中長期ロードマップ小委員会(第1回)議事録

日時

平成22年4月30日 9:00~11:40

場所

東海大学校友会館「望星の間」

議事内容

  1. 1.中長期ロードマップ小委員会について
  2. 2.中長期ロードマップについて
  3. 3.今後の検討の進め方について

配付資料

中長期ロードマップ関連資料集(本冊・別冊)
資料1-1 中長期ロードマップ小委員会の設置について(平成22年4月15日地球環境部会決定)
資料1-2 中長期ロードマップ小委員会の趣旨等について
資料1-3 中長期ロードマップ小委員会委員名簿
資料1-4 中長期ロードマップ小委員会の運営方針について
資料2-1 小委員会におけるヒアリングの進め方について
資料2-2 ヒアリングの主な論点
資料2-3 中央環境審議会第89回地球環境部会における中長期ロードマップ及び中長期ロードマップ小委員会に関する意見
資料2-4 地球温暖化対策に係る中長期ロードマップ(小沢環境大臣試案)に対する意見の募集について
参考資料1 中央環境審議会関係法令等
参考資料2 地球温暖化対策基本法案の概要及び中長期ロードマップに関係する条文(基本計画、実施計画)
参考資料3 2008年度(平成20年度)の温室効果ガス排出量(確定値)

午前 9時00分 開会

○地球温暖化対策課長 おはようございます。
 若干遅れておられる先生はいらっしゃいますけれども、定刻を過ぎましたので、ただいまから中央環境審議中長期ロードマップ小委員会第1回の会合を開始させていただきます。
 開催に先立ちまして、寺田地球環境局長より一言ごあいさつを申し上げます。

○地球環境局長 おはようございます。地球環境局長、寺田でございます。
 本日はもう大型連休に入ったばかりのところで、この朝早い、しかも天気のいい中でお集まりいただきまして、誠に私も恐縮しておるところでございますけれども、何分事情をご賢察の上、何卒ご容赦を賜りたいということでございます。
 多くの方はご存じと思いますけれども、ただいま事情と申しましたのは、現在、国会において温暖化対策の基本法が審議をされております。当然、政府といたしましては今国会で成立するものと考えてございますけれども、この基本法が成立すれば基本計画というものを政府一体となってつくると、こういうことになろうかと思っております。
 本検討会でございますけれども、昨年の12月から、環境省の中長期ロードマップ検討会というところで、いろいろとご審議をいただきました。非常に熱心なご審議賜りまして、年度末には一定の報告書がまとまったということでございますし、それを受けまして、私どもの小沢環境大臣が小沢鋭仁試案という格好で、当面の削減の姿というものを提示させていただきました。
 ただし、これはあくまで環境省の検討会限りのもの、あるいは小沢大臣限りのものということではございますし、より幅広く多方面のご意見、ご批判を賜って、よりいいものにしていかなければならないということでございます。この4月から、そういったことで、中央環境審議会のほうに場を移しまして、今までの検討会の先生方にさらに各方面のご専門の方々を加えて審議を開始するということでございます。いずれは、先ほどちょっと申し上げましたけれども、各省ともすり合わせをして、最終的には国の基本計画というものになっていくという手順になろうかと存じております。
 なかなかタイミング的な問題からいいますと、ご存じのとおり、若干国際情勢が定かならぬ中で、いつ中期目標というものが発効するのかというのがやや不透明なところはございますけれども、さはさりながら、現下の地球環境の状況というものを考えておりますと、我々、対策を進めることをサボっているわけにはいかない、一刻も早く新しい施策をスタートさせなければならない。ご存じのとおり、2012年12月31日には否応なく京都議定書の第一約束期間が終了いたします。それから先どうするのかということも早目に路線を決めていかなければならない。
 かような事情でございますので、このようなやや非常識な日付でご審議をお願いしておりますけれども、何とぞ精力的なご審議、今後ともよろしくお願いいたしたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

○地球温暖化対策課長 それでは、今日は第1回目ということでございますので、会議に先立ちまして委員のご紹介をさせていただきたいと思います。お手元に、資料1-1というつづりの中に1-3というのがございます。そこに名簿がございます。ちょっと名簿の順番が委員のタイプ別になっていますが、着席順にご紹介をしたいと思います。
 まず、独立行政法人産業技術総合研究所の赤井委員でございます。
 それから、NPO法人環境エネルギー政策研究所の飯田委員でございます。
 東京農業大学の牛久保委員でございます。
 ジャパン・フォー・サステナビリティの枝廣委員でございます。
 早稲田大学大学院、大塚委員でございます。
 それから、東京大学生産技術研究所の荻本委員でございます。
 東京電力株式会社の影山委員でございます。

○影山委員 よろしくお願いいたします。

○地球温暖化対策課長 日本労働総合組合連合会の杉山委員でございますが、ちょっと遅れていらっしゃいます。
 それから、トヨタ自動車株式会社、笹之内委員でございます。

○笹之内委員 笹之内です。

○地球温暖化対策課長 それから、早稲田大学、大聖委員でございます。

○大聖委員 大聖です。

○地球温暖化対策課長 東京ガス株式会社から、冨田委員でございます。

○冨田委員 冨田です。よろしくお願いします。

○地球温暖化対策課長 株式会社リコーから、則武委員でございます。

○則武委員 よろしくお願いします。

○地球温暖化対策課長 大阪大学大学院から、伴委員でございます。

○伴委員 よろしくお願いいたします。

○地球温暖化対策課長 国立環境研究所から、藤野委員でございます。

○藤野委員 よろしくお願いいたします。

○地球温暖化対策課長 同じく国立環境研究所から、増井委員でございます。

○増井委員 よろしくお願いします。

○地球温暖化対策課長 それから、茨城大学から三村委員にもご参加いただいています。ちょっと遅れておられます。
 それから、独立行政法人建築研究所の村上委員でございます。

○村上委員 村上です。

○地球温暖化対策課長 それから、東京工業大学大学院の屋井委員でございます。

○屋井委員 よろしくお願いします。

○地球温暖化対策課長 最後に、独立行政法人製品評価技術基盤機構の安井委員でございます。
 以上の委員の皆様につきましては、鈴木地球環境部会長から議事運営規則に基づきましてご指名をいただいております。また、この委員会の委員長につきましては、同じく部会長のご指名によりまして西岡先生にお願いしているところでございます。よろしくお願い申し上げます。
 また、本日は委員全員のご出席をいただいております。誠にありがとうございます。
 また、本日の審議は公開とさせていただきます。
 では、以降の進行につきましては、西岡委員長のほうにお願い申し上げます。

○西岡委員長 皆様、おはようございます。
 これからロードマップの検討小委員会でございます。削減の目標に向けて具体的な道筋を国民に示すことが非常に重要であるかと思っておりまして、ぜひ皆さんのお知恵を拝借しまして、いいものにしていきたいと考えております。ひとつよろしくお願いします。
 それでは、本日の議事、一番最初に議事以前でございますけれども、配付資料の確認ということから入りたいと思います。

○地球温暖化対策課長 では、配付資料の確認をいたします。
 お手元の議事次第の次に資料1として、資料1のシリーズで4つのものを一つに閉じてございますけれども、資料1-1から1-4までございます。
 それから、資料2のシリーズが、ヒアリングの、小委員会の進め方についてということで、2-1から2-2、2-3、2-4とつづってございます。
 それから、番号はついておりませんけれども、分厚いもので、中長期ロードマップ関連資料集ということで、本冊、別冊、本冊というほうが小沢環境大臣試案の概要と本体、それから別冊というのが、検討会のほうでまとめていただきました検討会取りまとめの概要、本体、それから、国環研AIMプロジェクトチームによる排出量の試算というものをまとめたものがございます。
 それから、参考資料といたしまして、中央環境審議会関係法令、それから、参考資料2として温暖化基本法案の概要、参考資料3として2008年度の温室効果ガス排出量確定値というものをつけてございます。
 以上でございますけれども、過不足等ありましたらばお申し出いただければと思います。
 以上でございます。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 資料についてはよろしゅうございますか。
 それでは、本日の議事に移りたいと思います。
 お手元に、一番最初の紙でございますけれども、議事次第、書いてあります。今日は一番最初ということで、まずこの中長期ロードマップ小委員会、この成り立ちの背景について説明を受け、それから中長期ロードマップ本体が現在小沢試案という形で出ておりますが、それはどういうイメージのものかについての説明、そして最後は、今後の検討の進め方についてでございます。いずれにいたしましても時間は十分あると思います。12時までとってございますので、ぜひ忌憚のないご意見、今の段階でいただきたいと思います。
 それでは、最初の議題1ということで、中長期ロードマップ小委員会の概要、運営方針等について、高橋課長のほうからお願いします。

○地球温暖化対策課長 では、資料1-1からご覧いただきたいと思います。
 この1-1につきましては、4月15日に開催されました中央環境審議会地球環境部会におきましてご決定いただいたものでございます。参考資料にございますが、中央環境審議会議事運営規則第8条の規定に基づきまして決定してございます。小委員会を設けることができるという規定がございます。それに基づきまして、中長期ロードマップ小委員会を置くということでございます。
 2にございますように、この委員会におきましては、我が国における中長期の温室効果ガスの削減目標を実現するための対策・施策の具体的な姿、いわゆる中長期ロードマップにつきまして、国民各界各層からの意見を聴取し、その結果を踏まえ、中長期ロードマップの精査を行うということでございます。
 めくっていただきまして、1-2のほうに若干、趣旨について書いてございます。
 設置の趣旨については、今の資料1-1にあったとおりでございます。
 隣の1-3のページに、先ほどご紹介しました委員の名簿がございます。
 その下に大まかなスケジュールとございますけれども、本日、第1回を開催いたしまして、5月以降、月に二、三回、六、七回と予定、この予定は少しまた増えるかもしれませんが、関係企業、NPO等からのヒアリングを随時実施していくと。それから、この資料1-4に、一番最後のページ―すみません、ちょっと別のものでした。後でございますけれども、既に4月12日に、小沢環境大臣試案に対するパブコメ意見の募集もしてございます。そういうものも取りまとめて報告をさせていただくと。それから、地方ヒアリング等も実施することにしておりまして、この辺について、また報告をさせていただくということで、そういうものを踏まえまして、この中長期ロードマップをさらに進化させていく。さらには、先ほど局長のあいさつにもございましたように、基本法案が成立した後、基本計画等への検討に生かしていくということでございます。
 最後の資料1-4でございますけれども、若干事務的でございますけれども、この小委員会の運営方針について、これも部会長のご了解をいただいているものでございます。
 まず、会議の公開でございますけれども、基本的に公開ということでございます。特段支障のある場合には非公開にできるという規定もございます。
 それから、出席者でございますけれども、基本的に代理出席は認めないということでございますけれども、ただ、欠席する委員の代理の方を説明員という形で、実質的にご出席をいただくということが可能だという規定にしてございます。また、この小委員会に入っておられない地球環境部会の委員の方にも、必要があれば出ていただくということもできるという規定もございます。
 それから、会議録については、これも通常と同様でございますけれども、作成いたしまして、基本的に公開していくと。議事要旨も同様でございます。
 以上が、この小委員会の設置の経緯あるいは運営方針の概要でございます。
 以上でございます。

○西岡委員長 ありがとうございました。
 資料1に関してでございますけれども、今後、集中的にヒアリングをしていくときに、必ずしも私の身柄が時間に合うとは限っておりません。いろいろなことで、委員長代理を決めさせていただきたいと思っております。委員長代理につきましては、安井委員にお願いできないかということで、よろしければお願いいたします。
 どうもありがとうございました。
 それでは、その他、今事務局の説明がございましたが、この委員会のバックグラウンドについて何かご質問ございましょうか。よろしゅうございますか。
 どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、議題2のほうに移りたいと思います。
 中長期ロードマップについて、事務局よりご説明、お願いいたします。

