平成29年度第10回薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会化学物質調査会 平成29年度化学物質審議会第5回安全対策部会 第182回中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会【第一部】 議事録

1.日時

平成30年3月23日(金)13:00~15:20

2.場所

TKP東京駅日本橋カンファレンスセンター ホール6A

3.出席:(五十音順、敬称略)

薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会化学物質調査会委員

石田 誠   小川 久美子   菅野 純

鈴木 勇司  高橋 祐次    田中 博之

長尾 哲二  能美 健彦(座長)平塚 明 

平林 容子  広瀬 明彦    本間 正充

化学物質審議会安全対策部会委員

浅野 哲   石井 一弥    大石 美奈子

亀屋 隆志  小林 剛     恒見 清孝

東海 明宏  原田 房枝    林  真(部会長)

参考人 

金子 秀雄

中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会委員

青木 康展  石塚 真由美   菅野 純

日下 幸則  小山 次朗    白石 寛明(委員長)

鈴木 規之  山本 裕史    吉岡 義正

和田 勝

事務局

厚生労働省  渕岡化学物質安全対策室長

経済産業省  飛騨化学物質安全室長

環 境 省  新田化学物質審査室長 他

4.議題

1.優先評価化学物質のリスク評価(一次)評価Ⅱにおける評価等について
<審議物質>
① エチレンオキシド【#19】
② α-(ノニルフェニル)-ω-ヒドロキシポリ(オキシエチレン)(別名ポリ(オキシエ
チレン)=ノニルフェニルエーテル)【#86】
③ ナトリウム=3,5-ジクロロ-2,4,6-トリオキソ-1,3,5-トリアジナン-
1-イド(別名ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム)【#159】、及び1,3,5-トリクロ
ロ-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン【#137】
④ N,N-ジメチルアルカン-1-アミン=オキシド(C=10,12,14,16,18、直鎖型)、
(Z)-N,N-ジメチルオクタデカ-9-エン-1-アミン=オキシド又は(9Z,12
Z)-N,N-ジメチルオクタデカ-9,12-ジエン-1-アミン=オキシド【#169】


2. その他

5.議事

○MOE事務局 それでは時間がまいりましたので、ただいまから平成29年度第10回薬事食品衛生審議会薬事分科会、化学物質安全対策部会化学物質調査会、平成29年度化学物質審議会第5回安全対策部会、第182回中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会合同審査会を開催したいと思います。

 本日はいずれの審議会も開催に必要な定足数を満たしており、それぞれの審議会は成立していることをご報告いたします。なお、本合同審議会は第1部から第3部に分けて実施いたします。1時から3時20分までを第1部とし、優先評価化学物質のリスク評価(一次)評価Ⅱの審議等を公開で行います。終了後、約15分間の休憩を挟みまして、3時35分より第2部を行い、終了後、約10分間の休憩を挟みまして、第3部を行います。第3部については非公開とします。よろしくお願いいたします。

○METI事務局 また、本日は化学物質審議会審査部会の臨時委員である金子先生にノニルフェノールエトキシレートの有害性評価に関しての参考人として、ご参加いただいております。

○MHLW事務局 続きまして、本日、合同審議会を開始する前に、厚生労働省事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果についてご報告させていただきます。

 薬事分科会規程第11条におきまして、委員、臨時委員、または専門委員は在任中、薬事に関する企業の役員、職員、または当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には辞任しなければならないと想定しております。今回全ての委員の皆様より、同規程第11条に適合している旨ご申告いただいておりますので、報告させていただきます。

 委員の皆様におかれましては会議開催の都度、書面ご提出いただいており、ご負担おかけしておりますが、引き続きご理解、ご協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。

○MOE事務局 それでは、資料について確認を行いたいと思います。

 議事次第に沿いまして確認いたします。まず資料1-1でございますが、優先評価化学物質「エチレンオキシド」人健康に係るリスク評価(一次)評価Ⅱの進捗報告でございます。資料1-2がリスク評価簡易版の(案)でございます。資料1参考1としまして、詳細の物化性状の資料となっております。資料1参考2が有害性情報の詳細資料となってございます。

 次に資料2のシリーズでございますけれども、こちらがリスク評価(一次)評価Ⅱの進捗報告が資料2-1、資料2-2としまして有害性情報の詳細資料、資料2参考1といたしましてリスク評価簡易版となっております。続きまして資料2の参考2でございますが、こちらが物化性状の詳細資料となってございます。物化性状につきましてはパソコンに資料が入っておりますので、ご確認いただければと思います。

 また資料3-1でございますが、こちらがイソシアヌル酸の再評価結果になってございます。3-2-1がリスク評価の簡易版、資料3-2-2がリスク評価のこちらも評価Ⅱの簡易版、資料3-2参考1が物化性状、こちらもパソコンのほうでございますが、物化性状の詳細資料となっております。資料3-2-参考2といたしまして有害性情報の詳細資料となってございます。

 続きまして資料4のシリーズでございますが、こちらがリスク評価の一次評価Ⅱの進捗報告、資料4-3参考1といたしまして物化性状の詳細資料でございますが、こちらもパソコンのほうをご確認いただければと思います。資料4参考2といたしまして有害性情報の詳細資料となってございます。

 そのほか参考資料としまして、委員名簿、参考資料2といたしまして優先評価のリスク評価(一次)評価Ⅰの結果及び今後の対応についての資料一式となっております。参考資料3としまして、リスク評価の技術ガイダンス、参考資料4といたしまして排出係数の一覧表となってございます。

 不足などございましたら事務局までご連絡いただければと思います。

 よろしいでしょうか。

 それでは、これより議事に入りたいと思います。

 本日の全体の議事進行につきましては、中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会白石委員長にお願いしたいと思います。それでは白石委員長、どうぞよろしくお願いいたします。

○白石委員長 それでは、議事の進行を務めさせていただきます。

 これより議事に移らせていただきます。

 始めに本日の会議の公開の是非についてお諮りします。各審議会の公開につきましてはそれぞれ規定のあるところでございますが、公開することにより公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがある場合、または特定なものに不当な益、もしくは不利益をもたらすおそれがある場合等、非公開とすべき場合に該当しないと考えますので、原則公開としたいと思います。ただし、営業秘密等に該当する場合は秘匿することがあることを認めることといたしたいと思います。よろしいでしょうか。

(異議なし)

○白石委員長 それでは本日の会議は公開といたします。

 議事録につきましては後日ホームページ等で公開されますので、あらかじめご承知おき願います。

 では議題1に入ります。優先評価化学物質のリスク評価1次評価Ⅱにおける評価ということで、本日はリスク評価Ⅱに進んでいる優先評価化学物質のうち、1物質の審議と3物質の進捗状況を行うことにします。

 それでは、まずエチレンオキシドの評価の健康影響の観点でのリスク評価Ⅱの進捗について、事務局よりご説明願います。

○NITE それでは資料1-2に基づいてご説明いたします。1点おわびがございまして、資料1-2が白黒資料になっておりまして、机上配付資料がですね。お手元のパソコンですとか、各省のホームページ掲載されているものはカラーになっておりまして、可能であればそちらをご参照いただければと思います。

 資料1-2、1枚おめくりいただきまして、1ページ目、表1が今回の評価対象物質でございます。今回はエチレンオキシドでございます。表2、表3に本評価で用いた物化性状、濃縮性、分解性等の情報を記載しております。こちらは経済産業省の優先評価化学物質のリスク評価に用いる物化性状、分解性、蓄積性等のレビュー会議という検討会でご検討いただいたものでございます。

 ページをおめくりいただきまして、3ページからが排出源の情報を記載しております。図1が化審法の届出情報でございます。化審法の届出情報は、製造輸入数量といたしましては約22万トンから130万トンの間で変動をしているところでございます。

 ページをおめくりいただきまして5ページ、こちらが化審法届出情報でございます。届出情報に基づく推計排出量の表でございます。本物質につきましては、用途といたしましては中間物と殺生物剤2ということで、主にガス滅菌剤等の届出がございました。事業者ヒアリングを事前に行いまして、この殺生物剤2の出荷数量の大部分につきましては化審法対象外であって、製造数量等の届出が本来であれば不要である医療用ガス滅菌剤として出荷されているものであるという情報が得られました。ただ、化審法の届出者が使用者の具体的用途の詳細、滅菌剤の中で工業用なのか、医薬品なのかというところの詳細を把握することは困難でありまして、医療用ガス滅菌剤以外の用途として使用される可能性が排除できないため、製造数量等の届出がなされているとものと考えております。

 また、表5はエチレンオキシドの滅菌ガスの用途別出荷数量でございまして、一般社団法人日本産業医療ガス協会の調査によりますと、平成27年度の医療用ガス滅菌剤としての出荷数量が972トンという、医療用向け医薬品というものと医療機関以外向け医薬品を足したものが972トンであるのに対しまして、工業用滅菌ガスとしての出荷数量は15トンであったということでございました。この工業用滅菌ガスというのは、主に蜂の巣の滅菌ですとか、文化財、絵画等の燻蒸に使うというものでございます。

 続きまして、6ページでございます。PRTR制度に基づく排水移動量を図2に掲載しております。こちらをご覧いただけますと、排出移動量の全体としましては平成21年度以降、減少傾向にございます。参考情報ですけれども、平成21年度までは医療業というのが届出の対象業種ではございませんでした。医療業からの排出は、21年度までは届出外推計に含まれてございます。22年度以降は医療業対象業種に加わっておりまして、届出数量に含まれております。

 排出現情報としましては以上でございます。

○MHLW事務局 続きまして、有害性評価についてご説明いたします。

 エチレンオキシドについては実験動物で発がん性が明らかでありまして、またヒトの疫学研究でも発がん性が示唆されている化学物質です。また変異原性試験でも明確に陽性が得られておりますので、本評価書においては閾値のない遺伝毒性発がん性物質として扱っております。エチレンオキシドの有害性評価について、一般毒性、生殖発生毒性、発がん性の既知検討の毒性データを比較検討した結果、最も高い指標は発がん性でございました。発がん性の有害性評価値でございますが、1984年のSnellingsらの文献及び1985年、86年のGarmanらの文献でありますラットの2年間吸入毒性試験をキーデータとしまして、9.2×10-5mg/㎥を有害性評価値としております。また経口経路につきましては吸入経路から換算した3.68×10-5mg/kg/dayとしているところです。

 なおエチレンオキシドについては体内に吸収された後、各臓器で代謝活性が起こると考えられておりますので、経口及び吸入の暴露経路に依存せずに、血液リンパ系の腫瘍が誘発される可能性が高いと考えられております。そのため、本評価書では発がん性に係るリスクに関しては、経口暴露推計量に基づくリスク比と吸入暴露推計量に基づくリスク比を合計した値をもって、リスクを推定することが毒性学に妥当であると考えております。

 以上です。

○NITE 続きまして8ページ、リスク推計結果をご説明いたします。

 まず始めに、5-1として排出源ごとの暴露シナリオによる評価結果でございます。こちらは排出源ごとの暴露シナリオの推計モデルでありますPRAS-NITEを用いて、PRTR届出情報に基づくリスク推計結果を掲載いたしました。

 表8をご覧ください。発がん性におけるリスク推計結果といたしましては、経口経路として202カ所中の4カ所でリスク懸念あり、吸入経路としまして59カ所、経口経路と吸入経路を合算した場合で63カ所がリスク懸念ありとの結果になりました。

 また表9には、PRTR情報の排出源のうち医療ガス用滅菌剤として使用されたと想定される排出源を除いた表を掲載しております。医療用ガス滅菌剤として使用されたと想定される排出源を除いた場合は、経口経路は0カ所、吸入経路及び経口経路と吸入経路の合算した場合は、それぞれ10カ所、リスク懸念ありということになりました。

