国内排出量取引制度小委員会(第10回) 議事録

日時

平成22年7月23日(金) 9:01~11:49

場所

砂防会館 別館1階 淀・信濃

議事次第

  1. 1 開会
  2. 2 議題
    1. (1)個別論点の整理について[3]
    2. (2)その他
  3. 3 閉会

配付資料

資料1 キャップ・アンド・トレード方式による国内排出量取引制度について
~制度設計における論点の整理~
資料2 欧州諸国からのヒアリング結果等
資料3 当面の進め方について
参考資料1 自主参加型国内排出量取引制度 モニタリング・報告ガイドラインVer.4.1(抄)(2010.5.31公表)
参考資料2 キャップ&トレードの全国導入についての都の提言~東京における実績を踏まえて(2009年11月、2010年3月 東京都)
参考資料3 ライフサイクルアセスメント(LCA)事例集
参考資料4 電力の供給義務に関する質問について(影山委員提出資料)

午前9時01分 開会

○戸田市場メカニズム室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会国内排出量取引制度小委員会の第10回会合を開始いたします。
 本日は、個別論点に関する議論の第3回目ということでお願いしたいと考えております。また、環境省でこれまで行いました、海外の制度設計担当者からのヒアリング結果等についてまとめておりますので、そのご報告も簡単にさせていただきたいと考えております。
 本日は、委員総数14名中過半数の委員にご出席いただいておりますので、定足数に達しております。
 なお、笹之内委員はご欠席で、説明員として、トヨタ自動車環境部環境室長・担当部長の岡山様にご参加いただいております。
 また、本日の審議は公開とさせていただきます。
 以降の議事進行は、植田委員長にお願いいたします。

○植田委員長 おはようございます。それでは、早速始めさせていただきます。
 事務局から、配付資料の確認をまずお願いいたします。

○戸田市場メカニズム室長 配付資料でございますけれども、議事次第にリストがございます。
 資料1の論点の整理でございますが、これは第8回・第9回・第10回の論点につきまして、これまでの論点も併せまして合本させていただいております。幾つか修正点がございますけれども、その辺につきましては後ほどご説明をいたします。
 あと、資料2につきましては、先ほどご紹介いたしました欧州諸国からのヒアリング結果等、資料3が当面の進め方についてということでございます。
 参考資料1といたしまして、本日のモニタリング報告等に関連するものといたしまして、JVETSのモニタリング・報告ガイドライン。
 参考資料2といたしまして、大野委員から要請がありました、国と地方との関係ということで、都の提言を参考資料2として配付しております。
 また、参考資料3として、今回LCA的な観点ということでご議論いただきますので、事例集ということで、既存の資料からピックアップしてつくらせていただきました。
 参考資料4として、影山委員から、前回の大野委員からの質問に対する回答ということで出していただきましたので、参考資料4として掲げてございます。
 その他、ここには書いてございませんけれども、有村委員から「排出量取引が国際競争力と温暖化国際交渉に与える影響」ということで報告書をいただきましたので、これは委員に対する机上配付ということで配付させていただいております。
 資料は以上でございます。

○植田委員長 よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、議事に入ります。
 まず、資料1に基づきまして、続けて個別論点がありますけれども、[6]の費用緩和措置、[7]その他についてご議論いただくということで、その後、資料2、3について報告いただきたいと思います。資料1はちょっと長くなりますので、前半、後半に分けてご議論いただきたいと思います。
 では、事務局から資料の説明をお願いいたします。

○戸田市場メカニズム室長 それでは、資料1についてご説明させていただきます。
 前半、後半ということでございますけれども、今回の表紙を見ていただきますと、今回は67ページからの費用緩和措置とその他ということでございます。ただし、その費用緩和措置につきましては前回も簡単にご説明しまして、さわりの部分のご議論をいただいたということでございますので、この辺につきましては簡単にご説明させていただきます。
 また、冒頭にも申し上げましたように、この資料につきましては、第8回・第9回における指摘を踏まえまして若干修正した点もございますので、その辺、どこを修正したかということをまず最初にご説明したいと思います。
 まず、ページ数が右下のほうに振ってあります。そのページ数で申し上げますと、1ページの小委の検討経緯というものを追加いたしました。
 また、これは事実関係に関する資料でございますけれども、5ページ、6ページを追加したということがございます。
 また、7ページでございますけれども、これは制度設計に対しての基本的考え方ということで、前回までの資料では、排出枠の設定に関する基本的考え方ということでございましたが、これは制度設計全体についてのものではないかというふうなご意見を踏まえまして、冒頭に持ってきたということでございます。
 併せて、3番と4番、公平性と透明性はちゃんと分けて考えるべきであるという御意見がございましたので、この辺は分けてございます。
 あとは、ちょっと下のほうに行きまして、17ページの排出枠の総量のところで、エネルギー転換部門も、最初のポツのところで入れてございます。これは、直接排出の場合だけでなく、間接排出で扱った場合であっても、原単位改善ということを求めていくということもございますので、エネルギー転換部門というのはいずれにしても入るだろうという趣旨でございます。
 また、25ページでございますけれども、ちょっと細かいところでございますが、電力直接方式の場合の留意事項として、電力直接方式をとった場合には電力はカーボンフリーとみなされるというふうな記述がございますけれども、ちょっと正確性、誤解を招く表現であったことから、この辺は修正させていただきました。
 あとは、36ページでございますが、先ほど留意事項のところで、公平性と透明性につきまして別物であるということから、分けて記載いたしました。
 54ページの3.がございますけれども、以前の資料では左上の部分の業種が書いてなかったのですけれども、幾つかの代表的なものについて追記いたしました。
 ちょっと戻っていただきまして、50ページに東京都の制度についての注記を、これも前回の委員の意見を踏まえまして追記させていただいたというところでございます。
 以上が5.までの修正点でございます。
 続きまして、今回の審議事項につきましてご説明いたします。
 6.の費用緩和措置ということで、実質的なスライドは68ページからでございます。68ページ、費用緩和措置ということであります。
 この辺につきましては前回ご説明いたしましたので簡単なご説明にとどめますけれども、68ページの[2]にございますように、排出枠価格の長期高止まりへの懸念、また、[3]にございます短期的な急変動への懸念ということから、費用緩和措置が必要であろうということであります。
 ただ、最後の文章にありますように、長期高止まりや短期的な急変動の水準を事前に決めておくことは困難であって、事後的な対処では市場の機能を阻害するということから、あらかじめ何らかの費用緩和措置を組み込んでいくということを検討すべきであろうということで、幾つかのオプションを次の69ページに書いてございます。
 ここで、[7]の戦略的リザーブにつきましては、前回の大塚委員の指摘を踏まえまして追加したものでございます。
 70ページ、バンキング、ボローイングというものが、海外制度におきましてもそういったアプローチがとられているということ。
 71ページでございますけれども、外部クレジットの利用ということで、国内の削減・吸収量によるオフセットを認める、また、海外におけるクレジットによるオフセットを認めるということと、あとは、真ん中にあります海外の排出枠の利用を認めるというのも、外部クレジットの利用ということでこの類型に入りますが、これにつきましては、国際リンクということで実質的には同じことであるということであります。
 外部クレジットの利用についての海外制度の事例が、72ページに紹介してございます。
 73ページ、国際リンクでございますけれども、これにつきましては慎重な議論が必要であろうという書き方にしているところであります。
 74ページ、費用緩和措置(市場管理組織)による対応ということで、こういった組織を置くことによって対応するというふうなオプションについて、海外の事例といいますか、実質的に事例としてあるのは米国で、成立はしてはおりませんけれども、リーバーマン・ウォーナー法案でこういったアイデアが出されているということを紹介しておるというところでございます。
 以上が6.でございますけれども、次、7.その他につきましては、前半ということですので、7の(3)登録簿の辺りまでのご説明をしたいと思います。
 まず、「遵守ルール」と「排出量のモニタリング・算定・報告・公表、第三者検証」、「登録簿」、この3つにつきましてご説明したいと思います。
 76ページでございますが、遵守ルールということで、国内排出量取引制度での遵守、不遵守というのは2つの分野がある。1つは、検証・報告義務の履行・不履行というもの。第2点としては、削減・償却義務の履行・不履行というものがある。
 それぞれに対して、不遵守の場合の制裁措置というものを検討すべきであろうということで、1つ飛びますけれども3番目の「■」で、不遵守時の取扱いということで論点を書いてございます。検証・報告義務違反の場合には、既存環境規制における罰則とのバランスを考慮して、同等の罰則を課すことが考えられるのではないか。ただし、この義務不履行の場合に、何らかの形で排出量を確定させる必要があろうという留意事項を書いております。
 削減・償却義務違反につきましては、これはしっかりと遵守していただくためのインセンティブとしての措置が必要であるということで、社名の公表や課徴金、罰金などが考えられる。
 課徴金、罰金を払った場合でも削減・償却義務の遵守を求めるか否かについては、検討が必要であろう。これを求めない場合には、課徴金、罰金を払って済ませるということがないように、何らかの額についての検討が必要であろうということが書いてあります。
 ちょっと戻りますけれども、2番目の「■」で、遵守期間ということで、テクニカルな問題ではございますけれども、遵守期間についてもご議論をいただくことが必要であろうということで、これは具体的には77ページに、EU-ETSと東京都の例がございます。
 EU-ETSにつきましては、1年間、各年で遵守・不遵守を判断して、それぞれ償却をさせるという制度になっております。
 先ほどボローイングのところで詳細な説明はしませんでしたけれども、この図を見ていただきますとわかりますように、EU-ETSにおいては、前年の排出量に見合う枠の償却を翌年の4月末までに行わなければいけない。それに先立つ2月末に次期排出枠が交付されるということで、その次期のために交付された排出枠をボローイングすることができるという仕組みになっております。それより以降のものをボローイングするということはできないのですけれども、こういう形でボローイングが可能なような仕組みになっているということでございます。
 東京都におきましては、5年間、第1次の計画期間の5年間、遵守・不遵守の判断をしてその5年分を一括して、2015年3月末までに償却をしていただくという制度になっているということでございます。
 次、78ページでございますけれども、これは既存の各制度における罰則等の措置について書いてございます。検証・報告義務違反について、それぞれの考え方で不遵守の措置が定められている。
 償却義務違反につきましては、東京都においては、不遵守の場合には削減不足量の1.3倍の調達義務が課される。それが達成されない場合には、罰金が課されるほか、知事による不足量の調達、都が事業者になり代わって不足量を調達して、その費用請求を行うというような仕組みになっているということでございます。
 外国の例では、不足した排出枠の量に見合う課徴金を科するほか、不足した排出枠の償却義務は免除されないという仕組みになっているというところでございます。
 以上が遵守ルールでございまして、79ページからが第2点、排出量のモニタリング・算定・報告・公表、第三者検証ということでございます。
 基本的な考え方として79ページに書いておりますけれども、国内排出量取引制度においては、すべての対象者が統一的なルールの下で排出量を正確に把握することが重要であると。
 3番目の「■」に飛びますけれども、こういったものにつきましては制度対象者とは独立した立場で、統一的なルールの下で算定結果を検証する第三者機関の存在が不可欠ではないかというふうに書いてございます。
 4番目の「■」は、算定・報告・検証といったところからはちょっと離れた論点になるかもしれませんけれども、公表ということで、基本法案の第13条第2項における検討事項として、何を公表するかということについて検討すべき旨を書いておりますので、この辺につきましてもご検討いただく必要があろうということであります。
 80ページが、算定・報告・検証といったもののステップ、既存の例でございますけれども、JVETSにおける例が書いてございます。
 まず、ステップ[1]としてバウンダリを設定する。そのバウンダリの中で、ステップ[2]として排出源を特定する。ここでは、焼却炉、重油ボイラというものがありますけれども。では、これらの排出量をどういうふうにモニタリングするかということで、ステップ[3]として、モニタリングポイントとモニタリング方法の特定。ここにおいては重油タンクからの受け入れと、そこからどれだけ燃料を使ったかというものでモニタリングをしようということになります。
 ステップ[4]として、モニタリング・算定体制の構築、ステップ[5]として排出量のモニタリング・算定を実際に行って、ステップ[6]として算定結果を検証する。このようなステップになっているというのが現在のJVETSの例でございます。
 81ページは、これは排出量取引制度ではなく、現在の温対法に基づきます算定・報告・公表制度においてどのようなアプローチがとられているかということでありまして、その対象ガス、対象者、対象者としては事業者単位となっておりますけれども、裾切りを超える事業所については事業所ごとの排出量も併せて報告するということになっております。
 ちょっと飛びまして、報告内容として事業所情報、また排出量とその調整後の排出量、つまり京都メカニズム等を使用した場合にはそれで調整するということが認められております。
 モニタリング・算定方法につきましては、モニタリング方法の規定はなく、算定方法・排出係数は法令で規定されており、検証はされていないという、そういう状況でございます。
 これが既存の排出量取引制度においてはどうなっているかということで、82ページでございます。EU-ETSと米国の法案と東京都制度におきまして、その報告内容とモニタリング・算定方法、検証、検証機関といったような規定がどうなっているかということについて整理をしております。
 83ページは、具体的に検証機関というのはどういうものがあるかというもののリストであります。
 ここで、下の「(参考)」というのがございます。これはキャップ・アンド・トレードではないのですけれども、オフセット・クレジット(J-VER)の制度におきまして、こういった検証機関の人材が地方にはなかなかいない、大都市からいちいち検証に出向かなければいけないという状況を解消する必要があるということで、環境省において地方における検証人の育成事業を併せて行っているということを紹介させていただいております。
 84ページに、ISOの状況について説明してございます。ISOにおきましては、こういった排出量のモニタリング・算定・検証について、標準的な手法を定めた国際規格の制定が順次なされております。
 まず、最初のISO14064-1、これはJISとして発行済みでございますけれども、これはキャップ・アンド・トレードに関連いたします組織又は企業に、例えばその事業所における温室効果ガスの排出量の定量化における手法というものが定められているということでございます。
 ISO14064-2というのは、これはプロジェクト・ベースということですので、プロジェクトによる排出量によるオフセット、例えばオフセット・クレジット(J-VER)における検証、排出量の算定というのはこれに則って行うというようなことになろうかと思います。
 ISO14064-3というのが、この2つに共通した検証のあり方と指針です。
 その検証機関についてISO14065、また、検証機関の中の人材への要求事項としてISO14066というようなものが検討されているというところでございます。
 85ページに、では、これが各国においてISOの規格はどういうように使われているかということで、英国、フランス、スペインや米国においてその検証制度が構築されているという状況。また、我が国においては、日本適合性認定協会(JAB)において、この検証機関の認定を始めているところであるということについて紹介をさせていただいております。
 このテーマにつきましての論点でございますけれども、86ページに表として書いてございます。この点についてご議論いただければということであります。
 算定・検証単位としては、事業所単位ということが考えられるのではないか。
 報告内容については、ここに記載のようなものが考えられるのではないかということでございますが、注記として、ベンチマーク方式を採用する場合には、活動量についても報告・検証というのが必要ではないかということであります。
 モニタリング・算定、検証については、統一的なガイドラインに基づく必要があるのではないかといったようなこと。
 また、報告先・報告頻度、公表と。公表につきましては、こういった報告内容についてどこまでを公表するかという点についてご議論をいただきたいということであります。
 前半の最後でございますが、87ページ、登録簿でございます。87ページにございますのは、これは現行の温対法に基づきます国別の登録簿、つまり、国の排出枠並びにCDMのクレジットなどを管理するものとして構築されているものにつきまして説明をしております。
 国際的に、国際取引ログというのがあって、これにつながって各国において国別登録簿というのが整備されている。我が国の登録簿というのは、下のような形になっておりまして、国の口座と法人の口座というのがあって、内国法人が途上国のプロジェクトによって得ましたCDMによるクレジットを法人の口座にまずは移転して、そこから国の口座に移転して償却をするという仕組みになっているということでございます。
 この現行の国別登録簿システムにおける法的な規律というものについて、88ページにございます。平成18年1月の検討会の報告書を受けまして、法律において算定割当量というものの記述、効力発生要件、保有の推定、善意取得といったようなものについて記述をしたということでございます。
 89ページが、それではこれを国内排出量取引制度について考えた場合にどのようなシステムになろうかということで、そのイメージを描いてみたものでございます。
 国内排出量取引制度においても、登録簿システムが必要であろう。その際には、排出量管理システムと併せて整備することが必要であろうと。また、法的記述を定めることが求められるであろうということで、具体的には89ページの下のような図になるのではないかということであります。
 全体の国内排出量取引制度運用システムの中に排出枠の管理システムというのがあって、ここで国が各社にその排出枠を交付する。それとの間の取引ができるようになっている。この償却量というのは、排出量に応じた償却をするわけですので、排出量の管理システムというのがあって、これに対して第三者の検証機関が検証するというふうなシステムがある。これが国別登録簿等のその他のシステムと連携している。このようなイメージになるのかなということであります。
 こういった登録簿につきまして、その法的な記述はどうあるべきかということで、90ページに昨年度の法的課題についての検討会の中間報告について、国別登録簿と同様の法的記述を求める必要があるのではないかというような提言がなされているということをご紹介しております。
 まず、前半につきましては以上でございます。

