受けるほうの人からすると、そうではないということですので、政策の後押しがされることによって、コストが0円だということは言い過ぎなのではないかなと思います。
それから、最後ですけれども、この小委員会の検討の方針について以前から考えをまとめてきたわけですが、その中に化石燃料のクリーン化という項目があります。昨日、これは資料をいただいたときに、化石燃料のクリーン化というのを検索しました、言葉を。1カ所出てきました。それは資料の20ページのところで、低位、中位、高位、ここの中の図に書かれている、ここの1カ所です。
化石燃料のクリーン化というのは、例えば火力発電の燃料比率をどうするかといったところにもちろん関係してくるところですけれども、それだけではなくて、例えばものづくりにおける燃料の消費にも関わってくるわけで、それがものづくりのほうに何ら反映されていないというのはどうなんだろうかと。それから、火力のところの燃料比率についても、いわゆる大規模な火力だけでなく、自家発と書かれているのはコジェネも入っていると思うんですが、それの燃料比率がどうかというところもあるわけで、それがわかるように、このクリーン化ということが織り込んでいるんだということがわかるような形で資料をつくっていただければと思います。以上です。

西岡委員長
則武委員、お願いします。

則武委員
資料2についてですけれども、まず36ページで、ちょっと教えていただきたいのは、参考資料1にある基本問題委員会のほうで、原子力発電だけではなく、再生可能エネルギー、火力、コジェネとかというのも示されていて、それとの関係をちょっと教えていただきたいのですけれども。まず、特に参考資料1では、原子力0%の場合に、再生可能エネルギー目標が35%という形になっているのに対して、36ページのだと、0%の場合に再生可能エネルギーが高位でも20%しかないという形で、再生可能エネルギーに関しての導入の考え方が大分違っているのかなというふうに思うんですけれども、間違っていたら申し訳ないですけど、教えていただければと思います。
それから、43ページにつきまして、CO2の値で出たことで、非常にわかりやすくはなったんですけれども、私、2020年がないと施策の判断がやっぱり難しいなと思います。それと、この数字を見る限り、2020年にどれぐらいやるかは別としましても、先進国が25%で、2050年は80%ぐらいやらないといけないと考えると、この2030年の数字というのは、かなり厳しいものがあるなというのを感じました。だから、これから2020年の数字が出るとしても、施策の検討というのはかなり議論しないと問題が出るんじゃないかなと思っております。そういった面で、この後が心配だなというふうに思います。
それから、最後の136ページのまとめのところで、下の削減費用と削減量の関係というところで、産業、業務の一部の対策技術、再エネ技術は比較的安いとか、その下の2行目には、削減費用は比較的高い技術として、また業務が入っています。これは皆さんからも意見があったと思うんですけど、46ページの中で、業務の中でも、それぞれどこがというのがわかればいいと思います。それと、特に46ページには省エネメリットを示しておられるので、ここのまとめのところは、削減費用と削減量の関係だけじゃなくて、省エネメリットをあわせた形で考えたほうがいいのではないかなと思います。以上です。

西岡委員長
どうもありがとうございました。藤野委員。

藤野委員
どうもありがとうございます。まず、46ページ目のところ、ここを精査するという、精査せよという、はい、承りました。
それで、系統のほうの電力のCO2の原単位ですけれども、基本的には全電源で計算しています。あと、政策の後押しで年数が変わるというところで、ここ、本当にご議論いただきたいところで、確かに補助金を入れれば、その分だけエコカーが入りやすくなったりとかというのはありますけれども、そこの政策が本当にどれが有効かというところは、各ワーキンググループでもご議論いただいているところですし、また、ほかの各省庁でもご議論されているところですし、そこはもう継続的に検討していく必要があります。今回お示ししたのは、もうそこはある意味、それぞれのところでやられているので、単純に回収年数というようなパラメーターで、3年ぐらいだったりとか、10年ぐらいだったりとかというような数字で、その省エネメリットだけ見てやると、どういう効果があるかということをお示ししました。
化石燃料のクリーン化のところにつきましては、これはまだちょっと、その2というタイトルというのは、ちょっと言い訳になりますけれども、読み取れるように、こちらでできるところは検討していきたいと思います。
あと、則武委員のご指摘で、その再エネの考え方の20%、こちらがせいぜい20%で、基本問題委員会のほうではもう少し大きな数字も出ているところの整合性については、ちょっとそちらのほうの資料も確認しながら、それぞれの委員がどういう前提でこの数字をつくられているかというところが非常に大事だと思いますので、比較してみたいと思います。
あと、ご指摘いただいたところ、省エネメリットも最後のまとめに含めるという、これは本当にこちらのポイントですので、含めたいと思います。どうもありがとうございます。

西岡委員長
どうもありがとうございます。事務局のほうから。

低炭素社会推進室長
資料1につきまして、ご質問いただいた件でございますけれども、まず、参考資料の1もご覧いただきながら、説明したいと思いますが、参考資料1は、昨日、基本問題委員会で資料1として提示されたものでございまして、こちらにつきましては、基本問題委員会の委員から出されたご意見をまとめて整理をしたというものでございます。
表題の下に前提が書いてございますけれども、こちらにつきましては、省電力量を約20%と想定をしつつ、発電電力量につきましては、約1兆kWhということで想定をして計算をしておるというものでございまして、電力量が、まず1兆kWhというものでございます。その前提で、数字が示されたものにつきましては、B、Cなど、原発、再エネ、火力、コジェネということで計算をされております。ですので、先ほどご質問がございました資料2の36ページ、35ページにつきましては、こちらは一次エネルギー供給量で示された図でございますので、比較といたしましては、39ページ目などの発電電力量の構成比と、また、その資料1の値の比較というふうになろうかと思いますので、こちらでいきますと、高位のケースで緑の再エネの部分が、例えば34%という値との比較ということかと思っております。
また、計算の設定といたしましては、原発のパーセンテージを固定するということで、今回、試算いただくということではなく、資料1に書いてございますが、そこから1兆kWhで掛け合わせた、それぞれ0から2,000、2,500、3,500というkWhを原発の担当部分ということで、今回、試算をしていただいたということで、今回の試算はそういう考え方でやっております。

西岡委員長
どうもありがとうございました。それでは、松岡委員。

松岡委員
61ページの分散エネルギー発電の割合が非常に高く見積もられているんですが、実際に分散エネルギーのメリットとすれば、送電ロスが非常に少なくなるという、一般的な系統であれば5%弱ぐらいなやつが、1%とかそれぐらいでおさまってしまう。そこの部分、かなりこれだけ割合が大きくなると、大きくCO2削減に効いてくるんだと思うんですが、そのあたりがカウントされているのかどうか、ちょっとお教えいただければと思います。以上です。

西岡委員長
どうもありがとうございました。それでは、村上委員。

村上委員
49ページ、50ページあたりの、この限界削減費用のことについてお聞きしたいのでございますけど、一番右に省エネ住宅がございまして、これがよくやり方によってはこうなるのでございますけど、教えてほしいのは、左と右で投資回収年数が大分違っていますから、それに対応して、その左側が小さくなってもいいのではないかと思うのでございますけども、これは同じなのは、両方とも20万になっていまして、同じなのはどういう理由かということを教えてください。
それから、左側の政策による後押しということで、この投資回収年数を長くする場合には、これは政策による後押しが当然かのような表現になっているのでございますけど、もちろん政策による後押しはあっていいかと思うのでございますけども、家電製品と住宅では、当然その耐用年数が違うわけですから、経済原理としても、その投資回収年数を長く見るということは、ごく自然なことではないかと思うのでございますけども、この2点を教えてください。

藤野委員
どうもありがとうございます。まず、系統の送電ロスにつきましては、系統電力でのものについて、確かに送電ロスで想定していまして、自家発のところで一部、ちょっともう一度確認しないといけませんけれども、系統を使ってというものについては、送電ロス、まだ大きいほうに入っていますけれども、ちょっと中で少なくなっているところと、多くなっているところと、ちょっとそれぞれでばらつきがありますので、そこは確認します。
あと、村上委員のほうからありました、省エネ住宅、どちらも20万円で、これは確かにおかしくなっていて、これは突き抜けていて、波線を描くのを忘れていまして、省エネ住宅で、省エネメリットだけで回収すると、とても額がまだ高いという状況で、これはどちらも20万円以上で、額としては違うものを書かないといけないのが、ごめんなさい、ちょっと最後の波線を描き忘れています。本当にご指摘のとおりで、それぞれの対策によって、投資回収年数の考え方、大分本来は変わるところなんですけれども、ちょっと簡単な議論のために、3年と、大体10年ぐらいというふうにやってしまっているので、そこをどういうふうに精査すればいいか、ちょっとこちらでも再検討をします。

西岡委員長
どうもありがとうございます。屋井委員、お願いします。

屋井委員
今の村上先生のお話にも若干関わるんですけども、その49ページあたりの、毎回議論になる限界削減費用との関係でお聞きしたいことが1点あります。136ページに今回行ったことということで、まとめがあるんですけど、今日の資料の性格をちょっとはっきりとしておきたいのですけども、要は、エネルギー消費量との見通しを示しているんだということは、一定程度、どういう政策判断を今後して、どういうものを重視して進めていくかということとは多少距離があって、あるいは独立に行えるという範囲もあると思うんですね。36ページにある、この下のところにあるように、いわゆる限界削減費用の小さいものから重点的に、例えば政策判断をして進めるんだ等々の議論というのは、これはまさに、その後者に関わってくるんですけども、今日の資料というのは、そういうことまではスコープに入っていないという理解を私はしているんですけども、あるいは、そうではなくて、既にこういう議論がされていて、いわば、あるいはもっと言うと、従来からのずっと長い議論の中で、限界削減費用についてどう考えるかということについて、政策判断との関係はどこで議論をすべきなのか。今後、議論をする予定になっているのか、そういうことも当然だと思いますけども、そこら辺について、一旦確認をさせていただきたいと思います。どうもありがとうございます。

