中央環境審議会環境保健部会 化学物質評価専門委員会(第8回)議事録

日時

平成17年3月23日(水)10:00~11:50

場所

環境省第1会議室(合同庁舎第5号館22階)

出席委員 (敬称略)

(委員長代理) 中杉 修身
(臨時委員) 佐藤 洋   若林 明子
(専門委員) 井上 達   大前 和幸
香山 不二雄   篠原 亮太
関澤 純   武田 明治
遠山 千春    松下 秀鶴
    (五十音順)
(事務局)  上家環境安全課長   三宅環境リスク評価室長 他

議題

  1. 1. 平成15年度化学物質環境実態調査結果について
  2. 2. その他

議事概要

  1. 1) 開催の挨拶
  2. 2) 平成15年度化学物質環境実態調査結果について

事務局より、「平成15年度化学物質環境実態調査結果について」の説明を行い、その後以下のような議論がなされた。

【委員】本調査は、一般環境を対象としており、作業現場を問題としているわけではないので、この許容濃度をこのまま使うのは紛らわしい。もし記載するのであれば、「産業現場における」のような、ただし書きを付けないと誤解を招くのではないか。

【事務局】 基本的には、そのような対応としたい。どのような記載とするかは、部会長と調整したい。(その後、櫻井治彦部会長と相談の上、許容濃度(作業環境)と記載することとされた。)

【委員】 今回の調査結果で特筆すべき事項はなにか。

【事務局】 国内で使用実績のないトキサフェン、マイレックスが大気中に検出されたということが今回モニタリング調査の中でわかった。このため、「引き続き、東アジア地域、地球レベルの長距離移動も視野に入れた継続的な監視、解析が求められる。」という形でとりまとめている。

【委員】 暴露量調査でオクタブロモジェニルエーテルが水生生物から検出されている。「デカブロモビフェニルエーテルは、分子量が800を超えて生物濃縮性がないため、生物から検出されない」という議論をした記憶がある。デカブロモビフェニルエーテルが検出されているというのは、生物濃縮性がいくらなんだろうかというところが少し気になる。今、化審法では分子量が800を超えると、それは生物には蓄積しない、蓄積性ないという判断をしようということで統一的に解釈しているが、そこら辺のところを少しチェックしていただいた方がよいのではないかと思われる。

【委員】 精度管理については、どのように整理されているのか。

【事務局】 精度管理に関しては、昨年度からラウンドロビーの形式でスタンダードを配付させていただき、確認するという取組をしている。しかしながら、実際には、スタンダードを提供する側、例えば大気であれば、キャニスターに充填する場合、それが均一に充填されなかった等の課題がある。精度管理のあり方に関しては、引き続き、議論しているところである。

【委員】本調査の取り組み体系は、ExTEND2005と具体的にはどう関連していくのか。

【事務局】 本調査の中で、環境残留実態に関する基礎データを収集するという観点からExTEND2005の対応方針に沿った対応を展開することとしている。

【委員】 今後の課題ということになるが、今まで環境化学物質と健康影響評価をするときのベースはいつでも労働衛生であった。労働衛生では特定の物質に大量に暴露される条件で検討している。ところが、一般環境ではいろいろな物質に同時に暴露されている。だから、どういう物質に全体的に暴露されているかということをベースにして健康影響を評価しなければいけないが、従来どおりの労働衛生でやってきた手法のままである。しかし、今から環境はどんどんよくなるにつれて、それぞれの物質は全然、問題外なのだけど、全部集めてみたら何とかなったという類の可能性は出てくるわけである。従って、化学物質全体を見たときの健康影響評価のあり方とか、そういう観点をそろそろ考えに入れなければならない時期になってきていると思う。いろいろ難しいことがあると思うが、そういうご検討をお願いしたい。

【事務局】産業保健がベースであるために単一・大量暴露の視点から今までやってきたという指摘については、他にも、一般環境であれば、少量・多種類の暴露で相加効果があるものとか、そういうものもあるという同様の指摘も既になされている。これについては、本調査でというよりは、むしろリスク評価をどういうふうにやっていくかというところで今後検討していく大きな課題だと考えている。

【委員】 ロンドン・ダンピング条約が発効して、汚泥のリサイクルが各地で行われており、特に畜産廃棄物のコンポスト化とか汚泥の肥料化とか、そういったことでかなりの量が日本国内の農地その他に撒かれている。それを調べてみると、E1、E2、E3、いわゆる女性ホルモンが大量に出てきている。水生生物への影響ということを考えれば、こういったものに対して調査をして対策を考えるべきではないか。

【事務局】 今後、本調査の中に、人畜由来、天然由来のホルモンに類するものも調べていけないかということは、来年度以降の体系の中で考えていく予定にしている。

【委員】 それぞれの部局で本調査結果をどう活用しているかということを、この委員会に報告してもらえれば、議論を深める参考になると思う。

【事務局】 次年度のこの検討会には、この結果をどう使ったかを原課から報告してもらうようなことを考えたい。

議題の2「その他」について
事務局より、「平成15年度PRTRデータの概要等について」の説明を行い、その後以下のような議論がなされた。

【委員】 化管法の目的は、最終的にリスク評価のための基礎データを得るということだと思うので、そのデータの信頼性というのは非常に大事だと思う。国が出しているデータというのは皆信頼して使うので、ぜひ国が推計するデータについては、特に毎年適切に見直していただきたい。

【事務局】 PRTRデータは、推計のほうはまだまだ発展途上のため、この推計方法については、毎年、変更した点、改善した点、新たに導入した点については、パブリックコメントを求めて、推計方法についてご意見を広く求めて変更しているという状況であり今後とも見直していきたい。

以上