国内排出量取引制度小委員会(第17回)議事録

日時

平成22年11月29日(月)13:00~16:00

場所

全国都市会館 大ホール

議事次第

  1. 1 開会
  2. 2 議題
    1. (1)全体まとめ
    2. (2)その他
  3. 3 閉会

配付資料

資料1 我が国における国内排出量取引制度の在り方について(案)
資料2 我が国における国内排出量取引制度の在り方について(案)(参考資料)
参考資料1 第16回国内排出量取引制度小委員会の議論に対する意見(影山委員、岡山説明員(笹之内委員代理)、冨田委員 提出資料)
参考資料2 韓国「温室効果ガス排出権取引制度に関する法律(案)」の立法予告について
参考資料3 AB32におけるカリフォルニア州キャップ・アンド・トレード制度規則案(パブコメ版)の概要
参考資料4 西部気候イニシアティブ(WCI)における排出量取引制度の制度設計の概要
参考資料5 中西部地域温室効果ガス削減アコード(MGGRA)における排出量取引制度の制度設計最終勧告の概要

午後1時00分 開会

○上田市場メカニズム室長 それでは定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会地球環境部会国内排出量取引制度小委員会第17回会合を開始いたします。
 今回は、小委員会としての取りまとめ案についてご議論いただきたいと思っております。
 本日は、委員総数14名中過半数の委員にご出席いただいておりますので、定足数に達しております。
 本日欠席の委員は、影山委員、笹之内委員、末吉委員、新美委員、諸富委員の連絡を伺っております。影山委員につきましては、説明員として東京電力の北原様にご参加いただいております。また、笹之内委員の説明員としてトヨタ自動車の岡山様がご出席いただいております。
 本日の審議は公開とさせていただきます。
 以降の議事進行は、植田委員長にお願いいたします。

○植田委員長 それでは、早速議事に入ります。
 まず、事務局から配付資料の確認をお願いします。

○上田市場メカニズム室長 お手元に議事次第があるかと思います。議事次第の下段の方に配付資料の一覧を掲載しております。
 資料の1といたしまして「我が国における国内排出量取引制度の在り方について」、こういうことで本日議論いただく資料を掲載しております。また、資料の2につきましては、これまで各論の議論の中で参考として整理させていただいた資料のところを、全体一括して参考資料として付けさせていただいているところでございます。
 また、参考資料を1から5まで配布させていただいておりますが、参考資料の1につきましては、前回の第16回小委員会の議論に対する意見書ということで、産業界委員として影山委員、岡山説明員、冨田委員から提出されたものを掲載させていただいております。あわせて、参考資料の2から5につきましては、最近の諸外国の状況、種々動きがありましたので、この機会にご紹介ということで配布をさせていただきました。
 以上でございます。

○植田委員長 よろしゅうございますか。
 それでは、議事に入ります。
 お手元にございます本小委員会の取りまとめである報告書(案)についてご議論いただきたいということですが、まず、報告書(案)の目次をご覧いただきたいと思います。
 これは非常に大部にわたりますので、事務局から報告書(案)について一通り説明していただきますけれども、3つに分けてそれぞれ議論しようかと考えております。
 「はじめに」というところから、<3>の「6.事業者の負担の緩和措置」というところまで、それから次が、<3>の「7.国と地方の関係」から<3>の最後「その他(登録簿、適切な市場基盤)」まで、そして3つ目が「制度オプションの評価」と「まとめ」、このように区切ろうかなと考えておりますので、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
 それでは、まず、事務局から資料1の報告書(案)について説明をお願いいたします。

