フロン類等対策小委員会 産業構造審議会 製造産業分科会 化学物質政策小委員会 フロン類等対策WG 合同会議(第8回)議事録

日時

平成31年1月16日(水)10:30~12:30

経済産業省本館地下2階講堂

議事次第

1.開会

2.議題

(1)フロン類の廃棄時回収率向上に向けた対策の方向性について

(2)その他

3.閉会

配付資料

資料1 フロン類の廃棄時回収率向上に向けた対策の方向性について(案)

参考資料1 フロン排出抑制法の平成29年度の施行状況の調査結果

参考資料2 フロン類算定漏えい量報告・公表制度による平成29(2017)年度フロン類算定漏えい量の集計結果

議事録

午前10時30分 開会

○皆川室長  定刻となりましたので、産業構造審議会製造産業分科会化学物質政策小委員会フロン類等対策ワーキンググループと、中央環境審議会地球環境部会フロン類等対策小委員会の第8回合同会議を開催いたします。

 本日は、お忙しいところ、お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。私は、事務局の経済産業省オゾン層保護等推進室長の皆川でございます。本日の議事に入りますまでの間、事務局として進行を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 本日は、大石委員、金丸委員、佐藤委員、高村委員、西薗委員がご欠席、また、赤穂委員、根岸委員が途中でご退席とのご連絡をいただいておりますが、両審議会とも過半数の出席となり、定足数を滿たしていることをご報告いたします。

 本日は、タブレットを使用いたします。何か不具合等がございましたら、ご遠慮なく、途中でも挙手をいただきましたら担当の者が参ります。よろしくお願いいたします。

 続きまして、本日の配付資料の確認をさせていただきます。フォルダ中のファイルを読み上げますので、皆様、フォルダ内に必要なファイルがあるかどうかご確認をお願いいたします。

 まず、01議事次第、02配付資料一覧、03委員名簿、04座席表、10資料1、そして参考資料の1と2、以上7つのファイルになります。また、本日ご欠席の高村委員より、別途書面でのご意見の提出がございました。直前にいただきましたので、紙での配付とさせていただいております。

 資料の不足がございましたら、事務局までお申しつけください。

 それでは、議事にまいりますので、報道関係の方々の撮影はここまでとしていただきますよう、お願いをいたします。

 議事進行は、産構審、中環審のそれぞれの長が交互に務めることとなっておりますので、本日の第8回の合同会議では中環審の浅野委員長に議事進行をお願いしたいと思います。それでは、よろしくお願いいたします。

○浅野委員長  それでは、おはようございます。浅野でございます。きょうは私が司会ということでございますので、よろしくお願いいたします。

 初めに、本日の議事は公開といたします。議事要旨につきましては、前回と同様、事務局の責任で作成をいたしまして、速やかに公表いただき、詳細な議事録については後日委員の皆様方にご確認をいただいた上で公表することにいたします。

 では、議事に入ります。

 まず、議題1でございますが、「フロン類の廃棄時回収率向上に向けた対策の方向性について」です。この議題は、前回までの審議会での議論を踏まえ、この合同の会議で提言する廃棄時回収率向上に向けた対策の方向性についてご議論をいただくものでございます。

 資料1は、審議会からの報告書の案として事務局に整理いただいたものでございます。その趣旨をご理解いただいた上で、事務局からの説明の後にご意見をお伺いいたします。

 では、資料1について、事務局から説明をいただきます。

○馬場室長  では、環境省のほうからご説明させていただきます。

 資料1を開いていただきまして、まず1ページでございます。

 まず、現状認識ということで、フロン対策の重要性。フロン類については、CFC、HCFC、HFCの総称です。また、そのうち、CFCとHCFCは特定フロンと呼ばれ、オゾン層を破壊する。また、HFCについては代替フロンと呼ばれ、オゾン層は破壊しないが、特定フロンと同様に高い温室効果を有するという紹介でございます。

 その下のパラですが、特定フロンから代替フロンへの転換が進んだことに伴い、代替フロンの排出量が増加していますということで、下に表をつけてございまして、2017年度の速報値によりますと、温室効果ガス排出量全体では減少しているのですけれども、代替フロンでは大きくふえているというふうな形でございます。すなわち、この分野の対策、代替フロン対策は重要性が増しているということでございます。

 次の2ページにまいりまして、上に棒グラフがございます。これがHFCの排出量の年次グラフでございまして、この水色の、1996年ごろにラクダのコブのように上がっているところがあるのですが、ここはHCFC22、いわゆる特定フロンの製造時の副生フロンが発生していたというところでございまして、ここは特定フロンの生産の削減と、あとは除害施設という、代替フロンを破壊する施設の設置を促進したことで、この水色は減っておるのですが、一方で今回問題になっております濃い青色につきましては、1994年ごろからどんどんふえているということでございます。

 その次の(2)の国際枠組みと我が国の法制度ということで、まず、モントリオール議定書とオゾン層保護法というのがありまして、3パラ目でございますが、2016年にはキガリ改正がされて、代替フロンも対象に追加されました。それを受けて、昨年6月にオゾン層保護法が改正され、さらに今年の1月1日にキガリ改正を発効して、今、HFCの生産の規制が始まっております。

 ②が気候変動枠組み条約と温対法ということで、京都議定書以降の一連の国際枠組みに基づく温室効果ガスの排出削減を国内で実現すべく、我が国では温対法というのがございまして、これで排出抑制を行っているということでございます。

 その下の、③のフロン排出抑制法でございますが、これはオゾン層保護と地球温暖化対策の両方の観点から、フロンのライフサイクル全体、生産から使用、さらに廃棄にわたるライフサイクル全体にわたる排出抑制を実施しています。

 次に、(3)で、廃棄時回収率の低迷とその対策の必要性ということで、フロン排出抑制法に基づき、上流の対策、それから中流の使用時漏えい対策については、2013年の法改正で施策が講じられたところです。

 一方で、下流側につきましては、機器ユーザーは廃棄を行おうとするときには、みずから、または他の人に委託をして、機器に冷媒として充塡されているフロンを回収業者に引き渡さなければならないということになっております。ここで、ユーザーというのは、単に機器を使っているという人ではなくて、廃棄に責任をもつ人のことでございます。このような引渡義務につきましては、2001年の回収・破壊法制定時点から規定されていまして、2006年には間接罰や行程管理票が導入されており、10年が経過しています。しかしながら、回収率は、次のページにまいりますけれども、フロン回収・破壊法施行以降、10年以上3割程度を低迷しています。2013年の法改正により管理者が位置づけられまして、ユーザーの認識が高まったので、一定程度向上しましたが、直近でも4割弱にとどまっております。廃棄時回収率の向上対策は温対計画において位置づけられておりまして、202050%、203070%。現状のままでは202050%を実現することは困難ということで、要因を適切に分析し、分析結果を踏まえて早急に対策を講じることが必要ということでございます。

 次の下に行きまして、2番でございますけれども、要因分析結果ということでございまして、まず分析のベースは2017年度のデータでございます。分析に当たって、前回は乖離の要因としてウォーターサーバー、ビールサーバー、自販機のようなものを除外する前と除外した後というふうなデータをお示しいたしましたが、今回の分析におきましては、これらをあらかじめ全て除外をして、分析を行うことで課題をより洗い出しやすくしております。

 2017年度において、廃棄時回収率は37%でございます。すなわち、残りの63%が──次のページにまいりますが、廃棄時に回収されなかった冷媒フロン量の割合でして、この63%の内訳を分析する必要がございます。

 また、廃棄時回収率は冷媒量の割合でございますけれども、回収作業が実施された台数の割合、つまり廃棄台数率を計算すると、これは2017年度は53%でした。これは、フロンの回収作業が実施された機器の台数というのは廃棄機器のうち半分ぐらいということを意味しております。したがって、そのフロンが未回収となった要因として、引渡義務が履行されず、フロン回収作業が実施されなかった可能性が想定されます。

 一方で、約半数の未実施機器の多くが小型機器で、回収量には大きく寄与せずに、逆に中型・大型の機器が、回収はされているのだけれども、十分に回収作業が実施されていないというふうなケースも当然考え得るわけでございまして、いずれなのか、後ほど出てくる要因A、B、Cに分解するという話でございますけれども、いずれが原因なのかという話をきちんと比較することで定量的な要因分析を実施したということでございます。

 5ページで、要因をA、B、Cということで、前回の審議会でもご説明いたしましたが、Aが、回収作業が実施されなかったこと(のみ)に起因する分、Cが、回収作業は実施たけれども技術的に回収できなかった分、BはAとCの組み合わせということで、次の6ページにまいりますけれども、ここはちょっと新しい図をつくらせていただきました。

