中央環境審議会環境保健部会懇談会議事録

1.日時

平成15年6月27日(金)13:00~15:05

2.場所

東京商工会議所502号室

3.出席委員

(部会長) 鈴木 継美
(部会長代理) 浅野 直人  
(委員) 織田 由紀子  崎田 裕子
(臨時委員) 池田 正之  江頭 基子
香川 順             酒井 伸一
高橋 公  中杉 修身
中館 俊夫  眞柄 泰基
満岡 三佶  吉岡 義正
  (五十音順)  
(事務局) 南川環境保健部長  石野企画課長
安達環境安全課長  平田企画課調査官
早水化学物質審査室長  三宅環境リスク評価室長
古澤保健業務室長  上家特殊疾病対策室長 他

4.議題

  1. 旧軍の毒ガス等について
  2. 化学物質審査規制法の改正について
  3. 化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)の施行の状況について
  4. その他

5.議事

【石野企画課長】 定刻となりましたので、ただいまから第10回環境保健部会を開催いたします。
本日は、あらかじめご連絡をいただいております小早川委員外4名の委員と井口委員外9名の臨時委員、合わせて13名が欠席ということでございます。高橋委員と若林委員はまだおいでになっておりませんが、おっつけおいでになると思いますので、始めさせていただきたいと思います。現時点で13名出席ですが、2人おいでいただければ15名で過半数となり、本部会は成立いたします。
続きまして資料の確認をさせていただきます。
(配付資料の確認)
資料に不足がございましたら、事務局にお申し出ください。
よろしければ、鈴木部会長、議事進行をお願いいたします。

【鈴木部会長】 最初に、本会議の公開・非公開の問題ですが、特に非公開とする理由はございませんので、公開とさせていただきます。
次に前回議事録の確認でございますが、資料2の議事録(案)をご覧いただきまして、もし修正すべき点がございましたら、来週7月4日(金)までに事務局にお送りいただいて、必要な修正を加えた上で公開したいと考えております。
それでは早速議題に入ります。今日は事務局からの報告、説明が主でございますが、最初の議題は「旧軍の毒ガス等について」の問題で、本件は最近マスコミなどでも大きく取り上げられておりますし、社会的にも問題になっております。これまでの経緯と今後の予定ということで、事務局からお願いいたします。

【三宅環境リスク評価室長】 リスク評価室長の三宅でございます。資料3を使いまして説明させていただきます。
資料3の1ページ目を開いていただきますと、まず「さがみ縦貫道路建設現場から発見された毒ガス等について」ということでございます。発端となりましたのは、昨年の9月、もう1枚開いていただきますと、小さい地図で申し訳ないのですが、東京都を囲んで関東5都県にわたる縦貫道の絵がございますが、これの神奈川県寒川町の工事現場から、上にビール瓶の写真がございますが、このビール瓶にイペリット、いわゆるマスタードガスが入った状態で発見されました。工事の際に割れたと思われまして、作業員が被災しております。いわゆるびらん剤でございまして、皮膚に発疹とか、かぶれ等の症状が出ております。調べましたところ、ちょうど工事現場に当たっていたところが旧の相模海軍工廠の寒川本廠跡地であったということがわかっております。
こういった課題が出たために、この現地自体は国土交通省の工事現場でございましたので、対応は国土交通省で行っていたのですが、実はその後、周辺は工業団地になっており、その周辺の工業地で井戸を掘ろうとしたところ、その周辺の土地からもマスタードガスが検出されているという状況が出てまいりました。そういったこともございまして、周辺住民から非常に不安の声が出てまいりました。
そういったことに対応するために、4月8日に関係省庁連絡会議を設置しまして、また、4月10日には専門家の先生方による「さがみ縦貫道路周辺地域化学物質調査検討会」を設けました。夏ぐらいまでに調査計画等を検討しまして、調査に入ろうという計画で進めておりました。
3ページの上に詳しい地図が出ておりますが、青い点々でさがみ縦貫道路の工事現場、赤い丸でガラス瓶の発見された現場と、掘り起こした土からもマスタードが検出されておりまして、残土に覆いをしたような形でまた管理をしている状況でございます。
4ページは、先ほど申し上げました関係省庁連絡会議の構成メンバー等でございます。
5ページは、「さがみ縦貫道路周辺地域化学物質調査検討会」の検討員の名簿でございます。森田先生を座長としまして、こういった関係の方々に入っていただいております。
そうこうしておりますうちに、続いて6ページ目を見ていただきますと、平塚の第2合同庁舎の建設工場現場におきましても似たような事例が出てまいりました。これが4月3日のことでございます。実は平塚の第2合同庁舎建設工場現場と申しますのは、今ご説明しました寒川町から相模川を越えた位置にございます。
もう1枚開いていただきますと、平塚駅と、黄色い線で囲った部分が相模海軍工廠、そのうちの右側が相模海軍工廠化学実験部と書いてあります。その赤いところがちょうど平塚の第2合同庁舎の建設現場だったのですが、相模海軍工廠の毒ガス等の実験を行ったり、あるいは製造を行っていた場所がちょうどここに当たったということが調べでわかっております。
また1枚戻っていただきますと、この平塚合同庁舎におきましては、球状のガラス瓶が出てきております。7ページの先ほどの絵に戻っていただきますと、下に薬物を入れる広口瓶と球状のガラスの入れ物が出ております。ちょうどソフトボールぐらいの大きさのもので、調べてみますと、通称「チビ」と呼ばれていたそうですが、この中に青酸ガスとか毒ガスを入れて戦車などに投げつけて、中の兵士をやっつけるという目的でこういったものがつくられていたということでございます。そういったものが出てまいりまして、周辺の土壌からマスタードガスとかトリフェニルアルシンという毒ガスの成分が検出されております。
こういった事例があった後、8ページをご覧いただきたいと思います。今一番話題になっております茨城県神栖町の飲用井戸の汚染という事例が出てまいりました。この発端になりましたのは、神経症状(小脳症状が中心)を呈された患者さんが出てまいりまして、筑波大学の大学病院で診ておられたそうで、当初は遺伝性疾患か何かかなと考えられていたようですが、周辺の住民で同じような症状の方がいらっしゃるということがわかってまいりました。それでは何か環境要因が関係しているのではないかということで、地元の保健所に、環境要因が何か問題ないかどうか調べてほしいと主治医の先生から申し出がありまして、調べてみたところ、井戸水から水質基準の450倍のヒ素値が検出されたということでございます。ただ、ヒ素の症状としては小脳症状というのは余り当てはまらない部分があったもので、さらにヒ素の性状を調べてみたところ、ジフェニルアルシンという、ヒ素にフェニル基が2つくっついた非常に特異的な物質が検出されたということでございます。調べてみたところ、ジフェニルアルシンという物質は、他の工業用の製品としてはほとんど知られていない物質で、物質としては、旧日本軍がくしゃみ剤あるいは嘔吐剤として使用していた物質に由来するものであるということが判明してまいりました。
この井戸水は、8戸ほどの賃貸の住宅になっておりまして、そこで井戸水で供給されていたということでございます。神栖町は、霞ヶ浦の下流、利根川の河口付近にございまして、非常に水が豊かなところ、潮来のすぐそばでございます。そういうことで、井戸水で供給されていたということでございます。
住民30名中20名の方に手足の震え、ふらつき、めまい等の神経症状がみられております。また、特に小さい子供さんで発達障害等がみられているという状況でございます。
こういった課題が生じましたことに対応するために、環境省としましても、内閣官房長官からこれに対して適切に迅速に対応するようにというご指示がございまして、関係省庁連絡会議を拡大して、こういった課題にも対応することとなりました。また、支援策を6月4日にとりまとめをして、6月6日には閣議了解をいただいております。
あわせて、物質は検出されているわけですが、原因としてどういったものが埋まっているのかということがまだわかっておりませんので、現在、汚染源は何かということを調査中でございます。
支援策につきましては、6月6日に第一回の専門家の検討会を開かせていただきまして、その後、第2回目を開催予定としております。第2回で大体の対象の選定方策等をご検討いただいて、迅速に申請受付を開始したいと考えております。そういう状況にございます。
次の9ページ目は、ちょっと薄くて見にくくて申し訳ありませんが、右下図が茨城県の地図ですが、右下の方に赤く塗ってあるところが問題の神栖町でございます。ちょうど千葉県の銚子の少し上になります。九十九里浜からさらにその上の方になりますけれども、第二次世界大戦の終戦期には、東京を目指して米軍がこの辺から上陸してくるのではないかということが想定されまして、この地図にありますような航空研究所の周辺でもそういったことに備えて急遽いろいろなものが装備されたというような場所であったということでございます。
10ページ目は、6月6日に閣議了解をいただきました緊急措置のことと、こういった場所についてのモニタリングあるいは有機ヒ素化合物に対しての基礎研究、また、支援体制をしっかりやるようにということでございます。実はこういった毒ガスの課題に対しましては、昭和48年に関係省庁が連絡会議をもちまして、毒ガスの配備状況とか、その後の処分状況等を調べております。それへのフォローアップもするようにということで閣議了解をいただいております。
11ページは、神栖町における有機ヒ素化合物による環境汚染及び健康被害に係る緊急措置の要件でございます。ざっとご説明申しますと、対象になる方は、有機ヒ素化合物に汚染された井戸水を飲用された方であって、毛髪・尿検査により暴露が確認された方ということになっております。
給付内容としましては、医療等の給付とあわせて健康管理調査等を実施することになっております。3の給付内容の(2)健康管理調査等の実施で「A井戸」と出ておりますけれども、2ページ戻っていただいて地図を見ていただきますと、赤い丸印でA地区、B地区と同心円が描いてありますけれども、A地区というのが4.5mg/Lの高い濃度のヒ素が発見された、一番健康障害の方々が出た地域であります。B地区というのは、10~40倍程度のヒ素の濃度が検出された地点であります。A地区、B地区とも、単なるヒ素だけではなしにジフェニルアルシンが検出されております。
11ページに戻っていただきますと、(2)の健康管理調査等の実施に当たっては、今申し上げましたA井戸の450倍という非常に高く、健康障害が出ている方々が対象になっております。それ以外のところにつきましては、(1)の医療等の給付が対象になります。その要件としましては、井戸水がジフェニルアルシンにより汚染されていたことと、それにより一定の暴露が確認された方ということが要件になっております。
あわせて、専門家によりまして、これらのいろいろなデータによりまして、調査研究が実施される予定となっております。
次のページは、こういった健康影響等についての臨床検討会の委員の名簿でございます。中央労働災害防止協会の櫻井先生を座長として、臨床の先生方を中心に入っていただいております。
次の13ページは、先ほども申し上げました昭和48年にとりまとめられた全国調査のものでございます。下3分の1のところから「(編集注)」とありますが、全国18箇所で終戦時に毒ガス弾等が保有されておりました。また、8箇所で毒ガス弾等が海中投棄されたということがわかっております。
今週の火曜日に全国都道府県と政令市の方々に集まっていただきまして、再度この全国調査のフォローアップをするということで、協力をお願いして進めているところでございます。第二次大戦におきましても毒ガスについては、国際条約で違反に当たるものでございまして、終戦間際に資料等はかなり焼却処分されていて、余り記録が残っていないというのが実情でございます。また、当時関わった方々もなかなか口を開いていただけないという状況がございました。当時若くて関わっておられた方でも現在もう70代後半、80歳前後になっておられまして、いろいろな情報が得られる最後の機会かと考えておりますので、広く呼びかけさせていただいて、いろいろ情報をいただければということで進めております。
最後の14ページは、旧軍の毒ガス弾の種類等についての資料でございます。昔は「きい剤」とか「あか剤」といった色で毒ガス弾を仕分けしていたようでございます。神栖町で問題となっておりますのは、いわゆる「あか剤」であるジフェニルシアノアルシンあるいはジフェニルクロロアルシンといった物質でございます。
現在そのような形で取り組んでいるところでございます。以上でございます。

