中央環境審議会 環境保健部会 石綿健康被害判定小委員会・審査分科会合同会議(第4回) 議事録

日時

平成28年11月16日(水)15:00~17:00

場所

中央合同庁舎第5号館3階 共用第6会議室

議題

1.報告事項(公開)

[1]石綿による健康被害の救済に関する法律に基づく医学的判定の状況等

[2] 石綿健康被害救済小委員会における議論のまとめ等

[3] 第1期・第2期における石綿の健康リスク調査のまとめ

[4] 医学的解析調査、その他事業等

[5] 中皮腫登録事業の登録状況等

2.医学的判定について(非公開)

議事録

  • 高城室長 ただいまから、第4回中央環境審議会環境保健部会石綿健康被害判定小委員会の審査分科会合同会議を開催いたします。
     冒頭に、傍聴者の方にお願いがございます。本日の合同会議での前半部分、報告事項に関しましては公開でございますが、傍聴の方にはご発言いただけないこととなっております。また、写真撮影、ビデオ撮影、録音は控えていただきますようお願い申し上げます。
     本日の出席状況でございますが、臨時委員の先生方3名、それから、専門委員の先生方20名、合わせて23名の先生にご出席をいただいているところでございます。
     なお、本日の合同会議につきましては、報告事項に関しましては公開とさせていただいております。また、医学的判定に関しましては、個別の症例に係る医学的資料を取り扱う部分がございますので、非公開とさせていただいております。
     一方で、独立行政法人環境再生保全機構の職員がオブザーバーとして出席させていただいておりますことをあらかじめお断りをいたします。
     本日の出席者のご紹介につきましては、資料1にあります名簿でかえさせていただきたいと思います。それでは、開催に当たりまして、梅田部長から一言ご挨拶を申し上げます。
  • 梅田部長 環境保健部長をしております梅田でございます。
     本日は、お忙しい中、第4回石綿健康被害判定小委員会・審査分科会合同会議にご出席をいただきまして、まことにありがとうございます。
     また、委員の先生方におかれましては、日ごろより石綿健康被害救済制度の運営、とりわけ医学的判定に格別のご理解と、また、多大なご尽力を賜っておりますこと、この機会をおかりしまして厚く御礼申し上げます。
     この石綿健康被害救済制度、今後も安定的かつ着実に運営していく上で、判定小委員会及び審査分科会が担う役割は欠くことのできない極めて重要なものであります。迅速な救済がされるようにということでも大変な重要な役割でございますので、引き続きのご理解とご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
     本日の合同会議ですが、判定小委員会と審査分科会の先生の皆様方が一堂に会し、救済制度をめぐる最新の情報について共有し、また、医学的判定のあり方について意見交換をいただくという場となっております。限られた時間ではございますが、委員の先生方には、石綿健康被害救済制度の安定的かつ着実な運営に向けて、忌憚のないご意見、ご助言を賜りますようお願い申し上げます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
  • 高城室長 それでは、以後の進行につきましては、判定小委員会の岸本委員長にお願いをいたしたいと思いますが、議事録の作成の関係上、本日のご発言の際には冒頭にお名前をおっしゃってからご発言をいただきますよう、よろしくお願いいたします。
     冒頭のカメラ撮り等はこちらで終了させていただきますのでご理解いただきたいと思います。
     それでは、岸本委員長、どうぞよろしくお願い申し上げます。
  • 岸本委員長 小委員会の委員長をやっております、岸本です。
     では、これから会を始めさせていただきたいと思います。
     まず、それでは事務局から配付資料の確認をお願いしたいと思います。
  • 護邦専門官 医療専門官の護邦と申します。よろしくお願いいたします。
     資料の確認をさせていただきます。資料1から資料5-3までございます。
     資料1としまして、中央環境審議会環境保健部会石綿健康被害判定小委員会等名簿がございます。資料2としまして、石綿判定小委員会の開催状況等についてがございます。資料3としまして、石綿健康被害救済制度の施行状況及び今後の方向性について(案)がございます。資料4としまして、第1期・第2期における石綿健康リスク調査の主な結果と考察について(報告書概要)がございます。資料4、別添としまして第1期・第2期における石綿健康リスク調査の主な結果と考察についてがございます。資料5としまして、平成28年度予算についてがございます。資料5-1としまして、医学的解析調査事業についてがございます。資料5-2としまして、平成27年度中皮腫登録事業の登録状況等についてがございます。資料5-3としまして、石綿ばく露者の健康管理に係る試行調査がございます。
     なお、それ以降の非公開の部分の資料はございますが、それにつきましては、医学的判定についての議論を開始する前に確認いたします。
     不足等がございましたら事務局までお申しつけください。よろしいでしょうか。
     ありがとうございます。
  • 岸本委員長 よろしいですね。報告事項から始めたいと思います。
     事務局から説明をお願いしたいと思います。
  • 護邦専門官 医療専門官の護邦でございます。
     資料に沿ってご説明してまいります。資料2をごらんください。資料2におきましては、石綿健康被害判定小委員会の開催状況等についてですが、1、石綿健康被害判定小委員会及び審査分科会の開催状況についてですが、平成28年3月末までに、判定小委員会はこれまで139回開催しておりまして、審査分科会については249回、石綿肺等審査分科会については54回開催しております。
