中央環境審議会環境保健部会(第39回)議事録

午前10時00分開会

○中尾環境保健企画管理課長 それでは、一部遅れている委員もいらっしゃいますけれども、定刻になりましたので、ただいまから、第39回中央環境審議会環境保健部会を開催いたします。

 環境保健部環境保健企画管理課長の中尾でございます。どうぞよろしくお願いいたします。議事の開始まで進行を務めさせていただきます。

 委員の皆様におかれましては、ご多忙のところご出席いただきまして、誠にありがとうございます。この会議は公開で開催いたします。

 また、議事に入ります前の冒頭のみ、カメラ撮影を許可しております。

 傍聴していただいていらっしゃる方々には、傍聴券に記載させていただいておりますとおり、次の留意事項をお守りいただければと思います。一、静粛を旨とし、審議の妨害となるような行為は慎んでください。二、携帯電話等の電源は呼び出し音が出ないようにして傍聴してください。三、会議の開始前後を問わず、会議場内において委員等に対して抗議または陳情などはお断りいたします。その他、事務局職員の指示にしたがうようにお願いいたします。以上の事項を守っていただけない場合、退場していただくことがありますので、ご協力をよろしくお願いいたします。

 環境保健部会委員及び臨時委員28名のうち、本日は19名のご出席いただいておりまして、定足数に達しておりますので、本部会は成立いたしておりますことをご報告申し上げます。

 まず、事務局側に人事異動がございましたので、紹介をさせていただきます。

 まず、国立水俣病総合研究センターの重藤所長でいらっしゃいます。

○重藤国立水俣病総合研究センター所長 重藤でございます。よろしくお願いいたします。

○中尾環境保健企画管理課長 続きまして、石綿室長の岩崎室長です。

○岩崎石綿健康被害対策室長 岩崎でございます。よろしくお願いいたします。

○中尾環境保健企画管理課長 続きまして、水銀室長の西前室長です。

○西前水銀対策推進室長 西前でございます。よろしくお願いいたします。

○中尾環境保健企画管理課長 また、企画管理課の総括補佐の眼目も異動になってございます。

○眼目企画課補佐 眼目でございます。よろしくお願いいたします。

○中尾環境保健企画管理課長 続きまして、資料でございますけれども、環境負荷低減の観点から、審議会等のペーパーレス化の取組を推進するために、お手元にございますタブレット端末の中に入ってございます。もし端末に何か不具合のある方がいらっしゃいましたら、事務局のほうにお申しつけいただければと思います。資料が一つのPDFの中に入っているという形になっているかと思います。

 今回の資料につきましては、原則全て公開とさせていただきたいと思います。

 また、本部会終了後に、発言者名を示した議事録を作成し、委員の皆様方にご確認いただきまして、ご了解をいただいた上で公開させていただくと考えております。

 ここで、事務局を代表いたしまして、環境保健部長の梅田よりご挨拶を申し上げます。

○梅田環境保健部長 おはようございます。環境保健部長の梅田でございます。

 本日は、委員の皆様方におかれましては、年末で大変お忙しいところご出席をいただきまして、誠にありがとうございます。本日は、公健法における平成30年度以降の自動車に係る費用負担のあり方や、公健法の規定による障害補償標準給付基礎月額等の改定につきましてご審議をいただきますとともに、環境保健行政に関する最近の動きにつきましてご報告を申し上げたいと思います。

 特に、今年9月に水俣条約の第1回締約国会議COP1が開催されまして、条約実施に係る技術的事項、条約の運営に関する事項等に関する決議が採択されましたので、その結果についてご報告を申し上げます。

 また、本日は、国立水俣病総合研究センターの重藤所長に、国立水俣病総合研究センターにおける研究業務についてご報告をいただくことになっております。

 最後になりますが、委員の先生方のご見識を賜りながら、よりよい環境保健行政を進めてまいりたいと考えておりますので、幅広い視点から活発なご議論をお願い申し上げまして、冒頭のご挨拶させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

○中尾環境保健企画管理課長 それでは、ここから岡田部会長に議事進行をお願いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。

○岡田部会長 かしこまりました。おはようございます。朝早くからお集まりいただきまして、ありがとうございます。

 それでは、早速審議に入りたいと思います。

 まず、公害健康被害の補償等に関する法律における平成30年度以降の自動車に係る費用負担方式についてでございます。それでは事務局からご説明をお願いいたします。

○中尾環境保健企画管理課長 それでは画面のほう、スクロールしていただきまして、資料2-1と資料2-2でご説明させていただければと思います。

 まず参考資料としてお配りしております資料2-1に基づきまして、ご説明させていただければと思います。

 1枚目が目次になってございまして、まず下のほうに資料、ページ数でいいますと1となっている、タイトルが「公害健康被害補償制度(大気汚染系)の仕組み」という資料がございます。現在でも著しい大気汚染の影響によるぜん息などであると認定された患者さんに対しまして補償給付などを実施してございまして、その財源につきましては、汚染原因者負担の原則に基づきまして、工場等から8割、自動車から2割を負担していただいてございます。このうち、自動車分につきましては、自動車重量税の収入見込み額の一部相当額を充当するということで手当しているところでございます。

 この自動車負担分につきましては、直近でございますと平成20年の法改正によりまして、平成29年度まで延長されてございます。時限措置となってございますので、平成30年度以降も措置を継続していく、手当していく必要があるということで、今回お諮りさせていただくというものでございます。

 このうち、工場等につきましては、汚染負荷量賦課金としまして、環境再生保全機構のほうが徴収してございます。自動車重量税につきましては、一旦国のほうに一般財源として入りまして、それを国から環境再生保全機構のほうに交付しているという仕組みになってございまして、現在、交付金の額が、平成29年度ですと約78億円となってございます。

 2ページ目に参りまして、費用負担の仕組みということで、補償給付費と公害保健福祉事業費、こちらに自動車重量税の収入が一部割り当てられているという仕組みでございます。

 続きまして、3ページ目でございますけれども、現在の認定者数の推移でございますけれども、昭和63年に地域指定が解除された際には、約11万人の方々がいらっしゃいましたけれども、その後、治癒される方、亡くなられる方がいらっしゃいまして、直近では約3万4,000人となってございます。

 4ページ目が補償給付費及び財源内訳の年度別の推移となってございます。

 5ページ目から6ページ目にかけまして、費用負担に係ります公健法の改正の経緯を載せてございますけれども、自動車重量税の税収を充てる措置を延長することにつきまして、これまで改正を数次にわたって行ってきたということが、こちらの資料から見ていただけるかと思います。ある意味、安定した財源になってきているというようなところもあるところでございます。

 続きまして、7ページ、8ページ目でございますけれども、自動車重量税の仕組みなどにつきまして資料を載せてございます。概要ですとか経緯、皆様ほとんどご存じのことが多いかと思いますので、ごく直近の動きだけご説明させていただきたいと思いますが、8ページの一番最後に(4)ということで、暫定税率の廃止及び当分の間の措置という記載がございます。暫定税率の適用期限というものは、順次延長されてきたというところでございますけれども、平成22年度税制改正大綱におきまして、暫定税率を廃止した上で、当分の間、本則税率の2倍の税率を設定するなどの措置を講ずることとされてございまして、現在に至っているというのが自動車重量税の動きでございます。

 9ページに自動車重量税の税率を載せてございます。

 公害健康被害の補償等に関する法律の条文を10ページに載せてございます。公害健康被害の補償等に関する法律、昭和48年にできた法律でございますけれども、当初、法律の制定過程では、この移動発生源の部分につきましては成果を得るには至らず、第49条におきましては、別に法律に定めるところにより徴収される金員をもって充てるという書きぶりになってございます。その後、附則の第9条を見ていただきますと、制度的には暫定税率ができたときと同時に、こちらの自動車重量税の収入見込み額の一部に相当する金額を公健法の補償給付などに充てるという仕組みができたという経緯がございまして、こちらの条文を見ていただきますと、制度的には暫定税率とはリンクしておりませんけれども、同時に期間の見直しがこれまでされてきたという経緯になってございます。ある意味、自動車重量税の使途があるということで、それは道路財源ですとか地方への譲与税、さらに公健法の給付金であったりするということで、税率に合わせてその需要、使途を見直す議論がもちろんあるということで、密接に関わりがあるということで、期間を同じくして見直しされてきたという経緯となってございます。

 12ページ以降が費用負担方式についてということになってございます。また後ほど資料2-2で考え方、また出てまいりますので、そちらで説明させていただきたいと思いますが、制度創設当初から、自動車に着目する方法、使用燃料に着目する方式、また賦課金として独自に徴収する方式、既存税から引き当てる方式、さまざまな案が検討されてまいりましたけれども、最終的にはそれぞれ課題ですとか一長一短があるということで、自動車重量税に落ちついたということでございます。

 16ページ目以降につきましては、これまでの過去の答申、意見具申などを掲載させてございますけれども、省略させていただければと思います。

 それで、資料2-2に行かせていただきまして、今回、部会として取りまとめをお願いしたい報告案をご説明させていただければと思います。

 事前に委員の皆様方にも資料をお送りさせていただいておりまして、特にご意見をいただいていないところでございますけれども、ごく簡単にご説明させていただければと思います。

 まず1番の「はじめに」のところで、公害健康被害補償制度における自動車に係る費用負担については、制度発足以来、自動車重量税収の一部を引き当てる措置が講じられてきたところでございまして、現行の引き当て措置が本年度で期限切れとなることから、検討を行うことが適当という旨が書いてございます。

 2番の「検討」のところでございますけれども、まず(1)で、移動発生源たる自動車については引き続き費用を負担すべきということ。(2)で、工場等の固定発生源と自動車との負担割合につきましては、昭和61年の答申におきまして、従来8対2とされてきたところであり、制度上指定地域解除前の大気汚染の影響によるものと考えられる既被認定者に係る補償給付等の費用についても、8対2の負担割合によることが適当であるとしているということで、この結論を変更すべき特段の事情は生じていないということ。(3)におきまして、自動車に係る具体的な費用負担の方式については、必要な費用を公正かつ効率的に徴収し得る現実に実行可能な仕組みとすべきであるということ。また、(4)では、本制度の発足以来、自動車重量税収入の一部を引き当てる方式がとられてきたところでありまして、この措置は必要な費用を公正かつ効率的に徴収し得る現実に実行可能な仕組みとして合理的なものと考えられるということ。

 最後に、3番の「結論」といたしまして、本制度における自動車に係る費用負担のあり方については、平成30年度以降も引き続き自動車重量税収入の一部を引き当てる方式によることが適当であると判断されるということで結ばさせていただいてございます。

 環境省といたしましては、本日、部会でのご議論をいただき、その報告を受けまして、法律案の閣議決定に向けまして、関係機関との調整を進めさせていただきたいと考えてございます。