○植田委員長 どうもありがとうございました。
 では、ただいまの説明につきましてご議論いただきたいと思います。いつものように、発言される際はネームプレートを立てていただきましてと思います。いかがでしょうか。
 それでは、まず、大塚委員からお願いできますか。

○大塚委員 どうも、大塚です。
 よくまとめていただいていると思いますけれども、2点ほどちょっと申し上げておきたい点がございますけれども。
 76ページのところですが、この検証・報告義務違反の場合の罰則ですけれども、もし虚偽だということがわかっていてという故意の違反の場合は、かなり高額にしておいたほうがいいのではないかという問題が罰則については多分ありまして、「既存環境規制における罰則とのバランスを考慮し」ということになると、あまり高くならないのかもしれませんけれども、ここのところは実は排出量取引の多分一番根本に関わるところで、ここがいい加減だと、あと全部おかしくなりますので、ある程度の額を考えたほうがいいのではないかと思います。
 今はちょっとうろ覚えですが、ドイツはたしか5万ユーロだったかと思いますけど、虚偽の報告義務違反だとそのぐらいの額にはなるので、ちょっとそこは、今までの環境規制と同じにしなくてもいいのかなという、ちょっと排出量取引特有の問題があるのかなという感じがいたします。
 それから、少し下の削減・償却義務違反の場合に、課徴金・罰金を払った場合でも削減・償却義務の遵守を求めるか否かということでございますが、これは現在、EUも東京都も買ってくるという調達義務ですね、償却義務というのを認めていますので、恐らく求めるのが普通の考え方になるのかなと思います。ここが、求めないと、後で国のほうで買ってこなくちゃいけなくなるので、なかなか大変な話にはなりますので、求めるのが普通だろうと思います。
 ただ、情報として申し上げておきますと、これを求めないという方法も全くないわけではなくて、前にデンマークがやっていた方法ですけれども、それを仮にとると、課徴金の額以上には市場の価格が上がらないという効果も出てきますので、そういう考え方が全くあり得ないわけではないと思いますけれども、国が調達しなくちゃいけないということが発生するのを抑えるためには、恐らく削減・償却義務遵守もさらに求めるということが必要ではないかと思います。
 それから、あと1点だけですが、公表についてどのぐらいにするかというのは、これはちょっと皆さんのご意見を伺いながら私も考えたいと思いますけれども、排出量以上に何か出したほうがいいかということだと思いますけれども、この辺はやはり企業秘密との関係も考えながら、多くすれば多くするほどいいということでは必ずしもないところがございますので、慎重に検討したほうがよろしいのではないかと思います。
 特に排出枠をどのぐらいで買ったかという価格とかというのは出さないほうがいいというのは、今までも議論がございますので、その辺、多少慎重に考えたほうがいいのかなと思います。
 以上でございます。

○植田委員長 ありがとうございました。
 それでは、大野委員、お願いできますか。

○大野委員 報告制度に関して何点かなんですけれども、まず82ページでございますが、東京都の制度についてメンションしていただいているのですけれども、「エネ起CO2以外」は「任意」と書いているのですが、これはちょっと正確ではございませんで、「エネ起CO2以外」のガスについても報告は義務となっております。6ガスについては報告が義務であります。ただ、「エネ起CO2以外」は、当該事業所が自らの削減義務に活用したい場合以外は第三者検証は要らないということになっておりますが、報告自体は義務ということになっております。
 それから、84ページ、85ページの辺りで検証をISOの活用という話があるのですが、これも都制度をつくるときに我々もこれは検討いたしましたが、結果的に、都制度はISO規格に基づくという形にしておりません。それは、我々が当時検討した際には、ISO規格の必須ということで検証の制度を高めることを目指しますと、検証機関が自立的に検証の精度を確保するために検証コストが上がってくるのではないかという懸念がありました。また、EU-ETSでも、必ずしもすべてがこのISOに準拠しているわけではないという状況もありました。検証の精度を高めるという点については都が策定するガイドラインで検証事項を詳細に記載することで、検証コストの削減にもつながってくると考え、採用しなかったということでございます。
 したがって、これは国の制度がどの程度の規模の事業所を対象にするかということにも関わってくると思うんですけれども、かなり広範な事業所を対象とする場合には、このISO規格を本当に求めるのかということは少し検討の余地があるのではなかろうかと思っております。
 それから、86ページでありますけれども、ここで整理をしていただいて、算定・検証単位は事業所単位というふうになっております。これはこれがよろしいというふうに思うのですが、その左側の項目のところで、「排出枠の交付単位とは異なる」と書いてあるんですけれども、これだと、何か排出枠の交付単位は事業所単位じゃないんだというふうに言っているように見えるのですが、ここは多分議論があるところだと思います。これは逆に、多分書かれているのは、排出枠の交付単位も事業所単位と決めたわけではないですよという意味だと思うんですけれども、逆に事業所単位にはしないというふうに断定しているように見えかねないので、ここはちょっと書き方を注意していただければと思います。
 それから、同じその表についてですが、報告先・報告頻度ですが、報告先が「制度管理者(政府)」になっております。これは当然のことだと思うのですが、ただ、このときに得られた情報が、この政府というのが、中央政府だけに集まって地方政府には行かないというような形になるのはまずいだろうと考えております。
 これは前にも申し上げましたが、現在の温対法はまさに、あるいは省エネ法はそうなっておりまして、事業所が出された情報は中央政府にしか行かないというふうになっております。国と地方の関係をどうするかはまたこれからの議論ですが、どうなるとしても、その地域の大規模事業所がどの程度CO2を出しているのかというのは、その地域の都市づくり、地域づくりに関して非常に重要な情報でありますので、単なるマクロ的なデータだけではなく、中央政府に提示された情報が地方政府とも共有されるということにすべきだろうというふうに思っております。
 前段の部分では以上でございます。

○植田委員長 ありがとうございました。
 それでは、末吉委員。

○末吉委員 すみません、途中で上げたんですけれども、先にご指名いただいてありがとうございます。
 先ほど、大塚委員のお話を聞いてちょっと思ったんですけれども、この罰則規定に関連してなんですけれども、ここで求められる情報の開示の意味といいますか位置付けということでちょっとお話なんですけれども。
 ETSの運用上の立場からどういう情報を出すのか、あるいはその内容が正確なのか、正しいのか、虚偽があるのかという視点がまず基本にあると思うんですけれども、一方で、今、世界で起きていることは、企業全体の評価のために必要な情報開示、その情報開示の正確性、虚偽があるのかという視点が一方であるわけですよね。
 そうしますと、ここでETS絡みの排出量関係の情報が、単に排出量の問題なのか、それとも企業のガバナンスを含めた企業の経営姿勢の問題なのかというふうに、問題が多分大きくなるんだろうと思います。
 現に、SECが今年の1月に変えたガイダンスというのは、企業業績にマテリアルな非常に重要なことであれば、CO2についてリスクとオポチュニティの情報を義務として開示する必要があるのだと、そういうケースもあり得るのだというふうに言っているわけであります。
 とすると、ETSのための情報開示という位置付けで情報開示を見るのか、それとも企業全体のガバナンス、企業評価、これは後でまた機会があればお話ししようと思うのですけれども。今、世界はCO2情報をベースに、企業に投資するかしないかの意思決定をするという時代に入っているわけですね。とすると、そういう流れの中でこういった問題をどう扱うのかというのは、ちょっとそういう視点も置いておかないとですね。
 特に、エンロン以降の企業改革法で、虚偽の重要な情報の開示ということについては罰則規定が非常に厳しいですよね。たしか有村委員、CEOなんか20年ぐらいの禁固刑ですよね。企業改革法に基づく虚偽の発表があったとすればですね。ですから、その辺のところの、将来、情報開示の位置付けがどういう位置付けになっていくのかも読み込んだ議論を、底辺としてはしておく必要があるんじゃないかというふうに思います。

○植田委員長 ありがとうございました。
 それでは、則武委員、お願いいたします。

○則武委員 3点ございます。
 まず、84ページのISOの活用ですけど、我々としてはこれはかなり重要だと思っております。今回、どこの範囲まで日本の制度で事業者を織り込むかということはあるかと思いますけれども、日本の企業はISO14001の取得率も世界中で一番ずば抜けて多くて、認証費用についてもISO14001でかなり負担してでもやっているという状況ですので、それに何らかの形で追加的なチェックというような形になれば、費用負担もそうでもないのではないかと思いますので、こういったISOとの整合というのは必要だと思います。
 それから、85ページに検証機関の認定という部分がございますけれども、検証機関の認定ということだけではなくて、検証に対する基準を制定しなければ、検証機関を認定するだけではばらつきを防げないということになると思いますので、この検証制度に対する検証の基準づくりをどこでやっていって、その基準のメンテナンス等はどこがやるのかというのは決めていく必要があると思います。東京都の場合にも、検証基準のようなものは出されたと思いますけれども、何とかばらつきを防止する必要があると思います。
 それから、86ページの算定・検証単位が事業所単位となっておりますけれども、※の中で、企業単位でも想定となっておりますけれども、先ほどの末吉委員の意見等を踏まえても、やはり対象が事業者も対象とするならば、検証単位は事業者単位にすべきだと思います。基本的には、事業者単位にすることによって、本社部門等のチェックという、特にガバナンスという部分が効いてきますので、それを考えると、事業所単位で実施するよりも事業者単位で実施したほうがより効率よく確実な制度になると思います。
 以上です。

○植田委員長 ありがとうございました。
 では、増井委員。

○増井委員 どうもありがとうございます。
 1点だけなんですけれども、79枚目のスライドの排出量のモニタリング・算定・報告というところなんですが、多分、実際に統一的なルールをつくる際にまた議論されるんだろうと思っているんですけれども、こういう排出量に関する情報というのが非常にいろいろ出てくる可能性があるわけで、特に条約事務局等に提出するインベントリー等との問題といいますか整合性、もちろんこの排出量取引でカバーする事業所なり排出量というのが、日本全国の排出量すべてをカバーするわけではありませんけれども、ある意味、いろいろな情報との整合性、特に先ほど言いました国際的なインベントリーとの整合性、そういったところについてはやはり何らかの配慮が必要ではないかなというふうに思っております。
 以上です。

○植田委員長 では、武川委員。

○武川委員 3点あります。
 1つ目が、今の増井委員のおっしゃった79ページなんですが、後半で出てくるかもしれないんですが、この公表に際して一つ必要な視点として、排出量取引制度そのものの運用ということももちろんあるんですが、その一環として、いわゆる取引ですね、市場を規律していく上で、市場にどういう情報が出ているべきなのか。例えば排出量全体でいいのか、個別企業の排出量まで必要なのか、あるいは政策の動向等も含めて、市場全体にどういう情報のフィードバックが必要かという視点も併せて考えたほうがいいのかなという気がしております。これは後ほどの対象かもしれませんが。それが1点です。
 それから、86ページの算定・検証単位なんですが、これは事業所か事業者かという幾つかご意見が出ているのですが、企業の開示として企業全体の排出量が必要であるというご意見、それ自体は非常に合理的だと思うのですが、一方で排出量取引制度ということにかんがみた場合には、やっぱり正確な算定・検証ができる、あるいはそこに多大なコストがかかり過ぎないということも大事なので、やはりこの制度の中では事業所単位なのかなという気が私は何となくしているんですね。ここはぜひ実態も踏まえた議論が必要かなと。
 おっしゃるところは別の制度で、例えば有価証券報告書における開示をどうするかとか、そういう面でカバーすることもできるのじゃないかなという気がしています。
 それと、この事業所単位のところは、ここで言う事業所って何なのかということも、これはちょっと以前お話ししたところなんですが、もう一回検討してみる必要があって、例えばこれ、テナントビルで言えばビル全体を事業所と言っているのか、それともテナントが2つ入っていたらそのテナントごとに入っているパート、そこを事業所と言っているのか。こういった事業所概念とは何ぞやというのを、既存の省エネ法、温対法の制度が本当に合理的なのか、あるいは、その制度としては合理的なんだけれども、排出量取引制度に使うという意味でそのまま使えるのかというのは、もう一度検証が必要かなと思っております。2点目でした。
 それから、3点目が87ページなんですが、登録簿に関してはここにお書きになられたとおりかなと思うのですが、実務的には一つぜひやっていただきたいなと思うのが、いわゆるDVP、デリバリー・バーサス・ペイメント、要するに、お金の支払いと排出量の決済を同時に行うということが極めて実務的には重要でして、そういったDVP決済に対応できるようなシステムなり仕組みというものを、これは幾つかのアイデアがあると思うのですが、ぜひ導入するよう積極的に検討していただきたいなというふうに思っております。
 以上です。

