第52回中央環境審議会環境保健部会 化学物質審査小委員会議事録

1.日時

平成18年1月13日(金)11:00~11:35

2.場所

中央合同庁舎第5号館 環境省第1会議室(22階)

3.出席者(敬称略)

(委員長) 中杉 修身
(臨時委員) 池田 正之 吉岡 義正
(専門委員) 青木 康展 井上 達
日下 幸則  田辺 信介
(五十音順)
(事務局) 森下化学物質審査室長

4.議題

(1)
化学物質審査規制法に基づく第一種特定化学物質の指定について
(2)
その他

5.議事

【事務局】 時間がまいりましたので、ただいまから第52回中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会を開催したいと思います。
 本日、井上先生が遅れておりますけれども、厚生労働省のほうで同様の会議がございまして、若干遅れていらっしゃると聞いております。
 本日は、開催に必要な定足数を満たしており、本小委員会は成立していることを御報告いたします。
 審議に入ります前に、お手元にお配りした資料の確認をさせていただきます。
 まず資料1としまして「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律に基づく第一種特定化学物質の指定について(報告案)」という1枚紙でございます。
 資料2としまして「2-(2H-1,2,3-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジ-tert-ブチルフェノールについて(案)」という資料でございます。
 それから参考資料としまして「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律に基づく第一種特定化学物質の指定について(諮問)」の資料1枚紙を付けさせていただいております。
 資料の過不足等がございましたら、事務局までお申し出ください。
 それでは、議事進行を中杉委員長、よろしくお願いいたします。

【中杉委員長】 よろしくお願い申し上げます。
 はじめに、本日の小委員会の公開についてお諮りいたします。
 「中央環境審議会環境保健部会小委員会及び専門委員会の運営方針について」というのがございまして、その中で、「小委員会及び専門委員会は、公開することにより公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがある場合又は特定な者に不当な利益若しくは不利益をもたらすおそれがある場合には非公開とし、それ以外の場合には公開するもの」とされております。また、「公開又は非公開の取扱いは、当該小委員長又は専門委員長が決めるものとする。」とされております。そこで私が判断をしなければいけないわけでございますが、本日の化学物質審査小委員会は、「公開することにより公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがある場合又は特定な者に不当な利益若しくは不利益をもたらすおそれがある場合」には該当しないと考えますので、本日の化学物質審査小委員会は公開とさせていただきます。
 公開の小委員会につきましては、議事録も公開されることになりますので、御承知おきいただければと思います。
 そういうことでございますが、よろしいでしょうか。
 それでは早速ですが議事に入りたいと思います。議題の1番で「化学物質審査規制法に基づく第一種特定化学物質の指定について」というところに入りたいと思います。まず事務局から資料の御説明をお願いいたします。