 本日ご説明させていただきましたとおり、これまで自動車重量税を財源としているため、同税の税率の見直し期限を踏まえて、措置の期限を公健法でも定めておらず、結果的に期限延長を繰り返してきたところでございます。加えまして、自動車重量税につきましては、平成22年度に暫定税率が廃止されまして、当分の間、暫定税率と同水準の税率を適用することとされているところでございます。こうした経緯も踏まえまして、また、公健法の補償給付などにつきましては、今後数十年にわたりまして、継続的に給付が必要なことということを考えますと、本来は措置期限を定めないことが適当であるということも念頭に置きながら、今後、政府部内で検討を行っていきたいと考えてございます。

 ご報告、ご説明は以上でございます。

○岡田部会長 ありがとうございました。それではただいまご説明いただいた内容について、何かご意見、ご質問等がございますでしょうか。名札を立てて、じゃあ浅野委員。

○浅野委員 結論的には、資料2-2にある考え方を当部会で意見として出すことが適当だと思います。

 移動発生源である自動車とそれから固定発生源の費用負担の比率が8対2ということについては、冷静に考えてみると、今のように電気自動車が増えたり、自動車の単体対策がどんどん進んできているということを考えると、どうかなという議論もないわけではないと思います。しかし、他方、固定発生源の側も考えてみれば、そんなに前のような状況じゃないわけですから、もしこれを真面目にぎちぎち議論しようとするなら、もう一回全部調べ直さなきゃいけないということになりかねません。しかし一番重要なことは、この説明の中にあるように、実は過去の汚染による被害の後始末をする制度だというのが今の制度なのです。新規認定を今回始めるということになるのであれば、改めて考えなくてはいけませんけれども、今はすべての地域指定が解除された昭和63年頃までに認定された患者さんについて救済をさしあげましょうということをしているわけですから、そうなりますと、やっぱりかなりの部分は過去の汚染の状況を前提にして、今日に至るまでの費用負担を考えざるを得ないということになるだろうと思います。

 もちろん、ぜん息に関しては最初から、発症の原因ではなくて増悪の原因だろうということで指定疾病の中に入れてきたことは事実ですから、それから言うと、その後の8対2の比率の変更というものを、ぜん息に関しては考慮に入れざるを得ないかもしれませんけれども、しかしそうだからといっても慢性気管支炎とのぜん息の比率を出して、それを考慮してこの比率を考え直すということはかなり強引だし、難しいというふうに思いますので、こはやはり63年までのところで決められた8対2の比率というものが、現在でもなお生きていると考えてよろしいのではないかと思います。

 あと、自動車重量税から移動発生源分の費用をいただくことについては、これはこれまで縷々検討してきたわけですし、それを変えるという理由はない、つまり、制度の安定性ということからいえば、重量税の制度がある限りはこれでお願いするのが一番合理的だろうということになろうかと思います。これも車種の構成が変わってきているというような議論が可能かもしれませんけれども、過去分ということで全て説明をすることはなお十分に可能かと思いますから、この原案どおりでいいかと思います。

○岡田部会長 ありがとうございました。ほかに何かございますでしょうか。よろしいですか。浅野先生にご説明いただいて、多分皆さんご納得いただいたかと思いますが、よろしいですか。ありがとうございました。それでは――失礼、どうぞ。

○新田委員 ちょっと説明の最後の部分がちょっと聞き取れなかったんですけれども、この30年度以降の期限を設けるか設けないかというところの方向性について、ちょっともう一度確認させていただければと思います。

○中尾環境保健企画管理課長 すみません、ちょっと説明がわかりづらくて大変恐縮でございますけれども、本日ご説明したとおり、自動車重量税につきましては、平成22年度に暫定税率が廃止されておりまして、当分の間の税率ということになってございます。これまで延長期限につきましては、暫定税率に合わせて延長期限を延ばしてきたわけでございますけれども、まず考慮に入れなければいけないのは、自動車重量税の税率が当分の間とされているということでございます。

 もう一つ、やはり公健法のサイドからいたしますと、補償給付などにつきましては、今後数十年にわたりまして、昭和63年に地域指定が解除された当時、一番若い方で30歳ぐらいの方がいらっしゃいますので、平均余命でも50年、またはもう少し長い期間が恐らく必要になってくるかと思います。そうしますと、今後数十年にわたりまして、継続的に給付というものも必要になってまいりますので、本来であれば措置期限を定めずに、法律のほうも安定的に規定していくということが望ましいかと思います。そのような制約の中で、どのようなことが可能なのかということを、政府部内でこれから検討していきたいというところでございます。

○岡田部会長 よろしいですか。ありがとうございました。ほかに。よろしいですか。

(なし)

○岡田部会長 それでは、ただいまご説明いただいた内容につきまして、ご意見がないということでございますので、自動車に係る費用負担方式に係るあり方についてということでは、当部会として検討結果を、資料、今ご紹介いただいた資料2のとおり取りまとめていきたいというふうに思います。よろしいでしょうか。

(はい)

○岡田部会長 ありがとうございます。

 それでは続きまして、公害健康被害の補償等に関する法律の規定による障害補償標準給付基礎月額等の改定についてでございます。

 これにつきましては、中央環境審議会に意見を求める諮問が環境大臣から12月1日付で出されております。本諮問は、武内中央審議会会長から、環境保健部会に同日付で付議されましたので、本日、当部会で審議させていただきたいというふうに思います。

 それでは、事務局からご説明をお願いいたします。

○倉持保健業務室長 それでは、保健業務室の倉持より説明いたします。

 それでは資料3を。

○岡田部会長 ページをおっしゃっていただけますか。多分スクロールするのが大変だと思いますので。

○倉持保健業務室長 そうですね、全体の30ページ目になります。

 1枚目、1ページ目が、今ご説明いただいた諮問書ということになります。

 続きまして、次の2ページ目が平成30年度の各補償費の改定案ということでございます。この額に至る算定方法につきましては、後ほど説明をさせていただきます。

 次のページがこの部会に付議する文書でございまして、飛んで8ページ目をご覧ください。これが算定の基礎となる平成28年の厚生労働省の賃金センサスの報告でございます。

 年齢計の欄に書かれているとおり、男子が対前年で0.2%の増、女子が対前年で1.2%の増になっています。ただこれは全体の平均でございまして、各年齢階層ごとに見ますとプラスの年齢階層が多いのですが、中には女子の60歳以上のように、マイナス、この黒三角がマイナスを意味しておりますが、マイナスになっている年齢階層もございます。特に60歳以上の年齢区分につきましては、マイナスの幅が大きくなっておりますので、後ほど説明いたしますが、激変緩和措置の対象となり、補正が行われることになります。

 続きまして、10ページ目をご覧いただきたいと思います。

 この基礎月額の算定方法につきましては、ここに記載されているとおり、まず障害補償費は前々年の賃金センサス、ですから30年改定につきましては、平成28年の賃金センサスによる労働者の性別及び年齢階層別の平均賃金の80%を基礎にすることになっております。一方、遺族補償費のほうは70%ということになります。そこにさらに前年ですから、平成29年の賃金推計アップ率をさらに乗じて算出するということになっております。

 基本的にはこのような単純な計算なんですが、ただ、このような算出をしますと、先ほど説明した60歳以上の年齢階層のように、対前年に比べて大きく変動する場合がございますので、激変緩和措置を過去導入してきております。

 平成14年度の改定からは、賃金センサス全体の推移と、2.5%以上乖離している年齢階層については、翌年そのずれを戻す傾向にあることが統計的に有意であったことから、回帰分析手法を用いて補正をするということになっておりまして、先ほどの女性の60歳以上のところがこのルールが適用されることになります。

 また、平成21年度の改定から、前年の標準給付基礎月額から2%以上増減していた年齢階層については、その増減率をプラスマイナス2%にするというルールを導入しておりまして、2%の上止め、下止めということが行われております。今回も2%の上止めをする階層が幾つか出ております。

 2番目の賃金推計アップ率でございますけれども、平成25年までは男女で平均したアップ率を用いていたのですが、賃金水準の変動において、男女間で差異が出てきているということで、平成26年度の改定からは男女別の賃金推計アップ率により算出してきております。

 次に13ページ目をご覧ください。横向きになりますが、これが平成30年度の障害補償標準給付基礎月額の改定案でございます。まず平成28年の賃金センサスの結果というのが、この③と書かれているところの数字になります。②がその前年の賃金センサスの結果になります。この②と③の差が増減額ということで、千円単位になっておりますが、④の欄に記載されております。それを率で表したのが⑤の増減率になります。

 この⑤の増減率というのが、各年齢階層ごとの対前年の増減率なのですが、これが一番左上のほうの①に書かれている平成28年の賃金センサスの男子、女子の平均である0.2%、1.2%という数字とこの⑤の数字との差、要は増減率の平均との乖離を計算したのがこの⑥の欄の増減率との乖離の数値になります。先ほどの算定ルールで申し上げましたように、ここがプラスマイナス2.5%を超えている場合に補正をするということになっておりまして、⑥の欄で黄色く塗りつぶされております女子の60歳から64歳、65歳から69歳、70歳以上の三つの区分がマイナス2.5%を超えておりますので、補正対象となります。回帰分析で補正をするのですが、その計算が、左下のところに記載がございます。結果的にこの3区分は下げ過ぎということになりますので、回帰分析をした結果、⑮の欄にありますように、60歳から64歳については101.5%ということで、1.5%プラスの補正を行います。65歳から69歳については103.0%ということで、3%のプラスの補正を行います。70歳以上は同様にプラス2.8%の補正を行うということになります。

 続きまして、来年度の基礎月額の改定額についてでございますが、ここが⑧の数字になります。この⑧の数字というのは、③の平成28年の賃金センサスの結果に、障害補償費なので80%を掛けて、さらに右上の賃金推計アップ率、男子が0.3%、女子が1.0%になるんですけれども、これをさらに掛けた値がこの⑧の数字になります。女子の60歳以上の三つの区分につきましては、先ほど申し上げましたように、⑮の補正を行いまして、⑨の欄の額が補正後の額ということになります。

 この⑧ないし⑨の額と、現在の平成29年度の補償費の基礎月額が⑦なのですけれども、これとの差が⑩のところに記載されていきます。これが補償費の改定案の対前年度の増減額ということになります。それを率で表したのが⑪ということになります。これが増減率になるわけですが、ここがプラスマイナス2%を超えている場合に、激変緩和措置の対象になります。マイナスで2%を超えている年齢階層はないのですが、プラスで2.0%を超えている階層が幾つかございまして、男子の65歳から69歳が2.4%、あと女子がほぼ半分くらいの年齢階層で、2%から3%の間の数字が出ておりまして、これらの年齢階層については2%の上止めということになりまして、⑫の額が改定後の額ということになります。最終的にはこの赤枠で囲まれている金額が各年齢階層の改定額ということになりまして、今回、答申をお願いするものでございます。

