令和元年度第9回薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会化学物質調査会 令和元年度化学物質審議会第5回安全対策部会第201回中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会 議事禄(第一部)

1.日時

令和2年1月16日(木)13:30 15:45

2.場所

中央合同庁舎5号館 12階 専用第15会議室

3.出席:(五十音順、敬称略)

薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会化学物質調査会委員

佐藤 薫      鈴木 勇司    高橋 祐次

頭金 正博     豊田 武士    平林 容子(座長)

広瀬 明彦     北條 仁     本間 正充

増村 健一

化学物質審議会審査部会委員

小野 恭子     金子 秀雄    小林 剛

坂田 信以     恒見 清孝    東海 明宏(部会長)

松江 香織     森田 健     吉田 浩介

中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会委員

青木 康展     稲寺 秀邦    小山 次朗

白石 寛明(委員長) 田辺 信介    吉岡 義正

和田 勝

事務局

厚生労働省  渕岡化学物質安全対策室長
経済産業省  飛騨化学物質安全室長
環境省    柳田化学物質審査室長 他

4.議題

  1. 第一種特定化学物質に指定することが適当とされたPFOAとその塩及びPFOA関連物質に係る所要の措置等について

  2. 優先評価化学物質のリスク評価(一次)評価Ⅱにおける評価等について

  3. その他

5.議事

○MHLW事務局(厚生労働省) 時間がまいりましたので、ただいまから令和元年度第9回薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会化学物質調査会、令和元年度化学物質審議会第5回安全対策部会・第201回中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会合同審議会を開催したいと思います。本日は、いずれの審議会も開催に必要な定足数を満たしており、それぞれの審議会は成立していることを御報告いたします。なお、本合同審議会は、第一部と第二部に分けて実施します。本日は、13時半から15時半までを第一部として、第一種特定化学物質に指定することが適当とされたペルフルオロオクタン酸とその塩及びPFOA関連物質に係る所要の措置等、優先評価化学物質のリスク評価、第一次評価、パート2における評価等について公開で審議を行います。

 第一部終了後、休憩を挟みまして、1545分をめどに第二部を行います。本合同審議会を開始する前に、厚生労働省事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について報告させていただきます。薬事分科会規程第11条においては、委員や専門委員の方々は、在任中に薬事に関する企業の役員や企業から定期的に報酬を得る立場に就任した場合は辞任しなければならない旨が規程されており、今回、全ての委員の皆様より、そのような役職に就いていない旨を御報告いただいておりますことをお伝えいたします。委員の皆様には会議開催の都度、書面の御提出を頂いており、御負担をお掛けしておりますが、引き続き、御理解、御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願いいたします。

 それでは、お手元にお配りした資料について確認を行います。資料名の読み上げは割愛させていただきますが、議事次第の資料一覧に沿って机上に配布している資料と、パソコンに格納されている資料を確認いたします。まず紙媒体の資料ですが、上から順に、資料1は、ペルフルオロオクタン酸の第一種特定化学物質へのスケジュールの変更について。資料2--2は、生態影響に係る有害性情報の詳細資料()。資料2--3は、生態影響に係るリスク評価書簡易版(案)。資料2--4は、生態影響に係るリスク評価結果について。続いて、資料2-2のシリーズですが、資料2-2は、生態影響に係る有害性情報の詳細資料()。資料2--3は、生態影響に係るリスク評価の進捗状況。続いて、資料2-3のシリーズですが、資料2--2は、生態影響に係る有害性情報の詳細資料(案)。資料2--3は、生態影響に係るリスク評価の進捗状況。続いて、資料2-4のシリーズですが、資料2--1は、NPEの有害性評価に関する審議会委員による意見交換(概要)。資料2--2は、生態影響に係る有害性情報の詳細資料()。続いて、資料3のシリーズですが、資料3-1は、スクリーニング評価におけるデフォルトの有害性の今後の進め方について及びその別紙である有害性情報の提供由来等の結果について。資料3-2は、N,N-ジメチルプロパン案件を踏まえた対応状況についてです。続いて、パソコンに格納している資料です。パソコンを御覧下さい、資料2--1は、ヘキサンの物理化学的性状等の詳細資料()。資料2--1は、ジスルフィラムの物理化学的性状等の詳細資料()。資料2--1は、ポリカーバメートの物理化学的性状等の詳細()。続いて、資料2--1参考は、NPEの意見交換会で配布した資料一式。資料2--1の別紙及びその他参考資料、あるいは各種ガイダンスが入っております。この時点で過不足などがありましたらお知らせください。よろしいでしょうか。

 それでは、これより議事に入ります。本日の全体の議事進行については、薬事・食品衛生審議会化学物質調査会の平林座長にお願いします。平林座長、どうぞよろしくお願いいたします。

○平林座長 それでは、これより議事に移らせていただきます。初めに、本日の会議の公開の是非についてお諮りいたします。各審議会の公開については、それぞれの規程のあるところでございますが、公開することにより、公正、かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがある場合、又は特定な者に不当な益、若しくは不利益をもたらすおそれがある場合など、非公開とするべき場合には該当しないと考えますので、原則、公開といたしたいと思います。ただし、営業秘密等に該当する場合は、秘匿することを認めることといたしたいと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、本日の会議は公開といたします。議事録については、後日、ホームページ等で公開されますので、あらかじめ御承知おき願います。

 では、議題1、第一種特定化学物質に指定することが適当とされたペルフルオロオクタン酸とその塩及びPFOA関連物質に係る所要の処置等についてに移ります。まず、資料1、ジコホル、ペルフルオロオクタン酸とその塩及びPFOA関連物質の第一種特定化学物質への指定等に係るスケジュールの変更について、事務局より説明をお願いします。

○METI事務局 今回の審議会では、当初、環境リスク評価を踏まえた製品回収措置等の検討や、副生に関する審議を予定しておりましたが、後ほど御説明させていただきます諸般の事情によりまして、今回は実質的な審議は行わず、第一種特定化学物質の指定等に関する所要の措置に関係するスケジュールの変更について、簡単に御報告させていただきたいと思います。

 では、資料1を御覧ください。ジコホル、ペルフルオロオクタン酸(PFOA)とその塩及びPFOA関連物質の第一種特定化学物質への指定等に係るスケジュールの変更についての御報告になります。平成31年4月末から、令和元年5月頭にかけて開催された残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約第9回締約会議において、新たにジコホル、ペルフルオロオクタン酸、以下「PFOA」と呼びますが、それから、その塩、PFOA関連物質を、同条約の附属書A(廃絶)対象物質に追加することが決定されております。

 これを踏まえまして、令和元年7月24日の3省合同会合においては、ジコホル、PFOA、PFOAの塩、PFOA関連物質については、化審法の第一種特定化学物質に指定することが適当であるとの結論が得られております。また、同じく、昨年9月20日の3省合同会合においては、これらの物質について必要な措置の取りまとめが行われているところです。その内容について、昨年1115日から1214日にかけてパブリックコメントを行っております。パブリックコメントによる意見を募集した結果、エッセンシャルユースの指定等について追加の検討が必要な事例が確認されております。このため、現在、スケジュールの見直しを行っておりまして、ジコホル、PFOA、PFOAの塩、PFOA関連物質の第一種特定化学物質への指定、それから、エッセンシャルユースの指定、輸入禁止製品等の措置についての施行は、令和2年12月以降になる見込みであるという状況になっておりますので御報告させていただきます。事務局からの説明は以上になります。

○平林座長 それでは、今の事務局の説明について、御質問、御意見がありましたら、お手元のネームプレートを立ててください。順に指名させていただきます。特にないようでしたら、本件についての質疑を終わりますが、よろしいでしょうか。

 では、続いて議題2、優先評価化学物質のリスク評価、第一次評価に係る審議に移ります。本日は4物質の生態影響に係るリスク評価について審議を行います。まず、審議物質1、n-ヘキサンに係る評価として、資料2--1の物理化学的性状等の詳細資料(案)について事務局より説明をお願いします。

○NITE それでは、パソコンに保存してあります資料2--1を御覧ください。本物質の物理化学的性状等の詳細資料(案)となっております。表紙にありますのが評価対象物質になっておりまして、n-ヘキサンの構造となっております。

 1ページ目の表1-1に、本物質のモデル推計に採用した物理化学的性状のまとめがあります。リスク評価に特に関係する4項目について簡単に御説明していきます。まず、蒸気圧は1.62×10Paでありまして、これは複数の測定時に基づく回帰式から20℃に内挿した平均値となっております。

 続いて、水に対する溶解度は、12mg/Lで測定値になっております。また、1-オクタノールと水との間の分配係数(logPow)ですけれども、こちらは3.9で測定値になっております。こちらはlogPowが3以上であるため、技術ガイダンスに従いまして水生生物だけではなく底生生物についてもリスク評価をすることになります。

 最後にヘンリー係数に関しては、1.35×10Pa /molで、20℃における測定値になっております。あとの項目については、表1-1に記載されているとおりです。

 4ページを御覧ください。こちらの表1-2に分解性のデータのまとめがあります。大気における半減期としては、OHラジカルとの反応として3.1日、硝酸ラジカルとの反応として315日になっております。水中における半減期としては生分解の5日、これは分解度の試験のデータから生分解半減期で換算したものとなっております。土壌の半減期についてはデータがありませんでしたので、技術ガイダンスに従い、水中と同様で5日、また、底質の半減期についても同様にデータがないため、技術ガイダンスに従い水中の4倍の20日としております。

 ただいま御説明しました表1-1、表1-2に係る全ての分解性状ですが、平成29年度第1回優先評価化学物質のリスク評価に用いる物理化学的性状、分解性、蓄積性等のレビュー会議において了承された値となっております。以上となります。

○平林座長 それでは、今の事務局の説明について、御質問、御意見がありましたら、お手元のネームプレートを立ててください。特にありませんでしょうか。ということになりますと、原案どおり物理化学的性状に係る案は了承されたということになりますが、よろしいでしょうか。

 では、続いて資料2--2、有害性情報の詳細資料(案)について事務局より説明をお願いします。

○MOE事務局 それでは、資料2--2に基づいて、n-ヘキサンの生態影響に係る有害性情報の詳細資料(案)について御説明いたします。1枚めくっていただきまして、表示では1ページ目です。リスク評価、技術ガイダンスに従いまして、当該物質の生態影響に関する有害性データを収集して、それらのデータを信頼性を確認するとともに、既存の評価書における評価や、国内外の規制値の根拠となった有害性評価値を参考としつつ、予測無影響濃度(PNEC)に相当する値を導出しました。なお、本物質に関しては、logPowの値が3.9となっておりまして、3以上であるため、底生生物に関しても情報収集をしております。

 続いて、1-1ですが、生態影響に関する毒性値の概要です。表1-1にPNECwaterの導出に利用可能な毒性値を示しております。本物質に関しては二次消費者のみのデータが得られております。