○地球温暖化対策課長 それでは、お手元の中長期ロードマップ関連資料集、本冊、別冊とございますけれども、これのご説明をさせていただきたいと思います。
 皆様方、特に検討会から参加されている皆様におかれましては、もう内容についてはご存じの部分が多いかと思いますけれども、簡単にご説明させていただきます。主に、この本冊のほうの概要、最初に6ページほど概要がございますので、これを中心にご説明させていただきたいと思います。
 この小沢環境大臣試案につきましては、先ほどごあいさつにもありましたように、別冊のほうの検討会、これが3月26日に第5回目が、昨年度の最終回、開催されました。そこで取りまとめいただきました。この別冊の資料は、26日にお出しした資料に、その日のコメントを若干反映したものでございます。この検討会の成果をベースにいたしまして、3月31日に小沢環境大臣試案というものを公表したということでございます。
 この1ページ目、概要に戻っていただきまして1ページ目に、まず、このロードマップの趣旨ということが最初に、一番上に書いてございますけれども、喫緊の課題である温暖化対策につきまして、2020年、25%、2050年、80%削減という中長期目標を実現するための対策・施策の道筋を提示したもので、一つの姿を提示したものでございます。今回のロードマップにつきましては、2020年、25%の部分が主になってございます。2050年、80%については、少しまだ時間の制約もございまして、十分議論ができていない部分がございます。
 2番目にございますように、このロードマップの考え方といたしまして、エコ投資あるいはエコスタイルというようなことを通じまして、我慢をするのではなくて、むしろ低炭素で快適な暮らしを実現しようとしていくということは可能だと、そういう道を追求しようということでございます。また、そのためには「チャレンジ25」というものを通しまして国民一人一人の取組が重要であるということでございます。
 また、温暖化対策、負担のみに着目するのではなくて、新たな成長の柱と考えることが重要であるということで、この低炭素の投資が新たな市場・雇用の創出、あるいはCO2の削減だけではなくて地域の活性化でありますとか、エネルギー安全保障、あるいは生活環境の改善というさまざまな便益をもたらすと、そういうことを念頭に進めていこうということが基本的な考え方でございます。
 この試案の中には、後ろにございますように各分野ごとに、この検討会の分科会でそれぞれ議論していただいたものを踏まえまして、細かいロードマップ行程表、対策のメニューがございます。1ページ目には、そのエッセンスだけを定性的といいますか、項目を挙げたものでございます。
 まず、日々の暮らしというところ、黄色いもの3つございますけれども、一番最初が住宅・建築物ということでございます。これについては、特に新築の建築物、新築につきまして、改定省エネ基準を2020年では100%達成していこうということを一つの目標に掲げてございます。それに関連しまして、躯体と中の機器を統合した基準、ゼロエミ基準を策定していく。あるいは、その省エネ基準、ゼロエミ基準の達成の義務化をしていくというようなこと。それから、既築も改修促進も含めた税制等のインセンティブをつけていくと。それから、この環境性能というものが不動産の取引において十分反映されていないというような問題点が指摘されました。ラベリング制度とか環境性能表示というものを義務化していく。それから、住宅温室効果診断士というような言葉を使ってございますけれども、各家庭、家における取組を促進するためのいろんなアドバイスをするような仕組みも大変重要であるということであります。また、見える化、削減量に応じたインセンティブをつけていくというようなことでございます。
 次の四角が、この日々の暮らしの中の鉄道・船舶・航空等でございますけれども、これらについては、鉄道車両・船舶・航空機等の省エネ型の機材の導入、あるいはバイオ燃料等の低炭素燃料、あるいはより低いCO2の輸送業者を選ぶような仕組みというようなことを挙げてございます。
 その次の四角も分科会をつくって議論をしていただいたものでございますけれども、いわゆる自動車でございます。これにつきましては、次世代自動車の販売台数を250万台と。これは2020年の時点で、販売台数の約半分に相当するものでございますけれども、これをハイブリッド、電気、プラグインハイブリッド、あるいは天然ガス、将来的には燃料電池と、あるいはクリーンディーゼルも入ってまいりますけれども、そういう次世代自動車にかえていこうという目標を掲げてございます。それのためのインセンティブとして、税のインセンティブをつけていく。それから、引き続きガソリン燃料が重要な位置を占めますので、燃費基準も段階的に強化していく。バイオ燃料についてもE10対応車というものを導入していく。特に今後、電池の開発、これの低コスト化というものが大変重要であるということでございます。それから、エコドライブ、カーシェアリング等のソフトの対策も重要であるということになってございます。
 それから、右上にいきまして、地域づくりということで、2つ四角がございます。
 まず最初の四角でございますけれども、歩いて暮らせる地域づくりというようなことで、目標といたしましては、旅客1人当たりの自動車走行量の1割削減というのを挙げてございます。この交通自動車分野については、今申し上げた自動車の単体の対策だけでは、なかなか25%は厳しいということでございまして、低炭素の地域づくり、いわゆるコンパクトシティというようなものをつくっていくと。あるいは、LRT等の公共交通機関を復活していくというようなこと、あるいは自転車の活用というものも含めまして、1人当たりの自動車の走行量を減らしていくということを目標にしてございます。もう一つのテーマは都市未利用熱の活用ということで、例えば清掃工場の排熱の活用というようなことも含めて、地域づくりにそういうものを組み込んでいく。あるいは、最後のポツにございますように、物流・地域間旅客、比較的長距離の旅客交通、こういうものについてもモーダルシフトというようなものを進めていくことを通して低炭素化を進めていくというようなことを掲げてございます。
 その下の農山漁村地域というものにつきましても、サブグループをつくって議論していただいたわけでございますけれども、これらにつきましては、CO2を出すというよりも、その吸収をしていく。森林等による吸収、あるいはバイオマス資源等の、いわゆる再生可能エネルギーの資源というものを供給する役割というものが重要だろうと。そういうものを通じた地域の活性化なり、新しいビジネスモデルというものをつくっていこうということでございます。
 それから、その下がものづくりということで、産業部門と言われているものでございますけれども、「低炭素ものづくりの世界展開」というようなキャッチフレーズを書いてございますけれども、2050年に向けてエネルギー消費というものをさらに三、四割減らしていくということが目標として掲げられております。ここでは、排出削減に努力をする企業が報われる市場づくり、経済的なインセンティブを含めて、そういうものが重要だろう。あるいは、低炭素投資にお金が回るような金融面での環境づくり。あるいは情報開示の促進。各産業界から非常に強く意見として出していただいておりますけれども、ライフサイクル排出量を評価する仕組みということで、工場・事業所、製造段階における排出を削減するということだけではなくて、低炭素型の商品、サービス、そういうものを供給することによって、いわゆる使用段階における排出量を減らすというところの貢献についても評価するというような仕組みの重要性を指摘してございます。中小企業に対する支援、革新的技術開発。それから、フロンにつきましても、特に代替フロンが、これから排出が増えていくというおそれがございます。そういうものの排出抑制、あるいはノンフロン化というような取組も、これから重要になってくるだろうということでございます。
 その下の四角が、エネルギー供給分野ということで、低炭素社会を見据えた次世代のエネルギー供給ということでございます。これにつきましては、政府の温暖化基本法案の中で、再生可能エネルギーの割合を2020年までに10%以上にするという目標が掲げられております。それを目指しまして施策をいろいろ盛り込んでございますけれども、一番上にございますように、現在、経産省で検討しております固定価格買取制度、これにつきまして、事業投資を促す水準での買い取り。具体的には、内部収益率8%というような数字を、指標を使ってございますけれども、その水準が必要であるというようなこと。それから、電気だけではなくて熱も大変重要だということで、熱についてもグリーン証書のような仕組みが出てきておりますけれども、そういうものを通して推進をしていくということでございます。再生可能エネルギーにつきましては、特に初期投資がハードルになるということで、その初期投資に伴う事業リスク、あるいは負担を軽減するというための、例えば企業、あるいは地域の育成・支援というようなものが書いてございます。また、これは支援だけではなくて、場合によっては再生可能エネルギーの導入を義務化するような、例えば一定規模以上の建築物等につきまして、導入の義務化というようなこともオプションとしてはあるのではないか。それも含めて、社会システムの変革を進めることが必要だろうということであります。また、再生可能エネルギーを大量に入れるためには、どうしても系統連系対策、こういうものが大変重要になってまいります。それに関連して、スマートグリッドというものを整備していくということも重要な課題になって、やっていっております。それから、再生可能エネルギーだけではなくて、当面、化石燃料が重要な地位を占めるということでございますので、燃料転換、あるいは高効率火力発電による火力発電の低炭素化、将来的にはCCS、そういうものによって火力発電、化石燃料の利用の効率化、低炭素化を図っていくと。それから、安全の確保を大前提とした原子力発電の利用拡大、特に稼働率を上げていくというようなことが非常に重要な役割を果たすということでございます。
 それから、一番下の四角でございますけれども、各分野の取組を進めるための横断的な施策といたしまして、キャップ・アンド・トレード方式による国内排出量取引制度、それから地球温暖化対策税というものを、位置づけをしてございます。
 2ページ目以降に少し具体的な数字が書いてございます。
 この2ページ目の上の棒グラフでございますけれども、1990年、それから最近の2008年までの実績値が書いてございます。2020年のところに2つグラフがございます。この別冊のほうの検討会の資料に、検討会におきましては、この2020年の姿としていろんなケースを想定した算定をしてございます。具体的には、25%の削減については、いわゆる真水で25%、20%、15%という3つのケースについて数字を計算して、そういうものをベースに議論していただいております。この小沢試案におきましては、25%という大きな矢印がございますけれども、これについて、国際貢献、吸収源を含めるということで、いわゆる海外との協力によるクレジット、あるいは国内の吸収源、こういうものの活用を含み得るわけでありますけれども、これらについてはまだ国際的なルールが決まっていないということもございまして、この小沢試案においては、数字としては25%、すべて真水で削減した場合の数字を2020年の棒グラフには、にょろっと、幅があるということを示しておりますけれども、数字としては25%真水のものを書いてございます。
 マクロ変化、マクロ固定につきましては、詳細は別冊のほうにございますけれども、粗鋼を初め、いわゆる素材産業の生産量というものを業界の見通しに踏まえて固定した場合がマクロ固定であります。それについて、炭素に価格をつけるというようなことでモデル計算をしたことによって、若干そういうものは変動するというものを勘案したものがマクロ変化ということで、少し産業部門の数字が変わってきておりますけれども、この2通りの数字を計算してございます。マクロ固定というものが一番、ある意味では各分野の対策の導入量が大きくなるということになってまいります。
 2ページの下半分以降は、各分野におけます2020年の絵姿ということで、今申しましたように、この25%すべてを真水でやった場合で、なおかつ数字としてはマクロ固定の場合の、ある意味では最大のケースということで、さまざまな対策機器の、これだけ導入することが必要であるということの数字を幾つか例示してございます。詳細については省きますけれども、給湯器から始まりまして、太陽光発電、住宅の断熱化、これらについて現状から相当大幅な普及が必要であるということが具体的な数字として、最大ケースということで書いてございます。
 その枠外には追加投資額ということで、それぞれの対策、機器の導入に必要な追加投資額、追加投資というのは、例えばハイブリッド自動車を買う場合には、そのハイブリッド自動車の価格すべてではなくて、従来型の自動車に比べての差額を計上したものでございます。もちろん太陽光発電のような新しく入れる場合には、その全額ということでございますけれども、そういう形で追加投資額というものを計算したものがございまして、3ページの右下にありますように、すべて合計すると約100兆円。これは2011年から2020年までの10年間の総額でございますけれども、100兆円ということで書いてございます。ただし、これについては、例えば地域づくりのほうのまちづくりとか、そういういわゆるインフラ、そういうものについては入ってございません。基本的にはいろんな機器の導入ということでお考えいただければと思います。
 それから、4ページ以降につきましては、このロードマップを実際実施する際に、どのぐらいのコストがかかってくるかということについての幾つかの分析あるいは試算を書いてございます。
 4ページでございますけれども、低炭素な日々の暮らしのイメージということで、これも別冊のほうにより詳しいあれがございますけれども、今回のロードマップを実施するためには、特に各家庭において、太陽光発電を初め相当なものを導入していただかなければいけないということで、じゃ、それにはどのぐらいのコストがかかるのかと、それはもとがとれるのかというようなことについてわかりやすく例示をしているものでございます。
 例えば、この左側、新築で家を建てる場合ということでございますけれども、その新築の際に太陽光発電、断熱化、あるいはヒートポンプ等の高効率給湯器、あるいは省エネ家電、そういうものを一そろいそろえますと、追加投資額として300万円弱のものはかかってくるということですけれども、ここに固定価格買取でありますとかエコポイント、そういうものを活用する。それから、これらが光熱費の節約になりますので、その節約分というものをカウントしていくということをいたしますと、この例の場合には約9年から10年で追加投資が回収できるというような試算をしてございます。もちろんこれは、それぞれの事情に応じて前提条件が変わってまいりますから、試算の一例にはすぎませんけれども、こういうことで具体的なイメージを持っていただくということで、こういう取組についてのご理解をしていただくということは重要ではないかということで、こういうものを幾つか例示を書いてございます。
 また、5ページ目以降でございますけれども、このロードマップ実行がもたらす経済効果ということで、これについても検討会のほうで、第5回で若干ご議論いただきましたものと、新しいものを1つ追加してございます。
 最初の3つは検討会でご紹介をしたものでございますけれども、1番は大阪大学の伴先生の試算ということで、いわゆる一般均衡モデルでございますけれども、将来CO2の規制が行われるということを見通して、前広に低炭素投資、太陽光発電の導入等、低炭素投資を行うと、そういうビヘービアを導入するということを可能なモデルにしてございます。そういうものによった、そういうモデルによる計算を行っていただいた場合でございますけれども、イノベーションが実現をしまして、このような、ここにありますように、その対策の強化を行わない場合に比べると、2020年時点で約0.4%でございますけれども、GDPあるいは雇用の押し上げ効果が出てきているという結果が出てございます。
 2番目のものは、東京大学の松橋先生のものでございますけれども、家計に注目いたしまして、家計を18の所得階層に分けて分析をしておりますけれども、省エネ家電あるいはエコカー、太陽光発電と、こういうものが大量に普及してくるという前提のもとで、そういう機器の価格が下がっていくと。それに加えて、こういうものの導入によりまして光熱費が、それ自体が節約されると。そういうことで家計に余裕ができて、家計の効用が増すということで、対策の強化を行わなかった場合に比べると、所得の等価変分というもので評価した所得が上昇するという結果になっております。ここにございますように、所得の高い人ほどこういう機器を買いますので、効果が高まるというばらつきはございますけれども、こういう全体として所得が上回るという結果が出ております。
 3つ目の分析結果につきましては、いわゆる産業連関分析ということで、名古屋大学の藤川先生によるものでございますけれども、住宅・自動車あるいは太陽光発電・風力、さまざまな分野で新しい需要が大量に出てくるということで、それによります市場あるいは雇用の創出効果というものを計算してございます。2020年で45兆円・125万人ということで、昨年末の新成長戦略で出ました50兆円・140万人の約9割、環境分野全体の9割を占めるというような数字になってございます。これにつきましては、注で書いてはございますけれども、あくまでも新しく、この温暖化対策によって新しく生まれる産業、市場、それによるプラス効果を評価するというモデルでございまして、従来型の商品なり産業が縮小するということも当然あるわけですけれども、そこについての影響は計算できないということでございますので、その部分は注意して見ていく必要があるということでございます。
 それから、次の6ページ目でございますけれども、このモデル分析結果4と、これは別冊の検討会では時間的に間に合わなくて紹介できなかったものでございますけれども、日本経済研究センターによるものでございます。これは、いわゆるマクロモデルというものを使いまして、一般均衡と違いまして、需給ギャップがあると、需給ギャップがあって失業が出ていると、そういう状況、むしろ現在の経済状況に近いと思われるわけでありますけれども、そういう状況の再現ができるモデルというものを使ったものでございまして、そこに炭素税という形で温暖化対策を実施すると。この税収の使い方、いろんなケースを計算していますけれども、ここで示しておりますのは、税収を政府支出に充当した場合ということで、これは必ずしも環境分野の支出というような限定はしておりませんけれども、政府支出に充当した場合の結果ということをお示ししてございます。この場合、これはもちろん税率によって変わってまいりますけれども、対策・施策を強化しない場合に比べて、最大で0.7%程度、GDPが改善して、失業率も、最大0.1ポイントですけれども、改善をするというような結果が出ております。
 以上が概要でございます。
 詳細につきましては時間の関係で省略いたしますけれども、この別冊でお示しした各検討会、分科会で議論していただいたもののエッセンスも参考資料として、この小沢試案の参考資料としてつけさせていただいております。詳細を見ていただきますと、当然でございますけれども、各分野ごとに細かい行程表を書いてございますけれども、こういうものを実際実施する場合のいろんな課題、いろんなハードルがあるということも、あわせていろいろと書いていただいているところでございます。
 それから、別冊のほうにつきましては、検討会でまとめていただいたものでございますけれども、先ほど申しましたようにさまざまなケースについての数字が載ってございます。細かい具体的なモデルの前提条件でありますとか数字については、この別冊の後半の国環研AIMプロジェクトチームというクレジットのつきました排出量の試算というところで、今回の2020年のケースの、どんな前提条件で計算をしたかというようなこと、それから、その際のいろんなフレーム、マクロフレーム、活動量のデータから始まりまして、細かい数字、さまざまなそれぞれのケースにおける対策の導入でありますとか、エネルギー供給量の分野別の数字でございますとか、そういうものが入ってございます。加えて2030年についても、2020年までの施策を延長した場合ということで試算しているということで、そういう数字も載っているものでございます。
 非常に雑駁なご説明でございますけれども、以上がこの小沢試案の内容の概要ということでございます。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 本日、これからの議事でございますけれども、約1時間ぐらい使いまして、今、このロードマップの原案自身についてのご質問あるいはご意見をいただきたいという具合に思っております。その後の議事は、今後どうやっていくかということでございますので、ロードマップ自身についてのご意見、ご質問はぜひこの際いただいておきたいという具合に考えております。もちろん、検討会、これまでやってこられた委員の方もいらっしゃいますし、そういう委員の方からの返事もお伺いすることはあるかと思います。
 全体に考えてみますと、京都議定書のときも、どういうことでいこうかという議論が相当なされておりまして、それの、言ってみればまた繰り返しかという話になるわけでございますけれども、大きく状況は変わっているということですね。もう既に国際的にも、あるいは自然科学の面からも、緊急に行動に移らなきゃいけないという状況にあるかと思います。
 これまで、どちらかというと、どっちへ行ったらいいんだろうかという政治の意思がはっきりしていなかったところもあったかと思いますけれども、今回そういう法案という形、あるいはその中でさまざまな経済的措置をとるというような形で明快に示されつつあるということで、この作業は非常に重要になってきたと。また、非常にある、もちろんのことですけれども、まさに現実性を帯びてきたという、現実そのものになってきたというように考えられるわけでございます。
 そういうことで、今、原案自身はご説明がございましたけれども、ぜひ今後、皆さんのご意見を入れて、そしてヒアリングの結果を盛り込みながら、適宜、そのロードマップについての検討、本体自身についての検討も並行して進めながら、いいものをつくっていきたいという具合に考えているわけであります。
 それでは、どうぞ、ご意見をお持ちの方は札を立てていただきまして、順次お話をお伺いしたいと思っております。
 どなたもいらっしゃらない。
 それでは、影山委員、杉山委員といきたいと思います。よろしくお願いします。

