平成30年度第5回薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会化学物質調査会 平成30年度化学物質審議会第2回安全対策部会 第187回中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会 議事録

1.日時

平成30年9月21日(金)12時30分~13時45分

2.場所

中央合同庁舎5号館 18階 専用第22会議室

3.出席:(五十音順、敬称略)

薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会化学物質調査会委員

石田 誠一     小川 久美子    菅野 純

鈴木 勇司     高橋 祐次     田中 博之

能美 健彦(座長) 平塚 明      平林 容子

広瀬 明彦

化学物質審議会安全対策部会委員

浅野 哲      大石 美奈子    柏田 祥策

金子 秀雄     小林 剛      坂田 信似

恒見 清孝     東海 明宏     林 真(部会長)  

原田 房枝

参考人

金原 和秀

中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会委員

青木 康展     菅野 純      小山 次朗     

白石 寛明(委員長)鈴木 規之     田辺 信介     

山本 裕史     吉岡 義正     和田 勝

事務局

厚生労働省  渕岡化学物質安全対策室長

経済産業省  飛騨化学物質安全室長

環境省  東化学物質審査室長 他

4.議題

 

1.二硫化炭素の分解性の判定について

2.優先評価化学物質のリスク評価(一次)評価Ⅱにおける評価について

  <審議物質>

  (1)二硫化炭素【人健康影響・生態影響】【#1】

  (2)アニリン【人健康影響】【#54】

  (3)アクリル酸【生態影響】【#94】

3.その他

5.議事

○MHLW事務局 それでは、ただいまから「平成30年度第5回薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会化学物質調査会 平成30年度化学物質審議会第2回安全対策部会 第187回中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会合同審議会」を開催させていただきたいと思います。

 議事に先立ち、夏季の軽装のお願いについて申し上げます。本日は寒い気温ではございますけれども、一応まだ夏季期間ということで、温暖化防止・省エネルギーに資するため、夏季の軽装に政府全体で取り組んでおります。事務局は一部軽装にて対応させていただいておりますので、委員の方々におかれましても御理解、御協力を賜りますようお願いを申し上げます。

 本日、いずれの3審議会も開催に必要な定足数を満たしておりまして、それぞれの審議会が成立していることを御報告いたします。

 また、本合同審議会を開始する前に厚生労働省事務局より、所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認について報告をさせていただきます。

 同規程第11条におきましては「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない。」旨、規定しております。

 今回、全ての委員の皆様より、同規程第11条に適合している旨、御申告いただいておりますので、報告をさせていただきます。

 委員の皆様におかれましては、会議の都度、書面で御提出いただいておりまして御負担をおかけしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう何とぞよろしくお願いを申し上げます。

 先立ちまして、新任の委員の御紹介を経産省さんからお願いします。

○METI事務局 それでは、新任の経済省関連の委員の方を御紹介します。

 まず、前回も参考人として御参加いただいておりましたが、一般社団法人日本化学工業協会の坂田信以理事に委員に御就任いただきました。一言よろしくお願いいたします。

○坂田委員 日本化学工業協会の坂田でございます。よろしくお願いいたします。

○METI事務局 加えて、本日、議題1の二硫化炭素の分解性判定の関連で、当省の審査部会の静岡大学大学院、金原教授に参考人として御出席いただいておりますので、よろしくお願い申し上げます。

○MHLW事務局 それでは、本合同審議会、本日は第一部と第二部に分けて実施をさせていただきます。12時30分から13時45分までを第一部として優先評価化学物質のリスク評価(一次)評価Ⅱの審議等を公開で行います。終了後、休憩を挟みまして14時より第二部を実施する予定でございます。本日、大変議題が多くて長丁場を予定しておりますので、円滑な議事進行に御協力いただきますよう、お願いをいたします。

 また、資料確認に移る前に審議順の変更について御報告させていただきます。従来、今後の対応方針案とリスク評価書を審議いたしまして、有害性評価書案や物理化学的性状案については、リスク評価書の審議の参考資料として資料構成させていただいておりましたが、前回審議の際に委員から、リスク評価書案の審議については、そのリスク評価に活用される有害性評価書案が審議され了承された後にすべきとの御指摘を踏まえまして、今後の審議順につきまして、まず有害評価書案の審議を行いまして、了承された後にリスク評価書案の審議に移り、最後に今後の対応方針案に進むこととしております。したがいまして、前回までと資料構成が一部異なる点がございますが、説明の際、その旨を説明させていただきますので、御留意いただきますようお願いをいたします。

 それでは、お手元にお配りした資料について確認を行いたいと思います。

 資料のまず一番上、議事次第が1枚紙でございます。

 その下、資料1として二硫化炭素の分解性の判定についてという資料がございます。

 その下、資料2のシリーズが優先評価化学物質二硫化炭素のリスク評価に係る資料となっておりまして、資料2-1として人健康影響、資料2-2として生態影響、資料2-3として物理化学的性状、資料2-4がリスク評価書簡易版、資料2-5がリスク評価結果についてということになってございます。

 その下、引き続きまして資料3はアニリンのほうのリスク評価に関する資料でございます。3-1が人健康、3-2が物理化学的性状、3-3が人健康のリスク評価書の簡易版、3-4が評価結果についてとなってございます。

 続きまして、資料4のシリーズはアクリル酸のリスク評価書になっておりまして、4-1が生態影響、4-1参考として、有害性情報(生態影響)の詳細資料、資料4-2が物理化学的性状等の詳細資料になってございます。

 一番下に、参考資料の中から「スクリーニング評価におけるデフォルトの有害性クラスを適用する一般化学物質の候補物質について」ということで、参考資料4だけお手元に配付させていただいております。

 その他、参考資料及び各種ガイダンスにつきましては、お手元のパソコンに電子媒体で入れさせていただいております。

 過不足などありましたら、事務局までお知らせいただきますようお願いをいたします。どなたか過不足ございますでしょうか。途中でお気づきの点がありましたら、いつでも事務局まで御連絡ください。

 それでは、これより議事に入らせていただきます。

 本日の全体の議事進行につきまして、化学物質調査会の能美座長にお願いいたします。能美座長、どうぞよろしくお願いをいたします。

○能美座長 それでは、これより議事に移らせていただきます。

 初めに、本日の会議の公開の是非についてお諮りいたします。

 各審議会の公開につきましては、それぞれ規定のあるところでございますが、「公開することにより公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがある場合又は特定な者に不当な益若しくは不利益をもたらすおそれがある場合」等、非公開とするべき場合には該当しないと考えますので、原則、公開といたしたいと思います。