【鈴木部会長】 どうもありがとうございました。
何かご質問ございますか。

【吉岡委員】 今また新しく旧日本軍の毒ガス弾の全国調査を実施されるということですが、今ここで拝見した限りにおきましては、実際に毒ガスが保有されている施設の場所と戦後において毒ガスが発見された場所が大体オーバーラップしているように見受けられます。その場合に、例えば飲用井戸の場合には井戸水の調査が一般に行われていて、これが測られているかどうかは別としまして、こうしたところで顕在化するということがわかっているならば、そうした調査も同時に行われているのでしょうか。

【三宅環境リスク評価室長】 井戸水の一般的な、例えばヒ素値とか、そういったものについては、土壌関係の方で調べられておりますけれども、毒ガスの成分そのものとしては、そういったスクリーニング的なものは考えておりません。つまり、調べると、あちこちにその成分が検出されるという状況にはないと考えております。ですから、むしろ、もしどこかに埋められている、あるいは検出されるという状況がないかどうかということのとっかかりと申しますか、そういうリスクがないかどうかというところを調べているという状況でございます。

【吉岡委員】 実際に調査されるのは、もっと後の段階になると解していいのですか。

【三宅環境リスク評価室長】 このフォローアップをやって、何らかのリスクがあり得るという場合には、そういったことも考えていくということでございます。

【鈴木部会長】 ほかにございませんか。

【中杉委員】 9ページのデータの確認なんですが、この地区は、自然由来と考えられるヒ素で満遍なくといいますか、かなり広い範囲が汚染されていると認識しております。ここで赤丸のところで何箇所か書いてあるのは、ヒ素ということですが、ジフェニルアルシンが検出されたものと解釈してよろしいですか。

【三宅環境リスク評価室長】 実は、高濃度のヒ素汚染が確認されてから、県の方でこの地域一帯について井戸水についての検査を実施しておられます。その結果、基準値である0.01mg/Lを超える井戸がかなりの数見つかっております。ただ、その多くは恐らく自然界由来であろうと思われるものでございます。その中で特に高い濃度、0.1mg/L以上のヒ素が検出されているところ、また、その後、少し範囲を広げられているようで、0.05mg/Lを超えるヒ素のところについては、ジフェニルアルシンがないかどうかということを検査されております。その結果見つかってきているのは、このA地区、B地区だけということでございます。それ以外の地区では、高い濃度が出ていても、それはジフェニルアルシンではないということがわかっております。

【中杉委員】 もう1つ。ここで井戸を使われてから症状が出るまでにかなり時間がたっているというふうに理解していますけれども、その理由は何だろうか。いろいろなことが考えられると思いますが、今はどんなことを想定しておられるのかということが1つ。
それから、お願いしておきたいのですが、先ほど吉岡先生が言われた形でヒ素の汚染があるというのは、全国で2%の井戸がヒ素の環境基準を超えています。ある自治体から相談を受けて、そういうところがこの問題で改めて調べてほしいという住民の意向が出てくる、そのときにどういうふうな方法でやればいいかと。ジフェニルアルシンを測るのは非常に大変ですから。そのときに私は、アルキル体と無機体とを分けて測るような方法で考えたらと申し上げたのですが、この検討会でそういうことも検討していただいて、どのような形でそれに対して対応すれば簡単に調べられるかということも少しご検討いただければと思います。これは環境保健部の方ではないかもしれませんが。

【三宅環境リスク評価室長】 少し補足させていただきますと、実はこのA地区の450倍のヒ素が検出されている8戸の家については、井戸水は平成2年から使い始めているということでございます。ところが、この地区の方々に症状が出始めたのは平成12年あたりからと聞いております。10年ぐらいのギャップがございます。また、この3月にこういう形で高濃度のヒ素だということがわかって、また、有機ヒ素だということがわかって、直ちに井戸水から水道にかえております。水道にかえた後、かなりの早さで、症状を持っておられた大人の方に関しては症状が改善してきていると伺っております。そういう症状の消失状況からすると、ターンオーバーはかなり早いのではないかということが推測されます。そういうことからいうと、10年間のギャップの後、何らかの形で井戸水にそういったものが混入し始めて中毒が生じたのではないかということが推測されます。そういう状況でございます。

【鈴木部会長】 ほかにございませんか。

【浅野委員】 多分、環境省も関係各省とも同じことを考えておられると思うのですが、このような問題で政策として一番重要な点は、類似の問題があちらこちらで起こるということをいかに防ぐかということだろうと思います。要は、不安感がひとり歩きをしていくという事態を最小化することが一番必要だろうと考えます。ですから、健康影響についての解明をできるだけ急がなければいけませんし、そのデータについては差し支えない限り公にしていく必要がある。ただ、ヒ素による汚染で数値が環境基準より高いということが問題だというように、物事というのは常に単純化されていってしまいますから、そうすると、際限なく話が広がっていくおそれがあるので、その辺のところを十分留意していただかなければいけない。少なくとも、わかった限りにおいてできるだけ詳細に事実を知らせていかないと、さっき中杉委員がおっしゃったような問題があちらこちらの自治体に波及していくことになると思いますから、その辺はぜひ情報を提供する際の努力をお願いしたい。
それから、ここで健康被害に関する緊急措置として報告された内容は、在来からの他の事例との比較からみても、こういうあり方は、ある意味では落ち着きのいい取扱いであるといえるのですが、しかし、これで終わらない可能性は十分あるわけです。特に、時効との関係がこの種の問題ではいつもやっかいになるのですが、行為時が過去のある時期であって、その行為時から20年たったのだから、724条で時効が完成したから責任がないという考え方はなかなか取りにくい状況になっているということと、現に土壌汚染対策法などでも既に法的にも、それが実際に問題になって対策を講じなければいけなくなったときを起算点として、20年間は原因者に追及できるという条項を設けたということからいうと、こういう化学物質の残留による現在の危険については、在来の法理論とは違った形の取扱いになっていかざるを得ないだろうと思うわけです。その辺のところはぜひ十分研究しておかれる必要があると思います。
もっと根本的には、旧軍の行為についての一般国民の被害に対する責任をどうするのかという問題は、処理の仕方を適切にしていかないと際限なく拡大していく可能性がありますから、際限なく拡大するということにならないように、しかも、一方ではこの種の環境保健問題としてはきちっと処理しなければいけないということとの調整をどうするのかということを考えなければいけないだろうと思うわけです。ですから、残留性の高い化学物質であるということをはっきり正面に出して議論するようにしていかないと、問題が一般化されてしまって、何でもかんでもという議論になってしまい、かえってこういう場面での緊急の救済を国としてやりづらくなる。つまり、政当局などの立場では、波及をおそれて消極敵ということになりかねませんので、そうならないためにも、何がこの問題の一番の特質なのかというところを明らかにして対策を考えていかないと、なかなか難しい問題が起こるのではないか。非常に抽象的な発言でありますが、多分、事務局の皆さんはよくおわかりだと思いますので、このぐらいにしておきます。

【鈴木部会長】 ほかにございませんか。
議論し始めると切りのない問題がいっぱいある。例えば、土壌や地下水中でこの化学物質は時間とともにどのような変化をするのだろうか。今、自然起源だとか毒ガスだとかといって、簡単にわかるようなつもりでいるけれども、事によったらそうでないかもしれないという問題だって起こりかねないわけですから、丁寧にやっていけば、いろいろな問題が残るだろうと思います。ただ、今、浅野委員が言われた問題点というのは、国全体の戦争中からの負の遺産の処理の問題として議論されなければならない問題で、単にこの部会だけで扱える問題だとは思いません。
ほかにありませんか。