○上田市場メカニズム室長 事務局から説明をさせていただきます。
 まず、目次をご覧ください。目次につきましては、これまで議論をした資料を再度整理したものとなっております。
 今回皆さんに初めてご覧いただきますのは、この目次のうち「はじめに」という箇所、また<1>の「検討の経緯」という箇所、そして<5>の「まとめ」と、最後の「おわりに」でございます。それ以外のものにつきましては、これまでの各論の議論の中で一度ご覧になっていただいたものを、そのときに頂いた意見を踏まえて修正したものを今回掲載させていただいているというところでございます。
 それでは、新たに追加したところはポイントだけお話をさせていただきまして、それ以外の資料には主な修正点に触れるにとどめて、大部でございますので簡潔にご説明させていただきます。
 まず、1ページ「はじめに」でございます。こちらは書き下ろしをしております。「検討の背景」として、科学的知見について言及をして、日本の国際約束についての宣言を述べた後、諸外国の動きについて言及し、基本法案の流れを紹介しているところでございます。
 2ページになりまして、「国内排出量取引制度の検討経緯」というところで、環境省で平成12年に検討を開始して、それ以降、事業も含めて現在に至るまでの取組等を紹介させていただいているところでございます。
 3ページ、(3)でございますが、そうした流れの中で、基本法案第13条を引きまして、今回小委員会を設けさせていただき、国内排出量取引制度の在り方について専門的な検討や論点整理を行い、今後の制度設計に資するため、本年4月、部会の下に小委員会を設置したことに言及しているところでございます。
 4ページが「検討の経緯」でございます。こちらは、4月以降、本小委員会で様々な議論、ヒアリング、パブコメ等を行ってきた、その歩みを簡潔に記述しているところでございます。
 5ページでございます。ここからは各論になります。
 <2>でございますが、まず「基本的な考え方」というところで、各論をそれぞれ検討するに当たって、視点ということで、これについては重ねて何度かご議論いただいたものでございますが、それをそのまま冒頭に位置づけておるところでございます。これが5、6、7ページでございます。
 <3>、8ページをご覧ください。こちらから個別論点となりますが,まず最初に、冒頭オプション案とそれ以外の論点について、個別論点の進め方について少し記述をした方が、後の並べ方について分かりやすかろうかと思いまして、特に意見が分かれるという電力の扱いと排出枠の設定方法について、オプションを提示して議論を行ったということを言及させていただいております。以降、個別論点に入ります。
 まず「対象期間」でございます。対象期間につきましては、8ページの下段のところの(2)の[1]の冒頭のところですが、まず、2020年の目標年次というのを前提としてあっさりと前回書いていたのですが、そこのところを少し丁寧に記述したというところが追記をしているところでございます。
 また、9ページでございますけれども、2013年の開始時期というものを仮定して整理するという形で、入念的に記述をしたところであります。
 また、[2]につきましては、幾つか記述をシンプルにしたところがあるところでございます。10ページをご覧ください。
 10ページにつきましては、なお書きということで、前回の意見も踏まえて追加をしたところであります。
 以上が「対象期間」でございます。
 「対象ガス」であります。対象ガスにつきましては、基本的に、(1)は追加をしておりません。(2)の[1]と[2]も特に修正はございません。エディトリアルな修正があるのみでございます。
 [3]につきまして、11ページの下段になりますけれども、「また」以下の文章を前回の議論を踏まえて追加しておるところでございます。
 12ページになりますが、[4]と「方針」の(3)、これについては特に修正を加えておりません。
 12ページ以降、「制度対象者の考え方とその特定方法」でございます。こちらにつきましては、(1)と(2)の[1]-1、これについては修正を加えておりません。14ページになりまして、[1]-2、こちらも修正なしでございます。
 [1]-3につきましては幾つか修正を加えております。まず1つは、従前、業界と企業グループという言い方をしておりましたが、企業グループの特定の仕方が一部不明瞭かつ限定的でありましたので、「複数事業者単位」という言い方で修正しております。場合によっては「関連会社」という言い方をしているところもあったと思いますが、これに統一させていただいております。
 また、その「複数事業者単位」の記述につきましては、15ページでございますが、一番最後の[2]の上のところの3行、「複数事業者単位による排出枠の償却義務の遵守を認めることが可能かどうかは我が国の法制度に照らして慎重な検討が必要である。」この旨追記しているところでございます。
 また、この問題につきまして幾つかの課題を公正取引委員会の報告書等を引用して記述をしておりますが、その課題について実際に具体的な制度を組んでみないと、今の時点で判断がし難いことがあるため、15ページの先ほど引用した3行の1つ前のパラでございますが、真ん中の「また」以下の文章ですけれども、「法的安定性を欠くこととなるなど課題が多い。」と書いてございますが、前回は「妥当でないと考える。」となっていたところを、この前の議論も踏まえて、またその課題の扱い、具体的な検討段階を考えて修正したところでございます。
 [2]以下でございます。[2]については、特にビル等の扱いについて記述を書かせていただいているところでございます。これについても前回幾つか議論があったかと思います。そこで、一部その書きぶりについて、位置を変えるなどしているところでございます。
 16ページをご覧いただければと思いますが、まず大きく分けて2つの考え方がございまして、1つは現行の扱いの延長線上で考えていこうというもの、もう1つは、例えばということですけれども、それとは異なり、その所有に着目して当てはめていこうというものですが、そのいずれにも共通するものとして、16ページの1行目ですけれども、「公平性や汚染者負担の原則の観点から、」というものは、これは実は最後の方に文章としてあったのですが、考える際には前に持ってきた方が分かりやすかろうということで前に持ってきているところであります。
 あわせて、その下、次のパラ、「この点、」という3行がございますが、これについても前回最後の方に記述があったものを、まず考え方を整理する上で冒頭にあった方が分かりやすかろうということで前に持ってきているところでございます。
 また、16ページの下段のところですけれども、所有者の扱いで「一方で、」という文章、また「以上により」という文章、これについては前回の意見を踏まえて追加修正をしているところでございます。
 その後ろに、所有に関する考え方で、デメリットの記述があったのですけれども、それについてはちょうどその上にある現行延長線上のメリットいうものの真逆の話、真裏の話で重複感がありますので、それについては削除をさせていただいたところでございます。
 「裾切り値」が[3]について書いてありますが、こちらは少し丁寧に書いたところでございます。とりわけ17ページのところの下から2パラ目、「この点、」のところですが、「1万t-CO2以上の値を検討することとしつつ、」と書いてありまして、前回の報告書、我々は1万t-CO2以上のいずれかの値、その中で具体的な裾切り値の設定については、ここに幾つか示された視点を踏まえて具体的に設定していくと記したつもりで説明もしたつもりですが、前回の報告書だと少し簡単に書いておりまして、1万t-CO2で切ると誤解されかねないところもあったので、そのところを丁寧に書いたところでございます。
 [4]でございます。ここは特に修正をしておりません。
 (3)の「方針」につきましては、18ページになりますけれども、まず最初のパラについては、最後の2行「複数事業者単位による排出枠の償却義務の遵守を認めるかどうかについては、我が国の法制度に照らして慎重な検討が必要である。」先ほどの文言を加えております。
 また、事業所の定義、特にビルの扱いですけれども、「現行の判断基準をそのまま用いるのではなく」というのを入念的に記述しておるところでございます。
 あわせて、19ページのところについても、最初のパラで、1万t-CO2以上というところの誤解がないようにという表現については、これについても入念的に書かせていただいているところであります。
 さらに、その次の「連鎖化事業者や特例輸送排出者の扱い」でございますが、前回の規定ぶりがちょっと分かり辛いというご指摘もありましたので、クリアに書いてみたところでございます。
 4番、「排出枠の設定方法」であります。これにつきましては、4-1以降、個別に議論しておりましたので、頭書きとして最初の5行を追加しているところであります。
 細かいところを幾つか修正しておりますが、基本的に、19ページ、20ページ辺りは修正しておりません。[1]-2までは修正しておりません。
 [1]-3のところでございますが、ベンチマーク方式のところで、最初のパラでございますが、連続する複数年度の期間をベースにしてベンチマークを考えていくときに、前回は特に議論をせずに3年という形で特定しておりましたけれども、この点については実際には幾つかの考慮事項を検討した上で最終的に決めるのかなと思いまして、この時点で3年と断定するには十分な議論もできてないので、特に複数年度とするにとどめたというところでございます。それについては複数年度、このところは何カ所か、グランドファザリング等でも出てきますが、それについて同様に修正させていただいております。
 [2]-2が22ページから、23ページのパラ、1行あけた後の「なお、グランドファザリング方式においては」という記述がございますが、その後に1文、バンキングの有無によって排出量削減のインセンティブが軽減されるのではないかという記述がございましたが、若干それについても指摘があって、あえて書く必要もないのではないかということで削除させていただいたところでございます。
 [2]-3について、また(3)の「方針」について、特に修正はございません。編集上の修正、法律名を正確にしたり、そういった編集上の修正のみでございます。
 25ページから「オークション方式」でございますが、こちらも編集上の修正をしたのみで、特に中身の修正はしておりません。
 26ページから「原単位方式」となっております。こちらにつきましては幾つか表現の適正化という観点で追加している、または修正している箇所がございます。
 27ページで言いますと、上から3パラ目、ただし書きのところですが、「他社との比較等により排出原単位の向上を促す効果を持つのは」と、こういったものを加えたり、また[1]の一番最後のなお書きですけれども、27ページの[2]の上ですが、「一方で、電気事業者については」というところ、この辺は表現の適正化をしたところであります。
 また、[2]の「総量削減の担保」のところですが、「原単位方式で総量削減を図るには」というところは、前回こういうご指摘があって、原単位を認める場合の条件のような提案があったかと思いましたので、それを書かせていただいたところでございます。
 28ページにつきましては特に修正をしておりません。この辺りにつきましては、実際に今回全体のまとめということで、後ろの方に整理をして、また評価をしているところですが、そちらとの整合性というのはまだとれておりませんので、必要があればご意見等を頂ければと思います。
 29ページの(3)「方針」については特に修正しておりません。
 4-4、電力原単位の「課題」のところは従前どおりでございます。
 29ページの(2)の[1]につきましては、「この点」以下について、前回の委員から、意見は両方あるというご指摘があったところをそのまま簡潔に書かせていただいたところであります。
 また、30ページの[2]の手前の[1]の最後の2行、これについても前回あった議論を記述させていただいているところでございます。
 [2]「電力供給者に対する措置の内容」というところですが、これについては、これも前回あった議論ですけれども、下から3パラ目「他方で」というものを、意見があったものについて追記したところでございます。
 31ページに入りまして、(2)の最後のパラですが、「また」のところの「完全に総量方式の排出量取引制度と同一の市場とすることは課題が多く」というものは、その後の「一定の制限が必要であり」というものの理由がなかったので、理由を付記して丁寧に書いたところでございます。
 「方針」については大きな変更はございません。
 4-5「新設、廃止、改修等の扱い」でございます。
 (1)は特に修正はございません。
 (2)について、[1]については、32ページになりますが、最初のパラの最後から3行目、「新規参入者において排出枠の調達を求めるのか、何らかの方法により国が排出枠を提供するのか」ということで、検討の中身について議論があったことを踏まえ、追記しておるところでございます。
 その次、[2]については、タイトルを適切なものに少し修正しております。
 [3]「既存事業者の事業所新設、事業所廃止等に係る排出枠の設定」というところですが、まず最初の1パラの3行ですけれども、前回の議論も踏まえて、またこちらの説明もそのようにしたつもりではございますが、既に制度対象者であった事業者の新設の場合、一部事業所の新設と廃止等の場合は基本的にはパラレルであるべきというご議論があったかと思いますので、そういうものは全体を通して冒頭に述べておいた方がいいだろうということで冒頭に追加させていただいたところであります。
 また、その場合、そのパラレルというものが、考え方1として2パラ目に書いてありますが、新設の場合と廃止の場合、丁寧に細かく見ていくというものと、そこは一括して見ないのだという考え方2として「他方で」というところ、そこを少し書き方と、2つ対比するような形で書かせていただいたところでございます。
 そのほか、若干丁寧に書く記述を「しかしながら」のところで加えているところであります。
 あわせて、33ページですが、「また、」以下の文章も追加させていただきました。
 (3)の「方針」でございますが、ここも下から3行目、「事業所の新設・廃止や設備変更については、対象期間内で再設定を行う」というところは、[3]の先ほどのを追加して整理したところを踏まえて修正をしたところであります。
 4-6の「排出総量」でございますが、(1)については特に変更はございません。
 (2)につきましても幾つか語句を足したといった修正はございますが、大きな修正というものは、34ページでございますが、[2]のところの「総量の設定方法」、これは2パラあったのですけれども、冒頭1パラ目は全体を削除しております。特に設定方法に係るものの記述だけでいいだろうということで、この4行だけが残っている形になっています。
 [3]について「排出総量の内容」というところ、34ページでございますが、これは冒頭の3行を追加しているところでございます。
 あと、35ページになりますが、(3)の「方針」ですけれども、2行目のところで「ルールを設定して行う」というところを追加しております。
 35ページ「一連の手続き」に入ります。
 (1)については特に記述追加をしておりません。
 36ページの(2)の[1]でございますが、こちらにつきましては、前回の意見を踏まえて、[1]の2パラ目と3パラ目について追加しておるところでございます。
 [2]の「対象期間における遵守期間」でございますが、こちらについても基本的にその遵守期間の長さをどうするかというところで複数意見がございましたので、その点と、真ん中辺りの「遵守期間については」というパラについて少し詳しく双方の意見を並べているところでございます。
 [3]につきましては、37ページの辺りから幾つか整理させていただいているところでございますが、追加といたしましては、38ページのところの最後のところに、前回の「方針」のところとのバランスでここは少し書き足りてなかったところがございますので、「第三者検証を行った排出量について、政府は、正確性が確保されたものとして扱うのが適当である」という旨を追加させていただいたところでございます。
 [4]については微細な修正が1カ所あるのみでございます。具体的には39ページのところの、絵が入っているところの次のパラでございますが、「検証機関の資格を取消し」というのが、従前は検証を認めないだけだったのですけれども、「資格を取消し」というものも追加しております。それだけでございます。
 40ページ、[5]でございますが、[5]の2行目、若干誤字が残っておりますが、基本的には修正なしでございます。
 [6]も修正はございません。
 [7]の「罰則等の在り方」につきましては、前回の議論の際に、制度対象者の義務だけではなくて、制度対象者を特定する際の届出等の違反もあるのではないかというご指摘がありましたので、「加えて」という文章をつけ加えたところでございます。
 「方針」でございますが、41ページは特に修正はございませんが、42ページのところは、全体を分かりやすくするという観点で若干その並び等が細かく、適切でなかったところがありましたので、修正したというのが1つございます。
 また、42ページの下から2パラのところの「加えて」というところは、先ほど追加した罰則のところのものに対応して記述を追加したところでございます。
 43ページからは「負担の緩和措置」でございます。(1)は修正しておりません。(2)につきましては、[1]の冒頭の文章につきましては、費用負担のポリシーミックスの議論をしたところの表記に合わせて今回修正したところでございます。
 44ページにつきましては、前回東京都の制度等について事実誤認もあるというご指摘もいただきましたので、修正しているところでございます。
 [1]-1については修正しておりません。[1]-2についても、脚注を追記しておりますが、それ以外、本文について修正しておりません。
 [2]の「外部クレジットの活用」でございますが、冒頭の1パラについては、先ほどと同じように、追加投資の件で少し表現は修正しておりますが、追加をしたのは、上から3パラ目でございますが、柔軟性措置でも対応できないような排出枠価格の高騰が発生したときに外部クレジットの出番が出るというときに、ただ外部クレジットについても、そのリードタイムが長過ぎた場合にはクレジットが得られないおそれがあるという指摘もあったので、それをちょっと追記しております。若干無理やり入れ込んだので、全体の文意が通りにくいところがあるかもしれませんので、少し整理をする必要があるかもしれませんが、意見を踏まえて追記したところでございます。
 [2]-1、45ページからですけれども、46ページのところを追加しております。これは前回の意見があったところを踏まえてですが、上から3パラ目、「したがって」というところの後半部分、「また」の吸収源の扱い、これについては追記させていただきました。
 [2]-2につきましては、「そのために」というところで、「個々の制度対象者に対して」ということで、それを加えております。これにつきましては、前回ご質問を頂いて、量的制限というのは全体にかかるのか個社にかかるのかという質問がありまして、私の方から全体にと答えさせていただいたところでございまして、それをちょっと、申し訳ございません、修正させていただきます。その心は、個社にかけないで全体でコントロールをする方法があるならそれでいいと思っていたのですが、個社にコントロールをかけないで全体の量をコントロールというのを、中でいろいろ議論したのですが、簡単な方法では見つからなかったものですから、「個々の制度対象者に対して」ということで加えざるを得ないかというので加えさせていただいたところでございます。
 46ページ「国際リンク」が始まっておりますが、これについては、47ページの冒頭、2パラのところを追加しております。
 「費用緩和リザーブ」につきましては、前はなかったのですが、「等」を最後付記しております。これにつきましては、47ページの一番最後、なお書きを今回追加しているところでございます。リザーブの形態というのは、通常想定されるもののほかに、例えば外部クレジットの量的制限の緩和、そういったものもあるのではないかという指摘とともに、いずれにせよ、そうしたものを発動すると制度対象者にとって予期せぬ不利益となるような措置が行われる可能性がある、それについてあらかじめ明示をしておくということが必要ではないか、財産権の制限に当たるのではないかということで、その旨追記したところであります。
 (3)の「方針」につきましては、費用緩和リザーブについて若干丁寧に記述を追加させていただいたところでございます。
 6-2からは「国内外での排出削減に貢献する製品への配慮」ということ、いわゆるLCAの議論でございます。こちらにつきましては、51ページの[4]のところで、前回の議論を踏まえて、ただし書きを3パラ目で追加したところでございます。最終製品の段階で判定をするのですが、その際の中間製品、素材の寄与分についてどう検討するのかという議論があったかと思いますが、それに対応したものです。
 52ページからは「国際競争力への影響」でございます。こちらにつきましても、52ページから53ページの[1]にかけては編集上の修正のみでございます。特に中身の修正はございません。
 [2]から「配慮業種の選定基準」というところですが、ここは少し、最初の1パラのところを丁寧に書かせていただいたというところで、例えば最初の「配慮業種の選定基準として、現時点で利用可能であり、諸外国で用いられているものとして」と、そういう修飾語を加えることによって丁寧に書いた修正をしております。
 54ページをご覧いただければと思いますが、[3]は特に修正はなく、[4]のところで表現を、先ほどの追加投資のところについて共通して全部修正するということで直しております。
 55ページにつきまして、脚注に少し手を入れているところでございます。
 56ページでございますが、「方針」の後に「我が国の現状分析」という表が入っているのですが、これはすみません、ちょっと編集上のミスで、本文中に参照で加えようと思っておりましたのが「方針」の中に入っているので、前の本文の方の「貿易集約度」と「炭素集約度」という言葉を引用した部位のところに挿入したいと思っております。
 56ページ「国と地方の関係」でございます。(1)(2)の[1]、[2]についてはエディトリアルな修正のみでございます。
 [3]、59ページから始まりますが、こちらについては、前回の議論を踏まえて幾つか修正しております。
 まず、上から4パラ目に「ただし、関係を整理する場合も」とございますが、公害法制とその他の違いというところで、1つは、ただし書きのところですが、3行目から4行目ですけれども、「地域的な汚染が問題となりその態様は地域ごとに異なることから」という1文を入れさせていただきました。また、アセス法につきましては、どういうものがこれに該当するのかということで、「一方で」の後に「手続きを規制する」という語句を加えさせていただいたところであります。
 また、その後、「ここで」以下の文章につきましては少し追記して、丁寧に書かせていただいたところでございます。こちらについては、先ほどの上の文章とも関係してきますけれども、「地域的な汚染が問題となりその態様は地域ごとに異なる」という、公害法制と温室効果ガスを対象とするものというのは性格が異なるという意見がある点が1つ。他方、法律と条例というのは、対象者に過剰な負担や混乱が生じないようできるだけ整合を図られることが望ましいという点に言及しているところが1つでございます。
 また、その法律の規制の対象外、いわゆる裾切り以下の、分かりやすく言えば、その横出し部分につきましては、これは条例において規制対象としてはならないというところまで法律で書くという理由はないという、いい整理はないかというのが過去の判例等を用いた記述の整理の仕方でございます。
 最後に、60ページの[4]の手前のところですけれども、「いずれにせよ」の文章の中で、最後「その上で」というところ、「できるだけ全体として整合を図られることが望ましい」という1文を入れさせていただいたところであります。
 [4]のところは、修正はございません。
 (3)の「方針」でございますが、これについて、先ほどの[3]のところを修正した関係で、60ページの下段1行目から次のページの3行目辺りまでを追記しているところでございます。
 61ページから、従前ポリシーミックスと言っておりましたが、前回の資料でも少し変えましたが、「他の施策との関連でみた国内排出量取引制度における配慮」という形で記述をしております。
 (1)の「課題の」のところは、2パラ以降、少し丁寧に記述しておるところでございます。
 62ページをご覧ください。3つの施策について役割を整理した後で、その役割分担についての記述がないではないかということでしたので、これまでこちらで提出させていただいた資料及び議論を踏まえて、62ページの後段部分、「国内排出量取引制度は、」というところを追記させていただいたところでございます。これらについても、過去の資料等で一度はご覧いただいたものをベースに追記したところでございます。
 63ページ、[2]のところですけれども、ここは若干丁寧に書いたところが1パラ目の2行目のところ、その削減ポテンシャルの表現について説明がちょっと足りなかったので、ここで加えさせていただいたのが1つと、あと、有償の場合、有償で排出枠を設定した場合にはこの論は成り立たないではないか、そのときの記述がない、ということで、なお書きということで2パラ目に追記をさせていただいたところであります。あわせて脚注もつけさせていただいております。
 64ページでございますが、[3]から「投資額に係る考え方」というところですけれども、1パラ目のところを少し分かりやすく修正した上で、65ページでございますが、●が上から3つございますが、3つあるうちの最初の1つ目は、最後の部分、「一方」を追加しております。また2つ目の●、「低炭素産業は」以下の文を追加しております。最後の3つ目の●、これは丸ごと追加であります。これはいずれも前回の審議の中でご議論いただいたものを追記したところでございます。
 66ページからでございますが、[4]-2「省エネメリット等を考慮した投資額の評価」というところで、投資回収年数について、実務レベルでの感覚と大分違うのではないかというご指摘がございました。それについて投資回収年数をどういうふうに設定したのか、その考え方を丁寧に記述することで、これでまたご議論いただければと思っております。具体的には66ページの[4]―2の2パラから追加をしたところでございます。
 あと、67ページについても幾つか追加しております。場所だけ申しますと、一番最初のパラの、ただし書きが5行目からありますが、「みた場合には」の後に、「投資が進まない原因を見極めつつそうした障害を取り除くため」という記述を追加したこと、また、その次の「このように」というパラの最後のまた書きのところ、「海外諸国においても」というところ、その次の「さらに」という箇所、またその「さらに」の文の一番最後の2行、そして「以上のような」と、いずれも前回いろいろなご議論をいただきましたので、なるべく丁寧に拾ってここに整理をして追記することとしたところでございます。
 68ページからは大きな修正はございません。69ページの「方針」のところで、上から2パラの中で、真ん中に「将来の気候変動による影響を軽減するための将来投資」という記述、ご意見があったのでそのフレーズを追加したところでございます。
 「その他(登録簿、適切な市場基盤)」につきましては、冒頭の5行を説明書きとして追加をして、その上で、70ページになりますが、意見があったところについてはできる限り意見を掲載するというところで、70ページの上から3パラ目、「小委員会では」というところと、「他方」、これを追加したところでございます。
 それと同様な考え方で、71ページの[1]に関するところで、「小委員会では」というのと「他方」というのが上から2パラ、3パラ目にございますが、それも追加をしております。
 [2]も同様でございまして、[2]の中の2パラ目と3パラ目、「小委員会では」「他方」これも追加をしているところでございます。
 [3]については特に修正はしておりません。
 <4>「制度オプションの評価」についてでございます。こちらにつきましては、73ページは特段の修正は加えておりませんが、74ページから修正を幾つか加えております。
 まず、従前、記号を用いて評価、◎、○、△としておりましたが、今回参考資料として頂いた意見の中にもありますように、それぞれの立場、考え方によってこの評価、特にこういうある種数量的な、定量的な評価というものはなかなか一致するところを見出すというのは難しいのかなと思いまして、文字で丁寧に書いて評価をするということにして、◎とか○という評価はやめようということですべて削除しております。
 あわせて、今回「基本的考え方」を冒頭に掲載させていただいておりますけれども、その「基本的考え方」、6ページにございますが、[1]から[6]まである中のそれぞれのポツについて丁寧に問題点を拾ってほしいということがございましたので、丁寧に、委員会の中で意見が出てなかったものも含めて追記したところでございます。
 具体的には、[1]で言いますと、横断的に横に1列に挙がっています2つ目の意見、海外移転の話、これを追加しているところでございます。
 [2]につきましては、追加している意見は、1列目のカバー率の話ですけれども、オプションBとオプションCの共通事項としての「なお」というところを追加しております。
 またその次の、下段の低炭素型製品の普及の観点の記述については全部、3点とも追加をしているところであります。
 75ページ、「公平性が確保できること」というところについては、オプションCのところの2つ目のポイントを追記しているところでございます。
 76ページになりますと、[5]でございますが、まず、一番最初のオプションAのところですけれども、「経済成長や雇用の安定に影響がある。」との指摘の追加をしておりますし、同様、その横ですけれども、「費用緩和措置」云々の「一定の配慮が可能である」これも追記しているところであります。また、その下、オークションの記載、この辺りについては整理のし直しをしております。
 77ページのところは、ここはほぼ全面追加でございます。[5]のところの上の2つの四角ですが、これは追加をしているところでございます。[6]は特に追記をしておりません。
 78ページから、制度の評価についてでございますが、1)、2)のところのオプションA 、オプションBについてというところは、それぞれ前回のご意見を踏まえてなお書きを追加しております。
 79ページ「まとめ」のところで、ここは前回あった意見のうち、そのオプションAについてご意見がございましたので、意見を追加するとともに、最後の「また」のところは、ちょっと分かりにくいところもあったので、語句を整理しております。
 80ページから「まとめ」というところになります。こちらは新しく今回記述をさせていただいたところであります。
 (1)「検討結果の概要」というところでありますが、これはここまで各論で整理をしてきた「方針」というところのエッセンスを抜いております。「主なポイント」ということで、すべてを網羅しておりませんが、抜き出したところであります。
 この中で特にオプションとして評価を行ったところが[4]でございます。ここのところは、オプション評価の中で完全に絞り切っているというわけではなくて、ベースにという書き方になっており、それを踏まえた書き方にしておりますので、参考としてグランドファザリング方式やベンチマーク方式などを全部書いております。これはあくまで、何に絞ってこれがないというのを限定できたわけではないということで、参考までに書かせていただいております。
 そして、82ページから「検討結果の評価」というところでございます。こちらにつきましては、オプション評価と重複するところはあるのですが、オプション評価で検討した電力の扱いと排出枠の設定、それも含めて、全体の(1)の絵柄について、一番冒頭に挙げました「基本的考え方」の[1]から[6]に照らして評価してみたというところであります。これについても、丁寧に拾ったつもりですが、まだ欠けているところもあるかもしれません。いろいろご議論、ご指摘を頂ければと思うところであります。
 これらを踏まえて85ページでございますが、[1]から[6]についてはまず一通りオプションBをベースに評価をした上で、これにオプションAとかオプションCの要素を加えるとどうなるのかというのがまず最初の段落で書いてあります。
 最後は、そこから、「これらの検討・評価結果については」というところで幾つか論じているところがございますが、これについてはまず、結局オプションのところも最後きっちりこれと、断定ではなくて、「ベースに」というところまでで事務局としてご議論いただこうと思っておりますが、それであっても、きっちりと全部整理できているわけではないと。そこのところの要因として考えられるものはというのが、85ページの真ん中の段落で書かれている文章でございまして、基本的には時間軸の差というものと、重視する評価項目の差、そういったものがどうしても最後残った相違点として考えられるのではないか。分かりやすく言えば「基本的考え方」の[1]という項目と[5]というところの項目の力点の置き方、そういったものも出てくるのではないかということを加えているところでございます。
 これを踏まえて、85ページの下段でありますけれども、一番最後、「当小委員会では」とございますが、これまで整理してきたことを総括した上で、今後、これを踏まえて「制度が中長期目標の達成に向けた対策・施策の中でどのような位置づけとなるべきかについて、さらなる議論が必要である旨の指摘があったことを付記する」というところを書かせていただきました。これにつきましては部会での議論も是非にというご要望があったことを踏まえて書かせていただいたところであります。
 それらを踏まえて「おわりに」で全体を統括するということでございます。
 長くなりましたが、以上でございます。

