第4回厚生科学審議会化学物質制度改正検討部会化学物質審査規制制度の見直しに関する専門委員会ワーキンググループ、第4回産業構造審議会化学・バイオ部会化学物質管理企画小委員会化学物質管理・審査制度検討ワーキンググループ、第4回中央環境審議会環境保健部会化学物質環境対策小委員会化審法見直し分科会 合同会合(第4回化審法見直し合同WG)議事要旨

1.日時

平成20年7月10日(木) 16:00~18:30

2.場所

砂防会館 別館1階 「シェーンバッハ・サボー(淀・信濃)」

3.出席委員(五十音順)

浅田委員、有田委員、板倉委員、井上委員、江馬委員、大塚委員、北野委員、北村委員、篠原氏(後藤委員代理)、佐藤委員、実平委員、白石委員、吉田氏(関澤委員代理)、中杉委員、中地委員、中西委員、林委員

4.議事

  1. (1)これまでの合同委員会及び合同WGでの指摘事項について
  2. (2)今後の化学物質管理の在り方について
  3. (3)その他

5.議事概要

  1. (1)会議は公開で行われた。
  2. (2)第4回合同WGは、環境省が事務局取りまとめを、中央環境審議会の佐藤委員長が議事進行をする旨説明があった。
  3. (3)事務局より、すべてのワーキンググループ及び分科会が定足数を満たしていることが確認された。
  4. (4)これまでの合同委員会及び合同WGでの指摘事項について、事務局より説明が行われた。
  5. (5)今後の化学物質管理の在り方について審議が行われた。

6.委員より提示された主な意見

(1)2020年目標を踏まえた化学物質管理の基本的な考え方

  • 第三次環境基本計画では、目標設定を2025年頃とぼやかした形にしているが、国際合意に基づいて2020年と明示すべき。
  • 2020年目標は、農薬等も含めた化学物質の総合的な管理によって達成すべき。

(2)段階的なリスク評価体系の構築

  • 事前審査と事後管理の考えから言っても、優先評価化学物質を基本としたスキームは結構である。低リスクの化学物質も評価の対象から除外するのではなく、必要があれば、更なるリスク評価の対象になるので本制度に賛成。
  • 製造・輸入量を毎年集めると、毎年リスク評価が出来、常にリスクを見直せることとなり、予防的なスキームとなるが、産業界・国ともに作業負荷が大きい。仕組みとしてはよいが、実効性のあるリスク評価の枠組みが作られるのであればいい制度だと思う。
  • 2020年目標との関連で、優先評価化学物質のリストがいつ作られるのか明確にして欲しい。
  • サイクルはいいが作業が多くなる。毎年届け出る必要はなく、5年に1度程度でもよいのではないか。また、裾切り等、過度な作業を生まないよう、現実的に考えるべき。
  • 環境中に残っている物質が難分解性であるという考え方が科学的に納得できない。用語には留意してほしい。
  • 二監三監と優先評価化学物質との関係も明確にしていくべき。
  • 二監三監はハザード評価に基づいて決まるが、優先評価化学物質はリスク評価によって決まるので、異なる制度と考えるべき。
  • リスクベースに移行するなら、良分解であってもリスク評価の対象に挙がるのではないか。
  • 優先評価物質リストの作り方は、ばく露の観点から製造量も含めてきちんと考えて欲しい。
  • 「一定数量を超えて」とあるが、この線引きは現行の化審法でも問題視された点であり、今後どう決めていくかは議論が必要。
  • リスク評価の負荷を低減するために、リスク評価の方法について、ある一定のわかりやすいやり方を提示して欲しい。

(3)段階的リスク評価体系における情報収集の在り方

  • 詳細な用途情報の収集は難しいだろう。用途情報収集のためのルール作りが必要。REACHのSVHCの情報伝達の仕組みと整合したものにすべき。
  • SIDSの必須項目を長期毒性の予測に使うのは難しい。そのデータを判断する人材も不足している。
  • 「一定の法的な関与のもと」とあるが、規制よりも企業との協力のもとに情報収集するのが望ましい。情報が提供されなければ安全サイドで評価(リスクが高いと判断)するというふうにすれば、協力のインセンティブは働くだろう。
  • 二次リスク評価以降に有害性調査を指示するとあるが、協力しない事業者に対しては、もっと早い段階で法的拘束力を持った指示を出す制度も考えるべき。
  • 優先評価化学物質という名称は、何の優先なのかよくわからない。REACHでは高懸念物質と言う名称がある。日本でも、短い日本語で市民にも問題ある物質とわかるような名称にすべき。
  • 詳細な用途情報の収集については、詳細な用途がわからない場合の扱い、間違っていた場合の責任などについて丁寧に議論し、明確化する必要がある。
  • ハザード情報の取得について、事業者の協力だけでなく、最終的には指示を行えるようにすべき。
  • 有害性情報報告の制度はこの制度ができる前にわかっていた情報について報告義務はない。既存の知識も出してもらえるように拡充できないか。
  • 化管法と化審法の関係について、それぞれ提出されている事業者のデータを組み合わせて評価することは出来るが、両法では化学物質の定義も違っており、対象物質の整合は実務的に難しい。
  • リスクベースに移行する時に情報不足が問題となる。優先評価化学物質になれば、ハザード情報について自動的に情報が取れるような仕組みが必要。排出係数やばく露情報についても事業者に対し収集するよう指示ができるような形があるとよい。

