中長期ロードマップ小委員会(第3回)議事録

日時

平成22年5月18日 13:07~16:47

場所

都道府県会館「101会議室」

議事内容

  1. 1.開会
  2. 2.議題
    1.  (1) 関係業界・団体からのヒアリングについて
    2.  (2) その他
  3. 3.閉会

配付資料

午後1時07分 開会

○高橋地球温暖化対策課長 どうも不手際で開始が遅れまして申し訳ございません。ただいまから中央環境審議会地球環境部会中長期ロードマップ小委員会の第3回会合を始めさせていただきます。
 前回の第2回会合では、個別企業あるいはNGOの方からヒアリングを始めてございます。今日はヒアリングの第2回目ということで、議事次第をご覧いただきますと、その裏に今日のスケジュールがございます。お忙しい中6つの企業・団体の皆様に来ていただいておりまして、前半3団体に15分ずつプレゼンをいただきまして、45分を目途に質疑応答をしていただきます。その後、後半3団体につきまして同様に15分ずつお話をいただきまして、45分間質疑応答という形で進めさせていただければと思います。
 本日は、委員総数の過半数の皆様にご出席をいただいておりますので、定足数に達しております。
 また、これまでと同様、審議は公開とさせていただきます。
 それでは、以降の進行につきましては西岡先生にお願い申し上げます。

○西岡委員長 それでは、いつもと同じでございますけれども、議事に入りたいと思います。
 まず、資料の確認ということで、お願いいたします。

○高橋地球温暖化対策課長 お手元の議事次第に資料のリストがございますけれども、資料1として、これは前回と同様でございますけれども、ヒアリングの主な論点ということで、これは今日のヒアリングでお話をいただく皆様には事前にお渡ししてあるものでございます。それから、それ以降資料2-1から2-6で今日の6つの団体・企業の方の資料を配付させていただいております。なお、東京都さんにつきましては、別途「東京における気候変動対策の成果と展開」という縦長の資料を、これは委員の先生、席上のみでございますけれども、追加として配付してございます。
 以上でございます。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。よろしゅうございますね。
 本日は6件ございます。まず3件続けてプレゼンをお願いいたしまして、その後、委員の方々からのご質問、そして回答という具合に進めていきたいと思います。
 それでは、前半でございますけれども、まず最初に東京都環境局理事の大野さんにプレゼンをお願いいたします。

○東京都 東京都環境局の大野でございます。今日は、東京都の取組のご紹介と、それからロードマップへの意見を言う機会を与えていただきまして、誠にありがとうございます。時間が短いので、簡潔に、早速話を始めたいと思います。
 お手元の資料の2枚目をご覧ください。目次がございます。今日は、簡単に最初に、東京都の温暖化対策の全体像にちょっと触れさせていただいて、その後、特に建築物関係のお話をさせていただこうと思っております。前半に都の取組と成果についてお話しし、後半にこの分野での国のロードマップへの意見ということを言わせていただこうと思っております。
 では、もう1枚おめくりください。東京都は、2007年に気候変動対策方針というのを出しましてからいろいろな取組を進めてまいりました。東京のCO2の排出は、そこに棒グラフがありますけれども、約半分が業務・産業部門、残りの半分が家庭と運輸部門となっております。都の取組で一番皆さんがご存じなのは、大規模事業所に対するキャップ&トレード、総量削減義務だと思いますが、それ以外にもさまざまな取組を進めております。右に書いてございますが、2つ目の環境都市づくり制度というのがございます。ここをこの後ご説明いたしますが、私どもとしましては、これがキャップ&トレードに並ぶほどの重要性を持った非常に大事なものであるという認識をしております。これ以外にも、今日は中身には触れませんが、例えば中小規模の事業所に関しましては、温暖化対策報告書制度の導入ということをやっております。これも今年度から始めましたが、大体都内の中小規模事業所、約3万事業所からの提出を見込んでいるというところでございます。それから、家庭に関しては、太陽光発電・太陽熱の導入を進めておりまして、国のほうでも補助金制度によりまして大体従前の2倍ぐらいのスピードで太陽光発電の導入が進んでいるといった報道がございますが、都の場合は従前の5倍のスピードで昨年進んだという状況でございます。
 それでは、もう1枚おめくりください。今申し上げましたような2007年からの取組の総括をしたものが、先ほどご紹介のありました「東京における気候変動対策の成果と展開」ということで、この3月31日に発表したものでございます。これは、この間の成果を踏まえまして今後どのように展開していくかといったことについてまとめたものでございまして、環境局のホームページでダウンロードできますので、ぜひご覧いただければと思っております。この中で、4のところでございますけれども、幾つか、国の取組に対する提言を出させていただいております。1つ目が全国ベースのキャップ&トレードについて、2つ目が建築物の低炭素化について、3番目が自動車の燃費の問題、4番が再生可能エネルギー、5番がプラスチック起源のCO2削減ということでございます。今日はこの2番についてご説明申し上げますので、ほかの部分はまた後にご覧いただければと思います。
 では、もう1枚おめくりください。東京都の気候変動対策の建築物関連の部分でございます。いろいろなプログラムがあるのでございますが、コアになっておりますのは、2002年から開始いたしました建築物環境計画書という制度でございます。この制度を中心にいろいろと順次発展してまいりまして、一番右下でございますが、今年度からは5万平米以上の地域的な開発に地域レベルでのエネルギーの有効利用を進めるような制度についても開始しております。
 次のページをご覧ください。まず、一番コアになっております建築物環境計画書制度についてご紹介いたします。これは、現在東京都内で1万平米を超える建築物をつくる場合に環境計画書を出していただいているものでございます。10月からはこれを5,000平米超に拡大いたします。そうしますと、件数では、現在は年間百数十件ぐらいで、拡大されると約500件ぐらいになろうかと思っておりますけれども、件数的には東京都内の建築物の建築確認のごくわずかなんですが、現在でも1万平米超だけでも、これで東京の毎年の建築着工床面積の約3分の1、三十数%から、拡大すると4割ぐらいをカバーするという制度になっております。これは、東京都がつくっております指針に基づきまして建築主の皆さんに環境設計をしていただき、その取組の程度をあらかじめ定めたグレードに従ってランキングしてもらって、それを提出していただいて、それを東京都のホームページで公表するという制度でございます。
 次のページをご覧ください。具体的にどのような項目でどういう段階かということが書いてございます。段階1・2・3、それぞれ一定の基準に従ってランキングしていくということでございます。2002年に開始してから既に1,307棟がこの制度の対象になっているということでございます。右のほうにございますが、都のホームページを見ていただきますと、東京都のマップが出ておりまして、例えば世田谷区ではどうなっているかといいますと、世田谷区のところをクリックしていただきますと、世田谷区でこの制度の対象になっているものの一覧が出てまいります。そこをクリックしていただくと、そのビルの環境性能、どのような取組をしているかとか、どのようなグレードかということがわかる。このようなことをやっております。
 次のページをご覧ください。この制度を活用して2005年から、この環境計画書を出す建物の中で住宅については、マンションについては、環境性能表示制度というものを開始いたしました。これは、マンションの広告を出すときに、その広告に必ず、ここの右下にございますラベリングでわかりやすく、例えば断熱性とか省エネ性とか、それがどのようなグレードかを表示していただくものでございます。これをやった結果ということでございますが、左側にグラフがございます。これは凡例をつけるのをちょっと忘れてしまって失礼申し上げたのですけれども、一番左側の緑色が3つ星でございます。それから青が2つ星で、ほとんどありませんけれども、黄色が1つ星ということです。ですから、緑が一番いいというグレードでございまして、これは設備の省エネ性能ですが、ご覧いただきますと、だんだん年を追って省エネ性能が向上しているという状況がおわかりいただけるかと思います。
 次のページをご覧ください。次が、省エネルギー性能評価書制度でございます。これは今年の1月から開始した新しい制度です。今申し上げましたマンションの環境性能表示制度は、住宅だけでございます。非住宅については、これまでこのようにオープンにする制度が、もちろん東京都のホームページでは公開していたのですが、それ以外にはなかったものですから、今回この非住宅に関しまして、こうした省エネルギー性能を評価してランキングしたものをつくっていただきまして、これを建築主さんが買い主さんなりテナントさんに交付することを義務づけるという制度を開始いたしました。これはまだ本格的にはこれからでございますが、この制度が有効に機能していくことを期待しているという状況でございます。
 次のページをご覧ください。こうした環境性能の評価・公表制度の効果あるいは重要性でございますが、市場に建築物の環境性能を広く知らしめて、そうしたものが高く評価されるという市場をつくっていきたいと思っております。それから、一番下でございますけれども、省エネというものが、設計者さんだけの問題ではなくて、建築物に関わるすべての方に関わる問題にしていきたいということでございます。同時に、申し上げましたように、2002年から既に1,300棟でやっておりますので、この経験を生かして、これをほかの制度にも発展させていくということでございます。以下、その中身を簡単にご説明申し上げます。
 一つは、省エネ性能基準の義務づけでございます。この下にグラフがございますが、これは非住宅についてどれだけの省エネ性能があるかをグラフ表示したものでございます。ご覧いただきますと、省エネ性能は省エネ法の基準程度しかやっていないものが1割程度ありますので、これをもっと底上げしていこうということで、省エネ法を上回る基準を導入いたしました。
 次のページでございます。延べ床面積が1万平米超の建築物につきましては、省エネ性能に関してERR10%以上の義務づけを行うという制度を導入しております。
 次のページをご覧ください。今のは最低ラインの話でございますけれども、今度は、大規模なビルについてはもう少し高いレベルをねらっていただこうということでございます。このとき、特に都内で大規模な開発をしようとすると、必ず指定容積率を上回って容積率ボーナスのある特定街区とか再開発促進区という制度を使うというのが普通でございます。これは前からある制度でございますが、2008年から、この制度を所管しているのは都市整備局なんですが、ここと協定を結びまして、こうしたボーナス制度を適用する案件については、必ず一定の、具体的に言えば段階2以上の省エネ性能を満たしていただかないとこの制度が使えないという取組を始めました。さらに、都市再生特区という、もう少し自由に容積率が決められる制度がございますが、都市再生特区の中では、さらにそれを上回るような省エネ性能をやっていただくよう指導を開始しております。
 この結果ということでございますが、その次のページをご覧ください。これがPALとERRにつきましてどれぐらいのグレードかというのを見たものでございますが、左がPALでございます。特に都市開発諸制度にこういう運用を始めた以降でございますけれども、PALでは、一番上の赤いラインですが、一番上のAAA、段階3の割合が顕著に増えているということがご覧いただけるかと思います。それから、ERRのほうは、段階3はそんなに増えていないんですけれども、ご覧いただきますと、段階2の青い線が上昇しているのと、同じく段階2のオレンジの線が増えていて、段階BとCが顕著に下がっているというのがおわかりいただけるかと思います。
 次のページをお開きいただきますと、具体的な、都市再生特区でかなり省エネ性能が進められたビルができているという例でございます。ここは清水建設さんと三井さんと東京建物さんの例を挙げさせていただいておりますが、今日三菱地所さんが一緒に来られることを知っていたら、これは三菱地所さんのものを入れたわけなんですけれども、三菱地所さんも非常にすぐれたビルをたくさんつくっていらっしゃいます。
 それから、次のページをご覧ください。地域でのエネルギーの有効利用制度ということで、今までは単体のビルについてお話を申し上げましたけれども、今年の1月から、延べ床面積が5万平米超のものにつきましてはもう少し早い段階から、建築物環境計画書は建築確認の30日前に提出していただくのですが、こちらの地域エネルギー有効利用計画書制度は、建築確認申請の180日前までに出していただくという制度で、開発計画のより早い段階で、未利用エネルギーや再生可能エネルギーあるいは地域冷暖房の導入の可能性に関する検討を行って、導入の促進を図るという制度でございます。ちょっと細かい点については、時間がありませんので割愛いたします。
 次のページは、再生可能エネルギーでございまして、これも今年の1月から建築物環境計画書制度の中で、これは導入義務まではいっていないのですが、導入ができるかどうかを検討していただくという制度を始めております。この制度は今年の1月から始まったばかりなんですけれども、都内の建築物環境計画書の対象になるビルでどのぐらい再生可能エネルギーが使われているかというのを見ますと、2008年までは約20%程度のビルにしか使われておりませんでした。それが2009年に急にジャンプしまして、現状では約4割の大規模建築物に再生可能エネルギーを入れているという状況でございます。この制度の利用によりましてこうした傾向をさらに高めていきたいと思っております。
 以上が、ちょっと早口で恐縮なんですけれども、都がやってきた取組とその成果でございます。
 後半は、この中長期ロードマップへの意見ということを申し上げたいと思います。
 もう1枚おめくりいただきますと、まず1番が省エネルギー性能の義務化ということでございます。一番必要なのは、建築物の基本性能としてエネルギー性能を位置づけるということで、具体的には、建築確認の要件に一定のエネルギー性能を位置づけるということだと思っております。現在でも省エネ法がございますけれども、これは建築確認とは基本的に切れているということでございますので、ここのところを建築確認の制度の中に組み込むことが必要だろうと思っております。これが第1点です。
 第2には、その目標達成に向けた義務化のスケジュールでございます。ロードマップ検討会さんが発表されましたロードマップのスケジュールを拝見させていただきますと、2050年にはストックベースですべての建築物についてゼロエミッションにする、2030年には新築をゼロエミッションにするという、これまた非常に高い目標があるわけでございます。ただ、それに至る2020年目標を見ると、率直に言って、これはテンポがちょっと遅いのかなという感じがいたします。これは、2030年に新築でゼロエミッションということを達成しようと思いますと、2020年目標は少なくとも新築においては改正平成11年基準を100%にすべきだろうと考えております。改正平成11年基準のレベルはまだ示されておりませんので、これを早急に明確にして、スケジュールも示していくべきであると考えております。
 それから、次のページをご覧ください。このように国の中で基準評価を明確にしてスケジュールを出していただくことが必要だと思っているわけですが、同時に、自治体に裁量権を与えて、それ以上の強化を図る場合には自治体がそれをできるという制度にすべきだろうと思っております。これは東京都が既に条例でやっている部分でございまして、実際にその成果が上がっております。もちろんこれは地域の状況などによりまして、全国一律にはそこまではできないけれども、地域によってはできるというところがあるはずでありますから、そういう自治体にはそうした行為ができるようにすべきであると思っております。
 次のページをご覧ください。省エネルギー性能の義務化の4点目です。今最低基準の話を申し上げましたけれども、同時に大規模開発については、建物全体の基準だけでなく、もう一段階高い水準を要求すべきだろうと思っております。これは先ほどもご紹介しました都市開発諸制度の運用の中で相当すぐれたものが生まれてきておりますので、こうした運用をすべきだろうと思っております。
 「ただし」ということで最後に書いてございますが、先ほど容積率割り増しの条件に一定の省エネ性能を導入したということをご紹介しましたが、ここはご注意願いたいのは、東京都の運用は、今までの容積率割り増しをさらに増やすということはせずに、今までのボーナス制度の運用の中でやっているということでございます。これは、容積率があまり増えてしまいますと、それによってかえってCO2排出量が増えることがございますので、ここは十分に注意する必要があるだろうと考えております。
 次のページをご覧ください。省エネルギー性能義務化の最後でございますけれども、このスケジュールの明示ということで、いつの段階でどのように基準を強化するのかというスケジュールを明示することによって、さらに率先的な取組を誘導するということが必要だろうと思っております。
 それから、2番目でございますけれども、エネルギー性能表示の義務化ということです。エネルギー性能をオープンにすることがいかに重要かということは、都の取組の実例からも明らかかと思っております。ロードマップの中でも2010年代の段階で導入されるという案が出ておりますけれども、これをできるだけ早くやることが大事だろうと思っております。その際に大事なことは、総合的な評価指標、つまり緑あるいは居住性とか、いろいろな指標がありますが、それだけではなくて、エネルギー性能を明確に出すことが必要だろうと思っております。
 最後、3番でございますが、既存建物の対策でございます。今私のほうから申し上げましたのはほとんどが新築の部分でございますが、2050年までにストックベースでゼロエミッション化ということを考えますと、既存建築物についても対策の強化が必要だと思っております。
 ここでは、また後でちょっと申し上げますけれども、ニューヨーク市が非常に意欲的な試みを始めておりますので、簡単にご紹介したいと思います。ニューヨーク市は、昨年の12月に新しい条例をつくりまして、その中で2022年までに市内の5万平方フィート――4,500平米以上の建築物、約2万2,000棟あると思いますけれども、これについては、照明については2020年までに一定の水準への改修を義務化するといった新しい取組を始めております。こうした取組も一つの参考になるのではなかろうかと思っております。
 それからもう一つ、今日はキャップ&トレード以外のお話をと申し上げたのですけれども、既存の建築物の省エネ性能の向上をということを考えますと、実はキャップ&トレードの制度がここでも大きな力を発揮するということをつけ加えておきたいと思っています。
 一番最後でございますが、運用段階を考えた建物の対策ということで、もちろん設備性能自身あるいは建物の省エネ性能自身をいいものにすることが大事なわけでございますけれども、せっかくつくりましても、運用がまずいと、なかなかその効果が発揮できません。したがいまして、企画設計の段階から、建設、完成後、運用段階まで、一貫した対策がとれるような仕組みが必要だと考えております。
 ちょっと早口でわかりづらかったかと思いますけれども、以上で発表を終わらせていただきます。どうもご清聴ありがとうございました。