 以上でございます。

○MOE事務局 続きまして5-2、様々な排出源の影響を含めた暴露シナリオによる評価について、ご紹介いたします。

 PRTR届出情報及び届出外排出推計を用いまして、さまざまな排出源の影響を含めた暴露シナリオによる推計モデル、G-CIEMSによりまして大気中濃度及び水質濃度を計算いたしまして、評価対象地点とした環境基準点を含む3,705地点のリスク推計をいたしました。

 次のページをご覧ください。推計結果は表10にお示しするとおりでございまして、ハザードコーシェントが1以上となる地点は、経口で16地点、吸入で5地点、経口+吸入で28点ございました。

 続きまして、5-3、環境モニタリングデータによる評価でございます。直近5年のエチレンオキシドの大気モニタリングデータを基にリスクを評価いたしました。結果は表11及び表12にお示しするとおりでございます。水質のモニタリングデータについては得られおりません。大気においてはハザードコーシェント1以上となる地点は、吸入、発がん性で277点中138点、延べ1,120点中325点でございました。こちらの注釈にございますとおり、5年間のデータを使っておりまして、複数年度で同一地点が測定されている場合には、最大濃度を使用した場合の結果ということでございます。表12にお示ししておりますのが年度ごとの結果でございます。直近の平成27年度におきましては、ハザードコーシェント1以上であった地点数は48地点となっております。以上です。

○METI事務局 続きまして、10ページの不確実性事項等に入る前に、24ページをご覧ください。ここに、先ほど環境省から話のあったモニタリングで懸念となっている48地点を表しています。この48地点の周辺にPRTR届出事業所が、どういうものがあるかというのを1キロから3キロ圏内、4キロから6キロ圏内、7キロから10キロ圏内ということで、参考までにプロットしてみました。これによると、先ほどから話が出ている化学工業というのは、主にEOそのものを製造している事業所と、界面活性剤等の原料にEOを中間物として使用している事業所です。医療用ガス関連というのは、主に医療用の滅菌ガスとして使っている事業所をプロットしております。これを見ると、この48地点の周辺にそれぞれの業種があることもわかるのですが、一方で、この48地点中21地点については、測定地点から10キロ圏内においてもPRTR対象事業所がない、データ的にはそういうことになっております。

 それを踏まえまして、先ほどの10ページ目、6ポツの追加調査が必要となる不確実性事項等をご覧ください。ここで我々が追加で調査、精査が必要と思っている項目には、調査の必要性が「あり」という記載をしてありますが、その「あり」のところだけ簡単にご説明します。

 まずPRTR情報についてですが、一番右の理由という欄ですが、2ポツ目、PRTR届出大気排出量の72%は、化審法の対象外である医療用ガス滅菌剤によるものと考えられる。3ポツ目、また排ガス除去装置における除去率は99.9%以上との報告もあるが、PRTR届出外推計に用いられる除去率は、製造業で90.5%であり、過大推計の可能性がある。4ポツ目、高濃度のモニタリング地点周辺に届出事業所がないケースがあり、PRTR届出・届出外排出量が適切でない可能性がある、ということを挙げさせていただきました。

 それと次のページの最後、その他という項目にも、調査の必要性が「あり」ということを記載させていただきまして、これが先ほどののモニタリングデータの表との関係になります。モニタリングにおいて、有害性評価値を超過する濃度が観測された地点の近傍に、排出源の存在を確認することができない地点が多数、先ほど申し上げたとおり48地点中の21地点存在しており、未把握の発生源の可能性があるのではないかということを挙げさせていただいております。

 それを踏まえまして、資料1-1、一番最初の優先評価化学物質「エチレンオキシド」人健康影響に係るリスク評価(一次)評価Ⅱの進捗報告、に戻っていただいて、その最後の今後の対応についてというところをご覧ください。今までの説明を踏まえた内容になっております。エチレンオキシドは中間物及び滅菌ガスの用途で使用されている。薬機法第2条第1項に規定する医薬品に該当する滅菌ガスは、化審法の第二種特定化学物質としての措置の適用除外用途である。環境モニタリングによる実測濃度が有害性評価値を超過した48地点中、その周辺1~6キロに化審法の適用対象のPRTR届出排出事業所が確認された地点が14カ所ありましたが、PRTR届出排出事業所が確認できない地点が多数ありました。また、今般の事業所ごとの平成27年度、PRTR届出排出量を用いたリスク推計で、予測暴露量が有害性評価値を超えた地点の大部分、63地点中53地点は薬機法上の医療用滅菌ガスの使用に起因するものでありました。一方で化審法の対象となる排水源の中で、予測暴露量が有害性評価値を超えたのは、残りの10事業所でありました。ただし、これらの推計は排出源の位置関係を考慮していないことに注意する必要があります。

 次が結論ですけれども、このため本物質はリスク評価(一次)評価Ⅲに進め、環境モニタリングによる実測濃度で有害性評価値を超過し、周辺にPRTR届出事業者が確認できない多数地点の状況を確認するとともに、他法令等における対応状況を確認した上で、必要な措置を今後検討することとする。という結論にしております。

 以上です。

○白石委員長 ありがとうました。

 それでは今の事務局の説明について、ご質問等ございましたらお手元のネームプレートを立ててください。順に指名させていただきます。

○青木委員 資料1-1の前のほうの説明があまりなかったと思うのですけども、ここでポイントになってくるのがリスク推計の結果だと思います。ご説明がなかったので、状況認識について伺いたいのですが、今のリスク評価書、資料1-2-のいわゆる簡易版によると、環境モニタリングのデータ等々から考えると、いわゆる有害性評価値を超えた地点が相当あると。その中で化審法が扱う範囲と、それから薬機法という具体的な法律名を出しておられましたが、その両方、薬機法で適用範囲内にある用途が2種類あって、排出源等々、いろいろ不明な部分があるという結論はわかるんですが、その状況認識として、広範な部分、地域で、直截な言い方を申しますが、リスクの懸念がある状況にあるということは認識されているんでしょうか。ここはあくまでリスク評価を議論する、進捗報告なわけですから、リスク推計結果のご説明がまずあってしかるべきではないかと思っていたので。そもそも論の質問で申し訳ないですけれども、述べさせていただいたという次第です。

○METI事務局 排出源ごとの暴露シナリオの結果がよくわかるのが表20なのですが、17ページです。パソコンに格納されている資料はカラーになっているので、そちらを見ていただけるとわかりやすいと思います。

 排出源ごとの暴露シナリオで、PRTRデータを用いたPRAS-NITEでのリスク推計結果がここに出ています。202地点中、63地点が懸念地点になっています。そのうち左から3番目に業種名というのが書いてありますが、これはパソコンの資料では色づけがしてありますけれども、小さくて恐縮ですけれども、医療用機械器具製造業・医療用品製造業と、化学工業という主に二つの業種が大部分です。あとはプラスチック製品製造業等もあります。パソコン中で黄色く色づけしてあるもの、化学工業となっているものが、先ほど申し上げた中間物としてEOを使用している事業所、EOそのものを製造している事業所です。黄色の部分が、化審法の対象となる事業者です。黄色以外のところ、先ほど63地点中の53地点については医療用滅菌ガスを使っている事業所です。広域性の判断というところについて言えば、化審法対象となる黄色の部分の箇所が広域なのかどうかというところで判断すべきだと考えております。

○青木委員 詳細なご説明ありがとうございます。ただ、いずれにせよ、この場合はエチレンオキサイドによるリスク懸念箇所は63カ所あって。ですから排出源が、あるいは大気中に出てしまった化学物質のもともとの用途を把握するというのはなかなか難しいのじゃないかなとは思うんですが、それでも63カ所、比較的広範な地域がそういう懸念箇所になっているということはよろしいわけですよね。用途はともかくとして。

○METI事務局 そうですね。それが化審法適用対象かどうかを度外視すれば、63というのが、広範な地域かどうか、また、数自体でどう判断するかという問題もあります。

○青木委員 でも面積からすると、PRTRのデータ(の推定)からしても、それなりの面積、我が国の国土の中ではそれなりの面積だとは思います。ありがとうございます。また後ほど質問があったらいたします。

○白石委員長 今の資料を見ていたんですけど、配られた資料が違うかもしれないので。

○METI事務局 多分、配られているものとパソコンが1ページずれている気がします。

○白石委員長 ほかいかがでしょうか。

○石井委員 今の表の確認までなんですが、配られている紙の資料の17ページ、表の化学工業と書かれているところが化審法の対象という理解でよろしいですか。私が見ているパソコン中で黄色がついている部分とおっしゃったんですが、違うところに黄色がついている。医療業とかについているのがありますので、確認させてください。

○NITE 色づけの根拠等についてご説明させていただきます。これは各企業に聞き取り等いたしまして、例えばプラスチック製品製造業というところは色がついておりませんが、ここは医薬品の容器をつくっているところで、滅菌ガスを使用しているということで、これは化審法の対象ではないと。そういった全ての企業について、事業内容を確認して判断をいたしているところでございまして、化学工業となっても色がついてないところは医療用ガスそのものを製造している企業であるというようなことでありまして、ちょっとわかりづらくて申し訳ございません。

 あと医療用機械器具製造業とか医薬品製造業だけども色がついているというところも2カ所ほどございまして、そちらは、よろしければ厚労省さんの方で補足いただいてもよろしいですか。

○MHLW事務局 厚労省も聞き取りをさせていただいて、事業内容について、代表としてはこういう名称を使っているけれども、使っているのが工業ガスだったというようなケースが何個かありましたので、基本的には経産省さんと同じように裏取りさせていただいて、医薬品以外のものを使っているところを黄色でさせていただいているという状況になっています。

○石井委員 ありがとうございました。

○吉岡委員 別の質問ですが、資料1-2の23ページの(3)の大気モニタリング濃度というところなのですけれども、先ほどのご説明では近くに工場もないし、あるいは医療機関もないので不思議だなというとお話が出ていたと思います。例えばモニタリングっていうのは、エチレンオキサイドガスだけをはかっているんじゃなくて、他のガスをはかっているだろうと思うのですが、そういったものを見てみても、このあたりには何とか高原みたいに綺麗な風が吹いている、そういうところであって、起こり得ないようなことが起こっている、むしろ測定の間違いではないかというようなことはございますか。

○MOE事務局 モニタリングでございますけれども、マニュアルを当方の大気部局で設定しておりまして、その手法に基づいて測定をしておりますので、間違いということはないと考えております。

○吉岡委員 というよりも、ほかのガスと濃度の関係から見て、ここは異常だということはないですか。つまり他のガスの影響という、例えば亜硫酸ガスとか、工業地帯で出てくるようなものが一緒にたくさん、そこの地域にあったりするというような関連はないかという意味です。

○MOE事務局 そのような解析はしておりませんけれども、今後、Ⅲに進めるということでもありますので、そちらで精査をさせていただきたいと思います。

○METI事務局 資料中のどの地点かは忘れてしまったのですが、48地点中1地点に対馬という島の測定地点がありました。地図で確認したところ、測定点の周りに本当に何もありませんでした。なぜここでエチレンオキシドが測定されるのかというところもあります。そういうところは、何に起因したエチレンオキシドガスが測定点で測定されているのかというのを、どこまで特定できるかというのはあると思いますが、調査が必要なのではないかと思っています。