西岡委員長
安井委員、お願いします。

安井委員
資料の1に関しまして、ちょっと二つご質問をしたいと思いますが、一つ目は、実を言うと、大塚委員がご指摘なさった、まさにそのことでございますが、やはりここに今出ております、この数値の20、25、35ですか、この数値だけですと、やはり、何か一番ありそうなところが、完璧に抜けているなという気が非常にいたしますね。先ほどの大塚委員のおっしゃったように、やはり40年廃炉、福島ゼロの新設なしでやりますと、2030年で、恐らく残っているのは21基ぐらいですかね。2040年になりますと7基ぐらい残っているかもしれないというような状況でありますが、そういうことを考えていくと、そういう選択をしないとも限らないなという気がいたしますので、やっぱりそのあたりを考えると、10とか、15とか、是非それを考えていただいて、新しいところを入れていただきたいと思います。
それだけではなくて、私とか、今日は赤井さんはお見えになっていませんが、2050年のシナリオなんかを書いていた人間から見ますと、やはりこの手のインフラ整備に関わるようなものというのは、やっぱり相当時間がかかるわけですよね。そうなりますと、あるときにこれがいいだろうというので、大量にそのある技術を導入してしまうと、それから先、にっちもさっちもいかなくなるということがもう十分に考えられるので、2030年の値だけをスポットでぽんと出して、それでよかれというのではなく、やはりそこの前後の勾配ぐらいは欲しいなという気がやはりしますね。
それで、最終的には、やっぱり2050年、本当に80%削減するかどうかというのは、まだまだ我々の世代ではわからないわけですけど、それへの可能性を含めて、やはり少し先への見通しというものがないと、今後の議論が非常に難しいという気がいたします。以上です。

西岡委員長
それでは、藤野委員、できるところで結構です。

藤野委員
まず、屋井委員のご指摘、ちょっとこちらが確かに勇み足的なところもあって、いつも、確かに前回の小委員会だったりとか部会のほうで、そのコストの考え方のところでご指摘もあったので、ちょっと説明というか、言い訳っぽく、若干書いているところもありますけれども、一つの考え方として、こちらで描いたコストカーブを見ながら政策判断するということもあり得ますし、または、その数字の意味もよく、先ほど大聖委員のほうからも、この裏にはいろいろな数字の変わる可能性があるよということをご指摘いただきましたけれども、そういうのも踏まえて政策判断をしていただくということもありますし、そういう意味で、ちょっとこちらのほうが勇み足で、実は、こちら、その見解をまとめるのは、まさに小委員会だったりとか、部会だったり、ちょっとそこは西岡委員長のご判断が必要ですけれども、我々の役目ではないかもしれません。AIMの試算結果を出すほうが、どちらがいいとかいう立場ではありません。
それから、安井委員のほうからのご指摘で、大塚委員のほうからもご指摘がありましたけれども、さらにご議論いただいて、必要ならば当然計算はします。
あと、2030年、次回、できるだけ2020年の想定がそろっていれば、何とか勾配も示せるようなことになるのかなと思います。以上です。

西岡委員長
どうもありがとうございます。まず、屋井委員のほうについて、事務局のほうから。

低炭素社会推進室長
今、藤野委員からもお話がございましたけれども、これから政策を含めて議論いただくための素材を提供いただいたというふうに思っておりますので、これらのデータを見ながら、どう対応していくのかという議論をしていただきたいというふうに思っております。そういった側面でいきますと、資料2の52ページ目に示していただいておりますけれども、52ページ目の右側に今回の分析を書いておりますが、その一番最後の7)のところなどでは、短期的な費用のみで判断するということのみならず、QoLなどのほかのベネフィット、また、各分野ごとで、それぞれ特色が違うということも見ながら、どう考えていくのかという議論を深めていくべきという素材を、今回、提供いただいたということだと思いますので、この小委員会、また、部会で議論を深めていただく案件だというふうに思っております。

西岡委員長
どうもありがとうございます。安井委員などからも原子力の話がございましたので、後藤課長から。

資源エネルギー庁総合政策課長
先ほど、一番最初に出たご質問と、基本的には同じになってしまうのですが、さまざまなご意見が私どもの委員会の中でもあったのも事実でございますので、どういうふうに、今後、進めていくのがいいのかも含め、私どものほうも、また三村委員長、それから大臣ともご相談しながら、いろいろ検討を進めてまいりたいというふうに思います。

西岡委員長
山本委員、お願いします。

山本委員
ありがとうございます。投資回収のところで、49ページあたりの、このような議論が出ているところですけれども、例えば経験的には、我々、業務部門での省エネ対策というと、投資回収年3年ぐらいであれば、各事業所さん、自主的に取り組まれるという経験を持っております。ただ、経済的な理由以外のところで、なかなかできないというのが現実かというふうに思っております。投資回収といったときに、設備の更新時期が来て、全部回収する場合もあろうかと思うんですが、その場合、高効率なものに、追加的にコストを払って回収することを追加費用というふうに言っているのか、更新時期に回収する、更新を待たずに前倒しで更新していくときの費用と考えていくのか、その辺のとらえ方で、投資回収年の考え方も違ってくるかと思うんですが、その辺を教えていただければと思います。

西岡委員長
渡邊委員、お願いします。

渡邊委員
ありがとうございます。20ページにシナリオ・ケースの組み合わせがあります。原子力は基本問題委員会の四つのケース、中環審の対策・施策の強度、低、中、高位の三つのケース、さらに成長シナリオ、慎重シナリオの二つのケースを掛けると、24通りという膨大な数になったということが示されています。しかし、そもそも基本問題委員会では、原子力の比率だけを議論しているわけではなく、再生可能エネルギーや火力の比率も議論され、あわせて示されております。つまり、原子力の比率は独立変数として扱うべきではなくて、再エネ・火力比率と一体として扱うべき数字だと思います。その意味からすると、このように単純に24通り並べて試算するのは、適切な方法論ではないと考えます。やはり基本問題委員会と合わせた組合せにケースを限定すべきだと思っております。特に、再エネの内訳の相違はコスト試算に大きく響いてくると思いますので、基本問題委員会の内訳と合わせる必要があると思います。基本問題委員会は風力6,000万kW、中環審は約3,000万kWと大きく違った数字になっています。また、同様に火力の内訳の部分も、合わせていただきたいと思っております。38ページに発電電力量の内訳が書いてあるのですが、火力については内訳が示されていません。石炭、LNG、石油別に示していただかないとCO2排出量もわからないので、そこも示していただくことと、その内訳を基本問題委員会と合わせること、政府一体となって、整合をとった前提で進めていただくことをお願いしたいと思っております。
一部の委員の方から、基本問題委員会の選択肢以外の原子力比率についても検討すべきという話がありましたが、中環審だけで独立した数字を出すと、最終的に国民に選択肢を提示する際に、混乱をきたすことになります。政府一体となって、同じ数字、同じ前提で検討を進めていただきたいと思っております。
それから、53ページの化石燃料の輸入金額の図に3点解説のコメントが枠囲いに入れられ記載されています。一つ目は前提が書かれております。二つ目、三つ目は、1回読んだだけでは、理解できなかったのですけども、よく読むと、要は、原子力のゼロのケースでは、今の化石燃料の輸入額と同等か、それ以上になってしまうということが書かれておりました。この場合、むしろ「原子力35%のケースでは、今の輸入額と同等もしくはそれ以下になる」ということを単純に示したほうが、わかりすいのではないかと思っております。まとめの部分にも同じ表現が出てきますので、是非修正していただきたいと思います。
次に54ページのエネルギー自給率について。これはエネルギーセキュリティに係る内容であり、非常に重要な項目なんですが、原子力の比率を変数として動かしているにもかかわらず、結果は変わっておらず、驚きました。しかし、下の方に小さな字で書かれた脚注を見ると、この分析で自給率とカウントしているのは、再生可能エネルギーだけということがわかりました。もし脚注に示すような分析をしたいということなら、原子力の比率を変数にする意味は全くありません。むしろ、対策、高位・中位・低位のみで示せば分かりやすくなります。しかし、そもそもエネルギー自給率を考える場合、原子力については、一旦原子炉に入れれば数年燃やすことができるという利点等も踏まえ、過去からも準国産エネルギーと評価されていますので、自給率には原子力を含めた数字を、示していただきたいと思っております。
それから、61ページのところに分散エネルギー発電の割合が示されておりますが、原子力を変数として扱っているのですけども、結局、結果は同じなので、原子力を変数として示す必要は全くないと思います。
気になるのは、61ページ、62ページで、分散エネルギーがセキュリティ等の項目に書かれていることです。以前にも申し上げたのですが、分散エネルギーについて、エネルギーセキュリティの観点から、特段の留意事項なく評価されることに違和感を持っています。つまり、分散型エネルギーには自家発も含まれ、その燃料は主に化石燃料であるため、セキュリティ面ではどう評価すべきなのかということについては、一律にはなんともいえないのではないかということです。以前、分散しているから防災拠点に適している、というような議論がありましたけれども、やはりインフラとして、ネットワークを通じて燃料の供給を受けるのであれば、セキュリティ上の価値は系統電力と同じではないかと思っています。分散エネルギーを、単純にセキュリティという項目に記載することには、違和感がありますので、適切に修正するよう是非宜しくお願いします。以上でございます。