     続きまして、2、平成27年度における医学的判定の状況等についてですが、(1)が認定疾病と判定された件数、(2)が認定疾病でないと判定された件数ということで分けて記載しております。
     (1)の認定疾病と判定された件数について、平成27年度は、中皮腫が702件、肺がんが137件、石綿肺がゼロ件、びまん性胸膜肥厚が24件ということで、合計で863件認定されております。これまでの累計で申しますと、7,613件が指定疾病で認定されております。
     続きまして、(2)の認定疾病でないと判定された件数についてですが、平成27年度中皮腫については、中皮腫が57件、肺がんが45件、石綿肺が39件、びまん性胸膜肥厚が29件ということで、計170件が認定されなかった症例になっております。
     そして、(1)と(2)を足しまして、1,033件でございますが、こちらが委員の先生方に平成27年度にご審議をいただいた件数になっております。
     また、こちらの資料の件数に関しましては、判定小委員会で判定した件数であり、環境再生保全機構が発表しております件数とは異なりますのでお願いいたします。
     それでは、資料3に進ませていただきます。石綿健康被害救済制度の施行状況及び今後の方向性について(案)でございます。ことしの4月から9月まで計5回、石綿健康被害救済小委員会が開催され、制度の施行状況の評価及び今後の方向性について検討が行われてきたところでございます。この資料は、9月の救済小委員会で了承された報告書(案)であり、先月までパブコメにかけていたものでございます。現在、パブコメの結果を整理中でございますが、委員の先生にも情報共有ということで配付させていただいております。
     それでは、続きまして、資料4に進ませていただきます。第1期・第2期における石綿健康リスク調査の主な結果と考察について(報告書概要)となっております。
     1、目的ですが、一般環境を経由した石綿ばく露による健康被害の可能性があった地域において、石綿ばく露者の地域的広がりや石綿関連疾患の健康リスクに関する実態の把握を行うことにより、石綿ばく露の中・長期的な健康管理の在り方を検討するための知見を収集するとのこととなっております。
     続きまして、調査年度ですが、平成18年度から平成21年度まで第1期調査、平成22年度から平成26年度まで第2期調査として行ってまいりました。
     対象地域についてですが、平成26年において、以下に記載されておりますとおり、7地域となっております。
     4、主な結果についてですが、調査対象者は、実人数で6,590人、延べ人数で2万1,819人でございました。そして、有所見者や医療の必要性があると判断された方は、初回受診時に多く、2年目以降は大幅に少なく、また、女性よりも男性に多い。環境ばく露・不明よりも職業ばく露、家庭内ばく露、施設立ち入り等ばく露に多い。また、低年齢よりも高年齢に多い。中皮腫を発見する上で重要な所見の多くは、当初、胸膜プラーク等の石綿関連所見を有していた者において発見。また、石綿の健康リスク調査では、通常の5倍に相当する中皮腫患者が確認されております。ということでございます。
     5、健康管理によるメリット・デメリットでございますが、メリットとしましては、調査参加による不安減少、疾患の早期発見、労災制度及び救済制度による早期支援が挙げられます。デメリットといたしましては、検査に伴う放射線被ばくが挙げられます。
     その他、詳細に関しましては、後ろのページに報告書をつけておりますので、ご参照いただければと思います。
     それでは、続きまして、資料5に移らせていただきます。資料5、平成28年度予算についてでございます。こちらは、当石綿室の平成28年度の項目でございます。区分として、1から7までございます。委員の先生方にかかわるところにつきましては、2番の石綿繊維計測体制整備事業、3番の石綿関連疾患に係る医学的所見の解析調査・診断支援等事業、そして、4番の中皮腫登録事業、5番の石綿ばく露者の健康管理に係る試行調査になるかと思います。
     2番の石綿繊維計測体制整備事業については約1,200万円、3番の医学的所見の解析調査等については約3,000万円、そして、4番の中皮腫登録事業に関しましては約1,000万円となっております。5番の石綿ばく露者の健康管理に係る試行調査につきましては約2億円となっております。今後とも石綿問題の対策について、引き続き取り組んでいく所存でございます。
     それでは、資料5-1に進ませていただきます。医学的解析調査事業についてです。平成27年度に終了しました調査は、びまん性胸膜肥厚と慢性胸水貯留性疾患との鑑別法に関する調査編の1件でございました。平成28年度に行われている医学的解析調査は、石綿肺等の鑑別診断の在り方に関する調査編、FISH法等を用いた中皮腫診断法の開発に関する調査編、日本人の石綿小体の分布に関する調査編、石綿関連肺がんの病理学的鑑別法に関する調査編の4件でございます。後ほど、びまん性胸膜肥厚と慢性胸水貯留性疾患との鑑別法に関する調査編、また、石綿肺等の鑑別診断の在り方に関する調査編、また、FISH法等を用いた中皮腫診断法の開発に関する調査編をスライドを用いて委員の先生方に発表していただきます。
     後ろのページにはスライドがございますが、後ほどご説明させていただきます。
     続きまして、資料5-2に進ませていただきます。平成27年度中皮腫登録事業の登録状況等についてでございます。
     1につきましては、平成27年度に新規に登録されました中皮腫部位別・性別・年齢階層別集計となっております。
     裏のページに参りまして、2につきましては、平成25年度から平成27年度の中皮腫部位別・性別・年齢階層別の累計となっております。平成27年度は477名の方に同意をいただきまして、平成25年度から平成27年度の累計としましては、合計いたしまして964名の方に同意をいただきました。
