中央環境審議会環境保健部会化学物質環境対策小委員会(第6回)、 産業構造審議会化学・バイオ部会化学物質政策基本問題小委員会 化学物質管理制度検討ワーキンググループ(第5回)合同会合(第5回)議事要旨

1.日時

平成19年6月15日 10:00~12:00

2.場所

三田共用会議所 大会議室

3.出席委員

(中央環境審議会環境保健部会化学物質環境対策小委員会委員)
佐藤委員長、上路委員、大塚委員、織委員、亀屋委員(兼)、北野委員(兼)、北村委員(兼)、小出委員(兼)、酒井委員、篠原委員(兼)、城内委員(兼)、白石委員、中杉委員、中地委員、新美委員、丸本委員代理(兼)、吉岡委員
(産業構造審議会化学・バイオ部会化学物質政策基本問題小委員会化学物質管理制度検討ワーキンググループ委員)
中西座長、加藤委員、亀屋委員(兼)、北野委員(兼)、北村委員(兼)、小出委員(兼)、古賀委員、佐藤委員、篠原委員(兼)、城内委員(兼)、城山委員、関澤委員代理、辰巳委員、辻委員、保坂委員、丸本委員代理(兼)、御園生委員

4.議事

  • (1)リスクコミュニケーション及び人材育成に関する課題と今後の方向性について
  • (2)MSDS制度の課題と今後の方向性について
    •   情報伝達の在り方について
    •   国際調和の推進
  • (3)中間取りまとめ骨子(案)について
  • (4)その他

5.議事概要

  1. (1)会議は公開で行われた。
  2. (2)第5回会合は、環境省が事務局取りまとめを、中央環境審議会佐藤座長が議事進行をする旨説明があった。
  3. (3)事務局より、両委員会とも定足数を満たしていることが確認された。
  4. (4)リスクコミュニケーション及び人材育成に関する課題と今後の方向性、MSDS制度の課題と今後の方向性及び中間とりまとめ骨子(案)について審議が行われた。

6.意見の概要

化学物質排出把握管理促進法全般

  • EUにおいても、環境情報の提供及び国民の参加という観点が強くなっている。
  • 化管法見直しの背景として、国際的な整合に触れるべき。

地方公共団体の役割について

  • 化管法の枠外であっても、事故時の対応について、自治体の持っているデータの共有化についての検討が必要。

現在の届出項目の精緻化について

  • PRTR情報をリスクコミュニケーションに使う上で、取扱量のようなものもトータルとしてないと地域住民の理解が促進されない。リスクコミュニケーションを進める上でも取扱量データは必要。
  • リスクコミュニケーションにおいて取扱量データが必要となる場合もあるが、それは、事業者が自主的に対応する話であって、全国一律に取扱量を届出させる必要はない。

<座長の整理>

  • 取扱量については難しい点もあるが、自治体で必要に応じて報告を求めており、現段階では化管法に取扱量の届出は入れないという整理としたい。

現在届出項目になっていない項目の追加について

  • PRTR情報をリスクコミュニケーションに使う上で、取扱量のようなものもトータルとしてないと地域住民の理解が促進されない。リスクコミュニケーションを進める上でも取扱量データは必要。
  • リスクコミュニケーションにおいて取扱量データが必要となる場合もあるが、それは、事業者が自主的に対応する話であって、全国一律に取扱量を届出させる必要はない。

