平成18年度第6回薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会科学物質調査会、化学物質審議会第58回審査部会及び第61回中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会合同会合議事録

1.日時

平成18年10月27日(金) 13:00~15:20

2.場所

中央合同庁舎5号館 17階 専用第18~20会議室

3.出席(五十音順、敬称略)

薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会化学物質調査会委員


化学物質審議会審査部会委員


中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会委員


事務局

厚生労働省 佐々木化学物質安全対策室長
経済産業省 森田化学物質安全室長
環境省 森下化学物質審査室長 他

4.議題

  1. 前回審議結果の確認
  2. 既存化学物質の審議等について
    1. (1) 分解性・蓄積性について
    2. (2) 難分解性・高濃縮判定済み(予定)の既存化学物質について
    3. (3) 人健康影響・生態影響について
  3. 白告示済み化学物質における人健康影響の再評価について
  4. その他

5.議事

○事務局(厚労省) それでは、時間がまいりましたので、ただいまから「平成18年度第6回薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会化学物質調査会」「化学物質審議会第58回審査部会」及び「第61回中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会」の合同審議会を開催したいと思います。
本日は、いずれの審議会も開催に必要な定足数を満たしており、それぞれの審議会は成立していることを御報告いたします。
また、各審議会から本日の会合への具体的伝達手続は、それぞれの省により異なりますが、化審法第41条に基づく、新規化学物質の判定に関する諮問が、大臣よりなされている審議会もございますので、よろしくお願いいたします。
なお、本審議会は、既存化学物質の審議と新規化学物質の審議を分けて実施し、本日は13時から15時半までを第一部として、既存化学物質の審議を行う予定としています。
終了後、休憩をはさみまして、第2部として通常新規化学物質等の審議を行う予定としていますので、よろしくお願いいたします。

○事務局(環境省) 環境省でございますが、議事に先立ちまして、平成18年9月22日付で環境省の環境保健部長の交代がございました。新たに就任いたしました上田博三環境保健部長から御挨拶申し上げます。

○事務局(環境省) 先月22日に環境省の環境保健部長を拝命しました上田でございます。
委員の皆様方におかれましては、御多用中のところ御出席いただき誠にありがとうございます。また、この委員会は、非常に多数回開催されるということで、日ごろから大変お世話になっております。
私自身も5年ぶりに環境省に帰ってまいりまして、委員の皆様方には、非常にお懐しい顔も多数おられます。また、当時はこういう審議会もばらばらで行われていたのですが、こういう形で合同で開催されるとは非常にそういう点でも時代が進んだのではないかと思っております。
本日は、化学物質審査規制法に基づく、既存化学物質及び新規化学物質について御審議をいただくわけでございます。
化学物質審査規制法でございますけれども、平成15年の法改正によりまして、動植物への影響の観点が導入されるなど、我が国の化学物質管理政策の基盤を成す制度として充実してきているところでございます。
そのバックボーンとなっておりますのが、科学に密着した取組みということでございます。これもひとえに各審議会の委員の皆様方の御理解、御協力の賜物と厚く感謝を申し上げる次第でございます。
本日の会議は、大変長丁場になると伺っておりますけれども、安全な化学物質の利用と管理を推進するという観点から、先生方におかれまして、それぞれの専門の立場から忌憚のない御意見を賜わりますよう、よろしくお願いいたしまして、御礼と御挨拶に代えさせていただきます。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

○事務局(厚労省) 本日の全体の議事進行につきましては、薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会化学物質調査会の井上座長にお願いしたいと思います。
それでは、まず、審議に入ります前に、お手元にお配りした資料の確認を行いたいと思います。
議事次第の1枚紙をご覧ください。下に配付資料の一覧がございますので、こちらをご覧いただきながら御確認をお願いいたします。
資料1-1「前回既存化学物質点検(分解性・蓄積性)結果」。
資料1-2「前回既存化学物質審査シート(人健康影響・生態影響)」。
資料1-3「前回議事録」。
資料2「既存化学物質点検(分解・蓄積)結果」。
資料3-1「難分解性・高濃縮判定済み(予定)の既存化学物質の毒性評価について」。
資料3-2-1「既存化学物質審査シート(人健康影響・生態影響)」。
資料3-2-2「既存化学物質の人健康影響に関する情報」。
資料3-2-3「既存化学物質の生態影響に関する情報」。
資料4「白告示済み化学物質審査シート」。
資料5「化学物質審査規制法に基づく藻類生長阻害試験法の改正案に対する意見募集(パブリックコメント)の結果について(案)」。
参考1「委員名簿」。
参考2-1「監視化学物質への該当性の判定等に係る試験方法及び判定基準」。
参考2-2「水溶性ポリマーの生態毒性について」。
参考3「特定化学物質及び監視化学物質の要件及び評価のための試験項目について」。
参考4「既存の第一種特定化学物質に関する毒性評価の一覧」。
参考5「既存化学物質審査物質(人健康影響・生態影響)に係る分解性・蓄積性データ」。
参考6「分解度試験における変化物(カルボン酸体とアルコール体)の極性について」。
以上でございます。
なお、資料3-2-2、それから資料3-2-3、資料4の3資料でございますけれども、中に企業内データの記載がございますために、委員にお配りした資料と傍聴者にお配りしている資料が若干異なっております。
委員の皆様方におかれましては、当該資料の取扱いには御注意をいただきますようにお願いいたします。
資料の方はよろしいでしょうか。
それでは、議事進行を井上座長にお願いいたします。

○井上座長 皆さん、こんにちは。早速始めさせていただきます。
初めに本日の会議の公開の是非についてお諮りいたします。各審議会の公開につきましては、それぞれ規定があるところでございますが、本日の会議のうち、第一部につきましては公開することにより、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがある場合、または特定のものに不当な利益もしくは不利益をもたらすおそれがある場合等、非公開とすべき場合に該当しないと考えられますので、公開といたしたいと思いますが、よろしゅうございますか。
御異義ないものと考えまして、公開とさせていただきます。
なお、公開の会議の議事録につきましては、後日ホームページで公開されますので、あらかじめ御承知置き願いたいと思います。
それでは、最初の議題の1ですが、前回審議結果の確認でございます。
議題1、事務局から御説明をお願いいたします。

○事務局(厚労省) 結果につきましては、資料1-1から資料1-3に整理させていただいております。内部の手続が終了次第、各省のホームページ上で公開させていただきたいと考えております。何かありましたら、本日の会議終了までににコメントいただけますよう御願いいたします。。

○井上座長 よろしくお願いいたします。
経産省、どうぞ。

○事務局(経済省) 経済産業省から前回の7月の公開審議会におきまして、幾つか委員の方から指摘を承った事項について御回答いたしたいと思います。
資料1-1をご覧いただければと思います。
「平成18年7月既存化学物質点検(分解・蓄積)結果資料」の31ページ目をご覧いただければと思います。
物質名で4,4'ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタンで31ページ目の右下の欄の備考でございます。少し見づらくなっておりますけれども、一番下の「被験物質は一部残留し、HPLCクロマトグラム上の保持時間から、生成、残留した変化物はいずれも被験物質より極性が高いことから、後続試験は被験物質で実施し、評価を行った」ということを追記させていただいております。 この部分につきましては、委員の方から口頭で読み上げた内容について、資料についてきちんと書くようにという御指示がございましたので、前回の資料に追記させていただきました。
同様に39ページ目をご覧下さい。
物質名はクロロメチルスチレンでございます。これも右下の備考欄の図の構造式の上の部分の表現を追記させていただいております。
続きまして、参考6をご覧いただければと思います。
後ろの方になりますが「分解度試験における変化物(カルボン酸体とアルコール体)の極性について」という表題で2枚紙になっております。
この部分でございますけれども、前回の御説明の際にカルボン酸体とアルコール体で極性がどちらが高いかという話がございました。
そこで、既存物質で分解度試験を実施した検体について、カルボン酸体とアルコール体を変化物として生成した検体を調査しました結果が、参考6になります。
これについては、財団法人化学物質評価研究機構で調査してもらった結果を記載させていただいておりますけれども、HPLCクロマトグラム上の保持時間から2物質を調査しておりまして、1物質はカルボン酸体の方が極性が高くなっています。
もう一つの物質は、逆にアルコール体の方が高いという結果が出ております。一般的には、水中ですとアルコール体よりカルボン酸体の方が極性が高いということもございますけれども、試験ではなるべく非解離の条件で試験を実施するという要因はあるのかもしれませんが、今回の結果からはアルコール体とカルボン酸体の両方で極性が高いというデータが出ております。
以上でございます。

○井上座長 ありがとうございます。環境省お願いします。

○事務局(環境省) 環境省事務局から申し上げます。前回の公開審議会において、幾つか指摘を承った事項につきまして、御回答いたします。
まず、池田委員からの御指摘でございますが、資料1-2の9ページでございます。ペンタエリスリトールの環境モニタリング調査におきまして、大気においてのみ検出されていることに疑問があるとの御指摘をいただきました。
こちらは事務局において、別の物質のデータを誤って記載してしまったものでございます。大気中でのモニタリング調査は行っておりませんので削除いたしました。
資料の不備につきまして、おわび申し上げます。
なお、本日、池田委員は御欠席でございますが、修正について御了解いただいております。
次に若林委員からの御指摘でございますが、前回公開審議会におきまして、生態影響に係る他の毒性情報の記載の範囲について御質問がございました。
こちらの案でございますが、OECDのSIARの他、IUCLID、ECOTOX等、国際機関又は欧州、米国等が公開している化学物質の生態影響に係るデータベースから検索した結果を記載しております。
以上でございます。

○井上座長 ありがとうございます。ほかにございませんか。
それでは、前回の審議結果の確認を終了いたしまして、議題2-1の方は西原先生から分解性、蓄積性についてでございます。よろしくお願いします。

○西原部会長 それでは、議題2の既存化学物質の分解性、蓄積性について事務局の方から説明をお願いいたします。

○事務局(経済省) 資料2をご覧ください。「既存化学物質点検(分解・蓄積)結果資料」につきまして説明させていただきます。
まず、資料2の最初のページに記載してあります3物質につきまして、通して説明させていただきます。
まず、1物質目ですけれども、1ページ目をご覧ください。
4-0039、物質名は、4,4'-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)でございます。
本物質につきましては、分解度試験が実施されております。4週間の試験期間でBOD平均分解度が0%、HPLC平均分解度が3%となっております。
水系、汚泥系ともにHPLCクロマトグラム上に被験物質以外のピークは認められておりませんでした。
これらの結果から、事務局案としては難分解性とさせていただいております。
続きまして、2ページ目をご覧ください。
蓄積性につきましては、昭和54年4月に高濃縮性でないと判定しておりました。なお、昭和54当時の理由は不明ですけれども、分解度試験は実施しておりません。今回、対水溶解度を確認したところ、カラム溶出法で0.0123μg/L であったことから、再度濃縮度試験を実施しております。
定常状態における濃縮倍率は、第1濃度区で4600倍、第2濃度区で9200倍であることから、事務局案としては高濃縮性としております。
続きまして、3ページ目をご覧ください。
3-2835、物質名は、3,5-ジ-tert-ブチル-2-ヒドロキシ-2´-ニトロアゾベンゼンでございます。
本物質につきましては、平成16年3月開催の審査部会で、難分解性の判定をしております。
続きまして、4ページ目をご覧ください。
本物質につきまして、濃縮度試験を実施しておりまして、第1濃度区5000倍、第2濃度区4300倍となっておりまして、事務局案としては高濃縮性とさせていただいております。
続きまして、5ページ目をご覧ください。
3-3247、物質名は、ペルフルオロ-1,2-ジメチルシクロヘキサンでございます。
本物質は、平成17年4月開催の審査部会で、難分解性の判定をしております。
続きまして、6ページ目をご覧ください。
本物質も濃縮度試験を実施しております。本物質につきまして、被験物質のピークが4つ出ております。この4つのピークは異性体ですが、それぞれのピークがどの異性体かは不明です。
今回、ピーク1~4の濃縮倍率を算出しており、ピーク1が第1濃度区で1400倍、第2濃度区で1600倍。
下の備考欄の真ん中でございますけれども、ピーク2につきまして、第1濃度区6900倍、第2濃度区7700倍。
下の右側でございますけれども、ピーク3で第1濃度区6000倍、第2濃度区が5800倍となっております。
続きまして、7ページ目をご覧ください。
ピーク4の濃縮倍率を出しておりまして、第1濃度区が5400倍、第2濃度区が5700倍となっております。事務局案としては、高濃縮性とさせていただいております。
以上3物質の審議をよろしくお願いいたします。