○植田委員長 ありがとうございました。
 今のご説明に加えて、本日欠席の末吉委員と新美委員から、まとめに対するコメントを頂いていますので、配布してよいかどうかちょっとご本人に確認できていませんので、意見の内容だけここでご紹介させていただきます。

○上田市場メカニズム室長 それでは、お二方からメールでご意見を頂いておりますので、それを簡単に紹介させていただきます。
 まず、末吉委員でございますが、取りまとめに当たってということで、第1回の会議の際に、検討に際して持つべき視点ということで末吉委員から全体感とか制度設計についてご議論いただいたところでありますが、それに加えて「以下を申し添えます」というご意見がございました。
 それにつきましては、OECDの「環境保全成果レビュー」の中の記述を引用されております。すなわち、「[1]日本の環境政策のアプローチでは、ボランタリーアクションに見られるように産業界との交渉による合意が強調されている。[2]こうしたアプローチは産業界を説得するには役立つが、日本の政策決定者が狙う程度にまで環境保全上の成果を改善させるのに十分なインセンティブとなるかどうかには疑問が残る。[3]この手法では、産業界はより多くの情報をいかようにでも活用できるため、交渉を有利に進めることができることとなる。[4]特にこの手法は製品等製造プロセスにおいて根本的な変革ではなく、暫時の改善を促進する手法である。[5]経済的な意思決定者と産業界の要求とのバランスをとり、持続可能な社会への移行に必要な対策についてコンセンサスを築いていくために、環境政策の意思決定において、より広範な公衆の参加も必要である。[6]製品やサービスの価格に環境コストを含めるのではなく、様々な補助を通じて環境排出権の購入を消費者が産業界に促すという根強い傾向が見られる。こうした手法は環境上の効果と経済的なコストの観点から再考されるべきである。」ということで、エグゼクティブ・サマリーより抜粋しましたということが書いてありまして、これについて末吉委員から、「いずれもなかなか鋭い指摘であり、こういった海外の目に我々はどう応えていくのか考えていくべきでしょう。」と記されております。「今から我々の行う判断というのは、この二十数年世界が長期的・構造的に大きく変化する中にあって、我が国が適切な対応ができずにいるということに振り返ってみればなるのではないか。一体どれほどの人が日本は十分な対応ができているのかということを言い切れるのでしょうか。程度の差こそあれ、これ以上のイナクション、不作為は許されないと考えるのが大半でしょう。」といったことを言及されております。
 以上が末吉委員のご意見でございます。
 もう1つ、新美委員からご指摘を頂いております。個別の案件になりますが、「テナントビルの扱いについて」というものがまず1つでございます。
 これについては、「報告書案では精度管理の観点というのを現行の制度の中で認めてはいるというところですけれども、それでもそちらの方向でまとめられようとしているのではないでしょうか。それについては、精度管理の難点というものが、その取引をゆがめることになりかねないので、そうしたものがないような形でいかなければならない。」
 「あわせて、政策の観点から見ても、ビル自体を低炭素型のものに切り替えていくというインセンティブを働かせる必要があるのではないか。」という点。それらを指摘された上で、「二酸化炭素の汚染者に責務を持っていただくということであれば、その汚染を最もよく抑制できる者という者にやっていただく必要がある。そうした観点からすると、直接でなくても、間接的であっても、二酸化炭素の排出を最も有効にコントロールできる者がいる場合には、間接的にコントロールできる者を汚染者として捉えてもよいのではないか。」というご指摘を頂いております。
 もう1つは、「電力需要家が用いる原単位の水準について」というところでございます。今回のたたき台につきましては、31ページのところですけれども、「系統電力の需要に関わる対策の削減効果評価方法について、さらなる議論の必要性が提起された。」という表現にとどまっておりますが、「それぞれ供給側と需要側の取組を総合して評価できるよう踏み込んだ表現がなされるべきではないか。」というご指摘を頂いているところであります。
 あとすみません、1カ所訂正ですが、末吉委員のところで、抜粋をしたのは2010年のエグゼクティブ・サマリーとのことです。
 以上、お二方のコメント紹介です。

○植田委員長 ありがとうございました。
 それでは、先ほどご説明したような要領で、まず報告書案の「はじめに」から「<3>.制度設計上の個別論点についての検討」の「6.事業者の負担の緩和措置」までということでご議論いただきたいと思います。いつものようにお手元のネームプレートを立てていただきまして。では、冨田委員。

○冨田委員 ありがとうございます。
 個々の論点を細かく記述内容について指摘すると非常に数が多いというところが実はありまして、まず最初に私の方から、このまとめ案全体を通じてどう見たかということについてお話をしていきたいと思います。3点ございます。
 まず1点目は、記載の内容について、この小委員会の場での発言及び提出しております意見書を踏まえて、いろいろ修正をいただいているということは理解をし、それについては感謝申し上げるところでございます。しかし、記載について異なる意見が公平に扱われてないのではないかという懸念を持っております。
 すなわち、我々の意見に関しては、こういう指摘があったという言い方をされ、ただ一方こういう考え方もあり、あるいはこういう配慮もすることによって、結論としてはこれが適切である、そういう書き方が至るところに出てくるというところに関して、それでは異なる意見を公平に扱っていないという指摘をまずさせていただきます。
 それから、2点目は、この報告書の中に非常に数多く出てくる言葉ですけれども、その定義がはっきりしてないというところです。その言葉は「削減ポテンシャル」という言葉です。言葉そのものの意味は分からないわけではもちろんないのですが、それが意味するところがどの程度のものかということについては、受け取る人様々であると思います。
 技術的に削減できるポテンシャルがあったとしても、それが企業活動、産業界の活動の中でできることなのかできないことなのか、それは差がいろいろあると思うのです。例えば同じ省エネ設備の設備投資をしても、その設備がほとんど使われないようなものについて投資をするということについては、通常の企業活動からはあり得ないわけです。ただ、その設備を導入することによってCO2が削減できないかというと、そんなことはない。したがって削減ポテンシャルにもレベルがいろいろあるということだろうと思います。
 もう少し申し上げれば、国の目標と削減ポテンシャルは相関関係があるのかどうか。もし相関関係がないのであるならば、削減ポテンシャルを基本に設定するという考え方の後に、中長期ロードマップ云々という、そういう国の全体の話というのは書く必要がないのではないかと思います。
 もし相関関係があるということであるならば、個別の制度対象者の取り得る対策を超えて、国の目標が高いからそれ以上のことをやってくれというふうになりかねない。すなわちトップダウン的考え方になる、どちらなんだろうかと。この報告書案で勘定すると三十数カ所削減ポテンシャルという言葉が書かれているのですけれども、この答えによって、どういうふうに意見を言うかというのは異なってくるということです。まず削減ポテンシャルというのはどういうことなのかを整理をしていただきたい。
 それから、3点目は、「中長期ロードマップの結論」、こういう言い方をして、例えば削減総量の目安にするという考え方が書かれておりますけれども、中長期ロードマップの結論というのはこの小委員会の委員がどれほど知っているのでしょうか。ダブって出ている委員の方は数名いますけれども、それ以外の委員の方にとってみると、中長期ロードマップはこの排出量取引の小委員会で紹介されたことはないと思いますので、それがどういうことを意味しているか、どれほど確定された結論になっているかというところについては確証が恐らくないのではないかと思うのです。
 この排出量取引の小委員会のまとめの中でそれがかなり重要なパートを占めるというふうに私は思いますので、中長期ロードマップの結論をこの小委員会の場でも説明しないと、このまとめの中に記載していいかどうかという判断がつかないのではないかと考えます。
 何度かこの小委員会でも申し上げておりますけれども、私は。今検討されている中長期ロードマップの結論というのが、排出総量の目安になるほどの分析はできてないというふうに思いますので、本小委員会の委員の方にも、是非中長期ロードマップの結論というのはどういうものかというのを見ていいただきたいなと、そういうふうに思います。
 個別の記述に入る前に以上3点申し上げました。

○植田委員長 ありがとうございました。
 それでは、岡山説明員。

○岡山説明員 ありがとうございます。
 私も個別の論点の意見を言わせていただく前に、全体の印象と言ったらいけませんけれども、ずっと議論をしてきて、こうやってまとめられた形を持ったものを改めて拝見させていただいた上での意見を申し上げたいと思います。
 1つは、この事業者の目標排出枠の設定というのが事業者の削減ポテンシャルをベースとする、国の目標とは関係ありませんよ、国の目標をもって事業者の目標排出枠を設定するのではないというふうに理解しました。
 その上で、事業者には追加投資はない、しかもその投資自体も長期的には十分ペイするという話になっております。そうしたときに、改めて現在省エネ法とか企業の自主行動計画というものとこの排出量取引というものがどういう差が出てくるのであろうか。排出量取引というのは本当に何を狙っていくのであろうかというのは、全体を通して改めて見てみると、ちょっとそこがあいまいになっているのではなかろうか。あえて言うとすると、この排出目標の達成の柔軟措置を与えるということに排出量取引の目的を見出そうとすると、それも現在海外のクレジットというものを買い込んだりしているのが自主行動計画でございます。そういう中でこの排出量取引というのは一体どういう付加価値をもたらすのであろうかというのが、何か読んでいくほど分からなくなってきてしまう、そういう印象を持っております。
 個別に関しましてはいろいろ意見させていただきたいところがございますので、また改めて意見させていただきたいと思います。ありがとうございます。

○植田委員長 ありがとうございました。
 では、北原説明員。

○北原説明員 本日は影山の代理ということで質問させていただきたいと思います。
 前回の小委員会でも、削減ポテンシャルが話題になりまして、私どももいろいろと中身について考えてみたのですが、やはりここは、先ほどの冨田委員のお話ではありませんけれども、定義を明確にしていただきたいと思います。
 例えば、資料1の8ページの(2)[1]に、「大規模排出源の個々の削減ポテンシャル」という記載がございます。それから、35ページ(3)には「事業者の削減ポテンシャル」、さらに「我が国全体の削減ポテンシャル」との文言があり、43ページ(2)の[1]では「制度対象者の削減ポテンシャル」となっており、削減ポテンシャルのオンパレードという感じになっています。これが実際に何を指すのか明確にしていただいて、さらにこれを本当に把握することができるのか、この削減ポテンシャルすべてについて把握することができるのか。もし把握するのであればどのような方法で、どのような形で把握するのか、を明らかにしないと、削減ポテンシャルを使って議論をすることの意味がなくなってしまうのではないか。概念上のイメージだけの話になってしまうので、もう少し具体的に削減ポテンシャルを、何を、どのように確認し、どのように使うのか明確にしていただければと思います。
 続きまして、これも冨田委員からありました、ロードマップ小委の結果ですが、私が指摘したいのは、地球温暖化対策基本法でございます。まだ成立していないにもかかわらず、例えば35ページの(3)「方針」の2パラ目で「目安として排出総量の推計に当たっては、我が国全体の削減ポテンシャルを精査しつつ環境省で検討中の中長期ロードマップの結論や、それを受けて地球温暖化対策基本法に基づき策定される基本計画を踏まえて算出することとする。」との記載がございますが、まだ基本法も成立してない段階で、それに基づき策定される基本計画をこのような形で明記していいものなのか、少々配慮が必要な気がします。
 最後でございます。個別の論点でございますが、31ページ(3)「方針」の2パラ目、電力供給者の原単位の設定についてです。ここに「今後の電力供給計画も勘案して行う。」と記載されていますが、電力供給計画はまさに国の電気事業法で定められた、我々電気事業者が国に対してしっかりと届出を行っているものでございます。ところが、それを勘案し、さらに第三者も交えた協議プロセスを経てこの原単位を決めていくのは、国の制度に屋上屋を重ねるようなイメージがございます。電力供給計画は安定供給やエネルギーセキュリティ等々を考えて提出しているものでございますから、まさにこれが我々の原単位の基礎となる考え方だと思いますので、この「勘案して行う。」という表現は、いかにも軽い。電力供給計画が基本となる、あるいはベースとなるといった形でご理解をいただければと思います。
 以上でございます。

○植田委員長 ありがとうございました。
 それでは、大野委員。

○大野委員 今日で17回ということで、この間非常にいろいろな角度からの意見がある中で、1つの形に整理された事務局の努力に敬意を表したいと思います。その上で、4点ばかり意見を言わせていただきたいと思います。
 1つは、12ページからの「制度対象者の考え方」で、事業所単位か事業者単位かという議論でございまして、ここも随分いろいろな議論があった中で、だいぶ整理が進んできたと思います。ここで一応、事業者単位という考え方が出されているのですが、ただここの事業者というのは省エネ法でいう意味での事業者ではなくて、一つの事業所について一定の排出量を持つところで裾切りをした上で、その事業所の合算としての事業者ということですので、当初から比べれば、例えば非常に小さな事業所まで対象にするとか、あるいは連鎖化事業者、いわゆるコンビナートを対象とするような、全体を含めた事業者ではない。一定以上の規模を持った事業所の合計としての事業者であるという意味では、非常に整理がされてきたと思います。
 ただ、その上で、そこまで実際的には事業所の合計であるとしておきながら、義務の履行単位だけを事業者にするというのは果たして良いやり方なのかということであります。
 ここでは、14ページのところで、事業者単位を取る理由として、結局、事業所を合算して、その合算をした事業者に遵守を求めた方がコストは安い、こういう話をしているわけです。そうでないと個々の事業者が事業所ごとの義務履行に当たって管理をしなければならないとか、排出量取引をしなきゃならない、それでコストがかかるので、できるだけそのコストを軽減するために、合算したものに義務を課すのだ、こういう考え方をしているわけです。しかし、実際には、MRVについては事業所単位にしているわけですね。そこはもう既に事業所単位で行うわけですから、そこで追加的なコストは発生しない。では、義務履行に当たって追加的にコストが発生するのかということですが、実際には、義務を事業者単位にしたとしても、個々の事業者は、持っている事業所ごとの達成状況について管理はするはずです。自分の会社全体として義務を達成するかどうかを考えたときに、対象になっている事業所の義務履行状況を見ないわけがないので、そこで追加的コストが発生すると思えないのです。
 もしあるとすれば、事業所間の移転のコストとか、そこに追加的に大きなコストが発生するかどうかでしょうけれども、それは制度の設計で解決がつく問題だと思うのです。
 むしろ私は、MRVとか排出枠の配分、新設や廃止の場合の扱いというのを事業所単位としておきながら、義務の履行を事業者にすることによって、逆に制度が二重構造になってしまう、それによって不透明で複雑になるという弊害の方が大きい気がいたします。
 あともう1つは、先ほどの新美委員の話もございましたけれども、事業者単位にすると、ビルについては1つの事業所の中に複数の事業者がいるという問題を解決できないという意味でも、やはり、少なくとも今回の報告書をまとめる中で、事業者単位にするという方針を、ここまで断定するのは難しいと思います。これが1点目です。
 それから2点目で、今の話と関連するのですが、今回報告書全体を通読して改めて感じたのですけれども、公表の話が書いてないのです。例えば35ページからの「算定・検証・報告・償却の一連の手続き」の部分で、ここに公表の扱いについて記述がない。東京都の制度は報告があれば必ず公表するとなっているので、もう思い込んでいたのですけれども、改めてこれを読んでみますと書いていないため、小委員会のレポートとしては、この公表の扱いがどうなるかについて、何らかの記述が必要だと思います。
 その場合に、義務の履行単位がどうなるかにかかわらず、やはりデータについては事業所ごとに公表しないと問題が大きいと思います。全体に透明性のある制度にすると言っているからには、やはりデータは、MRVも排出枠の配分も事業所単位で行うわけですから、その事業所単位で公表することを明確に書くべきと思います。都制度の経験からいっても、事業所単位のデータを公表することによって削減のインセンティブになるということが明らかですので、そのようにお願いします。
 それから、3点目、23ページです。ちょっと個別的な問題になってしまいますが、グランドファザリングの場合の、過去の排出実績を基準に排出枠を設定する際の基準排出量作るに、何年度からのデータを使うかということで、ここでは国の算定報告公表制度の始まった2006年度以降としています。国全体という意味では分かるのですが、一方で、東京都は2002年度から同じような計画書制度を持って排出量を把握していますし、他にも先行してやっている地方は多くあります。
 これが2006年度からにされてしまいますと、それ以前に事業所が取り組んだ削減実績が無になってしまいかねない。国と地方の関係のところでは、先行する条例に基づいて取り組んだ事業者の実績を評価するように書かれている趣旨からいっても、全体的な整理とは別に、少し異なる扱いを考えるべきだと思っております。それが3点目です。
 それから、4点目、30ページの上から6行目で、「電力需要家は電力原単位をコントロールできないため、電力需要家の努力を反映させるため、電力原単位を対象期間の間固定することが考えられる。」となっておりまして、これは電力間接方式とする場合は固定せざるを得ないと思っております。それで、ちょっとこの書き方が、「固定することが考えられる。」では少し弱いように思います。これは現行の温対法の報告では変動させていて、そういう考えもあり得ることを踏まえて書かれているかもしれませんが、しかし総量削減義務と排出量取引制度に移行しようとすると、「考えられる。」という表現では少し弱いだろうと思います。
 とりあえずここまでの部分で以上4点です。