 一番左の廃棄時残存冷媒量のうち、まず下の青の四角が、回収作業が実施された。そのうち、実際に回収された量は、一番右の回収量というところで、回収作業の制約や技術的な問題で未回収のものが要因C。赤のほうが、そもそも回収作業が実施されなかった分。そのうち、回収作業が実施されていれば回収できるのがAで、BはAとCの組み合わせという形で概念整理をいたしました。

 調査した結果、6ページ、(3)でございますけれども、結果でございますが、2パラ目からいきますけれども、全国の充填回収業者4万6,000者のうち3,500者を対象として、規模別、すなわち大型・中型・小型の内訳情報をアンケート調査により収集しました。3,500の内訳というのは、実は全国で回収実績に非常に影響の大きい、回収台数・回収量が多い事業者──具体的には500台以上扱っている、もしくは500キログラム以上回収している事業者ですが、これが2,000おりまして、この人たちに対しては全数アンケートを発送。その他の回収台数・回収量ともに少ない事業者4万4,000については、1,500を無作為抽出してアンケートを発送しました。結果、1,181事業者から有効回答を得て、統計学的に許容し得るサンプル数でございました。このデータをもとに、2017年度の法定報告の、全国の法定報告値の大・中・小の内訳を拡大推計いたしまして、これと廃棄時推計、いわゆる分母の大・中・小との内訳と比較をすることで、回収率が低迷している要因の分析を算出したということでございます。

 8ページの表と9ページの上の図は、前回の審議会と全く同じものでございますので、ご説明は割愛させていただきまして、9ページの下でございますけれども、上記要因分析の結果、未回収63%が生じる要因としては、要因Aが2937%で最大であり、うち、冷凍冷蔵の中型、空調の小型・中型で大半を占めると。また、要因BとCについても相当程度の改善余地が見込まれ、種別としては中型の空調が最大だったということで、これを先ほどの概念図の一番右側に数字をはめ込みますとこういう形になりまして、要因Aが一番大きいということになります。

 次に、解体の調査結果でございますけれども、これも10ページから11ページにかけて前回と全く同じデータでございまして、1点だけ、若干内容の修正をしておりますが、一番大きなポイントとしては、11ページの表6の解体と解体以外で、回収実施台数率が解体のときは3割、解体以外、つまり機器更新などのときは回収実施が7割ぐらいされているということで、解体のときにフロンの回収の成績がよくないというふうなことがわかるということでございます。

 以上の結果をまとめまして、12ページでございますけれども、要因分析結果のまとめということで、要因Aが機器廃棄時の要因のうち最大と。機種別にみると、冷凍冷蔵中型、それから空調で大半を占める。建物解体における回収作業実施は、ほかの機会と比較して低調。すなわち、2020年度に回収率50%を達成するためには、まずはこれらの機器区分について、解体時への対応を中心に台数率を改善する、つまり回収作業が実施されるようにする施策を講じることが必要です。一方、B、Cについても、Aよりも小さいものの、相当程度の影響がございますので、空調の中型で特に大きいと。これは、要因Aの改善と並行して、空調の中型を中心に1台当たり回収率の改善についても取り組む必要があるということでございます。

 この調査結果を踏まえまして、13ページでございますけれども、対策の方向性ということで、まず要因A関係でございますが、まず(1)で課題でございますけれども、要因分析結果から、まずは解体時への対応を中心に台数を改善する、回収作業が実施されるようにする施策を講ずべきことが示されました。さらに、さまざまな関係者の方にヒアリングをさせていただきました結果を踏まえますと、機器廃棄時の冷媒フロン類の回収作業の実施、すなわちユーザーによる冷媒フロン類引渡義務履行を促進するには、以下のような課題を解決する必要があると考えられます。

 ここから3つ課題を整理させていただいておりまして、まず、1)として、仕組みの整備と相まった多様な普及啓発・連携の推進ということで、2015年4月のフロン法の施行に伴って法の認識に一定の成果が得られましたけれども、多くのユーザーにおいては廃棄の機会が限定的でございますので、引き続きユーザーが法についての十分な認識なしに廃棄を実施するケースが依然として存在すると。こうした認識の薄いユーザーが廃棄をする際、日常的にフロンを回収している設備業者が介在しないような、例えば解体時とか閉鎖時とかいう場合において、回収作業が実施されないまま廃棄が実施されるケースが生じていると考えられると。

 こうした事態を回避し、回収作業が実施されるようにするためには、次の(2)で示されるような法の遵守を促す仕組みと相まって、ユーザーによる機器の廃棄に係るあらゆる局面において、廃棄機器を行うユーザーと直接接する事業者さん、設備業者、解体業者、廃棄物・リサイクル業者等が、ユーザーに対して直接法についての認識を向上させるべく周知を図る。図って、回収作業が実施されるように相互に確認することが重要と。しかし、こうした事業者さんは現状必ずしもフロンの回収を主たる業としていない場合もございますので、フロン回収の重要性とか法の遵守の手順等について、きちんと事業者自身が正しく認知していない場合や、ユーザーに説明するためのツールを有していない場合も考えられるというのが1つ目の課題でございます。

 また、あわせて、協議会の関係でございますが、廃棄に際して、機器ユーザー、設備業者、解体業者、廃棄物・リサイクル業者といったさまざまな業種の方が関係します。協議会等の場を通じて、関係業界が上記の相互確認・連携を図ることが必要に重要と考えられますが、現時点では都道府県によってはこういう場がないという場合や、協議会の位置づけが法的に明確でないため、協議会が存在しない場合もございます。

 2つ目の課題でございますが、都道府県による指導監督の実効性向上ということで、要因Aの改善には、普及啓発とあわせて指導監督を通じてユーザーによる充塡回収業者への引渡義務の履行を確保する必要がございます。特に、解体に伴って、解体時にユーザーや解体業者への指導監督を効果的に実施することで引渡義務の履行が進むと考えられます。しかし、制度面で以下の課題があるということで、現行の法制度では指導監督の実効性が不足する事態が生じていると思われます。

 まず、1つ目として、フロン法のもとで都道府県が廃棄の時点を事前に把握する手段が不足してございます。この点、建設リサイクル法の建物解体届での情報などの他法令の届け出情報が、フロン排出抑制を指導監督する部局に共有されれば把握する手段になり得ます。しかしながら、情報提供要請を行っても、届け出情報の目的外使用の懸念や条例上の制約などで断られる場合がございます。この建設リサイクル法の解体届については、経産・環境省の連名及び国交省名で情報提供を促進する通達を去年の6月に出しまして、一定程度共有は促進されておりますが、ただ、その効果はこの条例の範囲内で可能な範囲に限定されてございますというのが1つ目の課題。

 それから、2つ目が、解体時に回収実施が低調である可能性が高いにもかかわらず、解体現場への立入検査権限がないと。また、都道府県に解体工事元請者に対する立入検査、報告徴収の権限もないと。

 次の③でございますけれども、現行制度で解体工事元請者には、ユーザーに対して一特製品の有無を確認して、書面により事前説明する義務がございます。これをきちんと都道府県が立入検査等により確認できれば、ユーザーの法遵守に係る認識状況や回収作業実施の有無を把握し、指導監督を通じて引渡義務の履行を促進することができますが、現状、この保管義務がないということで、事後的に確認することが困難ということでございます。

 それから、④として、引渡義務の履行を確認するためには、廃棄機器と、それから回収作業を実施した機器に関する記録を比較して検証することが必要ですが、現行は帳簿保管義務がないので、後日、立入検査をしたときに、廃棄が実施された機器を正確に確認できないということでございます。

 それから、⑤として、引渡義務違反、間接罰でございまして、15ページにまいりますが、多くのユーザーでは反復継続性がないので罰則の実効性がないと。このため、抑止効果が低く、また都道府県の指導監督の実効性も向上しにくいということでございます。また、運用面でも、国に充塡量回収報告や算定報告公表制度の情報が大量にございますので、こういうものを活用して、整理・分析をして都道府県に提供することができれば、都道府県がその指導監督対象の絞り込みに活用することで効果的な指導監督に資すると考えられます。

 3つ目の課題でございますが、廃棄機器を引き取る者に対する確認の仕組みということで、要因Aの寄与が大きいことは、回収作業が実施されなかった機器が流通し、ユーザーから最終的に廃棄機器を引き取る廃棄物業者やリサイクル業者に到達して処分されていることを示しております。廃棄物業者やリサイクル業者の一部は、現状、引き取りの際に、自主的に回収作業が実施されたか否かを確認しておりますけれども、法令上の定めがないので確認方法は統一されておらず、場合によってはユーザーから書面がもらえない場合もあると。一方で、冷媒が残存したままの廃棄機器を引き取ってそのまま処分しているという事業者も存在し、その場合、フロンが大気放出されてしまっております。このため、ユーザーから廃棄機器を引き取る廃棄物業者、リサイクル業者に対し、引き取りの際に回収作業が実施されたことを確認するように制度上位置づけることで、回収作業が実施されない機器の流通を防止して、機器処分の際の冷媒フロン類の大気放出を防止することが必要であると。また、こういう確認がなされることで、廃棄機器の機会が限定的なユーザーさんも含めて、ユーザーの冷媒フロン類引渡義務の履行を促進することが可能となると考えられます。

