中央環境審議会環境保健部会(第36回)議事録

議事録

午前10時00分開会

○大森環境保健企画管理課長 では、定刻になりましたので、ただいまより第36回中央環境審議会環境保健部会を開催いたします。環境保健部環境保健企画管理課長の大森でございます。どうぞよろしくお願いいたします。議事の開始まで進行を務めさせていただきます。

 委員の皆様方におかれましては、ご多忙の折ご出席いただきまして、誠にありがとうございます。

 この会議は公開で開催いたします。また、議事に入ります前の冒頭のみカメラ撮影を許可ということになっております。

 傍聴いただいている方々には、傍聴券に記載させていただいておりますとおり、次の留意事項を守っていただけますようお願いいたします。1、静粛を旨とし、審議の妨害となるような行為は慎んでください。2、携帯電話等の電源は呼び出し音が出ないようにして傍聴してください。3、会議の開始前後を問わず、会議場内において委員等に対して抗議または陳情はお断りいたします。4、その他、事務局職員の指示に従うようお願いいたします。以上の事項を守っていただけない場合、退場していただくことがありますので、ご協力のほうをよろしくお願いいたします。

 本日は環境保健部会委員及び臨時委員28名のうち22名のご出席をいただいておりまして、定足数に達しておりますので、本部会は成立いたしていることをご報告申し上げます。

 また、事務局側のほうで人事異動がございましたので、ご挨拶させていただきます。

 まず最初に、環境保健部長に新たに就任いたしました梅田よりご挨拶させていただきます。

○梅田環境保健部長 おはようございます。先月6月21日付で環境保健部長に就任いたしました梅田でございます。本日はご多用の中お集まりをくださいまして、誠にありがとうございます。

 さて、本日の環境保健部会でご審議いただきたい事項は2つございます。

 1つ目は化学物質分野についての第四次環境基本計画の点検報告書(案)でございます。本年4月に本部会にご報告をさせていただきました、環境省及び関係府省の自主的な点検の結果をまとめた報告書案を作成いたしました。改めまして皆様より忌憚のないご意見を賜りますようお願い申し上げます。

 そして、審議事項の2つ目でございますが、化学物質対策小委員会の設置についてでございます。平成23年4月に施行されました改正化学物質審査規制法附則第6条において、施行から5年後、つまり今年、同法の規定について検討を加え、その結果に基づき必要な措置を行うこととなっております。これを受けまして、小委員会の設置をこの部会で決めるということでお願いをしたいと考えておりますので、こちらについても忌憚のないご意見を賜れればと思っております。

 本日は、審議事項は以上でございますが、あわせて最近の環境保健行政に関する動きをご報告させていただきます。そして、また資料にはございませんが、今月1日にこの部会の下の水銀小委員会でご審議いただきました水銀汚染防止計画につきましては、今月21日からパブリックコメントの募集を開始しているということの情報提供をさせていただきます。また、その結果も踏まえ、改めて取り上げさせていただく機会があろうかと思います。ご報告を申し上げます。

 最後になりますが、今後とも委員の皆様のご意見を賜りながら、環境保健行政を進めてまいりたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

○大森環境保健企画管理課長 はい。

 あと、ほかにも異動がございましたので、紹介をさせていただきます。

 最初に、化学物質審査室長の新田でございます。

○新田化学物質審査室長 よろしくお願いします。

○大森環境保健企画管理課長 次に、特殊疾病対策室長の佐々木でございます。

○佐々木特殊疾病対策室長 どうぞよろしくお願いします。

○大森環境保健企画管理課長 最後に、環境リスク評価室長の笠松でございます。

○笠松環境リスク評価室長 どうぞよろしくお願いいたします。

○大森環境保健企画管理課長 では、続きまして、資料の確認に移らせていただきます。

 議事次第の裏側に資料一覧がございますけれども、まず最初に、資料1ということで、中央環境審議会の環境保健部会の名簿。資料2-1といたしまして「第四次環境基本計画(化学物質分野)の点検について」、資料2-2が「第四次環境基本計画の点検報告書(案)(化学物質分野)」でございます。資料2-3が「平成26年度点検結果「今後の課題」への対応について」。資料2-4が「第35回環境保健部会での御指摘事項への対応について」。資料2の参考1といたしまして、第四次環境基本計画の抜粋。資料2の参考2といたしまして「「包括的な化学物質対策の確立と推進のための取組」に係る関係府省の自主的点検結果」。資料3といたしまして「中央環境審議会環境保健部会の小委員会、専門委員会の設置について(案)」。資料3の参考1といたしまして「今後の化学物質対策の在り方について(諮問)」。資料3の参考2といたしまして「化学物質審査規制法(化審法)の概要と施行状況の点検について」。資料4が「熱中症に関する取組について」。資料5が「G7富山環境大臣会合コミュニケ及び継続的な二国間環境協力に関する日米共同声明(化学物質分野)について」。資料6が「福島県民健康調査「甲状腺検査」の現状について」。あと参考資料といたしまして、参考資料1「中央環境審議会関係法令等」、参考資料2「中央環境審議会環境保健部会の小委員会、専門委員会の設置について」となっております。足りない資料がもしございましたら、事務局のほうまでお申しつけください。

 なお、環境負荷削減等の観点から、環境保健部会のペーパーレス化の試行に取り組んでおりまして、この一環として資料の一部についてペーパーレス化をさせていただいております。具体的には、審議対象の資料は委員及び傍聴に来られた皆様に全て配付させていただいておりますが、参考資料や報告事項に係る資料の印刷物は委員のみへの配付といたしております。傍聴に来られた皆様方は、傍聴券にてお知らせしておりますとおり、ノートパソコンやタブレットなどで環境省ウェブサイト上の資料をご覧いただくか、お近くのスクリーンをご覧いただけるようにお願いいたします。ご理解とご協力のほうをどうぞよろしくお願いいたします。

 なお、今回の資料につきましては、全て公開とさせていただきたいと思います。

 また、本部会終了後に発言者名を示した議事録を作成し、委員の皆様方にご確認をいただきまして、ご了解いただいた上で公開させていただきたいと考えております。

 では、カメラ撮りをされている場合はここまでとさせていただきます。ご了承いただければと思います。

 それでは、ここからは相澤部会長に議事進行をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○相澤部会長 皆さん、おはようございます。それでは、本日はお集まりいただきまして、どうもありがとうございます。早速審議に入りたいと思います。

 まず審議事項の1つ目でございますが、「第四次環境基本計画の点検結果報告書(案)(化学物質分野)について」でございます。本件につきましては、本年4月に、環境保健部会で、関係府省の自主的点検結果についてお諮りいたしているところでございます。報告に当たりましては、関係府省による自主的点検結果を取りまとめた報告書案を作成しております。本日は報告書案を環境省よりご説明いただきまして、その後、委員の皆様からご意見をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、早速説明をお願いいたします。