 ただし、営業秘密等に該当する場合は秘匿することを認められていることといたしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(委員 異議なし)

○能美座長 ありがとうございます。

 それでは、本日の会議は公開といたします。

 議事録につきましては、後日、ホームページ等で公開されますので、あらかじめ御了承いただきたいと思います。

 本日は、二硫化炭素の分解性判定に関する審議、及びリスク評価(一次)評価Ⅱといたしまして二硫化炭素及びアニリンの評価に関する審議と、前回審議会において評価を実施したアクリル酸について、リスク評価の進捗状況報告を行います。

 それでは、まず資料1、二硫化炭素の分解性の判定案について、事務局より説明をお願いいたします。

○METI事務局 それでは、資料1をごらんください。二硫化炭素の分解性判定に係る資料でございます。

 この二硫化炭素の分解性につきましては、これまで既存点検の結果から難分解性であるという判定がございました。昨今、REACHの登録情報の中で、301D試験を行った結果、易分解性の可能性が示唆されたため、これの信頼度を確認いたしましたところ、十分に信頼に値する値であったということから両者の比較を行いました。

 その結果、この301D試験におきましては、被験物質濃度がこれまでの301C試験の100mg/Lに比べ、比較的低濃度でありまして、二硫化炭素自体は土壌消毒剤としてバクテリアに対して毒性を示すことから、この301D試験のほうがより実際をあらわしているのではないか、妥当ではないかと考えまして、こちらの結果を採用したところでございます。

 また、想定される変化物につきましては、いわゆる硫化物でございますけれども、これは新規の審査の際に変化物として生じる硫化物に関しましては、既知見イオンであります硫酸イオンに収束するという形で話がされておりますので、ここではその考え方を踏襲するということで、当該物質の判定案でございます二硫化炭素につきましては、良分解性という判定案をつくりました。

 御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○能美座長 ありがとうございます。

 それでは、今の事務局の説明について、御質問、御意見がございましたら、お手元のネームプレートを立ててください。順に指名させていただきます。いかがでしょうか。

 鈴木先生、では、よろしくお願いします。

○鈴木(規)委員 ありがとうございます。

 資料の分解性評価のマル4に書いてあることなのですが、引用されているのはどうも地球化学的循環みたいなのを出しているようでありますけれども、二硫化炭素がその次の後続物質に変化する速度はどのぐらいなのでしょうか。

○能美座長 事務局、いかがですか。

○METI事務局 二硫化炭素が次に変化する速度という理解でよろしいですか。

○鈴木(規)委員 この別添3についているのは、多分環境中での地球規模でのスケールを言っているのではないかと思われるのではないのですか。もしそうだとすると、試験であれば変化というのは試験の範囲内で変化するから速度が試験法の中に包含されているのだと思うのですけれども、これは論文から引かれるのであれば、非常に長い時間スケールの変化を議論することがありますので、果たしてどういう時間スケールでこの変化が起こるということで判断をされているのですかということです。

○METI事務局 済みません、二硫化炭素が次の物質に変化するのではなくて、その後の話ですか。

○鈴木(規)委員 ある意味、全てですけれどもね。二硫化炭素からSO2になる。

○METI事務局 まず、二硫化炭素の分解性に関しましては、次の議題であります二硫化炭素自体の資料がございまして、それの物理化学的性状の詳細資料というのが資料2-3に当たりますけれども、7ページに分解性についての半減期等のデータを掲げてございます。それが1点目。

 その後、生じるものについては、先ほど申し上げましたのは、いわゆる新規の審査において硫化物イオンの取り扱いを踏襲するという形で述べさせていただきました。多分おっしゃっているような感じはわかるのです。

○鈴木(規)委員 私が誤解しているかもしれない。試験はいいのですけれども、この文献を引用、参照されていますので、この文献は何のために、どういう意味合いで参照されているのですか。

○METI事務局 いわゆる環境運命の基本的な流れとしてどういうところに行くのかというのを一応参照しようと思って添付資料3は掲げました。

○鈴木(規)委員 わかりました。もし、そうであるならば、審査に関係ないなら関係ないかもしれませんが、地球化学的循環というのは、時間スケールは我々が通常、評価に使っているものがまるっきり違うことがありますので、こういうものがどこかに変化すると書いてあることが審査上、参考になる情報かどうかということが少なくとも実際の速度とか量をちゃんと勘案してみないと使える話かどうか、全く無関係に近い話かもしれませんので、引用するに当たっては、これが本当に化審法の審査にとって意味のある情報なのかどうかということを少し精査した上で掲載するかどうか、あるいは根拠とするかどうか。あるいは根拠として使わないのであれば載せる必要はないのではないかと思います。

○能美座長 別添3というのは、やはり審査には重要な書類だと考えてよろしいわけですか。

 鈴木先生、あるいは今後、どういうような分解速度のものなのかよく注意して評価書に載せなさいというコメントと理解してもよろしいですか。

○鈴木(規)委員 これはある意味そうですけれども、実際の時間スケール、多分この審査では変化の速度というのは非常に重要な、必ずしもいろいろなところに明文で書いてはいませんが、試験法とかいろいろなところに暗黙に仮定されていて我々は審査をやっているので、これは地球規模の循環とはまるっきり違う世界では時間スケールの仮定が違いますので、これが変化するか、この論文をもって硫化カルボニル、二酸化硫黄に33%変化するということが化審法の文脈判断において本当に正しいかどうかというのは一概に判断できないと思いますので、それを注意して使っていただく必要があるというのが私の意見です。

○能美座長 事務局、よろしいですか。

○METI事務局 はい。

○能美座長 今回の別添3は、そういう地球規模の長いものではなくてもう少し短いものだというように理解してよろしいわけですか。

○METI事務局 必ずしもそれはそうとは言えないですね。定常状態の際の記述でございますので。

○能美座長 では、今後の注意点というような形で。

○鈴木(規)委員 ですので、もし今のような回答であるならば、ここに書いてある33%、23%という数字が化審法の判断においてほかのところで23とか33という数字として解釈できるかどうか全くわからないということだと思いますので、違う数字だと。もし、座長がお尋ねされたようにそれはそうですとお答えになるのなら使えるかもしれないのですけれども、そうでないとすれば、何か注釈くらいつけたほうがいいのではないか。地球化学規模の循環ではこういうことがあるとかという注釈くらいはつけておかないと、これは化審法と関係があるかどうかわからない情報だと私は思います。

