第4回 中央環境審議会 環境保健部会 石綿健康被害救済小委員会 議事録

1.日時

平成28年8月10日(水) 13:00~14:28

2.場所

航空会館201会議室

3.議事次第

  1. 開会
  2. 議事
     (1)石綿健康被害救済制度の施行状況について
     (2)その他
  3. 閉会

議事録

午後1時00分 開会

○課長補佐 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第4回中央環境審議会環境保健部会石綿健康被害救済小委員会を開催いたします。
 本日の会議は公開で行います。
 また、報道機関の皆様のカメラ撮りは冒頭のみ可能としております。
 なお、傍聴者の方々には撮影のご了解をいただいておりませんので、カメラ撮りの際はメーンテーブルのほうでお願いいたします。
 傍聴者の皆様におかれましては、傍聴券にも記載されておりますが、今から読み上げる留意事項を遵守してください。
 傍聴券を持っていない方や代理人の傍聴は認められません。事務局の指定した場所以外の場所に立ち入ることはできません。静粛を旨とし、審議の妨害となるような行為は慎んでください。審議中にカメラ撮りをすることはできません。携帯電話等の電源は呼び出し音が出ないようにしてください。会議の開始前後を問わず、会議場内において委員等に対して抗議または陳情等はお断りします。その他職員の指示に従うようお願いいたします。これらを守られない場合には、他の傍聴者の迷惑にもなるため、退場していただくことがありますので、何とぞ遵守をお願いいたします。
 また、火災・地震発生時のご案内を会場からいただいており、資料とともにお配りしておりますので、ごらんください。
 本日は、小委員会委員10名全員ご出席と聞いておりますが、今村先生がまだお越しになっておりませんけれども、定足数は満たしております。
 それでは、本日の資料の確認をしたいと思います。
 資料1、委員名簿、資料2、石綿健康被害救済制制度の施行状況に関する主な地方自治体からの意見について、資料3、石綿健康被害救済制制度の施行状況及び今後の方向性について(たたき台)、参考資料、中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会提出資料。また、この参考資料につきましては、委員限りの資料も卓上にお配りしております。加えまして、古川委員から委員限りの資料も提出いただいており、こちらも卓上にお配りしております。さらに、第1回から第3回の配付資料、これまでの石綿健康被害救済小委員会の答申報告書、中央環境審議会関係法令等をファイリングしたものも卓上にお配りしております。
 もし不足がありましたら事務局までお申し出ください。
 カメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、ここからの議事進行は浅野委員長にお願いしたいと思います。
 浅野委員長、よろしくお願いいたします。

○浅野委員長 それでは、ただいまから第4回の小委員会を開催いたします。
 今日は、これまでの皆様方のご意見あるいはヒアリング等を踏まえて、この小委員会としての報告をどのような形で取りまとめるかということについてご議論をいただきたいと思います。
 また、前回、古川委員からご要望がありましたので、アスベスト被害者が多数おられると思われる地方公共団体に対して、石綿健康被害救済制度の施行状況に関する、この小委員会での審議に対するご意見を調査するようにということを事務局に依頼いたしましたところ、幾つかの地方公共団体からご回答をいただいておりますので、その結果についても事務局から説明をいただきます。
 それでは、資料2と資料3を続けてご説明いただきますので、よろしくお願いいたします。