○植田委員長 ありがとうございました。
 では、諸富委員、お願いできますか。

○諸富委員 私は最初76ページの点ですね、遵守期間というのは非常に重要な点で、ここでは、EU-ETSのように1年で単位を切って、そこで一旦排出の算定・検証をやって、償却も年度内といいますか翌年の4月末までに終えてしまうというタイプと、それから東京都の遵守期間イメージということで、1年ごとに算定・報告はするけれども遵守自体は求めずに、結局5年が終わった後に整理期間を置いて、そこで償却を求めていくという。どちらがよいのかというような問題提起ですね。
 私自身は、あまり深くこの点についてどっちというわけではないのですが、しかし、一応1年ごとに償却を求めていくのが望ましいのではないか。5年の期間を置いてしまうと、結局その間にチェック期間がない、機能が働かないということになってしまうのではないかというふうに思うのですが、他方で、1年ごとに求めていくと、あまりにも被規制者、規制される側からするとあまりに短期的な視野で合わせていかなければいけない。自分の排出実績と持っている保有排出枠との整合性を常に気にしていかないといけない。5年ということであれば、長期的に自分たちの排出削減で何ができるか、どういう投資をするかということとの関連で、5年タームでの視野で物事を見て決定できる、そして行動できるというほうが柔軟性があるという考え方も一方であると思うんですね。
 その利害得失は私もよくわからないんですけれども、事務局としての利害得失についてどういうお考えなのかをもう少しご説明いただきたいのと、あと、大野委員には、なぜ5年という形にしたのか、EU-ETS型ではなかったのか。多分、いろいろな産業界の方々と議論された結果として5年というのを多分選ばれたと思うんですけれども、ちょっとその経緯をもう少しご説明いただければ、利害得失の議論ができるかというふうに思います。
 それから、80ページ以降、モニタリング・算定・報告・公表の単位をどうするかということで何人かの委員の方々が言及されましたけれども、私もやはり事業所単位でやるべきではないかなというふうに思います。どうしても排出量が適正に報告され、算定されて、公表されているかどうかということを考えていく際に、事業者単位でいくよりも事業所単位できちっとモニタリングし算定・報告するシステムを構築するほうが、やはり客観的かつ透明性の高い形で実行できるのではないかというふうに考えております。
 そういう意味で、80ページなんかにはJVETSがどういうふうに具体的に算定・報告・モニタリングしているかということが出ておりますが、こういう形でJVETSが既に行われているノウハウを検証していく形で、排出量取引制度の本格的なものを導入する場合にもやっていくことが望ましいのではないかなというふうに思います。
 そういう意味で、ただ、もちろんこのレベルでかなり詳細にやっていきますと、86ページにそのモニタリング・算定・報告等のあり方が、排出枠の交付単位では異なる。ですから、排出枠の交付単位が事業所なのか事業者なのかで議論がございますが、それとは別に、少なくともこのモニタリング・検証の単位は事業所に置くという姿勢が必要ではないかなと。
 かなり報告内容について詳細な項目が挙がっておりますが、これ自体は私も賛成ですけれども、ただ、これは企業の、公表されてはビジネス上まずい情報というのもあるかもしれないので、一番下に書いてあるように、公表ということに関しては、もちろんどの程度ということは議論が別途必要かと思いますが、基本的にはこのような方向でよろしいのではないかなというふうに考えております。
 以上です。

○植田委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、明日香委員、お願いできますか。

○明日香委員 1点だけです。外部クレジットの利用に関してです。
 71、72ページと外部クレジットのことが書いてあると思うのですが、まずちょっと確認なり整理が必要だと思うのは、例えば72ページで、EU―ETSの第2フェーズで「割当総量の7~20%程度」が可能というのは、国全体でということだと思います。なので、多分問題は、EU-ETSの対象企業がどれだけ使っていいかという話と、国がどれだけ使っていいかというのはちょっと違うと思います。
 企業がどれだけ使っていくかということに関しては、EU-ETSの第1フェーズでは上限はなかったと思います。なので、実際に、特に無償の場合に、無償で割り当てられたものをとっておいて、CERを償却してバンキングしてというようなことがいろいろ可能だったように聞いております。
 それは一つのやり方ではあるとは思うのですけれど、個人的には何らかのその企業のCER、のみがあると思うんですけれど、量は制限したほうがいいのかなとは思います。その数値をどういうふうにするかは議論があるところだと思いますが。
 そのときに、これはちょっと細かい今後の論点になるかと思うんですけれども、どういう種類のCERだったらいいかとか、それこそ日本は、ずっとコベネフィットというのを言っていますので、そういうものを企業は買っていいけれども、ほかの種類は買ってはいけないとか、コベネフィットの議論、CERだったらちょっと多目に計算するとか、そういうまさに日本のやり方、日本の考え方に沿ったCERの買い方というのを、国だけではなくて企業としてもある程度制度設計をつくることは可能なのかなとは思います。
 以上です。

○植田委員長 有村委員、お願いできますか。

○有村委員 私は確認をしていただきたいということが2点ありまして、69ページの資料で、3点ですかね、[3]の排出枠価格の上限の設置ということで、他制度の状況では「なし」となっているんですけれども、こういったセーフティバルブのようなものは、アメリカの法案レベルでは検討事例が多々あるように記憶しておりまして、他制度の状況で、今これ米国のケリー・リーバーマン法案なども列挙されておりますので、「なし」と書くのは必ずしも妥当ではないのかなというふうに思っています。
 それから、[4]番の外部クレジットの活用のところでも、EU-ETS、東京都制度、米国ケリー・リーバーマン法案とありますけれども、72ページのほうに書かれていますように、RGGIのほうでも、アメリカ国内の他地域でのオフセットとか、あるいはある価格に排出枠価格が達成したときに、CERの利用とかというのが書かれておりますと思いますので、そこは追加されたほうがいいのではないかなと思います。
 それとあと、[5]番の国際リンクに関しても、これもあくまでも法案レベルではあると思うんですけれども、ケリー・リーバーマン法案とかそれ以前の法案では、外部クレジットの検討などはされていたというふうに言えるような記憶がありますので、これを確認していただければと思います。
 以上です。

○植田委員長 ありがとうございました。
 先ほど、諸富委員から質問が出ておりましたけれども、大野委員、よろしいですか。

○大野委員 ご質問いただいたこの遵守期間をどうするかというのは、確かに、東京都の制度を設計するときにも一つの大きな論点だったものでありまして、一方で、キャップ・アンド・トレード制度の目的と申しましょうか、その機能のどこを重視するかという議論と関わりがあるのですけれども、できるだけ取引量を多くして、それによって炭素の削減価格を明らかにするという点では、やはり毎年毎年、義務のように公表をして、取引量が多くなるというのが望ましいだろうという考え方もございました。
 一方で、我々がまさにステークホールダー会議等々で東京都内の事業者の皆さんとお話をしている中では、やはり取引に依存するというよりは、できるだけ自分のところで削減するのが望ましいのだというご意見もたくさんいただきました。基本的にはその意見を踏まえまして、5年間という期間の中で削減をしていただくという仕組みにしたということでございます。
 なぜ5年間かということに関しましては、我々の制度のベースになっている2005年から始めた計画書の制度が5年間というふうになっておりましたし、中長期的な投資計画の策定を進めていただくという点からも、それを踏襲したということでございます。
 ちなみに、海外の制度、事例では、ここではEU-ETSと東京都の制度だけを書いていただいておりますが、私の記憶ではRGGIは3年間を義務の履行期間にしていたかと思います。それから、カリフォルニア州のAB32で設計された制度も、たしか少し前までは3年間となっていまして、それを1年にするかどうかという議論が行われているという状況であったかと思っております。
 以上でございます。

○植田委員長 ありがとうございました。
 では、事務局から。

○戸田市場メカニズム室長 まず、諸富委員からご質問のありました、遵守期間における利害得失というものでありますけど、これにつきましては先生がおっしゃったとおりかなと思います。
 まず、長期にした場合にチェックが働くかどうかという議論があるけれども、あまりに短期的にした場合には、短期的な凸凹があったときに、いちいち排出枠を調達しなければいけないということがあると。その辺をどういうふうにバランスさせるかというふうなご議論をいただきたいということでございます。
 当然、その手間ということもありますけれども、これはいずれにしても算定・検証につきましては東京都の制度においても毎年ということになっていますので、ここは確かに、複数年で算定・検証を行うのかという議論もあるにはあるかと思いますけれども、他制度の状況を見ると、そこは大体収束しているのかなということがありますので、その短期的な凸凹をどうするかというふうな話と、そうは言ってもその排出の削減対策の必要性に対するチェックが働くかどうか。短期的な対応については、バンキング、ボローイングというところで緩和することができるというふうな考え方もあろうかというふうに思います。
 あと、有村先生からございました、69ページの他制度におきます上限の設置でございますけれども、これは必要に応じて補佐のほうから補足させますけれども、基本的には、オークションにおいての上限価格という意味での規定はKL法案でもあったかと思いますけれども、厳密な意味でのセーフティバルブというものは、そういう規定までは例が見られないというふうな趣旨で書いているということであります。
 国際リンクにつきましても、これは国際リンクを検討するような規定というのは確かにありますので、ここを「なし」というのは、もしかするとここは見直したほうがいいかもしれません。
 このくらいだったかと思いますけど、以上です。

○市場メカニズム室 事務局から若干補足させていただきますと、価格上限の設置は、確かに有村先生ご指摘のとおり、ほかの法案、例えばビンガマン・スペクター法案はもっと直接的に書いてありまして、15ドル以上になりますと、あとは基金に拠出するとそれで目標を達成したことになるということです。もうちょっと検索範囲を広げると、いわゆる表舞台に立っていないような法案の中にもそのようなアイデアはあるということですが、KL法案自体ですと、先ほど室長から説明されましたとおり、法案概要でもソフトな価格上限という言い方をしていまして、実際に法案を見てみますと、オークションの上限価格、あるいはオークションの発動価格と、そのような形で規定があるということでございます。
 以上です。

○植田委員長 有村委員、いいですか。
 では、冨田委員、お願いできますか。

○冨田委員 ありがとうございます。私、5.のほうなんですが、それでもよろしいですか。

○植田委員長 はい、どうぞ。

○冨田委員 前回までの議論を取りまとめて一部修正していただいたということですが、前回、私が発言させていただきました電気の排出係数のところですけれども、66ページの一番最後のところかと思いますが、需要家が用いる排出係数というところで、前回もお話ししましたけれども、需要家において電力の使用量に増減を伴うような温暖化対策について、CO2削減量を算定するときにどういう排出係数を使うのかということについて、まだ課題が残っていることについて、ぜひ追記をお願いしたいと思います。
 現行の温暖化対策推進法の算定・報告制度のマニュアルにおいては、これについてはさまざまな考え方があると記載されております。KWh当たり大体0.4kg-CO2である全電源平均を使うのか、それとも電気の需要の増減によって発電量を調整されると考えられる火力のケース、これだと大体0.7ぐらいに相当すると思いますけれども、かなり大きな差があるということで、それによって対策の評価が大きく異なります。
 この問題を認識せずに制度をつくることについて非常に懸念をしておりますので、ぜひ課題が残っているという追記をお願いいたします。
 以上です。

○植田委員長 ありがとうございました。
 よろしいでしょうか。
 ございますか、はい、どうぞ。

○武川委員 1点だけちょっと補足で、遵守期間のところで東京都のお話があったのですが、現場でこういう話が出ていますというところで情報提供なんですが。
 遵守期間を何年にするかというのは、どういう対策が必要で、それにどのぐらいの期間がかかるかというのは非常に大事なんですが、もう一つ大事なのが、だれがどういうふうに対象者になるかということも大事で、東京都の制度の場合はオフィスビルが対象ですから、共有物件とか区分所有物件というのが相当実はあるんですね。その場合に、削減義務者というのは、共有者、区分所有者が連名でというか連帯して、あるいは共同して義務者になっていまして、この場合には、みんなが同じく義務を負っているということになっています。
 そうなると、例えば1年の期間だと、じゃ、共有者同士でだれがどれだけ負担しましょう、あるいは排出量を取得するにもどういう費用の負担をするのだろうと、こういう協議が必要になるのですが、これがなかなか権利関係が入り組んでいる場合には結構協議が大変だったりして、私が実務でやっている実感としては、5年にされて非常に賢明だったなというふうに思っておりまして、これ正直1年だったら協議は間に合わなかったと個人的には思っています。
 なので、5年あればさすがに、じゃあ、そろそろやらなければいけないのでどうしましょうかという話になるんですけど、この辺り、工場をイメージして、単独所有で1人の人がコントロールできるという、あるいは事業者単位でやるということであれば、ある程度ワークできるのですが、事業所単位でかつ連名で義務者みたいになると、こういうことも考えなきゃいけないという、現場の一つの経験ということでお話ししました。