○立川環境安全課長 環境安全課長の立川です。恐縮です、座って説明をさせていただきます。

 早速でございますが、資料2シリーズに基づきまして説明をさせていただきます。資料2シリーズ、かなり大部でございますけれども、まず最初に、右肩に「資料2-1」とある資料に基づいて、スケジューリング的なことを若干申し上げたいと思います。

 今回、先生方にご審議いただきたい内容、第四次環境基本計画(化学物質分野)の点検ということでございますが、これまでの経緯の最初のところ、1ポツに書いてございますとおり、平成26年12月にも、第四次環境基本計画(化学物質)の点検結果の公表ということをしております。すなわちこの平成26年12月が第1回目の点検ということでありまして、今お願いしておりますものが2回目の点検ということになります。後ほど資料で「26年度点検結果「今後の課題」への対応について」というもの、資料2-3という横紙ですが、そういったものが出てまいりますが、その26年度点検結果というのは、この26年12月の点検のことでございます。

 それから、これまでの経緯の2ポツ目、平成27年9月にはSAICM国内実施計画点検報告書の策定といったことをしております。このSAICM国内実施計画と申しますのは、環境基本計画の範囲に加えまして、直接的な環境分野を少し拡張いたしまして、労働環境ですとか消費者製品ですとか、そういったものも含めた点検ということになります。

 28年点検スケジュールでございます。先ほど申し上げましたとおり、今回の点検は第四次計画においては2回目の点検ということになりますが、別の言い方をしますと、第四次計画としては最後の点検ということになります。

 2つ目のポツ、4月ということで、今し方、部会長にもご案内いただきましたとおり、自主的点検の結果の報告というものを、4月の前回の保健部会でしていただいております。具体的には、お手元に資料2シリーズ、いっぱいあるのですが、資料2シリーズの一番最後の、資料2の参考2というものが関係府省の自主的点検結果ということで、調査票方式で行わせていただいております。この参考2につきましては、前回提示しただけではなくて、今般、先生方にご議論いただいて、またご指摘いただいた事項を修正した、これを反映したものでございます。こういった形で、調査票方式で自主的な点検をしたというのが4月でございます。

 その後、5月、6月と修正をし、今回7月26日ということで、お手元の資料2-2で示しました点検報告書の案というものをお諮りしたいというものでございます。

 なお、この資料2-2でございますけれども、今後8月24日には、場所を総合政策部会に移しまして、点検報告書の案の報告をほかの分野とともにしていくということになっておりまして、年内には報告書の閣議決定ということが予定されております。

 続きまして、資料2-2、本編的な部分のご説明を申し上げます。非常に資料2-2自身は大部でございますし、また資料2-3、資料2-4ということで関係する資料があるのですが、大変恐縮ですが、ちょっとパワーポイント上はそうはいかないと思いますが、資料2-4のようなものをお手元に、ちょっと横に置きながら、恐縮です、説明を聞いていただければ大変助かります。

 まず、この資料2-2でございますが、基本的には参考の2という点検表の調査票方式のものを報告書形式にまとめたというものでございます。したがいまして、記載内容はこの調査票に書いてあることを持ってきたということでございますけれども、先生方のご指摘、それから前回の宿題と、そういったことを中心に資料2-2を説明させていただきたいと思います。

 まず1ページ目でございますが、従来の点検報告書、ほかの分野の点検報告書とちょっと違う部分がございます。1ページ目、2ページ目という形で、前回の環境保健部会での指摘事項の、例えば1番から3番であったり、13番であったりするところが該当するのでありますが、前回の環境保健部会では、この環境基本計画というのは総合的かつ計画的にやるといったところが肝であるのだから、そこをしっかりやらないといけないねというご指摘をいただいております。ただ、一方、点検というステージなので、先生方のご指摘、それからこの資料2-2の3ページ以降の記述を超えない範囲でやらなきゃいけないということもありますので、そういったことを前提にしながら、その総合性という視点で整理したのが1ページ目と2ページ目でございます。

 今申し上げましたとおり、ちょっと初めての取組だということと、あと、ほかの分野ではどうするのだろうかという部分があるものですから、場合によっては、最終的に形式は変更される可能性もあるかなというふうに思っております。

 それからあと、資料2-4それから資料2-3、これが前回のご指摘事項であったり前回の宿題であったりするわけでございますが、それへの対応という部分をこれから説明申し上げますが、どうしても1対1の記載にならないものですから、ここの部分はどこへ行ったのというのが、その都度疑問に持たれる部分もあるかもしれません。どうしても多対多になっているために、ちょっとそういった部分ではわかりにくくなっていることがあることをご容赦いただけたらと思います。

 それでは、1ページ目でございますが、まず総合的な部分ということで、総論的なことをこの図とその上の文章で整理をさせていただきました。すなわち化学物質分野というのは、どうしても、私ども環境省で言えば、大気ですとか水・土壌ですとか廃棄、リサイクルといったいろんな分野にまたがるということもありまして、そこが総合性がわかりにくいということだと理解をしまして、どのような施策がどういったステージで行われているのかということを整理したのが、この1ページの図でございます。

 この図を整理させていただきまして、2つほどの特徴を書かせていただいております。具体的には、第2パラグラフにありますとおり、大気、水・土壌といった環境を経由する諸問題については多様な施策が取り組まれていることが確認できたところであり、施策の総合性の確保のためには、これらの施策間の調和の確保が一層重要になっているということで、多様の施策は行われているけど、施策間の調和の確保が一層重要といった形で一つまとめております。

 それからもう1つは、その下でございますが、また、ライフサイクル全体に通じた施策、これは第三次の環境基本計画以降、化学物質対策ではこういったことをうたっておるわけでございますが、ライフサイクル全体を通じた施策というのはまだ多くないが、水銀に関する取組等、新たな取組が実行段階に入っており、今後も状況に応じた措置を検討していく必要があるというふうに整理をしております。これは後段の今後の課題ともリンケージしていくことでありますけれども、また第五次というものの策定に向けて、恐らく中心になっていく検討課題かなというふうに理解しております。

 総論的にはそういうことにしております。

 それから、各論的なことといたしまして、1ページ目の同じく図の下側でありますが、じゃあ、具体的にどんなことがやられているかということで、幾つかの事例ということでございますけれども、その前提といたしまして、図の下側の3行目ぐらいのところに、「関係者が正確な情報を共有しつつ意思疎通を図ることを基本として化学物質対策を進める」といったこと、これが環境基本計画においていろいろうたわれているわけでございますので、そのことに着目していろいろ整理をしました。

