産業構造審議会製造産業分科会化学物質政策小委員会制度構築ワーキンググループ 中央環境審議会環境保健部会水銀に関する水俣条約対応検討小委員会 合同会合(第1回)議事録
日時
平成26年5月30(金)13:00~15:00
場所
環境省第1会議室
議事次第
- 1.開会
- 2.議事
- (1)水銀に関する水俣条約の概要及び国内外の状況について
- (2)本合同会合における検討の進め方について
- (3)その他
- 3.閉会
配付資料一覧
資料1 | 委員名簿 |
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資料2 | 水銀に関する水俣条約の概要 |
資料3 | 水銀に関する国内外の状況 |
資料4 | 本合同会合における検討の進め方について(案) |
参考資料1 | 新設に係る付託について(産業構造審議会製造産業分科会化学物質政策小委員会) |
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参考資料2 | 中央環境審議会環境保健部会の小委員会、専門委員会の設置について |
参考資料3 | 水銀に関する国内外の状況等について |
議事録
午後1時00分 開会
○大井課長補佐 それでは定刻となりましたので、ただいまから産業構造審議会製造産業分科会化学物質政策小委員会制度構築ワーキンググループ及び中央環境審議会環境保健部会水銀に関する水俣条約対応検討小委員会の合同会合を開催いたします。
私、本合同会合の事務局を務めます環境省環境保健部環境安全課の大井と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
委員の皆様におかれましては、ご多忙中にもかかわらずご出席いただきまして、誠にありがとうございます。
本日、何名か遅れていらっしゃるとご連絡をいただいている委員の方々がいらっしゃいますけれども、小委員会、ワーキンググループ全委員がご出席される予定と伺っておりまして、ともに定足数を満たしておりますことをご報告いたします。
○牧谷環境安全課長 環境省環境安全課長の牧谷と申します。
まず、事務局を代表いたしまして、環境省の塚原環境保健部長及び経済産業省製造産業局の谷審議官より、それぞれご挨拶を申し上げます。
○塚原環境保健部長 こんにちは。環境省の塚原でございます。
合同部会でありますけれども、今日は事務局を、環境省のほうで会議の場所を設定させていただきましたので、私のほうから、まずご挨拶を申し上げたいと思います。
委員の皆様方におかれましては、お忙しい中ご参集をいただきまして、また平素より環境保健行政にご協力とご指導を賜っておりますことに心からお礼を申し上げます。
水銀条約の規定につきましては、水銀の採掘、利用、環境からの排出、廃棄に至るまで幅広くございまして、その締結に当たりましては広範な検討が必要になってまいります。
このため、政府におきましては、昨年10月に水俣条約外交会議の開催以降、関係府省の連絡会議を設置するなど、連携して検討を進めているところでございます。
中央環境審議会におきましては、本年3月17日付で、環境大臣より、水銀に関する水俣条約を踏まえた今後の水銀対策についての諮問が会長に提出されたところでございます。
本日より、委員の皆様にご審議いただく水俣条約につきましては、昨年10月の水俣条約外交会議におきまして、UNEP事務局より、2、3年内、すなわち2015年から2016年の発効を期待するという発言もございました。
条約の発効要件は50カ国の締結から90日後とされております。現状では米国のみが締結し、条約会議以降、我が国を含め98カ国が署名しているところでございます。
環境省といたしましては、我が国の地名を冠する条約をできるだけ早期に締結できますよう、我が国の水銀対策についての検討を進めていきたいと考えております。
皆様におかれましては、幅広い視点からご見識を賜りますようお願い申し上げまして、簡単ですが、冒頭のご挨拶とさせていただきます。
本日はよろしくお願いします。
○谷審議官 皆様、こんにちは。先ほどご紹介いただきました経済産業省審議官の谷でございます。
本日は、本小委員会の委員長であられます大塚先生、また、ワーキンググループ座長であられます東海先生を初め、委員の皆様方に、本当に平素より経済産業行政にご指導いただいておりますことを深く感謝させていただきますとともに、本日、ご多忙のところご出席いただきまして誠にありがとうございました。
先ほど、本審議会の重要性等に関しましては、環境省の塚原部長からご説明いただきましたので、私からは簡単にさせていただきますが、昨年10月に開催されました外交会議におきましては、安倍総理から、日本の経済が急速に進展しているにもかかわらず、日本が用いる水銀の量は、1960年代に比べ、現在わずか0.4%に減っているということの紹介がございました。グローバルなマーキュリーミニマムの環境を築くというメッセージを世界に伝えられたわけでございます。
これは我が国の厳しい、苦しい過去の経験を踏まえて、産業界を初めとする様々な方々が、たゆまない努力を続けてこられたたまものかと理解しておりますが、外交会議を誘致いたしました我が国といたしましては、水俣条約の早期締結を実現することが最も大事と考えておりますので、我が国の水銀対策についてご検討を、関係者の方々のご意見を賜りつつ、着実に進めさせていただければと存じております。
今般お集まりいただきました委員の皆様方には、ぜひ忌憚のないご意見を賜りましたら幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○牧谷環境安全課長 それでは、当方より本小委員会の設置の経緯についてご説明をさせていただきます。参考資料の2をご覧ください。
中央環境審議会におきましては、先ほどの紹介にもありましたように、本年3月に環境大臣から水俣条約を踏まえた今後の水銀対策についての諮問が中央環境審議会会長に出されたところでございます。
これを踏まえて、環境保健部会に設置された水俣条約対応小委員会におきましては、この諮問である水俣条約を踏まえた今後の水銀対策のうち、中央環境審議会の循環型社会部会、それから大気騒音振動部会、それぞれ設置されておりますが、その審議事項である水銀廃棄物対策、それから大気排出に関する事項以外の事項を主にご審議いただきたいと考えております。
なお、本小委員会の委員長は、環境保健部会の中杉部会長のご指名によりまして、大塚委員にお願いすることになりました。
続きまして、当方より本小委員会の委員をご紹介させていただきます。資料1に委員名簿がございますので、ご参照ください。
委員長の大塚委員です。
菅野委員です。
貴田委員です。
鈴木委員です。
崎田委員です。
高岡委員です。
田村委員です。
築地原委員です。
吉田委員です。
なお、高村委員及び細見委員は、所用により遅れて到着されるという連絡をいただいております。
また、崎田委員、高村委員、田村委員におかれましては、続いてご紹介いただきます産業構造審議会の委員にもご就任をされていらっしゃいます。
○三木化学物質管理課長 経済産業省側の事務局を務めさせていただきます製造産業局化学物質管理課の三木でございます。よろしくお願いいたします。
産業構造審議会の本ワーキンググループ設置の経緯について、ご説明させていただきます。
先ほどの資料、参考資料2の一つ前の参考資料1をご覧いただけますでしょうか。
このワーキンググループは5月23日付で、親委員会でございます化学物質政策小委員会の議決により設置されてございます。
本ワーキンググループの検討項目でございますけれども、参考資料1の裏側のページをご覧いただけますでしょうか。
産業構造審議会製造産業分科会のもとに化学物質政策小委員会がございまして、ここに、新たに制度構築ワーキンググループというのが設置されました。大きく二つの検討項目がございますけれども、本合同会合におきましては、水銀に関する水俣条約の国内担保のため、水銀含有製品の製造輸出入等の措置、水銀の暫定的保管等に関する検討をお願いすることになってございます。
また、このワーキンググループの座長は、親委員会の化学物質政策小委員会の委員長であります安井委員長のご指名により、東海委員にお願いすることになってございます。さらには、武林委員に座長代理をお願いすることとなっておりますので、ご報告申し上げたいと思います。
続きまして、産構審側のワーキンググループの委員の方々をご紹介させていただきます。
先ほどもご覧いただきましたが、資料1に委員名簿ございますので、ご参照いただけたらと思います。
まず、座長の東海委員でございます。
座長代理、武林委員でございます。
有田委員でございます。
及川委員でございます。
蒲生委員でございます。
それから、崎田委員、高村委員、田村委員につきましては、中環審の委員を兼ねていただいておりますので、ご紹介済ということでございます。
それから、永田委員でございます。
それから、丸山委員は所用により少し遅れて到着されるというご連絡をいただいておりますので、ご報告いたします。
以上でございます。
○牧谷環境安全課長 事務局の出席者につきましては、配付しております座席表をご参照のほど、よろしくお願いいたします。
○大井課長補佐 続きまして、お手元の配付資料のご確認をお願いいたします。
既に参考資料1と参考資料2はご覧いただいたところでございますけれども、資料一覧にございますように、資料1から4までの四つの資料、それから参考資料の1から3、また、委員のみの配付資料といたしまして、水俣条約の原文とその仮訳を、これはファイルにとじた格好で置かせていただいております。それから、環境省で作成しました水俣条約の関係のパンフレットも、ご参考までに委員の皆様にはお配りしております。
もし資料の不足等ございましたらお申しつけください。
○牧谷環境安全課長 今回は産構審と合同で開催することとしておりまして、本日の以降の進行につきましては、中央環境審議会の水銀に関する水俣条約対応小委員会の大塚委員長にお願いしたいと思います。