○西原部会長 それでは、ただいまの内容について御意見等ございませんでしょうか。いずれも高濃縮性という事務局案です。
それぞれ類似物質もかなりの高濃縮性ですかね。それは調べていないですかね。

○渡部委員 西原先生の御質問なんですが、今年に入ってから、第一種特定化学物質に指定したものの中にtert-ブチルフェノールの化合物が入っておりまして、それ以前にも同じように、抗酸化剤でtert-ブチルフェノールの構造を持つものが特定化学物質に指定されております。
したがって、そういう意味で構造と蓄積性の関係が次第に鮮明になってきたように思うんです。

○西原部会長 tert-ブチルはそうかなと思います。フルオロで高濃縮というのは、今まであったかなというのが気になりました。

○渡部委員 フルオロ化合物は、大抵の場合は高蓄積性でないということでこれまで判定されております。これらの多くは、体の中に侵入して、代謝を受けないで出ていくという物質がほとんどでした。

○西原部会長 なければ、また次回のときにでも紹介していただければと思います。

○事務局(経済省) 確認して次回以降において、関係資料を御紹介したいと思います。

○西原部会長 よろしくお願いします。ほかの先生の中から御意見はございますでしょうか。
それでは、既存3物質については事務局案どおり、難分解性、高濃縮性という判定とさせていただきます。

○井上座長 議題の2-2の方は中杉先生。

○中杉委員長 それでは、ただいま難分解性、高濃縮性という判定をいただきました、既存化学物質について、有害性の方の毒性評価に関する御説明をお願いいたします。

○事務局(厚労省) 御説明いたします。資料3-1をご覧ください。A3の横長の1枚紙になっております。
こちらには、ただいま高濃縮判定を受けました3物質について毒性情報を記載させていただいております。真ん中の辺りに「毒性情報の項目」というところがございますが、現時点で事務局の方で入手している情報はございませんでしたので、「なし」ということにさせていただいております。
したがいまして、判定案といたしましては、「人への長期毒性についての評価案」、「高次捕食動物への長期毒性についての評価案」ともに、第一種特定化学物質に該当するかどうか判断するための十分な情報がないことから、3物質とも第一種監視化学物質相当であるとさせていただいております。
なお、一番上の物質につきましては、アメリカのUSチャレンジ・プログラムにおいて、試験の実施と情報の収集を行っているという情報を事務局の方で得ております。その情報が得られ次第、審議会の場で御報告させていただければと思っております。

○中杉委員長 それで説明はよろしいですか。

○事務局(厚労省) はい。

○中杉委員長 ということで、残念ながら3物質とも毒性についての情報がないということでございますけれども、委員の先生方から御質問、コメントがございましたらどうぞ。いかがでございましょうか。
一番上の物質については、報告をいただいて評価ができるようであれば、それに従って判定をするということになります。今の段階では、第一種監視化学物質相当という判定ですけれども、よろしいでしょうか。
特段御意見がないようですので、この3物質については事務局案どおりに第一種監視化学物質相当という判定をさせていただきます。

○井上座長 ありがとうございます。それでは、次は議題の2(3)に移ります。「人健康影響・生態影響について」ということで、事務局の方から御説明をお願いいたします。

○中杉委員長 それでは、最初に3-1971。3-アミノベンゼンスルホン酸です。
それでは、説明をお願いいたします。

○事務局(厚労省) 御説明いたします。資料3-2-1をご覧ください。官報公示整理番号が3-1971。3-アミノベンゼンスルホン酸になります。こちらの人健康影響について御説明いたします。
Ames試験は陰性。
染色体異常試験は+S9mix群において構造異常の誘発が認められていることから陽性とさせていただいております。
D20値は1.1mg/mLとさせていただいております。
28日間反復投与毒性試験につきましては、尿pHの低下、飲水量の増加を推定根拠といたしまして、NOEL300mg/kg/day とさせていただいております。
人健康影響につきましては、こちらは竹下先生の方から事前にコメントを踏まえまして、染色体異常試験が陽性であるが、Ames試験が陰性、NOEL300mg/kg/day であることから第二種監視化学物質相当でないと修文させていただきたいと思います。
人健康影響における判定案は、収集された情報からは第二種監視化学物質相当に該当するとは判断されないとさせていただいております。
本物質につきまして、御審議のほどよろしくお願いいたします。

○中杉委員長 3-1971は人健康影響のデータだけですけれども、その判定をお願いいたします。 まず、構造からコメントをいただけませんでしょうか。

○渡部委員 特にございません。

○中杉委員長 分解性、蓄積性については、既に判定済みということでよろしいですね。今回は人健康影響の方でございます。
まず、変異原性試験について、Ames試験が陰性で、染色体異常試験が陽性ということでございますけれども、コメントをいただけますでしょうか。

○鈴木委員 これで結構だと思います。

○中杉委員長 竹下先生からのコメントについては、もう修正済みということですか。

○事務局(厚労省) そのほかの委員の先生方からは特段指摘等はございませんでした。

○中杉委員長 反復投与毒性試験については、いかがでしょうか。

○廣瀬委員 投与量が100 、300 、1000mg/kg/dayの3用量で行われておりまして、その結果、尿のpHが最高用量の雌雄で低下している。ただ、尿量の増加はありませんし、飲水量が増加していますけれども、これは14日、21日目だけの一過性のものでしかありません。
それから、ほかの腎機能には全く影響がありませんので、全体としては非常に軽微な影響と考えられます。NOELは300mg/kg/day で問題ないと思います。

○中杉委員長 そのほか、反復投与毒性試験についてのコメントはよろしいでしょうか。
そうすると、以上の結果から見ますと、Ames試験が陰性で、染色体異常試験が陽性ですが、NOELが300mg/kg/day ということで、第二種監視化学物質相当ではないという判定でございますけれども、よろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)

○中杉委員長 それでは、事務局案どおりの判定とさせていただきます。
続きまして、2-1167。2,3-ジブロモこはく酸の御説明をお願いいたします。

○事務局(厚労省) 3ページ目をご覧ください。こちらも人健康影響のみでございます。
Ames試験は陰性。
染色体異常試験は陰性。
28日間反復投与毒性試験は全群で特に毒性学的影響が認められていないことから、NOELは1000 mg/kg/dayとさせていただいております。
判定根拠といたしましては、Ames試験及び染色体異常試験は陰性。NOEL1000 mg/kg/dayであることから第二種監視化学物質相当でないとさせていただいております。
人健康影響における判定案は、収集された情報からは第二種監視化学物質相当に該当するとは判断されないとさせていただいております。
本物質につきまして、御審議のほどよろしくお願いいたします。

○中杉委員長 それでは、まず、構造からコメントをお願いいたします。

○渡部委員 この構造のカルボン酸というのは、かなり酸性が強いと思います。αハロカルボン酸が一般にそうなんです。それと同時にハロゲンが脱離しやすく、タンパク質への修飾を起こすケースが多いんです。これにそういう作用があるのかなと思いましたら、毒性のあらわれ方からみると、必ずしもそうではないようです。 つまり、モノヨード酢酸のような作用があるのかなと思いましたら、そうではないようです。
以上です。

○中杉委員長 ありがとうございました。そのほか、構造からコメントはございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、Ames試験、染色体異常試験はともに陰性でございますけれども、何かございますか。

○鈴木委員 これで問題ないと思います。

○中杉委員長 それでは、28日間反復投与毒性試験については、いかがでしょうか。

○前川委員 20、140 、1000 mg/kg/dayの3用量群でなされていますけれども、先ほど御説明がありましたように、最高用量群でも全く変化が出ておりません。ですから、NOEL1000 mg/kg/dayでよろしいかと思います。

○中杉委員長 28日間の試験については、ほかにコメントございませんでしょうか。
それでは、変異原性試験はいずれも陰性で、反復投与毒性試験でも影響が見られないということでございますので、第二種監視化学物質相当でないということでよろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)

○中杉委員長 それでは、事務局案どおりの判定とさせていただきます。
引き続きまして、2-32。トリイソブチレンでございます。資料の御説明をお願いいたします。

○事務局(厚労省) 4ページをご覧ください。こちらも人健康影響のみでございます。
Ames試験は陰性、染色体異常試験は陰性、28日間反復投与毒性試験は血液学的検査、相対重量、組織学的所見を推定根拠といたしまして、NOEL30 mg/kg/dayとさせていただいております。
判定根拠といたしましては、Ames試験及び染色体異常試験は陰性、NOEL30 mg/kg/dayであることから第二種監視化学物質相当でないとさせていただいております。
人健康影響における判定案は、収集された情報からは第二種監視化学物質相当に該当するとは判断されないとさせていただいております。
本物質につきまして、御審議のほどよろしくお願いいたします。

○中杉委員長 それでは、まず、構造からコメントをお願いいたします。

○渡部委員 毒性学的には問題となるような構造をしていないと思います。
以上です。

○中杉委員長 構造からはよろしいでしょうか。
それでは、Ames試験、染色体異常試験ともに陰性でございますけれども、いかがですか。

○鈴木委員 これで結構だと思います。

○中杉委員長 それでは、28日間反復投与毒性試験について御説明をお願いいたします。

○廣瀬委員 これは、投与量が30、150 、750 mg/kg/day の3用量で行われておりまして、雌では貧血傾向が見られております。
雄では、腎臓に対する影響としまして、クレアチンの増加、腎臓の比重量の増加、それから病理組織学的には好塩基性尿細管や好酸性小体の増加が見られております。それに加えて、雌雄で肝臓の比重量の増加、肝細胞肥大が見られています。
肝臓、腎臓、血液への影響が150 mg/kg/day で見られているということで、NOEL30 mg/kg/dayということでよろしいかと思います。

○中杉委員長 よろしいでしょうか。
それでは、この物質については、Ames試験、染色体異常ともに陰性で、反復投与毒性試験の結果、NOELが30 mg/kg/dayということで、毒性としては特に強いものではないということでよろしいですね。

○前川委員 はい。

○中杉委員長 そうすると、第二種監視化学物質相当ではないという判定でございますけれども、よろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)

○中杉委員長 それでは、この物質についても事務局案どおりの判定とさせていただきます。
続きまして、2-642 、2-649 、2-661 。ペンタエリスリトールテトラ(2-エチルヘキサノアート)です。資料の御説明をお願いいたします。