 以上が13ページ目の説明で、14ページ目は、遺族補償費でございまして、これは0.8を掛けるところを0.7を掛けているだけでございまして、計算方法は同じですので、説明は省略させていただきます。

 最後に、15ページ目をご覧いただきたいと思います。これが今説明した内容のまとめでございまして、黄色の部分が激変緩和措置をした年齢階層ということになっております。左下のほうに、本年9月末現在の年齢階層別の被認定者数の比率というものを記載させていただいております。被認定者の総数は3万3,472人でございまして、各5歳刻みの年齢階層で、ここに記載のような比率ということになっておりまして、70歳以上が31.5%ということで、一番多い年齢階層ということになっております。

 なお、70歳以上の平均賃金の取扱いについては、昨年、一昨年来、先生方からもご指摘いただいているのですが、判例等の調査を現在も進めておりますけれども、まだこの部会に報告できるだけの内容になっておりませんので、また改めて調査を継続してまいりたいと、そのように考えておりますので、よろしくお願いいたします。

 説明は以上です。

○岡田部会長 どうもありがとうございました。それでは、ただいまのご説明に関しまして、ご質問、ご意見等がございましたらお願いいたします。じゃあ浅野委員から、どうぞ。

○浅野委員 やっぱり70歳以上認定患者さんの給付額のありかたが問題だということが、確かに現実にあることが、今回も数字がそこで突出して増えてしまいますので、わかるわけですけれども、しかし、先ほど事務局が交通事故判例などもさらに精査してということもおっしゃっていますので、その結果を待つ以外ないかなと思います。賃金センサスで決めるという方式をとる限り、この年齢の方で実際に給与を得ておられる方はかなりの社会的な地位にある方が多いので、どうしたって金額が上がるに決まっているわけですね。ですから、これほど被認定患者さんがご高齢になられるということまで想定しないで制度を発足させたという点で、そもそも最初のボタンのかけ方が間違っていたといえば間違っていたと今になれば言えなくもないわけですけれども、しようがないですね。今になって、ある年齢のところから賃金センサスを使いませんというためには、相当割り切りをしなきゃいけないということがあります。

 それと現実の話をしますと、あまり適切ではない発言になって申し訳ないのですが、この金額を全額受給なさるのは特級と1級の認定をうけた方だけです。2級の方は50%に下がります。それから3級になりますと30%になってしまいますし、現実にほとんどの患者さんは3級の患者さんである。1級の患者さんは0.1%ぐらいしかいらっしゃいません。2級の方でも一桁しかいらっしゃいませんで、ほとんどの方は3級でいらっしゃいますから、この金額の30%が現実に給付される金額だと考えますと、そんなに社会的に見ても不合理な給付がなされているとは言えないということになろうかと思います。

 他方、遺族補償費については、これはお亡くなりになられた患者さんご存命中の等級とは関係なしに補償費が出るわけですけれども、これについても年金の形で受給を受けることができるご遺族は、認定患者さんでいらしたお連れ合いがお亡くなりになった場合に残された配偶者の方々が要扶養状態であれば遺族補償をお受けになるということになっているわけですが、これも該当する方もほとんどいらっしゃらない。現実には、ほとんどの方はそういうような状況の方ではありませんので、一時金を受給なさるわけです。ですから、この金額をもとにして、その何カ月分を掛けるという形の一時金になりますから、確かに認定疾病でお亡くなりになりましたということであれば、それは社会的に見てもしようがないかなということになりますし、それからさらに、死亡の原因が100%の認定疾病でない場合には、減額ということが行われていまして、75、50というような減額が行われますから、遺族補償についても当然その減額が行われるということなので、これも先ほど申しましたように、社会的な常識から見て非常識なお金が払われているということにはなっていないと思います。ですから、ちょっと金額が、高齢者のところで気になるわけですけれども、いたし方ないかなということだと思います。引き続き事務局では資料を集めていただきたいと思います。

○岡田部会長 ありがとうございました。ほかにございますでしょうか。よろしいですか。

(なし)

○岡田部会長 それではただいまご説明いただいた内容について、特にご意見がないようでございますので、原案どおり本日付で、当環境保健部会から武内会長に報告し、武内会長から環境大臣に答申するよう、手続を進めさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。

(はい)

○岡田部会長 ありがとうございます。

 それでは次に、それ以外の議題について、事務局からご説明を進めさせていただければと思います。じゃあ、お願いいたします。

○新田化学物質審査室長 化学物質審査室長の新田と申します。

 まず資料4、続きの資料の45ページからの、化学物質審査規制法に係る対応状況についてということで、最近の化審法の状況について説明させていただきます。

 資料の2枚目の目次にありますように、本日は、既存化学物質のリスク評価の状況と、POPs条約を踏まえた対応状況についてご説明します。

 まず、既存化学物質のリスク評価です。資料3ページ目でございますけれども、化審法は、前回の改正以降、平成23年から既存化学物質のリスク評価を進めてきています。世界開発サミットWSSDの2020年目標達成に向けてのリスク評価という形で進めているところでございます。

 平成24年にまとめた基本的な考え方におきまして、2020年までに著しいリスクがあると認められる優先評価化学物質を特定するためのリスク評価を行い、著しいリスクがあると判明したものを第二種特定化学物質に指定するという考え方のもとで取り組んできています。

 その具体的なイメージとして、2020年までに行うことを下の表にまとめております。2020年までに科学的な信頼性のある有害性データがある物質について、スクリーニング評価を一通り終えて、長期毒性を有し、リスクが懸念される状況があるものを第二種特定化学物質に指定する。また、評価を行うためのデータが得られなかった物質について、評価を行える目処が立っているというものでございます。

 この評価を行える目処が立っているというのは、例えば、今化審法で指定している物質の中には、複数の物質が混在しているようなものも含まれていますけれども、そうした場合、毒性値をどの物質をもって決めるかというのがなかなか難しいということがありますので、そういった中に含まれる物質を明らかにしていくと、そういったことなどが含まれております。

 次の4ページです。化審法のリスク評価の状況です。この図の左側の上から下に進んでいるわけです。化審法のインベントリーというのは、既存の化学物質、そして化審法でこれまで審査した新規格物質が含まれて、約2万8,000物質が化審法のリスク評価の対象ということになります。この2万8,000物質につきましては、毎年1トン以上製造・輸入されたものを、事業者から国に報告されています。その物質が約1万2,000物質。そのうち10トン以上のものを対象にスクリーニング評価を行いまして、8,000物質がスクリーニング評価の対象になっています。その結果、今までに優先評価化学物質を201物質指定しています。

 優先評価化学物質につきましては、詳細なリスク評価を、これも段階的に進めているところでございます。リスク評価の一次の中でも3段階ありますのが、その中に56物質が今ありまして、リスク評価を進めているという状況になっています。

 5ページに、スクリーニング評価の人健康、今年行った結果でございます。これは平成27年度の製造・輸入量をもとに行ったものでございます。

 表の見方ですけれども、人健康につきまして、まず左右ですね、左に行くほど有害性が高い物質ということになります。これはその物質の人健康の結果から、一番左の有害性クラス1は発がん性がある物質、2から4は発がん性というわけではないんですけれども、反復等試験結果などから毒性が強いものから2、3、4というふうに有害性クラスが与えられております。縦は、環境への排出量ということで、製造・輸入量にその用途ごとの排出係数を掛け合わせて、環境に出てくる量を推計しまして、環境排出量が大きいものほど上に位置するということになります。この有害性クラスとばく露クラスと両方から見て、リスクが高いものを優先評価化学物質にしていくと。この資料でいうと、このピンクの網かけをしているところをそれにしていくということになっています。

 今回、214物質につきましてスクリーニング評価を行いまして、この網かけに入ったものが3物質というふうになっております。

 6ページのほうは、生態毒性についてです。こちらもエモウブツは生態毒性試験変化で毒性が強いものを左のほうに位置づけというふうになっております。ここもリスクが高いというピンクの枠に入ったものが2物質ございますが、そのうちの1物質につきましては、蓄積性が高いのではないかということで、その判定を今待っているところでございます。したがいまして、1物質を優先評価化学物質指定する、あわせて4物質を優先評価化学物質として近く指定するというふうに考えております。

 7ページでございます。詳細な評価を行うリスク評価(一次)評価Ⅱ2という段階で、この1年で7物質を対象にリスク評価をいたしました。そのうちの一番上の物質は、第二種特定化学物質に該当しないということで、一般化学物質になりました。その次の安息香酸ベンジル以下あわせて5物質につきましては、特にばく露情報については情報収集する必要があるということで、モニタリング等の実施を行いつつ、評価Ⅱを継続すると。3番目のヒドラジンにつきましては、さらに詳しいばく露評価は情報が必要ということで、さらに詳細な評価を行う評価Ⅲに進んでいるという、そういう状況でございます。

 続きまして、8ページです。残留性有機汚染物質に係るストックホルム条約、いわゆるPOPs条約を踏まえた対応でございます。

 9ページでございます。今年の4月にこのPOPs条約の締約国会合が開かれまして、製造・輸入を禁止するという附属書類に、デカブロモジフェニルエーテルと短鎖塩素化パラフィンが指定されました。これを受けて、化審法ではこの2物質を第一種特定化学物質に指定しています。したがってこの物質については、製造・輸入については原則禁止というふうになります。

 また、化審法では、第一種特定化学物質につきまして、そういった物質が含まれている製品を輸入してはいけないというものを、そういう製品を指定する。あるいは、例外的に許容される用途というのもあり得ると。また、第一種特定化学物質に指定した際に、市中にあるものを回収する等の措置命令等を行うという、この三つの措置が第一種特定化学物質に対して行うことができるということになっておりますので、この2物質について、これらの措置について検討したところ、この表にありますように、そういった物質が含まれている場合に、輸入できない製品というのをここに挙げているものを指定しております。例外的な用途というのはないと。また、回収措置命令も現状の情報をもとにリスク評価したところ、必要ないというふうなことで結論が得られている状況になっております。

 資料の4の説明については以上です。

○岡田部会長 ありがとうございます。今の部分からが報告事項でございますので、後でまとめて質疑の時間を設けたいと思います。事務局のほうから続いてご説明をお願いいたします。

○西前水銀対策推進室長 水銀対策室長の西前でございます。通し番号のページ、58ページ、資料5に基づいて、水銀に関する水俣条約、COP1についてご報告させていただきます。

 右下のページ番号2ページ目でございます。まず、水銀に関する水俣条約は本年8月16日に、条約自体が発行いたしました。そして、その後、9月24日から29日まで、第1回目の締約国会議が開催をされました。閣僚級会合は最後の2日間、28日、29日でございました。

 会議の概要でございますが、記念すべき1回目の会議ということで、150カ国から1,200名、これは多くの閣僚を含んでございますが、多くの参加がございました。会議の中身につきましては、さまざまな条約の今後動かしていくためのルール、ガイドライン等について、かなり数多くの決定が行われました。