○西岡委員長 ありがとうございました。
 それでは続きまして、三菱地所株式会社常務執行役員の合場様にお願いします。

○三菱地所株式会社 資料2-2をご覧ください。私のほうからは、東京駅の前の大手町・丸の内・有楽町地区の開発における低炭素まちづくりの取組、それから後半でロードマップについての意見を申し上げます。
 まず最初に、現在の取組についてご紹介申し上げます。ページをめくっていただきまして2ページ、これは地区の概要になっております。下が東京駅で、上が皇居でございますけれども、面積は約120ヘクタールのところに大型ビルが104棟あります。就業人口は現在約23万人、企業は約4,000社ということで、1部上場企業も76社、計算のしようによっては、ヘッドクオーターの連結売り上げを足し算いたしますと、日本のGDPの約25%を占めるといった場所でございます。ほぼ10年前から建てかえがずっと進んでおりまして、この100棟余りの建物のうち約2割が10年のうちに建てかわっているという状況でございます。
 次の3ページでございます。この開発の取組をするに当たりましてはさまざまなプラットホームをつくっておりまして、最初、左上に再開発計画推進協議会というのがありますが、これは、どういうまちづくりをするかということで、地元で立ち上げた協議会。それから、まちづくり懇談会は、今PPPのモデルとしてご評価いただいておりますけれども、公民連携のまちづくり。それからエリアマネジメント協会。最後の枠のところに環境共生とありますが、まちづくりの大きな柱として環境をとらえているということでございます。
 次の4ページをご覧ください。まず単体のビルでの取組ということで、これは昨年の4月に竣工しました、当社では最新鋭のビル、丸の内パークビル、それから足元に三菱一号館の復元建物がございます。この中では、先ほど大野さんからもご紹介いただいたように、特区ということで、最高レベルの基準、そのほかに当社独自の対策をさまざま施しております。その中で私どものビルとして特筆すべきは、右の真ん中ほどにあるエアフローウィンドウですけれども、窓を二重にして、間に空気を通しまして、外気温を85%カットするといった方法。それから、照明についても、従来の照明よりも30%程度削減できるようなものを入れております。それから、太陽光発電ですけれども、60キロワットということで、業務ビルとしては多分日本最大だと思いますけれども、実はちょっとこの効果を測定いたしますと、ビルの消費電力のわずか0.1%にしかなりません。できる限りのことをやりましたけれども、こういった都心部の高層ビルでは太陽光発電の役割というのはちょっと限定的だなということだと思います。建物としては大体通常に比べて30%以上の省エネを実現しておりまして、恐らく2020年までには1990年比で50%の省エネができるだろうという見通しを立てております。
 次の5ページ、これは既存ビルでの取組でございます。既存ビルでは設備の更新が20年~30年置きに行われますけれども、この更新期に当たった場合に、ここにありますように、各設備で更新をすると、その分野では大体20%とか40%の削減になりまして、全体で20年置きにということになりますけれども、大体4%~5%の削減になるということでございます。この改修期を待たないで、例えば10年ぐらいでやるとすると、ビルとしては費用が過大になってしまって、なかなか費用対効果という面では難しいかなということでございます。
 次が6ページ目、まち全体の取組でございます。この地区では40年ほど前から地域冷暖房がほとんどのビルに行き渡っております。当時は単体のビルに比べて15%~20%ぐらい省エネが図られるということでございましたけれども、現在は技術の進歩もありまして、必ずしも地域冷暖房に加入することが省エネということでもなくて、実はこのインフラ部分をいち早く効率的なものに入れかえなければいけないということがございます。ただ、このインフラについては、この地区だけで数百億円の投資がかかるということでございますので、恐らく、地域冷暖房の会社は非常に弱小でございますので、ここには政策的な措置が必要かなと感じております。
 それから7ページ目です。これも地域ですけれども、風の道という言葉をお聞きになったことがあると思いますが、まちづくり全体の中で風の道をつくって、東京湾と皇居を結ぶラインに風を通して、気温を計算上では2度から3度ぐらい夏場に下がるということが言われております。
 8ページ目をご覧ください。これは、まち全体としてのソフトの取組でございますが、新丸ビルの中にエコッツェリアという場所を設けております。ここは、建物単体ではなくて面的な取組がいかにあるべきか、あるいは背景としては、日本経済の中心地、業務がこれだけ集中しているところでどんな取組ができるのだろうかということで、影響も大きいだろうということで、こういった専門の場所、それから大丸有環境共生型まちづくり推進協会という組織、プラットホームをつくりまして、ビルの所有者だけではなくて、ここに入っているテナントさんあるいはオフィスワーカー、それから周辺の大学生とか、できるだけ広範な人たちが関わってこの取組を支えていこうという試みであります。
 次は9ページです。これも地区全体として、丸の内シャトルというハイブリッド電気バスを無料で走らせたり、ベロタクシーという人力のタクシーとか、あるいはプロモーションですけれども、打ち水とか、子どもへの教育の機会、それから電気自動車充電機の整備を進めております。
 それから、10ページをお願いします。これは大阪の梅田北ヤード、つい先日着工したばかりでございますけれども、ここでも丸の内の経験を生かしましてさまざまなプラットホームをつくり、関係者が集結して一体となって環境問題に取り組んでいこうということでスタートしたということでございます。
 次が、実現に向けた当方としての課題認識でございますけれども、12ページをご覧ください。これは見慣れた表かと思いますけれども、業務部門の排出量は、ビルの延べ床面積の増加とほぼ比例する関係で増えているというのが現状でございます。上のほうの折れ線グラフは、単位当たりの消費量ですけれども、単位当たりはほぼ横ばい、ちょっと下降傾向にあるというのが現状です。これは1990年から比較しておりますけれども、その当時と比べると、恐らく事務所の中のIT機器の量あるいは稼働時間の増といったものが含まれておりますので、これは先ほど申し上げたビルの基本性能が上がることと相殺されて横へいっているのではないかなと思います。この表でご覧いただきたいのは、下の濃い青になっているところがいわゆるオフィス、事務所ビルでございまして、業務部門では事務所ビルのほかに卸小売業とか学校とかその他ということで、業務部門がいろいろな産業部門とか家庭部門の引き算でこれが出ていますので、事務所ということからすると、業務部門の約2割を占めるというポジションだと思います。今のロードマップの目標からすると、実は2020年までに2008年度比で43~48%削減するということでありますので、割合からすると、10年以内に現状の半分にしなさいということでございまして、かなりハードルは高いなということだと思います。
 続いて13ページです。これはオフィスビルのエネルギーの使用内訳ですけれども、80%以上が電気で構成されております。それから下は、私どもビルの所有者とテナントさんの使い方の関係なんですけれども、お貸しして活動しているテナントさんが使う分というのは約7割を占めておりまして、全体の排出量削減のためには、オーナーだけではなくて、テナントを取り込んで、むしろテナント分を減らさないと数字が減らないというのが実態でございます。
 14ページをお願いします。これは、再開発によってテナントさんが非常に入れかわっているということでございます。一番左の2000年にはメーカーが40%を占めておりましたけれども、再開発が進んだ2007年には金融機関が一番たくさん占めて、あるいは法律・会計・コンサルといった業種に入れかわっております。右がニューヨークですけれども、だんだんニューヨークの業種に近寄りつつあるというのが現状でございます。それから、右下に用途構成比というのがありますけれども、10年前の丸の内はほとんど事務所でございましたけれども、現在では事務所以外の店舗とか交流施設といったものが3割近くを占めるようになっております。
 次の15ページです。これは、テナントさんによって使用料が非常に異なるということを表しております。あるビルでは、業種が入れかわると、一番少ない会社に対して約6倍あるいは10倍ぐらい、使用料がかわるということでございます。今、都心部は国際競争力強化ということで、こういった金融などを中心にした、世界で活躍する企業、24時間稼働する事務所を集積させようということにしておりますので、この排出量という関係からすると、どうしてもちょっと逆行する面があるということでございます。
 次、16ページ、ロードマップについて。続いて17ページをご覧ください。私どもで考えられるロードマップに対する目標観なんですけれども、まずはビルをつくる際の設計あるいは更新のときのエコビルの推進ということで、先ほど大野さんからもありましたけれども、つくるときに性能を上げるというのが一番早い解決方法だと思います。その際に、費用対効果を考えた基準の設定あるいは支援策というのを考慮いただけるとありがたいなと。それと、こういうエコビルを経済メカニズムとしてつくるほうへ誘導していっていただけると大変ありがたいなと思います。
 それから2番目は、運用時の対策ですけれども、先ほど申し上げましたように、7割以上をテナントが使用しておりますので、テナントさんにいかにこういった意義を理解していただくかということが必要で、我々としては啓蒙活動をしているところでありますけれども、例えばオフィスビルについても、エコポイントのような発想で、性能のいいビルに入る企業にはそういったポイントをつけるようなことができないかなと考えております。また、使われ方ですけれども、もしキャップという考え方が出てくるとすると、事務所ですから、知的生産性を落とすということは致命傷になりますので、そういった部分、経済活力との両立を考えたほうがいいかなと。事務所ビルというのは電気製品とか自動車にちょっと似ておりまして、性能のいいものをつくるんですけれども、使用するところまではどうしても抑制できない。例えば車ですと、この車は1日100キロ以上は走りませんという発想の事務所をつくることはちょっと不可能でありますので、そこのところは恐らくこのキャップという考え方からすると、実はこれはビルの所有者ではなくて、テナント、使う側にキャップをはめないと、効果的にはならないのではないかなという気がします。
 3番目は、排出量取引制度ですけれども、利用者と負担者、今申し上げましたように、実際に使っている主体と、義務を負う主体がねじれているということが、私どもとしてはちょっと課題かなと思います。それから、どうしてもCO2削減のためにコストがかかるわけですけれども、このコストアップ分を賃料に転嫁しますと、国際競争力という面では非常に弱くなりますし、例えばそれを嫌って国外にそういった24時間働く高負荷のテナントあるいは企業が行くと、日本の力を弱めるということばかりではなくて、世界全体では恐らく日本のインフラの性能はかなりいいところへいっていると思いますので、これが外国へ行くと、外国でもっと多くのCO2を出すということになりまして、世界全体ではCO2が増えるという結果になるのではないかなと思います。
 それから、目標設定とか施策について、先ほど東京都さんのお話にもありましたけれども、できれば国と都が一体となって同じ考え方で制度をつくっていただけるとありがたいなと思います。
 それから、18ページ目です。このような面的な取組をずっと続けておりますけれども、恐らく省エネのインフラが一番すぐれたところにハードユーザーを乗せるというのが、全体としては一番効率がいいはずでございますので、とにかく我々は、エリア、ビル、この効率をよくすることに全力を挙げたいと思います。
 19ページ目です。そのような政策をビルあるいはまちでした上で、今度は地域のCO2マネジメント。今スマートグリッドというものが盛んに議論されておりますけれども、これだけのエリアでマネジメントして、しかも生産されるエネルギーはグリーンエネルギーを使うという方策で、地域と地方の連携、この両立が図られるのではないかなと思います。
 20ページ目です。生グリーン電力の模様を示しておりますが、これは、北海道とか東北地方の水力・風力で発電した電気を直接丸の内へ持ってくる、託送するということでございまして、その量は、この4月から始めましたけれども、新丸ビルの全体3万トンのうち2万トンを生グリーン電力で賄えるというボリュームであります。
 最後、21ページ目ですけれども、これからの方向性ということで、先ほどご紹介したエコッツェリアでも今実験導入をしておりますけれども、LEDを使った知的照明システムあるいは輻射冷暖房ということで、知的照明については、部屋を満遍なく全部同じ照度で照らすのではなくて、必要なところだけ自分の好みに合わせて照らすといった方法でいきますと、照明全体のエネルギーの約40%削減できるという実験結果が出ております。それから輻射冷暖房でも、風を送る動力ではなくて、全体に直接、冷媒を通して吸収式で冷暖房をするというものでございまして、動力分が減りまして、約25%。2つの政策を合わせると、ビル全体では大体15%ぐらい減らせるという検証結果が出ております。これからの方向としては、無理して、例えば暑いのを我慢しようとか、多少快適性をそいでもエネルギーを優先しようということだけではなくて、むしろ快適性を追求した結果が省エネに結びつくといった発想、こういった転換をすることによって実現していくというのが、サステイナブルではないかなと思います。
 以上でございます。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 続きまして、社団法人日本建設業団体連合会常任理事及び社団法人建築業協会専務理事でいらっしゃいます大久保さんからお願いいたします。

○社団法人日本建設業団体連合会 日本建設業団体連合会は、日建連と申しておりますけれども、建築とか土木とか道路建設といった7つの団体と総合建設業48社で構成されておりまして、統一的な産業団体ということで、共通する基本問題、重要問題について意見等をまとめて、実現を図っております。中でも、日建連・土工協・建築協という3団体におきまして1996年に「建設業の環境自主行動計画」というものをつくりました。この中では、CO2の削減としては、まず工事施工段階を削減しようということで、2010年度までに1990年度比で12%削減ということでやってきておりましたけれども、2008年度にはもうこの目標を達成いたしまして、またさらなる削減を計画するということ。それからまた、日建連としては、日本経団連さんの環境自主行動計画に参画するということで、産業界全体での活動をやっているものでございます。今回のヒアリング内容は、主として建築物関係でございますので、日建連の会員団体であります建築業協会の専務理事の私がご説明させていただきたいと思います。
 開いていただきますと、建築業協会は、BUILDING CONTRACTORS SOCIETYで、BCSという略称を使っておりますけれども、建築業を営む61社が会員でございまして、技術の開発普及とか、法制度とか、そういうことをやっておりますけれども、近年、省エネルギーとか環境問題に非常に力を入れて、大きなテーマとして取り上げております。平成20年2月に新しいBCS行動計画をつくっておりまして、5つの重点事項がありますけれども、そのうちの第2項目として、「サステイナブル建築による地球環境への貢献」という項目を挙げました。また、その中では、環境に配慮した企画・計画・設計の推進、それから環境保護・保全に配慮した施工プロセス、運用段階での環境性能といったことを会員全体として推進していこうではないかということを決めております。
 会員会社は61社でございますけれども、非常にたくさんの技術者を抱えておりまして、建築士事務所登録を行って、お客様のニーズに沿った設計・施工をやって、いい建築物を提供しようということで頑張ってきております。また、大手を中心に独立した技術研究所を持っておりまして、新技術の研究開発とか実用化を進めております。特に新技術については、自社で実物をつくりまして、施工性とか運用開始後の問題とか、そういったものが確認できるというのが非常に大きな強みになっております。こういう建設企業の形態というのは日本にしかないと聞いております。環境関係の技術については、お客様の関心が非常に高い分野でございますので、各社とも他企業との差別化とか優位性確保という面で非常に大きなポイントとして力を入れております。前回清水建設さんがヒアリングでいろいろな技術を紹介されておりましたけれども、各社とも非常に力を入れてそういう開発あるいは実証をされているというところでございます。
 この環境関係については、建築業協会としては、先ほど言いましたように、各社が共同して研究とか情報交換をすると効率が上がるような問題、共同開発、あるいは企画とか仕様といったものについて、あるいは法的な制限の問題等々について研究いたしておりますし、汎用性のある技術については一般に普及するという観点でもいろいろな広報活動等も行っております。
 それから、この行動計画をつくった後ですけれども、平成20年度と21年度の両年にサステナブル建築特別委員会というのをつくりまして、その結果を本年3月に公表いたしております。内容については後ほどご紹介したいと思います。
 また、これはBCSだけの問題ではありませんけれども、昨年の12月に当協会と日本建築学会を初めとする建築関係の団体に都市計画関係の団体も入りまして17団体が共同で、「建築関連分野の地球温暖化対策ビジョン2050―建築のカーボン・ニュートラル化を目指して」というものをまとめております。それは参考資料-3としてお配りしてございます。
 それでは、本題の建築分野での地球温暖化対策について、協会側の問題意識といいますか、それについてご説明したいと思います。3ページ以下でございます。
 建築物に関連するCO2排出量の割合というのは、細かいデータは空気調和・衛生工学会のほうで整理されたものをベースにしておりますので、平成12年のものしかありませんけれども、大体日本全体のCO2排出量の3分の1強が建築関連になっております。そのうちの大部分は運用段階のエネルギーによるもので、業務ビルの運用と住宅の運用ということになっております。また、住宅と業務関連では業務用のほうが上回っておりまして、この差はだんだん拡大している状況にあります。
 新築の建築物としての環境性能ですけれども、これはかなり高いものが出てきております。ここに614件の例として、環境性能は性能基準値から29%削減されていると書いてありますが、それはその次のページの4ページをちょっとご覧いただきたいと思いますけれども、私どもの協会に設計部会という部会がありまして、そこで2008年度に各社が提出しました省エネ法の対象案件614件について調査をいたしました。環境性能は省エネ法による性能基準から全体で29%ぐらい低いという結果が出てきております。この614件というのがどのぐらいの分量かといいますと、下の表の右側の2つ目の*に書いてありますけれども、全体で930万平米ということになっておりまして、平成20年度の非居住用の建築物が日本全国で5,345万平米という数字でございますので、17%ぐらいに当たるということで、ご覧いただきますとおり、物販とか事務所については非常にたくさんのものを私どもの会員が設計・施工でつくり、また省エネルギー量としても大きなものになっているということでございます。ちなみに、29%の削減によるCO2の総排出量の減少は大体年間21万トンぐらいに相当するのではないかと見ております。
 問題は、新築も非常に問題ではあるわけですけれども、既存のものをどうするのかというのが、日本全体のCO2排出量にとってみれば大きな問題かと思います。3ページに戻っていただきまして、真ん中の棒グラフといいますか、箱になっておりますけれども、住宅を含む日本の現存建築物総面積というのは約80億平方メートルと推計されておりまして、平成20年度の全建築の着工床面積というのは1.5億あるいは1.6億ぐらいの数字でございまして、2%。2%のものが仮に、上のほうに書いてありますように、非常に環境性能の高いもの、恐らく既存のものから考えれば半分以下ぐらいだろうと思いますけれども、半分だとしても、1ポイント効いてくるかどうかという世界になろうかと思います。仮に10年間で16億平米の新築があったとしますと、その16億と80億から取り壊し分を引いた総合計で、仮に新築は半分しか出ないとしてもということで、増加にしかならないだろうと思います。ということで、新築の性能を上げるというのはもちろん非常に重要なことではありますが、既存をどうするのかという議論をしていただかないと、CO2の排出量は減らないのではないかと思っております。
 既存の建築物については、もう一つといいますか、そのほかにも非常に問題がありまして、新耐震基準以前の建物が25億平米ぐらいあると、BELCAさんというところで推計されておりまして、これをどうするのかという議論、これは日本の建築界にとってみれば非常に大きな問題だと思いますし、そのほかにも、バリアフリーとか、IT対応とか、そういった課題を抱えている建築物はたくさんあります。こういういろいろな課題のものを一つ一つ改修工事をするというのでは、バランスのとれた建築物の長寿命化には結びつきませんので、これを何とかして一緒にやるということをぜひ考えていただきたいというのが私どもの立場でございます。
 それで、新築と改築について私どもはどのように考えているかということですけれども、新築については、技術的には、経費増さえ覚悟すれば、相当なことができると思います。しかも大きな投資を発注者の方が覚悟されているわけですので、環境配慮がどれだけプラスになるのか、ペイするかどうかという問題かと思います。
 既存建築物の環境性能を上げるには、あるいは耐震改修もそうなんですけれども、非常に大きな問題がありまして、もともとの建築物の質の問題があります。非常に小規模であるとか、階高が低いとか、設備のスペースがないとか、コンクリートの品質がある時期のものは非常に低いとか、どうもなかなか改善効果が期待できないというものもあります。これは建てかえを待つしかないと思います。それから、所有者にとっては、新規の大規模投資ということで非常にハードルが高く、まずその一歩を踏み出せるかどうかという問題があります。対策も建物の実態によってケース・バイ・ケースですので、経費も大幅なばらつきがあります。メリットも、電気代とか家賃に響くということはもちろんあるわけですけれども、なかなかすぐには見えないということ。また、使用中の建築物ですので、工事中の対応を考えると、踏み出すのは非常に難しいといった、たくさんの問題がございます。昨年の10月に私どもの協会では、「既存建築物に係るサステイナブル建築への取り組み」ということで、こういう既存建築物の環境性能向上をぜひ図るということを考えなければいけないんだということで、その際には全体の建築物の価値や寿命をバランスよく高めるような総合的な改修をする必要があるのではないか、そのために何らかのインセンティブ等が必要ではないかという提言を行っております。会員の各社ですけれども、同様に、新築とともに既存の建築物の改修については非常に力を入れておりまして、幾つかトップランナー的な事例も出てきております。
 それから、参考資料として幾つかつけております。参考資料-1は、私どもの先ほどのサステイナブル建築の部会でつくりました、公的なインセンティブとしてどんなものが考えられるだろうかということで、載せたものでございます。ここに書いてありますようにいろいろありますけれども、感覚的には、イニシャルコストが目に見えて下がるような仕組み、ダイレクトには省エネ改修への補助の制度。そのための財源をどうするのかと言われますと、どこかで税制上の配慮、環境対策税という点もあるのかもしれません。あるいは、自動車のように、対策済みのものは減税、対策しないものは増税という考え方もあるかもしれません。そういったものを考えるということがあるかもしれません。また、事務所の環境性能表示といったものについても、これ自体は非常にいいことだと思います。
 それから、参考資料-2は、間もなく5月21日に私どものホームページでサステイナブル建築事例集というのを公表する予定にしております。101ほどの事例で、改修も含めてですけれども、案件の特徴とか、主な採用技術とか、省エネルギー性能、PAL、CECの数値等も書いてございます。
 それから、ちょっと時間があれですので、参考資料-3は、先ほど言いましたように、17団体の提言でございます。ここでも2020年、2050年という数字を出しておりますが、「カーボン・ニュートラル化を推進する」という表現をとっておりまして、できるだけそのような状態に近づけるということでございます。
 それから、参考資料-4だけちょっとご説明したいと思いますが、これは建築投資の経済効果ということでつくったものでございまして、日本の2008年度の建築投資47兆円のうちの6割ぐらいが建築でして、そのうちの9割強が民間でございます。日建連の会員48社の国内の受注高というのは、先ほどの47兆円に対して11兆円ぐらいの感じでして、23%ぐらい。建築分野ではもうちょっと数値、比率が高いのではないかと思います。
 それから、建築投資で経済波及効果が高いということは一般的には知られておりますけれども、では実際の建築工事ではどのぐらいの人がどれだけ働いて、どのような資材がどれだけ使われたかというのをちょっと私どものほうで実例を調べまして、2のところに書いてあります。3年ほどかかった150億円ぐらいの建築物ですけれども、坪単価でいくと100万円ぐらいということで、中の上ぐらいの事務所ビルかと思いますが、延べで14万人の人が働きます。いろいろな職種の方々です。それから、鉄骨が1万トンとか、コンクリートが3万3,000立米とか、ガラスが1万平米とか、電気・通信ケーブルが300キロメートルとか、照明器具が1万5,000灯といった資材が使われております。それぞれの資材の製造には非常にたくさんの人々が従事し、また輸送にも人手がかかっているということでございます。
 残念ながらこれは新築の例でして、改修でどういうことになっているかという実例はなかなかなくて、数値がとれているものがありませんけれども、この表で見ますと、真ん中から下あたりの建具以下ぐらいは、改修工事をやれば、人がといいますか、工事が入るということで、改修工事の投資効果とか雇用効果というのは非常に大きいのではないか。ぜひ、ある意味では成長戦略等々の面でお考えいただけたら大変ありがたい。そのためには、ぜひ何らかのインセンティブをお願いしたいというのが、建築業協会の意見でございます。
 以上でございます。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、委員のほうからご質問をお願いいたします。いつものようでございますけれども、大体1案件当たり10分ぐらいの時間が割り当てられておりますので、それも考えに入れていただきまして、手短に質問をお願いいたしたいと思います。どのプレゼンに対してどういう質問かということを明快にしていただきたいと思います。
 それでは、こちらからいきまして、飯田委員、お願いします。

