第2回 中央環境審議会 環境保健部会 石綿健康被害救済小委員会 議事録

1.日時

平成28年6月22日(水) 13:30~15:00

2.場所

環境省第一会議室

3.議事次第

  1. 開会
  2. 議事
     (1)石綿健康被害救済制度の施行状況について
     (2)その他
  3. 閉会

4.議事録

午後1時31分 開会

  • 課長補佐 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第2回中央環境審議会環境保健部会石綿健康被害救済小委員会を開催いたします。
     本日の会議は公開で行います。
     また、報道機関の皆様のカメラ撮りは冒頭のみ可能としております。
     なお、傍聴者の方々には、撮影のご了解をいただいておりませんので、カメラ撮りの際はメーンテーブルのほうでお願いいたします。
     傍聴者の皆様におかれましては、傍聴券にも記載されておりますが、今から読み上げる留意事項を遵守してください。
     傍聴券を持っていない方や代理人の傍聴は認められません。事務局の指定した場所以外の場所に立ち入ることはできません。静粛を旨とし、審議の妨害となるような行為は謹んでください。審議中にカメラ撮りをすることはできません。携帯電話等の呼び出し音は出ないようにしてください。会議の開始前後を問わず、会議場内において委員等に対して抗議、または陳情等はお断りいたします。その他職員の指示に従うようお願いいたします。これらを守られない場合には、ほかの傍聴者の迷惑にもなるため、退場していただくことがありますので、何とぞ遵守をお願いいたします。
     本日は、小委員会委員10名のうち、8名のご出席をいただいており、定足数を満たしております。
     また、本日はヒアリングを行うため、専修大学の阪本教授、聖路加国際大学の長松准教授にお越しいただいております。
     それでは、本日の資料の確認をしたいと思います。
     資料1、委員名簿、資料2、前回の議論を踏まえた今後の論点(たたき台)、資料3、前回いただいたご指摘事項に関する資料、委員提出資料1、内山委員提出資料、委員提出資料2、古川委員提出資料、ヒアリング資料1、専修大学阪本教授提出資料、ヒアリング資料2、聖路加国際大学長松准教授提出資料、参考資料1、中央環境審議会関係法令等、参考資料2、今後の石綿健康被害救済制度の在り方について (二次答申)、参考資料3、平成27年度石綿健康被害救済制度における制度利用アンケート集計結果報告書でございます。
     不足がありましたら事務局までお申し出ください。
     また、配付資料とは別に委員の皆様には前回資料3の正誤表を配付しております。前回資料3において、7ページ目の下の表の中の「生活費」を「生活品」に、22ページ目の冒頭四角囲み中の「平成24年」を「平成23~24年度」にそれぞれ訂正させていただきます。
     ホームページに掲載している資料につきましては、会議終了後、訂正を反映したものに差しかえる予定でございますので、ご了承いただけますと幸いでございます。
     それでは、会議の開催に先立ち、昨日付で環境保健部長に就任いたしました梅田から一言挨拶申し上げます。 
  • 梅田環境保健部長 本日は、大変お忙しいところ、石綿健康被害救済小委員会にご出席を賜りましてまことにありがとうございます。
     昨日、環境保健部長を拝命いたしました梅田珠美でございます。環境保健行政に真摯に取り組んでまいりたいと考えております。
     各委員の皆様方におかれましては、平素から環境保健行政にご支援、ご協力をいただいておりまして感謝申し上げます。
     石綿健康被害救済制度につきましては、平成23年の改正法の附則に基づいて、現在、この小委員会におきまして制度全体の施行状況について評価検討を行っていただいているところでございます。今回が2回目の開催ということになりますが、引き続き、幅広い観点からご意見を頂戴いただけましたらと考えております。
     どうぞよろしくお願いいたします。 
  • 課長補佐 カメラ撮りについてはここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
     それでは、ここからの議事進行は浅野委員長にお願いしたいと思います。
     浅野委員長、よろしくお願いいたします。 
  • 浅野委員長 それでは、お忙しい中をお集まりいただきましてありがとうございました。
     議事に入りたいと思います。
     本日は、前回、古川委員からご提案をいただきましたことも参考にしながら、今後の審議の参考にするために専門家からのヒアリングを行いたいと思います。
     専修大学の阪本教授、聖路加国際大学の長松准教授にそれぞれご発表をいただき、その後まとめて質疑応答をしたいと思います。お一人におおむね10分程度ということでご発表をお願いしておりますので、まず、阪本教授からお願いいたします。よろしくお願いいたします。 
  • 阪本専修大学教授 専修大学の阪本と申します。このたびはお時間をいただき、ありがとうございます。
     本発表のタイトルは、「石綿健康被害救済制度の改正に向けた提言-被害者の立場から考える新たな補償制度について-」で、発表の目的は、本制度の構造的問題と制度見直しの根拠を示す中で、アスベスト健康被害者の立場から、どういった補償制度が求められるのかという事を検討することにあります。
     委員の先生方から、委員会の目的は、本制度の枠組みを維持する中での修正、改善であるとのご指摘があるかもしれませんが、私自身は、本制度の枠組みが変わらない限り、被害者、家族、遺族の包括的な被害者は救済されないという立場のもとで、制度転換の重要性についてお話しさせていただければと考えております。
     ただし、時間の都合上、全ての資料を説明することはできません。なので、スライドを行ったり来たりすること、また、時間を超過する可能性もありますが、ご理解のほどどうかよろしくお願い申し上げます。
     議論の出発点として、平成23年6月の中央環境審議会第二次答申で、当面は、「社会経済状況を踏まえつつ、着実に制度全体を運用していくこととせざるを得ない」と結論づけられています。この「社会経済状況を踏まえつつ」というキーワードは、通常の市場経済システムでは対処できない、あるいは、それを超えた問題を扱うという前提があると私は理解しております。したがって、これをアスベスト被害に置きかえると、この基準には、アスベスト利用による生産活動の結果、被害者が社会の中でどういう状況に置かれているのか、あるいは、被害者に対する社会的認識がどのように変化しているのかということが含意されていると考えております。
     そうすると、本制度の成立時と現在ではアスベスト被害をめぐる社会的状況や認識が変化している中で、どういった基準を満たせば、給付水準が高まるのか、あるいは、制度転換が可能になるのかということを委員の先生方に、ご回答をいただければと思いつつこれを踏まえた上で議論を進めさせていただければ思います。
     重要な論点といたしまして、まず、本制度においては、アスベストの暴露と関連疾病との間の個別の因果関係の立証は困難であるとの建前があります。そのために、本制度は貧弱でもいいという前提があるのかもしれません。しかし本来は、アスベスト暴露と個人の健康被害の間にはっきりとした因果関係があったにもかかわらず、大規模な疫学的調査が実施されなかったことによって、結果的に個別の因果関係の立証が困難になったと考えるほうが妥当ではないかと思います。
     それによって、アスベストの輸入・使用禁止措置やばく露対策がおくれてしまって、甚大な被害を生み出したと考えております。
     この点については、戦前に行われた旧内務省による泉南地域での戦前、石綿肺に関する疫学的調査、これで明らかになっているということと、スライドの12枚目になりますが、車谷先生と熊谷先生の研究調査からは、クボタ周辺地域の環境ばく露を特定して、クボタの加害責任を明らかにしています。これに加えて、海外では、1960年代には、例えばワグナーとかニューハウス含め、アスベストばく露と中皮腫との因果関係が、随分、明らかにされています。
     スライドの19枚目まで飛びますけれども、この国の加害責任については、例えば、厚労省が2005年に、1972年にILOやWHOの所属機関であるIARCがアスベストの発がん性を認めて、国際的知見が確立したという検証報告を出しております。
     また、1976年の旧労働省の通達では、10年を超えて石綿粉塵に曝露すると、中皮腫や肺がんが多発するということが明らかであるとの見解を示しております。
     このことは、将来的被害の予見性を示していたにもかかわらず、その結果回避義務を怠って、適切な被害の未然防止、拡大防止策を講じずに被害を甚大化させたという点で、国の加害責任は免れないと考えております。
     これに加えて、この次ですけれども、2014年に最高裁が限定的とはいえ、泉南アスベスト訴訟において、アスベスト被害の加害責任を認めております。これは、アスベスト被害に対する社会的状況や認識が変化したということを表わします。これは、本制度の制度転換の基準が変化したということを意味するのではないかと考えております。
     もう一つの制度見直しの根拠ということで15枚目の石綿健康被害救済基金の財務状況というところに行きます。
     表1の基金の収支並びにその推移というところをごらんください。もともと、被害者団体から給付額の再三の引き上げ要求に対して、事実上、無視しているということを鑑みると、被害者の増加に伴って財政が逼迫するのではないかという懸念があったというふうに考えられます。この表を見ると、実際は、拠出金の比率が変更されるまでの2013年まで、毎年50億~80億円近くの基金の黒字が積み上がっています。