また、次回においては、全体の進行は産業構造審議会の制度構築ワーキンググループの東海座長にお願いするというふうに考えております。
報道関係の皆様におかれましては、カメラ撮りはここまでということでさせていただきたいと思います。
それでは、大塚委員長、お願いいたします。
○大塚委員長 では、どうぞよろしくお願いいたします。
まず、本日の一つ目の議題でございます水俣条約の概要及び水銀に関する国内外の状況につきまして、審議をお願いいたします。
事務局から説明をお願いいたします。
○牧谷環境安全課長 それでは資料2及び3で、ご説明を申し上げます。
はじめに、資料2をご覧ください。
水銀に関する水俣条約の概要でございます。
まず採択までの経緯でございますが、2001年にUNEPで活動を開始しております。
その後、2009年の第25回UNEP管理理事会におきまして、2010年に交渉を開始し、2013年までの条約採択を目指すというマンデートが公表されております。
これを受けまして、2010年の第1回を皮切りに、2013年1月の第5回政府間交渉委員会が開かれました。その5回目におきまして、条文案の合意をみたわけでございまして、同時に、名称を水銀に関する水俣条約とすることが決定されております。
これを受けて、昨年10月には、熊本市及び水俣市におきまして、外交会議が開催されておりまして、そこで水俣条約を全会一致で採択し、署名を開始しております。外交会議期間中に92の国、地域で署名が行われました。
条約に向けた状況でございますけれども、条約は、規定によりまして50カ国締結の90日後に発効するということでございます。
UNEP事務局が外交会議におきまして、今後2、3年以内の条約発効を目指すという発言がございました。
外交会議の決議がありますが、条約発効までの暫定事務局をUNEPが務めること。また、条約発効までも、条約の実施に関する様々な事項を検討するために、政府間交渉委員会を開催するということなどが決定されております。次回の第6回は、今年の11月にバンコクで開催予定となっております。
また、2013年11月に、米国が条約に署名、締結いたしました。2014年5月現在、署名97カ国地域と締結1カ国ということでございますが、この資料をつくる際にはこういうことであったのですが、ごく最近、条約事務局のデータがアップデートされまして、この署名国にセーシェルが入り、98カ国ということで追加されております。
それでは2ページをご覧ください。
条文の概要でございますけれども、前文には、まず、水銀の性質といたしまして長距離移動性、残留性、生物蓄積性、あるいは人や健康への重大な影響ということで、水銀は懸念物質であるということが書かれております。特に、途上国において被害を受けやすい人々の水銀への曝露に関する健康上の懸念というものが述べられております。
また、水銀が北極の生態系や原住民の脆弱性に影響を与えるということに留意するということ。リオ宣言の再確認。それから、水俣病の重要な教訓として、この健康環境への深刻な影響でありますとか、水銀の管理、公害の再発防止の必要性などを認識すると記述されております。
目的は、人の健康及び環境の保護ということでございます。
3条は、水銀の供給源について書かれておりまして、二つの供給源が書かれております。
一つは鉱山でございまして、新規の鉱山については、条約の発効後に禁止ということでございます。既存につきましても、15年以内に禁止ということでございまして、いま一つはクロルアルカリ設備の水銀廃棄から生ずる余剰水銀につきまして、この条約に基づく処分がなされることを確保するための措置を取るとされております。
4番の国際貿易でございますけれども、水銀の輸出は次の場合を除き許可してはならないとされておりまして、一つは、書面による同意ということで、またその目的として、条約上許可された用途又は環境上適正な暫定的保管、この二つの目的で輸出する場合に限り許可ということになってございます。また、非締約国の輸出についても、内容的にはほぼ同じような内容の規定がございます。
それでは3ページをご覧ください。第4条の製品関係でございます。
附属書Aに規定をしている水銀添加製品につきましては、2020年以降の製造、輸出、輸入を許可しないということでございます。附属書Aには、そこの下にありますような、電池、スイッチ等々の製品が列挙されております。また、歯科用アマルガムについても排出抑制の措置をとるとされております。また、組み立て製品につきましても組み込みを防止するための措置をとるというふうになっております。
次に、6番の第5条、製造の工程でございますけれども、附属書BⅠ部に掲げる製造工程として、クロルアルカリ製造並びにアセトアルデヒド製造につきましては、2025年及び2018年以降、許可しないとされております。また、BのⅡに掲げる製造工程につきましても、水銀の使用を削減するための措置を講ずるとされております。
第7条には、零細及び小規模の金の採掘。いわゆるASGMといっております。
このASGMがある締約国については、水銀の使用、環境中への排出、放出を削減し、可能な場合には廃絶するための措置をとるといった内容となっております。
自国内に、このASGMの活動が軽微な量を越えたと認定する場合には、国家計画をつくって実施するとともに、3年ごとにレビューをするということとなっております。
8条が、大気への排出でございまして、附属書Dに掲げる五つの発生源につきましては、新規については条約発効後5年以内に利用可能な最良の技術BAT及び環境のための最良の慣行BEPの利用を義務づけるといった内容になってございます。
4ページへいきまして、既存の発生源についても一定の措置を講ずるというふうにされております。
第9条が、土壌・水への放出でございまして、重大かつ人為的な放出の特定可能な発生源の分類を特定するということになっておりまして、これらに対して発効後4年以内に必要な措置を講ずることとなっております。
第10条が、環境上適正な暫定的保管でございまして、条約によって締約国に許可される用途のための暫定保管、これを環境上適正な方法で行われることを確保するとされております。
第11条が、水銀廃棄物に関する規定で、バーゼル条約に基づく指針を考慮し、水銀廃棄物を環境上適正な方法で管理するとされています。
第12条が、汚染された場所でございまして、汚染された場所を特定・評価するための適当な戦略を策定するよう努めるとされております。
5ページにまいりまして、時間の関係で手短にご説明いたしますが、13条、14条が、資金、技術援助に関する規定。それから、14に掲げてある16~19条につきましては、健康に関する側面、情報、あるいは啓発・教育、あるいは研究・開発・監視という内容になっております。
15にございます実施計画、第20条でございますが、条約の義務を履行するための実施計画を作成し、実施することができるとされております。
それから、一つ飛んで17、その他のところでございますが、条約発効後6年以内に条約の有効性を評価するとされております。また、50カ国の批准の後、90日後に発効するという要件が定められております。
以上が、資料の2でございます。
続いて資料3をご覧ください。
お開きいただいて、2ページにありますような目次で構成されております。
まず3ページ、水銀の特性と健康リスクでございます。
水銀は、長距離移動性、環境中への残留性、生物蓄積性が高いということで、また神経系への毒性等を有しております。
また、下の左側の絵にありますように、北極圏の動物の水銀濃度の経年変化を示しておりますが、これによりますと、水銀の含有量が産業革命以前と比べて約12倍まで上昇しているということになっておりまして、人為的な排出による水銀の汚染が示唆されております。
では、我が国はと言いますと、右側のモニタリング結果にありますように、大気、水質等、一般環境中の水銀濃度は環境基準等を達成するレベルにございます。
また、日本人の主要な摂取経路は食物でありますけれども、厚労省による1日摂取量調査によりますと、平均的な食生活をしている限り、我が国における健康への影響については懸念されるレベルにはない。一方、胎児への影響を最小限にするということのために、一部の魚介量の摂取量を定めた注意事項が平成22年に公表されております。例えば、メカジキでありますとか、クロマグロといった一定の魚介類につきまして、1週間当たりの摂取量の目安が示されております。
4ページをお願いいたします。
水銀の特性とリスクの2番でありますが、UNEPの世界水銀アセスメント2002年版に書いているエッセンスでございますけれども、一つ目は、水銀は様々な形態で環境に排出される。また、分解されず、全世界を循環している。メチル水銀は生物に蓄積しやすい。次に、人への毒性が強く、特に発達途上の神経系に有害である。また、食物連鎖により、野生生物へも影響する。先進国では使用量が減っているが、途上国では依然利用され、リスクは高い。自然発生源もあるが、人為的排出が大気中の水銀濃度や堆積濃度を高めている。世界的な取組により、人為的な排出の削減・根絶が必要とされております。
5ページにまいりまして、今ほど触れました水銀の循環でございますけれども、この世界水銀アセスメントの絵と対照しながらご覧になっていただきますと、環境中の水銀は年間5,500トン~8,900トン出ているということですが、このうち人為排出が30%、自然的発生が10%、再排出・再移動が60%となっております。
下の絵にあります赤い矢印が人為発生源でございます。それから、オレンジ色が自然的発生源、それから縞の矢印が再排出・再移動でございます。
ご覧いただきますように、人為起源が約2,000トン。そのほかに、一番左の地質起源が80~600トン。それから再排出・再移動が、バイオマス、あるいは土壌、あるいは海洋から出ております。また、下向きの灰色の矢印がありますように、土壌、淡水、あるいは海洋への沈着がございます。こういったものを含めて世界規模の水銀の循環がございます。
人的排出の削減をすることによって、将来的な水銀量を減らすために極めて重要であるとされております。
次に、6ページをお願いいたします。