【崎田委員】 先ほど浅野委員が最初に、国民の不安感などをできるだけなくすようにきちんと情報公開をするというふうにおっしゃって下さって、私もそこをきちんとやっていただきたいと思うんです。特に今問題が顕在化したところに関してその後どうなったかというのをきちんと公開していただくのはもちろんですが、それだけではなくて、終戦時に保管されていたという、13ページに出ている地名、フォローアップをしますというふうになっておりますが、こういうふうにきちんと地名が出ておりますと、そこに住んでいる者、関わっている者は大変不安になります。どのくらいの時期にそれなりの情報をきちんと出すか、フォローアップの状況を公開するかとか、この辺の情報の出した方もきちんとしていただければありがたいと思います。よろしくお願いします。

【三宅環境リスク評価室長】 フォローアップにつきましては、8月末ぐらいまでに各都道府県から情報をいただいて、秋、10月から11月にはとりまとめをして公表させていただきたいと考えております。そのほかにつきましても、プライバシーの問題とか、いろいろあるものについては、なかなか難しいところがありますけれども、できる限りの情報提供はさせていただきたいと考えております。
それから、先ほどヒ素の値と、それがジフェニルアルシンかどうかということについてのスクリーニングとか、そういった課題については、これは環境保健部だけの問題ではございませんので、いろいろ連携をとらせていただきながら、対応をしっかり考えていきたいと思っております。

【鈴木部会長】 ほかにございませんか。
それでは、このお話は今日はここまでで、報告を伺ったということにして、環境省としてしっかりやって下さいというのを最後の話にしておきましょう。
それでは先にいきます。次は議題の2番で「化学物質審査規制法の改正について」、これも事務局からどうぞ。

【早水化学物質審査室長】 化学物質審査室長でございます。資料4によりまして「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の一部を改正する法律の概要」をご説明いたしたいと思います。
まず、経過でございますが、前回、2月13日の部会におきまして、「今後の化学物質の審査及び規制の在り方について」という環境省からの諮問に対して、中杉委員を委員長とする小委員会からの報告をもとに、部会としての報告をいただきました。それをそのまま森嶌会長の了承を得まして、中環審からの答申という形で同日付けでいただきました。
それを踏まえまして、この法律を所管しております私どもと経済産業省、厚生労働省の3省で法律改正案を作りまして、3月7日に閣議決定をいたしまして、国会に提出いたしました。その後、参議院先議により審議されまして、主たる審議は経済産業委員会でございましたが、環境委員会との連合審査も行われまして、まず参議院で議決されまして、それから衆議院に行きまして、衆議院で5月22日に本会議で成立したということでございます。これをもちまして国会が通ったということで、5月28日付けで公布されております。
なお、参議院、衆議院それぞれの経済産業委員会で附帯決議が付いておりますが、それも今日資料4の中に入れております。後ほど簡単にご説明いたします。
では、めくっていただいて、1ページと書いたところから法律の概要をご説明したいと思います。改めて申し上げるまでもないですが、化学物質審査規制法というのは、化学物質による環境汚染を通じた人の健康被害を防止するために、新しい工業用化学物質の有害性を事前に審査し、その結果、ポリ塩化ビフェニルやトリクロロエチレンのように難分解性であって長期毒性を有する化学物質について、その有害性の程度に応じた製造・輸入の規制をする。入口規制をする法律でございます。
これにつきまして、まず2つの視点で改正が必要ということでございました。1つは、人の健康への影響だけではなくて、動植物への影響にも着目した審査・規制が必要だということ。もう1つは、環境への放出可能性、リスクという観点をもう少し考慮して審査・規制をする。それによって一層効果的かつ効率的な措置を講じるという2点でございます。この2点について、OECDからの勧告もありましたので、審議会での審議をいただいて、それを踏まえて法改正をしたということでございます。
改正法の主な内容としては、特に環境省的な視点として一番大事な点が(1)の「環境中の動植物への影響に着目した審査・規制制度の導入」ということでございます。従来は、環境中で分解しやすいかどうか、生体内に蓄積しやすいかどうか、人に対して毒性があるかどうか、この3つの点から審査を行っていたわけですが、これに加えまして、今後は生態毒性と呼ばれる動植物への毒性についての審査をする。その結果を踏まえて規制措置を講ずるという制度を導入しております。
めくっていただきまして2ページですが、そのほか、更に一層、制度全体として効率的・効果的なものにするという観点で3つの点を改正しております。
1つは、難分解・高蓄積性の既存化学物質に関する規制の導入ということで、分解性が悪い、蓄積性が高いというところまではわかっているけれども、毒性がまだはっきりしないという物質が特に既存化学物質の点検を通じて出てきております。こういったものについて、毒性がわからない間であってもちゃんと管理の枠組に入れて法的な管理をした上で、必要があれば、第一種特定化学物質という厳しい規制をしていくという形にした方がいいのではないかということで、法的な管理の枠組を毒性が不明の段階でも設けるというのが(2)でございます。
(3)では、環境中への放出可能性に着目した審査制度の導入ということで、環境中での化学物質の有害性だけではなくて、環境に出やすいかどうかというところに着目して、例えば工場の中ですべて原料として使われてしまうもの、あるいは閉鎖系の工程のみで使われるようなものについては、そういった形だけでしか使われないということを確認すれば、また、それについて事後に監視するという前提で製造・輸入を認める。生産量が少ないものについては、蓄積性が高い場合は問題がありますけれども、蓄積性が低いものについては、既存の知見でのチェックはしますけれども、毒性試験を一律に最初から求めないという制度を導入するということでございます。
最後の(4)ですが、事業者が入手した有害性情報、審査のときだけではなくて、後からでも事業者が有害であるという情報を入手した場合には、国にそれを報告することを義務付けるという制度を設けるということでございます。
これらの点につきまして、次のページのフロー図で改めて法的な位置付けをご説明いたします。最初に申し上げました動植物の毒性をみるという観点でいいますと、一番上の「新規化学物質」というところで年間製造・輸入総量が政令で定める数量を超える場合、これは多分1トンになると思いますけれども、1トンを越えるものについては、事業者から届出をしていただきまして、その際に、ハッチの塗ってある部分がちょっと薄くなっておりますが、その部分が今回新たに加わった部分ですが、動植物への毒性に関する事前審査をするということになります。その結果、真っすぐ下に下りて、ちょっと右にいきますが、難分解で、蓄積性はないけれども、動植物への毒性があるとわかったものについては、「第三種監視化学物質」という規制物質の枠を設けまして、その左側にある、従来の指定化学物質という、人の健康への長期毒性の疑いがある物質についての措置と同じように、監視化学物質の枠の中に入れて監視するということにしたということでございます。これに伴いまして、従来の指定化学物質の名称を「第二種監視化学物質」にかえております。規制の内容は、製造・輸入実績数量等の届出と必要な場合の指導・助言ということでございます。
ここの枠に入れた上で、更に厳しい規制が必要だということであれば、特にその際には生活環境に関係するような動植物への被害があるかどうかという観点で有害性の調査、これは慢性毒性試験を指示いたしまして、その結果、慢性毒性があって、なお、生活環境に関係するような動植物にリスクがあるということであれば、「第二種特定化学物質」という従来の規制の枠に入れるということでございます。ですから、従来は人の健康に被害を及ぼすおそれがあるというものに加えまして、生活環境に関する動植物への被害のおそれがある物質も新たに規制の枠に入れるということでございます。
同じように、左側の「第一種特定化学物質」につきましても、難分解・高蓄積で、高次捕食動物、鳥や哺乳類のように蓄積性がある物質に対して非常に影響を受けやすい、食物連鎖の上の方にある動物に対して毒性がある場合には、人への毒性がある場合と同じように「第一種特定化学物質」として事実上、製造・輸入を禁止していくということでございます。
2番目に申し上げました、難分解・高蓄積で毒性が不明の既存化学物質の枠につきましては、左側の真ん中にあります「第一種監視化学物質」という名称にしまして、今申し上げました第二種、第三種と同じような規制の枠を作りまして、必要な場合には有害性調査を指示して、第一種特定化学物質にするような形で管理をしていくということでございます。
3番目に申し上げました、リスクに着目した審査制度の導入ということで、一番右上にあります「取扱い方法等からみて環境汚染のおそれがない場合として政令で定める場合」、ここに例えば中間物とか閉鎖系用途とか、そういう形を書くことになりますが、そういったものについては、事前の確認を経た上で製造・輸入を認める。真ん中の「(届出)」のところから右に出て、「事前の確認」というところに出ておりますが、難分解・低蓄積であって、政令で定める数量以下で被害のおそれがない、恐らく10トンという数を書くことになると思いますけれども、10トン以下であって、構造などでチェックをして、多分大丈夫だろう、毒性試験を求めるほどではないだろうということであれば、ここで事前の確認をした上で製造・輸入を認めるということでございます。分解性・蓄積性については審査をするということでございます。
なお、これについて、報告徴収・立入検査の対象としまして、確認された事項がきちっと守られているかということを確認することになっておりまして、何か問題があれば、その確認は取り消すという形になっております。
一番下に最後の点を書きましたが、製造・輸入事業者が自ら取り扱う化学物質に関し把握した有害性情報の報告を義務付けるということでございます。
以上の改正に加えまして、法律の改正の中では、例えば法人重課といいまして、罰金を特に法人について厳しくするという改正。それから、以前こちらで問題としてご紹介しました、第一種特定化学物質を違反して輸入した事業者に対して、従来、法的には回収命令がかけられなかったのですが、そういった違反事業者に対しても第一種特定化学物質の回収命令をかけられるという形に制度を改正する、というような若干の補足的な改正も加えております。
そういった改正を盛り込みまして、5月28日に公布されました改正された法律がその後ろに逆とじになっておりまして、先に法律の附帯決議が出ておりますけれども、後ろからめくって2枚目の裏側から縦書きで、改正された部分について傍線を引いた形で改正後の法律をお配りしております。
1つ補足いたしますと、最初のページの第1条の目的ですが、「この法律は、難分解性の性状を有し、かつ、人の健康を損なうおそれ又は動植物の生息若しくは生育に支障を及ぼすおそれがある化学物質」と、傍線の部分が追加されまして、法律の枠組みが広がったということを明確に示しているということでございます。
以下、第一種特定化学物質とか第二種特定化学物質の定義に動植物への影響という観点を追加しているとか、あるいは第三種監視化学物質を入れたとか、そういった形の改正が続いているわけでございます。
最後に施行期日でございます。1年以内の政令で定める日となっておりますが、来年の4月1日施行を目指して今準備しております。政省令、試験法の通知あるいはGLPなどを今後整備いたしまして、4月1日から施行するようにしていきたいと考えております。
附帯決議について最後にご紹介しますと、この法律案で参議院と衆議院それぞれ出されております。化学物質対策関係で様々な附帯決議が付けられておりますが、特に1点だけ申し上げますと、参議院の1番でございますが、「既存化学物質の安全性点検については、国際的な役割分担による有害性評価を促進するとともに、官民の連携による有害性評価の計画的推進を図ること。」ということで、これは答申の中にもございましたけれども、従来、既存化学物質の安全性点検というのは国の役割という形だったわけですが、昨今の民間の取組が自主的にも進んでいることと、国際的にもそんな形になっているということで、ここは官民の連携による計画的推進という形で既存化学物質の位置付けを国会としてもこういう形でやった方がいいという決議をいただいたということでございますので、政府としてもこういう形で今後進めていきたいと考えているところでございます。
以上でございます。

