第5回 中央環境審議会 環境保健部会 石綿健康被害救済小委員会 議事録

1.日時

平成28年9月2日(金) 13:30~15:30

2.場所

環境省第2・第3会議室

3.議事次第

  1. 開会
  2. 議事
     (1)石綿健康被害救済制度の施行状況について
     (2)その他
  3. 閉会

議事録

午後1時30分 開会

○課長補佐 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第5回中央環境審議会環境保健部会石綿健康被害救済小委員会を開催いたします。
 本日の会議は公開で行います。
 また、報道機関の皆様のカメラ撮りは冒頭のみ可能としております。
 なお、傍聴者の方々には撮影のご了解をいただいておりませんので、カメラ撮りの際はメーンテーブルのほうでお願いいたします。
 傍聴者の皆様におかれましては、傍聴券にも記載されておりますが、今から読み上げる留意事項を遵守してください。
 傍聴券を持っていない方や代理人の傍聴は認められません。事務局の指定した場所以外の場所に立ち入ることはできません。静粛を旨とし、審議の妨害となるような行為は慎んでください。審議中にカメラ撮りをすることはできません。携帯電話等の電源は呼び出し音が出ないようにしてください。会議の開始前後を問わず、会議場内において委員等に対して抗議または陳情等はお断りします。その他職員の指示に従うようお願いいたします。これらを守られない場合には、他の傍聴者の迷惑にもなるため、退場していただくことがありますので、何とぞ遵守をお願いいたします。
 本日は、小委員会委員10名のうち9名のご出席をいただいており、定足数を満たしております。
 それでは、本日の資料の確認をしたいと思います。
 資料1、委員名簿、資料2、石綿健康被害救済制度の施行状況及び今後の方向性について(案)、委員提出資料、古川委員提出資料。また古川委員から追加でいただいた資料をお配りしております。また第1回から第4回の配付資料、これまでの石綿健康被害救済小委員会の答申・報告書、中央環境審議会関係法令等をファイリングしたものも卓上にお配りしております。不足がありましたら事務局までお申し出ください。
 カメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、ここからの議事進行は浅野委員長にお願いしたいと思います。
 浅野委員長、よろしくお願いいたします。

○浅野委員長 それでは、お忙しい中、お集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから議事に入ります。
 本日は、前回までの審議を踏まえました、とりまとめ案の論議を行いたいと思いますので、まず、事務局から資料の説明をいただきます。