○高城石綿健康被害対策室長 それでは、説明をさせていただきます。
 初めに、資料2をお手元にご用意いただきたいと思います。石綿健康被害救済制度の施行状況に関する主な地方自治体からの意見についてということでございます。こちらについては、ただいまご紹介のとおりでございます。これを踏まえまして、環境省の試行調査に平成28年度に参加している、以下の「※」に書いてあります7府県の自治体を対象に、施行状況に関する本小委員会に対する意見について照会をさせていただいたというところでございます。
 照会の結果、兵庫県の尼崎市及び大阪府の泉南市・阪南市から意見をいただいたところでございます。
 まず、兵庫県尼崎市でございます。題名といたしまして、「石綿による健康被害救済制度の更なる充実について」(平成28年7月22日付)でございます。
 1、特に現役世代で認定を受けた方が家族とともに安心して生活ができるよう、療養手当の増額など経済的負担を軽減できるような救済給付制度の充実を図られたい。
 2、中皮腫については、治療がまだ難しい状況にあることから、救済制度の中で独立行政法人環境再生保全機構に集まる情報を活用して、より効果的な治療方法の確立に向けて調査研究を推進されたい。
 3、救済法の認定等決定については、いまだ多くの日数がかかっていることから、更なる決定の迅速化に向けた体制の構築を図られたい。
 4、労災保険では救われない方々も隙間なく救済していくためには、指定疾病を労災と同等にしていく必要があることから、良性石綿胸水に関する知見の更なる収集を図られたい。
 5、石綿による健康被害の発生が今後も見込まれることから、石綿健康被害救済法において、自治体が保険者として負担している医療費部分について全額負担するような制度の構築を図られたい。
 6、制度利用アンケート集計結果については、被認定者からの貴重な声であり、また、回収率も高いことから非常に貴重なデータであることから、小委員会においても報告書の内容全て提供していただいた上で議論していただきたい。
 以上でございます。
 おめくりいただきまして、大阪府泉南市・阪南市からの要望でございます。「アスベスト問題に係る緊急要望」(平成28年8月1日付)でございます。
 上の部分にもございますように、石綿健康被害救済制度の更なる充実に向け、国の積極的な裁量による被害者の掘り起こしや、環境ばく露も含めたすべての被害者が平等な救済を受けられるよう、さらに将来アスベストに関する新たな問題が惹起した場合、速やかに対処していただきますようお願い申し上げます。
 また、国に対しては両市においても毎年要望を重ねてきておりますが、本年1月にも要望を行いました下記事項についても善処賜りますようお願い申し上げます。
 記とございます。
 1、健康被害に関する要望。
 ①平成27年度からの実施の、「石綿ばく露の健康管理に係る試行調査」について、アスベスト被害に不安を抱くすべての市民を対象とするよう緩和すること。また、胸部CT検査等に対する助成及び石綿健康相談に対する専門的立場からの指導・助言について、継続的な支援を行うこと。
 ②アスベストによる健康被害に対する診断・治療方法の開発・研究速度を進め、医学的知見を確立するとともに、本市を含む泉州医療圏における医療機関の充実を図ること。
 ③アスベストによる健康被害の救済における指定疾病に係る医学的判定に関する考え方において疫学的調査結果を踏まえ、より柔軟な対応や新たな対応策の構築を図ること。
 2と3につきましては、直接この制度に関するものではございませんけれども、環境保全に関する要望、財政支援に関する要望が出ておりますので、ご高覧いただければと思っております。
 続きまして、資料3でございます。こちらは、石綿健康被害救済制度の施行状況及び今後の方向性についてということで、たたき台でございます。
 本小委員会では、これまで患者・家族と専門家からのヒアリングや自由討議を行ってきたところでございます。本資料は、本小委員会でのこれまでの議論を踏まえ、今施行状況を踏まえた論点及び今後の方向性について整理したものでございます。
 この資料のつくりでございますけども、簡単に申し上げますと、1から6までの論点それぞれにつきまして、現行制度の施行状況として(1)、それから(2)として、今回の小委員会で指摘された論点及び今後の方向性を整理したものでございます。
 まず初めに、1ページ目の1、制度の基本的考え方・救済給付でございます。
 (1)現行制度の施行状況でございます。こちらにつきましては、主な事項についてご紹介を差し上げますと、石綿による健康被害は、本来は原因者が被害者にその損害を賠償すべき責任を負うものとされております。原因を特定して民事上の損害賠償を請求することが困難である、重篤な疾病であるというような特殊性がございます。現行制度は、こうした石綿による健康被害の特殊性に鑑みまして、国が民事の損害賠償とは別の行政的な救済措置を講じているというものでございまして、原因者と被害者の個別的因果関係を問わず、社会全体で石綿による健康被害の経済的負担の軽減を図るべく制度化したものであるということでございます。
 2パラ目につきましては、現行制度の給付内容ということで、制度の性格を踏まえ、補償ではない見舞金的なものであること、また、制度設計に対しては、医薬品副作用健康被害救済制度を参考としつつ、給付内容のうち、補償的色彩の強い、生活保障的な給付項目である障害年金ですとか遺族年金は採用されてございませんで、日本国内において石綿を吸入することにより指定疾病にかかったという認定を受けた者に対しまして、医療費の自己負担分、それから療養手当およそ10万円、葬祭料が支給されているところでございます。こうした機会を失した遺族の方に対しましては、国が特別に弔意を表明しまして、特別遺族弔慰金としまして280万円及び特別葬祭料として19万9,000円が支給されているところでございます。
 3パラ目でございますけども、現行制度の給付水準については、制度の性格を踏まえまして、類似の制度との均衡を考慮しながら設定しているということでございます。
 おめくりいただきまして、2ページ目の上から4行目からは、これまでの救済給付についての経緯が書かれているところでございます。制度が創設されました後、平成20年、平成23年と議員立法による法改正が行われまして、医療費及び療養手当の支給対象期間の拡大などが図られているところでございます。こうした中、現行制度において、平成28年6月末現在で累計1万1,246件が救済給付の対象として認定されているところでございます。また、制度利用に関するアンケートの結果によりますと、現行制度の満足度については、「とても満足」「満足」との回答が53.7%、「不満」「とても不満」との回答が10%、また、療養手当の支給額については「妥当だと思う」との回答が28.1%、「妥当とはいえない」というのが7.1%という状況でございました。
 (2)の指摘された論点及び今後の方向性でございます。最初のパラグラフには、本小委員会での審議における論点を書いてございます。ヒアリングの中で、特に中皮腫については、予後の悪さに加え、肉体的にも精神的にも大きな苦痛を伴う上、介護や通院に伴う費用が多額となる場合があることや、特に若年で発症すると家族の生活に不安を抱える場合があることなど、また、他の制度に比べて給付に差異があることが疑問であるというようなご意見が出まして、それらを踏まえて、健康被害や療養の程度に見合ったものになるよう療養手当の増額を検討すべきではないかというご意見をいただいております。また、遺族年金のような遺族に対する給付を検討すべきではないかというご意見もございました。一方で、現行の救済制度は補償制度とは異なるものであり、社会全体による迅速な救済という現行制度の基本的な枠組みを維持して安定的な制度運営を図るべきとのご意見もいただいているところでございます。さらに、その中で最大限の救済を図るとの観点から検討すべきではないかというご意見をいただいております。また、来年度以降の費用負担のバランスを考慮するべきではないかと、こういうご意見もいただいております。さらに、長期的な検討課題といたしましては、諸外国の制度も参考にしながら、補償制度に向けた検討が必要ではないかというご意見をいただいております。一方で、仮に補償制度に転換するのであれば現行制度をゼロベースで見直す必要があり、その場合には、現在の基金はそのまま補償に充てることはできないのではないかというご意見をいただいております。
 「この点については」というところ以降、今後の方向性についての記載でございます。
 制度の基本的考え方の検討に当たりましては、健康被害の救済という視点はもとより、制度の性格や費用負担者の在り方の視点も含めることが必要でございます。こうした視点から見ますと、現行制度について、二次答申にございますように、事業主の労働基準法上の災害補償責任を担保する労災制度、それから、医薬品等の製造販売者の社会的責任に基づく医薬品副作用健康被害救済制度のような保険(的)制度、その他記載の制度、こういった制度と同様の性格とすることは困難であるという点については、現時点においても変わりはないとするほかないのではないかということでございます。
 一方で、現行制度の基本的な考え方に基づき個別的因果関係を問わず石綿健康被害の迅速な救済が図られていることから、今回の審議において現行制度の基本的な考え方を変えるべき状況にあると結論されることは、結論はできないのではないかということでございます。また、救済給付については、前述のとおり療養手当の増額等を求める意見が出されている一方で、制度の基本的考え方や類似の制度との均衡を考慮して設定してございます。制度利用アンケートによれば、現行制度や療養手当について不満と回答した者の割合は必ずしも高くないのではないかということでございます。
 したがいまして、今後とも制度を取り巻く事情の変化に注視しつつ、当面は、費用負担に関する意見も聞きながら、社会全体で石綿による健康被害者の経済的負担の軽減を図るとの現行制度の基本的考え方を維持して安定的かつ着実な制度運営を図ることにより、引き続き石綿による健康被害の迅速な救済に努めるべきではないかということでございます。
 続きまして、2番目の論点でございます。
 最初に、現行制度の施行状況でございます。現行制度の指定疾病につきましては、重篤な疾病を対象としているところでございます。こうしたことから、制度開始当初は石綿を原因とする「中皮腫」及び「肺がん」を指定疾病としてございます。その後、平成22年の政令改正により、著しい呼吸機能障害を伴う「石綿肺」及び「びまん性胸膜肥厚」が指定疾病として追加されたという経緯がございます。
 また、特に石綿を原因とする肺がんにつきましては、喫煙を始めとしまして様々な原因がございます。こうしたことから医学的判定については、肺がんの発症リスクを2倍に高めるような石綿ばく露があったとみなされる場合に、石綿によるものであると判定しているところでございます。具体的には、こちらに記載のような国際的なコンセンサスに基づきまして、ばく露歴を厳密に求めることはなく、医学的所見に基づいて判定を行っているというところでございます。こうした中、平成25年6月には、こうした発症リスクを2倍に高める医学的所見を追加したところでございます。その後も、胸膜プラークや記載のような知見の収集を図っているというところでございます。