【鈴木部会長】 どうもありがとうございました。
ご質問あるいはご意見がありましたらどうぞ。法律絡みの話になってくると、ごちゃごちゃしてきて、頭の中がさっぱりしない部分なんですが、さっぱりさせて下さい。

【浅野委員】 技術的な法律ですから、どうしてもさっぱりしないですね。多くの点で政令・省令に委任するということがものすごく多いようですね。そのためにさらにわかりにくくなっている。この法律を見ただけで一体どうなっているのかさっぱりわからんということになる部分が意外とあるわけです。
1つ例を挙げますと、後からその新規化学物質が危ないとわかったときは報告をしなければいけないと、単純にいえば、それだけのことなんですが、それにしても、「次の掲げることのうち、政令で定める知見を得たときは」とある。法律本体は、こういうことがわかったら報告しろと書いてあったはずなのに、それをさらに「政令で」というふうに絞りをかけているわけですが、では、一体どういうことが政令で書かれていくのかということが少々気にはなるわけですね。もともと極めて単純にこの議論をやっていたはずでしたし、審議会の議論やそれ以前の議論の段階では、安全性情報も何もかもわかることは全部報告させた方がよっぽどいいという声もあった。変に危ないということだけ報告しろと言われたら、報告漏れがあって後でまた文句を言われたらかなわんから、というような話があったぐらいなんです。多分、そういう議論の経過を踏まえて、報告しなければいけないことについて列挙されている1号から5号までに書かれていることに加えて、さらに「政省令で」というような書き方になったのだと思うのです。このような点は非常にわかりづらいので、今のところ、例えばこのようなところではどういうことが政省令の中身になるのか、わかる限りでご説明いただけると大変ありがたいと思います。ほかにも政省令委任というのが意外とあるのですが、今の点などはとりわけ多くの方々が関心を持つ点ではないかと思います。
それから、「白」告示についての問題が前から議論されておりまして、これはたびたび確認済みでありますから、単なる確認ということになるわけですが、従来は「白」であるとわかった場合は直ちに告示しなければいけなくなっていた。そうすると、資金を投じて化学物質の毒性を調べて白としてもらった事業者は損をしてしまう。それまでは黙っていて、他の人が白告示を手に入れたら、それから後、生産に取りかかった事業者はタダで済むのはおかしいではないかという議論があったわけですが、それは今回は「直ちに」という表現から、「省令で定めるところにより」という表現に変わっていますから、そこで工夫がされるのだと思いますが、この辺のところも具体的にはどうなるのかということは既にはっきりしていると思いますから、ご説明いただければと思います。

【早水化学物質審査室長】 お答えいたします。いくつか政省令事項がございますが、政令事項は実はそれほど多くなくて、わりと明確に、さっきの1トンとか10トンとかを政令で書く部分。それから、取扱い方法を、今申し上げましたように、閉鎖系用途とか、そういったものを書く部分で、これは答申に書いてあることを政令で書く形になるだろうということでございます。
省令事項は若干多うございまして、その1つが、多分今ご指摘の有害性情報の部分だと思います。ページでいいますと、13ページの第31条の2、「有害性情報の報告等」というところですが、報告の項目は、そこにありますように、1号、「自然的作用による化学的変化を生じにくいものであること。」、すなわち難分解性であること。それから、高蓄積性であるという情報。人への毒性があるという情報。4番目が動植物への毒性があるということ。5番目は、そのものが分解しやすいものであったら、分解生成物がそういったものであるという情報ということで、項目としては明確であります。
問題は、「生じにくい」とか「蓄積されやすい」というのがどこから以上かということについて、確かにそれは「省令で定める」という形にしております。その議論の中で留意すべき点は、1つは、白から黒まですべて報告させるべきかどうかという話です。もう1つは、報告はどの程度の義務付けかという話だったと思います。この報告の義務付けについては、罰則をつけるかという議論がありまして、いろいろ議論の末、罰金ではないけれども、過料を課すということになりました。つまり、立入検査などは伴わない、強制罰ではないですが、PRTRの報告違反と同じ形で、過料という形の罰則を課すということです。ということは、有害であるというのを報告させるということで罰則をかけるということで、有害でないという情報については、罰則をかけてまで義務付けることはないということで、ここでは外したわけです。ただ、もちろんそういう情報が来れば、我々の方もその審査をすることはあるということでございます。それは任意である。例えば1回黒と疑われたけれども実は「白」という情報を得ましたという場合は、事業者が自主的に出してくるでしょうから、そういったことで「黒」という情報は必ず出して下さいということになっております。この場合の黒というのは、明確に黒だけではないのではないか、灰色、ボーダーラインの部分まで入るのではないかという考え方がありまして、それは従来の判断基準よりは、ボーダーラインを拾う形の判断基準を作らなくていけないのではないかという議論を今しております。これについてはもう少し検討していきたいと考えております。
第2点の「白」告示などの告示については、4ページの第4条の4項、5項、6項になります。今ご指摘があったように、先行事業者の知的所有権を守るということで、安全だという物質についてすぐ告示をすると、先行事業者が投資した分が後発の事業者にただ乗りされてしまうという議論がありまして、そこら辺の議論も踏まえまして、条文が少しややこしいですが、簡単にいいますと、4項で、「白」だといった場合には「省令で定めるところにより」という形にしたということです。これは1年と書くか、2年と書くか、多分年数を書くことになると思うのですが、例えば今の労働安全衛生法でも同じような規定があるそうですので、そういったものなどを参考にしながら決めていきたいと思います。ここで「ただし」というのがありまして、5項は、第二種監視化学物質、従来の指定化学物質だと判定した場合のもの、6項は、第三種監視化学物質と判定した場合ということですが、この場合につきましては、遅滞なく指定をするということで、危ないといったものはそういった配慮はしない。遅滞なくやるということになっているということでございます。

【鈴木部会長】 ありがとうございました。審査室長がときどき勉強し直さなきゃいけなくなるような難しい部分があるようで、これから実際にやっていくと、いろいろなことがああでもない、こうでもないと議論しなきゃならないことが増えるのだろうと思いますが、いずれにせよ、化審法としては一歩前進したと理解しておりますので、ますますしっかりやってもらいたいと思います。

【香川委員】 この図なんですが、私、あるところでこの間教えていて、自分でもわからなくなってしまったのです。「第二種監視化学物質」と「第三種監視化学物質」というのをちゃんと分けておりながら、両方とも人への長期毒性あるいは生活環境動植物への毒性があると「第二種特定化学物質」として一括しているわけですね。それだったら、なぜ第二種、第三種と分けたのか。上のところで「人への長期毒性」and(or)「動植物への毒性」として一括したらすっきりするのに、なぜここをわざわざ分けて、そして両方あったら、最終的には第二種特定化学物質。これが「第二種特定化学物質」、「第三種特定化学物質」として分けるのであれば、上の「第二種監視化学物質」、「第三種監視化学物質」と分ける意味がわかるのですが、これがよくわからないのです。

【浅野委員】 おっしゃるとおり、最後のところは「第二種特定化学物質」に行き着くのですが、「監視物質」というのは、ある意味ではシグナルをつけるということになりますから、それについては、ある程度シグナルの強弱がわかるようにしておいた方がいいということだろうと思われます。つまり、どういうリスクが生ずるかということが、監視物質であってもある程度わかるようにしておかないと、監視物質と言われただけで全部悪いと言われてしまうのも困る。だから、人健康への危険性が強いので監視をしているのか、それとも、動植物危険ということで、そこで監視をしているのかというのを明らかにする方がいいだろうということです。つまり、危険の程度に応じて表示をする方が親切だということから、従来の一色で監視としているものを分けた。その文脈の中で2つにわかれた。それと、ある意味では、話の流れがわかりやすくなるようにということで、生物の方に来た場合は第三種です、人健康の場合は第二種ですというふうにやっていますが、現実の適用場面では、これは前から言われていますけれども、第二種であり、かつ第三種であるというものも出てくる可能性は大いにあるわけです。

【早水化学物質審査室長】 ちょっと補足いたしますと、まさしく浅野先生がおっしゃった点がメインでございますが、あと細かくはいろいろ法制度上の問題がありますが、1点だけ申し上げますと、人の場合は、長期毒性の疑いというのを最初にスクリーニングでチェックして、それを慢性毒性でちゃんと確認して二種にするという流れになっております。この審議会の中でも議論いただきましたけれども、動植物の場合には、一般的な生態系への影響の可能性というのをチェックするという第三種監視化学物質の枠の最初のチェックと、生活環境動植物への被害という観点の次のチェックが若干ずれている部分がありますので、この一連の流れを人の流れと全く一緒にするのはまずい。だけど、今、浅野先生がおっしゃったように、両方下(第二種特定化学物質)も分ける必要もないだろうということで、上(監視化学物質)だけ分けて、下はくっつけるという形にしたということでございます。

