第1回 中央環境審議会 環境保健部会 石綿健康被害救済小委員会 議事録

1.日時

平成28年4月20日(水)13:15~15:00

2.場所

航空会館 201会議室

3.議事次第

  1. 開会
  2. 議事
     (1)石綿健康被害救済制度の施行状況について
     (2)その他
  3. 閉会

議事録

午後1時15分 開会

  • 課長補佐 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第1回中央環境審議会環境保健部会石綿健康被害救済小委員会を開催いたします。
     本日の会議は公開で行います。
     なお、報道機関の皆様のカメラ撮りは冒頭のみ可能としております。
     傍聴者の方々には撮影のご了解をいただいておりませんので、カメラ撮りの際はメーンテーブルのほうでお願いいたします。
     傍聴者の皆様におかれましては、傍聴券にも記載されておりますが、今から読み上げる留意事項を遵守してください。
     傍聴券を持っていない方や代理人の傍聴は認められません。事務局の指定した場所以外の場所に立ち入ることはできません。静粛を旨とし、審議の妨害となるような行為は慎んでください。審議中にカメラ撮りをすることはできません。携帯電話等の電源は呼出音が出ないようにして傍聴してください。会議の開始前後を問わず、会議場内において委員等に対して抗議、または陳情等はお断りいたします。その他事務局職員の指示に従うようお願いいたします。これらを守られない場合には、ほかの傍聴者の迷惑にもなるため、退場していただくことがあります。何とぞ遵守をお願いいたします。
     また、会場から火災地震発生時のご案内をいただいており、資料とともにお配りしておりますので、ごらんください。
     本日は、小委員会委員10名のうち8名の方のご出席をいただいており、定足数を満たしております。
     本日は、第1回ということで、本委員会と委員の皆様の紹介をさせていただきます。
     まず、本委員会ですが、本年1月14日に開催されました環境保健部会において設置が承認されております。
     委員は部会長の指名により、資料1のとおりとなっております。
     また、委員長につきましては、あらかじめ浅野委員が指名されております。
     それでは、委員の皆様を50音順に紹介させていただきます。
     まず、福岡大学名誉教授の浅野委員でございます。
     続きまして、本日ご欠席でございますが、日本医師会副会長の今村委員、そして京都大学名誉教授の内山委員でございます。
     続きまして、兵庫県健康福祉部長の太田委員でございます。
     続きまして、早稲田大学法学部教授の大塚委員でございます。
     続きまして、岡山労災病院副院長の岸本委員でございます。
     続きまして、奈良医療センター副院長の田村委員でございます。
     続きまして、明治大学法学部専任教員の新美委員でございます。
     続きまして、日本経済団体連合会常務理事の根本委員でございます。
     続きまして、石綿対策全国連絡会議運営委員の古川委員でございます。
     ありがとうございました。
     次に、事務局側の紹介をいたします。
     まず、環境保健部長の北島でございます。
     続きまして、環境保健企画管理課長の大森でございます。
     続きまして、石綿健康被害対策室長の高城でございます。
     また、独立行政法人環境再生保全機構、厚生労働省、環境省の水・大気環境局と廃棄物・リサイクル対策部からも出席しております。
     また、本日はヒアリングを行うため、中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会から3名の方にお越しいただいております。
     ありがとうございました。
     それでは、次に、本日の資料の確認をしたいと思います。お手元の資料をごらんください。
     資料1、委員名簿、資料2、石綿健康被害救済小委員会の運営方針について、資料3、石綿健康被害救済制度の施行状況について、資料4、主な論点(たたき台)、委員提出資料、古川委員提出資料、ヒアリング資料、中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会提出資料、参考資料、中央環境審議会関係法令等をお配りしております。
     また、ヒアリング資料につきましては、委員限りの資料を卓上にお配りしております。
     もし不足がありましたら、事務局までお申し出ください。
     それでは、会議の開催に先立ち、環境保健部長の北島から一言挨拶申し上げます。
  • 北島環境保健部長 本日は大変お忙しい中、第1回目、初回となりますけれども、石綿健康被害救済小委員会にご出席いただきまして、まことにありがとうございます。
     また、委員の皆様方には、日ごろから環境保健行政にご支援、ご協力をいただいておりますことに改めて御礼を申し上げます。
     このたびの熊本地震でございますけれども、まだ大きな余震が続いているということですが、お亡くなりになられました多くの皆様のご冥福をお祈り申し上げますとともに、ご遺族の皆様に心からお悔やみを申し上げたいと思います。
     また、多くの方々が避難生活を送っておられますが、被災をされた全ての方々に心からお見舞いを申し上げたいと思います。
     被災された皆様につきましては、石綿健康被害医療手帳等がなくても公費負担医療が受けられますよう各都道府県及び関係団体に周知を図ったところでございます。
     被災地が直面するさまざまな課題につきまして、万全の対策を進めてまいりたいと考えております。
     さて、委員の皆様には既にご承知のとおりでございますけれども、石綿による健康被害の迅速な救済を図るための石綿による健康被害の救済に関する法律が平成18年3月に施行されまして、これに基づいて石綿による健康被害を受けた方及びそのご遺族に対して各種救済給付が行われております。その後、平成20年6月に議員立法による法改正が行われ、救済対象者の拡大等の措置が講じられましたほか、平成22年7月に政令改正により救済給付の対象となる指定疾病の追加等を行いました。また、平成23年8月には議員立法による法改正が行われ、特別遺族弔慰金の請求期限の延長が行われ、その後も平成25年6月には肺がん等の判定基準の見直しなどを行ってまいったところでございます。
     今般、平成23年の改正法の附則に基づき、本年8月に改正法の施行から5年が経過することを踏まえ、この小委員会において石綿健康被害救済制度全体の施行状況について改めて評価・検討を行っていただきたいと考えているところでございます。
     委員の皆様方におかれましては、これまでの石綿健康被害救済制度全体の施行状況を踏まえつつ、幅広い観点からご意見を賜りますようお願い申し上げまして、簡単ではございますが、挨拶とさせていただきます。
     本日はどうぞよろしくお願いいたします。
  • 課長補佐 カメラ撮りにつきまして、ここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
     それでは、ここからの議事進行は浅野委員長にお願いしたいと思います。
     浅野委員長、よろしくお願いいたします。
  • 浅野委員長 >それでは、早速議事に入りたいと思います。
     まず、本題に入ります前にこの小委員会の運営方針についてご了承いただきたい点がございます。この小委員会は原則公開で開催いたしますが、石綿による健康被害を受けた方など、傍聴が困難な方がいらっしゃるということを配慮いたしまして、迅速な情報提供を図るため、議事録が公開されるまでの間に限って会議の音声を公開することにしたいと考えております。詳細については事務局から説明をいただきます。
  • 高城石綿健康被害対策室長 それで、ただいまの件につきましてご説明させていただきます。お手元に資料の2、石綿健康被害救済小委員会の運営についてという紙をご用意ください。
     こちらに、ただいまご紹介のように、記と書いてございます1でございますけれども、本委員会につきましては、石綿による健康被害を受けた方など当該会議への傍聴が困難な方への迅速な情報提供の観点から、当該会議出席委員の了承を得て調製された会議録を公開するまでの間に限り、当該会議会議の音声を公開したいと思っております。
     また、この公開については、会議終了後、可能な限り速やかに、音声の電子データを環境省のホームページに掲載することにより行うこととしたいと思います。
     また、この音声については、当該会議の会議録としては取り扱わないことといたしたいと考えております。
     また、個人情報など公開が適切でない情報が万が一入った場合には、事務局におきまして編集させていただくことがございますので、その点もご了承いただきたいと思います。
     以上でございます。
  • 浅野委員長 それでは、ただいまのご説明につきまして何かご質問がございますでしょうか。いかがでございますか。特にご質問、ご意見ございませんか。