水銀利用の実態についてです。まず、左上の棒グラフを見ていただきますと、現在、水銀利用量が年間3,800トン、2005年となっております。80年代には7,000トン程度ありまして、減少傾向にはございますが、依然として様々な用途に利用されております。
下の円グラフにありますように、ASGMが最大の用途となっておりまして、次いで、塩ビモノマー、クロルアルカリ工業での使用。電池・計測機器等の水銀添加製品への使用も4割程度となっております。
右側の地図がございます。ASGMでありますが、世界70カ国以上、主にアフリカ、アジア、中南米の開発途上国で幅広く行われているという実態があります。
ここで1,000万人から1,500万人という非常に多くの方が従事している。また、450万人が女性、100万人が子どもということでございまして、これらの活動を通じて労働者の健康であるとか、あるいは周辺の水土壌の汚染といったローカルな汚染も懸念されております。
次に、7ページにいきまして、水銀の国際流通でありまして、国際流通も水銀の移動の一つの形態と考えられるわけでありますが、まず、地図にありますように、2004年にEUから750トン以上、それから旧ソ連から700トン、以上が世界中に輸出されております。北米もかなり輸出がありまして、こういった地域が非常に多いということでございます。
こうした状況を踏まえて、EUにおきましては、2011年から金属水銀と水銀の化合物の輸出を、米国では、2013年から金属水銀の輸出を、それぞれ原則禁止という措置を取っております。
この背景を、若干補足いたしますと、欧州におきましては、塩素アルカリ工業が2002年当時ですが、まだ50カ所もあったということで、業界とEUとの協定によりまして、これを2020年までに廃止するという方針がございました。これが進んでいくと、1万トン以上、1万2,000とか1万5,000トンであるとかの大量の水銀が放出される。これが、また国際市場に再度出てしまうと回収できないという懸念がございました。これで金属水銀等の輸出を禁止したということでございます。
それから、アメリカにおきましても、やはり輸出量が非常に多く、700トン程度が2009年にはあったわけですが、欧州と並ぶ主要な輸出国でありまして、塩素アルカリ工業も稼働中という状況にありました。こういったことも含めて、金属水銀の輸出を禁止したという背景があるようです。
右側の主要な輸出量でありますが、一番上がスペインとありまして、日本が10番目、69トンとなっております。
なお、スペイン、スイス、ドイツ、こういったEUにつきまして、EUの禁止措置は域外への禁止でございまして、域内の移動は禁止していないわけでありまして、こういったスペイン等の欧州の輸出量の中には、相当量、域内の移動が含まれていると考えられます。
左下の日米欧の金属水銀の輸出量のデータでございますが、2009年~2013年でございます。この中で米国のところをご覧いただきますと、2013年に359という数字が入っております。これは、国連の統計によりますとこのような数字が入っておりますが、2013年1月1日から金属水銀の輸出を禁止しております。この点について、米国貿易統計も確認したところ、水銀として当初は計上されていたようですが、その後、訂正がありまして、この相当量は硫化物等の誤りであったという訂正がなされております。
次に、8ページをお願いいたします。
我が国の水銀の収支でございますけれども、2010年度であります。
INPUTというところを見ていただきますと、我が国に入る水銀の大半は、鉱石でありますとか、石炭といった輸入原燃料に含まれて入ってまいります。このほか、国内の原燃料中の水銀であるとか、あるいは水銀合金、あるいは製品輸入がわずかにありますけれども、多くは原燃料中に含まれて入ってまいります。これが、国内で原燃料の工業利用であるとか、製品の生産、廃棄物等からの回収・再生等が行われまして、OUTPUTのところでありますけれども、輸出として72トン。また、処分のところで4~9トン、大気排出という形で環境に出ているのが17~20トン。20トン程度というものが環境に排出されているという状況にございます。
次に、9ページをお願いいたします。
水銀利用でございますけれども、我が国の水銀需要につきましては、昭和39年をピークに、急速に減少しております。現在では、8トン程度の水銀を使用しております。
左下のグラフにありますように、昭和39年前後では2,500トン程度ありましたが、それが急速に減少して、右側の円グラフにありますように、現状では年間需要8トンでございます。
先ほど、世界的な利用量が3,800トンございまして、このうちの、シェアで言うと大体0.2%ぐらいの数字となっております。内訳としてはランプ、それから医療用計測器等でございます。
次に、10ページの、世界における水銀の大気排出状況でございます。
左側の円グラフをご覧いただきますと、全体で、世界で2010年に1,960トン排出されております。アジアが約半分、中国が最大の排出源で、全体の約3割を占めております。日本は1%程度となっております。
右側の円グラフで、排出源別に見てみますと、一番多いのが零細小規模金採掘ASGM、及び化石燃料の燃焼起因、これで約6割を占めております。
一方、11ページ、我が国の水銀の大気排出状況でございます。
施設ごとに排出量を書いてございますが、上から五つ目までが条約の対象となっている施設でありますが、これらの合計で、一番右の欄をご覧いただきますと、9.5~14トンとなっております。一番下の欄を見ていただきますと、合計で17~21トンということでございます。
次に、12ページをお願いいたします。
我が国の水銀対策の概要でありますけれども、我が国では、水俣病という甚大な公害の経験を教訓に行政、産業界、市民、それぞれが役割を担いながら水銀対策に取り組んできた経緯がございます。
13ページには、その状況でございますけれども、様々な添加製品で水銀フリー化又は含有量の低減が進んでおります。
左上のグラフが電池でございますけれども、水銀総需要量の減少が進んでおります。アルカリ電池、あるいはマンガン電池については、平成3、4年で無水銀化が達成されております。水銀電池、赤い部分についても、平成7年で製造が中止されております。
その後、いわゆるボタン型電池と呼ばれる、そこのグラフで言いますと上から三つがボタン型なんですが、これも順次、無水銀化技術の確立が進んでいる状況にあります。
次に、右側の医療計測機器の使用量の推移でありますが、水銀柱血圧計については、現時点でも2トン程度の使用量がございます。体温計については、現在ではないということになっております。
左下にいきまして、ランプ製品でありますけれども、全体としては、水銀使用量は減少傾向にありまして、1本当たりの水銀含有量の水位で見ても、現在は10mg/1本を切っているという状況にございます。
続いて、14ページ。
製造工程における水銀使用の削減でありますが、か性ソーダや塩ビモノマーの製造工程においては、水銀を使用しない製法への転換が完了しております。
このグラフは、か性ソーダの生産の推移でありますけれども、昭和61年、1986年には水銀を用いた製法が終わっているという状況にございます。
次に、15ページ。
我が国における環境基準・排出基準等でございますが、大気、水、地下水、土壌、底質におきまして、環境基準、排出基準等が定められております。そのモニタリング結果等につきましては、先ほどご紹介をした状況でございます。
16ページにいきまして、水銀廃棄物の関係でありますけれども、現在、水銀またはその化合物を含む汚泥、ばいじん等で、一定のものにつきましては、特別管理産業廃棄物という指定を受けまして、通常の産廃よりもさらに厳しい規制が敷かれております。
水銀添加製品につきましても、一般廃棄物につきましては、電池、蛍光灯はメーカーによる自主回収であるとか、あるいは、市町村での回収ルートによる水銀回収、または埋立てが行われております。
また、産廃につきましても、性状によって判断をされ、例えば、蛍光灯でありましたならば、金属くず、ガラスくずとの混合物として取り扱われまして、水銀回収、固形化処理、または埋立処分が行われております。
17ページでございますが、条約の内容と我が国における水銀対策等の現状を一欄表にまとめております。
条項ごとに規定内容、それから水銀対策等の現状と並べておりますが、右側の水銀対策等の現状をご覧いただきますと、ここに書いてあるのは、基本的には事実関係、現在の状況の事実を書いてございます。
3条関係のところでは、水銀の一次鉱出は現在存在いたしません。また、クロルアルカリ製造施設の稼働実態はございません。また、輸出入の関係ですと年間70トン程度の水銀を輸出しておりまして、輸出については、外為法、輸出貿易管理令に基づく承認が行われております。輸入については、わずかな量であります。
第4条の、水銀添加製品の関係でありますけれども、水銀フリー製品への転換、それから製品中の含有量の低減などが進められております。また、歯科用アマルガムにつきましては、この廃絶に向けて取り組むということが、日本歯科医師会から表明されております。
クロルアルカリ、アセトアルデヒドの製造工程につきましては、対象となる製造工程での水銀使用は現在では確認されておりません。
それから、公共水域への水銀放出の観点から、水濁法に基づく規制があります。
7条のASGMでありますが、我が国において、その実態は確認されておりません。
大気への排出につきましては、大気汚染防止法に基づく有害大気汚染物質に水銀は指定されておりまして、事業者に排出状況の把握、排出抑制を求めております。また、環境省による排出目録の作成、公表が行われております。
9条の関係では、水濁法上の特定施設の指定、排出基準の設定ということが行われておりまして、現在で、水域及び土壌への重大な水銀の放出は確認されておりません。また、環境省により水銀のマテリアルフローが作成をされております。
次に、第10条の暫定的保管の関係では、現在、毒劇法、あるいは水濁法による規制がございます。
11条の廃棄物については、廃棄物処理法による廃棄物管理、特定有害廃棄物の輸出入に関しての規制が、バーゼル条約に対応したものがございます。