○高城石綿健康被害対策室長 それでは、皆様のお手元に資料2、石綿健康被害救済制度の施行状況及び今後の方向性について(案)、こちらの資料をお手元にご用意いただきたいと思います。こちらの資料につきましては前回の第4回にて、石綿健康被害救済制度の施行状況及び今後の方向性についてのたたき台というものにつきましてご議論いただき、ご意見をいただき、その後、委員の先生方とご相談させていただきながらとりまとめている案でございます。こちらについてご説明させていただきます。
 おめくりいただきまして、2ページ目でございますが、こちらに目次をつけております。「はじめに」、それから1から5までの項目について施行状況及び今後の方向性について、最後に「おわりに」ということでございます。
3ページ目をごらんいただきたいと思います。
 Iの「はじめに」というところでございます。こちらにつきましては、現在、施行状況の評価について検討しているところでございますけれども、これらの経緯、それから法的根拠などにつきまして、まとめてさせていただいたものでございます。前回のたたき台でもお示ししましたように、最後の2行にございますけれども、本報告書は、本小委員会でのこれまでの議論を踏まえ、現行制度の施行状況を踏まえた議論及び今後の方向性について整理したものであるという位置づけでございます。
 IIからが石綿健康被害救済制度の施行状況及び今後の方向性についてということで、基本的な構成といたしましては、例えば1の「制度の基本的考え方・救済給付」という論点について、(1)で現行制度の施行状況、また(2)で指摘された論点及び今後の方向性という構成で構成しております。前回のたたき台のところから議論を踏まえて、修正、追加等された部分につきまして、ご説明させていただきます。
3ページ目につきましては大きな変更はございません。
 4ページに移っていただきまして、4ページの下のほうが(2)でございますけれども、そこの1個手前のパラグラフの最後の6~7行につきまして、制度利用アンケートについての記載がございますけれども、こちらのほうに、例えば満足、不満という回答のみ示しておりましたけれども、括弧で「どちらとも言えない」「無回答」「わからない」などの回答が一定程度あったということを追記させていただいております。
 それから、同4ページ目の(2)でございますけれども、下から5行目でございますが、いろんな意見につきまして少し記述を追加している部分がございます。読み上げます。「石綿による被害は健康被害者のみならずその家族にも波及すると捉えて遺族年金・一時金のような遺族に対する給付を検討すべきではないかとの意見」を追加してございます。
 次に5ページ目でございます。5ページ目の上から2行目でございます。「さらに」というところがございますが、ここに一つの考え方を追加しております。「民事上の損害賠償を踏まえた制度でも社会全体による負担の制度でもない総体としての原因者と被害者との関係を踏まえた原因者負担があり得るとの意見や」、こちらのほうを追加してございます。また、そこから1行下りまして、「仮に」ということで、「仮に補償制度を新たに構築するのであれば、補償制度とする理論的根拠と、それを踏まえた、他法に基づく制度との調整、費用負担者、対象者、対象疾病とその判断基準等の多岐にわたる論点について再度の検討が必要となるほか、現行制度をゼロベースで見直すこととなり、その場合、現在の基金はそのまま補償に充当することはできず、より厳密な因果関係が求められるため対象が縮小する方向となり得るとの意見があった。」との部分も追加してございます。
 それから、「この点について」はという部分でございますが、そこから3行下りまして、①現行制度について、いろいろこちらに制度が書いてございますけれども、こうした他制度と「同様の性格とすることは困難であるといえる点について、現時点においてこの点を変えるべき事情はないこと」という表現にしております。また、①、②の記載のようなことから、「今回の審議では現行制度の基本的考え方を変える状況にあるとは結論されなかった。」というふうにしております。また、制度利用アンケートについても書いておりまして、そこから3行下になりますけれども、制度利用アンケートによれば、必ずしも不満と回答した割合は高くないとの結果があるという部分に加えまして、「しかしながら、制度利用アンケートでは、「どちらともいえない」「わからない」との回答も一定程度存在する上、介護等の実態の詳細については必ずしも把握できていないとの指摘があり、被認定者の介護等について実態調査を行うべきである。」と追加してございます。5ページ目は以上でございます。
 6ページ目に移っていただきまして、指定疾病の関係でございます。
 「(2)指摘された論点及び今後の方向性」というところの2番目のパラグラフ、「この点については」というところでございますけれども、後段のほうの表現を多少変更しております。読み上げます。「今後、良性石綿胸水のうち被包化された胸水貯留が認められる症例について、石綿による『著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚』として取り扱うことができるかどうかについて、現行の指定疾病の取扱いとの均衡を踏まえつつ、その具体的な医学的判定基準も含めて検討を行い、必要な知見が整った場合には救済対象とすることが望ましい。」との表現にしております。6ページ目は以上でございます。
 7ページ目、肺がんについての論点がございますけれども、そこのまとめの部分になりますが、真ん中辺りから①②③との理由、それから④として知見が十分得られていないということで、「今回の審議では作業従事歴を指標として採用すべきとは結論されなかった。しかしながら、肺がん申請者における石綿ばく露作業従事歴等に関する調査を含め、石綿による肺がんについて引き続き知見の収集に努めるべきである。」と表現しています。さらに「また、作業従事歴等については、医療機関における肺がんの診断の際に、石綿による肺がんに特徴的な医学的所見を確認するための情報として活用され、本制度の申請につながるよう一層の周知を図るべきである。」と追記してございます。7ページ目は以上でございます。
 8ページ目でございますけれども、上から6行目でございますけれども、肺内石綿繊維計測というのが肺がんの基準の中にございますけれども、「これらについて可能な限り迅速に実施することができるよう、透過型電子顕微鏡等の整備、人材育成、計測精度を確保するためのマニュアルの作成等の体制整備が実施されている。」と、事実関係につきまして具体的に加筆しております。
 そして、「(2)指摘された論点及び今後の方向性に」ついてでございますけれども、上から3行目から4行目でございます。呼吸器系の医師のみならず周知すべきというご意見を踏まえまして、「医師(特に呼吸器系の医師)」というような表現に改めております。また、そこから4行下にまいりますけれども、関係する学会に対して周知するというところの書きぶりのところに、「医療ソーシャルワーカーの団体を始めとする医療関係団体」という形で表現しております。それから2番目のパラグラフに「また、ヒアリングでの意見を踏まえ」というところがございますけれども、ここから5行目下になりますが、総合的な情報提供というところに、専門医療機関のリスト、医療・介護・福祉に関するサービス、これらに加えまして、「緩和医療」という文言を追加してございます。8ページ目は以上でございます。
 9ページ目でございます。8ページから9ページにかけまして、こちらには健康管理の論点、それから今後の方向性でございますけれども、9ページの(2)でございます。最初のパラグラフの下から5行目、「この点については、」というところでございますが、「地方自治体の協力を得て対象地域の拡大に努めながら継続し」という表現としております。それから最後の部分でございますけれども、「試行調査において、高齢の方への分かりやすさに配慮しつつ、保健指導に関するマニュアルの作成や研修会の更なる充実を図るべきである。」というところでございますが、保健師のみならず看護師等の方にも広く活用いただくように、その対象者につきましては、こちらから削除をさせていただいたというところでございます。9ページ目は以上となります。
 9ページ目から10ページ目にかけて、「調査研究」というのがございます。この「調査研究」のの締めの部分でございますけれども、「加えて、」というところでございます。一般的な調査研究事業を全て指しているんでございますけれども、医学的知見の収集を努めるべきであるという表現のところに「今後とも、関係省庁と連携して」というところを加えさせていただきました。
 最後に「おわりに」というところがございます。こちらの部分につきまして、前回までは「その他」ということで、5年以内の見直しだけ記載してございましたけれども、この委員会の趣旨が制度の施行状況の評価というところがございますので、それらについての総括的な部分をこちらに追記してございます。読み上げます。「現行制度については、これまでのところ、現行制度の基本的考え方に基づいて、適時適切な見直しが行われ、また、認定の迅速化や制度の周知等の運用の強化・改善等が図られてきており、安定した制度運営が行われている。一方で、現行制度の評価・検討の中でいくつかの論点も指摘されたことから、それぞれの論点について今後の方向性を提示した。今後、こうした方向性に沿って必要な調査や措置が可及的速やかに講じられ、5年以内に制度全体の施行状況の評価・検討を改めて行うことが必要である。」という結びになっております。
 事務局からは以上でございます。