 具体的には2ページ目でございますが、2つの事例について言及をしておりまして、1つ目は上の段でございますけれども、いわゆる化管法、化学物質排出把握管理促進法でございますけれども、その化管法に基づくPRTR制度が多面的にいろいろな活用がされているということを、ここでは4つのポツで書かせていただいております。中には化管法の中で当たり前のようにやっているものもあるわけでございますけれども、例えば1ポツ目のように、ほかの法令で化学物質対策の優先度決定に当たっての判断材料として使っている。それから2ポツ目のように、有害大気汚染物質に関する自主管理のフォローアップ、それからオゾン層年次報告、こういったもののように環境保全対策の効果・進捗状況の把握に活用している。それから3ポツのように、水安全計画におけるPRTRデータの考慮、それから東日本大震災津波堆積物処理指針における堆積物の物質含有の判断、それから土地履歴調査等といったことで、環境保全上の基礎データということで、物質の所在情報源として使われていると。それから、さらには、これは化管法本来の機能でありますけれども、国民への情報提供、それから事業者による自主的な管理の促進といったものでも使われていると。こういったことに使われているということで、こうした情報の共有といったものをしっかり進める上では、今後ともこうした活用が促進されるようにしていく必要があるということで整理をさせていただいております。

 それからもう1つの視点といたしまして、GHS(化学品の分類および表示に関する世界調和システム)というものがございまして、これ、それからSDS等が該当するわけでございますが、情報の伝達が上流から下流に向けてされているということ。さらには経産省さんの取組になりますけれども、chemSHERPAのような形で、こうした情報伝達をさらに促進していくといったことが取り組まれているということをここでは記載させていただいております。

 化学物質対策、最後にこのページの最後でございますが、化学物質対策を環境の保全の観点から総合的かつ計画的に推進していくためには、各種施策間の調和を確保しつつ、ステークホルダーの参画も得て、一層の連携を図っていくことが重要であるという形で整理させていただきました。

 3ページ目以降が従来からの点検報告書のスタイルでございます。各重点検討項目ごとに、環境基本計画における施策の基本的方向というものを(1)に、それから(2)に現状と取組状況という形で整理しております。少しご指摘いただいたことに対応する部分というところを中心に説明したいと思います。

 かなり飛んじゃって恐縮ですけれども、11ページ目の上から4分の3ぐらいと言うと何かわかりづらいのですけど、下から4分の1程度で、「SDS制度について」というところを書いてございます。これは前回の保健部会の指摘事項6番目、すなわち鈴木先生からSDSについてご指摘いただいたものですから、SDSに関する記載を追加したというものが、この「SDS制度については、」という11ページのパラグラフでございます。

 それから、形式的なことになりますが、12ページ。恐縮です、12ページをご覧ください。12ページで、真ん中よりやや上に「前回点検時の「今後の課題」を踏まえた取組状況」というところを設けております。これは、中身の話の前に形式的なことを申し上げますと、文字どおり、資料2-3という形で、前回の――前回というのは、平成26年度の点検結果において今後の課題というものが示されましたので、それに対する取組状況ということを表形式に整理しておりますが、この形式だけだと、ちょっとまた過渡的なものになってしまうものですから、この報告書、点検報告書において、こういった形でわかりやすく整理するといった工夫をさせていただきました。具体的にこの12ページの、ここの前回の宿題を踏まえた取組状況でございますけれども、「今後の課題」ということで、1ページ目の1つ目に「化管法等をより円滑に運用する」と、そういったための体制整備に努める必要があるといったことに対応したことをここに書かせていただいた次第でございます。

 続きまして14ページ目でございます。14ページ目も、一番下のほうに「前回点検時の「今後の課題」を踏まえた取組状況」という部分が出てまいります。ここも今後の課題にもちろん対応したものでございますが、具体的には、化審法の適切な運用には、生体影響試験の円滑な実施が必要であり、当該試験に用いる供試生物の供給については、詳細なリスク評価等に必要な鳥類や底生生物も含め、供給体制の一層の整備・充実が必要であるといったご意見をいただきましたことに対応した記載をここにしております。

 続きまして16ページでございます。16ページの同じく「前回点検時の」というところが一番下にございますが、そのすぐ上に、第四次環境基本計画で示されている海域における生態影響に関するリスク評価手法についても関係部局と連携しつつ検討を進めるといったことを書かせていただいております。これは前回の指摘事項で、海域における生態影響の記載を追加すべきだというご指摘をいただいたことに対応するものでございます。

 それから、すぐその下の「前回点検時の「今後の課題」を踏まえた取組状況」、16ページ同じく下側でございますが、これは今後の課題といたしまして、化審法に基づく一般化学物質等のスクリーニング評価及び優先評価化学物質のリスク評価を引き続き円滑に実施するとともに、関係省の合同審議会において、進捗状況の確認及び進行管理を適切に行うことが重要であるといったご指摘をいただいたことに対応するものでございます。こちらのほうが進捗状況の確認及び進行管理ということでございますが、ちょっと先走って申し訳ございませんが、本日の議事の2番目とも関係してくるということになろうかと思います。

 それから、19ページ目でございます。19ページ目の今後の課題でございますけれども、こちらのほうは、やはり前回の宿題で出ました、関係省庁・機関が連携を図りつつ、ライフサイクル全体を考慮したリスク評価を可能とする手法を調査検討し、実用化を目指すべきであるというご指摘をいただきました。このことに対応いたしまして、ここの記載をさせていただいた次第でございます。

 続きまして、23ページでございます。23ページの、やはり「前回点検時の「今後の課題」を踏まえた取組状況」というところでございます。こちらのほうも、今後の課題ということで、QSARそれからトキシコゲノミクス等の新たな評価手法の開発・活用については、海外で検討が進んでいる先進的な評価手法の一つであるAOPを含め、OECDにおける取組に積極的に参加し、またその成果を活用しつつ、我が国においてもこれら評価手法の開発・活用を引き続き精力的に推進することが重要であるといったことをご指摘いただいておりまして、そのことに対応した記載をさせていただいたものでございます。

 なお、この「前回点検時の「今後の課題」を踏まえた取組状況」の最後のポツ、24ページのほうに行っておりますけれども、24ページの一番上の、「QSARを含めた新たな生態影響評価手法について諸外国の情報を収集しているところであり、」といった部分でございますが、これは前回のご指摘事項の8番目、新たな影響評価手法の化学物質審査への活用といったことに対応いたしまして、追加をさせていただいたものでございます。

 それから、26ページ目でございます。26ページ目、ここはエコチル調査に関連した記載でございます。一番上でございますが、「半年に1度依頼している質問票の回収率は8割以上を維持しているが、今後も引き続き調査に参加していただくことが本調査にとって重要な課題である。調査結果がまとまるのに時間を要するが、参加者及び国民に本調査の必要性を理解してもらうためにも、まとまった成果を可能な範囲で随時公表していくこととしている。また、シンポジウム等の場を活用して、公表結果の周知に努める」という記載をさせていただいておりますが、これは前回のご指摘事項でエコチル調査の結果公表をすべきといったことで、それに対応したものでございます。

 27ページ目でございます。27ページ目、ここも「前回点検時の「今後の課題」を踏まえた取組状況」ということをお示ししております。こちらのほうは、前回の課題、2ページ目の4番目に対応するのでございますが、化学物質の内分泌かく乱作用については、リスク評価を推進するため、開発途中となっている試験法について、できるだけ速やかに開発を完了させる必要があると。また、今後のリスク管理に向けた道筋をつけるため、リスク評価を加速化させる必要があるといったことに対応いたしまして、取組状況を書かせていただいたというものでございます。