西岡委員長
それでは、今までのところ、できるところで結構ですので。

藤野委員
ありがとうございます。まず、山本委員のほうから、投資回収年数の考え方で、基本的には更新するものについて、より省エネする、でも、イニシャルコストが高いものと、普通の在来的なものとの差額を追加投資額と呼んで、それの及ぼす影響というものを計算しています。その前に、業務部門、大体3年ぐらいかなという、現場のご指摘いただきまして、ありがとうございます。経済的以外の理由で、入れるところ、入れないところがあるというところも、事例としては承知しているのですが、今回、非常に単純に示していて、同じ対策でも、場所、場所で、実際のところ、コストが変わると思うんですけれども、一つにまとめているというところも、ご理解いただけたらと思います。
あと、渡邊委員のほうからもご指摘、ありがとうございます。火力の比率、ちょっと時間が間に合わなくて示していないですけども、これは当然示さないと、先ほど大野委員からも、大聖委員からも、皆様からも、これは定量的なところを示すのが大事だというところなので、お示しします。
53ページ目の化石燃料の表現のところは、夜なべ作業でちょっと表現がおかしくなっているので、修正します。
自給率のところにつきましては、さまざまな考え方がありますので、それを含めて、さらに検討、セキュリティのところも同じですけれども、ご指摘を踏まえながら、さまざまに、最終的に選択するのに、皆さんの範囲で見えるようなところで示していきたいと思います。
あと、原子力の2030年の比率につきましては、これはもうこちらの議論がどういうふうになっているのかというところを基本問題委員会のほうに、多分お伝えしていただくほか、こちらからは何も言えません。

西岡委員長
それでは、残りにつきまして、事務局のほう、お願いします。

低炭素社会推進室長
資料2の20ページに関しまして、今回、計算いただきましたシナリオケースの組み合わせというのが出ておりますが、今回は機械的にお示ししているという段階でございます。一方、国民的議論に供するということがございますので、わかりやすさも重要だというのは、これまでも、小委員会、部会でもご議論いただいておるところでございますので、こういったものをどのように絞っていくのかという話は、今回、お示ししたものに加えまして、次回以降も議論に資するデータをご覧いただきながら、議論を深めていっていただければと思っております。

西岡委員長
それでは、浅岡委員のほうから。

浅岡委員
ありがとうございます。3点申し上げたいと思います。
1点目は、先ほどから議論が出ています、2030年の原子力比率、資料1と資料2につきましても、20ページとか、その後、後ろのほうで数字が出てまいりますけれども、ここで10%の数字で、もう一度計算をしていただくということを是非ともお願いいたします。
私は、昨日の基本問題委員会も動画で拝見をいたしました。なぜかといいますと、このもとになります原子力の新政策大綱のほうの委員に出ておりまして、そこで、この議論は基本問題のほうでというような話になっていったわけでありました。何が原子力の政策大綱の議論になっていたかと申しますと、この資料1の設備容量のところ、0、20、25、35とありますけど、原子力のほうでは25がありませんで、0、20、35でありまして、それも、こういう割合を見るのではなくて、バックエンド対策、核燃料サイクルで、どれくらい、どういう見通しでするかというような意味でのステップスリーの試算の上で、計算してみたいというようなことで、出してきたものでありまして、35というのは山地委員が出されたものですけれども、彼自身が現状よりも減るとメディアでコメントしているような数字だから、あり得ないことだし、それは外すべきだというような話とか、これがなければ、0、20だけであれば、平均値10ぐらいと。細かい詳細なデータも出しまして、先ほどから議論が出ているように、福島第一、第二とか、平常に危険な原発とか、40年廃炉とか、基本的な原則で新増設しなければ、せいぜい10%、そのあたりにしかなりませんという細かい数字も出しまして、そういう話を踏まえながらやるべきだと話をしたのですけれども、結局、近藤委員長のところが出したのは、これはむしろケーススタディに近い話であると。やってみるだけなんだと。これを代表的な数字を選択するという話ではなくてと、そういう話の中で出てきたものでありました。
もう一つは、稼働率80%というのも、それはもともとのコストが70%で計算をしていたのだから、おかしいじゃないかという議論があった。これもケーススタディということで出てきたものでありまして、こういうふうな資料1のようなところにそれが使われたり、あるいは基本問題の委員会で、原子力のほうでやったんだからという話になっていくことになるから、よくないという委員がたくさんいたんですけど、ケーススタディと言ってやってきたということをよく理解していただいて、昨日の基本問題の中でも、植田委員のほうからレファレンスケースのようなもの、基本的な政府から出ている40年廃炉で、新増設しないで、どうしても動かせないはっきりしているものは勘定してしたら、せいぜい10%そこらではないですかという話、ある意味でレファレンスというか、基準ケース、なぜそれができないのかという点については、なかなか明確な論理的なお返事がなかったと私は思うんですね。是非とも、基本問題でやっていただきたいし、もしそれをどうしてもやらないで、こんな議論をするとかいうことになる、あるいは2020年の話もしないでやるというようなことになるのであれば、中環審としては、2020年目標なしに温暖化対策を立てられないことは言うまでもないことでありますので、ちゃんと自分、自らもやるということで、ここでまとめてやっていただきたいと思います。そういう意味で、数字というのはひとり歩きしていくんですけど、両方の委員会で大変な議論がありながらやっているということをご理解いただきたい。
第2点目は、今申し上げました2020年の目標を決めるについて、2020年の原子力についての割合、CO2の温室効果ガスの割合、そういうものをきちっと出していかないことには、これまでのずっとやってきている議論、あるいは国際的な今の世界の動きの中で、ダーバン・プラットフォームにどう関わっていくのかというようなことを考えましても、それを抜きでやれるということではないので、これはきちっと試算していただきたい。
3点目は、136ページのまとめのところで、藤野先生が最後のところにお書きになっていまして、業務とか民生、業務、家庭あるいは自動車などは、削減費用は高いんだけれど、QoLの向上につながるものが多いというだけではなくて、このプロダクトのイノベーションに成功すれば、世界の低炭素社会構築に貢献するとか、グリーン成長になるとか、こう書いていて、これはとてもいい発想だと思うのですけど、このことは、産業の部門にだって同じように当てはまると思います。今日、私どもが昨日発表いたしました省エネの可能性というもの、本日、席上配付いただきましたけれども、ここではとりわけ、かねて申し上げてきました産業関連あるいは業務関連等の、特に大規模な排出源の産業にとって、もっともっと削減しなくてはいけないし、また、削減可能性もあるし、そのことは、これからそうした産業が世界的に活躍していかれるにとっても、大変いいことだと私は思いますので、その観点でも、今日の席上配付の資料をご覧いただければと思っております。以上です。

西岡委員長
どうもありがとうございました。小林委員、お願いします。

小林委員
恐れ入ります。何点かあるんですが、まず一つ目が、先ほどから議論をされております資料1、原発の稼働率というか、比率、割合の問題なんですが、0、20、25、35、10があってもいいんですが、私自身、これ、こんな数字を出してケーススタディだと言われても、どう判断していいかわからないんです。私たちが判断できないことは、国民にも判断できないと思うんです。実際に、例えば今の段階で、10の場合、20の場合、25の場合、35の場合、ちょっと大胆ですが、どこの原発を稼働させるのかぐらい、基本調査委員会で出していただきたいなと。そうしないと、国民は判断できないと思うんですよね。ここはいいけど、ここは悪いというのはあると思うんで、その辺を、ここと、ここと、ここぐらいは再稼働をしたら20になりますよ、35になりますよというのが、是非欲しいなという気がします。
もう1点は、先般から申し上げているのですが、電気の場合、電力の場合、送電ロスが大変大きいわけですね。それについて、ここの分散というのは出てきているんですが、その送電ロスをどう考えるかによって、大きな差が出てくると思うので、そこについて、もう少しご検討いただいたらと思います。
それから、二つ目は、対策ケースのところで、低位、中位、高位とあるんですが、この低位、中位、高位の対策をとった場合、国民がどのような影響を受けるのかというのが重要だと思うんですね。そうしないと、これ、どこへ選択するか、わからないということがありますので、低位の場合はこれぐらいの影響を受けますよ、中位の場合はこれぐらいの影響を受けますよというようなことが、もしできるのであれば、是非明らかにしていただきたい。
それから、三つ目は、再生可能エネルギーの関係なんですが、これ、各種再生可能エネルギーが、先ほどちょっとほかの委員の方も指摘されていましたけど、一把一絡げでまとめておられるのですが、技術が全く違いますので、おのおのケーススタディとして違ってくると思うんですね。そういう意味で、この低位、高位、中位の段階で、中でおのおのの再生可能エネルギーをどういうふうに見込んだのか、どれぐらいカウントしたのかというのが、是非欲しい。そうしないと、見込みが立たないと思うんです。以前からよく、どこの省とは申し上げませんが、ここまで行きますと絵は描いているんですが、全くそんな絵が、絵に描いたもちになっていることが大変多いわけですので、そういう意味で、実現性があるかどうかという判断から、是非お願いをしたい。
それから、同じく、再生可能エネルギーの問題について、見込み的に、いわゆる電力安定性という意味から、こういう再生可能エネルギーを入れた場合、電力安定性はどれぐらい揺らぐのかというのを是非教えてほしい。別に電力安定性を大前提に再生エネルギーを抑制しようというつもりはないですが、逆に言いますと、これぐらい入れますと、国民としてはこれぐらいの不安定さを覚悟してくださいということが必要だと思うんです。そういう意味で、是非お願いしたいと思います。
それから、最後になりますが、各委員の皆さん、また、皆さんによって関心事が全然違うと思うので、そういう意味で、この報告書の、これは結果論が全部書いてあるんですが、結果が。これの前提となった原単位とか、計算式の立て方とか、パラメーターとか、そういうのをどういうふうに積み上げていったのかというのが、本当は関心事としては高いわけですね。なので、すべてについてわかるということはないと思うんですが、おのおのの人によって関心が全然違うと思うので、できたら説明をいただくという、できたら資料が欲しい。自分の関心のところを見ると、積算されたところの見込みとして、どれぐらいが見込まれているかというのがよくわかってくると思うので、是非その辺を宜しくお願いしたいと思います。以上です。