 引き続きまして3ページ目、COP1の成果でございます。大きく二つ、技術的なルールづくりと、あとは条約を動かしていくための運営に係る事項について議論が行われました。

 技術的事項につきましては、例えば、それぞれの締約国会合が報告をする頻度、これは原則的に4年に1回となりましたが、あとは報告の内容、様式についても決定が行われました。そして二つ目、大気排出に関するガイダンスが、これは採択をされました。いわゆるASGMと呼ばれます金採掘に係る行動計画の技術的手引きも採択されました。

 三つ目でございますが、水・土壌への放出、暫定的保管、廃棄物、そして汚染サイト等については、今後の議論の進め方について決定をされたという状況でございます。

 最後でございますが、水銀モニタリングに関しましては、我が国からの決議案というものを提出いたしまして、これはリードを、議論自体をリードいたしました。条約の運営に関しては、例えば、資金支援、途上国の資金支援を行うプログラムの細かなルールが決定をされました。

 引き続きまして4ページ目で、閣僚級会合についてご説明申し上げます。

 閣僚級会合には、中川大臣が参加をいたしまして、各国ステートメントの1番目として、我が国の水銀対策に対する決意等を表明をいたしました。このほか、一番下でございますが、水俣市から水俣病患者の坂本しのぶさん、そして西田水俣市長等々、多くの方が実際にジュネーブに足をお運びいただきまして、そして特別なイベントが行われるなど、今回の会議は比較的日本のプレゼンスというか、日本の取組というものがハイライトされた会合でございました。

 引き続きまして、最後、今後の予定でございます。引き続き、我々といたしましては、一番最初にありますような廃棄物であるとか水銀モニタリングといった、我々が強みを有する分野について条約のルールづくりを貢献してまいります。

 あと、あわせて途上国の条約の参加と、そして参加をしている国の履行を支援するための支援も引き続き実施してまいります。

 第2回会合は、来年、同じ場所、11月にジュネーブで開催をされる予定です。以上でございます。

○瀧口環境安全課長 はい、続きまして、資料6になります。通し番号で、63ページ、「化学物質の内分泌かく乱作用に関する今後の対応-EXTEND2016-」に基づく取組についてということで、ご説明をさせていただきます。

 前回、6月の環境保健部会でも報告をさせていただきましたので、前回から進展があった部分を中心に報告をさせていただきます。

 この化学物質の内分泌かく乱作用に関する今後の対応ということで、EXTEND2016をまとめておりまして、これまでの経緯、これが2ページ目に書いてございます。

 そして3ページ目にこのEXTEND2016の基本的な考え方、これも前回の部会でご説明をしたところでありまして、生態系への影響について優先的に取り組んでいくということで、この3ページ目の最後になりますけれども、化学物質の内分泌かく乱作用に関する検討会において、物質の作用、影響評価等に関する実務的な検討を行い、その結果を定期的に中環審の環境保健部会に報告すると、その意見を踏まえて事業を進めるということになっております。

 次、4ページ目、全体の66ページ目に、EXTEND2016における取組の概念図ということで、まず、試験法の開発、作用・影響評価を実施して、環境中濃度を実態把握をして、そこから有害性評価とばく露評価、これをもとにリスク評価、リスク管理に進んでいくという、こういう概念図になっております。

 次の5ページ目、全体の67ページ目ですけれども、内分泌かく乱作用の有害性評価の枠組みということで、この場合は、生殖に及ぼす影響ということで、このフローチャートを示しております。内分泌かく乱作用に関する試験対象となり得る物質というものをまず選定をして、そこから試験管内試験、生物試験、その後第2段階に進むというような形で進めております。

 次が6ページ目になりますけれども、全体の68ページ目になります。試験評価の進展ということで、前回からの進展した部分を中心に説明をさせていただきますと、まず、これまでに検討対象物質として175物質を選定しております。前回が157でしたので、少し増えたということで、そのうち148物質について既存知見の信頼性評価を実施し、106物質を「内分泌かく乱作用に関する試験対象物質となり得る物質」ということにしております。この106物質、前回は94でしたので、12ほど増えたということであります。そして、この106物質に対しまして、そのうち66物質を対象として、これまで169項目の試験を実施しております。うち試験結果が陽性であったものは25物質でありまして、そのうち15物質については、メダカを用いた魚類の短期繁殖試験を実施しまして、8物質についてエストロゲン様作用を確認し、1物質については抗エストロゲン様作用を確認しております。また13物質についてメダカの産卵数の減少を確認しております。

 さらにその先の第2段階試験について、平成27年度は4-ノニルフェノール(分岐型)、28年度はビスフェノールAを対象として、メダカ拡張1世代繁殖試験というものを実施しております。

 次のところ、これも前回部会でご報告させていただいたところですが、平成27年度に実施した4-ノニルフェノール(分岐型)の試験結果について、この物質がメダカに対してエストロゲン様作用を示すこと、及びメダカの繁殖に対する有害性を示すことを確認しております。

 ここまで前回も報告させていただきましたけれども、前回の報告させていただいた内容から1点修正させていただきたいところがございまして、このOECDの統計手法等に沿って再度点検した結果、繁殖に及ぼす最低影響濃度は1.27μg/Lだということになりました。前回では、「繁殖に及ぼす無影響濃度を2.95μg/L」となっておりましたので、その点を修正させていただきたいと思います。

 次の7ページ目に4-ノニルフェノールの試験結果を抜粋しております。

 このページの2のF1世代というところの、例えば受精卵数や受精率のところを見ていただけますでしょうか。受精卵数のところ、すみません、総産卵数や受精卵数のところを見ていただきますと、このアスタリスク、米印がついていますところを見ていただくと、平均濃度実測値の1.27μg/Lのところまでついているということで、影響が見られるということであります。

 次のページ。この内分泌かく乱作用に関しましては、イギリス、そしてアメリカと引き続き協力を実施しておるところであります。

 また、欧州あるいはこの米国等での最近の動きをまとめてみましたのが次のページになります。

 まず欧州におきましては、植物保護剤製品、いわゆる農薬でありますけれども、農薬、それから殺生物製品、これはいわゆる家庭用の殺虫剤のようなものですが、これらに関して、規制の対象とすべき内分泌かく乱物質について、これらを同定するためのクライテリアについて数年来議論されてまいりましたけれども、植物保護製品のクライテリアが今年の7月に欧州委員会で採択されましたが、10月の欧州議会では否決をされております。

 一方、殺生物製品のほうは9月に欧州委員会で採択され、こちらは11月に議会を通過したということであります。

 また、内分泌かく乱作用を有する植物保護製品や殺生物製品を特定する方法に係るガイダンスにつきまして、欧州化学品庁と欧州食品安全機関がドラフトを作成しまして、今月からパブリックコメントを受け付けているところです。

 また、いわゆるEUのREACH規制におきましては、高懸念物質ということで、その要件の一つとして、内分泌かく乱作用を有する物質を挙げておりまして、これに選定された物質は、現在ノニルフェノール等11物質ございます。このSVHC、この高懸念物質のうち、認可対象とされた物質は、原則として製造、輸入及び使用が禁止され、これらを行う場合には認可を受けることが必要になりますが、11物質のうち2物質が認可対象として指定されておりまして、上市の禁止日が2021年1月4日と設定されております。

 もう一つ、アメリカのほうでありますけれども、アメリカは、この内分泌かく乱物質のスクリーニングプログラムということで取組を進めております。特に農薬及び飲料水中の汚染化学物質のスクリーニングが目的でありまして、方法としては2段階の試験体系ということで、Tier1のスクリーニングとTier2のテストということで、ここにあるように進めております。これまでに、Tier1のスクリーニングの対象として、2009年に第1次リストとして67物質、2013年に第2次リストとして109物質が提示されております。うち、第1リストのほうについて、67物質のうち、以降農薬の登録が外れたような物質を除きまして、52物質について、評価結果が2015年6月に公開されております。その評価の結果、その次の段階のTier2テストに進む候補として18物質が選定をされているというところであります。このアメリカのスクリーニングプログラムで得られた有害性に係る知見については、他の知見も含めて対象物質のリスク評価(有害性評価及びばく露評価)を行い、リスク管理に関する決定がされるということになっております。

 以上になります。

○岡田部会長 はい、ありがとうございました。まだ続くんですが、一旦ここで区切らせていただきまして、ただいまご報告いただきました化学物質審査規制法、それから水銀の水俣条約、ただいまの化学物質の内分泌かく乱作用に関する検討状況というところまでで、何かご質問、ご意見等がございましたら承りたいと思います。いかがでしょうか。

○鈴木委員 1点だけ。水銀の取組につきましては、条約実施への貢献としていただくことはぜひ進めていただきたいと思うんですが、追加で、これも認識されたことではありますが、水と土壌への放出についての推定というのは、今も進められているところではありますけれども、これが多分、恐らく技術的には、かなり大気に比べて不確実であるということは恐らく承知のところでありまして、トータルの量としては恐らく大気より少なそうな感じではありますが、水銀に関しては、水への放出は多分かなり直接的に人へのばく露に結びつく可能性もあると思いますので、その進行状況についても、行政のほうでもしっかりウオッチしていただければ、あるいは日本国内の対応についても引き続きご検討いただければという気がいたします。

○岡田部会長 はい、事務局のほうでよろしいですね、今の件は。

 じゃあ、崎田委員、どうぞ。

○崎田委員 ありがとうございます。2点ほど質問させていただきたいんですが、資料4のところの化学物質なのですが、POPs条約上の製造・輸入禁止物質2物質に関してご報告がありましたけれども、この2物質、今、日本の中で輸入がされているという実態があるのか、もうないような物質なのか、そこだけ確認をさせていただければと思います。

 もう一つは、6番目のEXTEND2016で、内分泌かく乱に関する高懸念物質に関していろいろとご報告、状況などをご報告いただきましたけれども、今、日本の中での検討状況はどういうふうに進めていこうとされているか、直近の状況を教えていただければありがたい。よろしくお願いいたします。

○岡田部会長 じゃあ事務局、お願いします。

○新田化学物質審査室長 失礼しました。まず、デカブロモジフェニルエーテルと短鎖塩素化パラフィンですけれども、製造・輸入の実態、平成27年度まではございました。量はどんどん徐々に減ってきている状況でございます。今回はこれに指定されたので、これが全てなくなるということになります。

○瀧口環境安全課長 また、この内分泌かく乱物質に関しましてご質問をいただきました。今ご質問いただいた高懸念物質といいますのは、EUのREACHの枠組みのもとでの物質でありますけれども、日本におきましても、先ほどご紹介しましたように、この試験等を進めておりまして、その結果を踏まえて、今後リスク評価の枠組みということで進めていきたいと思います。その中で政策についても取り入れていくということで検討していきたいと思っております。