○白石委員長 ありがとうございます。ちなみに大気中のエチレンオキシドの寿命は、どのくらいで設定されていますか。

○NITE 一応、資料1-2の2ページに大気中の半減期として精査した結果、設定したのは211日としてございます

○白石委員長 わかりました。大分長いような感じがしますので。

 ほかに。

○鈴木(規)委員 一つは、今の大気モニタリングと届出排出事業所という議論なんですが、多分一般論として、私たちモデル屋が言う、フォワード側の排出源から周辺をたどるという推定は一般に容易ですけども、インバース側の観測地から排出源をたどるという推定は非常に包括的なモデリングが必要になりますので、そんな簡単にできることじゃない。だから、これがわからないということは当たり前でして、こういう状況はどんどん測定しても当たり前なので、あまりこれがどうのこうのって細々議論するのは、私は技術的にあまり意味がないと思いますので、総合判断の中で扱ったほうがいいと思います。

 同じようにPRTRにつきましても、PRTR自体はもちろん多くの事業者は努力して出されとているんですが、それは必ずしも完全なものではないってことは当然認識されておりますので、その数字が63分の53だか、48分の14とか、そういう数字はもちろん解析として意味はあると思いますが、あくまで全体の総合判断の中で扱うべき問題で、そこだけを頼りに何かやるというのは健全ではないと思います。これはコメントです。

 もう一つは質問なんですが、特に前半はいいと思うんですが、測定値のほうでモニタリングデータが明らかに高い地点が相当な数存在していると私は考えますが、これは多分一定のリスク懸念はあると私は考えるところでありますけども、薬機法の対象であるので、対象除外であるというので話されていいと。もし対象除外になったときに、薬機法はこの物質に対して、どういうアクションが取れるんでしょうか。

○MHLW事務局 コメントではなくて、後半の薬機法の話をさせていただきたいと思います。薬機法そのもの自体、法制度的には工場等からの環境影響の周辺の話というのは厳密に規定しておりませんので、薬機法そのものでは、なかなか明確的な対応は難しいと思っています。

 ただ、その一方で、先ほどご説明があったとおり、化審法から医薬品として用いられているものは除外させていただいておりますので、そういうような医薬品を取り扱っている工場等からの排出削減といった話については、先ほどのPRTRのデータ等から、どういうところが一番多く取り扱っているかといった情報について、担当部局とすり合わせをして、認識を確認しておりますので、引き続きそちらのほうで、排出削減に向けた努力を関係部局と調整しながら、業界側に求めていくというようなことはさせていただくつもりでおります。

○鈴木(規)委員 それは薬機法側の措置だと思いますが、化審法側の評価の中で、薬機法の部分と化審法の部分が、少なくとも相当程度存在しているということですので、薬機法側で検討された結果というのは、今後この化審法側のリスク評価の中に情報提供、判断の材料としていただけるんでしょうか。

○MHLW事務局 そうですね、具体的にどのような対応させていただくかという話は、これから検討させていただきたいと思うのですが、その対応状況については当然フィードバックをさせていただいて、化審法側で何ができるかっていう話の参考にさせていただくことはできると思います。

○林部会長 これは最終的な結論として、評価Ⅲに進めるということで、そこでいろいろより精緻な評価がなされるということなので、これ以上言うことはないんですけど、先ほど青木委員からの発言にもあったように、今の発言もそうですけれども、やはり他法令との整合性っていうのをどういうふうに本質的に考えていくのかというのは、一度きちっと整理するというか、考えておく必要があるのではないだろうかと思っております。

 それからまたモニタリングに関しても、もっと一般の人にきちっと、これはもう明らかに広範囲な暴露だねというようなことがわかるような説明というのが、今後はさらに必要になってくるのかなと思って聞いておりました。

○白石委員長 ありがとうございます。事務方から何かございますか。

 他法令の関係については、もともと化審法は総合的に他法令との関係も考えながら運用されていると思いますので、これからもそのようにやっていただきたいと思いますが。

○大石委員 今のところとも関連するんですけれども、資料1-1の2ページの最後のところだと思うんですけれども、PRTR届出事業所が確認できないと多数地点の状況を確認するとともにって書いてあるんですけども、これどういうふうに確認して、どういうふうに提供してくださるのかなっていうのと、最後に今のお話と重なると思うんですけれども、他法令における対応状況を確認した上で、必要な措置を検討するって書いてあるので、ここが、もう少し具体的に教えていただけるとありがたいんですけど。

○白石委員長 では、これは事務局からお願いします。

○METI事務局 これから評価Ⅲで具体的に何をするかというところも含めて考えていくわけですけれども、多数の地点に何があるのか、例えば化管法の届出外の業種、届出されていない裾切り以下事業者、小さい病院などでも使われておりますし、あと自然発生源等々もあると聞いています。そういうのものを、先ほど全部解明するのは難しいと鈴木委員からコメントがありましたが、できる限り解明して、何に一番起因しているのかというところも踏まえた上で、何が本当に全国のエチレンオキシドを減らすために有効なのかということを考えていきたいと思っております。

○白石委員長 どうでしょう、今の答えで。

○大石委員 ありがとうございます。要するに、これから検討していくっていうことだろうなと思ったんですけれども、先ほど林先生もおっしゃいましたように、ただ、こういう地点がたくさんあるっていうだけだと、安易に、消費者としてはちょっと心配が増えるだけなので、そこら辺のところ、本当にわかるように、大丈夫なんであれば大丈夫であるっていうふうにお知らせいただけると大変ありがたいです。以上です。

○白石委員長 いかがでしょうか。

 私から、排出源で対象となる事業所は10事業所を超えていますよねという結果になっているんですけど、これについてはどうなさるんですか。ご説明あったかもしれませんけど。

○METI事務局 10事業所ですが、そのうち2事業所は厚労省系の事業所なのですが、経済省では化学工業を中心に残り8事業所について、PRTR事業所なので、特定できるので、各事業所の排出源、排出の状況を確認しています。

 その状況ですが、8事業所中3事業所はPRTR届出自体が過大でありました。何かというと、もともとしっかり除外設備等々をつけているのにもかかわらず、その除外率の90%以上を考慮しないで、そのままの量を届け出てしまっていたり、ある事業者は20年前から除外設備をつけていて、その設備は更新しているはずなのに、20年前の除外率をずっと使い続けていたということで、3事業所についてはPRTR届出自体が過大で、それは今後修正されることになっています。残りの5事業所のうち、4事業所については確かにEOが排出されていて、どこでどれだけ出ているかというのを事業者がすでに把握しておりまして、それに対して近々にプラントの改修の時期等にあわせて除外設備等を設置して、リスク懸念以下になるような排出削減方策が打てるということで見通しが立っていると聞いています。残りの1事業所は、排出削減対策の技術的な可能性も含めて検討中ということを聞いています。

○白石委員長 ほかにご質問ございますか。

○鈴木(規)委員 追加ですが、資料1-2の22ページと23ページにモニタリングにおける推計時の比較というのが二つ出ていますけども、どちらでも、これは所詮モデルですので、これは合っているかどうかというと微妙ですが、個別にはいろんな排出源があるんだと思いますが、全体的には恐らく排出量を取りこぼしている可能性のほうが高いという推定だと私は思いますので、多分未把握の発生源、それが化審法の対象かどうかという話は今後起こるんだと思いますが、その点を今後、評価Ⅲに進められるのであれば、しっかり詰めていくことが重要かなと思います。

○白石委員長 ありがとうございます。化審法で用途別の出荷量みたいなのは把握されていますよね。それからは推計とか推察はできないものなんですか。この未把握の発生源があるかもしれないという話。

○METI事務局 化審法上の届出では、先ほど申し上げたとおり、中間物か、殺菌剤かぐらいでしか情報がないので、そこからたどるのであれば、届出事業者に聞いて等々やるということになりますが、なかなか難しい部分はあります。

○白石委員長 評価Ⅲでは、そういうことはなさらないと。

○METI事務局 ガス協会に対してはヒアリングをして、滅菌ガスの出荷先を聞いくことにより、大部分の滅菌ガスは医療業か医療機器産業に出荷されていて、ごく少量が先ほど言った博物館などで使用されていることがわかっています。先ほど言いましたけども、未把握の発生源としては、PRTR届出の対象になってない小規模な事業所というのはあり得ると思っています。

○白石委員長 ほか、いかがでしょうか。

○恒美委員 先ほど鈴木委員がおっしゃっていた、22、23ページの推計排出量とモニタリングの比較なんですけれども、私の解釈としては、23ページ、図4のPRAS-NITEで見てみると、距離の1~3キロの黒い丸のほうだけで見てみると、それなりに合っている部分もあって、かなり点源によるものだろうと感じています。ですから、逆に22ページのG-CIEMSですと、メッシュの中で多分薄まるところがあって、推定値のほうは低くなっちゃうのかなと思います。ですから、点源というものを想定して、もう少しお調べいただくのがいいのかなと思いました。

○白石委員長 どうもありがとうございました。

 では評価Ⅲに移るということですが、他にコメントいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 特にないようでしたらば、ご質疑ありがとうございました。ではエチレンオキサイドにつきましては事務局から説明いただいたとおり、本物質はリスク評価(第一次)評価Ⅲに進めて、暴露情報の精査を進めていただきたいと思います。各委員からご指摘のあった事項を考慮しながら進めていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 では続きまして、α-ノニルフェニル-ω-ヒドロキシポリ(オキシエチレン)(別名ポリ(オキシエチレン)=ノニルフェニルエーテル)の評価について、ご説明お願いします。

○METI事務局 それでは資料2-1をご覧ください。略してNPEと言わせていただきますけれども、最初の評価対象物質とリスク評価方針についてというところです。

 優先通し番号86番のNPEはエチレンオキシドの平均付加モル数、ノニル基の炭素鎖構造及びノニル基の置換位置の組み合わせにより、さまざまな構造を有しています。また NPEは環境中で生分解により、より短いエチレンオキシド鎖を有するNPEや、最終的にはノニルフェノールに変化することがわかっています。そのため、どんなものをNPEの評価対象物質にすればいいかということについて、化審法の届出対象事業者、10事業者程度ですけれども、どんな付加モル数のNPEを取り扱っているかを実態調査し、その結果等々を用いて、事前に3省の有識者の方々、専門家の方々に集まっていただいて検討を行いました。どういう物質を評価対象物質にすればいいかについて検討を行いました。

 その結果、親化合物と変化物のそれぞれについて、評価対象物質とリスク評価の方針を表1と表2のとおり設定させていただいております。表1がNPEそのもの、親物質についてですけれども、これについては表1の太枠の部分に書かれている評価対象物質というところをご覧いただいて、EOの付加モル数については、アンケート調査による取扱実態でわかったことにより、3以上で平均付加モル数が9から10のものにすることとしております。ノニル基の構造は特定せず、ノニル基の置換位置についてはo-、p-異性体、または特定しないということにしております。親物質のほかにNPEの変化物についても表2で、次のページの太枠の部分に記載しております。変化物はEOの付加モル数がゼロ、つまりノニルフェノールと、付加モル数が1と2、ノニル基の構造は特定しない、ノニル基の置換位置も特定しない。このように親化合物及び変化物のリスク評価対象物を決めております。

 1ページに戻って、19行目ですけれども、親化合物NPEの暴露評価・リスク評価は数理モデルによるシミュレーション結果と環境モニタリング調査結果の両方を併用することとし、変化物の暴露評価・リスク評価は環境モニタリング調査結果を用いることとしました。