藤野委員
どうもありがとうございます。まず、浅岡委員のほうの資料、特に産業部門に対する考え方については、こちらでも勉強させていただいていきたいと思います。
あと、小林委員のほうから論点をいただいたところで、例えば送電ロスのところでもご指摘がいろいろありましたので、こちらでもう一度、どういうふうにお示しできるか考えます。
それから、低、中、高の国民への影響につきまして、それぞれどういうふうな、次世代自動車、国民はどういうふうに購入していったらいいとか、また、それが一方でクオリティー・オブ・ライフにどうつながるかだったり、あと、経済的な影響につきましては、別途、経済モデルというもので計算するべく、これも、結局、エネルギー・環境会議のほうに出されるものですから、経済モデルの方々が内々にどういうふうな調整をして、誤解のない数字を出すかという議論を進めているということを聞いております。
ほか、再エネの関係のところで、131ページ目のところにまとめた数字は書いているんですけれども、実は、エネルギー供給ワーキンググループのほうで、大塚委員だったりとか、さまざまな、あと荻本委員のほうからも、例えば電力安定性への影響ということで、別途資料も作成していただいていますが、役割分担でこちらにどこまで載せるかということと、あと、供給、各ワーキンググループの成果を出すかというので、最終的には、私の理解としては、事務局のほうで全体をまとめた報告書というものをつくりますので、その中で、こちらの手前どものほうの役割が何かというのをもう一度、事務局と確認したいと思います。
前提につきましては、やはりモデル、透明性が大事ですので、できる限り、ちょっと結果だけ出すので慌ててやっていて、そちらのほうは十分注意して進めたいと思います。ありがとうございます。

西岡委員長
どうもありがとうございました。先ほど、また総合資源エネルギー調査会基本問題委員会のほうの質問がございましたが、後藤課長のほうから、さらに何かございましたら。

資源エネルギー庁総合政策課長
基本的には同じ回答ではあるんですけど、そういう意味では、昨日見ていただいたのなら、大変まだまだ先行き長いかなと、正直思うような状況でございますので、議論は引き続きしっかりとやっていただきたいというふうに思っております。
それで、あともう1点、どの炉を動かすんだ、動かさないんだという議論なんですが、これは、実は基本問題委員会のタスクの中には入っていなくて、正直言うと、それは原子力安全・保安院、それから将来的には原子力安全規制庁、それから、今で言えば、閣僚級の話で言えば、四大臣会合という、ある意味でプロの判断の部分と、それから政治の判断の部分の組み合わせになっておりまして、私どもが、どこが動く、どこが動かないということを、今、決める立場にはないので、そこは、特に2030年がどうなっているんだというのも、なかなか決めて示すことは、ちょっと難しいと思っておりますので、それはかなり個別案件になれば、新規制庁と四大臣会合で進めていっていただきたいというふうに思ってございます。

西岡委員長
それでは、横山委員。

横山委員
これまでの意見と似たようなところもありますけれども、4点述べたいと思います。
まず1点目は、この総合資源エネルギー調査会の原子力発電の割合が、0、20、25、35%、この4通りの数字をそのままこの場に出すということに、私は異議を唱えたいと。おかしいと思います。少なくとも私は、中環審で独自に原子力の選択肢について考えるべきではないかと発言しましたし、部会でも、例えば森林吸収について、農水省から出された案をそのまま出すのではなくて、ここを議論の場にしようやという発言があったと思います。なぜ、この場で独自に検討しようとしないのか、私には理解できないです。何か原子力については、総合資源エネルギー調査会の数字をそのまま使えという指示が出ているのでしょうか。少なくとも、この委員会とか部会では、そういう話は私は聞いていませんけれども、その辺をまず教えていただきたいと思います。
それから、それに関連して、藤野委員にはいろいろ頑張っていただいて、大変申し訳ないですけれども、環境省のこの四つの数字をそのまま何の異議も唱えずに、これだけを計算なさったのでしょうか。中で、少なくとも25%、35%なんていうのは意味はないよと。国環研のほうで拒否して、意味のある数字だけ出しますよと。ここでは10はないけれども、10を出しますよとか、そういうようなことはなかったのかどうか、申し訳ないけれども、その辺を伺いたいと思います。
2点目は、1点目にも関係するんですが、総合資源エネルギー調査会が出したこの四つの選択肢、誰が見ても真っ当なものなら、それをそのまま使っていいと思いますけれども、誰が見ても、私は疑問だらけではないかというふうに思います。この0%というのはわかりますけれども、20、25、35%、どう考えてもそんなのはあり得ないと思います。先ほど大塚委員が非常にマイルドに話されましたけれども、原子炉等規制法の改正案とか、あるいは、脱原子力依存ということを考えると、10%から15%というのが蓋然性が高いわけで、20とか25、35%というのは、ほとんど意味がないというふうに思います。経産省がこういう数字を出すのはわからないではないですけれども、環境省は、今後、原子力炉規制庁を外局として多分持つことになって、厳しく原発を見ていくことになると思いますけれども、そういう環境省が、こういう審議会の場で、経産省の数字、しかも大変おかしい数字をそのまま出されて、これで検討してくださいというのは、私は言葉が適当かどうかはわかりませんが、非常に恥ずかしいというふうに思います。少なくとも、明日の部会には、同じような報告をするのではなくて、もうちょっと別の資料の出し方をしていただきたいと思います。少なくとも10%と0%で計算してみたら、こんなふうになりましたとか、そういうことをやっていただきたいと思います。
それから、これも少しダブりますけれども、この地球環境部会では、やっぱり一番のポイントは、2020年に1990年比で25%削減するという中期目標、それをどうするかということだと思います。ところが、2030年のものが出てくるだけで、2020年が出ていない。何でそうなのかというようなところが、私にはわからない。肝心の2020年でなくて、2030年を出してきたと。今、ここで出ている理由を説明していただければと思います。
4点目は、後藤課長にお伺いしたいのですが、この0%、20%、25%、35%、20以上はおかしいと言いましたけれども、35%について、ちょっと考えてみると、資料1を見ると、原子力発電の設備容量が5,000万kWになっているわけですね。ところが、今、54基ですね。福島第一原発なんかを入れて、あれでも4,885万kW、5,000万kWに届いていないわけです。これから脱原子力依存ということを進めていくときに、今以上、原子力発電をやるというのは、一体どういうお考えなのか。事故によって、いまだに家にも帰れないという人がいる中で、これ以上のことをやろうという数字が出てきて、それをもとに、この部会でも数字が出てくるというのは、どう考えても納得いきません。そういう意味で、部会の議論をもう少し中環審らしい議論にしていってほしいと思います。特に原子力を厳しい目で見ていくるという環境省の審議会としては、この試算の仕方というのは全く意味がないというふうに思います。以上です。

西岡委員長
どうもありがとうございました。飯田委員、お願いします。

飯田委員
ちょっと遅れてきたので、既にあった議論かもしれませんが、今も出ていた議論で、今日、ちょっとツイッターで、昨日の総合エネ調で議論させてもらおうと思って、全く非常にアンフェアな委員長と事務方の議論で、議論させてもらえなかったので、ここではちょっと議論させてもらおうと思って。
今のお話のとおり、総合エネ調で出ている数字というのは、各委員がアンケートで出してきたのを事務局が勝手に整理して、何のロジックもなく整理をして、四つの選択肢に出てきたものが、仮という形でありながら、いつの間にか、何かもう固いものになっているという、それで、昨日、私は小学生レベルだというふうに言ったのですが、要は、私のちょっとメモで、委員が勝手に任意で出した数字をアンケートで集約して、事務局が整理したものをいつの間にか選択肢にするなということを、我々はもう何度も何度も言っているのですが、あそこの委員長はほとんどちゃんと議論してくれないと。論理的、政策整合的にちゃんと選択肢を出せということを毎回言っているのですが、出してくれない。
まず大前提として、やはり原子力安全神話のまま政策を考えるか、やはり原子力事故が起きることを前提に大きく変えるのかということを前提で変える必要があるということで、裏の絵とかも、ちょっと参考にしながら見ていただくと、少なくとも、今の政権が出している脱原発依存で、原子炉等規制法の改正案で40年寿命、しかもあのとき、あれだけどたばた騒ぎをして、60年の延長というのは例外だというふうにしてしのいだということは、これはもう無視しても、とりあえずいいんだろうということで見ていくと、福島の事故の4基だけを無視して、自然減少でも12.何%で、地震でダメージを受けた原発と、浜岡のような危険な炉、もう即座に廃炉というふうに落とすと、10%以下、8%から5%ぐらいまで落ちますから、5から15%で、今の政権の政策にそのまま従えば、数字として、中央値は10%がせいぜいだろうと。それを超えた数字というのは、その20とか、25とか、とんでもない35を振るというのは、もうとにかく原子力維持、新増設という、今の政権の政策を変えるということの説明抜きでは、オプションとして与えられないはずなんですね。そのことはもう一回、今日、エネ調の方も来られているので、いつも委員長が反論をつぶして議論させてもらえないので、ちゃんとそのことを添えて、このオプションというのは、いわゆる今の政権の政策とは違うオプションだけれどもというただし書きをつけてやるということが大前提と。
国民の願いは、そんなゆっくりとした脱原発ではなくて、5月5日を紀年として、もうゼロにしてしまうか、ドイツと同じぐらい、もちろん再稼働に当たっては、今のような全く無策、無能力な今の原子力村の人がそのままやるような原子力なんかは全くもってのほかで、そういったことを全面的に、安全規制も含めて、これは、一昨日、大阪府・市統合本部のエネルギー戦略会議では、再稼働のためのそもそも論4条件と、再稼働をするに当たっては、達成すべき8条件、それを満足した上で、運良く再稼働できれば、それで10年か20年という、より早い脱原発としてのゼロですね。ですから、ゼロと10というのが、本来、パラメーターを振るとすれば王道であって、何でここで20、25、35というのを堂々と出すのかと。単にアンケートから、しかも、あれだけ原発推進の古い御用学者が主流のところでアンケートをとって、たまたま出たからといって並べるというのは、もってのほかだと。これは国民を裏切る所業ですよ。そういうことを堂々と出して、しかも、これはもう決まったことだということでというのは、非常に問題は多いので、基本的には、この中環審は0と10だけで評価をして、それ以外は出さないと。ということは、私としては提案をしたいというふうに思います。
あと、先ほど2020年に関しては、若干私は違う意見を持っていて、さすがにこれだけの混乱時期、もう今、2012年ですから、エネルギー政策を抜本的に立て直して、本格的にどうなるかわからない、2020年の数字を出すのは相当厳しいのではないかというふうに、私自身は思っていて、国際条約がどうあったとしても、福島の事故は国際社会の人がみんな見ているわけで、まずは安定供給、やはりそうはいってもここ数年は大事ですから、我々、日本として一番大事なのは、温暖化に関しては2050年、80%、これは絶対に揺るがさないと。2020年は、私はモラトリアムでいいと思うのですが、やるのであれば、25%は動かさずに、2020年のできるだけ早い時期に25%を達成するとか、同時に、2030年は25%をはるかに超えた深堀り、40%もしくはそれ以上が必要ではないかというような出し方でも、国際社会は許してくれるのではないかというふうに私は思っているので、2020年、若干モラトリアムでもいいような気がします。そうしておかないと、やっぱりCO2足りないから、原子力は一定程度残そうという変な議論が出ることは、私としては封じておきたいと思うので、若干2020年のCO2抑制に関しては、リラックスしたほうがいいというのが、これは私の意見です。2050年、80%、これは絶対に厳守と。
いずれにしても、一番重要なのは、今の政権の政策に従えば、10%程度がマックスもしくはゼロというところが王道であって、20%以上という数字は、先ほど、個々の炉を議論する必要はないとおっしゃっていましたが、説明責任があると思います。新増設ができるという、その蓋然性を説明責任、しかも、その実現性をもって説明しないと、そういう数字を掲げるというのは極めて無責任であり、国民に対する背任行為だというふうに思います。以上です。