○岡田部会長 ありがとうございました。よろしいですね。

 それでは、次の3報告に進ませていただきます。じゃあ続けてお願いいたします。

○重藤国立水俣病総合研究センター所長 国立水俣病総合研究センターの所長の重藤でございます。資料の7、全体の73ページ、環境省国立水俣病総合研究センターの資料に基づきまして、ご説明をさせていただきます。

 1枚スクロールいただいて、国立水俣病総合研究センターの概要というところでございます。上のほうに年表がございます。その中で、水俣病研究センター、1978年に設立ということで、来年がちょうど40周年ということでございます。それ以来、40年間、我々、水俣病に関する研究を深めてまいりましたと。

 右側のほうに組織・体制でございますけれども、4研究部で研究を進めておりまして、今現在、職員数が28名、それから期間業務職員32名、非常勤職員18名というような体制で研究に取り組んでいるというところでございます。

 1枚めくっていただいて、調査・研究の推進体制というところでございます。国水研の取り組むべき調査・研究ということで、プロジェクト型研究、基盤研究とございまして、研究体制、それぞれそこに書いてあります六つのグループで研究をしております。

 次のページから、どのような研究をしているかというところで、最近取り組んでおりますものについて、若干かいつまんでご説明をさせていただきたいと思います。

 まず臨床関係でございます。新たな診断手法・治療法の開発というところでございます。上のほうに書いてありますのは、脳磁計、脳の磁場、磁気を測定をする機械を用いて、新たな診断手法が開発できないかというような研究に取り組んでおります。それは電気刺激を手首のところに与えまして、その刺激が脳に伝わって、脳で磁場がどういうふうに変化するのかというところを、脳磁計、MEGという機械を用いて測定いたします。そうすると、右側のほうに書いてありますように、通常の波形は黒波形のような波形を捉えられるんでありますけれども、水俣病患者さんについては赤いような特徴的な、ピークが黒のようには現れない、特徴的な波形を示しております。これが本当に診断に足り得るかどうかというようなところを、今後検証をしていきたいというところでございます。

 それから、磁気刺激装置を用いた治療法の開発、下のところにもございますけれども、これは左の下の写真をご覧いただきたいと思いますけれども、頭のところに磁場を与える、磁気で脳の特定の部位を刺激する装置でありますが、これで例えば3カ月間、週に二、三回治療をいたしますと、そこにありますように、歩行がよろよろしか歩けなかった方がちゃんと歩けるようになるとか、それから、ペンで円を描いてくれというような試験をしますと、治療前ですとなかなか真っすぐに線が描けないのでございますけれども、3カ月後、きれいな線が描けるようになる。それからそのときの脳の磁場の、脳の活動状況を、ファンクションMRIという新しい機械で脳の活動を測定しますと、前のほうは左右、大体運動しますと左右のネットワークが脳があって、右も左も両方活動していいはずなんですが、水俣病患者さん、特に手足のしびれとか痛みを感じるような患者さんでありますと、左右不対象な形でしか活動しませんけれども、治療をいたしますと、赤くなっているところが活動しているところでありますが、左右均衡に脳が活動するようになるというような治療効果が認められたということで、今後新たにさらに症例を集めて、こうした治療法が本当に効くのではないかということを検証を進めてまいりたいというふうに考えております。

 それから次のページ、5ページでございますけれども、ロボットスーツHALを活用したリハビリテーションということにも取り組んでおります。それはどういうものかといいますと、ロボットスーツHALというものがございます。これは右側の上のほうに写真がございますけれども、体を動かそうというときに流れる、神経に沿って流れる、そういう電気刺激を信号として捉えまして、意図に沿って体をアシストするというロボットでございますが、アシストロボットでございますが、これをリハビリテーション、なかなか歩けなくて車椅子生活になっている方にこれを装着していただいて、立って歩行訓練をするということによってリハビリの効果を上げようというようなリハビリテーションの研究的、臨床的な研究活動もやっております。

 それから次のページ、6ページでございます。メチル水銀の胎児影響に関する研究の中で、最近わかったこととしまして、鯨とかマグロは体内の水銀濃度が高いということで、かなり新聞紙上等、マスコミ等でもかなり報道されておりますが、ただ、メチル水銀濃度が高くても、鯨やマグロは健康に泳いでいるわけでございます。これはなぜなのかというふうに調べたところ、左のほうにありますように、部位で、水銀のある組織のところの点なところがありますけれども、セレンという物質がありまして、同じところにセレンという物質が水銀と同じところに体内に存在すると、組織的に。それはどういうことかというと、セレンと水銀が組み合ったような形で水銀が安定化しているというようなことを捕まえまして、水銀の毒性をセレンが防御するということがだんだんわかってまいりました。

 ところが、胎児のことで水銀とセレンの濃度を調べますと、下の右のほうにありますように、母体、胎児がありますけれども、母体血と胎児の血液を比較しますと、母体血のほうに水銀濃度が低いんでありますが、胎児血が高い。それから、逆に防御するはずのセレンでありますけれども、母体血に比べて胎児血が少ないということで、胎児については、ちょっと水銀に対する体のセンシティビティが高いのではないかというようなことで、さらなる研究を進めようということで取り組んでいくということとしております。

 それから、7ページをご覧いただきたいと思います。水銀安定同位体比測定の活用ということでございます。理系じゃない方はちょっと難しいかもしれませんけれども、原子、それぞれの物質の中で同じ物質であっても重さが異なる、中性子の数が多少違いますので、重さが異なる原子、物質が、同じ物質であってもあるということでございます。水銀については、そこの真ん中のところにちょっとありますけれども、自然界には七つの水銀安定同位体が存在ということで、同じ水銀と一口で言っても微妙に重さが異なる7種類の水銀がございます。そうした微妙に重さが異なるその水銀を測定をするというところで、それはそれぞれの水銀の発生場所によって重さが異なる水銀の比率が違ってきます。そうしますとどうなるかと言いますと、それの重さが微妙に異なる重さの違いの比率を調べることによって、あるところで測定をした水銀がどこ由来なのかと。ある意味、水銀の指紋というようなものを測定できるということで、例えば日本で例えば水銀濃度が高いというようなところが測定しまして、それはどこから来たのかというようなところを明らかにできるというような可能性があるということで、そういう研究を始めようとしております。

 この微妙な重さの違いを調べるためには、かなり高度な機械が必要でございますけれども、その機械も、前年度導入をいたしまして、測定する体制を今整えているというところでございます。

 それから、8ページをご覧いただきたいというふうに思います。国際貢献についても、国水研で鋭意取り組んでいるというところでございます、

 右側のところをちょっとご覧いただきたいのでありますけれども、途上国では、まだまだ合法、非合法問わず、とれた鉱石を、アマルガム法というやり方、つまり、水銀の中に金を重合させて、その後で、右側でありますように、そうした重合させたアマルガムというような、水銀と金と合わさったものについて、水銀を熱で蒸発させてしまって金を残すというような製法で金を生成しているというような、古来からずっと使われている金の製法を、簡便でありますので使っているという現状がございます。こういったことで、発展途上国の鉱山では、かなりそうした水銀が使われているのではないかということで、現在でもなお問題になっているということでございます。

 そうしたことで、我々職員が、水銀に特化した世界で唯一の研究期間として、現地に研究員を派遣して、現地の研究機関という中で、そうした対策を一緒になって練っていると。測定の技術を教えたり、さまざまな対応について教えてきているということでございます。

 これまで、そこの右側の8ページの右下のように世界地図がありますけれども、赤星印というような地区が、これまで我々が介入をして、現地で研究機関と協働でそうした研究をして、そうした我々の手法を教えてきた主なポイントがその赤印でございます。例えばニカラグア、ブラジル、モンゴル、インドネシア、カザフスタン、その他諸国でありますが、そうした研究活動をやっておりまして、水俣病の条約の締結を受けまして、さらに国際貢献を果たしてまいりたいというふうに考えております。

 それから9ページをご覧いただきたいと思います。水俣病発生地域との協働による福祉活動ということで、現地の水俣市の社協、それからちょっと南部になりますが、鹿児島県の出水市なんかの社協と協働で、さまざまな健康福祉事業というようなものをタイアップしまして、一緒になって活動をしているということでございます。

 それから10ページをご覧いただきたいというふうに思います。さらに踏み込んで、地域創生に向けたビジョンの創出ということで、水俣市と包括的連携協定というものを、平成27年2月に結びまして、今後行政機関としてこうした研究の成果を活用していただく、もしくは我々の専門家としてのそうした研究員、それからいろいろ行政官もおりますので、そうした者たちが、市に対していろいろなさまざまな行政施策を協力してやっていこうということで、水俣市への政策提言というようなものも提案をしてございます。

 以上、我々、一生懸命これまで取り組んでまいりました。今後ともさらに研究を深めて、水俣病の方々、それから地域の方々の福利厚生に貢献していきたいというふうに考えております。

 以上でございます。

○前田放射線健康管理担当参事官 続きまして、放射線健康管理担当参事官の前田でございます。通しページ84ページ、資料8に沿って説明させていただきます。

 6月の部会でも一部この内容につきましてはご報告いたしましたので、それ以降の新しい情報を中心に説明させていただきたいと思います。

 まずこの2枚目のスライドでございますが、福島県における住民の健康管理等に係る取組ということで、平成23年度に782億円の交付金を拠出して、福島県民健康管理基金という基金を用いて、福島県において県民健康調査、そして安心リスクコミュニケーション事業が行われてございます。そしてその他の支援事業といたしまして、放射線健康管理・健康不安対策事業、そして県民健康管理調査支援のための人材育成事業、どちらも行ってございますが、平成30年度の予算におきましても、必要な予算を現在要求中というところでございまして、現在、最終段階に来ているという段階でございます。

 続きまして、3ページ目でございます。こちら、福島県における甲状腺検査ということでございますが、こちらも事故当時、概ね18歳以下だった県民の方、そしてその本格検査に入りましてからは、事故当時、胎児だった方も含めた検査ということでございます。ですので、今、もう事故から6年9カ月がたったところでございますが、この対象の年代が5歳から25歳というふうな形になってきているということで、後ほどの県外検査の話にもつながるというところでございます。

 そして次の4ページ目でございますが、こちらが一巡目、二巡目の確定値、そして三巡目の暫定値というところでございます。その一次検査の受診率が81.7%、二次検査の受診率が71.0%、そして三巡目の検査の受診率が41.1%と、この三巡目はまだ途中段階ということで、これからもっと数字は伸びてくると思います。

 この一巡目の受診者、30万473人中、福島県の外、福島県外で受診された方が9,511名ということで、およそ3%でございました。二巡目のこの27万516人のうち、1万5,647人ということで、およそ6%の方が県外で受診と。そしてそのうち、宮城、東京、神奈川におきましては1,000人以上の方が受診されているということでございます。そして三巡目が13万8,422人という受診者数でございますが、そのうち8,410名、6%、若干調査時点の違い1カ月ほどあるという点はございますが、概ね6%の方が県の外で受診ということでございます。