○植田委員長 ありがとうございました。
 それでは、大塚委員。

○大塚委員 私も基本的にはこの報告書でいいと思いますけれども、細かい点、1点だけ申し上げて、あと、先ほどから議論がございますので、幾つかそれについて申し上げておきたいと思います。
 36ページの下から6行目ですけれども、検証に関してでございますが、下から7行目の「また、」からということになりますけれども、「遵守期間を複数年度とした場合においても、検証を単年度とすることも考えられるので、」ということですけれども、検証は毎年度やらないと正確な値が出てきませんので、遵守期間を複数年度にすることは私もあり得ると思いますけれども、検証を単年度とすることは、考えられるとかいう話ではなくて、これはやらないと絶対にまずいと思います。これは多分、私が今まで拝聴したご意見の中では、これに対して反対は特になかったと思うので、あまり問題ないと思うのですけれども、これは「考えられる」ではちょっと弱いので、ご検討いただければありがたいということです。
 それから、先ほど来ご意見がいろいろ出ていますけれども、削減ポテンシャルに関して特によく分からないということがご意見として出ていますが、それ自体の定義はもう少ししていった方がいいと私も思っていますけれども、まず、その国の目標との関係はどうかというご意見があったかと思います。これはこの中にも書いてあるわけですけれども、国の目標の方が中長期ロードマップを考えながら出てきていて、それと削減ポテンシャルから出てくるものを、2つを見合わせて考えるという作業をすることになると思いますので、国の目標と削減ポテンシャルに相関関係があるかというと、別に相関関係はないと思うのですけれども、ただ国としては最終的な目標、真水が何%になるかちょっと分かりませんけれども、それを達成することを考えることになるでしょうから、それとの関係で、その2つを見合わせて考えるという作業が恐らく出てくるのだろうと思います。
 その結果として、産業界の削減の量をどうすべきかというようなこともそこの中で検討することもあり得るかとも思いますので、国の目標との関係はどこかで考えないと、もちろん総量は達成できませんので、それは必須ではある。もちろん相関関係は必ずしもあると思いませんけれども、見合わせて考えるということは必須だろうと思います。
 それから、中長期ロードマップの扱いに関しては、ここでご説明いただければ、私もそれはそれで大変結構だと思いますけれども、他方で、重なっているメンバーの方は、産業界の方はほぼ重なっているかと思いますので、そちらの方でもご意見をおっしゃっていただければと思うのですけれども、私ちょっと、前回の中長期ロードマップ小委員会は途中で授業があって失礼したので、途中までしか出ませんでしたけれども、まとまりつつあるような状況かと思いますので、そちらの方でご意見は恐らく言っていただいているのではないかとも思いますので、その扱いは事務局の方でちょっとご検討いただければと思います。
 それから国内排出量取引制度に関して、省エネ法とか自主行動計画との関係で差が出てくるか、削減ポテンシャルを考えるのだったら差が出てくるのかというご趣旨のご意見がございましたけれども、国内排出量取引制度の削減ポテンシャルを考えた上でやる最大の意味は、ルールを設定するということで、総量削減に向けたルールを設定するということが恐らく最大の意味だと思います。
 海外クレジットも買っているから柔軟性はそちらで満たしているのではないかというご趣旨のご意見もありましたが、だからこそ国内での柔軟性を考えると。海外のクレジットだけを買っているのではいろいろな問題がございますので、国内での削減という観点からの柔軟措置を考えるということに意味があるのだろうと思います。
 それから、削減ポテンシャルに関して、どうやって設定するのかというご議論がありましたけれども、これもあちこちに出てきているように、何かルールを設定した上で協議ということが必要になってくるかと思いますので、そういうふうに考えていただけば良いのではないかと、ちょっと私の個人的な意見で恐縮ですが、そう思います。
 それから、今大野委員からご意見があった公表の件は、入れていただいた方がいいと思いますけれども、これは現在ある温対法の算定・報告・公表制度の公表との関係という問題があるので、恐らくそちらとの関係を考えなくちゃいけないのであまり触れてないのかなと思いますけれども、触れていただいても別に構わないのかなと。触れていただいた方が恐らくいいのだろうと思います。
 ありがとうございました。

○植田委員長 ありがとうございました。
 それでは、有村委員。

○有村委員 私もまず最初に、これまでの16回にわたる議論をこのような報告書にまとめていただきまして、事務局に感謝申し上げたいと思います。
 その上で、先ほどから論点になっている削減ポテンシャルといったことについてですけれども、私も言葉のニュアンスとしては、トップダウン的に非常に厳しい排出削減目標、実行不可能なような目標を課すというのではなくて、産業界が何らか対応できる範囲の削減目標だという認識は持っておりまして、そういったスタンスがこの言葉に出ているのではないかなと理解しております。ただ一方で、ではそれが何なのかというと、この定義に関してはまだやはり多少議論が必要なのかなというところはあるかと思います。
 それから、2点目は、先ほど来、中長期ロードマップの話が出ておりますが、この中で言及されるということですので、私も一度だけ参加させていただきましたけれども、是非そちらでの議論というのが全体としてどういう方向にまとまりつつあるのかというのはご紹介いただければと思います。ここで触れている以上、同じ環境省内で温暖化対策の議論を進めているわけですから、そういったことはやっていただければありがたいと思います。
 それから、3番目に省エネ法の話が出てまいりました。確かに国でいろいろな形で、エネルギーの節約ですとか、あるいはCO2削減に対するいろいろな施策を実施されていて、産業界の方はそれに対してそれぞれ対応されていて、非常にご苦労されていると理解しております。
 実はそういった中で、私自身省エネ法の評価に関わったことがございまして、ある業界に関してある時点の評価をしたのですけれども、例えば熱に関しては削減目標が達成できている。ところが電気に関しては目標達成できてないことが分かったことがあります。それは、特に罰則、総量削減とかそういったものは元々想定してない制度だったと思いますのでそういったことがあったのではないかと。そういった意味では国内排出量取引制度という制度で総量をきちんと抑制するといったことが国内排出量取引制度の重要な役割であると考えることができると思います。
 それともう1つ興味深かったのは、目標に関して非常に頑張られている事業所と、かなり目標を達成できてない事業所というのがあるというような実態がありまして、そういった場合に、国内排出量取引制度の場合には、頑張られた事業所の場合はその分排出枠を売却してリターンを得られるし、頑張ることが難しい事業所の方は、その分、外で取引をすることによって目標達成に係る費用を緩和することができるといったような制度になりますので、まさにそういった省エネ法で言われているような目標を補完するような仕組みになっているのではないか考えることができると思います。
 以上です。

○植田委員長 それでは、明日香委員。

○明日香委員 4点申し上げたいと思います。
 最初に、国の目標なり削減ポテンシャル、またトップダウンかどうかというような話なんですが、私は、まずそもそも温暖化問題ということ自体が天から降ってきたようなものだと思いますので、その意味では国なり企業なり、世界全体がトップダウンである程度対応しなきゃいけないというのは確かだと思います。そういう意味では、相関関係というのはよく分からないのですが、関係はあるかなと思います。
 ですが、実際はまだ国の目標というのはいろいろなパターンがあってまだ決まってない状況ですから、ポテンシャル自体もある意味では決められないですし、ここの場でそれを決めるわけではなくて、ここの場では、あらゆる場合に対して制度の大枠を決める場なのかなとは思っております。
 2番目に、私の仄聞するところでは、ポテンシャルのいろいろな計算の仕方があって、中長期ロードマップの方のポテンシャルの計算では、ある程度、例えば2011年の活動量をそれぞれ産業界の了解を得た数字をもってポテンシャルを計算しているというふうに聞いていますので、比較的産業界の方もある程度納得したポテンシャルの議論をしているのではないのかなと思います。ですが、ポテンシャル自体の計算法というのはたくさんありますので、そこはどう応用するかということだと思いますし、最終的にはもっとハイレベルなところで決まるかと思います。
 3番目ですけれども、対象期間を3年なり5年というふうに最初の方で議論していたと思います。それで、これはお願いなんですけれども、この前申し上げたように、EU-ETSだと第1期間と第2期間というのがありまして、第1期間においてはこういう制度設計をしたけれども、第2期間というのはまたそれを踏まえて新たな制度設計をするということをある程度明示的に規定していたと思うのです。というのは、単純に言えばグランドファザリングは永遠に続くというふうに認識すれば、必ず今の排出量を増やす逆インセンティブが働きますので、社会のシグナル、正確なシグナルという意味でも、第1約束期間はこうだけれども、第2約束期間に関してはまた新たな制度設計をするというのをある程度明示的に見えるような形でシグナルを社会に出した方がいいかと思います。
 4番目、最後ですけれども、ちょっと細かいことになるのですけれども、どちらかというと国際競争力なりオークションの議論では、有償だから価格転嫁できなくて国際競争力が損なわれるというような前提で書かれていると思うのですけれども、実際EU-ETSで起きたことは、または理論的にも、無償でも価格転嫁をして炭素リーケージが起きるのです。有償でも無償でも、機会費用の場合は価格転嫁するのが理論的にも実証的に明らかになっていますので、どっちの場合も競争力も下がるし需要も下がる。ですが、前者の場合、無償で割り当てて転嫁した場合はいわゆる棚ぼた利益が発生する。シェアを取るか利益を取るか、いろいろあるのですけれども、実際、いずれにしても価格転嫁が起きるということはありますので、有償だからどうだというのは実は関係ないということは認識した方がいいかと思います。
 以上です。

○植田委員長 ありがとうございました。
 武川委員に行く前に、増井委員と則武委員、今は全体の説明をした上で、「はじめに」から「<3>.個別論点についての検討」の「6.事業者の負担の緩和措置」のところまでご意見を伺っているということですので、よろしくお願いします。
 では、武川委員。

○武川委員 ありがとうございます。
 2~3点ほどですが、まず14ページに関してです。事業者単位、業界単位とするというところですが、最後の書きぶりとして、いわゆる複数事業者でのバブルのようなものを認めるかという点について、「我が国の法制度に照らして慎重な検討が必要である。」と書かれておるのですが、これは慎重な検討が必要だというのは文字どおりそういうことなのか、基本的にこれは難しいというようなご趣旨なのか、内容、意味についてお伺いできればと思っております。
 個人的には、課題がそれなりにあるかなと思っていまして、例えば競争政策上こういうことを認めるのが望ましいのかといった問題であったり、あるいは独禁法との関係、これはどちらかというとコンプライアンスの問題も含めてだと思いますが、そういった問題も検討する必要があると思いますし、あるいは技術的にも、複数事業者がいる場合に、複数事業者が相互に負っている義務というのはどういう関係にあるのかとか、実際、制度を回すときに複数事業者の場合に償却をどういうふうにするのだとか、かなり細かいところまで考えるといろいろ論点はあるかなと思いますが、そういったところも今後検討するかどうかといったところも含めてお伺いできればと思います。これが1つ目です。
 それから、2つ目ですが、排出総量のところ、33ページ、34ページの辺りの、先ほど来議論に出ているところとかなり重なるところですが、これは一言でいうと、要するにトップダウンなのかボトムアップなのかというところは、ボトムアップだとずっとおっしゃってはいるのでそうだろうと思いますが、もう少しすっきり記述できればそれでもいいのかなという気もしております。
 例えばですが、33から34ページにかけてですが、ルールを設定して排出枠を決めて、個々の事業者の排出枠の設定とは別に、「削減ポテンシャルを踏まえた排出総量を設定し」というふうになっていますが、その一方で、それによって何が効果として書かれているかというと、他の部分での「追加的な対策が必要かどうかの判断を行う目安として用いる」というふうに書かれています。
 ですから、いったん個別の枠を設定して全部足したら、どうも増えている、つまり予定よりも企業の分が多いということになった場合に、例えばもう一回設定をやり直すのかとか、そこまでは考えてはいなくて、むしろそこでオーバーしたら、それはそれとして、その期の分配はもうそれでいくのだと。あとはほかの対策でどのぐらいできるのかというところを考える際に、いわゆる大きな排出者の部分では結果的にこうなっている、じゃ他の部分でどう頑張りますという話をするのか、あるいはもうちょっと中期的に、削減ポテンシャルを考える際に、投資としてもう少しお金がかかるようなものもお願いするようなことを次のトラックで考えていくというぐらいに使うのか。先ほど来ポテンシャルって何だというお話が出ているのですが、多分同じことを申し上げているのかなと思うのですが、その辺りの考え方を是非お伺いできればなと思っております。
 それから、同じところの意見ですが、削減ポテンシャルの内容って何という話で、これは果たして国の目標と関係あるのかないのかという議論が出ているのですが、個人的にはイエス・オア・ノーかなと思っていまして、個別の排出枠のその年の分配をするときに関係あるかと言われたら多分ないのだろう。それがここで意図されていることであろうと私は理解しております。ただ一方で、中長期的に、どの程度の投資をしていただくかということを考える際には関連はしてくる、論理必然的につながるものではないのですが、どのぐらい深い投資をしていただくかということを考えるときには、要はピンからキリまで削減対策というのはあるので、そのどこを捉えて、ここまでやってください、ここまでポテンシャルがありますねというのを考える際には、長期的にはリンクしてくるのではないかなという感じもしていまして、是非ここは議論した方がいいのかなと考えています。
 それから、最後、ちょっと細かいところになるのですが、45ページの「外部クレジットの活用」のところで、[2]のところです。「リードタイム」云々というところを書いていただいて、これは私から申し上げたのですが、これはちょっと文章に無理があると先ほどおっしゃっていましたが、こういう趣旨で申し上げたというよりも、外部クレジットを作る制度を構築する際に、こういうリードタイムがあることも考えて、ちゃんと事業者が使いやすいような制度を作った方がいいですよねというぐらいのつもりでしたので、その程度のものとして消化していただければなと思っております。
 以上です。

○植田委員長 ありがとうございました。
 増井委員、則武委員どうでしょうか。何かあったらと思いますけれども。ほかの委員から追加的なご発言があればそれも受けますけれども。ありますか。では、その間また考えておいていただいて。では、冨田委員。

○冨田委員 追加的なコメントをする前に、私の3つの質問にまずお答えいただかないと、どういうふうに発言したらいいか変わってきますので、そこをまず教えていただければと思います。

