中央環境審議会地球環境部会(第4回懇談会)議事録

日時

平成19年10月15日 14:30~16:30

場所

全国都市会館2階ホールA

出席委員

(部会長) 鈴木 基之
(委員)  浅岡 美恵
(臨時委員)
      青木 保之 飯田 哲也
      石坂 匡身 及川 武久
      鹿島 茂  川上 隆朗
      木下 寛之 小林 悦夫
      塩田 澄夫 須藤 隆一
      住  明正 富永 健
      中上 英俊 永里 善彦
      長辻 象平 西岡 秀三
      原沢 英夫 桝井 成夫
      森嶌 昭夫 横山 裕道

議事次第

低炭素社会の検討について

 ○大塚啓二郎 国際開発高等教育機構GRIPS/FASID国際開発プログラム
        プログラムディレクター
 ○エイモリー・ロビンス ロッキーマウンテン研究所所長

配付資料

資料1    食糧問題と地球環境の経済学
       (国際開発高等教育機構GRIPS/FASID国際開発プログラム
       プログラムディレクター、政策研究大学院大学教授 大塚啓二郎)
資料2    Innovative techologies and designsfor profitable low-carbon society
       (ロッキーマウンテン研究所所長 エイモリー・ロビンス)
資料3    中央環境審議会地球環境部会(低酸素社会検討)の開催日程

議事録

14時30分 開会

○鈴木部会長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会地球環境部会第4回の懇談会を開催させていただきます。
 本日の審議は公開といたしておりますことをまず報告させていただきます。
 では、資料の確認を事務局からお願いします。

○市場メカニズム室長 では、事務局から資料の確認をさせていただきます。
 まず、議事次第の下に委員の名簿がございます。資料1といたしまして、大塚先生からの提出資料、資料2といたしまして、エイモリー・ロビンスさんからの資料がございます。資料3といたしまして、この部会の今後の開催日程がございます。それから、番号がついておりませんけれども、大塚先生からパワーポイントの打ち出したものが配付されております。
 以上でございます。

○鈴木部会長 よろしいでしょうか。
 それでは、早速、議事に入らせていただきたいと思います。前回に引き続きまして、低炭素社会に関する有識者ヒアリングということで、きょうはお2人の方にお願いすることになっております。
 最初の有識者の方といたしまして、開発問題の専門家でいらっしゃいます大塚啓二郎政策研究大学院大学教授でございます。よろしくお願いいたします。40分ぐらいで。