 次ページ、()の水生生物の急性毒性値の所ですが、本試験においてはOECDのTG203に準拠しておりまして、ファットヘッドミノーの急性毒性試験が行われております。試験に用いられた被験物質の純度は99%超、流水式で実施されております。試験は対照区及び設定濃度で1.182.363.544.725.90mg/Lの5濃度区で実施されております。実測濃度は設定濃度の7385%を維持しております。4日間半数致死濃度でLC502.5mg/Lとなっております。

 ページの中段のPNECの導出の所ですが、1つの栄養段階に対する信頼できる急性毒性値の2.5mg/Lが得られておりますので、こちらにACR、急性慢性毒性比の100と種間外挿のUF「10」、それから、室内から野外への外挿のUF「10」、合わせて1万、これで除し、n-ヘキサンのPNECwaterとして、0.00025mg/Lが得られております。

 n-ヘキサンの主要国の水生生物保善に係る基準等は設定されておりません。また、国内外のリスク評価書などに関する情報については、環境省の化学物質の環境リスク評価書、これの第1巻で評価しており、この際に甲殻類のArtemiaを用いた試験を行っております。このときはPNECを15μg/Lとしておりますが、化審法の技術ガイダンスの推奨種には合致しないため、本評価では用いなかったということになっております。

 また、WHOが公表している環境保健のクライテリア、こちらでは水生生物の毒性について情報が少ない上に、毒性値に確定値がなかったということで、試験も不適当であったために環境への毒性について評価を行えなかったと結論づけられております。

 続いて、底生生物についてです。こちらは信頼性のある有害性データが得られなかったため、水生生物のPNECwaterから平衡分配法により、PNECsedとして0.0042mg/kgを導出しています。

 3ページ目、1-3の所に、有害性評価に関する不確実性解析ですが、本物質に関してはPNECwaterを導出に用いることができる毒性値は二次消費者の急性毒性値のみでして、生産者と一次消費者の毒性値、二次消費者の慢性毒性値が得られていない点に基本的な不確実性があります。またPNECsedに関しては、PNECwaterに平衡分配法を用いて求められている点についても不確実性があります。その下の1-4の結果の所では、今ほど紹介した結果を取りまとめております。有害性情報に関しては以上でございます。

○平林座長 それでは、今の事務局の説明について、御質問、御意見がありましたら、お手元のネームプレートを立ててください。特段御意見等はありませんでしょうか。ということは、原案どおり有害性評価書案が了承されたということでよろしいでしょうか。

 では、続いて、リスク評価結果及び今後の対応に関する審議に移ります。資料2--3のリスク評価書案、資料2--4のリスク評価結果について事務局より説明をお願いします。

○NITE それでは、資料2--3を御覧ください。1枚めくっていただきまして、1番の評価対象物質については、本物質、n-ヘキサンが評価対象物質となっております。2番の物理化学的性状及び濃縮性及び分解性についてです。こちらは先ほど詳細資料で説明した内容が、表2-3に示されております。

 2ページ、3番の排出源情報です。本物質は、化審法及び化管法の対象物質になっております。まず、図1ですが、化審法の届出情報として、輸入数量・製造数量を合わせて、年間約10万トンの取扱いがありまして、平成24年度以降はほぼ横ばいになっております。

 3ページ、表4に化審法届出情報に基づく用途情報、出荷数量、推計排出量をまとめております。今回、評価に用いましたのは、平成28年度の実績のデータになりまして、用途としては、中間物や溶剤が主な用途となっております。この中でゴムに使われる用途がありまして、こちらは長期使用製品の使用段階が想定されますけれども、事業者から企業秘密により排出状況の情報を得ることができませんでしたので、化審法のリスク評価に用いる排出係数一覧表で定められた値を用いまして排出量を推計しております。

 4ページ、図2に化管法に基づくPRTR情報の詳細をまとめております。排出・移動量は約2万トンで、平成22年度以降はほぼ横ばいになっております。基本的には届出の大気の排出が主なものになっております。また、表5にPRTR情報に基づく届出外排出量をまとめております。対象業種(すそ切り)、接着剤、汎用エンジン、自動車、特殊自動車、下水処理施設で推計されています。以上で、3番の排出源情報までの説明になります。

○MOE事務局 続いて、4番の有害性評価の部分です。生態影響に関する有害性評価値については、先ほど御審議いただいたとおりです。

○NITE 続いて、5番のリスク評価に移ります。6ページを御覧ください。5-1が排出源ごとの暴露シナリオによる評価となっております。平成28年度の化審法情報及びPRTR情報を用いて、排出源ごとの暴露シナリオ(PRAS-NITE)を用いて評価しております。ここではPRTR情報に基づくリスク評価のほうが実態を反映しているとしまして、PRTR情報のみを示しております。表8が生態に係る推計結果となっておりまして、水生生物及び底生生物に対して8地点が懸念となっております。以上で、5-1の説明を終わります。

○MOE事務局 続いて、5-2、様々な排出源の影響を含めた暴露シナリオによる評価を説明させていただきます。PRTR届出情報及び届出外推計排出量、平成28年度のものを用いて、様々な排出源の影響を含めた暴露シナリオによる推計モデル(-CIEMS)によりまして大気中濃度及び水質濃度の計算を行い、評価対象地点とした環境基準点を含む3,705地点のリスク推計を行っております。結果は表9のとおりでして、PEC/PNEC比が1以上となった地点は、水生生物に関しては72地点で、底生生物に関しては7地点ありました。また、化審法対象外用途を除外して推計を行った結果についても、次ページの表10に示しておりますが、PEC/PNECを超える地点に関しては同等でした。

 続いて、5-3、環境モニタリングデータによる評価です。平成30年度のn-ヘキサンに係る水質及び底質モニタリングデータを用いてPEC/PNEC比を求めたところ、水質及び底質のいずれもPEC/PNECが1以上となる地点はありませんでした。

 6の追加調査が必要となる不確実性事項等について御説明いたします。追加調査が必要となる不確実性事項については、PRTRの届出情報と、化審法の届出情報の一部不一致、それから、PRTR情報を用いたモデル推計とモニタリングの不整合、それから、有害性のところで、3つの栄養段階で信頼できる毒性値の不足、排出源ごとの暴露シナリオのところでは、リスク懸念地点の河川流量、あるいは毒性の揮発性に関して、また、様々な排出源の影響を含めたシナリオのところにおいては、長期使用段階からの排出実態、また、モデル推計等に基づく懸念地点とモニタリングの地点の不整合、こちらに不確実性があるということです。リスク評価書については以上でございます。

 続いて、資料2--4、行政文書のほうに移ります。リスク評価結果を踏まえた評価結果について御紹介いたします。まず、1つ目の○ですが、n-ヘキサンについて、生態毒性に係る有害性評価として、既存の有害性データから一般毒性の有害性評価値を導出しまして、暴露評価として化審法の届出情報、PRTR情報に基づく予測環境中濃度を計算、また、モニタリングによる実測濃度を収集して暴露濃度の推計を行いました。排出源ごとの暴露シナリオ及び様々な排出源を含めた暴露シナリオによる推計結果では、PECがPNECを超えた地点が見られました。

 一方で、環境モニタリングによる実測濃度がPNECを超過した地点はありませんでした。この環境モニタリング地点には、PRTR排出量が最も多い地点の下流域が含まれておりますが、その地点のPECがPNECを超えた地点の中で環境モニタリングによる実測値、実測濃度が得られていない地点もありました。なお、n-ヘキサンの製造・輸入数量の経年変化は、平成24年度以降は横ばいであり、増加傾向にはありません。

 2つ目の○に移ります。以上のことから、現在推計される暴露濃度では、n-ヘキサンによる環境の汚染により広範な地域での生活環境動植物の生息若しくは生育に係る被害を生ずるおそれがないとは言えないと考えられます。

 3つ目の○に移ります。不確実性のところですが、ただし、PNECの導出に用いることができる信頼できる毒性値というのが、二次消費者(魚類)の急性毒性値のみであり、生産者及び一次消費者の毒性値、二次消費者の慢性毒性値が得られないこと。また、様々な排出源の影響を含めた暴露シナリオにおける長期使用用途由来の環境排出量の推計に不確実性があること。また、PRTR排出量の最も多い地点の下流域において、推計モデルによるPECと環境モニタリングによる実測濃度の結果が不整合であること。また、PRTRの排出量が最も多い地点の下流域1地点を除く、PECの高濃度地点においての環境モニタリングによる実測濃度が得られないことなどから、有害性情報の充実を待ちつつ、長期使用用途を含めた排出実態の調査、あるいは環境モニタリングによる実測データの収集を行うなどして暴露情報の精緻化を図り、再審議に諮るものとする、としております。以上でございます。

○平林座長 それでは、ただいまの事務局の説明について、御質問、御意見等がありましたら、お手元のネームプレートを立ててください。どなたもいらっしゃいませんでしょうか。そうしますと、原案どおりリスク評価結果及び今後の対応が了承されたということになろうかと思います。ありがとうございました。

 では、審議物質1を終えて、次の物質はテトラエチルチウラムジスルフィドの審議に移ります。資料2--1、物理化学的性状等の詳細資料(案)について、事務局より説明をお願いします。

○NITE それでは、パソコンの中に入っております資料2--1、物理化学的性状等の詳細資料(案)を御覧ください。テトラエチルチウラムジスルフィド(別名ジスルフィラム)、こちらはジスルフィラムと呼ばせていただきます。

 まず、4ページを御覧ください。4ページの上のほうに図がありますが、この物質は化審法の分解度試験がなされております。分解度試験の結果、ジスルフィラムはこちらにありますようにジエチルアミンと二硫化炭素が生成しておりますが、どちらの物質も良分解性判定が出ておりますので、ここでは親物質のジスルフィラムを評価対象物質として設定しております。そのジスルフィラムの構造がその下の表に出ております。

 5ページを御覧ください。表1-2には採用いたしましたジスルフィラムの物理化学的性状を載せてあります。例えば蒸気圧ですと4.2×10-4Paということで、こちらが推定値となっております。水に対する溶解度といたしましては、3.82 mg/Lという測定値が得られております。また、logPowに関しましては3.88という測定値が得られております。logPow3以上になっておりますので、こちらは、水生生物のみならず底生生物の評価も必要になるケースになっております。

 少し飛びまして8ページを御覧ください。こちらにはジスルフィラムの分解性データをまとめております。例えば水中生分解を見ていただきますと、こちらは、先ほどの分解度試験の結果がありますので、その分解度試験の分解度に基づきまして、技術ガイダンスに従って半減期を設定しております。その結果、10日と設定しております。土壌と底質の半減期につきましてはデータがありませんでしたので、その水中の半減期のデータに基づきまして、技術ガイダンスに従って設定しております。こちらは言い忘れましたが、先ほど物理化学的性状の設定、分解性に関わるデータ、そして評価対象物質の設定、いずれも、平成30年度第3回優先評価化学物質のリスク評価に用いる物理化学的性状、分解性、蓄積性等のレビュー会議におきまして、専門家の方によって議論されて了承された結果となっております。簡単ではありますが、説明は以上になります。