【事務局】 それでは、お手元の資料、順番が逆になりますが、参考資料の方から先に見ていただけますでしょうか。参考資料でございますが、昨年の11月、前回の小委員会、これは3省の合同で開かれた審議会でございますが、その審議会での御議論を踏まえまして、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律に基づく第一種特定化学物質の指定について(諮問)」ということで、環境大臣より中央環境審議会会長あてに諮問がなされております。
 諮問の趣旨としましては、この物質、名前は長いので省略させていただきますけれども、このベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤の物質を第一種特定化学物質として指定することについて、審議会の意見を求める、というものでございます。
 この諮問を受けまして、審議会会長より環境保健部会長あてに付議がなされているところでございます。
 この諮問及び付議を踏まえまして、本日、当該物質を化学物質審査規制法の第一種特定化学物質として指定することについて御検討いただければと考えております。
 続きまして資料2を御覧いただけますでしょうか。資料2がこの物質についての報告案ということで、事務局のほうで用意させていただきました。
 まず最初ですが、この物質は既存化学物質であります。経済産業省のほうで実施されました既存化学物質の点検結果から、既に難分解性かつ高蓄積性を有することが判明しておりまして、一昨年の9月に化学物質審査規制法の第一種監視化学物質として指定されているところでございます。
 さらに、その後の毒性等に関する知見に基づきまして、今般、継続的に摂取される場合には人の健康を損なうおそれ、いわゆる長期毒性があるかどうかということで評価検討を行ったところ、長期毒性があるのではないかということで、前回の審議会で御指摘されたとおりでございます。
 これらの結果から、この物質を第一種特定化学物質として政令で定めることが適当であると考えられる、というふうにさせていただいております。
 以下、分解性、蓄積性につきましては、そこに書いてありますとおり、これは既に一昨年の9月の第一種監視化学物質指定の時点で御検討いただいている話でございます。
 3番目の人への長期毒性等について、一特相当の長期毒性を有するものと考えられるということでございます。
 1枚おめくりいただきまして、別添1としまして物質の概要を付けさせていただいております。構造式は、そこに描いてありますような構造でございまして、用途としては、紫外線吸収剤ということで、プラスチック製品等様々な製品に微量含有されるものであると聞いております。
 製造・輸入量に関しましては、平成16年度の化審法に基づく報告によりますと、約117tということであります。
 環境分布・モニタリングデータにつきましては、これまで調査したことはございませんで、今年度に調査実施中ということでございます。
 続きまして、別添2の有害性情報調査報告書でございます。これにつきましても、前回11月の審議会におきまして一度御覧いただいたものであります。
 結論部分だけ御紹介いたしますと、6ページを御覧いただけますでしょうか。6ページの下の方に「4.毒性評価」というところがございます。
 まず1つ目としまして、この物質の急性毒性は低いということが明らかになっております。
 2つ目に、ラットの28日間反復投与試験の結果でありますけれども、主な標的臓器は肝臓であり、その他に血液系等に対する影響がみられているということ、28日間反復投与試験によりますと、NOELは雄に対する影響レベルに基づき、0.5mg/kg/day未満となっております。また、90日間反復投与試験におきましても標的臓器は肝臓に対する影響がみられるという報告であります。
 3番目、ここの部分が今般明らかになった部分でございまして、ラットの52週間経口投与毒性試験を厚生労働省において実施しましたところ、やはり肝臓を主な標的とする影響がみられているということでございまして、組織学的所見によりますと、明細胞変異肝細胞巣が非常に低い用量でも認められているということでございまして、NOELは0.1mg/kg/dayという結果であったという報告がなされました。
 これらを踏まえまして、最後、5.の「毒性に関する総合評価」でございますが、当該物質については、主として肝臓に対する軽微とは言い難い毒性影響が認められており、ラットの52週間経口投与毒性試験におけるNOELは、0.1mg/kg/dayであった。ということで、継続的に摂取される場合には人の健康を損なうおそれ(長期毒性)があるものと考えられます。また、この発現の程度は、既存の「第一種特定化学物質」と比較してもほぼ同程度でありまして、こういったことから、この物質は第一種特定化学物質に相当する長期毒性を有するものと考えられる、というふうに結論づけております。
 あと、参考までに別添3として、高次捕食動物、鳥類に及ぼす影響に関しまして、1件だけ知見が得られております。これは平成16年度、環境省のほうで試験しました結果でございますが、ニホンウズラへの摂餌毒性試験の結果ということで、LC50値が5000ppmより大きいというような結果が得られております。
 以上が内容になりますけれども、これを受けまして、資料1の方で簡単な報告案ということで結論のみを書かせていただいております。当該物質を第一種特定化学物質として指定することが適当であると。
 理由としましては、先ほど御説明しましたとおり、難分解性、高蓄積性、人への長期毒性という第一種特定化学物質の指定要件、3つの条件をすべて満たすものであるということを理由としてあげさせていただいております。
 以上につきまして御審議いただければと思います。
 なお、第一種特定化学物質として指定されたらどうなるかという話でございますが、これは先生方よく御存じのことかもしれませんが、第一種特定化学物質として指定された場合、この物質の製造・輸入・使用に関しましては、事実上、禁止されるということになります。また、法律上、この物質を含有する製品の輸入につきましても、政令でその製品を指定しまして、それを禁止するという措置があるわけでございますけれども、この製品の指定に関しましては、現在、海外におけるこの物質の製造あるいはこの物質を含む製品の製造・流通の状況等について調査をしているところでございまして、その結果によってはまた改めて御審議いただくことになるかと思いますので、御承知おき願います。
 以上、よろしくお願いいたします。