○影山委員 ありがとうございました。
 小沢試案を読ませていただきまして、いろいろなところからご意見をいただいていると思いますので、その繰り返しになるかもしれませんけれども、幾つかご意見と、それからご質問をさせていただければというふうに思います。
 まず、意見としましては、ここに盛られています太陽光・風力の導入量も含めて、一体どうやってこれを実現していくのか、あるいは本当に実現できるのかどうかというところを、もうちょっとよく精査していただきたいと。これだけの量の太陽光が本当に家庭の屋根に載っかるのかどうか、あるいは工場の屋根ですかね、そういうところに設置できるのかどうかというようなところを、もう少し精査をしていただかないと、単にざっくり5,000万キロワットというような数字が出ても、なかなかその実現可能性というところに信頼がないのではないかという気がいたします。
 それから、その太陽光なり風力を設置するに当たっての負担について、どういうふうに見ているのか。先ほど、投資回収年数という数字で表現されておられましたけれども、例えば我々、肌感覚で申し上げますと、ここで300万ぐらい、あるいは今これ、コストが下がった状況での値段でありますので、今の値段でいくと五、六百万円ぐらいということかもしれませんが、そのぐらいの値段をこれだけの人が本当に負担できるのかどうか。また、回収できるといっても、まず初期投資としてそれができるのかどうかというところを、よく後のヒアリングでも含めて聞いていただきたい。我々としての肌感覚では、この住宅のローンを返している中で、これだけの投資をさらにするというのはかなりきついんじゃないかなと、相当な家計の圧迫になるんじゃないかなという気がいたします。そういった負担感についても、ぜひ精査を待っていただきたいというふうに思います。
 それから、私は電力会社という立場で、電力供給の専門家という立場でここに出させていただいていると思うんですが、今回のロードマップについての供給の安定、安定供給への影響、こういったものについてはしっかりとまた考えさせていただきたいと思いますし、意見も言わせていただきたいと思います。この中では、かなり石炭を切り込むような、そういう形になっていると思いますけれども、それで本当に安定供給というのが得られるのかどうかというところについては、もう少し精査が必要であろうというふうに思っております。
 それから、最後にご質問でございますけれども、今回これは25%をやるということのロードマップというふうにお聞きしましたけれども、実際には25%以外の道筋もあるわけで、それをどんなふうにこの中で議論していくのか。真水分というのをどういうふうにやるのかというのは、どんな議論でやっていくのかというようなところ。
 それから、それをどういうポリシーミックスでやるのかという、そこら辺の議論をこの中でどういうふうにやるのかどうか。やらないで、別のところでやるのかもしれませんけれども、そこら辺のところについてはどうお考えなのか。
 さらには、まだ京都議定書の目標達成期間が12年まで残っておりまして、6%削減というのは、これは必死に今、産業界も含めてやっているところでございますが、それとの関係、それとどういうふうにつなげていくのかというところについて、どうお考えなのか。
 この3点について、ご質問をさせていただければと思います。
 以上です。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 続いて、杉山委員、お願いします。

○杉山委員 ありがとうございます。日本労働組合総連合会から参りました杉山でございます。よろしくお願いいたします。
 今回、まず冒頭に一つ、今回こういった小委員会が設けられたということについて、受け止めを申し上げておきたいと思いますけれども、まだ基本法案審議中ではございますけれども、あの中で33条ですか、案をしっかりと、国民各層の意見を聞いていこうということで、法律の中に書き込んで一応提案されていると。そのことも受けてこのような場所が設けられたんだろうなというふうに受け止めておりまして、そういう意味では、ぜひここでの議論を有効かつ真摯に受け止めていただいて、よりよい低炭素社会づくりの材料といいますか、営みに活用していただきたいというのが一つでございます。
 そういった意味では、我々連合としても、こちらのこのような小委員会に参加させていただいたことを真摯に受け止めて、積極的に対応させていただきたいというふうに思います。その上で、今回の中長期ロードマップの試案の関係ですけれども、まず数点、ご意見を述べさせていただきたいというふうに思います。
 まず1つは、世界全体の、地球全体のCO2を減らしていくという観点で何が必要かということも検討していかなければいけないだろうと。既にご案内のとおり、我が国の排出量は約4%、世界全体その他を見れば96%のCO2があるわけですから、じゃ、その中で日本が今後何をしていくべきなのかといったときに、世界の96%、もちろん日本の4%を減らすことも重要ではございますけれども、世界全体の96%をどれだけ低減させていくのか。そのために日本が何をできるのか。日本の産業技術、低炭素技術が何を貢献していけるんだろうかということについても、しっかりと検討していく必要があるのではないかなと。今回、提案の中では真水25%という、そういう形で示されておりまして、国際貢献等については含み得るという表現になっておると。今回の位置づけについては、理解できないわけではありませんけれども、やはり世界全体でどう減らしていくかという視点は重要ではないかと。今後の国際交渉等の成り行き、動向ということもありますけれども、やはり日本が今持っているこの技術、これをどう世界の削減に貢献し得ることができるのかという観点はぜひ入れておいていただきたいなと。
 あと、これは考え方等あれば後ほどお教えいただきたいと思いますけれども、例えば今ある日本の低炭素技術、例えば電力供給に関しても、鉄鋼生産にしても、あらゆる産業界で低炭素技術が進んでおるわけですが、それを仮に世界のある地域もしくは広範な地域で活用した場合に、世界のCO2は現行と比べてどう減っていくことが考えられるのかということについても、やはり数値として見ておく必要はあるのではないか。さらに、そういったものも今後の交渉なり、そういったところに活用していったらどうかというふうに考えているところでございます。
 2点目には、ロードマップの2ページ目に、2020年、50年における排出量の姿というふうに出されております。これを見てみれば明らかですけれども、やはり産業界と家庭・業務部門、これらが占める割合は、ざっくり約半々というふうになっていると。今後、2020年に向けて何をしていかなきゃいけないかといったときに、得てして、やはりさまざまな経済的手法を含めて、産業界、そこの中での削減のスキームといいますか、議論がどうもやはり先行しているのではないかなという気がしています。
 もちろん重要なことであるということは否定しませんけれども、この中の将来像案を見ましても、産業界で減らす数字は、マクロ変化1で見まして11%。反面で、家庭・業務部門では40%を超える削減をしていかなければいけない。じゃ、そのためにどうするかという中では、主要な対策項目としては、いろいろな省エネ家電等々の購入というものが出されておりますけれども、やはりもう少し踏み込んで、この民生部門をどう削減していくのかという、その仕組みについてもしっかりと検討と議論をしていく必要があるのではないかと。そして、民生部門が削減し得る大きさ、それと産業界との関係、そして日本全体の中での削減をどうしていくのか。やはりそういった検討が必要ではないでしょうかというのを考えております。
 例えば、購入だけではなくて、今回ロードマップの中にもそれぞれ国民の取組ですとか、もしくはスマートグリッド、スマートメーター等を活用した見える化ですとか、いろいろな要素が入っているわけですけれども、各家庭で消費電力、消費CO2を見えるような形のものを、そういったものを推し進めることによって、それぞれ国民一人一人の行動で少しでも削減に寄与していく。それを仕組みとして確立していくと。そういうような観点も中で必要ではないかということを2点目に申し上げておきたいというふうに思います。
 3点目ですけれども、2点目とも絡みますけれども、やはり今後、日本として社会モデル、暮らしのモデルとして、低炭素を実現するモデル、それを構築して、それを世界へしっかりと発信していくことが必要ではないかなというふうに思います。そういった意味では、日本のICT技術というものも非常にすぐれているというふうに認識しております。先ほどのスマートグリッド、スマートメーターなどを活用した、暮らしの中でどう見える化を通してCO2を削減するか。そのようなモデルをICT技術ともしっかりとリンケージをとった、そういったモデルの構築というものも今後の削減の一つの重要な方策として考えられるのではないだろうか。さらには、そのことが真の国際貢献にも寄与していくのではないのかなというようなふうに考えておるところでございます。
 私のほうからは以上3点について意見とさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、こちらへまいりまして、枝廣委員、それから飯田委員、お願いします。

○枝廣委員 ありがとうございます。今回から参加させていただくことになりました枝廣です。
 よろしくお願いします。
 これまでの検討をずっとされていて、大変なご苦労をなさってまとめてくださったと思います。数値であるとか内容については、これからいろいろと議論がされると思いますが、少なくとも、みんなが見て広く議論ができる、その土台を作ってくださったことに、一国民として感謝申し上げます。何点か質問とコメントとさせていただきたいのですが、最初は、これまで検討して、このロードマップを作ってこられた委員の皆さまへの質問になります。このロードマップを作るに当たって、何が大きなもしくは主な障壁であると、もしくは阻害要因であるという認識を持って、このロードマップを作られたのか、それをぜひ教えてください。
 それから、次はコメントになるかと思いますが、先ほどの影山委員も、エネルギー、再エネに関して精査が必要だというお話がありましたが、私も逆の方向でまったく同じく、もっと精査がいるなと思っています。やはり、低炭素化を進める上では、エネルギーをどうやって転換していくかというのは、一番の鍵だと思っています。先ほど杉山委員からも、民生の暮らしのCO2の話が出ました。
 家庭部門からのCO2というのは(私が言うのは釈迦に説法ですが)、3つのものを掛け合わせて計算されると認識しています。世帯数と、世帯当たりのエネルギー消費量と、そのエネルギーのCO2原単位と、それを掛け合わせたものが暮らしのCO2、もしくは家庭のCO2となります。
 おそらく、世帯数は増えておりますし、これからも、社会的な動きを見ると、増える可能性があるのではないかと。そうすると、世帯当たりの省エネを進めるという意味で省エネ家電を進めるとか(これは今回入っていると思いますが)、それから、エネルギーのCO2の原単位を減らしていかない限り、家庭部門は減っていかないということです。
 「再エネの目標が10%」というのが、これはあとで細かくお聞きしてもいいかもしれないのですが、どのように計算されたかということ、つまり何を前提にしているかということを知りたいと思っています。再生可能エネルギーについては、「物理的な潜在可能性」というものと、それをどれぐらい実際に使えるかという「技術的な潜在可能性」、そして技術があったとしても、それは今のコストでは無理だ、もしくは今の制度では無理だという、「コスト・制度的な潜在可能性」、いくつかの段階で、計算することができると思うのですが。
 例えば風力を見積もられた時に、陸上だけなのか、洋上も入っているのか、例えば波力はどうなのか等々。そのあたりをしっかり見ることが、自分にとって、この先いろいろコメントさせていただく上で重要なので、あとで教えてください。それから、次のコメントは、先ほど影山委員がおっしゃったこととまったく同じ、同感だというコメントなんですが、やはり家庭部門にしても、何十万円なり何百万円なりがプラスでかかりますというのを、「はい、そうですか」と、「じゃあ、10年後で回収できるんだったらやりましょう」と言える人は、なかなか少ないと思います。なので、負担でも投資――投資と扱ったほうがいいと思いますが、それを、「先々プラスになるから」、もしくは「やらないといけないから」という、我慢してやらなきゃいけないというよりも、それを負担と感じさせないような仕組みを、どのように入れていくか。
 例えば、簡単な例で言うと、家庭版のESCOであるとか、そういった投資をすることによって削減できるCO2を買い取るとか、いろいろな形があるのではないかと思うんですが、そのあたりの議論があったら、もしくは具体的な仕組みをお考えだったら、教えてください。
 それからもう1つは、これは自分自身、この小委員会に参加する中で考えていきたいと思っていることなのですが、単体での省エネが進んだとしても、総量は増えてしまうという、いわゆる「リバウンド効果」というのがありますよね。
 例えば省エネをして、その分、光熱費が安くなると、その可処分所得が増えた分を別のことに使って、結局CO2が増えてしまう。そのリバウンド効果をどうやって回避するかという仕組みも含めて、単体での省エネないし燃費改善というのをやっていかないといけない。そのあたりを考えていきたいと思っています。
 それから最後の点になりますが、寺田局長が先ほど「各省との擦り合わせをしながら」というお話がありましたが、これが一番大切なポイントではないかと思っています。
 今、「新成長戦略」と「エネルギー基本計画」と、そしてこの「温暖化対策基本法」と3つ、成長とエネルギーと温暖化と、それぞれのところで議論が進んでいますが、ここのところが統合的になっていかないと、それぞれでいいものを作っても、うまく動かないと思うんですね。先日、私は、経産省が「環境エネルギー政策に関する国民対話」というのをやっていらっしゃる所に参加してきました。経産省でも、1つの柱は「暮らしのCO2削減」だと。環境省も今回は、企業や産業界のヒヤリングを含め、そのあたりもしっかり切り込んでいくよと考えていらっしゃる。
 両方がやっていることは、かなりオーバーラップというか、重なってきているところもあるので、産業界を呼び込んでヒヤリングするにとどまらないで、どういった形で各省との擦り合わせ、もしくは成長戦略やエネルギー基本計画との擦り合わせをしていくのか。これは自分自身に答えがあるわけではありませんが、そこをやっていかないといけないのではないかなと認識しています。