西岡委員長
どうもありがとうございました。今日は、ちょっと後ろが、EUの方に来ていただいていますので、そろそろ論議もやめたいのですが、まず最初に、荻本委員、これで皆さんのご意見をおしまいにしたいと思いますけれども。

荻本委員
先ほど議論の出た、分散電源というくくりのことについてです。分散電源は、大規模水力を除く、再生可能エネルギー発電プラス自家発電というくくりになっていて、これをくくる、どうしてくくったかなというところはちょっと難しいなと。どういうことかといいますと、再生可能エネルギーの中でも風力発電は、例えば北海道とか東北の、比較的人口密度の少ないところに集中立地するというようなこともありますので、需要地に近いという性格も持っていないはずなんですね。ですから、これはどういう目的でこれを出すのかと。ですから、こういうふうにくくったものが分散電源の定義なので、それの比率を出しただけというふうに見えてしまうので、ちょっとここは再チェックをしていただいて、本来の目的に合うようなくくり、またはその表現にしていただければと思います。以上です。

西岡委員長
今の件。

藤野委員
ありがとうございます。ちょっと今回は一つの考え方として出したものですので、ご指摘を受けて、検討したいということと、あと横山委員のほうから、国環研としての立場というお話ですが、これは非常に難しいところはあるのですけれども、我々は、公平というのは非常に難しいのですけれども、議論されている数字に基づきながら、それが積み重ねるとどういう結果になるかということを示すことが目的で、個人としてはいろんな意見がありますけれども、ここに立っている立場としては、委員の中でも、皆さんの意見が収れんしているわけでも、どうもなさそうなところで数字を出しているというところです。ですので、意見は是非していただいて、そのご議論を聞いて、またケースについては考えていきたいと思います。以上です。

西岡委員長
どうもありがとうございました。今、むしろ資料1のほうに対するご意見が相当出ましたので、ちょっとこちらの考え方について、事務局のほうから。

低炭素社会推進室長
事務局としては、昨年末にエネルギー・環境会議から示されました基本方針に従いまして、検討をしているということだと思っておりまして、その中におきましては、エネルギーミックスの選択肢と表裏一体で温暖化対策の選択肢を検討し、提示すべしというお話が記載されておりますので、基本的には、原発につきましては、検討をされております基本問題委員会での提示をベースに計算をお願いしたというところでございます。

西岡委員長
それでは、後藤課長。

資源エネルギー庁総合政策課長
いろんなご指摘をいただきましたが、すみません、飯田委員には、昨日も同じように、榊原さんとか、何人かの委員からもたしなめられたと思いますが、あまり御用学者とか、そういう言い方をやられると、やはりうちの委員会のクレディビリティも問われるので、その辺の発言は、全体の委員の一人としてやられておられるので、その辺はご注意いただければというふうに思いますが。
一応この中にも、資料の1、参考資料と、こっちに振られておりますけど、その中に原子力の欄がございますけれども、そのときに、その数字が0とか、20とか、25とか、35と書いてございますが、その中で、例えば20のところだと、例えば原子力の(A)で、老朽した原子炉の停止と新増設、40年を目途という話と、例えば次のページ、裏側、25%だと、これは40年から50年で停止というような書きぶりをしてございますので、だから、そういう意味では、40年廃炉という話と、その原則という部分と、仮にずれる可能性があるということでありますが、これは委員の意見の集約の結果としては、一応すべて出しているということで、出させていただいてございます。
それから、あと、その場でも何人かの委員で、増設の可能性を言及される方もおりましたので、基本問題委員会の中で増設の可能性がゼロであるという意見も当然あったとは認識しますが、増設が全くないということで一致しているというふうに思っておりませんで、それはすべての意見をフェアに出させていただいていると思います。
それから、その35%というのは変ではないかというお話もありましたが、昨日のインターネットを見ていただいている方であればわかると思いますが、現行の数字から、そのとき、たしか山地先生は、4,600からプラスアルファとマイナスベータがあるんだという言い方、それから、これは1Fの1から4を引いていって、それで稼働率が上がってくればと。我々はkWhベースで考えているので、山地先生が、実はどのぐらいの容量であるか、ちょっと正確なところはわかりませんけれども、ある程度、一定の数字で、彼は全体の需要量が10%減になることによって上がってくるということで、つくられているのではないかというふうに思います。そういう意味では、ある意味で、アンケートというお話もありましたけれども、崎田委員とか何人かの委員からは、広く議論をした中の数字の集約の形であるということで、ご評価もいただきながらやってきておりますので、そういう意味では、これも、昨日の議論も踏まえて、どう直していくかというのは、また大臣とか委員長等ともご相談しながら、やっていかなければいけない部分もあるとは思っておりますけれども、それを踏まえて、できるだけ早いタイミングで、2030年の数字としてまとめていければと思います。何回もご指摘いただいたように、2020年も、今のスピード具合ではどのタイミングになるか、なかなか言いにくいところではありますけれども、可及的速やかにやっていければというふうに考えている次第でございます。以上です。

西岡委員長
飯田委員のほうで、何かクイックに応答することはございますか。ありませんか、いいですね。部会長のほうからも。

飯田委員
20%が、今の40年廃炉というのは、ちょっとこれはおかしいでしょう、どう考えても。そう書いてあるからやったというのでは、全然データを精査していないことになるわけで。

資源エネルギー庁総合政策課長
そこは新増設とセットで書いてあると思いますけど。

飯田委員
ですから、新増設セットだったら、要は、つまり新増設のない、もっとメディアリティのあるシナリオはないわけですね。

森嶌委員
議事進行で、西岡さん、よその審議会の議論をここでしたって仕方がないでしょう。

西岡委員長
クイックにということで、そこを疑問で呈されたということで、終わりにしたいと思います。

鈴木部会長
今日のこの委員会の結果が、明日、地球環境部会のほうでまたご議論いただくことになると思いますが、このモデルが、ある意味では、ある種の骨格を定めていく上で、非常に役に立っていくことになるわけですが、いろいろと、そのモデルの精査をしていくことになりますと、これはまた、いろんな注文が多分これから出てくる。ですから、できましたら、ある種、階層的に、大きなところはこちらで決めていき、部分的なところは、その部分的なところをまた少しモジュール化していただくぐらいの、そんなことに進めていただくといいのかなと思いました。
いろいろとご議論いただいております。また、今日もおいでいただいている資源エネルギー調との関連ということは、先ほど、土居室長のほうからご説明がありましたように、何しろ、エネルギー・環境会議において、原子力委員会、そして、総合資源エネルギー調のほうの基本問題委員会、そして、地球環境部会と、この三つが、特にそのうちでも、基本問題委員会と地球環境部会は、ある種、中央環境審議会ですが、表表一体となって進めていくと。これは大変苦しい表現がございまして、せっかくいい絵を描いても、裏打ちが悪いと、めちゃちくちゃになってしまうというのは、どっちが表で、どっちが裏かはわかりませんが、そういうようなこともあって、なかなかつらいのですが、私たちとしては、やはりこういう前提で計算したということをしっかりと表にリファーしていただいて、そのお出しになったところの数字に基づいて計算すると、こういうことになっていくという、そういうことが多分できるだろうと。そして、そこにまた、私たちとしては、必要と思えば、例えば10%であり、15%であり、アディショナルに加えていくことは、それは問題ないのではないかと思いますし、むしろそういうものが、今度、基本問題委員会のほうからお出しいただければ、それはそれで、またスムーズに進んでいくことになるかもしれません。基本問題委員会のほうが、いつになって結論をお出しになるのか、なかなか難しいというご発言が、先ほど後藤さんのほうからありましたので、私たちも、場合によっては、ゆっくりと計算していってもいいのかもしれないと思うのですが、国としては、そんなところを待っておられませんので、ともかく現段階では、当初のスケジュールどおり、ある種、拙速というような言葉は悪いかもしれませんが、しっかりと進めていくということが必要なのではないかと。
先ほど、モデルの計算結果等々についての中身については、今後とも、是非いろいろご議論いただいて、例えば分散電源というようなことは、本当にその発送電の分離を意味して、スマート化みたいなものをちゃんと構造の変化として組み入れているのかとか、やっぱり40年先の産業構造あるいは社会の構造というのは、なかなか推定しにくい、読めないところもありますので、そういうところの、ある種、不確定性みたいなものをどういうふうに考えていくのかとか、いろいろ議論し出すと切りがないかもしれません。しかしながら、そういう議論の一つの骨格を示していただいたということで、私は、藤野さん、また、AIMグループに、大変感謝申し上げたいと思います。