<座長の整理>

  • 取扱量については難しい点もあるが、自治体で必要に応じて報告を求めており、現段階では化管法に取扱量の届出は入れないという整理としたい。

対象物質と対象事業者の要件について

<対象業種について>

  • 建設業は、住民に近い場所で化学物質を使用していることから対象とすべき。

<座長の整理>

  • 現段階では、直ちに対象業種の追加を実施することは困難であり、引き続き検討に必要なデータ収集等を行っていくという整理としたい。

<対象事業者の要件について>

  • 作業の手間のみで対象事業者の要件を検討すべきではない。

<座長の整理>

  • 現行の従業員数21人という要件は外さないという整理としたい。

排出量把握手法及び届出外排出量の推計手法について

<排出量把握手法について>

  • 改めて事業者の算出実態について調査を行い、実態を分析すべき。

化学物質の自主管理に関する課題と今後の方向性について

  • 中小事業者への配慮・支援が必要。化学物質のサプライチェーンには中小事業者も関係しており、中小事業者における取組は重要。

自主的な化学物質管理の在り方について

  • 自主管理では、PDCAが適切に回る必要がある。>
  • 化管法に基づく自主管理は、[1]事業所における暴露への寄与は、地域により異なること、[2]いくつかの地方自治体では既に条例が制定されていること、[3]目標値の提出等を義務づける場合は、直接規制的手法として大気汚染防止法等に位置づけるべきこと、から、現状の位置づけを維持するべき。
  • 自主管理が機能するためには、国民が情報を得て、国民が監視し、そして事業者にインセンティブを与えるという条件が揃う必要がある。現状ではインセンティブが十分でない。

より安全な物質への代替について

  • 物質代替の際は、衛生面の安全という指標だけではなく、環境配慮型化学(グリーン・サステイナブル・ケミストリー)の視点やライフサイクル・アセスメントの立場からの評価等も考慮すべき。また、その結果を、社会に知らせることが必要であり、その仕組みを検討すべき。

リスクコミュニケーション及び人材育成に関する課題と今後の方向性について

  • アンケート結果によると、リスクコミュニケーションを実施する予定はないと回答した事業者が50%程度と非常に多く、企業による住民への対応が不十分。特に中小企業ではリスクコミュニケーションは普及しておらず、業種によっても温度差がある。
  • リスクコミュニケーションが従業員の意識向上に役立ったとの声があるが、これはむしろ従業員の安全教育が不足していることを示している。
  • リスクコミュニケーションには、マスコミの活用も検討すべき。
  • 人材育成については、専門家の分野やそれらの役割分担について、国際的な動向を考慮しつつ、検討する必要がある。
  • 産業界の努力をレビューする場を作ると、リスクコミュニケーションの推進にも役立つ。
  • 地域住民とのコミュニケーションは、環境管理システムの重要な要素でもある。
  • 抽象論ではなく、具体的PRTRデータをどのようにリスクコミュニケーションに活用すべきか、どのような人材が欠けているかなどの議論が必要。
  • より一般の人が参加しやすい仕組みが望まれる。市民の意識のレベルを底上げするような、環境教育的な取組が必要。
  • 化学物質アドバーザーなどの制度に関する周知が不十分。
  • 専門的な人材育成のプログラムは成果を挙げているようだが、人材を活用する側で、どれだけコストをかけて人材を受け入れるのか、政策的にどのように誘導するかについて検討すべき。
  • 事業者と住民、行政と市民等、誰と誰のコミュニケーションなのか、明確に区別して議論する必要がある。
  • 現状のリスクコミュニケーションは一方向的なものが多いが、双方向的なコミュニケーションも重要。
  • リスクコミュニケーションについては、クライシスコミュニケーションではなく、定常的に実施することが重要。
  • 自治体でもリスクコミュニケーションのモデル事業等を行っており、こうした取組にも言及すべき。

MSDS制度の課題と今後の方向性について

  • MSDSの目的は、「化学物質の性状等の適切な情報伝達」と「化学製品の取り扱い情報の提供」の二つあることに留意する必要がある。
  • MSDS記載事項を詳細に規定するのではなく、ガイドライン的なものとすべき。
  • 労働安全衛生法等、他法令との整合を図るべき。
  • MSDS制度の見直しにおいては、中小事業者においても実行可能な仕組みとすべき。

情報伝達のあり方について

  • 労働者保護の観点からも、MSDS記載の充実が必要。
  • 化管法の枠組みとは異なるが、ラベル等に危険有害性情報を付記すべき。

国際調和の推進

  • GHSの観点から、MSDSの交付対象を435物質に限っている規定を外すべき。
  • 化管法で対象物質を指定していることの意義に留意すべき。例えば、第2種指定化学物質は、第1種と同様の有害性を持ち、第1種から代替することが望ましくない物質を示すという意義もある。
  • MSDSのGHS分類への対応については、混乱が生じないよう、その基本的な考え方をまず議論すべきである。
  • MSDSのGHS対応については、便宜的な対応だけでは無理が生じる。我が国でもGHS対応を考えるのであれば、MSDSの考え方も変える必要がある。
  • EUでは高懸念物質についてはEU自らが分類を示しており、すべての物質について事業者自らが分類を行うべきかという点については、いろいろなオプションがある。こうした方式も含めて検討が必要。