○NITE 続きまして、3ページ目をご覧ください。排出源情報をまとめております。NEPは界面活性剤として様々な分野で使用されております。化審法の届出情報によりますと製造・輸入数量の合計は約5,000トン程度で推移しております。NEPはPRTR対象物質でもありまして、図1にPRTR排出移動量の内訳推移を、表3には届出外の推計排出量を示しております。平成27年度の水域への届出排出量は約15トン、届出外の排出量は約512トンでした。届出外排出量のうち約7割に当たります387トンは農薬の補助剤となっております。農薬の他に家庭用防疫用殺虫剤と化粧品からの排出に関しては化審法の適用範囲外となっております。

 なお、親化合物のNEPを、モデルを使って環境中濃度推計をシミュレーションする場合は、PRTR排出量だけでなく、化審法情報を用いた長期使用製品を使用段階からの排出も加味しております。排出源情報の説明については以上です。

○MOE事務局 続きまして、有害性評価についてご紹介をいたします。資料2-2をご覧ください。ただいまの資料はダイジェストでございますけれども、詳細資料は資料2-2になっております。

 1枚めくっていただきまして、先ほど経産省からご紹介ございましたとおり、親物質、変化物ということで分けて有害性の情報を収集しております。有害性情報を収集した具体的な物質に関しましては、その下の表にお示しをするとおりでございます。

 続きまして、3ページの下のほうですが、生体影響に関する毒性値の概要でございます。なお、1-1の少し上でございますけれども、本物質に関しましては、親物質に関しましても変化物に関しましても、logPowは3を超えておりますので、底生生物に関しても情報を収集しております。

 戻りまして、1-1の生体影響に関する毒性値の概要でございます。1といたしまして水生生物でございます。専門家により多くの情報を集めまして、信頼性の評価をいたしまして、PNEC導出に利用可能な毒性値ということで表1系統にまとめております。表の1aが親物質、NPEでございまして、表の1bが変化物のうち、NPEのEO数が1と2のもの、表1cでございますけれども、こちらがノニルフェノールということでございます。親物質に関しましては甲殻類の急性のみが、一次消費者の急性データのみが得られているということでございます。変化物のNPeのEO数が1、2のものに関しましては生産者の慢性毒性、一次消費者の慢性と急性毒性が得られておるところでございます。変化物②のノニルフェノールに関しましては、3種の慢性のデータがそろっているということでございます。

 めくっていただきまして、6ページの下のあたりでございますけれど、底生生物でございます。底生生物に関しましてはノニルフェノールのみが、実データが得られておりまして、その他に関しては得られなかったということでございますので、平衡分配法によって求めるということにいたしております。

 では続きまして、PNECの導出値でございます。水生生物に関しましては、先ほどご紹介いたしました信頼性があると判定されましたデータから、それぞれガイダンスに従ってPNEC値を算出しております。変化物の②に関しまして、特にご説明をいたしたいと思いますけれども、こちらに関しましては、9ページの中ほど、17行目あたりでございますけれども、二次消費者のデータといたしまして、繁殖阻害、18週のデータ、LOEC値が求められております。その下のPNECの導出のところをご覧いただきたいんですが、これに関しましては2栄養段階の慢性毒性と二次消費者の最小影響濃度LOECが得られております。二次消費者の慢性影響に関しましては最低濃度区0.00127mg/Lにおいて、総産卵数の阻害率で対照区と有意差が認められております。最低濃度区の阻害率が低いことから、LOEC値を2で除した数値に関しまして、二次消費者の慢性毒性値候補といたしました。こちらの2で除す根拠等ですが、脚注にお示しをしているとおりでございまして、LOECから無影響濃度のNOECを推定する方法に関しましてはREACHではNOECが得られておらず、LOECの阻害値が10から20%の場合には、NOEC値をLOECで2で割って導出することとしております。通常でございますと、NOECはLOECよりも一段階低い設定濃度と定義をされておりますので、通常の方法ですと公比で除すことになりますが、本試験について総合的に検討いたしまして、LOECの阻害率が10から20%に当たるものであろうということから、LOECを2で除すことが適当とされております。

 続きまして、10ページ以降には各種リスク評価における無影響濃度であるとか、最大許容濃度に関しての記述がございます。本物資に関しましては、環境基本法に基づきます環境基準値が設定をされております。環境基準値に関しましては、水域というものを設定しておりまして、それぞれに関しまして、値が設定をされているところでございます。その値に関しましても、こちらに記載のとおりでございます。

 続きまして底生生物でございますけれども、11ページの中ごろ、15行目からになっております。先ほどご紹介いたしましたとおり、ノニルフェノールに関しまして値が求められておりますので、それに関してはガイダンスに沿ってPNEC値を算出するということしておりますけれども、その他の親と変化物①に関しましてはデータが得られていないことから、平衡分配法によって計算をしております。

 まとめの結果でございます。13ページをご覧ください。表3シリーズにPNEC値をまとめております。aが親物質というふうに、先ほどの毒性値情報と同じ構成になっておりますけれども、まず親物質に関しましては、キースタディが甲殻類の遊泳阻害に関する半数影響濃度、これに関しましてUF「1,000」で割った14μg/Lということでございまして、後の決定した数値に関しましては以下の表のとおりということとなっております。

 先ほどご紹介いたしましたノニルフェノールのキーデータに関しましては事務局内で議論をしているところでございまして、それに関しましては後ほど別紙のほうでご紹介をさせていただきたいと考えております。

 これに関しまして、検討、議論を続けているところでございますので、資料2参考1という資料がございます。続けてこちらをご説明したいと考えておりますけれども、こちらが議論継続中の有害性評価値をもとにした暫定版のリスク評価の結果ということでございます。これについても概要をご説明したいと考えております。

 冒頭部分は、先ほどの資料2-1でご紹介をしたとおりのものと同じでございまして、何枚かめくっていただきまして、リスク評価の結果のところからご紹介をしたいと思いますが、14ページをご覧ください。排出源ごとの暴露シナリオの評価ということで、表21にお示しをしております。本推計に関しましては、固定発生源のものと、あと固定発生源からの移動量について、下水道終末処理施設に流れ込む分に関して、それを点源ということで考えてリスク評価を行ったものでございます。そうしたところ、発生源、排出源の数が299分の、懸念地点数が1ということになっております。

 続きまして、さまざまな排出源の影響を含めた暴露シナリオでございます。これに関しましては、PRTRの届出情報、27年度の情報を使いまして、推計モデル(G-CIEMS)によりまして推計を行っております。

 1枚めくっていただきまして、結果が表22にお示しをするとおりでございます。水生生物に関してでございますけれども、3パターン計算をしておりまして、化審法対象除外用途を含む全てのものというのと、化審法対象範囲のみということで、化審法の対象範囲と化審法の長期ということで3パターンやっております。一番右側ですね、一番右の列の結果からいたしますと、3,705地点中173地点超過という状況になっております。

 続きまして、5-3、環境モニタリングデータによる評価でございます。水質のモニタリング濃度をもとにリスク評価を行った結果でございますけれども、こちらは表24にお示しするとおりでございまして、それぞれ親化合物と変化物1と2ということで、それぞれにやっておりますけれども、NPEの親化合物といたしますと、PEC/PNECが1を超えるものはなかったということでございまして、変化物1に関しましては7地点超過、変化物2に関しましては524地点超過ということとなっております。

 資料2-1にお戻りいただきまして、そちらの結果につきまして、今紹介いたしました結果につきましてもこちらにおまとめをしているところでございます。5ページ以降でございます。

 こちらでございますけれども、参考に6ページの表10をご覧ください。これは先ほど、今ほど紹介をいたしましたリスク評価の結果でございますが、注釈のところをご覧いただきたいんですが、ノニルフェノールについて、キーデータについて議論を継続中ということでございますので、参考までに次点である甲殻類のデータを採用した場合の懸念地点ということも書いておりまして、これは5年間のうち最も高い濃度を使った場合なんですが、そうしますと、一番右側の524地点というものに入る数字が49カ所ということになっております。

 有害性とリスク評価の概要については以上でございます。

○METI事務局 続きまして、今の環境省からの説明の続きですけれども、資料2-1の6ページ目の16行目からについてご説明差し上げます。

 今議論中の有害性評価値という話が環境省のほうからありましたけれども、表11をご覧いただきたいのですが、これが各年度の環境モニタリングデータです。変化物のノニルフェノールについて、右から2番目の列ですが、今回のキースタディの候補になっているMEOGRTによるPNECでは、平成27年度のモニタリングデータで189地点の超過が見られます。また、先ほど環境省から説明のあった次点の甲殻類の試験データのPNECでは27地点の超過が見られるという状況になっています。表11の下のなお書きのところですが、ノニルフェノールについては、先ほど環境省からご説明があったとおり、水域ごとにさまざまな環境基準値が設定されているわけですが、平成27年度のモニタリング測定地点の3,077地点について、現状の環境基準値を超える地点はないのが現状です。そういったことから、先ほど有害性評価値が議論の継続中というのはどういうことかと申し上げますと、環境基準値より厳しい有害性評価値の提示があったのが昨年の年末なのですが、その値がとても小さなものでした。試験法自体はOECDのテストガイドラインとして承認されていて、しっかりしたものだということは重々承知の上で、環境基準値より1桁下回る数値は産業界等々に非常に影響があるものですから、その値について審査部会の専門家である金子先生や、産業界の専門家等にその有害性評価値を試験法も含めての照会したところでございます。その後、経済省が取りまとめた意見照会のやりとりを、今回の試験法をつくった方々だと思いますけれども、環境省の専門家と今も継続してやらせていただいております。その質疑の内容が資料2-1別紙というものになっておりまして、詳細は説明しませんが、1カ月半から2カ月の間にやりとりをしたものです。こういう状況でいろいろな質疑がなされているところでございます。この中で、今残っている主要なものとしましては、エクセル表の5ページ目のNo.7の水温の部分と、No.10、エクセル表の8ページ目のF1世代の形成の生存率の質疑中に、溶存酸素濃度の低下という議論がありまして、この部分等がまだ、環境省の専門家の方々には真摯に対応していただいているのですけれども、経済省の意見がまだ解決できていないという状況になっているところでございます。そういうご報告とともに、今、有害性評価値を仮に置いて、その値を用いたリスク評価の結果も環境省から示しましたが、本日の資料には書いてないですけれども、ノニルフェノールというのは、我々が議論しているのは工業用のNPE起源のNPの話をしていますけれども、ご存じのとおりNPというのは農薬の展着剤などにも使われておりまして、有害性の議論が決着したら、先ほどのエチレンオキシドと同様、農薬といえば農薬取締法があるので、そこら辺の全体のバランスを考えながらいろいろ議論していかなくてはならないんのではないかなと経産省では考えております。

 以上です。

○白石委員長 よろしいですか、事務局は。

 では、経産省の参考人から疑問点について補足がございましたらお願いします。

○金子参考人 金子でございます。よろしくお願いいたします。

 詳細は資料2-1の別紙というところにあります。また、今、経済産業省の方がご説明されましたけれども、今まで環境省様といろいろとやりとりして、非常に丁寧に回答をいただいておりますけども、先ほどご説明のありました試験水温のところと溶存酸素の低下のところについては、継続的な審議をさせていただいています。それで、その2点につきまして、簡単にその状況と、議論のポイントについてご説明したいと思います。

 本試験の試験水温は、OECDプロトコル240で、25℃±1℃及び一時的な逸脱は2℃以上超えてはならないというふうな説明があります。それと、もう一つは、このメダカ拡張1世代繁殖試験に関連するOECDのプロトコルというのが三つほどあります。それから見ますと、また、実際にレポート上にも25℃±1℃で実施すると記載されているのですが、結果は約27℃±1℃で、標準偏差1ということですから、最大は29℃まで上がっているということになっています。それで、OECDのガイドライン240から見ても、それと関連するOECDのガイドライン三つから見ても少し試験水温が高いのではないかというふうに思っております。それで試験水温が高いというのは、エンドクリン様物質のエストロゲン様活性は温度に相関して高くなるという報告がございますので、その点、今回のデータは定性的な結果としては良いと思いますが、定量的、例えばNOECとかLOECのような定量的なデータを考える場合に、このままこのデータを受け入れていいのかどうかということを継続的に審議させていただいているというところでございます。