西岡委員長
どうもありがとうございます。それでは、今回の議論については、これでおしまいにしたいと思っておりますが、各委員から、多くの委員からご意見がありました。2020年の原子力発電の割合を早急に示してもらいたいという、これが一つございました。
それから、2030年の0と20の間、あき過ぎているのではないかというような話がございましたので、部会長と相談しまして、総合エネルギー調査会基本問題委員会のほうに、こちらの地球環境部会から申し入れしたいという具合に思っております。
それでは、どうもありがとうございました。藤野さん、どうもありがとうございました。
次の議題に移らせていただきます。今日は、駐日欧州連合代表部から、EUの低炭素ロードマップ、エネルギーロードマップの説明をいただきたいということで、今日は、ヘイス・ベレンツ駐日欧州連合代表部通商部一等書記官に来ていただいています。宜しくお願いいたします。

駐日欧州連合代表部通商部一等書記官
(仮訳)
みなさん、こんにちは。私は、ヘイス・ベレンツと申します。駐日欧州連合代表部の通商部に所属しております。その通商部での私の任務は様々で、気候変動とエネルギーも担当しておりますので、本日は、このような形で講演させていただく場をいただき、うれしく思います。本日のプレゼンテーションの課題は、皆様にご紹介させていただきたい二つのドキュメント文書でございまして、一つ目が、気候の2050年に向けてのロードマップ、それから二つ目が、エネルギーの2050年に向けてのロードマップでございます。
なぜ、2年連続で立て続けにこの二つの別々のロードマップを出したかということを説明させていただきたいと思いますので、お手元の配付資料の1ページ目をご覧ください。
まず、ドキュメント作成の最初の理由には切迫感というのがありまして、深刻な気候変動を、今後、回避するためには、地球温暖化における気温上昇の幅を2℃の範囲内におさめる必要があるという考えを欧州委員会は持っておりまして、もし、今までどおりのやり方を続けていると、気温上昇の幅は、2℃を上回るというふうに考えています。気温の上昇幅を2℃以内に押さえるためには、先進国は、その排出量を2050年までに80%から95%削減しなければいけないということで、このことは、まさに、今すぐに長期戦略を開始していかなければいけないということを意味しています。
このロードマップを作成した唯一の理由が、気候変動であるわけではなく、そのほかにも幾つかの理由があります。まず第1の理由として、EUは低炭素技術に関して最先端に立っている立場を今後も維持していきたいということ。それから、2番目には、将来の石油ショックの可能性に対する脆弱性というのを引き下げたいということ。それから、3番目には、まさに、そのエネルギーの輸入に係る費用というのを削減したいということであります。それと、それに伴い、大気汚染のコストも削減したいと考えております。
それでは、現在に至るまで、EUがどのような状況にあるかということを、今の段階を見てみたいと思います。まず、お手元の配付資料の次のスライドをご参照いただきたいのですけれども、2009年時点におけるEUの排出量というのは、1990年比で16%下回ったと推定されておりまして、これは大変プラスの結果であるというふうに受けとめています。特に、EUのGDP自体が40%の成長を遂げたということを考えると、プラスに評価するべきだと思っています。
また、EUが自主的に採用している目標である2020年までに20%、EUの排出量を削減するという目標を達成する上でも、順調に進んでいると言えます。それからまた、京都議定書の目標も、その時点でのEU加盟国15カ国の目標に関しても、順調にそれに向かっているということで、大変有望な成果を上げています。
しかし、次のスライドをご参照いただきたいのですけれども、現時点に至るまでの成績というのは有望なんですけれども、それでも、もし、現在と全くやり方を変えずに、同じようなやり方をしていますと、2050年までの排出量の削減は40%にしか到達しないということになってしまいます。気温上昇幅を2℃以内におさめたいというニーズを考えますと、この削減では不十分です。しかし、まだその80%を削減するという目標を到達することは十分可能であると考えておりますが、そのためには、産業部門、発電部門、そして、家庭、業務部門の排出量を削減していかなければなりません。
この二つのロードマップのドキュメントの背景にあるモデリングでは、このことは十分可能であり、そして、それは、現在ある明らかな技術を使って可能になるというふうに考えています。しかし、そのためには十分に強力なインセンティブを提供する必要があります。その強力なインセンティブを提供しなければいけないということでありましたが、まず研究開発に対して積極的な投資が必要であります。そして、低炭素技術に関しても、早い段階からそれを発展させるする必要があります。
このスライドであと2点申し上げたいんですけども、既存の技術を使って、排出量の削減、その水準を達成することは十分可能なんですけれども、そのためには、大いにイノベーションが必要であります。ブレークスルーというような技術が必要だといっているわけではありませんけれども。それから、2番目に申し上げたい点というのは、気候変動に関する2050年に向けてのロードマップで使った試算では、最もコスト効率よく、この目標達成するためには、2020年まで25%、2030年まで40%、2040年まで60%、2050年まで80%を削減する必要があります。
しかし、それだけの大幅な削減を達成することには、もちろん無料でというわけにはいきません。やはりこの気候変動に関するロードマップで使われたモデリングによりますと、まず追加的な年間レベルでの投資を行っていく必要があります。そのためには、毎年、対GDP比で、平均で1.5%の投資が必要だということで、金額に直しますと、これは2700億ユーロになります。
現在、行われている総投資額というのが、対GDP比で19%に相当していますので、それに加えて、追加的に対GDP比で1.5%の投資が必要となってくるということで、その1.5%追加したとしても、それは現下の経済危機に突入する前の段階のEUのレベルと同じレベルに到達するだけです。
そして、もちろんこれはかなり金額として大きいわけでありまして、しかし、これは必ずしも、単純にコスト、費用というだけではなくて、投資でありますので、投資リターンを期待することができます。そこで、もう1枚資料をめくっていただきたいのですけれども、雇用の創出にもつながります。
もちろんこの5年間をかけて、雇用ということに関して言えば、実際に23万人から55万人分の雇用が新たに再生可能エネルギー部門で創出されたということで、したがって、過去を振り返ってみても、雇用創出効果ということでは、かなり実績が上がっています。そして、このロードマップによりますと、2020年までに新たに150万人分の雇用を創出できることになります。
しかし、この150万人分の新規の雇用を創出するためには、例えば建設部門での建築物をさらに見直していく必要があります。この部門は、特に経済危機で大きな打撃を被っています。だからここに投資をすれば、とりわけエネルギー効率化に対する投資をしていけば、150万人の再雇用に結びついていくということで、それから、さらに、これは条件というわけではないのですけども、ほかの要因といたしましては、ETS(EUの排出量取引制度)のオークションからの収入を使っていくということも考えられます。それからまた、さらに労働コストの節約ということも考えられます。
今までは、気候変動のロードマップを中心にお話をしてまいりましたので、これから、エネルギーのロードマップに話題を転じていくつなぎといたしまして、そのエネルギー効率改善についてお話ししておきたいと思います。EUが出している2020年のパッケージをご存じだと思いますけれども、排出量の削減、再生可能エネルギーの増大、そして、エネルギー効率の改善ということで、この次のスライドというのは、エネルギー効率改善の目標について説明してあります。今まで、どこまで到達できたか、そして、今後、どこを目指していくかということを説明しています。現在の水準ですと、目標としているエネルギー効率改善の20%に到達することは不可能でありまして、10%しか期待できないということで、さらにエネルギー効率改善の努力を行う必要があります。
さらに投資が必要だということで、特にガス、電力に関しては、電力の貯蔵施設の建設等も含めて、大々的な投資が必要になってきますし、また、CCS(二酸化炭素回収貯蔵)の技術をマーケットにおいて商業化するためには、さらに投資が必要です。今回、EUとしてロードマップを出した理由というのは、こういった投資というのは民間企業の手で行わなければならないので、民間企業としては、今後のフレームワークが予測可能になって、初めて投資に踏み切れるということで、そのフレームワークをはっきりつくり出す意味でロードマップを作成したわけです。
次のスライドに行きまして、最初に言っておくべきことは、エネルギーのロードマップというのは、決して、今回は予測というのを入れておりません。その目的というのは、簡素に調べ、可能なシナリオを用意し、長期の戦略のワークアウトを使うことであります。今回は、脱炭素のシナリオとして、5本のシナリオのもとで戦略というのを見ています。
残念ながら、シナリオに関しては、本日はお出しできる詳細な情報というのはないのですけれども、しかし、現時点でお話しすることができるのは、あるシナリオによりますと、エネルギー効率の改善というのが主体となっておりまして、それによりますと、ほとんどのヨーロッパの人が、電気自動車に乗って、断熱が徹底した住居に住み、スマートメーターで電力の消費を抑えるということで、また別のシナリオですと、再生可能エネルギーが主体になっていて、また、その別のシナリオですとCCS中心になっていて、それの原子力のインパクトとかということになっていますが、そういった形で、かなり幅の広いシナリオというのがうたわれております。
その様々なシナリオを立てていると申し上げたのですけども、その中で共通項というのがありますので、次のスライドをご覧いただきたいと思います。そこで引き出せる最初の結論というのは、先ほど申し上げたように、現在、存在している脱炭素の技術で可能であるだけでなく、経済的にも理にかなっています。まず、それぞれのシナリオ同士、コストを比較してみても、大体同じような水準になっています。次に脱炭素のシナリオというのは、すでに行っている炭素政策をとれば、決してコストが割高になるわけではありません。
二番目の共通点は、再生可能エネルギーの割合というのも、大幅に伸びなければいけないということで、我々のシナリオを入れますと、再生可能エネルギーのシェアというのが、2030年には30%、そして2050年には最終エネルギー消費の少なくとも55%、そして、発電に関しては、再生可能エネルギーを90%近くにする必要があります。
それから、このスライドのパネルに3番目の共通点があります。電気料金が脱炭素によって非常に上昇するということで、これは運輸と冷暖房ということに関しても言えます。
最後に、どのシナリオでも見つけた幾つかの共通項というのは、先ほど申し上げましたように、電力料金に関しては上昇いたします。これは実際に事前の水準と、それから再生可能エネルギーとか、CCSに新たに投資した場合にもかかわらず、そうなるということで、また、もう1点の別の結論としては、それには、いずれにせよ、大々的な投資を行っていかなければいけないということで、また、もう一つの結論としては、研究開発に関しても進歩させる必要があるということです。
最後のスライドになりますけれども、ご存じのようにEUにおいては、気候変動、そして、エネルギー関連の法案につきましては、2020年までの期間のものを、今、定めております。この次の段階で出してくるフレームワークとしては、2030年までの期間を想定することになります。今、まさに日本でも多くの方々が、同じような取組に当たっていらっしゃると思いますけれども、出来る限り、お互いにいろいろな情報交換を行って、お互いの取組に役立てることができればというふうに願っています。
もしかしたら、皆様がご期待されるほど、十分詳細にわたってまでご説明できなかったかもしれませんし、もしかしたら、ご質問に対する私の回答も、あくまでも政治的なレベルの答えにとどまってしまうかもしれませんが、このような発表の機会を与えていただき、大変うれしく思いました。ご清聴ありがとうございます。