○事務局(厚労省) 6ページをご覧ください。
こちらも人健康影響のみでございます。
Ames試験、陰性、染色体異常試験、陰性。こちらはRepro Tox 試験が行われておりまして、全群で特に毒性学的影響が認められていないことから、反復投与毒性、生殖発生毒性ともにNOELは1000 mg/kg/dayとさせていただいております。
判定根拠といたしましては、Ames試験及び染色体異常試験は陰性、NOEL1000 mg/kg/dayであることから第二種監視化学物質相当でないとさせていただいております。
人健康影響における判定案は、収集された情報からは第二種監視化学物質相当に該当するとは判断されないとさせていただいております。本物質につきまして、御審議のほどよろしくお願いいたします。

○中杉委員長 それでは、まず、構造からコメントをお願いします。

○渡部委員 ペンタエリスリトールのエステルです。これは環境中でも、生体に摂取されたときでもですけれども、これらの4つのエステル残基が1つあるいは複数個加水分解した中間体、変化物が出てくると思います。そういう変化物及びペンタエリスリトールについても毒性学上大きな問題点はないのではないかと思っております。

○中杉委員長 ありがとうございました。構造からはよろしいでしょうか。

○西原部会長 ペンタエリスリトールは既存で、毒性はまだですかね。

○事務局(厚労省) 前回の審議会で審議しております。試験としては、Repro Tox 試験を実施しており、反復投与がNOEL100 mg/kg/day 、生殖毒性がNOEL1000 mg/kg/dayとなっております。

○中村委員 よろしいですか。

○西原部会長 はい。

○中杉委員長 Ames試験、染色体異常試験は陰性でよろしいでしょうか。

○鈴木委員 このとおりで結構だと思います。

○中杉委員長 Repro Tox 試験の結果ですけれども、反復投与毒性試験はいかがでしょうか。

○前川委員 100 、300 、1000 mg/kg/dayの3用量でなされていますけれども、いずれもRepro Tox ですけれども、毒性学的な変化は出ておりません。ですから、反復投与毒性あるいは生殖発生毒性ともに1000 mg/kg/dayということでよろしいと思います。

○中杉委員長 毒性試験については、よろしいでしょうか。
江馬先生、よろしいですか。

○江馬委員 何も影響が出ていないので、これで結構だと思います。

○事務局(厚労省) 本日、御欠席の安田先生からは、事務局案で問題なしというコメントをいただいております。

○中杉委員長 ありがとうございました。それでは、この物質については、Ames試験が陰性、染色体異常試験が陰性でRepro Tox 試験でも毒性学的影響が認められないということで、第二種監視化学物質相当でないという判断でよろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)

○中杉委員長 それでは、事務局案どおりの判断にさせていただきます。

○西原部会長 それでは、審査シートの7ページの物質、4-687 について御説明をお願いいたします。

○事務局(厚労省) 7ページをご覧ください。
物質の名称は2-ペンチルアントラキノンとなっております。こちらについても人健康影響のみでございます。
こちらはAmes試験は、+S9mix群のTA1537で対照の2倍を超える変異コロニーの誘発が認められていることから陽性とさせていただいております。
比活性値につきましては、423rev./mg とさせていただいております。
染色体異常試験につきましても、+S9mixで構造異常及び数的異常の誘発が認められていることから陽性とさせていただいております。D20値は0.098mg/mL とさせていただいております。
28日間反復投与毒性試験につきましては、血液学的検査を推定根拠といたしまして、NOEL3.75 mg/kg/dayとさせていただいております。
判定根拠といたしましては、Ames試験及び染色体異常試験は陽性、NOEL3.75 mg/kg/dayであることから第二種監視化学物質相当とさせていただいております。
人健康影響における判定案は、第二種監視化学物質相当とさせていただいております。本物質につきまして、御審議のほどよろしくお願いいたします。

○西原部会長 それでは、まず、構造の方からコメント等ございますか。

○渡部委員 これはアントラキノン誘導体です。多くの場合、生体の中で電子を受け取って、ハイドロキノン型になって、それがまたキノン型に容易に返るわけです。この際にスーパーオキサイドが発生します。
繰り返しこのレドックスサイクルがまわることによって、スーパーオキサイドが無限といってもいいぐらいに出てきますので、それによる活性酸素毒性が発生します。そういう場合は、かなり広範な、いろんな毒性を示すケースが多いんですが、これもそのような毒物の1つかどうか、毒性学的にはよくわかりませんけれども、そういうのが構造からのコメントです。

○西原部会長 そのほかの先生から、構造上のコメントはございませんか。
それでは、まず、Ames試験は陽性、染色体異常試験は陽性ですが、コメントございませんでしょうか。

○鈴木委員 事務局案どおりでいいと思います。

○西原部会長 ありがとうございます。28日の反復投与で、NOELが3.75 mg/kg/dayということですが、いかがですか。

○廣瀬委員 この試験は、28日試験を行う前に予備試験が行われておりまして、その結果からも貧血が雌雄で明らかに認められております。加えて、肝臓、腎臓の肥大等が見られております。
本試験は、3.75、15、60 mg/kg/dayの3用量で行われておりまして、変化が見られているのが特に雄ですけれども、雄の最高用量で貧血。それから、この貧血は回復期でも認められております。
それから、血液凝固関係への影響としまして、PT、APTT両方延長あるいは延長傾向が見られております。
それから、肝臓に対する影響としまして、肝細胞肥大と肝臓の比重量が増加している影響が見られている。
プロトロンビンタイムが15 mg/kg/dayで延長しているということから、NOEL3.75 mg/kg/dayということです。

○西原部会長 ほかの先生方からございませんでしょうか。
では、この物質に関しましては、Ames試験は陽性、染色体異常試験も陽性。それからNOELが3.75 mg/kg/dayということで、第二種監視化学物質相当ということで、判定案も人健康影響が第二種監視化学物質相当と判定させていただきます。
それでは、引き続きまして、名称がC.I.フルオレセントブライトナー271 という物質について説明をお願いします。

○事務局(厚労省) 8ページをご覧ください。
本物質につきましても、人健康影響のみでございます。。
Ames試験は陰性、染色体異常試験は-S9mix群で構造異常の誘発が認められていることから陽性とさせていただいております。D20値は11.6mg/mLとなっております。
続きまして、こちらはRepro Tox 試験が行われております。
反復投与毒性試験につきましては、組織学的所見を推定根拠といたしまして、NOEL20 mg/kg/day未満、生殖発生毒性につきましては、生後0日の体重の減少を推定根拠といたしまして、NOEL60 mg/kg/dayとさせていただいております。
判定根拠といたしましては、Ames試験は陰性。染色体異常試験は軽微な陽性であるが、NOEL20 mg/kg/day未満であることから、第二種監視化学物質相当とさせていただいております。
人健康影響の判定案といたしましては、第二種監視化学物質相当とさせていただいております。
本物質につきまして、御審議のほどよろしくお願いいたします。

○西原部会長 それでは、まず、化学構造の方からコメントをお願いいたします。

○渡部委員 この化学構造を示されたら、毒性学的に余り問題ないんじゃないかと、言わざるを得ません。これが第二種監視化学物質相当ということで、正直な話びっくりしております。
どうして問題が無いだろうと推測したのかといいますと、いつも申し上げることですけれども、分子の中にスルホン酸ナトリウム残基が多く存在しております。
したがって、この化合物は非常に極性が高くて、脂溶性が極端に低い。したがって、消化管膜を通過し得ないか、あるいは、ほとんど通過しないだろうと考えてしまうんです。
純度を見ましたら91%、不純物のうち、不明成分が2.37%あるんだそうですけれども、こういう色素によくありがちなんですが、毒性の強い合成原料が除き切れていなくて、実際の工業製品を分析しますと、TLC分析だけでも多くのスポットが出てまいります。
そういったものの中に、かなり強い毒性を示すものがひょっとしてあるんではないかと思います。そうでなければ理解できない。

○西原部会長 ほかの先生方からコメント等ございませんでしょうか。
非常に水溶性が高いです。

○渡部委員 分子量もほぼ700 なんです。ですから、極性が極端に高い上に分子量が大きくて、分子量から考えても吸収が難しい。

○西原部会長 構造からは、そういうことを推定するわけですけれども、実際上、Ames試験が陰性ですけれども、染色体異常試験が陽性である。コメントございませんでしょうか。

○事務局(厚労省) 本日、御欠席の林委員からは染色体異常試験につきまして、本物質の陽性については、それほど強いものではない、とのコメントをいただいております。

○鈴木委員 同じように、よろしいでしょうか。

○西原部会長 お願いします。

○鈴木委員 140 ページにあります-S9mixでのデータを見ますと、これは一番高濃度のところで9%、いわゆる判定基準でいいますと、疑陽性程度です。
その次の+S9mixを見ますと、いわゆる検定でやりますと陽性になるけれども、これは通常3%ですので、陰性と判定する場合もある。
一番下の24時間暴露実験に関しても投与量に応じて染色体が増えてくるんですが、これも最大値で3%までしかなっていないということなんです。
先ほど林委員からコメントがありましたように、陽性とまで言うのは、ちょっと厳しいかなと思います。通常陽性で判定している疑陽性のような言葉、もしくは括弧書きで非常に弱いということを書くか、どちらかにした方がいいのではないかと考えます。

○西原部会長 ありがとうございます。そのほかの先生方からコメント等ございませんでしょうか。
一応陽性は陽性としておいて、非常に軽微な陽性という表現がいいと思います。後の判定案のところにも軽微な陽性となっています。
反復投与の方がRepro Tox をやっていますが、20mg/kg/day未満、生殖発生毒性が60mg/kg/dayということですが、コメントございませんでしょうか。

○前川委員 Repro Tox の試験ですけれども、20、60及び200 mg/kg/day の3用量でなされていまして、そこに書いてございますように、反復投与としましては、腎臓の近位尿細管の空胞変性が20 mg/kg/day以上の雌雄で見られているということです。
ただ、20 mg/kg/dayで見られた空胞変性には有意差はないんですけれども、きれいな用量相関が見られるということです。
更に高用量になりますと、血液あるいは凝固系、赤血球系あるいは肝臓への影響も見られておりますし、問題なのは、回復性が極めて悪いということです。そういうことから、一応NOELとしては20 mg/kg/day以下ということでよろしいかと思います。
なお、生殖発生毒性に関しましては、そこに書いてございますように、最高用量で体重が少し低いということ以外には、はっきりとした変化は出ておりません。ですから、生殖発生毒性のNOELは60 mg/kg/dayということでよろしいかと思います。

○西原部会長 そのほかの先生方からコメントはございませんでしょうか。よろしいですか。
それでは、人健康への判定根拠として、Ames試験は陰性、染色体異常試験は軽微な陽性であるが、NOEL20 mg/kg/day未満であることから第二種監視化学物質相当ということで、判定案も人健康影響では第二種監視化学物質相当ということになっています。そのように判定させていただきます。よろしいでしょうか。

○事務局(厚労省) すみません、先ほどの染色体異常試験の判定根拠の書きぶりなんですけれども、コメントの方では非常にぎりぎりな陽性ということですので、それがわかるように修文の方をさせていただければと思います。

○西原部会長 今まで、そういうときはどういうふうな文章にしていましたか。

○事務局(厚労省) 今すぐにはわかりません。申し訳ありません。

○西原部会長 いずれにしても、判定根拠の一番大きいのは、反復投与毒性のNOEL、回復性も悪いということも含めてだと思います。

○鈴木委員 1つだけ、私、計算をしてこなくて申し訳なかったんですけれども、D20が11.6mg/mL と書いてあるんですが、このところは10mg/mLを超えるかどうか確かめておいてもらえますでしょうか。