【中杉委員長】 ありがとうございました。
 先生方には資料2については御覧いただいて御議論をいただいているわけでございますけれども、ただいまの資料1、2の御説明につきまして何かございますでしょうか。

【日下委員】 反復投与毒性試験が28日、今度49日、90日、52週というふうにしてずっと重ねておられて、これは一貫して同じ結果が出ているというので、誠に信頼できる結果だと、特に肝臓ですね。こんなふうにずっと延ばしていったときに、各委託されている研究機関が異なっているというのは、それぞれ得意とする分野ということなんでしょうか。結果そのものは全く一貫性があってよろしいと思いますが。

【事務局】 特にこの機関はこの試験が得意ということはないとは思うのですが、まずこの試験結果、ここにまとめて書いてございますけれども、実施した時期がそれぞれ違っております。6ページの(2)にあげております28日間あるいは90日間の試験は、第一種監視化学物質として指定される以前に実施されたもので、第一種監視化学物質に指定されたことを受けまして、その毒性について改めて厚生労働省のほうできちんとといいますか、より長期にわたる毒性試験を52週間の試験を今回行ったと。その結果をみまして、問題となりそうな結果が出てきたということで、今般御審議いただくこととなったというのが経緯でございます。

【中杉委員長】 よろしいですか。

【日下委員】 はい。

【中杉委員長】 そのほかに何か御意見ございますでしょうか。

【日下委員】 今度は本質的な質問なんですが、52週間の毒性試験で肝細胞の変異が認められていて、そして発がん性の疑いというようなことが示されているのですが、他国の研究でその発がんを支持するような研究が文献調査で出ているのか、あるいはさらに発がんがあるかどうかという試験に踏み込む必要があるかどうかということはいかがでしょうか。

【事務局】 ここの部分に関しましては、特に厚生労働省の委員会で十分に検討されております。まず、海外における知見等ということでございますが、この報告書をまとめる時点でその辺につきましても調査をされたところ、発がん性に関して特に文献等はなかったというふうに聞いております。
 それから、さらに発がん性に関して詳細な調査をということにつきましても、厚生労働省の委員会の中では御議論があったように聞いておりますけれども、そこにつきましても、既に出ているNOELの値等を見ますと、この結果でもって、他の第一種特定化学物質との比較等も考えますと、この時点でさらに詳細な調査をしなくとも、第一種特定化学物質相当の毒性があると判断できるというのが結論であったと聞いております。

【中杉委員長】 現段階の今回の判断という話と、もう1つ、いま日下先生から御質問があったのは、さらにこの後、毒性に関して追加で調査を厚生労働省なり国のほうでされておられるのかという御質問なので、井上先生、もし御存じでしたら、少し状況を御説明いただければと思います。

【井上委員】 遅れてまいりまして失礼申し上げます。
 いま事務局の方の御説明にもありましたように、発がん性のコンプリーションが行われているわけではございません。しかしながら、1年間の試験、これは政府の資金でもって行われたわけですが、そこで、発がん性物質を1年みたときに観察される所見に極めて近似した様々な前兆がみられる。もちろん、厳密なことを言いますと、それから先みなければわからないという要素がゼロではありませんけれども、十分予測されるということが専門家の方たちの御意見で一致しましたので、これはこの化審法上の認定としては、発がん物質として考えるわけでは当然ないわけですが、発がんが十分危惧されるものであるという判断の下に、そのことを念頭において最終判断が行われました。したがいまして、ここで専門家の方たちの判断をいただくと、恐らくもうこれ以上の試験はできなくなってしまうだろうと思います。それがいいことか悪いことかは、ここで化審法の枠組みに沿ってお考えいただくべきことでありますけれども、毒性の私どもの立場からしますと、大変画期的なことでございます。と申しますのは、これをだらだら2年間の試験をやる前に、科学が予測して事前に判断するという手だてを打つことができて、そこにアンサートゥンティがゼロではないけれども、限りなく黒に近い灰色であるということを判断して、従来なかなか俎上に上らなかった既存化学物質を政府の事務局の力でもって一つ一つ積み上げてこられたという意味で敬意を表したいと思います。