     では、黒字化の背景にどういったものがあるのかというと、中皮腫と肺がんを比べると、表2と表3のところですけれども、肺がんの受付件数とか、認定件数が中皮腫に比べて圧倒的に低いということで、これ、被害者の掘り起こしや認定基準に問題があったのではないかと思われます。このことは、被害者をすき間なく迅速に救済するという観点から問題となるのではないかと。本制度の発足時は、肺がんの患者数は中皮腫の患者数に対して2倍あるとの国際的知見があった中で、本制度は1倍というふうに見積もっております。
     しかし、WHOが2014年に出版した『Chrysotile Asbestos』では、白石綿のばく露において、両者の比率を6.1としています。これ以外にも海外では大体4とか6とか、比率に対する知見が出ております。そうすると、アスベスト被害をめぐる国際的な医学的知見も変化していると考えられます。
     いずれにせよ、この基金の黒字化というのは、そもそも制度設計の入り口の問題であると思います。つまり、制度設計の入り口が間違っていたから、そもそも基金の黒字化が発生してしまったというふうに考えております。なので、この制度設計の入り口のところを見直す必要があるのではないかと考えております。
     いずれにせよ、この疫学的知見であるとか、それから国の加害責任、基金の黒字化という制度設計の問題を考えると、本制度は個別の因果関係の立証は困難であるため、本制度の給付水準が貧弱でもよいとする建前被害者を迅速にすき間なく救済するという前提が崩れていると考えております。
     このように本制度の前提が成立していないとすれば、被害者のためにどういった制度転換が必要になるのかということを理解するために、スライドの22枚目になりますか、この分析の枠組みというところをごらんください。表5です。これは、アスベスト被害の因果プロセスに基づく被害範囲とその補償対象ということで、ありますか。中が抜けているみたいですね。 
  • 浅野委員長 すみません。これ、特に委員がいただいても差し支えない資料であれば、後でプリントしていただきたいと思います。 
  • 阪本専修大学教授 はい、全然、逆に見てください。 
  • 浅野委員長 とりあえず今日はご説明を伺いますのでお続けください。 
  • 阪本専修大学教授 これは、中皮腫を事例にということで、まず仮定として、被害者本人を夫として直接被害者としています。この表は、被害者がどういった形の被害を受け、それが下に向かって、どのような波及プロセスをたどるのかという被害構造を表しています。
     まず、この被害者本人は、休職とか辞職による所得の減少であるとか、こういった経済的損失があります。その上で、身体的苦痛、例えば激しい胸痛であるとか呼吸困難、それから嘔吐、不眠、こういった身体的苦痛を受け、それから、家族を残すことへの不安であったり、社会的孤立感、死に直面する恐怖、あるいは鬱状態というようなことが精神的苦痛として被害の範囲として特定できます。そうすると、本来であれば、補償の範囲は夫の逸失的利益であったりとか、慰謝料的要素、通院費、介護費用などが生じてきます。
     では、妻はどうかというと、主介護者とし、間接的被害者としますけれども、これは、経済的損失に関しては、夫と、直接的被害者と同様のことが考えられるんですけど、違うのは、介護に伴って別の経済的損失、身体的苦痛、精神的苦痛などが発生するということです。
     また、中皮腫の場合、生命被害への進行があまりにも早いんで、この主介護者である妻が、子も含めてそうですけど、遺族となった場合、への進行これは妻を第一遺族と子を第二遺族という形で便宜上分けていますけれども、例えば妻であれば、子もそうなんですけど、生計維持者である夫を亡くすことによって、経済的損失が増加する中で将来計画の変更を余儀なくされるという問題があります。被害者が若ければ若いほど、この問題は顕著になります。
     この表5の出発点を見たとき、表5の分析の枠組みというのは何が大事かというと、被害者が個人の被害にとどまらず、その本人から家族、それから遺族という形にその被害が累積的に波及していくという構造を表わしていることにあります。なお、ここで重要なことは、つまり被害者、家族、遺族、これらをまとめて包括的被害者として定義し、彼らを救済するための制度が重要になってくるということです。
     経済的負担の軽減に向けた取り組みでは、こういうものが挙げられます。
     まず、この中で公建制度を事例にするんであれば、例えば障害補償基礎額ですね。これについては、最低限、2級の「労働に著しい制限を受け」という規定に基づいて区分し、それを適用するべきであると考えております。その上で、遺族の補償給付費で給付すべきであると考えております。
     これは介護負担の問題です。これは飛ばしまして、事後的被害の拡大防止に向けた取り組みということで、中皮腫患者を取り巻く身体的苦痛というのは、診断時のショックから、身体的苦痛や精神的苦痛が同時進行しながら、なおかつ、その家族の身体的・精神的負担も増加していきます。つまり被害者本人だけではなくて、その家族もどういう形でケアしていくのかということが非常に重要になってきます。事後的被害というのは、あくまで割り切りです。つまり死んだ人は戻りません。なので、制度的割り切りの中でどういったことができるかという意味でも、事後的被害の拡大防止に向けた取り組みということを表わしております。
     では、どういうものが必要なのかということで、公健制度の健康福祉事業に当たるものなんですけれども、環境再生保全機構の検討事項ということで①包括的被害者に対しては、専門的な治療を前提に、総合的な看護支援体制が整った医療機関の情報を提供したり、②包括的被害者のために総合支援施設をつくり、そこで心理的な支援、カウンセリングであったりとか、リハビリであるとか、こういったものを進めていく必要があるのではないかと。③施設を利用した被害者参加型の講習会並びに事業を実施する。④被害者支援の中心的役割を担っている家族の会との協調体制を築く。これは、被害者がどういった今状況に置かれているのか、それの裏返しとして、本制度の制度的不備や欠陥を把握する上で有益となるかと。⑤遺族がこれらの支援事業に参加し、さらにその事業計画の策定までに携わることができるような仕組みを考えるということが重要になってくると思います。
     かなり戻って、11枚目のスライドのアスベスト健康被害の特徴と被害者間の不公平性というところをこの包括的石綿健康被害補償制度を構築するためには、以下の論点が重要になります。被害者にとって受ける苦痛は同じであるにもかかわらず、ばく露形態の違いによって、労災認定が受けられるのかどうか、ここにはひとり親方という、つまり、雇用形態に基づく労災認定を受けられるかどうかという問題も含まれるとは思うんですけど、また、クボタの事例のように、それが指定圏内か指定圏外かで、見舞金が支給されるのかどうかといった被害者間の不公平性が生じています。この問題を解決するためには、労災か本制度かという違いに関わらず、被害者を救済するための財源を一本化し、アスベスト被害全般に対応するための統一基金をつくり、そのもとでアスベスト被害者を等しく救済・補償するための統一制度を構築するということが必要ではないかと思います。
     私自身は、この統一制度をつくる踏み台であるとか原形が、包括的石綿健康被害補償制度であると考えております。ただし、この枠組みをつくるということは、環境省にとどまらず、厚労省との調整や、それをまたぐ問題があるため、大変困難であるということは十分理解しております。ただし、この制度改革なくしては、包括的被害者は救済されないというのが現実です。この問題についてお考えいただければと思います。 
  • 浅野委員長 申し訳ないのですが、かなり時間をオーバーしていますので、そろそろおまとめください。おっしゃりたいことはよく理解できました。 
  • 阪本専修大学教授 わかりました。 
  • 浅野委員長 よろしいですか。 
  • 阪本専修大学教授 では、これで。 
  • 浅野委員長 ありがとうございました。
     それでは、続いて長松准教授にお願いいたします。 
  • 長松聖路加国際大学准教授 本日はお招きありがとうございます。聖路加国際大学の国際看護学の長松でございます。
     私は、石綿によって起こる病気の患者さん、ご家族、そして、そのケアを行っている看護師を中心とした医療従事者に対して、この七、八年間、調査と研究を行ってまいりました。その経験から、石綿健康被害救済制度に対して意見を申し上げたいと思います。
     これは、簡単に中皮腫という病気をもう一度よく知っていただきたいと思って持ってきました。中皮腫という病気は、ほかの悪性疾患、がんとは異なります。三つの特徴がございまして、まず、治療法が非常に限られた進行が速い悪性疾患であること。それから、年間1,400名の死亡という非常に稀な病気であること。さらに原因がアスベストと非常にクリアな原因で起こること。この三つの特徴がございます。
     このような三つの特徴を抱える中皮腫という病気になった患者さんがどんなふうに困難に立ち向かっていらっしゃるかというのをご説明します。
     これは、どんなふうに心が変わっていくかといったことなのですが、上から読みます。死に至る病に至るようになった絶望、情報不足、これは少ない病気だからです。元気な体と未来の喪失、先行きの見えない不安。常に付きまとう死の恐怖。終わりのない苦しみ。経済的不安。治療のかいなく死を迎える苦悩。医療従事者の経験不足。治療を受けられる病院が少ない。辛さを理解してもらえない孤独な中皮腫。過失なく病気になった悔しさ。救済申請の負担。これらは、一般のがんの患者さんでも起こるわけです。ところが、中皮腫の患者さんはそれに増して、この赤いところが中皮腫に特徴な苦しみであるわけです。