○平林座長 ありがとうございました。それでは今の事務局の説明につきまして御質問、御意見等がございましたら、お手元のネームプレートを立ててください。特にないようでしたら、原案どおり物理化学的性状等に係る案が了承されました。

 続きまして、資料2--2、有害性情報の詳細資料()について事務局より説明願います。

○MOE事務局 それでは資料2--2に基づいて、こちらも同様にジスルフィラムと呼ばせていただきますが、ジスルフィラムの生態影響に係る有害性情報の詳細について御説明いたします。

 1枚めくっていただきまして、表示は1ページ。先ほどと同様になりますが、リスク評価の技術ガイダンスに従いまして当該物質の生態影響に関する有害性データを収集してございます。それらのデータの信頼性を確認するとともに、既存の評価書における評価や国内外の規制値の根拠となった有害性評価値を参考としつつ、予測無影響濃度(PNEC値)に相当する値を導き出しました。

 なお、本物質に関しましては、先ほど説明にありましたとおり、logPowの値が3.88となってございまして3を超えておりますため、底生生物に関しましても情報収集してございます。

 続きまして、1-1生態影響に関する毒性値の概要です。表1-1にPNECwater導出に利用可能な毒性値をお示ししてございます。本物質に関しましては一次消費者のみのデータが得られております。

 2ページ、()水生生物の慢性毒性の所です。本試験ではOECDのTG211に準拠してございまして、オオミジンコ、D.magnaの繁殖阻害試験が行われてございます。試験に用いられた被験物質の純度は97%、半止水式(週3回換水)で実施されてございます。試験は、対照区及び設定濃度で0.00320.00560.0100.0180.0320.056mg/Lの6濃度区で実施されてございます。試験中の被験物質濃度等の実測は行われてございませんでした。各影響濃度の算出には設定濃度が用いられてございまして、Williams検定により危険率0.01で対照区と暴露区の内的自然増加率について有意差検定を行った結果、LRCT、これはNOECと同等のものですが、第4濃度区の0.018と算出されました。この結果により、内的自然増加率に対する21日間無影響濃度(NOEC)は第3濃度区の0.010mg/Lとなりますが、この濃度区で累積産仔数の阻害率を計算いたしましたところ、17%程度となることから甲長の阻害に対する統計的な有意差が認められたことから、専門家判断により、繁殖、成長に対するNOECは0.0056mg/Lとされました。

 続きましてPNECの導出の所、ページの中段です。1つの栄養段階に対する信頼できる慢性毒性値、ただいま紹介いたしました0.0056mg/Lが得られてございますので、種間外挿のためのUF「10」及び室内から屋外への外挿のUF「10」、合わせて100として0.000056mg/Lを得ました。先ほど触れましたが、当該試験では被験物質濃度の実測が行われていないため、半止水式(週3回換水)暴露における被験物質の減衰に関する不確実性を構造類似物質の試験水中挙動などを考慮した上で、専門家判断によりUF「2」で除し、ジスルフィラムのPNECwaterとして0.000028mg/Lを得ました。上記で、今、算出したPNECwaterについて国内外の規制値などを調査した結果、ジスルフィラムは、主要国で水生生物保全に係る基準値などは設定されておりませんで、国内外のリスク評価に関する情報も得られませんでした。

 続きまして、底生生物についてです。こちらは、信頼性のある有害性データは得られませんでした。このため、水生生物のPNECwaterから平衡分配法によりPNECsedとして0.051mg/kgを導出してございます。

 3ページ目の1-3、有害性評価に関する不確実性解析の部分です。本物質については、PNECwater導出に用いることができる毒性値は一次消費者の慢性毒性値のみであり、生産者と二次消費者の毒性値が得られていない点に基本的な不確実性がございます。また、PNECsedPNECwaterの平衡分配法を用いて求めている点にも不確実性があるということです。

 その下の1-4、結果ですが、今ほど紹介した結果を取りまとめてございます。有害性に関しましては以上です。

○平林座長 ありがとうございました。それでは今の事務局の説明につきまして御質問、御意見等がございましたら、お手元のネームプレートを立ててください。特にございませんか。

○坂田委員 2ページ目のPNECの導出の所の4行目、UF「2」の所です。ここの「専門家判断により」の所、もし可能であれば、化学の知識のある人が考えられる道筋となるような、考え方をもう少し記載いただけたらいいなと思います。御検討いただければと思います。

○MOE事務局 承知いたしました。評価書に記載をもうちょっと増やすという意味ですね。検討させていただきます。ありがとうございます。

○平林座長 ほかにございませんでしょうか。よろしいですか。そうしましたら、今の点を評価書に記載していただくということで、そこを修正した上で有害性評価書()は了承されたということになります。

 続きまして、資料2--3リスク評価の進捗報告について事務局より説明をお願いします。

○MOE事務局 そうしましたら、資料2--3、生態影響に係るリスク評価(一次)の評価Ⅱの進捗報告の資料につきまして御説明いたします。

 まず概要です。1つ目の○は生態影響に関する有害性値についてなので、先ほど御審議いただいたとおりです。

 続きまして2つ目の○と3つ目の○です、これは暴露とリスク評価についてですが。まず初めに4ページ目を御覧ください。当該物質につきましては、排出量の多い用途が漁網防汚剤となってございます。こちらは主に海域への排出が考えられますが、まず、ここの2つ目の○と3つ目の○では淡水域を想定した評価を行ってございます。これは、例えば製造過程での排出であったり、そういったことを想定したものです。暴露評価といたしましては、化審法の届出情報、こちらは長期使用用途を含むもの、それからPRTR情報に基づく予測環境中濃度(PEC)の計算を行ってございます。結果ですが、排出源ごとの暴露シナリオによる評価及び様々な排出源の影響を含めた暴露シナリオでは、PECがPNECを超過する地点はございませんでした。

 今後の対応についてですが、先ほど述べましたとおり主要な用途が漁網防汚剤ということで、海域への排出が予測されてございます。海域における化学物質の濃度推計モデルといたしましては、これまで船底塗料の評価の際に当審議会でも紹介のございましたMAMPECという数理モデルを適用し濃度推計を行おうと考えているところです。それに当たり現在は、対象の海域の設定方法というところにつきまして、経済産業省、環境省、NITEで調整を行っているところです。また、環境モニタリングにつきましては分析法の開発を行っているところです。これらの開発状況等を含めながら、当該データのリスク評価への活用についても行っていくところとしてございます。以上です。

○平林座長 ありがとうございました。ただいまの御説明につきまして御質問、御意見等がございましたら、お手元のプレートを立てていただきたいと思います。大丈夫でしょうか。特にないですか。ないようでしたら、以上で本件についての質疑を終わりたいと思います。

 次の審議物質3ビス(N,N-ジメチルジチオカルバミン酸)N,N’-エチレンビス(チオカルバモイルチオ亜鉛)について審議に移りたいと思います。資料2--1、物理化学的性状等の詳細資料(案)について事務局より説明願います。

○NITE それでは説明させていただきます。先ほどと同じようにパソコンに入っております資料、2--1の資料をお開きください。ビス(N,N-ジメチルジチオカルバミン酸)N,N’-エチレンビス(チオカルバモイルチオ亜鉛)ということで、別名ポリカーバメートですので、ポリカーバメートと略して説明させていただきたいと思います。

 資料2--1の1ページを御覧ください。こちらはまず、評価対象の物質について議論がございます。こちらのポリカーバメートは化審法の分解度試験が実施されております。ただ、ポリカーバメート自体が各種溶剤への溶解性が悪く、また、速やかに変化するため適切な分析条件で確立することができなかったというような記載がございます。また一方、試験状況下におきましては、ポリカーバメート自体は全て分解、変化いたしまして、イミダゾリジン--チオン、ジメチルジチオカルバミン酸、ジメチルアミン、二硫化炭素及び亜鉛を含む不明変化物、大部分は不溶性の変化物ということですけれども、これらの物質に分解したという記載がございます。化審法の評価対象といたしましては、分解物のうち良分解性のものは採用しないとなっておりますので、分解物の1つでありますイミダゾリジン--チオンと、親物質であるポリカーバメートの2物質につきまして、このポリカーバメートの評価対象物質にするとさせていただいております。そのために、この2物質につきまして物理化学的性状と分解性について書いてあります。

 3ページ目にいきますと、こちら、ポリカーバメート、親物質の物理化学的性状がございます。こちらは先ほどと同じように、logPowに関しましては1.53ということですので、底質については評価を行わない、水性生物だけの評価を行うというものです。また、蒸気圧は1.53×10-10という非常に小さい値になっておりますけれども、こちらは推計値でして、水溶解度は2.7mg/L、こちらは20℃での測定値となっております。

 5ページ目にいきますと分解性、こちらは親物質の分解性なのですけれども、水中のものに関しまして、加水分解してすぐに変化というような情報はあったのですけれども、定性的な話でして、定量的な議論が書いていなかったために半減期のほうは安全側ということで設けていません。

 7ページ目は、評価対象のもう1つであります子物質のイミダゾリジン--チオンになっております。こちらに関しましては、水溶解度が27,400mg/L、蒸気圧が0.046という値となっております。こちらのlogPow-0.67ということで、底質の評価を実施しておりません。

 次に、9ページ目にいきますと分解性の値がございます。こちらは、ラジカルの反応で0.13という大気の分解半減期だけがあると。あと、土壌、底質というところで、数値のとおり、28日といったような分解半減期を設けております。こちらの値につきましては先ほどと同様に、開催された日時は違うのですけれども、平成301012日に開催されました平成30年度第2回物理化学的性状レビュー会議、第3回レビュー会議、そして令和元年度に行われました令和元年度第1回レビュー会議で了承された値となっております。以上で資料2--1の説明を終わらせていただきたいと思います。

○平林座長 ありがとうございました。それでは、ただいまの事務局の説明について御質問、御意見等がございましたら、お手元のネームプレートを立ててください。特にございませんでしょうか。そうしましたら、原案どおり、物理化学的性状等に係る案は了承されました。

 続きまして、資料2--2、有害性情報の詳細資料()について事務局より説明願います。

○MOE事務局 それでは資料2--2に基づいて、こちらも同様にポリカーバメートと呼ばせていただきますが、ポリカーバメートの生態影響に係る有害性情報の詳細について御説明いたします。