○西岡委員長 飯田委員、お願いします。

○飯田委員 大きくは3つ申し上げます。
 1つは、今の枝廣さんが最後言った点につながるんですが、まず情報として、一昨日ですか、日本エネルギー経済研究所のホームページに、このロードマップの伴先生の経済評価に関する批判が、私も参加していたタスクフォース委員の一部の方ということで、私も委員だったんですが、賛同するかどうか聞かれていないんですが、賛同するメンバーだけということで上がっておりますので、今後そういったことをいろいろ、やっぱり公開の場できちんとディスカッションする必要があるかなというふうに思いますが、そのことも含めて、やはり先ほどのエネルギー基本計画であるとか、フィードインタリフであるとか、そのあたりを政府として、きちんと一定の方向性を出るような場を、これは3月の終わりの場で小沢大臣が来られる直前に私ちょっと言ったんですが、環境大臣としての小沢大臣と同時に、地球温暖化関係閣僚委員会の事務局長としての小沢事務局長が各省庁をしっかりと束ねるという場をつくっていただいたほうがいいのかなというふうに思っております。これは質問というよりお願いですね。
 それから、2点目としては、ちょうど影山委員が負担という話をおっしゃられたので、負担に絡めて、ちょうど3月26日のロードマップの場で、私ども環境エネルギー政策研究所も含め、東京都や、あとさまざまな消費者関係団体の方々に集まっていただいて、この温暖化と再生可能エネルギーに関する負担というのは本当に負担なのかという、一種のコンセンサス文書づくりをやりまして、東京電力にも声かけたんですが、どなたも返事もなかったので、ちょっと不思議なんですが、そこの場では、基本的には負担であるが投資でもあり、そして責任でもあるというのが大きなコンセンサスになったということと、あわせて非常に重要なことは、一部の負担だけをクローズアップして言うのではなく、全体をバランスよく専門家は情報を提供すべきだということですね。
 具体的に言うと、例えば電気料金の中で、このフィードインタリフの負担が100円になるか500円になるかという話があるんですが、それ以外に、例えば一昨年原油価格が上がったときに、電気料金の燃料費調整制度でいきなり500円ぐらい上がるわけですね。このお金というのは国内に使われずに、そのまま海外に流れ出ていくと。今またじわじわと原油が上がってきておりまして、この先そういったものが上がっていったときの負担というものを、例えば電力会社あるいは政府はどういうふうに説明し、どう考えるのかと。そのこととのバランスで、このフィードインタリフというのはどうなのかというような議論もその場では出たわけで、やはりそういうバランスよく負担は、負担といっても、そこだけを取り上げて、しかも負担という側面だけで言うのではなく、それが長期的に見て、あるいはほかのさまざまな支出と見てどういう意味を持つのかということを、やはりこれからこの先この場においてでもいいんですが、議論していく必要があるかなというふうに思っております。
 それから、これも幾つか、先ほどの連合の杉山委員が、国民一人一人とか、日本の技術を世界にというお話があったんですが、幾つか客観的な事実をしっかりと踏まえておく必要があるのではないかというふうに思います。
 一つは、日本の技術がどうのこうのという話に関しても、まず、ここで真正面から議論するわけではないですが、今キャップ・アンド・トレード、フィードインタリフ、それから環境税というのがいわゆる三本柱になっておりますが、1990年から2007年にかけて、日本はご承知のとおり9.何%、GHGを増やした上に、上にというか、GDPは20%強増えているわけですが、ドイツはCO2を22%削減してGDPを30%増やしています。イギリスはGDPを52%ぐらい増やしてCO2を20%、18%ぐらい削減し、デンマークもスウェーデンも大体GHGを10%以上削減しながらGDPは四十数%増やしていると。こういった国々、要はGHGを減らしながらGDPを日本よりもはるかに増やした国々は、いずれも環境税をしっかりと導入し、再生可能エネに関するしっかりとした普及の枠組みを持ち、そしてEUETS以降はしっかりとした大規模な削減の枠組みというルールを導入して、まさに環境と経済の統合を実現しているわけですが、日本は、そのどれにもまともな政策はまだないということですね。
 そういった客観的な事実と、それから、日本の技術が進んでいると言いますが、世界の今12兆円に達した再生可能エネルギー市場の中で、日本の市場はわずかに0.8%。今、時価総額で1兆円を超える再生可能エネルギー企業が続々登場し爆発的に成長していますが、日本は時価総額が恐らく100億円を超える会社すらまだ登場していないといった形で、むしろ日本は本当に環境先進国なのかという話が今年の3月1日の日経ビジネスに特集で出ていたかと思いますが、そういった現実も一方で見る必要があるということですね。
 そういったところで、やはり今回のロードマップはしっかりと新しいルールをつくって、環境と経済を言葉ではなく実体として統合する方向性を出したものだというふうに、私としては非常に高く評価をしておりまして、今回は産業界の方々も入っておられるので、ぜひそのあたりを今後議論させていただければというふうに思っております。
 以上です。

○西岡委員長 ありがとうございました。
 安井委員、そこで一旦切りたいと思います。はい、どうぞ。

○安井委員 ありがとうございます。
 私も実際、このロードマップに関しましては若干の貢献をさせていただいたわけでございますが、参画しておりました。それで、これからさらなる精査ということで、ヒアリング等を含めて議論を行うわけでございますが、ちょっとその外枠といいますか大枠について、ご質問を1つだけ申し上げたいと思います。
 要するに、もう既に枝廣委員、飯田委員、あるいは杉山委員からご指摘があるとおりなんですが、例えば新成長戦略には日本の貢献によって13億トンの、世界的に削減に貢献するとか、あるいは先ほど杉山委員がおっしゃっていたことですが、アジアを中心としたその成長ゾーンを省エネ社会にして、多分省エネ技術は日本もまあまあいいところにいっていると思うんですが、そういった形で貢献していくとか、あるいは一時期、鳩山イニシアチブみたいなことも言われていたと。それからさらに、しばらく前になりますけれども、日本は2050年で80%削減と今言っておりますが、振り返ってみると、あれは世界全体で2050年、80%削減というG8の宣言あたりに基づいているわけでありまして、日本国がやりゃいいだけじゃないということも言っていた時代もあるわけですよね。
 そういうことを考えると、ここでのロードマップのさらなる精査という、その精査のやり方なんですけれども、一体何を最適化して精査というのかというところがちょっと見えにくい。要するに、真水25ということを目的にしてごりごりやるというのが精査なのか、そうではなくて、もっと別なクライテリアを設けた上で、その精査というのを行えるのか。また、ヒアリングの人選についても同様でございまして、先ほどのご意見にもあったように、そういった外枠絡みのヒアリングも行うことがあるのか、ないのか。そのあたりをちょっとご質問申し上げたいと思います。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 一旦、札が閉じておりますので、これまで幾つか出た質問について、まず、高橋課長のほうからお願いしたいんですけれども、出た問題といたしまして、今の真水の話と、それから、すり合わせの話等々ですね。よろしくお願いします。

○地球温暖化対策課長 ありがとうございます。
 いろいろ幾つか出たご質問につきまして、お答えできる範囲でご説明したいと思います。
 真水論でございますけれども、今回、小沢試案につきましては、ご説明で若干触れましたけれども、必ずしも25%を真水でやるということを決めつけたわけでは決してございませんで、国際貢献、吸収源を含めるということでございますけれども、これらについてはルールがまだ決まっていないという話もございますし、基本的な、大臣あるいは政権の考え方としては、できるだけ可能な範囲で、国内で対策をすることが原則だろうということなので、国内でまずどこまでできるかということを我々としても、その実現可能性をきちんと見ていく必要があるということで、この25%真水というのをたたき台にして、まさに影山さんがおっしゃったような、実現可能性がどこまであるかということを精査していくという作業をぜひやりたいということでございます。そういう議論を通じて、その真水についてもどうあるべきかということの検討につながっていくのではないかという気がしてございます。
 そこで、海外の話ですけれども、まさにそこは鳩山イニシアチブというところで、別の場で議論がされてきておりますので、即それを、海外の貢献をどう扱うかみたいなことを直接このロードマップで主な議題として今取り上げることは考えておりませんけれども、ただ、そういうものの議論の動向というものをやはり適宜見ていかないといけないだろうと。そこは具体的にどうやるか、ちょっと今すぐあれでございますけれども、そういう海外との関係で、そういうものの議論も適宜リファーをしながら議論を進めていくということではないかと思っております。
 京都議定書の目標達成との関係ということでございますが、たまたまといいますか、今日、参考資料ということで、この直近の2008年の確定値という参考資料を、3ですね、出させていただいておりますけれども、この裏側にございます2008年度の確定値につきましては、実際の排出量でいいますと、前年に比べると6.4%減っておりますけれども、基準年、90年に比べると1.6%増えているということでございます。これについては、皆さんご案内のとおり、この京都議定書につきましては、実排出量だけではなくて、右側の棒グラフにございますように、国内の森林吸収源対策を予定どおり実施することによって、最大3.8%分のクレジットが使えると。それから、国によるクレジットの、京都クレジットの取得ということで、最大1.6%で予定をしておりますので、そういうものが順調に進めるということはございますけれども、それに加えて、2008年につきましては電気事業連合会さんのほうから自主行動計画の目標達成に向けたクレジットとして、排出量の約5%相当に近いものが用意をしていただいたということで、そういうクレジットの活用も視野に入れると、議定書の目標達成というのは視野に入ってきている段階であると。ただ、もちろん、これから景気の動向もございますし、対策の手を緩めるわけにはいきませんけれども、これまでの目標達成計画を着実に実行することで、目標は達成可能な領域に入ってきているというような認識ではございます。
 今回、このロードマップの議論を進めていただく中で、このロードマップにつきましては、2020年あるいは2050年という中長期の目標を達成していくということを目指したものでございますけれども、その中の施策には、中には例えば再生可能エネルギーの買取制度を初め、既に第一約束期間においても効果を発揮し得るものはございますので、そういう意味では、そういうもののロードマップの検討を進める中で、第一約束期間の目標達成についてもさらにその確実性を高めていくということが、そういう貢献がし得るのではないかというふうに思っております。
 それから、枝廣委員のほうから再生可能エネルギーについてのご質問がございましたけれども、この再生可能エネルギー10%目標をどう達成するかということの、まだ政府の統一見解があるわけではございませんけれども、このロードマップの議論の中では、別冊のほうの後半ですね。国環研のクレジットが入りました排出量の試算というほうの20ページですかね。ちょっとページがわかりにくくて恐縮です。
 後半の20ページ、ここに、再生可能エネルギーの導入量、産業マクロフレーム固定ケースということで入ってございまして、今回の試算においては、この左側の図でございますけれども、2020年、25%の達成ケース、3つ、1、2、3とございます。これはいわゆる真水、15、20、25に相当するものでございますけれども、これで見ていただきますと、25%、[1]、例えば真水15%のケースで10%にぎりぎり到達するということでございまして、そのときのバイオマス、太陽熱、地熱、水力、これは中小、大規模、両方でございますけれども、あと風力、太陽光というようなことを、このぐらい想定をしていますということであります。
 そういう意味では、波力とか、まだこれから新しく出てくるようなもので入っていないようなものも、現状では見込んでいないものもございます。風力については、たしか真水25の右側の[3]のケースですと洋上も若干予定入れておりますけれども。
 それで、このグラフの実際の数字は、すみません、57ページには実際の数字があるということであります。この20ページのグラフの数字にしたものは57ページにあるということでございますけれども、このロードマップによると、再生可能エネルギー導入量についてはそういう内訳を前提にしているということでございます。
 それから、各省とのすり合わせということでございますが、まさにそれは大変重要なポイントということで、特に現在エネルギー基本計画の見直しの作業が行われていると、それから新成長戦略もございます。そういうところの、新成長戦略については、まさにこのロードマップの議論に出てきましたさまざまな取組、そういうものを新成長戦略のタマとして、いろいろとインプットしていきたいと思っております。また、エネルギー基本計画については、国会でもこの整合性については度々ご指摘もいただいております。いろんなレベルで意見交換、情報交換を経済産業省ともさせていただいております。齟齬のないように議論を進めていきたいというふうに考えております。
 とりあえず以上でございます。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 幾つか皆さんのご意見の中でキーワードが出てきました。
 それは、今の真水、あるいは海外への貢献と、どういうバランスで考えていくのか。一番最後に安井委員のほうからもその話はございました。
 それから、もちろんですけれども、国の計画にすることをターゲットとしているんだったら、すり合わせをいつの時点でどうやっていくか。ぜひやってもらいたいという要望でございます。
 あと、負担の話がございました。私、この負担の話はついつい、今までどっちかというと、避けてきたわけではないんですけれども、十分に説明されていなかったのではないかなと思っております。
 昔、私も古いんですけれども、いわゆるオイルショックがあったとき、非常に原油の値段が上がったと。この部分は全く外に持ち出して、しかも自分たちの負担になっていったわけです。ですけれども、今度は何が起きているかといいますと、安定な気候の値段が非常に高くなっているんだと。それをメンテするために非常にお金がかかるんだと。そういう認識でいっていただくと、必ず最初の負担は当然あるだろうということを覚悟して、そういう中で、誰がどういう形で負担をしていくのが一番スムーズにいくかということの道をつくっていくのも、ロードマップ委員会の一つの役目ではないかなと思っております。また、それを国民あるいは産業界にどのように負担していただくか、どのように説明していくかといったことも、このロードマップ小委員会の役目ではないかなと思っております。
 あと、日本の技術力、今飯田委員からは、そんなに本当に強いかどうかも精査しながらやってという話ございましたけれども、世界に貢献する一つの力になっていることも確かではないかと思っております。
 先ほどからの議論の中で幾つか、これまでロードマップのほうで力を出していただきました委員の方々のほうも質問が飛んでいるところもございますので、もし皆さん補足することがございましたら、ぜひお願いしたいと思います。
 村上委員。

○村上委員 杉山委員のほうから民生エネルギーが大事だというご指摘がございまして、枝廣委員のほうからも民生、家庭の話ございました。
 実は私も大変心配しておりまして、最初に西岡委員長がおっしゃいましたけれども、97年に京都議定書を採択したときにも非常に振り分けてやったわけでございますが、その結果、十三、四年たって、運輸と産業は着実に減ったけど民生は大幅に伸びているという、そういう状況がございまして、私自身、2020年に向けて非常に心配しております。これは本当に実効が上がるかどうかですね。
 難しいのは、ちょっと例えがいいかどうかわかりませんが、例えば車でも、軽でいいけれども、やっぱり皆さん、3,000cc、4,000ccに乗りたがると。住宅でも、やっぱり切り詰めて生活できないことないんだけれども、やっぱり余裕が欲しいと。そういうやっぱり生活の背景がございまして、なかなか普通の方法では民生は、特に家庭は減らないという過去の経緯があって、今回のロードマップでは、それをどうするかということで、一生懸命案を尽くしたわけでございます。
 一つの動きとしては、今、例えば1ページの黄色のところで、日々の暮らし、住宅のところで、目標として、新築の改省エネ基準を100%達成と。1ページの黄色のところでございますね。下の行でございますけれども、今まで断熱基準というのは規制していなかったわけです。これは理由ございまして、例えば沖縄のような非常に暖かいところとか、あるいは、日本には古くから伝統木造住宅がいっぱいございまして、土壁住宅のようなものはなかなか断熱材を入れられないと。そういうようないろいろ技術的な問題、技術的な範囲があって、なかなかできていなかったんですけれども、一月ほど前に国交大臣と経産大臣が、それぞれ個別ですけれども記者会見やりまして、2020年に向かって改次世代基準を義務化するということを公表しまして、これはいわば腹を決めたわけでございまして、そういう意味じゃ、この小沢試案の一つのきっかけとか刺激になっているんじゃないかと思っております。
 その改次世代基準の内容は、今では国交省を中心とした省エネ基準の断熱基準というのは、シェルターをいじると、断熱機密ですね。今度は、改次世代の改、「改める」の意味は、断熱に加えて暖冷房・給湯・照明と、そのエネルギーもトータルで評価しましょうと。そうなりますと、沖縄の人といえども、それから伝統木造といえども、やっぱり頑張ってくださいということが言いやすくなるわけで、そういう方針でやることに決めて、一つの方向は出たということでございます。
 それから、やっぱりこれは、もう一つは、こういう国の基準と、特に家庭の場合、ユーザーと直に結びつけるのはなかなか難しゅうございますから、途中で、特に自治体とかNPOとかNGOとか、いろんなステークホルダーの力をかりて進めるということが非常に大事でございまして、そういう意味では、僕は、特に民生、家庭の場合の省エネというのは地域づくり、自治体、さまざまな形の自治体との連携が必要だろうと、そういうふうに思っております。
 以上でございます。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 枝廣委員の最初の質問は、何が、大きな障壁はあるんだろうかという話がございます。皆さん、それぞれのところでそういうことを検討してこられたと思います。
 大聖委員、お願いします。