○大塚教授 ありがとうございます。大塚でございます。よろしくお願いします。私は、きょうはメンバーでいらっしゃる川上理事長がいらしていますが、FASIDというところで給料をもらっておりまして、私の大きな役目はFASIDを有名にすることだと思っております。なかなか読みにくいものですから、新聞その他でも政策研究大学院大学と言われてしまうんですが、GRIPSとFASIDで共同で開発経済学関係の大学院プログラムをやっておりまして、そこのディレクターをしております。
 それから、サイドジョブというには仕事の量が多すぎるんですけれども、フィリピンにあります国際イネ研究所(International Rice Research Institute)の理事長を4年間務めております。ことしの12月でお終いなんですが。先週の金曜日、神戸でアジア太平洋文化賞という、サンヨーの井植さんがおやりになっているかなりの大きな賞ですが、そこでIRRIが受賞いたしまして、環境を混ぜて話をしてくれと言われまして、そこで使ったパワーポイントを使っているために、IRRIのマークが入っているということでございます。本当はFASIDを使うべきであったかなと思うんですけれども、まさか川上理事長がおられると思わなかったので、IRRIのロゴ入りでやらせていただきます。多少タイトルの違う論文もお配りしたのですが、やることは同じであります。地球環境と貧困問題、あるいは、食糧問題について研究しておりますが、特に貧困問題、貧困削減に強く興味を持って仕事をいたしております。きょうはそれと環境問題との絡みについてお話申し上げたいと思います。
 数年前までは、気候変動の問題と農業問題、あるいは貧困問題、あるいは、フード・インセキュリティ、「食糧の非安全保障」というと元の意味にフィットしないものですから、食糧の安定的な供給でしょうか、そういう農業問題、貧困問題と気候変動は10年ぐらい前まではあまり関係なかったような気がするんです。ところが、このところ非常に関係が深くなりつつある。ますます関係が深くなっていると思うんですが、ミティゲーションとの関係で言えば森林伐採とか、農地からの温室効果ガスの放出とか、あるいは植林とか、この一、二年はバイオ燃料が非常に話題になっていて、バイオ燃料を使えば少しはグリーンハウスガスの排出も減るだろうという話が出てきて、ミティゲーションが関係しています。
 それから、何といってもアダプテーション、気温が高くて洪水がよく起こって旱魃も頻発するようになり、長期的に水が不足してくる、そういう状態でどうするんだというアダプテーションの話、これは農業と非常に絡むわけであります。昔は、農業問題、約イコール貧困問題、約イコール食糧増産だと考えたわけですけれども、今は食糧増産にあまり頑張りますと、森林を破壊して、そこに食糧を植えるというということも起こり得ますし、一生懸命食糧を増産しようとしますと、窒素をたくさん入れ込む。そうしますと、N2O、酸化窒素でしたか、あるいはメタンが出てくる。無機質を使えばN2Oが出てきて、有機質肥料を使えばメタンが出ると私は理解していますけれども、そうした問題が出てくる。それから、食べられるようなものですね、メイズとかシュガーケインとかいうものがバイオ燃料に転用されてくる。
 それから、気候変動の農業生産への悪影響があります。要するに、食糧増産というのは、単に食糧だけ見ていればいいというわけではなくて、地球環境の問題あるいは気候変動の問題と密接に絡むようになったということです。ですから、気候変動をおやりになる方も貧困問題、農業問題を気にしなければならない場面が増えるでしょうし、我々、貧困・農業問題をやっている者もそれだけをやるのではなくて、常に気候変動を意識しながら研究していかなければいけない。そういう状況が生まれているんだなと思います。  これはよく見る図で、私は気候変動の専門家ではございませんので、皆さんの方が詳しいと思います。右斜め下のNON-ENERGY EMISSIONSというのは農業と関係していて、私の理解が間違っていたらお教えいただきたいんですけれども、ランドユースというのは主に森林伐採かと思うんですが、それが温室効果ガスの排出量全体の18%を占めている。それから、Agricultureというところはメタンとか酸化窒素というものが農業からも出てくる。足しますと、全体の約3分の1になる。これは放っておいていい話では決してないだろうと思うんですね。気候変動の問題から見て農業関係の話というのは重要な話になってきている。
 問題の構造としては、私は93年から98年まで6年くらい、森林伐採あるいは森林環境の問題を、アジアとアフリカ7カ国でやったんですけれども、何で森林が伐採されるかと言えば、確かに商業伐採もあるんですが、私が目にしたベトナムとかスマトラ、ネパール、あるいはガーナ、ウガンダ、マラウイー、そういったところで見ていますと、森林伐採の目的ははっきりしておりまして、基本的には耕地の拡大。砂漠化の問題もあるんでしょうけれども、それは私、専門ではありませんので、省略しますが、食糧が足りないので森を切り開いて食糧をつくる。FAOによりますと、森林伐採のうちの6割が食糧増産だといっていますが、それはアマゾンとかニューギニアの一部で盛んということでしょうか、私の実感としては、食糧生産のための森林伐採はもっとウエートが高いのではないかと思っておりますけれども、正確なデータはよくわかりません。
 それから、植林プロジェクトを盛んにやっているんですけれども、私が見たところ植林プロジェクトで成功した例はほとんどない。いつも失敗していると私は思っているんです。非効率な植林プロジェクトのために森林環境がなかなか回復できない。そうこうしているうちにバイオ燃料への転用という話が出てきて、これは食糧不足の方へ向かっていく。後でちょっと触れますけれども、今、食物の価格がものすごく上がっているんです。
 それから、気候変動のために、今年ですと、中国、バングラ、インド、アフリカのかなりの部分で洪水が起こっています。ですから、食糧が不足して地球環境が悪化して、食糧不足がまた悪化するという、悪循環的なことが起こっていると考えざるを得ないかなと感じます。
 図式的に言いますと、これは1カ所間違っているんですけれども、人口圧力というのが左の上の方にありまして、人口が増えていくものですから、だんだん土地が足りなくなって、食糧が不足気味になる。アジアも1950年代、60年代はまさに典型でありまして、人口は3%近くで伸びていて、食糧は2%弱ぐらいのスピードでしか伸びていなかった。したがって、ローマクラブが書いた『成長の限界』とかいろいろなものがありますけれども、アジアはどんどん人が死ぬと。それは人口に比べて食糧は増えないからだと言われていたわけです。
 今のアフリカがまさに同じ状況でありまして、人口は増えているけれども、食糧生産は増えない。しかも、土地がもうない。したがいまして、人口圧力によって食糧不足が起こり、食糧不足が起こると困るものですから、山を裸にして畑にする。そういうことをしていると気候変動が起こってきて、気候変動があるとまた食糧生産に悪い影響を与えていくと、そういう構図になっているかと思います。では、どうしたらいいのか。この図にはまた戻ってきますけれども、食糧を増産しなければいけない。そのための最大の方法は「緑の革命」です。「緑の革命」とは何ぞやとお思いになる方もおられるかもしれませんので、後でまた少しやります。  特に、アフリカ、それから、旱魃頻発地帯、南アジアでも貧困者がいるわけですが、そういうところで、何としても食糧増産を果たさなければならないだろうと。それから、非常に非効率な植林プロジェクト、JICAがやっているものもそうですし、世銀もそうですし、アジア開銀もそうですし、FAOもそうなんですが、極めて非効率な森林プロジェクトをやっておりまして、これを何とかしなければいけない。
 それから、バイオ燃料を生産するのに食糧を使っていたのでは大きな問題が出てくるので、それ以外のバイオ燃料、例えば木屑であるとか稲わらであるといったふだん使わなかったようなものを使うバイオ燃料にしないとまずいだろうと。それから、環境適応型農業技術開発の推進。これは、気温が高くて旱魃がしばしば起きて、洪水がしばしば起きるようなときにも、生産を落とさないような技術の開発です。最後に、途上国の気候変動への国際的な取組みへの参加とグリーンハウスガスの排出削減の関係について考えたいと思います。ですから、私の今からの話は1、2、3、4、5の順でお話申し上げたいと思います。
 要領が悪くて申しわけありませんが、この図で言いますと、1つ目の話はここですね。この黒いのは「望ましくない効果」と書いたんですが、ここだけちょっと間違えまして、ここは白でございます。「緑の革命」があると食糧生産が増えてこの悪循環が少しでも減る。それが1番目のテーマでございます。それこそが私の主な仕事でございます。これは幸い世界銀行と一緒にアフリカの「緑の革命」というプロジェクトを今まさに開始するところでございまして、それなりにこの仕事は進んでおります。ですから、ここが1番目のテーマでございます。
 それから、きょうは時間の関係でアグロフォレストというのはやめようと思っていますが、2番目は植林です。今までほとんど成功していないのを成功させることによって気候変動にいい影響を与えるようにする。それから、バイオ燃料ですね。今は食糧を使っていますので、食糧不足の方にいってしまうわけですが、そこを何とか緩和するような技術開発を考えなければいけないのではないかというのが3番目のテーマでありまして、4番目のテーマは、気候変動が食糧不足に悪影響を与えるわけですけれども、そこをアダプテーションの関係のリサーチで乗り切れないか、そういう構図になっております。この1、2、3、4、5の順番でお話を申し上げたいと思います。
 ここは私の専門なものですから、ちょっと力が入ってしまうと思うんですけれども、食糧増産というのは基本的には「緑の革命」しかない。「緑の革命」とは何かと言いますと、背が低くて、茎が太くて、肥料を投入しますと、それに応じて収量が上がるような品種の開発と普及です。アジアでの穀物、特にコメの生産が1960年代の末から2000年ころにかけて急速に増大したことを指します。実際には、ヘクタール当たりの収量が約倍増ですね。それから、コメの生産は3倍になりました。徐々に品種に病虫害抵抗性を強化する等の改良を加えまして、アジアでは三十数年間にわたって継続的に穀物の生産が増大しました。
 もし「緑の革命」がなければどうなったであろうかと言えば、アジアでは大変な飢え、食糧危機が起こっていただろう。これは北朝鮮でもそうですし、一時の北ベトナムがそうですけれども、森林伐採が極限まで進むだろう。今は北ベトナムとは言わないかもしれません。ベトナム北部の山に行くと急傾斜のところまで全部畑になっている。最近少しよくなっているかと思いますが、すごい光景が続くわけです。そういうことがアジア全体で起こっただろうと思います。
 皆さんは農業にそれほどご関心はないかもしれませんけれども、これは「緑の革命」のすごさをごらんに入れるためにつくった図です。熱帯アジアとサブサハラアフリカでのヘクタール当たりの穀物の収量を比べたものでありまして、1960年代の最初のころはそんなに変わっていなかったんですね。アジアが1.2トン、アフリカは0.8トン。ところが、アフリカはその後40年たっても1トンまでしか伸びていない。それに対しまして、アジアは、1966年にIRRIが画期的な品種をつくったんですけれども、それ以来ずっと伸びまして、最近になってちょっと伸びがとまるようになってきた。これは穀物全体でありますが、コメに限りますと、1.7トンから3.8トンぐらいまで、倍強になっております。
 これはちょっとやりすぎかもしれませんが、「緑の革命」のポイントなものですから。これはIR8という、66年にできた「奇跡のコメ」と言われた品種です。これは背が低いんですね。日本の田んぼに生えているイネと大体同じです。もともと東南アジアにあった品種はこんな品種でありまして、これはIR8の片親でして、ペタというインドネシアの品種です。これは1メートル20だったか30ぐらいあります。それの問題は倒れやすいということなんです。風が吹いても倒れますし、肥料をやって実が重くなると、ひょろっとしているものですから、倒れてしまう。
 それから、植物全体の重さが、例えば10トンありますと、実の部分は2トンなんですね。要するに茎とか葉っぱにたくさん養分がいっちゃっているということなんです。こちらの改良品種は全体で10トンの重さがあるとすると、そのうちの5トンが実になっている。要するに効率が高いんですね。そういう品種であります。ただ、病虫害抵抗性などがなかったものですから、その後いろいろ工夫して、今は病虫害にも随分強くなりました。
 これは人口とコメをとってみたもので、生産指数を、1961年を100にして見ているわけですが、明らかに人口よりも生産が伸びたんですね。ですから、人口と生産の戦いに勝ったわけでありまして、その結果として実質米価は減少しました。ここの1973-74年のところは間違った投機がありまして、今年不作だというので、投機の人たちがばっと買い占めました。実際に生産はほとんど減っていないので、大したことなかったんです。ですから、ここはちょっと米価が狂っているんですが、大体ここら辺の水準からことしまで3分の1ぐらいに実質米価が減った。したがって、貧困な人たちもコメが買えなくて死んじゃうというようなことはなくなったわけですね。  ただ、ここでちょっと心配なのは、ここら辺で上がり始めているということですね。これは反転し始めている。実は食糧問題は今危険信号になっています。必ず相当な問題が発生すると思いますね。これは、「緑の革命」が華やかなりしころのヘクタール当たりの収量の年成長率、そして、最近の「緑の革命」が終りかけたころの年平均成長率をとっているんですが、収量の伸びは明らかにとまってきている。もし2000年から2007年をとればここら辺にくると思います。
 したがって、生産量の伸びはほとんどなくなっている。今はそういう状況になっております。これはコメばかりとっていますけれども、コメもダイズもトウモロコシも価格の動きというのは非常にパラレルでございまして、どれもこの2年ぐらいで倍増です。これはちょっと前のデータなものですから、4年でほぼ倍増といっていますが、この2年で倍増しています。予測もいろいろ出ていますが、どれもまだまだ上がるという予測です。経済学者で食糧の価格はこれから下がるだろうと言う人はいないですね。これはコメの在庫量ですが、非常に下がっている。ですから、不作がくればひとたまりもない、そういう状況です。
 どうしちゃったんだろうということですが、油断ですね。価格が下がってきたものですから、食糧は十分あると、灌漑に投資することもないし、研究などしなくてもいいだろうと思ったのでしょう。IRRIも予算がどんどん減りまして、理事長としては大変苦しんだわけですが、今はちょっと状況が変わってきていまして、これからは違うと思います。とにかく油断したのが一番の敗因だと思いますね。
 2番目に大きいのは、中国やインドで畜産物の需要が増大したことです。よく言われることですけれども、1キロの肉を生産するのに5キロから10キロの穀物が必要なわけです。ですから、穀物を食べずに肉を食べるというのは、穀物需要を相当高めるということなんですね。5キロから10キロと言われていますけれども、かなりの人の話では10キロに近いということです。
 それから、バイオ燃料への穀物の利用の余波。これはどこまでかかわっているのか私はよくわかりません。と申しますのは、この2年間ぐらいで穀物の価格は倍増しているわけですけれども、トウモロコシのアメリカにおけるバイオフューエルへの転用というのは大体13%なんですね。13%メイズを動かしただけで、メイズもダイズもコメもコムギも価格が倍になるというのは考えにくいので、多少は効果がきいていると思いますけれども、それがものすごい効果かというとそうではないだろうと思いますね。ただ、バイオ燃料の専門家に言わせますと、これからどんどんバイオ燃料へのシフトが出てくるので、それによって5割ぐらいは穀物の価格が上がるのではないかとされています。
 それから、天候不順のことも多少はあるのかなと思いますが、これはよくわかりません。
 それから、私が世界で最も大事なファクターだと考えているのは中国の農業でありまして、これが一番怖い。そう言っているのは私と私の同僚と言いますか、恩師の速水先生の2人ですけれども、一番怖いのはこれだろうと。つまり、日本の農業も小規模で困っているわけですが、それでも今1.5ヘクタールぐらい。しばらくの間1ヘクタールでやっていたんですね。中国は0.6ヘクタール。0.6ヘクタールというのは猫の額でありまして、手間がかかる。手間がかかったって、賃金が安ければいいんですけれども、ついに中国は賃金が2000年ごろから急速に伸びておりまして、労働費が上がっているんですね。しかし、小規模ですから、機械化がなかなかできない。  では、土地を買ったり貸したりできないのかというと、私的な所有権が確立していないために、売買はできませんし、貸し借りも非常に消極的です。場所によってはかなり始まっていますけれども、全体の6%とか7%程度しか貸し借りはできていない。このままいきますと、国内の生産費が上がって日本と同じような食糧の大輸入国になるだろうと思います。
 2週間ぐらい前に、中国の農業経済学の一番のリーダーと思われているジクンホアンという人がいるんですが、私のいるFASIDにやってきまして、「ウィル・チャイナ・スカイロケット・ワールドフードプライシズ」という報告をしまして、彼は「ノー」だといったんですが、彼の出してきた証拠を私なりに消化すると、どう考えても「イエス」だと思うのです。彼は彼が出してきた証拠で私を静かにさせようと思ったようですけれども、私の心にはむしろ火がついた、もっと心配になってきました。
 そういうことで、これから穀物が不足気味になると思います。そういう中で、貧困者はまだまだ多い。10億人とも13億人とも、ワンダラーデイという一つの基準ですが、1日1ドル以下で暮らしている人たちとよく言われますけれども、その人たちが13億、あるいはかたく見て10億で、そのうちの3分の2ぐらいがアジアにいる、特に南アジアにいるわけですね。
 これはサブサハラアフリカ、ちょっと色が薄く見えますけれども、人口当たりの貧困の割合で言えばアフリカがはるかにすごい、貧困です。ここら辺はあまり重要ではないので飛ばしますけれども、こんなぐあいです。
 貧困は生産環境不良な天水田地帯にかなり集中している。あるいは、雨量が少ない畑作地帯にもかなりある。要するに、農業の効率が低いようところで貧困人口が多いということですね。
 「緑の革命」はよかったんですけれども、限界もございまして、特に雨量が少なくて旱魃がよく起こるようなところでは、近代品種、最近の品種でも高収量を発揮できていないんですね。それから、洪水がひどいところもうまくいかない。背が低いものですから、水をかぶってしまってうまくいかない。
 そうした取り残された地域がアジアの稲作の場合には4分の1を占めている。これはIRRIの宣伝になっちゃいますけれども、旱魃抵抗性のある高収量品種の開発がIRRIの最大のテーマになっております。あるいは、農業試験研究で大事なテーマというのは、コメに限らず旱魃抵抗性のある高収量品種の開発にあると思います。
 アフリカの「緑の革命」ですけれども、アフリカはこのまま気候変動が起こればますます深刻な貧困問題が起こると思います。そこから脱出するには「緑の革命」を実現するほかに方法はない。
 「緑の革命」の第1号は日本だと思うんですが、日本も明治の初めから大正時代、第一次大戦ぐらいまで、1920年ごろまでは日本はコメの生産がすごく増えた時期で、背が低くて肥料をやればやるほど生産が増えるような品種をつくったわけです。それがとまってしまって、そこで米騒動が起こるわけです。これはまずいというので、台湾と朝鮮に日本のような背の低い品種を開発して食糧増産を図った。それがもう一つ進んで、フィリピンなりインドなどの熱帯の方まで進んでいったのが「緑の革命」です。
 あるいは、アメリカでヘクタール当たりの生産が増えたのは、「緑の革命」と同じような話、ハイブレッド・メイズというのが有名ですが、肥料をたくさんやってたくさんとる技術です。人類の歴史において「緑の革命」以外の方法で成功したケースはほとんどない。いわゆる農業革命も似たようなケースなんです。これはイギリスで18世紀にあったわけです。
 ただ、アフリカは灌漑がほとんどなくて、しかも雨量が少なくて不安定という非常に難しいところ、しかも化学肥料が高くて買えない農家があったり、あるいは市場がうまくいっていなかったりしています。そういうところで、旱魃抵抗性のある品種の開発、有機肥料の利用、市場の発達促進、これをやればいいと思います。技術さえ出れば市場は発達すると私は考えておりまして、私が自らをテクノロジー・ファンダメンタリストと名乗っているんですが、技術さえ出れば制度はついてくる、市場制度も発達してくると私は思っています。どうして思っているかと言えば、アジアでそうだったからです。アフリカの一部でもそういうことが起こっていますので、そうなるだろうと思っています。アフリカが必死になって品種の開発をすれば、「緑の革命」はそんなに難しくないと考えています。  これはこの場であまり力んでいてもしようがないと思いますけれども、さまざまな理由から、「緑の革命」が起こるとすれば、まず水稲で起こるだろうと私は思っています。これが「緑の革命」の話でありまして、要するにこれをしっかりやっておかないと、気候変動が起こって、ひどい貧困が起こってしまうということですね。
 それから、植林プログラムは簡単なんですが、川上理事長などはご存じかもしれませんけれども、ソーシャルフォレストリーとかコミュニティフォレストリー、そういうプロジェクト一辺倒なんですね。政府が植林プロジェクトをやる、必ず社会林業なんですね。世銀がやる、必ず社会林業、ADBがやってもそうですね。これのモットーというか、基本的な原理は、みんなで木を植えて、みんなで保護し、守って、世話をする。植えるのは木材用の木ですが、木を売って収入はみんなで分け合いましょうというシステムです。美しいんですが、よく考えてみると、これはあまりいいシステムではない。
 私は社会林業を専門に研究したわけではありませんが、林の研究をしているときには社会林業に出くわしますので、たまに見ていましたが、社会林業で価値ある木材を生産しているケースは見たことがない、ひょろひょろした、手入れが行き届いていない林ばかりです。世界中そうなんです。どうしてかと言えば、社会林業というのは基本的に人民公社と同じやり方をしている。つまり、やる気が出ないわけですね。みんなで分け合ったのではやる気が出ない。したがって、もうからない。丁寧に世話しませんから、もうからない。もうからないからやる気がしない。したがって、植林が進展しない。本当に進展していません。それをずっと続けているんです。  これは驚くべきことでありまして、私は世界銀行とFAOに行って「やめたらどうだ、こういう方法にしたらどうだ」と言いました。それはどういう方法かと言いますと、保護は全員でやって、世話は個人でやるということです。盗まれたり、薪にしてとられたり、あるいは、牛が出てきて食べたりしちゃいますので、保護してやらなければいけない。これは結構大変なんですね。保護はローテーションでやるとか、みんなで監視員を雇うとか、少人数で見回りできますので保護は全員でやって、世話は個人でやる。これが一番効率が高いと思います。
 実際にこれに近いシステムでやっているところもあります。細かい理論的サポートもあってこういうシステムがいいんですが、これをやると政府が許さないんですね。ただ、間違えてやっているところもあります。ネパールのタライのDANディストリクトに林野庁の人が間違えて「いいよ」と言ったものですから、やったところがありまして、そこは見事に大木が生い茂っております。JICAなどは今のばからしい社会事業をやめて、私の言っているような方向で成功したら世界から称賛されると思うんですけれども、なかなか私の言うとおりにはやっていただけていないですね。
 バイオ燃料の話を少しさせていただきたいと思います。もともと原油価格が高騰して、それに反応してエタノールを食糧からとろうということになりました。トウモロコシ、サトウキビ、あるいは、アブラヤシとか菜種油とか、いろいろなものからとれるようですし、穀物からもとれるわけです。現在は主にトウモロコシとサトウキビからエタノールが生産されています。トウモロコシはアメリカで、サトウキビはブラジルです。このためにどこまで穀物の価格が上がったかわかりませんけれども、穀物の価格は現在上昇傾向にあり、今後もっと上がるだろうという予測がいろいろなところから出ている。そうすると、貧困者はますます困窮することになります。  これはセネガルの話ですが、セネガルでは七、八十キロ、コメを食べている。我々日本人は平均60キロ食べているんですが、七、八十キロ食べている、主食なんですね。アジアからコメを輸入しているんですが、米価が倍になったので国民がデモを起こした。政府に対して何とかしてくれというので、政府は「わかった、任せておけ」と答えたようですけれども、そういう状況が出てきている。南アジアでもそうです。インドでも今非常に大きな問題になっていますが、こんなものではなくて、これからもっと食糧価格は上がると思います。
 バイオ燃料の生産が増えると思うんですが、今のところは輸送と生産にエネルギーを使っているため、温室効果ガスの排出削減の効果はそんなに大きくないのではないかと言われています。幾つか計算が出ているようですが、例えばエタノールを100つくったとして、それでどのくらいエネルギーを節約できたかというと、2割とかいうようなレベル、100なのに20ぐらいしかセーブできていないという話もあります。しかし、これからもっと効率は高まると思います。
 ただ、これをやっていると農産物の価格が上がってしまいますので、今、かなりの方が考えているのは未利用の資源の活用、木屑とか稲わらとか、急速に伸びる雑木とか、セルロース系統の物質が注目されているそうです。私は科学はあまり強くないのですが、そういった方向に早くいかないと、バイオ燃料の利用によって穀物の価格が上がって、貧困も深刻化することになりかねない。こういう未利用の資源の活用に行きつくには、これはどういう根拠かわかりませんけれども、よく出てくるのは10年ぐらいかかるだろうと言われているようです。
 それから、気候変動ですが、IRRIが属しているシステムがありまして、世界中に15、国際農業試験研究機関というのがあります。それを統括するCGAIRというシステムとIPCCの代表者、3人ぐらいでしたか、1年ぐらい前にワシントンで会合があって議論がありまして、IPCCの方は農業をわからないながらいろいろ仮定して計算されていたようですけれども、これからはもっとIPCCとCGAIRとかIRRIとか、そういうところの関係は深まらなければならないと思います。
 気候変動は明らかに食料生産に大きな影響を与えているでありまして、これは水稲の場合で、『サイエンス』に論文が出たような研究があります。水稲の場合、昼間の気温は関係ないんだけれども、夜の気温が上がると、我々も夜、気温が高くて寝苦しいと次の日疲れているというようなのと似ているようでありまして、新陳代謝の問題のようですが、植物も夜、気温が高いと消耗するらしいんですね。それで生産が減るのです。夜の気温が1度上昇すると生産は大体10%減少するようです。
 それから、洪水や旱魃が頻発しますし、気温が上がると病虫害がより増えるだろうと見込まれます。それから、海面上昇に伴って塩害が深刻化するだろうと予想されます。水不足は恒常化していくでしょう。
 こういう気候変動に適応できる農業技術の開発というのはこれから非常に重要になってくることは間違いないと思います。
 それでは、どうするかということですが、基本原理は多分どれも同じでありまして、これは洪水のケースで成功例があります。IRRIの研究者の論文が、去年、『ネイチャー』に出たんですが、日本からもこの技術の普及で支援をいただいています。とにかく最近洪水が多いわけですね。去年は特に台風の当たり年で、タイにも台風がいったんですね。台風はフィリピンあたりで起きて、せいぜい台湾、中国、韓国、日本、日本あたりにくるのかと思っていましたら、西の方に進むやつも出たりしまして、これで随分被害が出ている。今年は南アジアで出ているようですが、イネは水をかぶっていますと、溺死するというか、3日か4日で死んじゃうんですね。  それで死なないようにするイネをつくったんです。IRRIのコマーシャルをするわけではないんですが、一つの例としてお見せしたいと思います。これはIR42という普通の品種でありまして、次はSwanaという南アジアでよく栽培される品種ですが、そこにSub1という遺伝子を組み込んだんですね。これは遺伝子組換えとは言わないんですね。トマトの遺伝子をコメに持ってきたら遺伝子組換えなんですが、コメの遺伝子をほかのコメに入れるのは遺伝子組換えと言わない。
 とにかく遺伝子を入れたわけですが、4日ぐらい水をかぶせてから、水を引いてみた。そしたら、こちらはほとんど息絶え絶えなんですけれども、こちらはぴんぴんしている。こういう遺伝子がいろいろなところにありますので、こういう遺伝子をみつけてきて入れ込むと効果があるわけです。
 これはあやしげなイネなんですが、イネと言えば水田なんですけれども、これは水稲というか、水稲と陸稲の掛け合わせの品種なんです。それを畑状のところで育てている。たまに水をやったりします。水を全然やらないわけではなくて、やったり入れたりします。収量は4トンから6トン。これはかなり高いんです。そういう研究もしております。
 先ほど見せたのは冠水抵抗性ですが、旱魃抵抗性も、基本的には旱魃に抵抗できるような遺伝子を持ってくればいい。例えば旱魃がきたらしばらく静かに寝ている、無理して成長しようとしない。寝ていて、水がきたらまた成長するというようなことですね。ところが、旱魃については複数の遺伝子が関係しているために、非常に複雑なのです。ですから開発に5年から10年かかるのではないかと言われています。研究費がどれくらいくるかにも依存するんですけれども、まだちょっと時間がかかる可能性がある。  それから、塩害抵抗性とか病虫害抵抗性も基本的には同じでありまして、あと、節水栽培という課題もあります。節水栽培と旱魃抵抗性は似ているんですが、要するに今までもやっていた研究を強化していくということです。そういうことがこれからは重要になってくるだろうと思います。
 あと2枚ほどで終わりますが、結論Ⅰは、食糧危機の危険が増大しているというのは認識しなければいけないだろうということです。貧困問題は、特にアフリカでは深刻化する可能性が大きい。そういう状況にある。
 気候変動が起こりそうですから、そちらは皆さんがご専門なわけですが、アダプテーションの問題は重要性を増すだろうと思います。
 そういう中でバイオ燃料の生産は増大していくだろうと予想されます。
 そして、森林伐採は今後とも進むでしょう。特に食糧の生産が減りますと、どんどん森を切り開きますから、そういうことも起こるだろうと思います。
 そうしますと、大きく言えば問題は、食糧危機、それから、気候変動への適応。さっきの水をかぶるような話もありますけれども、一番大きいのは水不足ですね。水がなくても育つような節水栽培と言いますか、旱魃抵抗性が農業技術開発という意味では非常に大事なことになってくると思います。それから、バイオ燃料向けの新しい原料・生産方法の開発、それから、新植林プロジェクトの推進。こういうことをしていかないと、食糧の安全保障と言いますか、食糧の確保と気候変動の問題の解決はうまく両立しないだろうと思います。
 これは私の私的な考えですけれども、ODAによって途上国の気候変動への適応を支援する必要があるだろうと思います。ミティゲーションについては、ベルリン・マンデートでしたか、があってODAは回せないと、ミティゲーションのためにODAの予算を回すのはだめだと、追加的に出せという話だったわけですけれども、アダプテーションになるとちょっと話は違うのではないか。アダプテーション用に先進国が途上国にお金を出して、私ならばそれを飴にして、途上国を気候変動への国際的な取組みに参加するように促すという政策をとると思います。その中で、農業技術開発の支援というのは中核的な役割を果たすべきであろうと思います。  もう1つは、途上国の参加を促すためには、私は、専門ではないので、どこまで強く言っていいのかわかりませんけれども、農業を含めてメタンの問題、あるいは、酸化窒素ですとか、先ほど農業は全体の排出の14%と言っていましたが、農業を含めてのグリーンハウスガスの排出、あるいは、CDMの中に途上国の植林がカウントされてないわけですけれども、そういったことについて早くモニタリングシステムを強化して、途上国がグリーンハウスガスのエミッションを減らせば、それなりのメリットが出るようなシステムを早く構築する必要があるんだろうと思います。
 大局的に見れば結論Ⅱが重要でありまして、細かいところで見れば前のページの結論1というのが、私の考えでございます。
 以上でございます。どうもご静聴ありがとうございました。