 それから29ページ目でございます。29ページ目の「前回点検時の「今後の課題」を踏まえた取組状況」でございますが、この29ページ目の前回宿題への対応でございますが、「今後の課題」の3ページ目の1つ目に対応いたしまして、ナノ材料については、ナノ材料の環境における測定方法について知見を深めるとともに、人健康及び生態系への影響を踏まえた取扱いのあり方について引き続き検討を行う必要があるというご指摘をいただいたことに対応した取組状況を記載させていただいたものでございます。

 続きまして30ページ目でございます。30ページ目も「前回点検時の「今後の課題」を踏まえた取組状況」を書かせていただいておりますが、ここの前回の課題というのは、2ページ目の5番目に書いてございます化学物質の複合影響について、物質の構造の類似性や、作用機序の同一性に着目しつつ、環境行政としてどのような形で化学物質の複合影響評価を行うべきかについて、欧米の動向把握を進めながら検討を進める必要があるというご指摘に対応したものでございます。

 それから、31ページ目でございます。31ページ目の「前回点検時の「今後の課題」を踏まえた取組状況」でございます。こちらの取組状況につきましては、「今後の課題」というところの3ページ目の2つ目に、環境中の微量な化学物質による影響の評価については、未だにその具体的な発症メカニズムが明らかでないことを踏まえ、これまでに得られた知見を整理した上で疾患概念の整理、診断法の確立をどのように行っていくことが有効であるか、実施可能性等も踏まえながら検討する必要があるということに対応して、現在の取組状況、現在までの取組状況を書かせていただいたものでございます。

 続きまして37ページの一番下のほうでございますが、第35回の指摘事項で、物質の伝達や共有について、もう少しいろいろ拡充して記載すべきというご指摘をいただきまして、37ページの下から化審法データベース、これを関係省とともに公開していますということ。さらに、38ページ側でございますが、化学物質情報検索支援システム(通称ケミココ)、これを公開していますということを記載しております。

 それからその下のパラグラフ、「平成24年2月に」というところでございますが、これも第35回、前回の保健部会での指摘事項に対応いたしますが、POPsの入り口における取組事例、こういったものを記載すべきというご指摘をいただきまして、PCBのお話を少しここで書かせていただいております。

 さらに38ページのその下、「前回点検時の「今後の課題」を踏まえた取組状況」でございます。こちらのほうは、前回の点検時の今後の課題というのは、その資料の2ページの2つ目にありますが、化審法については、平成21年の法改正時の附則で施行後5年を経過した場合の見直しが規定されていることから、法施行の状況を踏まえつつ、関係省庁が緊密に連携し、必要に応じて今後同法の規定について検討していくことが必要であるということに対応いたしまして、ここを記載したところでございます。本来であれば、議事(2)が終わるまでは、これ、書きにくいところでございますけれども、少し先取りして書かせていただいておりまして、特に第2パラがそうなんでありますけれども、第2パラにありますとおり、平成28年7月に、化審法の施行状況及び必要な措置の検討を含め、今後の化学物質対策の在り方について、環境大臣から中環審会長に諮問し、当該諮問については環境保健部会に付議されたところであると書かせていただいておりますが、これはもう、文字どおり、今申し上げましたとおり、議事(2)をちょっと先取りして書かせていただいたものでございます。

 それから、続きまして40ページでございます。40ページ目が、やはり「前回点検時の「今後の課題」を踏まえた取組状況」というもの、出てまいります。こちらのほうは、今後の課題ということで、水銀のライフサイクル全体に係る対策を定めた水銀に関する水俣条約について、国内での取組を着実に推進することが求められているというご指摘をいただいたことに対応して、これまでの取組状況を書かせていただいたものでございます。

 それから、45ページでございます。45ページの「前回点検時の「今後の課題」を踏まえた取組状況」については、これも今と同様でございますが、水俣条約について今後の国内での取組を着実に推進することが求められているといったことに対応した記載をさせていただいたものでございます。

 それから、51ページでございます。51ページの「前回点検時の「今後の課題」を踏まえた取組状況」でございますが、こちらのほうは、今後の課題ということで、PCB廃棄物については、処理期限よりも一日も早く処理を完了させるべく、引き続き都道府県市に届出されていない機器の掘り起こしに係る取組等を推進するとともに、環境省、JESCOと都道府県市、経産省、事業者団体等の関係機関の更なる連携を図るといったことが今後の課題となっておりまして、それに対応した記載をさせていただいたものでございます。

 それから、53ページでございます。53ページの下のほう、油等の汚染対策の国内対応の話が54ページにかけて書かれております。こちらのほうは、前回の保健部会において、油流出事故の平時からの対応をすべきというご指摘をいただきました。これに対応して、この53ページの最後のポツから、54ページの1ポツ、2ポツ、さらにはその下の真ん中の海上保安庁さんの取組、これもそれに対応したものということで、排出油等防除協議会等を通じた関係者への適切な指導・助言や、国内外の関係機関との連携強化を通じて、平時より事故時に迅速かつ的確な対処がなされるよう努めているといった現状の取組を書かせていただいた次第でございます。

 以上が、大ざっぱに申し上げまして、報告書の前回のご指摘、さらには平成26年の点検の際に出た宿題への対応ということを中心に説明させていただきましたが、それを踏まえまして、55ページ、56ページと、今後の課題ということで、この2回目の点検としての宿題というものとして、こういったものがあるのかなということで整理をさせていただいております。こういった、具体的に申し上げて7つの丸の部分について、着手あるいは一層の促進が必要だという整理をさせていただいております。

 まず1つ目でございますが、これはご指摘事項のうち、恐縮です、資料2-4のご指摘事項のうち、1番から3番であったり13番であったりするもの、こういったものに対応いたしまして、総合性の確保ですとか、WSSD2020年目標の達成ですとか、ライフサイクル対応の必要性といった、最も総合的な部分について対応したものとして、一つ目の白丸を書かせていただいております。具体的には、「「化学物質が、人の健康と環境にもたらす著しい悪影響を最小化する方法で使用、生産されることを2020年までに達成する」との目標のためになすべきことについて、リスク評価の加速化とそれを踏まえたライフサイクル全体を視野に入れたリスク管理、各種施策間の調和・連携や関係者間の情報共有の一層の促進等、様々な施策を組み合わせた包括的なアプローチとして具体化するとともに、未解明の諸問題への取組結果や国際的視点を踏まえた検討を随時行う等、戦略的に推進していくことが重要である」ということで、一つ目の丸を整理させていただいております。

 以下、2つ目以下でございますが、これもいずれも前回のご指摘、前回の部会でのご指摘に対応するものでございます。具体的に申し上げますと、2つ目の白丸、「化審法に基づくリスク評価を効果的かつ効率的に進めるため」というものは、前回のご指摘事項で言いますと8番目、QSAR等の積極的活用の必要性をご指摘いただいておりますので、これに対応するものとして、今後の課題の二つ目を整理させていただいております。