    (なし)

  • 浅野委員長 それでは、ただいまの運営方針については、ご了承いただいたものとさせていただきます。
     では、本題の議事に入りたいと思いますが、本日は先ほど、部長のご挨拶にもありましたように、本小委員会は、改正法の施行5年をめどに施行状況の点検、見直しを行うことになっておりますので、このための議論を今後進めてまいりますが、まず本日は石綿健康被害救済制度の施行状況についてと、現在までの制度の運用状況等について、事務局から説明をいただきたいと思います。
  • 高城石綿健康被害対策室長 それでは、ただいまのことにつきまして、皆様、お手元に資料3のご用意をお願いいたしたいと思います。石綿健康被害救済制度の施行状況についてというものでございます。
     右の下にページ数を振っております。ご参考までにしていただければと思います。
     まず、おめくりいただきまして、2ページ目の1.現行制度の概要でございます。
     おめくりください。3ページでございます。タイトルにございますように、救済制度の概要をこちらにまとめさせていただきました。
     四角囲いにありますように、救済制度でございますけれども、石綿による健康被害に係る被害者等の迅速な救済、これを図ることを目的に、労災補償等の対象とならない者に対する救済給付の支給を行うものとさせていただいております。
     また、これは健康被害の特殊性に鑑みまして、国が民事の損害賠償とは別の行政的な救済措置を講ずるものでございまして、原因者と被害者の個別的因果関係を問わず、社会全体で、下の図にございますように、事業主、国、都道府県、こちらのほうで石綿による健康被害者の経済的負担軽減を図るべく制度化されたものになっております。
     おめくりいただきまして4ページでございます。こちらには健康被害の特殊性と制度の性格についてまとめさせていただきました。
     四角囲いにございますように、健康被害は、本来は原因者が被害者に損害賠償責任を負うものでございますけれども、個別に因果関係を特定して損害賠償を行うことが困難というのが①に記載してございますけれども、これらの内容につきまし点々で囲いました中環審の答申からの抜粋について少し細かく説明させていただきますと、1)にございますように、石綿へのばく露から発症までの潜伏期間が30年、40年と非常に長期にわたる、また石綿が建築物や自動車など極めて広範囲な分野で利用されていたというようなことがございまして、石綿の飛散と個別に健康被害に係る因果関係を立証することが難しいということ、そのほか、石綿による健康被害として、中皮腫以外の疾病につきましては、石綿以外の原因によっても発症し得ると、こういったこともございまして、因果関係の特定が困難であるというところでございます。
     また、四角囲いの②にございますように、被害者につきましては、重篤な疾病を発症するかもしれないということが一般的に知られていない中というのがございますけれども、これにつきましては、点々の四角囲いの下のほうに記載されてございますけれども、発症された場合に、ばく露した後に、発症までに30年から40年かかると。ただし、30年、40年前にはこのような重篤な疾病を発症するかもしれないことは一般に知られていなかったということがございます。こういう中で、自ら非がないのに何ら救済を受けることができないまま亡くなられたというような特殊性、こうした状況に鑑み、国が民事の損害賠償とは別の行政的な救済措置を講ずるものとしたものでございます。
     おめくりいただきまして5ページ目が、救済制度のこれまでの見直しでございます。
     平成18年の制度開始以降、制度の基本的な考え方は維持しつつ、適時適切に見直しを実施してきたというところでございます。
     下に書いてございますように、主な点をご紹介すれば、平成20年12月には医療費・療養手当の支給対象期間を拡大するということが行われましたり、平成22年には指定疾病を追加、また、平成23年には特別遺族弔慰金等の請求期限の再延長、10年間の延長が行われましたり、最近では平成25年に肺がん等の判定基準の見直しを行ったところでございます。
     おめくりいただきまして、6ページ目でございます。現在、本法律による指定対象疾病につきましては、こちらに記載のとおり4疾病ございますけれども、いずれも重篤な病状・疾病でございます。こちらについては、迅速な救済を図るべき特殊性が見られると考えるものでございます。
     また、これらの疾病の判定につきましては、厳密なばく露歴までを求めることなく、画像所見、または病理所見などの医学的所見をもって判断しているというところでございます。
     また、指定疾病につきまして、それぞれ医学的判定に関する考え方というのが下に書いてございます。一番上にございます中皮腫、こちらにつきましては、そのほとんどが石綿に起因するものと考えられることから、診断の確からしさが担保されれば、石綿を吸入することにより発症したと考えることが妥当だとされているものでございます。
     また、肺がんにつきましては、喫煙をはじめさまざまな原因がございますので、吸引したことによるものか否かの判定というのは、必ずしも容易ではないことから、肺がんの発症リスクを2倍以上に高める量の石綿ばく露があったと見なされる場合に判定できるというふうに考えているところでございます。
     その他、著しい呼吸機能障害を伴う石綿肺及びびまん性胸膜肥厚につきましては、大量の石綿へのばく露、また適切な条件下での画像所見、それから呼吸機能検査、こういった情報をもとに総合的に判断を行っているというような状況にございます。
     おめくりいただきまして、7ページでございます。救済給付についての考え方でございます。
     ただいまご説明させていただいたように、民事の損害賠償とは別の行政救済措置ということでございます。したがいまして、逸失利益、積極的損害の額など、損害項目を積み上げて厳密に填補する補償という意味合いのものではございませんで、医療費、入通院に係る諸雑費などを含む見舞金的なものと整理させていただいております。したがいまして、補償的色彩の強い生活保障的な給付項目というのは採用していないところでございます。
     また➁にございますように、給付水準につきましては、類似の制度との均衡を考慮しながら設定してきたというところでございます。
     メニューにつきましては、下に書いてあるとおり、医療費につきましては自己負担分、療養手当につきましては10万3,870円/月というところでございます。これにつきましては、入通院に係る諸経費という要素、それから介護手当的な要素、これらが含まれているという整理でございます。
     そのほか、葬祭料、救済給付調整金というのがございます。
     8ページ目、現行制度での施行状況というところでございます。
     おめくりいただきまして、9ページ目でございます。認定申請の状況①とございますように、まずは申請の受付件数の経年推移をまとめたものでございます。
     平成18年3月の制度以降、申請受付件数は累計で1万5,220件ということになっております。下の表にございますように、年度ごと、また療養者、未申請死亡者、施行前死亡者につきまして年次的なものを数値で経緯を示しております。
     おめくりいただきまして、10ページ目が認定の状況でございます。こちらにつきましても制度開始以降累計は認定件数1万985件ということになっております。表のつくりにつきましては、先ほどご紹介のとおりでございます。
     おめくりいただきまして、11ページをお願いいたします。認定申請の状況③ということで、認定割合の経年推移ということでございます。
     ただいまの認定件数と、それから不認定件数は、こちらに記載のとおりでございますけれども、四角囲いの下の*で書いてありますように、認定件数、不認定件数を分母としたその年度における認定件数の割合というものをまとめたものでございます。療養中の方、代表的なもので、指定疾病別に見ますと、中皮腫の認定割合は一番左の欄になりますけれども、こちらのほうが90%を超えているということでございます。また、肺がんのにつきましても平成25年度以降は80%前後で推移しているという状況にございます
     おめくりいただきまして、12ページでございます。現在、救済給付を受けている方の概要ということで、これは独立行政法人環境再生保全機構、以下機構と簡略化させていただきますけれども、機構のほうで任意の形でアンケートを実施しております。
     これにつきまして概要を申し上げますと、回答者の多くが男性であり、また、申請時ないし死亡時年齢は70歳前後、またばく露状況としては、職業ばく露が疑われる例というのが過半数を占めているというようなところでございます。
     詳細につきましては、下に記載のとおりでございます。
     おめくりいただきまして、13ページでございます。こちらのほうから、ちょっと文字が多いのでございますが、参考資料をたくさんつけておりますので、それらを中心にご説明させていただきます。これまで指摘された検討課題への対応状況ということでございます。