○能美座長 いかがですか。

○METI事務局 了解いたしました。

○能美座長 ほかに何か御意見ありますでしょうか。よろしいですか。

 それでは、ただいま鈴木先生のほうからいただいたコメントをつけ加えるというような形で分解性については易分解性というような形で結論させていただきたいと思います。ありがとうございました。

 それでは、これ以降は優先評価化学物質のリスク評価(一次)評価IIの審議。

 どうぞ。

○METI事務局 済みません、易分解性とおっしゃいましたが、良分解性でよろしいですね。確認です。

○能美座長 済みません、良分解性です。途中のところに易分解性と判定していると書いてあったもので、良分解性という形で結論したいと思います。訂正します。

 それでは、これ以降は優先評価化学物質のリスク評価、評価Ⅱの審議に移りたいと思います。まず二硫化炭素の人健康影響及び生態影響の観点からの評価に関して審議を行います。

 まず資料2-1、人健康影響にかかわる有害性評価書案について、事務局より説明をお願いいたします。

○MHLW事務局 二硫化炭素の人健康影響に係る有害性評価書案について御説明させていただきます。

 資料2-1、17ページ、16行目をごらんください。

 二硫化炭素の一般毒性、生殖発生毒性、遺伝毒性、発がん性等に関して得られた毒性データをレビューしましたところ、ヒト及び実験動物において、二硫化炭素の主な標的が神経系であり、軸索変性を特徴とするとされております。二硫化炭素が遺伝毒性を有する明確な証拠はなく、また、発がん性につきましては国際的にも評価が行われておりません。有害性評価値の導出に資するデータは吸入経路についてのみでしたが、その中で、ヒトで最も低い濃度から認められた影響は、1983年にJohnsonらにより報告された腓骨運動神経伝達速度の低下を指標として評価した遠位末梢神経への影響でした。Johnsonらの疫学調査は、ビスコースレーヨン工場において平均12.1年にわたって二硫化炭素に暴露した労働者を職務履歴に基づいて、低・中・高暴露群の3群に分け、解析したものです。

 本評価では、このJohnsonらの疫学調査をキースタディに選定いたしました。有害性評価値につきましては、腓骨運動神経伝達速度を指標として、ベンチマークドーズ法を用いて用量反応評価を行うことで導出いたしました。具体的には、対照群及び低・中・高暴露群の各群につきまして文献より得られた二硫化炭素濃度の平均値、腓骨運動神経伝達速度の平均値及び標準偏差を用いて連続データとしてベンチマークドーズ解析を行いました。腓骨運動神経伝達速度の1SDの低下に対するBMCLの補正値をPODとして、不確実係数で除すことで有害性評価値を導出いたしました。

 不確実係数といたしましては、個人差に対する係数10に、神経影響であること等を考慮した重大性の追加係数10を乗じた100を用いております。その結果、表1-7にまとめておりますように、吸入経路の有害性評価値を0.054mg/m3、経口経路の有害性評価値を0.022mg/kg/dayと導出いたしました。

 以上、御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○能美座長 それでは、ただいまの事務局の説明について、御質問、御意見がございましたらお手元のネームプレートを立ててください。順に指名させていただきます。いかがでしょうか。

 では、青木先生、お願いします。

○青木委員 ベンチマークドーズのことで技術的な問題なのですけれども、教えていただきたいのですが。多分ベンチマークドーズとして従来は例えば右肩上がりのドーズレスポンスに対してベンチマークドーズを設定するというやり方をしてきたと思うのですけれども、この場合は、いわゆる阻害的な影響を見ているのだと思います。そのときに例えば右肩上がりのドーズレスポンスの場合、いろいろな言い方がありますが、ベンチマークドーズのBMDLという値はNOAELにかわる値である、厳密にはもちろん違うのですが、そういう取り上げ方をしています。

 ただ、この場合、阻害的な影響を見ているときに考え方としては、NOAELにかわる値としてベンチマークドーズ法を使うということでよろしいと理解しているのです。けれども、この物質に限らず、今後の審議でこういうデータが使われることもあるかと思うので、一応そういう考え方でよろしいかというところのあくまでも確認で、別にこのデータ、この解析がだめだという意味ではないのですが、その点だけ教えていただければと思うのですが。いかがでございましょうか。むしろ、御専門の先生にお答えいただいたほうがいいかなと思うのですけれども、いかがでございましょうか。

○能美座長 広瀬先生、どうぞ。

○広瀬委員 今回のベンチマークドーズは連続データを用いる方法で、これに対するモデルというか、EPAのソフトウエアを使っています。それは通常の頻度データで用いるモデルとは違うモデルで使っていまして、ベンチマークドーズのPODをどこにとるかという問題ですけれども、これは多分極めてケース・バイ・ケースで、今回もどこから有意な影響ととるかというところは対照群のSDを超えたあたりから多分有意差に出るだろうということで、対照群のSDをBMRと設定して、それに対してのベンチマークドーズを計算しました。

 ただ、今回は平均値と分散を使うやり方しかできなかったのです。もとはWHOの評価書では、もとの論文の著者から生データを取り寄せて解析しているので、その辺は実は計算の仕方は違うのですけれども、結果としてベンチマークドーズの値が同じであったので、今回の計算もある程度信頼性があるだろうということで使いました。あくまでどこから有害性というか、影響ととるかというところを指標としているので、BMRは減少であろうが増加であろうが影響としてとっています。

○青木委員 ありがとうございました。よく理解できました。

○能美座長 ほかには何か御意見はよろしいでしょうか。

 原田先生、どうぞ。

○原田委員 原田です。

 不確実係数積の取り扱いについて確認をさせてください。今回、神経毒性というところで10を追加で掛けていると理解をしています。この神経毒性の10というのは、影響の重大さにおいて回復が見込めないような重篤な毒性エンドポイントにある場合に対して付与されるというのがガイドラインで合意している事項だと思います。今回のこのヒトで見られた腓骨の運動神経伝達速度、これといったものは回復が見込めないようなものなのかどうか。恐らくそう判断されたと思うのですけれども、そちらについて追加で説明いただいてもよろしいでしょうか。