○植田委員長 ありがとうございました。
 では、資料1の残りの部分に移りたいと思います。事務局から説明をお願いいたします。

○戸田市場メカニズム室長 それでは、7の(4)の適切な市場基盤ということで、91ページからでございます。
 排出枠取引に関する市場基盤ということで、その排出枠の取引が円滑に行われることが制度の前提であって、そのために適切な市場基盤の整備が必要であるということでありまして、マネーゲーム化に対する懸念、批判というのもございますけれども、こういったものに対応する意味でも、適切な市場基盤の整備とその規制といったものが必要になってくるだろうということでありまして、検討事項といたしまして、登録簿システム、排出量管理システム、これにつきましては前に述べましたけれども、排出枠の取引に関する法的規律、取引に関するルール、会計上・税務上のルール、流通インフラというような観点から検討が必要であろうということであります。
 取引の基本イメージとして、91ページの図に描いてございますけれども、基本的には排出削減義務者、A社、B社というのがあったとして、こういった事業者に排出枠が交付されて、ここで期末にその排出量に応じて償却しなければいけない。その償却をするに当たって過不足が生じる場合に取引が可能である、というシステムであります。
 下の取引参加者というものが必要かどうかということは、これからの議論であるわけですけれども、取引参加者という形で排出枠の口座を持つことができる事業者がいる場合には、排出削減義務者との間でその排出枠を取引して、その取引の円滑化ができる。
 ここに口座を持たない者であっても、取引仲介者ということで、ここの会社では枠が余っているようだ、ここでは不足であるようだということで、その両者の仲介をして、取引としては相対取引になる。そういう形態もあり得るであろうということで、その全体像としてこのようなことになるのではないかということで、取引の基本イメージの図を描いてございます。
 こういったイメージの中で、92ページに、先ほど申し上げましたような各論点について、どのようなことが具体的な論点なのかということでありますが、まずその取引に関するルールということであります。市場の信頼性の確保の点から、何らかのルールを設定し管理を行っていく必要があるということで、取引できるのはだれなのか。
 先ほど申し上げましたように、削減義務を負わない者に対して口座を開設するという、そういう取引参加者を認めるかどうかという論点がございます。認めた場合に、その参加者は、例えば登録制にするのか、何らかの資格制限を課すのかという論点があろうかということであります。
 また、どのような取引を規制するかということで、相場操縦でありますとかそういったものをどのように防止するかということがあろうということであります。
 会計処理・税務上の取扱いについては、何らかの定めを置く必要があろう。
 また、流通インフラということで、取引所や清算機関等の流通インフラにつきましては、これは制度の中で明確に定めるべきかどうかということについても、これは一つのご議論であろうということでありまして、制度としては取引のルールのみを定めて、その中で取引所というインフラがどういうふうに整備されているかということは、制度の成熟の中で徐々に形成されるというような考え方もあろうかということでございます。
 こういった市場における政府の役割として、取引に関するルールの的確な執行のほか、排出実績に関する情報の適切な開示や価格高騰の防止といったようなものについても、何らかのルールないし枠組みをつくっていくということが考えられるのではないかということであります。
 冒頭に申しました、いわゆるマネーゲームへの不安・懸念に、こういった市場基盤の整備を通じて対応する必要があろうということで、93ページにいわゆるマネーゲームへの批判・懸念ということで、3つの類型にマネーゲームへの懸念というものを分けてございます。
 まず、1つとして、削減義務を負わない取引参加者や仲介業者が、取引によって利ざやや手数料を稼ぐ、削減に直接寄与しない人が儲けるようなシステムになってしまうのではないかという懸念がございます。
 これにつきましては、右のほうに一つの考え方の例を書いておりますけれども、仲介者又は取引参加者へのニーズは恐らく一定程度は見込まれるであろう。その流動性が高ければ、こういった競争が起こるために、その手数料が適正水準に抑えられるのではないかということで、次のポツでございますけれども、EU-ETSでは流動性が高く、売値と買値の幅が狭いと評価されているということも紹介してございます。
 第2点として、投機資金の流入や不公正取引等による排出枠価格の急変動などに対する不安・懸念というものがございます。こういったものにつきましては、まず価格の急変動、価格高騰については何らかの費用緩和措置をとる必要があるのではないかということは、前のセッションでご議論いただいたところでございますけれども、さらに投機的な資金の流入による価格高騰などを防止するという観点から、制度への参加や行為に関して一定の制限を設けるということも一案ではないかということであります。
 ただし、例えば先物取引などのデリバティブ取引というのは、本来は市場価格の変動リスクをヘッジする手段ということでありますので、これをどの程度制限するかということは、恐らく検討が必要であろうということであります。ただし、不公正取引については、しっかりした規制による対応が必要であろうということでございます。
 第3点として、排出削減義務を負わない国からクレジットを買うことに対する批判、いわゆる国富流出論という批判・懸念というものがございます。
 これは、直接マネーゲームという言葉で括ることはできないのかもしれませんけれども、こういったご懸念に対しては、これはどちらかというと外部クレジットをどういう考え方でどこまで認めるべきかということでありまして、費用緩和措置として、補足的な手段としての外部クレジットを活用するという場合には、一定の制限を設けるということが考えられるであろうと、対応策の一つの考え方を提示してございます。
 94ページはEUにおける例でございまして、EU-ETSにおける排出枠価格の推移のグラフと、あとは参考3として「価格高騰防止策(海外事例)」ということで、これはどちらかといいますと、先ほどのテ-マの費用緩和措置でありますけれども、EU-ETSの第3フェーズと米国のケリー・リーバーマン法案におけるその例を書いてございます。
 95ページは、参考5として、先ほどご紹介しました英国の金融サービス庁の報告書、また世界銀行の報告書におけるEU-ETSの評価ということで、参考までに記載しているということでございます。
 次に、後半の第2点といたしまして、国と地方との関係というものがございます。これにつきましては、憲法、地方自治法の規定によって、憲法においては、地方公共団体は法律の範囲内で条例を制定することができるということでございまして、地方自治法においてはこの規定を受けて、法令に違反しない限りにおいて条例を制定することができると。
 これは、法令に違反しない限りにおいてというのはどういうことかというのは、次の「■」にありますように、「両者の対象事項と規定文言を対比するのみでなく、それぞれの趣旨、目的、内容及び効果を比較し、両者の間に矛盾抵触があるかどうかによって決しなければならない」というのが最高裁の判決で示されている。この原文を次の箱の中で紹介してございます。
 こういった一般論を受けまして、既存の公害規制法制では、条例との関係について、例えば具体の規制基準を自治体に委ねるとか、法律よりも厳しい上乗せ規制を定めることを認める。これは上乗せ規制というものでありますけれども。または、法律が規制していない対象を規制する横出し規制を認める。こういった例がございますけれども、温室効果ガスの排出規制と従来の公害規制を同列に考えることができるかというのは、これは一つの論点でございまして、どのように考えるかということが今回ご論議いただきたい事項ということであります。
 現在の都道府県等の動向として、先ほど来ご紹介いただいております東京都の条例に基づく排出量取引制度のほか、埼玉県においても制度が創設されたということで、2011年4月より開始予定ということで紹介をしてございます。
 その他関連制度ということで、排出量取引そのもの、キャップ・アンド・トレードの排出量取引につきましては、現在の例としては東京都と埼玉県が2つの例でございますけれども、その他、例えば計画策定、また計画書の提出義務といったものにつきましては、30を超える地方公共団体においてそのような制度が制定されているという状況にございます。
 ここで海外の事例ということで、これは日本の国と地方公共団体との関係に対応するものがなかなかないものですから、2つだけ紹介してございます。
 英国、これは欧州連合とそのメンバー国である英国との関係ということでありまして、欧州連合全体としてEU-ETSがある中で、英国という1つのメンバー国の政府においてはCRCという、それを補完するような排出量取引制度を導入しているというものであります。
 また、米国の法案においては、連邦政府と州との関係というのは、これはまた日本の国と地方公共団体の関係とは違うものでございますけれども、米国の法案ではいずれの州もキャップ・アンド・トレード型排出量取引制度を実施してはならないと定めておりまして、現行の州レベルの排出量取引制度との関係をどういうように調整するかということが書かれているという状況にあるということでございます。
 次に、後半の第3点でございます。LCA的な観点をどのように盛り込むことができるかということでありまして、99ページに、これまでの当小委員会におけるヒアリングにおいて、どのような意見が表明されたかということを幾つかピックアップしてございます。
 例えば最初に、日本鉄鋼連盟の例でありますけれども、LCA的な削減効果、自らが製造する製品によって、その川下でその使用者の段階で発生する削減効果について定量的な把握を行っているというような例についてご紹介しているところでありまして、こういったものにつきましては日本自動車工業会におきましても、また電機・電子8団体においてもそういった紹介がなされたというところであります。
 ちょっと下に行きまして、5番目の日本労働組合総連合会でありますけれども、連合からは、排出量取引制度については消費段階まで含めたLCAに対応していないなど、公平・公正な制度設計の上での問題と懸念があるということで、例えば日本経済団体連合会からも、製品のライフサイクル全体に着目した政策が不可欠、また日本化学工業協会からは、LCA的な評価を行わなければ優れた製品の開発・普及を阻害するといったような、LCA的な観点からの排出量取引制度そのものについての懸念が表明されたというご意見もございました。
 最後に、日本商工会議所でございますけれども、日本企業の海外での貢献分を国内での削減量に加算することが認められるようにするなど、国際的な貢献についても何らかの形で算入できないかというご意見があった。こういった意見が表明されたということでございます。
 一方では、この小委員会における議論におきますように100ページに、慎重論、慎重な意見ということで幾つか紹介してございます。
 LCAの視点を取り入れることに対する反対意見というものもございます。これは2番目のポツでありますけれども、製品価格が炭素価格を正しく反映したものになっていれば、LCA評価をしなくても環境性能の高い商品が選択されるということで、特に制度上それを理由に導入する必要はないのではないかというご意見がございました。
 また、LCA視点を取り入れることはなかなか技術的にも困難ではないかということで、最初の3つ目のポツ辺りですけれども、LCAそのものを行うことに対する、例えばそのバウンダリをどういうふうに設定するのか、また、個々の製品としては省エネ製品であっても、それが大型化することによってリバウンド的な効果もあるのではないかというご意見もあるところでございます。
 4つ目のポツでありますけれども、日本、我が国が輸入する製品について、その製品が外国で生産されていたときのCO2の排出量を計算するということになると、逆にこれは排出量が増加してしまうのではないかというご意見。
 また、その次は川下のほうでございますけれども、省エネ製品を例えば海外へ輸出することによってその削減効果というのであれば、効率の悪い中古品を輸出したような場合に排出量が増えるというふうなところをどういうふうに評価するのか、というようなことも論点ではないかという懸念も表明されたところであります。
 また、最後にございますけれども、何らかの配慮を行った場合には、排出枠総量を枠内に収めるために何らかの調整が必要となると考えられるけれども、その調整はなかなか難しいのではないかというご意見もあったというところであります。
 101ページはLCAの基本的な考え方について図示したものでございますので、これは詳しくは割愛させていただきまして、102ページからが、それでは制度の中でどういうふうに考えるかということについて、まずはその論点と課題を102ページで提示してございます。
 どのような製品を対象とするか、どの段階での排出削減を誰の貢献と考えるか、どのように削減量を算定するか、どのように排出削減の貢献を考慮するかということで、これにつきまして、ある一定の仮定、割り切りというのも必要であろうということで、次の103ページになりますけれども、例えばどのような仮定、割り切りが可能であろうかということで、これは幾つかの考えられる例を示したということでありまして、これは相互に両立しない部分もございますので、これはあくまでも例として書いたものでございます。
 どのような製品をその対象とするかということについては、何らかの基準で線引きを行い、それに該当する製品についてLCAの対象とするということが考えられるのではないか。
 第2の、どの段階での排出削減を誰の貢献と考えられるかということで、これは一つの考え方としては、制度対象者以外の者による製品の使用段階での削減効果を対象とすると。制度対象者の削減については、その制度対象者の貢献であるということで、ETSセクター以外のセクターにおける排出削減効果については、何らかの形でETSの中に入れようという考え方もあるのではないかということであります。
 第2点としては、そういった制度対象者かどうかということにかかわらず、使用者側の貢献を製造者側の削減としてカウントしてしまうことを認めるということであります。その場合に、ダブルカウントについてどう考えるかということが一つの論点かということでございます。
 また、中間製品の貢献というものを認める場合には、素材・部品ごとの調達コストなどで削減量を按分するということも、技術的には考えられるかということであります。
 第3点として、どのように削減量を算定するかということでありますけれども、これは何らかの仮定を置いてその削減量を算定するということが考えられるかということでありますが、3番目のポツにありますように、削減量としてではなくて、その製品製造に伴う追加的な排出について、これを何らかの形で追加交付するという評価の仕方もあろうかということであります。
 これを制度の中でどのように考慮するかということでありますけれども、ETSの制度の中での配慮の仕方として、例えば排出削減に貢献する製品の製造に伴って追加的に必要となる排出枠について、何らかの形で評価して追加交付を行うということで、例えばこれも一つの例でございますけれども、太陽電池パネルを増産する必要があるという場合に、その製造に伴う排出枠については追加交付を行うということがあるかということであります。
 また、前回の委員会におきましても、オフセット的な考え方はできるのではないかと。つまり、何らかの形でLCA的な観点から削減量を算定して、それに一定の割引率をかけるなどして、クレジットという形で交付するということも考えられるのではないかというアイデアでございます。
 3番目は、これは貢献分を何らかの形で評価して、その分を差し引いた調整後排出量として報告させるということで、これは取引のところでは直接評価せずに、排出量の報告・公表というところで何らかの配慮を行うということもあるのではないかということであります。制度の外で考慮するということで、ETSの制度ではなくて、エコポイント制度や補助金制度というようなところで評価をするというふうなオプションもあるのではないか。
 こういった幾つかの可能な、考えられる仮定、割り切りの例ということで掲げさせていただきました。
 最後、ポリシーミックスということでございます。ポリシーミックスにつきましては、地球温暖化対策基本法案においても、あらゆる政策手段を総動員するということで、3つの主要施策として、国内排出量取引制度、税、固定価格買取制度というもののほか、さまざまな政策手法を使っていくということが書いてあるということでありまして、これは新成長戦略においても同様でございまして、105ページ、106ページにいろいろ複雑な図が描いてございますけれども、さまざまな制度を使って各分野での排出削減を目指していくということであります。
 こういった中で、主要な政策手法の間の役割分担というのがどうなるかということで、107ページにございます。これは、この委員会の第1回の会合におきまして、ポリシーミックスのあり方についてこういうように考えられるのではないかというふうな指摘があったところでございますけれども、国内排出量取引制度については、産業・業務・エネルギー転換部門を中心とする大規模排出源について温室効果ガスの総量削減を着実に進めるような役割を負っているのに対して、地球温暖化対策税というのは、家庭などの小規模排出源も含めて広く社会的・経済的インセンティブを与えるとともに財源調達の役割を負うということで、広く薄くかけるというのが地球温暖化対策税の役割ということではないか。
 固定価格買取制度については、電力における再生可能エネルギーの比率を高めるという、こういう特定の分野における政策として考えられるのではないかということでありまして、このうちの排出量取引制度と税との関係につきましては、下の四角にございますけれども、排出量取引制度の対象事業者に無償割当を行う場合には、その無償割当分についてはCO2の排出そのものにコストをかけるわけではない。
 当然ながら、排出枠の範囲内に収めるための設備投資などの負担というのは、これは当然、必要な場合には避けられないわけでありますけれども、CO2排出への負担という意味では、CO2排出に対する負担は税において行われるということで、CO2排出に対する負担を国内排出量取引制度で求めているわけではないという意味では、二重の負担という状況が生まれているわけではないというようにも言えるのではないかということで、それぞれの制度があるべき姿を考える必要があるのではないかというような考え方を提示してございます。
 外国の例を見ますと、国際競争力に与える影響を考慮して税の減免を行っている国が多いけれども、EU-ETSの対象事業者に着眼して減免を行っている国は限定的ということで、208ページにその状況があります。
 イギリスやドイツにおいては、特にEU-ETSとの明示的な調整は行われていないということに対して、スウェーデン、デンマークではEU-ETSのセクターに対する減免措置というのが明定されているという状況でございます。
 フランスにつきましては、これは今年の早い時期に炭素税の導入の提案がございまして、最初の提案ではEU-ETSセクター免除ということでございますけれども、これが憲法裁判所で違憲と判断をされて、いろいろ調整はされてきましたけれども、炭素税の導入は現状では見送られたものという状況でございます。
 109ページに、税の状況について紹介してございます。
 資料の説明としては以上でございます。

○植田委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、今ご説明いただいた部分につきまして、ご意見などいただけましたらと思います。いかがでしょうか。
 そしたら、有村委員からお願いできますか。

○有村委員 ライフサイクルについての論点整理のところなんですけれども、LCAの視点を入れることへの論点整理なんですが、例えば家電製品とか自動車のように消費段階で新しい製品が低炭素型の商品で、その努力が反映されないということが、多分、つくられたメーカー、製造業の方からすると非常に残念であるというご指摘だと思うんですけれども、仮に、例えば地球温暖化対策税みたいなものが、家庭の消費段階で電気なりガソリンや軽油燃料に関して課されているのであれば、結果的に消費者がそれを合理的に判断すれば、消費者は低炭素商品を買うことになるというふうに経済学上は考えられますので、そうすると、国内製品で、国内で消費されているそういうものに関しては経済学的な効率上は、そういった炭素税、地球温暖化対策税みたいなものが消費段階でかかっていれば、結果的に競争上有利になるので、効率性の観点からは問題ではないのではないか。
 むしろ新興国などに輸出している製品に関しては、確かに例えば中国みたいなところでつくられているものと日本製品が競争することになると、その点は若干その分、もし日本の製造業だけが炭素価格を負担しているとすると、やはり不利益になるし、経済学的な効率上も問題があるので、その点については効率性の視点からも考えるべきであるということは言えるかと思います。
 それを実際にどうするかという話は、いろいろな提案がなされているので、どう対応するかという問題はまた別途、技術上の問題があるかと思いますが、ただ、そういった理屈の整理は必要ではと思います。