 1枚めくっていただきまして、表示1ページにございますリスク評価の技術ガイダンスに従いまして当該物質の生態影響に関する有害性データを収集いたしまして、それらのデータの信頼性を確認するとともに、既存の評価書における評価や国内外の規制値の根拠となった有害性評価値を参考としつつ、予測無影響濃度(PNEC値)に相当する値を導出いたしました。本物質に関しましてはlogPow1.53となってございまして、3未満のため水域での懸濁物質の吸着や底質への移行などの可能性が低いため、底生生物のリスク評価は行ってございません。

 続きまして、1-1、生態影響に関する毒性値の概要です。表1a、表1bに親物質のポリカーバメートと分解物のイミダゾリジン--チオンのPNECwaterの導出に利用可能な毒性値を、それぞれお示ししてございます。両物質に関しましては、採用を行うとされた急性毒性値及び慢性毒性値の知見のうち、栄養段階ごとに最も小さい値をPNECwater導出のために採用してございます。

 まず親物質ポリカーバメートについてですが、慢性毒性値として、生産者と二次消費者、急性毒性値として、一次消費者のデータがそろっております。二次消費者の慢性毒性値に関しましては、マミチョグという魚類を用いて水産庁が公表している海産生物毒性試験指針及びOECDのTG210に準拠した試験を行ってございます。マミチョグ自身は、OECDのTG210の推奨種となっているわけではありません。当該TGでは推奨種以外の魚類の使用を制限しているわけではなく、また、マミチョグ自身は古くから、魚類毒性学や魚類生理学など、幅広い分野で試験魚として用いられており、試験魚として実績が十分にあることなどから、当該試験を有害性評価に用いることは妥当であると判断してございます。

 ページ中段のPNECの導出の所です。2栄養段階の慢性毒性値が得られてございますが、このうち小さいほうの値を種間外挿「5」で除し、0.00009mg/Lを得ます。一次消費者の急性毒性値については0.0068mg/Lが得られてございまして、これにACR、急性慢性比ですけれども、100で除した値が慢性毒性候補値です。この2つの値の小さいほうに室内から屋外への外挿「10」で除してポリカーバメートのPNECwater0.000009mg/Lを得ました。なお、ポリカーバメートは主要国で水生生物保全に係る基準などが設定されておらず、国内外のリスク評価書に関する情報も得られませんでした。

 続きまして、分解物のイミダゾリジン--チオンについては、慢性毒性として生産者、一次消費者、急性毒性として二次消費者のデータがそろってございます。

 ページ中段、PNEC導出の所ですが、2栄養段階の慢性毒性値が得られておりますが、このうち小さいほうの値を種間外挿「5」で除して0.64mg/Lを得ます、二次消費者の急性毒性値については1,000mg/L超という数字が得られてございますが、慢性毒性値から得られた値に室内から屋外の外挿係数「10」で除してイミダゾリジン--チオンのPNECwater0.064mg/Lを得ました。

 イミダゾリジン--チオンの主要国での水生生物保全に係る基準等は設定されてございませんでした。国内外のリスク評価に関する情報につきましては独立行政法人製品評価技術基盤機構が公表している化学物質の初期リスク評価書で検討されてございますが、環境中の水生生物に悪影響を及ぼすことはないとされております。また、世界保健機構(WHO)が公表している環境保健クライテリアではイミダゾリジン--チオンの魚類、ミジンコ、クロレラ属に対する毒性は非常に弱いとされておりますが、リスク評価書に用いる具体的な数値は示されてございませんでした。

 続きまして、1-3、有害性評価に関する不確実性解析です。親物質に関しましては、一次消費者の慢性毒性値が得られていない点に不確実性がございます。また分解物に関しましては、二次消費者の慢性毒性値が得られていない点に不確実性がございます。

 1-4、結果ですが、今ほど紹介いたしました結果を取りまとめてございます。有害性につきましては以上です。

○平林座長 ありがとうございました。ただいまの事務局の説明について御質問、御意見等がございましたら、お手元のネームプレートを立ててください。

○恒見委員 3ページの慢性毒性値、最終的に採用した藻類の試験に関して御質問です。3ページの14行目に助剤が使われていますけれども、4ページの11行目、12行目でOECDガイダンスの規定された濃度、それは超えていると考えてよろしいでしょうか。それから、3ページの13行目に助剤対照区もありますので、その助剤対照区での試験では特に影響がなかったからこの試験を採用したと考えてよろしいでしょうか。もしよろしければ、採用した試験ですのでそういったことを記述していただくことを検討していただければと思っております。

○MOE事務局 承知しました。助剤の影響に関しましての御指摘に関しましては、そのとおりです。あと、助剤の影響に関しましての記載につきましては、その旨、記載させていただきたいと思います。

○平林座長 ありがとうございました。ほかに御意見等はございませんでしょうか。特にないようでしたら、今の点、助剤のことについては加筆していただくということで有害性評価書()は了承されたことにしたいと思います。

 続きまして、資料2--3リスク評価の進捗報告について事務局より説明をお願いします。

○MOE事務局 続きまして、資料2--3、ポリカーバメートの生態影響に係るリスク評価(一次)評価Ⅱの進捗報告について御説明いたします。

 まず、概要です。1つ目の○は、評価対象物質としてポリカーバメート、こちらは親物質ですが、こちらとその分解物のイミダゾリジン--チオンを選定した旨、記載してございます。また、2つ目の○につきましては、生態影響に関する有害性値につきまして、こちらは先ほど御審議いただいたとおりです。

 続きまして、2つ目の○と3つ目の○、暴露のところとリスク評価のところですが、こちらにつきましても4ページ目を御覧いただければと思います。当該物質につきましては環境排出量の多い用途として、先ほどのジスルフィラムと同様に漁網防汚剤となっておりまして、主に海域への排出が考えられます。そのため、ここではまず淡水域を想定した評価を行ってございます。暴露評価といたしましては、化管法届出情報(PRTR情報)に基づく予測環境中濃度(PEC)の計算を行ってございます。

 結果ですが、排出源ごとの暴露シナリオによる評価では、PECがPNECを超過する点はございませんでした。また、モニタリングデータにつきましては、イミダゾリジン--チオンの実測値は得られておりますが、PECを超過する地点はございませんでした。

 今後の対応についてです。先ほど述べましたとおり、主要な用途が漁網防汚剤ということで海域への排出が予想されます。海域における化学物質の濃度モデルといたしましては、MAMPECという数理モデルを適用し、濃度推計を行うことを考えてございます。これにつきましては、対象の海域等の設定方法につきまして、現在、経済産業省及び環境省、NITEで調整を行っているところです。環境モニタリングにつきましては、本年度、モニタリングが行われております。本年末には速報値の確定値が出される予定となってございます。今後は、MAMPECを用いた濃度推計又は環境モニタリングデータに基づく評価を行っていく予定です。以上です。

○平林座長 ありがとうございました。ここまでの事務局の説明につきまして御質問、御意見等がございましたら、お手元のネームプレートを立ててください。

○坂田委員 今、御報告いただきました進捗報告の紙なのですけれども、これは、中間報告といいますか、これだけが、今後、外に出ていく、一人歩きすることはないという理解で良いでしょうか。といいますのは、右上には役所の名前も入っておりません。これだけを見ますと、親物質の有害性評価の所で、PNECが0.000009ですか、これが出た実験条件は非常に特殊といいますか、ほぼ親物質が分解してしまうような状況下ですので、そういったことも事実として常に書いておいていただかないと。それを書いておいてもらえば、化学的な知識をお持ちの方は、ああ、そうかそうか、分解するんだな、いや、分解物があったのかとか、だから分解物をやるのかとか、いろいろ考えられると、理解できると思うのです。今のような状況で単に数字だけを出しますと、変化物のほうはほぼほぼ実測濃度、実験条件の100%ぐらいで分解しない、親物質はとにかく70%なり80%が分解してしまうような、そういった特殊な条件でのものだと思いますので、そういった事実は、できれば一人で外に出ていくような報告書の場合は常に書いていただけたらと考えております。

○MOE事務局 ありがとうございます。そうしましたら、PNECの値自体はこのまま採用させていただくということにして、例えば補足、注釈のような形で実験の分解があったようなものを。

○坂田委員 そうですね、そういった情報が常に付いていくような、いってくれたらと思います。

○MOE事務局 承知しました。ちょっと検討させていただきます。

○坂田委員 検討いただければ。

○平林座長 よろしいですか。ほかに。特にほかに御意見がないようでしたら、以上で本件についての質疑は終わりたいと思います。

 それでは次の物質α-(ノニルフェニル)-ω-ヒドロキシポリ(オキシエチレン)、ノニルフェノールですけれども、その審議に移りたいと思います。資料2--1、ノニルフェノールの有害性評価に関する審議会委員による意見交換会第1回概要報告について、事務局より説明願います。

○MOE事務局 ノニルフェニルエーテルの有害性に関する審議会委員による意見交換会の概要報告に入る前に、少しこれまでの経緯と意見交換会の位置付けについて整理させていただこうと思います。

 ノニルフェニルエーテルに関して、ここではNPEと呼ばせていただこうと思います。NPEに関しては、平成30年3月にリスク評価の進捗報告がなされた後、いまだに結論には至っていません。この1つの理由として、NPEの変化物であるノニルフェノール、こちらもNPと呼ばせていただこうと思いますが、これについてのキーデータ候補であった魚類の慢性毒性試験、これはMEOGRT試験と呼ばせていただきますが、こちらについてその妥当性についての議論が審議会で平行線であったということがあります。このため、特別に3省の専門家によって、その妥当性について詳細な評価を行うための意見交換会を立ち上げたというものです。

 一方でMEOGRT試験の妥当性の確認に時間が掛かる中、速やかなリスク評価を実施するために、平成31年3月の審議会において次点のデータ、これが後ほど御審議いただくアミのデータになりますが、こちらのデータも並行して検討を行うこととなりました。

 それでは、まず資料2--1です。こちらに関して、冒頭、簡単に私から説明させていただきます。NPEの有害性評価に関する審議会による意見交換会の第1回の概要報告として、令和元年度1129日に開催しました。こちらの議事については、お手元のパソコンの資料2--1の参考のほうに記載をしていますが、議題①としては、試験条件、本試験の水温等の状況に係る認識の共有。②として、水温がNPの魚類毒性に及ぼす影響について。③本試験の水温が、試験結果に与えた影響について。④としては、NPの暴露による生物学的に有効と言える影響が検出されているかどうかについて。⑤MEOGRTの結果を用いて、定量的なリスク評価に使う化審法のPNECを算出することの妥当性について。そういう流れで、議論をさせていただいています。

 その議論の内容については、この意見交換会で進行役を務めていただいた広瀬先生にお願いすることとなっています。広瀬先生、どうぞよろしくお願いいたします。

○広瀬委員 説明させていただきたいと思います。議論の概要については、資料2--1の2ページ目にまとめてあります。そこに書いてあるとおりですが、議題は先ほど環境省から説明のあった5つの議題について、順番に討論を進めていきました。