○浅野委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの案がこの委員会としての報告の案になるわけですが、これについてのご説明をいただきましたので、ご意見のある方、ご発言をいただきたいと思います。
 古川委員、どうぞ。

○古川委員 ありがとうございます。制度運用の今後の方向性についてです。ヒアリングでの意見を踏まえ、関係者の協力を得てとなっておりますけど、ぜひ私たち患者と家族の会も入れてください。長松先生もイギリスの経験として、患者家族団体と専門家がチームでかかわることの重要性を指摘しておられます。そういう意味でも私たち当事者をぜひこのヒアリングのときのチームに入れてください。
 それと、5番の調査研究の今後の方向性についてです。環境省や機構が情報を収集して医療機関に提供できるよう検討すべきであるとされていますが、単に一方向だけでなく双方向に情報を共有することと、ここにも医療関係者だけでなく、私たちも入れてください。調査研究の成果を医療関係者や患者家族らに広く知らせるととともに、双方向性の情報共有をするためには、例えば毎年シンポジウムを開催することなど、実施していただきたいと思います。
 なお、さかのぼって1、2については、私たちが望む改善を実現する方向で結論が得られなかったことは非常に残念ですが、改善の必要なしというところで合意されたわけではありませんということをここに申し添えます。
 以上です。

○浅野委員長 最初におっしゃったヒアリングのチームにというのはどういう趣旨でしょうか。

○古川委員 制度運用についてヒアリングを行う場合は、例えば当事者として私たちの意見も反映できるようにしていただきたいと、そう思っております。

○浅野委員長 わかりました。その点については十分事務局も留意することだろうと思いますので、事務局よろしくお願いいたします。さらに情報の共有についてご意見、これもまことにもっともだと思います。ここには医療機関、医療従事者への情報提供とありますが、それのみならず、患者団体にもしっかりと情報を提供して、情報を共有できるようにするというご要望についてはそのとおりだと思いますので、これは報告案に追加させていただきたいと思います。

