中央環境審議会環境保健部会化学物質評価専門委員会(第9回)議事録

1.日時

平成17年7月28日(木) 13:30~15:30

2.場所

ホテルフロラシオン青山 3階クレール

3.出席委員

4.議題

  1. 化学物質の環境リスク初期評価等の結果(第4次とりまとめ)について
  2. 平成16年度化学物質環境実態調査(化学物質エコ調査)の中間報告(速報)の公表について
  3. その他

5.配付資料

資料1 化学物質評価専門委員会委員名簿
資料2 環境リスク初期評価について
資料3 化学物質の環境リスク初期評価ガイドライン(改定案)
資料4 化学物質の環境リスク初期評価等(第4次とりまとめ)の結果の概要(案)
資料5 環境リスク初期評価等結果(案)
資料6 平成16年度化学物質環境実態調査(化学物質エコ調査)の中間報告(速報)の公表について(案)
参考資料1 化学物質の環境リスク初期評価(第1次~第3次とりまとめ)の概要
参考資料2 最近の主な公表資料について

6.議事

午後1時30分開会

○事務局 ただいまから、中央環境審議会環境保健部会第9回化学物質評価専門委員会を開催させていただきます。
 まず最初に、委員の交代がございましたので、紹介させていただきます。このたび、岡田光正先生に当専門委員会の臨時委員として就任いただきました。また、安野正之先生が当専門委員会の専門委員を退任されましたとともに、新しく花里孝幸先生に専門委員として就任いただいております。よろしくお願いいたします。
また、事務局のメンバーが人事異動によりかわっております。環境リスク評価室長の北窓、それから化学物質審査室長の森下が就任いたしておりますので、ごあいさつをさせていただきます。

○北窓室長 環境リスク評価室長の北窓でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○森下室長 化学物質審査室長の森下でございます。前任の榑林はフロン対策推進室に異動いたしまして、その後任で参りました。どうぞよろしくお願いいたします。

○事務局 大前委員、篠原委員、関澤委員の各委員より、本日はご欠席との連絡をいただいております。また、遅れている先生方もいらっしゃいますが、現時点で先生方13名にご出席いただいておりますので、本委員会は成立しております。
 続いて、資料について確認をさせていただきます。1つはダブルクリップでとじてある資料一式がございます。そのほか冊子といたしまして4種類準備させていただいております。クリップを外していただきますと、まず最初に議事次第がございまして、資料1の委員名簿、それから資料2として環境リスク初期評価についてと題されている資料がございます。それから、資料3として化学物質の環境リスク初期評価ガイドライン(改定案)というものをお示ししております。それから、資料4といたしまして、化学物質の環境リスク初期評価等(第4次とりまとめ)の結果の概要(案)というものをお示ししております。それから、1つ番号が飛びますが、資料6といたしまして、平成16年度化学物質環境実態調査の中間報告の公表についてという資料を準備させていただいています。そのあと、参考資料1といたしまして、これまでの3次にわたる環境リスク初期評価の概要資料をつけさせていただいております。それから、参考資料の2といたしまして、最近の主な公表資料についてということで用意させていただいております。冊子といたしまして、資料5といたしまして、今回の環境リスク初期評価結果、それから生態リスク初期評価結果を物質ごとの評価結果の案としてお示ししております。それ以外に、参考といたしまして、PRTRデータを読み解くための市民ガイドブック、それから残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約に基づく国内実施計画という冊子、それから熱中症保健指導マニュアルという冊子を準備させていただいております。
 これらの資料につきまして過不足等がございましたら、お知らせいただければと思います。
 それでは、議事に入らせていただきます。櫻井委員長、よろしくお願いいたします。

○櫻井委員長 それでは、司会進行を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 早速、最初の議題に入ります。化学物質の環境リスク初期評価等、いわゆるグレー本の第4次とりまとめについてです。まず、事務局から資料の説明をお願いいたします。