     これは、ざっとですが、診断から最初に治療をして、お家へ帰って、そして治療のかいなく悪化し、最後亡くなるといったところを右へ向かって時間が進んでいるのですが、普通のがんですと、この全般のスパンが2年、3年、5年と長期であるのに対して、中皮腫は短ければ数カ月、長くても5年に行く方は非常に少ない。そこで、一つ一つの問題が、例えば最初はすごいショックを受けるわけですね。そして、情報を探して病院を探してと言っているうちにどんどん悪くなってしまう。ですから、一つの問題を解決する前にどんどん問題が重なって、最後はもうどれに手をつけていいかわからないような状態で家族と共に倒れていくと、それをちょっと図式化したものであります。
     そして、これは有名なWHOの四つの痛みに基づいているのですが、人間というのはいろんな苦しみがあるけれども、体の痛みというのは体の、例えば傷を負ったから、腫瘍ができたからという痛みだけではなくて、実は心の、「どうして自分が病気になったんだろう?」、「治るのかな?」、そういう心配があって、そして仕事ができない辛さ、「これから残された家族はどうなるのかな?」といった社会的な痛み、そういうもの全部が人の体の中でまざってどこかが痛い、苦しいに出てくる。あるいは、痛い、苦しいと余計、社会的な痛みや心の痛みがという相乗効果があります。それらを放置していくと、右下の霊的な痛み、「僕の人生はどうなんだ?何だったんだろう?」、「一生懸命働いてきたのに、何のために生まれてきたんだろう?」、ここまで来るとスピリチュアルな痛みといって、非常に医療だけの介入では解決が難しい。患者さんが自殺にいってしまうような、そんな強い痛みを感じます。これが中皮腫は非常に起こりやすい病気だということをお示しいたしました。
     私が、どこでも言っているのですけれども、患者さんを支えるには、重みが大きいわけですよね、負担が。苦しみがたくさんあるので、何か一つの解決ではとても無理なんです。ドクターは頑張っていらっしゃいますが、ドクターだけで、この石綿でなった苦しさとか、生活が苦しいとか、自分は死んじゃうのかなというのを全部を解決するというのはもともと無理なのです。ですので、ナースも頑張ります。
     でも、それだけでは無理です。かかりつけのお医者さんに誰かが頼んでくれなきゃいけないし、それから、救済法の支援のときには、プロの方、NGOの方にお願いするとか、それから、患者会の方に辛い気持ちを聞いてもらうとか、あとは手術の後などは非常に見た目以上に体が参っていますので、そういうところには介護を入れるとか、そういったことを包括的に支える仕組みが必要だと思います。
     何よりも、この委員会にお願いしたいのは、やっぱり中皮腫という病気が、大分知られてきましたけれども、医療従事者もそして一般の人々も、ちょっと「何とかがん」とつくといいんですけど、中皮腫というと、「ちょっと何だろう、この人は?」と。そして、アスベストで起こるというと、なかなか理解してもらえない。非常にお気の毒な病気なのに、腫れ物にでも触るようにと、理解が進まないところで、また患者さんが追い詰められていきますので、どうぞその辺の皆さんの啓発をお願いしたいと思います。
     一方で、長く患者さんを拝見していますと、この救済事業のおかげでいろんなことが良くなったのです。まず、どちらかというと、生活を正直に一生懸命、労働者として働いてきた方が多ございますので、当面の医療費が免除されるというのは非常に大きな成果だと私も感謝しております。そして、生活が大丈夫だ、療養中の医療費が大丈夫だと思うのは、患者さんの大きな心配ですので、それを支えてくださっていることで大きな、ご家族にとっても大きな安らぎなのです。
     それと、石綿で起こった被害というのはずっと残るのです。それも犯罪被害者ってそうですよね。自殺されたご家族、それからいろんな、レイプだとか、傷害だとかといった、そういう犯罪を受けられた人というのは、区切りがつかず、ずっとそれを死ぬまで背負っていくのであります。忘れて新しい人生をといっても、なかなか踏み出せない。それにちゃんと被害者ですという区切りをつけてあげるというのは、次のステップへ行く大きな後押しになっています。
     例えば、これは生活費のことなのですけど、以前の論文の女性の方ですが、「高校生の子供がいて、家事をしなくてはならない。大学進学にお金がかかるから、自分だけ入院なんかしていられない」、こういうお若い方がいらしたんです。別の方は、もう切羽つまっていて、お金も必要なのに、医療費も必要でどうしていいかわからない。
     これは、(救済制度を)受けた後の別の患者さんなのですけど、認定が下りていないときは、とても不安です。「これから子供の教育や結婚にお金がかかるから、病気をしたからといって、会社を辞められない。今は、お金が下りたので、病気だけを考えればいいので気分が楽になりました。」この違いはものすごく大きいと私は思うのであります。
     これはトラウマです。被害によるトラウマですけど、お金のために申請するんじゃない。国が責任があるということを証明するためにやっています。お金をもらっても命は戻ってこない。でもこれで、アスベスト抜きで初めて中皮腫と向き合える。とっても大きいことであります。
     逆に、この申請手続が労災でも救済でも1回リジェクトされてしまいますと、患者さんにとってみれば、「何で?自分は被害に遭ったのに」と、もう一回ナイフで刺しているようなものなんですね。そこをどうぞご理解ください。
     一方で、幾つか中皮腫患者さんの支援にはまだ課題があります。まず、中皮腫の患者さんは特に手術の後の方は、見た目は皆さんと同じ、すっとしたすてきな男性なのですけれども、肺から横隔膜からごっそりとっています。心臓もいじっています、膜を。ですので、階段はもう登れません。一生、重い荷物は持てません。ですから、背中をばんと叩かれたら、しばらくハアハアとします。それが周りの人にはわからない病気なのです。ですから、そういう一見わからない特殊な後遺症を抱えている方、それから急速に悪くなっていきます。その急速さにケアが追いついていませんので、早目早目にやっぱり生活を助けてあげるようなケアを入れなければいけません。
     2番目に、一番の問題は、自宅で通院している人にケアが行かないのです。お家でよくなるといいなと思っていたら、そのまま悪くなっちゃう。あるいは、そこそこよかったんですけど、思ったより悪くなって、良くなるかと思ってどうしようといううちに、ドドドドッと悪くなってしまう。自宅死という方はやっぱり毎年いらっしゃるのです。そこがほかのがんより速いのだということが、まだまだ医療従事者もそれからいろんな介護の職員などが理解していないところであります。
     三つ目は、ちょっと違うのですけど、保健所がこの事業の相談を受けているんですが、保健所の方たちがまだこの病気のことを理解していないです。ですので、もっとプッシュして救済に早く手が届くように、医療費だけでも見てもらいたいのに、そこが中皮腫のことがよくわかっていません。
     ちょっと話は変わって、これはイギリスの例です。イギリスはとても良い中皮腫のケアができています。イギリスは、もともと医療制度や保健事業というのは無料です。もともと無料なんです。そのかわり、GPという家庭医がまず最初に診療して、必要だったら、「じゃあどこどこの科へ行きなさい」、「もうちょっと大きながん病院へ行きなさい」というふうにする。ちょっと面倒くさいといえば面倒くさいのですけれども、全てのケアが基本決まっています。これが嫌な人は自腹で行ってというところなのですね。
     ここが何がいいかというと、全ての中皮腫患者さんに中皮腫の専門的なトレーニングを受けた肺がんナースか中皮腫ナースをアサインしているのです。といいますのは、医療では全部の苦しみを、もともと治りが悪い病気ですので、それは救えない。だったら、ケアをして、とにかく痛いのをとる。それと、生活上困ったところは助ける。そういったコーディネートを全部、誰かが全ての患者さんを最後までやっているのです。
     これは、もともとチャリティで、がんのチャリティのナースが始めたのですけれども、とてもうまくいっていて、この赤い(字の)中皮腫ナース・肺がんナース、日本でいうとケアマネジャーさんです。スタッフナースというのは訪問看護師でもいいし、日本の看護師でもいいです。全ての患者さんのケアプランを立てる人がいるのです。そして、ドクターから診断を受けたら、そのままこのナースが引き受けます。亡くなるまで受け持っていくのです。そして、最初に会ったときに、既にこの一番右の人たちを紹介するのです。弁護士さん、これは制度を申請するため、そして悪い弁護士にお金を持っていかれないため。患者会、心は患者会が一番いいですね。そして、緩和ケア、かかりつけ医、そして訪問看護、必要ならホスピス、それを全部してくれるのです。これがあると、患者さんはどこにいようとも、少なくとも痛みでのた打ち回ることがありません。
     これが、青いのを着ている人たちが、専門ナースです。そして右端にいる人が弁護士さんなのです。いい弁護士さんを紹介して、一緒に働いて、だからケアの中にこういう救済制度が、体のケアと同じように考えられています。
     これはちょっと飛ばして、この人は、この立っているすてきな男性は、患者会の方であります。この方たちが悩みを聞き、そして救済制度について何が一番この人に合うか、そういったこともとても、一緒にやってくれているのですね。