 (2)が指摘された論点及び今後の方向性でございます。こちらでは、主な論点として二つございますが、第1点は、ヒアリングでの意見を踏まえまして良性石綿胸水などを指定疾病に追加すべきではないかとの意見があった一方で、現行制度は重篤な疾病を対象とするものであるとの意見をいただいております。また、良性石綿胸水については重篤な疾病を対象とする現行制度では指定疾病としてございませんが、そのうち、一定のものについては、びまん性胸膜肥厚として判定するなど取り扱いを検討すべきではないかというご意見もいただいているところでございます。一方で、具体的な基準については更なる研究が必要というご意見をいただいております。
 この点につきましては、重篤な疾病を対象としているということを踏まえまして、症状が様々である良性石綿胸水、石綿肺合併症を一律に対象とすることは難しいのではないかというところでございます。今後、良性石綿胸水のうち、いわゆる被包化された胸水貯留が認められる症例につきましては、石綿を原因とする「著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚」ということで判定することができるのかどうか、その具体的な医学的判定基準を含めて検討をしてはどうかということでございます。なお、石綿肺につきましては、合併症の有無にかかわらず、著しい呼吸機能の障害を伴う重篤な病態については、既に指定疾病とされているところでございます。
 また、二つ目の論点といたしましては、石綿を原因とする肺がんの医学的判定について、ヒアリングでのご意見もございましたように、労災においては作業従事歴が一つの指標となっていること、救済制度においても石綿肺、びまん性胸膜肥厚の判定に当たり作業従事歴が考慮されていること、こうしたことを踏まえれば、救済制度の肺がんの判定に当たっても作業従事歴を指標の一つとして採用すべきではないかというご意見をいただいております。一方で、作業従事歴を指標として採用することは現行制度の趣旨及び客観性の観点から困難ではないかというご意見もいただいております。また、現行の肺がんの医学的判定基準は必ずしも厳しいものとは言えないのではないかというご意見もいただいております。さらには、この肺がん発症に対する石綿と喫煙の関係などの医学的知見の収集も必要ではないかというご意見をいただいております。
 この点につきましては、現行制度では、肺がんの発症リスクを2倍に高める量の石綿のばく露、すなわち石綿によるものである蓋然性は50%というような国際的なコンセンサスが得られている科学的知見がございますが、このうち、この幅のある値の中でその最少本数を採用しているという状況にございます。また、肺がんの発症リスクにつきましては、ばく露に相当する医学的所見が確認されれば、ばく露を問わずに判定するという状況にございまして、現行制度における肺がんの医学的判定基準というのは、科学的根拠に基づきつつ、個別的因果関係を問わず迅速な救済を図るとの制度趣旨に照らして設定されているところでございます。こうした中で、作業従事歴を指標として採用することにつきましては、まず①といたしまして、作業従事歴により労務起因性を判定する労災制度とは異なり、現行制度が個々の原因者の特定が困難であるという特殊性に着目している制度趣旨であるということ、それから、②としまして、肺がんにつきましては、石綿肺及びびまん性胸膜肥厚の場合と異なり、作業従事歴を指標として石綿によるものであると判定しようとすると、その厳密な精査が必要となるところ、現行制度の性格上、作業従事歴を確認するために必要な客観的資料が乏しいという現状にございまして、調査体制を整備したとしましても、作業従事歴を厳密かつ迅速に精査することには限界があるのではないか、また、③といたしまして、肺がんについては、石綿肺及びびまん性胸膜肥厚と異なり、石綿によるものであることを判定可能な指標としての医学的所見があること、また、④として、石綿による肺がんについては作業従事歴との関係も含め知見が十分に得られていないのではないか、こうしたことから、作業従事歴を指標として採用することは困難と整理するほかはないのではないかということでございます。なお、石綿による肺がんについて、引き続き知見の収集に努めていくべきではないかということでございます。
 3番目の、5ページ目に入りまして、制度の運用面でございます。
 現行制度の施行状況でございますけれども、二次答申におきましては、労災保険制度との連携強化、認定に係る対応の迅速化、制度の周知、医療機関への情報提供など、ご指摘を受けているところでございます。
 これを受けて、記載のような取組が実施されておりまして、また、認定に係る対応の迅速化のために、記載のような取組を実施しております。この結果、平成18年度と27年度とを比較してみますと、療養者に係る平均処理日数について173日から106日まで短縮されているという状況にございます。
 さらに、広報活動につきましては、一般向けの広報活動、それから医療機関向けの情報提供が実施されているところでございます。また、平成25年度からは、石綿を原因とする肺がんの医学的判定における繊維計測の体制整備等が実施されているという状況にございます。
 (2)の指摘された論点及び今後の方向性でございます。まず、中皮腫死亡者のうち救済制度や労災制度等を利用していない者が依然として一定数いるということが考えられること。また、中皮腫に限らず石綿健康被害の救済制度の存在が医療現場において完全には浸透していない可能性も考えられるということなどから、更なる制度の周知をすべきではないかというご意見をいただいております。この点につきましては、一般向けの広報活動を継続しつつ、さらに医療現場において救済制度への申請を勧奨できるよう、呼吸器学会に関連する学会や、看護師や医療ソーシャルワーカーの団体等に対して救済制度や医学的知見の周知を図るべきではないかということでございます。
 また、ヒアリングの意見を踏まえまして、中皮腫と診断された者が療養に専念できるよう療養や制度等に関する総合的なフォローアップを関係者の協力を得て行うことが必要ではないかというご意見、それから、専門医のリストを作るべきではないかというご意見をいただいているところでございます。これらにつきましては、関係者の協力を得ながら、関係医療機関のリスト、救済制度や地域の医療・介護・福祉サービス等に関する総合的な情報を提供することなどを検討すべきではないかということでございます。
 さらに、肺がんの医学的判定における繊維計測について、更なる迅速化を図るべきではないかというご意見をいただいておりまして、これにつきましては、体制整備を引き続き実施することで、精度管理を徹底しつつ計測の迅速化を図るべきではないかということでございます。
 さらに、申請に係る負担軽減につきまして申請書類の合理化を行うべきではないかというご意見もいただいております。これにつきましては、申請書類の電子入力化などを行うとともに、申請に当たっての課題を踏まえて窓口である保健所職員への研修も強化すべきではないかということでございます。
 続きまして、6ページ目でございます。4番目、健康管理でございます。
 施行状況でございますが、こちらにつきましては、平成26年度にかけまして「石綿の健康リスク調査」というものが実施されまして、健康管理による不安減少のメリットや検査に伴う放射線被ばくといったデメリット等の健康管理の在り方を検討するための一定の知見を得たというところでございます。27年度からは、試行調査という形で、実施主体、既存検診との連携方法、対象者・対象地域の考え方、検査頻度などの課題について調査・検討を実施しているところでございます。
 (2)の指摘された論点及び今後の方向性でございます。石綿疾患の患者さんを専門外来・専門窓口につなぐ支援ですとか、震災から数十年経過後の住民への健康不安への対応が必要ではないかというご意見をいただいております。また、兵庫県での実施している住民の健康管理の支援のための「健康管理手帳」のような取組を実施すべきではないかというご意見もいただいております。一方で、今後の健康管理の在り方の検討に当たっては、リスク調査で得られた健康管理のメリット・デメリット等の知見を踏まえつつ、現在実施されている試行調査を、対象地域を拡大しつつ、しっかりと評価すべきではないかとのご意見をいただいております。さらには、将来的に、検討等に必要な予算については基金の運用益を活用することも一案ではないかというご意見もいただいております。これらの点につきましては、石綿ばく露による健康不安に対応するために、試行調査を対象地域の拡大に努めながら継続し、その調査結果について適切な時期に評価を行った上で、その評価を踏まえつつ、兵庫県での取組事例等も参考にしながら、実施主体や費用負担の在り方も含め、効果的・効率的な健康管理の在り方について引き続き検討をしていくべきではないかということでございます。
 また、試行調査において、保健指導を適切に実施するために、専門知識に関する研修を行うべきではないか、その際、石綿による健康被害は高齢の方に多く見られるとの実態を踏まえると、高齢の方にもしっかり情報が伝わるような考慮が必要ではないかというご意見もいただいております。これにつきましては、高齢の方へのわかりやすさに配慮しつつ、保健指導に関するマニュアルの作成、保健師向けの研修会の更なる充実を図っていくべきではないかということでございます。
 5番目の調査研究でございます。
 現行制度の施行状況でございます。二次答申における指摘を受けまして、平成25年度から「中皮腫登録」というものを実施してございます。平成27年度からは環境省のホームページにおいて情報公開もしているところでございます。
 おめくりいただきまして、中皮腫の診断方法の向上等のため、各種の医学的解析調査や厚生労働省においては中皮腫の遺伝子治療薬等に関する研究の支援が実施されているものでございます。
 指摘された論点及び今後の方向性でございます。こちらでは、救済制度で認定された中皮腫患者の医学的情報の登録を継続し、そちらから得られた知見を活用しまして診断方法等に関する情報を情報提供すべきではないかとのご意見をいただきました。この点につきましては、この登録を継続しまして認定を受けた中皮腫患者の症例の集積を行いつつ、医療機関での診断精度の向上、中皮腫の診断精度の向上に資する情報を提供できるように検討していくべきではないかということでございます。
 また、がん登録推進法に基づくがん登録制度において登録された中皮腫の統計データを分析すれば治療に関する一定の知見が得られるのではないかというご意見をいただいております。この点については、今後、医療機関での治療方針に関する情報の提供に向けて、当該がん登録制度の趣旨、内容を踏まえた活用方法について、関係省庁と連携して検討すべきではないかということでございます。
 加えまして、今後とも、これら以外にも石綿を原因とする疾病に関する医学的知見の収集に努めるべきではないかということでございます。
 最後に、その他でございます。制度の定期的な見直しが必要ではないかというご意見をいただいております。この点につきましては、以上ご紹介した今後の方向性に沿って必要な措置が講じられた上、5年以内に制度全体の施行状況の評価・検討を改めて行うことが望ましいのではないかということでございます。
 事務局からの説明は以上となります。よろしくご審議をお願いいたします。