【鈴木部会長】 香川先生、よろしいですか。
これは一般的な問題になると思うのですが、化学物質によって、人の感受性と、生態系を構成する野生生物のそれぞれの種に対する感受性の違いみたいなものがかなり大きく出てくる場合というのはいくらでも考えられるわけですから、そういう場合にそれをどう扱っていくか。二種、三種としたのがよかったかどうかというのは、後になって問題になるかもしれません。しかし、とりあえずはそこのところを分けておこうというのが趣旨だろうと思います。だから、余り気にしない方がいいのではないかと思います。

【崎田委員】 あと、今、こういう一種、二種とか、今回のようにかなりいろいろ細かく登録していただいたりとか、こういう状況になってくると、そういう情報を普段、例えば化学物質あるいは化学品などにそういうのが随分きちんと入ってくる場合、消費者がそういうことをわかりやすいように、例えば、今後の話なんですが、それをどう表示するか、そういうことについて、きちんと検討などが必要あるいは進んでくるのだと思いますけれども、そういうような次の段階の話をぜひ進めていただければうれしいというふうに感じております。

【鈴木部会長】 コミュニケーションの問題は常に重要ですが、特にこういう複雑な構造になったものは、一般向けにその辺の努力をしていかなければいけないということだろうと思います。
それでは、この議題についてはここまでにいたしまして、改正化審法の施行に向けた準備を着々と怠りなくお進め下さいますようにお願いしておきます。
では、議題の3番目、「化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)の施行の状況について」という話をお願いします。

【安達環境安全課長】 それでは、資料5につきましてご説明させていただきます。
参考1、2、3として非常に分厚い資料が3冊お手元にあるかと思いますが、大変分厚いことと、すべて環境省のホームページでダウンロードできるようにしてございますので、この参考資料につきましては、委員の方々にだけ配付してございます。
「平成13年度PRTRデータの概要について」ということでございますが、本年3月20日に経済産業省と共同で、第1回のデータの集計及び公表をいたしました。
経緯でございますが、平成11年7月に公布された、いわゆるPRTR法に基づきまして、PRTR制度が導入されたわけでございます。このPRTR制度では、相当広範な地域の環境において継続して存すると認められ、人の健康を損なうおそれ又は動植物の生息若しくは生育に支障を及ぼすおそれのある物質ということで、354種類の化学物質が指定されております。事業者はこれらの物質の環境への排出量や廃棄物に含まれての移動量の届出を行い、国はその集計結果及び届出対象外の排出量の推計値を集計・公表するということになっております。
今回集計・公表いたしましたのは、平成13年度に事業者の方々が把握された排出量及び移動量でございまして、下線部にございますように、全国でおよそ3万5千の事業所から届出がございました。
なお、届出の方法としましては、資料には書いてございませんが、93%が書面による届出でございまして、磁気ディスクあるいはオンラインでの届出もできるようになっておりますが、磁気ディスクは約6%、オンラインでの届出は466件、1%強でございました。
これらの届出を集計し、また、届出外の排出量の推計を行いまして、3月20日に公表したわけでございます。
公表資料につきましては、環境省及び経済産業省それぞれのホームページに掲載しているところでございます。
掲載されている内容でございますが、まず(1)の集計表の種類につきましては、一昨年のこの部会でご審議いただきましたが、それを踏まえて省令等も定められておりまして、化学物質別、都道府県別、業種別(45業種)、従業員数別など4,464種類の集計表がございます。その集計表につきましてはすべて先ほどのホームページ上に掲載してございます。
めくっていただきまして、その集計表をもとに、(2)にございますように、推計結果の概要をとりまとめたものが「平成13年度PRTRデータの概要」ということで、委員の皆様方のお手元に参考1としてある分厚い資料でございます。
また、届出外の排出量については、国が推計したわけでございますが、その推計の際の基礎データや、どういう方法で推計したのかということにつきましても、参考2に示しているとおりでございます。
なお、この推計方法の基本的な考え方につきましては、昨年、本部会と産業構造審議会の小委員会との合同会合でも2回にわたりご審議いただき、また、パブリックコメントを経て定めたものでございます。
以上が主な公表資料でございますが、それ以外に環境省では、ホームページ上でこれらの集計結果をグラフや地図の形で見られるようにしております。そういうこともございまして、環境省のPRTR関係のホームページにはこれまでに約1万8千件のアクセスがきているという状況でございます。
次に3.の「開示請求の手続」についてでございます。ただいま御説明した集計データは公表されるわけでございますが、それぞれの事業所から届出があった個々の届出データにつきましては、法の第10条の規定に基づきまして、公表日以降、どなたでも、所定の手続を経れば、国に対して開示請求を行うことができるとされております。
まず(1)の開示請求の窓口でございますが、経済産業省、環境省及び事業所管官庁に窓口が設けられております。各省庁とも郵送による開示請求も受け付けているところでございます。
(2)の開示される情報でございますが、次のページの冒頭にございますように、事業者から届出のあった情報のうち、担当者の氏名等を除きまして、請求のあったすべての情報を開示するということにしております。
また、開示される情報は、紙による開示もございますが、電子ファイルによる開示も行っております。電子ファイルによる開示の場合は、3行目にございますように、CSV方式という、それをダウンロードして、開示請求者がご自分でそのデータをもとに表を作ったり集計分析等を行うことができるような形式のファイルの形で開示することもできます。
手数料につきましては、用紙による交付がA4の用紙1枚につき20円ということで、1事業所当たり、大体この1枚に収まりますので、大体20円で済むかと思います。また、4つ目にございますが、光ディスクによる全データの開示につきましても 1,090円となっております。
開示手続の方法につきましては、(4)に示してあるとおりでございます。
これまでの開示請求の状況でございますが、昨日までに経済産業省と環境省合わせて950件の開示請求が来ております。その約9割はCD-Rによる全データの一括請求でございました。
4. の「ホームページによる情報提供」につきましては、先ほど申し上げましたとおり、環境省では、集計結果から作成したグラフ・地図などをホームページで示しているところでございます。
次の「今後の課題」の前に、今回の集計結果について簡単にご説明させていただきたいと思います。別添の「『平成13年度PRTRデータの概要-化学物質の排出量・移動量の集計結果-』について」という資料でご説明させていただきます。
繰り返しになりますが、下線にございますように、354種類の化学物質について、平成13年度に事業者が把握した排出量・移動量についての結果でございます。
届出のあった事業所は全国で34,830で、この届出分に関して申し上げますと、排出量は合計で約31万トン、移動量、主に廃棄物や下水等という格好での事業所外への移動量については約22万トンでございました。
一方、国が推計を行いました届出対象外の排出量、この中には、対象業種であっても従業員数が20人以下であったり、あるいは取扱量が5トン未満ということで届出対象外の排出量となるいわゆる裾切り排出量というのもございますし、あるいは農業や建築業といった対象業種になっていない非対象業種からの排出量、さらには家庭からの排出量、自動車などの移動体からの排出量というものがこの届出対象外の排出量に含まれます。この推計結果でございますが、全国の合計で約58万トンでございました。
めくっていただきまして6ページでございますが、先ほどの約3万5千の届出のあった事業所の内訳でございます。まず業種別に見ますと、右側の真ん中辺にあります燃料小売業、いわゆるガソリンスタンドが18,634と最も多うございました。また、製造業の中では化学工業等が比較的上位を占めていたということでございます。
同じく都道府県別で見た場合は、最も多かったのは愛知県でございますが、北海道、神奈川県、愛知県、大阪府、兵庫県等といった事業所数の多い都道府県からの届出が上位を占めております。
次に7ページでございますが、集計結果の概要でございます。まず、届出の排出量と移動量につきましては、総排出量としては314千トンで、そのうち281千トンが大気への排出となっております。また、移動量につきましては223千トンでございますが、大部分が廃棄物等としての事業所の外への移動ということになっております。
次に8ページでございますが、この届出排出量・移動量について化学物質別で見たものでございます。1位がトルエン、2位がキシレンといった溶剤関係が上位を占めておりまして、これはパイロット事業の際もほぼ同様の傾向でございました。
9ページは、そのうちの排出量だけを見たものでございまして、ほぼ同様の傾向でございます。
10ページは、届出の排出量と移動量を業種別に見たものでございます。上位10業種は、1位が化学工業、2位が輸送用機械器具製造業、いわゆる自動車会社等が上位にきております。
11ページは、排出量だけを見たものでございます。1位と2位が逆転しておりますが、基本的には先ほどの10ページとほぼ同様の傾向でございます。
12ページは、届出ではございませんで、国が推計した届出外の排出量の推計でございます。先ほど申し上げましたように、合計は585千トンとなっておりますが、円グラフを見ていただくとわかりますように、その半分以上は、対象業種であるが従業員数、取扱量が基準以下という、いわゆる裾切り事業者からの排出量でございます。次いで非対象業種からの排出が約18%、自動車等移動体からの排出が15%、家庭からの排出も12%でございました。ただ、この推計につきましては、推計の基本的な考え方でご審議いただきましたように、「信頼できるデータがあって、できるものをやっていく」という原則で実施したものでございますので、すべてをカバーした推計ではないということにご留意いただきたいと思います。
13ページは、特に移動体からの排出量の推計の内訳を見ているものでございます。自動車と二輪車を合わせて全体の86%ぐらいとなっております。
14ページは、届出の排出量と国が推計した届出外排出量の合計について都道府県別に見たものでございます。色の濃いところが高いところでございますが、上から北海道、関東地方、中部地方、近畿、さらに福岡という、事業所の多いところが高くなっております。
15ページは、同じくただいまのを物質別に見たものでございますが、ここでもトルエン、キシレン等が上位にきているわけでございます。
これらの図・グラフについての基礎となったデータを次の16~18ページに表の格好で示してございます。
集計結果については以上でございます。
またこの資料の4ページに戻っていただきたいと思います。5.の「今後の課題」でございますが、PRTR制度は化学物質の環境リスク低減対策等の促進の上で極めて重要な役割を果たすものということで、環境省としましては、経済産業省等の関係省庁、地方自治体とも連携しつつ、今後取組を進めていかなければいけないと考えております。
具体的には、[1]、[2]、[3]にございますように、まず、この制度自身の円滑な施行を進めるとともに、届出外排出量の推計方法についての改良あるいはデータの精度の向上を図ってまいりたいと考えております。
このため、経済産業省、環境省それぞれが専門家による検討会を設置しまして、精度の向上や推計対象の拡大等について現在も検討を進めているところでございます。
[2]でございますが、排出量データの集計・公表あるいは開示請求への対応を図っていく必要がございます。特に、対象事業所の取扱量が最初の2年間は5トン以上ということでございましたが、今年度からは1トン以上の事業者ということで把握を開始しております。 来年度から1トン以上の事業者も届出をするということになりまして、来年度で法律が完全実施ということになるかと思いますが、そういった届出についても円滑に進めていきたいと考えております。
なお、今年度の届出が既に4月から開始されております。6月中までに届出をしていただくことになっておりますが、都道府県まで届け出られた件数が5月末時点で5,258件となっております。今年のトータル3万5千と比べますと、十数%ということで、まだまだでございますが、たしか去年も5月末の時点で5千件前後ということで、いわゆる駆け込み届出があるのではないかと考えておりましたが、実際上3万5千件も届出があったわけでございまして、今年度も今後届出があるものと考えております。
なお、先般、事業所に対しましては、改めてダイクレトメールを発しまして、速やか、かつ円滑な届出をお願いしたところでございます。
さらに[3]でございますが、このPRTR制度で得られるPRTRデータというものは、環境行政にとって非常に大切なデータでございまして、こういったデータを活用しまして、リスク評価、リスク管理あるいはリスクコミュニケーション等の取組を進めていきたいと思っております。その概要を下の図に示しているところでございますが、これもこの部会でお示しするのは3度目でございまして、詳しくはご説明申し上げませんが、一番左にリスクコミュニケーションというのがございます。先ほど崎田委員あるいは浅野委員からもご指摘いただきましたように、こういったPRTRデータの情報をいかにわかりやすい形で示していくかということで、これまで小中学生向けの教材の作成とか、化学物質アドバイザーの養成あるいは円卓会議等、リスクコミュニケーションの推進に努めているところでございます。
特に、今回公表されたPRTRデータをよりわかりやすい形で示そうということで、参考3にございますように、「PRTRデータを読み解くための市民ガイドブック」というものを作成いたしまして、6月19日に都道府県等に配付いたしました。もちろん、環境省のホームページからダウンロードできるようになっております。
その概要でございますが、お知らせの3ページに示してございますように、6つの章からなっております。「私たちの暮らしと化学物質」、「PRTR制度について知る」、「PRTRデータを見る」、「PRTRデータを入手する」、「化学物質による環境汚染を減らすために」、「もっと知りたい時には」ということで、最初から順に読んでいただきますと、PRTRデータを中心に、化学物質と私たちの暮らしについて一通りの理解はできるような構成になっております。また、参考3の目次の次にもう1つ目次を付けております。例えばPRTRデータを入手したいとか、要するに興味のあるページだけでもすぐご覧いただけるような格好にもしております。
内容につきましては、なるべく絵や図表を多く取り入れまして、わかりやすいように努めたつもりでございますが、今後とも皆様のご意見をいただきながら、よりわかりやすい情報提供に努めていきたいと考えております。
以上でございます。