 以上の課題を踏まえまして、対応の方向性でございますが、ユーザーによる機器廃棄時、解体時、廃棄機器を引き取る際の廃棄の各局面において、ユーザーや解体工事元請者、廃棄物・リサイクル業者が相互に確認・連携し合って、廃棄時の冷媒フロンの引渡義務の履行を促進するという取り組みが必要であると。

 具体的には以下のとおりということで、1)でございますが、まず、ユーザーが機器を廃棄するときの取り組みということで、仕組みの整備と相まった多様な普及啓発。まず、①として、国は全国説明会や業種別説明会、さらには業界団体などの説明会も通じて、引き続き通知する。さらに、フロン回収の地球温暖化対策上の意義についてもきちんと普及啓発をやっていくということでございます。

 それから、次の16ページにまいりまして、国は、ユーザーが機器の廃棄等を実施する際に、直接接する事業者さんが属する業界団体を通じて、こうした事業者に対する法の周知を図るとともに、そういう事業者さん、直接ユーザーと接する事業者さんが、ユーザーに対して法律などの周知を図る際に平易に説明できる資料、パンフレット、手引き等を国が作成して、廃棄に係るさまざまな機会を通じてユーザーへの法の周知を促すことが必要と。また、国、都道府県、関係業界は連携して、その冷媒回収が着実に行われる優良事例を蓄積して、横展開を図ることが期待されるということでございます。

 都道府県による指導監督の実効性向上ということで、以下の制度的措置を講ずることが必要ということでございまして、①で、現行法に基づき、使用中の機器について作成・保管するということとされているこの点検記録簿につきまして、機器の廃棄の情報を付記した上で、機器廃棄後も一定期間保管することとする必要があると。

 ②として、冷媒フロン引渡義務違反に直接罰を導入することが必要と。あわせて、引渡義務の適切な履行確保のために、必要な行程管理票の交付等に係る違反についてもあわせて罰則を整備することが必要であると。

 2)でございますが、解体時の取り組みでございます。これも多様な普及啓発・連携ということで、まず、①として、国は業種別説明会や業界団体を通じて、まさに解体工事の元請けを業としてやられる業界の皆さんに対してきちんと法の周知を図ると。

 ②として、国はそういう業界団体さんと協力しながら、解体工事元請者がユーザーに対して事前説明するときに渡せるような、フロン法の引渡義務について簡単に説明した資料を、パンフレットや手引き等を作成し、あとは建設リサイクル法の届け出の際に参考とする資料についてもあわせて作成しまして、ユーザーへの周知を促すということでございます。

 制度的な措置、その下でございますが、まず、①として、建設リサイクル法に基づく届出情報を含む他法令の届出情報を、都道府県が関係機関や関係自治体に情報提供を要請することを可能とすべきであると。

 ②として、解体時における指導監督の実効性を向上させるため──次のページにまいりますが、都道府県による特定解体工事元請者への報告徴収、その事務所及び解体現場への立入検査を可能とすることが必要である。

 ③として、都道府県による指導監督により、解体工事元請者による事前説明の履行説明の履行状況を把握するため、解体工事元請者に対し、事前説明書面の写しの保管を、ユーザーに対し、事前説明書面そのものの保管をそれぞれ義務づけるべきであるということでございます。

 次が、今度は廃棄機器を引き取る際の取り組みということで、これも多様な普及啓発・連携の推進の①でございますが、まずは、国はユーザーから廃棄機器を引き取る、廃棄物・リサイクル業者を通じてこの法の周知を図ると。さらに、②として、この廃棄物・リサイクル業者など機器を引き取る者がユーザーに対して渡せるように、法と廃棄時の冷媒フロン引渡義務を平易に説明できる資料を国が作成し、こうした事業者からユーザーへの法の周知を促すと。

 仕組みといたしましては、その下でございますが、廃棄機器引き取り時におけるユーザーの引渡義務の履行を促進するとともに、回収作業を実施していない機器の流通を防止するため、以下の制度的措置を講ずることが必要ということで、①として、廃棄機器を引き取る者がみずから回収作業を行う場合のほかは、回収作業が実施できない機器の引き取りを制限する。それから、②として、廃棄機器を引き取る者が機器の回収作業が実施されたかを確認するため、ユーザーから当該機器を引き取る者に対して回収作業実施済みの証明書が届く仕組みとすべきと。③として、この引き取る者に対する報告徴収、立入検査を可能とする。これらの仕組みの構築・運用に当たっては、機器の廃棄が解体工事等を通じて行われる場合においても適切に証明書が廃棄機器を引き取る者に到達するようにすること。また、引き取り制限の違反については厳格な対応が必要である一方で、フロン回収済みの業務用の冷凍空調機器が金属類と混在して、いわゆる金属一山みたいな形で、回収済みの機器と鉄筋が混ざっているような場合とか、そういう判別が困難な場合などに過剰な対応とならないようにすること等にも留意する必要があるということでございます。

 4)でございますけれども、関係者間の連携促進等ということで、上記1~3の対策が円滑に実施されるためには、ユーザー、解体工事元請者、廃棄物・リサイクル業者、さまざまな関係者が連携して、運用上の課題について共有、調整を図る必要があるということで、18ページにまいりまして、現在、一部の都道府県で協議会がございますが、こういう既存の協議会のさらなる活性化を進めるとともに、現在協議会がない都道府県についても設置を促すために、協議会について法的な位置づけを明確化することが必要。また、国については、都道府県における効果的・效率的な指導監督に資するために、現状はフロン排出抑制法の自治体担当者向けハンドブックというのがあるのですが、これを見直して、より効果的・效率的にすると。さらに、国は充塡回収量報告や算定報告公表制度の情報を分析して都道府県に提供するということでございまして、以上の対策を一つの絵にまとめたものが、この図7でございますので、図7については説明を割愛させていただきます。

 その下の2ポツで、要因B、C対策につきましては、中型のビル用マルチエアコンの1台当たり回収率が低調でございまして、その原因につきましては19ページ、①から③。①は配管長が長くて、その先の部分について、回収作業に時間がすごくかかってしまう。それから、②については、電磁弁がたくさんついていて、その先が閉鎖されるので、トラップがされてしまって回収残をふやしている。③としては、室外機がビル屋上に設置され、スペース上大型回収機を使いづらい場合もあり、作業環境が悪い。こういう原因で1台当たり回収率が悪いという意見がある一方で、そうではないのではないかという意見もあるなど、専門家や関係者間の意見が分かれております。

 したがいまして、こういうふうなさまざまな知見について分析をして、この要因B、Cによる未回収が、いわゆる回収方法・手順の問題による未回収であるのか、それとも技術的な制約に伴う未回収であるのかについて、さらに知見を集積して仕分けを行うことがまずは必要と考えられます。

 したがって、対応の方向性でございますけれども、技術的知見を有する者の協力を得て、技術面から要因分析を進める場を立ち上げまして、関係者へのヒアリングや必要に応じて実証試験もやることで、未回収分が、まずは回収方法の問題なのか技術的な制約によるものかを仕分けをするための調査分析をまず行う。分析の結果、回収方法が原因という部分については、例えば標準回収作業方法、手順の徹底や作業環境の向上により改善が見込まれることが明らかとなった未回収分については、回収基準の改正ですとかガイドライン作成を通じて回収率を上げることが必要と。また、分析の結果、技術的な制約によって発生する部分が明らかになった場合には技術開発が期待され、その場合には、現状の知見に縛られない大胆な技術開発や、メーカーによる回収しやすい機器の開発を促すという観点にも留意すべきという意見があったということでございます。

 最後の20ページでございますけれども、以上のような対策につきまして、フォローアップということで随時その進捗をフォローアップするということでございまして、最後、「おわりに」のところでございますが、このような形で202050%の目標を達成するべくとりまとめたものですので、政府においては法制度の整備を含む具体的な取り組みに着手することが求められると。