○事務局 本議題につきまして、事務局から資料2から資料4を用いて、まとめて説明させていただきます。資料5は大部でございますので、説明は省略させていただきますが、第4次とりまとめの対象物質ごとの詳細な評価結果をお示ししております。また、参考資料1として、先ほど申したとおり、これまでの第3次とりまとめまでの概要資料をお示ししておりますので、参考にしていただければと存じます。
 それでは、資料2について、簡単にご説明申し上げます。
 資料2では環境リスク初期評価についての簡単な説明を記載させていただいております。有害性評価と暴露評価の結果を勘案することによってリスクの程度を判定するものをリスク評価と呼んでおりますが、そのうち多数の化学物質の中から相対的に環境リスクが高いと考えられる物質をスクリーニングするための評価として環境リスク初期評価がございます。
 環境リスク初期評価につきましては、健康リスク初期評価と生態リスク初期評価の2つから構成されております。前者につきましては、環境に由来する化学物質の暴露が人の健康に及ぼすリスクについて、スクリーニング的な評価を行うものでございます。後者につきましては、水質からの暴露が生態系に及ぼすリスクについてスクリーニング的な評価を行うものでございます。
 2頁目ですが、第1巻から第3巻で行ったリスク評価の結果概要というものをお示ししております。環境省では、平成9年より化学物質の環境リスク初期評価に着手しておりまして、その結果を3次にわたりとりまとめております。化学物質の環境リスク評価、あるいは表紙がグレーの本なので、グレー本と呼んでおります。
 平成14年に公表いたしました第1巻では、ここに記載されている39物質を対象として評価を行いました。その結果、詳細な評価を行う候補として健康リスクで4物質、生態リスクで3物質を評価いたしました。
 平成15年に公表させていただいた第2巻では、13物質を対象として評価を行いました。詳細な評価を行う候補として、健康リスクでは該当がなし、生態リスクではここに記載させていただいている3物質を評価いたしました。
 さらに、2巻につきましては、生態リスク評価のみを行った物質として、69物質を対象として、そのうち19物質につきましては詳細な評価を行う候補とさせていただいております。
 また、発ガン性評価として、ここに記載させていただいております6物質を対象として、塩化ビニールモノマー、ホルムアルデヒドの2物質を詳細な評価を行う候補として評価いたしました。
 環境リスク初期評価の第3巻につきましては、これは平成16年度に公表したものです。21物質を対象として、詳細な評価を行う候補として、健康リスクの方では2物資、生態リスクの方では4物質を評価いたしました。さらに、生態リスク評価のみを行った物質として32物質を対象としていますが、このうち、詳細な評価を行う候補として、ニトリロ三酢酸という1物質のみを評価しました。また、発ガン性評価として4物質を対象として、詳細な評価を行う候補として1,2-ジクロロエタン、1物質を評価いたしました。
 最後の頁では、これまでの評価結果を一覧にしたものを記載させていただいております。健康リスク初期評価と生態リスク初期評価、それぞれに対して詳細な評価を行う候補が何物質あったのか、あるいは関連情報の収集が必要とされる物質が何物質あったのか、総体的にリスクが低いものが何物質あったのか、あるいはリスク判定ができない、そういった物質が何物質あったのかということについて、第1巻、第2巻、第3巻あるいは第1巻から第3巻までをとりまとめて、どれぐらい物質数があったのかということを示させていただいております。
 例えば、健康リスク初期評価において、詳細な評価を行う候補であり、かつ生態リスク初期評価において詳細な評価を行う候補として上がった物質についてはちょうど左上の部分になろうかと思いますが、第1巻では2物質、第2巻ではゼロ、第3巻では2物質、第1巻から第3巻まで合わせますと4物質あるということが、これを見ればわかるようになっております。
 続きまして資料3につきまして、ご説明申し上げます。
 化学物質の環境リスク初期評価ガイドライン(改定案)でございます。このガイドラインにつきましては、前回第3次とりまとめの際から新たな知見等を追加、充実させたものでございます。分厚い資料5につきましては、このガイドラインに沿って作成をしているところです。このガイドラインでは、人の健康あるいは環境中の生物に対する環境リスクの初期評価を行うための指針として評価作業の手順等を整理しております。暴露評価、健康リスク初期評価、それから生態リスク初期評価の3部から構成されております。今後このガイドラインにつきましては、環境リスクに係る評価手法の国際的動向などを踏まえて、適宜改定を行っていきたいと考えております。
 2頁以降に、暴露評価、それから健康リスク初期評価、生態リスク初期評価、それぞれごとのガイドラインをお示ししております。
 まず、2頁の暴露評価のガイドラインにつきまして、簡単にご説明申し上げます。
 ここでは、1番に評価の方法の概要、それから2番に評価作業の具体的手順ということでお示ししております。
1番の概要につきましては、環境中における化学物質濃度の実測データをもとに、健康リスクあるいは生態リスクの初期評価において必要となる暴露量の評価を行うものとしております。
 (1)の暴露量の評価では、一般的な国民が受ける暴露量を問題として、人が日常的に生活を送る場における化学物質の環境からの暴露を中心に評価する、安全側に立った評価の観点から、大部分がカバーされる高濃度側のデータによって人の暴露量の評価を行う。それから、人に対する化学物質の暴露の総量を把握する観点から、食事などについても評価対象とすることとしております。
 (2)では生態リスクの初期評価のための予測環境中濃度の評価について記載しております。生態リスク初期評価においては、水生生物の生存あるいは生育を確保する観点から、水生生物の生息が可能な環境を保持すべき公共水域における暴露について評価する。その発生源近傍の測定データについては、周辺の水環境の状況を踏まえて評価を行うということとしております。
 2番の評価作業の具体的手順でございますが、まず(1)として、物質の基本的情報を収集・整理するということをお示ししております。[1]で、まず掲載すべき項目としてアからオまでお示ししております。アにおいては分子式・分子量・構造式を示す。それから物理化学的性状、それから、環境運命に関する基礎的事項、それから製造輸入量及び用途、環境施策上の位置付けをそれぞれ記載する。この環境施策上の位置付けにつきましては、環境基準のほか、有害大気汚染物質の優先取組物質、あるいは有害大気汚染物質に該当する疑いのある物質など、環境施策上の位置付けについて明示をするということにしております。
 それから、[2]の参照する情報源と知見の採用方法として、アからウまでお示ししております。アについてはハンドブックなどの書籍について情報を参照する。その中で、A物理化学的性状及び環境運命、あるいはBの製造輸入量及び用途に掲げられている各項目につきまして、ハンドブック等の情報を参照していくこととしております。
 それから、(イ)につきましては、物性値等については可能な限りこれらに記載されている原著論文等を入手する。信頼性の確認を行った上で、最も信頼できると考えるものを採用することとしております。
 次に、イでは、モデル計算による推定値を検討するということとしております。物性の実測値が得られない場合は、モデル計算により推定した値を検討する。そのモデルとして、例として2つばかり記載させていただいております。
 続きまして、ウのデータベースを参照するということですが、物性値等については、データベースを参照し、可能な限り記載されている原著論文等を入手して信頼性を確認するということとしております。
 続きまして、(2)の化学物質の排出量の把握ということについてですが、[1]では、化管法の第一種指定化学物質については、直近のPRTRデータにより排出量及び移動量を把握することとしております。
 また、[2]では届出外排出量については「PRTR届出外排出量の推計方法等の詳細」を参照して、媒体別に配分した上で、対象物質の環境中への推定排出量を媒体別に求めることとしております。
 それから、(3)の媒体別分配割合の予測では、[1]から[3]まで記載しております。[1]では(1)で収集・整理した物性情報をパラメータとして、モデルを用いて媒体別の分配を予測するとしております。また[2]として、化管法の第一種指定化学物質については、(2)で整理した物質の環境中への排出量を用いて媒体別分配割合の予測を行うこととしております。
 また、[3]では、PRTRデータが得られない場合を記載をしております。
 続きまして、(4)では、環境実測データ等の収集と信頼性の確認ということを記載しております。[1]では、行政機関による実測調査データの収集、(ア)としてデータソースとして環境省の各調査のデータを収集することとしております。
 また(イ)としまして、厚生労働省の水道統計、あるいは国土交通省における実態調査結果、あるいは地方公共団体の独自調査データ等を収集するとしております。
 データの収集条件といたしましては、過去10年以内の調査データを収集する。経年的に調査が行われている場合は直近3年間のデータを採用するとしております。
 [2]では、既存知見の収集として、データソースとしてオンライン情報システムを用いるとか、インターネット検索をする。それから、イとしてデータの収集条件としては、過去10年以内に公表された国内文献を優先的に収集することとしております。
 [3]の信頼性の確認につきましては、得られた実測データについては、測定方法、分析方法等を精査し、その信頼性の確認を行うということとしております。
 (5)の各環境媒体中の存在状況の整理では、媒体別の濃度情報を整理して、濃度調査表を作成する。それをもとに媒体中の存在状況を一覧表にまとめる。その環境中濃度、最小値、最大値、平均値等ありますが、以下により設定するということで、[1]については平均値の採用、例えば1年間に複数回の測定が行われている場合には各地点ごとに求めた年間平均値を求めこれを評価に用いるかどうかについて記載しております。
 [2]では、最小値を算定するという場合において、すべての検体で検出データが得られているときはその最も小さい値を最小値とするとさせていただいています。
 [3]では、最大値の場合も同様の記載をしております。
 [4]の算術平均値、幾何平均値につきましても、すべての検体でデータがあるときにはそれらのデータから算出された値から算術平均あるいは幾何平均値を求めるというようなことを記載しております。
 [5]では、濃度の記載の方法として、収集できる実測データが限られ、暴露情報に不確実性が伴うということを考慮して、ここに記載している表現により濃度を記載することとしております。
 (6)では、食物データの実測に関する検討ということを記載しております。[1]でございますが、文献調査等から対象物質の食物中の濃度に関する情報が得られなかった場合は、環境中の化学物質が食物中に蓄積される可能性、あるいは化学物質の製造輸入量、排出量等を考慮して、測定の必要性を検討するということとしております。
 また、[2]の判断後の対応については、濃度測定が必要と判断した場合、あるいは不要と判断した場合、それぞれの対応を記載しております。
 (7)の暴露の推定でございますが、[1]では人に対する暴露の推定、一日暴露量の推定を行う。アでは各媒体中濃度の設定をしますが、実測値をもとに設定するという記載をさせていただいております。
 また、イの一日暴露量の算出につきましては、(ア)の一日暴露量の算出媒体は大気、飲料水または地下水、土壌、食事の中から、(イ)にあるような算出式により算出することとしております。
 [2]の水生生物に対する暴露の推定としては、実測値をもとに設定するということを記載しております。
 最後の(8)参考ですが、環境中濃度の記載方法の例示、あるいは[2]では、環境実測データに適用する不確実係数について記載しております。
 それでは、引き続きまして健康リスク初期評価について、ご説明申し上げます。