【鈴木部会長】 どうもありがとうございました。
ご質問、ご意見がありましたらどうぞ。

【眞柄委員】 先ほどのヒ素の話と関係して申し訳ないのですが、国で収集する情報の中に自然由来のものがないわけですね。例えばヒ素とかホウ素というのは大変な量が排出されていて、環境に出れば、事業所から出ているものも自然からも同じものでリスクを持っているわけで、そういうものについて今後、国として把握する方向でいかれるのか、そういうものはあるのだというのを承知の上で、それについての環境への排出量は把握しないのかどうか、その辺の基本的なお考えをお聞かせ下さい。

【安達環境安全課長】 まず、PRTR法の範囲内で申し上げますと、自然由来であっても、例えば対象事業所で温泉水を一度使って排出したというような場合は届出の対象になっております。一方、一度も事業所が関係せずにだらだら流れている場合は、届出の対象になっておりません。また、省令では、推計の対象にも今のところはしておりません。ご指摘は、前回の推計方法についてのパブリックコメントのときにもご議論があったかと思いますが、今後の課題ということにしておこうということだったかと思います。
今回、ヒ素の問題もございますし、自然由来のものをどうするのかという件については、リスク管理の一般論からしますと、コントロールできるものについてはやるけれども、アンコントローラブルなものについてはリスク管理の対象としないというのが、一時代前というか、今もそうなのかもしれませんが、それが基本的な考え方であったのが、世界的にも、必ずしもアンコントローラブルだからリスク管理のそもそもの対象にしなくてもいいとは言えないのではないかという潮流もございます。そういったことを踏まえながら、今後の宿題として検討していきたいと考えております。

【鈴木部会長】 ありがとうございました。眞柄委員から、積年の問題点の問題提起でした。環境化学物質対策として何をどうするのか、リスクリダクションとしてどうするのかと問題を設定していくと、いろいろ具体的に出てくるだろうと思いますけれども、それは今後の課題としてやるとしたら、別の議論の仕方があるだろうと思います。私の関心事は、今のところ、PRTRデータというのは本当に役に立つか、どう実際にこれを使って対策を進めていけるのか、そこら辺に関心があるのです。

【中杉委員】 今の眞柄先生のご意見、自然由来であれ、人の健康に影響があるのであれば、しっかりとらえていかなきゃいけないというのが理由だろうと思うのですが、1つ注意しなければいけないのは、自然由来ですと、ものが大きく動くときには、人為由来でも意外とPRTRみたいな見方をしてしまうと大きくなってしまう。具体的な例をいいますと、土壌を動かす量がダイオキシンの移動量という観点で見たら、ここで挙がっているよりもはるかに量が多くなる可能性があります。これは金属も同じようなことで、ただ、汚染の濃度は、同じようなところへ動かすので、実際は問題にならないわけですが、そういうところを注意しないと、何をやっているかわからなくなるというのが1つです。これは注意していただければと思います。
もう1つ、質問といいますか、具体的に利用できるかというのは、今、部会長も言われた話ですが、多分、今のところのデータというのは、まだ定量的な議論をするほどの精度はないだろうと思うのですが、実際には定性的にはかなり使えるだろうと思っております。そういう意味で、ここで利用の仕方と書かれている中で、環境省の中でどのぐらい実態としてもそういうことを考えておられるのか、保健部の方で把握されているものがありましたら、お教えいただきたいというのが1つ。
もう1つ、PRTRの重要な目的として、事業者が環境排出量を測ってみて、それで自分の努力をするということが必要だろう。これが1つ非常に大きな効果と考えているわけですが、実際に私が相談を受けているところでは、PRTRで届出をしなきゃいけない。前から定性的には排出もわかっていたけれども、改めて測ってみたら、ものすごく量が多かったと。それで早速対策を施したというところがございます。そういう意味でいくと、具体的なそういう事例を何らかの形で集めていくと、PRTRがこれだけの効果をあげましたというのを全体量で見ることができると思います。そういう工夫を経済産業省と協力してやっていただくと、PRTRをやってよかったということがすぐよく見えてくるのではないかと思います。

【高橋委員】 今回初めて排出量・移動量の集計結果が出たのですが、所管の環境省として、この法案を作るときに想定した量、種類と違ったなと、多分こんな物質がこのぐらい出るのではないかということは当然あったのだろうと思いますが、その辺で期待どおりだったのか、量なり、あるいはその辺はどうでしょうかということが1つ。
もう1つ、例えば物質が都道府県別にいろいろ出ていますけれども、この県ではこういう物質が多いとか、そういうデータはとっていましたか。私の出身の福島なら福島はこういう物質がたくさん排出されているみたいな、そういうデータはあるのですか。

【安達環境安全課長】 まず、当初の予想と実際の届出にどの程度違いがあったかということでございますが、まず件数的に申し上げますと、率直に申し上げまして、ガソリンスタンドからこれほど届出があるとは想定しておりませんでした。ただ、パイロット事業をずっとやっておりましたので、それ以外は概ね予想どおりだったのかなと。先ほど申し上げましたように、特に届出の多かったものとして、溶剤関係が多かったとか、そこらはパイロット事業のときとほぼ同様の結果であったのかなと思っています。
ただ、第一種特定化学物質に関しまして、例えば六価クロムが多かったとか、これは特定の事業所だったものですから、実は届出の段階から私どもは3度にわたって、ちょっとおかしいんじゃないかというようなことも指導していたのですが、そのたびに、その事業所は県の方には「正しいです」、「正しいです」と言っていて、3回目にやっと「やっぱりおかしかったです」ということもありました。そこらはパイロット事業あるいは事前に考えていたよりは、予想外だったという事例もございます。ただ、これは言い換えますと、PRTR制度の精度管理の問題でもございまして、ここらにつきましては、今後、推計も含めて、より精度の向上、また、より正しい届出がされるように少しずつ改良していくべきものかと考えております。
それから、地域ごとの物質ということに関しましては、今後、国レベルでもそういったことを分析していく、あるいはデータを評価していく、評価した結果をもってどういう対応をしていくかということに活用していかなければいけないと考えております。それとともに、基本的に、法の中でも、都道府県レベルにおきましても地域での特性等の把握にこういった制度を活用してもらいたいということもいっておりますし、また、都道府県がより狭い範囲といいますか、地域での分析をするようなツールにつきましても、私どもの方から提供しているところでございます。そういったツールも使いながら、国レベルあるいは都道府県レベル、それぞれのレベルで今後より詳細な分析等もやっていきたいし、都道府県にそういうふうに指導していきたいと考えております。
中杉委員からございました、まず事業者による排出削減等の効果の評価ということでございますが、そういったことも含めまして、特に効果の評価ということになりますと、今回、第1回でございますので、トレンドで見ていくのが一番わかりやすいかと思います。今回、第1回で比較するものがないので、なかなか難しい点もございますが、今後、PRTR制度を積み重ねていく中で、当然、この制度の評価も進めていきたいと考えております。
それから、環境省内でのPRTRを使っての具体的な、定性的でもいいから、どのような取組があるのかということでございますが、先ほどの資料の4ページのポンチ絵にございますように、今後の取組でございますが、PRTRデータは排出量でございますので、これを実際のリスク管理、リスク評価に使っていくためには、実際には残留状況等いろいろとデータを変えていかなければいけないわけです。また、有害性のデータ等もあわせてものを考えていかなければいけないということで、優先物質のランキングシステムのようなものを作りまして、そのデータをもとに、例えば多媒体の環境リスク評価とか、あるいは環境管理局、水環境部等の行っているリスク管理対策へインプットしていき、利用していくというようなことを考えておりまして、省内にも関係部局の連絡会を設けまして、検討に着手しているところでございます。