○植田委員長 ありがとうございました。
 では、大塚委員、お願いします。

○大塚委員 大きく3つの問題について申し上げますけれども、1つは国と自治体との関係の96ページの辺りですけれども、3点ほど申し上げておきたいと思います。
 これは難しい問題だと思いますが、そこに徳島市の公安条例の判決が出ているように、国と自治体で目的が同じであればということなんですけれども、その枠の中の5行目に書いてあるように、「規定の欠如が特に当該事項についていかなる規制をも施すことなく放置すべきものとする趣旨であると解されるときは」という、ここのところと関係しますけれども、恐らく国も自治体もCO2とか温室効果ガスを減らすという意味では目的は同じなので、目的が同じということで考えることになると思いますが、その場合に、結局法律のほうの趣旨が、これ以上は排出枠取引について地方では制度をつくってくれるなという趣旨かどうかという、そこによって変わってくるという、そういう整理に恐らくなると思います。
 一般的に言えば、このページの下に書いてあるように公害と同じということにはまずならなくて、公害はどうしてもその地域での住民の健康被害ということが、特に工場とかが集中する場合にはありますので、国のほうはナショナルミニマムに限るという議論が有力に行われたところでございますので、CO2、温室効果ガスの場合は、これは同じというわけではないんですけれども、ただ、上乗せと横出しとを比べると横出しのほうが比較的楽に認められるところがあって、上乗せはちょっと難しいかもしれませんが、横出しだったら可能というような整理に恐らくなると思います。もうちょっと精密に申し上げたほうがいいのですが、今、大雑把に申し上げると大体そんな整理になるのではないかと思います。
 ただ、さらに東京都の場合は、国の制度の前につくっておられるので、ちょっとそれはなかなか、一般的な今の法律と条令の関係だけで考え方を切ってしまっていいかというと、ちょっと必ずしもそういうことにはならないということが事実上の問題としてあるということも申し上げておきたいと思います。
 今のは、一般的な整理として法律的な観点からちょっと申し上げておく必要があると思いましたので、申し上げました。
 それから、2つ目ですけれども、LCAの問題ですが、これはちょっと政策的な話になってくるので、どう考えたらいいか、きっちり検討していただく必要があると思いますけれども、効率性のことだけ考えたら、これは確かにやらないほうがいいのかもしれません。今、有村委員がおっしゃったのが、経済学的にオーソドックスに考えればそういうことに多分なると思うんですね。
 もしやるとすれば、多分全然違う目的で、日本が、省エネ製品とかCO2をあまり出さない製品に関して技術立国でいくと、できるだけカーボンリーケージは防ぐという、そういう政策をもし立てるのであれば、それに基づいて政策を立てるということになると思います。だから、ちょっと別の観点を入れることになりますので、そこはまさに議論していただく必要がある点ではないかと思います。
 仮に今の議論をするとしたらどういうことになるかですけれども、103ページに出ているような、削減量を、製品製造に伴う追加的な排出をその貢献分として評価するというようなことになってくると、その排出量自体をいろいろ減らすような算定の仕方をするというようなことになると思うので、多分これはかなり大きな変更を伴うので、私は、これはちょっと難しいかなと思っていまして、やるとしたらオフセットではないかと思うのですけれども、オフセットでやるとしたら、つくっていただいたその製品に関して、CO2削減のところをカウントしてそれをオフセットするということになると思います。
 その上でどういうふうに考えるかですけれども、これはちょっと、ある人と議論したときに出てきた議論なので私自身が考えついたわけではないですが、一つの考え方は、消費者のほうは、例えばプリウスを買うというようなことで、ある程度高くてもCO2を減らそうと思ってプリウスを買うということにもなりますので、生産者と消費者の間で1対1でその削減分を分けるというような考え方が、一つの考え方としてはあるかなと思います。
 その場合に、100ページの下から2つ目とかに書いてあることとの関係で言えば、これは日本の国内の話なので、海外輸出分についてはカウントしないと。だから、日本国内での消費に関してオフセットをする。それも半分という、例えばですけれども、というような考え方が一つの考え方としてはあるのかなと思います。
 きれいに整理していただいていますので、あとはどういう視点でさらに切っていくかというようなことを考えなくちゃいけないと思いますけれども、今私が申し上げたのは一案ですが、例えばそういう考え方なのではないかと思いました。
 それから、もう一つ、107ページのほうですが、107ページ、108ページで言えば、イギリスに前に行ったときのヒアリングとかのお話だと、炭素税と排出枠取引と両方やっても一向に構わないというのがイギリスで聞いてきたという話であって、彼らの考え方は基本的にCO2は外部不経済だと思っていますので、べつに、2つ合わせても外部不経済の部分まで達しないのであれば全く問題ないということだったんですけれども、その外部不経済がどのくらいかというのは算定するのはなかなか難しいので、イギリスはそういう考え方をとっているということだけちょっと情報提供しておきたいと思います。
 さらに、新美先生がよくおっしゃることなんですけれども、再生可能エネルギーの全量固定価格買取制度とキャップ・アンド・トレードとの関係というのはあまり出ていないので、多分これも考えていただく必要があると思いますけれども、ヨーロッパの整理は基本的に再生可能エネルギーの世界というのと排出枠取引の世界というのを一応分断しているので、これは分断しないと、再生可能エネルギーを増やしたときに排出枠取引のほうの排出量が減るという、これは二重にメリットを受けることになるので、二重にメリットを受けるのはそれはそれで構わないと言えば構わないという考え方もあるのかもしれませんが、二重にメリットを受けることになるので、例えば再生可能エネルギーで出てきたグリーン証書とかそういうものに関して、キャップ・アンド・トレードのほうでオフセットを認めるかというような問題がちょっと発生しますので、委員の考え方はそこの2つは分断するので、例えばグリーン証書みたいなのが排出枠取引のほうでオフセットとして使われるということはあり得ないんですけれども、そこをどう整理するかという問題があると思います。
 以上でございます。

○植田委員長 ありがとうございました。

○増井委員 すみません、植田先生、ちょっと中座させていただきますので、先にちょっとだけ意見を。

○植田委員長 ああ、そうですか。では、どうぞ。すみません、大野委員、申し訳ないですがのちほど。

○増井委員 申し訳ございません。
 LCAのところに関してなんですけれども、基本的な考え方は、今、有村委員と大塚委員のほうからおっしゃったとおりなんですけれども、ただ、そういう製品の性能向上というのは、やっぱりこれからの低炭素社会の実現に向けて必要不可欠であるというふうに思いますので、これに対しての何らかのインセンティブを与えるようなことを別途考えていくというふうなことが重要ではないかなと思っております。
 省エネ製品等にいろいろ配慮するということは非常に重要であるとは思うのですけれども、今、大塚委員がおっしゃったとおりですけれども、逆にその制度をあいまいにしておくと、足し合わせたときに、日本国全体の排出量が実は目標を上回っていたということにもなりかねませんので、その辺り、この排出量取引の制度そのものとしては、原理原則をきちんと守るような、そういうふうなものにしておいたほうがいいのかなと思っております。
 以上です。ありがとうございます。

○植田委員長 ありがとうございます。
 では、大野委員、お願いします。

○大野委員 私は、96ページの国と地方の関係について何点か発言させていただきたいと思います。
 法律と条令との関係については、この中段に言わせていただいております徳島市の公安条例の最高裁判決のとおりでございまして、それぞれの趣旨、目的、内容及び効果を比較して、両者の間に矛盾抵触があるかどうかによって決しなければならないということであるのだと思います。特に環境行政の分野におきましては、さまざまな分野で地方の条例なり制度が国に先行して、実際に環境が改善してきたという経過を十分に踏まえていただくことが必要だと思っております。
 ここでは大防法と水濁法の例を引かれておりますが、実際にはそれ以外にも例えばNOx・PM法と、1都3県首都圏のディーゼル車の走行規制というようなケースもございます。これは既に1都3県で2003年に実施いたしまして、現実にこの条例によって首都圏の大気汚染が改善したという顕著な実例がございます。こうしたモデルもございます。
 また、気候変動対策関連にありましても、先ほどご紹介いただきましたように温暖化対策の報告書制度はもう既に33の都道府県・政令市が導入をしておりまして、これは合計しまして1万事業所ぐらいをカバーしていると思います。これと温対法なり省エネ法との共存という実際が現場にはありますので、これらを踏まえまして、どのようなすみ分け、共存が可能なのかという辺りを、これは具体的に制度設計の中で検討していくべきだろうと考えております。
 私どもは昨年11月に、国の制度と地方の制度の提言をいたしましたけれども、これはまさに両方が、国と地方がともに積極的にその役割を果たしながら全体の効果を上げていくような仕組みを具体的に提言させていただいたものだということであります。
 いずれにいたしましても、今後、国の制度を検討される中で十分に調整を図っていくべきだと思っていますが、その際、特に2つの点が大事だと思っております。
 1つは、東京都あるいは今後始まる埼玉県の制度におきまして、実際にもう事業者の方が先駆的かつ先行的に取り組まれておりますので、その削減の努力、実績がきっちり評価される制度に、国の制度がなることがまず何よりも大事だろうと考えます。地方の制度で取り組んだ事業者の方の努力が国の制度では認められないということは、決してあってはならないと考えております。これが一番大事な点かと思います。
 2点目は、制度の趣旨・目的でありますけれども、確かにCO2を削減するという点では共通しておりますが、例えば東京都の制度は、必ずしも地球環境保全全体の中で日本政府が果たすべき役割の部分を担うという制度ではございません。東京都の制度の目的は、東京自身をいち早く低炭素型の都市にしていくということを目的にした制度でございますので、そういう意味では、趣旨や目的についても詳しく検討していくことが必要であると思っています。
 以上でございます。

○植田委員長 ありがとうございました。
 それでは、影山委員。

○影山委員 すみません、ちょっとたくさんありますので、少し時間をいただきます。
 まず、適切な市場基盤のところですが、ここではマネーゲームの防止ということをずっとお願いをしているわけですけれども、買い占めとか価格操作をどう防ぐかということについて、ここでも十分に説明がされていませんので、そこのところはきちっと書いていただきたい。
 これは、価格が乱高下することになれば経営に大きな影響があり、そういうことになりますと、一番大事な温暖化対策の技術開発のためのコストを我々が払うかどうかという判断に影響いたします。ここは非常に大きな問題だと思いますので、しっかりと議論をしていただきたいというふうに思います。
 それから、国と地方との関係でございますけれども、これについては今、大野委員のほうからもお話がありましたけれども、地方の役割というのはそれなりに位置付けがあると思うのですが、事業者にとっては国と地方で2つの制度ができて混乱するということが一番困ることですので、そういうことがないようにきちっとした切り分けをして、二重の規制がかかるようなことは絶対ないようにお願いをしたいと思います。
 それから、次にLCAの話でございますけれども、今回このようなLCAの取組が資料で整理されまして、そういう点を検討いただけるということは非常にありがたいと思いますし、ぜひともここのところをしっかりと議論していただきたい。引き続きここのところはいろいろな検討が必要だと思いますので、WG等をつくって議論していただきたいと思います。
 この中で、100ページに、LCAの視点を入れることへの反対意見、それから今もいろいろご意見がございましたけれども、技術上いろいろ難しい点もあろうかと思いますが、さきのロードマップ小委員会で松橋先生がおっしゃっていたように、日本においては生産ラインでのCO2の削減というのはもうほとんど限界に来ている。製品による削減が、これからの日本のCO2の削減に一番大事なのだというお話があり、そういう観点からすれば、このLCAの取組というのは一番大事な、日本でのCO2削減の1丁目1番地ということですので、これを阻害するような制度というのは入れるべきではない。
 もし排出量取引が技術的にLCAを入れることができないようであれば、排出量取引導入をあきらめるという選択のほうが日本のCO2削減には有効ではないかというふうに思います。CO2削減よりも排出量取引を入れることを優先するような、本末転倒な議論はぜひ止めていただきたいというふうに思います。
 最後にポリシーミックスのところでございますけれども、107ページに主要3施策の役割というのが書いてございますけれども、ここでは個々の役割を書くのではなく、全体で国民にどういう負担が生じるのかというのを、ぜひご検討いただきたい。全体の負担の議論がなくて、国民への影響を測ることはできませんので、ぜひお願いしたいと思います。
 それから、先ほど戸田室長がCO2の無償割当について説明されましたが、よくわかりません。厳しい割当がされて、その削減コストというのとそれから税金と、やっぱり二重負担になるということはこれは必須のことだと思いますので、税金とそれから排出量取引、両方の負担がかかるというふうに思っておりますので、トータルの負担を考えてポリシーミックスを検討し、制度をつくるべきと思います。
 それで、先ほど費用緩和措置のところで言えばよかったのですが、これらすべての意見もやはり全体の前提、排出枠の大きさですとかそういうレベル感がないとなかなか議論ができませんので、前に意見書を出させていただきましたが、そういう前提条件の議論というのをぜひ進めていただきたいと思います。
 前回、南川官房長から一定の指針が示されまして、それ自身は評価できると思います。国内削減分として15%が適切かどうかというのは慎重な議論が必要だと思いますが、そういう枠組み全体の前提条件についての議論をぜひお願いしたいと思います。
 以上でございます。

○植田委員長 ありがとうございました。
 では、岡山説明員。

○岡山説明員(笹之内委員代理) ありがとうございます。2点、意見を述べさせていただきます。
 1つは、マネーゲームのところでございます。私ども実業をやっている者からしますと、そもそも排出権自体を売買することって、何かマネーゲームのように感じてしまうというところもございます。そういう意味で、今、影山委員のほうからもございましたように、そもそも今議論している制度の話というのは何を目的にしているのであろうかと。CO2削減とか、温暖化防止と経済成長との両立とか、そういう原則的なところをぜひとも共通認識に立たせていただきたい。
 その上で、本当に排出量の取引額というのは多いほうがいいのか、あくまでも補完的なものであるのか、その中で本当にマネーゲームというのは何を定義していくのかという議論をすべきではなかろうかというふうに思います。
 2点目でございますけど、LCAの点でございます。先ほどもトヨタのプリウスの話を出していただきまして、ありがとうございます。自動車のトータルライフのCO2を考えますと、約80%が車を使用していただくときに出るCO2でございます。ただ、ハイブリッド車の生産をするときには、コンベンショナルな車よりも約2割、生産時のCO2が出ます。ただ、全体を考えると、いかにお客様にそのような燃費がいい車を買っていただくのか、それがやはり日本や世界のCO2削減に近づく、貢献することだと思います。
 ただ、現実を考えますと、実は燃費の向上というのはハイブリッド技術だけではなくて、エンジンの改良ですとか、補機の損失低減ですとか、駆動系の改良とか、軽量化とか、さまざまな技術の組合せでございます。現実にプリウスでも、そのようなさまざまな技術の組合せによって非常に高い燃費改善がされています。それは、実は足し算ではなくて掛け算ということでございます。
 また、そこに関わって協力していただいている仕入れ先様も非常に多くございまして、それぞれこの仕入れ先様が何ぼCO2削減に関わっているとか何ぼですかとか、恐らくそういう切り分けというのは不可能じゃなかろうかと思います。オフセットとか、CO2の排出をどうするのかとか、アロケーションをどうするのかというところに入っていくと、何か隘路にはまっていくような気もしますものですから、ぜひとも日本のというか世界のCO2を削減するためにはどういう制度がいいのかという観点からご議論いただければいいかなというふうに思います。
 ありがとうございます。