     その部位別内訳ですけれども、胸膜が一番多く、次に腹膜という順となっております。詳しく申し上げますと、胸膜が879件、次いで腹膜が67件、心膜が7件、精巣漿膜が4件となっております。年齢別で見ますと、70歳から79歳の方が355人と一番多く、次に60歳から69歳の方が330人で続いております。
     続きまして、3番目、石綿ばく露の種類別についてです。こちらに関しましては、任意で提出していただいておりますが、環境ばく露・不明ということが502件と一番多く、その次に職業ばく露が440件と続いております。
     4番目、中皮腫発見の契機についてですが、こちらは複数選択可能となっておりますが、医療機関の受診が発見の契機になったという方が727件と最も多くなっております。続いて、他疾患治療中が89件、健康診断が73件となっております。
     5番目、中皮腫発見時の症状ということでございますけれども、こちらも複数選択可能となっております。息切れが一番多くなっておりまして189件、以下、胸痛が106件、息切れ及びせきが69件、せきが52件となっております。
     裏のページ、次のページに参りまして、6番目、中皮腫発見時の治療内容ということでございますけれども、こちらも複数選択可能となっておりますが、化学療法が一番多い件数になっておりまして459件、関連して化学療法予定が57件となっております。続いてBSCが182件、手術が48件となっております。
     続きまして、7番、画像の総合判定でございますが、probableが一番多く857件、possibleが100件となっております。
     8番、病理所見における組織診、細胞診の実施状況ですが、組織診のみの方が613件、細胞診のみの方が96件、両方実施という方が255件というような状況になっております。
     次のページに参りまして、病理所見(組織診・細胞診)の総合判定の状況でございますが、組織診については、definiteが650件、probableが194件、possibleが18件となっております。細胞診につきましては、probableが113件、possibleが12件となっております。
     10番、画像及び病理所見を踏まえた総合判定ですが、definiteが815件、probableが122件、possibleが25件という件数になっております。
     また、環境省では、ことしの3月に中皮腫登録サイトを開設いたしまして、10月末に平成27年度に更新いたしました。下にアドレスを記載しておりますので、ごらんいただけると幸いでございます。
     また、後ほど、中皮腫登録事業の今後の活用法について意見を賜りたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
     それでは、次のページに参りまして、資料5-3に進ませていただきます。石綿ばく露者の健康管理に係る試行調査ですが、目的としましては、石綿検診、仮称ですが、の実施を見据え、モデルとなる事業を実施することを通じて、実施主体・既存検診(肺がん検診)との連携方法・対象者・対象地域の考え方・検査頻度・事業に要する費用等の課題等について調査・検討を行うということでございまして、平成27年度は7府県で行ってまいりましたが、平成28年度から八尾市、和泉市、東大阪市、加古川市の4市が追加されております。効果的・効率的な健康管理によりまして、石綿ばく露地域の住民の方の不安の解消、石綿関連疾患の早期発見・早期治療、早期救済を図ってまいります。
     簡単ではございますが、事務局のほうからは、報告事項は以上となります。
  • 岸本委員長 一応、今の護邦さんのご説明は質問はなしということで、事実を事実として語っていただいたということでございまして、残っているのは、資料5-1、2、3をパワーポイントを使って皆様方にご説明をするというところが残っておりまして、まず、1番のびまん性胸膜肥厚の文献調査というのは、青江先生からお願いをしたいと思いますが、資料は皆様の手元に一応パワーポイントのプリントアウトがあると思いますが。
     青江先生、よろしくお願いします。
  • 青江委員 山口宇部医療センターの青江と申します。
     本来でしたら、委員長であります稲瀬先生が発表するところでありますけれども、先生のご都合により今回は出席できませんので、かわりに発表させていただきます。
     行いました事業は、びまん性胸膜肥厚と慢性胸水貯留性疾患との鑑別法に関する調査編ということであります。
     目的としましては、石綿ばく露に起因するびまん性胸膜肥厚の発生機序や鑑別疾患としての慢性胸水貯留疾患について、過去の文献を収集し、現在の科学的知見を総括した上で、びまん性胸膜肥厚及び慢性胸水貯留性疾患との鑑別法とその課題について文献的に検討を行うということです。
     当該疾患の医学的知見(臨床所見、画像所見、病理所見)に係る情報等を整理・検討することで、最新の知見に基づいた効率的な医学的判定に資する知見を得ることを目的としております。
     担当した委員は表に挙げましたとおりで、委員長が稲瀬先生で、臨床所見につきましては私、青江が担当させていただきました。画像所見につきましては、長崎大学大学院の芦澤先生が担当されておられます。病理所見につきましては、東京女子医科大学八千代医療センターの廣島健三先生が担当しておられます。
     内容について、詳細は省かせていただきますけれども、まず、臨床所見につきましては、PubMed等により357件の文献から50件の文献を抽出し、英文総説32件、和文総説6件から疫学、病因、臨床所見、肺機能、鑑別診断、治療、まとめをまとめさせていただいております。
     画像所見につきましては、芦澤先生の担当ですけれども、PubMedにより、スライドに挙げましたようなキーワードでそれぞれ文献を検索しておりまして、一般的事項、胸部単純X線撮影、コンピュータ断層撮影、磁気共鳴画像、陽電子放出断層撮影等についてまとめていただいております。