 そういったことで、昨年の7月のこの部会でも、崎田委員からご指摘いただきました、福島県の外に就職とか進学で移住された方に対するこの検査をどのように継続的に受診していただくかということが大きな課題となってございます。そして現在、福島県の外の46都道府県全てに、108の医療機関におきまして、この甲状腺検査が受けられるという体制を整備しているところでございます。

 そしてこの背景ですが、先ほど申し上げましたが、福島県外に居住する甲状腺検査の対象者数が増加することが予想されていると。そして甲状腺検査の理解の促進と県外検査実施機関の拡充が急務ということで、目的としまして、この県外検査実施機関になることを考えている医療機関の担当者に対して、連絡調整会議を実施すると。そして意見交換を行うことで、甲状腺検査についての福島県外の医療機関の理解の促進を図るというふうなこの会議を、今年度4回実施することといたしまして、既に大阪で2回、東京で1回開催し、来年の1月7日には仙台で1回開催する予定といたしてございます。

 そしてその次の6ページ目でございます。こちらがリスクコミュニケーション事業ということでございますが、最近も三菱総研などのデータも公表されておりますが、東京と福島の方に対してアンケート調査した結果、大分認識がずれていると。例えば福島県の食べ物を積極的に食べて買っているとか、ほかの人に勧めているという人の割合が、東京だと15%程度なんですが、福島だと30%程度というふうな違いが出てきているということがございます。ですので、その福島県の外、こちらのコミュニケーションにつきましても、福島県の外の方の対応ということも重視していく必要があるということも考えてございます。

 また、その福島県の中の対応といたしましては、8月に相談員実務者会合というものを開きました。その中での相談の状況として、放射性に関する不安はなくなっていないということですとか、住民の生活の課題の奥に放射線の話があるということで、今まで以上に住民への相談対応が難しくなってきているというふうなのが現状でございます。

 そして、その次が住民セミナーとか、職員研修の7ページ目の資料でございますが、そういったニーズの増加もございますし、あと、今年の3月末から4月にかけまして、川俣町、浪江町、飯舘村、そして富岡町の避難指示が解除されたということもございまして、この住民セミナーですとか自治体要望対応研修の実績が、11月の時点で既に昨年度の1.8倍まで到達しているというのが7枚目でございます、

 そして8枚目でございますが、今後の放射線教育に関する意見交換についてということで、まず放射線教育、小学校、中学校、高校の行われている教育の内容をもう少し強化していく必要があるということで、政府の風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略というものが、12月12日に関係府省の局長級の会合でまとめられてございます。その中のテーマが、知ってもらう、食べてもらう、来てもらうという意味で、その知ってもらうという中でこの放射線教育が重視されてございまして、この渋谷ですとか福島での放射線教育についてのパネルディスカッションセミナーを開催してございます。

 そして次の10枚目のスライドですが、来てもらう、食べてもらうという点でいきますと、この環境省全体での連携施策といたしまして、新宿御苑という環境省のフィールドを用いて福島県の木戸川の絵がちょうど真ん中にありますが、木戸川のサケの試食ですとか、そういったものを通じて食べてもらうということと、楢葉米の収穫体験、そして木戸川上流のツアー、そしてサケの遡上見学ツアー、ふくしまみちさがしツアーという形での、来てもらうという取組を重視してやってございます。

 そしてその写真の状況が11枚目でございます。こちらが新宿御苑のイベント、9月30日、10月1日、11月11日、11月12日ということで、木戸川の漁業協同組合の方にも来ていただきまして、取組の紹介ですとかトークショー、そして木戸川のサケの遡上見学ツアーなども行ったというところでございまして、そういったところが主な新しい点でございます。

 以下、参考として、暮らしの手引きにつきましてもこちら非常に好評ということで、相談員の方々に研修を通じて広めているところでございます。

 そして相談員支援センターにつきましても、崎田委員に運営委員会の委員長を務めていただいていますが、今年度もかなり活動が活発になってきているというところでございます。

 そして人材の育成といたしましても、自治体要望対応研修などに取り組んでございます。そして住民の理解増進として、住民セミナー、車座集会などもやってございます。

 それから16枚目のスライドで、被ばく線量把握事業のご紹介をさせていただいております。先ほど、4町村の避難指示の解除ということに伴いまして、この26年から28年度、右下のデータですが、外部被ばくの測定数が436となってございますが、今年度11月末現在で、既に596人が外部被ばくの測定をされています。そして内部被ばくも、この3年間で614ですが、今年度途中段階で1,051人ということで、浪江町とか富岡町などのニーズが非常に高くなってきてございまして、こういった形で線量を把握してもらうことで健康不安を取り除くと、そういった取組を現在進めているところでございます。

 説明は以上でございます。

○山田計画官 それでは続きまして、第五次環境基本計画につきましてご説明させていただきたいと思います。私、環境保健部ではなくて、総合環境政策統括官グループ環境計画課で計画官をしております山田と申します。よろしくお願いいたします。

 資料の9-1と9-2になりますが、主に資料9-2で説明させていただきたいと思います。通しページの108ページをご覧いただければと思います。

 この資料9-1と9-2は、環境保健部会のクレジットになっておりますが、実は12月11日に総合政策部会におきまして、総合政策部会として説明した資料と同じでございます。本日は総合政策部会の事務局としまして、第五次環境基本計画の検討状況についてご報告させていただきたいと思います。

 環境基本計画は、現在、第四次まで改定が進んでおります。第四次計画は平成24年に策定されました。第四次計画の見直しについて、本年2月に環境大臣より諮問があり、現在、第五次計画の策定中でございます。第五次計画は来年の春ごろに取りまとめ、閣議決定することを目指しております。

 総合政策部会と各部会との関係についてでございます。第四次計画では、重点分野の本文は各部会事務局が作成をいたしまして、総合政策部会でそれを合体させていたという状況でした。第五次計画では、計画の統一性も考慮いたしまして、各部会事務局から情報を得た上で、総合政策部会で文案を作成しているという状況でございます。そのため、今回、各部会へご報告をしているという状況です。

 環境基本計画の点検についてでございます。まずは、各部会で担当部分を点検し、それらを総合政策部会に報告し、総合政策部会が全体を見ながら点検をするという方法で行いたいというふうに考えております。

 では、資料9-2をざっとご説明させていただきたいと思います。

 下のページ1、通しページだと109ページになります。

 我が国が抱える環境・経済・社会の課題ということですが、環境の課題につきましても、温室効果ガス大幅排出削減ですとか、資源の有効利用、森林・里地里山の荒廃、野生鳥獣被害、生物多様性の保全など、多岐にわたる課題がございます。経済につきましても、地域経済の疲弊、新興国との国際競争、AI、IoT等の技術革新への対応などございます。社会の課題も深刻でございまして、少子高齢化・人口減少、働き方改革、巨大災害への備えなど等ございます。そして、これら環境・経済・社会の課題は、それぞれ相互に連関・複雑化をしているという状況であると認識をしておりまして、環境・経済・社会の統合的向上が求められるというふうに理解しております。

 次のページは国際的な動きですが、ご案内のとおり、SDGsですとかパリ協定が2015年に今採択されたという状況の中で、これらの目標を達成するためには、これまでの対策の延長ではなく、環境・経済・社会をともに変えていき、持続可能な社会を目指すことが必要であるというふうに考えております。

 その次のページです。第五次環境基本計画の基本的方向性ということですが、目指すべきものとして三つございます。地域循環共生圏の創造ということで、自立・分散型の社会、そして地域どうしの支え合いということを考えております。

 二つ目が世界の範となる日本の確立ということで、公害を克服した歴史、高い環境技術、「もったいない」などの循環の精神や自然と共生する伝統を有する我が国だからこそできることがあるというふうに考えております。

 三つ目で、これらを通じました真に持続可能な循環共生型社会、いわば環境・生命文明社会を実現していくということでございます。

 地域循環共生圏につきましては、このページの右上の部分に図示されてございます。地域はその特性を生かした強みを発揮し、地域ごとに異なる資源が循環する自立・分散型の社会を形成しつつ、それぞれの地域の特性に応じて補完し支え合うという概念でございます。

 下半分です。取り組むべきことといたしまして、三つ考えております。

 SDGsの考え方を活用し、環境・経済・社会の統合的向上を具体化ということでございまして、これをしていくために、分野横断的な六つの重点戦略を設定していきたいというふうに考えております。

 二つ目、あらゆる関係者と連携ということで、環境・経済・社会の統合的向上を達成するためには、環境の関係者だけではなく、経済・社会の関係者ともパートナーシップを充実・強化させることが必要であると考えております。

 三つ目ですが、地方部の地域資源を持続可能な形で最大限活用し、経済・社会活動を向上ということで、環境で地方を元気にということをキーワードとしていきたいというふうに考えております。

 その次のページです。第五次計画における施策の展開の方向性ということで、先ほど申し上げました六つの重点戦略について説明してございます。

 経済、国土、地域、暮らし、技術、国際とございますが、この環境保健部会の関係で言いますと、④番の暮らしの一番最後の丸です。安全・安心な暮らしの基盤となる水・大気など良好な環境の保全と。これは水・大気とございますが、化学物質なども関係してございます。

 その下の6の国際ですけれど、こちらの国際的なルールづくりの積極的関与・貢献、「課題解決先進国」として海外における「持続可能な社会」の構築支援ということで、こちらも主に化学物質関係で関係がございます。

 その次のページが、重点戦略を支える環境政策ということで、環境政策の根幹となる環境保全の取組は揺るぎなく着実に推進ということで、幾つか書かれております。

 上から四つ目のところに、環境リスクの管理等の基盤的な施策とございまして、ここに化学物質管理、環境保健対策を位置づけてございます。

 その下、東日本大震災からの復興・創生及び今後の大規模市外発災時の対応ということで、この中に、放射線に係る住民の健康管理、健康不安対策を位置づけてございます。

 ちょっと戻りますが、資料9-1、通し番号で言うと102ページになります。

 こちらも、この資料9-2をさらに細かく説明したものでございますが、主に環境保健部会関係で申し上げますと2ページ、通し番号の103ページになりますが、上のほうに、第2章と書いてあるものの上にパートナーシップの充実・強化というものがございます。こちらに例示として、リスクコミュニケーションが挙げられるかというふうに考えてございます。

 また、その次のページ、3ページになりますが、ここに、先ほど申し上げました健康で心豊かな暮らしの実現ということで、さらに次の4ページに行きますが、(3)番で、安全・安心な暮らしの基盤となる良好な生活環境の保全、この中に、化学物質のライフサイクル全体での包括的管理というものを位置づけたいと考えております。

 さらにその下ですが、6.国際貢献による我が国のリーダーシップの発揮と戦略的パートナーシップの構築のところですが、(1)国際的なルールづくりへの積極的関与・貢献、(2)海外における持続可能な社会の構築支援というところで、化学物質関係が位置づけられるというふうに考えてございます。