 それから三つ目、化管法につきまして、化学物質排出把握管理促進法につきまして書かせていただいたもの、これはご指摘事項の6番目に対応いたしまして、化管法全体の目的に対応することの重要性、これに関する記載としてさせていただいております。

 それからその下、四つ目、ナノ材料の部分でございますが、ナノ材料につきましても、指摘事項の10番目でナノ材料に関する検討の重要性をご指摘いただいておりますので、そのことに対応したものとして整理をさせていただいております。

 55ページの下から2番目、内分泌かく乱作用の問題でございますが、これも指摘事項の9番目に対応いたしまして、内分泌かく乱作用に関する検討の重要性に関する記載として、宿題として整理をさせていただいております。

 同じく55ページの一番下でございますが、エコチル調査の部分でございますが、これもご指摘事項の12番目に対応いたしまして、エコチル調査の発信の重要性に関する記載として整理をさせていただきました。

 それから56ページ目でございますが、前回ご指摘事項の15番目から18番目で、事故・災害に伴う化学物質の漏洩や流出等についても、環境リスクを最小化するといったことの措置について検討することが重要であるというご指摘をいただきましたので、これも今後の課題ということで記載をさせていただきました。

 以上のとおり、前回の保健部会でのご指摘への対応、それから平成26年のときの、お示しいただきました今後の課題への対応といったものを整理した形で、資料2-2の点検報告書の案をまとめさせていただいたところでございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○相澤部会長 はい。ありがとうございました。

 それでは、ご説明いただいた内容につきまして、ご意見、ご質問をお願いしたいと思います。時間が限られておりますので、皆様のご意見、ご質問を一通りお聞きした上で、関係の省庁からまとめて回答いただきたいと思います。恐れ入りますが、札を上げていただけますでしょうか。質問がおありでしたら、どうぞ、ご遠慮なく。よろしいですか。

 そうすると、お二人の委員からご質問を受けておりますが、髙村委員から、ではお願いいたします。

○髙村委員 ありがとうございます。どちらかというと、書きぶりの点に関わる点かと思いますけれども、2点ほど申し上げたいと思っております。

 1つは、冒頭の記載のところ、前回の発言を受けて対応していただきまして、どうもありがとうございました。ちょっとこの書きぶりのところ、細かい点で2点なんですけれども、1つは1ページ目のところ、資料2-2の1ページでございますが、「また、環境基本計画においては、」という一番最後の段落は、むしろこれは今の環境基本計画の考え方をここで整理を適切にしていただいていると思うので、冒頭に置いていただいたほうがわかりやすいかなというふうに思っております。これが、ちょっと細かなことですが1つ目でございまして。

 冒頭の点について細かいところをもう1つでございますが、これはちょっと内容に関わりますけれども、今のページでいきますと1ページ目の、行数でいくと5行目から始まります、「また、ライフサイクル全体を通じた施策は」というところでありますけれども、私自身はこの間の水銀対策の国内法令の制定、そのご準備というのは、この観点からは非常に先駆的な取組をされたというふうに思っております。もちろん水銀条約そのものがそういう性格を持っているということもありますけれども、きちんとこの全体としてライフサイクル全体における水銀リスクの低減というのを、腰を据えて、日本においてはその水銀条約以上の深掘り、あるいはその対象の拡大というのをされてきたと思っていまして、むしろここをきちんと計画に伴ってできたこととして、ポジティブに書いていただいたほうがよいのではないかというふうに思っていることです。

 これは、資料2-3にございます前回の点検での今後の課題のところでもまさにここがございましたので、まさに前回の点検であった課題をきちんとこの間やってきているということは、冒頭に書いていただいたほうが、まさに水銀水俣条約の国内実施準備という点ではふさわしいのではないかと思っております。これがまず1つでございます。

 2つ目は、最後のところ、55ページのところにございます今後の課題ですけれども、同じくやはり一番最初の丸のところに関わるんですが、前回発言させていただいたときにマイクロプラスチックとかマイクロビーズの話をいたしましたけれども、これについて特出しをして言及していただきたいということではございませんで、恐らくそれに代表されるように、このアプローチがなお一層必要であり重要になっているということについて、1つは言及をしていただけないかというふうに思っております。

 このアプローチといって、今回書いてくださっているところ、いろいろな計画の要素をここへ列挙していただいているんですけれども、恐らく前回の点検の今後の課題で触れられている、大きくは多分2点が非常に重要で、ライフサイクル全体を考慮したリスク評価と、化学物質の採掘あるいは製造から廃棄に至るライフサイクル全体を通じた環境リスクの一層の低減と、この2つが非常に重要な項目、それを行うときの施策間の調和であるとか関係者の情報共有が必要という、そういう施策が必要だという、そういうくくりになっていると思っていまして、視点としては、ライフサイクル全体を通じたリスク評価と、ライフサイクル全体を通じた環境リスクの一層の低減というアプローチの、今後一層の必要性、重要性ということについて言及をしていただけないかというのが1つ目であります。

 それから、同じくこの丸のところにぜひ記載していただきたいと思っておりますのは、先ほどの水銀条約の話ですけども、今まで準備についてはこの観点で非常に先駆的にできていていると。関係省庁、経産省、環境省、その他関係省庁の連携も関係者間の情報共有も心を砕いてやってくださっているので、まさにその実施がこれからの課題であるということについて、水銀条約についてはやはり特出しで言及をしていただきたいというふうに思っております。

 以上です。

○相澤部会長 ありがとうございます。

 では、崎田委員、お願いいたします。

○崎田委員 ありがとうございます。今の髙村委員のご発言とかなり似ている部分がありますので、短くさせていただきます。

 まず、前回いろいろ私も発言させていただきましたが、皆さんのご意見をもとに、非常に丁寧に作成していただいて、感謝申し上げます。特に、一番最初に包括的な全体像を見せるということで、最初の2ページを追記されました。こういうやり方が私としては全体像が見える形になってきたので、歓迎したいと思います。また、中の書きぶりに関しても、前回の課題に対しての対応というようなことをかなり丁寧に書き込んでいただいていまして、今後これが社会も出たときに、非常にわかりやすいものになっていくのではないかと思っています。

 なお、やはり具体的な項目として、同じ視点になってしまうんですが、特にライフサイクル全体の取組が、今回、進めることが大事だという中で、水銀水俣条約の対応に関して、非常にご苦労されてきたと思っています。最初は3つに分かれた検討会での審議、そして最終的にでき上がった段階でどう実施するかというところで、きちんと1つの形で取り組んでいくとされているわけですけれども、こういうようなやり方が、今後こういう総合的なやり方で成果を上げるということが大事だと思っています。ですから、今、最後のほうにある課題のところに、きちんと実施をするというところも課題に入れておいたらどうかというご意見がありました。私もそのとおりだと思っております。私はこういうような実施のやり方がどういうような成果を上げるのか、どういうところが課題なのかというところをちゃんと把握して、今後に生かしていくというところが大事だと感じております。よろしくお願いいたします。