 まず、試験条件。本試験の水温等の状況に係る認識の共有については、この報告書の中で水温の測定の定点等があって欠落した点がある。その点の状況について、施設の具体的な図面や水がどのようなフローになって、どこにどれくらい水の時間貯まって、実際に何リットルぐらいの水がどういう状況で水層に供給されたかと、そういったところを国環研から説明していただきました。それに関して、実際もしこの状況で停電等があったらどういう状況になるだろうかということが、図面等で状況が分かるようにというところで、説明をしていただき、委員の中でまず事実はどうであったかという認識をしたところです。

 そのときに実際、水温といっても測る場所がどこかによって、状況がいろいろ違いますので、その点について実際に提示された図面で、ここはこの時間に測定して、ここはこの時間に測定されていない、そういったことを確認したわけですが、そういう状況は分かったのですが、報告書に出てきたグラフの測定値がそのときに提示されていた図面のどこの場所かといった相関が少し分かりにくかったので、その辺を明らかにすることを事務局に依頼しました。さらにそれ以外の空調以外の変動の理由が22日になかったか、そういったところをもう少し詳しい情報を調べて提供していただくといったところで、この議題については取りあえずは終了しました。事実はこうであったという認識は、皆で共有できたと思います。

 2番目の水温がNPの魚類毒性に及ぼす影響についてですが、水温自体が魚の毒性に影響するのか、どのくらいの温度であればするのかということについて、教科書レベルやいろいろなレベルでのデータがどう影響の判断に使えるかについて、議論しました。当初は急性毒性など、そういったことも念頭にあったのですが、急性毒性は、ちょっと対象として考えるのは適当ではないだろうと、それ以外のほかの種でもいいのですが、産卵に対しての温度の影響があるかどうかというデータについて参加された委員の方が持っていたので、その場では細かいデータの精査はしませんでしたが、参考になるかもしれないことも考慮して、もう少しいろいろなエンドポイントに対しての水温の影響の論文を各委員から提供していただいて共有する。それを次回に話して、議題とするという認識でこの議題は終了しました。

 3番目の本試験の水温が試験結果に与えた影響についてですが、これは停電の前後で産卵数の変動があるように、見た目では見えるというデータがあったので、その辺については本当にそうだったかどうかということを、もう少し統計学的な解析等をして、影響の具合が統計学的にどのくらい有意であったか、そういう客観的なデータも少し計算したデータを追加して、どのくらい影響があったかということについて宿題というわけではないですが、事務局に依頼しました。実際、どのくらい影響を与えたかについてはここでは結論は出ませんでした。影響を与えるのだろうといったところですが、定量的なことについては少し宿題として残ったということです。

 4番目のNPのばく露による生物学的に有効といえる影響が検出されているかどうかについては、具体的には産卵数の変化ということなのですが、実際、論文、あるいは報告書にはそれ以外にもいろいろなエンドポイントを測っているわけです。それぞれ全部が、温度とその試験で影響があったかどうかについては、1つ1つ少し精査をしていこうとなりました。それについては、事務局で次回までにそれに対しての一覧表を作って検討するということになりました。

 最後の5番目、意見交換会ではここまでに時間がかなり掛かってしまいましたので、これを実際にリスク評価に使うかということについては、1、2、3、4のデータをもう一度そろえ直して評価して、2回目の意見交換会で再び5番目の件について検討するということで、意見交換会は終了しました。以上です。

○平林座長 ありがとうございました。それでは、今の事務局の説明及び広瀬先生からの御報告に関して、御意見、御質問等がありましたら、お手元のネームプレートを立てていただきたいと思います。特段ないようでしたら、意見交換会に係る今後の予定について、事務局から説明を頂けますか。

○MOE事務局 次回の意見交換会については、1月27日に第2回目を行う予定です。以上です。

○平林座長 では、続きまして、資料2--2、有害性情報の詳細資料()について、事務局より。

○青木委員 その前にちょっといいですか。ここにある資料の2-4のシリーズのうちの2--1の別紙は、公開資料になりますか。議事録ですが、これはホームページ上に載せますか。そうでしたら、ちょっと発言しなくてはいけないことがあるのですが、実際の名前を挙げて申し訳ないのですが、この議事録の14ページの冒頭です。私の名前が出ているので申し上げなくてはいけないのですが、私のコメントで「もっと低いところから出る可能性は高いと思っているが、データはない」というコメントを頂いていますが、私の出したコメントで書いてある文章は、正確に申し上げますと、「50μL以下の濃度でノニルフェノール(NP)が明確に貧血状態を引き起こす証拠は見当たらない」というのは書かせていただいています。私の渡した文章の中に「可能性」という文言は、もう一回探してみたのですがありません。一応、この点だけは事実の誤認があるといけませんので、申し上げたいと思います。

 それから、もちろん可能性があるかないかということは、これはそれぞれの先生方の御見識だと思いますので、そこについてはこの段階では特に申し上げません。以上です。

○平林座長 ありがとうございました。これは事務局に訂正していただいて。

○MOE事務局 はい。

○青木委員 修正は別にいいです。そういう発言があったのは事実なので。

○MOE事務局 はい。

○平林座長 よろしゅうございますか。そうしましたら、次の資料2--2の有害性情報の詳細資料()について、御説明をお願いします。

○MOE事務局 資料2--2、ノニルフェニルエーテルの有害性情報の詳細資料(案)について、説明させていただきます。

 先ほど少し説明させていただきましたとおり、MEOGRTに関しては引き続き意見交換会で議論を継続するということになっています。ここでは、リスク評価を進めるために次点のアミのデータを中心に御審議いただきたいと考えています。なお、次点のアミのデータについては、ノニルフェノールの環境基準を設定する際に用いられていないことから、こちらの化審法を採用することを含めて詳細に説明させていただこうと思っています。また、アミのデータに関しては、既にこちらで審議することになってからしばらく時間が経っていまして、アミのデータで審議することに関しては今回が初めてということになっています。

 それでは資料2--2に移らせていただきます。1枚目、少しおさらいになりますが、NPEに関しては親物質だけでなく変化物も2種類、評価を行っているところです。変化物の1つがノニルフェノールという物質です。

 13ページ目を御覧ください。こちらにそれぞれの物質についての有害性情報をまとめています。表3aから3cです。親物質に関しては、甲殻類の急性のみが一次消費者の急性データのみ得られているということです。変化物のNPEのEO数が1と2のものに関しては、生産者の慢性毒性、一次消費者の慢性と急性毒性値が得られています。変化物2のノニルフェノールに関しては、3種の慢性データがそろっているところです。底生生物に関しては、ノニルフェノールのみが実データが得られています。その他に関しては、得られなかったということです。そのため平衡分配法によって求めるということになっています。現在、表3cの水生生物の所がNPの慢性毒性値につき、3省で合意できていないところです。こちらの表のうちBの部分が、今回、御説明する次点のアミのデータということになっています。

 8ページ目を御覧ください。28行目、慢性毒性値の一次消費者、甲殻類の部分のデータが、次点のアミのデータとなっています。こちらの試験はEPA40CFR797に準拠し、アミ科の1種Americamysis bahiaを用いた繁殖試験。こちらがGLPに準拠して行われています。被験物質は、純度95%超の4-ノニルフェノールを用いて実施しています。設定濃度は、対照区、助剤対照区、0.0040.0080.0120.0180.030mg/Lで実施されました。実測値の平均濃度は、0.00390.00670.00910.0130.012mg/Lとなっており、平均実測濃度に基づき成長に対する28日間最大無影響濃度(NOEC)は、0.0039mg/Lとなっています。

 9ページ目、中段のPNEC導出です。現在、別途協議中のMEOGRT試験と併記した場合、次点のデータ以下ということを考慮しますと、PNECwaterの導出については、慢性毒性値として3栄養段階、これは生産者と一次消費者、二次消費者の慢性毒性値が得られているところから、このうち最小の先ほど紹介したアミの毒性値0.0039mg/Lに室内から野外へのUF「10」で除した値0.00039mg/LがノニルフェノールのPNECwaterとなります。

 NPE及びNPに関しては、主要国で基準値などが設定されています。例えば米国のAquatic life criteriaでは、連続許容濃度として6.6μg/L。あるいは英国では水質基準として年間平均値で0.3μg/Lが設定されています。我が国では、NPの生活環境保全に関する環境基準としては、水生生物の産卵場又は幼稚仔の生育場として、特に保全が必要な水域として0.6μg/Lが設定されています。なお、ノニルフェノールの水生生物保全に係る水質環境基準で、毒性情報を収集する対象となっている生物は、化審法でのリスク評価Ⅱとは異なっていることには留意が必要であるということです。

 12ページ、1-3を御覧ください。水生生物の不確実性の所ですが、こちらは生産者、一次消費者、二次消費者で慢性毒性値が得られています。不確実性は小さいということになっています。

 1-4の所、繰り返しになってしまいますが、アミに関しては表3cの水生生物の右側Bの部分になっています。

 続きまして、23ページを御覧ください。こちらの()として水生生物保全に係る基準値などの設定状況を示しています。この中で今回のアミのデータの位置付けについて、少し記載させていただいています。ノニルフェノールのアミデータについては、環境基準を設定時にあったものですが、我が国の水生生物保全に係る水質環境基準の根拠には含まれていません。その理由として、平成24年の中央環境審議会の水生生物の保全に係る水質環境基準の項目追加などについての第一次答申では、その主な理由として国外種とされています。

 一方で化審法において、本審議会でも承認されている技術ガイダンス、こちらはお手元のパソコンに収録されている、「参考2、化審法における優先評価化学物質に関するリスク評価の技術ガイダンス」があります。これは740ページありますが、そのうちの184ページ目を御覧ください。こちらの中で有害性評価Ⅱでは、水生生物に加え当該優先評価化学物質について既に得られている組成、性状等に関する知見に基づいて、その優先評価化学物質が環境中において、底質に分布しやすいものである場合に底生生物の対象とする、この後が今回の主な点です。優先評価化学物質のリスク評価では、生活環境動植物が対象とされていますが、ヒトの生活環境には多種多様な動植物が存在し、これらの影響を評価するためには可能な範囲で多くの動植物に関する有害性情報を収集し、評価することが望ましいとされています。そこで有害性評価Ⅱ以降で有害性データを収集する生物種は、化審法試験の対象種に加えてほかの法令などにおいて定められた試験法、OECDテストガイドライン、ISOの試験法などの国際的に認められた試験法及び米国など諸外国の標準試験法など、以下特定試験法と呼びますが、その対象である水生生物又は底生生物とすることとなっています。