12条の汚染された場所につきましては、土壌汚染対策法及び水質汚濁防止法による汚染された場所の特定、評価の仕組みがございます。
以上のような対策が現状となっております。
少し長くなりましたが、資料3は以上でございます。
○大塚委員長 どうもありがとうございました。
では、ただいまの説明につきまして、ご意見、ご質問がございましたらお願いいたします。
札を立てていただきますとありがたいと思います。
では、吉田委員からお願いします。
○吉田委員 水俣条約自体のご説明がありましたので、今後も議論されることだと思うんですけれども条約の解釈に関わって幾つかお聞きしたいんですが。
皆さん、委員のところには原文と仮訳があると思うんですけれども、第10条で、暫定的保管ということが書いてあって、これに関して締約国は云々ということで、この保管の責任は最終的には国が負うということなのかという質問と、それから暫定保管ですので、いわゆる最終処分ということは、この規定では考えていないということなのかどうか。
それを、まず第10条に関してお聞きしたいのと、それから、第11条と10条に関連して、水銀と水銀廃棄物ということが出てくるんですけれども、いわゆる純粋水銀というんですか、つまり、回収して硫化水銀という形もあるんですけれども、もう硫化水銀じゃなくて、回収して、だけど非常に純度が高い状態になっているというものも水銀廃棄物に入るかということです。これを、解釈の問題としてお聞きしたいというのが10条と11条で。
さらに、11条に関連して、それから先ほどのご説明でも、日本からの輸出量があるわけですけれども、輸出を例えばやろうとする場合には、この条文ですと、バーゼル条約の手続を踏めば許可されるというふうに理解するのか。それからさらに、第11条には、いわゆる能力開発という規定が入っていまして、適切な管理をするための能力開発を協力してやるという規定が入っているわけですけれども、この辺について、ちょっとご説明があればと思います。
○大塚委員長 ありがとうございます。
もしご質問がございましたら、全部まとめたほうがよろしいかなと思いますけれど、そういう扱いでよろしいですか。
では、他にはいかがですか。
有田委員、お願いします。
○有田委員 水銀条約の中の、第10条にも絡んでくると思いますが、日本の今の技術的な事、管理状況、水銀の保管の技術など教えてください。北海道で行っているということは伺ったことがありますが、そのような事を教えていただきたいと思います。
とりあえずはそこです。
○大塚委員長 他にご質問は。
崎田委員、どうぞ。
○崎田委員 日本では今、非常に使用量などが少なくなってきているということですけれども、世界的に、非常に対策は重要だということで、こういう条約がきちんとなっているというのは大変重要なことだと思います。一つ、質問させていただきたいのは、私たちが普段暮らしていると、水銀のことが出てくるのは、一般廃棄物の処分場が年に数回、水銀値が高くなったということで焼却が止まるとか、そういうことが報道されたりしますが、そういう意味で、水銀の含有された製品の回収とかに関しては、今、製品のところと水銀廃棄物のところでは、水銀廃棄物のところは水銀廃棄物からの水銀回収というふうになってしまっているので、そういう製品からの回収とか、そういうことに関しては、どこで扱うのか。
あるいは今、日本の現状がどうなっているのかという辺り、もう少し情報があった方が嬉しいと思います。
○大塚委員長 とりあえず、ご質問はその程度でよろしいですか。
では、事務局の方から、ご回答をお願いします。
○大井課長補佐 事務局から順番にお答えさせていただきます。
吉田委員から、条約の解釈、10条、11条の関係の解釈でいくつかご質問があったかと思います。
まず、10条の水銀の暫定的保管、これを国がやるのかどうかというところでございますけれども、お手元の条文を見ていただきますと、10条の2項がその関連かと思います。
締約国は云々と書いてありまして、暫定的保管が環境上適正な方法で行われることを確保するための措置をとるということでございます。
「措置をとる」ということでございますので、それを、どういう措置をとるかは、恐らく国によって様々であろうと。国が最終的に責任を負うのか、あるいは、国が関係主体に何らかの義務を負わせて措置をとるのか、そこは、条約上は明確に国が責任をとるというふうに書いているわけではないというふうにご理解いただければと思います。
それから、廃棄物のようなものが暫定的保管に含まれるのかどうかというようなお話だったかと思います。
ちょっと誤解があるかもしれませんが、そもそも第10条といいますのは、第10条の第1項で書いてございますけれども、水銀廃棄物でないもの、11条で水銀廃棄物について書いてあって、第10条は、「この条の規定は第3条に定義する水銀及び水銀化合物であって、次条、11条に定める水銀廃棄物の定義に該当しないものの暫定的保管」ということでございますので、その廃棄物の最終的な処分とか、保管と言いますか処分は、この10条には当たらないという整理。それは11条で対応するという整理でございます。
それから、廃棄物の関係でもご質問がございまして、廃棄物の定義、やはり定義関係のご質問だったかと思いますけれども、これにつきましても11条の2項でございますけれども、水銀廃棄物の、実は厳密な定義というのは、これから決まることになってございます。
締約国会議が、バーゼル条約の関連機関との協力の下に調和のとれた方法で定める適切な基準値を超える量ということでありますので、現時点で断定はできないんですけれども、先生がおっしゃったような、ある程度処理が進んで、かなり高濃度の水銀が含まれるものというのは、基本的には水銀廃棄物に当たるだろうなというふうに解釈してございます。
それから、廃棄物の輸出の関係でございますけれども、これも11条の3項のCで規定されておりまして、基本的にはバーゼル条約、水銀廃棄物の輸出入に関してはバーゼル条約にのっとって、国境を越えて輸送されないことというのが基本的なアプローチでございます。
廃棄物ではない水銀の輸出入に関しては、3条に様々な規定があるということでございます。
それから、有田委員のご質問は、日本の現在の暫定的保管ということでよろしいでしょうか。現状ということで。
現状は水銀、マテリアルフローでも説明があったとおり、現状、日本で回収された水銀というのは、商品として、国内なり、あるいは輸出なりということでされている。その大半が、北海道のイトムカにございます回収処理場で回収され、処理されているという状況でございます。
最後、崎田委員からあった質問が、水銀含有製品、添加製品等の回収。
水銀そのものの回収ではなくて、水銀を含む製品の回収ということでございますけれども、これも、ごく簡単ではございますけれども、資料3の16ページのほうに、廃棄物規制というものを紹介したスライドの中で、下のほう、水銀添加廃製品につきましては、例えば一般廃棄物としまして、家庭から排出される電池、蛍光管等はメーカーによる自主回収であったり、あるいは市町村が回収し、それが全国都市清掃会議のルートなどを経由しまして、最終的に回収され、場合によっては埋立処分がされるということで説明されています。ちょっと定量的な情報ではございませんけれども、そういった状況になってございます。
○大塚委員長 よろしいでしょうか。
有田委員。
○有田委員 それであれば、先ほどの説明で、ほとんどは製品からの分が回っているというような理解をしていたんですが、埋立処分がなされているものについては、どういう割合で、どういうものがされているのか教えてください。
○大塚委員長 事務局、お願いします。
○大井課長補佐 ちょっと今、定量的なデータを持ち合わせておりませんので、もし必要でしたら、また次回にでも資料としてご提供させていただきたいと思うんですけれど。
実は、この後にも、ご議論というか、ご確認をいただくんですが、廃棄物関係に関しましては、また別途、循環型社会部会のほうに専門委員会が設けられておりまして、そちらで主にご議論いただくこととなっておりますので、ご了承いただければと思います。
○大塚委員長 必要な限りで、では次回提出していただければと思います。
他には。
築地原委員、お願いします。
○築地原委員 今、11条の廃棄物の部分のご説明をいただいたんですけれども、金属水銀も11条でいえば廃棄物に当たる可能性があるということでの解釈が示されておりますけれども、例えば、国内の廃棄物処理法的な考え方からいえば、一方で、製品として輸出もされているという状況で、有用有価物というんですか、そういう扱いがされている。それと、廃棄物たる金属水銀との境はどうするのか。
これは、廃棄物のほうの部会でやることなのかもしれませんけれども、そういったところはまだ曖昧な部分がある。そこの考え方をどうするのかというのが非常に重要なことかなというふうには思っております。
それからもう1点なんですが、吉田委員のご質問にも関連するんですが、今、この委員会でやること、それから廃棄物でやること、大気でやることというふうに分かれておりますけれども、そもそも水俣条約を受けて、国内での水銀の保管なり、輸出なり、処分なり、こういうトータルなシステムをどのようにデザインするのかというところは、どこが全体像をイメージしてやっていくのかというところを教えていただければと思います。
○大塚委員長 では、事務局、お願いいたします。
○牧谷環境安全課長 一つ目のご指摘につきましてですが、おっしゃるように、廃棄物としての水銀、それから、廃棄物ではない有用品としての水銀、これは両方あり得ると思いますので、その両方の間に落ちるようなことの無いように全体として見ていきたいと思っております。
それで、この中環審の中で三つの部会があるわけでありますが、幾つかの課題につきましては、複数の部会にまたがって、よく連携して検討する必要があるというふうに思っておりますので、ご指摘を踏まえまして、関係の部会とよく連携していきたいと思っております。