 まず、基本的な考え方につきまして、健康リスク初期評価は、健康リスク管理に向けた詳細なリスク評価を行う候補物質の抽出を目的として行うスクリーニング的なものでございます。特に、環境政策上、対応を要する可能性のある物質につきましては的確に抽出する必要があるということから、安全サイドの評価を行うこととしております。これまで第1次とりまとめにおきましては、非発がん影響に関するに評価の考え方をとりまとめ、第2次のとりまとめでは、これに加えて発がん性の評価のための手順書を作成して、試行的に評価を行いました。昨年公表した第3次とりまとめにおきましては、対象物質の拡大や評価手法の改善を図るとともに、発がん性の評価を健康リスク初期評価の一環として試行的に実施したところでございます。
 昨年の本専門委員会にて評価方法の一部変更等についてご議論をいただいたところですが、今回それらの事項を織り込むとともに、発がん性を含む健康リスク初期評価を一体のものとして総合的に評価を進めるためにそれらを一つのガイドラインとしてとりまとめさせていただいたところでございます。それが今回、本日お出しする資料3-2、健康リスク初期評価の部分でございます。
 そのガイドラインについて、簡単にご説明申し上げます。
 まず1ですが、評価方法の概要を記載させていただいております。健康リスク初期評価では、国際的にも信頼できる主要な評価文書等を有効に活用して実施することとされてます。また、化学物質の有害性として、一般毒性及び生殖・発生毒性等の非発がん影響並びに発がん性(良性腫瘍の情報も含む)を対象として、その有害性に閾値があると考える場合と、閾値がないと考えられる場合の両方について、それぞれ初期評価に用いる指標を設定することとされております。
 次に、閾値があると考えられるものにつきましては、NOAEL、あるいはLOAEL、あるいはNOEL、LOELの情報のうち、信頼性のある最小値から評価に用いる指標として「無毒性量等」を設定して、これを暴露評価の結果から得られた「予測最大暴露量」あるいは「予測最大暴露濃度」で除してMOE、Margin of Exposureというものを算出する。そして、閾値がないと考えられるものにつきましては、「予測最大暴露量」あるいは「予測最大暴露濃度」に相当するがんの過剰発生率等を算出する。これらにより求めた結果を総合的に検討して、今後環境に由来する化学物質の健康リスクについて、詳細な評価を行う候補等を選定する。これが基本的な評価方法の概要でございます。
 この評価を行う上での留意点というのを次に記載しております。簡単に申し上げますと、定量的な発がんリスク評価については、スクリーニングという、本評価の目的を踏まえ、幅広く情報収集を行った上で評価を行うこととする。あるいは、(2)に記載しておりますが、ヒトでの発がん性が不確実な物質については、遺伝子傷害性等の情報を十分に検討した上で、定量的な発がんリスク評価の必要性を判断するが、得られた結果については不確実性の大きなものであることに留意する、このようことを留意点として記載させていただいております。
 有害性等の情報の収集・整理については、既存の評価文書等がある場合には、それらを有効に活用して、文献調査を省力化、作業のスピード化、効率化を図るとともに、それらの策定以降の文献については、データベースの検索等を実施して情報収集を図ることとしております。
 使用する評価文書等につきましては、ここに幾つか記載しておりますが、EHC、環境保健クライテリア、あるいはIARC、国際がん研究機関の評価等々を用いることと、これらを有効に活用することとされております。
 (2)では評価文書等の引用文献以外の文献ということですが、検索対象データベース、MEDLINE、TOXLINEを用いること、あるいは検索キーワードの検討についても中・長期毒性であれば化学物質名、あるいは亜急性毒性、慢性毒性、免疫毒性、神経毒性といったキーワードを入れるということになっております。
 発生・生殖毒性につきましても、同じく化学物質名、あるいは発生毒性、生殖毒性、催奇形性、あるいは繁殖といったキーワードを入れることとされております。
 また、発がん性につきましても、化学物質名に加えまして、発がん性、がん原性、催腫瘍性、変異原性、遺伝毒性といったものの言葉を入れることになっております。
 文献の検索は、1985年以降の学術雑誌と基本的に示させていただいております。
 また、評価対象物質の情報収集項目として、物性情報あるいは有害性情報といった情報を収集することしております。
 これらの収集した情報の整理の仕方につきましても、次の項目に沿って別添の形でとりまとめるというふうに示させていただいております。[1]、体内動態・代謝、あるいは[2]、一般毒性及び生殖・発生毒性、その中には、急性あるいは中・長期毒性、あるいは生殖発生毒性、あるいはヒトへの影響ということと記載することとしております。
 発がん性については、最初に主要な機関による発がんの可能性の分類を記載し、その後に発がん性の知見として、遺伝子傷害性に関する知見、あるいは実験動物に関する発がん性の知見、あるいはヒトに関する発がん性の知見を記載するようにガイドラインとして示させていただいております。
 また、有害性情報を整理する上での留意点として、以下に3つほど示させていただいております。
 [1]については、非発がん影響におけるNOAEL等の取り扱いですが、同じ実験結果であっても、評価機関によってNOAEL等の評価が異なる場合が少なくない。そういった場合、元論文の表記を踏まえ、専門家による評価を行って、それでNOAEL等の値を決定することとしております。NOAELとNOEL、LOAELとLOELについても同様の扱いとされております。
 閾値があると考えられる発がん性の取り扱いについては、評価文書等で具体的に閾値が示されている場合に、その値をNOAELとして採用する。あるいは発がん性に閾値があると考えられるものの閾値が示されていない場合には、その旨を記載するということになっております。
 また、[3]といたしまして、暴露状況によるNOAEL等の補正ということで、基本的に1日24時間、1週7日間に平均化した値に補正する。あるいは動物実験で6日、経口の試験の場合には1週7日間に平均化した値に補正する。あるいは、ヒトの場合には安全を見込んで、原則として掛ける5分の1を採用する、このような基本的な考え方を示させていただいております。
 健康リスクの初期評価につきましては、化学物質の有害性に閾値があると考えられる場合と、閾値がないと考えられる場合に分けて、初期評価のための指標を設定して実施することとしております。
 [1]については、有害性に閾値がある場合というのは、一般毒性及び生殖発生毒性等の非発がん影響、発がん性に閾値があると考えられる場合が該当します。これらにつきまして、評価に用いる手法として無毒性量等を下記の手順で設定するということで、手順が下に記載しております。
 まず最初に、アについては、無毒性量等の設定のためのNOAEL等の評価で、暴露状況による補正を行い、経口あるいは吸入暴露について、信頼性のある最も低用量あるいは低濃度での知見を採用することとさせていただいております。
 次に、無毒性量等の設定については、LOAELあるいはLOELの知見を採用した場合と、長期間暴露以外の知見を採用した場合には補正を行って、無毒性量等とするとされております。
 非発がん性影響においてLOAELを採用した場合にはNOAELに変換するということで、安全サイドに立ってLOAELを10で除すということにしております。また、一般毒性において長期間にわたる暴露以外の知見を採用した場合には、原則としてその値を10で除して、長期間暴露に相当する値として取り扱う、このようにさせていただいております。
 [2]といたしまして、有害性に閾値がない場合、まず量-反応関係の設定ということで、経口暴露についてはスロープファクターを、吸入暴露についてはユニットリスクを初期評価に用いる指標としてそれぞれ設定をする。なお、複数のスロープファクターやユニットリスクの情報が得られた場合には、初期評価であるということを踏まえて、安全サイドに立った値を採用するということとなっております。
 また、イのその他の量-反応関係でございますが、カナダの厚生省で開発されたExposure/Potency Indexを用いる手法というのがございます。この手法に関する情報が得られた場合には、参考として有効に活用するとさせていただいております。また、複数の情報が得られた場合には、初期評価であることを踏まえて安全サイドに立った値を採用する、このような考え方を示させていただいております。
 次の14頁ですが、ヒトの暴露量及び暴露濃度については、基本的に予測最大暴露量、あるいは予測最大暴露濃度を利用するということとしております。また、経口暴露につきましては、飲料水と食物及び土壌からの暴露量の合計と、井戸水と食物及び土壌からの暴露量の合計をそれぞれ利用する。ここはわかりにくいところですが、17頁の表3.4の上の方を見ていただくと、経口というところで、今の表現の部分、飲料水、食物、土壌、下の方に経口で地下水、食物、土壌と、別々にこのように表記させていただいております。これをここで書かせていただいております。
 14頁に戻りますが、淡水データしか利用できない場合には、淡水のデータを利用するということとさせていただいております。
 また、吸入暴露については、一般環境大気及び室内大気のそれぞれ、それぞれというのはそれぞれ別に項を設けて記載するということです。
 また、限られた地域のデータしか得られなかった場合には、参考として利用するということになっております。
 (3)の健康リスクの初期評価結果につきまして、まず、リスク指標の算出を行います。有害性に閾値があると考えられる場合、無毒性量等を予測最大暴露量、あるいは予測最大暴露濃度で除しまして、これはMargin of Exposure、MOEと定義させていただいておりますが、これを求めて、これによる評価を行います。ここで、10未満になれば詳細な評価を行う候補、10以上、100未満であれば情報収集に努める必要がある、100以上であれば現時点では作業は必要ないと考えられる。あるいは算出不能である場合には、現時点ではリスクの判定はできない、このような考え方に従って各物質ごとに判定をさせていただいております。
 有害性に閾値がないと考えられる場合には、過剰発生率による評価を行います。スロープファクターあるいはユニットリスクから過剰発生率を求めて、過剰発生率によって判定をいたします。
 例えば、10-5以上であれば、この場合には詳細な評価を行う候補と考えられるという判定で、10-6以上、10-5未満であれば情報収集に努める必要があると考えられます。10-6未満であれば現時点では作業は必要ないと考えられます。算出不能である場合には現時点ではリスクの判定はできないと示させていただいております。あと、カナダのEPIによる評価も示させていただいております。
 最後に、5番ですが、評価に用いた指標の利用上の注意をご説明申し上げます。基準値を設定する際や、化学物質間の相対的な毒性濃度を比較するような場合には、評価に用いた指標を単純に使用するのではなく、さらなる詳細な検討を行うことが必要とされるということを、注意事項として記載させていただいております。
 次の16頁、17頁は、今、述べたことを別添として示させていただいております。
 最後、18頁ですが、今、ご説明申し上げたことをフローチャート図に落し込んでみました。フローチャート図の右上の方に参考1と記載がありますが、暴露による状況による補正の考え方を示させていただいております。また、参考2につきましても、MOEを求めるための係数の考え方についても示させていただいております。これを具体的に文章として落し込んだものがガイドラインということでございます。
 では、続きまして、19頁、生態リスク初期評価のガイドラインにつきまして、ご説明申し上げます。
 ここでも1番の評価の方法の概要、それから2番の評価作業の具体的手順ということから構成されております。
まず、概要でございますが、(1)では、生態リスクの初期評価はOECDの評価方法に準じて化学物質の水生生物に対するスクリーニング的なリスク評価を行う。既存のデータベース、評価文書等から得られる知見を活用して、効率的に実施するということを記載しています。