○植田委員長 ありがとうございました。
 では、末吉委員。

○末吉委員 議論が行われているわけですけれども、感じておりますのは、当然議論の手法としてなんでしょうけれども、それぞれの部品一つ一つの功罪、善し悪しを単独で議論してきているわけですね。
 そうしますと、私は、最後にはその全体部品をまとめて、一つの大きなシステムないしは機関につくっていくという作業が当然これからあるわけですけれども、その際の部品の寄せ集めの、ここはこうだああだということでの寄せ集めでの合成の誤謬を避けるには、当然ながら一つの統一された思想の下に制度設計が行われるべきだという具合に思っております。あえて言葉を悪く言えば、つまみ食いの部品を寄せ集めても意味がないと。場合によっては、相矛盾するようなものが制度の中に同居しかねないということであります。
 そこで私の思っております一つの視点は、世界のビジネスは明らかにCO2基準での競争が始まった。CO2戦略をどう立てるかが企業経営者にとっては必須の要件になってきたわけです。ですから、そのことを世界はカーボンマネジメントの時代が始まったと受け止めています。ですから、CEOにとっては、カーボンマネジメント、CO2戦略を立てるということがCEOの大きな資質にもなってきた、必須条件になってきたと思います。
 とすれば、キャップ・アンド・トレードのこの制度設計も、どうやって日本の企業のCEOに、海外との国際競争の中でより有利な競争ができるための経営上の選択肢を提供するのかという視点が、私は非常に重要なのだと思うんですね。それはもう明らかだと思います。
 ですから、このETSの問題においても、CEOがこれから必要とするカーボンマネジメントを行っていく上での、有効な選択肢としてなり得る制度としての位置付けを求めなければいけないというような気が強くいたします。
 さらに、世界の流れを私なりに見ておりますと、事業所単位とかという話ではなくて、まず企業全体をどう見るかという話に流れが動いていると思います。もっと申し上げれば、単体の企業ではなくて、連結はもちろんですし、バリューチェーンとかサプライチェーンも含めて、広いバウンダリの中での企業の姿勢を見ていくのだというような流れですし、一方では、カーボンフットプリントなどに見られるように商品レベルでも見ていこうと。
 ですから、企業全体、グループ、サプライチェーンも含めた広い範囲、しかもその対象は生産ラインじゃなくて、スコープ3に広がるようにいろいろなところに広がりが出ていく、そういったような対象の拡大があるわけですね。ですから、そういった点もぜひ頭の中に入れて制度設計する必要があるのではないかと思います。
 最後にあえて申し上げますと、ますます日本の企業は国際社会の監視の目にさらされるのだと。国際社会は、さまざまな視点で日本の企業のCO2対策の行動を見ていきます。これは、もう既に投資の世界にたくさんのインデックスが生まれているんですよ。CO2を取り込んだインデックスがたくさん生まれております。ですから、多くのファンドマネージャーが日常的に、日本企業を含む世界の企業のCO2対策を見ているわけですね。
 そういった目も意識しながらこの制度設計をしていかないと、これはあえて産業界サイド、企業サイドもそういう視点を持っていかれないと、国際社会のますます厳しくなっていく、これは法律も含む、規制も含む監視の目の中で、日本の企業がどういう具合に国際競争に耐えていくのか。これは投資家だけじゃありません、消費者にもさまざまな情報が提供されるようになります。あるいは、社会全体もその情報を見て企業行動を判断していく。企業のあり方を判断するという、そういう時代になると思います。
 ですから、ぜひ社会全体が企業からの情報公開を求めて、その情報に基づいて企業を適正に判断していく、21世紀の温暖化社会が企業に求める存在のあり方はこうなんだと、そういう方向感を持って見ていくということを、ぜひ念頭に置いての議論を進めていただければと思います。
 どうもありがとうございました。

○植田委員長 ありがとうございます。
 では、冨田委員、お願いします。

○冨田委員 私は2点申し上げたいと思います。
 1つはLCAのところですけれども、ヒアリングを受けて、LCAについての考え方を真剣に議論をしようということが始まったことを高く評価をしたいと思います。
 これは賛否いろいろ議論があるわけですけれども、立ち返るべき基準というところが重要だと思います。それは、この制度において対象となる事業者、恐らく企業になるのだろうと思いますけれども、そこにどういう行動を促すのか、どういう活動をしてほしいのかをしっかり軸として持っておく必要があるのかなと。そういう行動を促す制度になっているかどうかという観点のチェックが必要だろうと思います。
 そういう意味で、立ち返るべきところは、最初の7ページ目のところの「基本的考え方」、こういう部分に立ち返って検討することが必要だろうと思いますが、ただ、この7ページのところの「基本的考え方」というのは、これだけで十分かどうかということについてはあまり議論がし尽くされていないと考えています。先日、影山委員が紙を提出されたが、そこの議論もちょっと中途半端と感じております。
 それから、今お席にいらっしゃいませんが、有村委員から、価格が調整事項になるので、使用サイドにおける配慮はそれほど要らないというお話がありましたけれども、経済学上、価格が調整事項にきちんとなるのであれば、最初からその価格を地球温暖化対策税ということにすればすべて丸く収まるということになるわけで、少しそこには矛盾があるのかなというふうに思いました。
 それから、もう1点はポリシーミックスのところです。大塚委員のほうから、排出量取引制度と再生可能エネルギーの全量固定価格買取制度、これについての関係というのが指摘されていませんというご意見がありましたけれども、私が申し上げたいのは、全部まとめたことによってどういうことが起こるかということです。
 例えば、排出量取引制度の対象となる人については、税もかかる、また全量固定価格買取制度の電気料金の上乗せというのもかかる。その時、トータルの負担というのはどういうふうになるのだろうかというところに関して、ポリシーミックスとしての議論が必要だろうと思います。それをどこで議論されるのかをお聞きしたいと思います。
 以上です。

○植田委員長 では、新美委員。

○新美委員 どうもありがとうございます。私は二、三点意見を申し上げたいと思います。
 まず第1に、適切な市場基盤ということで92ページにありますが、基本的に、マーケットをつくるということから見ますと、取引ルールについては一定の明確なものをつくることは要求されますけれども、取引主体について制限を加えるというのは、極めて例外的な事柄だと思います。その辺を注意しないとマーケットの意味がなくなるという気がいたします。
 多様なプレーヤーがいて初めて効率性が達成できるという観点からすると、プレーヤーを制限するというのは慎重に考えなければいけない。逆に、効率的な市場を形成するということはマネーゲームをしやすくすることそのものであるということも考える必要がある。極端なマネーゲームをどう抑えるのかが考えられるべきで、それを防止するための安全弁としての仕組みみたいなものを考えていくことが適切だろうと思います。
 それから、国と地方の関係ですけれども、国と地方とが矛盾しなければいいということになりますが、CO2についてマーケットを作り出すとするならば、国と地方が別々の商品をつくり、それを一つのマーケットで流通させるためには、相当に整備された仕組みを用意する必要があります。そうしないと、極めて大きな混乱を来します。そうした仕組みを用意するためには、それなりのコストが必要となると思われます。
 国と地方とが作り出す商品が同じではないとするならば、コストをかけた仕組みを用意して一つのマーケットで取引するか、あるいは、そうでなければ、マーケットそのものを別のものとしてやることが必要になろうかと思います。それができたならばこれは矛盾しないと思います。しかし、一つのマーケットで炭素に関する違った商品が流通するというのは混乱を極めるだろうと思います。
 ちなみに、公害法制で横出し、上出し規制が認められたというのは、公害というのは地域の特性、環境特性を反映しているからということが大きな理由になっていたわけであります。そうしますと、この排出量取引というのは、そういった地域特性というのを考慮しなければいけないものなのか、私はそうは思いません。
 それからあと、LCAについてですけれども、先ほど影山委員がおっしゃったように、LCAというのは排出削減のための一つの手法であります。また、排出量取引も排出削減のための手法であります。LCAというものを排出量取引制度が抑制することがあってはならないと思います。ともに促進していく方向がある必要がある。しかし、注意しておかなければいけないのは、LCAといわれる様々な事業がそれぞれ本当に排出量の削減に役に立つものなのかどうか、どの程度役立つのかということが、きちんと評価されなければいけない。
 その観点からいきますと、LCA的取組については、価格で調整できるであろういうことですが、現実の取引の世界で炭素価格を製品の価格にきちっと上乗せできるというの点は、相当難しい問題になるだろうと思います。
 適切な炭素価格が算出できるのかという問題があります。さらに、適切な炭素価格が算出されたとして、それを商品価格に組み入れることができるのかという問題もあります。いろいろなところで商品価格の設定について取引実務の世界のを伺いますと、、炭素価格が算出できたとしても、それをそのまま商品価格に上乗せできるのかどうか考えさせられるところがあります。商品価格を設定する際には、どこかでマージナルなところは切り上げたり切り下げたりして、いろいろな対応が出てきます。したがって、炭素価格が正しく反映されたならば、という仮定を立てるだけではなく、どんな条件の下でそうした炭素価格の反映ができるのかということを議論しないといけないと思います。
 それから、論点整理のところでLCA的取組について103ページに書いてありますけれども、この表は、LCA的取組をしている事業について排出量取引が適用された場合にどう処理するかというだけであって、そもそもLCAは排出量取引の枠外であるという考え方もあり得るわけで、その点が載っていないんじゃないか。
 今申し上げたように、LCA的取組とされるそれぞれの事業が本当に排出量の削減に役立つかどうかという評価をまずした上で、そのLCAを排出量取引の中でうまく扱えるかどうかということを議論し、うまく扱えなければ、排出量取引の外のところで政策を立てるということも考えていいのではないか。その辺を少し議論しておく必要があると思います。
 ですから、103ページのこの表でいきますと、一番下の欄でもいいのですが、「制度の外で考慮する」というのではなくて、そもそもLCAは排出量取引からは視野の外に置くということも政策としてはあり得る。2本立てでいくということになると思います。
 エコポイントとか補助金制度を実施して扱うということになるのですが、これは財源がどこから出てくるのかとか、あるいは、そもそもどれだけのポイントを与えるのかということをやり出すと、これは大変な問題になってきます。その辺を少し、現実の制度設計を考えた場合にどういうふうになるのかということを議論の中に入れておく必要があります。
 それから、オフセット・クレジットで対応するということについてですが、オフセット・クレジットということになれば、削減量の把握をしなければいけなくなりますが、これは先ほど来ありましたように自動車で考えてみますと、低燃費でCO2の排出の少ない車ができたとしても、ユーザーがどう行動するかを見なければ、簡単にオフセットというわけにはいかないんじゃないかと思います。
 そういう意味では、LCA的取組の問題というのはもっともっと多面的な議論をしておく必要があると思います。
 以上でございます。ありがとうございました。

○植田委員長 ありがとうございました。
 では、則武委員、お願いします。

○則武委員 まず、ライフサイクルということに関してですけれども、温暖化防止にはライフサイクルの視点でというのは非常に重要なことですし、企業を評価していただく際にも、ライフサイクルでの活動に対して評価していただくのは非常に重要なことだと思います。
 ただ、排出量取引の制度の中ですべて織り込めるかというと、まず無理だと思います。これはどんな政策についても一長一短があって、すべてのことを満足できるということはまずないと思いますので、そういう点でポリシーミックスが非常に重要なのだと思います。
 一部はクレジットの中に織り込むとかというようなことも可能ではあると思いますけれども、排出量取引制度の中で全部ライフサイクルを織り込むなんていうのはまず不可能だということで考えるべきだと思います。
 ただ、とはいうものの、排出量取引制度が、あるライフサイクルの非常に効果があるにもかかわらず、どこかの産業に非常に多大な影響を与えるようならば、排出量取引制度の中でそれに対して何らかの手段を講じる必要があると思います。
 ただ、その際にも、本当にどれぐらい影響があるのかというのをちゃんと評価した上で、考えるべきものであるかどうかを、具体的なちょっと金額的な部分も含めて評価した上で、本当に影響のあるところに対しては何らかの措置を設けるということで、ちょっとあまり総花的な考え、具体的な措置もなしに考えるというのはちょっと問題があるんじゃないかなと思います。
 それと、今申し上げました中でも、やっぱりポリシーミックスは非常に必要で、政策間の補完というのは必ず必要で、その辺はやっぱり見えるようにしていく必要があるのではないかなと思います。
 そのポリシーミックスの中で、各制度で金銭的な負担をどれぐらい考えているのかというのはやはり考えて、あらかじめ明らかにしていかないといけないんじゃないかなと思います。その中で、例えば産業界に二重の負担があったとしても構わないのではないかなと思っています。ただ、それは単に負担だけではなくて、法人税減税であったり、他のインセンティブであったりということで必ず戻されるという前提があれば、各制度の中で二重の負担というのが出てきても構わないのではないかと思います。その辺は、明らかにして、関係を明らかにするということが非常に重要であるという点であると思います。
 あと、ポリシーミックスの中の政策の例として書かれている中で、資源循環というような部分に関する政策というのがちょっと書かれていないように思うのですが、やはり温暖化対策という中では資源循環ということも非常に重要ではないかなと思いますので、主要な政策に関して評価する必要があると思います。
 それとあと、最後に国と地方の関係についてですが、国の制度がなかなかスタートできないから地方で実施するということは非常に重要なことであると思いますし、効果があるものはどんどんやる必要もあるのかと思いますが、ただ、もちろん効果がある制度ですので、地方で進めていくよりも国でやったほうがいいのではないかと思います。
 今日の前半の議論の点でもありましたが、武川委員や諸富委員からは事業所でという点が強く出されましたけれども、これは国と地方との関係においても言えることなんですが、ある企業では事業所間での生産品目の調整や生産量の調整というものがあったり、場合によっては事業所統廃合というようなことも出てきます。そういった前提において、削減目標に対して償却というようなことも各事業所単位でやっていくということになると、事業所の中でのマネジメント、企業のマネジメントという点では負担が大きくなっていきます。各事業所でそれなりのチェックができる要員を置かないといけないとか、償却まで考える要員を置かないといけないということは非常な負担になってきます。
 企業の効率という点からいって、やはり事業者単位でしていただければ、そういった負担がなくなってくる。もちろん算出については事業所ごとの算出というのが非常に重要ですので。とはいうものの、マネジメントという点では、事業者として考えていくということが必要で、そうでなければ事業者に対して過重な負担を強いることになりますので、その点に対しては、今日の前半の部分も含めて国と地方の関係においては、事業者と事業所という点については、事業者というものが重要であるというふうに考えております。
 以上です。