     私の要望は、ずばりこれであります。今、患者さんが困っているのは、生活上の支援であります。息が苦しいから駅の階段がのぼれない、おりられない。駅から病院までが歩けない。そこをどうするか。それから、お家へ帰ったけど、お風呂に入るのは命がけです。皆さんでしたら、鼻をつまんでずっと100m疾走ということであります。そういう人たちがお手洗いに行く、ご飯をつくる、家事をする、それをどう支えてあげるか?それを考えてください。タクシー代を出すのがいいのか?あるいは、家事やお風呂などのヘルパーさんや介護を入れるのがいいのか?そういったフレキシブルな、実態に基づいた支援が必要です。
     そして、2番目、すごく大事であります。せっかく日本は訪問介護も緩和ケアも育ってきましたし、それから、すごくいい介護があるわけです。それが中皮腫の患者さんにはほとんど入っていません。ですので、「自宅でどう(生活)しよう?」、「次に通院する外来まで我慢しよう」と言っているうちにどんどん悪くなっていってしまいますので、これを何とかしなければいけない。
     でも、これにはちょっとイギリスみたいにしないと私は無理だなと思っています。ずばり何かというと、中皮腫患者さんから(支援の)申請があって、それを役所や病院が受けていたら間に合わないです。だから、こちらから先に患者さんを捉まえておいて、その人がハッピーなのか、大変なのかをアウトリーチで追いかけていって、確かめる制度が必要です。
     ですので、中皮腫は登録しちゃう。そして、定期的に、(年)1,400人しかいないんですから、患者さんを一月おきに担当者の保健師でも誰でもいいですから電話をして「、大丈夫ですか?、今どこの病院にいますか?、苦しくないですか?、申請はしましたか?」、そういったことを定期的に追いかける。それをしてくれて、(支援が)足りなければ、「じゃああなたはどこどこ地区ですね、じゃあ訪問看護を入れますか?、どこどこの担当者に連絡をしますとか?、救済申請は○○保健所にしますか?、それとも、関東だったら、じゃあ環境再生保全機構にしますか?」、そういったことをしてくださるケアマネさんを配置していただきたいと思います。それをお願いしたいと思います。
     三つ目は、こちらの救済制度の窓口は環境再生保全機構と保健所ですから、そこをもうちょっと頑張って、そこの保健師さんたちが赤ちゃんと精神と結核だけじゃなくて、中皮腫も入れちゃうというのはいかがでしょうか。四つやってもらう。非常に優秀です、保健所の方は。ですので、その方をどうぞ教育して有効に活用していただければと思います。
     長松からは以上でございます。 
  • 浅野委員長 どうもありがとうございました。
     それでは、今までのお話についてご質問をいただきたいと思います。ご質問をなさりたい方は、後で会議の音声公表ということがございますので、まずお名前をおっしゃっていただいてご質問をいただければと思います。 
  • 古川委員 古川です。
     まず、阪本先生にお伺いしたいと思います。お話の中で包括的に被害者を支援する、そういった補償制度をつくるに当たって、一体どのような改革、あるいは仕組みが重要になるのか、もう少しお話しいただけたらと思います。 
  • 浅野委員長 ご質問を全部出していただけませんか、時間があまりありませんので。ほかの、長松先生に対するご質問があれば、古川委員、そのご質問を全部一遍に出してください。 
  • 古川委員 長松先生にお伺いします。たくさんあるんですけど、とても重要なお話が最後のほうで出ました。要望の中の2番、中皮腫の登録制について、もう少し、なぜ必要なのか、ご説明をお願いします。 
  • 浅野委員長 各委員からひととおり質問を差し上げます。
     新美委員、どうぞご質問ください。 
  • 新美委員 私は、長松先生に一つと、それから阪本先生に対して二つの質問がございます。
     長松先生は、中皮腫については非常にわかりやすいご説明をいただいたのですけれども、説明のタイトルには石綿健康被害救済制度ということで、もっとほかの疾患にも要望として出されているような感じもします。中皮腫と他の石綿関連疾患と同じなんでしょうか。それが1点です。
     それから、阪本先生に対しては、石綿関連疾患についてのリスクの同定が直ちに国の加害責任になるというような印象で受けたのですけれども、そういう理解でよろしいのか、その辺が第1点。
     それから、もう一つは、アスベスト被害の統一的救済というのですけれども、中皮腫と、他の非特異性疾患も含まれていると思いますが、その場合はどうお考えなのか、この2点でございます。 
  • 浅野委員長 大塚委員、ご質問をお願いいたします。 
  • 大塚委員 長松先生にお伺いしたいんですが。最後のスライドの16のところですけれども、この術後の患者とか呼吸困難になる患者についてタクシーの費用負担とか介護費用、家事ヘルパー代の負担というところですが、現在、10万円の中の7万円程度は介護費用と考えられているようですけれども、これでは足りないということなんだと思うんですけれども、どのくらい足りないとお考えになっているかということと、それから、そもそも足りない方たちがどのくらいいらっしゃるかという問題があると思うので、大体で結構ですので教えていただければと思います。
     ついでに、このアンケートが今日配られて……。 
  • 浅野委員長 それは後で。 
  • 大塚委員 いいですか。そうですか。はい。 
  • 浅野委員長 今村委員、どうぞ。 
  • 今村委員 長松先生に2点ございます。まず、イギリスの専門ナース、先進的なお話を伺ったんですが、これ、養成はどなたがされているのかということを伺いたいのと、もう一つ、やはり医療連携というか、チーム医療の中の特に専門医とかかりつけ医の連携はすごく大事だと思います。中皮腫の患者さんの絶対数と、いわゆる地域で診ているかかりつけ医の数でいうと、そう多くの患者さんを診るということはほとんどないわけで。そういった場合、日本において、例えば聖路加国際病院等で専門医とかかりつけ医の間の連携のシステムみたいなものをつくっておられるところがあるのかどうか、もしご存じだったら教えていただければと思います。 
  • 浅野委員長 ありがとうございました。
     それでは、まとめてご質問を差し上げて申しわけなかったんですが、時間が限られておりますので、できれば簡潔にお答えいただけますでしょうか。
     阪本先生、どうぞ。 
  • 阪本専修大学教授 古川委員の今のご質問なんですけれども、まず、包括的石綿健康被害補償制度を確立するために、財源が必要になります。とすると、はじめに、国の責任と要するに加害企業、産業の責任を明確にした上で、まず原因者負担原則というのが必要になります。これは、国とアスベストを利用してきた産業あるいは企業ということになりますけれども、特に、アスベスト消費量というのは建材が8割から9割ということになっていますので、建築業界にきっちりとお金を負担させるというのが、大前提であると考えております。
     その上で、では、原因者を国と企業・産業に求めた場合、問題が一つ出てきます。つまり、国が支払うということは、つまり税金になります。ということは、被害者も含めて支払うということになりますので、この点をどうするのかというのが1点と、もう一点は、仮に国と企業あるいは産業が半々に折半するという状況になれば、つまりアスベスト加害者、産業、企業の負担が相対的に軽くなるということは、アスベスト加害者が、その費用負担が緩くてもいいという建前が成立してしまう可能性があります。なので、この二つを分ける必要があるといえます。
     つまり、補償に関しては、関連企業であるとか関連産業にきっちりと負担させた上で、被害者の心のケアであったりとか、これは長松先生の議論とも重なるとは思うんですけれども、環境再生保全機構の役割として述べた、本人、家族、遺族といった包括的被害者の事後的な被害を拡大防止するような取組を国がするというふうに分ける必要があると考えております。
     あともう一つです。確かに潜在的な加害者に対して費用負担をさせると、スーパーファンド法のようなことも考えられますが、それについては現実的ではないので、できる限り、原因者負担原則のもとで責任の負担を分けた上で、明確に区分した上できっちりとお金を出させて、それでも足りなかった場合にだけ、公的負担の可能性を検討するというのが望ましいのではないかと考えております。
     そのために、財源を一本化して、で被害者が公平に救済される、あるいは補償されるような制度を検討するというのが、本来望ましいと考えております。以上が、古川委員に対するご回答です。
     新美委員のご質問、リスクと、国の加害責任が一緒なのかということにつきましては、アスベスト被害のリスクに対する論文や学会発表が数多く出され、国際的な知見が集積される中で、その被害対策を怠ったというプロセスのもとで国の加害責任、体制的な責任があると理解しています。直接ではなくても、それが集積されて、国際的な知見が確立されるなかで、被害対策を怠ったという意味で、国の加害責任が免れないと考えております。
     もう一点、中皮腫とその他の石綿健康被害関連疾病の間に差があるのかどうかというご質問については、基本的に差はないと思います。ただし、中皮腫の場合は、被害の発症から死までの時間があまりにも早いので、例としては非常に理解しやすいということで中皮腫を挙げただけであって、そのプロセスが早いか遅いかだけの違いで、基本的に変わらないと考えております。
     そうすると、さっきの分析の枠組みでいくと、夫を生計維持者としましたが、あれを妻に変えたとしても、本質的には変わらないと思います。なので、その分析の枠組みのフレームワークというのは、どこを出発にしたとしても、夫か妻かというところに関しても、本質的な議論は変わらないと考えております。
     以上です。 
  • 浅野委員長 長松先生、どうぞ。 