○鈴木部会長 どうもありがとうございました。
 気候変動に関連して、食糧、農業、そして途上国の問題等、非常に幅広にお話をいただいたと思いますが、委員の方々からいろいろご質問があろうかと思いますので、名札をお立ていただければ、私の方で順番にしたいと思います。
 それでは、こちらからいきましょうか。及川委員から。

○及川委員 私の専門は植物生態学でして、先生の話の内容とかなりダブる研究をずっとやってきたものですから、非常に興味深く伺わせていただきました。
 ちょっと認識が違うところがあるんですけれども、私は1965年に大学院に入ったんですが、そのときにちょうどIBP(国際生物学事業計画)というのが始まりまして、10年間研究が行われたんですね。これはICUS(国際学術連合)が提唱しまして、地球の問題として人口がどんどん増えている、それで食糧が不足するのではないかということで、この地球上の食糧生産がどのくらいあって、それで人口がどのくらい養えるかということを大きなテーマにしたプロジェクトが10年間行われたんですね。そういった中で、先生のお話にありましたように、収量の高い作物がいろいろ開発されて、「緑の革命」が起こったということがあるわけですね。  見てみますと、さっきお話ありましたように、あの形ですね、イネでもそうですし、トウモロコシでもそうですし、コムギでもそうなんですけれども、背が低い。そして、がっちりした格好で。もう一つ重要な性質は葉が立っている、イネ科型と言っているんですけれども、葉が立った形態をしているということで、葉っぱをいっぱい繁らせても、ソウゴヒンといっていますけれども、下の方の葉っぱでもそんなに暗くならない。だから生産量が上がる。そういう品種が開発されて、「緑の革命」が起こったということが非常に大きな成果としてあげられると思うんですね。そういったことで、1970年にボーログ博士が、「緑の革命」で収量の高いコムギを生産したということで、ノーベル平和賞を受けられたということがあります。
 日本で考えてみますと、皮肉なことにお米がとれすぎてきちゃったわけですね。それで生産調整と言いますか、減反政策が1970年から始まったということで、とれてよかったかというと、そういったマイナスの面もあると。それは単に日本だけではなくて、アメリカでもヨーロッパでも作物の生産量が増えたということがあるんですね。FAOの統計を見てみますと、1960年代から10年ごとの統計ですけれども、人口は増えてきているんですが、栄養不良人口と、それは逆にどんどん減ってきているんですね。2020年にはさらに減るだろうと。世界全体ですから、地域的には北朝鮮などもひどいと思いますし、アフリカの……。

○鈴木部会長 先生、なるべく簡潔にお願いします。

○及川委員 そういったことがありまして、食糧生産はかえって増えてきていると。なぜそうなったかと言えば、お話がありましたように、森林伐採、あるいは、肥料を与えるということで、そういったことが起こったために地球温暖化になるような問題を起こしているのではないかというのが私の認識で、先生のおっしゃるのとはちょっと違うかなという感じがいたしました。  以上です。