○飯田委員 最初の東京都のプレゼンのときにはちょっと席を外していたんですが、大体中身は了解しておりますので、ちょうど東京都と三菱地所の取組で生グリーン電力というのが挙がっておりましたけれども、こういった地区間連携で再生可能エネルギーを普及していく仕組みは非常にすばらしいと思うんですが、現状ではこれを全面的に展開するのはいろいろ制約があるのではないかと思いますので、それを東京都と三菱地所それぞれ、ユーザーと制度設計者のお立場から、どういった点をクリアすればもっと普及するのではないかといったところでご意見をいただければと思います。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、枝廣委員、お願いします。

○枝廣委員 ありがとうございます。飯田さんが今聞いてくださったことを私もお聞きしたかったので、それに加えて、どうしても建物の場合、オーナーさんとテナントさんのインセンティブが違いますよね。そこのところを、例えば性能表示をすることで東京都は少しずつ公開されていると思うんですが、例えば性能表示で動く場合に、それはエネルギーコストが削減できるという見通しでそちらにいっているのか、それともブランド意識とか、そういった形、名目というか、それで動いているのか。つまり、もっとテナントの意識を高めてオーナーがやりやすくなるために何があれば動くのかということ、これは多分3者とも関連していると思うので、あと日建連さんには加えて、既存のエコ改修をしていくときに、今やっているところは増えているとおっしゃっていたのですが、何がインセンティブとして今働いているのか、それをもっと動かすためにはどんなインセンティブがあればいいのか、そのあたりをお聞かせください。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 荻本委員、お願いします。

○荻本委員 3者さんなんですけれども、既設というのが大きいというのが入っていたと思います。その既設建物をうまくやっていくために、不足しているものは何か。お金が足らんというのは常の話として、あと人間とか、技術とか、そういうものの中で何が足りないのかというのをおのおののお立場からお伺いしたいということと、あと、人間というところはいろいろ育てていかないといけないということがあると思うんですが、そこに何かコメントがあれば、各者さんからいただきたい。それから、最後の日建連さんですけれども、改修ということで多様だということをおっしゃったんですけれども、それに対して、日建連さんから見ると、こういう場合はこういうやり方があるといったメニュー、そういうものは用意し得るのか、してあるのか。恐らくそういうものをやっていかないと手はつかないと私は思っているのですけれども、そこをどのように考えておられるか、そのあたりをお伺いしたいと思います。

○西岡委員長 影山委員、お願いします。

○影山委員 すみません、東京都の大野理事にお尋ねしたいんですが、東京都さんのほうでかなり前向きな取組をされておられて、非常にすばらしいと思うんですが、このような立場として、国と自治体のこういう温暖化対策に果たす役割というものについて大野理事の考えがどんなものか、ちょっと聞いてみたいということが1点。
 もう1点は、いろいろ今後温暖化対策をやっていく上において義務化が必要だというお話があったんですが、義務化と負担という問題があると思うんです。今までいろいろ条例等をつくっておられて、中小と大規模と、いろいろ負担の程度というのをどこまで耐えられるかというのも経験されておられると思うので、どういうところを基準というか、切って規制をかける、あるいは義務化をしたらいいのか。あまり義務化が厳し過ぎるとつぶれてしまうと思いますので、どんなことを考えられてその義務化というところの程度を考えられるのか、ちょっとその辺のところをお聞きできればと。

○西岡委員長 笹之内委員、どうぞ。

○笹之内委員 大久保専務理事にお聞きしたいんですけれども、いろいろな取組をされているということなんですけれども、ただ問題は、既存建築物をいかに進めるかということかと私は理解したわけなんです。それで、今回のロードマップでは、平成11年基準以上の基準を2020年には既存で67%達成すると書いてあるんですけれども、これを達成するためにはどのぐらいのインセンティブが必要なのか。もしくは、特に「80億m2-α」というのが書いてあるんですけれども、これを考えると、かなりのことをしないと難しいのかということで、ちょっと定性的で申し訳なんですけれども、教えていただきたいと思います。

○西岡委員長 冨田委員、お願いします。

○冨田委員 三菱地所の合場さんのプレゼンテーションの中に、面的な取組として大丸有の事例が紹介されていましたが、私もその取組は非常に大事だと思っております。ただ、丸の内地区においては、三菱地所さんは大地権者ということもあって、それでも大変だと思いますが、ほかの地域だと、地権者が複数いる場合にはさらに大変だと思います。そういう中で面的な取組をする上で、自治体の役割というのが大事ではないかなと思いますが、合場さんはどうお考えになられるでしょうか。
 それから、東京都の大野さんにも、自治体の役割についてお聞きできればと思います。
 次に、日建連の大久保さんのほうですけれども、東京都の大野さんのプレゼンの中に、環境にすぐれた建物が評価される市場の形成が大事だというのがあり、そのために環境性能の星をつけるといったことがやられているわけですけれども、今現在、こういう市場が形成されているという認識でよろしいのかどうか。もしまだ十分ではないとすれば、どういうことが行われるとその市場がうまくできるということについてお考えがあればお聞かせいただければと思います。

○西岡委員長 伴委員、お願いします。

○伴委員 お三方とも非常に先進的なお話をお聞きしたのですが、基本的には、ちょっとお聞きしたいのは、省エネとかいろいろな形での投資をしたときの負担です。それが先ほどのお話だと、テナントとオーナーによって異なるということだと思うんですが、恐らくテナントの場合は、例えば電気代が節約できるという即物的な部分もありますが、先ほどから何度もありますけれども、オーナーにとっては、そのビルの価値を高める。基本的には、フロー的な節約もあれば、価値を高めるという形のものもある。これは我々からすればほとんど区別がないわけですけれども、現実にこれをするときに、いわゆる誰が得するかというのではなくて、恐らくオーナーの側からすれば、最終的には価値を高める方向に持っていけばいい。そのときに、今のやり方というのは本当にビルの価値を高める方向に行っているかどうか。つまり、非常に省エネのものを設置したけれども、基本的にはその価格が高くなればテナントがついてこないわけでありまして、その辺の区切りのところをどういう形で考えていらっしゃるかをもう少し確認がてらお話しいただけたら幸いです。

○西岡委員長 増井委員。

○増井委員 ありがとうございました。
 既にご発表のときに、ご説明のときにお話があったんですけれども、運用段階のところについて、実際に設計段階と運用段階とどの程度その数字が違っているのか、もし実際にその数字等を調査されているのであれば、教えていただきたいということ。
 それとあと、伴委員のご質問、コメントにも関係するんですけれども、こういう改修なりあるいは開発をしたということによる全体的な魅力、価値が上昇するとか、そのようなことについて、実際にビルのオーナーさんなりあるいはテナントの方、あるいはそこに来られるお客さんの方、そのような方々がどの程度それを感じていらっしゃるのか、そういう魅力が向上したということを感じていらっしゃるのか、そのあたり、もし情報がありましたら教えていただきたいと思います。
 以上です。

○西岡委員長 屋井委員、どうぞ。

○屋井委員 東京都さんの資料の中で、特に環境都市づくりの制度の導入・強化ということで、いろいろと先進的にやっておられることはよく存じ上げているのですけれども、例えば国土形成計画、首都圏広域地方計画の中でも、東京都さんが非常に熱心にやってこられているような水と緑のネットワークづくりとか、ああいうものが関東全域の中に展開していくとか、そのようないろいろと広がりを見せていると思うんですけれども、今日の資料は特に建築を中心にされているので、環境都市づくり制度についても、事業所の単位あるいは開発単位ということでありますけれども、もう少し広く全体をとらえたような制度の改善とか、提案とか、そういうものがないのかどうか。こちらの番号を振っていない資料のほうもざっと見たのですけれども、何となくそのあたりについてはあまり触れられていないような印象を持ったものですから、そのあたりについてちょっとお伺いしたい。
 それからもう2点。大丸有さんのほうですけれども、7ページ目に風の道の話が出てきましたね。これはまさに日本だけではなくていろいろと既によく知られていることではありますけれども、こういうものもこの地区の中だけではもちろんきちんとつくっておかれるということですけれども、それを一般論で言えば、この地域以外にどう展開していくかとか、それを行政なりあるいはそれぞれの開発なりがどう分担しながら受け持ってきちんとつなげていくかとか、こういう点は大変重要になってくるわけですけれども、この地区、そしてこの地区の周辺については、今これはどんな状況なのかということをお伺いできれば大変ありがたいというのが1点。
 もう1点は、最後のページのこういう空調・照明に関しては、個人の選好の追求云々というのは、確かに高齢化社会になってきますと、いろいろとその好みも変わってくるでしょうけれども、結果的には省エネにつながったんだというお話で、これは非常によくわかるんですが、この街区というか、いろいろな観点でビルの中のこういうオフィスの環境だけではない観点からこの省エネの効果というのを検討されていると思うんですが、こういう個人の選好の追求なり快適性の追求が結果的に省エネにつながっていくんだというのは、この照明・空調以外でも何か示唆されるようなことが既にありそうだったら、それを教えていただきたいんですが、簡単にはそのように思えないところがあるものですから、そうではないんだということがあれば、大変役に立ちますので、お願いしたいと思います。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、大野さんのほうから……。すみません。赤井委員のほうから。

○赤井委員 いろいろおもしろいお話を聞かせていただいてありがとうございます。
 東京都さんに教えていただければと思うんですけれども、生グリーン電力の話は三菱地所さんの話にもありましたけれども、それとは逆に、外部性というか、それが東京都の外で発生しているものについて、そのあたりの、要は地域で発電して東京へ持ってきているというものですけれども、そういうものについて一体的にどうお考えになるのかなということ。
 それから、ご説明はなかったんですけれども、添付していただいた資料にはいろいろすばらしいことが書いてあって、ほかの報告ではなかなか書けないようなところまでぐさっと書いてあっておもしろいんですけれども、その中でちょっと違和感があったのは、突如として波力発電が評価されていて、新エネルギーに盛り込めといった提言があったりするんですけれども、このあたり、ちょっといろいろな事情があるのかもしれませんけれども、簡単に説明できるようでしたら、教えていただければと思います。

○西岡委員長 それでは、牛久保委員、お願いします。

○牛久保委員 皆さんが聞かれたこととダブるかもしれませんけれども、特には、東京都と三菱地所さんが再生エネルギーの件でお話をなさっていますけれども、再生可能エネルギーの供給と需要のバランスということになりますと、都市と地方という関係になろうと思います。その連携を実際にどのようにしていくのか。例えば都市の消費が非常に大きいために、地方がいわゆる圧迫されて疲弊するような形にならないとも限らないということで、そのバランスをどうしていくのかということが大きな課題かと思います。ですから、そういう意味で全体的な環境共生的に共存をしていくためにはどのように考えたらいいのか教えてください。
 それから、これもあったかもしれませんけれども、いわゆる建築主と、それから実際に使用する方たちの関係として、箱物的な議論が中心であって、そこに人間活動が当然介在しますので、その辺の人間活動、例えば省エネということであれば、それを享受できるということもあるでしょうけれども、非常に強制されているような意味合いの形にはならないのか。そこのねじれ現象というお話もありましたけれども、その辺の是正的な考え方があったら、その辺をちょっとお話しいただければと思います。
 以上です。

○西岡委員長 藤野委員、お願いします。

○藤野委員 すみません、遅れてきてご発表を聞けなくて、資料だけ見たんですが、三菱地所の取組で一つ質問があって、こういう温暖化対策なりをすることで賃料が上げられたりといったことがあったのか。よくニューヨークとかではLEEDゴールドの建物の賃料は高くなったとかということをニュースでは聞くことがあるんですけれども、エビデンスとしてあったかどうかというのと、何があれば上がるチャンスがあるのか、そういう省エネのラベリングがあると上がるチャンスがあるとか、何かその辺のヒントをいただければと。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、お三方から順番にお願いしたいんですが、今のところ、時間からいいますと6ないし7分ということでお願いします。

○東京都 大変たくさんのご質問をいただきまして、これに全部答えていると、多分6、7分ではとてもじゃないけれども答え切れないので、ごく簡単にお答えしたいと思います。
 まず、生グリーンの関係なんですけれども、この分野は我々も新しく取り組み始めた分野で、これからいろいろと検討していこうと思っております。一番大事なことは、日本で特に風力発電などを考えますと、その供給ポテンシャルが一番高いのは北海道なんです。北海道は、北海道で使う電力の優に数倍の供給ポテンシャルがあるんだと思います。ところが残念ながら、東京都とか関西とかは、逆に使う需要が大きくて、供給ポテンシャルは小さいということがあります。問題は、恐らく今の電力の体系というのが、そういう地域、地域で完結して基本的にはやっていく。もちろん広域連携の形で入っているのですが、基本は地域の重電力の体制の中で完結してやっていく。それを基本にして、若干は補助的に広域連携が入るということだと思うんです。そうしたところが、風力発電などをもっと開発しなければならないと考えますと、そういう考え方の中ではどうしても系統の運用とか、あるいは風力発電の接続の制限とかに原因がかかってくるということがあると思いますので、ここはしっかりと、今までの考えを変えて、本当に日本にある、特に北海道や東北あるいは九州に多い風力発電のようなものの供給能力を大都市の需要が大きいところで使うにはどのような系統の見直しが必要なのかというあたりを議論していくことが必要なのではないかと思っております。
 それから、関連して、大都市でそういう風力などを使ってしまうと、地方が疲弊するのではないかというお話もありましたが、これは逆でありまして、例えばまさに新丸ビルさんがやったものがありますけれども、少し価格が高くても環境性能がいい生グリーン電力を大都市が負担して調達することによってむしろ新しいビジネスチャンスが地方に生まれてくるという関係だろうと思っております。
 それから、テナントとオーナーの関係ですが、ここは東京都がキャップ・アンド・トレード総量削減義務のときに一番議論になった部分で、三菱地所さんにもたくさんいろいろな議論をさせていただいたところでございます。これはあまり評論家的には私は言えない部分でございまして、議論をしていく中で、我々の制度は、削減義務は所有者にかけるのだけれども、テナントさんにも一定の役割を果たしていただくという仕組みをどうつくるかということを大分議論させていただきまして、一応都の制度の中では、大規模なテナントの事業者には、定量的な削減義務ではありませんが、削減義務を課す、それからそれ以外のテナントさんには努力義務を課すという形をつくって、それでオーナーさんとテナントさんがテナント協議会のようなものをつくっていただいて、いろいろな経験を交流しながら後発に先駆けてしていこうと、このような制度にしまして、現に今そういう取組を始めていただいているところであります。ですから、これは本当に東京にとっては特に大きな問題だと思っておりますので、この後のテナントのいい事例の対策のセミナーを開催するとか、いろいろな取組をしながら、東京でオーナーとテナントがともに協力して、削減の実効の上がる仕組みをつくって、先行事例をつくってまいりたいと思っております。
 ただ1点申し上げたいことは、一定規模以上の大規模なビルには総量削減義務がかかったということで、こういうテナントに一歩踏み込んだ対策が可能になったのではなかろうかと思っております。これには各社さんとも非常に熱心に取り組んでいらっしゃいますけれども、みんながみんな削減義務がないという世界を考えますと、一般的に、テナントさんにあれをしてください、これをしてくださいというのは、なかなかオーナーさんの立場からはしづらいことなんです。要するにお客様ですから。だから、お客様にそういうお願いができるようになったということは、東京都が、一定の規模以上のものについてはみんなが削減するんだと。ですから、これは特定のある会社さんがやるのではなくて、みんながやるんだということが前提になっているのではなかろうかと思っております。
 それから、既存のものについてどうするかということなんですけれども、これもまだ、先ほどニューヨーク市の取組の例を紹介いたしましたけれども、既存の建築物対策というのは本格的にはまだ始まっていないんだと思います。ですから、ここはいろいろと新しい取組が、政策も含めて必要になってくる部分だろうと思います。
 ただもう1点、そういう場合ではないお話をすると、例えば既存ビルでどのような省エネのポテンシャルがあるかということを省エネ診断などでやるのですが、ビルについて全面的に省エネの可能性はどこにあるかというノウハウを持っている専門家は意外と少ないんです。ですから、きちんとした省エネ診断ができる専門家を育成していくことも非常に大事だと思っております。
 それから、国と自治体の役割ということでございますけれども、これはキャップ&トレードに関して提案させていただいておりますのは、基本的に私どもは、日本全体で12億トンというCO2を減らす意味では、ボリューム的には一番大きな役割は国が負うべきだろうと思っております。そういう意味でいうと、国全体の排出量の中でシェアの大きい発電所とか製鉄所とか、そういう大規模なものについては国がしっかりと責任を持つということが必要だと思っております。同時に、そういうところだけにやらせればいいという話では全くございません。特に電力については、電力の供給側だけではなくて需要側もやらなければこれは減らないということは明らかですから、その部分については、非常に数が大きい需要サイドについての取組が必要であると。例えば省エネ法の第2種でいいますと、第2種だけでも1万5,000事業所がありますので、その全部を国の一つのセクションがやるということは考えられない。地方分権の流れからいっても反すると思いますので、そういう部分については自治体がしっかりと役割を果たしていく。そのような役割分担が必要ではないかと思っております。
 それから、義務化と負担の話がございました。これは定量的に申し上げるのはなかなか難しい部分でございます。ただ一つ言えることは、CO2削減のところがほかの環境施策と違うのは、CO2削減の努力というのは常にエネルギー消費量の削減ですから、時間がかかるけれども、光熱費の削減というメリットがあるということでございます。例えば、東京都はCO2削減に取り組む前にディーゼルの排ガス規制をしました。このディーゼルの排ガス規制をするときに、新車に買いかえていただくとか、あるいは既存の自動車についてはレトロフィットで排ガスの浄化装置をつけていただいたわけです。排ガス浄化装置をつけますと、排ガスはきれいになるのですけれども、むしろ燃費はちょっと悪くなる傾向があります。したがって、それはユーザーの方にとってはそういう意味でメリットはないことなんです。ところが、CO2削減については、これはエネルギー費用の削減につながりますので、そこはメリットが出てくるわけです。ただ、それがどのぐらいの期限でペイバックができるかということが問題であるということです。それが3年、5年という程度であれば、これはやっても大丈夫だと思うんですけれども、これが10年、20年という回収になりますと、なかなかイニシャルコストの調達ができないということになりますので、そこはイニシャルコストの調達をサポートするような何らかの仕組みが必要になってくるだろうと思っております。
 それからあと面的展開の話についてもご質問がございましたけれども、ここは自治体がまさに地域の都市づくりを担当する意味から、今後もっともっと大きな役割を果たしていかなければならないのではないかと思っております。
 あとは波力発電のご質問がございましたけれども、これはある意味で違和感があるとおっしゃいましたけれども、東京都が果たすべき役割というのは、実質的にはある程度目処が立っていて実用化が進んでいて、それが社会的なシステムの中でなかなか普及が進まないところに社会的な仕組みをつくって普及していくというのが基本的役割だと思っております。ですから、波力発電のように、相当実用化してきていますけれども、まだ実証的な研究が必要であるというものについては、普通はあまりやりません。ですけれども、なぜこれを東京都がやったかと申しますと、昨年の8月だったと思いますが、国のレポートの中で、波力発電についてはまだ大学の基礎研究段階であるといった評価がされておりました。しかし実際には、特にイギリスでは、つい最近の3月ですが、スコットランドで120万キロワットの規模の波力発電と潮力発電の商業段階のプロジェクトの開始といった段階です。ですから、そういう意味では8月の段階の国のレポートの現状認識は少し甘いのではないかということがございました。そういう中で、国内で波力発電に取り組んでいる事業者の方から、ここは東京都が呼びかけ人になってこういう検討会をつくってもらえないかというお話をいただきました。それにお応えして取り組んだのがこの波力発電検討会でございます。その検討の中で、相当日本近海にもポテンシャルがあるということもわかりましたし、マスコミにかなり大きく報道していただいたお陰で、国のほうでもかなり前向きに取り組んできていただいているという状況でございます。そんな経緯でやったのがこの波力発電の検討ということでございます。
 ほかにも幾つかあったと思いますけれども、時間の関係がありますので……。