【江頭委員】 このガイドブックのことでよろしいですか。私たち、身近な畑で、キャベツに農薬をまいているとか、テレビでもホルムアルデヒド、小学生の子供でもその言葉はよく知っているんですね。それで怖い怖いとただ不安だけが襲ってくるという状況もないとは言えないので、最近は学校の総合的な学習の時間に酸性雨とか大気汚染とか水質調査とか、そういうものを入れながら、単に怖いのではなくて、その原因を探るとか、詳しくはできないにしても学習しているのです。これは今日見せていただいただけで、まだよく見ていないのですが、項目だけを見て、結構役に立つなという気がいたしました。でも、まだ内容的に難しいし、言葉もちょっと難しいところがありますので、中学生、高校生、大人向けにはいいかと思いますが、もう1つ小学生版も作っていただくと結構かなと思ったりしております。情報が今いっぱいありまして、本屋さんに行っても、いろんな本が出ていますが、私たちが一番信用できるのは、環境省のこういう冊子なんです。ですからぜひお願いしたいと思います。

【酒井委員】 先ほどご説明のあった六価クロム3回という話なんですが、過去のデータに誤りがあったということを自己申告できるような形というのは、法の中で規定されていたのかどうか、あるいは今後、仮にそういう修正の申し出があった場合、どのように扱われるのか、ご説明いただければ幸いです。

【環境安全課】 環境安全課PRTR担当でございます。昨年度の届出に誤りがあった場合の扱いですが、PRTRの法の中では修正といった規定はございませんけれども、運用で対応することとしており、誤りがあった場合には、今回ですと2回目の届出の際に申告してもらうこととし、現在受け付けているところでございます。まだ受付中ですので、件数などはわかっておりませんけれども、変更の届出の内容を見た上で適切な処置をとっていきたいと思っております。
先ほど安全課長から申し上げました事例というのは、栃木県のとある工場で、製品に皮膜としてつけている六価クロムを間違って大気に出していましたというふうに届け出たということであります。これにつきましては、県庁経由で事実を確認いたしまして、修正願いを今受け付けているところでありますとともに、企業の方も栃木県庁で記者会見を行うといった対応をとっております。今後も必要があれば、そのような対応をとっていくのかなと考えております。

【酒井委員】 すると、将来とも過去の数字が修正されて出てくるということを覚悟しなければならないということになるわけですね。

【安達環境安全課長】 まず、2つの側面があるかと思います。そもそもの開示請求の対象になっている届出を修正するかどうか、そのデータをもとにした集計表を修正するかどうかという2つの問題点がありまして、今具体にどうしようかというのを経済産業省と相談中でございます。

【崎田委員】 先ほどリスクコミュニケーションのことをおっしゃって下さってありがとうございます。こういうデータがたくさん出てきたときに、これをどういうふうに事業者の方が伝え、地域の市民もちゃんと理解していく。そしてリスク削減に有効に活用していく。そういう流れをつくっていくのが大変重要だと思うんです。お願いなんですが、今回、「PRTRデータを読み解くための市民ガイドブック」とか、化学物質アドバイザー制度のこととか、環境学習のこととか、大変たくさん資料提示していただきました。こういうのを使いこなして、どんな事例が起こっているのかと。先ほど中杉先生は、事業者の削減のデータ集積をとおっしゃった、あのことと似ているのですが、リスクコミュニケーションの方も具体的にどんな事例があるのか、事業者主導の場合と地域主導、学校主導、いろいろなタイプがあると思うのですが、そういうことをどんどん集積して出していただきたいと思います。今ぱっと拝見しましたら、後ろに収集のためのページをわざわざ作っていらして大変ありがたいので、こういうのを最初の1年ぐらいは無理やりにでもデータを
集めて発信していただく。そういう作業を少ししていただければありがたいと思います。

【鈴木部会長】 ありがとうございました。別にお答えにならなくてもいいのではないでしょうか。
ほかにございませんか。

【吉岡委員】 始まったばかりのPRTR法であまり過大な要求をしてはいけないと思っているのですが、1つお教えいただきたいのは、リスクということを主体にこれから解析していきたいとおっしゃっておられるのですが、環境省としてトータルリスクというもののターゲットというのはあるのでしょうか。つまり、ある地域の住民が少なくともこれ以下でなければならないリスクの基準というものがあって、それ以下に抑えるためには長期目標はこうするというような形のプロセスといいますか、そういった目標を置いて、そこに到達するように。それ以下になれば、ある程度安心だという形で考えていらっしゃるかどうか、これがまず第1点です。
第2点は地域性の問題です。現在は都道府県単位で出てまいりますが、請求すれば各事業所から出てくるということでいいのですが、先ほどのお話の中では、都道府県に対しても、各ポイントから出てくるようなデータの集計云々というようなソフトウエアですか、そうしたものをお配りしているという話がございましたけれども、もっと進めると、私が住んでいる場所でどれくらいのリスクがあるのかというところまで推定可能なレベルに達するでしょうか。というのが2つ目の質問です。

【安達環境安全課長】 まず、トータルリスクのターゲットを置くかどうかというご指摘でございますが、この問題は世界的にもいろいろと議論のある部分だと思います。私はすぐ放射線のリスク管理の話をするのですが、放射線のリスク管理の場合は、オプティマイゼーション(最適化)という、ターゲットを求めるのではなくて、合理的に実施できる範囲で少しでも下げましょう、合理的な対応でできる中でどこまでも下げましょうという考え方がございます。私どもは今のところ、取組の中で、トータルリスクのターゲットをここに求めてということは設定はしておりません。そういうことも含めて、今後、リスク評価、リスク管理をどのようにやっていくのか、検討している状況でございます。
第2点につきましては、今のところは、もう少し広い範囲での分析しかできないツールしか提供しておりません。今後、より詳細なというのは、当然その方向では進むかと思いますが、それに対するインプットとベネフィットも踏まえて、落ち着くところに落ち着いていくのではないかと思っております。

【浅野委員】 今の吉岡委員のご発言との関連なんですが、ノンポイントの分析はどこまでちゃんとできるのかという議論をしておかなければいけないと思います。出ているものだけがひとり歩きをして、ある週刊誌が地名を挙げてどの地域は危険性が高いと報じていました。ああいう形のものが、悪いとは言わないけれども、読んでみると、必ずしも適切なコメントがついてないですね。ただ数字だけが精神論に扱われてしまうということがあるので、それはそんなものがひとり歩きをし始めないように、それに対する対応をしっかりしておかなければいけないということはあると思います。吉岡委員が言われたことはむしろ逆に変な形で数字が、だから、出ている数字はどういう意味なのかということがわからないといけないですね。ノンポイントなしに、報告のものだけで出てきたものでここがこうだという議論は、怖いなと思いながら、記事の中にはそのコメントが何にも出ていないんですね。そういうことがこれから先あまりはびこらないようにしてほしいと要望いたします。

【中館委員】 もう前に何回かあったということなので、私だけが知らないのかもしれませんが、届出外の排出というのも結構あって、それを推定されているということなんですが、何か根拠があるものだけを出していますということで、具体的にはどんな元のデータに基づいたものなのか教えていただければありがたいです。

【安達環境安全課長】 大変申し訳ないのですが、それが全部書いてあるのが参考2でございます。ここに1つずつ、例えば家庭からだったら、製品に着目しまして、その製品をどれぐらい出荷しているというデータをもとに、それに排出率を掛けたというような、ものによっていろいろなやり方で推計しております。

【鈴木部会長】 この部会の委員の方がご存じないというのは困りますから。

【満岡委員】 今の問題に関連して質問だけさせていただきます。「今後の課題」に「届出外排出量の推計手法の改良等」とございますが、推計手法はいろいろあると思うんです。私どももPRTRは非常に重要だし、データとしての継続性からいろいろなことが言えてくるし、リスクコミュニケーションなどもそこから生じてくると思っているのですが、この推計手法の改良、例えば初年度やって、今2年度目を受け付けているのですが、この部分で大きな改良があったのですか。前年度のデータと今年のデータに不連続が生ずるような改良があれば、改良自体は望ましいことだけれども、反面継続的な判断がしづらいということになるので、ちょっとお聞きしたいのです。

【鈴木部会長】 改良と言えないかもしれません。

【安達環境安全課長】 まず、より正しそうなデータが出てくる改良と、今まで推計してなかったのを新たに推計する改良とがあるかと思います。確かにデータがより良くなる部分については、過去との比較がございますので、それをどういう格好でこれから毎年毎年公表していくかについては、これから少し工夫させていただきたいと思います。
追加につきましては、第2回で考えておりますのは、私は喫煙家で余り積極的ではないのですが、例えばたばこの副流煙が環境へ出ているわけでございますので、その中に含まれる化学物質について推計ができるということがほぼわかりましたので、そういったものも新たに追加していきたいと考えております。