     病理所見につきましては、廣島先生の担当ですけれども、PubMedによってスライドのようなキーワードで検索を行いまして、びまん性胸膜肥厚の病理所見、石綿ばく露とびまん性胸膜肥厚、びまん性胸膜肥厚の病因、慢性胸水貯留性疾患等についてまとめていただきました。
     参考資料としましては、スライドに挙げました資料1から資料6を参考として挙げさせていただきました。
     以上です。
  • 岸本委員長 以上ですか。
  • 青江委員 はい。
  • 岸本委員長 えらい早いですね。一応、そういうことで報告書にまとめていただくということでよろしいんですね。
  • 青江委員 27年度ですので、既に報告はしておりますので。
  • 岸本委員長 何か青江先生、エッセンスでもあれば、鑑別診断、よく問題になるところなので、そのあたり、ここに注意とかというような、サジェスチョンがあればありがたいなと思ったんですが、いかがでしょう。
  • 青江委員 びまん性胸膜疾患につきましては、それぞれの報告書とか、いろんなテキストに書いてありますけれども、石綿ばく露だけで起こるわけではありませんので、それ以外の起こり得る鑑別疾患を十分にしていただく、感染症、結核を代表、まあ高齢者の方が多いですので結核とか、あるいは、それ以外の細菌性胸膜炎などの鑑別が必要ですし、膠原病等の病態についても、高齢者で発症するようなものについては鑑別が難しい場合がありますので、そういった鑑別をしっかりしていただくことが重要だというふうに思っています。
  • 岸本委員長 はい、ありがとうございました。三つありますので、まとめて質問を受けたいと思います。どうもありがとうございました。
     続きまして、廣島健三先生に、FISH法による診断向上ということでお話をしていただきたいと思います。
  • 廣島委員 東京女子医科大学八千代医療センターの病理診断科の廣島です。よろしくお願いいたします。
     FISH法の検討をこの2年間行っておりますが、本日は中皮腫の病理診断について、FISHを含めてお話をさせていただきます。
     中皮腫の病理組織型は、上皮型中皮腫と肉腫型中皮腫がありまして、それらが混在する二相型中皮腫があります。上皮性の腫瘍であった場合に、中皮腫と診断するためには、鑑別疾患として癌腫でないことを確認すること。それから、明らかに腫瘍であって、反応性中皮ではないことを確認する必要があります。癌腫との鑑別においては、免疫染色が大変有用です。中皮のマーカーとして、カルレチニン、WT1、D2-40がよく知られておりまして、癌腫のマーカーとしては臓器によって特異的に染色されるマーカーがございます。一つのマーカーで、例えば中皮腫に染まって癌腫では絶対染まらないマーカーがあれば、その一つの抗体だけを検討すれば診断がつきますが、そのような抗体は存在しませんので、中皮のマーカーを最低2種検討して陽性であるか、癌腫のマーカー2種を検討して陰性であれば中皮腫と診断できます。
     反応性か上皮型中皮腫かについては、免疫染色はなかなか100%確実な結果が出ません。EMA、デスミンなどが有用と考えられております。
     FISHでp16の欠失を検討することは、もしこれに欠失が存在すれば腫瘍ということにいたしますので、上皮型中皮腫と診断することが可能です。
     それから、この2者は、この2者と申しますのは上皮型中皮腫と反応性中皮の増生、これは臨床経過が全く異なりますので、経過を見ればどちらかということが明らかになります。
     腫瘍組織が、もし紡錘形細胞から成るものでありましたら、肉腫型中皮腫か肉腫か、あるいは肉腫型中皮腫か反応性の胸膜炎かを鑑別する必要があります。肉腫型中皮腫か肉腫については、やはり免疫染色が有用であります。しかしながら、肉腫型中皮腫では、上皮型中皮腫でお話をしました中皮のマーカーが陽性となる率は大変低いですので、これらが陽性になれば中皮腫は示唆いたしますが、陽性でこれらが、例えばカルレチニン、WT1、D2-40が陽性でなくても、サイトケラチンが陽性であれば肉腫型中皮腫と考えます。
     癌腫は、それぞれの発生母地に相当するマーカーがございます。
     肉腫型中皮腫と肉腫の一つである滑膜肉腫は大変鑑別が難しいです。いずれも紡錘形細胞から成りまして、また、中皮のマーカーであるカルレチニンが滑膜肉腫も陽性になりますし、サイトケラチンも滑膜肉腫が陽性になります。この滑膜肉腫は18番の染色体の転座が起きることが知られておりまして、左下に示します写真が、この18番染色体にプローブを設けたFISHですが、赤色と青色が離れておりますと、これは転座が起きているということで診断が可能です。
     左の下、向かって右側ですけども、こちらはp16遺伝子を赤に標識したものでありまして、肉腫型中皮腫では欠失がほぼ100%に認められますので、赤色のスポットがないことによって肉腫型中皮腫と診断することが可能です。
     肉腫型中皮腫か胸膜炎かについては、免疫染色でサイトケラチンの染色パターンで診断をいたしますが、これも必ずしも100%確実ではありません。肉腫型中皮腫においては、先ほど申しましたように、p16の欠失が100%に認められることが、次のスライドでお示しいたしますが、このことから肉腫型中皮腫か胸膜炎かが鑑別になりました場合に、p16の欠失を検討することは大変意義のあることであります。
     また、この両者においても臨床経過は異なりまして、胸膜炎は良性ですので著明な胸膜肥厚はあらわれませんし、肉腫型中皮腫は経過を見れば胸膜の肥厚があらわれるということで鑑別が可能であります。
     これが昨年と一昨年の環境省の研究で検討した症例であります。胸膜中皮腫229例を検討いたしました。FISHでp16遺伝子の欠失を検討しますと、上皮型中皮腫は73%の症例で欠失を認めます。二相型中皮腫は94%の症例で欠失を認めます。肉腫型中皮腫では100%の欠失を認めます。この施設は私だけではなくて、福岡大学、兵庫医科大学、それぞれ別々に検討してみても、やはり肉腫型中皮腫では100%欠失が認められますので、先ほど申しましたように、肉腫型中皮腫か滑膜肉腫、あるいは肉腫型中皮腫か胸膜炎の鑑別においてp16の欠失を検討することは大変意義のあることであると思います。