 今回のアミに関しては、米国のEPAの試験法の推奨種です。このため化審法でガイダンスに定める対象種には合致することとなっています。EPAの試験法に基づいた試験結果は、各国で規制値などに用いられています。これも国際的に認められているものです。また今回、取り上げているアミのデータというもの自身も、例えば欧州連合での水枠組指定での環境基準、あるいはカナダ、Canadian water qualityのガイドラインにも採用されているものです。

 上述のように、アミは化審法における推奨種に該当していまして、当該試験の信頼性についても確認しているところから、生活環境動植物の生息又は生育への影響を捉えるためにも用いることができると考えられるため、今回、採用させていただいている次第です。以上です。

○平林座長 それでは、ただいまの事務局の説明につきまして、御質問、御意見等がございましたら、お手元のネームプレートを立ててください。

○金子委員 幾つか質問させていただきます。この技術ガイダンスで、淡水生物と海水生物では感受性に差がないものとすると書かれているのですが、今、配られた資料の29ページを見ていただきますと、17番にアミのデータがありまして、その後、一次消費者としてオオミジンコ等が記載されていますが、オオミジンコというのは、一般的には日本の固有種、近縁系も含めて国内種と考えられているのですが、これの平均値とアミとを比べると10倍以上の差があって、15倍ぐらいの差があるような計算になるわけですが、このようにガイドラインでは淡水と海水の、アミは海水といっても汽水域の生物で、北アメリカだけに存在する生物だということが言われていますが、このようなことで、オオミジンコとアミですごく海水性と淡水性で差があるということで、このガイドラインでは淡水性と海水性は感受性に差がないものとして、評価するということなのですが、このように差がある場合は、このガイドラインどおりの評価でいいのでしょうか。これが最初の疑問です。

 続けて言わせていただきますと、このアミの論文は、GLPで実施されていることは確かです。ただ、レポートをよく見ますと、分析法については非常に簡素な形で書かれていまして、今のレベルから見ると、本当にきちんと分析されているのかなという心配があって、特に添加回収率と検出限界が普通の定量限界なのか検出限界なのかが分からないという、非常にクリティカルな問題があるので、日化協様にお願いして、元のデータを取っていただく努力をしたのですが、29年前の試験なので、クロマトとか分析法の詳細なものはないということです。ただ、分かったことは、この試験はACCというアメリカ化学協会がEPAの要請を受けて、ボランタリーにしたスタディーだということなので、分析方法がある程度簡易なのかなと思ったのですが、それについて、この著者は2人なのですが、彼らの他の論文を見たのですが、やはり分析法について疑問が残り、問題は解決していないので、環境省様から、いろいろと私どもの質問に対して回答は頂いているのですが、それについてまだ継続的に議論をしているというのが今の段階です。今日はそういうレポートの細かい議論をするよりは、もう少し違う、淡水性と海水性で、技術ガイダンスは差はなく取扱うというのですが、実際には10倍以上の差がある場合は、本当にどういう取扱いでリスク評価をすればよいのか。例えば海水性のPNECで河川のPECを割るというのは、本当に意味のあるリスク評価になっているのかというのが気になっています。その辺について御見解をお願いしたく。まず技術ガイダンスの淡水性と海水性に感受性に差はないとするとあるので、それが前提だということですが、このように差がある場合は、それでも一緒にしてリスク評価をするということなのでしょうか。

○MOE事務局 海水と淡水の生物については、それぞれの対象とする生物種に関しても、現在のところ、基となるデータが必ずしも全て充実しているわけではありませんので、今の段階では同等に扱うというような運用をせざるを得ないのかなと思っています。

 また、例えば海水と淡水というように明示的に分けて評価をしていくことになりますと、例えば化学物質の用途であったり、海水のほうに出やすいものであれば、その評価に関しては海水の生物を用いなければいけないだとか、そういった話にもつながってきてしまいますので、今のところは同等と扱って評価を行いたいと考えてございます。

○金子委員 それは額面どおりなのですが、そうすると、例えば海水の中の生物で非常に高い感受性を持つ生物と、普通の河川の生物で、それほど感受性が高くない場合に、PECとPNECを比較する場合は、非常にリスクを過大評価することになりますよね。そういう場合は、リスクを、逆に言えば過小評価したり、過大評価したりするというようなことがあるので、その辺は是正していくべきではないかなと思います。

 それと、海外の、これはEPAのガイドラインでOPPTシリーズでは、カキとか、アメリカ固有の生物種の試験方法が列挙されています。それはTSCAとかFIFRAで要求されますが、アミの論文がほかでもたくさん利用されているとおっしゃったと思うのですが、特にEU、REACHですが、REACHの考え方は、今、動物愛護の観点から、できる限りあるデータは取っていこうということと、御存知のように、EUはたくさんの国の集合体なので、環境が非常にバラエティに富んでいます。例えば地中海のほうと北海のほうでは全く違うので、そういう面で、いろいろなデータを取れる可能性はあるのですが、日本の場合は、それほどEUほどバラエティに富んでいるかといったら、そうではないのではないかと思うので、アミがEUで取られているから日本でも取って大丈夫だということとは少し違うのではないかと思うのですが。

 それで申し上げたいのは、例えばEPAの場合は、魚の試験では、まず第1選択種は国内種が選ばれて、その場合は淡水と海水の2つに分かれて、淡水の場合でも温度の違いによって、冷水域にいるものと、温水域にいる魚をそれぞれ魚種を選定しています。2番目の選択肢はISO等で含まれるWell Established Speciesというようになっています。

 ですから、中国等も含めて考えますと、やはり国内種が第1選択で、2番目は世界的に利用される、特にOECD、ISOで推奨される生物種を認めますよと。それ以外だと理由を付けていないと認めないということですので、そういうことから見ると、国内種と、かつOECD、ISOで認められたインターナショナルなガイドラインではないかなと思いますと、アミは、それはインターナショナルなガイドライン、OECDガイドラインにはまだなっていないというように思っています。

 それで間違っているかもしれませんけれども、エンドクリン試験の、レベル5で、OECDでアミを使おうと、内分泌攪乱でやったということですが、途中で断念したという情報がありまして、理由がちょっとよく分からないのですが、ですけれども現段階としては、OECDのようなインターナショナルなガイドラインにはアミは使われていないと考えております。ですから、結論的には、この生物種から得られたPNEC、毒性値を日本の規制値に使うことが本当に正しいのかどうかというのは、もう一度考え直していただきたいというのが私のお願いです。

○小山委員 生態毒性の専門家として、金子委員の質問について答えということではありませんが、私なりの意見を申し上げます。私自身の個人的な意見ですが、金子委員のおっしゃるように、海水の生物と淡水の生物の生態影響を分ける必要があるというのは、私も同意見です。ただし、ここの化審法の枠組みでは、今までずっと淡水と海水についての生物の感受性は同等であるという前提で議論を行ってきました。したがって、今現在、淡水と海水で違うのだから、これは別物だからというような議論はできないかと私は思っています。

 それから、今回、Americamysis bahiaがオオミジンコに比べてかなり感受性が高い。そうであれば、逆にそれは使うべきである。非常に感受性が高い、安全側にデータとして取れるのであれば、それはむしろ積極的に使うべきであろうというように、生態保全を考えれば、私はそのように考えて当然だと思っております。

 それから、ヨーロッパのバラエティの話がありました。日本だって、北海道から沖縄まで非常にバラエティは高いわけです。Americamysis bahiaというのは、歴史的に言えば、昔は日本に生息しているアミ類のミシドシス属と同じ属だったのです。ですが分類が変わって、別の属になりました。ただし、分類学的に言いますと、漢字が違って族です。1つカテゴリーが上になりますが、同一族に属しておりまして、ざっくり言えば近縁種であろうというように言えるかと思います。

 そして、日本の在来種のミシドオプシス属の、これは急性毒性試験しかデータがありませんので、残念ながらそこで比較するしかないのですが、日本の在来種の急性毒性値と、Americamysis bahiaの急性毒性値を比べますと、そんなに大きく変わらないと。ということは、日本の在来種の感受性と比べて、そんなに大きく変わらないだろうということが言えるかと思います。

 それから、GLPにつきましては、アメリカでGLPで認められたものは日本がGLPを覆すということになると、これは何でそれを使わないのかという理由を付けなければいけないと思いますので、それは私としてはちょっとできないかなという気がしています。以上です。

○金子委員 たくさんおっしゃったのですが、まず2つ申し上げたいのは、GLPだからいいのだと。GLPと科学のクオリティとは別問題で、それは切り離して考えるべきだろうと。GLPは各ステップを保証して、データの信頼性を保証するだけであって、科学の信頼性を保証するわけではないということで、GLPでやったから絶対に取らないといけない、日本でもこれを受け入れるべきかというのは、少し違うのではないかと思います。

 もう1つは、アミは国内種と近縁種だとおっしゃったのですが、水質保全に関わる資料が、この前配られたのですが、平成20何年度だったか、環境基本法に基づいたもので、そのときは、一応はアミは国外種と判断されたのですね。そのとき、失礼ですが、先生は出席されていたと、名簿には白石先生と小山先生は出席されていたと記憶しているのですが、そのときと今では状況が変わったのでしょうか。

○小山委員 先ほどありましたが、これは事務局から答えが出ていますね。先ほど先生がおっしゃったような、水生生物保全に関わる環境基準の枠組みと、化審法の枠組みが違うわけです。したがって、そこで対象種となるものは違ってくるというのは、先ほど事務局が既に答えておりますので、それが答えです。

○金子委員 いや、そのことを聞いているのではなくて、環境省の事務局が言われたのは、ガイドラインに従ってやると、今までは生活環境動植物だったのを、もっと幅広く広げて精査をするということであって、国外種と国内種の話とはまた別の問題で、その種が、要するに近縁種が日本にいるのかいないのかということについてお聞きしているわけで、環境省のガイドラインがこう変わったからという問題ではなくて、国外種と、何年か前、平成26年ぐらいにはそうあったものが、今は国内にも近いものがあるから、ほとんど国内種だというようなことを言われたという理解でよろしいのでしょうか。

○小山委員 ええ。ですから、先ほどから申し上げている水生生物保全の環境基準に関しては、おっしゃるとおり国内種をもって基準を策定いたしました。しかし、化審法については、先ほどから言っているように、もちろん国内種は使います。それよりももっと広げていろいろな生物についてのデータを取りましょうというように、先ほど事務局がガイドラインでこのように決められていますという説明をされたと思うのです。ですから、我々は、今回のAmericamysis bahiaのデータも使うというように判断したわけです。

○山本委員 すみません、よろしいですか。

○平林座長 はい。

○山本委員 少し追加でお話させていただきたいのですが、先ほど金子委員がおっしゃった海水と淡水の件ですが、そこについては小山委員と一緒で、私も同意させていただきます。