西岡委員長
質問を受けたいと思いますが、いかがでしょうか。ありますか。それでは、横山委員。

横山委員
2点お伺いしたいと思います。1点目は、原子力のこと、10ページとかにも出てきますけれども、福島第一原発事故の影響で、ドイツとか、イタリアとか、スイスなんかで、脱原発の動きが強まっているというふうに思いますが、そういうものが、EUの今後の温室効果ガス削減にどういう影響を与えるのか、具体的なことがあったら教えてほしいと思います。
それから、2点目は、それに関連してですけれども、日本が原発事故の影響で、2020年までに25%削減するという中期目標が非常に難しくなったのではないかというふうに言われていますけれども、日本のこういう動きに、どんなふうに思われているか、個人的な見解でも結構ですし、また、今の段階で、何か日本への提言みたいなものがあったら言っていただきたいと思います。以上です。

駐日欧州連合代表部通商部一等書記官
(仮訳)
二つのご質問、ありがとうございました。まず、原子力についてなんですけれども、ご理解いただきたいのですけども、欧州委員会としては、原子力に関しては中立の立場をとっております。欧州委員会としての立場はとっていないということで、EU加盟国に対して、そういう意味では原子力発電所を推進するべきだとか、あるいは脱原発するべきだとか、そのことに関して直接は言わない立場におります。しかし、その上で、その脱炭素の関連で1点申し上げたいと思います。
まず、特にエネルギーロードマップのベースとなっているシナリオを見ていただきますと、原子力の関係では二つありまして、まず、一つのシナリオに関して言えば、原子力に関しては、2050年までに、ほぼゼロになると想定しています。というのは、2050年までには、ほとんどの稼働中の原子力発電所については、その耐用期間が完了するということで、モデリングにおいては、2050年には、原子力に関してはほぼゼロになるという想定をしています。
また、別のシナリオにおきましては、CCS、石炭、ガス産業ということを中心にしたシナリオであります。しかし、このCCS等がうまく機能しないで、想定しているほど完全に発達しなかった場合には、そのシナリオにおいては、原子力がより大きな役割を果たすということになります。
2番目のご質問ですけれども、まず、福島原発の事故を受けて、新たに気候の政策を考えるということは、大変日本として、お立場的に難しいということはよく理解しております。この場で私の個人的な意見を述べるのは差し控えさせていただきますけれども、何点か申し上げたいのは、EUといたしましては、2050年までに先進国が排出量を80%削減するということを非常に重要だと考えております。これは地球温暖化の気温上昇を2℃以内に抑えるためには必要なことであります。しかし、そのためには、EU以外の先進国も同じような取組を行ってもらわなければ達成できないわけです。
最後に申し上げたいコメントというのは、COPのダーバン会議が終了した後、まさに、我々は新しい法的な枠組みをつくるために、協力して一緒に作業を進める機会、そして必要性を持っているわけでありまして、もし先進国が排出量削減について野心的な目標というのを立ててくれれば、それはこの交渉を前に進める上で、大きな助けとなるでしょう。

西岡委員長
渡邊委員、お願いします。

渡邊委員
非常に有益なプレゼンどうもありがとうございます。2点お聞かせいただきたいと思います。
スライド6ページに雇用に関する内容があり、この中にEUの排出量取引というキーワードがあります。私も注目しているのですが、市場価格が、20ユーロ以上あったものが、現在は3ユーロ台まで落ちてしまっています。このような状況だと、なかなか長期の省CO2、省エネ投資が、できないのではないでしょうか。市場価格の低迷をはじめ、排出量取引というのは非常に大きな問題を抱えた制度なのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
次に同じスライドの6ページ、再生可能エネルギー産業の新規雇用創出の可能性が紹介されています。しかし一方で、例えば大量に導入されたドイツの太陽光パネルのほとんどが中国製だったという話を聞いております。つまり再生可能エネルギー産業はEU域内の雇用にはつながっていないのではないでしょうか。EU委員会としては、主に中国の雇用にしかつながらなくても、この部分の雇用創出を評価すると考えていらっしゃるのでしょうか。この2点についてお聞かせいただきたいと思います。

駐日欧州連合代表部通商部一等書記官
(仮訳)
重要なご質問を2問いただきました。ありがとうございます。まず最初に、カーボンプライス(炭素価格)とETSについてなんですけれども、ETSのそもそもの最も重要な目的というのは、排出量を削減することにあり、現在に至るまで、その意味ではETSは大きな成功をおさめてきました。カーボンプライスは、今は低い水準にとどまっていますけれども、2013年から2020年までを考えた場合、年率で1.74%の削減が必要となってくるということで、そういう意味では、2013年から2020年までの期間の間、このカーボンプライスは上昇が必然だということであります。2050年に向けてのモデリングにおきましても、このETSというのは政策においての一つのかなめ石であり続けると思いますので、そういう意味では、カーボンプライスについて、上昇すると見ています。カーボンプライスがマーケットに従うというのがいいというふうに我々は思っていますので、そういう意味では、現下の経済危機に突入した後、カーボンプライスが下がったということは、健全なシグナルであって当然マーケットに従うということであり、すべてがうまくいっています。
2番目のよい点としては、排出量の削減を達成することが、事業者、企業にとっては、相対的に割安に済むということで、民間企業は、そういう意味ではハッピーだということです。しかし、確かにご指摘のことも当たっていまして、もしカーボンプライスが現在の低い価格にとどまるというようなことになりますと、長期的に見て問題になると思います。しかし、短期的には、今までの動きというのは、先程話しましたとおり、よかったというふうに見ておりまして、長期的には、カーボンプライスは現在のような低い水準にとどまるということはないというふうに見ています。我々の思っている価格に上昇してくるというふうに見ておりますので、現在の段階でこのことを決定づけることは時期尚早だと思います。
2番目のご質問ですけれども、最初に、ドイツのその太陽光パネルのマーケットに関しては、確かに、今、盛んにご指摘の点が議論されています。しかし、そのドイツのこのマーケットに関しては、ある程度、もう既に成熟しているという部分がありまして、それはいいことだと受けとめています。それから、2番目に指摘できるいい点というのは、再生可能エネルギー部門における雇用創出に関しては、かなり実績が上がっているというのは、先ほどご紹介したところでありまして、5年間で数十万人分の新規雇用をつくり出すことに成功しております。今後に関して言えば、太陽エネルギーに焦点をおくだけではなくて、雇用の創出に寄与できる二つの点を上げさせていただきました。まず、建設業界、それから2番目が、そのETSのオークションからの収入、それからカーボンタックスを使って労働コストをさらに引き下げていくということでありまして、そういう意味で、その経済モデリングにおいても、プラスの数字というのが出ております。

西岡委員長
どうもありがとうございました。時間が迫っておりますので、あとお三方、続けて質問をお願いいたします。短くお願いします。荻本委員。

荻本委員
私からの質問は、再生可能エネルギーの変動性に関する質問です。電化が増えて、それに対して風力や太陽光などが発電をしてくれるというのは、とてもいいことだとは思うのですが、それが変動するということが、非常に大きな電力システムの不安定性につながるという議論があります。ヨーロッパでも検討されていますし、私自身、去年の秋にベルギーのエントソイーとかデックに参りまして、そういう議論をしたところ、やはり非常に厳しい問題を認識しつつあると。実際に発電の抑制が行われているというような話を聞いております。今、その再生可能エネルギーをさらに増やさないといけないというような方針、ロードマップであるわけなのですが、この点に関して、揚水がどうなる、またはバッテリーがどうか、または新しい送電線がどうか、いろんな議論があるのですが、何かコメントをいただければと思います。お願いします。