     14ページでございます。指定疾病についてまとめてございます。
     向かって左手のほうが指摘された検討課題というところでございます。例えば、中皮腫、肺がん以外の石綿関連疾患について知見を収集すべしというところがございましたが、右に書いてあります対応状況にように指定疾病を二つ追加しましたというようなことがございます。
     そのほか、真ん中でございますけれども、びまん性胸膜肥厚について、それから肺がんについての知見の収集に努めるべきというところでございますけれども、右に記載のとおり、知見の収集に努めているというところでございます。中環審の判定小委員会にも情報提供をしているというような状況にございます。
     おめくりいただきまして、15ページ目でございます。運用の強化・改善の①というところでございます。
     指摘された検討課題のほうで①とございますように、労災保険制度との連携強化というのがございます。こちらについては、例えば、作業従事歴のある申請者等については機構から労災の窓口へ直接連絡することを検討すべきではですとか、あとは中皮腫の死亡者の関係の情報について定期的な公表が必要だというところがございますが、対応状況については、16、17ページで詳細報告いたします。
     ②認定に係る対応の迅速化に向けた取組の強化というところでございますけれども、一般の医療機関への制度の周知、それから認定の判定基準の制度の周知、そのほか、医療機関へ直接連絡をとって行う方法というのを検討すべしというようなところがございます。こちらについても右の記載のとおりでございます。
     それから、繊維計測についてできる限り迅速に実施できるようにといったところで、実施体制の整備を進める必要があるというところにつきましても参考資料でご説明します。
     16ページ目が労災保険制度との連携強化ということで、厚生労働省への情報提供の状況でございますけれども、下の表にございますように、25年度からこれまでの間に100件弱の件数をご紹介させていただいたという指摘でございます。
     17ページでございます。こちらが労災保険制度と連携強化②ということで、中皮腫死亡者数の集計ということでございます。
     こちらにつきましては、機構の統計資料において、いわゆる制度の認定者と、それから、人口動態統計による中皮腫死亡者の関係について公表しているというものでございます。
     下の表にございますように、石綿健康被害救済制度、それから労災、船員保険、国鉄・共済等ということで、こういった制度の対象者の合計というのを(A)ということで記載しておりまして、これまでに1万2,000件程度のものが確認されているということでございます。(B)欄がいわゆる人口動態統計で捉えた中皮腫の死亡者数ということでございます。カバー率は約6割というところでございますが、注の2にございますように、国鉄・共済等につきましては、救済制度の認定を受けた後にこうした制度の対象になった者というところでございますので、石綿健康被害救済制度は経ずに直接国鉄・共済等というところで対象になった方というのは除かれておりますことを留意いただきますようお願いいたします。
     平成18年度以降、石綿救済制度ができておりますけれども、それ以降で別計上しますと、約7割をカバーしているという状況でございます。
     おめくりいただきまして、18ページ目でございます。認定に係る迅速化に向けた取組ということでございますけれども、機構において認定迅速化のために、下のとおりの取組を実施したというところで、代表例を挙げますと、平均処理日数の推移というのが下の表に出ておりますが、制度発足当初は173日だったのが106日まで短縮しているというような状況でございます。
     おめくりいただきまして、19ページ目でございます。こちらのほうが石綿の繊維計測体制でございます。
     これは肺がんの認定要件の一つになっているものでございまして、非常に時間がかかるということから、体制整備を進めるようにということでしたが、平成25年度から透過型電子顕微鏡等の体制整備、人材育成、そのほかマニュアルなどをつくってきているところでございます。
     20ページ目でございます。運用の強化・改善②というところでございます。
     指摘された検討課題の③といたしまして、特別遺族弔慰金の対象者への周知というところで、一層の広報活動、個別周知をすべしというようなところが指摘されております。こちらについては、別資料でまたご説明をさせていただきます。
     それから、④でございますけれども、医療機関等への知識の普及、治療等に関する情報の提供というところでございますけれども、こちらについても周知徹底を図るべし、それから、診断・治療レベルを一定以上に保つために情報提供の実施をやることが必要だというところでございます。こちらについては、右に書いてありますように、別資料で少しご説明させていただきます。
     おめくりいただきまして、21ページ目、広報活動でございます。
     これは機構のほうでの取組の一環のご紹介でございますけれども、患者・国民向けの制度周知、それから、医師・医療機関向けの制度周知ということでやっております。平成27年度につきましては、10年目というような節目もございましたので、テレビCM等でPRをしていただいたというようなところがございます。
     それから、おめくりいただきまして、22ページでございますけれども、特別遺族弔慰金対象者への周知というところでございますが、こちらは機構と、それから厚生労働省において、2回にわたり個別周知を実施した実績でございます。
     おめくりいただきまして、23ページでございます。医療機関への情報提供ということでございますけれども、こちらのほうは環境省が実施させていただいております。医療従事者を対象に講習会を毎年2~3カ所で開催してきているというところでございます。
     それから24ページ目が中皮腫登録でございます。
     25年度から中皮腫の症例に関しまして病理所見、画像所見等のデータベースの登録を開始いたしまして、今年度、中皮腫登録のサイトを開設させていただきました。また、この情報につきまして厚生労働省、関係する学会等に情報提供をしているというところでございます。今後とも情報の充実に努めてまいりたいと思います。
     25ページ目をお願いいたします。健康管理の内容でございます。
     指摘された検討課題にいろいろ書いてございますけれども、職業性ばく露以外の健康被害についての各種調査研究を推進する必要があるですとか、定期的な健康管理を行うためのシステムを整備する必要がある、また、メリット・デメリットを踏まえた方向を検討すべきだというところでございます。これにつきましては別資料で、環境省でリスク調査、それから試行調査をやっております。後ほどご紹介いたします。
     また、一番下にございますように、既存の検診にあわせて、例えば、胸膜プラーク等の所見があった場合には、必要な情報提供を行うよう促すことはできないかというところが指摘されておりますけれども、こちらにつきましては、市町村に対しましてお願いということで周知依頼をしているところでございます。
     おめくりいただきまして、26ページでございます。先ほどご紹介の石綿リスク調査の取りまとめというものでございます。こちらのページは、目的、方法、結果が記載されております。
     目的につきましては、記載のとおりでございます。石綿ばく露者の中・長期的な健康管理のあり方を検討するための知見の収集ということでございます。調査年度、対象地域、調査対象人数につきましては、記載のとおりでございます。
     一番下にございます、得られた主な知見というところでございますけれども、有所見者、医療の必要があると判断された方は初回受診時に最も多かった。それから、ばく露が明白な者に多かった。また、高齢者に多いというようなことがございました。
     また、中皮腫を発見する上で重要な所見といたしまして、胸水貯留ですとか、胸膜腫瘍がございますけれども、この多くは当初胸膜プラーク等の石綿関連所見をあわせて持っていた者について発見されたということでございます。
     また、最後にございますように、今回の調査では、通常の5倍に相当する中皮腫死亡者が確認されておりまして、今回の対象集団というのがリスクが高かったのではないかということを示唆しているというようなことでございました。
     おめくりいただきまして、27ページでございます。結果と考察でございますけれども、こちらに記載のとおり、メリットといたしましては、例えば不安の減少等が挙げられまして、デメリットとしましては放射線の被ばくということがございます。
     今後の在り方というところですが、目的は記載のとおりでございます。