○広瀬委員 あくまで低用量で起きた影響は回復性という観点からはどうであったか。この影響は長期の試験で出ていますので、そういう意味では慢性影響で、暴露し続けている間は回復しなかったということを意味していると思っています。よく暴露を中断したら回復したという事例はありますけれども、環境中からの暴露シナリオでは暴露が継続することを前提としているので、環境影響による評価は暴露を中断してからの回復性という観点から考えるべきではなくて、暴露し続けても回復するような影響については回復性があるという観点を採用すべきなのかと思います。

 ただ、指標的なマーカーでありますので、実際に器質的な病理的な変化が起きるというところまではつかめていません。ただ、神経毒性の場合は電顕でもとらない限りは病理的な影響は出ないとも言われていまして、用量相関は急峻であるということがよく知られているところから、安全側を見て不確実係数を掛けると同時に、今回のこの疫学データの場合は職の種類で曝露群を群分けしています。正確に高用量群、中用量群という分けではなくて、結果としてそういう職種についている人たちでの分類分けでは、高用量群といえども、低用量から高用量までの幅広い暴露データを持っているデータとなっているという意味で、実は暴露データにも少しばらつきが大きいということが不確実性としてあります。その辺も全て考慮いたしまして、従来はそれほど大きなUFをつける例は知られていませんけれども、今回は高目の10を設定したという次第です。

○能美座長 よろしいでしょうか。

 ほかには何か御意見はございますでしょうか。よろしいですか。

 それでは、この資料2-1の評価書案は御了解いただいたというように結論したいと思います。

 続きまして、資料2-2、二硫化炭素の生態影響にかかわる有害性評価書案の審議に移ります。

 事務局より説明をお願いいたします。

○MOE事務局 それでは、資料2-2をごらんください。

 生態影響に関する有害性評価について御説明をいたします。

 技術ガイダンスに従いまして二硫化炭素の生態影響に関する有害性情報を収集いたしまして、それらデータの信頼性を確認するとともに、予測無影響濃度(PNEC値)に相当する値を導出しております。本物質ですが、logPowが2.11となっておりまして3未満でございますので、底質へのリスク評価は実施しないこととしております。

 それでは、生態影響に関する毒性値の概要でございます。

 水生生物につきまして、表1-1にお示ししてありますデータがPNECwater導出に利用可能な毒性値となっております。本データに関しましては、平成24年12月21日、3省合同審議会新規審査、非公開のものとなっておりますけれども、ある新規化学物質の変化物として二硫化炭素が発生するということでございまして、事業者様からGLP適用試験、化審法試験法に準拠した形でデータを提供していただきまして、既に審議済みのデータとなっております。

 それでは、1枚おめくりください。1-2でございます。各データについて御説明をいたします。

 慢性毒性値でございますけれども、生産者(藻類)に関しまして、GLP適用試験といたしまして化審法試験法に従ってムレミカヅキモ藻類成長阻害試験が密閉系で実施されております。対照区と5濃度区、公比3.2で行われております。助剤は用いられておりません。被験物質は実測されておりまして、幾何平均はそれぞれこちらにお示しをするとおりということでございます。これらの試験結果から、72時間のEC50、成長阻害の速度ということで1.2mg/L、NOECに関しましては0.068mg/Lが算出されております。

 続きまして、急性毒性値でございます。これに関しましては、一次消費者、二次消費者に関しまして同様にGLP適用試験、化審法試験法に準拠したものといたしまして、こちらのデータが得られております。

 28行目でございます。PNECの導出でございます。1栄養段階に対する信頼できる慢性毒性値(0.068mg/L)が得られておりまして、これを種間外挿「10」で除した0.0068を得ております。慢性毒性値が得られておりません一次消費者と二次消費者につきましては、信頼できる急性毒性値が得られておりまして、この値をACR(急性慢性毒性比)で除しまして0.033と0.038のうち、小さな値0.033が得られております。この値と藻類から得られました値を比較いたしまして小さいほうの0.0068mg/L、さらに室内から屋外、野外への外挿係数「10」で除しまして二硫化炭素のPNECwaterといたしまして0.00068mg/L(0.68mg/L)が得られております。

 二硫化炭素に関しましては主要国で水生生物保全に関する基準値等は設定されておりません。

 国内外のリスク評価に関しましては、3ページの冒頭部にお示しをしているとおりでございます。また、本データにつきましては、本物質のスクリーニング評価、リスク評価(一次)のIでも活用しているところでございます。

 1-3でございます。有害性評価に関する不確実性解析です。

 生産者の慢性毒性値、一次消費者及び二次消費者の急性毒性値が得られておりまして、PNECwaterのキースタディは生産者の3日間成長阻害に関する無影響濃度(NOEC)0.068mg/Lでございます。一次消費者及び二次消費者の慢性毒性値が得られていない点に基本的な不確実性を有しております。

 結果に関しましては、先ほど御紹介をしたとおりでございまして、藻類の72時間成長阻害に関する無影響濃度にUF100を考慮いたしましてPNEC値が0.00068mg/Lということになっております。

 生態に関する有害性評価に関しましては以上です。

○能美座長 ありがとうございます。

 それでは、今の事務局の説明について、御質問、御意見がございましたらお手元のネームプレートを立ててください。順次指名させていただきます。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、この資料2-2につきましては、事務局の評価書が了解されたと結論したいと思います。

 続きまして、二硫化炭素の物化性状、リスク評価書、リスク評価結果及び今後の対応に関する審議に移ります。

 事務局より説明をお願いいたします。

○NITE それでは、資料2-4をごらんください。

 1ページめくっていただきまして、1番、評価対象物質につきましては本物質、二硫化炭素そのもののみが評価対象物質となっております。

 「2 物理化学的性状及び濃縮性及び分解性について」ですが、表2、表3に示していますものを今回の評価では利用しております。

 本物化性状につきましては、平成29年の第3回化審法リスク評価等に用いる物化性状、分解性、蓄積性等のレビュー会議において了承された値を用いております。詳細につきましては、資料2-3の資料に載っておりますので、適宜ごらんください。

 3ページ、排出源情報になります。本物質は化審法及び化管法の対象物質になっております。まず図1ですが、化審法の届出情報としましては、輸入数量、製造数量合わせまして年間大体3万5000トンぐらいの取り扱いがございます。