○西原部会長 その点も確認をお願いいたします。よろしいでしょうか。

○事務局(厚労省) 確認して御報告させていただきたいと思います。

○井上座長 審議は、これで結構だと思うんですけれども、毒性の先生、これは何か本質がよくわからないですね。何かお考えがありますか。

○前川委員 メインのターゲットは腎臓であろうと思います。

○井上座長 そうですね。何かどういうメカニズムなのかがね。どうもありがとうございました。

○西原部会長 かなり酸性がきついので、刺激性がひょっとしたらという気がしますけれども、もし、吸収されるならばですよ。

○井上座長 何かポンプとかね。

○前川委員 ただ、前胃その他には何も変化がありませんので、データからはそんなに刺激性があるようには思えない。

○西原部会長 どうぞ。

○米澤委員 今の点に関してですが、先ほど渡部先生が10%近い非常に不純物が多いサンプルを使ってということで、この結果が、構造式の物質を見ているのかどうかについて、他の類似物質のデータからしても、少しデータに疑問があるんではないかという指摘がございました。
その辺、例えば将来に余裕があったときに、純度の高いもので確認されるのがより望ましいとか、そういったようなコメントを残しておくというのは、やり過ぎでしょうか。

○西原部会長 どうですかね。

○事務局(厚労省) この試験に使いました純度なんですが、91.0%です。それでほとんどのものが6.3 %が水で、不純物で不明なものが約2.4 %あります。そのうち約1%ずつピークになっているらしいんです。ですから、余り影響になるようなものではないと思うんです。

○渡部委員 確かにこの会議にかかってくる化合物の純度の点では申し分はないと思うんです。毒性試験に供するものとしてはね。ただ、それでも1%でもすごく強い毒性などというのがあれば、また別の話なんです。そうとしか思えないというのが、この構造から考えられる現実の意外な毒性の強さなんです。

○事務局(厚労省) 今回、類似物質を調べてこなかったんですけれども、同じようなフルオレセントブライトナーがもしあれば、参考程度に次回御説明したいと思います。

○渡部委員 それと、製品構造の話が示されておりますけれども、私はこの物質で1種類だけが生成物とは思いませんよ。未反応の原料の他にいくつものパイプやダクトに異性体が一緒になって、多分この製品を構成しているだろうと思います。製品の組成と比率を示されているわけではありませんし、場合によってはロットによって組成が違う場合があり得ると思います。

○西原部会長 米澤委員からコメントがあって、こういうことになっているんですけれども、後から見たときに、そういう疑問が出たということは記録として残しておいてほしいと思います。

○事務局(厚労省) それでは、議事録と審査シートの方には、今のコメント等がわかるような記載をさせていただきたいと思います。

○西原部会長 というふうな記載を含めてですが、この物質については、先ほどありましたように、Ames試験は陰性、染色体異常試験は軽微な陽性であるが、NOEL20 mg/kg/day未満であることから第二種監視化学物質相当、人健康影響に関しても同様であると判定させてもらいます。 若林先生、どうぞ。

○若林委員 これに関連して、ちょっと疑問というか質問があるんですが、多分これは製品として製造しているものを使ってやられた試験ですね。

○西原部会長 そうではないと思います。

○若林委員 標準品ですか。

○西原部会長 試験用にですね。

○事務局(厚労省) 化審法上は製品ではなく、その化学物質単体でできるだけ評価することとなっておりますので、本被験物質もに関しても、製品ではなくて、純度を高めたものだと思います。

○若林委員 そうですか。もし、不純物が原因で毒性が出た場合、製品によってそういう不純物が含まれていないものと、含まれているものとありますね。そうしますと、評価というのが不純物由来あるいはこの構造ではないものが入っていたとか、そういう場合には、要するに純度が変わってきたときに評価は非常に難しいですね。今回に関しては、そういう記載だけしていただければ結構だと思うんですけれども、ちょっと疑問が出たので質問しました。

○西原部会長 今までも不純物質というか、溶媒の方がかなり毒性がきついと思われるようなものもあったような気がしますし、そういうコメントを出させてもらったと思っております。
この物質に関して、そのほかコメント等ございませんでしょうか。
なければ、事務局案どおりの判定とさせてもらいます。
それでは、その次の物質、2-22。4-メチル-1-ペンテンの説明をお願いします。

○事務局(厚労省) 10ページをご覧ください。
こちらにつきましては、生態影響については、以前の審議会で判定済みとなっておりまして、今回は人健康影響を記載させていただきました。
Ames試験は陰性。
染色体異常試験は陰性。こちらはRepro Tox 試験の方が行われておりまして、反復投与毒性試験につきましては、血液生化学的検査を推定根拠といたしまして、NOEL200 mg/kg/day 、生殖発生毒性につきましては、生後1日の体重の減少を推定根拠といたしまして、NOEL200 mg/kg/day とさせていただいております。
判定根拠といたしましては、Ames試験及び染色体異常試験は陰性、NOEL200 mg/kg/day であることから第二種監視化学物質相当ではないとさせていただいております。
人健康影響における判定案につきましては、収集された情報からは第二種監視化学物質相当に該当するとは判断されないとさせていただいております。本物質につきまして、御審議のほどよろしくお願いいたします。

○西原部会長 まず、構造上からのコメントはございませんでしょうか。

○渡部委員 特にありません。

○西原部会長 そのほかの先生方からもありませんでしょうか。炭化水素ですから、毒性も余り考えられないと思います。

○渡部委員 ただ、これは揮発性のもので、投与方法がトウモロコシ油に溶かして強制経口投与をしておりますね。吸入試験をやった場合に、恐らく炭化水素特有のかなり強い中枢に対する作用が表われる可能性があますね。ちょうどシンナーと同じようにね。それだけは指摘させていただきたいと思います。

○西原部会長 これはAmes試験が陰性、染色体異常試験も陰性ということですが、コメントはございませんでしょうか。これでよろしいでしょうか。

○鈴木委員 事務局案どおりで結構だと思います。

○西原部会長 次は反復投与でRepro Tox 、NOELが200mg/kg/day、生殖発生も200 mg/kg/day ですが、何かございますか。

○廣瀬委員 これはRepro Tox が40、200 、1000 mg/kg/dayの3用量で行われておりまして、まず、雄への影響としまして、腎臓の硝子滴変性あるいは好酸性小体が、一番最低用量ですけれども40mg/kg/dayから増加しておりますけれども、申請者の方からα2U-グロブリンが陽性であるために毒性と評価しないというコメントが来ています。ただ、組織像等の詳細なことが記載されておりませんので、我々の方では判断できません。
そのほかの影響としまして、雌でBUNが一番最高用量で増加しておりまして、それに関連する変化としまして、クレアチニン、腎臓の比重量が増加傾向があるということで、その下の200 mg/kg/day がNOELになるかと思います。
なお、雄の精巣で回復期に重量が増加しておりますけれども、病理組織学的には複数のステージで精母細胞あるいは精子細胞が減少ではなくて増加しているということ。それから、生殖能にも異常がないということから、投与には関連しない変化であろうということです。
以上です。

○西原部会長 そのほかの先生方のコメントはございませんでしょうか。
お願いします。

○江馬委員 生殖発生毒性は、これで結構です。低体重だけです。

○事務局(厚労省) 安田委員からも特段問題ないとのコメントをいただいております。

○西原部会長 その結果、人健康影響では、そこに書かれておりますように第二種監視化学物質相当ではないということになると思います。
それから、生態影響の方のデータも審議済みですが、今、コメント等がありましたら、どうぞ。
ないようですので、生態影響に関しては、既に審査済みですので、そのとおりということになります。
判定案としては、人健康影響は第二種監視化学物質相当に該当するとは判断できない。生態影響は、今、言いました判定済みの案でございます。
それでは、次の物質に移りたいと思います。
3-503 。4-(1-メチルプロピル)フェノールです。御説明をお願いします。

○事務局(厚労省) 12ページをご覧ください。
こちらにつきましては、人健康影響と生態影響のデータを記載させていただいております。
まず、人健康影響について御説明させていただきます。
Ames試験は陰性、染色体異常試験は陰性、28日間反復投与毒性試験につきましては、組織学的所見を推定根拠といたしまして、NOEL100 mg/kg/day とさせていただいております。
判定根拠といたしましては、Ames試験及び染色体異常試験は陰性、NOEL100 mg/kg/day であることから第二種監視化学物質相当でないとさせていただいております。

○事務局(環境省) 生態影響について申し上げます。まず、この物質の対水溶解度でございますが、データベースの情報としまして、25℃において960mg/Lというものがございます。
生態影響の試験でございますが、化審法テストガイドラインに基づきまして、3種の試験が実施されております。結果は記載のとおりでございます。
魚類急性毒性試験におきまして、96時間LC50が2.6mg/L であることから、第三種監視化学物質相当とさせていただいております。

○事務局(厚労省) 判定案といたしましては、人健康影響については、収集された情報からは第二種監視化学物質相当に該当するとは判断されない。
生態影響については、第三種監視化学物質相当とさせていただいております。
本物質につきまして、御審議のほどよろしくお願いいたします。

○西原部会長 まず、化学構造上のコメントをお願いいたします。

○渡部委員 これはフェノールですから、細胞毒性が比較的強いとされるパラクレゾールの単純な誘導体と見ることができるかと思います。
そういう点で、幾つかの試験で見られますように、例えば、染色体異常試験でも細胞毒性のため云々ということが明記されておりますし、細菌に対しては最高用量で、菌の発育抑制阻害なども起こっております。

○西原部会長 この構造からエストロゲンのリセプターへの結合性があるように推定されます。

○渡部委員 こんなに環が少なくてもありますかね。

○西原部会長 と思いますね。弱いとは思いますがね。

○渡部委員 先生が想像されるのは、エストラジオールのA環と側鎖の部分に対する類似性ということですね。

○西原部会長 この延長線上にノニルフェノール、オクチルフェノールがあるわけです。弱いとは思います。結合性はあるというぐらいです。
Ames試験は陰性、染色体異常試験は陰性ですが、いかがですか。

○鈴木委員 Amesに関しては事務局案どおりでいいと思うんですけれども、染色体異常試験に関しては資料3-2-2の186及び187ページを見ていただくとわかるように、染色体異常試験は、いわゆる疑陽性のようなデータが出ているということで、先ほどの言葉からいくと、軽微な陽性である。
この論文を見ますと、染色体異常試験の再現性を見るために、CHL細胞を使ったin vitroの小核試験で見て、それは陰性だと言っているわけです。これはイコールではないので、分けた方がいいのではないかと思います。小核試験は陰性である。構造異常試験は軽微な陽性である程度にしないと、完全なイコールの実験ではないので、間違えるのではないかと思います。

○西原部会長 どうぞ。

○事務局(厚労省) ただいまのコメントなんですけれども、の染色体異常試験は軽微な陽性とした方がよろしいということでしょうか。

○鈴木委員 現実に2つの条件下で疑陽性の結果が出てます。5%以上と7%程度ですか、出ています。

○事務局(厚労省) 今回、御欠席の委員の方もかなりいらっしゃいますので、ただいまの御意見を他の変異原試験をご担当の先生方にも見ていただきまして、改めまして次回の審議会の冒頭にて御説明させていただければと思いますが、いかがでしょうか。

○西原部会長 表現としては、先ほどの物質もありましたね。それも含めて考えておいていただいて、次回に報告いただくということでよろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)

○西原部会長 どうもありがとうございます。
28日の反復毒性でNOELが100 mg/kg/day ということですが、コメントはございませんでしょうか。

○前川委員 これは、100 、300 、1000 mg/kg/dayの3用量でなされておりまして、300 以上の群で前胃に対する、先ほどのフェノールですので、直接的な作用が見られている。それとともに、腎臓に対しても腎乳頭壊死というような所見が300mg/kg/day 以上で見られております。
最高用量群になりますと、それに加えて肝臓への影響も見られております。ただ、毒性の変化としてはそんなに強い変化ではございません。ですから、NOELは100 mg/kg/day ということでよろしいかと思います。