○西岡委員長 どうもありがとうございます。
 それでは、合場さん、お願いします。

○三菱地所株式会社 たくさんあって、何からお答えしていいかわからないんですけれども、テナントとオーナーの関係では、エネルギーあるいは電気代が減るというメリットはどのぐらいあるかというご質問もあったかと思いますけれども、企業活動の中でエネルギーコストが占める割合は非常にわずかだと思います。だから、これがテナントを動かすインセンティブには事実上なり得ないなと思います。ただ、テナントの意識をどうやって高めていくかということについては、先ほどもありましたけれども、ビルのラベリングというのは非常に有効だなと思います。このビルに入っていることによって企業の価値が高まるとか、あるいは環境に配慮した企業であるということがアピールできるとか、金銭的な面よりもむしろそういった効果のほうが大きいだろうなと思います。
 あと、先ほど報告の中でも申し上げましたけれども、性能の高いビルに入居したときに何らかのインセンティブ、さっきはエコポイントと言いましたけれども、そんな発想がこのオフィスの世界にもあると、いいビルへ入っていくということで、非常に入居の促進になるかなという気がいたします。経済のメカニズムを利用するということが非常に大事だと考えております。
 それから、さっき面的な取組というお話があって、地方都市だとどうするんですかということです。確かに、大丸有地区は私どもが相当時間とパワーをかけて引っ張ってきていることは事実ですけれども、地権者がばらばらで、あるいは主体として非常に弱い地方というのはあるかと思いますけれども、今例えば成長戦略の中で語られている「新しい公共」という考え方自体は非常にいいと思いまして、タウンマネジメントの組織に対して人的な支援あるいは金銭的な支援が制度として行き渡るようにすることによって、組織を維持・運営するということには非常に困難を伴うものですから、そこのところへ助成すれば、うまくいくのかなという気がします。
 それから、省エネビルで賃料が上がるかということですが、残念ながら今の時点ではそういった兆候は全くありません。昨年の夏ぐらいに不動産経済研究所が、今不動産が金融商品化していて、省エネ性能の高さはそのビルの価格、価値にどうやって反映されるだろうかという調査をしたものがあるのですが、残念ながら投資家の皆さんでこれに反応した方はほとんどいないというのが、非常に寂しいんですけれども、現実であります。ただ、今ここでこういう議論もしているように、このビルの省エネ性能に対する世間一般の評価というのは、本当にあまり時間を待たないで来るのではないかなという気がします。ビルの価格評価も上がるし、例えば同じ建物が並んでいるのであれば、当然省エネ性能の高いほうへ行くということもあるし、先ほどアメリカの例を教えていただきましたが、LEEDを取得したビルは空室率も低いし、賃料は高いというデータも一応見てはいるのですけれども、日本ではまだありません。
 あとは、風の道の話がありました。これは、丸の内の中心のところに東京駅から皇居へ向かう行幸通りという何もない道路が幅70メートルほどでずっとあって、天皇陛下がお出ましのときとか大使の就任のときに使っております。ご記憶の方もいらっしゃると思いますけれども、東京駅の八重洲側には大丸デパートがあって、駅の上をちょっと塞いでいたのが、今はなくなりまして、皇居側から見ると本当にきれいに抜けていて、風の道というのが見た目でも実感できるようなことになっています。これは地域のコンセンサスが当然必要で、あの空間には高い建物を建てないということなんですけれども、これは石原都知事の非常に強い意思があったと思います。恐らく地権者個々の意見を聞いてやっていたら多分できていないのかなと思いますけれども、そういった首長の非常に強い意思というのがよくなることもあるかなと思います。(笑)
 もう一つは、こういった省エネビルあるいは私どもでいくと省エネのまちということで世の中に訴えたいと思っているんですけれども、日本が特にこの環境技術については現在でも秀でているし、今後、恐らくここ10年の間でも世界をリードできるような新しい技術の開発も進んでいくのではないかなと思います。そのときに、都市の国際競争力というのは経済面だけではなくて、環境面から日本のすぐれた技術を発揮する絶好のチャンスではないかなと思いますので、具体的な先ほどの経済メカニズムを働かせるということももちろん大事ですけれども、環境に対する人々、人類の思いというのを都市で表現するということが日本の進む道の一つではないかなという気もしております。
 ちょっと全部にお答えできなくて、申し訳ありません。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 大久保さん、お願いします。

○社団法人日本建設業団体連合会 先ほどの環境性能評価の関係ですけれども、東京都さんも導入されているわけですけれども、実はもうちょっと一般的な仕組みとしては、日本ではCASBEEという建築物総合環境性能評価システムがありまして、私どもでは2005年ぐらいから、会員企業がCASBEEを取得することをできるだけ奨励しようということで、調査をずっとかけてきております。これは5段階評価で、Sランクはすばらしいで、Aは大変よい、B+はよい、B-はやや劣る、Cは劣るということでしておりまして、会員企業は相当積極的に活用しております。意識の高い発注者の方は、何とかしてうちの建物はSに合うような設計をしてほしいということで、Sをたくさん取っていらっしゃる発注者の方もおられます。これができることならば、お客様、発注者の方々の資産価値とか賃料といったものに響けば、私どもとしても大変ありがたいことかなと思っております。
 それから、市場は形成されるかどうかということですが、今、三菱地所さんがお話しになりましたけれども、私どものほうも不動産協会とかビルヂング協会さんとこういう建物の環境性能についてはずっと意見交換等をやっておりまして、何かそのようにならないのかなという議論は、今調査といいますか、お互いに意見交換をやっているところでございます。
 それから、改修関係でメニュー、どういった改修ができるのかという部分についてどういう対応をされているかということで、実は従来、総合建設業としてはできるだけ新築のほうが仕事としては大きな仕事になりますしということで、どちらかというとやや後発部隊になっているわけですけれども、最近は非常に総合改修的なものが一つの大きな企業活動の分野になっております。メニューについては、先ほどちょっとお話ししましたけれども、この21日から公表しますサステイナブル建築事例集というものに、ホームページ上で101ありますけれども、そのうちの1割、2割ぐらいですか、改修とか保存の事例を載せてあります。私どもとしては初めてまとめたもので、恐らく非常に参考になるのではないかと思っております。会員各社は、もともとつくった企業のところにそういったものをもっていって、改修すればこういうことでこのぐらいの効果が出ますよといったお話をして、改修のご決心をお願いするということになろうかと思います。先ほど言いましたように、三菱地所さんのように非常にきちんとした経営理念に基づいて長期的な経営計画によってちゃんとやっていらっしゃるところは、そういうお話をして、きちんと段階的にやっていただけるのですけれども、問題は、そうでもないといいますか、どうしても新規投資というもの、それだけのお金をどうやって調達するんだということについて考えることが大変な企業というのがたくさんあると思います。それをどうやって説得するのかというのが、我々としても営業の範囲という意味では非常に大きな問題かなと思っております。
 インセンティブは何かという議論については、税制の問題とか、賃料が上がるではないかとか、そういったいろいろな議論はあるんですけれども、それはどちらかというと、これから何年、何十年かかっての話になりますので、先ほど言いましたように、新規投資をどうするかという議論をするときにはなかなかきかない。だから、どうしても補助金的といいますか、イニシャルコストを下げるような何らかの仕組みがないと、踏み出されにくいのではないかなと私どもは思っております。
 ご参考までに、先ほどの私どもの資料の5ページに、現状のインセンティブメニューというところで、オフィスビルの住宅・建築物省CO2推進モデル事業というのを国交省さんのほうで限定的にされまして、これはかなり好評であったと思っております。そういったものの一般化とか、あるいは耐震改修でマンション等についてはかなりイニシャルコストについて補助が出る、地方公共団体が入ってですけれども、そういうものがありまして、それは恐らく税制上の配慮とかそういったものより圧倒的にインセンティブとしては役に立つのではないかなと思ったりなどしております。
 それから、人の話は、先ほど言いましたように、各社とも今、真剣にといいますか、大きな分野として取り組んでおられますので、市場が広がれば人はついてくるのではないかなと思います。
 ということでよろしゅうございますか。

○西岡委員長 はい。どうもありがとうございました。
 1点、笹之内委員のほうから、11年基準67%は可能だろうかといった話がございまして、どなたか、見通しを述べてくださる方はいらっしゃいますか。大久保さん、いかがでしょうか。

○社団法人日本建設業団体連合会 既存について11年基準67%というのは、私どもとしては何ともお答えのしようがないというか、道筋があるという議論にはならないかと思います。

○西岡委員長 フローで、新築のフローで。

○社団法人日本建設業団体連合会 フロー。たしか2020年新築が100%でしたか。

○西岡委員長 よろしゅうございますか。もう一度。

○社団法人日本建設業団体連合会 2020年は16%でしたか。

○西岡委員長 笹之内さんのほうのご質問は。

○笹之内委員 ここに書いてあるとおりですけれども、このロードマップに「既存建築物の平成11年基準以上の基準達成率67%」とありますが、これはストックじゃないですかね。

○社団法人日本建設業団体連合会 ストックですね。新築100%、既存が67%ということですね。

○西岡委員長 すみません、今ここを見ていますけれども、上から何番目ですか。

○笹之内委員 この資料集というところの、中長期ロードマップ関連資料集の本冊の3ページの上に、このロードマップにおける2020年の絵姿ということで、既存建築物は2005年で6%が達成していますよと、2020年には基準達成率67%と書いてありました。

○西岡委員長 ありました。既存建築物の平成11年基準以上の基準達成率68%。

○笹之内委員 67%ですね。

○西岡委員長 67%、はい。というのはどんな感じですか。

○社団法人日本建設業団体連合会 よろしいですか。発注者の方がどうお考えになるかという部分がありますけれども、その上にあります、2020年、新築の達成率100%ということは、発注者の方の意識がそこまで到達するかどうかというのがまず第1、それからもう一つ、施工者がそのレベルまで到達できるかという議論が第2にあるかと思います。建築事業者というのは、私どもの関係はかなり大きな企業が中心ですけれども、非常に群小の企業の方がたくさんいらっしゃいますので、技術的にそこまでついてこられるかどうかというのは非常に難しい問題ではないかと思います。既存のほうは、先ほど言いましたように、発注者の方がどうお考えかというところが非常に難しい議論で、今の仕組みといいますか、何か言ったからどうなるという問題ではなくて、相当なインセンティブとか仕組みをつくらないと、技術的にも制度的にも何かをつくらないと、難しいというか、道筋としては見えていないと思いますが。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。なかなか難しい質問でございましたけれども。
 はい、どうぞ。

○高橋地球温暖化対策課長 ちょっと念のため、事実関係ですけれども、建築物の2020年時点でストックが平成11年基準以上の基準達成率67%というのは、これはもちろん既存のものをやるだけではなくて、建てかえも含めて、建てかえられる部分と、それから既存については毎年1%改修というのが前提で出ております。

○西岡委員長 どうもありがとうございます。
 それでは、どうもありがとうございました。非常に前向きのいろいろな取組についてお話しいただいて、それからロードマップ全体のつくり方についてもご意見をいただいて、どうもありがとうございました。それでは、後半に移りたいと思います。
 それでは、後半も3件お願いしております。最初に、特定非営利活動法人気候ネットワークの代表の浅岡様よりプレゼンテーションをお願いします。どうぞ。