 それから、その次のページですが、第3章、重点戦略を支える環境政策の展開のところで、4.環境リスクの管理等の基盤的な施策とございます。この中の(2)化学物質管理、(3)環境保健対策が環境保健部会の関係であるということです。

 その次の6ページ、通し番号107ページになりますが、東日本大震災からの復興ですが、この(1)の③に、リスクコミュニケーション等を通じた放射線に係る住民の健康管理・健康不安対策というふうに位置づけたいと考えてございます。

 最後に、環境保全施策の体系というところで全体を位置づけようというふうに考えてございます。

 説明は以上でございます。

○岡田部会長 どうもありがとうございました。それでは、ただいまご説明いただいた内容につきまして、ご意見、ご質問等がございましたら、名札を立てていただければと思います。

 じゃあ、向こうから、浅野委員からですね。どうぞ順番に。先に一通りご質問、ご意見をいただいてから、まとめて事務局からお答えをいただければと思います。

○浅野委員 国水研の報告をいただいて、ありがとうございます。この部会であまり国水研のことについて十分な報告が行われていませんので、ぜひお願いしたいと思っておりました。今日はいい機会だったと思います。

 国の研究機関、ほとんどが独立行政法人に変わっているんですけれども、水俣病のこの研究所だけは独立法人にならずに、なお環境省の直営ということになっているのですが、これは大変特徴的なことでありまして、特に継続的に水俣湾のモニタリングをやるというような事業は、今の独法化の中ではどうしても競争資金を取ってこいということになって、それで長い間同じことを続けることがほとんどできないという状況になっているのですが、国水研は幸いにも国の直営であるものですから、それができるのです。ずっと情報を継続して集めているということが地域に対する大変大きな信頼醸成につながっているということが言えると思います。ですから、この点は研究機関としての役割ということもありますけれども、環境省の責任ということがあって、大変大きいということが、今日のご報告にはなかったのですけど、コメントしておきたいと思います。

 それから、社会科学の研究室は、もともとも橋本道夫先生が言い出されてできたもので、随分長い歴史を持っていますけれども、最近は社会科学の研究室が地域の振興のためになかなかいい仕事をしておられて、単なる研究活動というよりも、地域との取組の協働というような意味を持ってきていますので、これも研究所としての評価をするときにはなかなか微妙な面もあるですけれども、私は大いに評価すべきではないかと思っています。

 今日お願いをしたいと思って発言しているのは、やはり残念ながら環境保健部は訴訟をいっぱい抱え込んでいるのですけれども、昔の水俣病の病像とまるきり違う病像論を裁判所が平然と言うようになってきております。国水研が蓄積してきている知見とのずれが物すごく大きいのです。国水研で得ておられる知見というものを、統合的に整理するということはあまり行われていないのですけれども、伝統的に言われてきた水俣病の知見というものと、その後、研究所の研究の中でやられた知見というものと、一遍整理をして、どこまでは伝統的な知見と異なる議論がなり立ち得るのか、どこから先はかなり無理筋の議論になっているのかということを明らかにしていただくということは、なかなか対外的に発表する成果としてまとめることは難しいかもしれませんけれども、実際に環境保健部の業務担当者にとっては非常に重要なことだと思いますし、この辺の情報が十分に発信できないために、かなり裁判官が誤解の上にたった判決を出してしまっているのではないのかというようなことが気になっています。確かに内部の研究成果をうかがっておりますと、伝統的な知見だけではなかなか説明できない現象が起こっていることは間違いないので、そこをどこまでがこれまでと違うかということの整理が必要だなと思っておりましたので、ぜひ持ち帰っていただいてご検討いただければと思います。これはお答えをいただくというような性格ではありませんので、要望ということでお聞きいただければと思います。

○新美委員 どうもありがとうございます。私も国水研に対する質問なのですが、各事業というのは非常におもしろいのですけれども、国水研がやるという研究である場合に何をエンドポイントとしているのかというのはよくわからない。例えば、地域の福祉を増進するというけれども、これはどこまでやったら目標達成というのか、永遠にやるのか、その辺がよくわからないし、それからHALのようなケースも、技術としては非常におもしろいのですけれども、これをどんどん汎用化していきますと、これを国水研がどこまでやるのかというのが逆に心配になってくるわけで、そういったエンドポイントをどの辺に設定しているのかを、少しご説明いただければと思います。

○崎田委員 私は今、三つの分野で一つずつコメントを申し上げたいというふうに思っています。特に国水研の話は、今、先生方お二人からあったので、その前に、水俣条約のCOP1についてのご発表があったときに、ちょっと私申し上げなかったのですが、今回、実施されて、やはり患者の方のご参加の部分と、やはり制度のところへの貢献と両面があったと思います。日本はやはりそういうことをきちんとやり続けることが大事だと思いますので、ぜひしっかり取り組んでいただきたいなというふうに思います。

 特に制度に関しては、検討の段階で大気・水環境などの分野と、製品含有の問題と、あと排気のと、全体が連携をして、連携というか、それぞれが検討したけれども、全体の管理は連携してやるというような内部で取組を進めていただいたと思っておりますので、そういうことは環境省の中の仕組みつくりとしては初めてのことだったんではないかなと思いますので、そういう新しい取組としてきちんと国内でも運用する、あるいはそれをもとに海外でも貢献する、そういう形をしっかりと取り組んでいただき、それの状況を、PDCAをうまく内部で回していただいて、よりよい仕組みにしていただければありがたいなというふうに思っております。

 次が、先ほどの福島の対応なのですけれども、いろいろとやはり、福島県内でそのときにいろいろ経験された方、特に若いお母さんたちは非常に心配しておられるということもあって、非常に検査などをしっかりやっていただいて、県内あるいは県外に関して仕組みを広げているというお話がありました。大変ありがたいというふうに思っておりますので、そういうのを徹底していただければありがたいと思います。

 その後、やはりコミュニケーションに関して、私も今、関わらせていただいておりますけれども、やはり、多くの省庁、復興庁なり内閣府なり、多くのところが関連してやっておられますので、うまく連携しながら相乗効果を上げて、しっかりと、国がそういう政策をとっていることが地域の方の安心につながるように、しっかりと、ちょっとそこにタイムラグというか気持ちのラグがやはり常にあるわけですので、そこをしっかり考えながら広げていただき、地域の方の安心に貢献していただきたいというふうに切に願っています。ありがとうございます。

 最後の、環境基本計画に関してなんですけれども、やはり今回の新しい分野に関しては、化学物質あるいはリスクコミュニケーションが大事だということで、いろいろな分野に織り込んで話が入っていて、総合すると大変しっかりしているんですけれども、まとめてしっかり書いてあるというのは最後の基盤のところだということで、内容的には書いてある、量的にも書いてあるかもしれませんが、ぜひ今後、文章化していく中で、しっかりと全体に、特に化学物質に関して、割に弱いというか、そういう体質のお子さんも増えてきている時代ですので、社会の関心は高まっていると思いますので、内容をしっかり押さえながら取り組んでいただければありがたい、これはもうコメントです。よろしくお願いいたします。

○松永委員 ご説明どうもありがとうございます。私も2点、水俣病研究センターについてのお願いと、それから環境基本計画(案)についての意見を申し上げたいと思います。

 水俣病研究センターについては、きちっと研究進展しておられるということで、本当にすばらしい、敬意を表します。

 その上で、ささいな話なんですが、きちっと市民に理解をしてもらわなくちゃいけない、それは多分浅野先生がおっしゃったこととも共通するところだと思うのですが、理解をしていただくために、資料のつくり方として、できたら出典をきちっと入れておいていただきたいんです。治療法の開発とか、それから水銀とセレンの関連とかですね、ああいうのも論文として出ているのかとか、その前段階なのかとかいうようなところで、エビデンスのレベルというところが大分変わってきます。そういうことをきちっと市民に伝えるということを積み重ねるというのが大事ですし、この資料をもとにして市民がさらに調べていくという意味でも、やっぱり出典がきちっと、小さくでいいですので添えられていたほうがいいと思いますので、研究所の資料のつくり方として、そこをちょっと配慮していただけたらいいなということを思いました。これはお願いでございます。

 それから、環境基本計画(案)なのですが、これは12日だったかの土壌農薬部会でもご説明があって、そのときは事前説明がなかったものですから、初めて見て、ちょっとびっくりして、発言できないというか、前の経緯を知りたかったものですから発言を差し控えたというところがあります。で、申し訳ないのですが、今日お話させていただきます。

 これは、科学コミュニケーションというところにも関わってくる、適切な情報の理解というところにも関わってくると思いますので、ちょっと申し上げたいのですが、素案のほうの4ページ目の上のほうに、森里川海とつながるライフスタイルの変革というところの中に、地産地消、オーガニック農業、エシカル消費の推進というのがあるんですね。オーガニック、有機農業なんですが、第四次の計画では生物多様性の文脈で書かれていました。今回は、生物多様性の文脈ではないんですね。生物多様性の文脈では、農薬等のインパクトがないということで、有機農業推進という位置づけでもいいかと思うんですけれども、これはライフスタイルの変革で、消費者にも、これいいよ、買ってよというような文脈で読まれてしまうんだろうというふうに思います。オーガニック有機農業が、果たして本当に環境影響が低いのかどうかというのは、いろいろ意見があるところです。生物多様性という文脈ではいいかもしれない。だけど、CO2の排出、エネルギーの消費、ライフサイクルアセスメントですね、その辺りになると意見がさまざまあります。具体的に言うと、除草剤を使っちゃいけないということで、有機農業の場合には機械除草、機械で除草するということをしたりするんですけれども、除草剤を使うのと、機械除草でばんばんエネルギーを使ってCO2を排出するのと、どうなのかということは言えない、なかなかそんなにはっきり使わないほうが環境にいいですよということは言えないわけですね。ということの議論が大分出てきています。文献でも、国内外ありますので、そういう文献をちょっと調べていただきたいなと。

 それとオーガニックは、もう一つ大きな問題は、遺伝子組み換えです。オーガニックは遺伝子組み換えは技術として使っちゃいけないというふうになっていますが、遺伝子組み換えは安全性と環境影響とを評価した上で、今、認可されて使われているものですので、環境影響がほかのものよりも大きいという根拠は多分ないんだと思うんですね。物によっては、害虫抵抗性作物とかは農薬を減らすというような評価も多いですし、CO2排出量が少ないというような、こういうものもかなり文献が出ています。環境に悪いから遺伝子組み換えを避けたほうがいいというのは、科学的な根拠はないというふうに思います。オーガニック農業というのは、多分農業の選択肢の一つなので、信念・信条の話、要素というのが相当にかかっているわけです。それが環境基本計画に入ってくる、しかも健康で心豊かな暮らしという消費者向けのところで、健康という根拠もないのに入ってくるというのが、やはりちょっと疑問を持たざるを得ないんですね。