所掌上は、保健部会はかなり広い所掌でありますけれども、いずれにしても、いろんな他部会との情報も、こちらに、必要に応じてご報告するなどして、トータルでうまくいくような検討を進めていきたいと思います。
○大塚委員長 よろしいですか。他にはいかがでしょうか。
有田委員、どうぞ。
○有田委員 環境省で、それぞれの部会で検討していくということで、先ほどの質問にもありましたように、関連づけてということで言えば、大気経由で水質に水銀が最終的に移動する。回答として「それは大気ですから」「それは水質ですから」ということではなくて、情報を共有化しながら進めていくという確認でよろしいわけですね。
○大塚委員長 お願いします。
○牧谷環境安全課長 考え方としては、そういうことでございます。
ただ、今、日本の現状ということで申し上げれば、日本の大気から出て水や土壌に汚染をするというのは、それほど多くないような統計となっております。
ただ、グローバルに見れば、先ほど申し上げたように大気から出たものが最終的に河川、あるいは土壌、海洋に回るということでありますので、水銀条約全体としては、全体を見てバランスよく規制していくということになっております。
○有田委員 大気経由ということで言えば、中国の火力発電所から水銀が大気に出ていることについては、技術的な指導をしていくというふうに考えているということなんでしょうか。
○牧谷環境安全課長 中国から大気に排出される水銀については、仮に、中国がこの水銀の水俣条約を批准すれば、この条約の定めに従って中国が規制していくというのが条約の考え方でございます。
○有田委員 もちろん、そうなんですけど、日本の企業が中国から他のアジアの国に出ていっていることはあったとしても、工場はまだ中国にあったりするところもありますよね。
エネルギーとの関連でいくと、そういうことも含めて、条約とは別にどういうふうに考えているのか。
よく中国から黄砂が飛んで来る。その中には水銀なども含まれていると思いますので、条約とは関係ないとしても、どこかで議論されているのでしょうか。もし分かったら教えてください。
○大塚委員長 14条辺りが関係するので、その話をしていただいてよろしいでしょうか。
○大井課長補佐 大塚委員長のご指摘のとおりであります。
条約上は、第14条で能力形成、技術援助及び技術移転ということであります。要するに、締約国は、特に開発途上国における、いろんな実施を支援するために協力していくという規定がございます。これは、協力するということですので、条約上は若干弱い規定ではあるんですけれども、当然ながら、日本としては途上国のそういう取組について支援していくということでございます。
それから、特に中国との関係でいきますと、まさに水銀だけでなくて、いろんな影響を与えますPM2.5でありますとか、いろんな問題がございますので、中国との環境協力と言いますか、中国の環境をよくするために日本は何ができるかということにつきましては、これは、もう環境保健部のみならず、環境省全体としてそういうことは考えているところでございます。
○大塚委員長 ありがとうございます。
よろしいですか。他にはいかがでしょうか。
東海先生。
○東海委員 ご説明いただきました資料3の現況のことですけれども、非常によく分かりましたが、どちらかと言いますと、その情報は、発生源と、それから環境媒体と言いますか、いわゆるリスクベースで、この物質の管理をこれから考えていく中で、例えば曝露媒体中の濃度の情報があると、今後導入していく対策によって、これだけ曝露が減った、そういった確認が今後、出てくるのではないでしょうか。
そういう意味で、発生源と環境の中間にある曝露に寄与する媒体中の情報というものも補足されてはいかがかと思います。
コメントです。
○大塚委員長 事務局で、ご回答いただけますでしょうか。
○牧谷環境安全課長 今日、一部、3ページ目で、健康リスクのところで触れましたが、特に日本人の場合は主要な摂取経路が魚介類ということでございまして、おっしゃるように、ポイントは魚介類からの摂取量、それから、それを踏まえた人体はどうなっているかということについては、また必要に応じ、情報を追加してまいりたいと思います。
○大塚委員長 ありがとうございます。
武林委員、お願いします。
○武林委員 今のことと関連することでありますが、条約の第12条には汚染された場所というふうに書いてありますが、この場所というのは、英語ではsite(サイト)と書いてあります。これを、条約の議論の中ではどういうふうに捉えるのか。
今みたいな、魚を含めた、特に日本人の場合は、恐らく、大気よりも食品を通じたということであろうかと思いますが、例えば海の底質を含めて、かなり広くとるものなのか、あるいはかなり限定的に、公害のような場所がイメージされているのか、その辺は条約の中でどのように扱われているか教えていただければ幸いです。
○大塚委員長 お願いします。
○牧谷環境安全課長 条約交渉上は、例えば水銀の採鉱地、鉱山のようなサイトといったもので、そういった意味では限られた、しかし、かなり高い、そういうサイトが主な関心事項だったと理解しています。
○大塚委員長 よろしいですか。海については、入っておりません。
他にはいかがでしょうか。
貴田委員、お願いします。
○貴田委員 資料3の貿易というか、7ページ目の輸出に関するところなんですけど。
先ほど、米国の数値で2013年に300トンということで、これは硫化物等ということで金属水銀ではないというお話がありました。
それで、輸出統計というのは、金属水銀と、それ以外のものというのが別々に多分あるのではないかというふうに思うんですけれど、日本の場合でも、最近と言いますか、数年前ぐらいから、金属水銀とそれ以外の2種類の貿易統計が出ていたと思うんですが、この米国は、2013年から金属水銀の輸出を規制しているんだけれど、これだけの量をいわゆる化合物としては出ている。
非常にうがった考え方をすれば、回収された水銀は輸出禁止にはするけれども、化合物にして輸出するというようなことだって無いわけではない。
そういう観点からすれば、EUなりアメリカなりの金属水銀のみの輸出禁止ということと、化合物の水銀については、全体としてどういうふうに考えているかということについて、若干お聞きしたいんですが。
○大塚委員長 重要なご指摘だと思いますが、いかがでしょうか。
○大井課長補佐 先生がご指摘のとおり、貿易の統計では水銀と水銀化合物、あるいは水銀以外のもの、硫化物とか、それは分けて計上されているということで、今ここに掲げておりますのは金属水銀だけのデータでございますので、水銀化合物みたいなものについてはどうなっているのかというような情報については、また今後調べまして、提示させていただければと思っております。
○牧谷環境安全課長 それから、水銀化合物でございますが、この条約上は、3条の輸出の規制の対象となっているのは金属水銀なんでありますが、水銀化合物につきましては、3条の13項に記載がありまして、締約国は、水銀化合物の貿易がこの条約の目的を損なうものであるかを評価し、並びに云々とあって、当該水銀化合物を規定の対象とすべきか否かを検討するというふうになっておりまして、まずは金属水銀でスタートして、化合物については状況を見ながらというふうになっているところでございます。
○増田課長補佐 あと、今、先生はEUとアメリカ、どちらも水銀のみの輸出禁止というふうにおっしゃっていましたけれども、水銀の輸出が禁止されているのはアメリカだけで、EUは水銀化合物も含めて適用除外はありますけれども、輸出は禁止されております。
○大塚委員長 ありがとうございます。
EUとアメリカの状況が違うということも含めて、重要な点だと思います。
他にはいかがでしょうか。
崎田委員。
○崎田委員 ありがとうございます。
第4条の水銀添加製品について、少し教えていただきたいんですけれども。
先ほど、廃棄のところで、まだ、実は、現実にはそんなに完璧に回収できてないのではないかということも踏まえて、質問させていただいたんですが、製品なんですが、いただいた資料の3の13ページの辺りに、今、水銀使用は非常に減っているというデータがありました。14ページでも、かなり削減されているということがありました。
ということは、2020年以降の、製造、輸出、輸入を許可しないという今回の条約に関して、日本の中は、こうやって自然にメーカーの皆さんの努力のもとに、2020年にはそういう状況が確保できるという理解で良いのか。
何か今回の検討で、そういうところに何かきちんとした視点を入れていくことが必要なのか。その辺の状況をもう少し伺いたい。削減されているというグラフは出ているんですが、全体観を教えていただければうれしいなと思いました。
○大塚委員長 お願いします。いかがでしょうか。
○大井課長補佐 全体的な傾向と言いますか、全体として、先生がおっしゃるとおりでありまして、日本は、かなり水銀添加製品の対策は進んでいるということでありますので、全体としては、かなり条約の規定を、このままいったら大丈夫だろうというところまできているという状況ではあります。
その詳細は、実は今回、第1回目でございまして、次回以降、製品の問題をご議論いただくときに、より詳細なデータと言いますか、環境省のほうでも昨年度いろいろとヒアリング調査等も実施しましたので、そういった結果を製品ごとにお示しをしながらご議論いただこうと思っております。今日のところはちょっと資料になっておりませんで、失礼いたしました。
○大塚委員長 次回、詳しいものが出てくるということでございます。よろしいですか。
他にはいかがでしょうか。
鈴木先生、お願いします。
○鈴木委員 8ページの水銀収支を見ながら、幾つかのご議論を拝聴しながら思ったことですけれども、最終処分、大気排出や水銀含有製品輸出等が、日本からのアウトプットになっていますけれども、何にしましても、この辺の対策を考えるに当たりまして、従来の対策であれば、何らかの排出基準、あるいは環境基準の設定によって行われるというのが伝統的なものかと思うんですけれども、多分、日本国内で過去、それは、もちろん日本国内の規制としては十分有効に機能してきたということは全くそのとおりと思いますが、一方で、それは日本国民の健康を守るためということが基本的な視点であったはずで、多分この条約の精神というのは、必ずしもそれとイコールではないと思います。この水銀条約に対応して国内担保措置ということを考えていくのであれば、そのことを日本の今後の水銀対策に反映できるようなことを、もし、できれば考えていただければと思います。それは大気排出にせよ、廃棄物にせよ、製品輸出関連にせよ、です。