 一方で、上流、中流についてもきちんと引き続き取り組む必要がございまして、上流についてはグリーン冷媒の技術開発導入促進を進めていく。指定製品制度についても、さらに活用して、グリーン冷媒化を推進していく。世界に先駆けて、脱フロン、低GWP化を進めていく。使用時漏えい対策については、今後、使用時漏えいの実態調査や算定漏えい量報告の分析を通じて2015年に施行されたフロン排出抑制法の効果を見きわめまして、マテリアルフローのさらなる精緻化も進めつつ、廃棄時回収対策と一体として取り組むことが重要ですと。その際、再生についてもさらに議論を深めていく必要がございます。さらに、2030年の目標はかなり野心的でございますので、IoTを使った機器冷媒情報の統合管理などについても議論を進めていく必要がございます。

 以上のような、このような報告書において提言された対策により回収率を向上させることで、世界で最もすぐれたフロンのライフサイクルにわたる総合的な排出抑制対策が実現することとなりますので、こういう対策をアジアを中心とした諸外国に展開して、世界的な排出量の大幅削減を通じて地球環境問題の解決に貢献することが我が国に課せられた使命であるということで結ばせていただいております。

 以上で事務局からの説明を終わります。

○浅野委員長  ありがとうございました。

 それでは、ただいま事務局から説明をいただきました報告書(案)でございますが、これにつきまして皆様方からご意見を伺いたいと思います。

 前回の会議では、産構審側からご発言いただきましたので、きょうは中環審側の委員に先にご発言をいただくということにしたいと思いますが、中途で席を立ちたいという申し出を先に受けておりますので、まず、赤穂委員にご発言いただき、次に根岸委員ご発言いただきます。そして、その後、順次、委員からご発言いただきます。

 ご発言をご希望の方は、委員の皆さんにどのぐらいの人数の委員が発言したいと考えておられるかをご認識いただくために、名札をお立ていただけませんでしょうか。予定でも結構です。後であげないでください。途中で発言をしないというようにお気持ちが変わられた場合は、名札をもとに戻していただければいいので・・・・、よろしいですか。よろしゅうございますね。では、今の段階で発言ご希望の委員はこのくらいの数いらっしゃいます。本日は、時間的には比較的余裕がございますが、ご発言は、極力、簡潔にお願いいたします。

 では、赤穂委員、どうぞ。

○赤穂委員  先生、ご配慮いただきましてありがとうございます。

 今回、要因対策Aについて、意見と提案を一つずつしたいと思います。

 まず、法改正してまでこれから厳格にみていこうということですが、より実効性を高めるためには、やはり指導監督を担う自治体の役割がとても大事かと思います。今日はありませんでしたが、自治体別の取り組み状況についての資料を拝見したところ、かなりしっかりやっていただいている自治体と、なかなか手薄だなと感じるような自治体さんが、かなりばらつきがあるということを伺いました。ということで、やはり全ての自治体がしっかりと取り組む体制をとっていただくことが実効性のある対策になるかと思います。

 あと、意見ですが、要因対策B、Cで、機器メーカーさんが重要になってくることは当然なのですが、Aについても、機器メーカーさんにもう少し努力をしていただくことができないかなと思っています。例えば、このコンプレッサーのところにシールか何かを出荷段階で貼っていただいて、この機器にはフロン類が入っていますと。回収が必要ですとか、みだり排出は法律違反ですとか、そういう警告をするようなことをやっていただければ、現場の解体時なども気づくということが多いのではないかなと思います。

 以上です。

○浅野委員長  ありがとうございました。

 では、根岸委員、どうぞ、お願いいたします。

○根岸委員  今ご説明伺って、都道府県の立入調査に関する仕組みというのは非常に大きく前進をしていくかなというふうに感じています。実際、この中で、都道府県として立入調査をしていくためには、まず対象物あるいは対象者というのが一体どこにいるのかというところをまず確認をして、その中で、かつ效率的に成果を上げるためにはどこを優先してやっていくべきかという、こういう観点がやはり必要かなというふうに思っています。そのために、具体的にどこからどんな情報をとって、その情報をどう整理をして、絞り込みを行って実施をしていくのかという、こういう具体的な手段というのが大変重要になってくるかなと思います。この報告書の中にも書かれているような自治体向けのハンドブックの整備というのをしていくというお話になっています。この辺、ぜひ今の観点、私の観点で、より具体的に作成をしていただいていってもらいたいなという期待をしております。

 以上です。

○浅野委員長  ありがとうございました。

 それでは、出野委員、どうぞ、お願いいたします。

○出野委員  解体業連合会の出野でございます。

 これだけのデータを示していただいて、このデータが信頼できるという前提で、ここに書かれております基本的な方向性、あるいは基本的な施策については賛成という立場で意見を述べさせていただきたいと思います。

 追加して2点ほど意見を述べさせていただきたいのですけれども、まず一つは、前回も申し上げましたけれども、先ほどの委員の方の発言にもちょっとかぶりますけれども、一応ターゲットが大体決まったと。悪いのは解体業者と中型機器だと大体決まったということですので、ここを集中的に今から施策を進めていただくということは私がお願いするまでもないとは思いますけれども、少し追加をするとすれば、この解体業者というのが、これも何回も申し上げておりますけれども、非常に曖昧模糊とした業界であって、解体工事の元請業者というのは、大きな解体工事ではほとんどが建築式工事業の許可業者です。解体業者ではありません。小さな解体工事は、解体業者、解体工事業という許可をもった会社が元請けをする場合もあります。この委員会の中にも米谷委員と私が参加させていただいておりますけれども、米谷委員のほうは建設業連合会というので、スーパーゼネコンレベルの会社の集まりです。私のほうは末端の解体会社の集まりです。真ん中のボリュームゾーンがそっくり抜けております。このあたりが、広報あるいは啓発、普及、あまりなされていないのではないかなと、抜けておるのではないかなと、常々危惧しておりますので、このあたりをご留意いただきながら、今後の広報、啓発、普及活動をやっていただきたいというふうに思っております。

 それから、もう一つは、これはまた一般論で、今さら論なのですけれども、戦力の逐次投入といいますか、ばらばらやるのではなくて、やるときには一気呵成で、一気にやっていただきたいというふうにお願いしたいと思います。

 ちょっと話は大きいのですけれども、昔からいっておりますけれども、例えば解体工事届出制度、こういうのを新しくつくってはどうかと。もう今さらですけれども、常々思っております。例えば建リ法の届け出、この制度を活用しようと思っても、国交省、環境省、経産省、その他でなかなか連携がうまくいかないと、もう10年以上聞いておるのですけれども、そういうことだったら新しく法律をつくればいいのではないかと常々思っております。何か難しい理由があるのかもしれませんけれども、そういうところもご検討いただいて、なるべく一気呵成に、やれるところは一気にやっていただきたいと思いますので、何とぞよろしくお願いしたいと思います。

 解体業界、最近は──最近ではないですけれども、昔からですけれども、フロンに限らず、石綿問題、あるいはPCBだ、あるいは一般の廃棄物の不法投棄だ、不適切処理だ、もうごまんと抱えております。これを各省庁でばらばらにプレーヤーにずっと規制をかけてくるといいますか、指導していただいているわけですけれども、なかなかプレーヤーのほうが追いつかないというのが現状です。ですから、このあたりもまとめて、何かきちんとした制度をつくっていただきたいなと。将来の話かもしれませんけれども、方向的にはそういうことでぜひお考えいただければありがたいなというふうに思っております。

 以上で。

○浅野委員長  ありがとうございました。最後の点は、私ももうかねてからいっていることなのですが、なかなか進まないようなことで、残念なことだと思います。

 それでは、浦野委員、どうぞ。

○浦野委員  全体としては非常によくまとめられていて、今後の方向もはっきり示されているわけですけれども、実際には国が直接やれることというのはほとんどなくて、自治体を支援する必要があるわけで、特に自治体がまず意識を変えてもらうというのが必要ですし、また、動きやすくするためのいろいろな法制度もあるし、ツールも提供する必要があるというふうに思っています。

 自治体は、温暖化防止というのはかなり今いろいろなところで取り組んでいますが、フロンというと何となくオゾン層破壊みたいなイメージをまだもっている方が多くて、オゾン層はもう大分改善されているのだから、フロンはそんなに熱心にやらなくてもいいのではないかというような意識もあるのですね。ところが今問題になっているのは、フロン類の中の温暖化への影響というのが非常に問題になっているわけですから、この辺の意識をしっかり変えてもらうと。そのためには、ツールとして、非常にわかりやすい紙1枚のパンフレットみたいなものをしっかりつくって、詳しい資料とか何とかをいっぱいメールでやっても、担当者も自治体も手不足で、余り手が回らないのですね。ですから、本当に、見るものも配るものも非常に簡潔にして、要点だけがしっかりみえるようにするということが必要だと思います。