     実施方法といたしましては、目的や検査に伴うリスクについて丁寧に説明を行った上で、任意型の健康管理とすることが適当である、そういったことですとか、あとはいわゆるメリットとデメリットを踏まえて、画像検査のみならず健康相談も組み合わせて効率的にやるべしというようなことが記載されております。また、最後にございますように、他の検診等との連携が必要だということでございます。
     おめくりいただきまして、28ページでございます。こちらが現在実施しております試行調査でございます。
     リスク調査を踏まえまして、今後は石綿検診(仮称)でございますけれども、これを見据えモデル事業を実施しているというところでございます。
     対象地域は、記載のとおりでございまして、28年度は大阪府、兵庫県のほうの自治体で参加が増えているというところでございます。
     検査項目につきましては、特にこれまでより強化すべき点としては保健指導、それから他の検診等で撮影した胸部X線の活用、こういったことが挙げられております
     おめくりいただきまして、29ページ、調査研究の推進でございます。
     こちらについて指摘された検討課題につきましてですが、中皮腫についてもがん登録制度を参考にしつつ情報提供、こちらについて先ほどご紹介の中皮腫登録を実施しているところでございます。
     また、下にございますように、肺がんに比べて予後の悪い中皮腫に対する新たな治療法の開発や早期診断のための研究を進めるべしということが書いてございます
     治療法につきましては、厚生労働省においてがん研究の中で中皮腫についても研究がされている。また、診断法の向上につきましては、環境省において実施しているというようなところでございます。
     おめくりいただきまして、30ページでございますが、こちらは環境省で実施しているいわゆる診断に関する研究の一例でございますので、後ほどごらんいただければと思います。
     おめくりいただきまして、31ページでございます。(5)石綿健康被害の未然防止の取組の推進ということでございます。
     指摘された検討課題でございますけれども、こちらについては新たな石綿健康被害を引き起こさないということで、未然防止の推進を一層図ることというようなことが記載されてございます。
     対応状況といたしましては、大気汚染防止法の関係、それから廃棄物処理法の関係につきまして、記載のとおりの対応状況というところでございます。
     おめくりいただきまして、32ページが大気汚染防止法の改正についての概要、さらにおめくりいただきまして、33ページが廃棄物処理法に基づく取組の状況というところでまとめさせていただきました。
     説明は以上となります。よろしくお願いいたします。
  • 浅野委員長 どうもありがとうございました。
     意見交換の時間はこの後に、設けたいと思いますが、ただ今のご説明についてご質問がございましたらお受けいたしますが、どなたかご質問ございますか。よろしゅうございましょうか。
       (なし)
  • 浅野委員長 それでは、後ほど、またご質問に類するご発言があっても構わないと思いますので、先へ進みたいと思います。
     制度の施行状況についての意見交換を行いたいと思います。今日は第1回目ということでもございますので、お一人3分程度をめどということでご発言をいただければと思います。
     なお、議論の整理のためにということで、事務局が主な論点は次のようなものであろうということで、資料4にたたき台ということで論点を書いていただいておりますが、これはお目通しいただいて、これをご参考にいただいた上でのご発言をいただければと思います。
     会議の音声を公開することを先ほどご了承いただきましたので、ご発言の前には、恐縮でございますが、お名前を述べていただいてご発言をいただければと思います。
     それでは、どなたからでも結構でございます。いかがでございましょうか。
     では、田村委員、どうぞ。
  • 田村委員 奈良医療センターの田村と申します。
     指定疾病の考え方ということなんですけれども、一応、今現在は石綿に関連する疾患では肺がん、中皮腫、そしてまた、びまん性胸膜肥厚、それから石綿肺、これが挙げられております。ただ石綿関連疾患としては、ごらんの皆様はよくご存じのように、良性石綿胸水というのもあります。この良性石綿胸水についてなかなか判断するというのは難しい、診断基準とかもありますけども、なかなか時間がかかるとか、あるいはまた、胸水自体も増えたり減ったりするので、安定した状態でないと、肺機能の障害とかを認定するのは難しいと思います。
     ただ、長期にわたって固定して、いわゆる被包化されて、たまっている胸水もありますので、そういったものについては、今現在もある程度は配慮されていると思うんですけど、一応、指定疾病のところにも良性石綿胸水というのはありませんし、労災なんかでは入っていますけども、ないので、そういったことがある程度判断基準とかをまた決めて、考えてはどうかなというふうに思っておりました。
  • 浅野委員長 ありがとうございました。岸本委員、どうぞ。
  • 岸本委員 岡山労災病院の岸本でございます。
     先ほど、田村委員が言われたとおりでございまして、びまん性胸膜肥厚というのは救済法の対象になってございますが、良性石綿胸水のみ、労災では補償されるけれども、まだ救済法には入っていないということでございます。実際に労災の認定においても、各都道府県の労働局で良性石綿胸水というのを判断はできないということで、全て本省協議ということになっておりまして、診断は大変微妙なところでございます。
     一方、びまん性胸膜肥厚に関しましては、私を主任研究者としまして、環境省から研究費をいただいて、全国でただいま224人のびまん性胸膜肥厚の患者さんを診せていただきました。著しい呼吸機能障害があれば、これは労災でも救済でも認められておりますが、呼吸機能障害がない場合は、労災でも救済でも認められないということになっております。
     通常、びまん性胸膜肥厚というのは、胸水というのがないということにはなっているんですけれども、私が診せていただいた176例で労災、もしくは救済の対象となった患者さんのうち85%が胸水を実際に画像上認めながら、救済、労災ということになっています。
     ということになると、こういう胸水を持って、なおかつ肺がもとに戻らない、再膨張しないような方についても、ある程度、今、田村委員がおっしゃられましたように、今後考慮していくべきではないか。実際に85%の方は胸水がありながら、びまん性胸膜肥厚の認定を受けておられるという現状に鑑みて、もう少しそういう症例で著しい呼吸機能障害があるような症例は、救済という観点から対象疾病として広げていくというような、そういう方向性も考えていいのではないかなという点で、田村委員と私も同意見でございます。
  • 浅野委員長 ありがとうございました。
     古川委員、いかがですか。
  • 古川委員 古川でございます。
     本日は私から資料を提供させていただいております。こちらの資料は石綿健康被害救済法10年目の見直しに当たっての要望ということで、内容的には本小委員会の検討範囲を超える問題が含まれております。
     しかし、全体状況を理解していただいた上で、小委員会での検討課題の整理にも役立てていただきたいと思っております。
     そして、私は、今日は後でご発言がある患者さん及びご家族の方のお話にも通じることですけれども、救済給付の中身の充実を図っていただきたいと、そう思っております。
     今日、配付されております、こちらの資料の7ページをごらんになっていただきたいと思います。
     救済給付についてという項目で、3行目、逸失利益を考慮した生活補償的な給付項目は採用されていないと書いてあります。しかし、次の行にある給付水準の中では、この10万3,870円の項目、内訳の中には、入院に伴う諸経費という要素が入って、その中には生活費という項目もあります。やはり、給付されている金額は、受給者の方々にとって生活を補えるものというものであってほしいと、そう思っております。
     それと、今日は3人の方に発言していただきますけども、次回の委員会には、また別の観点で専門家の方たちを呼んでいただきたいと思っております。その先生たちは、それぞれの現場でこういった救済給付の制度の枠組みとか在り方を研究されている専門家です。もうお一人は石綿健康被害者の看護、介護等を研究されている方です。また石綿肺がんの判定基準とその運用について尽力されている医師の方も私たちは推せんしていきたいと思っております。
     以上です。
  • 浅野委員長 ありがとうございました。ご要望については、また後ほど事務局とも相談して、扱いを考えさせていただきたいと思います。
     新美委員、どうぞ。
  • 新美委員 ありがとうございます。