○古川委員 ありがとうございます。

○浅野委員長 ご意見がございましたら、どうぞお願いいたします。
 今村委員、どうぞ。

○今村委員 8ページの(2)ですが、これだけまとめていただいて、私もいろいろ今まで申し上げて、それを書いていただいている部分もあり、今さらこんなことを言うのは恐縮ですが、実はどういった方たちにこういう制度を知っていただくかということで、どちらかというと医師や団体に対して広報する、あるいは国民の方に広報するべきだと書いてあります。実は日本のがん診療というのは、今、がん診療連携拠点病院という、全国どこでもきちんとしたがん診療が受けられるということで均霑化するために、一定の要件を病院にかけて、がん診療連携拠点病院というのが設けられています。そこに相談支援センターがあって、実は日本のがん患者さんの6~7割はそういう拠点病院で見ているという実態がある中で、相談支援センターというのはワンストップでさまざまな患者さんや、あるいは困っておられるご家族の方たちにいろんな情報を提供するという役割を担っていると理解していますので、ぜひ拠点病院の中の相談支援センターの活用という文言を何か追記していただけると、よりいいのではないかと思っています。
 今ちょっと気がついたので申しわけありませんが、本来的にはもっと前からお話しすればよかったんですが、ぜひ追記していただけるようだったら、よろしくお願いいたします。

○浅野委員長 どのあたりに入れればいいでしょうか。

○今村委員 団体とか医師の前後どちらでも結構です。恐らく肺がんの方、中皮腫の方、ほとんどそういうところで見ておられると思います。

○浅野委員長 わかりました。事務局、理解できましたか。具体的なことではありますが、わかりやすいし重要なご指摘をいただいたと思いますので、このご指摘も追加をしていただければと思います。今村委員、ありがとうございました。
 ほかにご意見がございますか。
 新美委員、何かご意見ございましたら。よろしいですか。
 岸本委員はいかがでございますか。特にございませんか。
 太田委員はいかがでしょうか。

○太田委員 意見というよりも、9ページ、兵庫県での取り組み事例を参考にしながら、指摘された論点及び今後の方向性ということで、最後まで残していただいて大変責任が重いような気がいたしますが、ありがとうございました。
 本当に、よく各委員から出された意見をまとめられて、再整理されていると思います。やはり制度の基本的な考え方・救済給付ですけれども、この制度そのものの議論、過去の議論も踏まえたら、この制度の枠組みの中で、健康被害を受けられた方のために何ができるかということについてよく書かれていると思います。特に制度運用、健康管理の項目については、我々の自治体の意見にも応えていただいておりますので、また大変ありがたいと思います。特に兵庫県の取り組み事例ということは肝に銘じて、今後ともやっていきたいと思っております。

○浅野委員長 引き続き、兵庫県では頑張っていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 大塚委員はよろしゅうございますか。

○大塚委員 特に今回の報告書案について何か意見があるわけではないんですけれども、古川委員から出していただいた資料に大幅に引用していただいていますので、ちょっとびっくりしましたが、どうもありがとうございます。
 それで、一言だけ申し上げておきますが、古川委員提出資料の2ページから3ページの第4回のところは「文責:引用者」と書いていただいているように、途中が私の発言で飛んでいるところがありますので、そこは議事録とかでまたご参照いただける方にはご参照いただければありがたいと思います。
 3ページの(3)の上に書いてある7~8行のところは、古川委員のお考えだと思いますけれども、こういう考え方はあり得ると思いますけれども、ただ、前にも申しましたように、環境省としてはすぐに何かやってくれと言われても困ってしまうかもしれませんが、私は原因者負担の話をいたしまして、それが貫かれるべきだと思っていますけれども、環境省がこの石綿健康被害救済法で最初に一丁目一番地でやらなくちゃいけない話は、工場の周辺住民の話であることは事実で、こちらのほうは工場とか事業場との関係での原因者負担の話で、一方で他省庁がやっていただくべき話として労働者の方がいて、これは環境省の話ではないんですけれども、間にすき間として残る可能性があったのが一人親方で、これを石綿健康被害救済法で対象にしたということをしたわけですけども、労働者と一人親方の話は労働環境の話なので、建設労働者の方のアスベストに関して何か基金をつくるとすれば、こっちのほうの話になって、石綿健康被害救済法は一人親方のところが出張っていますけれども、メインのところは労働関係になってしまうので、恐らく制度を何か将来的につくるとすれば、労働者と一人親方のほうでつくっていただくということに多分なると思いますので、どちらも原因者負担の話にはなり得るんですけれども、工場周辺住民のほうの原因者負担と、労働者の方々の原因者負担の話、考え方が多少違ってくるので、一つの制度に必ずしもしなくていいということもありますし、あと省庁の関係で、それぞれの役割がおありなので、そこはある程度考えざるを得ないので、その辺も踏まえて、将来制度を構築していただければと思っていますけれども、今回はとにかく環境省に対してお願いするところは、労働者のところはお願いしにくいと思いますので、今後の重要な検討課題としていただければありがたいということでございます。一言申し上げました。