○浅野委員長 それでは、これまでいただいたご意見を基に整理をし、今後の方向性について、事務局からたたき台としての案が示されておりますが、これにつきまして、ご意見がございましたらどうぞお出しください。
 古川委員、どうぞ。

○古川委員 まず、制度利用アンケートの件ですけども、到底このアンケートの内容については、私たちは納得できません。現在の状況で満足、妥当として済ませるのはおかしいと思います。それは、第1回目の小委員会ヒアリングで話をされた患者・家族の声などが反映されていないと思います。そのヒアリングで皆さんがおっしゃったこと、あるいは今日の補足資料を見ていただいても、それだけでも制度の改正に踏み切るのに十分なだけの資料があると思っております。なおかつ、委員限りとして配付させていただいたこの資料、カラーのこの資料をごらんになっていただいてもわかると思います。そして、この資料に関しては、また後で述べさせていただきます。
 なおかつ、まだエビデンスとして不十分だと言うのならば、救済給付がどの程度役立っているのか、あるいは現実にどの程度皆さん方がまだ苦労を抱えていらっしゃるのか、いないのか、そういったことを実際、患者・家族の本当の実態を至急に調査・把握すべきだと思います。まず、このアンケートの結果に頼るだけではなくて、そういった実地の調査をしていただきたいと思います。
 加えて言うならば、このアンケートをとったときは、まず認定になって、ほっとした瞬間にこのアンケートをとられています。申請を出して2カ月あるいは3カ月、4カ月、長い人は半年とかかかったときに認定通知が来たら、誰でもよかった、ありがたい、うれしいとまずはそこで安堵します。そういった組み立てのアンケートの結果をこの場で満足している、妥当であるという結論を出されることは到底納得できません。
 以上です。

○浅野委員長 ほかにご意見ございましたらどうぞ。
 大塚委員、どうぞ。

○大塚委員 どこでもよろしいんですよね、はい。
 2点ございますが、1点は、現行の枠組みを維持するということがこのペーパーの基本ですが、前にもご議論ございましたように、患者さんの中で交通費が非常に高い方とか介護費用が非常に高い方という人もいらっしゃると思いますので、給付の水準として、現在のものだけで適切なのか、そういう方に関して特別の考え方をとる必要がないかということに関して、ぜひ調査をしていただきたいということが1点でございます。
 それから、もう一つは、私は法律家ですので、法との関係の話になりますが、実はこちらのほうが、ある意味で理論的には重要な問題かもしれませんけども、まず最初に申し上げておきたいのは、私は、今回、基本的な考え方について何か修正できると思っていませんし、例えば建設労働者の石綿被害の救済制度を別につくることについては、他省庁との関係がございますのでこの会議ではできないというふうに判断しておりますので、それを前提にした上でのお話ですが、この1ページから3ページあたりまでに書いてある考え方に関して、最近の東京地裁とか、あるいは京都地裁の考え方との関係で言うと、少し考え方が追加されてきているので、そこに配慮した書き方をしていただけるとありがたいということです。それは一言で言うと、個別的因果関係が認められるというのは、これは民事責任としては基本的な発想ですが、そういう民事責任と、それから全く対照的な社会全体で負担するという考え方の間に、総体的には――総体的というのは総合の「総」に「体」という字のほうの総体的ですけども、責任は原因者が負っているはずなので、原因者負担として負担すべきだという考え方が間にあるわけですけども、それが忘れられているところがあるということが最近特に示されてきているので、その点に若干配慮した書き方をしていただけるとありがたいということです。それは何かというと、ある時点から石綿についての製造者、販売者は、警告の表示義務違反の事態に陥っているはずですが、しかし、例えば建設アスベストの、ここだと一人親方が関係しますけども、中皮腫になった方のことを考えると、個別的因果関係を証明するのは非常に難しいと。各一人親方の方たちというのは、あちこちで石綿の建材に被ばくしておられますので、どのメーカーの石綿の建材に被ばくしたかが、個別的因果関係の証明が非常に難しいということがございますけれども、しかし、そもそもそういうものを、警告表示義務違反をしなければ被害は発生しなかったという意味で、全体的には当然責任を負うべき人が負わないということが民事責任になると発生してしまうという問題がございますので、京都地裁はそこを頑張って何とか個別因果関係を証明し、認めようとした判決ですけども、なかなか裁判所でそれをやるのはとても大変で、東京地裁はそういう観点から何とか立法で解決してほしいと言っているわけです。こういう問題がありますので、最初に申しましたように、今回、この石綿被害救済の制度を何か抜本的に変えなくてはいけないということを言うつもりは私は全くないですが、むしろ他省庁との関係を含めてご検討いただけるとありがたいと思っていますけれども、物の考え方として、民事責任と社会全体の負担の間に原因者負担という考え方があるということがございますので、そこをちょっと全く無視した書き方のようにも読めますので、配慮していただけるとありがたいという趣旨でございます。
 以上でございます。

○浅野委員長 ありがとうございました。
 ほかにご意見がございましたら、どうぞお出しください。いかがでございましょうか。
 古川委員、まだご意見があるとおっしゃっていました。どうぞお続けください。

○古川委員 まず、こちらのカラーの資料のほうで書かせていただいております。この資料は、ごめんなさい、傍聴席の方。ちょうど「クボタショック」が起こった直後に、このような形でアスベストセンターにおいて記者会見を行いました。そのときに、患者と家族の会の前会長である中村實寛さんが、まず開口一番、「明日を下さい」とおっしゃいました。皆そこにいたマスコミ、報道陣の方たちも、私も横にいて驚きました。「明日を下さい! 私たち中皮腫患者には明日がないのです」「生きるための、明日をください」と泣きながら訴えられました。それはなぜかといったら、このとき、中村實寛さんは既に、建設業で労災認定を受けておりました。しかし、幾ら労災認定を受けても仕事ができなくなり、自宅で過ごす日々は彼の心をむしばんでいきました。やがて自宅マンションの8階ベランダから飛びおりることも考えたと言います。また、中村さんの苦しみは妻・喜美子さんの苦しみでもありました。夫がベランダにたたずんでいるときは常に不安にさいなまれました。
 また、ある患者さんは、ご自宅で悲惨な最期を遂げました。妻と長女が外出先から帰宅すると、玄関をあけたその目に飛び込んだ光景は、だらりと垂れ下がった両足でした。この瞬間から10年以上たった今もなお、妻は自分を責め続けています。夫が死を選んだのは、自分のご自身の病魔との闘いに疲れたことと、家族の負担を軽減するためだったのです。残された妻は、自分の介護が十分ではなかったという自責の念から後を追うことも考えました。しかし、障害のある長女を残して逝くことはできなかったのです。「夫が自死したことは誰にも知られないように肩を潜めて生きてきました。地獄のような10年間でした」と、私が初めてこのお宅を訪問したときにおっしゃいました。その話は、病魔との戦いだけではなく、家族の生活までも破壊してしまった、残酷な現実です。
 「中皮腫患者には明日がないのです。明日をください」と訴えた中村實寛さんの涙の理由がここにあったのです。
 2011年10月25日、発病から8年間、ひどい呼吸困難や痛みと闘いながら、中村さんは壮絶な最期を遂げました。彼の死後5年近くなりますが、いまだに残された妻の心はあしたを求めてさまよっています。
 最後になりましたが、包括的被害者救済のためには制度の組み立てが必要です。その中で最も重要なことはQOL(生活の質)を少しでも高めるための制度構築にあります。
 専修大学教授・阪本将英先生がヒアリングで述べた「包括的被害者」救済の実現を強く強く求めます。
 これが、私が今日お配りした資料です。
 私が言いたいのは、患者だけでなくて、家族もまた被害者である、そういった観点に基づいて制度を考えていただきたい。ということは、やはりこの間ずっと議論になっているように、患者だけではなく、遺族に対しても何らかの救済をしていただきたいと思います。そして、もしその救済のための財源が不足するというのであれば、この救済法の抜本的な趣旨に基づいて、広く社会から財源を集めてください。アスベストの労災認定を受けた労災被害者を出した事業所云々ではなくて、アスベストにかかわった、アスベストを取り扱った全ての事業所から財源を集めて、そして10年前の緊急避難的な制度としてこの救済法ができましたけれども、もう10年たった今はそこから一歩進んで、広く、浅く、社会全体で救済できるような制度をつくっていただきたい、そう願っております。
 よろしくお願いします。