○相澤部会長 はい。ありがとうございました。

 それでは、環境省の、今のご質問、ご意見に対してご返答をお願いいたします。

○立川環境安全課長 はい。髙村先生、崎田先生、大変ありがたいご意見をいただきまして、ありがとうございます。ご指摘を踏まえまして、記述ぶりをもう少し工夫したり、あと水銀の取組を書かせていただきながら、今後も、何といいますか、こういったライフサイクル全体でのリスク評価、管理といった取組を進めていくという方向性を、よりわかりやすいような形で記載したいというふうに思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○相澤部会長 はい。よろしいでしょうか。

 ほかにはありませんですね。あ、どうぞ。すみません。お願いします。

○鈴木委員 特に何かを変えろという意見ではございませんが、まず、私のコメントも含めまして、非常によく検討いただきまして、ありがとうございます。よく書かれたのではないかと思いましたので。

 それで、一応今後のための私の意見みたいな、個人的な意見みたいなものなんですが、2-2の冒頭にこの図をつくられたのは大変よいことじゃないかと思っております。これは私自身が研究者の立場でいろんなここの話をするときに、この化学物質に関する取組が、みんなよくやっているんだけどわかりにくいとかという意見を、私も研究の立場で受けることがしばしばございまして、多分この化学物質対策について、この包括的な対策というものがどのように行われているかということを整理していくことが、常に重要な視点だと私は思っておりますので、今回こういう整理をされたことはよいと思いますし、多分、今後この包括的――今回はもともとの施策にある科学的なリスク評価、ライフサイクル、未解明ということで整理をされましたが、恐らく内部的には、あるいはもしかしたら外部的には、幾つか違う視点での整理も含めて、どういうふうに包括性を私たちが目指すかということをきっちり整理していく必要があるのかと思いますので、この整理は大変よいかと思います。ぜひ、この方向性を今後とも進めて、何かさまざまな形で考えて進めていっていただければよいかなと思います。

○相澤部会長 はい。ありがとうございました。

 それで、ほかにはよろしいでしょうか。どうぞ。すみません。

○細見委員 細かい点ですが、51ページなんですが、過去に製造された有害物質とか負の遺産への対応というところで、51ページに埋設農薬の、これはPOPs条約でうたわれているところですが、例えばPCBについては例えば進捗状況がこのぐらい進んでいるんだというのがあって、51ページは、実はここは何カ所やったということだけで、実は本当はどのぐらいあって、今どのぐらい進捗状況なのかというのが、やはりちょっと明らかにしていただいたほうが、ほかの農用地の土壌汚染防止法とかにも全体の面積と今進捗率というのは掲げてありますので、並びで言うと、ここの部分はもう少しちょっと、記載をちょっと丁寧に。丁寧にというか、進捗状況がわかるような書き方にしていただければというふうに思います。これはお願いです。

○相澤部会長 はい。ありがとうございました。ご要望ということでよろしいでしょうか。

 どうぞ、小山委員、お願いします。

○小山委員 私が申し上げる、どっちかというと特殊な状況の対応だと思うんですけども、油流出事故についての対応について取り上げていただきまして、ありがとうございます。

 ここでの対応を読ませていただきますと、脆弱性マップについては環境省で対応して、油処理の資機材の利用については海上保安庁が取り扱うというようなまとめ方だと思うんですが、特に、私が常日ごろ心配しておるのは、油処理剤ですね、これがどういうふうに使われるかというのが非常に、油流出事故が起こったときに環境に対する影響の非常にキーポイントになる、と。

 日本の中では、油処理剤を使って何か大きな事故が起こったということは、今のところ私の知る限りではないんですけれども、今後大規模な油流出事故が起こって、そこで処理剤を使ったときに何が起こるかというのは、非常に不透明なところがあるということで、どちらで対応するのかわかりませんけれども、近い将来そういうことに対しての対応を考えていただきたいと。ここでは、ちょっと、私としてはそういう対応をするというふうにはちょっと読み取れなかったので、意見を申し上げました。

 以上です。

○相澤部会長 はい。ありがとうございます。これはご要望ということで、よろしいですかね。もうちょっと詳しくということですが。

 ほかはいかがでしょうか。どうぞ、菅野委員、お願いします。

○菅野委員 菅野でございます。

 いつ、このキーワードを申し上げたか記憶がないんですけど、近未来的な話として、Eウェイストの話、これについては、ここでどうされることになっていたかなというところをお伺いしたいと思います。「ポケモンGO」じゃないんですけど、少量新規化学物質がたくさん使われている液晶が、すごい量出回っているわけで、壊した際、廃棄した際の取り扱い方がちょっと気になっていたもので。現状は何もしていないかもしれないというのが国際的な状況かとは思いますけども、数年で寿命が尽きる皆様のケータイの液晶の行方がどうなるかという身近な問題としても、ちょっとこの問題をカバーするとしたら、こちらが一番早いのかなと思いまして、コメントさせていただきました。

○相澤部会長 はい。ありがとうございます。これはよろしいですかね。

 ほかは。大塚委員でしょうか。どうぞお願いします。

○大塚委員 すみません。ありがとうございます。私もいろいろ申し上げた意見を入れていただいて、大変ありがたいと思いますが、最初の2ページに関しても、冒頭にこういうことを入れていただいて、大変よかったと思っております。

 できたらちょっと1つ入れていただきたいのは、このライフサイクル全体を通じた施策というのは、化学物質全体に及ぶことでございますが、あまりにも一般的なことでもあるので、ちょっと具体的に何をするかという話を、さっきの水銀の話はもちろんそうなんですけども、それから、これから特に取り組んでいきたいようなものについて、例を挙げていただくとありがたいかなと思いました。POPsもそうですし、PCBもそうですし、埋設農薬もそうですが、マイクロプラスチックの問題もそうですけども、特に、今後代表的に取り組んでいただけるようなものに関して、ちょっと例を挙げていただくと、少し一般的な言葉が出てきてしまっているような感じもしますので、お願いということで申し上げておきます。

○相澤部会長 はい。ありがとうございます。

 ほかはよろしいでしょうか。よろしいですかね。

(なし)

○相澤部会長 はい。ありがとうございます。

 今までのところ、何か、あれですか、よろしいですか。

○立川環境安全課長 はい。ありがとうございます。小山委員から油処理剤の件をご指摘いただき、また細見委員から埋設農薬の件をご指摘いただき、それから菅野委員からeウェイストのご指摘をいただき、さらには大塚委員からライフサイクル全体で対応している部分についての代表例といったご指摘をいただきました。いずれもこれまでの取組の提言というよりは今後の課題に近い部分かなと思いますので、ここの部分で、全然今の段階では項を起こしていないことについては、少しもう一つ起こすといったことも含めて検討したいというふうに思います。