     それから、では、今申し上げました検討方法は、主に胸腔鏡によって採取された組織標本で検討しておりますが、高齢者や、あるいは病気が進行して衰弱された患者さんまでは胸腔鏡を行うことができません。そこで、中皮腫に伴って胸水が見られた場合に、その胸水を見て中皮腫と診断できないかということをお話しいたします。中皮腫に伴った胸水の中には、水だけではなくて細胞が見られます。その細胞も、左の下の図に示しますように異型性を持った細胞が集団で出てきておりまして、その集団の中に切片で見ますと穴のあいたようなものとか、あるいは乳頭状のクラスターあるいは孤立性の細胞が見られます。これらは反応性の中皮ではなくて、中皮腫細胞であることが遺伝子検査からもわかっております。そこで、これらの細胞を免疫染色で組織と同様に検討することによって、中皮のマーカー、癌腫のマーカーを染めて中皮腫か、あるいは癌腫かという判断は可能であります。しかしながら、中皮腫か反応性中皮腫か、これはまた組織と同様に細胞診では大変難しいです。免疫染色でEMA、デスミンなどが有用であると言われておりますが、これも先ほどと同様、100%確実ではありません。p16の欠失を検討しますと、これが欠失をしている場合は、右の下がその細胞診の中に見られる大きなクラスター、赤色のスポットがp16であります。p16が欠失しております。緑色のスポットはセントロメアで、これは欠失はない部位であります。このように欠失があれば、これは悪性腫瘍ということで、反応性中皮腫ではなくて中皮腫と診断されることが可能です。
     次に、ことしの研究で行っておりますBAP1についてお話をいたします。BAP1は、乳がんの発生に関係していますBRCA1、associated protein 1でありまして、2012年ほどぐらいに中皮腫でBAP1の遺伝子異常が起きていることが報告されております。しかしながら、その遺伝子の変異の部位が大変多岐にわたりますので、病理医が簡単に検索できるようなものではございません。ところが、2015年になりまして、免疫染色でBAP1を検討しますと、中皮腫ではそのたんぱくが消失して、反応性中皮腫では消失しないという報告がなされました。また、体腔液の、先ほどお見せしました、あのようなクラスターで検討いたしますと、中皮腫ではBAP1のたんぱく質が消失している。病理医が通常行っている免疫染色を行って、このように中皮腫か中皮腫でないかという鑑別ができるという報告がなされました。当初、この中皮腫か反応性かということを鑑別できるだけでありまして、癌腫か中皮腫は鑑別できないだろうと、これは2015年の論文には書いてあります。しかしながら、2016年になりまして二つ論文が出ていまして、肺がん、卵巣癌を多数、一つの論文は肺がんです、多数染色をしてみたところ、BAP1が陽性になった症例というのは極めて少ない。卵巣癌も同様で、BAP1が陽性、BAP1のたんぱくが消失した症例は極めて少ないです。それから、また卵巣癌でもBAP1の消失が認められる症例というのは極めて少ないです。中皮腫では、ある程度の頻度でこのBAP1のたんぱくが消失いたします。ということは、BAP1を免疫染色で検討すれば、これが中皮腫であるという、もしたんぱく質が消失していましたら、これは中皮腫であるということを意味するわけであります。
     以上のように、FISH法によってp16の欠失を検討すること、及び免疫染色でBAP1のたんぱくの消失を検討することは中皮腫の診断に大変有効であると考えます。
     以上です。
  • 岸本委員長 はい、どうもありがとうございました。
     3番目は私がしゃべらせていただきますので、ちょっと前に行かせていただきます。
     私に与えられたテーマは、石綿ばく露によるびまん性胸膜肥厚ということでございまして、症例を6年間集めております。当初始めた理由は、びまん性胸膜肥厚が肺がん発生頻度を2倍にするばく露量があるかどうかということで始めました。症例は、著しい呼吸機能障害がある症例を、176例ございます。画像上のびまん性胸膜肥厚の労災・救済認定を満たすような症例で、著しい呼吸機能障害がない症例まで含めますと、222例になりました。対象症例はスライドにあるがごとくでございまして、男性症例が大変多いということでございまして、診断動機は、健診が少なくて、自覚症状、呼吸困難、咳嗽、胸痛の症例が多いということでございます。喫煙歴も肺がん症例と同じぐらい喫煙者が多いということでございました。この症例の中で、当初は肺がんを発生した症例を集めてきたわけですが、6年間で肺がんを発生した症例はわずか8例しかございません。その中で、石綿肺の合併がなくて、著しい呼吸機能障害がない症例ですね、いわゆる労災で認められる症例はわずか2例しかないということでございまして、176例中2例しかなかったということでございます。一方、びまん性胸膜肥厚の症例の肺内石綿小体の数も同時にはかりましたが、おおむね5,000本/g以上の方が多いんですが、肺がんを発生した症例が極めて少ないので、症例数がわずか9例しか集積できていないので、今後、症例をふやして検討する必要があろうかというふうに思っております。
     きょうは放射線科の先生方がたくさん来られておりますが、これは加藤先生にまとめてもらったデータでございます。胸膜プラークがある症例が88.1%ということで、やはり職業性の石綿ばく露がある方はプラークが多いということであります。線維化のある症例は36%程度、subpleural curvilinear linesとかドットのある症例というのは6%程度で非常に少ない。無気肺がある症例は77%程度なんです。ただ、胸水が何らかの形である症例というのが84%あるということで、この病気は良性石綿胸水から発生する確率が多いということが知られておりまして、我々が対象とした労災もしくは救済された症例というのは胸水が問題になるということであります。臓側胸膜の線維化でありますCrow's feetがある症例というのは98%でございまして、ほとんどこういうところを満たしているということであります。