 続きまして表4ですが、今回、評価に用いました平成27年度の実績のデータにつきましては、ほぼほぼ中間物と工業用の溶剤が主な用途となっております。

 4ページの図2ですが、化管法に基づくPRTR情報の詳細ですが、こちらも初年度の平成13年度は少し多いのですが、それ以降は大体4,000トンぐらいで推移しております。基本的には届出の大気の排出量が主なものとなっております。

 また、表5ですが、PRTR情報に基づく届出外排出量ですが、こちらは下水処理施設と対象業種の裾切り以下のものとして少し見ておりますが、こちらは合計で0.15トンと少ないものとなっております。

 以上です。

○MHLW事務局 続きまして、人健康及び生態影響に関する有害性評価値につきましては先ほど御審議いただいたとおりでございます。

 以上です。

○NITE 続きまして、5のリスク評価のほうに参ります。7ページをごらんください。

 5-1が排出源ごとの暴露シナリオによる評価となっております。平成27年度の化審法情報及びPRTR情報を用いまして排出源ごとの暴露シナリオ(PRAS-NITE)を用いて評価しております。ここでは、PRTR情報に基づくリスク評価のほうが実態を反映しているものとしまして、PRTR情報のもののみ示しております。

 表9が人健康に係る推計結果となっておりまして、経口経路で1地点、吸入経路で3地点、両方合算したものでも3地点が懸念となっております。

 また、表10ですが、水生生物に係るものとしまして4地点がリスク懸念と推計されております。

○MOE事務局 続きまして、さまざまな排出源の影響を含めた暴露シナリオによる評価でございます。

 PRTR届出情報及び届出外推計排出量(H27年度)を用いましてさまざまな排出源の影響を含めた暴露シナリオによる推計モデル(G-CIEMS)によりまして、大気中濃度及び水質濃度の計算を行い、評価対象地点とした環境基準点を含む3,705地点のリスク推計を行っております。

 まず人健康影響でございます。

 表11にお示しておりますとおり、ハザード比が1以上であったところに関しましては経口経路で1地点、経口吸入合算で1地点ございました。

 続きまして、生態影響でございます。

 結果は表12のとおりでございまして、PEC/PNEC比が1以上となった地点は3地点ございました。

 1枚おめくりいただきまして環境モニタリングによる評価でございます。人健康影響に関しまして大気のモニタリングデータをもとにリスク評価を行っております。表13にお示ししておりますとおり、ハザード比が1以上となる地点はございませんでした。大気モニタリングによるデータ推計に関しまして各年度のものを表14にお示ししておるとおりでございます。

 続きまして5-3-2、生態影響でございます。直近5年及び過去10年の二硫化炭素に係る水質モニタリングデータは得られておりません。環境モニタリングデータの評価は実施しておりませんが、今回、平成27年度が対象ということで28年度のデータを得られております。これに関しましては、14ページに詳細をお示ししておりますけれども、20地点、測定を行っておりまして、その結果もPEC/PNEC比が1以上となる地点はございませんでした。

 追加調査が必要となる不確実性事項等につきましては、モニタリング推計でリスク懸念となる地点でモニタリングが行われていないこと、デフォルト河川流量といいまして決まったような流量を使って計算している点がございますので、その結果判明したリスク懸念地点に関しまして、実河川流量の情報を考慮ができていないということでございます。

 リスク評価書に関しましては以上です。

 続きまして、資料2-5をごらんください。リスク評価結果を踏まえました評価結果について御紹介いたします。

 まず○の1つ目でございますけれども、二硫化炭素につきまして、人健康に係る有害性評価として、既存の有害性データから一般毒性の有害性評価値を導出いたしまして、暴露評価として化審法の届出情報、PRTR情報に基づく予測環境中濃度を計算、環境モニタリングによる実測濃度を収集し、暴露濃度及び摂取量の推計を行いました。リスク評価としてこれらを比較した結果、排出源ごとの暴露シナリオ及びさまざまな排出源の影響を含めた暴露シナリオでは暴露濃度及び摂取量が有害性評価値を超えた地点は限られておりました。また、環境モニタリングによる評価では、暴露濃度及び摂取量が有害性評価値を超えた地点は確認されておりません。

 生態影響に係る有害性評価といたしまして、既存の有害性情報データから水生生物に対する予測無影響濃度(PNECwater)を導出いたしまして、暴露評価として化審法の届出情報、PRTR情報に基づく予測環境中濃度(PEC)の計算、環境モニタリングによる実測濃度の収集整理を行っております。リスク評価としてこれらを比較した結果、排出源ごとの暴露シナリオ及びさまざまな排出源の影響を含めた暴露シナリオでは、PECがPNECを超えた地点は限られておりました。また、環境モニタリングによる評価ではPECがPNECを超えた地点は確認されておりません。

 届出製造・輸入数量に関しましては、先ほど御紹介したとおり、平成23年度以降、ほぼ横ばいとなっておりました。

 このことから、現在推計される暴露濃度では、二硫化炭素による環境の汚染により広範な地域での人の健康及び生態環境、生活環境動植物の生息もしくは生育に係る被害を生ずるおそれがあるとは認められないと考えられます。

 他方、PRTR情報を用いたリスク評価の結果、暴露濃度及び摂取量が有害性評価値を超えた地点及びPECがPNECを超えると推計された地点が確認されております。大気、水、また人、生態、複雑に計算をしておりますので、その超過状況に関しましては脚注にお示しをしているとおりでございます。

 大気に関しましてはモデルのみで超過地点が得られたときにN,N-ジメチルホルムアミドという物質、以前に評価しておりますけれども、それに関しまして自主的取り組みを促す等を行っておりますので、大気に関しまして、こういった地点に関しましては自主的取り組みを促す。

 一方、水質に関しましてですが、先ほど不確実性で御紹介をいたしましたとおり、デフォルトの水量を使っておりますので、これに対して不確実性があるということですので、自主的な取り組みを促す等というように記載しておりますけれども、自主的取り組みを促すというよりは結果の周知をまずしていくということで、若干対応が違うというところから、この「等」を記載しております。

 また、生態影響の観点のモデル推計でリスク懸念になった地点の水質モニタリングデータの収集等を行うことといたします。上記の結果による排出状況の改善や生態影響についてはリスク懸念地点の水質モニタリングデータを確認した上で、化審法11条第2号二に基づき優先評価化学物質の指定の取り消しを行うものといたします。