 それと、もう一つは溶存酸素の低下のことですけども、本試験は3世代、F0、1、2という3世代のメダカの実験ですけども、F1世代の受精後59日目に一昼夜、酸素供給が停止したというふうなことで、溶存酸素が著しく低下したというふうな報告がなされております。これは非常に大きいスケールの試験でして、100ほどのシリンダーというのですか、魚を入れるシリンダーがあるのですけど、どのシリンダーの溶存酸素が低下したかどうかもわからないというふうなことを説明いただいておりますし、それと、どの程度低下したのだということで、私どもで計算いたしますと、87%も溶存酸素が低下しているというふうなことの報告があって、その溶存酸素の低下期間というのは約一昼夜、オーバーナイトということでございます。

 それで、その後それによっていろいろ試験方法を変えられる、要するに連を変えて、連数を少なくするとして実験を最後までやられたのですけども、その評価につきまして、特に問題はないというふうな回答をレポート上に記載されているわけですが、私ども、そういう事態が起きた後の全体の試験の枠組みが、どのような対応をされたのかというのが、ちょっとまだ少し理解できてない部分があることと、溶存酸素の低下というのは、生殖と非常によく関連しているという報告があって、また、溶存酸素の低下と化学物質が相加的というような効果を発揮する可能性があると思いますので、この点も含めて、この溶存酸素の低下をどういうふうに評価すればいいのかという点を継続的に検討させていただくということになってございます。

 以上です。

○白石委員長 ありがとうございました。

 それでは、今の事務局の説明及び参考人からの補足について質問、ご意見等ございましたら、お手元のネームプレートを立ててください。順に指名させていただきます。

○小山委員 有害性評価の担当者の一人として、ちょっと今ご意見申し上げます。

 まず、一つ目の水温の変動ですけれども、我々、今、環境省の委員会でいろいろな有害化学物質の評価を行う場合、もととなる試験環境の基準がございますが、それが全て満足される試験というのは非常に少ないです。我々は、その満足されていない部分について、それぞれの立場でいろいろな評価をして、総合的にその試験が採用できるかどうかということをやっております。我々の結論としては、このMEOGRTの試験は総合的に考えれば十分使えるだろうというふうに考えた次第です。

 また、酸素濃度につきましても、突然低い酸素濃度の水につけられたわけじゃなくて、徐々に下がっているわけですね。したがいまして、一昼夜、その低酸素濃度に飼育されていたわけではないということを考えると、まあ大きな逸脱ではないだろうというふうに考えました。

 以上です。

○白石委員長 ほかにいかがでしょうか。はい、どうぞ。

○林部会長 これについても先ほどと同じで、他法令との関係というものを、やはり根本的に検討をしていただきたいというふうに思います。農薬関連ですと、農薬はその主要目的自身が環境中にばらまくというようなものでもありますので、その辺を実際に化審法のほうで規制するのか、農取のほうで規制するのか、その辺によっても非常に実際の現場が混乱する可能性がありますので、ぜひ十分検討していただければと思います。

○白石委員長 ありがとうございます。他法令との関係のことですけど、これは先ほどと一緒ですのでよろしくお願いいたします。

○MOE事務局 今の件に関連いたしまして、ご参考でございますけれども、PRTR届出外の農薬用途で使われているNPEでございますけれども、畑に使われているものが240トン、また、その続きといたしましては、家庭に使われているものが22.6トン、田んぼに使われているものが20.5トン、すみません、果樹が大きかったです、果樹が98トンということでございまして、直接水域に出る田んぼに関しましては非常に少ないという状況となっております。

○白石委員長 ありがとうございました。

○東海委員 ありがとうございます。平成13年、16年ぐらいでしょうか、当時のノニルフェノールのリスク評価の結果というものもぜひ参照といいますか、継承されて議論をされてはいかがかと思います。考察をしていく上でのバックグラウンド情報として使われるべきではないかと思いました。

 そのときのポイントを申し上げますと、排出係数の高い用途に関しましては、たしかリスク評価結果が出る前に、当時の使用量の3割ぐらい自主的削減をした、そういう事実があったかと思います。したがって、その当時以降を見ますと、排出係数が比較的高い用途からの排出は、やや管理された状態、あるいは自主管理された状態で今に至っているという、そういう状況があるということを念頭に置かれる必要があるのではないかと思いました。

 それから、エンドポイントの話ですけれども、しっかり読み切れずに本日来てしまいまして申しわけないんですけれども、先ほどの資料2-2の9ページ、10ページ目の説明のところで、今回新たに導入される、提起されたエンドポイントというのが、これまでの有害性評価値のエンドポイントに対して取ってかわられるものか、あるいは補完的な目的で使うべきものなのか、そのあたりの意味づけが、ちょっと私としてはクリアではなかったですので、今後のご検討の中で、そういう点の説明をつけ加えていただければと思った次第です。

 以上です。

○白石委員長 今の何かお答えございますか。特に今の、これまでのエンドポイントにつけ加える、置きかえるという、もう少し具体的に言っていただくと答えやすいと思いますが。

○東海委員 私も明確な言い方ができずに申しわけありません。要するに、これまでのノニルフェノールのリスク評価において使われてきたエンドポイントに対して、今回新たに変えられて使われようとしているものが、産卵率の低下ということだったでしょうか。そのエンドポイントなるものが、これまでのエンドポイントに対して取ってかわることができるほどに重大なものであるという、そのあたりの説明が必要ではないかと感じた次第です。

○白石委員長 これは生態の先生から聞いてもいいですね。

 はい、小山先生、お願いします。

○小山委員 産卵率の低下をパラメータとして、ハザードの評価をしたことは過去にもございます。ですから、今回改めてということではございません。それから、ただし、ノニルフェノールという化学物質が内分泌かく乱作用を持っているという点ですね。それと、今までの化学物質のハザードの評価のときは、内分泌かく乱作用の評価のシステムがまだでき上がってなかったということもございまして、今までの多くの評価については、この内分泌かく乱の評価面がなかったんですね。それがここに新たに加わったというふうに私は考えております。

○白石委員長 ありがとうございます。これまでにもあったということでございます。

 ほかにご意見、ご質問ございましたらお願いします。いかがでしょう。

 資料2-1で大分、議論が尽くされたように思うんですけど、今、補足説明が参考人のほうからございましたけれども、この場で何か答えるようなことがございましたら。余り細かいことはいいですけども、総合的に考えてこう判断したということなんですが、その点に関して参考人のほうはどうですか。

○金子参考人 今まで相当丁寧に議論をさせてもらっていますが、例えばエンドクリン様物質のエストロゲン活性が水温の上昇とともに高くなるというふうなところを環境省様と認識を統一できれば、また違った議論にもなるのかと思いますが、まだ少し認識のところができてないのじゃないかなということで、これから事実を積み重ねて継続的に議論していきたいと考えています。

○白石委員長 よろしいですか。もう少し議論を深めるという形でよろしいですか。何か読んでいると、水温に関してはもうそちらに投げかけられているようなことになっているように見受けられるんですけども。5ページあたりですかね。

○原田委員 いろいろありがとうございます。今、エンドクリンの話がございましたが、実際にエンドクリン以外の案件としましても、例えばメソコスムとか、いろんな試験法についてどのように取り扱っていくのか。それ化審法の中でもまだ議論中だと思います。お願い事項としましては、今回のデータの使える使えない、温度上昇に関しても、もう少し議論を積み重ねていっていただければと思います。

 あと、各国でノニルフェノールに関しては環境基準が、日本も含めてございます。そちらのデータとの整合性も一度検証していただきたいと思います。

 以上でございます。

○白石委員長 ありがとうございます。

○MOE事務局 ご指摘どうもありがとうございます。メソコスムに関しましては、今、どういった形で使えるか自体も検討をしておりまして、すぐにちょっとこの評価にどうするということはなかなか申し上げられないところでございます。

 環境基準でございますけれども、環境基準に関しまして、平成24年に設定をされております。本試験に関しましてはそれ以降に出されたものでございますので、使っているデータが異なるということになっております。

○白石委員長 ありがとうございます。

 ほか、いかがでしょうか。

 特にご意見ないようでしたらば、本物質については継続審議となりますが、よろしいでしょうか。

○鈴木(規)委員 毒性のところは専門家にお任せしますが、私が考える限り、これは生物試験ですのでデータ自体も非常に、そんな簡単ではなく、一定程度変動があるものだと思いますので、その中で、もちろん水温の変動というのは、酸素にせよ大きな影響をもたらす可能性は当然あるんだろうとは思いますが、あんまり、やっぱり実験として大きな誤差がある中で、健全な結果は何かということを総合的に判断していただくような議論ができるほうが僕はよいと思います。

○白石委員長 はい、どうぞ。

○林部会長 私は生態毒性試験のことは余りよく知らないんですけれども、哺乳類の人毒の場合だとGLPの試験として、その温度管理等は非常に厳しく規制されていて、今お話を聞いていて、これぐらいの温度の違いがあれば、それはもう試験は成立しないというような試験だとみなされてしまうようなことじゃないのかなと個人的には思って聞いておりました。その辺はちょっと水生生物のほうの試験と感覚の違いがあるのかもしれませんけれども、もう少し皆さんが理解できるような設定範囲ですとか、やり方というのをご説明いただければ、もう少し皆さんも納得されるんじゃないかなというふうに思いました。

○白石委員長 では、いいですか。もう少し補足いただけますか。

○小山委員 確かに試験計画では、先ほど参考人がおっしゃったように、25℃±1℃という試験計画だったんですが、実際にはいろいろな不調もあって、27℃±1℃程度であったということで、確かにプロトコル、最初の計画からすればずれてはおりますが、一つは水温の変動が非常に小さいです。若干高いときはありますけども、生態毒性の試験の中で、その程度の変動というのは、我々はそれほど大きく外れているというふうには捉えておりません。内分泌かく乱で、エストロゲン作用にどういう作用を持っているかというのは我々も考えましたけれども、それほど大きいことではないだろうというふうに考えて、軽微な逸脱だろうというふうに考えて評価しております。

 以上です。

○白石委員長 ありがとうございます。今の説明で、まだ打ち合わせが必要であろうかと思いますので、今回の本物質については継続審議となります。今いただいたご意見を踏まえてリスク評価の審議が行えるよう、さらに準備を進めていただきたいと思います。ありがとうございました。

 では、続いて、ナトリウム=3,5-ジクロロ-2,4,6-トリオキソ-1,3,5-トリアジナン-1-イド(ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム)及び1,3,5-トリクロロ-1,3,5-トリアナジン-2,4,6-トリオンの生態影響での観点でのリスク評価Ⅱの評価結果及び今後の対応について、事務局より説明をお願いします。

○METI事務局 それでは、ご説明します。資料3のシリーズですけれども、今回は二つの物質についての評価になっております。一つは、もう既に昨年の6月に審議いただいたトリクロロイソシアヌル酸ですが、その再評価も含めてご説明させていただきます。評価書が3-2-1と3-2-2ということで、3-2-1がジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、3-2-2がトリクロロイソシアヌル酸ということになっておりますが、出だしはどちらも一緒なので、資料3-2-1の1ページ目、評価対象物質とリスク評価の方針についてというところから始めさせていただきます。