     私は肺がんの認定の考え方について確認しておきたいと思います。肺がんについては、発がんの発症リスクを2倍以上に高めるという、いわば疫学を法的に利用する場合に、リラティヴ・リスクが2倍以上であれば石綿との因果関係を認めてもよろしいということになっています。ただ、ここでちょっと気になりますのは、喫煙でも2倍以上になる、綿でも2倍以上になる。そうすると、喫煙者がアスベストにばく露した場合、一体どうなるのかということが少し気になって調査してみたのです。この制度設計のときにはハモンドの疫学調査がベースになっていて、喫煙のリスクとアスベスト被爆のリスクを単純に掛け算にしたと推測します。たとえば、2倍以上と2倍以上だったら4倍以上になるという掛け算をしていたかと思います。このハモンドの疫学調査はかなり大々的で信頼性があるといわれていますが、その後、追試としてなされた疫学調査あるいはメタ・アナリシスがどうもそれを十分には裏づけてないようです。ぜいぜいリラティヴ・リスクが1.2とか1.5ぐらいでしかないとされているんです。その辺の推移を少し丁寧に見ておく必要があるのではないでしょうか。そして、まだ現物を私は見ておりませんが、昨年の冬くらいに、リラティヴ・リスクが2を超えるというメタアナリシスの報告があるというニューズ・レターを、ネットで見ました。現物の報告書を見ていませんので軽々には語れませんが、そういう状況にありますので、少し肺がんについて、特に喫煙とアスベストの双方の相互作用による肺がんの発症については、少し丁寧に見ていく状況になっているのではないかと思います。
  • 浅野委員長 ありがとうございました。
     この点については、必要なら今後議論をしていきたいと思います。
     太田委員、どうぞ。
  • 太田委員 私は行政の人間ですので、今、委員の皆様方がおっしゃったことを含めて、この主な論点の中でも特に、やはりアスベストの問題は全体的には、総体的にはまれな疾患ということでございますので、きちっとした専門外来なり専門窓口につなぐための支援というのも、今後とも考えていただきたいというのが1点。
     それから、特に兵庫県は、今、熊本でも起こっておりますが、阪神・淡路大震災からちょうど21年を経過しました。これから25年、30年という時期を迎える中で、発生のリスクはどうなるかというようなことで、行政的にはぜひ不安の解消ということにも努めていただきたいというのが1点でございます。
     その中で、少し各論になりますけれども、こちらの現行制度の施行状況、資料3のいわゆる試行調査、兵庫県で幾つかやられて、今度は加古川でもやりますが、この中で少しお願いしたいのは、保健指導という問題が出てきますと、現場で保健指導を行うに関しては、かなり専門的な知識を必要とする。ただ、それに彼ら彼女らが追いついていくかという問題がございますので、この点を踏まえた、できるだけ専門的な知識が十分伝わるような研修をしていただきたいということ。
     それから、ちょっと話がそれますけれども、高齢の方が非常に多くなってまいりますと、医療機関でいろいろな、指示を受けたり、保健指導を行ったり、いわゆる受診状況というものが、ちゃんとした保健指導の際に伝わるかどうかという問題もございますので、そこら辺については、高齢の方という点も踏まえて、こういうところの医療機関との連携というのも、試行調査に当たっては、またさらに充実していただきたいというのが行政のお願いでございます。
     以上でございます。
  • 浅野委員長 ありがとうございました。
     大塚委員、いかがでしょうか。
  • 大塚委員 ありがとうございます。大塚でございます。
     資料4の最初に出ているところですけれども、石綿被害救済制度を取り巻く状況の変化はあるかということですが、私自身が一番感じているのは、一人親方についてということになりますけれども、建設アスベスト訴訟というのが日本各地で起こっていまして、これは石綿建材の製造者、販売者の警告表示義務違反が問題になるということになっていますが、東京地裁の判決とか、最近では京都地裁の判決とかが出ていて、京都地裁は損害賠償請求を一部認容しています。
     京都地裁は、果敢に因果関係について検討しましたが、一般的に言うと、不法行為訴訟というのは、特定の被害者と特定の加害者との間の不法行為を考えていますので、被害者が多数で因果関係の証明が極めて難しいということは、もともとは念頭に置いていないというところがございます。しかし加害者である製造者については、警告表示義務違反はございますので、市場の中で一定の占有率を持っている以上、統計的には一定の割合の責任を負うべきだということは明らかとも言えますので、ただ、どの被害者と直接因果関係があるかがはっきりしないということでございます。
     裁判官は、このような場合についての不法行為訴訟で、枠組みの中で最大限努力していただきたいと、私自身は考えていますけれども、ただ相当難しいということもございますので、むしろ国が基金とかをつくって対処をしていただくことが適切であると思います。
     東京地裁の判決は、損害賠償請求を認容はしていませんけれども、判決文の最後のところで、そういうことを言っていて、石綿被害救済法に対する期待というのもあるわけでございます。
     ただ、一人親方の問題というのは、もともと石綿被害救済法の中では、本来目的にしていたものではなくて、労災とのすき間のない被害者救済という観点から対象になってきたものなので、石綿被害救済法で今の問題を扱うのか、あるいは、それとは違う建設アスベストだけの基金とかをつくるのか、どちらがいいかという問題は出てくると思いますし、省庁の縦割りの話は、私はあまりここで気にしたくはないですけれども、どちらかというと、建設アスベスト自体の問題ということになるかと思いますので、石綿被害救済法でやるのが適当かどうかについては、また別の問題があるかなというふうにも思っているところでございます。
     それ以外の問題としては、公害健康被害補償法が最初は救済法だったんですけれども、後で補償法に変わったようなことがございますので、大きな問題としては、そういうことを石綿被害救済法についても考えるかという問題があるかと思います。また、それ以外のもう少し細かい修正としては、例えば、重度の介護補償などについては、項目を増やせないかという問題とか、あと、これは前から私が気にしているところですけれども、いわゆる原因者になるような特別事業主の方は、現在4社だけが負担されておりまして、毎年1億円程度負担されているに過ぎないということで、全体の給付は40億円程度ですので、その程度の負担をされているのに過ぎないということでございますので、これは汚染者負担原則の観点からは問題があるのではないかということを、一般的な問題として指摘しておきたいと思いますし、大々的な変更をしなくても、この辺については修正をしていただけると大変ありがたいというふうに考えているところでございます。
     以上でございます。
  • 浅野委員長 ありがとうございました。いろいろと検討しなくてはいけないテーマを挙げていただいて、ありがとうございました。
     それでは、田村委員は先ほどご発言でしたので、後でまたお願いします。根本委員、どうぞお願いいたします。
  • 根本委員 根本でございます。ありがとうございます。
     健康被害者の救済を十分に行うことが政策上の重要課題ということで、この制度ができあがっておりまして、その達成に向け、関係者が引き続きそれぞれの役割を果たしていくことが何よりも重要と思います。
     ただいま、大塚委員から幾つかご指摘ございました。繰り返しになりますが、石綿健康被害者救済制度は、社会全体で石綿による健康被害者の経済的負担の軽減を図るという趣旨で始まったということは、冒頭のご説明にもあったとおりでございます。その観点から国、地方公共団体、事業主のそれぞれが救済基金に拠出して、被害者に救済給付を行う制度として運用されてまいりました。その基本的な枠組みについて大きな変更を加えるということになりますと、制度の安定的な運用にも影響しかねないと理解いたしますので、その基本的部分は押さえたほうがよろしいと思っております。
     そうした救済という仕組みで対処していくことが迅速な被害者の救済に最も役立つということで、これまで制度を運営してまいりまして、事業者は2007年度から2014年度までに600億以上を基金に拠出し、国におきましては、2005年度に約386億を基金に拠出するとともに毎年度の事務費の半額を負担しております。また、都道府県も2007年度以降、一定額を拠出してこられましたが、こちらは、もう少しで終了と理解しております。
     先ほど、いろいろご説明もいただいたわけでございますけれども、法の施行状況を検討して、必要な見直しを行うという際には、社会全体で石綿による健康被害者の経済的負担の軽減を図るという制度の趣旨に則り、費用負担の問題も含めて、社会全体で支えていくという制度の根幹を維持し、その中で最大限の救済措置を図っていくという観点で見直していっていただきたいと考えているところでございます。
  • 浅野委員長 ありがとうございました。
     田村委員、岸本委員、何か追加のご発言がございますでしょうか。よろしいでしょうか。田村委員、よろしいですか。わかりました。
     それでは、ここまでのところで一応一わたりのご発言をいただきましたが、事務局からこれまでのご発言について何かコメントがございますか。