 以上です。

○能美座長 ただいま事務局から説明がありましたけれども、これについて御質問等がございましたらネームプレートを立ててください。順次指名させていただきます。いかがでしょうか。

 では、恒見先生、よろしくお願いします。

○恒見委員 資料の7ページ、8ページの両方のリスク推計結果で、経口経路でのリスク推定のところの御質問なのですけれども、後ろのほうで、13ページ、14ページのあたりの表を見てみますと、多分、飲料水経由で経口でリスクも出ていると思うのですが、両方、PRAS-NITEのほうもG-CIEMSのほうも御質問なのですが、その辺の飲料水の場合に河川水の濃度からその後、浄水処理をしたという仮定は置いているのかどうか、その辺を教えていただければと思います。

○MOE事務局 では、G-CIEMSのほうから御回答いたします。浄水処理したかどうかという御質問でよろしかったでしょうか。それは考慮しておりません。

○恒見委員 すなわち、河川水の濃度をそのまま飲んだという仮定ですね。

 PRAS-NITEのほうはどうなっているのですか。

○NITE PRAS-NITEのほうも同じく河川水をそのまま飲むというシナリオになっております。

○恒見委員 わかりました。では、浄水処理は考えない値であれば、リスクゼロであれば余り懸念しないのですけれども、除去前後の水中濃度比率がそのまま1であればその辺の注釈を入れていただければいいのかなと思います。

○能美座長 それでは、修文していただくということですね。

 ほかには何かよろしいでしょうか。

 鈴木先生、どうぞ。

○鈴木(規)委員 今の論点の浄水処理に関して、それ自体はある種、科学的には全くそのとおりとも言えるのですが、たしか水道の方が議論されても浄水処理というのはいろいろ浄水処理がありまして、多くの場合、こういう化学物質に関して除去が必ず期待できるというような処理が行われるとは限らないという想定がしばしばとられているような気がします。これはいろいろな環境規制で水の規制をするときに、この水の摂取シナリオをどう考えるかというのは多分昔から問題でして、比較的浄水に関しては処理できない可能性があるから安全側にとるということ、それは通常考えてやられていたように思いますので、実際に水道、その記載をどのようにするかは注意深く書いたほうがいいような気がいたします。それはさまざまな環境規制が実際にその前提のもとに行われていると私は思いますので、余り変わらずに書くことではないかなという気がいたします。おっしゃることはよくわかるのですけれども、それがまずコメントです。行政のほうでよく書き方を検討していただければと思います。

 もう一つは違う話なのですけれども、やや細かい話ですが、資料2-4の10ページに不確実性といって実河川流量の情報が得られていないと書いてあって、それによって不確実性が発生しているのは全くそのとおりなのですが、それ以外の不確実性も恐らく膨大に効いている可能性は当然あって、そもそもその排水がその量、そこに出ているのかどうか、実は完全には証明できない、調べてみなければ証明できないですし、それがどういう形でその河川に本当に排出されているのかどうかということも実際には行ってみないとかわらないところが多々ありまして、流量はもちろん、当然、あのモデルのデータでは仮定に基づいて構成されていますので、当然不確実性はあるのですけれども、別にそれだけではないということを多少反映していただければという気はいたします。

○能美座長 いかがですか。

○MOE事務局 こちらの記載ですが、今回、点源が多くなっておりますので、どちらかというとPRAS-NITEのほうの記載と考えておりますけれども、よろしいでしょうか。

○能美座長 それでは、経産省の方。

○METI事務局 流量がデフォルトなのは同じかなと思うのです。

○鈴木(規)委員 そうすると、私がもしくは誤解していたかもしれなくて、デフォルトであるということはある意味同じかもしれないけれども、配分流量の配分の仕方が多分全部の水文学的情報がないために多少ある種強引に配分しているところがありまして、そのデフォルトの影響が非常に大きいというのは結構あります。

○能美座長 それでは文章をまとめる際に事務局のほうで鈴木先生などと相談の上、修文してください。結論としてはいかかでしょうか。この資料2-6のほうにリスク評価がまとめられているわけですけれども、これについて御了解いただけますでしょうか。よろしいですか。

(委員 異議なし)

○能美座長 ありがとうございます。

 それでは、二硫化炭素の評価につきましては、事務局から説明していただいたとおりの評価及び対応とさせていただきたいと思います。

 それでは、次の物質の審議に移りたいと思います。

 アニリンの人健康影響にかかわる有害性評価書案について、事務局より説明をお願いいたします。

○MHLW事務局 アニリンの人健康に関する有害性評価書につきましては、前回7月の審議会にて御審議いただきました。その結果、結論となる有害性評価値につきましては事務局案を御了承いただいたところでございます。

 一方で、審議の場におきまして、対案を含めさまざまな御意見がございましたことを踏まえまして、有害性評価書の書きぶりにつきましては各先生からいただいた御意見に基づき、事務局にて修文させていただきました。評価書案の改訂版につきましては事前に各先生方に御確認いただいているところですので、本日の審議会におきましては引き続き前回御了承いただいた有害性評価値に基づいて実施いたしましたリスク評価の結果につきまして御審議いただきたく存じます。

 以上になります。

○能美座長 ただいま事務局から説明がございましたけれども、このような形でよろしいでしょうか。

 それでは、続きまして、アニリンの物化性状、リスク評価書案、リスク評価結果及び今後の対応に関する審議に移りたいと思います。

 事務局より説明をお願いいたします。

○NITE では、続きまして資料3-3をごらんください。

 1ページ目、表1が今回の評価対象物質アニリンでございます。

 続いて、表2、表3に本評価で用いた物理化学的性状、濃縮性、分解性等の情報を記載しております。こちらは平成29年度第1回優先評価化学物質のリスク評価に用いる物理化学的性状、分解性、蓄積性のレビュー会議で了承された値となっております。詳細は資料3-2に示してございます。

 さらに3ページ目から排出源の情報を記載しております。図1が化審法の届出情報でございまして、化審法の製造輸入量といたしましては、平成25年度までは35万トン前後であり、平成26年度以降、大きく減少しております。ただ、これは製造事業者間で吸収合併があり自社内の中間物となった取扱量がありまして、それが化審法上、届出不要となったということで減少のように見えております。