【中杉委員長】 ありがとうございました。
 日下先生、よろしいでしょうか。

【日下委員】 はい。

【池田委員】 いま井上先生がおっしゃったことは全くそのとおりだと思います。日下先生の御質問に若干関連するのですが、7ページの(5)のところです。「変異原試験については、in vitroの試験において、……」というのは、たぶんAmes、ひょっとしたらE.coliの試験が行われたのだろうと思います。例えば染色体異常なりマウスリンフォーマなり他の変異原性試験の結果があるのかどうかで、それは発がんのメカニズムと、発がんと決めつけたわけではありませんけれども、6ページの一番下の行に書いてある「変異肝細胞巣」の発生と関連して、in vitroの試験でさらに考えさせるような所見があるかどうか、そのあたりをお伺いしたいと思います。

【井上委員】 変異原性に関する試験は、ただいま御指摘がありましたように、E.coliに対する試験が行われているわけですが、小核試験であるとか、マウスリンフォーマ試験などは行われておりません。考え方としましては、このものは発がん性を有する疑いがあるというのは、発がん性試験に基づいて疑ったわけではございませんので、発がん物質と判断したわけではないわけでございますが、その先に突っ込んでお話しいたしますと、恐らくこれが発がん物質としての性質をもっていたとしても、エピジェネティックな、いわゆる直接性の変異原性を伴った発がん物質ではないというふうに予測されます。しかしながら、そこのところはわからないということでございます。
 あと、メカニズムについての御質問がこの物質についてよく出るわけですが、毒性の立場からしますと、結論から申しますと、この物質のメカニズムはわかりません。側鎖がちょっと変わっただけで毒性が非常に軽減したり、いろいろなことが多少わかっておりますので、メカニズムは難しいと考えております。

【池田委員】  8ページの下から2つ目の文献のところに染色体異常が出てくるんです。ひょっとしてこれにイエス・ノーというのがあるのではないかという気がして伺ったのです。

【井上委員】 事務局、お調べいただけますか。私も手持ちの資料を見てみます。たしかネガティブだと思います。

【中杉委員長】 事務局のほうでおわかりになりますか。

【日下委員】 ネガティブだったら、これも書かれたらいいということですね。文献表だけではなくて。

【池田委員】 もし文献としてあればね。

【事務局】 申し訳ございません。この文献の原典がいま手元にございません。

【池田委員】 失礼しました。6ページにその要約があるのだそうです。CHLを使ってネガティブだというのがありますね。では、そのことも(5)のところに書き加えた方がよろしいですね。

【中杉委員長】 資料2については、どういうふうになるのですか。これもここで議論して、この委員会で決めていくのですか。

【事務局】 いま御指摘いただきました染色体異常試験の結果につきましては、4.の(5) の方に加えるということで御指摘いただきましたので、その部分を修正させていただいたような格好で報告をさせていただくということになるかと思います。

【中杉委員長】 まとめのところに試験の結果を追記するということでよろしいでしょうか。

【池田委員】 もう1つ細かいことでよろしいでしょうか。うんと細かくて恐縮です。9ページのところにウズラの実験が出てきます。これはたぶん飼料に添加した濃度で5000ppmと書いておられると思うのですが、体重換算をしてmg/kg/dayなりに書き換えてある方が共通の理解としてよくわかると思います。特にウズラというのは余りよく使わない。鳥類の中では一番ポピュラーだそうですが、例えばマウス、ラットに比べれば、体重換算すぐというふうには思いにくいものですから、換算値が一緒に書いてあった方が後で役に立ちます。