【鈴木部会長】 このPRTRが実際に動き始めてみて、いろいろ期待もあるし、限界も見えてくるだろうし、改良も必要になるだろうし、改悪にならないような良い改良を考えなければいけないだろう等々、いっぱい議論したいし、話も聞きたいというテーマだと思います。非常に着実に動き出していると評価していいのではないでしょうか。
それでは、この問題はここで打ち切りまして、最後に「その他」ですが、事務局からどうぞ。

【安達環境安全課長】 それでは、まだお時間があるかと思いますので、資料6に基づきまして、最近の主な広報資料につきましてご報告させていただきたいと思います。時系列に並べておりますので、内容は統一されておりません。
まず6-1でございます。「花粉症保健指導マニュアル」ということで、これまで花粉症についての保健指導上のマニュアルを平成12年に出しておりましたが、今回、NPOが例えばスギやヒノキの花粉飛散マップを作ったり、そういった活動の成果とか、あるいは環境省をはじめ関係各省の取組状況の更新等を行いますとともに、図やグラフ、データ等を多く用いてよりわかりやすい形にしようということで全面改訂を行いました。全面改訂を行ってホームページ上に載せておりますマニュアルを公表したところでございます。
次に6-2につきましては、PRTRを契機とするリスクコミュニケーションの1つであります。化学物質アドバイザーにつきましては、前回、その養成についてご報告させていただきましたが、いよいよ派遣を開始いたしましたので公表いたしました。
なお、化学物質アドバイザーにつきましては、現在18名が登録されて、既に派遣も開始しているところでございます。
続きまして6-3でございますが、これにつきましては、いわゆる環境ホルモンについて内分泌攪乱化学物質問題検討会を開いておりますが、本年度の第1回が開かれましたので、その結果を報告したものでございます。今回は、平成12年度に選定した12物質についての追加試験等の結果あるいは試験結果、さらに13年度に選定した8物質についての試験結果等をご議論いただきました。
結果の概要は、まず1の「ほ乳類を用いた人健康への内分泌攪乱作用に関する試験結果」としましては、今回試験しました10物質について、あくまで低用量でのことでございますが、一応明らかな内分泌攪乱作用は試験の結果認められなかったという結果でございました。
めくっていただきまして裏にございますように、すべての物質について高用量、既に報
告等で影響が認められた用量ではすべて一般毒性と考えられる影響が認められております。
次に2の魚類を用いた試験結果でございますが、13物質のうち12物質につきましては、今回の試験結果からは明らかな内分泌攪乱作用は認められておりません。気になるような反応がございましたが、最終的な評価としては、明らかな内分泌攪乱作用は認められなかったということになっております。
それ以外の1物質、ビスフェノールAにつきましては、(2)にございますように、メダカの女性ホルモン受容体との結合性が弱いながらも認められ、また、肝臓中のビテロジェニンあるいは精巣卵の出現、孵化日数等に有意な高値が認められたため、確定試験としてフルライフサイクル試験を実施するという結果になっております。
その他、「環境ホルモン戦略計画」、いわゆるSPEED'98の改定作業を本年度から2年計画で実施することについてご了承いただきました。
また、本年12月の3、4、5日と仙台で「第6回内分泌攪乱化学物質問題に関する国際シンポジウム」を開催する予定にしていること等についてご報告申し上げました。
次に資料6-4でございますが、「複数媒体汚染化学物質調査研究の結果について」ということで、先ほどの化審法改正のときの附帯決議の中にもございましたように、大気や水、土壌といった複数の媒体からの暴露によりまして、単一の媒体からの暴露よりもより大きな影響がある、いわゆる複数媒体影響とか、あるいはいくつかの化学物質に暴露することによる総合的な影響、すなわち複合影響等について関心が高まっているところでございます。環境省では、複数媒体影響につきましては、平成5年度から動物実験等による調査を、また、複合影響の基礎データ収集としまして環境中の変異原性試験を平成8年度から実施しております。この結果を先般とりまとめたところでございます。
結果の概要でございますが、5ページの図1、図2にございますように、クロロホルムにおきまして、例えば図1でございますと、吸入暴露では腎臓腫瘍が1例出ただけであり、経口暴露では1例も出なかったのが、量を変えずに同時に吸入暴露と経口暴露をしましたところ、右図のように腫瘍の発生が非常に増えている。図2もほぼ同様の内容でございます。さらにその後、メカニズム調査ということで、組織中の濃度を調べましたところ、単一の暴露と比べて組織中の濃度が約2倍になっていたということで、単一の暴露経路による場合と比べて、複数の暴露経路による場合により大きな影響を及ぼすような化学物質の存在する可能性が示唆されたということでございます。
また、(2)の複合リスク基礎調査ということでは、全国の大気、河川水、土壌を、網羅的ではございませんが、適宜選びまして、サルモネラ菌を用いた変異原性試験をやりましたところ、一部の河川水あるいは土壌からそれぞれ、[2]、[3]にございますように、PCB様物質とかニトロアレーンといった物質を検出したところでございます。
今後の対応につきましては、2.に示したとおりでございます。
最後に資料6-5でございますが、これもリスクコミュニケーション関連でございますが、「化学物質と環境に関する学習関連資料データベース」の開設ということで、昨年、小中学生向けのボードゲームやテレビゲーム等を作成して公表しましたところ、大変な反響があったということで、江頭委員からもご指摘がありましたように、小中学生向けのこういった資料に対するニーズが非常に大きいのではないかということで、今回そういった学習関連資料を収集しまして、それをデータベースの形で環境省のホームページで示しているところでございます。
なお、めくっていただいた裏にございますように、内容についての評価というのは、専門家の方々にいろいろとご意見を伺ったのですが、検討会の中でもいろいろと意見が分かれまして、形而上学的な評価というのは非常に難しいということで、そこの箱にございますように、こういうことをクリアすれば淡々と載せているということで、「資料の内容が科学的事実と異なる場合や不適切な表現がなされている場合もありますので、活用に際しましては、ご利用いただく場面に応じて各自でご判断下さいますようお願いいたします」と記載してございます。ちょっと腰の引けているところがございますが、とりあえずは情報を提供することだということで、このようなものをホームページに載せたところでございます。
以上でございます。

【鈴木部会長】 どうもありがとうございました。
私の不手際で時間を少し使いすぎて、最後のところは急ピッチでたくさんの話をしていただいて、それぞれも取り上げればきっといろいろ議論は起こるのだろうと思いますが、どうしても一言おっしゃりたいという方がおられなければ、今日の部会はこれで終了しようと思います。
最後に南川環境保健部長から一言ご挨拶いただきます。

【南川環境保健部長】 今日はお忙しいところありがとうございました。私、国会の用事で若干遅れましたことをおわび申し上げます。
長い長い通常国会も、今エキストラでやっておりますけれども、ほぼ終息に近づきまして、今国会で、私ども環境保健部で関係している公害健康被害補償法、特殊法人を独立行政法人にかえる法律、それから今日報告いたしました化審法ということで、それぞれすべて成立いたしました。これも先生方のご指導のおかげと大変感謝いたしております。
それ以外にも環境ホルモンを始めとした化学物質問題一般、また、水銀などの重金属問題についてもいろいろとご意見をいただいております。
環境省になりましてから2年3カ月ほどたちましたけれども、その間、様々なご意見をいただいて制度の充実を図ってまいりました。PRTR法の制定、黒本調査などによる環境状況の把握、化審法による生態系も含めた新規物質のチェック、あるいは大気汚染防止法、水質汚濁防止法などによる排出規制、また、最終的な場面での廃棄物処理、そういったことが、もう少しいけば被害補償があるわけですが、相当部分、化学物質について必要な対応ができるようになってきたと考えております。その中で、おかげさまで環境保健部も相当中心的な役割が担えるのではないかと考えております。
今日報告しました旧日本軍の毒ガス問題がややエクストラでございますけれども、実際に被害者がおられる以上、どこかの役所のどこかの部署が引き受けなくてはいけないという思いで対応しております。いささか場違いなご印象を持たれるかもしれませんが、ぜひこれについても引き続きよろしくご指導をお願いしたいと考えております。
また、例年のことでございますが、私ども役所の場合は、この時期に国会が終わりに近づくということで異動がございます。実は私どももこの前に座っている者の中で4名ほど異動いたします。私自身も7月1日付けで廃棄物・リサイクル対策部長ということで異動させていただきます。またよろしくお願いいたします。
それから、隣にいる石野が7月1日付けで地球環境局の総務課長ということで異動いたします。一人飛びまして早水が外に出まして、千葉市の環境保全部長に就任いたします。古澤がまた外へ出まして、医薬品機構のシニア?ということで異動いたします。
後任はいずれも我々よりも立派な方だと聞いておりますので、ぜひとも引き続きよろしくご指導のほどお願いいたします。
今日はどうもありがとうございました。

【鈴木部会長】 ほかに何かありますか。

【石野企画課長】 冒頭、15名の委員がご出席予定ということで定足数に達していると申し上げましたが、実は若林委員が急遽来られなくなったということでございまして、出席委員は14名で、正式の部会ではなくて懇談会という形での会議になりましたので、ご了承いただきたいと思います。
次回の日程につきましては、後日、事務局からご連絡いたしまして、調整させていただきたいと考えております。
本日の資料でございますが、非常に分厚いものがございまして、先ほど安達課長からお話ししましたように、ホームページ上でダウンロードできるファイルでございますので、机の上に残しておいていただいて、必要であれば郵送いたします。もし特に必要でないということであれば、「不要」とでもお書きいただければ、私どもの内部でまた使いたいと思います。よろしくお願いいたします。
以上でございます。

【鈴木部会長】 どうもありがとうございました。
それでは、本日はこれで終了いたします。

--了--