 それから、もう一つは、やはり権限を強化する。提案にもございますので、そのために幾つか提案がありますけれども、この中で法改正が必要なこと、省令で改正が必要なこととか、指導監督みたいな形でいくようなことというのはいろいろあると思うので、その辺をきちんと整理して、それで関係者──自治体もありますし、関連の業界団体もありますので、それぞれにできるだけしっかりと早く説明して理解を得ないと先へ行かれないので、ぜひその辺を環境省さん、ここで頑張ってやっていただくことをお願いしたいというふうに思っています。

○浅野委員長  ありがとうございました。前にも申し上げましたけれども、温防センターはCOだけやればいいという感覚をまず捨てなければいけないので、これはやっぱり地球環境局の中で、フロン対策室が孤立しないように頑張っていただくことが大事でしょうね。今、浦野委員がいわれたことはまことにもっともだと思います。

 大塚委員、どうぞ。

○大塚委員  今回の報告書は、今まで必ずしも十分に検討されてこなかったいろいろなデータとか事実を、ヒアリング等を通じて詳細に分析された結果出されたもので、そういう意味で大変よかったと思っております。

 今回のこの検討の最大のポイントは、廃棄の機器を引き取る人、廃棄物関係の業者さんが多いと思いますけれども、この方たちが冷媒回収の実施の有無を確認した上で適切に対応するということを求めている点と、あと、ユーザーさんについては、冷媒フロンの引渡義務違反に関して直罰を導入するという、その2点が大きいと思います。さらに、解体業者さんについては、事前の説明書面の写しの保存義務とか、報告徴収立入検査の対象になるというようなことが出てくると思いますけれども、そういう意味では非常に、各主体に関してバランスのとれた対応をしていただくということで、誰かだけの義務づけを強化するということではないというところが、もう一ついいところかなというふうに考えているところです。

 ただ、直罰に関しては、直罰を導入すること自体、非常に刺激を与えるようなことになって、意味があると思いますが、何といっても効果を発揮するためには指導監督が非常に重要になってくるので、その点の配慮を環境省さんにはいろいろな意味でご検討いただく必要がありますし、自治体にはぜひ頑張っていただきたいというふうに思っているところでございます。

 以上でございます。

○浅野委員長  ありがとうございました。

 奥委員、どうぞ。

○奥委員  今回の報告書、具体的な法的措置の内容にまで踏み込んでまとめられておりまして、そういう意味では非常によくできていてありがたいなというふうに思っております。

 ただ、法改正がこれを踏まえてなされた後も、やはり法の実効性を上げていく上では都道府県の役割が重要だということは他の委員もおっしゃっているところでして、それに関連しまして、この報告書の14ページの2)の①のところで、特に解体時届け出の情報共有についてまとめられておりますけれども、条例上の制約があるというところについては、これは都道府県がしっかりと認識をもっていただいて、条例の制約がないように条例改正をしていただくということも肝要だと思いますけれども、一方で、今のところ、通達を国としては出していると。今後の対応としては、16ページの2)の①ですか、2)の都道府県による指導監督の向上のところの①のところに、恐らく今後については情報共有が図られるように法改正をしていくということで①に書いてあるところでありますけれども、これは、都道府県のフロン対策所管の部局が、情報提供の要請をすることができるようにしていくという内容でして、それだけで果たして十分なのかというところが、特にこのフロンについては疑問があるところです。例えば、空き家等対策特措法ですと、固定資産税情報ですとか、それからガス、電気、水道等の使用状況等について、空き家対策所管課が必要な情報の提供を要請できると、その関係部局に要請できるというふうな規定を置いておりますが、空き家の場合は地域喫緊の課題として、担当部局が認識しているからこそ積極的にそういう情報をとっていこうというふうにするのだろうと思うのですが、フロンの場合は、なかなかフロンの所管課が積極的にでは情報をとっていこうとするかどうかというところがまず疑問としてありまして、やはり都道府県の温度差というのもあるのかもしれませんし、そういう意味では、要請というよりは、むしろそういう情報が自動的に共有されるような、そういう仕組みというのが必要になってくるのかなと。特にフロンの場合はそうなのかなというふうに思っておりまして、そこのところが一つ、今後さらに検討していっていただければなというふうに思うところです。

 以上です。

○浅野委員長  ありがとうございました。今後の課題についてもご指摘をいただいたということにしておきます。

 それでは、小熊委員、どうぞ。

○小熊委員  ありがとうございます。今回、皆さんおっしゃっているように、要因をかなり深く突っ込んで分析をしていただいて、特に要因Aに焦点を当てて、制度の運営上の課題への対応を強化していくことで、これまで停滞していた回収率の向上に相当の寄与があるのではないかと期待するところです。

 一方、温対法に定めた目標、2020年50%、203070%の達成を見据えますと、継続的に、点検チェック、フォローしていくことは必要ですが、今回出された取り組みだけではまだまだ不十分ではないかと思います。特に要因BとCの部分ですが、技術的課題を克服するための研究分析はぜひお願いをしたいところです。あわせて、このB、Cを克服していくためには、事業者にそれなりの経済的な負担や人的な負担が発生します。今回示された方向性としては、基準の改正やガイドラインの作成ということで、規制面を強化していこうというところがみてとれるわけですが、一方で、機器の開発事業者や回収事業者の自発的な取り組みを促すような動機づけの手法についてもぜひご検討いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○浅野委員長  ありがとうございました。

 それでは、中根委員、どうぞ、お願いいたします。

○中根委員  ありがとうございます。特に要因Aの分析を詳しくしていただいたということで、今までにないような分析が出てきたということで、今後の対策に有効な報告書だと思います。

 まず、キガリ改正やパリ協定を見据えて、今の2020年50%、203070%というのはやり切るしかない状況なので、出野委員がご指摘されましたように、省庁横断で一気呵成に制度上の整備をしていただきたいという意見に賛成でございます。

 今後、いろいろな普及啓発等をやっていかなければいけない中で、今、50%、70%というのが、重量で表されているのですけれども、CO換算でどのぐらいになるかということも今後見積もって頂きたい。なかなか内訳を知ることが難しいというお話を伺っていますけれども、CO換算でもどのぐらいになるのかということも含めて、またそれから要因B、Cに対するフォローアップなども含め、今後、一気呵成にやると同時にフォローアップをしっかりやっていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○浅野委員長  ありがとうございました。

 花岡委員、お願いいたします。

○花岡委員  ありがとうございます。私からは3点ございます。

 1点目が、まず、現状の認識の整理をしていただきましたが、私が前回の委員会で意見をさせていただきました冷媒に関する代替フロンの排出量の急増している部分について、CO換算で示していただきまして、この委員会での議論している温暖化対策としての重要性がわかりやすく示していただけたと思います。どうもありがとうございます。その上で、高村委員から追加で書面で意見が出されておりますが、私もこれに賛同いたしまして、この報告書を高村委員がご指摘のような形で修正していただければと思います。

 2点目が、未回収の要因分析と対策の方向性についてまとめていただいておりますが、私も賛同いたします。ただ、法制度の遵守の強化に向けて、現場の方の対応、特にユーザーの範囲というのが非常に広いかと思っております。そこで、要因Aの強化のために、特にビルオーナーの数と特定業者の数について、たとえば13ページの中段に書かれておりますが、解体元請業者であったり、廃棄機器を引き取るリサイクル業者であったり、そういった特定業者の数を、大体でもいいので確認をしまして、ビルオーナーの数と特定業者の数の少ないほうにより効果的周知・認知して、全体の認知を向上させ、その認知の仕方の効率性も検討していただければと思います。

 3点目が、要因BとCの強化についてでありますが、やはり冷媒を回収した際のデータの収集だとか管理、あと報告といったものの仕方を工夫しまして、引き続き要因B、Cの部分について、何がさらに要因なのかといったところを継続して正確に把握していただくことが非常に重要で、要因Aの法の強化に加えて、要因B、Cについて同時に今後も検討を続けていっていただければと思います。

 以上です。

○浅野委員長  ありがとうございました。環境研究の中でも行政ニーズとしてしっかり位置づけて、ちゃんとした研究者に研究してもらうというようなことも考える必要があるでしょうね。今おっしゃったことはよくわかりました。

 それでは、牧野委員、どうぞ。

○牧野委員  要因Aの対策について、幾つかコメントさせていただこうと思っています。

 15ページの(2)の対応の方向性というところで、ユーザー解体工事元請業者、廃棄物・リサイクル業者等が相互に確認・連携し合ってと、ここの「相互に確認・連携」というのが本当に大切だと思っていまして、これを全企業、全団体が実施すれば、回収率についても目標値クリアに向けてどんどん向上していくのではないかなと感じました。