 さらに、その下の表4、こちらが化審法の届出用途別の出荷数量と推計排出量でございます。本物質につきましては、主な用途は中間物ということで9割弱を占めています。

 4ページ目、PRTR制度に基づく排出・移動量の経年変化を図2に掲載しております。こちらをごらんいただきますと、排出・移動量の全体としましては、平成18年度以降、減少を続け、現在はほぼ横ばいといった傾向にございます。平成25年度に廃棄物としての移動が一旦増加しておりますが、こちらは特定の事業者がプラント管理のためにタンク内のものを廃棄したということがわかっておりまして、一時的な変化であることを把握しております。

 排出源情報としましては以上でございます。

○MHLW事務局 続きまして、5ページ、有害性評価になります。

 有害性情報の結果は表6にまとめております。前回の審議会で御審議いただきましたとおり、ラットを用いた経口投与による104週間発がん性試験をキーデータとして算出した有害性評価値となっております。

 有害性評価につきましては以上になります。

○NITE では、続きまして7ページ、リスク推計結果を御説明いたします。

 まず初めに5-1として排出源ごとの暴露シナリオによる評価結果でございます。こちらは排出源ごとの暴露シナリオの推計モデルでありますPRAS-NITEを用いて、PRTR届出情報に基づくリスク推計結果を掲載しています。

 アニリンは解離性を持つ物質であるため、推計には解離性物質向けに一部修正を加えたモデルを用いています。こちらは下の注釈にもありますとおり、経済産業省の優先評価化学物質のリスク評価に用いる物理化学的性状、分解性、蓄積性等のレビュー会議、また平成29年1月の審議会においても報告をさせていただいているものです。

 表7をごらんください。発がん性におけるリスク推計結果といたしましては、経口経路、吸入経路、また、合算したいずれの場合にもリスクが懸念される箇所は認められませんでした。

 以上でございます。

○MOE事務局 続きまして、さまざまな排出源の影響を含めた暴露シナリオの評価でございます。結果について表8にお示ししておりますとおり、経口経路、吸入経路、合算、いずれにおきましても懸念、ハザード比が1以上となる地点はございませんでした。

 「5-3 環境モニタリングデータによる評価」でございます。

 こちらに関しましても経口経路、いずれの毒性に関しましてもハザード比が1以上となる地点はございませんでした。水質モニタリングデータに基づくハザード比の区分別測定地点数に関しまして表10にお示ししているとおりでございます。

 「6 追加調査が必要となる不確実性事項等」でございます。

 本物質に関しましては、大気モニタリングデータが得られておりません。水質モニタリングがG-CIEMS濃度推計よりも約100倍から10万倍ほど高いということとなっております。

 以上でございます。

○MHLW事務局 続きまして、資料3-4に基づきまして、評価結果及び今後の対応について御説明させていただきます。

 アニリンについて有害性評価値を算出し、また、化審法届出情報、PRTR情報に基づく予測環境中濃度を計算、環境モニタリングによる実測濃度を収集し、暴露濃度及び摂取量の推計を行いました。リスク評価としてこれらを比較した結果、暴露濃度及び摂取量が有害性評価値を超えた地点は確認されませんでした。また、化審法の届出製造・輸入数量は平成25年度以降減少傾向にあり、PRTR排出量は過去5年で半減しております。

 このことから、現在推計される暴露濃度では、アニリンによる環境の汚染により人の健康に係る被害を生ずるおそれがあるとは認められないと考えております。

 なお、生態影響の観点からはリスク評価(一次)評価I継続中ですので、アニリンは引き続き優先評価化学物質としたいと思います。

 以上になります。

○能美座長 ただいま事務局から説明がありましたけれども、これに対しまして御質問等ございましたら、ネームプレートを立ててください。順次指名させていただきます。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、アニリンの評価に関しましては事務局から提案のありました資料3-4にまとめられているとおりというように結論させていただきたいと思います。

 それでは、次の物質の審議に移りたいと思います。

 アクリル酸の生態影響にかかわるリスク評価の進捗状況について、事務局より説明をお願いいたします。

○NITE それでは、資料4-1をごらんください。

 3ページ目から4ページ目をごらんいただければと思います。暴露評価等に用いた物理化学的性状、濃縮性、分解性につきまして、表2及び表3に掲載しております。こちらは優先評価化学物質のリスク評価に用いる物理化学的性状、分解性、蓄積性等のレビュー会議にて専門家のレビューを経た結果からとなっております。詳細につきましては資料4-2に示してございます。

 5ページ目をごらんください。排出源情報を載せております。

 まず図1に化審法の届出情報に基づく製造・輸入数量の経年変化を載せております。化審法の届出によりますと製造・輸入数量の合計は約30万トン前後で推移しております。その下の表4には化審法届出用途を示しております。この物質は中間物として使われております。

 6ページ目の図2と表5に化管法の情報を載せております。図2の真ん中あたりに点線を引いておりますが、この物質は化管法では平成21年度まではアクリル酸として指定されておりましたが、平成22年度以降はアクリル酸及びその水溶性塩と指定されております。平成22年度に排出・移動量が増加したのはその影響と考えられます。しかし、平成22年度以降、水域の排出量につきましては年々減少しているということがわかります。

 排出源情報につきましては以上になります。

○MOE事務局 続きまして、有害性評価でございます。

 有害性評価値に関しましては前回審議会で審議いただいておりまして、表7にお示ししておりますとおり、生産者(藻類)の成長阻害に対する無影響濃度(NOEC)を0.016mg/L、これをUFの50で除しまして0.00032mg/Lでお認めをいただいております。

 底生生物に関しましてはlogPowが3未満であることから、底生生物に関する有害性評価、リスク評価は行わないこととしております。

 有害性評価に関しましては以上です。

○NITE それでは、続きまして、8ページ、リスク推計結果の概要について御説明いたします。

 まずは「5-1 排出源ごとの暴露シナリオによる評価」です。PRAS-NITEを用いてPRTRの届出情報に基づく評価結果を示しております。なお、アクリル酸は解離性の物質であるため、先ほどのアニリンと同様に推計には解離性物質向けに一部修正を加えたモデルを用いております。