○植田委員長 では、一当たりご意見を頂いたということで、事務局、室長から少しお願いします。

○上田市場メカニズム室長 それでは、今まで頂いたご質問、ご意見について簡単にお答えをしたいと思います。
 まず、様々な意見がある中で、異なる意見が公平に扱われていないのではないかというところについては、個別それぞれの箇所においてご指摘をいただいて、公平になるように少し考えたいと思います。
 我々としては、全体の目的、この小委員会の役割というものが、制度を導入するとしたらどういうものが適切なのだろうかという視点に立って議論をしているので、そのところは、導入の是非にそもそも問題があるという視点と少し異なるところがあるかもしれませんが、ただ、そういう前提の中でできる限り公平に扱っていますので、個別のところでご指摘を踏まえながら直していきたいと思います。
 また、削減ポテンシャルについては、複数の方、多くの方からご議論いただきました。分かりやすい例でいくと、言われてみれば、後ろの方に出てきているなと思うのですが、35ページのところに「方針」とあるのですが、ここで初めて丁寧に書いているもので、もうちょっと前の方で少し書けばよかったのかなと思いますが、「個々の事業者のこれまでの削減努力の程度や今後導入可能な技術の内容や程度等事業者の削減ポテンシャルに着目し」と、文字で言うとこういう考え方であります。
 ただ、これは具体的にどういうことなのかということで、分かりやすい例は、21ページのベンチマークの記述を見ていただければと思うのですが、ベンチマークの設定方法というのはまさに削減ポテンシャル等も勘案しながら決めていくことになろうかと思いますが、その設定方法として、既存の設備による比較、例えば最も効率のよい上位何%かの設備の排出実績であるとか、利用可能な最良の技術など、そういったものを踏まえて設定するということですから、削減ポテンシャルというものもこうした考え方に即したものというふうに我々としては念頭に置いております。したがって、今はどこでも導入されてない技術ですけれども技術としては確立されて、お金を幾らでも出せば導入できるといったものまで求めるという姿ではなくて、ある程度その導入が先進的な企業にされていて、それを導入することが可能であろう、そういったものがそれまでの導入実績とかフィージビリティーを考えてどこまで入れられるのか、そういったものを削減ポテンシャルと呼びならしているところでございます。
 それについてはちょっと前の方で定義を明確に書くことが必要かなと今のお話を伺って考えたところであります。その定義の書きぶりについてもまたご意見あろうかと思いますので、頂ければと思います。
 中長期ロードマップの結論については、共有できてないではないかというご指摘はございました。実際に、これはちょっと先の日程になってしまうのですけれども、本日が一応予定されていたものは最終日ではあるのですが、予備日ということで皆さんにもう一度日程を押さえさせていただいているところでございます。今日は個別に多くの意見を頂いて、恐らく全部、じゃ事務局にご一任をということにはならないのではないかなと思っておりまして、そうであればもう一度予備日を使わせていただいて、最終確認とご意見を賜る。そのときにロードマップの現状について事務から説明させていただこうと思います。
 もしそうではなくて、この中身でよしという結論になるのであれば、個別に委員の方に説明に伺いたいと思っております。今日、担当は来ておりますが、特に資料を用意しておりませんので、口頭で説明できる中身をもってご理解いただくというのはちょっと難しいかと思いますので、そういう整理かなと思う次第であります。
 削減ポテンシャルについて何人かの方からご異論を頂きましたが、そういうことであります。
 あと、ロードマップの議論と絡めて、基本法に基づく基本計画が言及されているところは、まだ法律を制定してない中でというご指摘がございました。もちろん成立はしておらないのですけれども、そもそもこの検討も、始まったのは13条が規定をされて、それに基づいて規定の中に「成案を得る」と書いてあることを念頭に具体的な制度設計をお願いしたというところでございます。そういう意味で言えばある種、予見的にやっておるところでございますが、仮にその法律の規定が変われば、基本計画についてですけれども、記述が変わろうかと思いますが、現時点で想定されるものとして、ロードマップというのはそれを準備段階としてやっているところもあるのかなと思うのですが、正式には基本計画のような形で政府として考え方を整理することになるのではないかという仮定の下に書いております。
 あと、電力供給計画についてのご指摘もございました。これについては実態等を丁寧に整理してまた相談をさせていただきたいと思いますが、実際に電力供給計画というのはある種、一定の仮定、電力需要側が順調に伸びていった、という仮定等をしている。一部幾つかの仮定を前提とした計画であるというところで、その中で適切な表現、どういったものができるか考えてみたいと思います。ご相談させていただきたいと思います。
 また、事業所なのか事業者なのかということで、事業者で一括してその責任を負わせることについての是非についてご意見があったかと思います。これについては、結局今の時点でどこまで断定的にというご意見だったのかなと思います。もう少し課題は整理してみたいと思いますけれども、実際に仮に一括して行った場合に、具体的にどういう弊害が出てくるのかということを考えて、それほど大きな弊害がないというのであれば、制度の対象となる事業者の方がどちらを望んでいるのか、より制度を受ける側で負担感の少ない方法があるのであれば、我々としてはそれで構わないのではないか。
 ただ、そういうことをとることによって幾つかの弊害が出てくるということであれば、そういったことも勘案して最終的に判断をしないといけないのかなと思うので、その辺りの問題点を少し具体的にご指摘、また事後でも結構ですが、教えていただければと思います。
 今のところ、対象となる事業者側とすれば、これまでの議事の中では、法人として全体で事業計画等を設定している関係上、それを分けるということについては非常に違和感があるというご発言が複数あったかと思っていますので、こういう整理にしたところでございます。
 また、MRVの関係で、ビルのことについても少し言及をされていました。二重構造になるというようなご指摘もあったかと思いますが、その辺りについては今回少し修正をして、考慮事項等も加えた上で、断定的な結論にはしていないところでございます。その辺りについて何か付加すべきことがあるかどうか、ご指摘いただければと思います。
 公表については、ご指摘のとおりで、算定・報告・公表制度というのを前提として考えていて、あまり記述をしておりませんでした。それ以上に何か付加してというのはあまり考えてなかったので、ベースとなるのは算定・報告・公表制度かと思っております。それをベースに記述を加えて、ご意見があるかどうか、再度確認させていただきたいと思います。
 また、アーリーアクションの件につきましては、具体的にどこで整理をするのか。一応「国と地方の関係」のところで記述は少ししておるところであります。具体的な設計についてはどうするか、というのをどこまで書けるかというのはちょっと自信がなかったものですから、具体的には国と地方の関係の、60ページの[4]のところで書いたつもりでありますが、不足等ございましたらまた個別にご意見を頂ければと思います。
 あと、電力の関係で、期間の固定というところの断定は弱いのではないかと考えられるというところですが、ちょっとそこは実際に、我々としても断定して大丈夫なのかというのが、ほかに考慮すべき要素があるのかどうかというのも少し自信がなかったので、こういう書き方にしております。もう少し他の要素も加味して、断定できるのかどうか、ちょっと考えてみたいと思います。
 あとは、複数事業者の件でご質問を頂いたところでございます。複数事業者のところについては、素直に、我々としては検討してみないといけないかなと。それで、そこに書いてあるような条件がクリアできるのであれば対象となり得るし、そうでなければ難しいのかなというところで、ニュートラルな気持ちでおるというところでございますので、若干これは否定的な書き方なんじゃないかと言われれば、ニュートラルだというつもりなので、少し全体の感じを読み直してみたいと思います。
 あと、排出総量ですけれども、これも随分、ここら辺りの記述の分かりづらさが、全体の制度に対する印象というものがはっきりとしなくて、誤解のもとになっているのではないかというご指摘であったかと思います。考え方についてはいかがなものでしょうかというところかと思います。
 今のところの論旨の組み立てにつきましては、排出総量というものを別途立てているのは、そもそもこれが基本法の主要施策として1つ出てきた。基本法で何故出てきたかということを考えれば、やはり2020年に前提つきでありますが25%、2050年に80%という目標を達成するためには、これまでの施策では不十分であり、新たな抜本的な施策が必要であろうということで入ってきたということをかんがみれば、この国内排出量取引制度を議論していただいているのは、当然その目標を達成するための主要施策の1つであるという明確な位置づけや、役割分担が必要であろうと思った次第です。
 ただ、実際に排出枠の設定を考えたときに、これはトップダウン的にやるのではなくて、それぞれ先ほどから問題になっている削減ポテンシャルに基づいてやると設定した関係で、若干ここの排出総量というのが素直に整理できなかったところかと思います。
 それで、一番の問題は、先ほどご指摘があったように、1つずつ積み上げていって枠を設定していくという作業、これはかなり大変な作業だと思います。ご指摘のとおりだと思います。排出総量を実際に、これは別途合計値を比べてみて、違うとなったときにもう一回組み直すのかというと、我々も実際にこれをやってみようとするとかなり難しい話なのかなと。ちょっとこれを書いたときはまだ、これはちょうど排出枠の設定と同じときに議論をしていた関係もあって、排出枠の設定について前の方のような書き方で、そもそも十分ご議論、ご納得いただけるのかどうか、そういったところもあって、少しそこが緩くなるのであればこういったものも必要だし、そこが丁寧にきっちり削減ポテンシャルを踏まえたものが設定できるというのであれば、そちらの方は不要となり、むしろその他の施策について追加的な対策が要るのではないか、そういった検討の指標となるというふうに専ら使うことになるのかなと思っております。
 今のところ、この排出枠の設定方法が割と前者の方を丁寧に書かせていただいて、これでいいということであれば、ある種、削減ポテンシャルに即したものができるということであれば、そちらの排出枠の方の見直しというものは少し弱めて書くことで足りるのかなと思っております。そこはちょっと全体の絵柄と関係してくるのかと思います。
 あと、削減ポテンシャルの関係で、短期、中長期とご指摘があった話は、ご指摘のようなところは確かに我々としては、きっちりできるのであれば短期的にはノーというふうに思っております。
 あと、リードタイムのご指摘については、こちらの方で十分理解ができてなかったので、ご指摘を踏まえて書き直しをしたいと思っております。
 ちょっと全部できてないかもしれませんが、以上でございます。

○植田委員長 それでは、もし何かありましたら。では、冨田委員。

○冨田委員 すみません、ご説明ありがとうございました。
 とは言いながら、個々の論点をご指摘する前に、その削減ポテンシャルのところはまだ私は理解が十分できません。35ページの「方針」のところに書かれている、この書き方で削減ポテンシャルを定義したらどうかという、これを前段の方に持ってきてという、そういうご説明だったかと思いますが、そのすぐ後の文章に、「我が国全体の削減ポテンシャルを踏まえて排出総量を設定し」というのがあります。排出総量というのは、このレポートの中の定義は、制度対象者における排出枠の合計を意味していると思いますが、違いますか。

○上田市場メカニズム室長 いや、違うと思います。合計ではなくて、33ページの表題4-6、そこで排出総量というのを定義していますので。推計をした値、実際に……。

○冨田委員 合計か推計かという、そういう意味の違いですか。

○上田市場メカニズム室長 そうです。そういう違いがあります。

○冨田委員 制度対象者における排出枠の合計を推定すると。推定値だと。

○上田市場メカニズム室長 推計したものですね。実際に排出枠を個々に設定をして積み上げた合計値というものじゃない。

○冨田委員 それがその後、もう少しで、目安として排出総量の推計に当たってはということで、また中長期ロードマップの結論を踏まえるというような考え方になっていますけれども、まだ先ほどの私の一番最初の質問にお答えいただいてないのは、国の目標との関係はどういうことなのか。あるのかないのかというところについて教えていただきたい。中長期ロードマップを単にこの委員会で状況報告するということではなくて、中長期ロードマップの結論がこの排出総量の推計の目安として使われるというところに関して、この小委員会で了解していいのかどうかというところがポイントだと思っています。
 それで、大塚委員は使えるのではないかと、そういうお考えかというふうに先ほどのご発言を聞いて思ったわけですけれども、突然振って恐縮ですけれども、増井委員はどう思われているかというところもお聞きしたいと思います。個別に入る前にそれだけちょっとお聞きしたいのですが。

○植田委員長 それだけちょっとお答えいただきましょうか。お願いします。

○上田市場メカニズム室長 今のご指摘ですけれども、国の目標との関係、中長期ロードマップとの関係ですけれども、排出枠をそれぞれその事業者の削減ポテンシャルに即して設定をさせていただいて積み上げた合計値というものが1つございます。それが1つあるのですが、もう1つ別に、マクロの視点で、国全体としていかにあるべきかというものからその対象者が削減できるであろう削減ポテンシャルというアプローチというのが別途ある。それが中長期ロードマップでの議論かと思います。そちらの方で推計したものをここで言う排出総量と言っているところでございます。ここでやろうとしているのは、その排出総量というものと排出枠の個々に設定した積み上げた合計値、それを比較して乖離があるかどうかというところの議論からスタートをしているところであります。
 それで、国の目標との関係というのは、先ほど言いましたように基本法があってスタートした議論と思っておりますので、基本法で掲げる目標を実現するための主要な施策ということでは、その意味では関係してくると思います。
 ただ、実際の排出枠の設定というのは個々の削減ポテンシャルに即してやるということですが、その個々の削減ポテンシャルというのは直接には国の目標とは関係ないと思っていますので、それぞれ事業者の方の実情に応じてセットをしていくということになると思っています。
 そのセットをして積み上げたものと、その総量、排出総量というその推計値の方ですけれども、比較をして、一致するのであれば問題ない、近しい値と。もし大きく違うということであれば2つの選択肢が考えられて、1つはその個々の積み上げというものが適正だったのかどうか、もう1つはその他の対策というものの深掘りが足りないのではないか。要するに中長期ロードマップの推計がもう少し深掘りが必要で、実際に積み上げてみたら足りなかったのではないのかという議論があるというのがこの報告書なんですが、ただ、先ほどのやり取りの中で、そもそも積み上げが適切であったのかどうかという観点は、その削減ポテンシャルを適切に見るということができているのであれば、我々はもうその限りにおいてはそこをもう一回、積み木を崩して一からやり直すということは非現実的だから、考えていなくて、ここのところの排出枠の設定というのがしっかりと積み上げられているのであれば、むしろ他の施策の削減の深掘りが必要なのではないか、そういうものを発動するためのトリガーとしてこの排出総量というものがあるのだろうと考えているところであります。

○植田委員長 よろしいですか、増井委員。

○増井委員 今、冨田委員から問いがありましたけれども、基本的に今現在議論されている枠組みの範囲内においては、中長期ロードマップの数字というのは使えると思っております。というのは、中長期ロードマップでは、各業界等にもヒアリング等をかけておりますし、そんないい加減な数字を積み上げているというようなものではありません。
 ただもちろん、それをそのまま使うというには幾つか問題点がありまして、この報告書の中でも、17ページのところにカバー率の話がありますけれども、いわゆる中長期ロードマップの方で検討しているものと、この国内排出量取引制度において検討されているもののカバー率が一致しているかどうか、そういった点はもちろんきちんと評価する必要があるかと思いますけれども、基本的にそういう中長期ロードマップで積み上げた数字をベースに使うということについては特に異論はないと考えております。

○植田委員長 冨田委員。

○冨田委員 私が理解しているところは、中長期ロードマップの中で主要4業種については業界の目標、取り組むと表明されたところを使われているという意味では、そこの部分は中長期ロードマップのベースにしている考え方と、その4業種の削減ポテンシャルというのは一致しているということだと思うのです。
 それで、排出量取引制度の中で裾切り値をどこにするかというところがまだ決まっていませんが、それによって排出総量の目安というのは当然変わってくるわけですけれども、ロードマップの分析で裾切り値がどこに設定されても、それに応じて目安となる数字が出せるのでしょうか。

○増井委員 もちろんカバー率をかなり広く設定するというふうなことになれば、確かに難しいところはあるかもしれませんけれども、ただ1つの目安になるとは思っております。

○冨田委員 制度対象となる事業者にとって、自分たちがどれだけCO2を出していいかという枠は、非常に大きなインパクトを経営に与える、そういうものです。それをマクロでの分析の中で、有効数字がどのくらいだか分かりませんけれども、それを個々の会社のところに分解する、そういう能力は当然ロードマップのところでは持っていないと思います。仮に個々の制度対象者の削減ポテンシャルを合計した値と、それから中長期ロードマップのある設定の下で裾切り値の中での削減ポテンシャルという国全体を考えたときの数字が合わなかった場合に、どの制度対象者のところが不足なのかというような議論には当然使えないですね。だとするならば、個々の制度対象者における削減ポテンシャルを、いかに合理的に、公平に透明性を持って設定するかということに注力をする必要があるということであって、国全体の排出総量と比較すれば何かよりよい設定ができるということにはならないと思うのですけれども。

○上田市場メカニズム室長 今のところはまさにそのとおりであるかと思っています。個々の事業者の削減ポテンシャルを本当に適切に判断して設定できるということであれば、そこをもう一回積み木を崩してやる必要はないと思っていまして、そこに注力するのが第1というのはおっしゃるとおりだと思います。
 ただ、制度全体の組み合わせにもよるので、排出枠の設定の考え方が、いやここで書いてある考え方ではなくて、もっとラフにやるべきだというふうな、例えば検証ができない形でやるという形になってくるとそういうプロセスは必要なのかなと思いますが、今ここの案として提示をしているものでご了解いただけるという、こんな形でやはり個々に積み上げていくのではないのということであれば、今言われているような、削減ポテンシャルと合計値を比較して、違ったらもう一回その合計値の方の個々の積み上げをばらして検討し直すことは必要ないと思います。そういうことを先ほど言わせていただいて、冨田委員もまさにそういうことじゃないですかと言われたので、そういうことだと思いますと。