  • 高城石綿健康被害対策室長 貴重なご意見、どうもありがとうございました。最初にいただきました田村委員、それから岸本委員の件でございます。
     対象疾病は4疾病ということで運用させていただいており、詳しくは資料3の6ページに記載されているとおりでございます。この中で、中皮腫というものにつきましては、ほとんどそれが石綿に起因するというところできているところでございますけれども、肺がん、それからその他追加したものにつきましては、鑑別疾患等についても、これをしっかりと慎重にやらせていただいているというところもございます。
     また、そういったところもございますので、制度の基本的な考え方につきまして、ここに記載のとおり、四角の2番目にございますけれども、いずれも重篤な疾病・病状、こういったことから迅速な救済を図るべき特殊性が見られるという整理でございますので、こういった中でどういう検討ができるのかというのを整理していきたいと思っております。
     それから、古川委員からご指摘いただいた中身の充実というところでございます。これにつきましても、7ページに救済給付の考え方というところで、いわゆる療養手当の点についてご指摘があって、生活費等を含む諸経費というのを含んでいる、それについてしっかりとしたものにしてほしいというご指摘を承りました。
     これにつきましては、実際に実態がどういう状況なのかという点について、まずは事務局で持っているデータなどを整理してお示しして、議論を深めていく必要があるのかなと考えているところでございます。
     また、ヒアリングの専門家につきましては、皆さんのご意見も伺いながら、委員長とご相談をして、具体的な対応に進めてまいりたいと思っております。
     それから、新美委員からご指摘がございました、いわゆる肺がんの件でございます。肺がんについても、資料の6ページに記載されておりますように、現在はさまざまな原因がございますので、リスク2倍ということでやらせていただいておりましたが、科学的知見というのは日進月歩でございますので、引き続き知見の収集に努めていくことが求められているのかなというふうに感じた次第でございます。
     それから、太田委員からは健康管理に関するご指摘を承りました。これにつきましては、現在実施しております、資料の関係で申し上げますと、25ページ、26ページ、27ページ、28ページのところにございます、資料3のところにございますけれども、こちらについて、今現在も試行調査というのをやっておりますので、ご指摘を踏まえつつ、試行調査の実施の中でも、しっかりとご意見を踏まえて検討を進めていく必要があるのかなというふうに思っております。
     それから、大塚委員からご指摘がございました制度上の一人親方の考え方ですとか、救済の考え方、これにつきましては、非常に大きな問題ではないかと。基本的な考え方を踏まえて、どういうことまで示せるのかというのは、少し事務方で整理をさせていただければなというふうに思っております。
     こちらにつきましては根本委員からもいろいろとご指摘をいただいたところでございます。私どもは何よりも安定的な運用を図るというようなことが重要だというふうに思っておりますし、現在、これまで10年間やってきましたので、基本的な考え方というのを押さえて進めていくべきだというふうに考えておりますが、実際、もう少し費用面での運用状況についても、こちらのほうで検討させていただいて、もし、お示しできるようなものがあれば、次回以降、またお示しして、議論を深めていく必要もあるのかなというふうに思っております。
     以上でございます。
  • 浅野委員長 ありがとうございました。
     この委員会として与えられている任務ということはあるわけですが、できるだけ広く問題点については掲げて、直ちに解決できるものは解決していただく。少し時間をかけて制度的な検討をしなければならないことがあるならば、それはそれとして、ちゃんと今後の検討すべき事項としてアジェンダに挙げておくということが必要だろうと思います。そもそも今のような制度的な枠組み、つまり、労災ともう一つ別の枠組みというのは、外国の制度なんかと比較したときでも、必ずしもそれでうまくいくのかどうかという問題はあるだろうと思うのです。これはかなり根本的な問題ですから、すぐ簡単にというわけにはいきませんけれども、問題点があることはわかっていますので、その辺についても議論をして、必要なことは必要なこととして報告の中に書くことは可能だろうと思いますから、今後とも議論を続けていきたいと思います。
     それでは、本日は今後の審議に資するということで、ヒアリングを行いたいと思います。
     なお、ヒアリングは次回以降も続けてまいりますが、本日は中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会の3人の方においでいただいておりますので、3人の方にこれからご意見をお出しいただいた上で、また、その3人の方に私どものほうからもご質問をしたいと思いますので、どうぞお願いしておりました時間の範囲でのご発言をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  • A  ありがとうございます。発言の機会をいただきまして感謝いたします。
     私は尼崎から参りました石綿公害被害救済の塩見幸治と申します。
     一昨年の12月に咳が出始めまして、咳がとまらなくなりました。昨年の1月に悪性胸膜中皮腫という診断をされまして、同じくその5月に右胸部の右肺全摘と胸膜の全摘、横隔膜と心膜を一部取りました。
     その手術に当たりまして、医者のほうからは、手術を行っても術後の生存率はメディアン、中央値で2年だということが言われております。その中で、今4月ですから、ほぼ1年過ぎてきたという状況でございます。現在も抗がん剤の注入と、先だって終わりましたけれども、抗がん剤の温熱手術を受けておりまして、今後も続けて断続的に行っていくというふうに言われております。
     私は小学校の3年生のときに、現在、尼崎の尾浜という地名なんですけれども、そこに移りましたが、その近くに関西スレートという石綿を扱う工場がありました。そこはスレートを野積みにしておりまして、工場の敷地もなく、働く人はタオルをかぶってスレートをつくっている。私たち子供は野積みしているところで遊んでいると、こういう状況で、工場内に一般道路も走っておりましたが、その道路を自転車とか車で走りますと、白い粉が一面に舞い上がる。雨が降りますと、それがぬかるみまして、その白い石綿が近くの川に流れ出しまして、川が真っ白けになる、そういう状況でした。銭湯に行きますと、遅くなりますと、湯船が真っ白けに濁る、そういう状態の環境で育ってまいりました。まさしく関西スレートによる環境ばく露だろうというふうに思っております。今から40年から50年前の話でございます。
     本題に入りますが、石綿救済法の適用を受けておりますけれども、本当に助かっております。しかし、よくよく考えてみますと、先ほども出ておりましたように、石綿にばく露する仕方によって、救済される内容が違う、こういうことがどうしても私は納得ができずに今日まで来ております。
     先ほど阪神・淡路大震災の話も出ておりましたが、これからはどこでばく露したかわからないというような状態での被害者が出てくるんではなかろうかと。実際に小学校の子供、中学校の子供たちが遊んでいる体育館、体育館でも封じ込めましたけれども、石綿が飛んでいる、それを子供たちが吸っている。そういう状況が、自治体がはかった計測で出てきております。封じ込めましたが、いずれまた解体をしたりしたときには飛びます。
     そういう状態の中で、私は石綿の被害者は今までのような、いわゆる働いていた、もしくは私のような環境ばく露という因果関係が比較的わかりやすい状態ではなく、どこでばく露したかわからないという、いわゆるそういう状態が増えてくると思います。そういう意味で、私は公害だというふうに受けとめていかないと、基本的な、根本的に解決には結びつかないだろうと思っております。
     それから、もう一つ申し上げたいんですけれども、先ほどもありましたが、患者の立場から申し上げますと、私たちは三重苦に苦しめられます。一つは、先ほども申し上げましたように、私は中皮腫ですが、悪性中皮腫だと言われて、治療の展望が持てない。手術ができても、そういう話ですし、できなければ、1年か2年という宣告がされます。精神的苦痛というのは相当なものです。本人だけに限りません。家族もそうです。突然ふってわくわけですから、大変なパニック状態に陥ります。精神的苦痛です。
     それから、手術ができたり、手術ができなくても、先ほど緩和ケアの話が出ましたけれども、医学的治療的激痛というのは相当なものです。私は手術しましたが、手術後の激痛は大変つらかったです。そういう苦痛。