○浅野委員長 ほかの委員からご意見がありましたら、どうぞお出しください。
 根本委員、どうぞ。

○根本委員 これまでの議論が繰り返されているように受けとめましたので、私もクラリファイする意味でこれまで述べてきたことの繰り返しをさせていただきたいと思います。
 資料3でご説明いただきましたとおり、この制度自体、原因者と被害者の個別的因果関係を問わずに社会全体で石綿による健康被害者の経済的負担の軽減を図るために構築されたものです。こうした考え方に基づきまして、民間事業主、国、地方公共団体のそれぞれが救済基金に拠出をして、被害者への救済給付が実施されてまいりました。
 前回申し上げましたとおり、2007年から現在に至るまで、民間事業主が継続的に基金に拠出してまいりましたのに対し、国は2005年度に一括で拠出した後、毎年の事務費の半額は出されていますけれども、それ以外には出しておられません。また、都道府県における拠出も本年度で終了するということでございまして、当初想定されていた費用負担のバランスが相当程度に崩れてきていて、被害者の経済的負担を社会全体で支えるという制度の趣旨が損なわれてきていると認識しているところでございます。制度の趣旨、目的を踏まえまして、費用負担問題を早急に解決することが必要であろうと思っております。
 なお、補償制度に関連して、原因者負担の話も出ました。こちらにつきましては、むしろ事務局に伺った方がよろしいかと思いますが、私としては、原因者の特定は極めて困難であるということが制度発足当初から想定されていたと理解しております。原因者から費用を集めるということになりますと、一つ一つの事業者について、費用負担すべきかどうかを全て確定しないといけないということでございますけれども、それができるのかという問題がございます。制度発足時、あるいは平成23年の二次答申がまとめられた時点で、費用負担すべき者の特定は可能であるというお考えがあったのかどうか、あるいは、現時点においてはどうか、確認させていただきたいと思います。私自身、それは難しいのではないかと思っておりますが、この点については、事務局に質問させていただきます。

○浅野委員長 お尋ねですので、事務局、何か見解があれば。

○高城石綿健康被害対策室長 事務局、石綿室長でございます。
 こちらにつきましては、資料3の1ページ目に記載のとおりでございます。現行制度の施行状況というところの3行目からの「特定の場所における石綿の飛散と個別の健康被害に係る因果関係を立証することが極めて難しく、原因者を特定して民事上の損害賠償を請求することが困難である」ということを踏まえて現行制度が構築されているというふうに承知しております。

○浅野委員長 先ほど、大塚委員が発言されたときの文脈での原因者負担と、それから、今、根本委員が言っておられる原因者負担というのは、言葉は同じでも意味が大分違うようですね。その辺のところ、大塚委員、もう少し丁寧にご説明くださいますか。

○大塚委員 民事責任の前提である個別的な因果関係と、私が言っている原因者負担というのは環境行政法で言われているものですので、違いますけれども、総体として製造販売者の、大体基本的に言えば、そのときの市場占有率で原因者としての責任を負う可能性というのは出てまいりますので、それは個々の被害者との間で、その製造者に個別的因果関係があるかどうかはわかりませんが、全体としての製造販売者というものを考えた場合に、そのシェアによって各被害者、また被害者集団との間で、こちらのほうが原因をつくらなければ、結果を発生しておりませんので、全体として負担をする必要が原因者のほうにあるという趣旨の総体的な、包括的な意味での因果関係ですので、民事の責任のことを申し上げているわけではないということでございます。現在訴訟でもアスベストの製造メーカーが訴えられているケースがございまして、国交省のデータベースに載っている会社も特定はされていますので、特定することは可能だと思います。

○浅野委員長 ちょっと議論が必ずしもかみ合ってないような気もするわけですが、とりあえず今の制度の中で原因者負担の考え方を持ち込むというのが大塚委員の発言ではなくて、むしろ将来何か物を考えていくときに、そのような考え方に基づく仕組みというのは論理的にはあり得るので、その論理的な可能性がないような表現はやめてほしいということを言っておられるだけですから、とりあえず、根本委員、ご懸念のような話ではないのです。

○根本委員 大塚委員のご指摘は十分に理解したうえで事務局に質問したつもりでございます。国交省のデータベースという話がございましたけれども、アスベストが使われ始めた時点からのデータベースが存在するわけではございません。併せて、会社の再編等により、当時の販売事業者等が既に存在しないという事態もございます。さらに申しあげれば、現在、救済制度を支えている民間事業主の中には、石綿の製造等が全面禁止された2012年以降に設立された会社も含まれているという事実がございます。こういったものを全て考え合わせますと、総体的な因果関係というご発言でございましたけれども、そういった範囲、概念を規定することは、ほぼ不可能に近い状態にあるのではないかということを申しあげたかった次第です。

○浅野委員長 わかりました。
 ほかにご意見がございますか。どうぞ。

○大塚委員 私は制度の骨格とかの基本的な考え方を申し上げているだけですので、それはそれで穴があいた部分については、どういうふうに対処するかということは考えるというのは常にあることで、例えば、公健法なんかについても、そういうことをやってきたわけですけれども、公健法は因果関係について割り切りをし過ぎていたので、私は中皮腫について特に問題にしているだけですけれども、そこは細かいところの話は検討していくことはもちろん十分可能だと思うんです。そういうことによって、もともと原因をつくった人が責任を負わないということになることが、まさに汚染とかを発生させておいて、あとはそれによって発生する被害等については全部行政や社会全体に任せるという状況を生みますので、環境法的には非常にまずい状況であるということも申し上げておきます。

○浅野委員長 委員の方、ほかにご意見ございましたら、どうぞ。
 古川委員、どうぞ。

○古川委員 一つ、委員の先生方にお伺いというか、拝聴したいと思うんですけれども、私、ずっと前回も言いまして、今回も包括的な被害者という意味で先ほどお話しさせていただいたんですけれども、救済法の対象が患者だけではなくて、家族及び遺族も被害者である。だから対象にしてほしいということを訴えているんですけれども、それについて委員の先生方、どなたでも結構ですので、ご意見があれば拝聴したいと思います。よろしくお願いします。

○浅野委員長 というお尋ねですが、どなたかご発言ございますか。
 どうぞ、新美委員。

○新美委員 ある事件から出てくるマイナスは、どこまでも波及していくわけで、そのうちのどこまでを救済するかというのは、ある意味で制度的な割り切りをしなければいけません。包括的とおっしゃいますけれども、どこまでを包括するのか、そういうことを議論しないで制度設計は不可能であります。単純に全体を救えばいいという話では制度設計をしようがないということであります。何をどこまで救済するのか。そのためにどれだけの財源が必要なのかということをきちんと議論しなければなりません。具体的な制度をどうするのかという議論をする必要があるんじゃないかと思います。