○冨田委員 具体的にどういう文章にされるのかというところを見ないと何とも言えないところがありますので、それは後日見させていただくということでよろしいですか。

○上田市場メカニズム室長 早目に提出させていただきます。

○冨田委員 では、その部分はそれだけにします。

○植田委員長 ほかにありますか。

○冨田委員 ほかにもたくさんあるのですが、あまり私ばかり発言しては申し訳ないので、ちょっと間を置きます。

○植田委員長 細かくなるところは文章で提出していただく方がいいかもしれませんね。
 それでは、岡山説明員。

○岡山説明員 すみません、私も大分ありますけれども、まず今の削減ポテンシャルのところについて1つだけ確認させていただきたいのです。
 その削減ポテンシャルというのは、原単位と活動量と分けて考えた際に、活動量をどうやって設定するのかというのが非常に重要なことになってくると思うのです。今この排出量取引制度というのは個社で考えましょうという話になっている。そうしたときに、個社の活動量をどういうふうに本当に設定するのかと。例えば業界としての2020年どのぐらいの仕事量があるかというのは、仮に推定できたとしても、その中でどの会社がどのくらい勝つのか負けるのかということを推定するのは非常に難しいと思うのです。しかもその個社の削減ポテンシャルを積み上げたものと、実際にマクロで積み上げた活動量に仮に差があったときに、どこにどういう作業でこの削減枠の足し算を見直していくのか、すごく難しい。実際にはリンクしようがないような話になるのじゃなかろうかなと。それは削減ポテンシャルが悪いのか活動量が悪いのか、じゃどこの業界が悪いのかということで、どの様な操作になるか実際にイメージができません。結局、国の総量がいくらだから、どのぐらいあと一律何%減らさねばならないというような話に直結するのじゃなかろうかというのが、どうしてもそこにイメージが行ってしまうというところかと思います。
 15ページの複数企業のところでございます。これは前の小委員会でも意見を言わせていただきましたとおり、複数事業者でも、まとまることによって、例えば低炭素製品の普及・拡大によってシェアが伸びていくような企業にとって抑制的ではなくなるとか、OEM生産なんかのフレキシブルな生産体制が維持できるとか、いろいろそのメリットもあると思うのです。競争政策と独禁法上の課題とかもあるというふうに武川委員もおっしゃられましたけれども、いろいろ検討していく中で、そういうメリット側もきちっと認識した上でご検討いただきたいなというふうに思います。したがって、メリットもきちっと書いていただきたいという意見でございます。
 また、次ですけれども、19ページの「連鎖化事業者、特定輸送排出者の扱い」でございます。
 これは18ページの中では、この排出量取引というのが大口排出者を対象とするので、そんな小さなところは対象とするのはあまり得策じゃないよというふうな記述があるにも関わらず、19ページのところで、「方針」の中で、19ページの真ん中辺ですけれども、「本制度の趣旨に鑑みると現時点で課題が多く、将来的な検討事項とするべき」と、問題があるよとは言いながらも将来的な検討課題というふうな位置づけなものですから、もう課題が多いのならばこれは当面考えないとか、言い切ってもいいのじゃなかろうかというふうに思います。
 また、21ページ目から始まりますベンチマーク、グランドファザリング、オークション、原単位等の排出枠の設定のところでございますけれども、特に21ページのところです。これはグランドファザリングのところもそうですけれども、第三者を交えれば公平性ないしは透明性が確保できるというような記述がかなりあるかと思います。この辺に関しましては、恐らく透明性は確保できるのでしょうけれども、公平性という面に関しては、特に個者の活動量を、第三者が入ったとしても、公平なものが設定できるかとなると、これは恐らくどんなことをしても分からないというところかと思います。この辺は第三者が入ったとしても公平性は解決できないのではなかろうかというふうに思います。また、経済成長等の活動水準増加要因についても一定の配慮を行うとか、事業者の意見を聞いてというような記述も見られます。そういう中で、EUであったように、恣意性が入ってくる可能性というのは必ずあるのじゃなかろうかというふうに思います。
 あと、25ページのオークションです。これは最も大きな課題として経済への影響というのがあるかと思います。これがなぜここの課題の中に明確にないのかというのは、これは足らないところではないかなというふうに思います。
 あと、細かいところですけれども、37ページの排出量の検証制度の必要性というところですけれども、ここで水濁法等との、汚染というものとの比較においてこの温暖化ガスの検証ということが語られております。
 その中で、「環境基準を超える地域が見つかれば、行政がその状況を観察し、立入検査等を行うことによって、当該地域における汚染源を特定することができる」というふうな記述が見られますけれども、このように常時監視しているものというのはCODぐらいで、そんなに多くないと思うのです。実際こういう環境基準が、非常な汚染が見つかったから実際に立ち入りが来るかというわけではなくて、公害のころは恐らく頻繁にお役所の方、保健所の方が見えて、そういう中で企業の意識が上がっていって、社会的責任を認識して、それで虚偽の報告というのはなくなってきているというふうに考えるべきだと思います。
 そういう面で、不幸な経験ではありますけれども、公害行政のもとから立ち上がってきた日本の企業と、公ないしは役所の信頼関係というのは、もう少し信頼していいのじゃなかろうかと。温暖化ガスにおいても言えるのじゃなかろうかと。それがひいては社会全体の運営コストの低減につながるのではなかろうかというふうに思う次第です。
 あと、すみません、長くなって申し訳ないですけれども、49ページ「国内外での排出削減に貢献する製品への配慮」というところでございます。これは49ページの上の方に「省エネ製品等の排出削減効果が高い製品の価値が市場でより高く評価されるようになれば、製造事業者は、それらを販売することで利益を上げ、削減コストを回収できると考えられる」と。これはあくまでも結果であって、私たちが問題にしたいのは、政府の意思のことであります。
 日本がこの省エネ製品で日本の経済ないしは国際的なCO2削減というものに貢献していこうという意思がある中で、それと相反するような政策というのは本当にとっていいのであろうかと。それは企業が吸収できるか否かという問題とは別次元の話であって、政府の意思の問題でなかろうかというふうに考える次第です。
 同じように、51ページのところでLCAの話がございますけれども、これも小委員会で指摘させていただきましたが、今後CO2削減に寄与する製品というのは、それによって需要が大きく増える、今のエコポイント、家電もエコカーもそうですけれども、それによって需要が増えていくという面も否めないと思います。代替だけのCO2削減じゃなく、これによってもたらされる需要増に関しても、このLCA的な考えに基づく緩和措置は考えるべきだろうと思います。
 また、最終製品と部品と素材の関係です。例えば、車というのは非常に多くの仕入れ先様の協力によって、その結果低CO2とかハイブリッドというのは成り立っております。この最終製品だけを排出削減の配慮をするというのは、やはりそれを構成する部品とか素材を製造する際のCO2排出への緩和措置というのを忘れてならないのではなかろうかというふうに思う次第です。
 あと、最後でございます。52ページ「炭素リーケージへの配慮」であります。これはいろいろご検討いただいておりますけれども、やはり非常に大きな問題というふうに考えております。
 このいろいろご検討いただいた様々な方策によって炭素リーケージが防げるのか、国際競争力というのは担保できるのか、これはやはりきっちりデータによって検証する必要があるのではなかろうかというふうに思う次第です。
 すみません、長くなりました。ありがとうございます。

○植田委員長 ありがとうございました。
 では、則武委員。

○則武委員 遅れて来て申し訳ありません。
 他の委員と重なる意見もありますが、まず、15ページの中段の企業グループに関してのところですけれども、企業グループで「当該事業者間における責任の所在が不明確になり法的安定性を欠くこととなるなど課題が多い」と書いてございますけれども、連結対象の企業の場合、責任の所在が不明確になることはないと思いますので、この記載はちょっと不適当ではないかと思います。やはりグループにすることによるメリットもあると思いますので、表現を変えていただく必要があるのではないかと思います。
 それから、42ページの検証に関してなんですが、これは以前も申し上げましたが、検証期間が、中段辺りのところで「排出量の報告期限は毎年度の末日」とかの文章の中で、この図でいくと、これはイメージとして書かれているのですが、どうしても検証は短期間に集中してしまうことが書かれています。この部分が「方針」に書かれているのがちょっと不適当ではないかなと思います。38ページのところで、既に行われているところのノウハウが蓄積されているということもございますので、ここはあくまで「方針」ではなくて、検討した結果としてこうなるのは仕方ないかもわかりませんが、イメージの図がこの「方針」のところにあるのは、何かどうも不適当だと思います。

○植田委員長 冨田委員、ありますか。

○冨田委員 ありがとうございます。
 それでは、ダブらない部分について個別の意見を申し上げたいと思いますが、まず、異なる意見のところを公平に書いていただくというところについては、場所がたくさんありますので、後日別途、どういうところがそうなっているかというところについてご指摘をさせていただきたいと思います。
 まず1点目は対象ガスのところです。

○植田委員長 何ページですか。

○冨田委員 すみません。週末は古い資料をずっと見ておりましたのでページがずれているかもしれないのですが、2の「対象ガス」ですので10ページのところです。
 CO2を対象にするという結論になっているのですが、前段のところでエネルギー起源のCO2と、それから非エネルギー起源のCO2ということで検討が分けて書かれています。非エネルギー起源のCO2のところについて、かなり課題があると書かれているように思うのですが、まとめた方ではそこが抜けて、CO2全体というふうになっているところに違和感を感じます。CO2以外の5ガスについては除くけれども、CO2全体を含めて排出量取引にするのだというふうになっているのですが、ここは前の方の議論といいますか、検討結果と少し合わないというふうに思います。
 それから、裾切り値のところです。17ページのところですけれども、書き方を少し丁寧にされたということで、ただこの議論をしたときにも発言させていただいたと記憶しておりますけれども、対象事業者の数が多いことによって行政コストがかさむでしょうと。対象事業者の数と行政コストの関係を踏まえて考えるべきではないかと申し上げたと思いますけれども、それについて記載がないということをご指摘したいと思います。
 それから、オークションのところです。25ページですか、まず1点目は、オークションをする場合にどれだけの量をオークションにかけるかという、いわば排出総量をどう決めるのだろうかということについて記載がされてないと思います。それによって価格が上がるのか下がるのか、非常に大きな影響が出てくるので、その総量はどうやって決めるのかということについて記載がないのはいかがなものかと思います。
 それから、オークションの場合ですと、温暖化対策のための税と完全に重複をするということになると思いますので、ポリシーミックスの方で書かれていればそれでもいいのですけれども、そっちの方でも十分書かれてなかったと思いますので、税との関係というのをどう考えるかということについて、このオークションの部分についてもやはり記載をすべきだろうと思います。
 それから、原単位方式のところです。26ページ、4-3です。27ページ[2]の「総量削減の担保」というところですけれども、経済成長のバランスということを考えたときにこの原単位方式の利点というのがあると思いますけれども、それの記載を是非お願いしたいと思います。
 それから、その後段、「他方」というところでは、原単位方式をすべての対象事業者に設定することについて書かれていると思いますが、選択制にするということのオプションというか、考え方というのもあると思いますので、それについてどう考えるか。その可能性というのを、私はそれはありだなというふうには思っておりますけれども、記載をしていただきたいと思います。
 それから、電気の原単位のところですけれども、30ページのところで、固定をするという後のなお書きで、評価方法についてはさらに議論する必要があるということを書いていただいておりますけれども、これまで何度かこの小委員会で発言をさせていただいていますが、私はこの記載では全く不十分だと考えます。
 国内排出量取引によって電力需要家に対して温暖化対策を推進しようという目的があるのであれば、系統電力の需要に関わる対策の削減効果の評価方法を適切に定めるというのは不可欠だと思います。この評価方法をあいまいにしたまま排出量取引制度の設計をしたのでは、単なるゲームにしかならないのではないかと思います。もしどなたかが評価方法はあいまいなままで構わないのだとおっしゃるのならば、なぜそれでいいのかということについて教えていただきたいと思います。だから単に提言をしたということではなくて、排出量取引制度を考える以上、ここの問題については答えを出すべきだというふうに考える、そういうふうに記載をしていただきたいというふうに思います。
 それから、4-5の「新設、廃止、改修」のところです。まずタイトルですけれども、改修は、その後段のところで、昔はありましたけれども今は削除されていると思うのです。
 ですからタイトルは少し見直しされた方がいいのかなと。ちょっと言葉は変ですけれども、制度の対象になるのかならないのか、入学するのか卒業するのか、そういうような意味合いだと思うので、そこのところは少し工夫をされたらどうかと思います。
 それから、同じ中にリザーブという考え方が出てきますけれども、先ほどの削減ポテンシャルとは何かというところにもよるわけですけれども、削減ポテンシャルが個々の制度対象者における下からの積み上げ、やってもらうことをやっていただくということであるならば、リザーブという考え方は出てこないのではないでしょうか。すなわち、新規の参入者であっても、その新規参入者の削減ポテンシャルを考えればいいということであって、リザーブというと、あたかも国の目標から設定された数字、枠を確保するという考え方になるので、それは先ほどのご説明とは少し合わないということになりはしないかと思います。
 遵守期間のところですけれども、36ページ、ここの中で、先ほど大塚委員の方でしたか、遵守期間1年単位で異論はないのじゃなかったかという……。

○大塚委員 いや、検証期間。

○冨田委員 検証のタイミングですか、失礼しました。ここの遵守のところに検証も入っていなかったかな。

○大塚委員 36ページの下から6行目辺りですか。

○冨田委員 ああ、検証ですね。ここについては、私は検証を毎年する必要はないと。遵守期間が複数年であるならば、検証も複数年で構わない、その遵守期間の中でやればいいというふうに基本的に思います。すなわち、遵守したかどうか、遵守期間の中で遵守が求められるので、そのときには、最終的にはやはり検証というのは必要だと思いますけれども、毎年報告をするときに検証は不要だと思います。
 それは、今の温対法の排出量の算定・報告・公表制度の中で報告自体が求められている、同じ数字を使うというのが基本的に事業者の考え方だと思いますけれども、例えば枠を売り買いするときには検証が必要かもしれません。けれども、単に報告をする人については検証までは要らないのではないか。最終的に遵守をしたかどうかというときには検証というのはあるというふうには思いますけれども、報告のためだけに検証は不要だというふうに私は考えます。
 次は、38ページの[4]の「算定・検証・報告」というところですけれども、先ほどの対象ガスの議論とも関係してくるわけですが、ここで書かれているのはエネルギー消費量の測定をして、それからCO2量を計算するという、そういう考え方が示されているのですが、もし対象ガスを非エネルギー起源のCO2までに広げるのであれば、ここのところはここでは不十分です。私は広げる必要があるとは思ってはいないのですが、先ほどの2番のところの対象ガスについても、エネルギー起源のCO2ということで限定してはどうかというふうに考えておるわけですけれども、そういう方の議論でまとめてはどうかなというふうに思います。
 それから、「バンキングとボローイング」のところですけれども、44ページのところでしょうか。ここでは遵守期間を1年というふうにした場合のケースについて書かれていますけれども、遵守期間を複数年にして、対象期間と合わせるということについて、その場合にはどうなのかということについての検討が抜けているというふうに考えます。すなわち、遵守期間を複数年でするのであれば、ボローイングについては特に不要という考え方も成り立つわけで、そこについての記載をお願いしたいと思います。
 細かくなって恐縮ですが、「外部クレジットの量的制限」のところです。ここの真ん中の辺りにCDMのクレジットに関して課題があるというところを書かれていますけれども、外部クレジットの量的制限の文脈の中でこれを語るというのは少し意味が違うかなと思います。すなわち、本来書くべき話は、自然災害等で義務履行が難しくなったときに外部クレジットというのを考えるという文脈だと思いますので、CDMは難しいという話は少し違うのかなというふうに思います。
 「費用緩和リザーブ」のところは、先ほど申し上げました新規参入者のリザーブと同じですけれども、本来特に削減ポテンシャルということを考えて、私が理解する削減ポテンシャルというところで考えるのであれば、ここの部分は基本的には必要ないのではないかというふうに思います。
 そういう論点を踏まえて「方針」というのが各論点について書かれているわけですけれども、今申し上げたようなことを踏まえて、「方針」というのも断定した書き方ではなくて、異なる意見があるということをベースに書いていただければと思います。
 それから、6-2の[2]の「国内外での排出削減に貢献する製品を特定する方法」LCAのところの話ですね。ここについて、これも小委員会の中で議論がありましたけれども、素材、中間製品のところについての配慮というところについて、1文ちょっと書かれていますけれども、これだけでいいのかというところについては非常に問題だろうというふうに思っていますので、「方針」のまとめの中ではそのところも意見を提起していただきたいというふうに思います。
 それから、ポリシーミックスのところですけれども……。