(2)では、化学物質の水生生物に対する生態毒性に関する知見に基づいて予測無影響濃度、PNECを導く。原則として、生態毒性に関する試験等を通じて得られた実測値を用いることとしています。
また、(3)では、暴露評価の結果求められた予測環境中濃度、PECと、(2)より出されたPNECとの比較を行う。実際には、この両者の数字の比を算出します。その数字をもって詳細な評価を行う候補物質等を選定することとしております。
2番の評価作業の具体的手順ですが、まず(1)として、生態毒性に関する知見の整理をすることとしています。[1]の対象とする試験生物種につきましては、当面はOECDのSIDSが要求する生物種を考慮して、藻類、甲殻類、魚類、その他の4生物群とします。それから、対象とする生物の生息域についても記載しています。
また、[2]の化学物質の生態毒性に関する知見の収集・整理ということで、まずアとして、生態毒性に関する知見の収集として、(ア)になりますが、環境省の生態影響試験結果などの情報源を参照して、評価対象物質の生態毒性に関する知見を抽出することとしています。
また、(イ)の確認すべき情報といたしましては、対象生物、試験内容、試験条件、毒性値などを確認することとしています。
続いて、イの知見の整理でございますが、(ア)では、4生物群に分けて一覧表を作成するとしています。また、(イ)では、毒性データシートを作成するとしています。その毒性データシートにつきましては、ここに記載している被験物質、試験の概要、供試生物などの項目を盛り込むということにしています。
続いてウの試験方法及びデータの信頼性の検討につきましては、まず(ア)では、試験方法の確認における留意事項として、実測あるいは設定濃度、対象群の反応、試験生物の感受性、水質、濃度を考慮するなどということを記載しております。
次の頁では、毒性値の信頼性等の検討として、試験条件、試験生物等について毒性値の信頼性を3段階に分類します。信頼できる、あるいはある程度信頼できると判断された知見について、その生態リスク初期評価における採用の適否を判定することとしています。
次のエの生態毒性データのとりまとめにおける留意事項の(ア)では、複数データの取り扱い、(イ)では、最小影響濃度のみが得られている場合の無影響濃度の算出方法、(ウ)では、藻類に対する急性毒性と慢性毒性の取り扱い、(エ)では、藻類のエンドポイント、(オ)では、藻類毒性試験での不安定な物質等の取り扱い、それから(カ)では、水溶解度を超える毒性値の取り扱い等について記載しているところでございます。
22頁に移りますが、(2)では、予測無影響濃度、PNECの設定について記載しております。まず、[1]については、表1に記載しておりますアセスメント係数です。これはOECDにおける検討を参考として設定したものですが、この係数で除することとしております。この係数は、藻類、甲殻類、魚類の中から、1から2の生物群、あるいは3つの生物群すべてについて、信頼性があるかどうか、それが急性毒性、慢性毒性、それぞれについて設定しております。
[2]の予測無影響濃度、PNECの導出については、アの導出の方法では、急性毒性値及び慢性毒性値のそれぞれについて、信頼できる知見のうち生物群ごとに値の最も低いものを整理します。その他の生物以外の最も低い値に対して情報量に応じたアセスメント係数を適用することにより求めることとしています。これらにより得られた2つのPNECのうち低い方の値を採用することとしています。イでは、慢性データの入手が可能な場合のPNEC値の算出例として、先ほどの表1に示したアセスメント係数に基づいた設定の例を記載しているところです。
続いて、23頁になりますが、(3)では生態リスクの判定を記載しております。[1]の判定の考え方として、まずアでは、生態リスクの判定は安全側の評価を行う観点から、高濃度側の実測値に基づき設定されたPECとPNECとの比較により行う。イでは、ここの表にあるように判定を行うこととしています。PECとPNECの比が0.1から1の中か外かというところで評価を分けております。すなわち、0.1より小さい場合は現時点では作業は必要ない。逆に、1以上の場合は詳細な評価を行う候補と考えられる。その間にある場合は、情報収集に努める必要があるということとしております。また、情報が不十分な場合は、現時点ではリスクの判定はできないという判定とさせていただいております。
[2]の判定を踏まえた提言等につきましては、評価の結果「判定不能」とされた物質について、水生生物に対する有害性が高いこと、あるいは生産量が多いこと、開放系用途に用いられていることなどを総合的に勘案して、水生生物に対するリスクが高くなる可能性が見込まれる場合には、暴露情報を充実させて再度初期評価を行うことを提言することとしております。
その評価の視点として、アからエにあるような、水生生物に対する有害性、生産量、開放系用途、水環境中への分配等の視点から評価を行うこととしております。
最後、24頁ですが、これまで説明した内容について、資料5の生態リスク評価の部分の構成となっております。この様式に沿って記載しているところでございます。
資料3は以上でございます。引き続いて資料4について、ご説明申し上げます。
化学物質の環境リスク初期評価(第4次とりまとめ)の結果の概要でございます。1番の趣旨・目的につきましては、化学物質の中には、人の健康及び生態系に対する有害性を持つものが多数存在しており、好ましくない影響を与えるおそれがある。こうした影響を未然に防止するためには、環境リスクについて定量的な評価を行い、その結果に基づき適切な環境リスクの低減対策を進めていく必要があるということを記載しています。
これまで環境省におきましては、3次にわたり初期評価の結果をとりまとめているところで、このたび第4次とりまとめをさせていただきたいと考えております。
続いて、2番の環境リスク初期評価の内容でございますが、(1)の環境リスク初期評価の概要につきましては、先ほど資料2でも同様の説明を申し上げておりますので、省略させていただきます。
(2)の評価対象物質については、未だリスクの評価及びこれに基づくリスク管理がなされていない物質の中から、優先度が高いと考えられる化学物質を評価対象物質としております。具体的にはPRTR対象物質、あるいは化審法の指定化学物質、それから内分泌攪乱作用の疑われる物質等から選定しているところでございます。
今回の評価を実施した数につきましては、環境リスク初期評価として20物質、それから環境リスク初期評価以外に実施した生態リスク初期評価として9物質です。
続いて2頁では、(4)として評価の方法を記載しております。今回は第3次とりまとめに至る過程で充実させた事項を、先ほど説明したガイドラインに反映させて、これに基づいて評価を行っております。今回の初期評価の実施に当たり、ここに記載している点を充実させて記載しております。具体的には、評価対象物質の基本的情報である物理化学的性状等をより体系的に収集整理する。あるいは暴露評価においては最新のPRTRデータを活用する。あるいは、生態リスク初期評価においては、知見の信頼性確認をより詳細に行って、その成果を評価文に反映させた。それから、情報の不足等により現時点ではリスクの判定ができなかった物質については、さらに必要な情報収集等について検討を行ったところであります。
続いて(5)の留意事項です。この初期評価につきましてはあくまでも詳細な評価を行う候補物質を抽出するものであって、今回の結果が出たからといって直ちに環境リスクの低減対策が必要であると判断すべきものではないということを記載しております。
3番では、今回の初期評価等の結果をお示ししております。
(1)の表が今回の結果でございます。表の中でAからDまでランクづけをしております。すなわち、Aというのが詳細な評価を行う候補、それから、Bが関連情報の収集が必要、それからCが更なる作業を必要としない。Dとして、リスクの判定ができないというような4段階で、健康リスク、生態リスク、それぞれの観点から評価を行っております。健康リスクにつきましては、Aとして、1-ブタノールの1物質が、それからBとして、ニトリロ三酢酸の1物質がそれぞれ選定されております。また、生態リスクとしては、Aとして、ニトリロ三酢酸、それからBとしてリン酸トリクレジルが選定されております。
続いて3頁ですが、環境リスク初期評価以外に実施した生態リスク初期評価の結果をお示ししております。PRTR対象物質のうち強い生態毒性が示唆されるなど、生態リスク評価の必要性が高いと考えられる9物質を選定して行いました。ただ、そのうち7物質につきましては、判定ができなかったため、今回2物質が判定結果として出されております。ここでもABCというランクづけをさせていただいております。Cとして、アクリル酸エチル、酢酸2-エトキシニルの2物質が選定されております。
4番では、今後の対応を記載しております。まず(1)の評価結果の情報提供についてです。今回の結果につきましては、物質ごとの評価文書の概要を要約したプロファイルを作成いたします。また、グレー本の第4巻としてとりまとめるとともに、インターネットなどを使って成果を広く公表していくこととしております。
また(2)の詳細評価等の実施につきまして、今回詳細な評価を行う候補とされた物質についての対応について記載しております。
[1]の健康リスク初期評価の関係では、1-ブタノールが該当いたします。これは室内空気の吸入暴露によるリスクが高い可能性があるため、結果を関係機関に連絡して、対応を見守ることとしております。また、[2]の生態リスク初期評価の方では、ニトリロ三酢酸が該当いたします。生態毒性・発生源等に関する知見を充実させつつ、生態リスクの詳細な評価を優先的に進めることを検討していきます。具体的には、この結果を水生生物の保全に係る水質環境基準の追加設定に向けた検討において反映させていくこととしております。
また、(3)の情報の収集といたしまして、今回の判定の結果、情報の収集が必要なB、あるいはリスクの判定ができなかったDの物質については、関連情報を収集の上、その情報に応じて今後必要な作業を行うこととしております。
(4)の環境リスク評価の計画的な実施と幅広い活用につきまして、[1]においては環境リスク管理に関連する施策及び調査との緊密な連携を図りつつ、環境リスク初期評価を計画的に実施していくこととしております。
[2]では、今回の評価の過程で収集整理された幅広い科学的知見については、PRTR対象物質の中から化学物質管理に優先的に取組む必要がある物質の選定、あるいは既存の化学物質点検作業などのさまざまな場面で活用を図っていくということとしております。
また、4頁の今後の課題といたしましては2点ございます。[1]といたしましては、初期評価が必要となる物性情報の集積を進める。PRTRデータの活用による暴露評価の高度化を図るとしております。また、[2]として、OECD等における試験法あるいは評価手法に関する検討状況を把握して、新たな知見を初期評価に速やかに反映させることを記載しております。
続きまして、5頁以降は、健康リスク評価あるいは生態リスク評価の物質ごとの概略について表の形式でまとめております。5頁は、健康リスクの結果です。先ほどAとした1-ブタノール、14番に該当いたしますが、この物質の例でご説明申し上げます。健康リスクは、経口、吸入、いずれの観点からの評価を実施しております。その中で、吸入の暴露評価として、室内空気の評価を行ったところ、MOEが3.7という数字が出ております。ここの数字が10未満の場合はAとして詳細な評価を行う候補とすることとなっておりまして、その結果として、この1-ブタノールが選定されております。
また、次の6頁の生態リスクについては、9番のニトリロ三酢酸がAとして判定されております。PECとPNECの比について40という数字が出ております。これは1以上の数字が出た場合にAということとなっております。
最後の頁、7頁になりますが、環境リスク初期評価以外に行った生態リスク初期評価の9物質についてです。3番以降は、残念ながら今回判定はできませんでしたが、1番と2番の物質については、判定を行った結果、いずれも現時点では作業の必要がないという結果を得ております。
長くなりましたが、説明は以上でございます。