○西原部会長 そのほかの先生でコメントはございませんでしょうか。
では、人健康影響については、表現変わりになるかもしれません。Ames試験は陰性、染色体異常試験は疑陽性、非常に軽微な陽性、そういうふうな表現。NOEL100 mg/kg/day であることから第二種監視化学物質相当ではないということになります。
続きまして、生態影響試験が付いておりますが、コメントはございませんでしょうか。

○吉岡委員 藻類試験、ミジンコ急性及び魚類の3試験とも、その試験法及び試験結果は妥当だと思われます。
したがいまして、生態影響の判定根拠といたしまして、これらのデータを使うことに問題はないかと考えます。

○西原部会長 結果としては、第三種監視化学物質相当ということで判定させてもらっていいでしょうか。
(「はい」と声あり)

○西原部会長 それでは、総合した判定案は、人健康影響は第二種監視化学物質相当するとは判断されない。 生態影響は第三種監視化学物質相当ということにさせていただきます。どうぞ。

○米澤委員 1点だけ、ちょっと細かいことですが、今の物質は、有害性のところに不純物として、メタセカンダリーブチルフェノールという記載があります。この生態影響の方のサンプルについては同種の記載がありませんので、できれば同種のサンプルを使ったのかどうかがわかるような情報を追加でお願いしたいと考えます。それが1点です。
もう一つは、本当に小さなことですが、今の不純物の名称が物質の名称と表現が異なっていますので、できれば合わせていただきたいというのが希望です。

○西原部会長 不純物の表示方法ということです。生態影響の方のサンプルの情報はありますか。

○事務局(環境省) 99.8%となっております。

○西原部会長 それでは、判定案どおりとさせていただきます。

○井上座長 次は、整理番号3-13から4物質担当いたします。1,4-ジエチルベンゼンの御説明をお願いします。

○事務局(厚労省) 14ページをご覧ください。
こちらにつきましては、人健康影響と生態影響の方のデータを記載しております。
まず、人健康影響について御説明いたします。
Ames試験は陰性、染色体異常試験は陰性で、こちらはRepro Tox 試験が行われておりまして、反復投与毒性試験につきましては、血液生化学的検査、相対重量を推定根拠といたしましてNOEL30 mg/kg/day。生殖発生毒性につきましては、生後4日生存率の減少を推定根拠といたしましてNOEL150 mg/kg/dayとさせていただいております。
人健康影響の判定根拠といたしましては、Ames試験及び染色体異常試験は陰性、NOEL30 mg/kg/dayであることから第二種監視化学物質相当でないとさせていただいております。

○事務局(環境省) 生態影響について申し上げます。
まず、本物質の水溶解度でございますが、17~32mg/Lのデータがございます。
生態影響でございますが、SIARからの引用といたしまして、記載のとおりの毒性の情報がございます。
こちらでございますが、平成3年度に環境庁が実施しましたOECD高汚染産業化学物質生態影響検討調査フェーズIIの結果でございます。事務局での報告書の入手が遅れましたので、こちらの方はまだ記載しておりませんが、後日修正したものをお示ししたいと思います。
結果でございますが、まずこの試験はGLP試験ではございませんがOECDのテストガイドラインに基づきまして実施されております。
そのうち、魚類急性毒性試験は24時間の半止水式試験でございまして、被験物質の実測値を出しております。限られた情報ではございますが、24時間後の被験物質の濃度につきまして40%~60%程度の値が出ているところでございます。
以上を踏まえまして、この物質に関しましては、水中で安定あって、水溶解度以下の毒性値が出ていることから判定に用いることができると考えております。
魚類急性毒性試験における毒性値は、設定値に基づきまして96時間LC50=1.8mg/L であることから第三種監視化学物質相当とさせていただいております。

○井上座長 ありがとうございます。それでは、このものの構造についてのコメントをお願いいたします。

○渡部委員 特にありません。

○井上座長 分解性、蓄積性についてはいかがでしょうか。

○西原部会長 難分解、低濃縮でいいと思います。

○井上座長 それでは、Ames試験並びに染色体が陰性という事務局の御報告ですけれども、コメントをお願いいたします。

○鈴木委員 事務局案どおりで結構だと思います。

○井上座長 これは、反復投与と生殖発生毒性が併用されておりますが、これについてのコメントはいかがでしょうか。

○廣瀬委員 投与量が30、150 、750 mg/kg/day の3用量です。主に肝臓と腎臓に変化が見られておりまして、肝臓では血液生化学的にトータルプロテイン等が増加している。
それから、トータルビリルビン、GPT、GGTがやはり増加しておりまして、肝臓の比重量も増加しております。
肝細胞肥大が病理組織学的には確認されております。
腎臓に対しましては、BUNが増加して腎臓の比重量も増加しておりますけれども、特に病理組織学的には変化はありません。
そういうことから、NOELが30 mg/kg/dayになりますけれども、強い毒性とは考えられません。

○井上座長 強い毒性とは考えられないということでよろしゅうございますか。

○廣瀬委員 はい。

○井上座長 生殖発生の方は、いかがですか。

○江馬委員 750 mg/kg/day で雄の子どもの生存率が低下しておりますので、NOELが150 mg/kg/day でよろしいと思います。

○井上座長 ありがとうございます。

○事務局(厚労省) 安田委員からも特段問題ないとのコメントをいただいております。

○井上座長 ありがとうございます。そうすると、人健康影響の方は第二種監視化学物質相当とは判断されないということでよろしかろうと思いますが、生態影響についてはいかがでしょうか。 吉岡先生。

○吉岡委員 先ほど事務局から説明にありましたように、SIARのデータを用いておりますが、これは当時日本が初めて生態影響でOECDと手を組んでプロジェクトをやったという走りの方だと思います。
当時の技術レベルあるいは理解のレベルからいたしますと、現代のGLP試験を要求された場合には、全部のデータは通らないという形になります。
そうなりますと、日本の国が出して、世界が一応問題なかろうと認めたデータが、全部だめだという話になると、話がややこしくなりますし、また、ここに出してあるデータが矛盾するというようなことが出てきておりません関係上から、多少古い試験法で行われているにしても、そう大きな間違いなかろうということで理解したいと思っております。このことは、次の番号の化合物も同じだろうと思っておりますので、ついでに申し述べておきます。
したがいまして、生態影響の判定根拠として、このデータを用いるということを認めたいと思っております。
以上です。

○井上座長 そういう背景に立っての了承ということでございますので、わざわざ書くことはない。一応御了解ということです。
それでは、第三種監視化学物質相当であるということで、事務局の御提案どおりということでよろしゅうございますか。
(「はい」と声あり)

○井上座長 ありがとうございます。
それでは、次に整理番号2-430 にまいります。御説明をお願いいたします。

○事務局(厚労省) 16ページをご覧ください。
物質の名称は、トリプロピレングリコールとなっております。こちらにつきましては、人健康影響と生態影響の情報を記載しております。
まず、人健康影響について御説明させていただきます。
Ames試験は陰性、染色体異常試験は陰性で、こちらはRepro Tox 試験が行われております。
反復投与毒性につきましては、絶対相対重量を推定根拠といたしまして、NOEL200 mg/kg/day 。生殖発生毒性につきましては、全群で特に毒性学的影響が認められていないことから、NOEL1000 mg/kg/dayとさせていただいております。
人健康影響の判定根拠につきましては、Ames試験及び染色体異常試験は陰性、NOEL200 mg/kg/dayであることから第二種監視化学物質相当でないとさせていただいております。

○事務局(環境省) 生態影響について申し上げます。まず、本物質の溶解度でございますが、「水と混合する」というものでございます。
他の毒性情報のところにSIARからの引用として記載させていただきました。先ほど吉岡委員から御説明いただきましたとおり、平成3年度の環境庁の調査で実施したものでございます。
毒性値に関しましては、記載のとおりでございます。[1]に付しましたこちらの指摘でございますが、これはOECDのサイトの方のデータを参照したものでございますが、実際には、本物質について助剤は使用しておりません。こちらの方の記載の方は、報告書の方を確認しまして、修正させていただきたいと思います。
生態影響判定根拠でございますが、3種の急性毒性試験及びミジンコ繁殖阻害試験において、ガイドライン上の試験上限濃度を超える濃度(1000mg/L)で影響が認められないことから、第三種監視化学物質相当でないとしております。

○事務局(厚労省) 判定案といたしましては、人健康影響、収集された情報からは第二種監視化学物質相当に該当するとは判断されない。
生態影響、収集された情報からは第三種監視化学物質相当に該当するとは判断されないとさせていただいております。
本物質につきまして、御審議のほどよろしくお願いいたします。

○井上座長 ということでございます。構造については、いかがでしょうか。

○渡部委員 特にコメントございません。

○井上座長 それでは、分解性、蓄積性、難分解性で高濃縮性ではないということですが、これについては、コメント、追加ございませんか。

○西原部会長 ないです。

○井上座長 それでは、人健康影響でAmes試験及び染色体異常試験は陰性ということですが、これについてはいかがですか。

○鈴木委員 事務局案どおりで結構だと思います。

○井上座長 これは、反復投与毒性と生殖発生の併用試験になっておりますが、これについてはいかがでしょうか。

○前川委員 これは、8、40、200 及び1000 mg/kg/dayの4用量群でなされております。先ほど御説明がありましたように、反復投与毒性としましては、最高用量群で肝臓及び腎臓の重量が増加しております。ただ、組織学的には何ら変化が見られておりません。
また、生殖発生毒性は、最高用量群でも何も変化が出ていないということで、案どおりでよろしいかと思います。

○井上座長 毒性は弱いということですね。生殖の方について特にありませんか。

○江馬委員 特にありません。これで結構だと思います。

○事務局(厚労省) 安田委員からも特段問題ないとのコメントをいただいております。

○井上座長 そうしますと、人健康影響については第二種監視化学物質相当に該当すると判断されないということで問題なかろうと思いますが、生態影響につきましては、先ほどの吉岡先生のコメントがございましたが、そのほかに吉岡先生、御追加はございますか。

○吉岡委員 追加は特にございません。

○井上座長 ありがとうございます。生態影響関係では、ほかにございませんか。
どうもありがとうございます。そうしますと、生態影響につきましても、事務局の御提案どおり第三種監視化学物質相当とは判断されないということで終了したいと思います。
次は、整理番号が2-2534でございます。事務局、引き続きお願いいたします。

○事務局(厚労省) 18ページをご覧ください。
物質の名称はリン酸トリス(p-クメニル)となっております。こちらにつきましては、人健康影響と生態影響のデータを記載しております。
まず、人健康影響について御説明いたします。
Ames試験は陰性。
染色体異常試験、陰性。
28日間反復投与毒性試験につきましては、血液学的検査、相対重量を推定根拠といたしまして、NOEL40 mg/kg/dayとさせていただいております。
判定根拠といたましては、Ames試験及び染色体異常試験は陰性、NOEL40 mg/kg/dayであることから第二種監視化学物質相当でないとさせていただいております。