○特定非営利活動法人気候ネットワーク 浅岡でございます。本日はお招きいただきまして、ありがとうございます。
 お手元に、気候ネットワークと私の名前でロードマップ小委員会ヒアリングについての意見ということで資料を出させていただきました。短い時間ということですので、極めて大ざっぱになります。また、私たちは、2枚目に書いてございますように、大きく国際交渉、国内の政策全般、また地域での取組全体をカバーしつつ地域でのコーディネート活動などをやっているというところでございまして、特にこの分野にということではなくて、全体について、我々の経験の中からこの今提起されておりますロードマップ提案につきましての意見を申し上げさせていただきます。
 3枚目でありますけれども、これは私たちの活動を少しご紹介するものでありますが、私たちは、政府の中にありましてなかなか国民的には共有されていない、もちろん業界の皆様、各企業の皆様はご承知であったり、政府の中でも所管しておられるところはお詳しいわけでありますけれども、なかなか国民的に共有されてはいない情報があると感じてまいりました。そうしたものを我々なりに独自の方法で入手いたしまして、例えば、ここにありますように、日本の排出源がどこからどのぐらいの割合で出ているのか、それぞれの排出源のスケールはどのようなものなのかといったことをお示ししながら、その排出源にふさわしい取組の仕方を議論していただく素材として提供しているところであります。
 特に、3ページ目の右側のグラフといいますのは、非常に大きな排出源は1事業所で2,000万トンを超える。わずか200番目ぐらいでももう数万トンになり、1万5,000番目ぐらいの省エネ第2種事業所の一番小さいところというのは本当に年間数千トンあるかといった大きなばらつきと、小口のたくさんの事業所。さらには家庭はよりより小口になるわけであります。こうした規模によりまして対策も違い、またロードマップも違ってくるだろうということであります。
 4枚目は、特に大規模排出事業所につきまして、年間数万トン以上を排出している数千ぐらいのところをオレンジ色で示しまして、ここにはしっかりした総量でのキャップ&トレードの制度を入れていくと、そこの削減の道筋。我々としてはこういう形でロードマップを考えていると、我々なりのロードマップだということでございます。そのほかのセクターは薄紫色で示しております。ここに家庭とか、業務などの中規模・小口のところが入っている。いずれにしましても、2050年80%削減に向けまして、大きくは、基本的にはこのように同じぐらい削減しなければいけないということで、具体的にはさらに細かくロードマップを考えるということが必要ではないかということであります。これは基本的な考え方のお示しでございます。
 こういうことを我々が提起してきているところの一環でありますけれども、5枚目からにつきまして、今回のロードマップ提案を拝見いたしました私たちなりの意見をざっと申し上げます。
 まず5枚目でありますけれども、全体といたしまして、政権がかわりまして、2020年25%という削減目標をしっかりと提示されまして、80%削減に向けて試算していこうという姿勢でありますので、それは大変歓迎しているところであります。いろいろ工夫の余地はあると思うのですけれども、ぜひ後退しないで、より精緻に高めていただきたいと思っているところであります。
 とりわけ今回の試算は、わずか1年前のことから比べましたときに、将来を固定すると、マクロフレームと言われるもの、産業構造なども固定するということが非常に大きな制約になりまして将来を狭めてきたと思うのですけれども、今回はそれをそうではない形で、もっと柔軟に将来を見ていこうという姿勢をとっておられるところは大変高く評価したいと思います。
 また、そこに将来の日本の経済的な発展の道もあり、雇用の創出もある。また地域を活性化するエネルギーも、自給率を高めるとか、安定供給にも資する。こういう見方でやっておられるということもよくわかりまして、歓迎したいところでございます。
 そして、こういう低炭素経済に向かうということについて、いろいろご懸念もあるわけでありますけれども、そういうことをどのようにトランジットしていくのかということを国民に見せながらそれぞれのセクターから意見を具体化していくというプロセスはとてもいいことであると思いますが、完成に至るにはさらに多くの方の知恵や関与というものも確かに必要であろうと思います。
 今日は、こうしたことを評価しつつでありますけれども、私どもが共通する問題として感じましたところは、こうしたロードマップというか、工程表と見られるところに若干こういう対策とかが盛られているところもあるように思いますけれども、政策の方向、対策・施策というものとの関連性、ではどうしてこれを実現するのかというあたりがちょっと弱いのではないか、欠けているところが多いのではないかと感じる次第であります。
 特に、6枚目でありますけれども、大どころにつきまして、非常にその部分を不安に思うところがあります。ロードマップというものは、実現する方策・政策・対策というものとの絡み合いの中でそれが適切であるかということを我々も評価していくことになろうかと思いますので、ぜひそのあたりを補強いただきたいと思うわけでございます。例えば、エネルギー転換部門のところを見ますと、これがその裏データなのかどうかはよくわかりませんが、資料の後ろのほうといいましょうか、国環研の資料の中には、直接排出でのロードマップ的なものを拝見いたします。確かに、電力・エネルギー転換部門で一番大きな削減を見込んでいるということはよくわかります。それは望ましいことだと、私たちもそうすべきだと思います。約半減しようということであります。しかし、具体的なエネルギー源で見ますと、どういう方針なのかというところに疑問を持つわけであります。非常に原子力が増えるということに期待されている。もう一つは、需要側で削減させて、供給側は原子力頼みになっているのではないか。
 この原子力頼みにつきましては、7ページのところにもありますが、確かにロードマップでも8基の増設または88%の稼働率ということを前提にされているようでありますけれども、これまでの経過から見まして、それはかなり無理な推計であろうと思います。これが実現できなければ25%削減には到底届かないように見えてしまうのは、電力部門の割合の大きさであります。その部分が日本の排出の3分の1を占め、その部分にこうした大きな不確定要素が入り、その実現のための方策は何かという点で疑問を感じ、施策というところは一体何だろうと思うところです。あるいはキャップ&トレードの発電部門というものを直接排出で対象にしないということをひょっとしたらもう前提にしているのではないか。このロードマップともう一つ、政策につきましての一つであります取引制度の小委員会とは別々にやっておりますけれども、本当はとてもリンクしているわけでありまして、この関係はさらによく行き来しながらやっていただきたいと思いますし、やはり直接排出で、ここにしっかりしたキャップをかけていくということは不可避だと私たちは思うわけであります。
 8枚目でありますけれども、これは、私たちも昨年の11月に発表いたしまして、ホームページなどにこの詳細も出しておりますが、25%、30%というのを達成するための我々なりのロードマップというものをつくったところでございます。そこでの排出セクターごとの構成というのが左上のほうでありまして、右のほうはそのエネルギー源のところであります。石炭を減らし、石油・原油を減らし、天然ガスを拡大するということで、この左上のほうのエネルギー転換部門の削減を実現していこうと、原子力についてはそれほど変わらないという状況の中でつくったものであります。これを実現するためには、化石燃料の消費に関するキャップ&トレードと、火力発電所に関するキャップ&トレードということが必要だと思っているということでありまして、今後この大どころの排出源の一つであります発電所につきましての政策があまり見えないようになっておりますので、ご検討いただきたいと思います。
 次に9枚目でありますけれども、ロードマップの次の発電所、エネルギー転換と直接排出ではほぼ同じ割合を持つ産業部門、この削減が大変少ないのではないかと思います。そのページにありますグラフは、各部門ごとの削減量というものと、それの90年の排出量に対する削減量の割合というものを、折れ線グラフになっておりますが、丸の点で示しております。エネルギー転換部門、ここは直接排出で数字を挙げておりますので、ここが大きくなっていることは評価するわけでありますが、製造業・産業部門が非常に少ないということであります。90年の全体の排出量に比べると、5%あるかないかというところでありました。特に鉄鋼連盟は470万トン、これは2%にすぎません。セメントもそれぐらいであります。もう少しここの部分についてロードマップを再検討いただくと、これはとりもなおさず排出量取引制度の制度設計にかかると思うところであります。
 次の10枚目は、私どもの調査で、また整理の仕方で発表しておりますけれども、例えば高炉製鉄所も、製鉄所ごとにエネルギー効率はこれぐらい違うということであります。それから火力発電所も、非常に古い天然ガスの発電所というのは非常に効率が悪いということがわかります。そろそろ更新の時期を迎えてくるわけでありますが、そこを十分に2020年にも更新していくロードマップを築いていくことによって随分とエネルギー転換部門の政策は変わるのではないかと思い、そのための資料であります。また必要であれば、後で詳しく説明したいと思います。
 次の11ページでありますけれども、こういう一番簡易版におきましてもここに張りつけました表がついておりまして、間接排出で書かれていると、今まで申し上げましたようなエネルギー・発電所の問題が見えないという点はやはり問題ではないかと思います。間接排出で国民が理解するという視点ももちろん大事でありますけれども、こうした政策の方向性というものを議論するときには、もう一方で直接排出のグランスというものがあわせて表示されて、トータルとして政策の提案をしていただくことが必要ではないかと思いますが、さらにこの表示におきまして、家庭だけではなく、業務と運輸を「日々の暮らし」ということでまとめてしまっております。「日々の暮らし」というときに国民が何を思いつくかといいますと、誠に家庭と思うのではないか。しかし、業務はもちろん、先ほどお話しいただいたような建築物に関すること等、とても大きなビジネスの問題でありますし、運輸も3分の2はビジネス系のものでありますので、こういう表示の仕方も国民には誤解を招かないだろうかと思います。需要側対策としてこういう観点をしていくということについての表示で、その需要側対策が必要だという点は私たちも本当にそのとおりだと思っておりまして、それもこのスケールとかものによって少しずつ変わるのではないかと思います。
 次のスライドは、東京都からいろいろ先駆的な先進的なお話をいただいており、私自身は京都におりますし、気候ネットワークの本部も京都にあるわけでありますけれども、東京都の政策にはそういう地域ですぐ活用できるものとできないものとがあるにはあるのですけれども、こうしたキャップ&トレードにつきまして、10万トンとか数万トン以上の大規模の500~1,000ぐらいの事業所について、国がしっかりした検証制度を持ったキャップ&トレードを入れ、直接排出を入れるということとともに、1万を超えるような第2種事業所あたりまでのところを需要側管理も含めて地域で管理する仕組みをキャップ&トレードという中でやっていってはどうか。それを地域の中にうまく組み合わせる仕方によりまして、地域のその他のセクターの取組をうまくリンクさせる。森林対策などをリンクさせたりといった地域の工夫の余地も加えながらやる。この2つは別物として、クレジットや互換性を持たせない形で制度設計すると、地域で見ますと、大変実情に合った仕組みとも思います。地域の中の発電所とか高炉製鉄所のようなところは国にしっかりやってもらって、中小のところは地域でいろいろな人の参加のもとにやるということであります。
 次のところは需要側対策で、東京都のような大どころではなくて、中規模の京都のようなところでどういうことをしているかということでありますが、私たちのところでも、これまでの条例などを今グレードアップしていこうと、即東京都さんの制度をそのまま導入とはいかないのですが、取引制度なども入れていくという検討を今しつつあるところであります。目下のところは大規模事業者などの報告制度のところにとどまっておりますけれども、ただ京都の場合には、一つ特徴的なところは、環境政策としてではなくて、京都市の基本計画として、2020年、2030年、これを第1課題といいましょうか、5つぐらいの課題の第1に「低炭素のまち京都」をつくること、これを2050年ぐらいまでの長期課題と見てやっていこうという議論ができるようにはなってきております。
 大規模事業所ではないところをどうするかという仕組みで、診断・助言という細々とした非常に手のかかる仕事をやる仕組みをいかにインセンティブを持たせながらやるかというさまざまな工夫をしながらしているところでありますが、このKESと呼んでいるようなものを公共調達条件に入れていくということも一つであります。
 最近のおもしろいのは、京都シニアベンチャークラブというところであります。これは、割と今全国に広がりつつあるのですけれども、主に立石電機という製造会社のOBの方々がその技術を生かしてつくられたものでありまして、立石電機自身、会長さんが、25%削減は歓迎、これは企業を強くすると言ってくださるようなところであるのですけれども、そのOBの人たちが中小企業、月の電気代が100万円以上ぐらいのところから1,000万円ぐらいのところを対象にしまして、立石電機の計測器を使いまして非常に細かく見ていく。それで数十万円の投資で3分の1、30%も電力消費が減ったという例もあって、何でこうなんだという話が出てきているということでありました。それをさらに家庭バージョンに広げていくということでありまして、ここにはそうしたことを実際に担っていく専門性もありますし、人手、数というものも要りますし、それを動かす、ある意味で若干の資金的な仕組みというものも要りますが、こんなことにつきましてもやりつつあるところであります。
 交通対策につきましては、まさに地域都市計画そのもの、まちづくりそのものでありますし、歩いて暮らせるまちというもの、あるいは低層のまちというのが京都のこれからの柱でございます。
 各地でこうした工夫をしているのですけれども、自治体が温暖化対策の実を上げるには国の政策こそが重要だということを最後に申し上げておきたいと思います。
 とりわけ、国の大口排出源への総量規制と、ここはしっかり責任を持っていただく。そういうことを通じた電力の排出原単位をしっかり改善していただいて、それを前提に地域で需要側対策をするということでないと、これまでのところは本当に電力の排出原単位の変動というものに自治体は非常に振り回されてまいりました。ここは本当に必要不可欠だと思います。
 また、再生可能エネルギーを地域でもちろん広げなくてはいけないのですけれども、これこそ国のしっかりした買取制度がその地域の自然資源エネルギーにどれでも使えるということが大事でありまして、ちょっと太陽光に偏重している現在の仕組みと議論というものを改善していただきたいと思います。
 それから、業務・家庭を問わず、私は、先ほどの議論ではありませんけれども、建築物の建築基準法上の規制というものなくしてこの制度はなかなか変えられない。既設のものにつきましては、もう少し地域に合った工夫を今我々も考えつつあり、議論していきかけたところであります。
 また、家だけではなくて、機器につきましても、省エネ規制そのものはしっかりやっていただくということが必要だと思います。
 とりわけ地域につきましては、エネルギーの消費データが本当になかなか入手できないというのが自治体の共通の悩みであります。これは、電力・ガスなどの供給事業者の方にそうした情報提供義務を、これは自治体でやっていいのか、国と一緒にやるのか、こうしたことは必要だと思います。
 交通対策につきましては、本当に警察とぶつかってしまったりということで、やりたいことがなかなかできないというところであります。自治体がやりたいことの障壁をなくしていただくというのは国の役割である。そういうことで地方の力も引き出すことができると思います。
 森林や第一次産業についてといったものを高めていくというのは、どの自治体も本当にやりたいと思っているところでありますので、そうしたことにお金の回る仕組みというものが何といっても大事でありますけれども、私などは、アメリカの法案の中で、取引制度の中にそうした自治体の排出枠を入れていくとか、オークション収益を回すとか、これらの発想は日本においても十分取り入れていただけることなのではないかな、やっていただくべきなのではないかなと思っております。
 以上、国の制度の改善をお願いいたしまして、私の意見とさせていただきます。ありがとうございました。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、社団法人住宅生産団体連合会の専務理事佐々木さんにお願いします。

○社団法人住宅生産団体連合会 ありがとうございます。住宅生産団体連合会の専務理事の佐々木でございます。私どもからは、住宅業界における低炭素化に向けての取組ということ、その今後の課題といったことについてご報告をさせていただきたいと思います。
 お手元の資料でございますが、まず最初のほうに、もう皆様ご案内のとおりの、我が国のエネルギー消費の中で、家庭部門、住宅の中で使われているものがどのような状況にあるかというデータでございます。
 その2枚目にございますように、各部門の中で、家庭部門については90年比38%といった伸びが結果として出ているということが常々指摘されているわけで、これに対してどのように取り組むのかということについてご議論かと思います。
 次の5ページでございますけれども、住宅のライフサイクルの中で、住宅を建てる段階、それからそれを使う段階の中で、全体でどのようにエネルギーが使われているかということでございます。住宅というのは、ご案内のように、資材をつくって、それを建設して、その中で人が生活をして、途中でリフォーム等もしながら、最終的にはそれが除却され廃棄されるというプロセスを経るわけでありますが、その中でどの段階で一番エネルギーが多く使われているかということについては、ご案内のように、87%はもう居住段階であるということでございます。また、残りの十数%の中に建設段階のエネルギーもあるわけでありますけれども、建設段階のエネルギーについては、作業員の移動ということで、建てるときに使われているものは大体それが6割弱といった状況であるということでございます。
 そういうことで、住宅をつくる立場といたしましては、一つは、住宅をつくるためのエネルギーが少なくなるように努力するというのは一方であるわけでありますが、もう一つ、非常に大きな役割としては、使用段階、生活段階におけるエネルギーの削減ということに役に立つような住宅をどのようにつくるかということが大きな課題であると認識して業界でも取り組んでいるという状況でございます。
 それでは、一方で我が国の家庭におけるエネルギー消費量の現状がどのようになっているかということについて、次に3枚ほどデータがございます。
 まず国際比較でありますけれども、これはちょっとデータが古くて恐縮ですが、2001年の主要先進国と我が国の用途別の家庭部門のエネルギー消費量の内訳でございます。ご覧のように、我が国は2001年段階で年間1世帯当たり41GJ、カナダが112GJということで、ほぼ3分の1、あるいは欧米諸国の半分程度だということであります。
 また、その中で特に暖房用のエネルギーについては、我が国では41のうちの12ということで、30%にとどまっているということでございます。裏返して言うと、要するに暖冷房エネルギーの削減のポテンシャルというのはこの範囲にとどまるということをまず申し上げておきたいと思います。
 次に、地域別の家庭用のエネルギー消費量の現状でありますが、7ページにございますように、北海道では、これはご案内のように、従来から暖房が非常に普及しておりましたので、多いわけですけれども、関東以西といいますか以南では大体同じような内訳であるということでございます。
 そういったことの中で、家庭における用途別エネルギー消費量の実態がどのように推移してきたかというデータでありますが、8ページでございます。そこでご覧いただけますように、エネルギー消費量の実態としては、暖房用とか冷房用、冷房用は若干増加しておりますが、給湯用というものはほぼ横ばい程度の状況にあるという中で、照明・家電に使われているエネルギー量の伸びが非常に大きいということをまずここでご認識いただければと思います。
 私どもは、こういった我が国の家庭におけるエネルギー消費量の実態、あるいはどの部分でどういう形でそれが多く使われるようになってきたかということについての理解というのがまだ十分行き渡っていないのではないかと。例えば、一般の方に「お宅の中で一番エネルギーを使っているのは何でしょうか」というお尋ねをすると、「冷房」というお答えであったり「暖房」というお答えであったりするというのが一般的かと思います。この点は、例えば夏になると、クーラーの温度を下げましょう、あるいはクーラーを切りましょうといったキャンペーンが行われるわけで、これは非常に大きなピークカットの問題として指摘されているわけで、そういった意味で国民の方にはそういったメッセージは伝わっているのだろうと思いますが、そこには実際に使われている部分というものとのギャップがあるということをまず国民に十分ご理解いただく必要があるのではないかとも思います。
 次に9ページでございますけれども、それでは我が国の住宅の着工の状況がどうなっているか。新築の状況でありますけれども、もうご案内のように、かつては年間、一番多いときで百数十万戸、180万戸といった時代もありましたけれども、ここ数年100万戸から120万戸ぐらいで推移し、リーマンショック以降、非常に大きく落ち込んでおります。昨年はついに80万戸を切るという状況でありまして、45年ぶりの低水準ということでございます。今、政府のほうのいろいろな刺激策ということもありまして、若干回復基調にはございますけれども、恐らく今年も80万戸台の半ば程度ではなかろうかというのが業界の平均的な見方でございます。今後、世帯数の増加がとまるといったことも含めて、住宅の着工がどのようになっていくかということでありますけれども、長期的には、今までのような100万戸を超えるようなペースというのはなかなか難しいのではないかというのが一般的な理解でございます。そういう中で今後住宅業界としてどのように取り組んでいくかということが一つの大きな課題と思っております。
 次に、10ページから住宅における省エネルギー対策の経過についてご説明させていただきます。もうご承知の方も多いと思いますが、繰り返させていただきますと、まず住宅における省エネルギー対策としては、断熱構造化ということが一つの大きなテーマでございます。暖房用あるいは冷房用のエネルギーの削減ということでありますが、昭和55年以前には我が国で公式な住宅の断熱化に関する基準的なものはございませんでした。省エネルギー法というのができまして、最初に昭和55年に基準ができたわけでありますが、これは関東地方の例でございますけれども、例えば外壁に入れる断熱材であれば、グラスウールであれば30mmといったものが昭和55年の旧基準と呼ばれているものでございます。次に、平成4年に新基準というものが策定されまして、グラスウールが55mmに上がり、平成11年には次世代省エネ基準ということで、100mmというものになったわけでございます。例えば窓等につきましても、55年の段階では通常のアルミサッシプラスガラス単板1枚といったことから、次世代省エネ基準、平成11年基準になりまして、二重サッシあるいはアルミサッシプラス複層ガラスといったものがその中に決められたわけでございます。
 この段階を追うごとにエネルギー消費にどのように影響があるかということなのですが、一番下にございますように、昭和55年以前、ほとんど断熱化されていない段階のものを1といたしますと、今の次世代省エネ基準に適合すれば、0.37、およそ3分の1のエネルギーに低減できるといったことになります。
 それでは、この断熱構造化が一体どの程度普及しているかということで、この点についてはいろいろ厳しいご指摘もあるわけでありますけれども、次の11ページにございますように、次世代省エネ基準への適合の状況でありますけれども、依然として低いと申し上げざるを得ないということであります。恐らく新築の1割ないし2割程度ではないかということが言われているところでございます。
 そこに折れ線グラフがありますけれども、これは住宅の新築における性能表示制度の中で次世代省エネ基準にどれぐらい適合しているかということなのですが、その推移がございます。2007年で大体36%、3分の1強ということであります。性能表示制度を使うこと自体が消費者の選択でございますので、ある意味では意識の高い消費者あるいは意識の高い住宅供給業者にこの性能表示制度が使われているとご理解いただきたいと思うのですが、その中でも3分の1程度にとどまっているというのが現状であるということでございます。
 それから、高効率設備機器の普及ということであります。これはご案内のように、エコウィルとかエコジョーズとか、いろいろな商品がございます。そういったものの普及率はそこにあるように順次拡大して、住宅業界としてもその普及に積極的に努力して、PRに努めているという状況でございます。
 それから、新エネルギーでございますけれども、14ページにございますように、太陽電池を装着したものの販売、あるいは太陽熱温水器につきましてはいろいろな事情の中で若干普及が足踏みをしておりますけれども、そういったものの普及を進めているという状況であります。もう皆様方は、最近の住宅メーカーのテレビコマーシャルを見ていただければ、環境、環境ということで売っているということについてはご理解いただけていると思います。
 それでは、今後これをさらに進めていくためにどういう課題があるかということにつきまして、私どもの意見も含めまして、15ページ以降、触れさせていただきたいと思います。
 まず1つ目は、長期的・計画的な政策の実行と継続がぜひとも必要だということでございます。住宅というのは、ご案内のように、非常に長期にわたって使い続けられる資産でございます。我が国の住宅の寿命は欧米諸国に比べて短い。これをどのように延ばしたらいいかということについて、政府のほうでもいろいろご検討され、長寿命住宅ということで法律もつくって、その普及を進めておられるわけであります。住宅業界としても、この普及に積極的に取り組んでいるわけなのですけれども、今後住宅の寿命がさらにそういったものの普及も含めて延びていく。そういう中で、少なくとも数十年以上にわたって使い続けられる日本の資産であるということでございます。したがって、この住宅の低炭素化という取組についても、長期的な視点に立って、計画的な政策の実行と継続が重要であるということであると思います。
 それから、その目標の設定に当たっては、それを実現していくための政策を同時にパッケージとして定めて、それを進めていく。しかも、その政策については安定的・継続的に進めていくということが重要ではないかと思います。先ほど太陽光発電の普及状況のデータを申し上げましたけれども、これが補助金の増減に非常に大きく影響されてきたということについてはもう改めて申し上げるまでもないと思います。
 それから、2つ目、家庭部門の実態に即した対策ということであります。先ほど申し上げたような家庭におけるエネルギー消費量の実態、どういう部分が大きく増加しているのか、あるいはどういう部分に削減余地があるのかということについて、そういう実態を踏まえた効果的な対策について進めていく必要があると考えております。そういう中で、断熱構造ということも一方にございますけれども、例えば設備機器の効率性向上等も含めて、あるいは新エネルギーも含めて、総合的・一体的に進めていくということが重要であると思っております。
 それからもう1点、3点目は、我が国の気候風土に対する配慮、それから地域・各種文化に対する配慮ということが必要であろうと思います。先ほど申し上げたように、我が国のエネルギー消費量の実態は、地域によって大きく差がございます。それから、住宅の立地条件あるいはそこで生活する方のライフスタイルということによって多様性が極めて大きいということについて、あるいは住宅に対する生活観、価値観というものも極めてバリエーションがあるというに対する配慮というものが必要であろうと思います。例えば、そういう中で、我が国の伝統的な工法、真壁造の建物をどうするのか。あるいは、ログハウスといったものについては、ご承知のように、これは断熱材を入れるすき間はないわけでありますけれども、そういったものはどのようにするのかといったことについて、室内における環境レベルの問題と同時に、十分に議論がなされる必要があるのではないかと考えております。
 それから、先ほど次世代省エネ基準の普及率の状況についてご報告させていただきましたけれども、これを今後上げていくためにはどうしたらいいのかということであります。まず、4番目にありますように、中小事業者に対する技術的な教育・支援ということについて強力に進めていく必要があると思います。我が国の住宅は、大手メーカーは非常に技術力もあり、また生産的にも安定してございますから、今それなりの普及率にあると思いますけれども、中小メーカーのところの対応力は非常に低いレベルにとどまっているということは申し上げるまでもないと思います。ご案内の方もいらっしゃると思いますが、住宅建設業界というのは、非常に中小事業者のシェアが大きい業界でございます。注文住宅の分野で年間30万戸強の注文住宅が建つわけですけれども、大手の5社のシェアを全部合わせても1割強でございます。年に数棟程度やるような中小事業者のシェアが、その中では、例えば3分の2とか、そういう非常に大きな部分を占めているということで、今後その部分の技術力向上というのが非常に大きな課題であると考えております。これは単に断熱材を入れればいいのではないかとかということではなくて、例えば断熱性能を上げると、わずかな断熱化の施工のミスといいますか、すきが非常に大きな結果を生むということであります。断熱化の場合に、技術的な言葉で恐縮ですが、十分な断熱がされない部分が残ると、そこが例えば結露ということにつながるということで、断熱性能を上げると、そういうところの目立ち方といいますか、大きな問題につながるということでございます。そういう意味での施工力の向上等も含めて、あるいは設計力の向上も含めて、非常に大きな努力が必要だということでございます。そういう意味で、中小事業者の技術力の向上等も含めて、この断熱化の普及のためには、住宅購入者の理解も含めて、段階的に適切なプロセスを経て進めていっていただくということがぜひとも必要であろうと考えております。
 次に、費用の問題でございます。(5)でございますが、断熱構造化という言葉を先ほどから使っておりますが、断熱構造だけではなくて、高効率の整備機器の導入も含めてなんですけれども、費用負担の問題がございます。最終的にはこれは購入者の方、お建てになる方の負担ということになるわけですけれども、先ほどの平成4年の新基準から次世代省エネ基準へ引き上げるためのコストですけれども、大体新築で1坪当たり3~4万円程度ではないかと言われております。大体建設費の1割弱という費用がかかってくるということでございます。そういった建設費の引き上げ等には国民の理解が不可欠であろうと思います。
 それから、断熱構造ということについては、例えば最近は吹き抜け部屋が増えたり、そういうことで、断熱構造化とその結果、効果についての見え方が非常にわかりにくくなって、難しくなっていまして、そういうことについての説明の仕方にも私ども業界の努力も必要ですが、国民の間にも努力が必要かと思います。それで、端的に言いまして、例えば高効率の設備機器、それから太陽光発電等も含めて、お客様にぜひこれをやろうではないかというふうにご理解いただくには、投資回収期間が10年を超えるようなものについてはなかなかお勧めが難しいといったことでございます。
 それから(6)、時間もございませんので、リフォームの問題については、極めて難しい、なかなか普及が進まないということについて、努力いたしますが、強力な支援が不可欠であると思っております。
 それから、先ほどオフィスビルの業務もございましたけれども、賃貸住宅については、これは家賃に転嫁できるかどうかという問題になりますので、こういったことについて、やはり重要な大きな問題、国民的な課題だと思います。
 それから最後に、住宅性能の見える化とCO2排出削減行動の推進ということについて、私どももその性能の見える化については努力したいし、さらなる手法について、ぜひともまた国のほうでも取組をお願いしたいと思っております。
 ちょっと時間が長くなって恐縮でございます。以上でございます。