○櫻井委員長 詳細な説明がありました。では、ただいまの説明内容、それから資料等に関して、ご質問、ご意見がございましたらどうぞ。

○花里委員 資料3についてですが、生態リスク評価に関してのPECの推定です。環境予測濃度を出すに当たっては実測値を重視していると思いますが、多くの地方公共団体で定期的に測っているものを使っていると思います。ただ、その場合、大体天気の良いときにやっています。実際の化学物質というのは、例えば雨が降ったりすると一時的に高くなったりすると思います。そう言ったところをきちんと評価するというのは極めて困難であるということは承知しているんですけれども、ここで、PECを考える上で、そういう一時的な降雨などの後に濃度が高くなる可能性があるということについて、考えられているか教えていただければありがたいと思います。

○中杉委員 これは健康リスクの方もそうなんですけれども、得られているデータからやろうということで、通常の濃度のところをやっています。農薬についてはそこら辺が問題なところで、天気のときはもっと上がってくる可能性がある。また、時期的な問題もあります。今回、一応測っているデータ、得られているデータを用いて、改めて調査をやるということはしていません。もし必要であれば、モデル的なことも少し考えようとしましたが、実際にやるというのがなかなか難しくて、平均的なことしかしておりません。
 ちょっと話をそらしてしまいますけれども、人の健康の方でも、有害大気汚染物質調査の結果等を使ってやっています。そこで暴露が非常に高い、例えば工場のすぐ近くの人はどうなんだということは、とりあえず考慮せずに評価をしております。そういう意味では、通常の測定の結果のところで一応評価をしている。そういうふうな整理をしてやっているということであります。

○森田委員 全体を見させていただいて、また、ご説明を伺って、やろうとされていることは非常によくわかるんですが、ただ、現実にこういう評価結果として表になって出てくるものを見ると、全体のアプローチそのものがテクニカルな意味で弱いのかなという感じをちょっと持ちます。
 このアプローチには、まずNOAELを求めるのが一つ、もう一つは、最大エクスポージャーレベルを求めるという、この2つの計算作業があって、その上で何か比率を計算していると思います。それは基本的なアプローチでいいと思うんですが、実は両方のサイドに弱点を抱えたまま走っている。リスク初期評価だからそれでいいんだという議論も多分あると思いますけれども、それでも、弱さが目立つのは、無毒性量の一覧表です。これは5頁に当たりますが、健康リスク初期評価結果一覧というのが、20物質についてありまして、そこに無毒性量等として、体重当たり、ないしは大気中濃度当たりで書かれている一覧表があるんですが、これは、批判に耐え得るかどうかという点で、つらいかなという感じがします。
 何を言っているかというと、それぞれの物質について、いろいろな国が、あるいは国際機関がある種の毒性評価というものをしていて、そう言った世界中ででき上がってきた、無毒性量の評価みたいなものと、これとが、ちょっとずれているんじゃないかなという印象を受けます。
 それはこういった一覧表になった瞬間にすごく目立ってくるんだと思うんですが、幾つか例を申し上げますと、例えば一番下の方に、リン酸トリクレジルとリン酸トリフェニルと呼ばれる、一連のリン酸系の可塑剤みたいなものが並んでいます。その中で、リン酸トリクレジルとリン酸トリフェニルというのは、基本的には毒性はそう大きく違わないと思われますが、それが経口毒性のところで40倍の差が出てくる。それをもとに計算した評価というのが大丈夫なのだろうか。あるいは、この種のかなり大量に生産されているものについては、いろいろなレビューペーパーも既にあります。そういったものと果たしてこの数字というのは両立して世の中に出して大丈夫かという疑問がわくということが一つです。
 それは一連の物質についても全部言えるということになります。特に、例えば厚生労働省が労働安全衛生に関係していろいろ考察されて出てきた数字みたいなものと、これは果たして両立し得るような形でなっているんだろうかというところも疑問で、この作業をもう少し精密にしていただく必要があるかなというのが、私の印象であります。

○櫻井委員長 ご指摘の点について何か追加のご発言はございますでしょうか。

○内山委員 今、ご指摘の点ですが、リスク初期評価ということで、得られたデータの中で信頼性のあるものの中の一番小さいものを使うということを原則としておりますので、それが各国の基準に使われているNOAELとは違うこともあるかもしれません。ただし、これは初期評価ですので、そこは余り考えずに、一番安全側に立って考えようということになっております。その結果出てきたものが「詳細な評価を行う候補」であれば、詳細リスク評価をまた行っていただくという意味でとっていただければというふうに思います。それほど外れてはいないと思いますし、むちゃな値をとっていたり、信頼性のないものをとっているとは思われません。基準に使ったものとそれほど外れたものはとっていないと思います。ただし、この初期評価における約束事で、例えば動物ですと機械的に10分の1をしてしまったり、LOAELは必ず10分の1をしてしまったりで、実際に多分総合的な評価をするときには、そこら辺をもう少し考えたり、あるいはLOAELからNOAELのところで、不確実係数を10ではないこともあると思います。つまり、機械的にやっている部分についてはくるってくることもあるかと思いますが、元データはそれほど信頼性がないとは思っておりません。

○若林委員 多少関連した意見というか、コメントになるんですけれども、詳細評価をする候補を出すという初期評価をやっていますので、生態影響についてもかなり粗っぽいというか、最小値をとった安全側ということになっています。初期評価が始まって時間がたって、データがたまってきていますので、それでは、詳細評価というのは、どういう手法でどうやってやるのか。また、管理にどう結びつけるかというところをもう一度整理する必要があるかなという気がいたします。
 それから、私が関係している国際機関でも、こういう有害性評価みたいなものをやっていまして、データがかなりたまった段階で今度は骨格ごとに整理し直して、それで同じような構造で非常に違う評価をしていないかというようなこともやっておりますので、データがたまった段階ではそういう見直しも必要かなと思います。

○池田委員 こういう作業はやる方は大変で、コメントをつける方はコメントをつけやすいという弊害はよく承知しているんですが、森田先生が先ほどおっしゃいましたように、大体の通り相場みたいな評価と、ここで一覧表に出てきたものとが著しく外れていないかというチェックは要るんじゃないでしょうか。自分自身が大丈夫かなというふうに思うのは、例えば5頁の15番で、2-ブロモプロパンというのがあります。これは、ご存じのように韓国でかなり見事なというか、ヒトでのリプロダクティブ特質性が立証されて、我が国では全く使わなくなりましたし、韓国では、たしか許容濃度が1ppmになったんだと思うんです。この評価でずっと右側を見ていきますと、×印は評価できない。だから、これは作業ができなかったという意味だと思います。○印は必要でないということになります。そうすると、通り相場とかなり乖離しかけているのではないか。必要がないというのは乖離していると思います。×印は非常に評価が難しいという意味、あるいはデータが十分にないという意味で、開示しているかどうかはわからないですけれども、何かそういう照合の作業が一つあった方がいいのではないか。
 もう一つは、細かなことで、全く文章の整理だけのことで恐縮ですが、資料3だったと思います。評価文書等という部分があって、資料3の10頁です。Environmental Health Criteria、これは文書ですが、IARCというのは組織の名前であって、多分IARCモノグラフをごらんになったのではないか。全く同じように、ACGIHというのが下から3つ目にありますが、これも組織の名前であって、かつACGIHは、恐らく、許容量、許容濃度周辺の文書としては3つ出していて、気中濃度に対するTLBドキュメントというのと、それから、生体試料を対象にしたBIドキュメントというのと、フィジカル・エージェントに対するドキュメント、いろいろな文書がありますから、せっかくここまで精緻な作業をされたのだったら、文書と組織の名前を書き分けておいた方が、きちんと隅々まで目が通っているかというチェックの一番簡単なチェックポイントになりますから、仕事をしておかれた方がいいと思いました。

○櫻井委員長 ただいま資料4の表の内容についてご指摘があったのですが、これを例えば2-ブロモプロパンについては、結論を保留した方がいいとお考えですか。これは当面報告書としては今日お認めいただけるかどうか、ご意見をいろいろいただいた上で、これはこれで公表したいという状況にあるものですから。

○池田委員 これは、先ほどの森田先生のコメントと全く同じ扱いを受けるべきコメントだと思います。つまり、こういう点で問題がある。例えば具体的な作業としてエキスパート・ジャッジメントみたいな部分の仕事になりますけれども、通り相場の情報として、最後に上げた結論が合っているかという、そういうステップが要らないかという、そういうコメントです。いきたいですということであれば、それはそれで結構です。あえて、いや、ここの部分がまずいから、だから公表は避けるべきだという強い意見を持ち合わせてはいません。ただ、そういう弱点を内蔵している。そういうステップが必要だったのではないか、そういうコメントです。

○北窓室長 先生方、ありがとうございました。初期評価のガイドライン改定(案)を今日事務局から詳細にご報告させていただいたわけですが、本日いただきましたご意見を踏まえて、さらに環境リスク初期評価等の公表までのプロセス、手続きに改善すべき点があるかどうか、事務局の方で検討させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

○中杉委員 池田先生の先ほどのご意見でお尋ねしたいんですが、先生が言われているのは、2-ブロモプロパンについては、一般環境としても何か問題があるのではないだろうかというご指摘でしょうか。そこのところは食用では当然非常に問題があるのかもしれないということは十分認識しております。一応対象物を選んで、一般環境の測定結果、これが十分かどうかというのは問題ありますけれども、こういう結果になったというのがここに載っているというふうに、私は認識しておりますので。