○相澤部会長 はい。ありがとうございます。

 それでは、ご意見が尽きたようでございますので、本日、大変ご貴重なご意見をいただきましたので、その議論を踏まえた修正点につきまして、部会長の私にご一任いただきまして、必要な修正をした上で総合政策部会に報告させていただきたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。

(了承)

○相澤部会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきたいと思います。

 それでは、第四次環境基本計画の点検報告書につきましては、ご協力いただきました省庁におかれまして、その後の予定等がございましたらば、ご退席いただいて結構でございます。どうもありがとうございました。

(関係省庁職員退席)

○相澤部会長 よろしいですか。

 それでは、審議事項の2つ目でございますが、化学物質対策小委員会の設置につきましてご議論いただきたいと思います。これにつきましては、中央環境審議会に意見を求める諮問が環境大臣から平成28年7月25日付で出されております。本諮問は、同じく平成28年7月25日付で環境保健部会に付議されておりますので、本日、当部会で審議したいと思います。

 それでは、事務局から小委員会の設置についてご説明をお願いいたします。

○新田化学物質審査室長 化学物質審査室長の新田でございます。説明させていただきます。ちょっと座って失礼いたします。

 お手元の資料3が小委員会の設置についてという紙になってございます。部会の小委員会、既に5つほどあるところですけれども、そこに追加することで、2番目に化学物質対策小委員会を追加するということを議題に掲げさせていただいております。

 資料にありますように、2の(1)は小委員会を置く。(2)は今後の化学物質のあり方について調査・審議をする。(3)部会長の同意を得て部会の決議とすることができるという提案でございます。こちらがこの議題の審議事項ということでお願いしているものでございます。

 これにつきまして、ちょっと短い時間ではありますが、説明をさせていただきたいと思います。

 資料3の参考1、1枚の紙がございますが、こちらが昨日、環境大臣から中央環境審議会に諮問いたしました紙でございます。今後の化学物質対策の在り方についてということで、諮問理由のところをご覧いただければと思いますけども、化学物質が人の健康と環境にもたらす著しい悪影響を最小化する方法で使用、生産されることを2020年まで達成することは、世界共通の目標となっていると。この中で、平成23年年4月に全面施行されました、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の一部を改正する法律の附則第6条におきまして、「この法律の施行後五年を経過した時点において、この法律の施行状況を勘案し、必要があると認めるときは、同法の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする」、と定められているとおり、その施行状況及び必要な措置について検討することが求められている。

 こうした状況を踏まえ、今後の化学物質対策の在り方について、所要の検討を行う必要があるということで諮問させていただいたものでございます。

 それで、その紙の裏にありますように、この諮問につきまして、環境保健部会のほうに付議されたものでございます。

 この諮問の内容について、簡単にちょっと状況をご説明させていただければというふうに思います。資料3の参考2に、ちょっと紙をまとめております。化学物質審査規制法(化審法)の概要と施行状況の点検についてというものでございます。

 紙1枚おめくりいただきまして、化審法の概要でございますけども、皆様ご承知のことだと思いますけども、まず、この法律の目的、人の健康を損なうおそれ又は動植物の生息・生育に支障を及ぼすおそれがある化学物質による環境の汚染の防止ということで、厚労省、経産省、環境省の3省で共管しているものでございます。

 主な措置内容は、新規化学物質の事前審査、上市後(販売後)の、その化学物質の販売後の継続的なリスク評価・管理、そして化学物質の性状等に応じた規制というふうになってございます。

 その下に制定・改正の経緯がございますけども、まず昭和48年にPCBによる健康被害が起きまして、そういった似たような性状を持つものに対する製造と輸入を規制するためにできましたと。昭和61年にOECDの規定を導入するとともに、PCBとはちょっと異なりまして、難分解性ではあるが、高蓄積性を有さないもの、例えばトリクロロエチレン等を規制するということで改正いたしました。また、平成15年には、それまで人の健康影響に対処していた法律に動植物への影響といったものの観点を置いたと。それとともに、影響があるとされた物質の全国数量の把握の制度、そして環境への放出可能性が小さい物質に対する審査の効率化といったものを導入したということでございます。そして、平成21年度が直近の改正ということになります。

 これについて、おめくりいただいて右のページになりますけども、平成21年の化審法の改正の概要でございますが、包括的な化学物質管理の実施によって、化学物質による人や動植物への悪影響を防止するため、化学物質の安全性評価に係る措置を見直すとともに、国際的動向を踏まえた規制合理化のための措置を講ずるというものが主な内容でございます。

 下の枠の右側に改正の概要がございます。既存化学物質対策というところで、赤文字で書いてあるところでございますけども、「すべての化学物質について、一定数量以上製造・輸入した事業者に対して、その数量等の届出を新たに義務付け」たと。「国は、上記届出を受けて、詳細な安全性評価の対象となる化学物質を、優先度を付けて絞り込む」と。これについては、有害性情報の提出を求めまして、人の健康等に与える影響を段階的に評価。その結果により、製造・使用規制等の対象にするということを位置づけておるところです。また、新規化学物質の審査・確認等についても見直しを行ったというものでございます。

 そのページの下に、平成21年の改正化審法の体系といったものがございます。この図の左側、新規の化学物質ですが、事前審査を行った後、販売ができるというものでございます。事前審査におきましては、分解性・蓄積性、人への影響、動植物への影響といったものを、試験結果をもとに審査を行うというものでございます。これにつきましては、特例制度がございまして、高濃縮でなく低生産(年間10トン以下)、年間1トン以下の少量新規、少量中間物、低懸念の高分子化合物、これらにつきましては、事前審査に必要な全ての毒性試験のデータがなくても、上市を認めるといった運用をしております。

 また、新規化学物質以外のものは既存化学物質ということになりまして、これについては国がリスク評価をしていくというふうな形になっています。

 その右に、5つ、枠がございますけども、化学物質審査規制法における規制の体系でございます。一番上が第一種特定化学物質ということで、PCB等に対応する、POPsに対応するものでございますけども、難分解・高蓄積性、人への長期毒性、高次捕食動物への長期毒性のあるもの。これの製造・輸入について許可制、あるいは製造・輸入を基本的には禁止というような形になります。

 その下のオレンジの監視化学物質ですが、難分解・高蓄積性で毒性が不明というものでございます。こういったものは、毒性が判明次第、第一種特定化学物質になっていく可能性もあるというものでございます。

 その下の濃い青ですね、第二種特定化学物質ですけれども、これは人への影響や生態への影響が懸念されるというものでございます。これにつきましては、製造・輸入量について事前の届け出を受けまして、必要に応じてその予定数量を変更するというふうなことをしております。

 その下の優先評価化学物質でございますけれども、これは第二種特定化学物質の前の段階といいますか、第二種特定化学物質への評価を優先して行うというものでございます。これは、その下の一般化学物質、およそ28,000物質あるもののうち、今、国がスクリーニング評価をして、リスクが高まる可能性があるものをこの優先評価化学物質に指定いたしまして、さらにそこからリスク評価をして第二種特定化学物質に指定するという、そういうスキームになっているというものでございます。これが平成21年の改正で、平成23年の4月に全面施行されたというものでございます。