     それから、三つ目は、生活が崩れますから、生活ができないという苦悩です。私の場合は、現役をリタイアしてから発症しましたので、それほど深刻ではありませんでしたけれども、現役世代がかかりますと、会社で仕事ができません。子供さんが小さければ子供さんの教育費や養育費、本当に生活が成り立たなくなる。生きるということは生活することですから、そこのいわゆる支えがなくて、療養ができるはずはないと思います。
     先ほどご説明で、見舞金的な意味合いだとおっしゃいましたけれども、石綿救済法は救済法という名前がついております。本来、被害者は、家族もそうですが、被害者は石綿に罹患した、石綿にばく露した人間に対して、制度が違うからといって平等に扱われない、平等に救済されないということは納得できるものではありません。そういう問題があるならば、少なくともどうして平等に扱うかということを考えていただくのが、私は国の責務だろうと思っております。
     今回の見直しにつきましては、そういう観点から、特に切実な問題で申し上げましたら、生活が成り立たなくなる患者さん、家族、被害者に対して、本当に何とかしてあげていただきたい。私の周りにもおられますけども、被害者である私から見ても、本当にその家庭は大変深刻なものです。生活保護を受けるしかありません。そういう状態が放置されていて、石綿救済法というふうなネーミングでやられるということは、私は本当にどういう感性なのか、疑問に思っております。
     今回の見直しに当たりまして、一律給付ということですけれども、もう少し手をかけていただいて、温かく生活実態に見合った形の給付内容に近づけていただくように、そして患者の立場からすれば、生活を何とかやりくりできて、安心して、安心できませんが、療養に専念できるような状況をおつくりいただきたい。
     私は、あとどれぐらい生きられるかわかりませんけれども、少なくともこういう立場に立たされた以上、私はアスベストの被害者として、この問題について向き合っていかなければなりませんし、向き合っていこうと思っています。そういう意味で、何とか私の命がある間に温かい国のそういう方向性をお示しいただけることを期待しております。
     以上です。ありがとうございました。
  • 浅野委員長 あとお二方からも、どうぞお願いします。
  • B  患者と家族の会から参りました。今日、委員の方限定でヒアリング資料の写真を提出させていただいておりますので、ぜひ、ごらんいただければと思います。
     今年の1月19日に夫は2歳の子供と私を残して胸膜中皮腫で亡くなりました。38歳でした。今日、このような場で自分や夫の決して人には見せたくない弱みをさらけ出すことには、極めて強い躊躇がありました。ですが、今日、私の体験を皆さんにお伝えすることが必ず法改正に結びつくと信じて、そして、ほかに多くの苦しい思いをされている皆さんのお力にもなると信じてお話をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
     2014年4月1日に病名を告げられた夫は、外で待っていた私に、「がんだって、ステージ3」と淡々と言いました。結婚7年目にしてやっとできた子供が1歳にもなっていない中、死を意識する出来事が起こるとは夢にも思っていなかったはずです。
     この日、病院からの帰り道に、サクラを親子3人で見ましたが、このときに夫が来年も一緒にサクラを見られるかなと言いました。委員の皆さん、もし大切な人が予後の極めて悪いと言われる病気を宣告され、このような質問をしたら何と答えるでしょうか。私は何も返事できませんでした。サクラは夫が一番好きな花でした。
     この日から私たちの戦いは始まりました。そして夫の笑顔が消えました。手術はてきず、抗がん剤治療をしましたが、たび重なる抗がん剤の副作用から体重が急激に10kg近く落ち、体力的にも精神的にも限界だと感じたため、一旦治療を中止しました。保険適用外の治療もし、高級外車が買えるほどの金額を注ぎました。個々の治療効果が不透明でも、そこに0.1%でも可能性がある限り、できることは全てして悔いのないようにしたかったからです。本人も治療に取り組むことで、わずかな望みを希望に、精神状態を保てていたように思います。私の前でも職場の前でも、決して弱味を見せませんでしたが、ごく限られた友達には、鬱になりそうと漏らしていたようで、精神的にかなり追い込まれいたようです。
     私も中皮腫のことを調べるうちに、どのような病気かわかり、恐怖に襲われました。病気のこと、将来のことを考え、不安から逃れることはできませんでした。
     家は関東ですが、関東周辺はもちろん、遠くは九州の医療機関に飛行機を使ってかかったこともあります。患者1人では心配で行かせられませんので、私も一緒に行きました。このとき、夫の交通費だけでも支給があればと感じました。もっとも月10万円の給付では家計を支えていた夫が満足に就労できず、小さい子供を抱える私たちにとっては、どのように生活したらいいのかと感じるもので、貯金を切り崩し、両親に頭を下げてお金を借りるという実際上の資金繰りも精神的にも瀬戸際のところまで来ていました。
     夫は、東日本大震災の津波で被災した地域の生まれでした。地元の中学を卒業し、仙台市内の高校を卒業後は6年間大学に通いながら家庭教師のアルバイトをしていました。その後、食品メーカーに就職しましたが、直接アスベストを扱う仕事はもちろん、本人もどこでアスベストを吸ったのか、わからないままでした。初めて労災制度と救済制度の違いを知ったとき、同じアスベストが原因なのに、給付に違いがあることに疑問と強い憤りを感じました。
     2015年12月ごろから息苦しさが増したため、自宅でずっと酸素を吸って生活をしていました。この頃、さらに体重が落ち、もともと59kgあった体重が33kgになり、骨が薄っすら見えるぐらいにがりがりになりました。椅子に座るのも骨が当たって痛いと言っていました。床ずれもできました。酸素の量も日増しに増えていき、かなりの量までになりました。少しずつ命を縮められていくような恐怖を想像できますでしょうか。とても私には耐えられません。トイレに行くのもつらい状態で、ほとんど動かず、また、横になると咳が出るので、座ったままの状態で1日過ごしていました。亡くなる5日前に急に横になることが増え、眠っている時間が増えたために、異変を感じ、救急車を呼びました。そして2016年1月19日に家族に見守られて永眠しました。最後のときも夫らしく、とても穏やかでした。
     入院してから1日半で、あっという間に逝ってしまったのも、私に迷惑をかけないようにと最後まで夫が配慮してくれたのだと思います。ですが、大好きだったサクラの花が咲くのを前に、幼い息子を残して旅立たなければいけなかった夫は、気持ちを推しはかれないくらいさまざまな思いが交錯していたはずです。唯一救いだったのは、本当に最後の最後まで希望は捨てていなかったということだけでしょうか。
     私も夫もなぜこの病気になってしまったのか納得がいきません。残された家族には誰からも謝罪はなく、生計を維持したり立て直したりするための給付もありません。
     先日、夫と住んでいた家から転居しました。家賃を考えると、私1人の収入ではとてもそこに住み続けることができないからです。
     率直な気持ちを言えば、ただただ夫を返してほしい。そして病気を宣告後、一度も見られなかった夫の心からの笑顔をまた見たいという思いだけです。
     でも現実に私は2歳の息子を少なくとも成人するまでは責任を持って育てていかなければなりません。人に頼らず、自分で精いっぱいの努力はします。ですが、それだけではどうにもならないこともあります。被害の実態と被害者遺族の現実に目を向けて、実質的な遺族へのすき間のない給付をするための法改正のために、私も皆さんと進んでいきたいと思っています。
     ありがとうございます。
  • C  患者と家族の会の小菅千恵子です。救済法改正のためにお呼びいただいたことに感謝申し上げます。
     これから私が述べる意見は、何の落ち度もない中で被害に遭われた全ての患者さんとご家族、ご遺族のものです。
     10年前の石綿救済法成立が労働者、非労働者という線引きで不当な扱いをされてきた多くの被害者の方に希望の光をもたらしましたが、私たちはいまだに厳しい現実と向き合わなければなりません。
     法律の理念に反して、すき間のない救済が実現されていません。私は、1997年9月に42歳の夫を中皮腫で亡くしました。本日、主人の遺影持参で参りました。
     当時は15歳の長女、12歳の次女、9歳の長男、7歳の次男がいました。夫が病気のときも家計に余裕があったわけではないので、途方に暮れるしかありませんでした。4人の子供を何とか育てなければならない、悲しむ間もなく、私も仕事を始めました。長女を筆頭に子供たちには筆舌に尽くしがたい苦労をさせました。
     幼少時、石綿工場で働いていた父親が持ち帰ってきたマスクや作業着についたアスベストが原因で、夫は病気になりました。夫の父親は、それより10年以上前、55歳のときに石綿関連肺がんで亡くなりました。義父には労災の支給がありましたが、夫には何の救済もありませんでした。2006年に救済制度で認定をされましたが、同じ事業所のアスベストが原因であり、同じ家族でありながら、給付の中身は極端に異なるものでした。給付の差は命の値段なのではないかと感じました。