 しかしながら、前回と同じコメントになってしまいますけれども、私どもユーザー管理者については、機器の廃棄を日常の業務としていないというところがありますので、啓蒙活動を環境省さんのほうでこれから頑張っていただくとしても、どうしても法律を100%の企業に浸透させるということはできないのかなというところも感じております。そういった意味で、今回のご提案の対応策というのが、理解していない会社さんが廃棄する場合においても、業者さん側のほうの規制をかけていただくということで、有効にフロンが回収していくのではないかなと感じております。

 続いて、我々管理者、ユーザーに対しての規制内容についてですけれども、直接罰についていえば、法律に対して今以上に意識するというか、せざるを得なくなりますので、管理者側の理解が進むというふうに考えています。「刺激」という言葉をいただきましたけれども、本当に刺激になるなと思います。

 また、解体業者さんからみても、管理者に説明をするわけですけれども、今まで割と、「そんな法律知らないよ。どんな罰があるの」といわれることもあったかもしれませんけれども、直接罰ということをいうことによって、このあたりの説明も非常にしやすくなりますし、管理者の理解、賛同も得られやすくなるのではないかなと思います。

 もう一つの機器点検等の保管期間の延長については、ご説明いただいた内容で賛同いたします。理解できると思っています。

 以上のことより、制度の詳細についてはちょっとみえていないところもありますので、また決まる都度お知らせいただきたいと思っていますけれども、こちらの今回の対策については賛同したいと思います。

 以上です。

○浅野委員長  ありがとうございました。

 それでは、米谷委員、どうぞ。

○米谷委員  私からも要因Aに関してのコメントを数点述べさせていただきたいと思います。

 1点目ですけれども、17ページの真ん中、廃棄機器を引き取る者に対する回収作業実施の確認の仕組みというところですけれども、ここの②に書かれております、廃棄機器を引き取る者が、機器の回収作業が実施されたかを確認するため、ユーザーから当該機器を引き取る者に対して回収作業実施済みの証明書が届く仕組みとするべきであるという、こういう書き方をしています。ここについて、しっかりした仕組みをぜひ構築していただきますように強くお願いしたいと思います。

 私がここにこだわります理由を、委員や傍聴の皆様にも知っておいていただきたいと思いますので、ご説明をさせていただきます。

 なぜなら、フロンを回収させることの責任というのは、ユーザー側に一義的にあります。一方、廃棄物の処理を委託する責任というのは、建物に固着したものについては解体工事の受注者にあります。つまり主体が異なっています。そうすると、フロンの回収を、ユーザーからフロン回収業者に直接頼んだ場合には、行程管理票もそこの間だけのやりとりになりまして、元請けの手元には現行制度では何も来ません。廃棄物の処理については、元請けが廃棄物処理業者あるいはリサイクル業者に委託をします。こうした状況の中では、ユーザーが交付した行程管理票を処理業者あるいはリサイクル業者が入手をするというのは、ここの間には何らか契約関係もございませんし、誰が機器を回収するかということもユーザーは知らないという、そういった状況にありますので、現在の運用方法では困難です。ユーザーが直接フロン回収業者にフロン回収を依頼することがもっとも望ましいことではあるのですけれども、それをやった場合に、しっかり元請けのほうに行程管理票の写しが来る形が必要かと思いますので、そういった仕組みを何らかの形でぜひ考えていただきたいというのが第1点です。

 それから、第2点目ですが、これはちょっと考え過ぎかもしれないのですが、今のところの下のなお書きのところで、いろいろなスクラップとごちゃ混ぜになっていた場合にはそこまでできないよという、恐らく処理業者サイドからの声で、過剰な対応とならないようにという一文が書かれているのかなというふうに推測をしております。非常に性悪説でものごとを考えてしまうところがあって、考え過ぎかもしれないのですけれども、こういう一文があると、では適当に機器をつぶした状態でほかのスクラップと一緒に出してくれれば、俺たちも何もいいませんよみたいな感じですね。そういったやりとりに使われかねないのではないかという──本当に考え過ぎかとは思いますけれども、ちょっと危惧があります。そこに対しての担保をどういうふうに考えるかという点についてもぜひ考えていただきたいなと思っております。

 そうしたことまで考えますと、やはり最終的にはユーザーがしっかり認識をしていただいて、ユーザーが確実に回収をしていただくということが何よりも一番かと思いますので、数の少ないところをしっかり周知するほうが手っとり早いかもしれませんけれども、あくまで一義的にユーザーだという部分での周知活動についてははぜひお願いをしたいと思います。

 あと、最後ですけれども、先ほど、赤穂委員からでしたか、シールを活用するというようなご提案がありましたけれども、これに私も大賛成です。もともと協会で製作している非常に有効なシールというものがあって、フロン使用機器と、フロン未回収と、フロン回収済みというようなシールが、今販売はされています。ただ、それを貼付するかということは、自主的にやりたい人はやればいいよということで、さほど普及していないようにも感じております。今回のように、特に機器を廃棄するときに回収されていることを確認するという意味では、何台もの機器に対して1枚発行される行程管理票の写しをもらうよりかは、一台一台にシールが貼られていることのほうがはるかに效率的に確認できます。あるいは、フロン未回収というようなシールが確実に貼られていれば、そういったところでも確認ができるというようなところもあります。そういう中で、先ほどの赤穂委員からのご意見がありましたので、確かに機器出荷時にもう既に、その時点で「フロン未回収」という言葉は使いづらいかもしれませんけれども、「フロン回収義務づけ対象機器」というようなシールを業界で自主的に貼っていただく、あるいは、フロン回収済みのシールについても、フロン回収業者さんたちが自主的に、皆さん確実に貼っていただくという、そういった実質的なところでわかりやすい見える化という形を考えていただけると非常にありがたいなというふうに思っております。

 以上です。

○浅野委員長  ありがとうございました。大事なご指摘をいろいろいただきましたので、事務局としてはさらにご意見に沿って検討してください。

 それでは、産構審に移ります。作井委員、どうぞ。

○作井委員  どうもありがとうございました。具体的な内容のある資料がご提示いただいたと思っております。

 ちょっと意見をいわせていただきますと、やはりここでユーザーというんですか、管理者、フロン排出抑制法でいう管理者の意識を高めるということで、例えばこの4ページにあるように、フロン排出抑制法の施行時から回収率が6ポイントぐらいずっと上がっていますよね。これはやはり管理者の皆さんが、フロン排出抑制法の全体の中でも、回収時にもう行程管理票を使って回収しなければいけないという認識があってふえたと思うんですが、今ここでちょっと頭打ちになっていると思います。

 ここでご提案になっている、16ページにあります都道府県による指導監督の実効性向上というところは、これはやはり先ほどの要因AもBもCも、やはり管理者の認識が上がれば、指示するほうは管理者なので、今までの仕事は単に処理しておいてねという立場であったもので、だから形骸的に──ではない方もいらっしゃいますけれども、形骸的な行程管理を受け渡していると。管理者はちゃんと回収しなさいというような指示があれば、AもBもCもかなり改善できるのではないかなと思います。ここの①②、行程管理票の保存と点検記録簿の保存、これがあれば都道府県が確認しやすいということなのですが、現在の行程管理票は、10台でも20台でも1枚の票に書けるので、これだったらば確認するときに都道府県が確認しにくい。やはりこれは1対1にすべきではないかと思います。

 それと、その下に書いてある直罰というのは、これは非常にいいことで、やっぱり抑止効果というんですか、管理者の認識が高まると思っております。

 そこで、ちょっと読ませていただきますと、この行程管理制度のもとになっている産廃の法律ですよね。昭和45年法律第137号、廃棄物の処理及び清掃に関する法律ということの第12条の3というのが、管理票、マニフェストについてのことなので、行程管理票のところはこれを大分受け入れていると思います。その第7項、管理票交付者は、環境省令で定めるところにより、当該管理票に関する報告書を作成し、これを都道府県知事に提出しなければならないと。その省令をみますと、平成2911月8日交付、環境省令第27号、その8条の27項、法第12条の3、第7項の規定により云々と書いてありまして、毎年6月30日まで、その年の3月31日以前のうちの1年間において交付した管理票の交付等の状況に関し、様式3号により作成し、当該事業所の所在地を管轄する都道府県知事に提出するものとすると。