○西岡委員長 どうもありがとうございます。
 それでは、一般社団法人日本自動車工業会温暖化対策検討会の主査でいらっしゃいます丸山さんにお願いいたします。

○一般社団法人日本自動車工業会 ご紹介にあずかりました丸山です。本日は、我々自工会の取組と同時に、ロードマップに対する意見を述べさせていただきたいと思います。少し枚数が多いものですから、はしょってご説明をします。ご質問がございましたら、後ほどお願いいたします。
 まず最初に1ですけれども、運輸部門のCO2と自動車業界の取組でございます。スライドの3ですが、グラフにありますように、日本の運輸部門のCO2の排出量は、2001年から減少基調に転じております。最近の運輸部門の例でこれほどのペースでCO2が減少しているのは、ドイツと日本ぐらいです。ですから、これは一つの成功例として世界に誇ってよいと思っております。
 自工会が計算したCO2の削減効果が3つ書かれています。ここにあります[1]の車の燃費向上以外にも、交通流の円滑化・エコドライブ、物流効率化等、多くの要素が削減に寄与しております。つまり、総合的な取組の成果と考えられます。
 次のページに行きます。燃費技術につきましてご紹介いたします。自動車会社各社は、ここで示したようなさまざまな技術を駆使して燃費を改善してきております。左の絵にございますように、大物技術であります可変バルブタイミングあるいはCVTといったものの採用率が目覚ましく上がってきております。また、ほかにも一部右の表の中にアイテムが書いてございますけれども、実際には0.01%の技術を100個積み上げてようやく1%上げるといった、実に細かな技術の積み上げによって燃費改善に努力しているというのが実態でございます。
 続いてスライド5です。燃費の推移ですが、自動車業界は、マンパワーと投資を短期間に集中的に投入した結果、このようなハイペースで燃費を改善してきております。これは正直に申し上げて、全力疾走してきているということでございます。
 次のページに行きますけれども、これまでの乗用車の燃費を1995年から2005年まで10年間で見てみますと、約25%アップというハイペースで向上しています。今後もこれは直線的に向上していかなければいけないと思っています。その場合には、2020年でリッター当たり21km、2005年比で35%アップということになります。これは、次世代自動車を含んだ数字でございます。
 次のページに行きます。スライド7です。この図は、ガソリン乗用車の3種類の燃費を表現しています。一番上にございます青の線は、先ほどお見せした新車の平均のカタログ燃費です。その下の赤い線は、古い車も含めて、日本の保有車全体の平均カタログ燃費です。ご覧のとおり、新車の燃費よりも遅れて改善してきているのが確認できると思います。これは、車の寿命が平均約13年と長いために代替に時間がかかって、燃費の改善効果に時間がかかるためでございます。CO2の実際の排出量の計算には、このカタログ燃費ではなくて、一番下に書いてあります緑の実走行燃費を使います。カタログ燃費の赤の線と比べますと約3割ほど落ちていますけれども、重要な点は赤の線と緑の線が常に同じだということでありまして、カタログ燃費を改善すれば、必ず実走行燃費も改善されるということでございます。
 次のページに行きます。改善効果のケーススタディをやってみました。3つのケースで、上の絵が新車の燃費でありまして、赤い色が2005年から燃費を固定した場合、青い色が現状の燃費改善ペースを維持して直線的に上げていった場合、緑が2015年以降燃費を固定してしまった場合という3つです。下側の図は、その結果CO2がどうなるかを計算したものです。赤の燃費の固定の場合でも、古い車が新型車に代替されることによりましてある程度はCO2が削減されます。ですが、当たり前ですが、青のライン、つまり現状の燃費改善ペースを維持した場合が最もCO2は少なくなります。ただし、2020年時点で切ってみますと、2015年以降新車の燃費を固定した緑のケースと青いケースでは200万トンしか差がございません。ここでおわかりのように、燃費改善というのは、2015年よりも以前に相当やっていないと、実際に2020年度のCO2の削減には効果が出ないということでありまして、つまり、今後の時間を考えますと、我々にとってはモデルチェンジ1回分くらいのチャンスしかないということでございます。ですから、2020年のCO2を論じる場合と、もう一つ長期の2030年のCO2を論じる場合とでは、考え方を変える必要があると思っています。重要なのは、2020年度までに焦って無理な対策を検討するよりも、2030年以降を期待した長期的な検討がサステイナブルな実効あるCO2削減を可能にすると考えております。
 続きまして2番目ですけれども、総合的対策の重要性について述べます。スライドの10番ですが、先ほど申し上げましたように、CO2削減には、カタログ上の燃費を改善するだけではなく、実走行燃費との乖離を縮小することも重要です。具体的には、渋滞対策あるいはエコドライブなどが必要となってきます。こういった総合的対策には、円で書いてありますけれども、自動車メーカー、政府、燃料メーカー、国民の皆様が一致協力して取り組むことが必要となります。
 次のスライドの11ですけれども、この総合的対策は、英語ではここに書いてありますIntegrated Approachと呼びます。日米欧の自動車業界や日本の国土交通省などが、世界中でこのIntegrated Approachを提唱しているところでございます。
 続いてスライドの12です。渋滞緩和というのがなぜ効くのかということを示しているのですが、具体例で車の平均速度とCO2排出量の関係をここで示しております。平均車速が20km/h向上すると、同じ車でもCO2の排出量が約40%も削減されることがわかります。道路をつくりますとCO2が増えるとおっしゃる方もいらっしゃいますけれども、誘発的な交通も含めて考えても、都市部で渋滞が発生しているような場所では、道路やインフラの整備によって渋滞を減らせば、確実にCO2を削減することができます。しかしながら、ロードマップには渋滞解消のためのインフラの施策というのがありませんので、ぜひこれのご検討をお願いしたいと考えます。
 続きましてスライドの13で、ロードマップの参考資料に対して少しご意見を申し上げておきますけれども、少し小さい字で見にくいですが、この右のほうの図は、渋滞がなくなって平均速度が速くなると、1人当たりのCO2排出量が増加するように見えるわけですけれども、データが間違っているわけではないのですけれども、縦軸・横軸の関係をよく考えると、少し誤解を生じるかなと思います。右上のほうにプロットされているものは主に地方です。左下にプロットされているものは主に都市部のデータです。地方では、人口密度が低くて、走行距離が長いので、1人当たりのCO2排出量が多くなっています。都市部はその逆です。つまり、これは1人当たりの走行距離も含まれた図になっていますので、平均車速が速くなるとCO2が増加するという見方をするのは正しくないと思っています。先ほどの繰り返しになりますけれども、渋滞している都市部では、渋滞緩和による平均速度向上というのはCO2削減に大きく寄与すると考えています。
 続きましてスライドの14ですけれども、もう一つ実用燃費を上げる方策として、エコドライブがございます。貨物事業者さんは既にかなりエコドライブを実行されています。ただ、乗用車ではまだまだだと思っています。我々自工会も、それから自動車会社各社も、毎回エコドライブにお手伝いするために、燃費計などのエコドライブツールを普及させつつあります。現在、普及・販売されている乗用車の3台のうちの2台以上に何らかのツールがついています。今後も増えていくと思います。また、自工会としましては、さまざまなキャンペーンにご協力して、エコドライブの普及活動に参加してきております。ただ、ロードマップの中で、2020年にエコドライブによってCO2を500万トン削減となっているのですけれども、これを達成するには、従来のような草の根的な活動以外に、環境省を初めとした関係各省庁が率先して、例えばクールビズのときのようなトップダウン的な活動をすることで、このエコドライブの認知度の大幅アップを図っていただく必要があると考えております。
 続きまして3番目に、次世代自動車の現状です。スライドの3-1には今販売されています次世代車の写真が載っていますが、さまざまなタイプがございます。
 スライド17に行きまして、こういった次世代車の保有台数の伸びですけれども、ハイブリッド車を中心として、既に100万台を突破しました。しかしながら、全自動車の保有台数の約1.4%にすぎませんので、今のところはCO2削減への寄与はまだ小さいです。従来車の燃費向上技術というのはだんだんもう頭打ちになってきますので、私たちとしては、将来の強力なCO2削減手段としては、次世代車に期待をかけております。
 スライドの18は、型式がどれぐらい増えているかという例を示していますけれども、現状では、軽を入れて全体で1,000形式中26形式まで増えてきております。
 それから、スライドの19です。年次当たりの次世代車のシェアですけれども、エコカー減税あるいは補助金を開始した2009年度におきましては、次世代のシェアが急増しまして、約10%にまで拡大しております。それ以前は2~3%でした。
 それから、スライドの20ですけれども、ハイブリッド車がどのように売れているかというのをご説明します。今販売しているハイブリッド車が全部プロットされているのですけれども、実は売れているのはプリウスとインサイトだけという状態でございます。今後、次世代車の車種を増やしていったときに、次世代車の販売台数はどれぐらい増えるのか、これから予測するのは大変難しいという状況でありますが、今のところ車種数と販売代数は比例しておりません。
 続いて4番目、次世代車の今後の普及に対する課題について述べさせていただきたいと思います。スライドの22は、消費者の選択を示しています。車種を増やしたから次世代車が増えるかということなんですけれども、例えば、地方では車を生活必需品として考えて買っていらっしゃるお客様がいっぱいいらっしゃって、赤枠に書いてありますとおり、購入条件の上位は、価格が安いということです。したがって、次世代車の価格が高いと、この購入はなかなか促進されないのではないかと考えております。
 それから、次のスライド23は、次世代車における技術的な問題について述べております。バッテリーとか燃料電池といった要素技術につきまして、性能・コストが今ネックです。二重箱で書いてあります政府の次世代自動車・燃料イニシアティブがありますが、これを策定した当時に比べますと、バッテリーの性能・コストは飛躍的に改善されてきておりまして、既に実用域に入っているわけですけれども、2030年の大変厳しい目標に向かってはまだこういう今のバッテリーでは全然対応できないということで、この目標に向かって邁進しているところでございます。
 スライドの24ですけれども、我々は決して次世代自動車に対して悲観的になっているわけではございませんし、最大限の努力は払わないといけないと考えています。これから10年、2020年ごろに技術的な大きなブレークスルーを何としてでも成し遂げて、2030年には画期的な次世代自動車社会が構築できるように努力したいと考えております。
 スライドの25ですけれども、次世代車の普及には政府の支援が不可欠ですので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。ただ、ロードマップに5.1兆円という数字がございます。次世代車を約50%普及させるには5.1兆円が必要と書いてあるのですけれども、我々としてはもう少し高い額が必要なのではないかなと思っているんですけれども、5.1兆円の根拠とか、あるいは政府が本当に負担できるかなど、明確に教えていただきたいと思います。
 それから、現在の政府の単年度予算方式では、2020年まで一貫して支援が保証されるということではないので、もし我々が次世代自動車の開発に大規模投資をして、それで失敗してしまうと、経営の根幹を揺るがす大打撃を受けることになります。このようなリスクの中で自動車メーカーが積極的に投資するためにも、政府におかれましては、具体的な金額を示した長期的なコミットメントをぜひお示ししていただきたいと思います。
 それから、ロードマップ全体ですけれども、環境省さんだけではなくて、関係省庁と十分議論し整合した上で、政府として一貫性のあるロードマップをぜひお願いしたいと思います。
 続きましてスライドの26です。あと少しですけれども、4つ目の課題は、我々自動車業界というのはグローバルにビジネスをしているという点であります。たとえ日本国内で次世代車が急速に増加しようとも、海外ではまだまだ従来車が中心であります。したがって、我々日本の自動車業界は、従来車と次世代車それぞれ並行した同時開発が必要になります。当然多大な経済的投資を伴いますけれども、大幅な開発技術者の不足を招くことになりますので、これについてもご理解をいただきたいと思います。
 スライドの27ですけれども、ロードマップの中には、経済効果としまして幾つかプラスの効果が書いてあります。2020年に次世代車が50%を占めるのですけれども、自動車の販売全体は2割減ると書かれています。それから、次世代車が普及すれば、バッテリーメーカーなど関連の企業は収益を上げ、経済にプラスの効果をもたらすということは理解しますが、一方で、使われなくなる部品もありますので、そのマイナス分も考慮する必要があります。したがって、トータルとして雇用創出などプラスの経済効果が本当にあるのかということについては少し疑問がございます。これ点についてもお聞かせいただければと思います。
 最後のページです。スライドの28ですけれども、我々自動車業界は、次世代自動車に大きな期待をかけております。ただし、その普及のペースが重要でございます。焦って過度な普及を目指すよりも、サステイナブルなCO2削減を目指すことが望ましいと考えております。それが結局は最終的には経済的にも日本を活性化するのではないかと考えております。自工会では、2020年に、仮に政府の支援がないとした場合には、次世代自動車のシェアは10%+αと予想しています。政府が50%の目標を達成させるには、政府の責任において、補助金、優遇税制、インフラ整備等、普及促進策をとっていただくことが大変重要でございます。
 以上、意見を申し上げました。ご清聴ありがとうございました。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、先ほどと同様に、今度は屋井委員のほうからでよろしいですか。はい。もし意見があったらお願いいたします。

○屋井委員 時間がないので手短にということで、少しだけということになりますが、浅岡さんのほうからご提案いただいたいろいろな項目がありますけれども、1点だけ、11ページに業務・運輸の関係がありまして、日々の暮らしかどうかというお話もあって、おっしゃっていることはよくわかりますし、なかなか悩ましいのでありますけれども、一方でよく言われるように、コンビニのサラダや素材はどこから来ているかなどということに我々は思いをいたして生活していないと、なかなかこのいろいろな環境問題には思い至らないなどということをよく言われます。そういう部分についてはぜひ日々の暮らしの中に残したいという一方で、全く生活と関係がないように見えるような部分もあったりしますから、こういう論議についてもそれは言えるわけですけれども、そこを切り分けるというのはなかなかデータとか統計上いろいろ難しいとは思いますけれども、そういうことだと今日はご理解いただきたいということでお話し申し上げました。
 それから、最後の14ページのところで、自転車専用道路とか、トランジットモールとか、地域の個性・特性に合わせたそういうシステムを許容する制度、このご提案も大変重要だと私も思いますし、一方で、これがなぜ実現できないかというときに、制度だけあってもなかなか難しいのは、まさに地域の人たち、特にこの今日ご提案の問題ですと、商店街や商店主とか、いろいろなビジネスを行っている方々が道路空間を別のものに使うことに対してなかなか合意してくれないとか、あるいは警察のほうでもなかなかそれを認めるようなところまでいかないとか、道路管理者以外にもいろいろなところで課題がありますので、その辺を一丸となって進めていけるような、そういう制度と同時に合意形成をしていくということが大変重要だと思います。質問になって大変申し訳ないんですけれども、そういうことです。
 それからもう1点、自工会さんのほうからご提案いただいている資料ですけれども、この中でたまたま、これは私が答えるべきかどうかわかりませんが、13ページにロードマップ等で描かれている図面、これは環境研さんの資料等が出されていますので、そちらからのお答えがいいかもわかりませんけれども、特に速度が速いほどCO2が多いといった因果関係的なものをここで示しているわけではもちろんありません。ただし、ご説明があったように、密度の低い、土地利用の拡散しているようなところで、さらに道路をつくっていったときに非常に早く到達できるようなところにまた郊外型の立地等が進んで、結果的には1人当たりのCO2排出量が増えていくという因果関係については、幾つかのまちで従前から報告されている。こういう中で道路整備のあり方についてもいろいろと議論されているという状況がありますので、その辺、土地利用のあり方と、それから道路についても、環状道路等、非常に重要な道路等の整備がまだ残っているところが大変ありますから、そういうものと土地利用との関係を密接にしながら進めていく必要性が高いということだと思いますので、この辺については、この図面についてはぜひ今の誤解のないように、そのように説明していきたいと思います。
 どうもありがとうございました。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 増井委員、お願いします。