○事務局(環境省) 生態影響について申し上げます。まず、被験物質の対水溶解度でございますが、0.1mg/L 未満というデータがございます。
本物質に関しましては、OECDのテストガイドラインに基づきまして、4種の試験が実施されております。結果は記載のとおりでございます。
なお、ミジンコ急性遊泳阻害試験につきましては、70mg/Lで調製した分散液での限度試験が実施されておりますが、5%の阻害が認められております。
生態影響判定根拠のところでございますが、現在、すべての試験において溶解限度で影響が認められないことから、第三種監視化学物質相当でないとさせていただいておりますが、ミジンコ急性遊泳阻害試験におきましては、弱いながらも影響が認められておりますので、ミジンコ急性遊泳阻害試験においては、溶解限度でEC50が算出されないことからというのを追加させていただきまして、第三種監視化学物質相当でないとさせていただきたいと思います。 以上でございます。

○井上座長 まとめをお願いいたします。よろしいですか。

○事務局(厚労省) 判定案といたしましては、人健康影響、収集された情報からは第二種監視化学物質相当に該当するとは判断されない、
生態影響、収集された情報からは第三種監視化学物質相当に該当するとは判断されない、とさせていただいております。

○井上座長 ありがとうございます。そういうことでございますが、構造については、いかがでしょうか。

○渡部委員 これまでにもある頻度で、フェノールのリン酸エステルが委員会にかかっておりますが、このタイプのもので、特に強い毒性を示したものは、記憶している限りなかったように思います。
既存化学物質では、例えば何の目的でこれを使うんですかというのは質問しても意味がないことでしたね。どんな目的に使われているのか届出されていないので、特定はできないのでしたね。これは、やはり難燃性の物質として使っているんですかね。

○事務局(厚労省) 今、正式な書類は持っていないんですけれども、たしか記憶しているところでは難燃材であったと思います。

○渡部委員 化学構造と関係があるか疑問ですけれども、気になりますのは、このものの溶解度です。結晶かあるいはアモルファスかの状態で折出しやすいようで、藻類生長や、魚類毒性試験をざっと見ますと、白濁して魚が見えないという記述があります。したがって、濃度との関係で、試験結果を信用して良いのかなと思います。 以上です。

○井上座長 ありがとうございます。ほかにはいかがですか。
それでは、分解性、蓄積性について追加のコメントがありましたらお願いします。

○西原部会長 特にありません。

○井上座長 よろしいですか。それでは、人健康影響の方でAmes試験、染色体異常試験は両方とも陰性でございますが、いかがでしょうか。

○鈴木委員 Ames試験は事務局案どおりでいいと思います。染色体異常試験は文献の方を見ますと、ポリプロイドが有意に出たとは書いてあるんですが5%以下であるということですから、結果としては事務局案どおりで結構だと思います。

○井上座長 5%以下のポリプロイドということだそうです。
その次は、28日間試験です。これについてはいかがでしょうか。

○廣瀬委員 用量が8、40、200 、1000 mg/kg/dayの4用量で行われておりまして、200 mg/kg/day以上で雌雄とも軽い貧血が見られます。
それから、やはり雌雄ですけれども、200 mg/kg/day 以上で肝臓の重量が増加しているという変化とトータルクレストロールが増加しております。
ただ、病理組織学的な変化は全く認められておりませんので、肝臓に対する影響も非常に軽微なものと考えられます。
そういうことからNOELが40 mg/kg/dayですけれども、全体としては軽微な変化であるということです。

○井上座長 軽微だということでございます。総合しますと、人健康影響は事務局の御提案どおりの第二種監視化学物質相当に該当しないということでよかろうと思います。
次は、生態影響についてのコメントをお願いいたします。どうぞ。

○吉岡委員 これもまた少し古いデータという形になります。これは多分環境省が多分セットで求めたデータのうちの1つでありましょう。
例えば、ミジンコ急性遊泳阻害試験とミジンコ繁殖試験を両方とも行っておりますが、普通急性遊泳阻害試験で問題がなかったら、わざわざ繁殖試験をするということはないのでありまして、非常に丁寧に試験を行われているということになります。
そういう意味からして、試験そのものには問題はないだろうと思います。多少分散剤等は現在の設定とは違いますけれども、これらの3つの試験を用いて判定するということには問題はないと思っております。
以上です。

○井上座長 ありがとうございます。試験液が白濁すると書いてありますね。
それで、ほかに生態関係でコメントはございませんか。
どうぞ。

○西原部会長 藻類生長阻害試験のやり方なんですが、分散液をろ過したものを用いたというのはいいんですけれども、ろ液を希釈するんですか。溶解度を見たら一番下の方だと最初からやっていれば溶けているような気がするんです。

○事務局(環境省) 確認しまして、後ほど御回答させていただきます。

○西原部会長 試験法としてそういうふうになっているのかということです。

○井上座長 御確認ください。ありがとうございます。
そうしますと、生態影響につきましても第三種監視化学物質相当ではないということでよろしゅうございますね。ありがとうございます。
次は、4-122 でございます。御説明をお願いいたします。 4-122 で人健康影響は審議済みで第二種監視化学物質相当と判断されないということになっています。それで、生態影響についての御審議をお願いするということですね。

○事務局(環境省) 生態影響について御説明申し上げます。
4-(α,α-ジメチルベンジル)フェノールでございます。まず、22ページでございますが、藻類生長阻害試験の欄が欠落しておりましたので、1枚紙で追加させていただいております。そちらの方も併せてご覧いただきますようお願い申し上げます。
こちらの物質の対水溶解度でございますが、微溶とされておりまして、具体的な数値がございません。ただ、試験報告書におきまして、試験実施者は設定濃度の最高濃度においても溶解したとしているところでございます。
3種の試験は化審法テストガイドラインに基づきまして実施されておりまして、結果は記載のとおりでございます。
生態影響判定根拠でございますが、藻類生長阻害試験において、72時間のEC50が1.4mg/L 、及び、魚類急性毒性試験において96時間LC50が1.2mg/L であることから、第三種監視化学物質相当とさせていただいております。

○事務局(厚労省) 判定案といたしましては、第三種監視化学物質相当とさせていただいております。
本物質につきまして、御審議のほどよろしくお願いいたします。

○井上座長 ありがとうございます。そういうわけで、生態影響の討論が主なんですが、それに先立ちまして、もし、この場で審議済みではありますが、コメントがありましたら、人健康についても伺いたいと思いますが、よろしゅうございますか。
あと、構造について先生何かございますか。

○渡部委員 特にございません。

○井上座長 ありがとうございます。ほかにございますか。

○西原部会長 弱いですけれども、ERへの結合性があると思います。

○井上座長 それでは、生態影響について御審議をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

○吉岡委員 試験法と結果ともに問題ないと思われます。したがって判定根拠として用いるのに妥当だと考えられます。
以上です。

○井上座長 ありがとうございます。ほかに生態影響についての環境方面の先生方のコメントがありましたらお願いいたします。よろしゅうございますか。
そうしますと、事務局の御提案、第三種監視化学物質相当であるということでよろしゅうございますか。

○鈴木委員 質問してよろしいですか。

○井上座長 どうぞ。

○鈴木委員 変異原性の方なんですが、読んでいくと、CHO細胞に対しては、ちょっと変化があるようなことが書いてあるんですが、CHOに関してはネガティブと判定があるんですけれども、資料3-2-2の297 ページの一番下の表辺りを見ますとね。

○井上座長 場所はおわかりですか。

○鈴木委員 297 ページのコンクルージョンのところを読んでいただくと、そのデータが後ろの方に出ているんですが。

○事務局(厚労省) すみません、ページ数の方をもう一度お願いします。

○鈴木委員 いただいたのと、最初に送っていただいたのが合っているかちょっとあれなんですが、送っていただいた資料の297 ページです。

○井上座長 おわかりですか。297 ページです。

○事務局(厚労省) 資料の297 ページは、後程で出てくる物質の文献データになっております。

○鈴木委員 すみません。失礼しました。

○井上座長 よろしゅうございますか。

○鈴木委員 はい。

○井上座長 違う物質だったようです。では、ただいまの御審議を終了させていただきます。次に移ります。

○中杉委員長 続きまして、3-521 。チモールです。これも人健康については審議済みでございます。資料の御説明をお願いします。

○事務局(環境省) 生態影響について御説明いたします。
まず、本物質の水溶解度でございますが、1mg/Lとの文献値がございます。
化審法テストガイドラインに基づきまして、4種の試験が実施されております。結果は記載のとおりでございます。なお、測定値なしとの記載がございます。一部の試験濃度区において濃度の実測を行わなかった理由につきまして、試験実施者は、水中で安定であると確認できたためとしております。
生態影響判定根拠でございますが、魚類急性毒性試験において96時間LC50が4.7mg/L であることから、第三種監視化学物質相当とさせていただいております。

○事務局(厚労省) 判定案といたしましては、人健康影響につきましては、以前に御審議をいただき、第二種監視化学物質相当であると結論を得ております。
生態影響につきましては、第三種監視化学物質相当であるとさせていただいております。 本物質につきまして、御審議のほどよろしくお願いいたします。

○中杉委員長 人健康は審議済みでございますけれども、追加でコメントがございましたら、構造を含めていかがでしょうか。よろしいでしょうか。
特段ないようですので、それでは生態毒性試験の結果についてコメントをお願いいたします。

○吉岡委員 先ほど事務局から御指摘がありました測定値なしについてですけれども、この実験データがつくられた時代というのが、そういうことでも通ってしまったといいますか、そういう背景といいますか、時代でございました。
まだ、始めたころでありまして、試験機関側もよくわかっていなかったというのが実情だろうと思います。
そのほかのコメントはございません。

○中杉委員長 結果としては、採用できるということですね。

○吉岡委員 はい。

○中杉委員長 ほかに生態毒性についてのコメントはございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、この物質は第三種監視化学物質相当という判定でございますけれども、よろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)

○中杉委員長 では、この物質につきましては、事務局案どおりの判定とさせていただきます。
続きまして、3-455 。3,4-ジクロロニトロベンゼンでございます。これは生態影響のみの試験結果です。御説明ください。

○事務局(環境省) 御説明いたします。こちらの物質でございますが、対水溶解度は121mg/L との値がございます。化審法テストガイドラインに基づきまして、3種の試験が実施されております。
結果は、記載のとおりでございます。
また、他の毒性情報としまして、ドイツが実施しましたSIARのデータを記載しております。生態影響判定根拠でございますが、魚類急性毒性試験において96時間LC50が4.7mg/L であることから、第三種監視化学物質相当とさせていただいております。

○事務局(厚労省) 判定案といたしましては、生態影響、第三種監視化学物質相当とさせていただいております。
本物質につきまして、御審議のほどよろしくお願いいたします。

○中杉委員長 それでは、まず、構造からコメントがございましたら、どうぞ。

○渡部委員 人健康影響という観点からですけれども、この化合物は、ニトロベンゼン誘導体あるいはクロロベンゼン誘導体とみなすことができると思います。これは毒性の強い官能基であります。

○中杉委員長 ありがとうございました。構造からはよろしいでしょうか。
それでは、生態影響試験の結果についてのコメントをお願いいたします。

○吉岡委員 ミジンコ急性遊泳阻害と魚類急性毒性試験は、SIARのデータとほとんど同じなんですけれども、藻類のところが、やはり用いる種によって相当ばらついております。ものによっては、こうしたばらつきというものは存在するものだということでございます。
判定に用いる試験データそのものは、試験法、結果とも問題ないと思います。したがいまして、根拠として十分使用できると考えます。
以上です。

○中杉委員長 そのほか、生態試験の結果についてのコメントはございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、この物質については第三種監視化学物質相当という判定でよろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)

○中杉委員長 事務局案どおりの判定とさせていただきます。
続きまして、2,6-ジ-sec-ブチル-フェノールでございます。これも生態毒性試験のみでございます。
御説明をお願いいたします。