     この症例をまとめますと、両側もしくは片側のApical Capのある症例がかなりあるということで、30%ぐらいあるということでございました。Apical Capのある症例というのは、呼吸困難が比較的速やかに悪くなって死亡に至るケースがあるということでございまして、その中でApical Capがあって経過が終えた症例については、進行がある症例が37%で、Apical Capの真下に線維化を伴う例が58%ということで、これも新たに医学的な所見としてわかってきたわけでございます。
     ただ、労災等の認定の際に、良性石綿胸水はどこまでで、どこからをびまん性胸膜肥厚として救済の対象としていいのかというところに今問題点が出ておりまして、検討可能だった53例について、良性石綿胸水と診断されて以降、びまん性胸膜肥厚で認定されるまでの期間をこのように分けてみました。早い症例では10カ月未満で8例あるんですけども、51カ月以上、かなり時間をかけないと、びまん性胸膜肥厚とされてない事案も11例あるということで、非常に症例によってばらつきがあるということがわかりましたので、良性石綿胸水を診断されて、びまん性胸膜肥厚をどの時点で認めるかということをことしから始めておりまして、小委員会の放射線科の先生を中心として、良性石綿胸水が胸水ではなくて、もう被包化、器質化するという所見があれば、これはもうびまん性胸膜肥厚として認めていいんではないかということで、ここにありますような五つのクライテリアをつくってみました。これはぜひ先生方にご意見を聞きたいところでございます。良性石綿胸水と診断された後、胸郭の狭小化がある、胸水のdensityの不均一性がある、臓側胸膜の線維化所見、いわゆるこれcrow's feet signがあるということと、胸水がもうふえない、減少あるいは不変であるということの確認をする。胸水が器質化しますと胸水の中に空気が入るという、この五つのクライテリアを持って被包化胸水としてはどうかということで、プレリミナリーに症例をちょっと集めて見ております。
     胸水出現から器質化の確認、52例で見た場合に、範囲が2カ月から72カ月と大変大きいんですけれども、中央値として大体12カ月程度で、器質化しているということを再確認、器質化胸水の確認をする期間はどのくらいかというと、中央値が8.5カ月ぐらいで、胸水がふえない、減少するか、もしくはステイブルであるということを確認するということでございます。胸水出現から器質化胸水であることの確認をするのには18カ月、1年半ぐらいかかっているようだということで、これは現在進行形でございます。この方々、胸水が出現されて生存期間がどれぐらいなのか、これ、我々も176例で可能な限り検討しておりますが、大体36カ月ぐらい、3年ぐらいで死亡されている方が多かったんですけども、今回、経過が終えた43例でいくと32.5カ月ぐらいが中央値ということで、確かにバラエティーは1.6から116カ月と非常にばらつきが多いんですけど、こんなデータが出ているということでございまして、救済法では、皆さんご存じのように対象疾病にはなってないんですけども、良性石綿胸水であるというような胸水所見から一定の期間を経て、画像上確認ができた時点でびまん性胸膜肥厚、著しい呼吸機能を伴うびまん性胸膜肥厚として認定をすることも可能ではないかというふうに思っております。
     以上でございます。
     で、ございまして、今、青江先生、廣島先生と私の今までの調査・研究に関しまして、ご質問がある先生がいらっしゃいましたら、ぜひ最初に名前を言っていただいて、ご質問もしくはコメントいただければと思いますが、いかがでしょう。ございませんか。
     廣島先生のFISH、BAP1を使用した中皮腫の診断というのは、判定小委員会でも先生方にボランティアで協力していただいたりしておりまして、ぜひ肉腫型中皮腫は診断が難しいので、判定小委員会の中のクライテリア等に入れていただいてはどうかなというようなことを私も今思っているような現状ですが、廣島先生はいかがでございましょう。
  • 廣島委員 小委員会でもFISH及びBAP1は検討しておりまして、特にそれは間違いを冒したということはございませんので、大変信頼の置けるものであると思います。
     先ほど、ちょっと私、急いで一言申し忘れました。二相型中皮腫か上皮種中皮腫かの鑑別が大変難しい症例があります。これについても、上皮型中皮腫の間質性成分は異型性を示しますので、あるいは二相型中皮腫の肉腫成分は異型性が軽いですので、病理医がこれを見て、なかなか人によって意見が分かれるという理由はそこにあります。このような症例もBAP1を検討しますと、BAP1が消失しておりましたら、これは二相型中皮腫であります。それから、FISHで紡錘形細胞を検討して欠失が認められましたら、これが二相型中皮腫であります。二相型中皮腫における96の欠失の頻度は94%ですので、これは検討する価値は大変あると思います。
  • 岸本委員長 はい、ありがとうございました。
     ほかにいかがでございましょうか。
     どうぞ、岡先生。
  • 岡委員 今の廣島先生のご発表、そのとおりだというふうに思います。p16もBAP1も非常に役に立つというふうに思いますが、一つ、多少注意しておかなきゃいけないのは、腹膜と胸膜とでは状況が違っている場合が多いということですね。例えばp16のデリーション、腹膜では非常に頻度が低いというふうに思います。それが予後がよいということのカウンターパートになっているのかもしれません。