  • 長松聖路加国際大学准教授 では、同じように、ほかの石綿関連疾患ですが、例えば塵肺ですと塵肺法になりますが、塵肺も最後とっても苦しいんです。長い間に細かい塵が肺の中に固まって、肺ががちがちになって息が吸えない、吐けない。それは、本当にお手洗いに行くときも酸素をしなければいけないんで、中皮腫のターミナルケアとはまた違った辛さがあります。それはどっちが大変ということは申せません。ただ、中皮腫は、本当に阪本先生がおっしゃったように、すぐ亡くなってしまわれます。それがまず一つだと思います。
     もう一つは肺がんだと思うんです。アスベストで肺がんになることはもうわかっています。その方たちと、私も基本的には同じなんですが、肺がんには、たばこという要因が含まれているために、なかなか認定が進まないのか進んでいるのかよくわからないんですが、でも明らかに増えています。それは、岸本先生のご尽力だと私は確信しているんですけれども、私は、基本的には、石綿小体が見つかって、アスベストが起因するものに関しては、等しいと思いますし、私が述べてきた患者さんの大変さということでは、肺がんだって中皮腫だって同じように辛い思いをされて、最後亡くなっていくのであります。
     新美委員、こんなふうでよろしいでしょうか。
     そして、次に、古川委員の、登録制度が必要なのは、さっき申し上げましたように、今、1,400人の方が亡くなっていますけれども、患者会を知っている人というのは、本当に1割にも満たないのです。そして、救済法を知っている人もものすごく少ないんです。こんなに皆さん頑張っているのに。それは、やっぱりそれどころじゃないんです。あなた、1年以内に亡くなるかもよと言われて、救済制度じゃないですよね、まず。普通、どうやったら助かるだろうということを、当たり前ですけど行くわけですね。そうすると、せっかくいいサービスがあっても使えないで終わって亡くなった後に申請になる。それじゃあケアが届くわけがないですよね。ですから、こっちから追いかけて捉まえないとだめだということで登録したいんです。
     次、3番目なんですけれども、介護で幾ら要るか。これは、例えば、私は東京にいるので、大学病院が山のようにあるわけですね。世界でこんなところはないというぐらい。ですから、こっちがだめなら、こっちの病院に行きますけれども、そんなところはまずないです。県に一つある大学病院を頼っていくけど、そこの先生があんまり、ううんと言っちゃうと、じゃあどうしていいかわからない、そういうことがあちこちで起こっています。そうすると、その人たちが出てくるためにかかる費用はとてもかかってきますし、例えば、お母さんがなったのか、お父さんがなったのかというので介護費用が全く変わってくるわけですよね。ですから、そこら辺も調査が足りていないところで、ぜひ実態解明をお願いしたいと思います。
     すみません、こんな、わからないことはわからないままでいきたいと思います。
     それから、最後に、今村先生、ようこそ聞いてくださいました。中皮腫に関しては、岸本先生が頑張ってくださったおかげでドクターが中皮腫ということを聞いたことがないという方が本当に減りました。特に関西と、それからあとは東京首都圏ですよね。ですから、そういうところですとラッキーなんですけれども、今、困っているのは上のほうと下のほうの、東北関係と九州・沖縄のほうが、まだそこが今後の課題であります。そういった方たちをどういうふうにいっぱいの、専門の先生もわからないのに、かかりつけの先生に来られたって、本当に困ると思うんです。ですから、そこはわかる先生を、それこそ一覧表につくっていただいて、この地区だったら誰がいいよというようなことをもしつくっていただけるなら、あるいは、そういうプロジェクトが立ち上げていただけるなら喜んではせ参じますし、それが必要です。
     ナースに関しては、イギリスのナースはロイヤルマースデンという世界で初めてのがん病院が、チャリティなんですけど、あそこは100%、そこに学校があるんです。でも学校といってもeラーニングが主で、遠隔で世界中からナースを、いろんながんの専門ナースを養成しています。中皮腫はその中の1コマに、肺がんの中に入っていまして、私もアジアで1人受けたんですけれども、今はもうイギリスだけだと二、三百人いると思います。その方たちが散ってやっていらっしゃいます。
     日本も、これ、やっぱりドクター、ナースと一般市民と三種の神器だと思いましたので、ナースに関しては、私が4年ぐらい前に対面式のものを、急いでいますので、日本は、eラーニングなんて言ってられないので、今、200人ぐらいのナースが中皮腫の講習を受けてくれて日本中に散らばっております。
     ありがとうございました。 
  • 浅野委員長 どうもありがとうございました。
     限られた時間でしたので、まだまだご意見を伺い、質疑応答をつづけたいのですが、今日はこれで終わらせていただきます。
     どうもお二人の先生、ありがとうございました。
     それでは、次に前回の審議を踏まえた論点整理ということでございます。事務局から資料の説明をいただきます。 
  • 高城石綿健康被害対策室長 石綿室長でございます。
     まず、事務方のほうから資料2、それから資料3のご説明をさせていただきたいと思います。お手元に1枚紙でございます資料2というものをご用意いただきたいと思います。
     こちらのほうは、タイトルにございますように、前回の議論を踏まえた今後の論点(たたき台)ということで事務局のほうで作成したものでございます。
     1番目に制度の基本的考え方、救済給付ということでございます。救済制度の給付内容・水準について、健康被害や療養の程度に見合ったものへと充実すべきではないか。 また、類似の制度の給付内容・水準と比較検討すべきではないか、この点、また宿題事項として資料3でご説明させていただきます。それから、社会全体による迅速な救済という制度の基本的な枠組みは維持しつつ、その中で最大限の救済を図るとの観点から検討すべきではないか。こうしたご意見をいただいております。
     2番目に指定疾病でございます。最近の研究で、びまん性胸膜肥厚の患者のうち、多くの割合で胸水貯留を認めることがわかってきたことを踏まえ、被包化された胸水貯留があって著しい呼吸機能障害を伴う症例の取扱いについて検討すべきではないか。こちらもまた宿題事項ということで資料3を用いて簡単にご紹介したいと思います。
     最後に、健康管理でございます。石綿疾患の患者を専門外来・専門窓口につなぐ支援や、震災から数十年経過後の住民の健康不安への対応が必要ではないか。また、健康管理に係る試行調査において、保健指導を適切に実施するため、専門知識に関する研修を行うべきではないか。その際、高齢の方にしっかり情報が伝わるようなコミュニケーション方法についても考慮が必要ではないか。こうしたご意見をいただいたかというふうに思っております。
     これはあくまでたたき台でございますので、今後のディスカッションでたたきとしていただきたいと思っております。
     続きまして、横紙の資料3でございますけれども、こちらのほうをご用意いただきたいと思います。前回頂いたご指摘事項に関する資料ということで整理をさせていただいたものでございます。
     おめくりいただきまして、スライド2でございますが、まず、国内における主な救済・補償に関する制度の概要についてでございます。
     スライドの3番目、4番目に、まず、国内の制度の概要を比較したものをご用意させていただきました。今回提示した制度につきましては、救済や補償を行う公的制度のうち、平成23年6月の中央環境審議会二次答申において比較検討されました制度といたしまして、労災、医薬品副作用、公健法、予防接種のほうを整理させていただきました。これに加えまして、右手にございます前回のヒアリングで言及のあった制度、被爆者援護それから犯罪被害についても別表で取りまとめたものでございます。なお、これらのほかにも自動車の自賠責の保険がございます。これに対して、ひき逃げをされた場合には政府保障事業なども存在します。
     制度の比較についてでございますけれども、お手元に参考資料2というのをご用意させていただいておりますが、こちらに二次答申のまとめたものをご用意させていただいております。
     参考資料2のうちの例えば5ページ目以降に、この左の表の四つの制度と比較検討をしているところでございます。この中で言及されておりますように、労災保険制度、それから医薬品副作用被害救済制度、こちらにつきましては、いずれも保険的な制度でありまして、責任を有する者が明確に存在し、かつ、それらが誰しも原因者となり得る存在であることを踏まえまして、将来のリスクを考慮し、あらかじめ納付された保険料もしくは拠出金、これをもとにしまして、これに応じた給付の内容というのがスライドの4ページ目に出ておりますけれども、こうした給付を行っているものでございます。
     隣にございます公害健康被害補償制度、こちらは、民事責任を踏まえた補償制度でございます。被害者と原因者について、疫学的知見等に基づいて法的因果関係を推定することが全く不可能というものではなく、また、原因者たり得る排出事業者の賦課金、いわゆる割当金でございますけれども、これをもとにして損害賠償に相当する補償を行っているというものでございます。
     また、予防接種健康被害救済制度につきましては、公共政策的な見地を含めた施策として、国が直接的に実施した行為によって発生した健康被害、こちらの救済に関するものでございます。
     以上のように、その特徴をまとめさせていただいた上で、これらの制度、それから石綿健康被害救済制度というのは、性格それから考え方は異なるということで、同様に並べるというのはなかなか難しいという形で整理されているところでございます。
     次に、資料3のスライドの5ページ目になりますけれども、諸外国における石綿健康被害(非職業ばく露)の主な救済・補償制度についてまとめさせていただいております。