 これは、転記をするということなんですね。行程管理票であれば、A票、E票をもっていればいいのですけれども、これをわざわざ転記しなさいというのが、こっちの廃掃法のほうですか──なっています。これは、管理者がもっているだけでなくて転記をするということで、どのぐらい回収したかという認識が再認識されると。せっかく出すのであれば、初めに入った量、点検記録簿に入っていた量、それと回収した量、その差が未回収です。これをやっぱり、この法律と同じにするのであれば、管理者が──管理者というか、事業者、ユーザーがそれを認識する。転記したことによって認識されるということで、より、これは例えば20キロ入っていたのが5キロしか回収されない、これはおかしいと思うのは、管理者の認識も高まるというふうに思っております。もしもやられるのであれば、どういう様式にされるかはご検討いただければいいと思いますけれども、必要なのは、もとあった量、回収した量、その差、それと冷媒種ですね。HFCかCFCか、そういったものを記入して、これと同じに合わせて都道府県知事に提出すると。現在は、充塡回収業者だけが都道府県知事に出していますけれども、もうこれをつくった平成19年のころについては、ユーザーはまあいいだろうと。同じフロンで、そんなに毒物でもないということで、なかったと思うのですが、今ここに来て、2020年に50%にしなければいけない、2030年に70%にしなければいけなくなったときに、やはりこういったものを検討すべきではないかと思っております。

 それと、今回のフロン排出抑制法は、管理者ということを主に考えておられます。たくさんの事業所をもつ管理者であれば、その事業所の、こういった提出した転記したものを全て集めて、管理者全体でどのぐらい回収した、どのぐらい未回収だったというものの記録をとるということも大事だと思います。なぜかというと、やはり管理者全体が認識をもってもらうためには、どこの事業所だけではなくて、全体としてこれは認識して管理をするということが大事だと思っております。

 それと、もう一つ、これは民間だけでなく、ぜひ地方公務もあわせて、公務のほうも管理者としてご検討いただきたいと。地方公務によっては、予算がないからできないというようなお声もよく聞かれるのですが、やはりこの法律を守るのは民間も公務も関係ないと思っておりますので、ぜひその辺のことはご検討いただければと思っております。

 以上でございます。

○浅野委員長  ありがとうございました。この点、具体的なご提案もございましたので、事務局に検討させたいと思います。

 岡田委員、どうぞ。

○岡田委員  日冷工の岡田でございます。

 私のほうからは2点ほどなのですけれども、一つ、廃棄時の冷媒の回収なのですけれども、前回から、個別ではあるのですけれども、私どものメーカー系のサービスを担当している会社の人間からヒアリングをしたのですけれども、そこでは、回収率というのは非常に高いと。80から90ぐらいきちんとできているというようなお話がありました。今回のレポートの調査結果のところで、例えば6ページとかに実施した調査の件数等が書かれておりますけれども、一般的な統計の手法として整理される分には構わないと思うんですけれども、アンケート未回答とか、そういう部分というのが具体的にどうなのかなと。何がいいたいかといいますと、かなり回収業者さん、個別にやるところはきちんとやっているけれども、意外とそうでないところはできていないという、そういうばらつきが結構あるのではないかなというところが、余り膨大なデータの裏づけがないものですから、そういう側面もあるのかなということで、結果としてはこの要因Aのところというのがもうちょっと実質的に多くなってくるのではないかなということで、ここの対策も書かれておりますので、そこをきっちりとやっていただく中で、継続的に結果がどうだったかというところはフォローしていきたいなというふうに思っております。

 それから、もう一つは、前回、西薗先生がご指摘されていましたけれども、メーカーとしてできることを当然やる必要はあるのですけれども、メーカーが工場の中でやる対策というのは、これから製品が出ていって、実際に廃棄あるいはサービスまでの時間が相当かかります。直近の足元での対策というところには必ずしも効果が即つながらないので──何もしないというようなそういう意味ではないのですけれども、そこの時間的なずれといいますか、そこのところはご認識いただく中で、対応策としてやっていきたいというふうに思っております。

 以上です。

○浅野委員長  ありがとうございました。

 大沢委員、お願いいたします。

○大沢委員  ありがとうございます。ここに書かれている対策、こちらの実効性を上げるために、先ほども何度も話がありますけれども、やはり都道府県の方々の指導監督、これがどのようになっていくかというところだというふうに思っています。この審議会でも法改正があるたびに申し上げてはいるのですけれども、正直者がばかをみないような制度をつくっていただいてはいるのですけれども、その運用がやはりきちんとされないがゆえんに、そういう事態に陥っているというふうに思います。ですから、今までちゃんとやっているところはちゃんとやっているんですね。さらにこうやって法改正をしようとして、さらに厳しくしようとして、真面目にやっているものがより厳しくなる。だんだん負担が大きくなってくる。しかし、やらない者はそのままやらないままでいるという、こういう現状をやはり今回のこの改正で打破していただきたいというふうに思っています。

 ですから、先ほどの米谷委員がおっしゃった17ページのなお書きのところ、ここは非常に私も気になっておりまして、言い逃れできるのではないかという逃げ道をつくると、やはりそこがどうしても、こういうことで逃げてしまうというようなことが起こり得るのではないかというのが私も若干懸念しているところでございます。ですから、ぜひきちんと法を守る、守るのは当然ですから、守らない者に対してはいかにペナルティーを与えることができるか、こういったところをきちんと取り組んでいただきたいというふうに思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。

 以上です。

○浅野委員長  ありがとうございました。

 では、宇都委員、どうぞ、お願いいたします。

○宇都委員  ありがとうございます。説明いただきました報告書、非常によくまとまっていると思います。特に今回、今まではユーザーの意識を変えましょうということでしたが、今回の報告書では「全ての関係者の意識を変える」ということが盛り込まれております。ユーザーがミスしても、整備者が「いや、違いますよ。ちゃんと処理してくださいよ」と、整備者がミスしても、廃棄機器の引取者が「いや、ちゃんとやるべきですよ」と、パンフレット等を出して、関係者みんながミスして初めてイレギュラーな処理になるという仕組みを目指していると、この報告書を見て個人的には感じました。今まで、ユーザーがミスをしても、整備者はそのまま処理し、廃棄者もそのまま処理し、問題が起こればユーザーの責任ですねとなっていましたけれども、ちょっとこの報告書でその考え方・方向が変わってきたと感じ、非常にうれしく思っております。

 今までは回収責任とか、破壊責任とかを問われていましたがが、今回の報告書に今まで聞きなれない「ユーザーの引き渡し責任」という言葉が加わっています。この引き渡し責任は「廃棄時実行者」としての管理者と整備者両方が引き渡し責任をもっています。今回の直罰制度は、両方とも対象になるのか?またはユーザーという言葉が使われていますが、条文にない言葉で意味があいまいになる恐れがあるためちゃんと使い分けないが必要かと思います。これらのことを明確に表現いただければ、非常にいい仕組みになると思っています。

 この直罰になるということで、やはり皆さんにお願いしたのは、先ほどいいました全ての関係者がきっちりとユーザーをサポートしてもらえるような体制をつくっていただきたい。ユーザーが処理せずに出しましたと。「いや、それはおかしいでしょう。引き受けてくれる工事店はありませんよ」と。工事店もミスしましたと。「いや、それはおかしいでしょう。廃棄する引き取り者はいませんよ」、そういう世界をつくっていただければ、回収率70%という目標も十分可能だと思っています。

 あと、一つお願いですけれども、今、この登場者の中にメーカーさんが入っておりません。先ほどシールの話が出ましたが、第一種特定製品ということで、みだり放出禁止とフロンの回収が必要という内容のシールがほとんどの機器に貼られています。今回、引き渡し義務違反に対しの直罰ということですから、この内容を機器に表示していただきたい。管理者及び整備者は、廃棄時、整備時にフロンの引き渡しをしないと何条違反になることを明確に表示していただき、さらに詳しい内容を取り扱い説明書に記入していただければ、ユーザーに対応方法が浸透し、回収率も上がっていくと思います。

 以上です。

○浅野委員長  ありがとうございました。

 それでは、有田委員、どうぞお願いいたします。

○有田委員  どうもありがとうございます。この報告書というか、これにつきましては、いろいろ読み取りにくいところがありました。中環審の委員の方からの指摘などで私の中の懸念が改めてはっきりしました。そういうところは対応していただければと思います。消費者団体、それから気候変動に関心をもって動いてきたNPO、NGOなどは、もう何十年も冷媒については関心をもっていて、継続して傍聴をおこなっている団体もありました。40%に回収率が届かない事をどうしてそういう状況なのかについて関心を持ってきました。今回こういうふうにしっかり要因分析をしていただいて、対策をとり、そして本気度というのですか、いろいろなところに慮ってなかなか進まないことが、ある程度先がみえてきたということは大変喜ばしいです。

 高村委員のこのペーパーをみますと、これを拝見しますと、この報告書というか、これは不十分なのかなというようなイメージもあったのですが、でも、現在できることは盛り込まれているのではないかなと思いました。これは別にそういう言い方をしているので、これを変えてほしいとかそういうのではないのですが、温暖化に寄与するフロンという言い方は決してマイナスのイメージは捉えられなくて、要するに、「寄与する」という言い方は負のイメージがないんですね。どうでもいいことなのですけれども、そういうことを踏まえても、もっと事業者の方たちも本気度を出していただきたいなというふうに思いました。