【事務局】 それにつきましても、御指摘のとおり修正する方向で考えたいと思います。

【中杉委員長】 きっちり出せるのかどうかわかりませんが、大体このぐらいの換算になるぐらいの記述かもしれませんが。
 よろしいでしょうか。
 そのほかに御意見ございますでしょうか。
 それでは、そのほかに御意見がないようでしたら、資料1について、これは本日確認をいただく一番のところでございますが、資料1については原案どおりということでよろしいでしょうか。
 資料2につきましては、いま御指摘がありました点を修正していただくということで、資料1及び資料2につきましては若干修正を加えた上で小委員会報告とさせていただきます。修文につきましては、先生方にもちょっと見ていただきますけれども、委員長預かりということにさせていただければと思います。
 ありがとうございました。
 以上によりまして、本小委員会の報告のとりまとめまでいきましたので、櫻井環境保健部会長に御報告いたします。
 では、今後の取扱いについて事務局から御説明お願いいたします。

【事務局】 どうもありがとうございました。
 先ほど中杉委員長からお話がありましたとおり、資料1と資料2の「案」を取ったような格好で、資料2につきましては、先ほど御指摘いただいた点を修正した上で、中杉委員長にも確認いただいて、櫻井環境保健部会長あてに報告をさせていただきます。
 その後の手続でございますが、今回の報告を部会長報告という形で、部会長から中央環境審議会長に報告していただく。その上で、中央環境審議会長から環境大臣あてに答申いただく運びになります。このあたりの手続につきましては、事務的に進めさせていただければと考えております。
 それを受けまして、環境省あるいは化学物質審査規制法を所管しております経済産業省、厚生労働省とともに、この化審法の施行令の改正ということで所要の手続を行っていきます。具体的には、パブリックコメントの実施でございますとか、国際的にはWTOに基づく通報ということもございます。そういった手続を進めさせていただきます。
 また、この施行令の改正までそういったことで若干時間が空くかと思うのですが、それまの間につきましてもきちんとした対応をとりたいと思っております。具体的には、前回の会でこの物質について長期毒性の疑いありということで御指摘いただいた時点で、3省のほうからこの物質の製造・輸入を行っている事業者に対しまして、今後この物質の製造等は行われるべきではないということで既に周知を行っております。そういったことで、製造事業者、輸入事業者は、基本的には今後製造を行いませんというお話を伺っております。ただ、もし今後、やっぱりつくります、輸入しますという方がいらっしゃった場合には、これも法律上の制度なんでございますが、国が勧告を出して製造の制限をかけるということも法律上対応がとれることになっておりますので、そういったようなことも含めまして、この物質による環境の汚染が今後起こらないように適切に対応をとってまいりたいと考えております。
 以上でございます。

【田辺委員】 輸出についてはどうなるのですか。

【事務局】 法律上、輸出に関して特に書いた規定はございませんけれども、製造ができなくなるということで、当然ながら輸出もできないというふうな考えでございます。

【中杉委員長】 製造と輸入が止まってしまうと、輸出も、だから在庫がどうなるのかですね。

【田辺委員】 在庫をどうするのかなと思ったのです。

【事務局】 そこは法律上は特に規定はございませんけれども、そういうことは当然行われるべきではないだろうということで、周知していきたいと思っております。

【中杉委員長】 よろしいでしょうか。

【青木委員】 田辺委員の御質問と同じような質問なんですが、用途ということで紫外線吸収剤と資料にあるのですが、具体的にどのような製品に使われているか。いままで御議論であったと思うのですが、差し支えない範囲で確認させていただければと思います。