○鈴木部会長 9名の方の手が挙がっていますので、一通りご質問、コメントをお受けしてから、お答えをいただきたいと思います。
 鹿島委員。

○鹿島委員 ご講演、どうもありがとうございました。2点ほど教えていただければと思います。
 1点は、先生のこれまでの経験からどのくらいの投資額があればどのくらいの、端的にいうと収量のある農作物が開発できるとお考えなのか、そういう関係は私の関係する自動車などの関係ですと、過去の経験からこのくらいかかるのではないかというような経験的な関数がつくることができるんですけれども、農業の分野でもそういうものは考えられるんでしょうかというのが第1点でございます。
 第2点目は、先生にご説明いただいたんですけれども、私、理解が十分できなかったので。社会林業ではうまくいかなくて、実際にはうまくいった例はネパールであるというお話をいただいたんですが、もう少し中身をご説明いただけたらと思います。
 以上2点でございます。よろしくお願いいたします。

○鈴木部会長 川上委員。

○川上委員 3点ほど質問をさせてください。
 1つは、先生から従来の植林プロジェクトについていろいろなご批判をいただいたようですけれども、それの賛否云々は別として、これからの長期的な環境へのインパクトという意味では、今起こっているイリーガルな森林伐採、リーガルな面もあるかもしれません。それから、私はたまたまインドネシアで勤務した経験があるんですが、毎年起こっている大規模な森林火災、それから、あそこはピートがたくさんあって、ピートに燃え移って、それがごうごうと燃え続けているといったような実態が毎年あるわけですね。それが巨大な量のCO2を地球に排出しているというような点があるわけです。こういう問題に対する国際協調による、安倍前総理が言われた新たな資金メカニズムを通ずる援助というのを、これから日本も大規模に考えていく必要があるのではないかなという気がいたしますけれども、その辺について先生のご意見があればお聞かせいただきたいと思います。
 それから、第2点は、今度はぐっとレベルが違う話ですが、アフリカの食糧問題の関係で、きょう全然お触れになりませんでしたけれども、一時、ネリカ米というのが大分議論されましたよね。あれは今どうなっているのかよくわからないんですけれども、乾燥地農業に適しているということで大分喧伝されていた経緯があったわけですね。特にWSSDのころですね、ヨハネスブルグで行われた、あのころ。先生はIRRIの理事長をなさっているので、そのご見識に基づいてどういうふうにお考えになるのかお聞かせいただきたい。これが第2点です。
 第3点は、もっと大きな話で恐縮ですけれども、安倍前総理の新たな資金メカニズムの話です。いわゆる途上国のアダプテーションの問題を気候変動との関係で考えるときに、基本になるのはODAの資金ということになるわけですが、安倍前首相は新規に追加的にこれをやると言われたわけですね。ミレニアム・ゴールとの関係もあると思いますけれども、環境とのからみで途上国の貧困問題を解決するに当たって、今後どういうストラテジーでいくのが、先生、研究者として見ておられて、資金の配分的に望ましいか。これは全く個人的な意見で結構ですけれども、その点についてご教示いただければ幸いです。

○鈴木部会長 小林委員。

○小林委員 恐れ入ります、全くの素人なので、単純な質問になるんですが、資料の11ページの図3の食糧問題は危険信号というところで、作付面積、収量、生産量の成長率が落ちているというご説明があって、その後、原因についてお話いただいたんですけれども、作付面積が成長率として大変落ちているという部分についてご説明がなかったように思うんですね。これの原因がどこにあるのか、日本なのか、それともそれ以外の国においてもこういう問題があって、作付面積の伸び率が急速に落ちているのかという点、ちょっと興味がありますので、教えていただければと思います。
 以上です。

○鈴木部会長 住委員。

○住委員 2点お伺いします。
 日本でもそうですけれども、中国でも最近コメ余りが出てきていると聞いたんですが、将来的にコメというのはどんどん余っていくような気がしないでもないので、その辺のことをお伺いしたいと思います。
 それから、最後の方の論文を読みますと、新たな研究投資が必要だと書いてありますが、僕の理解だと、農林関係というのは、日本国内を考えますと、府県の試験研究機関、それから研究費も含めて、ものすごい金が、どこにいっているのか知らないですが、出ているような気がしますし、農業に関する研究費というのは社会的にみると莫大なような気がしているんです。それにさらにまた研究費がなければだめなのか、何の研究をしているのかなという感じがするものですから、その辺のことをお伺いしたいと思います。

○鈴木部会長 永里委員。

○永里委員 どうもありがとうございました。先生のご専門に直接関係あるかどうか、ですから、感想でもお聞かせ願えたらということで2点質問いたします。
 砂漠の緑化というのはうまくいくんでしょうか。もう1つの質問は、食糧に適さない、毒などを含んだような高カロリーの植物のバイオ燃料化というのはどうなるんでしょうかということと、これの遺伝子組換えによる増産の研究というのはございますでしょうか。そういう質問です。

○鈴木部会長 長辻委員。

○長辻委員 私も遺伝子組換えというか遺伝子操作のことをお尋ねしたいと思います。  旱魃抵抗性とか塩分抵抗性のあるイネをつくる際に、遺伝子操作によれば交配によるよりも効率的に改良ができると思いますけれども、その場合に、遺伝子組換えが日本国内ですと全く認められないというか受け入れられない状況があるんですが、これがどこまで容認されるのかということ。
 もう1つ、口に入れないバイオ食物ならば抵抗なく進む可能性があると思うんですけれども、この場合、結果として生物多様性との関係、改良された品種が非常に強くて、在来種を駆逐してしまう可能性があると。そういったことも考えられているのかどうか。そのあたりを教えてください。
 以上です。

○鈴木部会長 西岡委員。

○西岡委員 私の質問はアダプテーションの可能性についてでございます。今、温暖化を防止しようとすると、ミティゲーションの方でコストがかかるということで、アダプテーションに非常に期待がかかっているんですけれども、今のお話から言いますと、「緑の革命」のようなやり方でいけばかなり気候変動にも耐えられるのではないかという期待はあることはあるんですが、私どもがよく聞きますのは、高温に対してこれ以上、ちょうど花が咲くときに高温になるような形だと実がならないということで、特に途上国、熱帯の方ではこれ以上の品種改良はかなり難しいという話を聞いております。また、そのほかに内陸部では水が不足するわけですし、病虫害の発生等々、複合の影響といったものについては、どのような研究をなされているか、もしおわかりでしたら、教えていただきたいと思います。

○鈴木部会長 横山委員。

○横山委員 2点お尋ねしたいと思います。
 1点目は、全体的な話なんですが、きょうのテーマの気候変動と貧困、農業問題ということで、これまで日本が果たしてきた役割をどう評価なさって、これから日本はどうしたらいいのかという問題をどういうふうにとらえられているかという点です。
 2点目は、先ほどもありましたけれども、遺伝子組換えで、先生も、デリケートな問題というか、遺伝子を、「組換え」ではなくて「組み込む」というような表現を使われておりましたけれども、いずれにしろ今後、遺伝子組換え、組み込みというのは大きな課題になると思うんですが、その辺をどういうふうに今後していったらいいのか。遺伝子組換えか組み込みをやらなければならないとなった場合は、反対している人をどうやって説得していくんだという問題も今から考えていく必要があるような気がしますけれども、その辺の問題をどういうふうにお考えになっているか、教えていただければと思います。  以上です。

○鈴木部会長 いかがでしょうか。一回りご質問をいただきました。

○大塚教授 たくさん質問をいただきましてありがとうございます。
 最初の及川委員のお話ですけれども、私は「緑の革命」は明らかに森林伐採を減らす方に働いたと考えています。つまり、食糧が足りないということは、食糧の価格が高いということでありまして、森林伐採に対する投資の収益率があがります。森林伐採は肉体労働で大変な労働ですから、それなりに報酬がなければおこらない。穀物の価格が高いということは報酬が高いということですね。したがって、投資しますから、穀物の価格が高ければ森林伐採は進みます。実際、私が調査した地帯、大体辺境の地を調査したわけですが、森を焼く大きな理由は常に食糧増産でした。それは食糧が足りないから、町にもっと仕事があれば、あるいは、平地にもっといい仕事があれば、そちらに行ったはずの人たちが仕方なく山の方に来て木を切っているというのが現状だと思います。ですから、食糧を十分つくるということは森林伐採を少しでもとめる必要条件だろうと考えます。
 それから、どれくらいお金をかければいいのかということですが、今、国際農業試験研究機関というのがありまして、農業技術というのはかなりの程度公共財なんですね。すべてがそうではありませんけれども、コメなどがそうなんですが、私企業の採算に乗らないんですね。というのは、新しい品種を開発したとして、農家は自分でそれをつくれちゃうわけですし、ほかの人に売ってもいいわけです。完璧なコピーが可能なんですね。それから、フィリピンでつくった技術がセネガルでも非常に役に立つということがありますので、私企業になかなか任せられない、あるいは、各国には任せられない。したがって、国際研究機関というのがあって、それが世界全体の利益を考えながら研究をしている。IRRIもその一つのわけです。
 全体で予算は4億5千万ドルなんですね。私企業の方がはるかに多く、全体の5%ぐらいかと思いますが、現在500億円ぐらいですかね、それがCGAIR(国際農業試験研究機関)の研究費の全額ですけれども、お金だけでもないんですね。私はお金と同じように研究者の質が大事だと思っておりまして、今、ちょっと言いにくいですけれども、もうちょっと研究者の質をあげないと、特にアフリカのような環境が厳しくて技術開発が難しいようなところでは成功しないのではないか。したがって、今までも成功していないんだと思っています。
 IRRIは15の研究機関のうちナンバーワンだったと私は思っているんですが、IRRIはアジアだけで活動してきたんです。私が理事長になってやった仕事で幾つか意味があったかなと思うことの一つは、IRRIをアフリカに出したとです。これはIRRIの研究能力からいって、あるいは、アフリカにおけるコメの重要性の増加からいって成功すると思っているんですが、研究者の質を充実して、国際研究機関に500億円の倍ぐらいの予算を与えたら相当大きな効果が出るだろうなと思います。
 一番の期待はゲイツです。ゲイツ・ファンデーションが非常に大きな関心を持っておりまして、相当出してきている。もう出し始めているんですが、IRRIももらおうとしています。年間6億円ぐらいですか。それは多分手付金のレベルだと私は思っていまして、それが出てくると倍増するかもしれない。それが起これば随分いいことがあるのではないかと考えます。
 それから、社会林業はなぜ非効率かということですけれども、100軒、家があって、そこで村の森を守っている、木を育てているとしましょう。そのときに自分が一生懸命働いて草をとって,ツルを刈っても、あるいは、枝を打っても、それでいいことはあるわけですが、そのうちの1%しか自分のものにならないわけです。したがって、働かない。ですから、農業あるいは林業もそうですが、規模の経済性があまりない。自動車であれば組立のところは規模の経済性があると思いますが。規模の経済性がないものですから、皆で組んで行うことはないんですね。
 あえて言えば見張りの部分は共同することに意味があるんですね。ですから、見張るのは組んで、世話のところは、自分で世話をして、木を植えられなかったら自分の収入に響くようなシステム、要するに私的な所有権のシステムが重要です。例えば、木は所有して、森全体はみんなで守るというようなシステムが理想的だろうというのが私の理論でございます。