○古川委員 ありがとうございます。よろしいですか。
 新美先生、ありがとうございます。本当にある意味、言葉だけではだめだと、私も重々思っております。ただ、思いますのは、実際、ヒアリングでいろいろな方のお話を聞いていただいて、ヒアリングの結果がここに何も反映されていないような、一方通行のような気がして仕方ないというのが、私の正直な感想であります。だから、こういった場で、そういったヒアリングなどをお聞きになられて、資料をごらんになられて、実際、委員の先生方がどうお感じになったのかなということをお伺いしたかっただけです。
 制度構築に向けて、そういった意味で、平たく言えば、本当に先生方がお考えになっていることを、こういう場で議論し合って聞かせていただきながら、私たちも、こういった患者・家族の立場から学ばせていただきたい、前に進みたいと、そう思っております。

○浅野委員長 今、1について主に議論のやりとりがあるわけですが、2以下もございますけれども、ほかの論点について何かご意見ございますか。
 どうぞ、太田委員。

○太田委員 今回の救済制度の施行状況と今後の方向性についてということで、今、ほかの部分とおっしゃいましたので、兵庫県の立場としては、5ページの制度運用から6ページ以降の健康管理、調査研究の3項目については、これまで私どもが求めたことでもございまして、今までの委員のご意見、あるいは試行調査を行っております自治体の意見も反映しておりますので、どうぞ、今後こうした方向で推進されることを兵庫県としても期待いたしております。
 それから、少し戻って、制度の基本的な救済給付、前回も発言いたしましたが、制度そのものの性格から過去の議論も踏まえということを書いてございます、類似制度の状況も踏まえて、我々としては、制度の救済という枠組みの中で安定的な制度の運営がまず一番であろう。それでお話があったようなQOLも含めて被害者の方のためにできることを考えるということが、私の意見でございます。
 とりあえず、制度運用、健康管理、調査研究については、ここまで書いていただいて感謝申し上げたいと思います。

○浅野委員長 今村委員、どうぞ。

○今村委員 私も制度の運用の5ページ以降で、少しこれはお願い、文言を追加していただければと思っていることがございます。
 まず、5ページの(2)の指摘された論点及び今後の方向性の部分ですけれども、上から4行目、「特に呼吸器系の医師」とありますけれども、また医療現場でこういった救済制度の存在について十分浸透していない可能性がある、このことについては医師会にも大変大きな責任があると思っていますけれども、特に呼吸器系の医師というふうに限定をしないで、まず本来は全ての医師ということがあった上で、呼吸器系の先生のところに行かれる可能性が多いのでという部分で、「特に」の前が抜けている感じがします。
 それと、その下の2行のところで、「呼吸器に関連する学会や、看護師や医療ソーシャルワーカーの団体」とありますけれども、救済制度への申請を勧奨できるよう、医療関係団体、これはさまざまにありますので、そういったところへの周知ということも書いておいていただきたいというお願いです。
 それから、6ページですけれども、これも(2)の一番最後の行ですが、保健指導が非常に重要だということでマニュアルをつくろうということですが、これ保健師さんに限定されているんですけれども、認定看護師さんだとか、看護師さんという方も大変大事な職種だと思うので、ここを「保健師等」とか、対象者が保健師に限定されることがないように書いていただければと思っています。
 それから、先ほど、古川委員からもお話があった、非常にご本人の療養環境が厳しい中で最期を迎えられたというお話ですけれども、今、がん患者さんだけではなくて、例えば心不全の方だとか、そういった方に対しての緩和医療というのは別に最期を迎えるからそういうことをするのではなくて、なるべく疼痛が緩和されて、療養環境が苦しくないようにという意味で、今、厚生労働省でも緩和医療についての議論が幅広にされようとしていますけれども、中皮腫の患者さんについての診断がついた当初からの緩和医療ということも非常に大事なのではないかと思いますので、そういったことも健康管理の中に少し触れていただけるとありがたいと思っています。
 私からは、ぜひ追加を入れていただきたいというお願いであります。

○浅野委員長 ありがとうございました。
 岸本委員、どうぞ。

○岸本委員 私は主に指定疾病について述べてきたところでございます。前回も私が述べましたのは、ここに書いてありますように、この制度は、肺がん発生頻度を2倍にするということで、石綿肺がんの認定基準を決めてきたところでございます。そのためには、最初からばく露については問わないということでございました。ですから、職業性であろうと、環境性であろうと、どこでばく露したかわからない肺がん患者であって、肺がん発生頻度を2倍にする医学的な所見を認めた際には速やかに認めたということでございまして、前回出た一人親方に対する職業性ばく露云々というところはそぐわないのではないかというふうに前回申しました。
 基本的にはここに書いてあるとおりでございまして、胸部レントゲン正面像で胸膜プラークが明らかだとか、4分の1以上の広範囲なプラークを医学的に検討したところ、そのような医学的な所見は肺がん発生頻度を2倍にする石綿小体等が確認できたということで、25年4月に認定基準を変更したというところでございます。
 ここにも書いてありますように、石綿繊維というのは5年前にも古川委員が言われましたように、その測定が大変遅くて、すぐにできなかったということでございますが、我々も努力をしまして、最近は1年程度以内に測定をすることができるようになりました。でありますので、石綿小体に限らず、石綿繊維が肺がん発生頻度を2倍にする、5μ以上だと200万本以上、1μ以上であれば500万本以上というような、そういう医学的な肺がん発生頻度を2倍にする、計測について徹底的に追求してやっていくということで、肺がんの認定基準を満たしたものを認定するということで、私はいいんではないかなというふうに思っているような次第でございます。
 前回も言いましたように、職業性ばく露が10年以上で胸膜プラークがある人を労災補償しようと言ったのは1978年の労災の認定基準でございました。当時は大阪泉南の石綿紡績作業、石綿吹きつけ作業が日本の石綿産業でした。石綿ばく露作業の作業環境中の石綿濃度は非常に高かったのが事実でございますが、石綿吹きつけ作業を1975年に日本では中止して、もう40年以上たっている段階で、職業性石綿ばく露が10年以上で胸膜プラークというこの基準は、海外で論じても、肺がん発生頻度2倍にするかどうかというところは問題がございます。基本的には職場や、環境ばく露であれば、そのばく露濃度がある一定以上で10年というのはわかるんですけれども、なかなかこの基準は医学的にはわかりにくいということでありますので、ここに記載されているのが私は妥当だと思います。
 それと、今村委員も今言われましたけれども、肺がんというのは日本で7万人も亡くなるような最も多いがんでありますが、その中に石綿による肺がんというものが隠れているのも事実でありまして、皆さん方団体の方々が調べられたところによると、岡山県では肺がんの中で石綿肺がんの率が非常に高いということをご指摘いただいているわけでございまして、日常診療で肺がんを診たときに、喫煙も確かに重要ですけれども、石綿ばく露もありますよということです。例えば呼吸器外科の先生が、胸膜プラークがわずかにあるから、こういう例は石綿小体、繊維をはかりましょうというような、そういう関係各位にもう少し周知させるような努力をしていけば、労災認定や救済される方というのはふえていくのではないかなというふうに私は感じました。
 以上です。