 優先評価化学物質番号159番、「ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム」は、水中で速やかに加水分解されて「イソシアヌル酸」に変化するため、この物質は「イソシアヌル酸」として評価をすることにしました。

 また、昨年の6月23日の審議会でご審議いただいた優先評価化学物質番号137番、「トリクロロイソシアヌル酸」についても、これも同じように水中で速やかに加水分解されて「イソシアヌル酸」に変化するため、「イソシアヌル酸」としてリスク評価することとしております。

 このためこの両物質は、水中では「イソシアヌル酸」という同じ評価対象物質になるものですから、その両物質の取り扱い実態をまず調べました。後でまた評価書の後ろのほうで詳しく説明しますけれども、その結果、その両物質で共通の用途というものが一つだけありました。これは化審法の届出用途20-dの殺生物剤です。届出用途だけでは全く具体的な用途がわからなかったので、ヒアリング等をしたところ、その具体的な用途に「プールまたは温浴施設用消毒剤」というものがございまして、塩素系の消毒剤ですけれども、その使用段階・製造段階では、このどちらの物質も扱われていると、併用されているということがわかりました。このため、「プールまたは温浴施設用消毒剤」の用途及び「製造」については、両物質からの「イソシアヌル酸」を合算した排出量を用いて評価をすることとしました。ということで、もともとそういうことをしていなかった昨年の6月の「トリクロロイソシアヌル酸」の評価もやり直しています。

 19行目以降、「また」以降です。さまざまな排出源の影響を含めた暴露シナリオによる評価については、環境中濃度は排出源の重なりによって説明されること、上記2物質の排出源の違いと地理的な分布は必ずしも独立してないことから、両物質を合わせた排出量を用いた評価も実施するということで、排出源ごとの暴露シナリオと、さまざまな排出源の影響を含めた暴露シナリオそれぞれで評価をしております。

 23行目以降からですが、親物質であるジクロロイソシアヌル酸ナトリウムの同定情報と、トリクロロイソシアヌル酸の同定情報は、次の2ページ目に示しているとおりとなっております。

○NITE まず、資料の訂正がございます。紙の資料3-2-1、今ご覧いただいている資料ですけれども、25ページの②番、化審法届出情報に基づく評価(仮想的排出源(製造・調合)シナリオ)、こちらは次の26ページの(2)番、「ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム及びトリクロロイソシアヌル酸の両方が使用されている用途」に含まれる内容でした。25ページの②の内容は、26ページの(2)に含まれる内容でした。申し訳ありません。

 今ご紹介いただいた内容についてですが、資料3-2-1でジクロロイソシアヌル酸ナトリウム及びトリクロロイソシアヌル酸からの変化物を評価対象としまして、合算して評価しておりますので、資料3-2-1で説明いたします。

 それでは、資料3-2-1の3ページから5ページをご覧ください。こちら、暴露評価等に用いた物理化学的性状、濃縮性、それから分解性については、表2-1から表2-4に掲載しております。こちらは、優先評価化学物質のリスク評価に用いる物理化学的性状、分解性、蓄積性のレビュー会議にて専門家のレビューを受けた結果になっております。詳細は電子データの資料3-2の参考1に示しております。

 続きまして、排出源情報です。7ページの図3-1に化審法の届出情報に基づくジクロロイソシアヌル酸ナトリウムの製造及び輸入数量の経年変化を載せております。平成26年度実績ですと、製造量は6,000トンになっております。

 また、8ページの図3-2に、トリクロロイソシアヌル酸の製造及び輸入数量の経年変化を載せております。平成26年度実績ですと、製造・輸入数量は1万トンとなっております。

 両方とも化審法の届出上の製造及び輸入数量の合計は減少傾向になっております。

 化審法の届出の用途は、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムは表3-1、トリクロロイソシアヌル酸は表3-2に示しております。両物質は、製造・輸入事業者へのヒアリングにより詳細用途分類よりも、さらに詳しい情報である具体的用途情報、こちらが得られております。評価に際しましては、具体的用途ごとに仮想的排出源を設けて、または水系非点源として評価を実施しております。

 また、両物質ですが、水に溶かして使用すること。それから、水に溶けることによって、先ほど申し上げたとおり、イソシアヌル酸を生じることから、使用段階における排出係数は水域に1、全量排出としまして評価を実施しております。

 ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムの排出の寄与が最も大きいものは、20-d、その具体的用途としましては、プールまたは温浴施設用の消毒剤、トリクロロイソシアヌル酸の排出の寄与が最も大きいものは、20-d、浄化槽用消毒剤となっております。

 両物質の具体的用途、推計排出量をイソシアヌル酸としてまとめたものは9ページの表3-3になります。なお、両物質で共通の具体的用途は「製造」及び「プールまたは温浴施設消毒剤」になります。これらの評価では、両物質から生じるイソシアヌル酸の排出量を合計して評価を実施しております。なお、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、トリクロロイソシアヌル酸及びイソシアヌル酸は化管法の対象物質ではございません。

○MOE事務局 よろしいですか。有害性評価についてご説明をいたします。10ページ以降でございます。改ページが少しおかしくなっており、申しわけございません。

 11ページをご覧ください。PNECwater導出に利用可能な毒性値につきまして、表4-1系統にお示しをしております。水中に入りますと、塩も同一の形態になるということから、シアヌル酸-ナトリウム、シアヌル酸-ナトリウム-水和物に関しても有害性を集めまして、こちらの表にまとめております。

 本結果をまとめましたところ、2栄養段階(生産者、一次消費者)に対する慢性毒性値のうち、より小さな値である一次消費者の値を種間外挿のUF「5」で割りまして、6.4、シアヌル酸換算ということでございますが、を得るということでございます。慢性毒性値が得られなかった二次消費者に関しましては急性毒性値が得られておりまして、この値をACR「100」、慢性・急性の比率でございますけれども、こちらで除しまして、1mg超ということを得ております。確定値であります慢性毒性値が得られた6.4をさらに室内から野外へのUF「10」で除しまして、優先評価化学物質通し番号159番のPNECwaterといたしましては0.64mg/Lということといたしております。

 底生生物に関しましては、logPowが3未満であることから、評価は行っておりません。

 以上です。

○NITE 続きまして、14ページ、5、リスク推計結果の概要になります。暴露リスク推計となります。5-1、排出源ごとの暴露シナリオによる評価です。(1)ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムのみが使用されている用途、次ページになりますが、(2)ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム及びトリクロロイソシアヌル酸両方が使用されている用途、さらに次ページになりますが、(3)トリクロロイソシアヌル酸のみが使用されている用途、の三つのリスク推計結果を表5-1から表5-8に載せております。

 表5-5、プールまたは温浴施設、それから、表5-8、浄化槽用消毒剤については、非点源ですが、都道府県ごとの各施設の数を把握して、都道府県をそれぞれ仮想的排出源としましてリスク評価を行いました。そのため、排出源は47となっております。

 化審法の製造数量、それから、都道府県別・用途別出荷数量を用いて、仮想的排出源を設定しましてリスク評価をした結果は、全仮想的排出源、合計しまして195カ所ですが、リスク懸念箇所は0カ所になりました。

 続きまして、17ページ、5-2、水系の非点源シナリオによる評価です。この物質は13-c、具体的用途「トイレ用洗浄剤・漂白剤(家庭用)」や20-d、具体的用途「台所用除菌剤(家庭用)」といった家庭用・業務用での使用段階があるため、水系の非点源シナリオでも推計をしております。こちらは表5-9に結果があります。リスクの懸念はございませんでした。

 以上です。

○MOE事務局 続きまして、さまざまな排出源の影響を含めた暴露シナリオの評価についてご紹介をいたします。

 化審法の届出情報と排出係数から推計いたしました排出量を用いて、さまざまな排出源の影響を含めた暴露シナリオによる推計モデル(G-CIEMS)によりまして、水質濃度の計算を行い、水域における評価対象地点3,705流域のリスク推計を行っております。

 イソシアヌル酸としての推計を行うために、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム及びトリクロロイソシアヌル酸がイソシアヌル酸へ全量変化すると仮定をいたしまして、分子量換算を行うことでイソシアヌル酸の排出量を求めまして、イソシアヌル酸の物化性状を用いまして水質濃度を計算しております。計算はジクロロイソシアヌル酸ナトリウムのみの場合、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムとトリクロロイソシアヌル酸を合計しました2ケースについて予測をしております。

 推計結果につきましては、以下の表5-10にお示しするとおりでございまして、この結果、PEC/PNECが1以上となるのはジクロロイソシアヌル酸ナトリウムのみで18流域、トリクロロイソシアヌル酸も合算いたしますと127流域となっております。

 続きまして、環境モニタリングデータによる評価でございます。直近5年及び過去10年分のイソシアヌル酸に関する水質モニタリングデータに関しましては得られなかったため、環境モニタリングデータによる評価は実施をしておりません。

 続きまして、6、追加調査が必要となる不確実性事項でございます。表6-1で、調査の必要性に関して「あり」となっているところに関しまして、こちらが不確実性があり、調査の必要性があるところということでございます。

 有害性に関しましては、二次消費者に対する慢性毒性値が得られていないということに関しまして不確実性があるということとしております。

 排出量推計に関しましては、化審法届出情報に基づく排出量推計の排出シナリオの実態の乖離ということで、化審法の対象用途での排出源の確認ということでございまして、ⅲで、すみません、飛ばしてしまいましたけれども、ⅲのPRTR情報のほうで、個別具体的な情報を有しているPRTR情報が得られていないということでございまして、化審法の届出情報を用いて排出量を推計している点に不確実性がございます。

 化審法の製造数量等の届出情報に用いた排出量推計に関しましては、複数の仮定に基づいているため、不確実性を有しているということでございます。リスク懸念と予測された用途に係る排出実態の情報を収集し、デフォルト設定部分を実態が反映されたデータに置きかえる必要があるのではないかということでございます。

 続きまして、ⅵの暴露シナリオと実態の乖離ということでございますが、リスク懸念と予測された排出源の排出実態に関しましては、ⅴと同じようなことがあるかと考えております。

 裏面に行っていただきまして、環境モニタリング情報でございます。これに関しましては、モニタリング情報が得られておりませんので、その点に不確実性があるということでございます。

 それでは、3-1にお戻りいただきまして、リスク評価のジクロロイソシアヌル酸ナトリウムの評価結果及びトリクロロイソシアヌル酸の再評価結果につきましてご紹介をいたします。

 冒頭部に長々と書いてあることでございますけれども、これは先ほど、経産省さんからのご紹介いただきましたとおりでございまして、排出源ごとのシナリオでは、用途が同一のものに関して合算しているということでございまして、さまざまな排出源の影響を含めた暴露シナリオに関しましては全てを合算してやっているということでございます。

 冒頭、すみません、ちょっとご紹介し忘れてしまったんですが、ジクロロイソシアヌル酸に関しましては、水中で速やかに加水分解されるということで、「イソシアヌル酸」と「次亜塩素酸」に変化をいたしますけれども、「次亜塩素酸」に関しましては、既知見数値示されたイオンのみに環境中で分解するということでございますので、「イソシアヌル酸」と対象としたということでございます。

 では、まず一つ目の丸でございますけれども、イソシアヌル酸に関しまして、生態影響に関する有害性評価を行ったということでございます。さまざまな排出源ごとの暴露シナリオ及び水系の非点源シナリオによるリスク推計結果では、PECがPNECを超えた地点というのはございませんでした。一方、さまざまな排出源の影響を含めた暴露シナリオによる評価では、PECがPNECを超える地点が見られております。両物質に関しましてはPRTR対象物質ではございません。また、評価対象としたイソシアヌル酸の環境モニタリングデータも存在しておりません。また、ジクロロイソシアヌル酸及びトリクロロイソシアヌル酸の製造・輸入数量の経年変化は、それぞれ平成25年及び24年以降、減少傾向にございます。