 済みません。以上です。

○浅野委員長  ありがとうございました。ひとあたり委員からのご発言をいただきました。

 17ページのなお書きについては、複数のどうかなというご意見がありましたので、ちょっとここに書かれていることの趣旨について事務局から追加的に説明をお願いいたします。

○馬場室長  なお書きのまず前段の部分でございますが、まず、前段の部分ですが、米谷委員からもご意見がありましたけれども、廃棄物処理法とフロン法でいわゆる排出者が異なるわけですが、関係者にきちんと書面が到達するようにしないといけないということを、書かせていただいております。

 それから、後段については、鉄スクラップ業者、例えばギロチン業者が、解体の現場で、室外機はフロンを回収し終わりました。あとは解体現場でH鋼などの鉄筋も出てきます。そういうのもまとめて一山としてトラックで運ぶという実態がある中で、フロン回収済みの機器について杓子定規に対応しないでほしいという業界からのご意見を踏まえて書かせていただいています。一方で、おっしゃるように、脱法的な行為が起きないようにということは必須だと思いますので、そういうことも十分に考慮しながら運用していく必要があろうかと考えております。

○浅野委員長  よろしゅうございましょうか。

 それでは、ほかにご発言があった中で、何か事務局として答えることは両省ございますか。特に事務局としてのコメントはいいですか。

 では、飛原座長に。

○飛原座長  飛原でございますけれども、今回の報告書につきまして、おおむね良好なご意見をいただきましてありがとうございました。幾分、文言について、あるいは将来の検討についてはご意見をいただいておるようでございますので、それについては事務的に再度検討していただければと思っております。

 今回の対策としては、要因分析の結果、最も大きな要因として要因Aに注目して、そこの対策がまず、全ての人たちに対して一定の義務を負っていただくということで対策が練られているわけで、これはかなりの成果が上がるだろうと思っております。ただ、要因B、Cにつきましてはまだまだ十分な分析あるいは対応策が考えられていないということで、まだ宿題のような形になっております。要因B、Cにつきましては、技術的な検討がまだ不足している面もありますので、技術開発、要は回収機の開発とか、あるいは機器の回収しやすい構造の開発とか、いろいろなものがまだ残っておりますので、それは将来、この次の検討課題ということで考えていただければと私自身は思いました。

 最後には、やはり回収しなくてもいい冷媒を封入していくというのが抜本的な解決ですので、回収しなくてもいいグリーン冷媒をさまざまな応用機器に順次なるべく早く適用できるように、これも技術開発が必要なことなので、技術開発をしていただきたいというふうに思っているところです。

 以上です。

○浅野委員長  どうもありがとうございました。

 それでは、ほかに何か、さらにご発言のご希望はございますか。よろしゅうございましょうか。よろしいですか。

 それでは、今後の進め方につきましてご提案を申し上げたいと思います。今回の委員会報告は、法改正の必要性を伴うということがどうやらはっきりしてまいりましたので、この報告書を最終的にとりまとめるまでにパブリックコメントに付すということが望ましいと思います。それで、きょう出されたご意見の中には。幾つ報告書の表現を修正をしてはどうかというようなご発言もあったのですが、それをすべてパブコメの段階までに織り込むことができるかどうか若干自信がないのですが、パブコメで出てきたご意見も含めて、最終の報告書の段階では可能なものについては報告書に反映をさせていきたいと思いますので、その点については飛原座長と私にご一任いただけますか。よろしゅうございましょうか。

 それからさらに、大体きょう、おおむね、大筋はこれでいいというご意見が多かったということもございますので、パブコメ後にもう一度この会合を開くかどうかについてはペンディングにさせていただいて、パブコメをうけて、大きな修正を要しないと判断できる場合には2人の座長の話し合いでこの合同会議の報告書を確定をするという、そういう進め方でよろしいでしょうか。よろしゅうございますか。

 ありがとうございます。ご同意いただきましたので、今の2点についてはそのように進めさせていただきます。

 それでは、もしきょうお帰りになってまだ意見があるという方がいらっしゃいましたら、1週間以内に事務局にメールでお知らせいただければ、パブコメを踏まえた最終版の確定の際に、そのことについても反映ができるかどうかということを考えたいと思っております。

 それでは、最後に、環境省と経済産業省それぞれの局長、審議官からご挨拶があるようでございますので、まず、環境省、森下局長、どうぞよろしくお願いいたします。

○森下地球環境局長  環境省地球環境局長でございます。きょうは本当に活発な、そして有意義なご審議をいただきまして、心から感謝を申し上げたいと思います。

 具体的な提案も含めて、さまざまなご意見、ご要望、そして将来の取り組みにわたるまで、いろいろとご提案をいただいているということだと認識をしております。しっかりと今後取り組んでまいりたいというふうに思っております。

 今回、廃棄時回収率の向上対策ということについてご議論をいただいたということでございますけれども、今日も何度も出てまいりましたけれども、このフロン、特にHFCについて、非常にやはり地球温暖化対策の観点から大きな問題だと私どもは受けとめております。そして、今後も、このHFCの排出量はどんどん増えてまいりますので、将来、2020年、そして2030年、そしてその先のことも考えると、国内でしっかりとまず対策を講じて、しっかりと回収を図ることを進めていくこと、そしてさらには、アジア、そしてグローバルにそういった取り組みを展開していくということが温暖化対策の観点からも非常に重要であるというふうに認識をしているところでございますし、しっかり取り組んでまいりたいと思っております。

 今回は、経産省さんと一緒に合同で審議会ももたせていただきまして、また、そのための資料も徹底的に調査をさせていただいて、つくり込んでまいりました。ご協力をいただきました業界の皆様方、本当に御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございます。また、自治体の皆様方にも、何度も何度もヒアリングもさせていただきながら、しっかりとしたこの方向性というのを打ち出したいということで取り組んでまいりました。今後実効性を担保する上で非常に連携が大事だというふうに思っておりますので、しっかり取り組んでまいりたいというふうに思っております。

 今後、経産省さん、そして国交省さんと、制度改正に向けてしっかりと、これもきちんとした方向性を出してまいりたいと思っておりますし、今回のこのフロンの委員会でも通じて既にちょっとお感じになっていただいているところだと思いますけれども、フロン対策は新しいフェーズに入ってきたのではないかと。今回、きちんとしたデータをベースに、どういった方向性を、具体的に有効な方向性を出していったらいいのか、そういったことがきちんとできるようになったということで、大きな進歩があったのではないかというふうに私ども政策としても受けとめてございます。今後、この精神を忘れないようにしっかり取り組んでまいりますので、引き続きご指導いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございます。

○浅野委員長  それでは、経産省、上田審議官、どうぞ、よろしくお願いいたします。

○上田大臣官房審議官  経産省の上田でございます。報告書のとりまとめに当たりまして、皆様方からさまざまなご意見、ご知見をいただきましたことを、まず深く感謝を申し上げます。

 皆様方からご指摘があったように、フロン対策はこれ、やはり上流から下流まで、関係者が一体となって総合的に取り組むということが非常に重要であるというぐあいに思っております。今回ご議論いただいた要因分析を行うに当たっては、直接の関係者である機器ユーザーであるとか、あるいは充塡回収業者のみならず、上流側の機器を製造・出荷するメーカーや機器の商社、または下流側の解体業者、廃棄物・リサイクル業者など、非常に幅広い関係者にお話を伺ってデータを収集して、網羅的な調査を実施しました。これは、特に下流側のほうにご知見を有している環境省と、比較的上流側のほうに知見を有する当省が、日々互いに知見を出し合って、協力をして、一体となって調査をすることができたと思っておりますので、今後とも両省一体となってしっかりと提言の実現に向けて取り組んでいきたいと思っております。

 今回、制度の枠組みはこれで提言をされたということでございますけれども、具体的な成果につなげる上では、運用のルール等々、作り込みが重要になってくると思っております。引き続き皆様方のご意見、ご知見をいただければと思っております。どうもありがとうございました。

○浅野委員長  それでは、これで本日の議事をこれで終わりたいと思います。

 事務局からどうぞ、お願いいたします。

○皆川室長  本日はご活発なご議論、まことにありがとうございました。本日いただきましたご意見を踏まえまして、迅速に報告書案として整理をいたしまして、浅野小委員長、飛原座長に事務局からご相談をしてまいります。

 それでは、本日の第8回合同会合はこれにて終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。

午後12時30分 閉会