○浅野委員長 ありがとうございました。
 田村委員、どうぞ。

○田村委員 今、岸本先生の話があったんですけども、2倍以上に高めるということで、今、いろんな基準がされているんですけれども、肺の組織の石綿小体なりをはかるとなりますと、これは手術標本とか、たくさんの組織が要りますので、皆、確かに肺がんの診断をするときに、BALと言いまして、生理食塩水で一緒に洗って、そのときに石綿小体をはかるというのも、それも5本以上というのが2倍以上に高める認定基準になっているんです。実際、肺がんの診断をされるときは、大抵気管支鏡をされると思うので、BALをして、その辺の本数を、実際僕も全然プラークも石綿肺もない方で肺がんの方だったんですけども、ただ、働いておられたんですけども、年数が10年に満たない方で、検査のときにBALしますと、900本あって、非常にたくさんの石綿小体がある方がありますので、そのときに一緒にBALもすると、石綿小体が数えられて、石綿肺がんの認定に役立つんではないかということで、これも余り、先ほど岸本先生から話があったように、肺がんの原因として石綿ということを認識されていないと、そのときにされないと思うので、この辺ももうちょっと普及をされるようにできればなと思います。
 それから、あと、健康管理のところで書いていただいているんですけども、兵庫県で健康管理手帳のような取り組みをされているということなんですけども、これは具体的に、例えば試行調査もされていると思うんですけど、その辺との兼ね合いとか、具体的にどういうふうにされているのかということを、わかれば教えてほしいと思います。

○浅野委員長 太田委員、今、田村委員からご質問がありましたが。

○太田委員 健康管理手帳については、この前、お話をさせていただきましたが、要経過観察、医学的に言うと、要精検という方に健康手帳を兵庫県ではお渡しをして、その後、年2回までの検診についての費用を助成しながらチェックするというシステムでございます。手帳というのは、少しアナログな形の手帳でございます。基本的には兵庫県独自に患者さんのための制度として続けており、いわゆる要精検の方のためのフォローアップシステムとお考えいただければいいと思います。

○浅野委員長 よろしゅうございましょうか。

○田村委員 要精査の方のフォローアップということで、これは医療費とかそういうのも含めてということをされているんですか。

○太田委員 とりあえず検診しようということで、医療費というのはちゃんと診断がつけば、また別のルートになります。

○田村委員 検診費用ということですね。わかりました。

○浅野委員長 内山委員、何かございましょうか。

○内山委員 認定基準のところの肺がんのところで意見を前回言わせていただいたんですけれども、今、岸本先生のお話にもありますように、非常にばく露を指標とするのは難しいことはわかります。ただ、4ページのところに書いていただいている「作業従事歴を指標として」としか書いていないんですけれども、これだと、一人親方のことを多分頭に入れていらっしゃると思うんですが、この救済制度は環境ばく露の肺がんというのもあるわけですので、作業従事歴または環境ばく露と、両方ちゃんと考慮していますということを言っていただいたほうが、今後のためにもいいんではないかと思います。工場近隣に住んでいた方でも考慮していますよということですね。
 望むらくは、例えば、医学的な認定基準には達していなかったけれども、ばく露歴が明らかに20年も30年も排出工場の近くに住んでおられたという方もいらっしゃるかと思うんですが、認定されなかった方の背景といいますか、ばく露がどういうものであったかというところがもっとはっきりすれば、この場合は認定条件になるとか、認定条件として入れても大丈夫な方がいるのかとかはっきりするのではないかと思います。そういうところを、すぐには無理でしょうから、この次の5年間ぐらいで、次の見直しのときまでに、少しそういう基本データを集めておいていただければと思います。それでもやっぱり申請された方の中でばく露を指標とするには無理ですということであれば、それはまたそれで皆さん納得される可能性は高いと思うんですが、今、難しいから、はっきりしないからとか、その判定条件を入れると、証明できる人とできない人と不公平になってしまうとか、そこで終わってしまっています。先ほどの遺族補償の問題もそうなんですが、また、この先、見直しのときまでに、実際にどういう方がおられて、それはこの制度の中でできるのか、あるいは、抜本的に補償法のようなものにしないとだめなのか、救済制度と補償法としたときのメリット、デメリットを、書いてくださってはいるんですけれども、もう少し、エビデンスベースにやっていただくと、納得できることもあるんじゃないかと思います。

○浅野委員長 ありがとうございました。
 岸本委員、どうぞ。

○岸本委員 今の内山委員のおっしゃるとおりだと思います。この救済は、職業性ばく露以外の方を広く救おうということでございまして、確かに居住歴だけで肺がんとして認定されている方がいらっしゃいますので、しかも、なおかつ、そういう例の方は石綿小体ではなくて石綿繊維で認定されている方が実際にいますので、そういう方に関して詳しい調査を行うとともに、石綿小体、繊維をはかることができた方、田村委員がおっしゃられましたように、気管支肺胞洗浄ではかることもできたような方に関しては、レトロスペクティブにどのようなばく露状況であったかどうか、今、内山委員が言われましたように、本当に肺がん発生頻度を2倍にするようだったのかどうかということを、今後検討していく必要があると思いましたので、一言申し上げました。

○浅野委員長 ありがとうございました。
 古川委員、どうぞ。

○古川委員 内山先生、ありがとうございます。本当にまさに私、次に発言させてもらおうと思って、ここに資料を用意しているんですけれども、実は尼崎でかつて石綿小体が3,866本で認定された方がおられるんです。その方はクボタの近くでおられました。認定になった一つの要件は、上葉切除だったと。肺の上の部分だったと。下葉にいけば、もっとあるんじゃないかという内容だったと聞いております。
 今日、用意していますこの資料ですけれども、肺がん不認定という。佐伯保子さんです。今日の朝日新聞です。佐伯保子さんは、今も岸本先生からお話がありましたけど、この方は西成区のΟパッキングの工場直近にお住まいでした。そして、数量は足りません。3,134本しか出ていません。繊維もはかっていただいたんですけど、基準を満たしていません。しかし、この周辺には大阪市のリスク調査、西成区のリスク調査でも、胸膜プラークの方がたくさん出ています。中皮腫の患者も3人出ています。そういった地域で長年住んで、成長するまで住んでいて、本数が足らないというだけで切り落とされている、この実態がどうにも歯がゆくて、悔しくてというのが正直な気持ち、それをまさに言おうと思っていたところで。佐伯さんがおっしゃるには、3,000本だったらリスクがないという証拠が欲しいですと。肺の中から青石綿も茶石綿も出ているのに、それなのに私は肺がんを発症するリスクがないという、安全だという根拠が欲しいと、泣いて訴えておりました。
 だから、願わくば、もう今すぐにでも、そういった環境などのばく露要件を入れて認定していただきたいと切に願っております。ぜひ、お願いします。

○浅野委員長 ほかにご意見がございますか。もうほかに特にご意見ございませんでしょうか。

○岸本委員 医学的なところから出ているのが、良性石綿胸水とびまん性胸膜肥厚です。確かに当救済委員会は、極めて予後の悪い中皮腫、肺がん、追加をされたのが石綿肺とびまん性胸膜肥厚でございまして、労災でも認定されている良性石綿胸水というのは、胸水がたまるだけで、とりあえず予後が極めて悪くないということでございまして、この対象とはなっておりません。
 けれども、良性石綿胸水が全てきれいになくなるのかというと、なくならない例が非常に多いのです。私たちは、びまん性胸膜肥厚で労災もしくは救済認定された方々がどのような形で救済されたかということを、今、研究しております。86%の方というのはびまん性胸膜肥厚と認定されておられますが、胸水が残っております。その中でおおむね1年ぐらい胸水がたまったまま減少していない人が認められているというようなことが222例のびまん性胸膜肥厚の検討でわかりました。
 けれども、労災においても、水がたまっているのは良性石綿胸水でびまん性胸膜肥厚ではないと判定をされたりしておりまして、良性石綿胸水が残ったまま、肺が再膨張しないものを何とかびまん性胸膜肥厚として認めていただきたいということで、今、胸水の性状、それが胸水を抜かなくても画像上で検討できないかということは検討しておりますので、ぜひ、胸水がたまって不利益を来すような方を何らかの形で基準を設けて認定のほうへ向けていきたいというふうに鋭意努力しております。この件はぜひデータが固まり次第、認定のほうの追加ということでお願いをしたいというふうに、今、思っております。