○植田委員長 次ですね。ポリシーミックスは。

○冨田委員 次でしたか。ごめんなさい、失礼しました。

○植田委員長 増井委員。

○増井委員 どうもありがとうございます。簡単に2点だけ述べさせていただきます。
 まず、52ページのLCAのところですけれども、中長期ロードマップ等でいろいろこういう話もすべきだというふうに思ってはいたのですが、なかなかデータが出てこなかったという実態があります。こういう考え方、もちろん考え方としては非常にいいとは思うのですけれども、果たして本当に実効的なのかどうかという点、この辺りは是非ともご検討いただきたいと思います。
 それとあと、それに関連してですけれども、海外での削減分と国内での削減分というのはやや意味合いというのが変わってくるのではないかなと思います。ここでは一緒に述べられておるようですけれども、少しその辺、海外と国内での削減の取扱いは分けて記述された方がいいのではないかと思います。
 2点目ですけれども、先ほど冨田委員の方からロードマップ等での積み上げがどの程度有効なのかというお話がありました。もちろん詳細なところまで、個々の企業についてまでというところでは、ロードマップの方は、もともとそういう趣旨で作っていたわけではありませんので、必ずしもその点については十分ではないということは認識しておりますけれども、一方で35ページに書かれておりますような中長期的な見通し、排出削減の見込み、こういうところにおきましては、やはりロードマップのような考え方、特にバッキャス的な将来の目標を定めて、それに向けてどういう技術が必要になってくるのかという考え方はやはり非常に重要になってくるかと思いますので、その辺りは適宜使っていく、また個々の分野、削減のポテンシャルというところについては、また別途、どういう施策が必要になってくるのかということを明示しておくことが必要なのではないかなと思っています。
 以上です。

○植田委員長 では、則武委員。

○則武委員 すみません、ちょっと先ほど言い忘れた部分があります。25ページのオークション方式に関してですが、オークション方式についてあまり賛成の方はいらっしゃらないのかもしれませんが、業種によっては有効な場合もあるのではないかと思っております。ここの記載についてメリットが一切書かれていないので、メリットを記載する必要があるのではないかなと思います。少なくともオークションの収益がメリットだとは絶対思ったりしませんが、グランドファザリングやベンチマーキングのように、どちらかと言ったら既得権を残しているようなことに比べて、大胆な構造改革とか、そういったものに費用負担が明確になれば構造改革とかが進むというようなメリットがあったり、あと行政コストの点で、個々の企業ごとに排出目標を割り当てていくという行政コストを減らすというようなメリットもあるのではないかなと思いますので、メリットを記載していただいた方がいいのじゃないかなと思います。
 それと、もう1点は、48ページの一番下の「排出削減に貢献する製品に配慮する必要性」という点についてですが、48ページの一番下の行に書かれているのが、「排出枠の設定は成長産業の成長を阻害する」と書いてありますが、これは省エネに寄与する成長産業のということが書かれるべきではないかなと思うのです。CO2を大幅に排出するような成長産業に対しては、やはり阻害になるのは仕方がないと思いますので、問題があるのは、省エネに寄与するような産業が成長を阻害されるということが問題かと思います。
 それと、その次の行のところで、「しかし」という点と、「高く評価されるようになれば」という表現については、やはり電力間接を対象とするようなことによって、意図されるべきではないかと思っております。省エネの製品が高く評価されるようなこと、この制度の中で意図すべきなのではないかということで、表現としては、「なれば」というより、「高く評価されるようになり」というふうな表現があってもいいのじゃないかと思います。場合によってはですけれども。
 あとそれと、全体として、先ほどの検証のところもそうですが、諸外国の制度を参考とする場合に、前回も申し上げましたように、英国のCRCを少し検討していただきたいなと思っております。
 以上です。

○植田委員長 ありがとうございました。
 大塚委員。

○大塚委員 3点ほど簡単に申し上げたいと思います。
 意見ですけれども、1つはリザーブについてですが、先ほど来事務局もお答えになっていることと似ていると思いますけれども、下からの積み上げをしてポテンシャルをもちろん見るのですが、他方で国として制度対象者全体の総量も考えなくてはいけませんので、それとの関係でリザーブという概念は別に出て来得ると思いますし、それは削減ポテンシャルを考えるということとは全然矛盾しないと思いますので、意見として申し上げておきます。
 それから、36ページのところで、検証に関して毎年でなくてもいいのではないかというご趣旨の意見がございましたが、毎年検証するものとそうでないものとが出てくると、先ほどのお話のように毎年検証したものが仮に売れるというふうにすると、取引できる排出枠と取引できない排出枠が生まれるということになって、制度が非常にいびつになりますし、そもそも1年ごとに検証しないと正確な検証は難しいと思いますので、私の意見としてはそういうように申し上げておきたいと思います。
 それからもう1つ、46ページのCDMのところの件ですけれども、これは確かに削減ポテンシャルのとおりに削減がなされればあまり問題はないと思いますが、先ほどおっしゃったように自然災害の場合のようなことが典型的な例になると思いますけれども、予想以上に生産が増えるということもありますので、自然災害のことをお書きになっていただくのはもちろんいいと思いますけれども、CDMのことを書くのは別に差し支えないのではないかという意見を申し上げておきたいと思います。
 以上です。

○植田委員長 では、明日香委員。

○明日香委員 短く4点申し上げたいと思います。
 まず、活動量に関してちょっとクリアにした方がいいと思います。もし私の勘違いがあればと思って、教えていただきたいと思うのですが、一応ベンチマーク方式の割当で、活動量に関しては基本的には直近の、いわゆる過去3年間の生産量を基準にしてということプラス経済成長なり各個別の状況をかんがみてというのが一応今の基本方針かと思います。
 それで中長期のロードマップなりポテンシャルで議論している計算方法というのは、まさに後者の経済成長なり各企業の個別の将来予測の生産量も考慮したポテンシャルというのを、生産量で計算したポテンシャルというのを計算しているのかなと思います。なので、少なくとも現時点ではある程度中長期ロードマップを重視するというのだったら、比較的将来の予想、各企業の予想を入れた生産量を考慮しているのかなと思います。
 多分ここで個別の産業の経済成長云々というのでポテンシャルを議論することはできないので、このような基本方針をある程度確認して、あとはここに書いてありますように第三者を踏まえた各業界の個別の状況を考慮して決めることになるかと思います。なので、ここではそこら辺はある程度認識して、かつ中長期ロードマップではこのポテンシャルを重視するのでしたら、かなり将来の各企業の想定している予想の生産量を考慮しているということを認識していればいいのかなとは思います。
 2番目はLCAですけれども、私も増井委員がおっしゃるのと同じように、かなりオペレーションは難しいのではないのかなと思っています。それで、たしか前回だったと思うのですけれども、則武委員から、生産においてCO2をより出す、かつそれによって売り上げに影響がある企業は対象とするべきだけれども、売り上げに影響がないのだったら対象としなくてもいいではないかという意見があったと思うのです。
 それで、多分そこに対する答えはちょっとまだなかったと思うのですが、いずれにしろ自己申告制にするのか、そのデータは誰が検証するのか。多分動かない制度かなと思います。あと、国際と国内もさっきお話があったように全く同じでして、国際の場合は多分2国間制度というまた違うレベルの議論になると思いますし、国内においてはさっき言ったような意味合いであまりオペレーションにならない、オペレーションにするのはなかなか難しいのじゃないかなと。書くのはいいし、非常におもしろい、ユニークな制度としては記録に残るとは思うのですけれども、なかなか難しいのではないのかなと思います。
 3番目に、リーケージの国際競争力の話ですけれども、先ほどデータをというお話があったのですが、EU-ETSでかなり精密にデータを持って、オークションの場合でも炭素リーケージはほとんどなかった、なかったというか、少なくとも国際競争力を喪失したりするような産業はなくて、かつその産業は可能性はあるにしても、それは少数の産業であって、それにどういうふうに保護措置をすればどうなるかというデータはたくさんありますので、そこら辺は私も既に書いたものを配っていると思いますので、参考にしていただければと思います。
 最後に、則武委員がおっしゃった経済成長という言葉がちょっとあいまいに使われているのはやはり気になりました。国全体の経済成長なのか、各企業の売上げが上がるのか、そこはまた全然違うと思いますので、そこはちょっと区別して丁寧に書いた方がいいかと思います。
 以上です。

○植田委員長 ありがとうございました。
 では、有村委員。

○有村委員 先ほど則武委員から、オークションはいい面もあるのに書かれてないというご指摘がありましたけれども、26ページの冒頭部分に、収益の使途の面では、オークションの「収益を法人税減税に用いることにより」というような、低炭素を促進するような企業にとっては実はメリットがあるのだ、そういった意味で経済成長に資する可能性もあるのだということは一応書かれているのではないかと思いました。
 それから、先ほどベンチマーク、活動量の関係というのを岡山説明員からありましたけれども、イメージとしては多分どのくらいの期間でそのベンチマークの配分をするかというものにもリンクしてくるかと思うのですが、例えばある一定期間のベンチマークをもとに排出枠を付与した後に、その第1、例えば仮にフェーズ1と呼んだとして、その期間の間にある企業の売上げが伸びて、活動量が上昇したら、フェーズ2においてはその企業はより多くの排出枠をベンチマークに基づいて付与されることになるのではないかというイメージを私自身は持っていて、そうだとすると、その活動量の伸びた企業は、その期にすぐ報奨されるというわけではないでしょうけれども、次期においては頑張った分が考慮されるというような制度になるのではないのかなというようなイメージを、ベンチマーク方式などでは持っておったのですけれども、どうでしょうか。そういった意味で配慮され得るのかなというようなイメージを持っていますが。
 それから、炭素リーケージ等に関してですけれども、私どもでも、試算のほかに、そういった業種を特定するというのと、そういった業種に対して無償排出枠をした場合、どのぐらい費用負担の増加が抑制できるかといったような試算というのは行っておりまして、それに関しては大分前にこの委員会で参考資料として委員の先生方にはお配りさせていただいておりますし、それからもう1つ、OBA方式というのが前々回ぐらいから議論がありましたけれども、OBA方式をする場合の効果に関しては、今回55ページの注のところで我々の研究成果をご紹介いただいておりますので、もしそういったものが必要であれば、参考資料等で提出することは可能でございますし、ホームページの方にも研究成果は公開させていただいております。一応ご報告申し上げます。

○植田委員長 ありがとうございました。
 では、室長の方から説明をお願いします。

○上田市場メカニズム室長 多くのコメントを頂いたので、すべて網羅できるか分かりませんが、幾つかコメントしたいと思います。
 まず、削減ポテンシャルを判断するに当たって、その活動量をどう考えるかということで、何人かの他の委員からもご指摘がございました。今有村委員からもご指摘ございましたけれども、基本的には直近のデータをということで、将来の活動量を当てはめて枠を設定するのではないというところで今回の設定式も書いてあります。それの反映というのは次の期にという、まさに有村委員のご指摘のような考え方で資料を作っているところでございます。
 複数事業者についてのメリットを書いてほしいとのご指摘につきましては、頂いたご意見を踏まえて考えたいと思います。
 19ページのところで、将来的に課題が多いと、フランチャイズのところの書きぶりでしたけれども、実際に現時点ではこういう整理でいいとは思うのですが、他方、現行温対法の算定・報告の対象になっているということをかんがみて、少し書き方を工夫したところでありますけれども、ご指摘を踏まえて、誤解のないような書き方が何かあるか、再度考えてみたいと思います。
 第三者を交えることについての透明性と公平性の話のご指摘がございました。恣意性についての懸念、それらについてもちょっと書きぶりを工夫してみたいと思います。
 オークションについて、経済への影響が書いてないのではないかというご指摘がございました。実際に制度オークションのところで、評価を加えているところについての電力の直接、間接と、あと排出枠の設定方法について、評価を書き出すと多分両方重複するので、ちょっとそこのところ、あるものは後ろの方だけ書いてあったり、あるものは前に書いたりというふうにちょっと整理がよくないのかなと思いました。書くなら書くで全部前に書くというところは、少し事務局の方で整理をしたいと思います。書く場合にはご指摘のようなものも入ってこようかと思います。
 検証の必要性については、もう少しこれまでの過去の信頼関係というものを踏まえて書いていただいてはどうかということでした。一応37ページの方で書いている中身については、信頼関係はあるのだけれども、温室効果ガスの測定というものについて見れば、「ところが」と書いてあるのですけれども、これまでの経験からすると、どうしても意図しない誤記や算定漏れがあり、非常に難しいところがあるから検証が必要じゃないか、と整理をしたところでございます。そこのところを、ちょっと誤解がある表現かもしれないので、少しシンプルに分かりやすい記述にしたいと思っております。
 あと、49ページのところで、「しかし」というところでご指摘がございました。これについては、国としての意思をしっかり記すべきじゃないかと。その点については49ページの[2]の上の「諸外国の」というところで国としての方針というものを、ここで考えるような政策的な観点を書いたつもりではございます。上は一般論を書いたつもりなのですが、ちょっと読んでみて分かり辛いところがあれば工夫の余地があるかなと思ったところであります。
 51ページのLCAについては、複数の方からご指摘がございました。素材、中間製品の扱いについて、本日の指摘を踏まえて工夫できるかどうか、これはちょっと考えてみたいと思います。
 52ページのリーケージの話ですけれども、データによってちゃんと検証すべきというご指摘だったと思います。実際に今動いているデータ、制度についての研究結果というのは、明日香委員等からご指摘がございました。そういったものも少しこの中で言及をしたいというふうに思います。
 企業グループについては、連結対象の場合と、もう十分に責任が明確なのではないかというところで、課題が多いという表現のところをご指摘いただきました。実際に罰則の適用になったときどうするのだろうかというのを少し懸念しているところがあります。また、競争政策上の課題というのもクリアすることが本当にできるのかどうか、複数というのが、数が多くなった場合どうするのか、幾つかあるかと思いますので、もう一度整理をした上でその表現ぶりがどうなのか、考えたいと思っております。
 検証事務の集中という問題についてはもう一度中で少し考えたいと思います。
 対象ガスについては、書き方がちょっと違うのではないかということでしたが、一応その方針等をまとめの方ではただし書きをつけて書いたところではあるのですけれども、それでなお不十分、前の方を反映してないということなのかなと思ったのですが、一応ただし書きで非エネCO2について書いてありますので、我々としてはその前との整合性をそれで図ったつもりでございます。なおご意見等あればまたご考慮していただければと思います。
 対象事業者の数を設定するときにコストの問題というところ、17ページをご指摘ございましたけれども、コストについてはその上、上から2パラの「また」のところで書いてありまして、それも考慮すべき論点として入れてありますので、ちょっと離れているので分かり辛いけれども、書いたところでございます。
 オークションの評価の有無というのは、先ほどの全体の整理、後ろに寄せるのかどうするのかというところで全体整理をしたいと思います。
 原単位方式の評価についても同様でございます。
 電力原単位についてのご意見を頂きました。これについてはもう少し事務局で考えて、個別に相談させていただきたいと思います。
 タイトルについてのご指摘、4-5ですけれどもご指摘のとおりです。修正をしたいと思います。
 リザーブの考え方ですけれども、やはり総量を削減していこうという観点というものが全体としてあって、できる限り、どこまでそれぞれの個別のパーツについて配慮できるのか、工夫をするという発想でやっております。ただそれぞれの設定の中で、例えば排出枠の設定ということは個別の削減ポテンシャルに積み上げてやっていくという中で、全体の総量管理というのは、マクロ的なアプローチではないというところで限界がありますし、1つずつ解決をしていくつもりですが、リザーブについてこういった観点でどこまでできるのか、もう少し整理を、今日は両方の意見を頂いたかと思いますので、考えてみたいと思います。
 遵守の期間については、特に検証について毎年行う必要はないのではないかというご指摘があったかと思います。これは今まで検証については先ほど言ったような非常に把握の難しさというものがありまして、実際に5年とか4年たった後に、過去の4年前とか5年前のデータが本当に出てくるのかというと、かなり難しいのではないだろうかと思っています。そういった実際の数年たった後の検証可能性も考えて検討していく必要があるのかなと。今の時点ではなかなかそこら辺が十分にできないのではないかというのが、環境省としての、今までの試行実施等を踏まえた結論でございます。
 38ページのところで、対象ガスを広げるならということですが、これは基本的にエネ起以外のCO2についても検討課題として書いてありますので、そこのところに漏れがあるようであれば追記する必要があるかなと思っています。
 外部クレジットのCDMの記載については、複数のご意見を頂きました。ちょっと両方の意見を踏まえて、どういう記載ができるか考えてみたいと思います。
 そのほかは、オークション方式についての、先ほどの、逆にメリットもあるのじゃないかというご指摘もございました。この辺りも最後の評価とあわせて整理をしたいと思います。
 成長産業の書きぶりについても、ご指摘を踏まえて検討したいと思います。
 そのほか、LCAのオペレーショナルな難しさについては複数の方からご指摘がございました。それについても付記をしたいと思います。
 あと幾つかご意見を頂いたのですが、若干重複しているところもあろうかと思います。すべてを網羅してないかもしれませんが、一通りご説明させていただきました。
 以上です。