○大聖委員 この件に関しましては後で発言しようかと思っておりましたけれども、ご質問がありましたのでお答えしたいと思います
 自動車といいますと国際商品でありまして、今、日本の自動車メーカーは、国外に売る、それから国外でつくるというのが、もう半分以上の台数を占めているわけですね。そういう国際市場での競争力、そういったものを確保していかなきゃいけないということと、日本はその面では世界をリードしておりますけれども、コスト競争の世界に入ってくる可能性も十分考えられるわけであります。ですから、そういったことを勘案しながら国際貢献も果たすという側面、それから、国内でいいますと、やはりグリーン税制をどこまで強化して量産効果によるコスト低減を図るかというようなことと、もう一つは燃費基準の強化というのがあります。これは、それによってCO2の削減を図るということですが、これをどういうふうに2020年に向けて強化していくか。これが国際的な競争力、それからコスト低減、さらに実質的な日本の運輸部門のCO2削減につながるかということで、結局グリーン税制と燃費基準の調和というのをどういうふうに図っていくかということが非常に重要な政策上のポイントになってくるというふうに思っております。
 それで、250万台という次世代低公害車でありますが、これに関しても、やはりこれは最大限の努力目標というような形になろうかと思っております。これには、環境対応車ということでありますが、バイオも含めた数字として一応見積もっております。電気自動車とか、それからハイブリッド車、プラグインハイブリッド、こういったもの、まだコスト高の車種もあります。こういったものをどういうふうに克服していくかということもポイントではないかと思っております。
 以上です。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 伴委員にお願いします。

○伴委員 先ほどの村上委員のお話に関連することなんですが、基本的に、いつも民生がどんどん増えている。家庭部門が30%、40%増えるということをおっしゃるんですが、それは前回、実は27日に国会で環境委員会と衆議院のところで参考人で招致されまして証言したときに、浅岡委員が言っていたんですが、基本的には直接排出量で考えるべきだと。間接排出量で考えるのはおかしいわけでありまして、具体的に言うと、私も実はもうオール電化になっておりまして、すべてのエネルギーが電気でございます。でも、電気の場合に、その電気の内訳について、我々は全然決定権がないわけですね。少なくとも、私自身は関西電力で原子力発電の比重が大きいわけですけれども、例えば中部電力のように火力発電所が非常に大きくなる。やはりその問題というのは基本的にはエネルギーの問題でありまして、家計が産業と比べて何も考えずに増やしているということは間違っていると考えています。
 95年以降、CO2が排出した非常に大きな原因は石炭火力に日本が大きく依存したためでありまして、それがどうであるかというのは、これはロードマップ委員会の中で、荻本委員も含めていろいろと議論していますけれども、公開の場でもう一回言わせていただくと、基本的に増えた最大の理由は石炭火力が増えたことです。それが何でそうなったかというのは、恐らく皆さんご存じだと思いますが、その問題というのはやはり議論する上で重要だと思っています。
 ただ、野放図に家計あるいは民生が電気の需要を増やすというのは、それは今後できないわけでありまして、そういう点では電気料金が上がる。自然エネルギーを、例えば先ほどの再生可能エネルギーを購入するために、フィードインタリフを入れて電気料金を高くすると。そういう形でCO2の削減をするというのは一つの消費者の選択肢としてできるわけですから、その方向で行うというのは、私自身は考えてみる必要がある。少なくとも家計はエネルギーの構成まで手を入れることができないけれども、少なくとも自然エネルギーを購入するという形で、少しずつ動き出しているのは非常にいいことだという具合に考えております。
 コスト負担という、私はコストという意識は全然ございませんで、基本的にはすべて投資だ。投資と言ってはいけませんが。投資というのは、将来のリターンと、それから現在の設備とか、その設置費用の差で比べるわけでありまして、企業は赤字をしてまで投資はしません。同時に、家計も赤字をしてまで投資はしません。したがって、投資というのをコストと言うのは非常におかしいと考えております。ただ、その投資をするようなインセンティブをどういう形で与えるかというのが重要でありまして、一つは、例えばエコカー減税とかいろんな補助金というのがありますが、今の日本の財政の状態を考えれば、そんなことは到底、これを継続的にするのは難しいと思っています。
 やはり重要なことは、フィードインタリフがまさにその例でありますけれども、国民全体が負担すると。そのことで再生エネルギーを拡大していったり、あるいは具体的にはこれは炭素に対する価格をつけますので、ガソリンとかいろんなものが値上がります。もちろん電気代も、フィードインタリフ以外に上がるわけですね。そういうことによって、基本的にはそういう省エネ、あるいはいろんなものをしたほうが得だと考えるわけですね。得だと考えると、結局それがうまく回っていくということでありまして、非常に姑息なところで、あるいは特定のところだけで、コスト、コストと言うのは非常に間違っています。
 ただ、飯田委員はどちらかというと消費者の方に近いんですが、私も少し戸惑うことがあって、投資というのは金儲けのためという具合にすぐおっしゃるので、非常に投資というのはそういう消費者の方の前ではなかなか言いにくい問題があるわけですが、投資というのは別に金儲けではないですが、しかし、コスト、赤字をしてまで投資はしません。でも、その投資をいかに活発にさせるかというのが我々の考えどころ。そのときに、単なる補助金とか税金とかいうものではなくて、メカニズムとしてどういうものを構築していくか、これが我々の考えるところだと思っています。
 そういう意味で、今回私自身が、小沢試案に盛られたのがありますけれども、あの中で財政出動なんて全然考えていません。補助金も考えていません。考えているのは唯一、全量買取制度ですが、これはもう家計が負担するという形にしていますので、政府は全然懐は痛まない。要するに、制度設計として政府の立場を考えればいいわけで、その中でお金がどう回るかというのは、これは民間が考えればいいことだと思っています。
 だから、そういう形でいつも考えていくべきだ。いつも何か政府がしろ、政府が金を出してしろ、補助金をしろと。でも、それは私のモデルの場合には、補助金を出せば、それは誰かが負担しなきゃいけない。それが家計であり企業であるわけですね。だから、そういう安易な政府頼みではなくて、いかに自らの力でこれから先伸びていくかを、やはりこういうところでいろいろと議論していただければありがたいという具合に思っています。
 以上です。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 荻本委員。

○荻本委員 先ほどの障壁というキーワードなんですけれども、私は本件で思うのは、2020年という一番短いところが、ターゲットが実は10年後という非常に長い期間なんだと。2050年というのは、もしかしたら誰も生きていないほど先の話を議論しているということで、個人または会社の経営層にとっても、10年後にとって責任を持つというのは、かなり困難なことを今議論しようとしているという意味で、その長期性というのが一番大きなバリアだと思っています。人間にとっては非常に短いんだと。ところが、今度はインフラということで見ますと、例えば今考えている再生可能エネルギーの導入量というのは、約100年以上かけて水力を入れてきたトータルよりも何倍か多い量を、もしかすると10年で入れようとしている。これはあまりにも短い期間だということで、長いという要素と短い要素、2つあるんだということを、まず常に頭の中に入れておかないといけないかなというふうに思っています。
 その10年を、またはその先でもいいんですが、それをうまくこなしていくためには、これからどうしたいんだ、どっちのほうに持っていきたいかということがどのように継続的に担保されるかということを、家庭であれ、企業であれ、すべてのステークホルダーに見せていくということが非常に重要だと思いますので、ここで出てくるアウトプットがそういうものをなるべくたくさん含んでいるということが非常に大切かなというふうに思います。
 2番目は、やはりその長期性の中には、長期的ではありますから、よくわからない、不確定であるということが非常にたくさんあります。それは技術自体も不確定ですし、それがどれだけ入っていくかも不確定だと。やはり大切なことは、技術に関しては何がわかっているのか。普及に関しても、どこまでは確定と言えるのか。ここから先がチャレンジングなのかということを、やはり見せることなんだろうというのが2点目です。
 3点目は、そういうことをしても、もしかすると破綻することがやはりあります。セキュリティーという言葉を最後にもう一回思い出していただいて、それは資源という領域でセキュリティーが重要になることもあります。技術というものが、当てにしていたものが実は全滅するということもあると思います。そういうときに、どういう打ち手があるのかというのを少し考慮できたらなと。
 そのときに、これに対して一つコンプリメントになるのは、その多様性ということだと思います。ヨーロッパも、EUというふうに見るか、一国というレベルで見るかによるんですが、例えばフランスは非常に原子力を主に持って、これが善し悪しではなくてそういう特徴を持っています。デンマークはある特徴を持っている。ドイツはある特徴を持っている。おのおのの国が自分たちの持っているものを最大限に生かしてチェレンジしているということですから、日本というのがヨーロッパ全体と同じ規模かどうか、よくはわかりませんけれども、日本の中にも特色または多様性がありますから、全員こうしないといけないということではなくて、ここではこういうものの生かし方があるというようなところを、ぜひ生かしていければいいかなというふうに思います。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 大塚委員から先にお願いします。

○大塚委員 既に飯田委員等が言われていますが、エネルギー供給のところでの障壁との関係の問題、特に3点ほど申し上げておきたいと思います。
 既にご意見、お話がございましたように、第一は、経済的なインセンティブをどう与えるかというのが大きい。現在それがないことが障壁になっているというところがございますけれども、固定価格買取制度を広げていくということと、あと、キャップ・アンド・トレード方式の排出量取引制度を入れることと、炭素税を入れるという、そういう経済的インセンティブを与えるということで対応しようというのが一つでございます。
 それから、2つ目は、高濃度のバイオ燃料に関する規格化の問題とか、新技術の規格化の問題というのがございますので、これは早期に規格化をしていくということがございます。
 あと、3点目としては、さまざまな今までの権利とか、あるいは既存の制度が再生可能エネルギーを進めていく上で障害になることはあり得るところでございまして、例えば水力関係の発電とかで問題になる水利権の問題、洋上風力で問題となる漁業権、それから、これもなかなか微妙な問題ですけれども、風力発電との関係では自然の景観との関係の問題、自然公園の問題とかもないわけではありません。この辺については、さらに検討を進めていく必要があると考えているところでございます。
 ほかにも幾つかございますけれども、以上、一応3点、申し上げておきます。
 あと、洋上風力ですが、2020年にも、ごくわずかですけれども、13万キロリットルぐらいはやるということを考えていますので、先ほどご発言ございましたけれども、一応その程度は考えているということを申し上げておきたいと思います。
 あと、伴委員がおっしゃったように、投資として見ていくというのが非常に重要な点だと思っておりまして、今回、この25%削減というのを達成していく、真水がどうなるかというのはいろいろ問題があると思いますけれども、についても、ぜひその投資をしていって、グリーンニューディール的な側面、あるいはグリーン成長的な側面というのを強調していくべきであるのではないかというふうに私自身は考えております。
 以上です。

○西岡委員長 飯田委員、お願いします。

○飯田委員 すみません、2回目の発言になりました。
 ちょっと私が先ほど言い忘れたことは、実は伴先生にほとんど言っていただいたんですけれども、違う形で枝廣さんの言った、ご質問された、何が障壁になっているのかというところで、私の感じるところとしては、大きく3つあるかなと思いました。
 1つは、今現実、何を、状況としては割と、ノモンハンから日中、太平洋戦争に続く、あのころの煮詰まった旧日本軍の内側のような空気があって、今、何が起きているかの認識力がなくて、変な神話のようなものが漂っていると。これが、先ほどの民生が問題だという話が例えばその一つですが、本質は、目達計画との対比でいうと、日本のオーバーシュート、先ほど伴先生がおっしゃったとおり、90%は電力会社、とりわけ石炭火力なわけですね。そのことが全然認識されていない対策というのはほとんど意味がないということで、今回このロードマップではそこにかなり焦点が当てられているということで、そのことが逆に、先ほど影山さんがおっしゃった、石炭をこのまま増やしていって一体どうやって温暖化対策を日本としてはできるのかというのは、逆にご質問をしたいというふうに私は思うところです。
 さらには、自主行動計画で、いわば電力会社がお金を出してクレジットを買ったところまではいいんですが、じゃ、その負担は消費者にどういっているのかという説明責任もあるのではないか。
 2つ目は、政策づくりが非常に、日本の場合はベストエフォートになっていないという問題があって、結局、フィードインタリフにしても、今回のキャップ・アンド・トレードも、また二股に分かれていろいろ検討をしていて、本当の意味で、これまでのEUで行われたいい点、悪い点も含めて、あるいはアメリカ、いろんな国でも検討が進み、ある種の知見が積み重ねたものにのっとって、そこをしっかりと反映したような制度づくり。あと、東京都もこの春から始めましたから、東京都の場合、この10年間やってきたことをしっかりと積み上げてきています。そういった知の蓄積というものをしっかりと反映した制度設計が、どうも日本の場合は、いざやるときは泥縄でやっつけのような形が、どうも制度づくりがあって、本当にグローバルレベルに開かれた知のコミュニティーに支えられていないという、そういう懸念を持ちます。特に今度のフィードインタリフなんかもそういう懸念があって、私は急いでISEPのほうでも、かなり論点が違うんじゃないかというペーパーを上げましたけれども、もうちょっとそのあたりはしっかりとしたレベルの制度設計をしないと、かつてのRPSの失敗のようなことをまた繰り返してしまうのではないかという懸念を持っている。
 3つ目は、突破力というか実現力が非常に乏しいと。私は地方自治体で幾つかアドバイザリーとか、半ば中に入っていろいろやったり、これは国もそうなんですが、一地方自治体の中でも縦割りがあって、びくとも動かないようなことがあるんですね。上では非常に雲の上で理想的な政策を言っておきながら、それがだんだん省庁に落ち、地方自治体に落ち、都道府県に落ち、市町村に落ちていくと、もうてこでも動かないような状況があります。そのあたりの政策の歩留まりというか、これはもう各先生方もそれぞれの領域で苦労されていると思いますが、そのあたりの歩留まり等をどう上げていくのか。そのあたりの方法論が、まだ我が国においてはあまり確立されていないような気がして、結果として補助金つけてモデル事業をやって、がらくたができて終わりみたいなことが往々にして見られると。そのあたりの政策の実効力をどう上げていくのかというのは、相当大きな障害としてあるというふうに思います。

○西岡委員長 藤野委員、お願いします。

○藤野委員 どうもありがとうございます。
 先ほど影山委員のほうから、住宅に太陽光、1,000万世帯とかそういう大きな量というのを、どういうふうに入るんだろうかということのご質問がありましたので、まず、それにお答えしたいと思います。
 別冊の資料のほうの、後ろのほうのAIMの資料ですけれども、62ページの「対象世帯と家庭における温暖化対策の組み合わせのマッピング」というところをご覧いただければと思うんですが、ここでは2020年に大体、日本の世帯、5,000万世帯ありますけれども、そちらのほうの、例えば新築住宅、2020年までに大体25%新築住宅になると。なので、1,250万ぐらいですか。そのうちの、例えば太陽光発電設置、30%入る量とか、それから既築住宅の部分で、単身世帯などエネルギー消費量の小さい世帯を除くところの20%を、例えば太陽光、省エネ住宅への改修とか、そういうところもタイミングもはかりながら入れていくと、数的には1,000万世帯になります。ただ、おっしゃっているように、それを、じゃ具体的に、どういうフィードインタリフなりの設計をしてとか、そちらのほうは今後さらに積む、検討する、飯田さんのおっしゃったような制度設計のところにかかってきますけれども、数字的にはそういった根拠で、2020年の1,000万世帯というのが見えてくるということです。
 それから、私も検討会に参加しまして、枝廣さんのおっしゃった障壁なり阻害要因というところなんですけれども、一つは、その前のタスクフォースとか中期目標検討委員会とかにも参加して強く思ったのは、特に中期目標タスクフォースだと負担の議論が多くなってしまって、今回村上先生のほうで出されたようなノンエナジーベネフィット(Non-Energy Benefit)のような、その社会的価値というんですかね、温暖化対策をすることによって、ほかにあるベネフィット、こちらのほうが今回少しは入るようになった。やはりまだもうちょっと、これをどうやって入れていけるか。そもそも温暖化の対策をするということがどう役に立つか、または、大変なところが、リスクがどこにあるかというところは、より精査する必要があるかなというのが一つあります。
 それからあと、今回の検討会のところで、経済影響で基本的にプラスの影響の結果を中心に出していますけれども、この点は、飯田さんがご紹介されたエネ研のほうの今回の中長期ロードマップへの批判みたいなところでいろいろ書かれていますけれども、AIMとしては、例えばタスクフォースのときはマイナスの結果を出していましたので、やはり経済影響について一体どういうふうに考えればいいのかというところについてはきちんと整理しないと、片方からはプラスが出て、片方からはマイナスだとなると、読む人はどう理解すればいいんだろうかというところなので、こちらのほうはもうちょっと、どこでやるのがいいかわかりませんけれども、掘り下げられればというふうに思います。
 それからあと、最後、3点目ですけれども、12月終わりから3カ月ちょっとだったのに大変だったので、ロードマップ、かなり頑張って書けたかなと思うんですけれども、やはりもうちょっと具体的イメージというんですかね、影山さんがおっしゃったように、太陽光、本当に1,000万世帯、入ったら一体どんな姿になっているんだろうかというところについて、シナリオというかストーリーラインというか、そういうイメージがわかないと、結局最後、そういうビジョンが将来、少なくともここの委員の中で共有できないと、多分絵に描いた餅になってしまいますので、そこまで掘り下げられるのかなというのが、私が感じていることです。
 以上です。