○植田委員長 ありがとうございました。
 では、武川委員。

○武川委員 今の部分で少しお聞きしたいんですけど、事業所単位でマネジメントができずに、なぜ事業者単位でできるのか。事業者というのは、各事業所が集まって結局一つの事業者になっているはずなので、なぜ事業者にすると事業所の負担が減るのかというのは、正直、私も企業の現場にいるわけではないので誤解があるかもしれないんですが、なかなか理解が難しいなと、今お聞きして思いました。
 こちらのほうに戻りますと、4点あります。
 1つが92ページなんですが、インフラの整備等々で、市場が成熟していく段階で徐々に整備されるものと考えられるという、できるなら普通にできるでしょうというこういうニュアンスなんですが、確かにそうかなと思うんですけれども、一方で、制度がある程度インフラをつくるのに適したものになっていないとそういったものもできないという部分もあるので、これは言葉のあやだと思うのですが、どういう方向にインフラ整備が進むのであろうということも念頭に置きつつ制度をつくるほうがいいのかなというふうに思います。これが1点目です。
 それから、2点目が96ページの国と地方なんですが、これは徳島市の公安条例も大事なんですが、どちらかというとこういう議論というよりも、今回の制度の中で、国はこういう制度をつくったと。では、地方はこういう制度であればつくっていただいても結構ですというか、要は、国が制度をつくるときに、地方の制度はこうあるはずだというのを法律に書き込まないと、ちょっとワークしないんじゃないかなという気がしていまして、言いたいことというのは皆さんが今までおっしゃられていたことと同じなんですけれども、ばらばらにいろいろやっているとまさに公安条例のように、では、地方はこういう制度をつくったけれども許されるのかどうかというのが常に問題になるし、あるいは市場として同じなのか違うのか、あるいは二重規制だというような問題が出るので、むしろ国の制度のほうで、地方も含めてこうあるべきということを考えるしかないのかなという気がしていまして、先ほど大野委員がおっしゃったことも、突き詰めればこういうことも念頭に置かれているのかなと。その意味で、国と地方の対話が必要であるという気がしております。これが2点目です。
 それで、3点目がLCAなんですが、103ページですね。これはLCAを考慮するのは非常に大事だと思うのですが、さはさりながら、なかなかやはり排出量取引の本体的部分に取り組むというのは本当に難しいなという、これは感想になってしまうのですが、感想を有しております。
 今、話をお聞きしながら、思いつきで2つぐらい考えていたことがあるので、ちょっとお恥ずかしいのですがこういうのはどうかというところなんですけれども、1つが、やはり排出量取引に本当に組み込むのは難しいので、メインやっぱり制度の外で考慮するということになるのかなという気がしています。
 その中でもう割り切ってしまって、これは補助金だ、補助金でやると。ある種、エコポイント的にやるのだ、トップランナーの者には補助金を出すと。ただ、補助金だと財源の問題とかあるので、補助金の代わりに排出枠を交付するという、こういうのはどうかというのが1つ、思いつきですが、あります。
 2つ目が、もう少し制度の中側に食い込んでいくとしたら、やはりオフセット・クレジットかなという気がしていまして、今、私、J-VERの認証委員会もやっているのですが、その中でバウンダリを少し拡張したクレジット、バウンダリを拡張したプロジェクトというのがだんだん出てきています。
 例えば、木質ペレットを使ったストーブを一般家庭にたくさん設置して、そこで燃料代替したことによるものをクレジット評価するというような仕組みがだんだん出てきていて、では、これバウンダリをどう評価するかとか、検証をどうやるかというのは、それなりにやっぱり難しい論点いろいろあるのですが、徐々にそういうアイデアも出てきているので。例えばプリウスの例で言えば、新型には走行量を計測して、それをどこかデータセンターに集めるようなそういう装置をつくっておいて、では、この走行量であれば、普通の同じ重量なり大きさの車なりを走らせたときに比べてこのぐらい減っているはずだというようなものを蓄積して、ある種、バウンダリを拡張したようなオフセット・クレジットというものが、ひょっとしたら製品によってはできるかもしれないなという気がしておりまして。この場合、誰にクレジットを帰属させるかという問題はもちろんあるのですが、それはどちらかというと、消費者に渡すといろいろ管理も大変なので、まとめて企業なりプロジェクト管理者に渡して、その分の値段というのはむしろ最初の自動車を売るところで調整をするとか、こういうのはひょっとしたらあるのかなという気がしました。思いつきです。これが3点目です。
 4点目が、107ページ、ポリシーミックスなんですけれども、これは皆さんがおっしゃるとおりで、やはり正直、今のここに書いていることだけではやや弱いかなと思っていまして、二重の負担という状況が生じないというふうに書かれているのですが、確かに無償の部分ではそうかなと思うのですが、無償の範囲に排出量が収まったとしても、その収まったことは、追加的なコストで負担したからこそその範囲に収まったのだということであれば、やはり二重の負担というのは論理的には発生しているような気も何となくするんですね。
 そうなると、やっぱり各制度のあるべき姿を考える必要があるという2番目のものはそうだと思うのですが、その結果どういう負担がやっぱり出ているのかということを見た上で、これであれば、二重の負担は論理的には生じているけれども別に構わないよねと、こういう判断はあり得ると思っています。
 ただ、その判断をするには、やはりある程度計算なりも必要かなという気もしていまして、では二重の負担がやはりよくないということであれば、次に二重の負担を回避するためのテクニカルな手法はどうなるんだということを考える必要があって、例えば再生可能エネルギーの全量固定であれば、企業が電気を買った場合には、全量固定価格買取制度の下での追加的負担もあるので、では、その負担に相応する部分についてはある種、企業に固定価格買取制度による再生可能エネルギーの環境価値は、電気料金を負担した企業に帰属させるとか、例えば一例なんですが、こういう制度間での取り合いというものを次に考えると、こういうステップが必要じゃないかなという気がいたしました。
 以上でございます。

○植田委員長 ありがとうございました。
 では、諸富委員、お願いします。

○諸富委員 今、武川委員もおっしゃったのですが、則武委員から出た点、これについて私のほうからも最初にコメントしたいのですが、私が挙げると、枠交付の議論と、それからMRVの単位の議論を切り分けるということですよね。ですので、枠交付はもちろん企業単位でよろしいかと思うんですけれども、MRVはやっぱり事業所単位でやって、その事業所単位、企業は事業所の集合単位なので、事業所の排出量、要するにこれは保守的に考えるなら実績排出量の平均、過去の平均の実績排出量に基づいて事業所の排出量を足し合わせたものを企業の枠交付とすると。ただし、あくまでもチェックは事業所単位でやっていくという、そういうふうに切り分けるという議論なんですよね。
 でないと、そこが足し合わせた数字になると、なかなか外部から、果たしてその排出量が本当に正確に算定・報告されているのか、検証しようがないと思うんですね。ですので、MRVの単位はやはり事業所単位でやるべきであって、もちろん期末において個々の事業所は実際に実績排出枠が……ごめんなさい、会社単位で排出枠を交付するということになると、個々の事業所に排出料金を課すということにならないので、そうしますと、会社単位としては事業所ごとに結構柔軟にやれることになるわけですね。
 ただ、やっぱり実績排出量は個々の事業所の排出量をきちっとモニタリングをして、個々の事業所の実績排出量を足し合わせたものと保有排出枠が合致しているかどうかは、企業レベルできちっとチェックするという仕組みになるのではないかと思います。
 それから、92ページの適切な市場基盤ということで言うと、私はやはりオープンで公正で透明な市場形成を図っていくという基本的な原理が必要ではないかなというふうに思っております。
 そういう意味では、取引できるのは誰かということでありますけれども、やはり仲介業者を入れていくということは必要ではないかなというふうに、直接義務を負わない人たちも参入可能にしていくべきではないかなというふうに思います。
 こういう業者の役割というのはやはり、もしいわゆる実需取引のみに限ってしまいますと、取引相手を見つける、つまり売りたい人が買ってくれる人を見つけるというのが個々の自分の自己努力になってしまいまして、大変な取引費用がかかるわけですね。ですから、こういった取引コストを削減するという観点からも、仲介業者が入ってくるのは合理的であり、そういった取引手数料というのは、そういった取引コスト節約の対価だというふうに思うんですよね。
 ですので、適切なレベルの、ここにまさに93ページに書かれていますように、仲介業者がたくさん入ってくることで、むしろ業者間の競争を促して、手数料の低廉化を促すということは重要だというふうに思います。
 それから、どのような取引を規制するかというこの禁止行為は、なかなか難しい点で、確かに先物とかそれからスワップというような通常の取引のリスク回避のために使われるものなので、ここまで禁止してしまうと、なかなか実際に取引している人は厳しい状況に置かれると思います。
 確かに先物とかこういったいわゆるスワップのようなデリバティブが、結局投機につながるんじゃないかという点はそうなんですが、通常の取引のリスク回避とそれから投機を、ここを線引きするというのは非常に実は難しいですね。
 ですので、ドイツなんかで議論が出てきているのは空売り規制とか、それから昨今の金融規制改革で議論されたような議論を、やはり排出量取引の市場形成の際にも参考にしていくということは必要だと思うんですけれども、それと、EUが議論しているような、Market Abuse Directiveという概念を持っていますけれども、市場乱用ですね、価格操作を含めた、こういったものに対するきちっとした厳しい規制というものはもちろん重要ではないかなというふうに思います。
 それから、影山委員がご指摘になった価格の乱高下ですけれども、94ページにありますように、実際にEU-ETSで乱高下が起きたわけですけれども、実はその乱高下の局面というのは、恐らくそれぞれ理由があり、例えばEUにおける排出枠価格の推移という図がありますけれども、[2]、[3]、[5]のような下落にはそれぞれ理由がありまして、一つはEU-ETS固有の要因、これは恐らく大体解消されてきているのではないかなと。
 それから、[5]のように、市場全般の金融市場における暴落が、やはりEU-ETSの市場にも影響を与えたと。これは、なかなかEU-ETSの制度固有の改革によってはいかんともしがたいことなんですけれども、恐らく[2]、[3]のようなものというのは解消されてきて、[4]の局面、あるいは現在の[6]の局面のような形で、比較的市場の価格形成は安定化してきているのではないかなというふうに思いますので、ここの乱高下については、制度設計によって対策があり得る。
 もちろん、緊急時における、例えばサーキットブレーカーのようなものを入れておくとか、それから、94ページの一番下段にご紹介していただいているように、EU-ETS、ケリー・リーバーマン法案のような非常時における対応、これは入れておく必要があるのではないかなというふうに思います。
 それから、LCAについては各委員からいろいろとご意見が出てまいりました。103ページですけれども、ここの仮定・割り切りの例、私も仮定・割り切りを何らかの形でしていき、それの合意を得ていくしかないのかなというふうに思っております。
 そこで、ちょっとここで気になるのは、「中間製品については「使用」と観念しない」と。最終製品のみをこれは考慮するのだということなんですけれども、ここはなかなか中間製品を考慮するのは難しい、チェーンのすべてのものを評価するのは難しいということだと思うのですが、一方で、例えば炭素繊維というのを考えると、ちょっと難しいというのは、例えば東レとか帝人とか炭素繊維を開発しましたと。それで、トヨタとかニッサンとかが採用しましたと。自動車が軽量化されて、鉄に代えて炭素繊維を使って軽量化されて燃費がよくなりましたという場合に、すべてトヨタの貢献として認められるのか。だとすると、今度は帝人とか東レの炭素繊維開発のインセンティブがそがれてしまうというのは、実質的な視点ではありますよね。
 ですので、そうするとほとんど素材産業は報われない。つまり、直接消費者に物を売らない人たちは貢献を評価されないということになってしまいますので、これはこれでちょっと難しいなということを思うんですね。ですので、最終消費者の貢献分も製造業者側に、とわかりますけれども、この中間のところをどうするかですね。
 ですので、ここで書いてあります、「仮に中間製品の貢献も認める場合には、素材・部品ごとの調達コストなどで削減量を按分する」、これは大変難しいことですけれども、何らかの形で中間製品についても按分するといった考え方も必要ではないのかというような気がしております。
 それから、消費者の使用段階の行動によって、実際の削減量ないしは逆に増えてしまう可能性もあるわけですが、ここについてはもうやると決めた場合には、もう行動過程を置かざるを得ないのではないかなと。ただ、ダブルカウントをしないようにするということは非常に重要なことだというふうに思います。
 それから、制度の中で考慮するのか外にするのかということで言えば、私は制度の中でオフセット・クレジットとしてというふうに思っておりますけれども、こうした場合に、有村委員からご指摘のように、かえってこういったものが組み込まれることによって排出が増えることにならないかといいますか、キャップが要するに膨張するという問題ですね。
 ですので、どのぐらいの規模くらいにこれがなるのか、私はあまり、そもそも増えてしまうほど大きな、問題になるほど大きな規模になるのかどうかという点についてはちょっと疑問に思っておりますけれども、もしこれがかなり大きな規模になってきて、キャップをかちっとしたことの意味がなくなってくるということであれば、そもそもこういったことを考慮して最初からキャップを厳格に設定するというようなことも議論せざるを得ないのかもしれないというふうに思います。
 最後に、ポリシーミックスで二重負担とはという、武川委員もご議論されていた点ですが、これは経済学でやっていくとすぐに想起されますように、現時点から排出削減、キャップのところまで、あるいは排出上限まで削減する削減コスト、これはいずれにしても負担されると。だだし、無償配分だと、そこから残りの残余分といいますけれども、残る排出量ですね、これに対して税が、ないしは価格がついていないけれども、無償配分であればそこの負担がなくなるということですね。
 だけど、環境税がある下ではそこに負担が追加的にかかってくるので、排出削減コストを負担しながら税を負担するということでは、確かに二重負担だと言われれば二重負担かなというふうには思います。
 これをどういうふうに考えるかということなんですけれども、一般にEU-ETSなんかで調整で問題になってきているのは、一つは、排出量取引制度との二重負担ということよりは、いわゆる大規模排出源の人たちは、素材産業を含めエネルギー集約型である産業が多いので、やはりどうしても負担が大きい、そして産業の国際競争力上問題があるという理由から、二重負担というよりもそういう理由から、もともと差し引く。だから、排出量取引に入る前から、協定制度その他をかませて、実際に努力とセットで割り引くということをやってきたのだと思うんですね。ですから、ダブルカウントであるかないかにかかわらず、そういう観点から環境税との調整をどうするかということが問題になってくると思うんですね。
 ETSないしは日本で考えるETSの関係ということで言うと、一般にETSに組み入れられる産業セクターというのはエネルギー集約型で、国際競争にさらされている産業であるケースが多いので、そこでETSを入れるならば、そういったことを考慮して減免ということで環境税のほうで措置するということが問題になるのだと思うんですね。もちろん、無償配分である限り、そこは調整しなくていいという議論もあり得るとは思うんですけれども、将来的にオークションの方向に行くということであれば、いずれは調整という議論が必要にはなってくるかと思います。
 以上でございます。