○増井委員 どうもありがとうございました。
 各説明に対してのコメントと質問です。気候ネットワークさんのほうでもロードマップ等を作成されているということですので、今回はほとんど時間がございませんので、またそのあたり、この中長期ロードマップの取組の中で、ぜひ意見交換といいますか、比較させていただきたいなと思っております。
 次に住宅生産団体連合会さんのほうなんですけれども、今回いろいろな情報・数字をお示ししていただきましたけれども、平均ではなくて、例えば戸建てと集合住宅とではエネルギーの消費も全然違うでしょうし、またひとり暮らしとか大家族、そのあたりで数字のあり方というのがかなり違ってくるのかなと思っておりますので、もし具体的にいろいろな数字等、類型によって違う数字があるということであれば、そのあたりも示していただき、ぜひ活用させていただきたいと思っております。
 最後、自工会さんのほうなんですけれども、ロードマップへの注文といいますか、27ページのところに幾つかコメントをいただいておりますけれども、特にバッテリー等のプラスの経済効果だけではないというところをご指摘いただいております。その点については我々も認識しておりまして、昨年来行っておりました検討会の中でも、いわゆる対応表の投入産出係数のようなところ、次世代車と従来車の間でどのように違うのかというところは、自動車ワーキングにもぜひお示ししていただきたいという要望はしていたのですけれども、なかなか出てこなかったということで、このあたり、我々も今まで出してきた数字を変えないという意図は全然ございませんので、どの程度違うのかというところを示していただければなと思っております。
 どうもありがとうございました。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 藤野委員、どうぞ。

○藤野委員 住宅生産団体連合会さんの資料で15ページから課題を書いていただきまして、特に16ページの(4)に断熱構造化対応のための中小事業者教育が大事だと書かれていて、実は我々何人かの委員で昨年の12月から3月まで中長期ロードマップの検討会でたたき台をつくって、これはたたかれるためにつくっていて、でも壊れてしまったら困るんですけれども、何とかたたいていただいてよくしたいんですが、具体的に、これは誰がどのようにやると全体の3分の2を占める中小企業の底上げができるのだろうかということについて、ひょっとしたらこちらの住宅生産団体連合会さんのほうがトレーニングをやればやれますとか、そういった提案というんですか。別に答えでなくてもいいんですけれども、誰がどのようにやればできる可能性があるのだろうかということについて、ほかの課題も実は(1)から(8)まで挙げていただいているんですけれども、具体的には、国交省の場合もあれば、環境省の場合もありますし、または企業の団体だったり、具体的な企業もありますし、ぜひアイデアをいただいて、さらにはロードマップにどう書き込んでいけばいいかということを教えていただけたらと思います。  あと、自動車工業会さんのほうで、私がおもしろいなと思うのは26ページ目のところで、日本国内生産・輸出台数と現地生産数。これは、現地生産数を全部足すと、海外でつくっているほうが多い状況です。日本独自ルールでやってしまうと、海外で勝てない。ただ一方、ヨーロッパとかアメリカでもかなり厳しい規制は入りつつあるというところで、本当に日本にどういうルールを入れたらいいのだろうか。つまり、別に私自身も次世代車は2台に1台がいいというよりは、全体の燃費が上がることのほうが大事だと思いますし、一体どのようなルールを入れれば日本独自ではなくなって、実際にいい自動車をつくろうとする人が元気になるルールになるのかというところについてご示唆いただければと思います。
 以上です。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 伴委員、お願いします。

○伴委員 先ほど増井委員のほうからも既に出たのですけれども、恐らく今日お話しされたのは戸建てのほうだと思うんですが、私も昔マンションから戸建てに移ったときに膨大にエネルギー消費が増えてしまった経験があるんです。だから、日本は戸建て重視という形をとっているんですけれども、エネルギーという側面から見れば、エコタウンではないんですけれども、マンションとか、そういう方向を少なくとも推し進めるということが少し要るのではないかと思っております。これはお答えいただくというよりも、むしろちょっと私自身のコメントとさせていただければと思っています。
 それと、自動車に関して言うと、まさにいろいろなやり方がある。自動車会社のほうで燃費のいいものを出してもらうのもいいし、我々が燃費のいいものを買うと同時に、私の場合は2,000を超える車から1,300に落として、大体燃費は50%ぐらいよくなって、はっきり言えばガソリンが50%ぐらい、半分になったということがありますので、基本的には、これからの世代を考えたときに、非常に大きな世帯ではなくて、人数がどんどん少なくなっていく。そうすると、やはり大きな自動車よりも、小回りのきく方向に行くのではないか。ただ、そのときのちょっとしたリスクは基本的にはガソリン代でありまして、ガソリン代が今の状況ですとエコカーのほうがいいのですが、結局これがどういう形になるかが多分大きく影響するのではないか。そういう点からいくと、結局のところは、そういう燃費というよりも、価格というのが大きく作用する。だけれども、少なくとも先ほどの人口という点から言えば、日本の人口はどんどん減っていますし、若い人の数が減っているわけですから、自動車の使い方というのは随分変わるだろうなと思っています。
 さっき雇用ということをおっしゃったわけで、そんなものが増えるのはおかしいのではないかというのは私に対するコメントだと思うんですが、正直なところ、確かに雇用者の数は、鉄鋼は増えるんですけれども、自動車は減ります。1万人ぐらいですけれども、減る形になっているので。ただ、需要は本来増えるはずなんですが、そういう方向にはいっているということはご報告申し上げます。コメントというよりも、私からの意見ということですが。
 以上です。

○西岡委員長 冨田委員、お願いします。

○冨田委員 時間も限られていますので、それぞれ1点ずつ出させていただきます。
 まず浅岡さんのほうですけれども、この小委員会とは別の排出量取引の小委員会でも議論がありましたので、ここではコメントだけにさせていただきますが、電気についての直接排出の考え方です。やはり私は、電気の使用に伴うCO2の排出に関しては、供給側の努力と、それから需要側の努力の両方が必要だと。両方それぞれ、努力を適切に評価する必要があるのではないかなと。直接排出の考え方がそれに合致しているかどうかというところを、やはり私は疑問に思っているということのコメントだけとさせていただきます。
 それから、住団連さんのほうですが、次世代省エネ基準については、新築物件の中の1割か2割ぐらいというお話でございましたけれども、ロードマップでは2020年までに新築物件は100%にしようという考え方があるわけで、今のペースではとても無理だろうと思うわけですが、考え方として、義務化みたいなものもアイデアとしてはあるだろうと思います。しかし、もし義務化といったことを考えたときに、どのようになってしまうのだろうかというところについてコメントをいただければと思います。
 それから、自工会さんのほうですが、次世代自動車の製造が10%強、ロードマップでは50%ぐらいということですけれども、お答えにくいかもしれませんが、次世代自動車を製造するときの、例えば1台当たりのエネルギー消費量と、従来型の製造と比べたときにどのくらいアップするものかというところを教えていただければと思います。

○西岡委員長 笹之内委員。

○笹之内委員 ありがとうございます。
 住宅生産団体連合会の方にお聞きしたいんですけれども、14ページに太陽電池出荷状況というのがあって、住宅用と書いてございます。これを見ると、その2009年がないからちょっとあれなんですけれども、若干の増減はありますけれども、ずっと平らなんですけれども、前回積水の方にはかなりバラ色のような報告を受けたんですけれども、実際、総戸数でいうと、太陽パネルをつけているのは今どのぐらいであるかということをお聞きしたい。
 次に、これは環境省の方にお聞きしたいんですけれども、17ページに「新基準から次世代基準への断熱構造化には新築で坪3~4万円」と書いてあるんですけれども、この数値と、ロードマップをつくられたときのこの分野でのお金というのは大体同じだったのかどうかということです。
 最後に、先ほど藤野委員からもありましたけれども、中小事業者の教育、これは大体何万社ぐらいあって、こういう教育をやろうとすると何年ぐらいかかるのかというのを、これもちょっと見込みで教えていただきたい。
 それから、自動車工業会の方にお聞きしたいのは、ちょっと私はこれは大変なことだなと、自分も自動車業界にいて思うんですけれども、571型式と442型式があって、それで、それをかなりの部分やらないと多分2台に1台にはいかないわけです。そうすると、先ほどちらっと丸山さんがおっしゃったように、これから相当新しい技術屋を雇って鍛えないといけないんですけれども、大体一人前のエンジニアになるのにどのぐらいかかるのかというのを教えていただきたいんですが。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 影山さん。

○影山委員 すみません、もう少しで失礼させていただきますが、必ず議事録は読みますので、幾つか質問させてください。
 浅岡先生にお願いいたします。電力の話で、電力に非常に大きなCO2削減責任があるというのは十分感じておりますので、そのことは我々電力業界としてはしっかりと考えるとして、幾つか質問したいのは、直接規制の件で、直接に電力がキャップをかけられるとしますと、その分のクレジットの購入でその費用を転嫁するという可能性が非常に高いと思いますけれども、費用転嫁で電気料金が上がりますと、その影響というのは非常に多くの方に及ぶということが考えられます。そういうやり方と、それから電力が原単位をできるだけ下げるということで、需要家の方にもCO2の排出量ということをしっかりと意識していただいて、それでもって需要家もCO2の削減に取り組むという、両方の取組を総合するというやり方、このやり方と、我々の考え方としては後者のほうなんですが、その考えについてどうお考えになるかというのをお聞きしたいと思います。
 さらに、浅岡先生は燃料転換についてお話しされておりましたけれども、我々が電力供給者としてご提示しているのが、2020年近くで原子力と水力と非化石で5割ぐらい、それからその残りをLNGと石炭で半分ずつぐらい、残りを石油ということで、エネルギーのセキュリティーにできるだけ考慮したようなバランスを組むということをやっておりますが、石炭を減らすということになれば、それだけエネルギーの安定供給ということにリスクが生じると思いますが、この我々の考えについてどのように思われるかということについて、もう一つ聞きたいと思います。
 それから、すみません、住宅生産団体連合会さんなんですが、先ほど笹之内さんが建築部門について聞かれていましたけれども、これは新築住宅の2020年の次世代基準が100%というロードマップがありまして、これについて先ほど現状で1割から2割という話がありましたけれども、その2020年の達成の見通しについてどうお考えになるかということについてお聞きしたいと思います。
 以上です。

○西岡委員長 荻本委員、お願いします。

○荻本委員 まず住宅生産団体連合会さん。私はマンションとか戸建てを維持しないといけないというものを経験して思っていることなんですが、なかなか個人とか、要するにアマチュアは、それがどれだけ大変な仕事なのか、またはコストがかかるのかが全然わからない。それで断熱を上げよう、それを既設にも展開しようというときには、どのくらいのコストがかかるのかということが多くの人にはっきり伝わるというのは非常に大切な面だと思うんです。そういう意味で、たしか先ほど坪単価3~4万円といった数字を言われたと思うんですけれども、例えば、壁何平米当たり幾ら、または天井や床に入れるのだったら、そういうもの当たり幾ら、それはグラスウール代が幾らで工賃が幾らというところまで、参考価格でいいので、約束する必要はないんですけれども、そういう情報を出すということがどこまでできますかということを質問させていただきます。これがないと、恐らく義務化したら大変なことになってしまいますし、または、義務化しないまでも、ボランタリーにやりたいという人にはなかなか手が出ないというような気がするもので、質問させていただきます。
 それから、自動車工業協会さんのほうなんですけれども、車種の話とか、なかなか世代交代しないといったところはまさにそのとおりで、私は電力のほうをやっていますので、発電所から見ると、思いは同じかなということです。その上で、車種の話が出たんですけれども、若干私が疑問に思っているのは、ほとんど同じようなスペックのものに違う名前をつけても、これは車種が増えたとは言えないのではないかと。(笑)それで、田舎の毎日の交通機関というところが大切なんだとおっしゃった上で、そういうところのための次世代自動車、つまり、ここで言うと、500キロ走らないといけないといった条件を外した次世代自動車というのはお考えになっているのでしょうか。もし下駄のように使う車が500キロ走らないといけないといって500万円だと言われたら、それは当たり前の話。ですから、本当に普及させるために、本当の意味で車種を多様化させるということをどのように今お考えなんでしょうかといったところを教えていただきたい。
 それから、後ろのほうで、恐らく車両価格はコストで比較してあるんですけれども、ランニングコストの比較というのはあまり積極的にされていません。ですから、そういうものを加味したときに、これも使用パターンによって変わるんですけれども、車両価格ではどのくらいの差があればランニングコストで元が取れるのかといったことをぜひ何パターンか教えていただきたいと思います。
 それから、今日いろいろお話を聞いたのですが、国際化とか、いろいろ難しいグローバルな問題とかがあります。そういう中で、今日のペーパーの中身というのは、各社さんによってほぼ統一された意見なのか、それともいろいろ会社さんで戦略とかがある中で、一定の多様性があるようなものも含まれているのか、そういうところも若干コメントいただければと。
 以上です。

○西岡委員長 大塚委員。

○大塚委員 住宅生産団体連合会さんについては、既にいろいろご質問が出ていまして、私も重なっていますので、何も申しません。
 あと、浅岡さんのご指摘について、最後のところにいろいろ重要なご指摘が出ておりまして、参考にさせていただきたいと思いますけれども、1点だけコメントさせていただきたいのは、12ページのところで、国のほうのキャップ&トレードと地域のキャップ&トレードの2つをつくるというのは重要な案だと思いますが、2つの取引市場をつくって、お互いにリンクしないということにすると、プレーヤーとの関係とか、取引の関係のことを考えたときに、わざわざ2つに切ったような市場をつくるということには私はあまり賛成ではないので、それは必ずしも日本の排出量取引にとって望ましいことだとは思わないのですが、何かご指摘いただければありがたいということでございます。
 以上でございます。

○西岡委員長 枝廣委員、お願いします。

○枝廣委員 ありがとうございます。浅岡さんにはいつも、例えば大口排出者とか、一般の人たちがなかなかとれないところの情報を出してくださって、いろいろ重宝させてもらっています。
 これはロードマップを検討する側に対するコメントですけれども、情報のギャップというのが大きな問題の一つだと思います。もともと情報がないというのと、あるけれども、出していないというのと、出しているけれども、それを一般の人たちにわかるように通訳していないと、3段階の情報のギャップがあるわけですが、そういった意味で言うと、行動変容につながる、もしくは効果的な取組を考えるために役に立つ情報はどういったものをこれから出す必要があるか、これはぜひロードマップのほうにも入れていただきたいと思います。
 その上で浅岡さんへの質問は、例えば、まだまだ国が出していない、もしくはとっていない情報で、こういう情報が外に出れば、一般の人たちに伝われば、もしくは企業に伝われば、もっと行動が変わるのになと、もしそのようなものがあればお教えいただきたいと思います。
 それから、佐々木さんに2つなんですが、一つは、先ほど坪3~4万円の費用というお話がありました。次世代はCO2が3分の1になるということで、ぜひ進めていただきたいんですが、なかなかこれが進んでいないというのは、コストの問題なのか。つまり、坪3~4万円かかったとき、施主さんはそれを回収することができるのかどうか。今1割ぐらいでもやっているとしたら、その施主にとってのメリットは何なのか。そして、最近施主さんの意識がそういった面で変わりつつあるのかどうか。それが一つです。
 もう一つは、私の周りで住宅を建てるときに、どこに相談していいかわからないという声をよく聞きます。例えば、国産材を使いたいとか、断熱をやりたいとか。でも、地域の工務店さんに聞くと、「そんなことはできない」と言われてしまう。なので、コンシェルジェというか、相談窓口というか、そういった相談ができるようなところをお持ちなのか。もしくは、そういったチャンネルをつくる、もしくは大きくすることで、未来の施主さんへの働きかけをされているのか、どのようにお考えかということが2つ目です。
 それから、自工会さんにも2つお聞きしたいんですが、一つは、渋滞で非常に燃費が悪くなる。時速が20キロ上がれば40%減りますというお話でした。これはガソリン車の場合なのか、例えば電気自動車など、次世代自動車でも同じことなのか、細かい話ですが、教えてください。
 もう一つは、最後のところで、政府が何もしないと10%+αにしかならないと。あと、やるのだったら政府が頑張りなさいというのは、政府はお金がないですし、どの分野もみんなでやっていかなくてはいけないので、ちょっと冷たい言い方かなと思ってお聞きしていました。私がお聞きしたいのは、例えばガソリンの値段がどのようになるか。先ほどもお話がありましたけれども、長期需給見通しだと、例えば1バレル50ドルぐらいの今の原油の価格が2020年には121ドルになると予測されています。そのようにガソリンが上がったことを織り込んでこの10%+αなのか。そのあたりの、この10%+αと、それから自工会として、政府は、あまり力が足りないとしても、どれぐらいとやっていくおつもりなのか、お聞かせいただければと思います。

○西岡委員長 牛久保委員、お願いします。

○牛久保委員 それでは、まず機構ネットワークさんにお願いがあります。京都は大都市でありながら、市の北部の方に山林があると思います。今日はあまり言及されませんでしたけれども、農山村地域を抱えているという実態が京都にある中で、木質バイオマス系の地産地消的な活動もそのエネルギー化のところで随分貢献しているだろうと思います。その辺の都市との連携について、もし具体的な事例とか貢献度等のデータがありましたら、ぜひご披露いただければなと思います。
 それから、住宅生産団体連合会さん、にお願いします。例えば住宅を新しく建て直したとき等に、いわゆる建設廃材のような、要するに木質バイオマス系のものが出てくると思うんですけれども、例えばそういうものがどのようにエネルギー利用に貢献しているかということと、一つは排出してきたものに対する環境配慮的な意味についてもお考えいただいていると思いますので、そのようなデータがあったらご披露いただければと思います。
 以上です。

○西岡委員長 飯田委員、お願いします。

○飯田委員 もう皆さんからいろいろな意見が出たので、とりあえず委員の責任としてコメントをさせていただきます。
 まず、気候ネットワーク浅岡さんには、非常に的確なさまざまなご指摘をいただいておりまして、1点だけ補足というかコメントをさせていただくと、原子力のところです。これは、当初このパラメータもなくて、一定だったので、私がリクエストをしてコンティンジェンシープランをつくりましょうということですが、私はもっと下げないといけないと思います。最悪のケースについては、ご指摘のとおりで、新設ゼロ、稼働率70%ぐらいまで落としたときに、単に海外のクレジットを買うのではなく、どうやっていくのかといったプランをつくっておかないと、過去の経歴を見ると相当厳しいと私は思っております。
 あとは、自工会さんと住宅生産団体連合会さんはいろいろあるのですが、もう時間がないので。ただ、基本的には、先ほど枝廣さんがおっしゃったんですが、普及のための補助金という発想を民間はもうやめたほうがいいと私は思うんです。特に新築とか新規の車とかは、もともとかつての1970年のときのいわゆる排ガス規制というのは、別に国が補助金を出したわけではなくて、民間が対応したわけですし、壁基準とか、いわゆる規制によって自らイノベーションを生み出すということ、これは断熱基準も一緒なんですが、そういうことに民間が対応していって、それが経済を強くするという過去の歴史をリマインドしていただいたらいいのではないかと思いまして、これは質問というよりコメントです。

○西岡委員長 赤井委員、お願いします。

○赤井委員 もう時間がないのでシンプルに。まず浅岡さんに、供給側でCCSをどうお考えなのか、もしお話しできるようでしたら、いただきたいと思います。
 それから、自工会さんに、一つは質問で、22ページの調査、マッキンゼーのレポートがありますけれども、あの対象のサンプルはどこなのかということを教えていただきたいと思います。
 それから、経済効果について、海外生産とかいろいろありますけれども、例えば見かけ上の経済効果があったとしても、実際はかなりの財が材料の関係で海外へ流れていっているとか、そういうこともあるかと思うので、そのあたり、もし次世代車についていろいろな比較されたようなデータあるいは事例があったら、教えていただきたいと思います。
 あとはこの会に対する注文なんですけれども、前回欠席だったので様子がわからないんですけれども、これだけいろいろな貴重なお話をいただいておきながら、質問させていただいて、十分にお答えいただく時間もない今のスケジュール配分を何とか考えていただければと、これは事務局に対するお願いです。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 と言いながらも、残り時間がほとんどもう超えておりまして、短くお答えいただければと思いますが、浅岡さんのほうからお願いいたします。