○浅野委員長 ありがとうございました。将来的に検討しなければならないとすれば、かなりいろいろな問題があるということは、これまでの小委員会の議論の中にもあったわけですが、念のためにと言うことでそれについての補足のご意見をいただいたと思います。 
田村委員、何かございますか。

○田村委員 いろんな問題点が出た中で、しっかりと方向性をまとめていただいたと思います。

○浅野委員長 根本委員は何かご発言ございますか。

○根本委員 報告書案につきましては、これまでの議論を大変うまくまとめていただいておりますので、特に異存はございません。繰り返し申し上げているとおり、救済制度は、個別的因果関係を立証するのは困難であることから、救済を迅速に行うために始めたという経緯がございます。その状況は今も変わっていないと思いますので、この報告書の方向で進めていただければと思います。民間事業主といたしましては、今後とも国、地方自治体とともに制度を支えてまいりたいと考えているところでございます。
 ただ、繰り返しここの場で申し上げているとおり、拠出についてのバランスが崩れている現実がございますので、この点についてはできる限り、様々な検討がなされることを期待しているところでございます。
 報告書案の記載内容を踏まえた形で、現行制度の基本的な考え方を踏まえながら、今後の制度運用に当たっていただきたいという希望を述べさせていただきます。以上でございます。

○浅野委員長 ただいまのご発言については議事録に明確に残していきます。特に費用負担の問題についてはあまり突っ込んだ記載はございませんが、ご了承ください。
 古川委員どうぞ。

○古川委員 大塚先生、ありがとうございます。実は私たちの本当に率直な気持ちを書かせていただいたという次第で、そのことに関して、きょう発言したいと思っていたことがあります。
 一人親方が労災保険に加入していなかったのは、彼らの責任ではありません。石綿を吸って数十年もたって発病するなどということは、その当時の労働者は誰もわかりませんでした。自分が気をつけて仕事をすれば労災事故は防げると誰もがそう思って働いていました。しかし、本人の過失ではないところで労災事故が起こってしまった。それがこのアスベストの労災事故です。それなのに一人親方、あるいは事業主で特別加入に入っていなかったというだけで差別されることは、あまりにもひどい話です。せめて肺がんの救済法の認定基準を労災並みにしていただきたいと、そう願っております。
 そういった中で、前回、岸本先生のご発言にあったように、肺がんの、これは労働者ではありませんけれども、工場周辺の住民の方たちの肺がんの実態調査も行いつつ、やっていただければと願っております。そして今見えている患者さんをとにかく早急に救っていただきたいと思います。決して研究のために先送りにすることなく、今の命を助けてください。以上です。

○浅野委員長 この点に関しては、これまでの委員会の議論の中ではさらに情報をしっかり集めなければならない、この点に関してはほぼ意見が一致しておりますので、その点について、古川委員のおっしゃるように、単なる学問研究のための情報収集ではないということをよく事務局も理解をした上で、それにふさわしい調査のあり方を構築していただければと思います。よろしくお願いいたします。
 ほかにございませんか。
 はい、どうぞ。