(4)リスクが高いと評価された化学物質に関するリスク低減措置

  • 高ハザードな化学物質に対しては厳格に規制することに賛成する。
  • これまでの会合で議論されたエッセンシャルユースに対する考え方を明確に書くべき。POPs条約でのエッセンシャルユースの考え方を踏まえたものにするということか。
  • リスクが高い物質だけでなく、リスク管理ができるかという観点が重要。測定ができずリスク管理が出来ない場合もある。エッセンシャルユースとして規制から外れる物質を認める場合でもリスク管理が出来ることが条件。

(5)リスクに関する情報の公開と継続的な評価・管理の実施

  • 化学物質は単体ではなく、混合物で納入されることがある。化学物質を使う立場として、リスク管理をわかりやすく行うためには、上流から来るMSDS情報のレベルアップが必要。国際的にも遜色のないレベルにしてもらいたい。
  • 「有害性が一定以上ある」という表現だと化審法との関係がはっきりせず、事業者ごとの判断となるため不整合が生じるおそれがある。優先評価化学物質についてはMSDSに記載するなど具体的に書くべき。
  • 市民が使っているものに何が入っているかわかるような仕組みを作るべき。そのためには、MSDSそのものではなく、市民にとってわかりやすく簡素化したものが必要。また、GHS制度についてもきちんと取り組んで欲しい。
  • MSDSは、混合物での在り姿での有害性等を示すのが基本。日本で流通しているものは、法規制物質の含有情報まで示しており、化審法を含む各法令に対応しており、他国より進んだものになっている。また、現在二監三監を表示しているのと同様の形で、優先評価化学物質の含有率を表示することについても対応可能である。
  • MSDSは化学品についてのものだが、成形品についてはJAMPで動いている。今はREACH対応だが、日本でも必要であればAISの拡張で対応すべき。MSDSの様式で対応するのは現実的ではない。
  • 成形品の情報を使ったり流したりすることはいいと思うが、それを化審法で担保すべきかどうかは疑問。
  • 埋め立て処分地から、プラスチックの可塑剤が流出するなど、成形品が環境中に出る時に、化学物質を放出している例はたくさんある。この枠組みの中でやるかは別として、消費者が含有化学物質を見て、商品を選べる仕組みが必要。
  • 事業者の中にもMSDSはわかりにくいという声もある。GHSも事業者の途中までで切れており、消費者製品の表示にまで届いていない等課題が多い。

(その他)

  • 化審法の限界を認識しつつ、化学物質の総合管理の在り方のような議論は行わないのか。
  • 化学物質と共存していかなければいけない。優先評価化学物質と聞いて、ブラックリストのような危険なイメージを与えないような教育が必要。
  • いくつも法があって抜け落ちや整合性が足りない部分があるが、基本法をただ作れば改善されるわけではない。個別法では化学物質のベネフィットを認めつつ、有害性も含め評価している。現行の制度で何が欠けているのかを精査した上で基本法の議論をすればよい。
  • まずは現在の化審法のどこが問題なのかをレビューすることが大切。
  • 国際的に整合を取ることは統一を図ることとは違う。目指すべき方向性が合っていればよく、それを達成するための手法(例えば、リスク管理のための手法)は国により異なってもよい。
  • 基本法を作って個別法の穴を埋め、各法の整合性を取ることはしたほうがいい。REACHでノーデータ、ノーマーケットと言っているが、今回の改正により、それに近づく方向にあるので評価したい。
  • 共通にできる部分は基本法で、できない部分は個別法でという仕切りにすべき。アスベストは化審法対象外であるし、ナノ粒子は化審法対象となるかどうか分からない。こういった物質について何らかの対策が必要。
  • ナノ粒子については、まず、何が問題なのかの本質を見極めるべき。化審法で今どうすればいいかを判断するだけの情報がまだ集まっていないのが現状である。
  • ナノ粒子の何が問題かについてはまだよくわかっていない。今の段階では作業環境で一定の注意が必要と言う程度で法律を作るほどではないのではないか。各方面で研究が進められているので、協力して例えば作業現場のNOAELを出すなどの作業をしていくべき。

7.その他

 第2回化審法見直し合同委員会が、8月28日(木)に開催されることが報告された。