○特定非営利活動法人気候ネットワーク いろいろご質問、ご意見をいただきまして、ありがとうございます。
 まず、日々の暮らし、地域づくりとまとめている、そこで言わんとするところはもちろん理解し、こうした観点も必要だと思うのですけれども、もう一方で排出源の実態のわかる直接排出でのものを対比して、双方から理解させるということが必要だということであります。そのことが、先ほど冨田委員、影山委員からご意見をいただきましたが、私たちも、電力エネルギー転換の部分につきまして、供給側の取組の重要性をここのロードマップではほとんど記述されておりませんが、見えないのですけれども、見えるようにしていただき、その政策もしっかりつけていただくということを求めていますが、需要側対策をしなくていいと考えたことは一度もありません。冨田委員がおっしゃるとおり、その双方が必要です。
 供給側の取組をどのようにするのかという点で、私たちは、国際的にどの国でもまず考えていることである火力発電所に対するキャップ&トレードの仕組みを入れるということについて、なぜ日本だけこのように反対されていくのかがかえって理解できないというところであります。供給側の対策として、燃料転換、発電所自身の効率改善を図る。そして、再生可能エネルギーも拡大していく。これらのメニューはもう明らかでありまして、燃料転換につきましては、石炭を減らしていく。増えていったからこそ排出量が増えたわけですから、今後も石炭火発を増やすということは、この10枚目の右のグラフにございますように、一番新しい石炭火力発電所でも非常に効率が悪いわけですから、こんなことをやっていたのでは長期的に削減できないことは明らかであります。これは選択の余地はないと思います。
 もう一方で、このグラフにもありますように、非常に古い天然ガスの発電所というのは本当に効率が悪いわけです。半分ぐらいかと思うぐらい悪いわけです。黄色い丸のところがそうでありますが、これはいずれ置きかえていくわけですし、原発と違ってリードタイムも短く、費用も安く、それこそある意味で原発を増やすということから比べますと、実現可能性のロードマップというものもよりより信頼性の高い形でできるのではないかと思います。
 このように、そうすると発電部門は相当減らせますし、また今ある石炭火力発電所の稼働率だけ高くしてきた、この現状を転換する。設備そのものを変えなくても、稼働率を転換するだけでも、排出量を随分下げることができます。それによって発電所からの排出量は、需要側対策も行って、より下げることができるわけでありまして、影山委員は取引制度のところでもおっしゃられたのですけれども、それではクレジットを買わなくてはいけないと、なぜそのようにすぐ短絡的につながるのかが私は理解できないと思います。クレジットを買わずに、国内で長期的に削減をより強化していく電力供給体制というものをつくっていくことこそが、こうした制約のある時代に安定供給をしていくという意味でのエネルギーの安定供給にも資するであろうと、再生可能エネルギー発電でもそうであろうと思います。非化石という形で、非化石を幾ら増やすと、これは原子力を増やすということと事実上一緒の表現になっておりますけれども、それ自身の実現可能性はとても危ういと私は思いますし、非化石を増やすということがこの火力発電所の排出削減をしなくていいということと同義のように使われているということについては、非常に疑問に思うところであります。そういう火力発電所問題は本当にここでしっかり、方策、ロードマップも含め、取引制度との絡みも含めて検討いただきたいと思うところです。
 国と地域とを取引制度で分けて、クレジットを互換性のない形にすると、これは東京都の提案がそうでありますし、私もそれしかできないと思いますのは、国のところで大規模な排出源というのは、電力消費というよりはほとんど化石燃料そのものを使っているところでありまして、スケールが全然違います。だからこそ数も500~1,000ぐらいで日本全体の排出量の六十何%をカバーするほどあるわけです。実際にそういうシェアの数字をご覧いただきたいと思います。そういうところについて、国がしっかりした検証の仕組み、国際的な取引制度とリンクできるように、海外・国外との仕組みができてきたときにリンクができるように、しっかりした検証の仕組みを入れるということは不可避だと思うのですけれども、1万数千あるような本当に小さなところまでそういう検証体制にするということは、ただただコストがかかるばかりで、何のために削減するのかわからないではないかと、これは一つ実質的な理由であります。
 それ以上に、地域で見ましたときには、今でも取引制度に似たものはやっているんです。報告制度などを入れている自治体では、計画書制度などを入れている東京都などでも、強制ではないのですけれども、事実上、増えたところを買ってもらって、そしてそれらを地域の対策を進めるようなことを少しずつやっているのですけれども、ここにしっかりとした規約がかかる中でこうした仕組みができるということと、地域の場合は、国の仕組みと互換性のない形でやっていくときには、かなり、例えば森林対策にどう使うのかとか、いろいろなオフセットを地域に合わせて少し柔軟に使うことができるという意味で使いでがあるわけであります。ただ、そんなことをやっていったときにはダブルカウントになるような話もいっぱい出てくる可能性もありますので、国の制度とはうまく合わないということになって、そういう意味で分けることがいいと思いますし、私は、イギリスでEU-ETSとCRCとは互換性のないものとして考えていたというのも、そういうことが非常にある……。

○西岡委員長 すみません、時間がないものですから、質問に対して的確に答えていただければと思います。

○特定非営利活動法人気候ネットワーク はい、わかりました。だから、そういうことであります。
 それから、消費側、地域の制度は需要側対策も含めて間接排出で考えるということも十分選択肢としてあるということであります。
 それから、枝廣委員のご質問の話ですけれども、情報としては、私は、業種ごとなどの工場ごと、事業所ごとの原単位のばらつきなどはもう十分に持っておられるわけで、それらをちゃんと出していただければ、削減ポテンシャルがどれくらいあるのかというのを非常に把握できる。なかなか出していただけないから、私どもがわかる高炉製鉄所のデータのあった部分とか発電所などのものをお示ししているというところであります。
 また、地域につきましては、先ほど言いましたように、地域のエネルギー供給量・消費量というものをその自治体エリアで把握できることは、地域政策を検証していくためにも非常に必要だと思っております。
 それから、森林につきまして、確かに京都は森が多くて、ウッドマイレージという仕組みを入れまして地域産材を活用しようということをやっております。さらに、それを需要側でつくって使わせるために、今、条例改正の中では、一定規模の建築物には地域産の木材の利用を義務づけるとか、公共事業の中で利用するとか、そういう形で需要と供給とを循環できるような仕組みということもあわせてやっているところであります。
 まだ何かあったと思いますが、CCSにつきましては、日本の中でそうした適地がさほどあるという話とは思えませんし、2020年にカウントして、それを目標達成に入れるという話にはとてもならないと理解しております。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、お願いいたします。

○社団法人日本建設業団体連合会 いろいろご質問をいただきましたので、漏れなくお答えできるかどうか、また、ただいまここでお答えできないものもあるかもしれませんので、ご容赦いただきたいと思います。
 まず、数字等の事実関係についてのお尋ねでありますが、住宅のタイプ別のエネルギーの実態あるいは世帯のタイプ別エネルギーの実態につきましては、ちょっとここで今手元にございませんので、用意できるかどうか調べたいと思います。ただ、世帯タイプ別には、私も見たことがあるんですけれども、実は、今後世帯は減るんですけれども、小規模な世帯ほど1人当たりの消費量は大きいということはデータ上ございまして、今後世帯の減少それでもってエネルギー消費の増加とほぼ見合ってしまうというのが大体の見通しになるかと思います。
 それから、集合住宅、戸建て住宅ということではどれくらいかということも、これは私もちょっとデータを探してみないとわからないんですが、これについては、私どもは、先ほどご意見がございましたけれども、個々の消費者のライフサイクルにおける選択の中での問題だろうと理解しております。
 それから、太陽光発電の戸数についてのお尋ねがございました。これについては、実は私どもも数字を持っておりません。単純に申し上げて、昨年度の数字が約20万キロワットですので、平均すると大体3キロワットぐらいだとすれば、6ないし7万戸。今朝の新聞報道によりますと、昨年よりも今年は、2.6倍ですか、出荷量全体で増えているといった報道がございました。ただ、この中には新築住宅以外の既存の住宅に載せたものも含まれておりますので、そういう意味では4,000万戸のストック全体の中での部分だということでございます。
 それから、特に中小事業者の問題についていろいろご指摘がございました。それから、2020年に普及率をどこまで持っていけるか、100%といったことについてのお尋ねがございました。この点につきましては、国土交通省のほうでも、2020年の100%義務化といいますか、それを目指して、これからいろいろ議論を詰めていく、そこまでの工程について議論していくということでございます。私どもも、先ほどご指摘させていただいたような課題について、その中でご指摘させていただきたいと思いますし、国土交通省でもそういったことが議論されると認識しております。そういう中で、どれくらいやればいいのかとか、例えば何万社かといったことについては、今ここで確定的にお答えするのはなかなか難しいということで、ご理解いただきたいと思います。
 それから、私どもも含めまして、いろいろな形で中小事業者に対する普及啓発、それから消費者に対する普及啓発活動については取り組んでいるところですけれども、これについて、先ほど申し上げたことを含めて、国を挙げてやっていただく必要があるのではないかと思います。国土交通省でもそういうことで取り組んでいただけるということが、今後の大前提になると考えております。
 そういった中で、先ほど補助金についてのご指摘がございましたけれども、先ほども申し上げましたように、太陽光発電の普及率一つとってもそういったもの、補助金、国の支援による影響を非常に大きく受けている。あるいは、先ほど来申し上げているように、今年に入りまして例えば住宅のエコポイント等の仕組みが動き出したわけで、こういったものについて消費者の方のご理解というのも進んでいると思います。先ほど申し上げたようなコストの実態等も含めますと、国においてそういったことについて金融・財政・税制面での総合的な支援が引き続き必要だと私どもは考えております。
 それから、コストの内訳についてご指摘がございました。これは実は、例えば断熱材の価格が幾らかとか、そういうことであれば、それは世の中にそういうものについてのデータがございますので、それを使えば計算はできるわけなんですけれども、施工の部分については、実はそれだけをやっているわけではなくて、例えば壁は全体をやる中でやるわけですから、断熱化だけのために分離して計算できるかということになると、これはなかなか難しいなというのが実態であろうかと思います。ただ、お客様へご説明していく中で、費用対効果の説明という意味では、できるだけわかりやすくご説明ができるような形の工夫というのは必要なことだろうと思います。
 一方で、もう一つ、特にリフォームについては、コストというのはなかなか難しい面がございます。正直申し上げまして、リフォームの費用というのは始めてみないとわからないというのが実は相当に多くて、例えば壁をあけてみないとわからないとか、そういうことで現実には非常にあらかじめの正確な提示が難しいということがあるということはご理解いただきたいと思います。
 それから、先ほど枝廣委員でしたか、施主の理解が進んでいるかどうかというあたりのご質問がございました。いろいろな政府の施策、それからいろいろなPR等も含めて、確実に広がっているとは思いますが、まだまだ努力していかなければいけない分野だと思います。私どもは、例えば断熱構造のメリットというのは、単に省エネルギーだけではなくて、室内環境という意味でも非常に健康面でのメリットもあるとか、そういったことも含めて説明できるように努力していく必要があるだろうと思っております。
 それから、そういったことについて総合的なコンシェルジェ的なものというご提案がございました。大変ありがたいご指摘だと思います。例えば設計者とか、そういうところがそういうことをきちんとできることも必要だと思いますし、住宅については、省エネルギーだけではなくて、例えば契約の問題とか、消費者教育といった意味でも、非常に専門性が高いものを一般の消費者がやらなければいけないということで、おっしゃるような役割というのが重要だと思っております。今後、いろいろまたご指摘いただければと思います。
 それから、廃材のご指摘があったんですけれども、私どもではそこまではちょっと状況はつかんでおりません。住宅の解体については、実は相当コストがかかり、そのうちの分別のコストが非常にかかっております。その中で、木造住宅であれば、木材のチップ化というのはかなり行われていると思うんですが、それがその後どのように使われているのか。現実には、それがバイオマスのような形で使われているケースというのは、一部にはそういう試みが秋田などであるのは承知しておりますけれども、どれぐらいの割合かということについては、申し訳ございませんが、今はございませんので、ご了承いただきたいと思います。
 以上でございます。

○西岡委員長 先ほど3~4万円という話がありましたけれども、これは環境省のほうが……。

○高橋地球温暖化対策課長 コストにつきましては、ロードマップのコストは追加的な費用でございます。例えばハイブリッドであれば、通常の車に比べて差額は幾らと、それを積み上げたものですから、車の全体費用ではございません。そういう意味で、ちょっと車についてはまた別途細かくご相談したいと思いますけれども、そういう形で差額を積んで、それからハイブリッドなどは2010年から2020年には価格が下がっていくことも加味して計算したものでございます。
 住宅については、基準に適合する費用が大体1戸当たり100万円ということで、大体30坪ぐらいありますので、3~4万円というものと大体同じようなレベルの数字を使っているということになります。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、丸山さん、お願いします。

○一般社団法人日本自動車工業会 何点か、かいつまんでお答えします。
 最初に、増井委員、藤野委員のほうから、データを示してほしいというお話がございました。これにつきましては、継続的に今後議論させていただきたいと思います。それから、今ご回答がございましたいろいろなコストの数字につきましても、我々としてもしっかり対応していきたいので、よく連携させていただきたいと思います。
 それから、冨田委員から、製造時のエネルギーがどう上がっていくのかというお話がございました。これは次世代車のお話でよろしいかと思いますけれども、少なくともバッテリーなどは、エネルギーは余計かかります。具体的な数字は今申し上げられませんけれども、そうはいえ、製造時のCO2と走行時のCO2とを比べますと、走行時のほうが圧倒的に多いです。大体10倍以上です。ですから、次世代車は、製造時のCO2が増えても、走行時のCO2が圧倒的に減りますので、トータルではものすごくCO2削減効果があると考えています。
 それから、笹之内委員から難しいご質問がございました。エンジニアは一人前になるのに何年かかるのかと。これは、自工会の公式見解はございませんので、私の個人的な見解を述べさせていただきますと、一通り物事が解析できて一次設計ができるようになるまでには10年ぐらい、それから判断ができてまとめられて、例えば図面に責任がとれるようなレベルになるのには20年かかるのではないかと思います。自動車というのは、素材から機械、電子、制御、いろいろな分野の集約的な製品でございまして、とても1人でできるものではないですし、非常に時間がかかるものです。ですから、雇用もそう流動しているわけではございません。
 それから、藤本委員から幾つかご質問があって、多様化はどう考えているのかというお話がありました。例えば軽自動車にハイブリッドは考えているのかとか、そのようなご質問ではないかと思うんですけれども、違いますかね。もういらっしゃらないからいいかな。(笑)いずれにしても、価格というのは大変重要でありまして、軽自動車プラスハイブリッドは今現在ないんですけれども、やはりこれは価格なんです。特にお客様は、複数台所有されると、幾らランニングコストが下がってトータルでペイできるんだというご説明をしても、初期投資するお金がないというお客様もいっぱいいらっしゃいます。ですから、イニシャルコストというのは非常に重要で、したがって、車はすみ分けていくと思います。すべてがハイブリッドとか電気とかではなくて、ハイブリッドの中でもマイルドとかマイクロとかいろいろなタイプがありますけれども、それとか、既存のガソリンエンジンでもまだまだ磨けるところもいっぱいありますので、それぞれにそれぞれの価格に見合ったスペックが入っていくと想定しております。
 それからもう一つは、このレポートは一体自工会の中でどれぐらいのコンセンサスが得られているのかというお話がありましたけれども、間違いなくコンセンサスはとれています。ただ、次世代車にはタイプがいっぱいあります。あれを今後開発して普及させる戦略をどのようにとるかというのは、これは各社で全然違います。これだけは申し上げておきます。
 それから、枝廣委員から、渋滞の燃費はガソリン車かどうかというお話がありましたけれども、これはガソリン車のデータです。例えばディーゼルですと、もう少し傾斜は出ますけれども、傾向は一緒です。それから、EVでも傾向は同じです。それは、モーターでも低回転側の効率が悪いからです。
 それから、10%+αは冷たいというご指摘もございましたけれども、実はこれを精緻華麗に予測するというのは大変困難だと思っております、正直申し上げて。ガソリン価格がこれぐらい上がるとこれぐらい需要が下がるだろうというモデルも持ってはいるんですけれども、それが10.2%なのか、15%なのかと言われますと、なかなかお答えできずに、10+αと申し上げております。
 それから、飯田委員から、普及のための補助という発想はもうやめたほうがいいというご指摘がございました。私どもが主張したいのは、画期的技術で、とにかく当初は非常に高額にならざるを得ない技術というのはあるわけです。今の時期だと電気自動車がそうだと思います。そこから先は、例えば燃料電池がそうかもしれません、水素がそうかもしれません。そういった初期の段階で、お客様にはとても手が届かないけれども、もうアベイラブルになったようなものを普及させつつ価格を下げていく。そういうフェーズにおいて、ある支援をいただくことで、我々は産業として育っていくことができると考えております。
 それから、規制をすればイノベーションだというお話がございましたけれども、一面を私は理解していますけれども、規制というのは、例えばランニングマシンのスピード設定だと思うんです。これが適切であれば、きちんと筋力がついて、体力がつくんです。だけれども、スピードアップしてしまうと死んでしまうわけです。だから、殺してしまってはいけないです。適切なレベルがあります。それで、日本の中で適切な筋トレができて、海外で我々が戦える体力をつけられるというのが一番望ましい姿だと考えています。
 最後に赤井委員から、マッキンゼーのサンプルは、日米欧の市場のデータから出しております。
 最後のご質問はちょっと読み取れませんでしたが、何だったでしょうか。すみません。

○赤井委員 それぞれいろいろな次世代車で、例えばEVならEVでもいいんですけれども、見かけ上たくさんつくられて、たくさん売れて、それで一見経済効果があるように見えても、実はつくるためのかなりの部分は例えば中国に材料費で行っているとか、そういったことがある。だから、全体のバリューチェーンの中で見ないと、本当の経済効果というのはわからないのではないかということです。

○一般社団法人日本自動車工業会 それはもう全くご指摘のとおりでございますけれども……。

○赤井委員 そういうことを検討されたりはしていないのかなと。

○一般社団法人日本自動車工業会 そこまではまだ踏み込んではおりません。
 以上で終わります。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 まだまだ確かめたいことはあるかと思いますけれども、これにつきましては、まだ十分お答えを聞いていないところがございましたら、追加質問を文書でいただきまして、それにまた回答していただきたいと考えております。また、その回答につきましては、環境省のホームページで公開するという形になるかと思います。
 不手際でものすごく時間が延びて、申し訳ありません。それから、先ほどの赤井委員のご示唆にありましたように、どうしたものかといろいろ考えているんですけれども、これは私のマネジメントの間違いでございますけれども、全体として決まった時間をきちんと守ってやっていくよりしようがないと思っておりますので、これは議事の進行だけの話でございますけれども、そういう方向で考えていきたいと思います。誠に遅れて申し訳ございませんでした。
 何か事務局のほうからございましたら。

○高橋地球温暖化対策課長 次の日程だけでございます。次回は、5月28日金曜日の9時から12時、全国都市会館第1会議室において引き続きやらせていただきますので、よろしくお願いいたします。

○西岡委員長 それでは、遅くなりましたけれども、本日の議事はこれで終了したいと思います。どうもすみませんでした。これで終わります。

午後4時47分 閉会