それから、一方で、それにしても日本は、使用量自体は非常に大きく削減されていて、非常に世界の中で大きい国ではないということも一方でありますので、じゃあ日本は何もしなくて良いのかというような考え方は、なきにしもあらずかもしれませんが、そこはもちろん、そんなことないはずでありまして、日本の水俣の地名を冠した条約でございますから、世界の政策に対してお手本となるようなことを、これは志を持って取り組んでいただければということを希望いたします。
○大塚委員長 ありがとうございます。
これは、何かお答えいただくことはありますか。よろしいですか。コメントとして承っておきます。どうもありがとうございます。
他にはいかがでしょうか。よろしいですか。
有田委員。
○有田委員 国際的な水銀回収後の保管方法にどのようなものがあるのか教えてください。例えば、アメリカであるとかドイツであるとか、それぞれどういうふうな方法で保管しているか教えていただきたいと思います。
○大塚委員長 いかがでしょうか。
○大井課長補佐 お手元のパンフレットをご覧いただければと思うんですけれども、後ろから1枚めくっていただいた13ページに、コラムというのがございます。
有田先生がおっしゃったのは暫定保管のことなのかもしれません。ここに書いてあるのは、いわゆる長期保管と言いますか、ほとんど処分に近いものでありますけれども、ドイツとアメリカの例です。ドイツでは硫化水銀に加工した後、地下の廃岩塩鉱に長期的に置いているということでございます。また、アメリカにおきましては、金属水銀のままで揮発しない密閉容器に入れて地上の屋内施設で保管されているというふうに聞いております。
○大塚委員長 ありがとうございます。
高岡委員は、何かこの辺はご存じですか。追加してご説明いただけますか。
○高岡委員 今、環境省からご説明があったとおりです。
ヨーロッパでは、ドイツにおける地下岩塩鉱での処分をしていると言っても良い状況だと思います。
アメリカのほうは、金属水銀をさらに、ここに書いてありますように、ボトルに入れて屋内施設で保管しています。ただ、これはどちらかと言いますと、将来的には、例えば硫化水銀にして処分することも考えられておると思いますので、最終的な処分というわけではないかもしれません、以上が補足のところでございます。
○大塚委員長 ありがとうございます。そんなところでよろしいでしょうか。
では、蒲生委員、お願いします。
○蒲生委員 先ほどの議論の中で、この条約は非常に多岐にわたる方面での対策を検討しながらも、バランスの良い対策を考えていきたいというようなことがあったと思うんですが、特に我が国の現状を考えますと、やはり地球規模への水銀循環へのインプットへ、マイナスの意味での貢献分をいかに下げていくかというところが主になるのではないかと思いますと、色々な方面での対策が最終的に水銀循環へのインプットにどのように効くのかというような形で、効果をある程度一元化して、その対策の効果、あるいは費用といったようなものを横並びで見て議論できるような形の資料を、今後、検討の際に心がけていただければなというふうに思いました。
○大塚委員長 事務局はいかがでしょうか。何か追加的にコミュニケーションしていただいた方が良いかと思われますが。
○牧谷環境安全課長 そうですね。委員のおっしゃった趣旨は大変良く分かります。
一方で、そういった人為的な削減の効果が循環にどの程度、あるいは、どのようなタイムスケールで効果をもたらすかということについては、多分、まだ世界的に見ても十分、分かっていない分野かと思います。
UNEPのパンフレット、出版物の中にも、定性的には、世界的な循環を減らすために人為削減を今すぐに進めることが必要であるというふうには書いてあるんですが、それ以上に定量的な記述というのは、まだ見えない状況であります。
もうちょっと我々も調べてみたいと思っておりますけれども、とりあえず、ご意見を踏まえて対応していきたいと思います。
○大塚委員長 どうもありがとうございます。
田村委員、お願いします。
○田村委員 産業界代表で、田村です。
資料3の13ページ、今まで、これからどうなっていくんだというご質問がございましたので、少しお話をさせていただきたいと思います。
次回に詳細な資料が出るということで、我々も用意しなくてはいけないかと思っておるんですが、このグラフをご覧になっていただいてわかるように、電池の中の水銀はほとんどなくなってきている。
それで、蛍光ランプも、左側のグラフを見るとあまり下がってないようにも見えますが、平成12年から平成22年ということでして、皆さんご存じのように、平成20年前後からLEDに非常な勢いで変わってきています。LEDは水銀を全く使っておりませんので、2020年ごろまでにどんどん水銀の使用量は加速して下がっていくのではなかろうかというふうに思っています。
あと、医療用器具です。実は血圧計が非常に多くて、水銀の量も考えなければいけないんですが、血圧計1本で、蛍光ランプ1万本分ぐらいの水銀を使っていますので、そのリスクというのは考えなければいけないんですが、血圧計も今は電子で、どんどん変わっていきますので、そこら辺をきちんとやっていけば、UNEPの趣旨による水銀の削減というのは進められるのではなかろうかと。業界も努力していかなくてはいけないというふうに考えております。
以上です。
○大塚委員長 ありがとうございます。
では、永田委員、お願いします。
○永田委員 こういった水銀の製品の使用を排していくということになれば、当然ながら、代替物として何を選ぶかとか、代替技術として何を採っていくかということが、日本だけではなく、世界でも課題になってくると思うのですけれども、今、世界的に見て、この代替がネックになっていて進まないとか、そういった代替が進められないネックみたいなものがもしあれば教えていただければと思います。
不適切な代替を色々としていくと、また別のリスクが生じるということも当然ございますので、その辺り、非常に重要なことではないかなと思っております。
○大塚委員長 事務局、お願いいたします。
○大井課長補佐 代替品に関しましては、恐らく条約の附属書を作成する経緯で、いろんなものが適用除外になったりとか、これは、その対象を外しましょうとかいうことになっています。
ですから、条約の附属書Aの中で適用除外になっているものというのは、要は、代替は難しいというか、そういうものなのかなというふうには理解しております。
例えば、途上国で保存剤としてのチメロサールを含むワクチンとか、こういうものは、代替品はあるのかもしれないけれども、実際上、それは難しいので除外にしましょうとか。あるいは、蛍光灯なんかでいきますと、まさに原理上、水銀を全く含まない蛍光灯というのはあり得ないということでありまして、それについては、規制はするけれども、含有量で裾切りをしましょうというようなことで、お答えにはなってないかもしれませんが、そういうことも色々と考えて、今のこの状況になっています。
さらに言えば、水銀添加製品のリスト自体も見直すという規定も条約上は設けておりますので、そういうものも含めて今後またさらに検討が進められていくんだろうなというふうには思っているところであります。
○有田委員 リストの見直しですけれども、緩い方にいくんでしょうか。既に、技術的には代替製品が出てきていて、日本は蛍光管も非常に微量でしか扱ってないけれども、少しでも外気に出さないということで、リサイクルして、割らないように回収するということがもっと徹底されるべきだと思います。
そういうことがある程度分かっていても、海外では、例えばタイなどでは、日本製の蛍光管の、割れたものが山積みにしてあって、そこで子どもたちが遊んでいるというような状況があると聞きます。開発途上国ではないかもしれないけれど、メーカーなどが事業活動を行っているわけですから、回収をきちんとして、また、リサイクルする。考え方を伝えていく事が必要だと思いますし、貢献する必要がある。
無機水銀も、大気に出たら有機水銀に変わるというように言われています。昔は、無機は問題がないとか、全然害がないと言われていましたが、今は変わってきているということも聞いています。ゼロにはできないかもしれないけれども、見直しのときに、緩いほうに見直すということはないですね。確認させてください。
○大塚委員長 いかがでしょうか。
○大井課長補佐 ご指摘のような議論は、多分、条約をつくるときにもあったんだと思います。
条約の第4条を見ていただきますと、色々とリストの見直しの関係でいろんな規定がございまして、例えば第4条の第4項です。事務局が締約国から提供される情報に基づきまして、添加製品及びその代替製品に関する情報を収集して維持をする。それを利用可能にするといったような規定がございます。また、第7項におきましては、締約国が水銀添加製品を附属書Aに掲げるためのいろんな提案です。まさに、改正の提案を、締約国が事務局に提出することができると。
条約上、改正が厳しい方向なのか、緩める方向なのか、これは明記してございませんけれども、こういうことですので、情報をみんなでオープンにし、共有していきながら、議論をして決めていこうということでありますので、基本的には、委員がご懸念のような、緩める方向に動くというのは、そういう提案もあるかもしれませんが、一般にはないのではないかというふうに思っているところであります。
○大塚委員長 ありがとうございます。
田村委員、お願いいたします。
○田村委員 私も水銀条約を傍聴しておりましたので、若干補足ですが、ランプの基準値などもございますけれども、これは条約の中で色々な国が合意できるところ、国によって合意できなくて条約から離脱しては意味がないということで決まっていったものという理解でございます。