○池田委員 コメントを申し上げましたのは、例えば吸入毒性で17mg/m3というのは、これはどこかで間違ったのではないかと思うほどです。そういうデータは恐らく、動物実験で非常に高濃度暴露をして、陽性に出た所見、これは報告がかなりありますが、この条件で出なかったというのは、私が知っている限りはありません。これは、パブリケーション・バイアスみたいな部分にかかって、陽性に出た結果だけがまず報告されていって、安全性の評価を可能にさせるような、こういう条件で出なかったという所見はほとんど論文に載ってこないからだと思うんですが、その辺のパブリケーション・バイアスがずっとそのままかぶっていくから、先ほど森田先生がおっしゃったような部分の議論と同じような結果になってくるんだと思います。ただ、これで集めたデータで処理しているんだという前提に立っていけば、それはそれで一つの判断として考えることだと思います。

○内山委員 この表に出てくる無毒性量は、動物実験のそのままのNOELをうたっていますので、ヒトの場合はこれを10で割って計算するということになっています。もし実際のヒトのものに換算するときには0.17という、10分の1のところで考えていただければいいと思うんです。

○池田委員 多分ヒトのデータはないんだと思います。

○内山委員 ですから、そちらがはっきり暴露量として、大体職場ではどのくらいだったというのがありましたけれども、そこから無毒性量を求めることはできなかったので、ラットで求めました。そして、そのときの17mgですから。ただ、これは無毒性量等と書いてあるのはその意味で、動物実験のときのそのままの数値が書いてありますので、実際にMOEを計算するときにはこれを10で割っているということです。

○櫻井委員長 これはもしかすると10以上100ぐらいで割っている可能性もありますね。慢性毒性試験ではない。

○内山委員 ですから、そういうもので全部やっていって、このMOEが出てきます。なぜこれをヒトに換算してやっていないかというと、リスク初期評価ですので、元のデータをなるべく出そうということで、不確実係数はそのときに実際に評価をするときには、例えば種差を幾つにとるとか、急性から慢性にとるとか、そこでまた詳細のときにはいろいろ変わってくるので、動物実験のときのNOAELをそのまま出そうという原則だったと思うんです。ですから、これをさらに実際に基準をつくるときは、これに不確実係数が幾つもかかってくるということです。

○櫻井委員長 これだけですと、まだいろいろと情報が十分出ていないんですけれども、ただ、その結果として計算されたMargin of Exposureが1万以上であるという点が安全サイド、問題がなさそうだなと私は考えています。

○内山委員 環境中ですと0.17μg単位になりますので、一般環境です。労働環境では全然別だと思うんです。環境リスクとしてやっていますので、一般環境中ということになります。

○櫻井委員長 これが100ぐらいですと私も不安になってくるけれども、1万以上という数字になっていますから、大丈夫かなと思いますが。

○森田委員 議論は実は2つあるんです。一つは、オーバーオールの判定がよいかどうかということ。例えば2-ブロモプロパンと言うと、日本ではほとんど使われなくなったということもありまして、それは○という判定で多分良いのだと思います。ただ、その判定のプロセスに入っていたリスク評価の指標とか、こういうものは、それなりにちゃんと大事にしておかないといけないという感じはするんです。もちろん、例えば2-ブロモプロパンについていえば、17mg/m3と設定されて、それであとのMargin of Exposureを計算するときには、これがヒトと動物との間のところで10倍掛けて計算されていると思うんです。しかしながら、そうは言いながら、例えば韓国にしましても、1ppmつまり、大体3mg/m3ぐらいだと思うんですが、それが職場環境として設定されています。職場環境と一般環境というのは、例えばエクスポージャーも時間も違いますし、それから、対象になるヒトも違うということもあると、多分ここのところは、もしリスク評価の尺度として使う数字が無毒性量という、そういう概念でもし書かれるとすると、もう少し相対的に低いところにいってもおかしくないかなという感じがします。そういう意味では、専門家のジャッジメントが必要ではないかというふうに池田先生おっしゃったこととほとんど同じコンセプトなんですが、コンパラティブリスクアセスメントみたいな概念で、こういった物質分が相対的にどうなのかということが、順番が極端に間違っていない程度にはどこかで修正していく必要があるかなという感じはします。
 そういう意味では、最終的な判定というのがそれなりに大きく違わないかもしれませんが、それでも左側の列のこの数字が大きく、例えば1けた違うということが起こりますと、また数字も相当動いてきます。できるだけいいものをつくるという意味で、無毒性量のところは相当丁寧にやっていただきたいなというのが、私の希望です。

○櫻井委員長 ほかに何かございますでしょうか。

○佐藤委員 今のお話、池田先生の話も内山先生の話も両方よくわかるんです。これは考え方としては、要するにNOAELと現実の暴露とを考えあわせて判定をしているということはわかるので、それはそれでいいのかなと思うんですが、実際に数値が出てきますと、やはり数値の相場感みたいなもの、あるいは毒性の相場感みたいなものがここに出てくるわけなんです。やはり、公表するときに大事なことは、こういう判定をしたプロセスがよくわかるようにしていただきたいということだろうと思います。実は自分で実感しているのですが、今、食品安全委員会の方でメチル水銀の耐用性資料というのを出して、数値が出た途端にいろいろ言われるものですから。やはり数値を出すというときには、相当程度プロセスに関する周知というんですか、説明を丁寧にすべきだろうと思います。それは自分たちがやっているつもりでも、数値を見ている人たちにとってみると、なかなか説明が足りないということになりがちなので、そこのところを注意していただきたいなと思います。

○中杉委員 先ほど花里先生が雨のときは濃度が高くなるだろう、安全サイドを見ているかと指摘がありました。多分雨のところまで調べるというのは非常に難しいんだろうと思います。しかし、実際にやっていまして少し問題があるなというふうに感じているところは、測定した最大濃度をとったとしても、測定している数は限られているわけで、先ほど言いました工場のすぐそばということはまた別に置くとしても、例えば川を測っているときに、PRTRで排水している公共水域なのかどうかという観点の見方はまだ十分できていません。PRTRのデータが出てきて、排出の状況が少しわかってきたので、そういうところの観点からもう少し何か押さえ方が必要なのか。もう少し工夫ができるだろうなと思っています。また、これが雨のときどうだとか、何倍掛ければ良いかというのは、余り安全側、安全側を見過ぎると全部真っ黒になってしまうようなことになりかねないので、そこら辺をもう少し考えていきたいと思いますけれども、まだまだ改良の余地があるというふうに思っています。

○遠山委員 先ほど池田先生もおっしゃったんですが、これだけの資料をつくられたわけですから、エディティング上の問題で若干気がついたことを中心にコメントをいたします。
 資料2なんですが、ちょっと細かい話で、もしこれをオープンにするのであればですが、資料2の5行目、そこだけ初期リスク評価となっている。私は、もともとこの初期リスクの初期という言葉は好きではないんですが、むしろ一次評価という意味で、プライマリーのエバレーションですから、リスク初期評価に直すというのが一つです。
 それから、何カ所かに出てくるんですが、「おおむね」というのが何だとか、「けた」がどうだとか、いろいろ区別がしてあるんですが、これはどこか一般的に決めてある話なのか、リスク初期評価の、この委員会の方で定義をして決められたのか、それはどうなんでしょうか。もし独自に決めたのであるとするとかなり明確に書いておかないと、読んだ方に理解しろと言われても、なかなかそこまでは難しいのではないか。日常生活の中の言葉とほとんど変わらない言葉ですので。

○櫻井委員長 資料3の6頁ですね、おおむねとか、あるいは8頁の。

○遠山委員 そうです。表記の下の方の[5]の濃度の記載の方法で、表記濃度にイから3倍のずれがある場合が何とかの程度で、以下申し上げませんが、この部分です。

○櫻井委員長 例えば、その下の限られた何とかしかないというのも、ちょっとおかしいといえばおかしいとは思っておりました。エディティングが必要であるということのご指摘ですね。

○遠山委員 そうです。同じく15頁ですが、これは、例えば表の(イ)のEPIによる評価参考の表の説明の注ですが、なお、1%のがんの生涯過剰発生率、ここで過剰という言葉が出てくるんですが、また別の資料のところにもどこか過剰発生率という表現が出ているんですが、過剰というのは、ベースラインを超えてふえた部分の過剰という意味で使っているのか、そのあたりをはっきりさせて、それは多分そうだろうと思うんですが。

○櫻井委員長 それは当然それ以外にはあり得ないと思います。そろそろ時間的な点で心配になってまいりましたので、ただいまのガイドラインにつきましては、2つぐらいの委員会でおまとめいただいたもので、細かく見ればいろいろとまた意見の相違とか、エディティングの必要な部分もあろうかと思いますので、それはこれからまた次回に向けて改善していくということにしていただきたいと思います。
 それから、今日の資料4につきましては、表現、例えば5頁の最後のMargin of Exposure、計算の過程で、10で割っているのか、100で割っているのかとか、そういうプロセスもあった方がわかりやすいというご指摘であったと思います。そういうようなことも含めて、表現の資料4のとりまとめ方については、ご検討いただけますか。

○北窓室長 はい。

○櫻井委員長 個別の問題についての懸念とかご指摘があったので、それについてはどういたしましょうか。よく検討していただければ、今回はこれで大丈夫だという結果になると思うんですが。