○古川委員 きょう資料でお配りさせていただいている新聞記事です。実は、先ほど事務局の室長から説明のあった資料2の5ページのところに、指定疾病のちょっと上のほうですね、被認定者の介護等について実態調査を行うべきであるという文言がありますけど、ここは被認定者の対象に遺族も入れてください。実態調査は患者及び既に亡くなっている方の遺族も入れて実態調査を行ってください。
 それと、きょうもう一つお配りしているオレンジバルーン、日本緩和医療学会のキャンペーンですけども、なぜ私がこれをお手元にお配りしたかというと、ここに書いてあるように、自分の経験から、本当に担当していただいているお医者様の一言で私は勇気づけられて、頑張ってこられました。そして、今ここに座っていることも、これが原点になっています。私はこういった気持ちが、今後実態調査をする中で、今後あるいはこういった委員会で見直しをする中で、もちろんきょうおられる委員の先生方はこういった形で患者さん、被害者に寄り添っていただけることと信じておりますけど、私たちもまた常に被害者に寄り添って、ともに分かち合っていきたいと思いますので、先ほどの繰り返しになりますけど、ぜひ一緒にやって頑張っていきたいとい思います。
 それと最後に、きょうの神戸新聞に出ていましたけど、環境副大臣のコメントをとった記事が出ております。資料としてお配りできないのが残念なんですけども、関環境副大臣のコメントを神戸新聞の加藤記者がとっておられますけど、副大臣がおっしゃっているのは、「皆さんに納得してもらえるよう、自らの問題として責任感を持って取り組みます」というコメントを出しておられます。これも本当に大きく受けとめていきたいと思います。以上です。

○浅野委員長 古川委員、ほかにまだご発言がございましたら。以上でよろしいですか。

○古川委員 結構です。ありがとうございます。

○浅野委員長 ただいまのご発言はご要望ということでございますので、事務局としては十分検討していただければと思います。
 ほかに特にご意見がないようでしたら、これまでにいろいろとご意見をいただいたことをもとに、現段階で書けることについて一生懸命頑張って書いているということですが、なお調査を今後しっかり進めていただかなくてはならないということははっきりしておりますから、この報告をもとに今後の作業をさらに進めていただければと思います。
 議論はここで終了にさせていただきまして、きょう特に大きく修正せよというご意見はたくさんはございませんでしたけれども、先ほど幾つか加筆をするということについてご指摘がございましたので、それを踏まえた加筆については私にお任せをいただけますでしょうか。それを含めてパブリックコメントにかけまして、できればきょう、ほぼこの内容でご了解いただいておりますので、パブコメを経てかなり大幅に直さなければならないという事態が起こった場合には再度会議を開く必要がございますが、そうでない場合にはパブコメの結果について個別に委員のみなさまにご報告申し上げて、ご了承をいただければ、この委員会の報告ということにさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。

 (異議なし)

特にご異論がないようでございますので、そのように運ばせていただきたいと思います。
 それでは事務局からお願いいたします。

○課長補佐 ありがとうございました。座長から今ございましたとおり、本日の御意見、御指摘を踏まえまして、この後、報告書案をまとめさせていただきまして、その後、パブリックコメントを経て、最終的な報告書となります。パブリックコメント後の進め方につきましても今座長がおっしゃっていただいたとおりでございます。最終的な報告書につきましては、環境省のホームページ等で公表していきたいと思っております。

○浅野委員長 大変ありがとうございました。できるだけきょう出されましたご意見も踏まえながら、この報告にあります調査が速やかに行われますように、それから、とりわけIIIに書かれている制度の運用の改善ということに関しては、可能な限り急いでそれに取り組んでいただければと思います。
 なお、制度を取り巻く状況を考えながら、5年以内に改めて制度の検討といっておりますが、これも古川委員がたびたびおっしゃっているように、5年たったらやるというのではなくて、5年以内に可能な限り早くということはこの委員会の総意でもございますので、事務局もどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、これ以外に事務局から何かご報告がございましたら、どうぞ。

○課長補佐 本日の議事録につきましては、事務局で原案を作成いたしまして、委員の皆様にご確認いただいた後、環境省のホームページに掲載する予定でございます。また、それまでの間につきましては、本小委員会の運営方針に基づきまして、会議の音声を環境省のホームページに掲載させていただく予定でございます。
 それでは、以上で第5回石綿健康被害救済小委員会を終了したいと思います。どうもありがとうございました。

○浅野委員長 どうもきょうはありがとうございました。これで閉会いたします

午後2時06分 閉会