西岡委員長
すみません、続けて質問をお願いいたします。大塚委員。

大塚委員
2点ございまして、1点は、ちょっと大きい話で、もう1点はちょっと細かい話ですが、1点目は、先ほどスライドの3のところに出てきましたように、現在の政策を続けると、40%しか2050年に削減できないということですが、これを80%に持っていくために、いろんな技術的な方法についてはお書きいただいているのですけども、政策として何を新しく打つかということについて、もし議論されているのでしたら、ちょっと教えていただきたいということです。
排出量取引のオークションをもっと高めていくとかということをもちろん考えられると思いますし、ほかにもいろいろ方法はあると思いますけども、何を中心に考えておられるかということをお伺いしたいというのが1点でございます。
それから、もう1点は、今、荻本委員が聞かれたことと関係しますけども、最終的に再生可能エネルギーがフラクシエートする、風力とか太陽光がフラクシエートすることに関して、最後の手段としては出力抑制をするという方法があるのですけども、出力抑制に関しては、再生可能エネルギーの発電事業者からすると、当然使ってもらえなくなって、お金が入ってこなくなるので、問題があるわけですが、この出力抑制に関して、電力会社と再生可能エネルギーの発電事業者との間でどういう契約が結ばれているかと。つまり、出力抑制をすると補償するということにもしなっていると、簡単に出力抑制ができなくなる。しかし、出力抑制をあまりされると再生可能エネルギーの発電事業者は困るという、かなり微妙な問題があると思いますので、ちょっと細かい問題で恐縮ですが、その点についてお伺いしたいということです。

西岡委員長
すみません、もう一つ、藤野委員。

藤野委員
ちょっとコメントになるかもしれませんけれども、一つは、やはり経済成長につながる雇用を生み出すとか、そこら辺を示されているところが、是非、我々も、委員の意見の中では、経済への影響も、もちろんあると思いますし、どちらがいいかというのもありますけれども、新しいマーケットをつくり出すというところについて、経済モデルの検討も、この後、また結果が示されますけれども、そちらのほう、今日はちょっと時間がないかもしれませんが、引き続き情報交換させていただけたらというのが一つと。ただ、我々のほうも、このシナリオづくりというか、中長期ロードマップというのは2年以上続けていて、今、八つのワーキンググループというので、今、100人以上の多分専門家の先生が関わってやられていますけれども、そういった検討もしていますので、ただ、ちょっとコミュニケーション・マーケティングWGというのもつくっていますけど、英語の資料とかはあまりちゃんとつくっていないので、情報がうまくいっていないというところが、ちょっとこちらの反省もありますが、是非情報共有をしたいということです。
それと、最後は、やっぱりナレッジ・シェアリングというのは非常に大事だと思っていまして、そういうご指摘もあったかと思います。ロードマップづくりで、こういうのを共有したほうがいいというところで、今週末に外務省が主導される東アジア低炭素成長パートナーシップ政策対話というのがあって、その前日に東アジア低炭素成長パートナーシップ・ナレッジ・プラットフォームというものがありますけれども、そういったところでも、やはり今、多分新しいこういう知識をどうやってつくり出して、今、議論自体は原子力の話とか、非常に厳しい議論がこの場では起こっていますけれども、そこをお互い、共同作業できていけたらなということを思っています。以上です。

駐日欧州連合代表部通商部一等書記官
(仮訳)
ありがとうございます。まず、最初のご質問からお答えします。再生可能エネルギーにかなりの変動性があるという点ですけれども、ヨーロッパでは、この点に対処するためにやるべきことが二つあります。まず第1に、EU域内のエネルギー市場というのを仕上げるということでありまして、これは様々な電力市場の間のインターコネクティビティ(相互の接続性)というのを達成していくということでありまして、そうすると、例えば再生可能エネルギーに関しても、最も経済性があるEU域内の国でそれを生産して、ほかのEUの国と、それを貿易取引すればいいということで、ポテンシャルとしては非常に規模の大きなマーケットになり得るということで、例えば南の方の国が太陽エネルギーを輸出して、北の方の国が風力エネルギーによる電力を輸出するというようなことを可能にしていけます。まだそこまでは、今の段階では到達できておりません。投資をもっと増やさなくてはなりません。
第2に、まず、蓄電技術、そしてまた、弾力性のあるバックアップ電力などの面で、これはかなり大きな投資をしていかなければいけないということで、先ほど膨大な金額を挙げさせていただいたわけです。だからこそ、最初の二、三十年間は、電気の価格というのが上がらざるを得ないわけです。
それから、お二人目の方からは2問の質問をいただいたのですけれども、再生可能エネルギー供給者との契約の内容については、ちょっとパスさせていただくということで、ちょっとブリュッセルの方にも聞いておきます。もう一つのどういう政策を、今後、EUとして行っていくかということが非常に重大な問題でありまして、政策立案者としては、三つの選択肢があると思います。一つ目がカーボンプライシング、二つ目が有望な技術に対する補助金を出す。そして三つ目が、法制化して義務づけるということだと思うのですけれども、EUの将来としては、ETSというのが今後も政策のかなめ石としていくということで、そして、副次的な対策としてエネルギー効率化を義務とする法令化などがあります。あるいはエネルギー税とか、あるいは建設業界等を対象にした分野のエネルギー効率の改善であるとか、CCSに対する補助金とか、いろいろな政策のミックスになっていくと思います。しかし、EUといたしましては、こちらの日本の皆さんと同様に、2030年まで、どういう政策の枠組みを提供していくかということを、今、まさに検討中であるわけです。
お隣の方からコメントをいただいた点についてなんですけれども、今後、再生可能エネルギーで、情報交換、協力を行っていく上で、一つのプログラムとしてご指摘しておきたいのが、研究協力のフレームワーク・プログラムであります。欧州委員会としても、この分野においては、かなり予算をとっておりますので、日本側、日本の企業サイドでご関心のある方がいらっしゃいましたら、科学担当の参事官のほうにご連絡をいただければうれしく思います。とても将来性のある素晴らしいプログラムだと思います。

西岡委員長
どうもありがとうございました。それでは、今のセッションを終わりたいと思います。
それでは、あとは資料4について。

低炭素社会推進室長
資料4で今後のスケジュールでございます。裏面をご覧いただきますと、次回、第16回が4月19日ということで、小委員会としての取りまとめに向けた議論というものでございますが、その後、さらに経済モデルの分析結果などをご覧いただきまして、さらに議論をしていただく予定でございます。以上でございます。

西岡委員長
どうもありがとうございました。それでは、何か事務局のほうからありますか。

低炭素社会推進室長
今日の議事録につきましては、事務局で取りまとめを行いまして、委員の方々にご確認いただいた後、ホームページで掲載させていただきたいと思います。以上でございます。

西岡委員長
どうもありがとうございました。
それでは、本日の議事をこれで終わります。

則武委員
若干差し出がましい意見になるかもわかりませんけれども、ちょっとこの委員会の進め方について、事務局と、もしかすると地球環境部会の方にお願いすることになるかもわからないですけど、四つございます。先ほどのEUの話のように、2020年の日本としては、まだ政策はおろか、ロードマップも示せていないと。この状態の中で、この委員会の中で早く議論していかないといけないのだと思うので、ちょっと差し出がましいですけど、意見を言わせていただきます。
一つは、ちょっと今までの委員会の回し方なんですけど、一通り回ったら終わりという形になってしまって、本来、委員会の中で、委員の中で異なる意見があるものについて、議論ができていないのではないかなと思うので、ちょっとそこは考えていただきたいなと思います。
それと、藤野委員とかの資料は、基本的にワーキンググループのものをベースにしてつくられているので、そこをちょっと忘れられていて、地球環境部会の方も、ワーキンググループの資料をご覧になられていない部分もあるのかなと思うので、お願いとしましては、この資料集よりも、ワーキンググループの最新のものを、結構分厚いものなので、できれば置いておいていただいたほうが、詳細なものがそこには載っているので、できればそうしていただきたいなと思います。
それと、三つ目は、原子力の議論については、私は、ここの委員会の中ですべきではないと思います。そこまで、ほかの委員会でやっている議論をここの委員会で議論していくと、本来のここの委員会の中でどういう政策を持ち込むかという議論ができなくなっていってしまうのではないかなと思いますので、やっぱりそれぞれの委員会で議論すべきものは何かというのは、明らかにしていただいて、できるだけ、今後のほかの政策についての議論に時間を費やすべきではないかなと思います。ただし、原子力の発電電力量については、もうあるものを使用するということにして、比率とかについては、温暖化対策に対する施策強度で、総電力量も変わってくるでしょうし、そういう意味で、比率はここの委員会の中で変わってくるでしょうし、再生可能エネルギー、その他のものについては、当然どういう施策を持ち込むかによって、大分量が変わってくると思いますので、それはここの委員会の中で議論すべき問題だと思います。その点、どこの委員会で何を議論するかを明らかにしていただかないと、効率が悪くなるのではないかなと思います。以上です。

西岡委員長
今の特に1番目のお話につきましては、本当にどこの委員会も、ぐるぐる回っておしまいという状況では非常によろしくない。論点が明快になってきましたら、そういう形のことも考えられますが、今までのところは、どちらかというと、どう選択肢をつくっていくかという段階だったものですから、これでようやく道具がそろい、そして、最後の、ある意味では、ここでは判断することはないのですけれども、耐えられる選択肢は示されたかという観点からは、論議する必要はあるかなという具合に思っている次第です。以上です。
それでは、よろしゅうございますか。どうもありがとうございました。
本日はこれで散会いたします。

午後 6時10分 閉会