○鈴木部会長 大塚先生、すみません、時間が限られていますので。

○大塚教授 わかりました。
 森林伐採、森林火災、私はスマトラに調査地があったものですから、訪問しました。私がやっているような地域はカスタマリーランドと言われていますが、昔からの伝統的なやり方で森を管理しているところは火災が起こってないんですね。起こったのは製薬会社等が、インドネシア政府から許可を得て木を切って燃したというのが大きい。私はそのために旅行もしたんですけれども、そう思いました。少なくともはるかにあれが大きいですね。
 それから、ネリカはすごい品種だと思います。私は評価していますけれども、あれは陸稲で連作がきかないものですから、最終的なインパクトは少ないだろうと予想しています。より重要なのは水稲だと思います。これは専門家の方、いわゆる農業科学者の方も口をそろえて言っています。ネリカはすごい、しかし、本番は水稲だと思います。
 それから、ODA、クライメートチェンジとの関係で言えば、増産が起こるように、農業研究も大事ですし、あるいは、道路の整備とか、市場がうまくいっていない大きな理由は道路が悪いから。アフリカなどはそうですね。それから、灌漑だってまだまだポテンシャルがあるのにほとんど投資していないということがありますから、全体的にもう少し投資した方がいいのではないかと考えます。  作付面積が伸びないのは、イネの近代品種というのは非感光性といいまして、日の長さに関係がない、一年中いつでもやれるということがあって、そのときは作付面積が増えたんです。耕地面積はアジアは増えませんし、アフリカでもほとんど増えません。ただ、作付の回数が変わるということですね。しかし、そういう品種はほとんど出ちゃいましたので、最初のころに作付面積が少し伸びているのは、二期作が増えたということが大きいですね。でも、最近はそれがなくなっちゃいましたし、農地がかなり転用されている。工業用地その他に使われているということがあります。
 中国のコメ余り、一時的に多少はあっても絶対に中国は、土地所有権の制度を変えれば別ですけれども、またいつかは変えると思いますが、そう簡単には変えないでしょうから、10年15年のタームで見たときに中国は食糧の大輸入国になると思います。  それから、私は農業研究投資が全然足りないと思っていますけれども、我々は報酬率を計算するわけです。どれくらいの収益率があるのか、ものすごい高いんですよ。農業試験研究投資の報酬率というのはものすごい数の計算をしていますが、年率で50%か60%とか非常に高い数字が出る。それは過少投資の証でありまして、もっと投資する必要がある。それは自明のことであります。
 それから、砂漠の緑化、そこらは、すみません、私、得意ではないものですからご勘弁下さい。
 遺伝子の話で、長期的には遺伝子組換えでいかなければいけないと私も思いますけれども、現在は伝統的な掛け合わせやっています。今は野生種、イネの場合ですと、世界中から10万種、品種を集めていますが、そのうち6,000種が野生種です。野生種はまだまだ使い切れていませんので、そういったところから遺伝子をとってこなければいけない。遺伝子組換えの方が早いんですよね、遺伝子をとってきて、ぱっと入れればいいんですから。しかし、何十万回もやれば同じことが起こるので、現在の5年10年のタームのところで考えておりますのは、普通の掛け合わせです。その場合でも、遺伝子をよく見て、どの遺伝子が入ったとか入らないとか、今は掛け合わせたところでどの遺伝子が入ったか見えますので、すぐ結果がわかる。昔ですと、植えて育ってみなければわからなかったんですが、今はそれがわかるようになったということで、相当スピードが上がっています。
 それから、高温は、少なくとも2度ぐらい上がってしまうという、西岡さんの前のお話でもそういうことだったと思いますが、2050年ぐらいには頑張っても2度ぐらいは上がりそうだと今言われているわけですけれども、2度ぐらいであったら大丈夫ですね。ちょっとお金を出せば、もっと早めに、朝早く開花が起こるとか、そういうことをさせればいいということで、それほど心配してないんです。難しいのは旱魃抵抗性で、これは難しい。病虫害抵抗性はずっとつけてきましたし、これからもつけられると思います。
 それから、日本が果たした役割、コメについては非常に高いんですね。アメリカ人やインド人が一生懸命研究しましたけれども、やり方がわからないので日本人が教えました。日本はコメ研究の先進国でしたし、先ほどのボーログ博士のお話で言えば、日本の農林10号という大正時代にできた品種が使われたということもあります。日本は先進国の中でも、人的にも資金的にも果たした役割が大きかったのです。ただ、ODAの削減とともにものすごい勢いで拠出金を減らしておりまして、そのために私は理事長で大変な目に遭ったんですが、サミットでも日本は農業、農業と言う珍しい国なわけで、農業を大事に考えてはいると思うんです。しかし、言っていることとやっていることが大分ずれていますので、もう少し言っていることにやっていることを近づけていただきたいと思います。  大体そんなところです。ありがとうございました。

○鈴木部会長 どうもありがとうございました。
 まだお伺いしたいことがいろいろございますが、大変残念なんですけれども、時間が限られておりますので、ここまでにさせていただきます。  大塚先生、ありがとうございました。(拍手)

○大塚教授 どうもありがとうございました。

○鈴木部会長 それでは、続きまして、皆さんもよくご承知の『ソフトエネルギーパス』などをお書きになりました、有名なロッキーマウンテン研究者のエイモリー・ロビンスさんにお願いいたします。今回は、旭硝子財団のブループラネット賞の受賞者として来日されておりまして、この機会に特別にこの場でもお話をお伺いすることになりました。