 先ほどからお話されている国外種と国内種の件なのですが、伺っていると分かりにくくなっているのが、ここの化審法の枠組みだと、テストガイドラインに沿って、国外種のデータもかなりこれまでに受け入れてきたのではないかなとは思うのです。例えば魚だとゼブラフィッシュのデータであったり、ファットヘッドミノーのデータであったり、これは明らかに国外種だと思います。こういった標準的な試験法で使われているものについては、これまで使われてきたと思いますので、国内種、国外種ということだけで、完全にアミを排除するというのは少しおかしいのではないかなと思いました。そこのところは少しはっきりされたほうがいいのかなとは思いました。

 恐らくおっしゃっているのは、アメリカのということなのかなと思うのですが、そこも、先ほど小山先生がおっしゃったように、私は水生生物の会議には関わっていなかったのでよく分かりませんが、そちらと考え方が、少なくとも取っているデータも違いますし、こちらと考え方は少し違うのではないかなとは思いました。以上です。

○金子委員 ファットヘッドミノーとかおっしゃっているのは、一般的にはアメリカもそうだけれども、日本もそうなのかもしれないのですが、第1選択は国内種、2番目はISO及びOECDガイドラインで推奨される種は、非関税障壁の観点から各国が受け入れるというようなことになっていまして、アミはそれのどちらでもないのではないのかなというのが、私の理解です。

 それで、まだ御回答が環境省の事務局ではなくて、環境省の委員の先生に答えていただきたいのは、先ほど申しました、1つは海水、汽水も含めてのPNECを河川のPECと比べることの可否という問題と、もう1つは、これは非常に素朴な質問で申し訳ないのですが、3栄養段階、藻類、甲殻類、魚類の中で、1つが海水で、要するに淡水、海水、淡水と入れ子になるような、毒性値の一番低いものだけを選べば、そういう事態が生じる場合もあると思うのですが、化審法というのはもともとPCBの食物連鎖を通じて、人の毒性及び環境生物の保全ということが原点だろうと思うのですが、この食物連鎖につながりがない、淡水、海水、淡水というようなことが本当に意味ある評価なのかということを思うので、この2点について御意見を頂ければと思うのですが。

○吉岡委員 金子委員に1つお尋ねしたいのですが、化学物質というのは、ほとんどは川を経由して海に流れ込みます。そうすると、試験データとして私たちが集めなければいけないのは、海産生物のものと、淡水生物のものの両方を企業に出してもらいなさいということを御提案されているのでしょうか。

○金子委員 基本的に、理想形は、淡水と海水は3種直列に並べると言うのでしょうか、それが理想だと思うのですけれども、先生も御存知のように、海水の場合は希釈率が高いので、例えばノニルフェノールのものを見ていただくと、2000何年かの、4年間、5年間の結果を見ますと、海水の場合はほとんど検出限界以下になっていまして、河川だけで検出されるというようなことがあるので、海水の場合、海水生物でそろえるというのは、今すぐには難しいかもしれないのですが、現時点では淡水だけでそろえるというのが一番コストが掛からず、環境保全につながるやり方なのではないかなと考えています。しかし、ベストは両方そろえることだろうと思っています。

○小山委員 私もベストはそうだと思っております。ただ、先ほどから申し上げているように、今、議論になっているのは将来の話ではなくて、ノニルフェノールのアミのデータをどうするかという議論ですよね。この場では、淡水も海水も同一というように扱うと、これは今まで我々はやってきたわけです。私も金子委員と同じように、この物質については海産のデータを取るべきだと、この場で申し上げたことは何回かありますが、それは先ほどから私が申し上げているように、淡水と海水の感受性については同一だという前提でここは議論が進んでいるので、その必要はありませんということで諦めてまいりました。諦める必要はないというように応援演説していただけるのであれば、今後、声高に私は申し上げますが、とにかく、まずは先ほどから申し上げているように、海水と淡水は同一に扱うということです。

 それから、海のところで、非検出だということですが、河口域はどうでしょうか。データを取っていないので分からないですよね。当然、淡水から入ってきたものが河口域で滞在しているわけです。なおかつ、今回の試験生物であるアミというのは、河口域に、汽水域に生息しているわけですから、当然上流域から流れてきた化学物質に影響を受けるわけです。ですから、アミのデータを使わない手はないと、むしろ生態保全を考えるのであれば、積極的に使うべきであるというように私は考えます。以上です。

○青木委員 ちょっと確認なのですが、先ほどGLPの御説明で、GLPはあくまでも手法を示したもので、そのものの科学的正当性を示したものではないという御発言がありましたが、もしそうだとすると、この場の議論ができなくなるのではないでしょうか。

○金子委員 曲解をしてほしくはないのは。

○青木委員 いや、曲解ではなくて、先生はそのようにおっしゃいました。議事録を後で見ていただければ分かると思います。

○金子委員 科学の質を保証するものではないと。「質を」と言ったと思うのです。科学を保証するものではない。

○青木委員 いや、その質というのが科学そのものではないのですか。

○金子委員 例えば分析法で、研究所でSOPを作りましたという場合はこういう分析でSOPを作って、GLPで実施した場合も、そのSOPが今の科学の水準から見たら、例えば添加回収実験を、検出限界、定量下限を書いていないSOPだと、それだとGLP上はきちんとSOPに従って実施したことになるのですが、科学的にはそれは認められないというようなことがあり得るので。一例ですが、必ずしも科学の質とGLPとは一致していないというのが、私の見解です。

○青木委員 そしたら、これからここの審査は全部そこをやらなければいけないですね。科学の質の検討もと。そのように私は理解します。

○小野委員 先ほどから淡水域、海水域でどう評価するかという話があるのですが、これまでの低いティアの場合は、種は一緒に評価するというのは割といいと思うのですが、ここはかなりティアが高いリスク評価になっているので、もう少し詳細な取扱いをしてもいいのではないかと私は思います。

 アミがもめる点は、多分汽水域だから、淡水も海水も両方なのですが、やはりここは現実的に起こり得るシナリオとは何か。ちょっと大きな話になりますが、一体どこの環境を守るためにリスク評価をやっているのかという議論が、この場には余りないような気がしています。手続がガイダンスにのっとっていればそれでいいというわけではないと思うので、ティアが上がった場合は、もう少しケースバイケースの対応というのを考えるというのも知恵なのではないかと思います。

○東海部会長 今の小野委員の意見に近いことを発言させていただきたいと思います。ガイダンスドキュメントの16ページにティアタイプのリスク評価の全体像が出ています。特に、この物質は、1年、もう随分かかっているということから、本来、この化審法に基づくリスク評価の加速化という目的からすると、何らかのアクションをしなければいけない。その必要性は重々感じているところです。

 この問題を整理しますと、3段階ほどにわかれるのではなかろうかと思います。1つは候補の物質の有害性評価のための、候補のデータをいかにして選ぶかという話と、ティアが移行した場面でさらに、どう候補データを拡張して選ぶかという話、それから、その中からこのリスク評価目的のために最終候補の試験を選ぶか。3段階目として、選ばれたキースタディからPNECをどうやって算出するか、という3つです。

 ガイダンスドキュメントでは、ある部分に関する手続は明確になってはいるのですが、部分部分においては、5年、6年前にできたガイドラインでもあることから、若干現状に合わなくなってきているところがあるように私は感じています。事実として、暴露の部分に関しては、別途、いわゆるすり合わせ検討会で問題点の洗い出しがなされておりますし、特にMEOGRTの試験の評価に関しては、別途有害性の専門家を集めた会合を開くというようになってきています。

 したがいまして、先ほど、これまでこういうガイダンスドキュメントの下でやってきたから、その連続性というものが大事であるという考え方に私は全く賛成するのですが、一方で、数年後を見通した上で、これから化審法の評価において取り上げるべき物質の毒性ですとか、先ほどの小野委員の意見から言いますと、暴露のシナリオの下で有害性の評価ということをしなければ、場のリスク評価にはならないという、ある意味で致命的なところもでてきておりますので、そういう要因が、実は今のガイダンスドキュメントには余り明確には書かれていないというように感じております。

 そういう意味で、いきなり変えるのは相当大掛かりなことであるとは承知しておりますが、数年後にスタートするということを念頭に置きまして、今の議論の多くの部分は、ガイダンスドキュメントからきているところがあることを認識いただいて、場合によっては事務局のほうでは、それに向けた対応をこれからお考えいただければなと考えた次第です。以上です。

○平林座長 ありがとうございました。

○MOE事務局長 御指摘ありがとうございます。ただいまの東海部会長と小野委員の御指摘ですが、化審法のリスク評価は、ある種、化学物質管理の指標の下にリスク評価を行っていますので、環境基準側が採用している場の管理とは基本的に違っています。これは、あくまでも化学物質管理ですので、全国で基本的に統一的な毒性データで評価する、ある種、共通性、整合性を重視して加速化して評価するというスタンスを取っているのに対し、環境基準のほうは場の管理の指標をもって、場所によって類型、区分を設定し、それぞれにふさわしい生物を求めて、場ごとの目標値を設定するというスタンスですから、それをここで変えるというのは、かなり大きなことであって、恐らく必要となるデータの要求度も変わってくると思いますので、これまでガイダンスに沿って行っている、今の生態リスク評価の思想を根本的に変えることになりますので、それはかなり大きな変更にならざるを得ないと思います。これが1点です。

 もう一点ですが、先ほど金子委員が御指摘された食物連鎖の話です。化審法は、もともと食物連鎖の健康影響に着目した法規制の体系だというのはそのとおりなのですが、現在の生態系の評価は2000年を過ぎてから、また別の思想で入ったということもありますし、現在のいわゆる3生物群を対象にした生態有害性評価の枠組みを振り返ってみますと、恐らく欧米で出てきたものが1990年代にOECDの専門家会合があって、そこで定式化してきたのだと思いますが、現在の3生物群で代表して評価するという中には、直接的には食物連鎖という思想は入れずに設計されたものだろうと、これまでのガイダンス等を見る限りでは、そう理解できると思います。以上です。

○平林座長 活発な御議論をありがとうございました。もう少しアミデータの実際のデータのほうに話を進めたかったのですが、その前段階の手続論、あるいはアミデータそのものの採否といったところで議論が進んだというように思います。このデータの取扱いについて、改めて議論をする必要があろうかと思います。1つの案としては、MEOGRTに関する専門家会合のほうで御検討いただくという方向があろうかと思いますが、いかがでしょうか。