 表8の結果を見ていただきますと、PRTRの排出源240カ所のうち、水生生物のリスク懸念カ所は6カ所となりました。

 排出源ごとの暴露シナリオの説明は以上になります。

○MOE事務局 続きまして、さまざまな排出源の影響を含めた暴露シナリオによる評価でございます。

 PRTR排出量(平成27年度)を用いましてさまざまな排出源の影響を含めた暴露シナリオによる推計モデル(G-CIEMS)によりまして水質濃度の計算を行い、水域における評価対象地点3,705領域のリスク推計を行っております。

 結果は表9にお示しするとおりでございまして、PEC/PNECが1以上となった地点が27流域ございました。

 5-3でございます。環境モニタリングデータによる評価です。

 直近5年及び過去10年のアクリル酸の水質モニタリングデータをもとにリスク評価をいたしました。結果は表10及び11にお示しをしているとおりでございます。水質モニタリングデータに基づくPEC/PNEC比が1以上となった地点は7地点ございました。

 6といたしまして追加調査が必要となる不確実性事項等でございます。

 これの詳細につきまして、1枚めくっていただきました表12におまとめしておりますので、こちらをごらんください。

 調査の必要性がありとなった項目を中心に御説明をさせていただきたいと思います。

 まず有害性情報でございます。これにつきましては、魚類慢性毒性値または魚類慢性毒性値の大きさの程度を判断できる情報が不足しております。

 続きまして、PRTR情報でございます。これに関しましては、先ほどNITE様から御紹介いただきましたとおり、PRTR対象物質はアクリル酸及びその水溶性塩でございまして、化審法の対象物質より範囲が広くなっております。

 続きまして、排出量推計でございます。アクリル酸誘導体も含めたアクリル酸等の発生源情報等となっておりますけれども、検出された水質モニタリング濃度が高い範囲では当該地点における水質モニタリング濃度がG-CIEMS推計濃度と比較をいたしまして2桁程度高濃度である傾向が見られております。そのため、PRTR以外の未把握の発出源等が原因の可能性がございます。

 続きまして、暴露シナリオでございます。排出源ごとの暴露シナリオに関しましては、リスク懸念地点の河川流量について不確実性があると考えております。デフォルト河川流量を用いましてモデル推計をした結果、判明したリスク懸念地点につきまして実河川流量を調査いたしましたが、情報が得られていない状況となっております。

 続きまして、さまざまな排出源の影響を含めた暴露シナリオでございます。これに関しましては、検出された水質モニタリング濃度が高い範囲では当該地点における水質モニタリング濃度がG-CIEMSの推計濃度と比較しまして2桁程度高濃度である傾向が見られております。これに関しましては、先ほど御紹介したとおりでございますけれども、PRTR以外の未把握の発出源が原因の可能性がございます。

 環境モニタリング情報でございます。モデルに基づいてリスク懸念となると予測された地点における水質モニタリングデータは限定的でございますので、これに関しても不確実性があると考えております。

 また、その他といたしまして、モニタリングにおいて有害性評価値を超過する濃度が観測された地点のうち、上流またはその周辺にPRTR届出排出事業所の存在を確認することができない地点が存在しておりまして、未把握発出源等が原因の可能性がございます。

 では、冒頭に戻っていただけますでしょうか。リスク評価の結果の概要に関しまして、今、御紹介したとおりですので割愛させていただくといたしまして、25行目、今後の対応について御紹介したいと思います。

 PRTR情報を用いたリスク推計の結果、排出源ごとの暴露シナリオに基づく予測環境中濃度が有害性評価値を超えた地点が推計されたことから、PRTR情報による排出量上位事業者に対してリスク評価の結果を通知いたしまして、その状況をまず周知することといたします。

 他方ですが、環境モニタリングによる実測濃度がPNECを超過した地点、7地点中、その上流、その周辺の水域に、排出しているPRTR事業所が確認された地点は2地点ございましたが、PRTR届出排出事業所が確認できない地点が5地点ございました。これに関しまして、未把握の発生源が原因の可能性がございますので、発生源について追加調査が必要となっております。

 また、排出源ごとの暴露シナリオ及びさまざまな排出源の影響を含めた暴露シナリオによる評価でPECがPNECを超えた地点について環境モニタリングが実施されていない点に不確実性がございます。さらに、発生源の追加調査の結果に基づき、さらなる環境モニタリングの実施についても検討が必要と考えられます。

 以上から、本物質に関しましてはPRTR情報による排出量上位事業者に対してリスク評価の状況を周知しつつ、発生源及び環境モニタリングによる不確実性がありますことから、本物質はリスク評価(一次)評価Ⅲに進めることといたしまして、排出実態を把握するとともに、環境モニタリングによる実測データの収集等を行った上で、必要な措置を検討することとしたいと考えております。

 以上です。

○能美座長 それでは、ただいま事務局からの説明がありましたけれども、これに対して御質問、御意見がございましたら、お手元のネームプレートを立ててください。順次指名させていただきます。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、アクリル酸の評価に関しましては、ただいま資料4-1に記載のとおり、事務局からの説明のとおりと結論させていただきたいと思います。

 それでは、事務局、そのほかに何かありますでしょうか。

○MOE事務局 それでは、参考資料4をごらんください。

 スクリーニング評価におけるデフォルトの有害性クラスを適用する一般化学物質の候補物質について、御報告させていただきます。

 5ページ目にお示ししているリストが今年度デフォルトを設定した11物質になります。一定の期間内に有害性情報の提出がなかった場合には、来年1月の審議会におきまして優先判定について御検討いただきたいと考えております。有害性情報の提出につきましては、昨年と同様、経済産業省と環境省のホームページで詳細を御連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。

 以上です。

○能美座長 御質問ある方はいらっしゃいますか。よろしいでしょうか。

 それでは、その他、何かありますでしょうか。

○MHLW事務局 その他事項、特段ございませんが、当審議会の第二部の審議につきまして御説明をさせていただきます。

 第二部から参加の先生方がいらっしゃいますので、第二部の開始については14時から開始をさせていただきたいと思います。20分ぐらい時間があいてしまいますが、14時ちょうどから始めさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 なお、第二部につきましては新規化学物質の審査等でございますので、非公開とさせていただきます。傍聴者の方におかれましては御退室をお願いいたします。

 委員の先生方は14時までにお席にお戻りください。

 以上です。

○能美座長 以上をもちまして合同審議会第一部を終了とさせていただきたいと思います。ありがとうございました。