○エイモリー所長 議長、どうもありがとうございます。
 本日は、この席にご招待を得て光栄に思っております。私からは、イノベーションに富んだ技術とか製造の仕方ということで、低炭素社会をどうやって構築できるのかをお話申し上げたいと思っております。
 ちょっとおさらいをしてみたいと思います。私は50カ国をまたにかけて仕事をしております。その中にはもちろんアメリカ、日本も入っております。そして、この間に劇的にエネルギーの原単位はアメリカで減ってきたんです、石油ショック以後、日本でも下がったと同様に。軽自動車の燃費についてはアメリカはずっと悪かったんです。20年ぐらい改善がほとんどされていません。というのは、電力会社に対してエネルギーをもっと売れという奨励をしていたわけで、省エネにしても利用度が与えられない、インセンティブがかからないようになってきたからです。
 しかし、気づいていらっしゃらないかもしれませんけれども、80年代中盤からアメリカもだんだんとエネルギーに注目するようになってきているわけです。できるだけエネルギー面で力を傾注しようということをしているわけです。ですから、アメリカのエネルギーのサービスを6分の1のコストで獲得できると。しかも、世界価格の6分の1、あるいは8分の1で、天然ガスを半分使うこともできることになっているわけです。
 日本の技術のポテンシャルも非常に大きい、90年代に比べて70%もCO2の排出を減らす力を持っているということであります。かつ、2050年までにもっとエネルギーサービスのディマンドを満足することができるということになっており、GDPの0.1%ぐらいの余分のコストしかかからないということになるわけです。ですから、省エネは非常にアップする。しかし、使うコストは減るということが言えるわけです。
 最初に電力についてお話申し上げたいと思います。アメリカの電力節約もこのごろ進展が見られております。数字をとっています。これは90年代に私どものチームがアメリカで行った調査です。コストについて、また、コスト効果について、1,000ぐらいの技術を対象に調査をやったことがあります。それでわかったことは、こういう技術がぴったりしたところで使われると、電力の4分の3の節約につながることになっておりまして、平均コストベースで言いますと、今だと1kw/h当たり1セントぐらいになるということになります。これは小売価格の8分の1でありますし、石炭とか原子力発電の発電コストに比べれば微々たるものになるわけです。
 電力中央研究所に相当する機関がアメリカにありますが、こちらでは75%の節約ではなくて、4割から6割の節約につながると言っています。しかも、魅力的なコストでできるということであります。この両機関の数値が異なっているのは、ちょっとした技術的な手法で違っているのであって、技術的な観点から違っているということではありません。ヨーロッパにおいてもいろいろな動向が起こっておりまして、我々はますますピッチをあげて省エネができるようになってきているということです。
 日本ではいろいろな意見が出ていると思いますが、日本は省エネはもう手一杯やってきたと、これ以上省エネできる余地は残っていないといった話をよく聞くんですけれども、これは日本の改善のスピリットがまだ十分生かされていないと思っています。まだまだ余地があると思っています。現在の技術を活用することになると、ある業界もしくは自動車は、今の段階でも日本一もしくは世界一効率が高いかもしれないけれども、平均をとってみますと、日本の自動車の平均の効率性はアメリカ車並みということですし、建物についてはさらに効率が悪いということに日本ではなっているわけです。
 ちょっと裏づけをしてみましょう。これは詳細な技術的な効率性を示したマトリックスではありません。本当にやるにはもっと技術が必要ですけれども、興味深いのでざっと申し上げましょう。60年代以来1人当たりどのくらい電力を使っているかをとってみたんですけれども、まずアメリカでかなり着実に上がってまいりました。より急勾配でテキサスのような非効率の州が上がってきております。でも、カリフォルニアではほとんど増えていない。30年間も横ばいできています。実質の1人当たりの所得はカリフォルニアでは79%も上がっています。
 日本を見てください。興味深いです。最初、スタート地点は1人当たりの利用はずっと低いんですが、最近はエネルギー使用量が上がってきていまして、テキサス並みもしくはテキサスをしのぐぐらいの勢いになっているわけで、今はニューヨーク州とかカリフォルニア州を上回っているほど伸びています。何でこういうふうになるかということを考えてみたいと思います。90年以来、日本の大手企業及び産業のエネルギー集約度が上がってきているんです。
1人当たりの電力使用量が家計で増えています。大きな家電を使うようになったとか、特に照明の使用が増えているということです。ですから、照明の能力は今やアメリカに比べて日本の方が高いということであり、79%も使っている時間が長いということであり、室内温度の上昇率は、断熱材をつけるよりも上回った形で上がっているということです。だから、カリフォルニアとは対照的にこうなっている。
 しかし、カリフォルニアのディマンドは横ばいということでどういうふうになるんでしょうか。カリフォルニアは65ギガワットの節約をやっていて、発電所関連で1,000億ドルぐらい節約しているわけです。日本の人口はカリフォルニアの3.4倍です。ということは、見方を変えてみれば、もっと効率よく資本を使えば大きな改善ができるということになるわけです。
 自動車とか軽トラックについて長きにわたってキロリットル当たりの走行距離を見てみますと、日本の方がずっと効率はよかったわけです、アメリカ車に比べて。アメリカはこっちですけれども、最も効率が悪い。日本は黄色ですが、1リットル当たりの走行距離数はフランスを除いては一番効率がいいということになっています。車が大型化するということで、最近はハイブリッドカーということで、日本ではさらに改善がみられていますけれども、今はほとんど同じくらい、同等ということになっているわけで、日本は技術力が強い。だから、どうしてこうなるんだろうと思っています。でも、これは路上で走っている際の自動車の効率を示したものでして、燃費については交通渋滞とかいろいろな要素も組み合わせて書いた結果です。
 しかし、まだまだ余地が残っていると思っています。普通の効率のポテンシャルよりも現実は大きいということを示しましょう。ロッキーマウンテンに住宅があります。ここは海抜2200メートルです。年がら年中霜が降りてもおかしくない、39日間ずっと太陽が出ないといったこともありますし、摂氏マイナス44℃にもなります。拙宅にいらしていただいたのは1月なんですが、こんな感じです。ここで28本のバナナがとれました。暖炉はないです。
 ヒーティングシステムなしで住宅をつくるととても安価にあがります。なぜなら、暖房系のコストが非常に高いからです。スーパーウィンドーとかスーパー断熱とか、熱交換を使うことの方がずっと安くできるということです。だから、暖房系を入れない住宅を安くつくることができます。その分浮いたお金があると。プラス、それらをかけてウォーターヒィーティングのエネルギーを99%節約する。それから、住宅内の電力の90%を節約できることになるわけであります。私の場合は、月の光熱費は500円ぐらいであります。83年の技術を使って、10か月もあれば十分投資資金は回収できたという計算です。今だったらもっとよくなっているはずです。
 これが普通のアメリカの住宅です。暗い色の屋根がついていますね。気温が摂氏46℃になるときもあるけれども、エアコンを使わないで暮らせるような部屋もあるということでありまして、こういった住宅は住宅コストを安くすることもできるし、効率も10倍もいいということになるわけです。通常のエアコンのエネルギーは10分の1で済む。しかし、余分な建設コストはかからないといったことになるわけです。大体地球全般の気候に対して同じことができるということでありまして、システムとして住宅を最適化することができるのであれば、断熱材を入れるとか、窓を1つ1つ孤立してつくらないで、システムとしてつくることができれば非常に大きな節約ができるということであります。
 経済理論で申し上げると、いつも収穫低減があると言われます。あるところまではエネルギーコストを節約することができるけれども、ある限界を超えてしまうと、幾らお金をかけても効率はあまり上がらないということになるわけです。こういったことはこの世界でも言えると思います。モーターとか自動車とかいろいろありますけれども、すべてがこういった曲線をたどるということではありません。断熱材を必要以上につけてしまうと。そして、暖房系は要らないということになると、設備コストはセーブできるかもしれないし、ヒィーティングエネルギーの99%を節約することになるわけです。
 どうしてこんなことになってしまうかというと、コストバリアを突破するやり方があるということを申し上げたいからです。漢字の「九」の尻尾に似ているということで、"キュウカーブ"と呼んでいます。どうやってコストの壁を突き抜けるかというやり方ですが、詳しくは私どものホームページを見てください。スタンフォード工科大学で5回ほど講演をやったことがあります。その辺をごらんになってください。DVDでも私の講演が出ていますので、ごらんになってください。建築業界において、また、運輸関係において、これをどうやって実施することができるのかということと、その意味あいなどに考えていただければと思います。  コストの壁を突き抜けるには2つのやり方があります。1つは、1つの支出で複数のベネフィットを得るということです。これはとても寒いところに建っているオフィスビルです。非常に効率のよいコンポーネントのためにお金を使ったということです。でも、エアコンとかベンチレーティングに比べると、システムとして入れると大きく節約できるということで、キャピタルコストを払ってもお釣りがくるという形になるわけで、もう既に1,000棟ぐらいにこういった方法が適用されています。
 バリアを突き抜ける方法はほかにもあります。例えば、リノベーションとかレトロフィットというやり方があると思います。リフォームです。例えば、ファサードを直すとか、古くなった機械系を入れ替えるということですが、それを契機にして1棟全体でレトロフィットすると非常に効率が上がるということを申し上げたいと思います。つまり、コストはマイナスにもあるということです。大きな建物を丸ごとレトロフィットするとマイナスのコストでできる場合もあります。
 これはシカゴの例です。関西のように夏は蒸し暑いんですが、冬になると北海道よりも寒くなるといったところがあります。このビルは築20年です。だから、窓の周りのパッキングがもういかれてきたような形になっていました。でも、窓を、昔ふうの窓に、非常に吸収が悪いような窓と入れ替える代わりに、ハイテクのスーパーウィンドーに替えてみました。そうすると、日照は6倍になり、不要な熱は0.9もカットできる、かつ、ノイズも減る、熱損失も減るといったような形になりました。それから、光をもっと奥に差し込むようにしたということと、非常に効率のよいオフィス局面と照明を導入することによって、ピークのクーリングロードは4分の3減らすことができました。
 ですから、昔、大きな冷却系使っていたんですけれども、4倍も小型化された、しかし、効率は4倍アップした最新のものを入れました。しかも、20万ドルも安かったと。ですから、ここで浮いた分でよりよい窓を入れるとか、照明を入れるとか、日照を高くするための機材を入れた。だから、エネルギーの4分の3を節約することもできた。しかも、全体のトータルのコストも安かったということであります。普通のリフォームよりも安くできたということです。
 300億ドル分ぐらいのリフォームを手がけてきました。例えばモーターシステム、チップファブ、北海の製油所とか、海軍の艦艇とか、天然ガスの液化、漁業関係の工場、世界最大のプラチナ鉱、データセンター、チップをつくっている半導体工場、半分の資本コストでチラーも使わないで効率をアップさせたとか、ケミカルプラント、セルロースのエタノールプラント、ヨットとか、いろいろなところで適用をしています。ほかにもいろいろな例があるんですけれども、30~60%、エネルギーを節約できています、レトロフィットで。資本は2~3年で回収できております。新しいところは40~90%の節約ができると。そして、資本コストは昔より安くなっているわけです。ですから、このようにコストバリアを突き抜けることができるということで、29業種で実現しております。  もちろん設計に対する権利が認められたからこのようにできているわけです。だから、設計でしっかりとしたものをレトロフィットしなければいけないということになるわけですし、悪いエンジニアリングをしないようにということを奨励したいと思います。10xE.orgというアドレスにいっていただくと、このプロジェクトのことがわかりますので、ごらんいただきたいと思います。  例えば、デザイナーとしても、システムアプローチでデザインすることが肝心なので、そういうことを怠けているデザイナーがいたら、ぜひ私にご一報いただければと思います。できるだけエンジニアリングの教え方を変えていって、これが実現できるように果たしていきたいと思っています。
 これは私のお気に入りの例なんですけれども、ポンプの例です。ポンプというのは、ポンプとファンが一番モーターを食うものであると。モーターは非常に大きなものを使うということになっているんですけれども、71キロワットのパンピングパワーを使うということで、そのかわりに5キロワットのものにしたと。だから、92%ぐらい節約ができたと。しかも、効率がアップしたという例があります。つまり、昔は細くて長く曲がりくねったパイプを使っていたけれども、太くて短い、まっすぐなパイプを使ったからです。これはロケットサイエンスほど立派なものではありません。ビクトリア朝の技術を生かしただけです。92%ではなくて98%を節約できたということです。
 これは典型的なものです。つまり、我々の社会に見られるエネルギーを使うものというのは、すべてコンポーネントの最適化をして、1つのベネフィットを出そうとしている。でも、我々はシステムアプローチをつくって、1つのシステムをつくって複数のベネフィットをとるようにしているということです。パイプを太くするということでお金はかけるけれども、細いパイプは使わないといったことをやるかわりに、大きく効率をあげることができるということを申し上げたいわけです。
 ポンプの例を示したんですけれども、例えば100台のコールをこういった形でエネルギーのインプットとして入れることになると、いろいろなところでロスができてしまうので、実際にパイプを潜るのは10機ということになるわけです。でも、摩擦とか流れとか、パイプを通じているけれども、それぞれの段階で節約することによって10倍ぐらい燃料を節約して、気候変動に対しての負荷を減らすことができることになるわけです。ですから、節約を、上流から下流に従って行うとか、下流にいくに従って小型のものをつくることになると、パイプで1単位うまくいくことができると、その規模において2倍ぐらい節約できるということで、モーターについてもコストを半分ぐらいにすることができることになるわけです。
 それでは、大きなポンプを使うとどういった形でロスがあるのかということを見てみたいと思います。スペアポンプがついている場合が多いと思います。図面にするとこんな形になっていると思います。ですから、流れというのはこの2つの直角のパイプを通る、摩擦がある、2つバブルもあるということです。でも、曲げないでバルブもつけない、あるいは、つけても1つしかバルブがついてものに替えるとどうなるでしょうか。レトロフィットで、私の同僚のピーター・ラムジーがやったんです。
 カリフォルニアでこういう効率のいいパイプに替えてみました。継ぎ手をこういったY字型のジョイントに替えました。これは対角線に対してドレインのような形で空気が流れる、あるいは、水が流れることになっています。風変わりな形だけれども、エネルギーを4分の3節約することができて、15本、このパイプに替えた。これによってすばらしいエネルギー効率になったということです。メガポンプが一番いいということです。
 これはスムーザーパイプと言われているもので、簡略なバルブを使うという例です。ここでもポンプの例を使ってみましたけれども、これはポンプローターです。それから、ファンです。これは特別なバイオミメティック形状をしています。これはカリフォルニアの小さな会社がつくっているもので、ティファノッチ・スパイラルシェイプと呼ばれております。これは層流とか渦流といった自然にある流れにそった形になっています。体内には血流が通っていますよね。血管を血流が通っているということで、非効率にやってしまうと、ばかでかい心臓がないと、人体の中で血流を走らせることができないわけです。でも、実際はそうではない。
 1.5ワットぐらいの小さな心臓しか人体には備わっていないということで、それだけ効率がいいというわけなので、こんな風変わりのローターシェイプのものを使うことができれば、20~30%ぐらい効率をあげることができますし、ノイズも減ると。ですから、コンピュータの中では小さなマフィン型のファンを使いますと、流量が1ワット当たり30%増える、もしくはノイズが10デシベル以下になります。だから、いろいろな応用方法がある。ポンプやファンというのはもう改善の余地はないとお考えになっていたかもしれませんけれども、そうではないんです。いろいろ余地は残っている。技術にはサプライズがつきものということを申し上げたいと思います。  もちろん、正しいことを正しい順序でやらなくてはいけません。例えば、関西のように蒸し暑いところでは、ビルには神経が通っていないから暑くても構わないけれども、人間が暑く感じたら困るということですよね。ですから、いろいろな形で条件を変えて快適さをもたらすことは人間に対してできるわけです。例えば、換気がよく通るようないすに座るとか、天井に扇風機をつけるとか、よりよい窓をつくることによって冷却するとかいうことです。できるだけ屋内に日射を採り入れたくないわけです。それから、受動的な冷却でうまくいくものもあります。効率のいいものもあります。
 また、ノンリフリジェレイティブ冷却というものもあります。ハイブリッドを使えば、1台の電力当たり100ぐらいの効果を上げることができ、冷却ができます。実際、リフリジェレイティブなクーリングを使っていくのであれば、シンガポールが一番の例だと思いますけれども、係数で100とは言わないけれども、6.8ぐらいの係数で能率が上がっています。これは通常より3倍も効率が高い、コストも安い、より快適であるということになっています。それから、いろいろなクールスの貯蔵もできるということであります。  しかしながら、全部まとめてみると、冷却エネルギーで90~100%ぐらいのセービングができるわけです。ステップ3でとめてもいいわけです、ほどほどだったら。悪いところだったらステップ4までいくと。ステップ5まで必要ということは、地球ではあまりないと思いますので、リフィレジェレイティブ・クーリングはできるだけ減らしていくということになるわけです。これがあるおかげで、中国でピークのときに50%ぐらいくってしまうわけですから、効率よい冷却系を用いた建物であったら、かなり節約ができるということです。
 いろいろなベンチマーキングをやってまいりました。日本のデータはブルーで書いてありますが、東大のアサノ先生からいただきました。黄色の数字はアメリカの数字でして、標準型のデザインで書いてあります。ベストプラクティス、両方の例を書いておきました。10年前ぐらいからとっているものです。トータルのエネルギーの原単位は日本の方がずっと高くなっています。  これは標準型の建物ですけれども、電力の場合は、日本の方が低い。どうしてかというと、吸収型のエアコンを使っているからです。でも、建物自体はあまり変わっていない、照明がちょっと低い。でも、改善率は建物ではあまり高くないということです。ベストプラクティスを使いますと、もっともっと上がる。ベストな日本の建物というのは、まだまだアメリカの水準まで達していないと言えると思います。
 スーパーウィンドーはアメリカで使っています。断熱材も使っています。で効率がいい。そして、表面は太陽のエネルギーを拒絶すると。そして、赤外線を空中に放つといったようなことをしています。小型の冷却系を使っているということと、効率が非常に高いということです。そうすると、建物コストが下がる。というのは、使っているメカニカルシステムが小型化しているということと、スペースをより効率よく使うことができるからです。
 ここにも書いてありますが、最も効率のいい日本のオフィスタワーでもまだまだ改善の余地が残っているということをお示ししたかったんです。
 それから、サプライサイドの話も考えてみましょう。これは電力の部分です。これはエコノミストが言っているもので、マイクロパワーという話です。上のグラフは電力がマイクロパワーで発電されているもの、下のグラフは世界でどのぐらいの能力のものが設置されているのかを示したものであります。直線の左側と右側を見てください。大きな10のパートがありますけれども、これはヒーティングパワーのコジェネの場合でありまして、3分の2はガスファイヤードということで、炭素は2分の1になっています。  その下にあるくさび形は、再生可能なエネルギーの部分です。これは大型水力以外は10メガワットでとめています。2005年にマイクロパワーは全部を足し合わせますと、4倍、電力をつくってくれて、11倍、能力をあげてくれたということになっています。このブラックの原子力発電に比べて。マイクロパワーはトータルの世界電力の6分の1を出している、新しい電力の3分の1を占めているということであり、6分の1であったのが、13の先進国の中で今やすべての電力の中で半分も占めるようになっています。これらを加味して、メガワットでならして省エネということで考えてみると、ともに世界の新しいエレクトリックサービスの2分の1を提供したということです。