○北窓室長 いただきましたご意見をこちらの方でまとめまして検討していきたいと考えております。

○櫻井委員長 では、そのようにさせていただきます。

○遠山委員 簡単なことなんですが、やはりエディティング上の問題なんですが、資料2の3頁目の、例えば第3巻発ガン性評価ですが、これは私の理解が間違っているかもしれませんが、これは発ガン性の初期評価なのか、発ガン性評価は別に初期評価という、初期という言葉は要らないのかどうかというのが1点。
 もう一点は、これは去年もたしか同じようなことを言ったんですが、この分厚い資料5は目次がないと見ようがないので、最低限目次はつけていただけると役に立つという、2点です。

○事務局 まず、発ガン性の評価の部分につきましてですけれども、これにつきましても化学物質の健康リスク初期評価の一部、初期評価というふうにご理解いただければと思います。実際昨年度とりまとめましたグレー本、化学物質の環境リスク評価第3巻の中の表記でございますけれども、そこの表記では、化学物質の健康リスク初期評価(発ガン性評価等の結果)、このような表記をさせていただいております。

○北窓室長 目次のことでありますけれども、グレー本を刊行するときには目次をつける予定でおります。昨年もそのようにさせていただいておりますが、本日は間に合いませんでしたので、きちんと製本するときには目次をつけるというご理解でいただければと思います。

○櫻井委員長 まだ細かく見ると多々あろうかと思いますけれども、先へ進めさせていただきます。
 次に、平成16年度化学物質環境実態調査、化学物質エコ調査の中間報告の件でございます。資料6の説明をお願いします。

○事務局 お手元の資料6、平成16年度化学物質環境実態調査(化学物質エコ調査)の中間報告(速報)の公表についてという資料でございます。これにつきましては、今回試みとしてこのようなことをさせていただいたということで、先生方には、このような試みを今後続けていくべきかどうかということについてご意見をいただければと考えております。
資料6でございますが、平成17年度調査につきましては、昨年度の環境保健部会でいろいろとご意見等をいただきまして、かなり予算的に大幅な拡充ができました。現在、調査を進めているところでございまして、資料の2頁目のところで言いますと、今、まさに化学物質の環境の実態調査として、初期であるとか、詳細であるとか、モニタリングであるとか、暴露調査であるとか、そういったところを着手させていただいているという状況でございます。平成16年度調査と比較しまして2倍から3倍の間ぐらいの物質数で実施しております。
本日ご意見等をいただきたいのは、平成16年度の調査の結果についてでございます。従来までのやり方でございますと、例えば平成16年度の調査であれば、平成17年度末ぐらいに全体のまとめをさせていただきまして、このような場でご審議をいただいて公表をさせていただいている、こういうやり方をとらせていただいているところでございますけれども、今回試みとしまして、今ぐらいの時期に、中間的にデータだけでも出すということを実施してはどうかということで、このような資料をつくらせていただきました。
1頁の真ん中下ほどに、平成16年度の状況の表がございますけれども、平成16年度につきましては、小さい字で恐縮でございますけれども、分析調査のところの中間報告の段階でございまして、1枚めくっていただいた2頁のところ、これは平成16年度と多少体制が違っておりますけれども、平成16年度に関しましては現在調査が一通り終りデータが出てきたという段階でございます。ただ、データの中には、これから精度管理をしなければいけない部分が残っておりますので、この2頁のところの体系でいいますと、今後は結果に関する解析ということで、検討実務者会議というところでデータの解析なり、評価というものをさせていただいた上で、年度末に近くなったところで本専門委員会の方にご報告させていただき、ご審議いただくというのが、従来までのやり方でした。今回は、真ん中やや下ほどにございますような、調査結果が出た段階で、可能なものについてデータを出すというような試みはどうだろうかということでございます。
3頁をざっと見ていただきますと、3頁に、平成16年度の初期環境調査において何をやったかというものの一覧表がございます。この表の右側にIDLによる評価というふうに書いております。これは装置の検出下限ということで、最近の分析法に関しましてはこれを行うようになっておりますが、昔の分析法、これはこの調査に基づく分析表の中では、例えば上から4つぐらいの物質ですが、現段階ではデータを出すことができないという状態でございます。ですので、今回データを出させていただいておりますのは、表の右側の「IDLによる評価」のところに丸印がついている、例えば上からいきますとジンクピリチオンであるとか、ポリブロモジフェニルエーテルでございます。これらのデータにつきましては、まだ速報値ではありますけれども、基本的には数字そのものは大丈夫であろうというふうに考えて、今回取りまとめさせていただいておりますが、まだすべてではないということでございます。
具体的には7頁に初期環境調査の中間報告として速報値を、それから8頁の暴露量調査、それから9頁、10頁にモニタリング調査の速報値を掲載させていただきました。
この値そのものについてご説明は省略させていただきますが、このような形で今後調査結果の速報値を出していくような試みを来年度以降させていただくことについて、どのような形で考えていけばいいかということで、ご意見等をいただければということでございます。
いずれにしましても、旧来黒本と呼んでいたものを化学物質エコ調査という形でおまとめをさせていただく段には、この値以外にそれぞれの解釈なりを評価という形で文章で記載しているというのが、最終の形でございますので、この数字を裸のまま出すのではなくて、その辺の文章が入った状態が最終の形態という状況でございます。その辺を含めてご意見等をいただければということでございます。
簡単でございますが、今回はこのような試みにつきまして、ご意見等をいただければということで、資料6をつくらせていただきました。
以上でございます。

○櫻井委員長 いかがでしょうか。中間報告というのは今回初めてですね。

○事務局 実は、数年前に一度このようなことをやらせていただいた時期はあるんですが、その後、経緯は不明ですが、こういうものをやめてしばらくやらないでいたというところでございます。

○櫻井委員長 中間報告をやるということについて、それがいいか悪いか、そういうご意見もいただきたいし、もし内容について何かコメントがあれば、それについてどうぞ。

○事務局 中間報告をこのような形で出すこと自体にも何か問題があれば、どういうふうにしたらいいのかというご意見等のをいただければと思います。

○櫻井委員長 何かございますか。

○森田委員 今、完全に理解し切れなかったのですが、平成16年度調査を見ていて、まず分析法開発と分析調査というのが並行して走る。分析法の開発を最初の年度にやって、2年目に分析調査に入り、例えば下の方ですが、平成18年度はまずとりあえず結果が出たところで中間報告をやり、年度末に最終報告で、公表を含めてやるという流れですね。
 そして、そのときに、分析法を開発しないと下の欄にいって、とりあえず、まず、中間報告をやり、しかし年度末には最終報告で出す。したがって、ポイントは、中間報告を結果が上がった段階ですぐやることでよいかという、そういう問題ですか。

○事務局 ご指摘の通りであり、このような中間報告をすることで何か役に立つとか、あるいはこういう意味では中間報告を是非やるべきだというご意見があれば今後このような取組みについて努力をしていきたい。ただ、逆にあえてあわててやる必要がないということであれば、またちょっと検討させていただいてという、こういう状況でございます。

○森田委員 私の個人的な意見としては、これは行政の方の判断で、早目にお知らせした方がいいというケースも多分あるでしょうから、そういう場合には中間報告を行う。中間報告は何かルールとして必ずやるということまで固めなくてもいいから、でも、やれるような形にしておいた方がいいかなという感じはします。

○遠山委員 私、今の森田委員の意見に反対ではありませんが、この測定の値を出すことに関しては、一番下にこれらの結果は速報値であり確定値ではないというようなことが書いてあったり、あるいは測定の機関が違うからというような説明が書いてあるわけですが、一般に出てきたときに、一般の方々は仮にその後で数値が変われば、それでは前の値は一体何だったんだという、むしろ測定そのものに対する信頼感というか、それに対して余りいい効果をもたらさないと思うので、あえて出す必要はないだろう。どうしても出さなければいけないような場合だけ、行政の判断で出された方がいいだろうというふうに思います。

○上家課長 確かに中間報告と最終的な報告で大きくずれるようなものが出ると、二重に数値が出回って大混乱というおそれも当然あると思います。そういった意味で、この資料6の別添1、3頁でございますが、ここにございますように、数値が出たものをすべていきなり全部出すということはしないで、これまで精度評価事業もかつてに比べてかなりできてきたという認識のもとに、その上で、絶対ぶれないとは言えないにしても、ある程度もう信頼できるものになった部分だけを出していこうということでして、決して、例えば一番上にありますホルムアルデヒドのように、今すぐにはデータを精査しなければ出せないというものは当然出さないこととしております。
どうしてこういう中間報告みたいなものをやりたいと考えたかというところのご説明が不十分だったのかもしれませんが、1つは、エコ調査そのものにもっと関心を持ってもらう人を増やしたい。そのためには世の中にさらされる機会を増やしたいということがございます。最終的に出たときには、実に地味な本で出て、数字がいっぱい並んでいて、実際のところ長いことやっているんですが、専門家の先生にしか見てもらえていないというようなところを、少し世の中にさらしたいというのが1点。
 それともう一つは、もう少し具体的なメリットがあると思われるのは、地方自治体との関係でございます。地方自治体との関係が今三位一体の改革等でお願いしたりお願いされたり、なかなかしにくい状況になってきていますが、一方で、やはり自治体の方でも、これは若林先生の方が相当お詳しいかもしれませんが、自治体としても一生懸命測りたい。それから国と連動してやりたいという認識を非常に持っていらっしゃるわけです。ところが、場として持てない。それならば、せめて来年度予算、来年度何を測るかというようなことを決める前の時期に、少しでも今の状況を公表して使えるようなものにしていきたい、そういう思いがあるわけでございます。一応、確かな数字の部分だけでも自治体等との関係である程度使いやすい時期に出てくるようなものとして出したいという意味で、中間報告という形式がとれないかというふうに考えた次第でございます。