 非常に細かい指摘なんですが、こういうことの一つ一つが消費者にこちらのほうがいいですよと、こちらを買ったほうがいいですよというふうに誤解される可能性がありますので、コミュニケーションという観点からも、これから多分いろんな関係省庁とも協議された上でつくっていかれると思うんですけれども、多分細かいところでいろいろ出てくると思いますので、あくまでもエビデンスファクトベースでご検討いただければいいなということを思います。

 すみません、ちょっと長くなりました。以上です。

○岡田部会長 ありがとうございました。じゃあ順番に事務局から、所長からどうぞ。

○重藤国立水俣病総合研究センター所長 いろいろご希望、それからご要望、いろいろいただきまして、本当にどうもありがとうございました。それではまず、お答えすべき項目についてまずお答えさせていただきます。

 研究のエンドポイントということでございます。研究のエンドポイントということにつきましては、研究の中身についてそれぞれ違ってくるんだろうというふうに思います。例えば、臨床部門の研究についてまず述べさせていただきます。

 臨床、例えばHALを用いたそうしたリハビリテーションでありますとか、磁気刺激装置を用いた痛みとかしびれの緩和策というような研究につきましては、一般リハビリテーションでも、HALも使われ始めております。それから磁気刺激装置についても、これは脳卒中の後遺症なんかの治療なんかにも、最近、ちょっとやり始められたんですが、まだまだその機械そのものが日本でもまだ数台しかないというようなものでございまして、まだ研究段階の、水俣病を問わず、一般の病気についても、まだまだ発展段階というか研究段階でございます。これが水俣病患者さんで有効性が示せて、なおかつ一般のその、そのほかの脳卒中でありますとかそういった後遺症にも有効であるということがわかれば、多分保険診療で取り上げられて今後いくであろうと。そうしたら、保険診療で取り上げられるようになれば、いずれの医療機関にかかってもそれは一般の医療として受けられるわけでございますので、臨床研究のほうのエンドポイントとしましては、水俣病患者さんで確認をされた効果、有効性について、一般のほかの疾病について、痛みとかしびれとかそういうような、そうしたものの一般的な病気でも保険診療に取り入れられた段階で、これはもう研究ではなくなると、一般化されたということで、これはもうエンドポイントであろうというふうに思います。

 それから、基礎研究、そもそもメチル水銀がどんな機序で脳を破壊して、どんなふうに脳の活動を潰していくのかというような根本的なところがまだ本当は、根本のところがわかってないで何をしているんだということでありますが、40年かかってもなかなかそこの科学的に突き止めるのがなかなか難しゅうございまして、なかなか難しい。でも、いろんなそこまでいく、中間段階についてさまざまなところで発見が見られ進んでいくということでありますので、そうした要するにシステムの全容解明というものがエンドポイントであろうと。これはなかなか、何をやっているんだ40年と言われるかもしれません。なかなかこれは難しいところでございまして、これは本当に今後力を込めて、本当にメチル水銀が、人体の中で、細胞の中でどういうふうにしてどんなふうにして壊していくのか、ここがわからないと。これがわかればもうおしまいである。これはなかなか道筋がまだまだ長いんじゃないかなというふうに考えております。

 それから、環境のモニタリング、水銀のモニタリングについては、これは今後、中国なんかでいろいろ水銀の発生がある、それは火山活動でも出てくる、海洋の火山でも出てくる、それからマグロ、鯨等でもある、それから鉱山があって、発展途上国では違法、非合法で活動もある。そうしたモニタリング活動については、これはちょっと続けていかざるを得ない。ただ、研究で深めるといった、先ほどの中でありましたように、重さの違いで調べる、比で捉えた新しい方法、つまり本当に、監視するのでも、おまえのところが原因だろうというふうに言えるような、痕跡がわかる装置を入れていまして、そういうその技術的に新しいものを入れて国際貢献をしていくということは、これは続けざるを得ないと。なおかつ日本で、日本ではない、世界でも水銀の名前がついた研究所はうち一つでありますので、うちが国際的にもかなりこうした貢献ができる一つの大きな分野であろうというふうに思います。

 それで、ただ、うちは職員数が少ないのでありますので、国際貢献といった場合には、うちのノウハウ、要するに、確立したノウハウについては、各国にそれぞれできるような形で育てていっていくと。うちらはそうしたモニタリング、先進的なことをやっていくと。モニタリングで普通の技術でできることは、もう発展途上国でやってもらうような技術移転を今後していくということで進めていくということで、モニタリングの新しい技術の開発と、こういうことについては、今後ともやっぱりやっていくべき中身であろうというふうに考えております。

 それから、地域貢献ということについては、我々、現場で、水俣でやっているということからすれば、やっぱり今後とも、エンドポイントということはなく、うちが活動している以上は地域の方々に研究内容を教えて協力を仰ぐというところは、ずっと続くのかなというようなことでございます。ですので、終わりが見えるところ、見えないところ、さまざまあるということを、毎年毎年きちっと、うちでも評価委員会がございますので、評価委員会でご評価いただいて、力の配分、これについては、時代の要請を含めて、段階的に、要するに整理縮小すべき分野、それから今後ともさらに発展していく分野というほうがございますので、そうしたものを外部評価委員に評価いただきながら、内部の研究者の動向も聞きながら、そうしたもので、重点配分については、今後ともきちっと整理してまいりたいというふうに考えて、そんなことで、ちょっと答えになっているかあれですが、なかなか整理というのはなかなか難しい、ただできる部分についてはきちっと整理縮小はしてまいりたいというふうに考えております。

○中尾環境保健企画管理課長 先に事務局が答えてしまったのですが、菅野先生が。

○岡田部会長 すみません、失礼しました。ちょっと見えなかったので。じゃあどうぞ。

○菅野委員 私、遅れて名札を立てたので、申し訳ありません。

 計画の、化学物質管理のところで、私も関わりが多いものでコメントさせていただくのですが、4番の「子ども」についてです。これ、「子ども」を挙げていただくのは非常に重要なことだと思います。エコチルでの調査で止まってしまっているのを、これをもうちょっと一般化して、研究も明記していただけたらいいんではないか、と思った次第です。

 以上です。

○岡田部会長 はい。じゃあ、引き続いて事務局から、どうぞ。

○前田放射線健康管理担当参事官 放射線健康管理担当参事官でございます。先ほど崎田委員からご要望、コメントがございました県外検査機関の拡充につきまして、こちらも、今年度4回、県外検査機関の調整会議を行いましたが、来年度はもう少し回数が増やせるように頑張っていきたいと思います。

 現在、108機関が県外検査、一次検査できるんですが、二次検査までできるところがまだまだ少ないということもございますので、二次検査もできる機関をまず増やしていくということと、それからまた新たに一次検査、二次検査できる機関をまず増やしていくこと、両方進めていきたいというふうに考えてございます。

 また、リスクコミュニケーションについての関係省庁との連携でございますが、来る12月27日の相談員合同ワークショップ、こちらにつきましては、内閣府の被災者生活支援チームと共同開催ということで行いたいと思ってございます。

 またこのリスクコミュニケーションの戦略につきましても、復興庁ですとか、あと原子力規制庁とも、意見を綿密に調整して策定してきたところでございます。その中で、支援センターですとか環境再生プラザについても役割をきちんと明記させていただいたということで、連携してやってございます。また、文部科学省の副読本につきましても、しょっちゅううちのほうに相談が来てございまして、文科省とも連携してやっていきたいというふうに思ってございます。

 それからあと、新宿御苑のイベントも、こちらも直前まで復興大臣が来られるかなというところまで復興庁と連携して進めてきたところでございますので、引き続き関係省庁と連携して取組を進めてまいりたいと思います。ありがとうございました。

○山田計画官 環境基本計画についてでございます。崎田委員、菅野委員からのコメントを頂戴いたしまして、ありがとうございます。よく保健部と連携させていただきたいというふうに思っております。

 あと、松永委員からコメントを頂戴いたしました、オーガニック農業のこの部分ですけれども、もともとこれは重点戦略に位置づけられているところですが、重点戦略と支える環境政策との関係ですが、全体としては、今までの生物多様性ですとか、その地球温暖化といったようなものは、重点戦略を支える環境政策に位置づけ、その中で、特に同時解決色が強いというか、マルチベネフィット的な要素があるといったものを重点戦略に位置づけるということで、今回整理をしております。

 その中で、このオーガニック農業というところでございますが、すみません、我々といたしましては、農薬を使わないということで環境負荷が低いのかなということで挙げさせていただいたものでございますが、ご指摘もいただきましたので、ちょっとよく勉強させていただいて、しっかり必要な記述にしていきたいというふうに思っております。ご指摘ありがとうございました。

○岡田部会長 ありがとうございました。それでは、ただいま事務局からご説明いただきましたが、何か追加でご質問。

○西前水銀対策推進室長 ごめんなさい、簡単に、崎田先生、ご指摘いただきありがとうございます。水銀に関する水俣条約、ライフサイクルにわたって管理をする、さまざまな措置があるということで、担保措置もさまざまな法律にわたってございます。ご指摘のとおりです。我々、省内、そして各省、そして海外との連携というものが非常に重要であること、そして、さまざまな知見の蓄積であるとか条約の議論を踏まえて、PDCAをきっちり回していくこと、このご指摘を踏まえまして、せっかくというか、水銀室も数年前に設置いただきましたので、我々がその起点となりまして、きちんと進めてまいりたいと思います。ありがとうございます。

○笠松環境リスク評価室長 菅野先生から、エコチル調査についてご指摘をいただきまして、ありがとうございます。エコチル調査につきましては、調査を実施していく中で、その成果を社会に還元をしていく、具体的には、学術論文として、科学的な成果として公表していくプラス、調査参加者を含めた一般の方々、すなわち社会へわかりやすく伝えていくということ、そういうフェーズにだんだん入ってきたのかなというふうに認識をしております。したがって、エコチル調査を実施してその成果を中長期的に社会に還元していくということだろうと思いますので、その辺り、ちょっと表現方法等は工夫したいと思います。ありがとうございます。

○岡田部会長 ありがとうございました。よろしいですか。

 ありがとうございました。たくさんのご意見、コメント、励ましの言葉等も委員の皆様方からいただきまいて、本当にありがとうございました。これらを参考にして、今後の環境保健行政を進めていただきますようお願いいたします。

 本日予定させていただいた議題はこれで以上でございますので、事務局にお返しいたします。

○中尾環境保健企画管理課長 本日は活発なご審議、また貴重なご意見を賜りまして、誠にありがとうございました。

 本日の議事録についてでございますけれども、冒頭申し上げましたとおり、原案を作成いたしまして、委員の皆様にご確認いただきまして、公表させていただきたいと思います。

 また、次回の日程につきましては、改めて調整させていただきます。

 以上で、第39回中央環境審議会環境保健部会を終了させていただきたいと思います。本日は誠にありがとうございました。どうもありがとうございました。

午前11時58分閉会