○浅野委員長 ありがとうございます。
 今の先生のご意見は、今日のたたき台の中には、その方向でということが書かれているという理解でよろしいのですか。

○岸本委員 私もそのように理解をしておりまして、ただ、これも一定の基準を設けないと、何でもというわけにはいきませんので、一応、医学的背景で妥当性が出た段階で認定基準としていただけるとありがたいと思っております。

○浅野委員長 わかりました。
 ほかにご意見がございますか。
 古川委員、どうぞ。

○古川委員 重ねてのお願いになるんですけれども、先ほどからお話に出ているように、被害者及びその家族に対するいろんな調査をぜひ行っていただきたいです。本当にペーパーだけではなくて、実態を見ていただかないと、本当にその奥にある真実が見えてこないと思います。1回目のヒアリングでも、遺族2人、患者さん1人、ヒアリングしていただきましたけど、やはり、ここで聞く話と実際に対面して聞く話は全く違うと思います。きっとそこには、もっともっといろんな真実が見えてくると思いますので、早急にそういった、本当に石綿の被害がどの程度、どんな広がりをもって、どれだけ皆さん方を苦しめてきたのか、あるいは、今苦しめているのか、将来にわたっても、どういった被害をもたらすのか、ぜひ、救済法10年という小委員会において、過去、現在、未来に対する検証を行ってほしいと思います。よろしくお願いします。

○浅野委員長 ありがとうございました。
 大体皆さんのご意見、もうよろしいですか。まだありましたら、どうぞ。

○古川委員 すみません。肺がんなんですけれども、環境のほうで私、発言させてもらいましたけど、一人親方とか、そういった方の場合も、ばく露要件を認定基準に入れていただきたいです。今、例えば労災でしたら、ばく露10年プラス胸膜プラークで認定になっていますけど、環境のほうはそうはなっていないと解釈しておりますので、ですね、岸本先生。

○岸本委員 そのとおりです。

○古川委員 ぜひ、よろしくお願いします。岸本先生、率先していただけたら、非常にありがたいです。よろしくお願いします。

○浅野委員長 ほかにご意見ございますか。よろしゅうございますか。今日は、たたき台をもとにご意見をいただきまして、なお、たたき台に追加すべき点があるというご意見をたくさんいただきましたし、それから、完全に意見が一致しているということばかりではなくて、幾つかの意見が対立するということになっています。それについて現在のたたき台には、そのことが書かれているわけですが、方向性ということについては、もう少し検討する必要があるかもしれません。
 例えば療養手当の増額についても、複数の委員から、直ちに増額をするということについてのコンセンサスがあるとは必ずしも言えないのですが、もう少し被害者の療養実態について調査をする必要があるだろうというご意見ございましたし、また、今、特に古川委員から、状況についてもっとよく調べるべきだというご意見がございました。これはどういう方法で意見を聞いていくのか、状況を調べるのかということについては、少し準備が要るかもしれませんので、それを全部終わった後で、この委員会の報告をまとめるということになりますと、特に健康管理などについて急いで取り上げるべきこともあるわけですから、その点を考えますと、調査をずっとやって、それが全部出るまで、この委員会の報告をまとめることができないというのは、ちょっと困りますが、しかし、この委員会がある方向を出した後でも、調査をちゃんとやってほしいということについては、報告の中に書く必要はあるだろうと思いますし、それから、補償制度にかえるということについては、これも複数の意見が出ていまして、直ちには無理かもしれないけれども、長期的には考えなきゃいけないということがあるだろうというご意見がございました。今日のたたき台では、制度を取り巻く状況の変化に注視とするというふうに書かれていて、将来、検討を行うことがあるだろうということをにおわせていますけれども、もう少しその辺のところは、今日出されたご意見も踏まえて、踏み込んだ書き方もできるかもしれませんので、将来的に考えなきゃいけないことがあるだろうということは、はっきりさせる必要があるという気がいたします。
 また、肺がんのばく露歴に関しても、ここでは今日のたたき台にありますように、意見が二つに分かれているわけですが、今日、内山委員からもありまして、それを考慮するということはあってもいいんではないかという意見が出ておりますから、これも完全に意見が一致せず、複数の意見が出ているということです。内山委員は、さらにもっとちゃんと調査をする。5年後にはちゃんとしたデータに基づいて議論ができるように準備しておかなきゃいけないというご意見でした。これはまことにごもっともだと思いますので、次の検討までには十分な科学的な知見が整うということができれば、割合にみんな安心して物事を決めることができると思います。
 というようなことを踏まえながら、次回までにさらにこのたたき台を当小委員会の報告案という形にまとめていただきたいと思いますので、事務局で引き続き検討していただけるようにお願いいたします。
 古川委員、どうぞ。

○古川委員 5年では長いと思います。患者さんは5年待てません。ぜひぜひ早く見直していただきたいと思います。よろしくお願いします。

○浅野委員長 今日のたたき台でも5年以内と書いていまして、5年たってからしかやりませんとは書いておりませんので、できるだけ早くということについても含めて書くことにいたします。
 根本委員、どうぞ。

○根本委員 補償制度関係のご発言が浅野委員長からもございました。仮に、補償制度に触れるようであれば、考えておいた方が良い論点があることを申し述べておきます。現状では、救済制度であるが故に、認定に際し、特定の場所における石綿の飛散と個別の健康被害に係る因果関係の立証が求められておりません。補償制度を構築するということになりますと、原因と被害についての因果関係を相当程度、厳しく立証することが必要となり、その結果、制度の対象が縮小してしまう可能性があると思っております。どちらが良いかという議論はありましょうが、論点として踏まえるべきではないかと思っております。

○浅野委員長 そのことをわきまえたつもりでおります。少なくとも補償制度というのは、言葉で言うほど簡単なことではございませんで、新美委員が言われるように、制度構築ということであれば、かなり多くのことを検討しなきゃいけませんから、とてもこの小委員会の短い期間で答えを出すことは難しい。考えるのであれば、腰を据えて考えなきゃいけませんし、それから、さらに制度間の調整の問題ということが必然的に出てくるでしょうから、環境省だけでできるかどうかということも考えなきゃいけないかもしれません。特に一人親方の問題がいつもここでは問題になっていますけれども、そうなりますと、労災と均衡を保つというようなことであれば、今、根本委員が言われたような認定そのもののあり方も考えなきゃいけないということが出てくるでしょうし、一番大きいのは、費用負担をどうするかというのが最大の問題でありますので、多くの問題があるということについては、もう少し丁寧に、この報告の中にまとめて書いておかなきゃいけないでしょうね。ただ難しい、難しいというだけではなくて、何がどんなふうに問題なのかということが、もう少しわかるようにしておかないと、次の議論ができないと思いますから、この辺はもう少し事務局にも勉強していただいて、紙にちゃんとあらわれるようにしていくということにしたいと思います。
 それでは、よろしゅうございましょうか。事務局から今後の予定についてお話ししていただきます。

○課長補佐 次回の小委員会の日程につきましては、現在調整中でございます。決まりましたら、追ってご連絡させていただきます。
 また、本日の議事録につきましては、事務局で原案を作成し、委員の皆様にご確認いただいた後、環境省ホームページに掲載する予定でございます。よろしくお願いします。それまでの間は、本小委員会の運営方針に基づき、会議の音声を環境省のホームページに掲載する予定でございます。
 それでは、以上で第4回石綿健康被害救済小委員会を終了したいと思います。ありがとうございました。

○浅野委員長 どうもありがとうございました。本日はこれで閉会いたします。

午後2時28分 閉会

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