○櫻井委員長 いかがですか。今のお考えは理解できると思います。

○中杉委員 黒本は、今年から全くやり方、体制が変わりましたね。今度は行政のニーズを前面に出してやっていこうということで始められて、そういう意味では私も物質選定をお手伝いさせていただいて、行政のニーズで数字を出してあげたからそれではどうしたのかというような答えを必ずしてくださいというふうに申し上げました。そういうふうなところがあるわけです。そうすると、またそこでは状況ががらっと変わるように思うんです。中間で公表するのか、どうするのか。行政のニーズで調査をやるというようなことでやったときに、それを中間でポンと出してしまったときに、後で行政のニーズの方で非常に妨害になったりすることが起こらないかとか、少しいろいろなことが、行政が今テンポラリーに動いているところなので、あわてない方がいいのかなというふうに私は思っています。もう少しそこら辺のところも踏まえながら、どうするべきかと考えた方がいいのではないかというふうな感じを、私は感触として持っています。
 もう一つ別の話なんですけれども、これはどうしても、この調査は、先ほどの話ではないですけれども、選んだ後分析法を開発して、分析法開発が必ずしも1年では済まないかもしれない。何年版の選んだ選定物質で、今はどういう状況にあるか。ここで測られたものが何年前に選んだ物質なのかというのが、よくわからないんです。一つ一つ物質についての進行表をつくっていただく必要がある。今、分析法を開発中、断念したとか、そういうようなものをつけていただくと、これはもっと見やすくなって、この物質の結果がそれでは何年度選んだ物質で、こういう経過で今回数字が出てきたんだというのがもう少しわかりやすくなる。今は全くわからないです。3頁と4頁、5頁を見ても、必ずしもその対応は全く取れていない。そこのところをもう少しわかるようにしていただくということが、これは今回のではなくて、本番のときでも結構ですので、そういうことが必要になってくるんじゃないかなというふうに思います。

○櫻井委員長 ほかに何かございますか。
この中間報告の点についてはやや慎重論が多いということをお聞き取りいただいて、ご検討いただきたいというふうに思います。

○池田委員 細かいことばかり気にしていて恐縮です。神は細部に宿りたもうという言葉もありますから、お許しください。
 IDLというのは、確立された言葉でしょうか。例えば、7頁のフットノートのところにIDLというのが出てきます。ハナリシシスとか、シタリシシスをやらない限り、普通は装置を使う。だけれども、IDLという言葉はありますか。むしろ、LOD、リミット・オブ、ディキャクションというのは時々見ます。この辺は森田先生の方がずっと詳しいと思います。

○森田委員 多分IDLと書かれてわかる人は非常に少ないだろうと思います。だから、もしこれが検出下限だとすると、一般的によく使われているのはメソッド・ディテクション・リミットなんですが、メソッド・ディテクション・リミットは、これを求めるのは結構大変なんです。しようがなくて、装置で、例えば昔だとガスクロ上のノイズの3倍という、それに近いような概念なんです。だから、もうちょっと、IDLという言葉を使わないで、装置検出下限とか、日本語にしておいた方がいいかなという感じはします。

○櫻井委員長 装置検出下限はそれでわかるわけですね。ここでは(IDL)と書いてあるんですが。

○森田委員 検出下限で、アスタリスクか何かつけておいて、下側に装置検出下限とか何かやった方がいいかもしれません。そんな印象です。

○池田委員 それはファクターとして確立した方法なんですか。

○森田委員 JISに記載はされています。

○池田委員 この分析を行う場合にでしょうか。

○森田委員 求め方というのがある種決められた方法があってということではあるんです。

○池田委員 例えば、JISに従ってやっているという前提でないと書いていけないんでしょうか。

○森田委員 そうです。

○池田委員 逆に、従ってやっていたら書く方がいい。やったということを確認できるということでしょうか。

○森田委員 ここのところは、とにかく検出下限みたいなものがないと、測定値の評価みたいなものができないので、一応そういう何か数値の欄が要るだろう。その数値の欄につける名前は何がいいかということになります。一番簡単な言葉は検出下限という言葉だろうと思うんですが、ただし、検出下限にはいろいろな人がいろいろなふうに定義してしまっているものだから、そこにもうちょっと詳しい説明が要る。それをIDLというふうに書いてしまうと、だれもわからないかもしれないという、そんな感じです。

○松下委員 分析法の開発では、今、おっしゃったようにディテクションニングとかやるんですけれども、私は大気の方を関係しておりますけれども、それぞれの装置を使ってのディテクション・リミットという意味で、インスルメンタル・ディテクション・リミット、方法はこの方法でやると委員会で決められて、もう何年も何年もやっておりますので、これはIDLでもいいんですけれども、IDLの定義とか、どういうふうに求めるというのを入れておかないとわからない、こういうことではないでしょうか。

○櫻井委員長 では、先へ進めさせていただきます。あと10分ほどでございますが、その他というところで、参考資料2を使って、最近の主な公表資料について、ご紹介いただきます。

○上家課長 それでは、時間が限られておりますので、簡単にご紹介させていただきます。
 前回のこの委員会以降に公表された資料、主なもの5点をご報告いたします。
 1点目は、先ほど議題で取り上げていただきましたエコ調査の前の年の版、平成15年度化学物質環境実態調査結果を3月31日に公表させていただいております。
 次に、年度が変わりまして今年度になりますが、花粉症につきまして、花粉症の保健指導マニュアル、これは1月に公表させていただいたということを既にこの場でもご報告しておりますけれども、今年は花粉の飛散が非常に多かったということがありまして、かなり社会的に注目を浴び、国会でもいろいろご質問をいただいたりしまして、その中に花粉の飛散予測もいいが、いつまで我慢すればいいのか、終息予測を出せというご要望がありました。そこで、初めての試みとして、杉、ヒノキの花粉飛散終息予測というものを4月27日に発表したところでございます。
 それから、3点目は、これは恒例になりましたが、PRTRを読み解くための市民ガイドブックの平成15年度集計結果版でございます。一昨年に比べてわかりにくかったところをかなり修正して、このような形の本にまとめております。これにつきましては、割と自己評価では好評をいただいているというふうに思っておりますが、売れ行きもよくて、皆さんによくお使いいただいているところでございます。
 4点目は、これはPOPs条約に基づきます国内実施計画についてでございます。POPs条約は、昨年の5月に発効いたしまして、今年の5月に第1回の締約国会議が開かれたわけでございますが、そこで、国内実施計画のフレームについての合意が得られまして、それをもとに、日本版の我が国の国内実施計画を策定したというものが、お手元の白表紙でございます。これにつきましては、第1回の国内実施計画の策定ということで、閣僚会議において了承していただいて策定したという経緯を持っているものでございます。これを見ていただきますと、後ほどご覧いただきますと、POPs(残留性有機汚染物質)が我が国で今どうなっているのかというのが非常によくわかるような形にまとめているものになっております。これに基づいて、この国内実施計画を実行し、修正していくというのが、POPs条約に対する対応ということになります。こちらにつきましては6月24日に公表させていただきました。
 最後は、熱中症マニュアルでございます。今年はかなり暑いということで、熱中症についてテレビ等でもう既にかなり取り上げられておりますし、それから実際に時々涼しい中に暑い日があると熱中症で運ばれた人が何人というような報道もあるわけですが、これにつきまして、これまでの花粉症保健指導マニュアル、あるいは紫外線保健指導マニュアルと同様の趣旨で、熱中症保健指導マニュアルというものを、今年度初めてつくりました。これを7月1日に発表したところでございます。
 最近の公表資料は、以上5点でございます。

○櫻井委員長 いかがでしょうか。何かご質問とか、お気づきの点がありましたら、どうぞ。
 それでは、予定しておりました議題はこれで終了でございます。資料4につきましては、森田委員、池田委員のご指摘、その他の委員の方のご指摘でも、最大の懸念は、NOELあるいはNOAELとされている、決定されている数値の部分です。次回あるいは何らかの機会にあわせてさっとご検討いただくというようなことを考えてもいいのかなという気もします。検討課題としていただければありがたいと思います。
 ほかに何かございますか。ないようですので、それでは、これで終わりたいと思いますが、最後に事務局から何かございますか。

○北窓室長 本日は、限られた時間ではございましたが、さまざまな角度から貴重なご意見をいただきまして、まことにありがとうございました。第4次とりまとめのリスク初期評価につきまして、大変有意義なご意見を出していただきましたので、最終的に瑕疵のないような形で公表させていただくために、今後個別に先生方とご相談しながら、さらに詳細を詰めてまいりたいと思いますので、どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。
 本日はまことにありがとうございました。

○櫻井委員長 それでは、今回の専門委員会を閉会いたします。

午後3時30分閉会