そのときに、これから5年後、技術がだんだん良くなっていきます。LEDも進歩していきます。ということであれば、だんだん厳しくなっていくものだろうなという理解をしています。ただ、特例的にこれが入ってなかった、これは大変ですねというのがあればと思いますが、そういうものもあまり無いのではないかと思いますので、だんだん厳しくなっていくだろうなというふうに、業界としては理解をしております。
○大塚委員長 他にはよろしいでしょうか。
それでは、本日の二つ目の議題でございます本合同会合における検討の進め方につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○牧谷環境安全課長 それでは、資料4をお願いいたします。
まず、検討事項でございますけれども、合同会合における検討の対象につきましては、水俣条約により各国の対応が求められる事項、これは非常に幅広いものがございますが、このうちで、第8条の大気排出に関するもの及び第11条の水銀廃棄物対策に関するもの以外の事項とされております。
例えばということで、※で3条、4条、5条、9条、ずっと書いてございます。かなり幅広い内容を含み得るものではございます。一方、時間的なこともありまして、これらを全て同じ詳しさで検討するというよりは、既存の法令における対応と我が国の実態を踏まえながら、今後必要な水銀対策のあり方について審議を行うということで、今日いただいたご意見も踏まえながら、少し濃淡をつけながら検討していくというふうに考えております。
また、途中で幾つかご指摘がありましたように、中央環境審議会の他の審議の場がございます。廃棄物の関係、それから、大気排出の関係がございます。この審議状況についても、必要に応じ、事務局から報告をしたいと考えております。
次に、スケジュールでありますが、年内の取りまとめを目指し、以下のスケジュールで開催を想定しております。夏から秋にかけまして個別事項及び取りまとめ案についてご検討いただきます。取りまとめ案については、パブリックコメントを実施する予定でございまして、年末に他の小委員会、専門委員会における審議状況の報告、それから本合同会合としての取りまとめというものを予定しております。
3番は、議長は交代で務めるということ。それから、議事録及び議事概要の作成及び公開について記載しております。
資料4につきましては、以上でございます。
○大塚委員長 ありがとうございました。
では、ただいまの説明につきまして、ご意見、ご質問がございましたらお願いいたします。
崎田委員、先にどうぞ。
○崎田委員 総合的な条約なので、部分的に濃淡をつけて検討したいというお話がありました。
その濃淡のつけ方について、今後のお願いです。やはり、既存の法律を何か改正するものとか、あるいは政省令で済む部分、あるいは新しい法律をつくるのかなど、色々な選択肢があると思いますが、そういうような検討の時間がかかるようなものは早目に出していただくとか、今まで条約の検討の過程に参加された方にとっては、どの部分が日本にとって薄いというのは、かなり明確になっていると思いますので、その辺をかなり意識して情報を出していただいて、新規に提案していただければうれしいなというふうに思います。よろしくお願いします。
○大塚委員長 ありがとうございます。
よろしいですか。
○牧谷環境安全課長 審議時間を要するものをできるだけ早くということについては、承りました。
今日、資料3の一番最後に、条項ごとに現状どうなっているかという事実関係をご紹介しましたが、これらが、本当にその条項に照らしてどうなのかというところの詳しい検討も今後行いながら進めたいと思います。
○大塚委員長 吉田委員。
○吉田委員 第11条の関係は、廃棄物の委員会が別にあるのでということで、この委員会では基本的にはあまりやらないという理解でよろしいんでしょうか。
というのは、先ほどの議論でもありましたように、そして、今日いただいた資料の、先ほどからご議論があった8ページの国内外の状況というのを見ても、日本の周りですと、先ほどいっぱい議論があったのは、いわば廃棄物とか、蛍光灯の中に入っているやつとか、そういうものを拡散的利用しちゃったやつをいかに集めるかというのは大事なんですけど、同時に、例えば73トンのインプットというのは、実は、外国から精錬の材料を買ってきて、精錬所があるわけです。そこの精錬残渣の中に水銀が入っていて、これは量的には一番多いわけです。
ですから、例えば、そのインプットの場合もそうですので、そういう意味で、やっぱり廃棄物という狭い範囲だけじゃなくて、全体のフローの中で、どこに焦点を当ててコントロールしていくかというのが非常に大事なわけですから、廃棄物に関わる第11条については、基本的に外すというような議論をしちゃうと、トータルのコントロールやマテリアルフローの問題というのを議論するときに、ちょっと問題が出てくるんじゃないかと思うんですけど、いかがでしょう。
○大塚委員長 事務局、お答えいただけますでしょうか。
○牧谷環境安全課長 おっしゃるように、同じ金属製品でも、廃棄物になったり、それから有用物になったりという、常に境目がございます。
ですから、水銀廃棄物の処理ということについては専門委員会がございますので、そちらでやってまいりますが、検討に当たりましては、いずれにしても、この小委員会もそうですし、それから廃棄物の専門委員会でもそうですけれども、常に、廃棄物かそうじゃないかというところの境目にもよく留意して、必要な資料なども提出させていただきながら、全体が見えるような形でやっていきたいと思います。
○大塚委員長 全体については、ここで議論はするということと思います。
では、高岡委員お願いします。
○高岡委員 大気と廃棄物以外がこの委員会で行う範囲であるということです。それにしても、かなりたくさんのことを議論しなければならないということで、やはりこの濃淡をつけることになると思います。そこをどのように、この限られた時間の中でやるのかという道筋を、やはり、今後にはなると思いますが、示していただきたいというのがあります。
その中で、先ほどちょっと質問しようかどうか迷ったんですが、先ほどのところは今の状況ということでしたので、どちらかというと、第14条、17条、18条とかいう、後ろのほうの部分が、今後の、例えば日本の国際貢献とか、そういうところに関わってくるようなところになってくるかと思います。今回、水俣条約という日本の名前がついた条約ですし、まずは国内対応だとは思いますけれども、日本として何を発信し、何を変えていくのかというようなところも、大気と廃棄物以外はここの委員会であるというのであれば、最終的には議論しなければならないのかなというように思います。
その点も、今後とは思いますが、よろしくお願いいたします。
○大塚委員長 ありがとうございます。
事務局から、ご回答いただけますか。
○牧谷環境安全課長 貴重なご意見として承りましたので、今後、検討いたします。
○大塚委員長 ありがとうございます。
高村委員、お願いします。
○高村委員 ありがとうございます。
先ほどの資料3のところで本当は申し上げた方が良かったのかもしれないんですが、3点申し上げたいと思います。
一つは、水銀条約をまずは締結の段階に持っていくためには、日本の従来の立場から言えば、当然、条約の規定を完全に担保するということが大前提だというふうに思いますので、国内担保が条約締結に向けてできるかどうかというところに一つ重点を置いていただきたいと思います。
その上で、具体的に、特に気になっていますのが2点あります。気になっているというのは、それについて議論が必要ではないかと思っているというもので、一つが、水銀の貿易に関するものです。
何人かの委員からもご意見がありましたけれども、規制の観点からしますと、輸出される水銀について、輸入をする相手国における用途、あるいは適正にそれが管理、処分されているかという保証を、輸出する国が規制しなければいけない。もちろんバーゼル条約等の経験もあると思いますけれども、廃棄物ではない、こういう水銀の貿易の規制についてどうするかという点が一つであります。
それから、もう一つは、私が知る限りなかなか珍しいのは、一定の基準を満たさないものについて、製品の製造、輸出入を期限つきで禁止をするのを担保しなければいけないというところは、かなり新しいチャレンジだと思っていまして、この辺りは、やはり議論の必要があろうかと思います。
関わっては、組立品への組込防止ですとか、新製品の製造、流通の抑制の義務もございますので、これをどういうふうに担保するのかというのは、なかなか悩ましいなと思っております。
いずれにしても、製造や輸出入の禁止の対象となっているもののうち、国内でどうしても代替ができなそうなものがないかどうかの確認は、水俣条約の完全担保の観点から必要ではないかと思います。
2点申し上げましたけれども、このあたりはやはり議論を集中して行う必要があるんじゃないかと思っている点です。
大きな点で二つ目ですが、条約の締結に向けた国内担保に焦点を当てる必要がある一方で、せっかく国内の水銀規制の議論をしておりますので、先ほど他の委員がおっしゃったと思うんですが、どうしても条約と言いますと、諸国間で合意ができた最小限のところを文章にした形になっておりますので、日本として水銀のリスクについて、どういう規制、どういう対応をこの機会に入れておくべきか、あるいは入れるべきなのかという議論は、やはり必要なように思います。
例えば、欧米で既に導入されている金属水銀の貿易の規制をどういうふうに受け止めるかということもありますし、例えば、日本の技術力で言えば、条約の国際規制よりも厳しい国内規制をもって、むしろ、それによって国際的にその基準を広げていくというような基準戦略も、ひょっとしたらあるのかもしれません。結論を予見するものではないですけれども、日本としてどういうふうに水銀規制をしていくのかという、条約を越えたところの議論が、少しあっても良いのではないかというのが2点目です。
3点目は、横断的問題について若干気になっているところについてです。