○西岡委員長 三村委員、お願いします。

○三村委員 今議論されていることとちょっと違うことを言いたいんですが、それは温暖化の影響と、それの影響に対する対策ということなんですが、ここでの議論は、もちろんCO2、温室効果ガスの排出削減をして、どういうふうに低炭素社会をつくっていくかということが非常に大きなターゲットというのはよく理解しております。ですけども、仮にこういうことが全部実現できても、何がしかの気候変動というのは進行して、その影響が表れるというのは、特に短期的にはそういうことになるんだろうと思うんですね。
 そうすると、今ここで議論されている低炭素社会というのが、そういう災害に強い社会でも同時にあるかどうかとか、そういうこともあわせてこの場で検討していく必要があるんじゃないか。あるいは質問として、そういうこともこの場で検討するターゲットに入るでしょうか、どうでしょうかということです。
 特に先ほど荻本さんがおっしゃった話で、そのとおりだなと思いながら聞いたんですが、今ここで出されているものは非常に包括的で、日本の社会のあり方とか、あるいは社会インフラを変えていこうということを非常にたくさん含むわけですね。そうすると、社会インフラは長く続くものですから、今からつくろうとしている社会インフラが同時に温暖化の影響を受ける社会の中で社会を支えていくということになるわけですね。そうすると、その2つが予定調和的にうまくいくかどうかというのは、少しよく見ておく必要があるんじゃないか。先ほど荻本さんの話の中にあったセキュリティーという話の中に、社会の安全・安心とか、そういうようなものをどう確保するかというような視点も必要なんじゃないかと思います。ちょっとそういうふうに思ったものですから、この大臣のペーパーの中にはそういうようなことが書いていなかったので、私としてはそういう側面もどこかで入れる必要がある。特に地域づくりとか、そういう章ではぜひ扱ったほうがいいんじゃないかと思うんですが、事務局に対しては、そういう視点は持っているのかどうかということをちょっと伺いたいと思います。

○西岡委員長 今の件、いかがでしょうか、先に。

○地球温暖化対策課長 そこについては、これまでの作業では必ずしも十分議論できておりませんでしたけれども、一つは、今回三村先生に入っていただいているという趣旨もあるんですけれども、そもそもコストの話についても、対策コストがプラスかマイナスかという議論をいろいろやっていますが、そもそも温暖化による被害のコスト、それを回避するということによる便益、これが本来あると一番議論がしやすいわけです。これはなかなかまだ評価が難しいわけですけれども、やはり温暖化対策をしないことによるコストというものも今後はぜひ議論の要素としては加えていきたいと思っております。
 今のおっしゃった話も、恐らく地域づくりについては、いわゆる適応問題、そういうものも重要な要素だろうと思います。そこをどこまで今回の作業で反映できるかというのは、ちょっと中で相談したいと思いますけれども、全くそういうことを考えずに、何か変な絵が描けるという、描いてしまうということはないように注意をしたいと思っております。

○西岡委員長 どうもありがとうございます。
 大分たくさん上がるようになりましたので、もう一回りいきたいと思います。増井委員のほうから、ずっとこちらへいきたいと思います。

○増井委員 どうもありがとうございます。
 障壁ということに関していいますと、中長期ロードマップ検討会の前の中期目標検討会からずっと議論してまいりましたけれども、そのときにはマクロフレームそのものを変えるということすらできませんでした。伴先生の前回の計算ではGDPが増えるということだったんですけれども、これまでの結果ではGDPが減ると言っておきながら、そのマクロフレームすら変えられなかった。そういう意味で、かなり制約が厳しかったところがあります。
 それは何が原因かと考えますと、既得権益の問題なのかなと僕自身は考えております。特にこの温暖化問題の場合、費用を負担する側と便益を受ける側というようなものが必ずしも一致していない。マクロ的に見ればプラスマイナス、とんとんになるかもしれないんですけれども、個々に見ると、やはりその負担する側と便益を受ける側というのがかなり違ってくると。そういう違いをどう配慮するか。特にその負担の大きいところについて、どう配慮するのかというところが重要になってくるのかなと思います。
 それと、先ほど荻本委員のほうから長期的な話について、ご指摘がありましたけれども、まさにそれはそのとおりだと思います。長期的な視点から温暖化対策をしていくということを考えますと、やっぱりそれなりのリスクが発生してまいります。そういうリスクをいかに軽減していくのかということも、やはり見ておく必要があるのかなと思います。
 特に、何度も例を出して申し訳ないんですけれども、伴先生の経済モデルのほうでは、長期を見通したフォワードルッキング型ということで、長期を見通したときにどうなるのかということをベースに計算していただきました。そういう長期的なリスクがない、ある程度見通せている場合と、全く見通せていない場合とでは、やっぱり投資行動等も全く変わってくるかと思いますので、そういうある程度安心してといいましょうか、リスクを軽減できるような、そういうような制度設計をつくっていく必要があるのかなと思っております。
 以上です。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 則武委員、お願いします。

○則武委員 どこまでがこれまでの委員の方のお話かわからなくなってきたので、新しく参加したんですけれども、ちょっと発言させていただきます。
 4点、要望がございます、今後の議論について。
 1つ目は、先ほど、今の技術で国際貢献とかということですが、今の技術はあまり進んでいない部分もあります。日本の技術はすぐれていないんじゃないかという部分もある。私、どちらも思う部分はあるんですが、今後、この委員会の中では、逆に2020年のこのロードマップ達成と、それに政策も含めた達成によって、日本の強みがどういうところで出てくることになるのかという点を少し考えていただいて、特に、今は競争力、若干少なくなってきている部分はあると思いますが、今回のことによって産業の国際競争力が、どういう分野が向上するのか。それによって、その技術力で国際貢献という部分を考えていければいいんじゃないかなと思います。そこはちょっと強く思っております。
 2つ目は、伴先生のほうから家庭の部分は確かに電力の原単位がということでおっしゃられましたけれども、業務部門やものづくりの一部については明らかに電力の使用量が増えているのも事実だと思います。そこの点につきまして、業務部門とものづくりのところについて、もう少し詳細のデータを見て検討していただけないかなと。特に業務部門については、今回の中でも一番削減量を多く見積もられている部分であるかと思いますので、その部分、特にどうやって電力の使用量を減らしていくかという点、そういう点については、ちょっと現状の業務部門といっても、オフィスでだけではなくて、研究所等もかなり含まれていると思いますので、業務部門の内訳というものも少し考える必要があるんじゃないかなと思っております。
 それから、3つ目は、やはりここの議論は、できるだけ真水でどこまでできるかという議論をしていただきたいなと思います。特に、先ほどもありました京都クレジットの活用という、京都の目標達成についてはありました。京都クレジットのようなものを活用すると、基本的には日本の産業競争力には全然つながらないということと、一旦使い出すと、それはいつか削減できるまで、毎年ずっとその費用が国民負担として出ていってしまうということで、できるだけ避ける必要があるんじゃないかなと思いますので、真水でどれだけという議論を進めていただければと思います。
 最後は、社会システムの中にやはり規制も必要ではないかなという点を思います。基準の達成というようなことに対して若干規制的な表現がされておりますけれども、実際上は、導入する側に対しても、例えば省エネ設備の導入であれば、もう規制で効率の悪いものは入れられないような規制とか、そういったものも必要ではないかなとは思います。
 以上4点が意見でございます。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 冨田委員。

○冨田委員 ありがとうございます。
 私も今回から参加させていただきますので、個々の論点についての意見というよりも、考え方の基本というところについて、まずお話ししたいと思います。
 閣議決定された法案の中に、経済の成長、雇用の安定及びエネルギーの安定的な供給の確保を図りつつ温暖化対策を推進するということが書かれております。私もこの考え方に賛成しておりまして、個々の分野における対策を考える上でも、ここを基本としたいというふうに思っております。
 それから、質問が2点ございます。
 1つは、小沢大臣の試案の中の2ページに、年度ごとの分野別の排出量というところがございますけれども、どなたかの委員の方もおっしゃられていましたけれども、ものづくり、家庭、業務、運輸、それぞれ削減パーセンテージは2020年において異なっております。議論の仕方として、それぞれの分野で、そもそもどのくらい削減すべきだというような目安のもとにやられているのか、それとも結果的にこうなったのか。もし結果的にこうなったというふうに考えると、この差は妥当なものかどうかというのは、どう判断するんだろうかというところが少し気になります。と申しますのは、議論がスタートしました排出量取引のところの議論にも関わるものと思いますので、それについて、お考えがもしあればお聞かせいただければと思います。
 それから、2番目の質問は、25%削減の真水の割合に応じて[1]、[2]、[3]という3ケースが示され、それを達成する上での対策、施策というのもあわせて記載されています。ただ、物によって、[1]、[2]、[3]のケースが同じ数字であったり、あるいは違う数字というものがあるわけですけれども、どの施策をとることによって[3]まで達成するんだといったようなところがあまり明確になっていないのではないかと思います。今後、次の議題かもしれませんけれども、ヒアリングにおいて、そういったところはかなり論点になるのではないかなと思いますので、もしこれまでのワーキング等で議論がされていらっしゃるようであれば、その辺のところも開示していただけるとよろしいのではないかなというふうに思います。
 以上です。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 今の2点につきまして、後ほど答えていただきます。
 杉山委員。

○杉山委員 ありがとうございます。
 冒頭で発言させていただきまして、それに対して皆さんからご意見いただきました。
 それで、私は若干細かい反論ですとか、そういうものはこれからも会議の中でいろいろと意見交換させていただければいいかなと思っていまして、いろいろご意見いただけるのはありがたいことだなと。
 その上で、ただ、先ほどかなりお厳しい意見もいただいていますのであれなんですが、先ほどの意見だけで、ここの場でもう民生部門の扱いについては軽くしてしまうとか、もう消化されたものだとか、そういう整理にはならないですねということだけ少し確認させていただきたいと。すなわち、この中で、先ほど具体的な数値の話もいろいろ出ました。さらには、先ほどの議論で、業務部門、運輸部門等々を含めた詳細なデータというお話もありました。その文脈の中に含めて民生、いわゆる家庭部門も業務、私が言っているのは家庭だけではなくて業務、運輸含めての話をしておりますので、重なりますけれども、そういうデータもぜひご用意いただいて、今後ともこの議論についてはしっかりとやらせていただきたいと。
 その上で、今回の試案の1ページ目の、それこそ「中長期ロードマップで伝えたいこと」ということの[2]、これをよく読んでいたんです。ここに、「「チャレンジ25」を通じた、国民一人ひとりの取組が重要。」と最初の一丁目一番地に書いてあるもんですから、素直に読み取らせていただいて、「チャレンジ25」、それぞれ一人一人の取組、民生、本当の家庭の取組が書かれているものじゃないのかなというふうに理解もしておりました。ここと、やはり今回議論していくことがしっかり整合性がとれて、正しくそしてわかりやすく国民に伝わっていくような議論の仕方というのは片方で意識しておく必要があるのではないでしょうかということで、私の意見にさせていただきたいと思います。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 じゃ、影山委員。

○影山委員 2回目ですので、なるべく簡単に。
 まず、最初に、あまりこの中で委員同士でどうこうという話じゃないかもしれませんが、伴先生、それから飯田先生からのご指摘、石炭火力の話は結構大事な話かと思いますので、ちょっとコメントさせていただきます。
 石炭火力が増えている、90年以降増えているというのは事実だと思います。これは、70年代のオイルショックを踏まえて、日本の安定供給をどうするんだという中で、石炭火力をもっと増やしていったほうがいいだろうという、この合意の中で石炭火力の建設が我々に、取り組んで、それがやっとできてきたのが90年以降ということであろうかと思います。ですから、この問題は多分、エネルギーの安定供給というのをどういうふうに見ていくのかという問題と、それから、設備の建設あるいは技術の普及にある程度時間がかかるという問題、この問題の両方が含まれているのではないかというふうに思います。
 このエネルギーの安定供給というのを軽く考えると非常に大変なことになります。オイルショックもそうでしたが、つい近年でも、リーマンショックの前に石油価格が高騰したことがございました。かなり日本の産業で大打撃を受けたという状況があったと思いますが、そういう中での、資源のない日本での安定供給をどう考えるかということには、これはもう真剣に考えていただきたいというふうに思います。
 その中で、電力原単位の話がありましたけれども、こういうのを踏まえても、電気事業は原単位を20%削減すると。90年比で2割削減する。ご家庭で電気量を一定にしていただければ、CO2排出量は2割下がるという、そういう目標を立てて、それで、それを実現しようというふうにしています。
 ですから、私が申し上げたいのは、別に電力会社がちゃんとやっているとかなんとかじゃなくて、供給側と需要側、両方でやらなきゃいけないだろうと。直接排出量、間接排出量の話というのは今後議論していけばいいと思うんですが、供給側は供給側で原単位をしっかり下げるという、そういう取組、需要側は需要側でCO2削減量をしっかり意識しながら、これもしっかりやっていくという、両方の取組が重なって、やっとCO2排出量の大幅削減が得られるんじゃないかというふうに思いますので、そこのところ、しっかりまた議論していただきたいというふうに思います。
 あと、すみません、2点だけ、ちょっと高橋課長のコメントに対する意見なんですが、先ほど安井先生にうまく言っていただいたのでいいんですが、私が申し上げたかったのは、ポリシーミックスとか真水とかの話は、この委員会で何を議論するかということをもう少し詰めていただいたほうがいいんじゃないかと。幅広くいろんな意見を聞くんだということであれば、それでも結構ですけれども、どういったことを議論するのかということをもう少し絞っていただいたほうが、しっかりした議論になるのではないかということを申し上げたかったわけでございます。
 もう一点でございますけれども、京都議定書の件については、これはリーマンショックがあってこうなったから目標達成ができるんだということであれば、それはそれでいいのかもしれませんが、これ、目標達成が非常に難しいものだということで、産業界を含めて血の汗を流してこの目標達成に臨んできたという今までの経緯があります。それで、これは目標達成がもしできなければ、PDCAを回して対策を強化していくということだったと思いますので、12年まで多分それをやっていかなきゃいけないんだろうと思います。そういう対策をやるということと、この目標達成、2020年までの目標達成が、どういうふうに整合してやっていくのかというところをご質問したわけでございまして、まずは京都議定書の目標達成に向かってどういうふうにやっていくのか。もう何もしなくてもいいのかというところを、まずは環境省としてはしっかり精査して、その上でこの2020年の取組をするべきではないかというふうに思いますので、その点についてもよろしくお願いいたします。
 以上です。