     スライドの6のところに表にまとめさせていただきました。今回、提示した制度につきましては、労災のようないわゆる職業ばく露ではなくて、非職業ばく露の石綿健康被害を対象とした制度につきまして、環境省それから環境再生保全機構が過去に実施した調査で情報を得たものを整理してございます。主なものとして、イギリス、ベルギー、フランス、オランダの制度を整理してございます。このほかにも韓国でも日本の制度を参考とした救済制度が存在するというところでございます。
     社会保障全体のシステムの違いというのがございますので、一律な評価は困難でありますけれども、例えば、真ん中にございますような対象疾病を見ますと、全ての制度で中皮腫を対象としているということでございますが、その他の疾病については、国により異なっているという状況でございます。例えば、イギリスでは中皮腫のみ、ベルギーとオランダは中皮腫に加えまして石綿肺、フランスはさらに肺がんその他のものも含めてさまざまな疾病を対象にしているという状況にございます。
     また、一番下の給付内容でございますけれども、イギリスとオランダでは一時金の給付と。また、ベルギー、フランスでは毎月の給付を行っているというところでございます。
     給付水準につきましては、年齢ですとか重症度ですとか疾患によってさまざまな違いがありますが、平均的なところで見ますと、フランスが最も高い水準ではないかというふうに捉えております。
     また、遺族の方への給付につきましては、フランスとベルギーの制度ではどちらにも給付があるという状況でございますが、イギリスにおいては、患者ご本人が給付を受けられなかった場合にのみ、遺族向けの給付が行われるということになっております。またオランダでは遺族向けの給付はないというような状況でございます。
     次の3で制度利用アンケートの主な結果について。認定された患者さんがどのような状況なのかというご指摘がありましたので、その主なものについてアンケートの結果をご紹介させていただきます。詳細につきましては、参考資料3に制度利用アンケートの全体版がございますので、あわせてご高覧いただければというふうに思っております。
     そのうちスライド8にございます部分を紹介させていただきます。こちらのほうは、環境再生保全機構のほうで、認定者を対象にしているアンケート調査であります。向かって左手の図でございますけれども、こちらは満足度についてのアンケート調査の結果でございまして、とても満足、満足との回答が53.7%。逆に、不満、とても不満との回答が10%ございました。そのほか、療養手当、毎月10万円という支給額についてどう考えるのかというところにつきましては、妥当と思われている方が28.1%、そうとは言えないというのが7.1%という状況でございます。
     次の表でございます。スライドの9でございますが、まず、向かって左手のほうでございますけれども、認定を受けた方の年齢分布というところでございます。遺族の方の生活困窮というお話が出ておりますけれども、これを見ますと、60歳までの方で認定を受けられている方というのが14.4%おりますが、多いのは60歳から84歳ということで、およそ8割の方がこの年齢に分布しているということでございます。
     また、向かって右手でございますけれども、通院費、交通費という議論がございましたので、こちらのほうにまとめさせていただきました。通院1回にかかる交通費ということで、おおむね分布を見ますと5,000円未満の方というのが4分の3、75%程度でございます。また、最近1年間の通院回数というのが出ておりますけれども、大体29回までというところで4分の3程度の方が該当しているということでございます。
     したがいまして、こちらのほう、4分の3の方は、大体、月に1回~2回、交通費にすると5,000円~1万円という範囲であるという結果がわかりますが、もちろんそれを超える方々という方も一定数存在するというところでございます。
     おめくりいただきまして、4.指定疾病に関する最新の医学的知見でございます。スライドの11に先ほどご紹介のびまん性胸膜肥厚の症例における胸水に関する調査というものを行いました。四角囲いの上にありますように、びまん性胸膜肥厚の原因といたしましては、良性石綿胸水が最も多いという報告がされておりますが、この移行がどのように規定されているかの知見が十分でないため、この知見を収集するため調査を実施したところです。
     調査結果の概要でございますけれども、1ポツ目のほうに書いてありますように、びまん性胸膜肥厚と認定された症例152例のうち、被包化された胸水のあった症例が138例に見られたというところでございます。
     一方、びまん性胸膜肥厚に移行したということが明らかな症例について、良性石綿胸水からびまん性胸膜肥厚までに認定される期間を眺めてみたところ、10カ月までで認定されたという方、それから51カ月、4年以上たっても認定されないというような方というのも11例おられるということで、こちらの分布を見ますと、症例数について一定の傾向というのはなく、ばらついているというような状況でございます。
     したがいまして、四角囲いの3つ目の丸にございますように、胸水の被包化、これをびまん性胸膜肥厚と診断するかどうかについて、こちらについては更なる詳細な研究が必要ではないかというようなまとめになっております。
     次にスライドの12でございます。参考でございますけれども、喫煙それから石綿ばく露によって発症する肺がんに関する知見ということでございます。以前は、四角囲いの上に書いてありますように、肺がん死亡のリスクが相乗的に高くなるというふうに考えてございましたが、最近の知見では、相乗的に高まると言えるほどではないというような報告も出ているというところでございます。簡単に申し上げますと、下の表にございますように、以前は左手のような喫煙と石綿ばく露で肺がんのリスクが50倍というところが、最近の知見では30倍程度というところになっているというところでございます。
     次に5番目、中皮腫死亡者数の集計についてということで、スライドの13番目でございますが、次にございますスライドの14番目でございますが、こちらのほう、前回も中皮腫死亡者数の集計ということで、どれだけの方々が制度でカバーされているのかという一つの目安としてお示ししたところでございますけれども、今回は、右のほうから4番目のカラムにございますように、公務災害等補償制度というふうに掲げておりますように、国家公務員災害補償制度、地方公務員災害補償制度などの対象者というのを新たに追加したというものでございます。主な傾向としては、前回四角囲いの中に書いてあるものと特段変更はございません。
     次に、スライドの15、6、石綿ばく露者の健康管理に係る試行調査についてということでございます。スライドの16でございますけれども、こちらに取組状況について記載がございますので、ご高覧いただければと思っております。今年度は特に保健指導マニュアルというものを作成しようという、以前から自治体からのご指摘もありまして、作成しようとしている段階でございます。保健指導につきましては、いろいろとコメントをいただいておりますので、それらを踏まえながら作成してまいりたいと思っております。さらに何かご指摘がありましたら、またお願いしたいと思います。それから、自治体による保健指導の好事例の周知ということも行っているところでございます。
     資料3につきましては以上でございますが、途中、びまん性胸膜肥厚のものについてスライドの11番目のものにつきましては、今回、参加されております岸本委員のほうでやっておりますので、何か補足等がございましたら後ほどご意見をいただければというふうに思います。
     また、委員提出資料1にございますように内山委員のご意見、それから古川委員からも資料が出ておりますことを申し添えます。
     事務方からは以上でございます。よろしくお願いいたします。 
  • 浅野委員長 どうもありがとうございました。
     それでは、先に、今ご指名がありましたが、岸本委員、何か補足がございましたらお願いいたします。 
  • 岸本委員 びまん性胸膜肥厚、今日はあまり話題になりませんでしたが、肺がんや中皮腫が悪性腫瘍であり、患者さんが大変苦しんでいるというのは皆さんご存じだと思うんですが、びまん性胸膜肥厚で著しい呼吸機能障害がある方も、そこまで予後が悪いとは言いませんけれども、在宅酸素を吸ってかなり行動も限られて、やはり重症の疾患と言っていいと思います。
     というのは、5年前の議論もございましたが、救済法の対象というのは、予後不良の疾患ということで石綿肺とびまん性胸膜肥厚が加わったという経緯がございます。特に石綿ばく露によるびまん性胸膜肥厚というのは、従来から良性石綿胸水から移行する例が半数以上あるということは言われておりました。
     ただ、通常、胸水がなくなってびまん性胸膜肥厚というような記載もございますが、ここにありますように、我々、100人以上を調べていますと、胸水を伴ったまま、びまん性胸膜肥厚とされている例もあれば、それは認められない例もあるという事実がわかりましたので、胸水がたまって、そのために肺が再膨張しない場合は、びまん性胸膜肥厚と同じような呼吸機能障害があるということは間違いございませんので、ぜひこのような事案を救っていってはどうかというふうに思っております。
     良性石綿胸水というのは、今でも労災のほうでも全て本省に協議するということになっているぐらい、診断基準が曖昧な疾患でありまして、世界でもまだ診断基準が出てきていないような状況でございますけれども、救済に鑑みて、胸膜プラーク等、石綿ばく露がある方で胸水がたまって良性石綿胸水も否定できないというような方を、器質化というか、被包化胸水というふうにどのような状況で診断できるか、ぜひ多数例を検討していって、一定以上の所見がある方は、びまん性胸膜肥厚として著しい呼吸機能障害がある場合は認定していくような、そういう方向で検討していきたいなというふうに思っているような次第でございます。