○小山委員 MEOGRTはなかなか同意に至るような議論ができていないと私は認識しておりますので、アミは別にしたほうが加速化するかと思います。

○平林座長 そうですね。そうしますと、次回といっても同じことになりますし、どうしますかね。

○坂田委員 この有害性情報の詳細資料の書き方でお願いがあるのですが、9ページの21行目ですが、3栄養段階の慢性毒性値が3つ挙がっているのですが、魚の0.0057は、欄外に引用でニジマスであることが書いてあるのですが、このようにPNECどうこうという、使おうかという数値で、どうしてこの0.0057のニジマスだけが欄外で、しかも設定濃度も記載されない、つまり実験条件が十分に記載されていないと。確かに引用されておりますので、それを見れば分かると言えば分かるのですが、いつでも引用文献を見られるわけではないので、このように3栄養段階の慢性毒性値ということで挙がってくるのであれば、藻類も甲殻類もしっかりと実験条件が本文に載っております。本文が無理であれば、この欄外の所に設定濃度と同じように、要するに藻類や甲殻類と同じ書き方で、実験条件を、0.057の数値のもとの試験について記載いただいたほうが理解しやすいと思います。御検討いただければと思います。

○MOE事務局 御指摘ありがとうございます。現時点では欄外に記載させていただいているデータというのが、3種のキースタディーにはなっていない状況ですので、通常はキースタディーになったものに関して詳細な実験データを書かせていただいているという状況ではあるのですが。

○MOE事務局 ただ、欄外の今の注記のほうに、もう少し詳細を追記するという形でも。

○坂田委員 そうですね。ここまで書くのであれば、どうして同じように設定濃度を全部書かないのですかとか。ただ、キースタディーとしない、メダカを使わない場合は上がってくるわけですよね。そういった重要なものであれば、ここに記載された以上は同じように書いていただいたほうがいいのではないかなと思った次第です。

○MOE事務局 なるほど。今現在、注記の所の記載をもう少し詳細にという御指摘だと思いますので、記載ぶりは少し工夫させていただきます。

○坂田委員 そうですね。場所はどこでも結構です。

○MOE事務局 ありがとうございます。もう一点、事務局からよろしいでしょうか。

○平林座長 どうぞ。

○MOE事務局 先ほどの淡水域と海水域の生物に関しての議論です。現在、ガイドラインでは、先ほど事務局からも御説明いたしましたとおり、感受性差に関する知見が少ないため、当面は感受性を同等と仮定し、区別せずに行うこととしてございます。ただ、我々としては感受性差に関する知見は十分であるとは言えないと考えておりましたので、引き続きガイドラインどおりに評価を行っているということですが、皆様のほうで何らかの知見をお持ちということであれば、是非御提供いただきたいと思います。

 また、先ほどの御発言について私の理解といたしましては、御提示いただいた有害性評価書の中での感受性が高いという部分については、根拠とされたデータについては、有害性評価書の29ページの表1のCの中のNo17の数字が、オオミジンコのほかのデータに比べて感受性が高いだろうという御指摘だったのかなと思ったのですが、そこについて、例えばNo18のデータと比べて、差が著しく高いかどうかという点について、もう少し御説明いただければ、事務局としても理解が進みやすいかなと思いますので、もしお願いできればと思います。

 また、先ほどから御指摘いただいている点について、長期的な課題と、今行うべき課題というのが混合して御指摘いただいたかと思います。今後、ガイドラインを改定する際には、そういった様々な御指摘も踏まえて検討を行うべきところではあるとは思うのですが、昨年の3月でしたか、当時の白石座長からリスク評価を早く進めるために、もう少しいろいろと進め方の工夫をすべきということで御提案いただいたところ、このノニルフェニルエーテルの評価を行うに際して、行うべき御指摘だったのか、それとも長期的な御指摘だったのかについて、御意見を頂いた先生方から教えていただけると、事務局のほうでも今後進める作業の参考にさせていただければと思うのですが、いかがでしょうか。

○金子委員 御質問の点、29ページの表1c、No17がアミのデータで、No18がオオミジンコのデータで、それほど差はないのではないかということをおっしゃったという理解でよろしいですか。

○MOE事務局 いえ、どのデータとどのデータを比較して、感受性が特に高いということをおっしゃったのか、理解が及ばなかったので申し訳ございません。

○金子委員 分かりました。表1cのアミのデータは、比べる場合は慢性は慢性、急性は急性。そうすると、No17はアミの慢性、オオミジンコの慢性は幾つもありまして、No18、No20、No24、No25、この4つの平均値から見ると、10倍以上の差があるということです。

○平林座長 座長の運用がスムーズでなくて申し訳ありませんが、少し議論が拡大してしまったというところもございます。今の環境省からの御質問については、この後、事務局にそれぞれの先生方から御意見を賜って、それによってもう少し整理をした形で、再度御提出いただけたらと思うのですが、それでよろしいでしょうか。

 今の御指摘のデータについても、実際にこれをそのままこの値で直接比較できるかどうかといったようなこともあろうかと思います。ちょっと時間が押してしまいましたので、今回のデータについては、有害性評価書を再審議するということで、ここの議題はココで終了とさせていただきたいと思います。

○MOE事務局 1点だけ確認させていただきたいのですが、よろしいでしょうか。

○平林座長 はい。

○MOE事務局 今回、ジスルフィラムとポリカーバメートについて、有害性評価書を承認いただいたかと思うのですが、その排出先というのは海洋ということが想定されておりますが、実はこれは毒性データに関しては淡水生物を用いたものになっています。それも含めて、今回で承認していただいたということでよろしいでしょうか。

○平林座長 そのとおりだと思いますが、よろしいでしょうか。

○MOE事務局 ありがとうございます。

○平林座長 では、その他に移ります。資料3-1、スクリーニング評価におけるデフォルトの有害性クラスを適用する一般化学物質と優先評価化学物質の判定並びに今後の進め方について、事務局から説明をお願いします。

○MOE事務局 資料3-1を御覧ください。スクリーニング評価におけるデフォルトの有害性クラスを適用する一般化学物質と優先評価化学物質の判定並びに今後の進め方についてです。生態影響に係る有害性情報を入手することができなかった一般化学物質については、有害性情報の提供依頼などを行い、それでも有害性情報の提供がない場合には、生態影響に係るデフォルトの有害性クラス1を適用してスクリーニングを行い、優先評価化学物質の判定の審議に諮るとされています。こちらを受けて、ホームページから一定期間を設けて、有害性情報の提供依頼等を行いました。

 今年度、その有害性情報の提供依頼を行った物質に関しては、別紙のとおりです。別紙の記載の物質については、今年度有害性情報の提供があったということで、デフォルトの有害性クラス適用対象から除外することといたしました。今後の方針については、当該物質は次年度以降、スクリーニング評価の対象として優先度判定を行っていくことになっています。以上です。

○平林座長 何か御質問はありますでしょうか。特になければ、デフォルトの有害性クラスの適用につきましては事務局から説明いただいたとおりの対応とさせていただきます。

 続きまして、資料3-2、N,-ジメチルプロパン-,-ジイルジアミン案件を踏まえた対応状況についてです。事務局より説明をお願いします。

○METI事務局 資料3-2を御覧ください。こちらについては、昨年の9月開催の3省合同審議会におきまして、N,-ジメチルプロパン-,-ジイルジアミンに係る審議を行った際に、3つの点について御指摘を頂いており、その結果の対応状況を御報告させていただくというものです。

 1.用途の確認状況についてです。現状、評価Ⅱに進んでいる物質の中で、スクリーニング評価及び評価Ⅰのいずれの段階においても、用途確認を行っていない以下の6物質について、優先評価化学物質に指定した時点の年度まで遡って確認すべく用途確認を行いました。その結果、届け出られていた用途情報が適切でなく、用途が変更されたケースが一部ございましたが、有害性クラス及び用途変更後の暴露クラスに基づく優先度には変更がありませんで、優先評価化学物質相当の判定は妥当であったことが確認できましたことから、これらの物質については引き続き評価Ⅱを進めていくこととしたいと考えております。

 なお、今年度のスクリーニング評価段階における用途確認は実施済みで、加えて今年度の評価Ⅰ段階における用途確認も現在実施しているところです。また、来年度以降も同様に用途確認を行っていきたいと考えています。

 2.評価Ⅱに向けた作業スケジュールの検討状況についてです。これまでは、評価Ⅱの審議予定年度の前年度までに、各省において用途情報、物化性状、有害性情報等を収集・確定することを目標に作業を進めておりましたが、具体的な作業行程管理というのは各省が行っておりまして、3省間で情報のそろい具合等が十分に共有されておりませんでした。例えば有害性情報の収集・整理や評価書の作成には、2年間程度の時間を掛けて行われておりますが、届出情報の事業者への確認については、最新の情報を反映するために審議予定年度の前年度後期に実施していたという点についても、十分に共有されておりませんでした。

 その結果、この案件において最新の届出情報の確認時に、優先評価化学物質相当とはならないことが判明して、既に取組が行われていた有害性情報の収集・整理や評価書の作成等が中断されまして、その時点までに得られている情報を取りまとめて御審議いただくということになりました。

 今後は3省で合理的・効率的になるように検討した標準的な作業スケジュールの下に、各省の作業スケジュールと、その進捗状況を3省間で適宜共有し、それらを踏まえ、お互いのスケジュールを随時調整しつつ、3省間で作業行程管理を行うことで、合理的・効率的にリスク評価を進めていくことといたしました。また、この作業進捗状況を踏まえまして、必要に応じて評価Ⅱのスケジュールを見直していくことといたしました。

 3.届出に関するホームページの充実策については、届出書により正確な用途情報を記載いただけるように、経産省のホームページでは届出記載要領ですとか、Q&A等を公表しており、そのページの充実を図りたいと考えております。具体的には、これまで誤りの多かった事例ですとか、リスク評価において用途情報がどれだけ重要であるかというようなこともちゃんと示すなどして、新たな届出を行う事業者のみならず、例年同じ化学物質の届出を行う事業者の方も対象として、届出を正確に行ってもらうための注意喚起を行っていきたいと考えております。

 また、製品評価技術基盤機構のホームページでは、用途分類関連の情報を公表しておりまして、それらについても用途に特化したQ&Aを追加するなど、記載内容の充実を図っていきたいと考えております。

 加えて、スクリーニング評価及び評価Ⅰ、評価Ⅱの各段階におきましては、事業者に用途確認を直接行う際がありますので、その際は届出情報の正確性向上に資するよう、各ホームページの記載も紹介しつつ、きめ細やかな対応を行っていきたいと考えております。以上です。

○平林座長 御質問はありますか。ないようでしたら、事務局におかれましては、本日御報告いただいたとおり、今後の対応をお願いしたいと思います。事務局から、ほかに何かありますか。

○MHLW事務局 特段ございませんが、第二部の審議につきましては16時から開始したいと思いますので、よろしくお願いします。なお、第二部につきましては、新規化学物質の審査ですので、非公開とさせていただきます。傍聴者の方におかれましては、御退室いただきますようお願い申し上げます。第二部の委員の皆様は、開始時間の16時までにお席にお戻りいただきますよう、お願いします。

○平林座長 そうしましたら、議事進行に不手際がございまして遅れましたことを申し訳なく思います。以上をもちまして、合同審議会の第一部を終了したいと思います。ありがとうございました。