 セントラルステーションは、2分の1しか供給していないということです。2006年にさらにこの話が増強されまして、マイクロパワーが初めて発電量が原発電量をしのいだということです。5年前にもマイクロパワーの方が原発よりキャパシティは大きくなっていました。原発は半分のギガワットのキャパシティを減らしてしまったけれども、マイクロパワーはこの間13ギガワット増やしています。何でこんなにマイクロパワーが活躍しているかと言いますと、小型電源なんですが、コストの低い、金融リスクが低いからです。ですから、民間の資本で十分賄っていけるということです、資金調達では。昨年、リニューアブルということで560億ドルの民間の資本が集まったんですが、原発は0だったということでありますから、人気のほどでも大きな違いがあるということです。
 私もいろいろ調査をやっていますし、ペーパーも書きました。ニュークリア・エンジニアリング・インターナショナルのために行った研究結果が出ています。あと、経験的な市場ビフェイビアに対してもペーパーが書かれています。82年から85年の間にカリフォルニアは常に電力を公平に競争させてまいりました。ですから、この4年間にわたって、公益事業は何をやったかと言いますと、電力の節約をやって、電源を分散化すると。リニューアブルを使ったということで、トータルの州のピークディマンドの電力を143%余ってしまった形になっているわけで、ディマンドが十分供給されたので、入札停止もあったということになるわけです。
 これは20年前の話ですから、今はもっと改善されており、もっと安くなっています。でも、当時でさえすべて競争原理を導入するということになると、余りに魅力的なオファーができすぎてしまって、うれしい悲鳴をあげてしまうということになります。非常に大きなリソースが絡んでいるということで、公益事業もシンクタンクがありますので、いろいろな調査をやっています。そうすると、あと3倍とか4倍、効率アップができるといったことになるわけですが、現在は19%が原子力発電マーケットになっているということになっていますが、1kW/h当たり1セントで、原発は11セントぐらいになっています。コジェネの方は100のギガワットでまだ使っていないものがあります。建物は入っていません。
 風力ということになると、アメリカと中国だけでも電力のディマンドの2倍、もしくは全世界で35倍ぐらいあるということになるわけです。多くの人が驚かれるかもしれませんが、太陽のエネルギーとか風力とかは潤沢にあるということです。風力とか太陽力ということになると貯蔵とかバックアップはあまり必要ないということです。既に機材を設置して、投資を回収していればということです。でも、火力発電所ということになると、いつ故障するかもわからない、どのぐらいメンテナンスコストがかかるかわからないということになるわけです。そういう違いがあると。あと、まだ計算していないところもあります。
 日本省エネセンターから出された本があります。2002年に一番いい本ということで認められたんですけれども、この中で「200の分散的な経済ベネフィットが隠れていますよ」と言われています。「正しい規模に直すことができたら、そして集中化ではなくて分散化するといったことができると、10倍ぐらい価値のある効果が出てきますよ、思ったより」というふうに書いてあります。  例えば、小型の方が大型のものより小回りがきくから金融リスクが長期的にも小さいと。再生可能エネルギーを使えば、変動が大きな燃料を使わなくて済むと。分散化した電源を使えば、グリッドで大々的な停電が起こるリスクを回避することができるとか、よりコストのかかる配電をやらなくても済むといったようなメリットがある。業界もこの効果を認めつつあるということで、今後、分散化された電源がさらに革命的に進むのではないかと規定しております。
 さらに、分散型の電源になりますと、重要な環境上の効果も期待できます。これはもちろんコスト的にも安いですし、もう一回戻りますけれども、ここに書いてありますように、例えば新しい原発、ニュークリア、kW/hで買うとすると、昔のMITの手堅いやり方でやって10セントデリバーするのにかかるとします。しかし、その間にコジェネの発電もしくは分散化された再生可能、もしくは電力を節約するということをやりますと、これが一番安いんです。そうすると、2倍から10倍ぐらい安くなる。だから、2~10倍ぐらいの炭素を節約できることになるわけです。投資された1円ごとに。
 もし私が高いオプションを買ってしまうと、割安じゃないものについて。そうすると、気候変動に対して同じ額の投資をしてもあまり効果が上がらない。しかも、その効果がスローになってしまうということになります。気候変動に対抗するためには、無差別にやるのではなくて、しっかりと的を絞って、選択眼を持って方策をとればいいということになるわけです。メガワットとか、再生可能ということで、両方組み合わせてやることができるんです。
 これはアメリカの監獄の例です。アメリカには監獄がたくさんありまして、ありすぎるぐらいです。ときどき間違った人が刑務所に入っちゃうんですけれども、いずれにしてもこれはカリフォルニアにある大型刑務所の例です。ブルーのものが屋根についていますが、これは太陽電池なんです。日本製かもしれません。最初に白い屋根をつくったんですが、これは太陽エネルギーをはじくためです。非常に効率よくして、暑いときに太陽エネルギーがせっかく発電してくれても、その発電を刑務所自身があまり使っていなかった。  ということは、余分の電力が出たので、これを一番高い価格で電力会社に売ることができた。900万ドルかかったプロジェクトだったんですが、500万ドルを補助金として政府が出しました。でも、補助金なしでも十分利益は出たということです、5,000万ドルぐらいになっても。結局、10%の内部収益率を十分クリアすることができたということです。太陽エネルギーでここまでうまくいったということでありますから、風力ではもっとうまくいくかもしれないということであります。ですから、メガワットと効率を適切に組み合わせることができれば、もしくはメガワットと再生可能エネルギーをうまく組み合わせることができれば、さらに経済性が高まるということであります。
 私の自宅では例えば120の平均ワットを使っている。つまり、3平米の太陽光発電装置があればできるというわけです。これは小さな太陽光発電のシステムです。私の自宅から30メートル離れたところにワイヤーをつながないで済むということであります。今だったら40ワットで間に合うということです。技術がそれだけ発達したので。そうすると、1平方メートルの太陽光発電システムで済むということです。今、ワイヤーを2本つないでいて、その中にフリー電力があるんですが、それさえ必要なくなるということ。つまり、ほとんどコストゼロでできるという形になるわけです。
 終りに当たりまして、石油のことを考えてみたいと思います。3年前に国防総省のために『Winning the Oil Endgame』という本を書いてみました。だれも異論を唱えた人はいませんでした。実業家、軍人向けに書いたものでありまして、ドットコムでも見ることができます。その中で、アメリカの石油の利用をどうやったら減らすことができるのかということを書いてあります。業界向けあるいは軍向けに。同じようなことは日本にもあてはまるということであります。
 アメリカは今後こういう過程をたどると思います。石油の輸入、石油の利用ということです。今後はこれが増える代わりに、グリーンのカーブになれるのではないかと。そのためにエネルギー効率が石油で1バレル当たり12ドルで、2倍、効率が増すことになるわけです。半分は石油を使わないで、バイオフューエルとかアドバンスドガスを使うことになるということです。そうすると1バレル当たり18ドルということになるわけです。これがうまくいきますと、前回、石油について考えたときに、これは日本のオイルショック以降の話ですが、そのときに27%の経済成長を、石油の利用は17%減らしたと。石油輸入も半分になったということであり、中東からきている石油も八十何パーセント減ったということになっているわけで、もう1年進めば輸入分はゼロで済んだかもしれないんです。  いずれにしても、アメリカ、日本は余りにもたくさんの石油節約をしてしまった。だから、OPECの輸出は半分に減ってしまったので、10年間、価格、値付け能力は下がってしまったわけです。サウジアラビアがメガバレルを産出しているけれども、結局、石油の輸出カルテルが石油の輸出を減らす前に、我々としてはさらに先取りしてもっと輸入分を減らすことができるわけです。2,800億ドルぐらいの投資がされていて、飛行機とか、今後効率を上げなくてはいけないモダンなバイオフューエル業界を育成しなくてはいけないんですけれども、石油を使わないで、2025年までにもっと減らすことができれば、1バレル当たり26ドルぐらいになるはずです。  ということは、1,800億ドルの投資で700億ドルぐらい毎年節約できるということです。ですから、これは大きなリターンになるわけです。コストがかかわらない、4分の1カーボンエミッションが減り、100万の新規雇用ができ、100万の雇用が失わないで済むということです。1,800億ドルの投資でこれだけの効果が上がるということは悪くないことです。輸送系が一番石油を消費しているんですけれども、ここの戦略についても、効率を3倍に上げて、回収期間は2年ぐらいでできるはずです。トラックについては、1年の回収期間で、飛行機は4~5年の回収期間で済むと思います。推進系をいいものにして、軽量にするということです。性能も上がります。  ディーゼル・ハイブリッドということでカーボンファイバーを使った車がありますが、時速250キロで、1リットルで40キロという走行キロになります。オートライディングを使うとさらにカーボンファイバー自動車の効率が2倍上がります。でも、余分なコストはかからないわけです。つまり、小型の推進系を使って軽量化するからです。
 物理は非常に簡単ということで、毎日、典型的に自動車は非常に多くの石油を燃やしているわけですが、どこにいくんでしょうか。8分の7は車輪を動かすのには使われていません。エンジン、アイドリング、ドライブライン、そんなところでむだに使われているわけです。8分の1は車輪に到達するんですけれども、そのうち、空気を熱くしているとか、タイヤを熱くしているということであって、最後に残った6%のフューエルエネルギーが加速に使われるということで、ブレーキに使われることになるわけです。でも、自動車の重量の20分の1しか使われていない、20分の19は自動車のために使われているということになっているわけです。120年間も自動車を使ってきたのにもかかわらず、0.3%が運転手のために使われているということです。実際に必要な燃料の4分の3は重量でくわれているということです。
 だから、自動車でフューエルエネルギーを節約することになると、あと7ユニットぐらいはむだにしないで済むような方法があるはずだということです。つまり、超軽量化することによって、大きな節約ができるということです。軽金属を使うとか、複合材料を使うということで。7年前に業界と協力いたしまして、中型のスポーツ・ユティリティ・ビークルを設計してみました。かなり大型のものだったんですけれども、鉄でつくったものよりは重量が半分です。ぶつかっても安全なものにしました。
 非常に加速性能があるということで、1リットル当たり28.1キロ、燃料電池では48.6キロということで、40%安いキャピタルコストで済んだと。99%、ツーリングコストが下がったということであり、ボディショップも、ペイントショップや塗装工場も必要ないということであります。1年間の回収期間であります。超軽量であるけれども、ハイブリッドということでちょっとコストがかかったということになります。これはとても興味深いアイデアだったと思います。日本の自動車メーカーは、ハイブリッド自動車をつくっておられると、効率というのを競争力の売り物の一つにしていると思うんです。同じことをほかのメーカーもできるはずです。
 例えば、ボーイングも自動車メーカーと同じように危機がありましたよね。でも、コスト管理をした。商用機についても、トヨタのかんばん方式を採り入れてかなりアップしたわけです。次のイノベーションは何かというと、ボーイングはエアバスに負けていたときがあったんです。でも、それを受けて、ボーイングは787ドリームライナーを発表しました。同じ値段でより効率の高いものです。50%、複合材料を使って、胴体も非常に軽量化したことで、最終組立が11日かかっていたのが3日でできるようになった。一番発注高が多かったということで、2015年もしくは2118年まで受注はいっぱいとなっています。そして、エアバスが追いついてくる前に、ボーイングが大きく引き離してしまうということになるわけです。
 ですから、自動車メーカーも、本田、日産がやっているようなことができるのではないかと思っています。鉄鋼でつくった自動車が余りにもうまくいっているから、今後工夫しないかもしれないけれども、横綱であるトヨタと戦っていくためにはどうしたらいいんでしょうか。もっと訓練して練習をするのか、それとも相撲をやるのはやめて、合気道に転換した方がいいのかどうかということなんです。
 トヨタの人は頭がいいので、トヨタはモーターショーではXコンセプトカーを5日前に発表しています。これはハイパーカーというのだと思います。91年以来、私も設計してきたものですけれども、内装はプリウスと同じぐらい、しかし、2倍効率がよくて、3倍軽い、420キロです。カーボンでつくられています。小型のフレックスフューエルエンジンとプラグイン・ハイブリッド方式になっています。この発表は、東レが300億円の工場を名古屋でつくると発表した1日後のことでありました。カーボンファイバーをつくって、トヨタや日産の車体に今後使ってもらうという構想です。
 それから、より興味深いものがあります。小さな会社がつくっているものですが、例を持ってきました。これはお寺にある鐘ではないです。カーボンキャップです。新しい技術の例です。カーボンファイバーの構造を、自動車のコストでできるようなものであります。これは軽量でして、今まで重量の半分もしくは3分の1ということですから、それにくわれる燃料も少なくて済む。より安全であるわけです。というのはこれは1キログラム当たりの鉄の吸収力が12倍あるからです、衝突しても。スレッジハンマーで叩いても壊れないということであります。これはサウジアラビアがデトロイトにきても、デトロイトは負けないといった感じだと思います。  エンドゲームということで、鍼をやっているということだと思うんです。つまり、気がどこにあるのかということを探しているということです。気で血流が悪いところを探して、そこを鍼とかマッサージすることによって何とかしようといった考え方です。ボーイングはこれをやってきた。ウォールマートも2倍も効率のいいトラックを使おうとやっているわけです。それから、軍とも燃費をあげるという面で長年提携してまいりました。アメリカはかなりいい線をいくようになってきておりまして、できるだけ石油を使わないようにしようということをやっています。近々発表があるかと思います。
 それから、ファイナンシング、燃料の場面でいろいろな改善も行われています。でも、一番ネックになっているのは自動車産業だと思うんです。でも、フォードの社外重役が私の書いた本を読んでくれて、自動車産業としてもボーイング流をまねることができるのではないかと。だから、航空会社がやっていることを自動車メーカーにあてはめようというような考えも出ています。自動車メーカーとしての基本的な戦略をとりたいと。幹部も今まで考えなかったような方策をオープンに考えるようになってきています。創造的破壊の津波が押し寄せてくるからです。中国、インドが飛躍的に伸びている現在でもありますので。競争の構図が様変わりするので、幹部の発想も様変わりするということであります。
 通常の石油に関してのサプライカーブはこんな形になっています。時とともに高くなるということです。でも、世界スケールで考えてみると、石油のエンドゲームの勝者になるということでは、3兆バレルの石油が右に移ることになるわけです。炭素の排出はどうかと言いますと、インテンシティを下げることによって、1兆トンのカーボンや何兆ドルものお金を節約することができるということになるわけです。例えば、水素経済に移行もできる。SUB、先ほど申し上げましたが、もともとは燃料電池用に考えたものだったんですけれども、3倍少ない燃料で車が動くと。そして、高速性能もいい、加速性能もいいということであります。  また、暑い日にはエアコンをつけなければいけないけれども、それをやるかわりに、これは3倍も小さくして、ユニットを入れる。同じ機能を得ることができるわけです。例えば、3分の1ぐらい小さくすることもできる。キロワット当たりの走行距離も長くすることができる。そして、製作コストも3分の2ぐらいで済むといったようなことで、価格節減につながるということです。実際の稼働は10年後ぐらいでしょうか。
 それから、ここのシナリオにもあるように、プラグイン・ハイブリッドという考えもあります。これはアメリカのユティリティが考えているイメージなんですけれども、分散型の電源で、多くの分散型のリソースを使って、スマートグリッドにつなげるという方法であります。カリフォルニアでは、ささやかプラグイン・ハイブリッドカーがありますが、再充電するわけです。これを分散された貯蔵として使う。ピークが一番上がったときに電力供給をそれで賄うといったような考え方です。  車というのは96%はとまっているわけです。その間にハイパーカーにして、プラグイン・ハイブリッドをフューエルセルで動かすような自動車を使うことによって効率を上げる。そうすると、通常の発電所に比べて6倍から12倍ぐらいの発電能力を持つことになります。車に発電させるということであります。6分の1、12分の1ぐらい少なくて済むということになるわけです。だから、カーオーナーはグリッドと取引をすることができる。それがうまくいけば、塵も積もればということで、最初は200万人ぐらいの人がやる。そうすると自動車のコストは即回収できるということになり、原発なども要らなくなるということになるわけです。2社はパートナーがいて、プラグイン・ハイブリッドを売り出そうとしています。ニッチマーケットねらいですが。そして、電池に対してスマートガラージュといったよう形でコストを回収しようとしているわけです。
 そろそろ結論に入りたいと思います。日本は非常に大きな実績を持っておられる国です。私も28年間もやってまいりました。産業界の効率というのはバラツキがあると、ナンバーワンのところからもっと低いところもある。これは業種次第ということです。でも、優等生でもまだまだ効率を上げる余地は残っているということです。日本では運輸や住宅用のエネルギーの利用が増えていると申し上げました。
 特にトラック、乗用車の利用が高い。自動車とかトラックの効率はまだまだ伸びるということです。ベストなエクスポートに比べると低いということですから、余分なコストをかけずに2倍ぐらいは効率を上げられるということです。そして、大々的にレトロフィットをすることによって、新しい機材を入れ替えるということで、まだまだ感心できない状況であるので、まだまだ効率アップできるということです。
 それから、トップランナー方式を標榜しておられますけれども、もっと包括的にバリアを突破するような方法を見つけられるのではないかということです。最も重要なことは、日米両方について言えることは、アメリカではこのごろ急速に進んでいるんですけれども、政策を変えることではないでしょうか。つまり、エネルギーを売っている人たち、天然ガスなどを売っている人たちは、もっとたくさんエネルギーを売ることによって報酬を受け取るのではなくて、お客さんに対しての負担を少なくすることで報酬を受け取らなければいけないということです。日本は燃料では貧しいけれども、再生エネルギーは豊富に持っておられるということですから、日本は効率でも再生エネルギーでもリーダーになれるわけです。そして、まだまだ効率アップする余地が残っているということですので、ぜひご認識いただければと思います。
 異端の論ということで5つ上げてみたいと思います。人は言うわけです、「そんなことを言ったって実現できない」と。でも、データを見てください。例えば、アメリカの場合、トータルのエネルギー、石油、石炭の利用は実際に5年、6年に減っているんです。ご存じないかもしれませんけれども。エネルギーのインテンシティを4%下げたらからです。経済成長よりもちょっと下回っていますが。あと、ビジネスの機会ということになると、60のマーケットの失敗ということを考えると、まだまだ改善する余地は残っているということになるわけです。気候変動というのはグローバルな合意がないと二進も三進もいかないと皆さんおっしゃいますけれども、本当にそうでしょうか。
 中国というのは省エネ政策を戦略の優先順位に高くあげていません。というのは、まず開発を急がなくてはいけないからです。多くの人は言います、「公共政策が唯一重要なんだ」と。でも、それが唯一のかぎにはならないです。これがドアを開けるのにベストなキーでもないと思います。というのは、我々の社会において最もダイナミックで強力な要素は企業だからです。市民社会と急進化を遂げている。つまり、私どもの方がいつも政府の先を走っているんです。ですから、最も重要なイノベーションというのは、新しい競争的な戦略、技術、そしてデザインからきています。
 公共政策ということになりますと、改善しなくてはいけません。でも、これは税金や補助金、マンデートだけでの話ではありません。ほかにもなじみのないインスツルメントもあります。Car feebatesとか、ユティリティをディカップリングでシェアしてセービングをするとか。いろいろなやり方はあるわけです。炭素についての正しい値付けも重要だと皆さんおっしゃいますけれども、それだけではありません。というのは、昔の価格をベースにして、カーボンのプライスが出ていなくても改善は大いに可能であるということであります。  価格のバリアを突き抜けることはできるということです。排出権売買が実際に立ち上げられるのを待たなくてもできるということであります。値付けについては必要だけれども十分ではないといったことだと思います。京都以上のことができると思っているわけでありまして、気候変動対策というのは、コストをかけずに利益を出すことができるということだと思います。もう既に証明している企業もありますから、やるんだったら今だと思います。ぜひこれを思い出してください、マーシャル・マクローアンが言ったことです。「ちっぽけなミミズほど保護が必要だ」と。でも、逆に偉大な発見は大衆がなかなか信じてくれないので、自然に保護されてしまうということであります。
 以上であります。ご静聴ありがとうございました。(拍手)