     良性石綿胸水も救済法の対象にしろというようなご意見もありますけれども、救済法の場合は石綿ばく露歴を問わないという、そういう前提もございますので、これは厚生労働省のほうでまず検討していただいて、基準をつくっていただいた後、こちらで検討していくというのが、私は順序だろうと思います。
     まず我々が取り組みやすいのは、びまん性胸膜肥厚として胸水のある例を認めていく。その際の医学的な根拠を求めていくというのがいいんではないかなというふうに思っております。
     以上です。 
  • 浅野委員長 ありがとうございました。
     岸本委員、被包化胸水というのは、胸水とどういう違いがあるのか、ちょっと私は素人で。
  •  
  • 岸本委員 胸水がたまって、胸水を体が吸収しなくなる、そしてそのまま残ってしまうような病態です。 
  • 浅野委員長 周りが固まって吸収しなくしまっているという、胸水として残ってしまっているという状態ですね。 
  • 岸本委員 ですから、通常、たまった胸水というのはさらさらなものなんですけれども、器質化になりますと、粘稠度が高くなるので、体が吸い切れない、そういうような状態になったものとお考えいただいて。 
  • 浅野委員長 そういう症例について、先生によってはびまん性という診断をおつけになる方もいらっしゃると。 
  • 岸本委員 はい、先生によっては、特に労災は、各都道府県労働局で認定しておられますので、各地方の労災委員の先生によっては、胸水貯留はもとへ戻らないから被包化胸水、器質化胸水として認めていらっしゃる先生もいれば、いや、これは胸水だから、良性石綿胸水は治るはずだからということで認めないということで、認定基準に違いがございます。
     それと、良性石綿胸水というのは、ほとんど症状がない方が半数以上、6割ぐらいいますので、どこで水がたまったのか実際わからないけれども、レントゲンを撮ると、水があるというような方もいらっしゃいますので、そのあたりが問題かなというふうには思います。 
  • 浅野委員長 わかりました。どうもご説明ありがとうございました。
     それでは、ただいまの事務局のご説明、それから岸本委員のご説明について、ご意見、ご質問がありましたらどうぞ。
     今村委員、どうぞ。 
  • 今村委員 事務局に質問です。資料3、9ページの、患者さんが制度利用されているところで、ここで例えば訪問診療の回数であるとか、在宅酸素の利用者だとか、それから介護保険の利用状況、介護度等、何か調べることができるのかどうかということ。もし、そういうデータがあると非常に具体的に検討できるかなと思いました。
     それから、14ページの中皮腫死亡者数の一番右側、表の(A)/(B)です。この10年間で7割カバーしているということですけれども、さまざまな取組が行われて、いわゆる患者さん等に周知されているのであれば、どんどん、割合というのは当然ふえてくるんだと思うんですけれども、この数字が一定程度で定着しているというか、固定してしまっているというのはなかなか、先ほど長松先生がおっしゃったように、それどころじゃないんだ、申請どころじゃないんだというようなことで増えないのか、あるいは、周知がまだまだ十分されていないという認識なのかどうか、ちょっとその辺、事務局としてどう考えているか教えていただければと思います。 
  • 浅野委員長 それでは、今の2点いかがですか。室長。 
  • 高城石綿健康被害対策室長 石綿室長でございます。
     まず、スライドの9でございます。制度利用アンケートでございますけれども、委員ご指摘のような訪問診療によるものなのか、在宅によるものなのか、介護を受けている状況なのかという点につきましては、このアンケートではとってございませんので、これ、きちっととろうと思いまますと、別途調査をしなければいけないんではないかというふうに思っております。それが第1点でございます。
     それから、14ページ目のところでございます。こちら1点、どう捉えているのかということでございますけれども、7割で固定化しているという点でございますけれども、やはり周知というのは大事だと思っております。特に今日ご指摘がありましたように、関東、大阪のほうではというところもございましたけれども、全国にしっかりと周知していく必要があるんではないかと思っております。
     あとは、実際、この乖離の部分については、なかなか分析が難しいので、今後ともしっかりと周知活動をしていくことがまず第一かなというふうに思っております。 
  • 浅野委員長 それでは、ほかにご意見がございますか。
     岸本委員、どうぞ。 
  • 岸本委員 長松先生からご指摘の中皮腫登録制度というのは、実際、患者さんの同意をいただいて、環境省のこの救済法ではやっておりまして、平成27年度にはホームページにも登録制度の概要を出しております。
     登録制度はどうかということになると、医学的なデータを出しておりまして、診断が細胞診で診断されたか、組織診であったかどうか、画像はどうだったかとか、プラークはあったかないかというような記載が入っておりますけれども、長松先生から言われた登録制度という、その内容をもう少し教えていただいて、今の登録制度の中に入れることが可能なのかどうかというようなところをぜひ、またご意見いただけたら非常にありがたいなというふうに思っております。 
  • 浅野委員長 ありがとうございました。
     この点は今後の検討の中で、今日、ご提言いただいたことをどう生かせるか、本救済制度と法制度の枠を少し超えるような、しかし重要なご指摘をいただいたと思っていますので、今の岸本委員のご意見も参考にしながら引き続き意見を交換していきたいと思います。
     ほかにご意見がございましたらお願いいたします。
     大塚委員、どうぞ。 
  • 大塚委員 質問ですが、ちょっと調べていただくことが必要になってきて恐縮ですが。6ページのところで諸外国との関係を出していただいてありがたかったんですけれども、一つは、フランスのところですけれども、一番下のところで遺族との関係で25歳未満の同居している子供の場合に310万というのが出てきていて、これは子供の場合だけ特に一律の額を払うという趣旨なのかと思いますけれども、幼児とかが残っている場合に特に困るんだと思うんですけれども、ちょっとこの趣旨を教えてください。
     それからもう一つ、ベルギーのほうですけれども、これは恐らく補償なんだと思うんですが、石綿肺に関しては、これは因果関係についてはかなりの高度の蓋然性があるという認識なんでしょうか。補償にするためには、そこのところが問題になるというのが今までの我が国の答申の考えですので、そこを教えていただければと思います。
     それから、これは出していただいている国に聞いても申しわけないんですけれども、8ページに出ているこの満足だとか、どちらとも言えないというこの数字は、どのくらい重視していいんですかね。先ほどお話しいただいたこととの関係で言うと、ちょっと満足が多いような感じもするんですけれども、これをどう評価したらいいかというのは、我々が考えなくちゃいけないことだと思いますが。 
  • 浅野委員長 それは、むしろ我々が考えることだと思いますし、回収率が9割であるということは、一応ありますが、そのことも含めてどう評価するかは、我々が考えることだと思います。
     それから、前半のご質問については、後でまた少し整理をして事務局でお答えください。
     それでは、古川委員どうぞ。 
  • 古川委員 今日は本当に、まず、阪本先生、長松先生、ありがとうございました。すばらしいご講演、ありがとうございます。
     今後の論点についてなんですけれども、先生たちのご発表の中にもありましたけど、私なりの思いを少し述べさせていただきたいと思います。
     私は、アスベストの被害者の方たちの支援活動を始めて13年になります。この間、たくさんの患者とご家族にお会いしました。その数は、医療関係の専門の先生方を除いては、多分、私が最も多いと思っております。そういった方たちの中に、今日のこういった議論の中にあるように、救済法ができて本当によかったとおっしゃる方もたくさんおられます。それは、瞬間はそう思われたんですけど、治療費がまずかからなくなったということで、とてもよかったと喜んでおられました。その次に言われたことは、これでは生活できないということをおっしゃいました。そして、阪本先生のお話にもあったように、まず包括的に被害に遭うということもとても重要なことだと思います。
     先日も49歳の女性が亡くなりました。この方は、治療のために飛行機を使って通院しておられました。ご主人は奥様の介護のために仕事を休みがちになりました。そういうふうに家族全体が被害者となってしまいました。
     そして、さらには、私はこの経験の中からとても残念なことに、ご自身で命を絶たれた方と数人お会いしました。本当に悲惨なことです。残された家族は一生トラウマのように、その辛い思いを抱えて生きておられます。
     そういったことを今後防いでいくためにも、ぜひこの小委員会で今後に向けた大切な意義ある議論を進めていただきたいと思います。
     そういった中で、私のほうから四つ提案させていただきたいと思います。
     療養手当の増額及び遺族年金。二つ目が、兵庫県のような健康管理手帳の制度の設立。三つ目が、定期的な制度の見直し。四つ目が肺がんの認定基準の見直し。これを今日提案させていただきます。
     以上です。 
  • 浅野委員長 ありがとうございました。