○事務局(環境省) 御説明いたします。まず、本物質の水溶解度でございますが、1.8mg/L という値がございます。
本物質に関しましては、化審法テストガイドラインに基づきまして、3種の試験が実施されております。結果は、記載のとおりでございます。
生態影響判定根拠でございますが、藻類生長阻害試験において、72時間EC50が1.1mg/L 、72時間NOECrが0.083mg/L 、ミジンコ急性遊泳阻害試験において、48時間EC50が0.96mg/L、魚類急性毒性試験において、96時間LC50が0.15mg/Lであることから、第三種監視化学物質相当とさせていただいております。

○事務局(厚労省) 判定案といたしましては、生態影響、第三種監視化学物質相当とさせていただいております。
本物質につきまして、御審議のほどよろしくお願いいたします。

○中杉委員長 それでは、まず、構造からコメントがございましたら、どうぞ。

○渡部委員 特にございません。

○中杉委員長 よろしいでしょうか。それでは、生態毒性試験結果についてコメントをお願いいたします。

○吉岡委員 試験法、試験結果ともに問題ないと思います。したがいまして、判定根拠として十分使用可能かと思います。
以上です。

○中杉委員長 追加のコメントはございますでしょうか。よろしいでしょうか。
この結果、信頼できるということになれば、第三種監視化学物質相当という判定になりますが、よろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)

○中杉委員長 それでは、この物質についても事務局案どおりの判定とさせていただきます。
続きまして、3-540 。2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノールでございます。これの生態毒性試験の結果の御説明をお願いいたします。

○事務局(環境省) 御説明いたします。本物質に関しましては、対水溶解度に関しましては、値がなく不明でございます。
ただ、各試験に用いました最高濃度区は、その培地又は試験水での溶解上限で調製してございます。
本物質に関しまして、化審法テストガイドラインに基づきまして、三種の試験が実施されております。結果に関しましては、記載のとおりでございます。
生態影響判定根拠でございますが、魚類急性毒性試験における96時間LC50=0.59mg/L(近似値)について御説明いたします。
魚類急性毒性試験につきましては、対試験水溶解上限濃度である試験区においてのみ死亡個体が認められたために、統計計算により96時間LC50を算出することはできませんでした。
しかし、当該試験区において半数の個体が死亡したこと、及び、生存個体の過半数においても重篤な毒性症状が認められていることから、96時間LC50の近似値として当該試験区の実測濃度を記載いたしました。
こちらの値が0.59mg/Lでございますので、第三種監視化学物質相当とさせていただいております。

○事務局(厚労省) 判定案といたしましては、生態影響、第三種監視化学物質相当とさせていただいております。
本物質につきまして、御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○中杉委員長 ありがとうございました。それでは、まず、構造からコメントがございましたらどうぞ。

○渡部委員 これは、構造から抗酸化物質なんですが、食品添加物のTBTの構造類似体になりますね。
これが高濃縮性でないという試験結果が出ていますけれども、どれぐらいの濃縮倍率であったのかというのを、ちょっと教えて下さいませんか。それが1つ。
高濃縮性でないとすれば、フェノールのパラのエチル基が酸化を受けて、そして抱合体として体外に排泄されるという代謝経路が存在するのだろうと思います。

○中杉委員長 事務局で、おわかりになりますか。

○渡部委員 わかりませんか、例えばボーダーラインとか、何とかということではありませんか。

○事務局(経済省) 濃縮倍率ですけれども、第1濃度区で5000倍という値が出ております。

○中杉委員長 ぎりぎりぐらいのところですね。

○渡部委員 そうですね。

○事務局(経済省) 正確には5060倍になっております。

○渡部委員 この会議の冒頭で、3つの第一種監視化学物質が生じましたが、こういうtert-ブチルがフェノールのOHの両隣りに置換したり、あるいは片一方に置換して、もう片一方がふさがれたりしているような構造蓄積性相関ですね。それについて、西原先生から構造活性という観点からお話があったときに申し上げたんですが、tert-ブチルというのは、先ほどのエチルの場合と違って、酸化を極めて受けにくいですから、だから生体内で酸化にレジスタントな官能基ということができるかと思います。
そういう点で、構造活性に相関性が見えたように思うんですが、なぜこれが高濃縮性でないとなっているのか、ちょっと解せないところがあります。

○事務局(経済省) すみません、先ほど言い方が不適切だったので訂正させていただきますが、この物質の濃縮倍率を先ほど5060倍と申し上げましたけれども、一応、BCFssではなくて、BCFの値になっていまして、範囲が第1濃度区で1420倍~5060倍、第2濃度区が930 倍~4870倍ということで、当時は高濃縮性でないという判定にさせていただいております。

○渡部委員 数字の上で、あるレベルを定めておけば、それをちょっとでも下回ったときには、そうではないということがルールの運用上は必要かなと思います。

○中杉委員長 多分これは、精密にやっても高濃縮にならないような気がしますけれども、途中で濃縮倍率の判定を1万倍から5000倍へ半分に下げていますね。その分について、もう一回過去にさかのぼって見直しすることは、どこかで必要になってくるだろう。
これは、今、特定化学物質の方でスズの化合物が、おそらく今の判定基準でいうと、実質製造、使用されていないから大丈夫だということになるんですけれども、そういうことが、いずれどこかの時点で必要になってくるだろうと思います。
第一種監視化学物質でも設けたということになると、そういうところの作業をどこか途中でやっていただく必要があるんだろうなと、過去のデータを見直していただくということを、もう一回ここに出していただいて判断し直すということが、どこかで必要になるかと思いますけれども、よろしくお願い申し上げます。

○事務局(経済省) 了解しました。内部の方で検討させていただきます。

○中杉委員長 それでは、とりあえず、これはそういうことで、構造についてはよろしいですね。
それでは、生態毒性試験についてのコメントをお願いいたします。

○吉岡委員 生態毒性試験のそのものの試験法及び結果は、判定基準として使ってよいかと思います。
藻類生長阻害試験のところで、いわゆる密閉系のために、多少基準からずれている部分というのはございますけれども、密閉系は、技術的に非常に難しい部分がございますので、ある程度はやむを得ないかなと思っております。
これまでフェノール類がたくさん出てまいりましたが、現在出てくる既存化学物質は、大体難しいものといいますか、可能性が高いものを対象としておる関係上、当たる確率が高いんですけれども、フェノール系はすべて第三種監視化学物質の指定という形になっているかと思います。 以上です。

○中杉委員長 ありがとうございました。ほかに生態毒性試験についての追加のコメントはございますでしょうか。よろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)

○中杉委員長 この判定結果は、根拠に基づければ、第三種監視化学物質相当という判定でございますけれども、よろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)

○中杉委員長 では、この物質についても第三種監視化学物質相当という判定をさせていただきます。

○西原部会長 それでは、その次の物質、2-2659です。ペルフルオロオクタン酸について御説明をお願いいたします。
これは、生態影響の方が新しいデータです。

○事務局(環境省) 生態影響について御説明申し上げます。37ページになります。
まず、本物質の水溶解度でございますが、3.3g/Lというデータがございます。
まず、藻類生長阻害試験の[1]でございますが、EPA-TSCAのGLP試験でございまして、PFOAが96.5%以上の純度のものを用いまして、試験が実施されております。
結果は、記載のとおりでございますが、こちらの物質でございますが、酸性度が高いため、130mg/L 以上の濃度区における藻類は増殖しなかった等の、酸性度が原因ではないかと思われる影響が認められているところでございます。
また、[2]でございますが、こちらは、PFOAのアンモニウム塩の混合物を用いて試験が実施されているものでございます。
38ページでございますが、ミジンコ急性遊泳阻害試験の結果がございます。
[1]が、藻類の[1]と同じ物質を用いて試験が実施されておりまして、48時間EC50が360mg/L との結果が出ているところでございます。
[2]と[3]につきましては、PFOAアンモニウム塩の混合物で試験が実施されているところでございます。説明の方は割愛させていただきます。
39ページでございますが、魚類急性毒性試験でございます。[2]から御説明させていただきます。
こちらは、PFOAの96.5%よりも純度が高いものを用いて試験が実施されております。 試験結果は、96時間LC50の値が140mg/L となっております。
なお、180mg/L 以上の濃度区ですべての個体が死亡しております。その他の影響は認められておりません。180mg/L 以上の濃度区におけるpHは3.0 ~4.6 でございまして、酸性度の影響が出ているのではないかと考えられます。
[1]と[3]に関しましては、混合物の試験でございますので、説明を割愛させていただきます。
生態影響判定根拠でございますが「藻類生長阻害試験([1])において96hNOECr=63mg/L(被験物質の酸性度の影響を考慮した場合、より大きい値になることが考えられる。)であり、ミジンコ急性遊泳阻害試験([1])において48hEC50=360mg/L であり、魚類急性毒性試験([2])において96hLC50=140mg/L で(被験物質の酸性度の影響を考慮した場合、より大きな値になることが考えられる。)であることから第三種監視化学物質相当でない」とさせていただいております。

○事務局(厚労省) 判定案といたしましては収集された情報からは第三種監視化学物質に該当するとは判断されないとさせていただいております。
本物質につきまして、御審議のほどよろしくお願いいたします。

○西原部会長 まず、構造上からコメントはございませんでしょうか。

○渡部委員 カルボン酸に置換している炭素の数が合計7個ということで、それで幾つかの遊離体とアンモニウム塩というのが、その後で並んでおりますけれども、その両方にまたがって第二種監視化学物質という判定が既に行われているというのは、私としては結構なことだと思っております。
以上です。

○西原部会長 非常に強い酸ですね。

○渡部委員 そうですね。この酸性はかなり強いと思います。

○西原部会長 それ以外で、人健康のデータが付いていますが、コメント等、今、ありますでしょうか。

○前川委員 審査シートの34ページです。90日間の反復投与毒性が後半に2つ載っていますね。多分上の方だと思います。「備考」に「平成13年12月環境省での審議会審議結果」というのが入っていまして、それをはさんで載っていますね。ただ、用量は違いますし、どちらかちょっと確認をしておいていただけますでしょうか。

○西原部会長 事務局、確認しておいてください。

○前川委員 それと、35ページの「他の毒性」のところに、おサルさんの毒性のことが書いてありますけれども、これは審査シートに残りますので、ちょっと字を直していただきたいんですけれども、副腎の散発性脂肪枯渇となっていますけれども、原文はびまん性です。散発性ではありません。
それと、骨髄の退行性細胞となっています。そこに原語が書いてありますけれども、細胞密度が減少ですね。そういうように直してください。
それと、催奇形性試験の4投与群として、0.05、1.5 、5、150 mg/kg/day となっていますけれども、5は50 mg/kg/dayの誤りです。
以上です。

○西原部会長 事務局、わかりましたでしょうか。

○江馬委員 5mg/kg/dayでいいんだと思います。NOELが5mg/kg/dayになると思います。
その推定根拠は、低母体重と骨化遅延が150 mg/kg/day 、後の下の方も直して事務局に渡しておきます。

○西原部会長 NOELが5mg/kg/dayですか。

○江馬委員 私が見たところでは、そうなっております。ドーズが150、5、0.5 、0.05 mg/kg/dayで合っていると思います。
例えば、取扱注意のところの540 ページを見ていただくと、これがその実験だと思います。533 ページからの実験だと思います。540 ページを見ていただくと、Table の4のところのドーズが0、150 、5、1.5 、0.0 mg/kg/dayと 5 mg/kg/dayになっていますので、これがドーズ設定された値だと思います。