○植田委員長 ありがとうございました。
 まだおありかと思いますけれども、それは意見としてまた出していただくということにさせていただきまして、それで、熱心にご議論いただいたこともございまして、時間がちょっとなくなってまいりましたので、当然予備日としていたところでもう一回議論いただくということが必要ですけれども、最後の時間をちょっとだけ延ばさせていただいて、残りの時間で、残り全体の中で最も大事、ここだけは絶対に発言しておきたいというのだけ1つずつ言ってください。皆さん4つ5つお持ちなことはよく分かるのですけれども、優先順位を決めていただいて、一番というのだけ1人ずつ、それだけお聞きして今日は終わりたいと思いますので、ちょっとだけ延ばさせていただくことになると思いますが、恐縮です。
 順番にということで、大塚委員から。

○大塚委員 1つだけということなので、64、65ページのところで、ちょっと理論的な問題で、増井先生にちょっとお伺いしたいところでもあるのですが、64ページの8行目、9行目辺りに、本来目標が決まったら出てきている投資と、それ以外の追加的な投資という2つに分けた議論があって、これは全体に関わる問題ではあるのですが、税とか国内排出量取引制度というのはある意味補助的な手段なので、追加的な投資があるかどうかが問題になり、結果的に国内排出量取引制度の場合は削減ポテンシャルを最初の設定のときに考えるものですから追加的投資はないという理解でいいと思うのですけれども、全量固定買取制度の場合は、これは結局25%が真水かどうか分かりませんけれども、それを支えるために再生可能エネルギーの10%というのを目標に掲げて、そのための制度ですので、これは補助的な手段ではなくて、まさに目標達成のために直接関わる制度だと思いますので、これは追加的な負担ではないと私は思うのです。これはむしろ植田先生にお伺いしたいところでもあるのですが、そういう整理の方が論理的には適切ではないかと思いますので、ちょっと意見として申し上げさせていただきます。
 それで、質問だけしていいですか。65ページの質問ですけれども、65ページの3行目から始まるパラグラフで、「費用は見込まれていない。」というのが4行目と8行目に出てくるのですけれども、これは見込まれていないから引いたものとして考えるべきだという、そういうご趣旨ですね。ちょっとそれは質問として申し上げます。
 以上です。

○植田委員長 ありがとうございます。
 では、大野委員。

○大野委員 1つだけということで、さっきの検証の話で、検証は私も毎年度必要だと思います。その理由は、大塚委員がおっしゃったように、排出量取引を毎年やっていこうと思うと信頼性を維持する必要があるためです。上田室長は、まとめてやると過去のデータがないこともあり得るのでとおっしゃいましたが、そうではないと思います。
 東京都の場合、今回総量削減義務の基準排出量を2002年度から遡って選択可能にしたのですが、これは検証機関の検証を出していただきました。そのとき、電力、ガス等の過去のデータも把握をしましたが、これは東京電力さん、東京ガスさんのご許可をいただいて、過去のデータについても確認を得て出しています。なので、過去のデータになると出せないから毎年やるという話ではなく、やはり毎年、毎年の排出量取引の安定性を確保するために必要だと考えております。
 それから、信頼関係があるから検証不要ではというお話もあったのですが、これも基本的には企業と行政の信頼関係はあるのだと思います。ただ、基本的にはあるのですが、大気汚染防止法ですとか、幾つかの法律の施行の中で、実際に虚偽のデータが報告された事例もあると思いますので、その辺は抽象的に信頼関係という話ではなくて、過去のそうした総括を踏まえた上で必要性を考えていただきたいと思います。

○植田委員長 では、北原説明員。

○北原説明員 それでは、1点。85ページの下から3行は、我々の今までの議論を踏まえていただき、「これを踏まえて国内排出量取引制度が中長期目標の達成に向けた対策・施策の中でどのような位置づけとなるべきかについて、さらなる議論が必要である旨の指摘があった」と記載していただいております。これは今まで影山等も言っておりますように、導入の是非も含めてさらなる議論が必要であると指摘させていただいておりますので、そこはしっかり書いていただき、上部の地球環境部会で議論をしていただけると思います。このような前提を踏まえると、次の86ページの上から4行目に、「今後、国においては、この提言を基に国内排出量取引制度の制度設計に取り組んでいくことを要請するとともに、」と記載されていますが、我々のお願いを無視し、全容も議論せずに、いきなりこのような要請をするのは、少々おかしいのではないかと思いますので、ここはご配慮いただきたいと思います。
 以上でございます。

○植田委員長 岡山説明員。

○岡山説明員 ありがとうございます。
 重複するかと思いますけれども、86ページの今の「排出量取引制度の制度設計に取り組んでいくことを要請する」というところでありますけれども、いろいろ議論させていただいて、いろんな課題が見えてきたかと思うのです。オプションAも、オプションBも、オプションCも、それぞれ課題はある。そうじゃないよというメリットもあるかと思いますけれども、まだまだ課題がある。今回の小委員会というのは、もしも排出量取引制度を導入するとすると、どのような制度があってどういう課題があるのか、それを明確にするという位置づけることだったかと思いますので、この結論、取組を要請するというのは少し時期尚早なのではなかろうか。まずは課題をきちっと認識するということがこの小委員会のまずは結論すべきところではないのかなというふうに思う次第です。
 ありがとうございます。

○植田委員長 では、明日香委員。

○明日香委員 個別の論点というよりも、実は1カ月ほど前、2週間ぐらいヨーロッパを回って、いろいろあちらの制度設計に関わっている方と話をしてきました。
 それで、日本の話をしたら、まず、信じられないというのと、お疲れさまですという答えがありまして、まず電力部門が入ってないというのはなかなか理解してもらえなくて、あと有償じゃなくて無償で始めるという話をしたら、それはEUやアメリカの経験があまり役に立ってないねと。でもしようがないかもしれないねというような話でした。
 申し上げたいのは、いろいろ課題のあるのは確かですし、それはここで議論する必要もあるかと思いますが、大きな問題として国内排出量取引制度の重要性に関しては国際的認識があると思います。それではっきり入れてからいろいろ考えるというところもあるかと思いますし、本来であれば他の事例を参考にしながら制度設計をしていく必要性があるのかなとは思います。なので、ここでは個別に細かい話をせずに、基本線で合意ができればいいのではないかなとは思います。
 以上です。

○植田委員長 では、冨田委員。

○冨田委員 ありがとうございます。
 1点ということで、最後にした方が、何が漏れているかというところを言いやすかったので、ちょっと最後の方にさせていただいたのですが、私が申し上げたいのは、<5>.の「まとめ」のところですけれども、ここは前段の各論点についての議論の結果を踏まえてまとめたということだろうと思うのですけれども、分量を少なくすると当然エッセンスをということになるわけですが、そのエッセンスをどう書くかというのは非常に問題なわけです。
 先ほど来申し上げておりますように、異なる意見を併記してほしいということを申し上げているわけですが、それを正確に書こうと思うと、前段で書かれた各論点、まだ十分とは思っていませんけれども、各論点の「方針」についてまた同じことを記載するということになりはしないだろうかというふうに考えます。
 したがって、私の提案は、この「まとめ」の部分、一番最後の85ページはちょっと別のことが書かれていますので、ここについては書き方は工夫があってもいいかなと思いますが、その前段のところについては、同じことを書く、重複してしまうのじゃないかということで、場合によってはなしでもいいかというふうに考えたということです。85ページのところについてはさらにまたもう少し精査が必要だろうと思いますけれども、それを踏まえて、先ほどお二方が申し上げました「おわりに」のところについて、より適切な文章にしていただくということを考えていただければというふうに思います。
 以上です。

○植田委員長 ありがとうございました。
 他の委員の方よろしいですか。はい、ありがとうございました。
 今1つだけというようなことを私がちょっと勝手に申し上げてしまいましたけれども、他にもたくさんおありかと思いますので、それについては、最初の部分も含めまして――そうしたら室長から今のご意見に対して少しお願いします。

○上田市場メカニズム室長 ご意見として頂いたものは検討したいと思います。
 ご質問として頂いたところの中で、ポリシーミックスと従前言っていたところの費用の、65ページですね、「投資額の中にはエネルギーコストの節約により使用時に回収される費用は見込まれていない。」というところですけれども、質問のところがよく分からなかったのですが、ここは要するに入ってないという……。

○大塚委員 その分は引かないと本当の意味での投資額は算定できないという、そういうご趣旨で書いておられるのか、ちょっと、見込まれていないと書いてあるだけだと、どういう意味でおっしゃっているのか、多分分かりにくいのではないかと思ってお伺いしたのです。

○上田市場メカニズム室長 分かりました。
 投資額と書くときは、費用はなくてもいいのかなと思って、費用負担とか実際の負担を計算するときには、投資によって得られた利益も考慮する必要があるということで、その投資をする額というものからそのものを引くというよりも、費用負担というものを考えるときにはそういうものを引かなければならないという趣旨で書いたところであります。
 あと、その他については、頂いた意見を踏まえて少し考えたいと思うのですが、ただちょっと、最後の冨田委員から頂いた意見のところ、「まとめ」のところは不要ではないかというのは、実は産業界委員から意見を頂いたので今回参考資料としてつけさせていただいていますが、基本方針に照らして割としっかりと評価をするべきというご意見も頂いたところでもあり、それについては制度オプションのところではやったのですが、全体のところとしてやってなかった、あとは個別の論点の中でそういう視点に照らしてご意見を頂ければというところで、我々としては何も書かないのも問題があるしということで、「まとめ」のところであえてこういう形で整理したというところです。
 まとめ方の難しさというのもあろうかと思いますが、そのほかの産業界委員の方はこの点についてどういう感じなのか、もしご意見があれば、全体の作業方針にもなるので、もしコメントがあれば頂ければと思います。

○植田委員長 今の点、ありますか。どうぞ。

○岡山説明員 趣旨はこの考え方にまとめられたところを基軸にして、それに対して意見を、プラスもマイナスも併記していくという形がこの小委員会の大分前のところで話し合われたと思うのです。それをやはりきちっと書くというのは、なかなか長くなりそうだねということだけだと思うのです。そこを併記した上で報告書につけるべきかと思います。中途半端は一番よくないという趣旨かと思います。

○植田委員長 どうですか。

○北原説明員 基本的に岡山説明員と同じ意見でございます。

○植田委員長 ありがとうございます。

○冨田委員 「まとめ」というのを作るということであるならば、前段の論点の議論を踏まえて正確に記載していただくということを求めたいと思います。よろしくお願いいたします。

○植田委員長 ありがとうございました。
 ほかにもご議論がおありかと思いますが、時間もちょっと超えておりますので、残りのご意見、それから前半の部分につきましてもまだおありかと思いますけれども、それはまた後で、11月30日中ということになると思いますけれども、事務局まで。ちょっと早過ぎますか。

○冨田委員 今後の進め方のところについてもちょっとお聞きしたいことがございまして、次回は予備日で取っている12月6日ということだと思うのですけれども、それを踏まえて上部である地球環境部会に報告ということですが、12月6日、次回をもってこの排出量取引の小委員会を閉じるというお考えなのか。最終報告という形にするのか、それとも現時点におけるまとめ、中間まとめみたいな、そういう位置づけにされるおつもりなのか、どちらでしょうか。

○植田委員長 ではお答えください。

○上田市場メカニズム室長 その時点ではまだ閉じることは考えていません。ただ、その後どうなるのかという明確な考え方は今事務局にあるわけではないですけれども、目的はあくまで制度の設計についてご提言いただいて、それを受けて環境省としてどう考えるかというところですけれども、政府全体の中での動き等もあって、まだ確定しているものはございませんので、その後の動きによっては再度ご相談することもあり得べしと思っております。
 ただ、必ず開くのか、中間取りまとめなのかという位置づけもまだ断言しにくいところなので、一度ここで意見を頂いて、部会で議論していただいて、その後のことはまた別途ご相談させていただきたいと思っています。

○植田委員長 よろしゅうございますか。

○冨田委員 心配したのは、次回だけで終わるかどうかという、そこのところを心配したのですけれども、案を取るということですね。小委員会としての報告、中間にしろ何にしろ。

○上田市場メカニズム室長 いや、必要があればまた続けて、予備日を取ってないですし、皆さんの方からもどちらかと言えば部会等の議論を十分やってほしいというご意見だったのかなと思いますので、「まとめ」について2回割けばある程度議論は十分できて、もちろんここの場だけしか議論を交換しているわけじゃなくて、日ごろから意見交換させていただいていますので、それも含めて、通常考える審議会運営としては十分な時間なのかなと。それで終わるわけではなくて、また部会での議論もあるので十分かと思いますが、いや、不十分であるというのであればまた考えられないわけでもないのですが、部会との兼ね合いになってしまうので、そちらの方を数少なくするよりは、と考えております。

○植田委員長 ありがとうございました。
 それでは、今日の議論は一応これでということでございまして、あと、議論が収斂してくる部分と、意見がどうしても並列的になるというか、そういう部分とがございますので、それを正確に整理するということについては留意して、ちょっと努力してみたいとも思います。とにかくしかし、次回もう一回開かせていただいて、そこで最終的な詰めをできるだけやりたいと思っておりますので、ご協力のほどよろしくお願いします。
 そうしたら、事務局から日程等につきまして。

○上田市場メカニズム室長 それでは、本日3つに分けたうちの最初の1つのパートについては一通りのご意見を頂いたと思います。それについては修正をして、次回のご議論に供したいと思います。
 後段2つの部分については、1つに限ってというところでした。それでも頂いた意見についてはちょっと文案の方は考えて修文をしたいと思いますが、一応本日の会議資料をベースに、今日の意見の確認も含めても結構ですし、追加分だけでもいいのですが、ご意見がある場合は11月30日中に頂ければ。直して提示するというのを考えたら、ドラフト自体を以前からお渡ししているので、できればご協力いただければと思います。実際、また後から出される場合は個別にご相談いただければと思うのですが、次の予備日が12月6日と間が短いものですから、最終ドラフトをご相談する都合上、できる限り早くということでございます。個別の事情があればまたご相談いただければと思います。
 以上でございます。
 あと、次回ですけれども、12月6日月曜日、1時から4時と、同じ時間帯で考えております。場所等の詳細については追って皆様にご連絡をさせていただきたいと思います。予備日を使うことになって申し訳ございませんでした。

○植田委員長 どうぞ。

○冨田委員 1点だけちょっとお願いするのを忘れましたので。
 先ほどの末吉委員と新美委員の意見書ですけれども、ご了解が得られましたら送っていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

○植田委員長 よろしいですね。

○上田市場メカニズム室長 ご本人に確認の上、対応を考えたいと思います。

○植田委員長 では、本日はこれで終わりにします。どうもありがとうございました。

4時06分 閉会