○西岡委員長 荻本委員。

○荻本委員 石炭火力のポイントを例にしてということなんですが、飯田委員の言われた、過去の日本の煮詰まった状態とか、知の蓄積の不足とか、そういうのは私極めて同感です。泥縄にならないように考えないといけないと。
 それで、石炭というものを例に考えると、これを削減したときにガスのみになってしまう。石油は非常に使いにくいということを考えると、自由に購入して増やせる燃料というのが天然ガスだけになってしまうと。これがどのくらいいいのか悪いのかというのは、やっぱり時間をかけて恐らく考えないといけないんだろうと思います。
 他方、石炭火力をどう扱っていくかということについては、例えばCO2に対してコストがかかるようになれば自然と運用しにくくなって電力量は減っていきます。ですから、石炭火力を持っていることと、これにどんどん石炭を投入して電気をつくるということは必ずしも一致しないと。
 ですから、今我々は、この10年先または20年先に向かって何を決めないといけないのかということが重要なんだろうと思います。裏返しに言うと、何を決めてはいけないのかということもあると思います。それから、今は決めなくても、もう少し先に決める課題だというふうに整理するということも大切なんだろうと思います。ですから、この場で、過去もそうですが、そのシミュレーションということで、いろんな評価してくるわけですけれども、シミュレーションも、これは予測ではありません。その前提になるデータと、その考え方のストラクチャーを検証しているんだと。ですから、そういう試行、実験というものをする中で、何を決めないといけないのか、何を決めてはいけないのか、または、もう少し先で決めればいいものなのかということを、よく吟味しておくというのが非常に大切だと思います。
 そういう意味では、日本というのがどうしても、島国と言ってはいけないかもしれませんが、内側を見て自分たちで何とか全部しようとするんですが、外とリンクしている、その燃料もリンクしていますし、マーケットもリンクしている、そういう中でどういうふうな行動をとらないといけないのかというのを、二、三歩引くというところも大切だろうと思います。

○西岡委員長 どうもありがとう。
 大塚委員、お願いします。

○大塚委員 石炭火力に関しては、いろいろ大問題があって、今後とも議論していくべきだと思っていますが、今までのところで考えていたのは、本冊の85ページにありますように、高効率化を進めていくということと、CCSの準備をしていくと、すぐには導入難しいものですから、準備をしていくというところはあるかと思います。安定供給のことと、それから炭素を減らしていくという観点と、両方考えながら検討していかなければいけないと思っています。
 国際競争力との関係の問題、先ほどご指摘ございましたけれども、それも非常に重要な問題だと思っていまして、別冊の57ページとかをご覧いただきますと、エネルギー供給に関しても、例えば風力で強化していくときに、これだけ産業に、いろんな産業の成長に及ぶことができるということは考えていて、今回のこのロードマップというのも、こういう点ももっと広げて考えていかなければいけないのではないかというふうに思っているところでございます。
 以上、簡単でございますが。

○西岡委員長 どうもありがとうございます。
 牛久保委員、お願いします。

○牛久保委員 ワーキンググループでは農山村地域を担当させていただきました。今日のご議論の中でも、各委員または環境省が、農業・農村・山林地域をベースに考えていただいていないとは申し上げないんですけれども、日本の農業、国土計画的な意味を念頭に置いて、これからは地下資源の時代からを地上資源を活用する時代でありますから、やっぱり農山漁村の役割が非常に大きいということになります。
 先ほど三村委員がおっしゃられましたように、例えば農業関連でいいますと、森林がCO2の吸収媒体という見方が非常に多いわけですけれども、これは地球温暖化等の、いわゆる気候変動によって生育ステージが大きく変動するというファクターをどうしても背負わされているということですので、そのような状況の中で、必ずしも吸収量が右肩上がりの傾斜でいくということは確実に保証ができないということもあります。
 これは、情緒的な話になりますけれども、このような変動中にどの程度、食文化も含めて、数値化できない中のものをどのように組み入れていくのかの議論が必要だと思います。それは、エネルギーが変換して生活様式が変わるとなると、やっぱり家庭の中でそれに対する対応を強いられるというようなことも出てくるだろうと思います。ですから、そこら辺のところが、我々のような生き物を対象とした場面で情緒的要素をどのように考えていくのかということを、やっぱり頭の中に置きながら議論していただきたいと思います。
 もう一つは外国依存件で、例えば国際貢献ということで、外国の森林に依存するよりは、やはり最初に申し上げましたように国土利用計画に則った日本国内で森林活用をどうするのかという議論から始めていくことが大切ではないかなと思います。農山村地域の立場としては私ひとりなものですから、非常に弱い立場であります。その辺のところも十分考慮して議論を進めることをお考えいただきたい。それがひいては日本の食料自給率、これも当然考えていかなけれならないということでありますので、エネルギー変換ばかりでなく、食とエネルギーとの競合もあります。それから、例えば先ほどありました風力、太陽光にしましても、立地面で競合することもありますので、その辺も、十分考慮しなきゃいけないというふうに、今日の議論を伺って感じました。よろしくお願いしたいと思います。
 ありがとうございました。

○西岡委員長 屋井委員。

○屋井委員 地域づくりの関係の議論も若干出てきたものですから、少しお話を申し上げたいと思います。
 一つは、既に出ていますけれども、分野間ですとか施策間の整合性ですとか連携、あるいはその実効性や効果です。こういうものについては、限られた時間で検討してきたので、まだまだこれからリアリティーを持たせていくという意味での検討も必要だということは間違いないと思います。これは地域づくりについて特に言えることなのかなという気もしています。
 それから、2点目に、インセンティブの話もありまして、実は小沢大臣の試案とロードマップのワーキングの提案とは若干違いが地域づくりのほうはありまして、それは、先ほど議論にもなりましたように、いわゆる減税や補助金というようなことも続けられないし、あるいは、その効果がどれほどあるのかと、こういう議論があるわけですが、一方で、今現在を短期で見ると、自動車の減税等に代表されるように、そういうものに非常に使われていて、一方で地域づくりのようになかなか効果が早く出てこないとか、それから公共交通なんかは事業性がなかなかなくて、どうもうまく進展していかないとかいろんな課題がある中で、どうも他ばかりに使われているのはおかしいんじゃないかと。こんな感じもあるものですから、ワーキングとしては、もし環境税等が創設されるのであれば、それを地域づくりの分野にも活用できないだろうかという、こういう提案をさせていただきました。
 もちろん、先ほどの1番目に関わるように、よく言われますが、個々に太陽光パネルを設置し、そしてエコの自動車を購入して、郊外で住宅を買いかえるとか建てかえるという、そういうことをやることと、一方でコンパクト化を図って、全体として地域としての排出を減らしていくとか、あるいは住みやすい魅力的なまちに変えていくとか、そこら辺の整合性というのは、どうもまだ十分議論できていないということです。こういう観点に立って、ぜひ財源についても書いておくべきだということでありましたが、残念ながら、その点については小沢大臣試案の中からは抜けています。その点だけは申し上げておきます。
 それから、インセンティブについて、短期的にはそういう税収みたいなことを言ったわけですけれども、やはり伴先生もおっしゃるように、もっと地域の分野もうまいメカニズムを考えて、地域に対する投資が進むような、そんな制度のようなものもぜひ考えるべきではないかなと思います。
 最後に、障壁という意味で、ヨーロッパとかアメリカ等も、あれだけ都市の中の公共交通等、路面電車を入れたり、歩きやすい環境をつくってやったりといろんなことが進んで、魅力的な地方のまちもつくられているわけですけれども、なかなか日本ではそういうふうに進んでいかない。もう何十年もみんなが努力していてもうまくいかないのですから、そこら中に障壁だらけということだと思います。それを、こういう地球温暖化対策に真剣に、さらに真剣に取り組むということを契機に、もし変えることができるのであれば非常に大きなことだと思います。
 その上で、地域の特に合意形成を速やかに進めるという面での障壁も非常に大きいですし、その前提となる事業性ですとか、公共交通をもし活用するのであれば、まさにその事業性、あるいは地域としての財源の確保という、もうスタートのところが厳しいということを、諸外国が突破してきたことも参考にしながらどう制度設計できるかが非常に大きなポイントではないかなと思います。
 以上です。

○鈴木部会長 どうもありがとう。
 赤井委員。

○赤井委員 今、何の議論をしているのか、ちょっとよくわからなくなったんですけれども、後での議論になるのかもしれませんけれども、今の小沢試案にあるロードマップの最大の弱点というのは、私はものづくりのところがほとんど議論できなかったというところにあると思います。ほかの分野についてはワーキンググループができて、それなりの議論をされたんですけれども、ものづくりは全体ワーキング、全体検討会の課題ということになっていたんですけれども、全体検討会ではほとんど議論ができなかったので、そこを今回、ヒアリング等を含めて議論を深めていっていただければと思っておりますし、小沢試案の2ページ目のグラフを見ても、ものづくりのところの削減量がどれを見ても最大になるかと、努力が必要な分野になっていると思いますので、そこの議論を深めていただければと思います。
 それから、先ほどから石炭の話が出ていたんですけれども、荻本さんもおっしゃったし、飯田さんもよくおっしゃるんですけれども、いろんな技術、それぞれリスクを持っていまして、例えば、あってほしくはないんですけれども原子力で何かあったときに、じゃどうするんだといったときに、緊急に頼ろうとしたら、恐らく石炭ぐらいしかないだろうという気もしますので、石炭のCO2排出削減策とセットでやっぱり、少なくとも設備容量は維持しておくといったようなことも必要だと。そんなことをセキュリティーの議論の中で若干触れられればと思っております。
 それから、個人的にはどうしても、荻本さんが2050年も誰も生きていないとおっしゃいましたけれども、多分私も生きていないとは思うんですけれども、どうしてもやっぱりそこに向けてということが私は気になっていまして、検討会第2回のときのプレゼンもさせていただいたんですけれども、2050年、80%という物すごい目標が出ている中で、2020年をどう考えようかということをやっぱり頭に置きたいなと。それから、そのときにインフラの寿命が決して短くはないと。明日つくったものは2050年にほとんどインフラとしてはそのままあるだろうと、そういったこともきちんと考えた上でシナリオをつくるべきだというふうに思っています。
 2050年については、別冊のほうのAIMのほうの資料にいろいろ書かれているんですけれども、例えば37ページにマクロ指標なんか出ていますけれども、人口が2割ぐらい減るんですか、9,500万を割るとか、世帯数も減る、業務床面積も減る、粗鋼生産量も減る、自動車台数も減る、何でGDPだけこんなに増えるのかよくわからない。日本がどうやって生きていこうとしているのかというのがよくわからないんですけれども、何かあまり全体的に、みんな減って減って元気が出ない社会だなという気がしますし、これも申し上げたかもしれませんけれども、今から2割以上人口が減ることを前提にするんだったら、それは今、民主党がやろうとしている子ども手当とか、そういった政策との整合性はあるのかどうか。そんなことも個人的には気になったりしております。
 そういう意味では、どなたかおっしゃいましたけれども、この検討会の外枠にあるようないろんな要素も含めた、そこについて真剣に議論する必要はないんですけれども、そこも眺めながらの議論というのは重要かなというふうに考えております。
 以上です。

○西岡委員長 どうもありがとう。
 非常に、お陰様でいい議論ができましたが、高橋さんのほうで幾つか出たところ、一つは……ああ、いいですか。

○地球温暖化対策課長 すみません、時間もありませんので、たしか冨田委員からご質問があったので、それだけちょっとお答えしますと、削減率については、分野ごとに何%削減すべきという数字が最初からあってということではなくて、ある意味で結果的にこうなったということだと思っております。例えば産業部門については、昨年、中期目標検討会のときのヒアリングをベースにしたものになっておりますし、それ以外のものについては、各分野ごとの対策の導入ポテンシャルといったものをそれぞれ考えて、どこまで深掘りできるかというようなことをいろいろと、現時点でわかる範囲で精査をした結果ということでありますので、これが本当に妥当かどうかというのはまた別の見方が必要かと思いますけれども、プロセスとしてはそういう形でしていると。
 1、2、3の差がよくわからないということ。ここは、別冊のほうの国環研の資料の24ページ以降ですか、見ていただくとある程度わかると思いますが、今後もう少しわかりやすい資料を用意したほうがいいかと思いますので、そこはちょっと検討させていただきたいと思いますが、一応そこを見ていただくと、それぞれ1、2、3で違いがあるものというのが、ある程度わかるようになってはございます。それはもう少しわかりやすくご説明するようにしたいと思っております。
 それ以外にもいろいろと、いろんなご指摘いただきましたけれども、そういうものを今後のヒアリング、あるいは特に2050年については今回まだ十分ありませんので、2050年、80%というものを、じゃ達成するために、むしろ20年、どうすればいいかというようなことの作業も少し国環研でもしていただいていますので、そういうものもできるだけまたお示しして、議論の参考にさせていただければというふうに思っております。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 もう予定の時間はかなり進んでオーバーしているんですけれども、一番最初の議論として、非常にいい議論ができたのではないかなと思っています。
 枝廣委員のほうの質問で、何が今一番ネックなんだろうかという話から、皆さんいろんなことをおっしゃっていただいたし、それから、もっと外枠のことをどう扱っていくのかということも非常に重要だなという話が出てきました。あとは、政策のつくり方の話としましては、省庁間の話、いつも出る話でございますが、いわゆる省庁間何とかというよりも、いかに知の集積を、みんなの知恵を集めていかなきゃ、これはもう大変な時期ではございますので、それをどう本当に集積していくかということを目指していこうじゃないかという話もございましたし、また、今後どういう項目で我々の、まずヒアリングに対して、どういう見方からいろいろ聞き出していくことができるだろうかという話。それから、今後のロードマップの検討において、我々のマンデートの中、外で、どういう形で進めていくかという話が幅広く出たと思います。いい議論ができたと私は思っています。
 今日の議事録、しっかり見て、今後どういう具合に進めていくかということを、ぜひきちんとした、それこそ我々のロードマップもつくっていただきたいという具合に思っております。
 どうも皆さんありがとうございます。
 それでは、次の、最後の議題になりますけれども、これは今後の進め方ということで、これは、資料は何かありましたか。
 お願いします。