     それからもう一つ、BAP1については、これは非常に役に立つということは役に立つんですが、消えている場合だけであって、例えば私がこの数カ月に中皮腫について十数例やりましたけど、全例陽性、落ちていないんですね。ですから、消えたときだけ評価ができるということ。したがって、これさえやればというわけにはなかなかいかない面があるので、応用するときには少し注意をしておく必要があるだろうというふうに思います。
  • 岸本委員長 はい。貴重なご意見ありがとうございます。
     廣島先生、どうぞ。
  • 廣島委員 東京女子医大の廣島です。
     腹膜中皮腫についても、環境省の調査、研究で検討しておりまして、例数がそれほど胸膜中皮腫ほど集まらないんですが、たしか30例ぐらいは集めたと思います。p16の欠失が認められる症例は約5割であります。それから、BAP1についても今検討中でありまして、やはり5割程度の症例が、BAP1が消失しております。BAP1の染色性に関して、岡先生がおっしゃられたことは確かでありまして、その染色性の不均等性というのが私はあるように思います。ただ、これに関してはなかなか論文に書いておりませんし、また、論文発表をしようとしますと、欧米の恐らく著明なレビュアーから、そのようなことはないと言われて、なかなかこれは世界に認めさせることは難しいんですが、不均等性がある症例が存在することは事実。全例ではございませんが、100例やりますと、数例はやっぱり不均等な染色性を示しまして、これがどのようなことが起きているかというのは今後も検討する必要があると思います。
  • 岸本委員長 はい、ありがとうございました。
     廣島先生、症例をふやして、ぜひご検討をお願いしたいと思います。
  • 廣島委員 はい。
  • 岸本委員長 ほかにご質問がないようでしたら次に参りたいと思いますが、いかがでしょう。
     はい、どうぞ。
  • 戸島委員 東京労災病院の戸島と申します。
     岸本先生のご発表の件なんですが、先生方や加藤先生の報告書、私も読ませていただいて、自施設でも良性石綿胸水の症例経過を見ていたところ、やはりこのApical Capというのは非常に重要であり、重症の呼吸不全に至る症例が、そればかりかなりあるということで、非常に臨床的に重要なマーカーだと思うんです。ただ、この点について今後も詰めていく必要は十分あると思うんですが、Apical Capという名称ですね。従来、放射線科で、先生はよくわかると思うんですが、Apical Capというと、もともとのイメージを皆さん持っていると思うんですね。この言い方が適切かどうかということについて、ぜひご意見を伺いたいんですが。
  • 岸本委員長 いかがでしょうか。加藤先生、どう思われますか。
  • 加藤委員 川崎医科大学の加藤ですけれども、Apical Cap、とりあえずこの研究ではその用語を用いたということで、確かに先生言われる、上肺優位の硬化型の何か無気肺型の線維化というようなものなのか、胸膜の肥厚自体を見ているもの、いろいろ中身は違うと思うんですけれども、それに関しては、やっぱりもうちょっと整理していかないと、このApical Capという言葉を使うのがいいのかどうかというのは言われるとおり検討課題であるかなとは思ってはいますけど。
  • 岸本委員長 戸島先生、私もそう思っていまして、これは病理で井内先生に見ていただきますと、胸膜だけが厚い症例と、胸膜下の肺の線維化がある症例と2種類ありまして、恐らく線維等が違っているんではないかなというふうに思っておりまして、やはり1例や2例の病理だけではなくて、総合的に何がそれをなしているのかというのを、さらなる検討をしていかなきゃいけないというふうに思っています。Apical Capというのが正しいかどうか、ちょっと私も、それは疑問に思っております。
  • 戸島委員 今までに用いられたApical Capというのは通常進行しない、余り問題にしなくてもいいというイメージがかなり強くあると思うので、これはかなり異質のものじゃないかなと思うので、ちょっとその辺は検討していただいたほうがいいんじゃないかと思います。
  • 岸本委員長 はい。戸島先生が言われるとおり、肺自体が縮小して消えていくというような症例がある、そういう例は予後も悪いという、そういうことがございますので、詳細な検討が必要だと思っております。
     三浦先生、どうぞ。
  • 三浦委員 びまん性胸膜肥厚というのは、基本的には臓側胸膜の線維性肥厚なんですよね。もしも肺尖部が臓側胸膜だけが肥厚してきますと、普通落っこちてきちゃうんですよ、重くなって。ところが、びまん性胸膜肥厚で肺尖部がやられている症例の多くは、肺尖に向かって肺門ごと引っ張られていくのが結構多いんですよね。だから、多分、壁側胸膜と臓側胸膜両方くっついて癒着、なおかつそこが線維化して、その後こちら側の肺内の部分が無気肺化するか、あるいは線維化がそこまで進んでいくか、どっちかだろうと思うんですよね。あんまり剖検例が多くないものですから、文献的にもまだよくわかってないですね。ただ、非常に大事なサインで、肺尖部の線維性肥厚と考えられる所見が起きてくると、呼吸機能が相当、先生言われたように呼吸機能が急速に悪くなってきますので、それは、びまん性胸膜肥厚症例については特に注意が必要だと思っています。
  • 岸本委員長 三浦先生、ありがとうございます。今、三浦先生言われたような症例と、戸島先生言われましたように、Capはあるけど、経過を見ても全然動かない、こういう例は呼吸機能の障害がないということでございますので、やはりヘテロジェナイティーなものを見ていると思いますので、これはやはり症例をもう少し検討する必要があろうかと思います。
     井内先生、よろしくお願いします。