【事務局】 この物質の用途につきましても、前回の審議会の御議論を踏まえまして、まず製造事業者、輸入事業者のほうに調査をするという格好で調べさせていただきました。その結果、用途としては、申し上げたとおり、紫外線吸収剤ということで、例えばプラスチック製品、FRP製品、人工大理石のようなものに大半が使われている。その他の用途としまして、これは微量になってくるのですが、例えば塗料とか、デジタル印刷に使う印画紙あるいはインクリボンといったものにも若干入っているということを情報としては得ております。ただ、各製品に入っている量につきましては、非常に微量、大半が1%未満ということでございます。また、プラスチック製品等を考えますと、完全に封じ込められているといいますか、製品の中に入ってしまっているようなものでございますので、そういった製品の使用の段階で何か、例えば溶出なり何なりして環境中に出ていくということはまず考えられないのではないかと考えております。溶出に関しましても、溶出試験の実施等、厚生労働省あるいは我々のほうでも考えていきたいと思っております。

【中杉委員長】 たぶん化審法の範囲であれば、製造・輸入を禁止するというところまでで、先ほど御説明があったように、環境濃度を測定されている。その結果を踏まえて、いま御指摘があったような問題については、別途、他の法律の中で対応していくような話になっていくのではないかと想像されますが。
 よろしいでしょうか。

【井上委員】 毒性のところに戻ってすみませんが、2点あります。1つは、6ページの(4) 生殖発生毒性試験、「本化学物質に関する生殖発生毒性に関する知見は入手できなかった。」という点については、7ページには「実施されていない」というふうにまとめてあるのですが、「入手できなかった」という表現がよくわからないのです。実施されていなかったから入手できないのはいいのですが、あるのに入手できなかったということではないだろうと思いますので、7ページの(4)で「実施されていない」とまとめられている内容と同じ意味だということを何か表現できないのかなということを感じました。
 もう1つ、先ほどの池田先生からの御指摘のところをもう一度よく見てみたのですが、この染色体はChinese hamster lung cellが使われておりまして、これはin vitroの試験であることには間違いがありませんので、7の(5)の表現は、これで間違いはないんですね。もちろんAmesと染色体両方ともネガティブであるということを説明するのがなじむか、なじまないのかの問題になりますけれども、6ページに両方指摘してあって、7ページの(5)では簡潔に、in vitroの試験で変異原性が示されなかった、と確認されているということで、このままでもいいようにも思いますので、指摘しておきます。

【中杉委員長】 後ろの部分については、池田先生、いかがでしょうか。

【池田委員】 どっちでも結構です。

【中杉委員長】 矛盾はないという御説明です。

【池田委員】 それだったら、例えば「in vitroの試験において、変異原性を示さなかった。」の方がクリアカットですね。「通常の……において、」は取る。

【中杉委員長】 そこまでは要らないと。では、そちらを削除するという方向で整理させていただきます。
 井上先生の御指摘の前の部分はいかがでしょうか。「実施されていない」というのは、本当にどこまで進められているかという議論をされてしまうと、かなりつらいところがあるので、「知見は入手できなかった」という方が無難ではあるという言い方にはなるのですが。

【事務局】 そのあたりは、文献調査は厚生労働省のほうでやっておりますので、厚生労働省のほうに確認しまして、いずれにしましても、6ページの(4)の書きぶりと7ページの(4)の書きぶりの整合がとれるような格好で対処したいと思います。

【中杉委員長】 よろしいでしょうか。
 そこの部分についても、先ほど申し上げましたけれども、委員長預かりということにさせていただければと思います。
 それでは、よろしいでしょうか。
 資料2について修正の修正みたいなものが加わりましたが、そういうことで報告をさせていただきます。
 議題の2に戻りまして、「その他」でございますが、事務局から何かございますでしょうか。

【事務局】 「その他」としまして特に予定しておりません。
 実は本日午後も第53回の小委員会ということで、これは3省の合同になりますけれども、審議会を予定しておりますので、委員の皆さままたよろしくお願いいたします。

【中杉委員長】 先生方、よろしいでしょうか。午後からもということで申し訳ございませんが。
 それでは、本日の小委員会はこれで終了させていただきます。どうもありがとうございました。