 以上のことから、現在推計される暴露濃度では、イソシアヌル酸による環境汚染により広範な地域での生活環境動植物の生息もしくは生育に係る被害を生ずるおそれがないとはいえないと。「ないない」になっておりますけれども、「ないとはいえない」でございます。失礼いたしました。

 最後の点でございますけれども、ただしということで、先ほど、資料の3-2-1をちょっと復習していただきたいんですが、有害性の情報に関しまして、すみません、11ページの表4-1(1)でございます。こちらをご覧いただきたいんですが、魚類に関しましては、慢性の情報が得られておりません。また、急性の情報をご覧いただきたいんですが、かなり数値としては大きいところにあるということでございますので、急性毒性の試験の影響がないとの結果が得られている状態かと思いますけれども、魚類の慢性毒性の試験結果が得られてこないことについて、扱いに検討の余地があるということがございます。

 また、環境モニタリングにより、イソシアヌル酸の実測濃度が得られていないということはご紹介いたしましたけれども、現状の排出シナリオの不確実性があるということもございますので、これらの知見の充実を待ちつつ、並行して環境モニタリングにより実測データの収集等を検討することとさせていただきたいと考えております。

 資料の説明は以上です。

○白石委員長 ありがとうございました。

 それでは、今の事務局の説明について、ご質問、ご意見等ございましたら、また、お手元のネームプレートを挙げてください。指名させていただきます。

 はい、石井委員。

○石井委員 今の3-2-1の19ページの表のところで、ちょっと私よくわからなかったんですが、一番下のところの暴露シナリオと実態との乖離等で、調査の必要性が「あり」と「なし」に分かれておるんですが、理由のところを見ると、「なし」と書いてあるほうも、PRTRで得られてないため云々で、その後に、並びに排出量の推計方法に不確実性にあるという理由が書かれているんですが、上のほうはⅴと同じということで、これもデータのところに不確実性ありますよねという話だと思うんですが、これなんで「あり」と「なし」に分かれるか教えていただけませんでしょうか。

○白石委員長 では、これは事務局からお願いします。

○NITE 申し訳ありません。下のⅴ番の暴露シナリオ、さまざまな排出源の影響を含めた暴露シナリオについては、「なし」ではなく、「あり」になります。

○石井委員 ありがとうございました。

○白石委員長 ありがとうございました。

 ほか、いかがでしょうか。

 では、特段ご意見がないようでしたら、資料3-1に取りまとめられておりますけども、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムとトリクロロイソシアヌル酸の再評価につきましては、これはご提案どおり進めていただくということにさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

 では、続きまして、N,N-ジメチルアルカン-1-アミン=オキシド、N,N-ジメチルオキタデカ-9-エン-1-アミン=オキシド等の評価について説明をお願いします。

○NITE では、資料4のほうをご覧ください。資料の構成ですけれども、初めの2ページが概要になっておりまして、その後に評価に使ったデータと結果が入っております。なので、まずは1枚めくっていただいて、1、評価対象物質についてからご説明いたします。

 この物質は優先評価化学物質の通し番号169として、以下、「アミンオキシド」と呼ばせていただきますが、この指定は評価対象物質名称をご覧いただくとわかるとおり、炭素鎖数などに幅のある指定となっております。

 次のページの表2ですが、すみません、こちら修正の版が古く、パソコンの中にあります資料4、参考1のほうにある表が正確な表となっていますが、OECDのSIDSに載っておりますアミンオキシドのうち、化審法で指定されている構造に該当するもののアルキル鎖長の分布となっております。また、化審法の届出情報では、炭素鎖数が12のCAS番号での出荷数量が全体の85%を占めているということがわかっています。

 続きまして、3ページ目に物理化学性状、濃縮性及び分解性についてですが、表3、4にそれらのデータがあります。先ほどお話しした出荷量に占める割合であったり、SIDSにおける分布というものに基づいて、暴露評価のために用いる物理化学性状等には、代表値として主に炭素鎖数12もしくは10~16の範囲を持つCASの値というものを採用しております。これらは優先評価化学物質のリスク評価に用いる物理化学的性状、分解性、蓄積性等のレビュー会議におきまして、専門家の皆様にレビューしていただき、了承された値ということになっております。

 続きまして、排出源情報、5ページ目からになります。図1が化審法の製造輸入数量の届出情報です。アミンオキシドは、平成25年度と26年度を境に、赤い点線があると思うんですけれども、こちらで優先指定の単位が変更されております。平成25年度までは、炭素鎖数12のみの指定でした。この3年の製造輸入数量の合計は2,000t弱で横ばいというふうになっております。この表で25年度と26年度で、製造量と輸入量の比率に変化がありますけれども、これは指定範囲の影響ではなく、特定の事業者の取り扱い状況が変化したためでした。

 めくっていただきまして、6ページ目、表5は、化審法の届出用途に対する出荷数量と推計排出量です。アミンオキシドは、13-aという用途番号の家庭用・業務用の水系洗浄剤としての排出量がほとんどを占めております。

 また、化管法においては、下の図2に排出・移動量の経年変化がありますが、アミンオキシドは炭素鎖数が12のみが指定の対象となっております。こちらは届出外排出量がほとんどを占めています。

 さらに、7ページ目の表6にあるように、PRTR届出外排出量のうち、洗浄剤・化粧品等がその97%程度を占めています。

 排出源情報については以上です。

○MOE事務局 続きまして、有害性評価についてご紹介をいたします。8ページからでございます。

 アミンオキシドの有害性情報に関しましては、信頼性PNECwaterの導出に利用可能な毒性値について、すみません、表番号がちょっとずれているようですけれども、下の表7にお示しをしているとおりでございます。本物質に関しまして、平均炭素鎖長に幅がございますので、こちらの表の右から2番目に平均炭素鎖長というものもあわせてお示しをしております。

 1枚めくっていただきまして、有害性情報のまとめでございますけれども、ガイダンスに基づきまして、これらの情報からPNEC値を算出いたしました。キースタディのエンドポイントですが、生産者(藻類)の生長速度に対する無影響濃度(NOEC)でございます。そちらを不確実性の係数「10」で除しまして、0.00049mg/Lということとなっております。

 有害性評価につきましては以上です。

○NITE 続きまして、リスク推計結果のご説明をいたします。

 10ページからをご覧ください。まず、排出源ごとの暴露シナリオによる評価では、化審法の届出情報とPRTR状況それぞれに基づいて推計しておりますが、より確度が高いと考えられるPRTR状況に基づく評価結果をご説明いたします。

 ただし、アミンオキシドに関しましては、先ほど申し上げたとおり、化審法と化管法の指定で、炭素鎖数の幅が異なりますので、PRTR情報を用いた推計の際には、化審法の届出情報に基づき、その鎖長分布で補正を行った値で評価を行っております。表11がその結果です。PRTR届出排出量を用いたリスク推計では、水生生物に対するリスク懸念箇所は25カ所中2カ所という推計結果となっております。

 続きまして、次のページですが、この物質は水系洗浄剤として家庭用・業務用での使用段階での排出が想定されることから、水系の非点源シナリオといった排出シナリオでも推計しております。表12に結果がありますが、下水処理場を通らないシナリオでリスク懸念が推計されました。

 以上です。

○MOE事務局 続きまして、さまざまな排出源の影響を含めた暴露シナリオによる評価でございます。

 PRTR届出情報及び届出外排出量推計を用いまして、さまざまな排出源の影響を含めた暴露シナリオによる推計モデル(G-CIEMS)によりまして、水質濃度の計算を行い、水域における評価対象地点3,705流域のリスク推計を行っております。

 推計結果は、表の13、14にお示しするとおりでございまして、PRTRの届出外排出量の全量を含めた場合には、PNECが1以上である地点が2,733、PRTR届出外排出量のうち香粧品・医薬品、台所用潜在、業務用洗剤(食器洗い用)を含めない場合におきましては1,420地点超過がございました。

 続きまして、環境モニタリングデータによる評価でございます。直近5年のアミンオキシドの水質モニタリングデータをもとに、アミンオキシドのリスクを評価いたしました。

 結果は表15にお示ししているとおりでございまして、水質においてはPEC/PNEC比が1以上となる地点は1地点ございました。

 続きまして、追加調査が必要となる不確実性事項に関しましてご紹介をいたします。これまでの表と同様でございまして、表の左から3列目、調査の必要性のところに「あり」となっているものに関しまして不確実性があり、調査が必要であるということでございます。

 物理化学的性状でございますけれども、水中及び底質中での分解半減期でございますが、これに関しましてはアミンオキシドの水中分解半減期に関して、生分解性試験の結果に基づいたガイダンスのデフォルト値、5日でございますけれども、設定されておりますが、OECDのSIDSでは無機化の半減期が2日~4日とするデータを採用としており、一次分解として分解速度はこれよりも速い可能性があるということでございます。

 続きまして、PRTR情報でございます。PRTR、これは局所的な問題でございますけども、PRTR届出データといたしまして、PRTR届出事業者の中にはPNECを超える濃度になるAOを複数年にわたって継続的に水域排出している届出事業者が確認されていることに関しまして、不確実性があると考えております。

 また、PRTR届出外推計の元データでございますけれども、PRTR届出外データの根拠となっている業界把握出荷量と化審法の出荷量に乖離がございますので、前者を用いた環境中濃度の推計には不確実性があるということでございます。

 続きまして、排出量推計でございます。化審法の対象用途での出荷量の確認でございますけれども、洗浄剤のうち野菜か果物、食品用の洗浄剤は食品衛生法に基づき管理されておりますが、それ以外の住宅用洗浄剤に関しましては化審法の対象用途となっております。化審法の届出情報に基づく排出量推計においては、化審法の対象用途のみに限定できているかについては確認が必要かと考えております。

 続きまして、暴露シナリオでございます。さまざまな排出源影響を含めた暴露シナリオでございますが、アミンオキシドの排出実態ということでございまして、アミンオキシドは上記の物化性状で申し上げましたとおり、アミンオキシドは良分解となっておりますので下水処理場を通して環境負荷は相対的に小さくなっておりまして、むしろ下水道未整備地域において生活雑排水とともに環境に排出されている環境負荷が大きいと考えられます。そのため、下水道未整備地域における排出実態を踏まえてAOの負荷量、アミンオキシドの負荷量を適切に割り振る必要ではないかと考えております。

 続きまして、環境モニタリング情報でございます。モニタリングに基づく高濃度推計地点の水質モニタリングでございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、モデルに基づいて高濃度になると予測された地点における水質モニタリングデータが限定的となっております。

 また、1枚めくっていただきまして、アミンオキシドの家庭等から排出される化学物質は、使用・排出される時間帯に偏りがございますので、環境負荷量が日変動することが一般的に知られておりますので、このような物質に対するモニタリングの収集・解釈方法については検討が必要ではないかと考えております。

 最後に、その他でございますけれども、排出源から排出されてから河川に流達するまでの挙動ということでございまして、OECD SIDSでは下水管流下過程におきまして、アミンオキシドの消失・分解が指摘をされております。また、その他の文献でも下水道未整備地域での排水流下過程における良分解性の物質の消失・分解が指摘されておりますが、実態が明らかになっていない点がございます。