     夫が病気になったとき、仮に救済制度があっても、私や子供たちの困難がほとんど軽減されなかったことを私は身をもって経験しているからこそわかります。
     今、療養されている患者さんのご家族の中にも、最初はありがたいと思ったけど、今は預金を切り崩しているという方がいます。ほかにも救済給付しか受給されていない方で、大変なご苦労をされている方々がいます。30代前半にして腹膜中皮腫を発症した女性は、1歳のお子さんを抱えています。最初にお会いしたとき、第一声から目に涙を浮かべて思いを語られていました。彼女は、環境再生保全機構のアンケートには答えていません。答えて何につながるか疑問だからです。毎年、患者のネットワークに関する情報提供を150人ほどから求められているのに、それもされていません。
     30代後半にして胸膜中皮腫になられ、小学校6年生と3年生のお子さんがおられる男性の患者さんもいます。5歳のお子さんがいる腹膜中皮腫の男性もいます。お子さんが小さく、将来にさまざまな思いをはせなければならない中、病気と向き合い、つらい思いをされている方々がいます。今も懸命に治療をされている方々です。また、残念ながら、30代前半の夫を心膜治療で亡くした女性もいます。ほかのご遺族には身体、精神面での障害を持ち、主たる生計維持者を亡くしてご苦労されている方もいます。家族がこの病気になったことで、生計精神的な不調に陥り、遺族となってから仕事ができなくなった方もいます。
     被害者やご家族に何か過失があったのでしょうか。この悔しさ、怒り、憤り、切なさ、寂しさ、とても簡単には言葉では言い尽くせない思いをどこにぶつけたらよいのでしょうか。
     ほかの制度を拝見すると、医薬品副作用被害救済制度では企業の社会的責任、犯罪被害給付制度では社会の連帯共助の精神などを給付の考えの柱として、民事責任と切り離して見舞金的性格の被害者救済を図っています。これに比べると、石綿救済法は給付の内容が乏しく、とりわけ遺族への給付がないに等しいことは理解に苦しみます。
     救済法の第1条は、遺族に対しても迅速な救済を図ることをうたっています。労災給付も健康で文化的な最低限度の生活を保障しているもので、慰謝料が含まれず、賠償責任と切り離された給付です。救済給付に遺族年金がないのは、日本国憲法第25条に反します。
     また、療養手当の根拠は、因果関係が不透明な形で支給されている被爆者援護制度の健康手当に準拠していますが、原因物質と因果関係が明らかで、医療を要する医療特別手当に準拠させるなら適切です。医療特別手当の趣旨は、入院・通院費のほか、栄養補給等の特別の出費を補うとともに、精神を慰安し、医療効果の向上を図ることなので、医療特別手当に準拠させるほうが自然です。加えて、介護手当の要素でも、なぜ重度障害ではなく中度障害に準拠しているのでしょうか。
     保全機構のアンケートには、費用面での不安の声を上げている方が一定数います。そのような声にも、声を上げて何が変わるのか疑問に思われている患者さんにも、ご家族にも、アンケートから除外されている遺族にも、声を上げることに意味があることだと示していきましょう。
     アスベスト被害者の家族だから裕福な生活をさせてほしいとは言いません。ですが、人並みの生活ができる最低限の給付を受ける権利はあるかと思います。すき間のない救済の理念が本当に実現されることを信じて、今日から私も皆さんと一緒に新たな一歩を踏み出していきましょう。
     ありがとうございました。
  • 古川委員 すみません。古川です。
     今、3人の方のヒアリングをお聞きして、私の頭の中に中皮腫でお亡くなりになった、ある女性患者さんの姿が浮かんできました。仮にA子さんとします。このA子さんは、40代半ばで発病されました。そして比較的長生きされ、手術後10年存命されました。しかし、救済法ができる前から発症されて、こういった制度ができたときは本当に感謝しておられました。でも残念ながら、数年前お亡くなりになりました。
     彼女がいつも言っていた言葉が、「古川さん、なぜ私は今の生活が維持できると思いますか?」とおっしゃっていました。「月10万の療養手当でなぜですか?」と聞いたら、「私は自分の生命保険を担保にして兄から援助してもらっているの」と、そうおっしゃいました。その言葉をきいて本当に私は胸が痛みました。とても仲のいいご兄妹であったので、もちろんお兄様は妹に対する愛情から支援しておられたと思います。しかし、彼女は兄の負担になることが心苦しいので、自分の生命保険は苦しい生活のなかからも月々の保険料を払い続けて、自分が死んだ後はそれを受け取ってほしいと願っていました。本当に自分の命を切り刻みながら、頑張って生きておられたA子さんのことが、今、頭に浮かんできました。
     実際、今、闘病している患者さんたち、そして残されたご遺族たちは、本当に厳しい状況です。三重の困難と塩見さんがおっしゃいましたけれども、三重にも四重にも大変な苦労をしておられるということを、私のほうからもお伝えしておきます。よろしくお願いします。
  • 浅野委員長 ありがとうございました。
     それでは、ただいまお話しいただいた内容についてのご質問がありましたら、いただきたいと思います。
     それから、先ほど、古川委員からは次のヒアリングでこんな方をというご発言がございましたが、あわせてほかの委員からも、もし、このようなご要望がございましたなら、ご発言いただければと思いますが、いかがでございましょうか。
     では、どうぞ、大塚委員。
  • 大塚委員 どうもありがとうございました。
     質問とかではなくて、事務局に対するお願いですが、先ほども申し上げようと思ったことでもありますし、今お話を聞いていて思いましたけれども、関連する法制度の状況とか、先ほど委員長がおっしゃった海外の制度、それから、先ほど建設アスベストに関しては訴訟の話を私から申し上げましたけれど、判決などについて、ぜひこの場で紹介をしていただいて、資料を出していただけるとありがたいと思います。議論の素材になると思いますので、どうぞよろしくお願いします。
  • 浅野委員長 今の大塚委員のご指摘については、可能な限り、事務局としても準備をお願いいたします。前からやっていた委員会でもいろいろ資料を作っていますので、そんなに苦労をしなくて資料はあるだろうと思います。
     ほかに何かございますか。よろしゅうございましょうか。
  • 古川委員 今回の資料の中で。
  • 浅野委員長 資料の3の話ですね。
  • 古川委員 中皮腫になった方の内訳で、17ページです。内訳の中に国鉄・共済等という項目が入っていることを、私はとても感動して拝見しました。といいますのも、共済で中皮腫になられて、どこで石綿を吸ったのかわからないという相談も現実に受けておりまして、そういった方たちは認定になっているんです。ほかにもこういった方たちがおられるということは、とても貴重な情報であったと、そう思っております。
     それと願わくば、あと、公務災害のほうで認定になられている方とかの情報も出していただきたいと思います。できれば、そういった職種というか、公務災害とか、そういった中で担当している部署の方のヒアリングもぜひお願いしたいと思っております。
  • 浅野委員長 わかりました。公務災害でアスベストということが特定して数字が出てくるかどうか、ちょっとわかりませんので、事務局に努力をしてもらいたいと思います。
     ほかに何かございますでしょうか。よろしゅうございましょうか。
       (なし)
  • 浅野委員長 それでは、今日は3人の方には、遠くからわざわざおいでいただきまして、大変、私どもにとっては重く、心に迫るお話をいただきまして、ありがとうございました。ぜひ参考にさせていただきたいと思います。
     それから、最初に皆さんから出されましたご意見についても、もう一度よく議事録を拝見して整理をいたしまして、次回以降の審議に反映させていきたいと思います。
     次回以降はヒアリングも行うということになると思いますが、次回以降のスケジュールについて事務局からご説明をいただければと思います。
  • 課長補佐 次回の小委員会の日程につきましては、現在調整中でございますので、決まり次第、追ってご連絡させていただきます。
     また、本日の議事録につきましては、事務局のほうで原案を作成させていただきまして、委員の皆様にご確認いただいた後、環境省のホームページに掲載していく予定でございますので、よろしくお願いいたします。
     それまでの間につきましては、本委員会の運営方針に基づき、会議の音声を環境省のホームページに掲載する予定でございます。
     それでは、以上で第1回石綿健康被害救済小委員会を終了したいと思います。どうもありがとうございました。
  • 浅野委員長 それでは、次回以降もどうぞ皆さん、よろしくお願いいたします。

午後2時46分 閉会

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