○植田委員長 ありがとうございます。
 では、明日香委員、お願いします。

○明日香委員 4点、申し上げさせていただきたいと思います。
 最初の3点はいわゆるマネーゲームの話なんですが、93ページで、ここで繰り返してもしょうがないんですけれども、多分ここにいらっしゃるメディアの方がこれをどう書いていただくかというのは重要かと思いますので、お話しさせていただきたいと思います。
 というのは、マネーゲームの批判というのは必ず出てきて、私も何回かいろいろ討論したのですが、かなり識者の人でも、こういうマネーゲームになるんじゃないかという議論をする。批判は、かなり批判のための批判というか矛盾しているんですけど、どうしてもマネーゲームという話になるとメディアが飛びついてしまう。
 多分、その背景にあるのは、やはり銀行は高い給料をもらっていて悪いことをしているとか、そういう怨念みたいなのが日本社会にあって、そこがうまく結びついているというか、結びつけてこういうマネーゲームの議論というのがなかなか消えないのかなとは思います。
 ですが、では、キャップはあるけど取引なしでいいんですかという議論をすると、企業の方もみんな、「いや、取引は必要です」と実は言うんですね。そもそも取引でこの世の中は成り立っていて、ユニクロで安いものが買えるのも取引があるからなので、その辺考えると、排出量取引を批判すること自体が矛盾しているんですけれど、そこに気づかないでいろいろみんな、マネーゲームになると。そこでもう断定的によくメディアに書かれてしまいますので、ぜひもうちょっと考えていただければなとは思います。
 あと、実際にすべての商品がマネーゲームになる可能性はありますし、実際にほかのいろいろな、より儲ける商品市場というのはたくさんあって、あえてCO2で儲けようとするインベストメント・バンカーがどれだけいるかという、そういう視点も必要かなと思います。
 あと、もう一つは、実際にコペンハーゲン・アコード以降に市場関係者が懸念しているのは、需要と供給を考えたときに供給のほうが多いと。需要というのは各先進国のクレジット、ルールブックがどうなるかとか、キャリーオーバーがどうなるかとかいろいろあるんですけれど、いろいろ計算すると、どうしてもCDMだけだとしても供給のほうが多いと、イコール、価格がかなり暴落するというほうが懸念としては大きいかと思います。なので、価格高騰よりも価格暴落をどう防ぐかというのが、実は市場関係者で一番、さらに研究者の間では大きな課題になっているかと思います。
 マネーゲームに関する3点目なんですけれど、ここで排出削減の義務を負わない国からクレジットを買うということに書いてあるのですが、排出削減義務化というのはまたなかなか定義が難しくて、多分、コペンハーゲン・アコードはあれは義務なのかクレジットなのかという話もありますし、例えば排出削減義務を負っていても、提案みたいなものを持ってくるところから買うのはいいのか悪いのかということだと思うんですね。
 なので、ここは多分批判としては、海外から買ってくるということに対する国富流出の批判だと思うので、「排出削減義務を負わない国から」というのはちょっと気をつけたほうがいいのかなと思います。
 最後は、LCAに関してなんですけれど、幾つかの今までお話があったところに関わるところがあります。まず、有村先生が計算していますように私も計算しておりまして、この前も申し上げたんですけれど、基本的に、炭素排出枠調達コストが高く、ビジネスの大きさに比べて高い企業なり産業というのは、エネルギー多消費産業なり素材産業なんですね。なので、最終製品として消費者の消費段階での排出削減につながるような産業なり製品というのは、それほど炭素調達コスト、排出枠調達コストというのは大きくないと思います。
 具体的にもうちょっと申し上げますと、逆に間違っていたら実際の数字を出して教えていただきたいんですけれど、プリウスが200万円だとすると、多分、産業連関分析で計算したところによると、排出枠3,000円で、それを全部オークションでやって価格転化したときには、多分0.5%ぐらい製品価格が上がることになって、そうすると1万円なんですね。先ほど、2割上がるということなので、2,000円ぐらい多分違うのかなと。だから、200万円の商品で2,000円のクレジットをどうするかというレベルの話をしている。
 一方、鉄の場合だと、ホットコイルのような場合ですと五、六万したときに、多分3,000円の排出枠ですと7,000円、8,000円ぐらいの価格になります。
 なので、多分守るべきは、本当に保護するべきはもうちょっと違う産業でして、守らなくてもいいような産業をLCAで、もし排出枠、排出量取引制度の中で議論するのでしたら、やっているということになります。
 なので、政策としては非常に非効率的な政策がやられておりまして、先ほどお話があったように、それだったら、プリウスでも何でもいいのですけれども、そういうものの製品開発、研究開発に補助金を与えるような、その補助金の原資はオークションでも何でもいいんですけれど、そういうほうを考えたほうがよほどまともな政策提言なのかなとは思います。
 なので、そこら辺の価格、先ほど則武委員から、大体幾らぐらいの価格というかコストで議論しているかというお話があったと思うのですが、ある程度そういう炭素調達コストというのは、やはりその製品との関係というのは数字で出ていますし、多分私も有村先生もいろいろ出せると思いますので、そういうものをもとに議論をしていただければいいかなとは思っています。
 あと、もう一つ、もし輸出に関わると、多分WTOの補助金違反というような議論にもなってくると思いますので、そういう面も必要かなと思います。
 以上です。

○植田委員長 ありがとうございます。
 発言したい方が多いようです。あと資料2と3がまだありますので、ここからは簡潔にお願いできますか。
 有村委員、お願いします。

○有村委員 ポリシーミックスの件なんですけれども、これ、温暖化対策税と国のキャップ・アンド・トレードと都と3つ、もしかするとかかってしまうような可能性もある事業者なんかもあると思うんです。それはぜひ、事業者の負担が大変なので、避けるべきではないか。そこはすごく配慮、デザインが必要だということと。
 それから、そうなった場合に、ある一つの政策の効果がなくなってしまうという理論上の可能性もあるわけですね。負担だけ増えて効果がないという可能性もあるので、ぜひそこはその配慮が必要だと。
 それから、影山委員がおっしゃられましたけれども、どういったレベル感で、どういう政策が入るのかというのが、全体像というのが、やはり最終的にはどこかで見ていく必要があるだろうなと。そのときに、事業者負担、それから家計負担とか考えた上で、例えば税負担が大きい場合には、最初のときのオークションなんかも含めて、所得税とか法人税の減税との組合せみたいな視点で、社会保険料の減税というのもあり得るかと思うんですけれども、そういった視点も大事になってくる可能性があるということだと思います。
 それから、LCAの件なんですけれども、省エネ製品の普及が非常に大事だというのは、私も全くそのように思っております。
 それで、私も武川委員に次いで思いつきで、経済学的な背景も考えると、例えばこのクレジットの外で、省エネ製品の開発に対して政府がR&Dの補助をするとか、そういう形で何か対応するという考え方もあり得るのではないかなというふうに思いました。
 以上です。

○植田委員長 では、大塚委員、お願いします。

○大塚委員 LCAの点でいろいろ議論があってよかったと思いますけれども、私が考えていたことは、武川委員とか則武委員の意見とほとんど似たような考え方ではあるのですが、さっき諸富委員がおっしゃったように、これがあまりクレジットの量が増えると結構大変なことになるかもしれないですね。
 そこは、ベースラインをどうとるかということと、基本には、技術革新を促すというのが、排出枠取引の場合に若干弱いところがあるので、そこをこれでやるとすると、あと、プランナーに当たるようなものについてやるというふうに考えたほうがいいと思うんですけれども、さらに中間製品を入れるかはちょっと大問題ですが、基本的にはあまり入れないほうが整理としてはいいんだろうと思うんですけど、さっき諸富委員がおっしゃったようなことがあるので、トップランナー的なものであったら入れざるを得ないのかなということはあると思いますけど、そんなに、だから多くの者が関わってくるということには必ずしもならないのではないかと思います。
 先ほどもちょっと申し上げたように、結局、排出枠取引の外の部分の消費段階のところについてどうするかという話なので、それが、そこでの削減分を半分ぐらい生産者がもらうというような、そういう発想になると思いますので、それがオフセット・クレジットに考え方としては似ている。
 その分、もし日本の総排出量が増えちゃったらどうするかという問題はちょっと考えなくちゃいけないので、そこは、最初の排出枠の割り当て方とか、あるいは炭素税のかけ方とかというところと実は関係してくることになるだろうと思います。
 それから、もう一つだけ申し上げておきますけれども、再生可能エネルギーの固定価格買取制度は、私自身はこれは規制だと思っていて、これは義務なので、それで企業が環境価値をクレジットとして得るとかいうのはあまり考えないほうがいいと思いますけれども、ここは考え方次第で、両方でというか、排出枠取引のほうでメリットを受けるような考え方をとるとすればあり得ると思いますけれども、ここは、私はEUと同じように、再生可能エネルギーの世界はちょっと切ったほうがいいかなと思っています。そこはまた議論していただければと思います。
 以上です。

○植田委員長 大野委員。

○大野委員 則武委員がおっしゃった、事業所単位にすると、事業者単位よりも負担が大きいのではないかということについてですが、これは東京都の制度を運営している経験からいうと、ちょっとそういうことはないんじゃないかというように思っておりますので、その点だけ、少々話をさせていただきたいと思います。
 都制度をつくるときに、いろいろな意見を事業者の方からいただきましたけれども、事業所単位ではなくて事業者単位にしてほしいという話は、私の記憶する限りではなかったかなというふうに思っております。むしろ、都制度でも実際に一つの、例えば大手のデベロッパーなどは、制度の対象になる事業所を何十カ所か持っている例もございます。そこでは実際にはその本社が、本社の機能を使って各事業所の削減をどのように行うかをマネジメントしている状況となっております。つまり、事業所単位にしても、当然それは、本社機能が各事業所の削減をどのように進めていくかという点を踏まえて動かれているということであります。
 それから、誰の負担になるかどうかというのは、結局それは事業所の中にどんな体制を要求するかという視点に関わっているものでありまして、ここは我々は、そういうような過重な負担にならないような工夫をしておりますので、事業所単位だと事業者単位よりも負担が大きいということにはならないだろうというふうに思っております。

○植田委員長 では、則武委員。

○則武委員 今の点について、先ほど諸富委員とか武川委員からも言われた点ですけれども、検証とか算定に何を求めるかなんですけれども、基本的には、算定はもちろん事業所単位ですので。ただ、単に数字を足せばいいだけということではなくて、人間は間違えますし、虚偽の記載をするかどうかは別としまして、人間、間違えます。それに対して、やはり会社としては仕組みが必要です。間違いを正す仕組みも必要でしょうし、そういったときに、それを事業所単位で持つということに対して問題があると言ったのであって、ですから、検証も事業所だけの中で見られても困りますという形で、もちろん本社を含めて間違いない数字が出せる、虚偽記載も含めてないという体制をつくるというのが企業にとっては重要で、検証もその点を配慮して検証すべきだという点を申し上げただけです。事業所単位で完結しろと言われると、非常な問題が出てくるという点を申し上げました。

○植田委員長 ありがとうございました。
 それでは、続きまして、資料2、資料3につきまして、まとめて事務局から報告をお願いします。

○戸田市場メカニズム室長 それでは、資料2でございますけれども、これはご参考までということでございますけれども、これまでも欧米の担当官のほうからヒアリングをしたこともございます。その辺の経緯、ちょっと後ろからになって恐縮ですけれども、資料2の17ページ、18ページ辺りをご覧いただきますと、当小委員会としてまた環境省としても、欧米諸国との情報交換、意見交換というのはこれまで進めているところでございます。
 ここにございますように、3月には私自身が欧州に行ってきましたし、また、この小委員会におきましても5月13日より6月14日に諸外国の関係者からヒアリングをしたということがございます。
 先月になりますけれども、ICAPの東京会合における意見交換ということもございましたし、また、これは先週になりますけれども、欧米担当官からのヒアリングということで、ここで議論になっているさまざまな事項について、直接の面会又は電話会議などによって意見を聞いたということがございます。
 その辺について取りまとめさせていただいたのが、2ページ以降であります。あまり詳細なご説明は省かせていただきますけれども、2ページから8ページまで7つの問いを設定しまして、それぞれ欧州委員会と英国とドイツの方々からお話を聞いたということでございます。
 米国につきましては、聞いているところなんですけれども、まだ回答いただいていないところがありますので、この辺につきましては、もし回答をいただければ、さらにこの資料を拡充していきたいと考えております。
 2ページの国内排出量取引制度、今のEU-ETSが実質的な温室効果ガスの削減を達成する効果についてどう評価するかと。現在の炭素価格ではあまり役に立っていないという意見もあるけれども、そういったものについてはどう考えるかということについて話を聞いたということがございます。
 3ページですけれども、EU-ETSは長期的な投資には十分に影響を与えていないというような見解があるけれども、どうでしょうかと。また、4ページですけれども、ポリシーミックスにおいて国内排出量取引制度のポジションはどうなっているか。その他、炭素税やその他の政策との重複について、どのように考えるかというようなこと。
 また、5ページですけれども、総量排出枠を課すことによって、低炭素社会に必須な分野の成長を妨げるというような見解があるけれども、どうであろうか。
 また、炭素リーケージや国際競争力に与える影響をどう評価しているか。
 7ページ、これはマネーゲーム批判ということになるかと思いますけれども、銀行やブローカーが行きすぎた利益を上げているというような指摘があるけれども、どうであろうか。
 また、国富の流出を招いているという見解についてはどうだろうかということを聞いてみたところでございます。この辺につきまして回答を要約して載せてございます。
 あと、9ページ以降は、既存の文献から、EU-ETSの効果に関する分析の例ということで、6つ、14ページまでございます。
 また、国際競争力等への影響に関する分析の例ということで、15ページ、16ページということで、これも既存の文献から抜き出したものでございます。
 今後も、米国の例も含めましてもう少し拡充をしていきたいと思いますけれども、参考までに取りまとめたというものでございます。
 これが資料2でございますが、あと資料3、今後、当面の進め方についてということであります。
 資料3の最初の「○」にございますように、第8回・第9回・第10回におきまして、[1]から[7]までの個別論点について、まずは一通りの議論をいただいたということかと思っております。
 出させていただいた資料につきまして、資料1の形で合本させていただいていますけれども、この合本、本日ご指摘のあった分がありますので、所要の修正を行いまして、8月3日に地球環境部会がございます。その地球環境部会の下には、中長期ロードマップの小委員会と、国内排出量取引の小委員会、2つの小委員会が設置されておりますけれども、この両小委員会における検討状況ということで報告させていただきたいと思います。
 ここでは、まだ、こういう結論が出てきているとかそういうものではなくて、検討状況の報告ということでこの資料を出させていただいて、地球環境部会の委員の先生方からやはりいろいろご議論があると思いますので、委員のご意見をお聞きするということで、8月3日の審議を部会としてお願いをしたいというように考えております。
 その後の予定でございますが、ここはちょっと夏以降、制度オプション案の審議ということで、まだなかなか決められない部分がございます。地球環境部会においてどのような議論があるかということもございますし、また、先ほど来ご指摘があります、どのような削減レベルをイメージするのかという点もございますので、そういったことも考慮に入れながら、いつごろ、どのような形で制度オプション案をご審議いただけるかということにつきましては、もう少し検討させていただきたいと思いますので、この辺につきましてはまた別途、日程調整をさせていただきたいと考えているところでございます。
 資料2と資料3につきましては、以上でございます。

○植田委員長 今ご説明いただきましたが、資料2、資料3、ご意見がございましたら出していただけたらと思います。資料3でご説明させていただいたように、8月3日に中央環境審議会の地球環境部会が予定されておりまして、そこで私から、この小委員会での審議の状況、論点整理等につきましてご報告させていただくと、そういう想定をしております。
 そういうことも含めまして、もし何かご指摘いただくこと、ご意見等ございましたら、いかがでしょうか。
 これは、もちろん何か見解がまとまったとかそういう性格のものではありません。皆さんよくおわかりのように、今日も大分ご議論いただきましたけど、そもそもの制度の対象とする範囲それ自体についてもまたいろいろご意見がございましたし、もちろん設計のあり方に関わってのご議論もいろいろございまして、あるいは、もう少し全体像を示してほしいという、そういうご意見もございました。
 制度オプションそれ自体については、また今後の議論をさせていただく機会が出てくるかと思いますが、やはり途中の経過をきちっと報告しておいたほうが、全体像を明確にするという観点からも重要かと、そういうふうに思っておりますので、そういう点で報告させていただきたいと思っております。
 よろしゅうございますでしょうか。
 では、そのようにさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
 そろそろ予定の時刻ということですが、よろしいですか。
 では、最後に事務局から、連絡事項等ございましたらお願いできますでしょうか。

○戸田市場メカニズム室長 先ほどご説明しましたように、次回につきましてはまた日程調整をさせていただきたいと思いますので、特に事務的な連絡事項ということはございません。

○植田委員長 では、今日は終わりにさせていただきます。
 どうもありがとうございました。

午前11時49分 閉会

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