○地球温暖化対策課長 資料2-1をご覧いただきたいと思います。ちょっと時間も押してまいりましたので、簡単にご説明したいと思います。
 今後、次回以降、まずヒアリングを精力的にやって、議論を進めていきたいと思っておりまして、その進め方ということでございます。
 2-1は全体の進め方ということで、この小委員会におけるヒアリングにつきましては、月に二、三回ということで、1回3時間ということを予定してございます。すみません、長くて。
 それで、一応3時間を2つに割りまして、1時間半ずつで大体4団体ぐらいずつ、ヒアリング、ディスカッションというのをツーセッションずつやるというようなことをイメージしてございます。ヒアリングについては、いろいろとご発言いただいた後、そのヒアリングの方、例えば4団体あれば、そこの皆さん交えて質疑応答、議論をしていただくということでございます。対象としては、学識経験者、消費生活、労働、産業関係者、NPO、地方自治体という中から、最終的には委員長に相談をして決めていきたいと思っております。
 それから、それに加えて、2にございますように、パブコメを既に実施しているということで、これについても5月、6月、いずれかの時点で、いただいた意見を取りまとめて、この小委員会にもご報告をしたいと考えております。
 それから、3についてでございますが、これは実は中長期ロードマップだけではなくて、別途検討しております国内排出量取引制度、それから、現在国会に出しています基本法案、こういうものについて、地方でも説明会をして、それで、その場でいろいろとご意見をいただくと、そういうことも予定をしてございます。これについては、場合によっては、この小委員会のメンバーの中から現地にもご同行いただいて、少し議論に参加していただくというようなこともできれば考えたいと思っておりますけれども、これについても今計画をしてございますので、またいろいろご相談をしたいと思っています。そういうものもご報告したいということでございます。
 今日主に議論していただきたいのは2-2でございますけれども、今後ヒアリングをする場合に、こういうことについてお聞きしたいという論点を事前にお示ししたいと思っております。
 ここに8点ほど書いてございますけれども、1については、今日もいろいろご指摘がございましたけれども、このロードマップの実現可能性。どういうところに課題があるか、難しい点があるか、その理由は何かと。また、どういう課題がクリアされ、あるいは、どういう支援なり対策があればそれがクリアできるのかと、こういうことについて、できるだけ具体的にご意見をお聞きしようということでございます。
 2番目は、このロードマップに書いてあることについては、もう既にいろいろやっているとか、もっとこういうことが可能だとか、あるいはこういうところが抜けているんじゃないかとか、そういうところについてもできるだけ具体的、定量的にご意見をいただこうと。
 3については、経済分析ですね。これについても、コメント、課題、問題点、そういうものをご指摘いただこう。
 4番は、ほかの分野とどういう協力ができるかというようなこと。
 5番については、この温暖化対策を新たな市場・雇用の糧にしていく。そういう観点で、どういうことが期待できるか。あるいは副次的効果が、どういうことが期待できるかというようなことについてお話をいただこう。
 6番は、まさに外枠の話かもしれませんけれども、世界の低炭素社会の構築に貢献するためには、どういう対策・施策が必要かというようなことでございます。
 7番が、個社あるいは個人の取組、企業、地域の取組、そういうものを進めていくための社会の仕組みはどういうものが必要かというようなことについての見通しとご意見ということで、ここにございますような技術の普及・開発でありますとか、見える化、努力する人が報われる仕組み、ハード・ソフトのインフラ整備、あるいは人材育成・教育・金融、こういう面、例示してございますけれども、社会の仕組みとしてどういうものが必要かというようなことです。
 8は、その他ということでございます。
 これに加えまして、それぞれヒアリング対象分野ごとに、さらに特化したものが必要であれば、これは委員長と相談して、事前にお示しして、できるだけ、短い時間ですので効率的にヒアリングができるようにしたというふうに思っております。
 それから、2-3はご参考までに、4月15日の、この小委員会の設置を決めたときの地球環境部会でいろいろご注文いただきました。こういうことをこの小委員会でぜひ議論してほしいという意見が地球環境部会のほうでいろいろございましたので、簡単にまとめてございます。
 もう既に今日もご指摘があったものは相当含まれておりますけれども、経産省との連携とか、その実現可能性についてはもっと詰めてほしいとか、国民負担の話とか、技術開発にはリードタイムが要ると。あるいは、地方自治体の役割も大変重要だというようなご指摘もございました。行政コストの問題と。
 具体的には、家庭、業務については、ハード面ばかりが少し強過ぎるんじゃないかとか、有価証券の話とか、年金の運用とか、金融のグリーン化というような視点が抜けているのではないかとか、ライフスタイルの話でありますとか、原発が予定どおりいかなかった場合はどうするんだという話とか、技術の海外展開の話。
 それから、経済分析についてもいろいろご指摘をいただいております。今回お示しした4つのモデルの確からしさについての検証が必要ではないかとか、マイナスの結果もちゃんと示すべきではないかとか、25%の達成に必要なコスト、あるいは時間について検証すべき。マクロフレーム、これは2050年も含めてマクロフレーム、どういう社会になるかというようなことを、もう少し具体的に示すべきではないか。省エネ投資の有効性をもっときちんと評価すべきではないか。こういういろんな議論がございました。
 こういうものもご覧いただきながら、資料2-2についてご議論をいただければと思っています。
 2-4は、パブコメについて、4月12日付で開始をしてございます。そのご案内資料でございます。
 簡単ですけれども、以上でございます。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 資料2-2、ヒアリングの主な論点ということでございますが、進め方について、もしご質問があればお願いするといたしまして、主な論点はいかがなものでしょうか。今回非常に、今日の議論の中でも、その視点につきましてはかなり皆さんのほうからいいコメントをいただいていると思います。そういうのも盛り込みながら、これを書いていかなきゃいけないと思いますけれども、こういうことをもっと聞くべきだということはございましょうか。
 それから、私も、何かいうとすぐにヒアリングということで、この手順が非常に定型的に進んでいくわけですけれども、やはりはっきりした問題点が出たときには、我々のほうもフォローアップする、詳細についてフォローアップする態勢もとっていってもらいたいなとは、もちろんですけれども、思います。
 どうでしょうか。何かございましょうか。
 じゃ、枝廣委員。

○枝廣委員 ヒアリングは去年の暮れから、新成長戦略と温暖化対策基本法とエネルギー基本計画と3回やらせていただいて、ヒアリングを受ける側からの視点も含めてのコメントですが、このような主な論点を示してヒアリングすることがいいことかどうかということをまず考えました。
 幾つか理由があります。このように論点を示すことで、こちらからの枠の中でのヒアリングになってしまうことが、先ほどの外枠の議論を含めて、どうなんだろうかと。こちらが聞きたいことを聞くというのが本当の意味でのヒアリングかどうかということ。それから、このような形で出すと、それぞれに対して、すべての問いに対して答えをきっと皆さんつくってこられると思いますが、そうしたときに、その人や、その団体や、その企業が何を一番大事だと思っているかという、その重みについてはなかなか伝わりにくくなってしまうというのが理由です。
 90分で4人からヒアリングをするとするとかなり時間的にも限られますから、ですから私は、この場合だと、ロードマップを示して、一番大事だと思うこと、伝えたいことを伝えてくださいというので、焦点絞った形でヒアリングをして、この論点について聞く必要があるのであれば、後ほどその詳細を別に聞き取りをするか、何らか出してもらうとかするような形で。多分、これだけ論点があって、その短い時間だと、用意したものを読み上げて終わるような、それはあまりヒアリングにならないんじゃないかなという気がします。
 以上です。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 影山委員。

○影山委員 ヒアリングで何点か。
 先ほど赤井先生からもありましたように、このロードマップ試案で、産業界のものづくりのところの取組がちょっと弱かったという話がありまして、あまり議論がされていないというふうに感じます。ぜひ産業界から真摯に意見を聞いていただいて、排出量取引のときには申し上げましたけれども、聞くだけじゃなくて、どう盛り込むかという観点で、ただ聞いただけに終わらないように、ぜひお願いしたいと思います。
 それから、先ほど太陽光とかいろんな話がありましたけれども、もう一つの、この削減の担い手である家庭からもぜひ意見を聞いたらいかがかと思います。家庭でこういうのを誰が権力握っているかわからない。奥さんのほうかもしれないですけれども、どうしたらこの中で、この財政、家計の中で太陽光が入れられるのかとか、あるいは環境にいい製品を買ってもらえるかどうかというところも、どうやって買ってもらえるのかというところも、ぜひ聞いていただければと思います。
 それからもう一つ、先ほど、一昨日、エネ研か何かで、そのモデルについての意見が出たという話がありましたけれども、我々でわからないモデル分析のところについては、モデル分析の専門家の方も呼んでいただいて、1度ぐらい議論していただくということはいいのではないかというふうに思います。
 以上です。

○西岡委員長 どうもありがとう。
 増井委員。

○増井委員 ありがとうございます。
 中期目標検討会のときにもこういうヒアリングをやったわけなんですけれども、また個別に、各業界団体に行っていろいろご意見を伺ったわけなんですけれども、そのとき言われたのが、2020年はやっぱり厳しいけれども、2030年だといろんな姿が描けるよというようなこと、積極的なご意見もいただきましたので、そういうご意見をこういう公開の場で積極的にご発言いただくというふうなことは、非常に重要なのではないかなというふうに思っております。
 以上です。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。
 大聖先生。

○大聖委員 この中で、やはりこれから国際連携というのは非常に重要だと思いますので、各部門では、そういう外に対して連携を展開していくためにどんな戦略があるのか、ということは非常に重要だと思いますので、その点もぜひお答えいただけるような形にしていただきたい。そういう中で、技術移転のメリットとかデメリットがあり、企業は必ずそういうようなプレッシャーを受けるとともに、あるいはメリットをこれから探っていかなきゃいけないわけで、その辺もぜひ検討をお願いしたいと思います。
 それからもう一つ、これは蛇足なんでありますが、こういう場で毎回申し上げていることなんですけれども、人材育成、私ども教育機関に関わっておりますけれども、非常に大事だと思うんですね。先ほど、ものづくり立国という話とか知の集積というのは、やっぱり背後にあるのは人材育成であります。ですから、2050年に向かって何ができるかということが非常に重要だと思っていまして、例えば私ども、今年の3月卒業した学生がちょうど2050年に定年を迎えるんですよね。ですから、それまでに彼らが何をやるかで日本の国の行く末が決まるんじゃないか。企業の立場でも人材育成ということ、海外展開、これが重要ですので、ぜひその面のご意見も伺いたいなと思っております。

○西岡委員長 ほかにいかがでしょうか。
 枝廣委員。

○枝廣委員 今の影山さんのお話を聞いていて、本当にそうだなと思いました。家庭の方々は削減にしても省エネ家電を買うにしても鍵を握っているので、ぜひそこのヒアリングが必要だと思うんですが、ヒアリングのフォーマットというか形式を、これまでのやり方でやらないといけないとすると非常に聞きづらくなる。つまり、普通の主婦がこういうずらっと偉い人たちがそろったところで本当の話をするかというと、それは無理です。
 なので、一つ提案ですけれども、もし家庭の声を聞くことが重要ということであれば、そのヒアリングのフォーマットを少し違うものも用意して、私がよくやるのは、もう少し話しやすい人数で、フォーカスグループ的にファシリテーターが入って、井戸端会議的に皆さんの意見を聞いて、それを後でレポートにしてこの委員会にお持ちするとか、そういった形ができますので、この場に招致して、それでヒアリングという、そのパターンでないものもできたらやっていただきたいなと思います。
 あと、先ほどは論点がないほうがいいのではないかと言いましたが、もし論点を設けてヒアリングをこういった場でやるとしたら、一番最初に、何をこれまでやってきたのか、それでどれぐらい効果が上がってきて、その効果を上げている成功要因は何なのか。つまり、何が難しいかという話から入るのではなくて、これまでどういう努力をしてきて、その中でうまくいったのは何か、それはなぜうまくいったのか。難しいのは何かという、この1の前に、そちらのほうも入れていただきたいなと思います。
 2点です。以上です。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 ほかにございましょうか。よろしゅうございますか。
 それじゃ、いかがでしょうか、事務局のほうで、今までのご意見。

○地球温暖化対策課長 まず、その論点をつくるか、つくらないかというところを決めていただかないとあれなんですけれども、確かに、これを全部答えると15分の説明の中では非常に総花的になってしまうということもあるので、お示しはしますけれども、必ずしも全部お答えしなくても、ご自分の関心の高いところだけお答えいただければいいということで。何らかお示ししないと対応する方も難しいのと、あと、この委員会で議論していくときに、ある程度論点ごとに議論をできればと思っているものですから、もしそういうことでよろしければ、何らかの形でお示ししたいと思っているんですけれども。
 あと、枝廣さんがおっしゃったように、別のフォーマットでやるということは大変有意義だと思いますので、例えば枝廣さんにそういうのをコーディネートしていただくというのが一番いいんじゃないかと思いますが、ぜひその辺はまたご相談させていただければと思います。
 ものづくり、恐らく今いろいろとリストアップを始めているところですが、当然のことながら、やはり企業の方を呼ぶ回数、その団体数としては、やはり企業あるいは業界団体というのは、かなり数としては多くなると思います。当然、その辺、きちんとお聞きしたいというふうに思っております。
 とりあえず。

○西岡委員長 どうもありがとうございます。
 いかがでしょうか、今、テーマをばしっと決めていくかという話、もう少しフレキシビリティに、いろいろあるかと思います。確かに、本当に言いたいことを言わないで、何かフォーマットに書かれたことを逐一でもということもありますし、また、委員のほうとしても、これは聞きたいという非常に強い意志を持って聞かなきゃいかんところもあるかと思いますね。ちょっとこれ、ケース・バイ・ケースになるかもしれませんけれども、それから、ぜひ家庭等々の意見の集約につきまして、また別途考える必要もあるかと思います。
 いずれにしましても、私、先ほど申しましたように、単なるヒアリングをやりましたという話だけで絶対終わらせないようにしたいなと思っておりますので、そのあたりにつきましては今後、事務局のほうと私のほうで話し合いを進ませながら決定していきたいという具合に思っています。またお知恵をかりることもあるかと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、一応議題はこれで終わったわけでございますが、何か、よろしゅうございますか、あとは。議題としてはこれでいいですね。
 それじゃ、もうあとは事務局からの連絡事項ということでお願いしたい。

○地球温暖化対策課長 ありがとうございます。
 今日は非常にご活発な議論をいただきましたので、今の論点のほうももう一回整理をしたいと思います。これから、あとヒアリング等の進め方、ヒアリングだけじゃなくて、この委員会の進め方につきまして、十分今日のご意見を踏まえて考えていきたいと思います。
 とりあえず次の日程なんでございますけれども、既に一応メールでご連絡は先日させていただきましたけれども、皆様方のスケジュールを踏まえまして、なかなか全員に出ていただく日程というのはないんですけれども、とりあえず次回は5月12日の9時から12時ということで開催させていただきたいと思っております。
 第3回目以降についてもできるだけ早く、皆様どんどんスケジュールが入ってくると思いますので、委員長と相談して決めて、連絡をさせていただきたいと思っております。
 次回につきましては、実はまだヒアリング、お願いをするところが、まだ調整中なんでございますけれども、基本的には、テーマとしては、分野としては、日々の暮らしあるいは地域づくりというようなところで、今当たっているところでございます。住宅でありますとか、家電とか、自動車というようなところを、少し今当たっております。加えてNPOというようなところも今当たっているところで、ちょっとまだ現時点で、今日の時点でまだすべて埋まっておりませんけれども、連休も挟んで、なかなか厳しいスケジュールでありますが、何とかお願いをしてヒアリングをしたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

○西岡委員長 どうも皆さんありがとうございました。本日は非常に活発な議論で、先の作業に重要なご意見をいただいたと思います。どうもありがとうございました。
 はい、どうぞ、何か。
 ちょっとすみません。ちょっと質問、お待ちくださいませ。
 はい、どうぞ。

○荻本委員 スケジュールなんですが、かなり長い期間で出させていただいていて、それはそれでいいんですけれども、可能性のない日を教えていただけると助かるんです。全部オープンで出しちゃっているので、非常にやりにくいので、決まらないまでも、この期間はないと。

○地球温暖化対策課長 これからちょっと座長と最終的に打ち合わせして、今日中に皆様に、5月、6月のすべての日程案を、もうお送りしたいと思っています。いろいろと、何でこの日なんだというのはあるかもしれませんが、ちょっとある程度もう決めないとあれなものですから、今日中にメールで送らせていただきたいと思います。すみません。

○西岡委員長 それじゃ、どうも皆さんありがとうございました。

午前11時40分 閉会