○鈴木部会長 どうもありがとうございます。
 残念ながら時間がなくなりましたけれども、1つ2つ質問に答えていただけますでしょうか。

○エイモリー所長 通訳のためにちょっとゆっくりめに話したので、時間をくってしまいました。

○鈴木部会長 せっかくですので、この機会にということがありましたら。
 では、西岡委員からまずお願いします。

○西岡委員 私どもの研究、70%削減の可能性についても言及していただき、どうもありがとうございました。今のお話をお伺いしますと、それ以上削減することにチャレンジする必要はあるなということを深く感じました。どうもありがとうございました。  全体に需要と供給の関係が、需要側で大きくエネルギーを削減することによって、これまで主として供給側がエネルギーを十分供給することで成り立っていた技術的な社会が、大分変わっていくということをお話の中から感じたわけであります。なぜそういうことができないかというバリアについていろいろ考えて、質問しようかと考えていたんですけれども、ほとんどのところ、価格であるとか、理解の深さといったところが問題になるというお話では、お話を聞いたところです。
 私が一つお伺いしたいのは、社会的システムあるいはインフラストラクチャーといったものに対して、かなり時間がかかる問題ではないかと思いますけれども、そういうシステムを受け付けていく社会システムあるいはインフラストラクチャーをどう整備していくんだろうかということについてのご意見があったら、お話し願いたいと思っています。

○エイモリー所長 我々の仕事の中では競争原理を導入するというふうに心がけています。まず、最初に技術を採択している企業に対して、ライバル業界もマーケットシェアを失いたくないから競争してくるんだと言うことによって、みんなが競争に励むということになるわけです。新しい半導体工場をテキサスインスツルメントがつくった例がいい例だと思います。エネルギーと水を大いに節約した。それにプラスして資本コストを30%節約することができました。ですから、テキサスでプラントをつくることができたんです、中国ではないです。今度、中国に行きまして、私は中国でこんなことができたと言ったわけです。そうすると、中国に対して競争を煽るわけです。そして、テキサスに帰って、中国もどんどん追いついてくるぞと言うと、テキサス側がさらに励むということになるわけです。このように競争を盛り上げることがいいと思います。
 イノベーションに富む公共政策というのは価格だけではないということですけれども、公共政策としては競争を促進するということが重要であると思います。でも、日本の民間部門はとてもダイナミズムに富んでおられる。例えば、太陽電池とか太陽光発電で日本はリードしておられるので、大切な技術ですから、使わないのはもったいない、活用すべきであると思います。NIESの調査をよく拝見させていただいています。金曜日にもお邪魔することになっているんですけれども、日本の方々は正しくかつ思慮深く、いろいろな可能性のある社会進化のシナリオについてお考えになっておられると思います。私はこれは数えていなかったんですが、単に技術的な対策だけ感じたと。でも、その技術的な工夫をするだけで2倍効率アップするということです、スタート地点は同じですから。私に言わせると、皆様方の行った研究よりも、技術的なポテンシャルの方が多いのではないかということなんです。ですから、適応という分野で皆様方と連携できるのではないかとも考えています。

○鈴木部会長 ちょっと時間をオーバーしてしまいまして、ロビンスさんはこの後のスケジュールもお持ちということですので。これからしばらく日本に滞在されるようでもありますので、これをもって終了させていただきたいと思います。
 ありがとうございます。これからまだ数日間日本にいらっしゃるということを伺っております。

○エイモリー所長 そうです、土曜の朝まで日本におります。ブループラネット賞関係の講演は水曜日の午後なんですが、水曜日の夜は東大の武田ホールで「アドバンスドデザイン」ということで、省エネをめぐってということで、より技術的な詳細な講演をすることになっております。スタンフォード・レクチャーと同じような形です。

○鈴木部会長 ということですので、また機会がありそうですので、ぜひと思います。
 どうもありがとうございました。(拍手)

○エイモリー所長 ありがとうございます。

○鈴木部会長 あとは事務局からお願いいたします。

○市場メカニズム室長 次回の日程でございますけれども、次回の懇談会は10月24日、水曜日の朝9時半から、三田共用会議所にて開催いたします。よろしくお願い申し上げます。 以上です。

16時41分 閉会

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