  • 井内委員 岸本先生から症例を提供されて数例見たことがあるんですけれども、いわゆるApical Capというところは、石綿肺の所見とは違うというふうに私は思いました。つまり、そこがもともと呼吸細気管支の末梢の部分で結節性の線維化を示して、それが進展してという像ではなくて、非常に非特異的な硬化性の変化であろうというふうに思いました。ですので、これは石綿を吸うこととは直接的にはつながらない変化なんじゃないか。つまりその結果とか原因であるとかということは判断しにくいなと。たくさんの症例を見なければならないと思いますけれども、何か複合的な要因がそこに加わっている、局所的な要因なのか、もう少し広い意味での要因なのかもまだわかりませんけれども、ともあれ、やはりそういう症例をぜひ積極的に材料がとれれば、病理解剖してくださいというのは大変困難な話かもしれませんけれども、ちょっと材料を入れない限りは、Apical Capの成因について、ちょっと言及しろというのは、今のところはちょっと不可能な状況です。
     以上です。
  • 岸本委員長 はい、どうもありがとうございました。
     時間が大分過ぎました。今、ディスカッションありましたように、石綿ばく露によるびまん性胸膜肥厚というのは、文献的にもなかなか探せない現状がございますので、日本の我々が中心となって、今、先生方が問題提起をされたようなところを解明していく必要があろうかと思います。ありがとうございました。
     では、次に行かせていただきたいと思います。
     続きましては、中皮腫登録事業、これも大きなこの会の事業でございますが、救済小委員会で中皮腫登録を継続して現行制度で認定を受けた中皮腫患者の症例の集積を行いつつ、医療機関での中皮腫の診断精度の向上に資する情報を提供できるよう検討すべきであるという、そういう意見がまとめられたところでございます。どなたかご意見がございましたら、この中皮腫登録制度は分科会でも小委員会でも、患者さんが同意をいただいた方についてはその所見を入れているところでございますが、ご意見、ぜひいただきたいというふうに思っております。いかがでしょう。
     ぜひとも、現状で先生方が登録したデータは、環境省でまとめてホームページにも出しているところでございますが、そのあたり、ぜひ一般臨床の先生方にも見ていただいて、中皮腫の診断、もう先生方もご存じのように、中皮腫に関しては今でもそうでない症例が約1割ぐらいはまざっていますので、ぜひ、例えば上皮型であれば陽性抗体2抗体、陰性抗体2抗体は必ずやってほしいとか、肉腫型中皮腫であればケラチンは担保してほしいとか、そういうことなんですけども、実際、私も労災認定もしていますけども、それをきちっと守っていただけない方、先生方が結構いらっしゃいますので、ぜひ今の登録制度等で、きょう、護邦さんが今語っていただいたところでございますが、どなたかございませんでしょうか。
     井内先生、よろしくお願いします。
  • 井内委員 昨年も同じことを申し上げたような気がするんですけれども、今、我々が判定をして中皮腫だと言った方々の登録に参加していただく率が50%ぐらいですよね。で、この中皮腫登録事業がなぜ必要かというのは、日本における中皮腫の発生頻度を知ることで、やはり世界的に比較できるデータにしたい。あるいは、どのような日本と欧米の中皮腫の違いがあるかを見たいというようなことを最初に、病理学的な立場ですけれども、考えていたわけですね。50%という率が、それでいいのか悪いのかというのを先生方にも議論していただきたいと思いますが、これで日本の中皮腫が代表できているのか、あるいはその統計的なデータとして諸外国へ持っていって発表できるのかどうかということについて、もう少し率が上がればなというのを常々考えているところなんですね。これは個人情報の問題もありますので大変困難なことはよくわかるんでありますが、もう少し皆さん、主治医の先生を含めて協力をしていただいて、この登録事業というものの登録率というんですか、患者さんの理解度を上げていただけないものかということ等を常に考えておりますが、いかがでしょうか。
  • 岸本委員長 今、問題提起を井内先生にしていただきましたが、いかがでございましょうか。確かに救済法は登録制度があるんですが、労災法では登録はないというのが日本の現状ではございます。ただ、救済法の認定のほうが労災よりも中皮腫であっても多いというのを、これもまた事実でございますが、いかがでございましょう。ここへは厚生労働省の方が一人もいないので、いないところで云々するのもあれなんですけど、ぜひここを労災のほうも入れていただけると率が非常に高くなって、日本の中皮腫の現状がよりわかると思います。2014年ですかね、15年の死亡者数は1,504人と、中皮腫も一時1,376人で減ったんですけども、ついに1,500人を超えました。1995年の500人からすれば、もう3倍になっておりますし、我々も中皮腫の症例に出会うことが多くなったのは事実でございますので、そのあたり、もう一人、お一方どなたかご意見がございましたら伺いたいところなんですが、よろしいでしょうか。
     じゃあ、またこれは宿題ということにしていただきまして、先生方のお手元に、配付資料の中に別添として、中皮腫登録事業の今後の活用法というのがございます。せっかく分科会・小委員会のときに、先生方がこの判断をしていただいて登録しておりますので、よりよい活用法についてのご意見を、お帰りになるまでにぜひ記入をしていただければというふうに思っております。よろしくお願いをしたいと思います。
     じゃ、これで公開部分の報告に関しましては以上としたいと思います。
     では、事務局にマイクをお返ししたいと思います。
  • 護邦専門官 岸本委員長、ありがとうございました。
     では、本日の議事録については、原案を作成いたしまして、先生方にご送付させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
     それでは、医学的判定についての議事に移りたいと思います。
     傍聴席の皆様におかれましては、ご退室をお願いしたいと思います。
     また、準備等がございますので、5分間の休憩を挟ませていただきたいと思います。現在、4時4分でございますので、4時10分から開始とさせていただきます。ありがとうございました。