 では、冒頭に戻っていただきまして進捗報告ということでございます。概要にお示ししている内容に関しましては、今ご紹介をしたとおりでございますので割愛をさせていただきまして、リスク推計結果、ⅱページのところでございますけれども、そちらからご紹介をしたいと思っております。PRTR排出量に基づいて推計した環境中濃度に用いたリスク推計におきましては、相当地点がリスク懸念ありになっております。一方で、環境モニタリングデータでリスク懸念となる地点は過去5年間で1カ所のみでございました。なお、測定した25地点のうち22地点でアミンオキシドが検出されたことから、G-CIEMSによる推計値と比較をいたしましたところ、低濃度地点では3~4オーダー、高濃度地点では1~2オーダーの差異が見られております。

 以上のことから、現在得られている暴露情報から推計されるPEC、予測環境中濃度でございますけれども、アミンオキシドの環境中の存在状況を説明することができておりませんで、種々の不確実性を含むと考えられております。生活環境動植物の生息もしくは生育に係る被害を及ぼしている状況かどうかを判断するには不確実性が多いという状況でございますので、追加調査が必要となる不確実性項目を表16に列挙したところでございます。

 以上より、現在得られているデータを用いたリスク評価結果に基づき判断を行うことは困難でございますので、今後は、不確実性に寄与している要因を分析した上で、不確実性を効果的に低減できる項目から順に検討を行いたいと考えております。

 説明は以上です。

○白石委員長 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの事務局の説明について、ご質問、ご意見をお願いいたします。お手元のネームプレートを立ててください。いかがでしょうか。

○石井委員 ありがとうございます。

 もちろん、今、不確実性の調査のところでもおっしゃっているので、そのとおりだと思うんですが、確かに実測というか、モニタリングで1カ所が出て、推計で千数百カ所とかいうのが出てくるんですが、単純にこの数字を見て、あ、二千何カ所ですかね、単純にこの数字を見ると、本当に大丈夫なんですか、この推計という。この物質に関しては思いたくなるんですが、何かこれ、今、現時点で何かこんな理由があってこうなっているんですというようなことは、まだわかっていないから、これから調べようということだと思うんですが、何かありませんかというのが質問です。

○白石委員長 では、お答え。ないですか。

○MOE事務局 こちらのさまざま排出源の影響のシナリオでございますけれども、計算の流域に到達するまで、排出源から計算領域に達するまでの間に何かしら分解なりが起こっているらしいという、定性的な情報というのは得られているんですが、実態として何が起こっているのかということに関しましては、まだ特定できていないということでございます。

 ただ、各国の評価書におきましても、そういった流達というんですかね、計算領域に来るまでや、濃度をはかったりするところに来るまでに、かなり分解したり、下水管を下ってくる間に何かが起きているらしいということはあるんですけれども、そこがちょっとまだはっきりしていないという状況でございます。

○石井委員 と考えると、こういう良分解物質と言われるものについて、さまざまな排出源の暴露シナリオに関するというのは、なかなか使いづらいという状況にあるというふうに思ってもよろしいんでしょうか。そうではないということですか。

○MOE事務局 計算領域に至った後は、経産省さんの検討会の専門家で議論いただいています、この分解情報ですね、表3や4のものというのを入れ込んだ形で、それらが分解していくということですので、良分解であれば、当然、このとおりに分解をしていくということでございますので、それは適用できないということではないと考えております。

 ただし、排出源から計算の領域に至るところまでというのは、今、計算ができていないということですので、与える排出量として、それは正確なものを与えていけば、それは使えるということになりますので、その辺りがやはり詰めていかなければならないところかなというふうに考えております。

○石井委員 ありがとうございます。

○白石委員長 よろしいでしょうか。

 はい、どうぞ。

○東海委員 ありがとうございます。

 今の石井委員のご意見とほとんどかぶることになりますけれども、10ページ、11ページですね、暴露評価のところで、例えば表12の下水道を経由する場合、経由しないシナリオで、こういう差が出ているということと、それから表13、14で、下水道を考慮されていると思いますけれども、その結果との対応関係ですとか、整合性ですとか、個々の部分のデータ整理であるとか解析はガイドラインに従ってやっていらっしゃると思いますけれども、それらを組み立てて最終的に暴露評価をするという、暴露評価の結果を出すというところが、もうちょっとわかりやすく説明していただけるようにしたほうがよいと思います。

 細かいことで恐縮ですけれども、表13、14を見たときに、排出量が、届出外排出量の全量を含める場合と、それから台所用洗剤、業務用洗剤を除いた場合、比較がありますが、6ページの表5を見ますと、水系洗浄剤用途というのが一番排出量として大きいわけですよね。これを入れる入れないであまり差が出てこないというのは、どういうことなのかなと、思いました。全体を通じて、NITEさんがやっていらっしゃる暴露評価と環境省のやっている暴露評価が、どうお互いに補完し合った上で、暴露評価というものを少ない情報のもとで実施していくかというところの考えを、前回も言いましたけれども、もう多くの解析ケースが出てきたわけですから、ここで一旦、一呼吸置いて今後の方針を整理されていくということもどこかで必要なのではないかと感じた次第です。

 以上です。

○白石委員長 ありがとうございます。

 事務局でありますかね。

○MOE事務局 ご指摘ありがとうございます。

 ご指摘のとおりでございまして、釈迦に説法になるかと思うんですけれども、当然、5-2で示している水系の非点源シナリオと、さまざまな排出源の影響を含めた暴露シナリオというのは、全く前提が異なるものでございまして、それらを互いに補完することで一つの結論を出していくということでございますが、そもそも、このリスク評価を始めてしばらくたっておりまして、それぞれのモデルの得意なところとか、何が言えるのかというところは、きちんと整理をしていかないといけないと。ですが、これも釈迦に説法になりますが、整合性がとれるというものではなく、前提が異なりますので、そういったものではないということを申し上げたいと思います。

○白石委員長 ありがとうございました。

 ほかはいかがでしょうか。小林委員。

○小林委員 先ほど良分解の物質について半減期のお話、石井委員からお話しいただいたんですけれど、レビュー委員会のほうも参加させていただいていますが、特に良分解のものについては、実際の環境条件と試験での条件とは異なりますので、今回の場合は良分解で5日という値にしているんですけれど、実際の環境中では、恐らく今回の5日というのは、実測値との関係を見ますと、もっと速い可能性は十分あり得ると思っております。ですので、そういう物質について、今後も5日みたいな形で与えていいのか、場合によっては少し試験をするような仕組みを何か考えたほうがいいのではないかなという気もしております。

○白石委員長 ありがとうございます。

 何か物化性状会議のほうで、もう少しデータを出していただければいいかなというような気もしますが、今はデフォルトを入れているけども、環境省のほうでも多分データを集めておられると思うんですが、いかがですか。

○MOE事務局 一応、物理化学的性状は、何か縦割りのような話で申し訳ないんですが、経済産業省さんにご担当いただいております。

 ちょっとこちらからご質問するのもどうかなとは思うんですが、業界様のほうで、何かしらそういった自然環境中での分解のようなデータというのは、何かお持ちではないんでしょうか。

○原田委員 コメントありがとうございます。

 私どもも事前に環境省様、経産省様と、データのやりとりはさせていただいていると認識しております。このタイミングでは詳細を覚えていませんので、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。ただし、業界として持っているデータは提供して、リスク評価を進めるというところには賛同しています。

  それと、G-CIEMSの使い方については前回の審議会でも出ましたけれど、得意な部分と不得意な部分、あるかと思います。少し文献を調査してみたところ、G-CIEMSの開発と空間分布の評価という、試みといった中で、平野部などのような人工的な取水だとか排水、ここは少し弱いのではないかという考察もございます。そうした知見も含めた考察や使い方をお願いしたいと思います。

 以上です。

○白石委員長 ありがとうございます。

 いいですかね。G-CIEMSの改良のほうも進められているとは思いますが。

○MOE事務局 ご指摘どうもありがとうございます。

 流量に関しましてのご指摘でございますけれども、取水と用水に関する反映が弱いというのは、ご覧になったとおりでございますけれども、全体といたしまして、流量年表というものを使いまして、それは一級河川のものでございますけれども、それを流域面積で割って比流量というものを出しているということでございます。それに関して、上流のその他の二級河川であるとか、もう少し小さい河川に関して、その流域面積を当てはめて流量を出しているということでして、大きな意味で、その流量というのは、そうおかしくはないということをしております。下流に関しても、改めて流量をとり直して補正するということをしておりますので、瞬間的な増減というのはなかなか設定できないものでございますけれども、総合的に判断すると、流量はそんなにおかしくないかなというふうに思っております。

 化審法の二特判断するという件について、広範な汚染があるかどうかということを判断せねばならないということで、多くの3,705地点、小さめの川も含めて評価していくという中で、そういった方法をとっているという手法でございますので、水系の非点源シナリオに関しましては、大きな河川でこういったことかなというような、当たりをつけるというようなものかなと考えておりまして、全体的な分布であるとか、小さい河川も含めて、広範かどうかというところを見るというところがG-CIEMSは得意かなというふうに思っておりますので、そういったものを組み合わせて結論に至っていくのかなというふうには考えております。

○白石委員長 今のご回答、よろしいですか。

 はい、どうぞ。

○鈴木(規)委員 私が昔つくったモデルが話題になっているので、一応解説しておきますが、G-CIEMSというモデルは、全く種も仕掛けもない極めてシンプルなマスバランスのモデルですので、多分、新規の物質、私がある意味、裏で知る限りでは、大抵のモデルというのは、結果に対してチューニングをしてこないと合わないので、私はあんまり合っているモデルは逆に信用していないんです。おかしいと思っていてですね。G-CIEMSのモデルは種も仕掛けもないモデルでして、マスバランスという意味では完全に合っているモデルです。ですが、そういう計算では、多分、環境中のプロセスを全部捉え切ることは通常できなくて、アミンオキシドでは多分モデルが、もしかしたらあまり想定していないようなモデルを持っているのかもしれないという実は危惧はしているんですが、情報がないのでわからないと。ですので、そういうものであるということを前提に使うということで、そういうモデルの実力に応じた使い方をしないと、それはおかしなことになるということで、今のような案に至っていると思っていますので、ご意見は全くおっしゃるとおりでございますが、そういうふうにして使ってきたものだということは、一応、過去の経緯を説明しておきます。

○白石委員長 ありがとうございました。

 アミンオキシドにつきまして、ほかにコメントございますでしょうか。よろしいですか。

 ないようでしたら、アミンオキシドにつきましては、事務局から説明いただいたとおり、資料4に今後の対応をまとめられておりますけれども、このとおりとさせていただきます。

 議題2に移りますけども、議題1について、全体的について何かコメントございましたらお願いします。よろしいですか。

(なし)

○白石委員長 ないようでしたら、議題2、その他に移ります。

 事務局から何かございましょうか。

○METI事務局 1点だけ手短に。

 本年度、平成29年度の評価Ⅰの結果を昨日ホームページで公開しました。その資料は、お手元のパソコンに入っていますけれども、結果だけ申し上げますと、平成29年度の評価Ⅰで、4物質、評価Ⅱに着手することになりました。内訳は、人健康影響物質が1物質、残りの3物質が生体影響の物質、合計4物質ということになっております。

○白石委員長 ありがとうございました。

 それでは、ほかにありますでしょうか。

 ないようでしたら、事務局にお返ししたいと思います。

○MOE事務局 ありがとうございます。

 それでは、合同審議会第2部の審議につきましてご連絡いたします。

 この後、約15分弱の休憩を挟みまして、3時35分より開始したいと思いますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。

 それでは、以上をもちまして合同審議会第1部を終了とさせていただきます。開始時間までにお席にお戻りいただきますよう、お願い申し上げます。