三つの部会で議論されるというのをあながち否定はしませんけれども、いくつか、議論から落ちないように留意が必要なところがあるように思います。例えば市中の製品中の水銀ストックが、かなり大きなものだとすると、やはり、それがきちんと廃棄物のフローに乗っていくような、これは吉田委員がおっしゃったかと思いますが、そのための製品の、例えば表示ですとか、あるいは製品の流通についての一定の、何らかの基準と言いましょうか、仕組みが必要ではないかといったような議論というのはあり得るかと思います。もう一つの例は、廃掃法の廃棄物の定義が必ずしも国際条約の廃棄物の定義と一致してないと思いますが、廃棄物の規制が別の部会で議論されるのは良いのですが、例えば暫定保管の範囲が、廃棄物でないものを取り扱うとされていることから、別の部会での議論が、こちらの議論にもはね返る可能性があります。さらに、別の部会で議論される廃棄物の管理のルールと、この委員会で議論される暫定保管のルールは、やはり整合性とバランスがなきゃいけないんじゃないかというふうに思います。いくつか、そうした、相互に連関する問題、先ほどどなたかがおっしゃった、落ちるような問題というのを、あらかじめ注意して議論をする必要があるのではないかというふうに思っております。
以上です。
○大塚委員長 ありがとうございます。
事務局から、回答をお願いします。
○牧谷環境安全課長 大変貴重なご意見を承りました。ありがとうございました。
○大塚委員長 今おっしゃっていただいたことに気をつけてやっていきたいと思います。
では、貴田委員、お願いします。
○貴田委員 高村委員のほうから、重点的にやるべきことということで、私も、ポイントを押さえていただいたかなというふうに思います。
そんな中で、国内法の関係で、廃棄物に近いところはあるんですが、議論されてない部分があるので、ちょっと気になるので発言させていただきます。
汚染土壌のところだと思うんですけど、廃棄物に関しては水銀廃棄物の定義というのが、国際的にも、国内的にも、これから議論されることになると思いますが、今、汚染土壌でも、場合によっては、北海道に行って水銀回収をされたりしているケースがあるというふうに聞いております。
それで、そういう廃棄物の基準が、含有量の基準なりというのができた場合に、汚染土壌は今のままで良いのか。国内的には、要するに含有基準としては直接接触のリスクがないようにということと、それから溶質基準で、環境への、水系への汚染がないようにということで決められていると思うんですけれども、これを、いわゆる水銀対策という観点から見ると、例えばの話ですけれど、極端に言えば、それは回収すべきものになるのかどうかということを考えておく必要があるんじゃないか。
もうそれは必要ないということであれば、そこのところは、もう解決する問題として捉えることができるんじゃないか。そこのところを少し考え方の整理も要るんじゃないか、議論されていないこととして気になっております。
土対法の問題と言いますか、課題で解決できるという判断をするのかどうかというところで、一つ気になっているので発言させていただきました。
○大塚委員長 重要なご指摘だと思いますけれども、事務局はいかがでしょう。
○牧谷環境安全課長 条約の、汚染された場所に関する規定ぶりでありますけれども、締約国としてやらなきゃいけないのは、汚染された場所を特定し、及び評価をするための戦略を策定する。
この汚染された場所の危険を、リスクを減少させるための措置は、環境上適正な方法で行われるというのが条約でございまして、これに照らして、現行の土壌汚染対策法の措置が十分であるかどうかという点について確認していこうと思っております。
○大塚委員長 ありがとうございます。
貴田委員がご指摘になっていらっしゃることの背景として、廃棄物と土壌は、区別はされていますけれども、その区別が必ずしもはっきりしないところもありますので、そういう問題はあるかと思いますけれども、さらに、土壌汚染対策法が、基本的には掘削除去で回収ということはあまり考えていないので、封じ込めが中心的な対策というふうに、少なくとも法律上は考えられていますので、その点が関係するかとは思いますが、条約等の関係で回収までが要求されているというわけでは、必ずしもないので、封じ込め等以上のことをするかどうかという問題かと思いますが。
土壌汚染対策法のほうでは、基本的に掘削除去はあまり進めないという方向が2009年改正で固まっていて、水銀だけ別にするのかという問題は、難しいと私自身は思いますけども、もし問題提起するとすれば、そういうことを考えるかということかと思いますけれど、さらにコメントしていただくことはございますか。
○貴田委員 特に、土対法のほうで、そういう形での環境影響はないと。もちろん、第12条でそこまで規定されているわけではないんですけれども、水銀含有廃棄物になるかどうかの状況が、今はわからないような状況の中で、その可能性は、考えるとすれば、聞いておきたいということでありましたので、整理をしていただければ、今の大塚委員長の考え方でも、それは良いと思います。
○大塚委員長 ありがとうございます。
他にはいかがでしょうか。
鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 19条の研究、開発、監視は、非常に一般的に書かれているので、小さなコメントですけれども、この監視という中には、通常の環境監視、排出量の監視というものが当然、含まれてくるんだと思いますので、そのあり方というのは、一つの、当然、ここでの検討の課題だろうと思うんですが、多分、この現在の議論からすれば、製品に対する、ある種の監視というのも、多分、検討の対象じゃないかなという気がしますので、それは、必ずしも、従来の環境の監視や排出量の監視とは少し違う側面が入ってくるかなと思います。その辺についても検討する価値があるんじゃないかなと思います。
○大塚委員長 事務局、いかがでしょうか。
○大井課長補佐 19条の監視が、必ずしも環境モニタリングだけではない、色々な監視を含むという鈴木委員のご指摘は、まさにそのとおりでございます。
具体的には、水銀を含まない製品、それから、工程の技術的、経済的な利用可能性に関する情報なども19条の研究、開発及び監視の対象になっているところでございます。
また、4条の関係で、先ほども申し上げましたけれども、各締約国が情報を事務局に提案し、事務局のほうで、様々な情報を収集し、維持するというような規定こともございますので、こういったような規定をもろもろ勘案しまして、どういうことをやっていくべきかということについては、ご審議いただければと思っております。
○大塚委員長 よろしいですか。
では、築地原委員、お願いします。
○築地原委員 1点お願いでございます。
先ほど、人為排出を減らすと。これは、根幹の部分だろうとは思うんですけれども、先ほど、他の委員からありましたけれども、コストとの比較の中での検討も必要だろうというご意見もありましたけれども、もう一つは、今出ていますように、廃棄物なのか、そうでないのか。あるいは土壌をどう考えるのかという曖昧な部分もまだあろうかと思います。
こういうことを含めると、さらに、水銀、主な金属であっても、硫化水銀にしても、超長期の保管なり、処分なりということは想定されてくるわけです。
私どもではイトムカというところを持っておりますけれども、一企業だとか一地域というつもりはございませんけれども、そういった、トータルにどういう波紋が広がるのか、影響が出るのか、しわが寄るのか、こういった部分をぜひ、これは北海道ばかりではないでしょうけれども、例えば、先ほど精錬の話もあったと思います。こういったところがどういうふうにつながって影響が出るのか。あるいは、その影響をいかに少なくしつつ、人為的な排出を減らすのか。こういう観点をぜひ持っていただいて議論を進めていただければというふうに思います。
○大塚委員長 ありがとうございます。
事務局からは何かいかがですか。
○牧谷環境安全課長 排出ということについてですが、大気の排出、水の排出、それから廃棄物を通じた埋立などの排出、色々とあるわけでございまして、こういった排出をどうするかということについては、当然ながら、そういったコスト、それから、そこから出ていく、色々な社会経済的なことを含めた影響ということも含めて、排出源ごとに見ていくというのが今回の全体の進め方かと思っております。
多分、北海道の現状から考えて、今後始まるであろう、色々な処理について、色々なご心配があるかと思いますが、中央環境審議会での審議の場は三つございますので、全体を通じて、そういったご懸念に対して考えていきたいというふうに思います。
○大塚委員長 よろしいでしょうか。ありがとうございます。
他にはいかがでしょうか。よろしいですか。
では、他にご意見、ご質問が無いようでしたら、委員からいただきましたご意見等を踏まえまして、今後、本合同会合における検討を進めていきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
本日予定されていました審議事項は以上でございます。
事務局から何かございますでしょうか。
○牧谷環境安全課長 次回の開催についてでございますが、大塚委員長及び制度構築ワーキンググループの東海座長ともご相談の上、改めてご案内させていただきます。
また、先ほどご確認いただきましたとおり、簡単な議事概要及び詳細な発言を記載した議事録を作成し、公表するということにいたします。その案について、追って事務局より皆様にご確認いただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
なお、お手元の資料のうち、ファイルつづりとなった条約の原文及び仮訳につきましては、毎回の会合に用意をいただく予定でありますので、そのまま机上に残していただければ幸いでございます。
○大塚委員長 本日は大変活発なご議論をいただきましてありがとうございました。
以上で本日の議題は全て終了いたしましたので、本日の会合はこれで終了といたします。次回の会合につきましては、改めて事務局から日程等をお知らせいたしますので、よろしくお願いします。
どうもありがとうございました。
午後2時47分 閉会