○前川委員 ちょっと怪しくなりましたね。

○西原部会長 ドーズは、今、先生が言われたのは確かにそうですね。

○江馬委員 サマリーのところの記載が、0、150 、50、1.5 、0.05 mg/kg/dayとなっています。それで表を見ると、150 、5、1.5 、0.05 mg/kg/day、サマリーのところの記載が間違っているのか、ほかのところが間違っているのかということです。

○西原部会長 サマリーの533 ページですか。

○江馬委員 533 ページのサマリーの1行目は0、150 、50、1.5 、0.05 mg/kg/dayになっています。 次のページのメソッドの第2パラグラフのところは、0、150 、5、1.5 、0.05mg/kg/day 。後ろの表もこの記載になっていますので、恐らくこっちの方が正しいのではないかと思います。

○西原部会長 事務局、かわりましたか。

○事務局(厚労省) そうしましたら、ドーズはそのままでNOELを修正するということにします。

○西原部会長 少なくともNOELはおかしいということになりますね。5mgという形です。

○事務局(厚労省) そのように修正させていただきたいと思います。

○西原部会長 人健康影響に関しては既に審議済みですが、今、修正等がありましたけれども、それ以外については、問題ないでしょうか。
それでは、生態影響の方でデータが付いていますが、いかがでしょうか。コメントをお願いいたします。

○吉岡委員 生態影響は、試験法はやや違いますけれども、GLP試験で3つとも行われております。その試験結果を取り込んで判定根拠とするということには問題がないかと思います。
ただ、酸性ということで、pHの影響が強く出ておりますけれども、普通に行う場合には、物理化学的な影響と、中和して行う系列をもう一つつくっておくというのが一般的なやり方ではありますけれども、この酸性のデータを用いた判定根拠で特に問題なかろうということで、了解したいと思っております。

○西原部会長 結論としては、第三種監視化学物質相当ではないということでよろしいでしょうか。
それでは、この物質に関しましては、人健康影響は第二種監視化学物質相当、生態影響は第三種監視化学物質相当ではないということで評価させていただきます。
次に41ページです。

○事務局(環境省) こちらの物質は、人健康影響の方からお願いします。

○西原部会長 今の物質のアンモニウム塩。

○事務局(厚労省) 先ほどのPOFAのアンモニウム塩となっております。こちらの物質ですが、全量分解して先ほどの物質である、ペルフルオロオクタン酸に変化します。
したがいまして人健康影響につきましては、ペルフルオロオクタン酸のデータを記載させていただいております。

○事務局(環境省) 生態影響に関して申し上げます。ペルフルオロオクタン酸アンモニウム塩につきましては、水中で解離することに基づきまして、こちらの方の毒性情報は47ページからの記載がございますが、ペルフルオロオクタン酸のデータをそのまま引用させていただいております。
変化物であるペルフルオロオクタン酸の生態影響の判定根拠でございますが、49ページに記載のとおり、第三種監視化学物質相当でないとさせていただいております。
それに基づきまして、ペルフルオロオクタン酸アンモニウムの生態影響に関しましても、第三種監視化学物質相当ではないとしております。
以上です。

○西原部会長 別にこれは審議するまでもないと思います。45ページのNOELが50mg/kg/dayになっていますので、修正しておいてください。よろしいでしょうか。
この物質に関しても、先ほどと同じ事務局案どおりという形にさせてもらいます。

○井上座長 お疲れ様でございますが、次の審議にまいります。

○事務局(環境省) 失礼いたします。先ほど御質問があった点につきまして、ご回答させていただいてよろしいでしょうか。

○井上座長 どうぞ。

○事務局(環境省) 先ほどのリン酸トリス(p-クメニル)、19ページの藻類生長阻害試験の試験液の調製方法について、西原先生から御質問があった件でございます。
こちらですが、500mg/Lで調製した分散液をろ過し、それを適宜希釈して系列をつくっているというものでございます。
化審法テストガイドラインにおきましては、直接溶解する方法でも、また原液をつくって希釈する場合であっても、どちらでもよいとしております。

○西原部会長 ただ、この物質の場合に、下の方の濃度だと溶けるんですね。だから、ろ液を希釈するというのは、何かおかしいような気がするんです。

○井上座長 討論の方は、よろしいですか。

○事務局(環境省) こちらの方は、試験報告書の部分を確認しまして、審査シートに調製方法について記載させていただきたいと思います。

○井上座長 よろしくお願いいたします。
次の御審議は、議題の3にございますように、白告示済みの化学物質に90日間試験が出てきたということで、再評価をお願いしたいということでございます。
それでは、事務局、御説明をお願いいたします。

○事務局(厚労省) 御説明させていただきます。資料4の方をご覧ください。
こちらの水酸化セシウムにつきましては、以前、通常新規化学物質として届出がなされておりまして、厚生労働省と経済産業省それぞれの審議会において白判定とされ、平成14年1月22日付で白告示が既になされております。
その際には、Ames試験と染色体異常試験につきましては水酸化セシウムで実施されておりましたが、28日間反復投与毒性試験につきましては、塩化セシウムにて実施されておりました。
その後、国の既存化学物質安全性点検事業におきまして、塩化セシウムの90日間反復投与毒性試験の結果が得られましたので、本物質の人健康影響の判定につきまして、90日間を併せまして、再評価をお願いしたいと考えております。
なお、塩化セシウムの90日間反復投与毒性試験につきましては、平成18年9月22日に開催されました3省合同審議会におきまして、既に御審議いただいていることを併せて申し上げます。
以上です。

○井上座長 そういう次第でございますが、時間も多少はあるようですので、復習の意味で審議済みのところについても、もし、コメントがありましたら承りたいと思いますが、構造の方では何かございますか。

○渡部委員 水酸化セシウムに代わって、塩化セシウムで試験を実施したというのは、この審議会で認められている、言わばルールの1つになっております。これでよろしいのではないかと思います。
水酸化セシウムはアルカリ性が強いですから、このままやろうと思ったってやれるはずがないんです。

○井上座長 そういうことでございますが、構造の問題で、ほかにコメントはございませんか。
よろしいようでしたら、分解性、蓄積性、難分解性であって高濃縮性でないということでよろしゅうございますね。
それから、変異原性は、Ames試験は陰性、染色体異常試験が疑陽性、弱いということのようですが、これについては、いかがでしょうか。

○鈴木委員 これで結構だと思います。

○井上座長 それで、これは事務局の御説明のとおり、塩化セシウムで実施した試験で、28日間反復投与毒性試験が行われていて、御説明をいただきましょうか。90日と一緒にしますか。

○前川委員 そうですね。28日の毒性試験は、8、40、200及び1000 mg/kg/dayの4用量でなされていまして、最高用量ではかなり死亡が出ているんですけれども、そこに書いてありますように、腎臓でありますとか、膀胱の粘膜上皮過形成、それから血液系への影響、そういうことを根拠にいたしまして、NOELは40 mg/kg/dayということになっております。ただ、40 mg/kg/dayなんですけれども、回復性が余りよくないということです。
それで、今度は90日の試験がなされまして、90日は10、50及び250 mg/kg/dayの3用量でなされております。
そういたしますと、50 mg/kg/day以上でも死亡が出てきている。そして、組織学的には、推定根拠といたしましては、心臓の局在性の心筋変性、あるいは胸腺の萎縮が10 mg/kg/day以上で見られているということで、NOELは10mg/kg/day未満というこということになっております。
ただ、NOELの推定根拠は、そういう心臓とか胸腺ということですけれども、更に高用量の毒性を見ていますと、やはり膀胱でありますとか、それから腎臓でありますとか、先ほど28日の毒性試験で見られたのと同じような変化が見られております。
それとともに、やはり血液系にも影響が出ている。更にそれ以外に痙攣というような神経毒性を疑わせるような所見が見られています。
それから、精巣にも影響が出ている。それから抹消神経の方にも変化が出ているということで、非常に多彩でかつ重篤な変化が出ているということです。
ついでに、資料4の「他の毒性」というところを見ていただきまして、副腎のところに、一番終わりの方に球状帯細胞脂肪滴増加、その後にハーダー腺云々、ハーダー腺は別の臓器ですので、改行してください。
それから、同じことから精巣状態のところにも精子数の減少ということが書いてあって、その後に座骨神経というのが出ている。これも改行してください。それと、坐骨神経の「坐」が違います。

○井上座長 よろしいですか。

○事務局(厚労省) 修正させていただきます。

○井上座長 所見がいろいろあったり、ちょっと面白いケースですが、ほかにございませんか。
廣瀬先生、いかがですか。

○廣瀬委員 特にございません。

○井上座長 非常にトリッキーに、前回40 mg/kg/dayで整合性がよく取れたデータなわけですけれども、今度50 mg/kg/dayにざっと出たというわけですね。
さて、これについての追加コメントがございましたら、どうぞ。この痙攣とかは、神経毒性というわけではないんですね。わからないですね。

○前川委員 ちょっとわかりません。

○井上座長 多彩な変化ということで、用量の面から見ても第二種監視化学物質相当ということになろうという新たな御提案なわけですけれども、よろしゅうございますか。
(「はい」と声あり)

○井上座長 それでは、そういう御審議の結果に基づきまして、事務局の御提案どおり、人健康影響については、第二種監視化学物質相当であると、ここで再評価されたということでございます。御審議ありがとうございます。
それでは、次は議題の3のその他でございますが、事務局、いかがでしょうか。

○事務局(環境省) それでは、資料5につきまして、御説明させていただきます。
資料5「化学物質審査規制法に基づく藻類生長阻害試験法の改正案に対する意見募集(パブリックコメント)の結果について(案)」でございます。
化審法に基づいて3省の通知で定めております化審法テストガイドラインのうち、藻類生長阻害試験に関するものにつきまして、OECDのテストガイドラインの改定がございましたので必要な修正を行うものでございます。前回の公開審議会においてご了承いただいた上で、パブリックコメントを実施していたところでございます。その結果について御報告させていただきます。
資料5につきましては、この委員会の場で御了解いただけるようであれば、この形で公表させていただきたいと考えております。
資料の1ページ目は、過去の経緯をまとめたものでございます。
2ページの方をご覧いただきまして、パブリックコメントの実施でございますが、9月8日から10月10日までの1か月間意見募集いたしました。
その結果、いただいた御意見の総数は14件、提出者数は3名でございまして、いただいた意見は、3ページ目からの別紙1に記載しているとおりでございます。
これを受けた対応ということでございますけれども、幾つかの意見につきましては、例えば誤植の指摘でありますとか、御指摘のとおり修正をしたもの、又は当方の考えをお示しして特に修正までは行っていないもの、いろいろございますけれども、別紙1の記載のとおりでございます。
これを踏まえました最終改正内容を別紙2として添付してございます。どうぞ、よろしくお願いいたします。

○井上座長 ありがとうございます。ただいまの御説明ですが、パブリックコメントに対するコメントがございましたら、どうぞ。よろしゅうございますか。
そうすると、事務局は、この後は、どういうふうにお進めになるんですか。

○事務局(環境省) よろしければ、資料5の(案)を取りまして、この形で公表させていただくとともに、別紙2のとおり通知を改正するという手続になります。

○井上座長 ということだそうでございます。よろしゅうございますか。
(「はい」と声あり)

○井上座長 それでは、この件につきまして、御了承いただいたこととさせていただきます。
そのほかに、事務局から全体でございませんか。

○事務局(厚労省) 特にございません。

○井上座長 そうしますと、本日の審議の第一部は、これで終了といたします。
休憩をとりまして、委員の先生方には15時半から再開ということで、休憩をさせていただきます。傍聴の方、御苦労様でした。お疲れ様でした。

(休 憩)