     ほかに。根本委員、どうぞ。 
  • 根本委員 根本でございます。ありがとうございます。
     第1回会合でも申し上げたことですけれども、この石綿健康被害救済制度は、社会全体で石綿による健康被害者の経済的な負担の軽減を図るという趣旨のもと、事業主、国、地方公共団体それぞれが基金に拠出して被害者に給付を行う制度として発足し、運用されてきたと理解をしてございます。
     補償制度への転換、あるいは、汚染者負担原則、原因者負担というご発言もございましたけれども、そうなりますと制度の一番の根本的な部分が変わってしまい、現行制度の安定的な運用に支障を及ぼしかねないということを懸念いたします。その点を慎重に検討する必要があるのではないかと思っております。
     資料3で救済と補償が区別なく整理されているということにつきまして、少し懸念を覚えております。ここにつきましては、どれが救済制度であり、どれが補償制度なのかということを明確に分けて議論する必要があるのではないかと思います。
     参考資料2にまとめられているように、制度利用アンケートというものがなされておりますけれども、社会全体で救済をしていこうという制度である以上、資金面でこの制度を支えている側の意見も当然、聞くべきです。そういう運営をしていただきたいと思います。
     加えて、費用負担のバランスが相当程度に崩れる可能性があるということを指摘させていただきたいと思います。民間の事業主は継続的に基金へ拠出してきてございますけれども、国は制度発足当初に基金へ拠出したのを最後に毎年度の事務費の半額以外の負担がございませんし、都道府県による拠出も本年度で終了すると理解しております。今後、どのような費用負担バランスにするのかということも、制度の運用という意味で議論の対象にすべきことであると思っております。
     以上でございます。 
  • 浅野委員長 ありがとうございました。
     田村委員、どうぞ。 
  • 田村委員 さっき中皮腫登録の話もちょっと出たんですけれども、中皮腫登録については、先ほど岸本委員から話があったように、病理学的な知見あるいはまた画像の知見とか、いろいろ集積されて非常に役立っていると思うんです。
     それからまた、中皮腫登録は、患者さんのそういういろいろ許可といいますか、得てやっているものですから、やはり患者さんにフィードバックできるものということで、これは難しいことですけれども、なかなか早期の診断であるとか、治療法の向上とか、そういったものを踏まえて何か検討できるような、そういったまた内容に検討できればなというふうに思っております。
     それからあともう一つ、岸本委員が先ほどおっしゃられたように、良性石綿胸水について、僕もかなり症例を診てきていますけど、検診で偶然発見されて、また経過を見てもびまん性胸膜肥厚に至らずにおさまっているものもありますし、そういう被包化胸水ということで、引いて抜けないようなやつが長期にわたって、僕も13年ぐらいたまった人があって、呼吸不全で亡くなって解剖したけど中皮腫じゃなくて、良性胸水ということだったですけれども、そういった例もありますので、こういった被包化胸水については、特に呼吸機能障害については、また救済の観点からまた検討したらいいと思います。
     以上です。 
  • 浅野委員長 ありがとうございました。
     ほかにございませんでしょうか。岸本委員、どうぞ。 
  • 岸本委員 今日、あまり話題にならなかったですが、古川委員が最後に石綿肺がんの認定をとおっしゃられました。5年前には石綿繊維というのが測れなくて、古川委員から3年も待てないというようなお言葉があったんですが、環境省のほうから我々の施設に機械を買っていただきまして、今、鋭意頑張っておりまして、過去の事案はほとんど行うことができました。けれども、石綿小体に比べまして繊維の測定というのは大変難しいので、この精度管理を、きちっと行うべきだと思いますので、環境省はそのあたりも、鋭意、今までどおりお願いできたらというふうに思います。 
  • 浅野委員長 
     では、今村委員どうぞ。 
  • 今村委員 40歳以上の方については、介護保険の利用というのが多分、非常に多くなるんだと思うんですが、先ほどあったように、進行が非常に早くて十分に介護保険が利用できないようなケースも多分あるんだと思います。
     今、介護認定審査では、例えばがん末期というと、認定までの時間を非常に早くするとか、あるいは介護度についても、それを配慮して、いわゆるコンピュータが出してきたものよりも審査会の中で高くする。がん末期という記載があればそういう配慮をするという仕組みがあるので、そういうところに例えば中皮腫というものを入れていただいて、地元の審査会の中で早目に審査に回していただく、そして介護度についても配慮するという仕組みはできるんじゃないかなというふうに思っています。
     それから、専門医の先生が診断したときに、すぐにそういったことまで専門医の先生がそこまでのいろんな手配をするというのは非常に難しいので、誰がそういうことをするのかということはちゃんとやっぱり考えなくちゃいけないと思っていて、それが、先ほどお話があったような看護師さんなのか、あるいは、中皮腫登録をした際に、そういう情報を一元的に共有できるような何か仕組みができないのかなと。
     いずれにしても、できるだけ早く対応をチームでするということが大事だというのは、まさしくご指摘のとおりだと思いますので、またご検討いただければと思います。特に介護認定審査については、厚労省のほうでいろいろお考えいただけるとありがたいと思っています。 
  • 浅野委員長 ありがとうございました。
     では、古川委員どうぞ。 
  • 古川委員 今の中皮腫登録の件ですけど、一つ先ほど言い忘れていたんですけど、中皮腫登録をすることによって大きなメリットがもう一つあります。というのが、中皮腫の患者さんが発症された、じゃあ原因は何か、労働なのか、あるいは環境なのかということをまず知ることによって、その周辺におられる方の被害を未然に、できれば予防するというか。石綿を吸って何十年も経過して発症する病気ですから、予防は難しいとしても、少しでも早く対応することは可能になると思います。
     だから、中皮腫を登録、だから尼崎のクボタショックのように、中皮腫の患者さんが出ていても、なかなか表面に出なかった。ということは、一つはここに大きな問題もあったと思います。だから、ぜひ中皮腫の登録制度は実現していただきたいです。
     それと、岸本委員、ありがとうございます。本当に石綿繊維の計測も早く行っていただけるようになりましたけど、もう少し早く行っていただけるとありがたいです。よろしくお願いします。ありがとうございました。 
  • 浅野委員長 それでは、今日はご意見を伺うという機会と、それから今後の議論のための論点整理をしていただいて、さらに前回までの要望に従った資料が出されましたので、それについての検討をいたしました。
     大塚委員からさらに時間を過ぎているんですが、発言を求められましたので、簡単にお願いします。 
  • 大塚委員 さっき挙げていたんですけど、すみません。
     先ほど長松先生からのお話であった通院タクシーの費用負担と介護費用、家事ヘルパー代の負担等について、どういう状況になっているかということについて、ぜひ国のほうで調査をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
     以上です。 
  • 浅野委員長 では、さらに可能な限り調査をしてほしいという要望がありましたので、よろしくお願いいたします。 
  • 阪本専修大学教授 1点だけ、すみません。僕が発言する権利があるかどうかわからないんですが。
  • 浅野委員長 終了時間を過ぎているんですが、どうしてもということでしたら1分以内でご発言をください。 
  • 阪本専修大学教授 まず、先ほどありましたけど、基金がもともと黒字化したのは、制度設計の入り口が間違っていたということで、考慮いただきたいというのと。基金があのまま拠出比率を変えなければ、もうちょっとたくさんの人を救えるような状況ができていたはずです。それが1点と。
     資料3のところの問11ですね。療養手当のところなんですけれども、これはわからない、どちらとも言えないというのが60%なので、そこは中身をきっちり調べる必要があると思います。つまり、これが一番データ上、重要な意見になるのかなと思います。というのは、これは性別によっても違いますし……。 
  • 浅野委員長 わかりました。大変恐縮です。時間が過ぎておりますので。 
  • 阪本専修大学教授 お願いします。 
  • 浅野委員長 それでは、本日いただいたご意見につきましては、もう一度委員長のもとで整理をさせていただきまして、次回の審議に反映させていきたいと思います。
     では、今後のスケジュールについて事務局から説明いただきます。 
  • 課長補佐 次回の小委員会の日程につきましては、現在調整中でございますので、決まりましたら追ってご連絡いたします。
     また、本日の議事録につきましては、事務局で原案を作成し、委員の皆様にご確認いただいた後、環境省のホームページに掲載する予定ですので、よろしくお願いいたします。それまでの間は、本小委員会の運営方針に基づきまして、会議の音声を環境省のホームページに掲載する予定でございます。
     それでは、以上をもちまして、第2回石綿健康被害救済小委員会を終了したいと思います。どうもありがとうございました。 
  • 浅野委員長 それでは、本日はこれで終了いたします。次回またどうぞよろしくお願いいたします。

午後3時04分 閉会

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