 おめくりいただきまして、化審法の施行状況の点検についてということでございます。

 平成21年の改正化審法で、先ほど諮問にありましたように、施行後5年で点検するということがありましたので、施行状況については、予備的な点検・検討を行い、課題の整理等を行うということで、昨年度、環境省、厚生労働省、経済産業省が共同設置した検討会で、予備的な検討を行ったところでございます。こちらの座長は大塚先生と東海先生にお願いしたものでございます。

 さらに、その右のページですね。9と書いてあるところでございますけども、検討内容、改正化審法の施行状況の点検ということで、既存化学物質のリスク評価の進捗状況、新規化学物質の審査・確認の状況、特定化学物質等の適切な管理の状況について、こういったものを課題として課題の整理と今後の対応の方向性について議論いたしたところでございます。

 検討会では、平成27年の8月から5回にわたって検討いたしまして、平成28年3月に報告書を公表したという形になっております。

 その下に、課題への対応の方向性として、検討会の報告書に掲げた中から一部ちょっと示しているものがございますので、例としてご覧いただければと思いますけども、まず1点目、既存化学物質等に関する課題への対応の方向性というものでございます。これは先ほどの点検の報告書にもありましたように、既存化学物質のリスク評価を進めていかなければいけないという課題についての対応の方向性ということで示されたものでございますけども、まず2020年までに達成すべき具体的なイメージを早急に明確化する必要があるのではないかと。そして、その目標を達成するためにリスク評価を加速する具体的な方策について検討したらどうかといったことがこの報告書で示されております。

 2点目、新規化学物質に関する課題への対応の方向性ということでございます。少量新規化学物質、年間1トン以下ですね、そして低生産量の新規化学物質確認制度、年間10トン以下のものでございますけども、こういったものにつきまして、昨今、少量多品種の化学物質が多く出てくるというふうな状況になっておりまして、そういうふうな高機能な化学物質の利用を促進するために、国全体で年間1トン、年間10トンの製造・輸入量の規制というものを見直してはどうかというふうな意見等もあるという課題の中で、その対応ということでございますけども、人の健康や生態系に対する安全性の確保と我が国化学産業のイノベーションの環境整備の両立のために、事業者が化学物質を適切に管理し環境汚染が生じないよう必要な措置や履行状況の確認のための事後監視が講じられることを前提とすることが求められる、というような形の方向性というのが検討会では示されております

 また3点目、化学物質管理に関する課題への対応の方向性ということで、新規化学物質の審査におきまして、有害性が非常に強いものがありますと。で、環境中に放出される場合にはリスクが顕在化する可能性があるというものがございますけども、環境排出量が非常に小さいため、優先評価化学物質には相当しないということで、もちろん第二種特定化学物質にも相当しないというものがございます。こういったものは有害性が強いということであって、優先評価化学物質等に該当しないということで、管理が行き届かなくなる可能性があるというような指摘がありますということで、これは評価方法の運用の見直しを検討することとか、そのほかの対応について検討していくことが必要と考えられるといったことが指摘されたというふうな状況でございます。

 予備的な検討で、こういった課題、そして対応の方向性を含め、指摘されているところでございますけども、こういったことの状況を踏まえまして、小委員会のほうで化審法の施行状況として必要な措置についてご議論いただきたいと思いまして、設置について議題に諮るものでございます。どうぞよろしくお願いします。

○相澤部会長 はい。ありがとうございました。

 それでは、ただいまのご説明に対してご意見、ご質問がございましたらば、札を立てていただけますでしょうか。よろしいでしょうか。

(なし)

○相澤部会長 それでは、ありがとうございました。ご意見がないようでございますので、本部会に化学物質対策小委員会を新たに置くことといたしまして、属すべき委員及び小委員長の選任につきましては、中央環境審議会議事運営規則第8条に基づきまして、部会長、私が指名することとしたいと存じます。よろしいでしょうか。

(了承)

○相澤部会長 はい。ありがとうございました。それでは、本部会に化学物質対策小委員会を設置することといたします。

 以後の報告事項につきましては、事務局からまとめて報告していただきまして、その後、委員の先生方からご意見、ご質問をいただきまして、最後にまとめて伺いたいと思いますので、事務局からご説明をお願いいたします。

○立川環境安全課長 それでは、恐縮です。右肩に「資料4」とあるものに基づいて、熱中症に関する取組についてご報告申し上げます。熱中症に関する取組につきましては、毎年報告させていただいておりますので、新たな取組を中心にご説明申し上げたいと思います。

 まず、お手元の資料4の1番でございますが、熱中症関係省庁連絡会議の開催。ここ自身は特に変わっているものではございませんが、平成28年度、今年度、そのパラグラフの一番最後にありますとおり、記者向けの勉強会を開催させていただきました。具体的にどういう形だったのかということは、幾つかの特集記事とか社説も少し見られるようになっておりますので、この勉強会をやったから書いてもらえたとまでは言えませんけれども、それなりに活用していただけているのかなというふうに思っております。

 今のところ、熱中症に関しても、7月になってから、既に1万人を超える方が緊急搬送されておりますので、東日本にいると、ちょっと何かそういう感覚が薄れちゃうのですが、西日本ではかなりひどい状況になっているというふうに伺っております。

 2番でございます。マニュアル等の作成・配布ということで、大きく分けて二つの取組を新たにやっております。④でございますが、1つは熱中症に関して学べる動画、これを作成いたしまして、インターネットで公開するとともに、DVDに収録しております。

 それから、⑤でございますが、2020年に東京オリンピック・パラリンピックがあるということもございまして、夏季にイベントを開催する主催者、例えばオリ・パラの実行委員会といったところになってくるわけですが、そういった方々のための熱中症対策ガイドライン。これを暫定的に作成いたしました。暫定的にと申し上げましたのは、今後いろんな夏季のイベントで、その使い勝手等を検証しながら、改良していきたいというものでございます。

 こういった形で、熱中症に関する取組も引き続きしっかり進めてまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

○相澤部会長 はい。ありがとうございました。

 それでは、2番目の富山環境大臣会合に関係してお願いします。

○髙橋水銀対策推進室長 では、続きまして、G7富山環境大臣会合、それから水銀対策に係る日米協力についてご報告いたします。資料5の1ページ目に概要をまとめていますので、これを中心にご説明をしたいと思います。

 まず、G7富山環境大臣会合ですけれども、今年の5月15日から16日、2日間にかけまして、富山県富山市で開催をされました。このG7/G8の環境大臣会合は、今回7年ぶりの開催ということになっています。G7各国とEUのほかにも、地球環境ファシリティでありますとかOECD、UNEPといった招聘機関が参加しました。

 この中では、環境問題に関わるあらゆる議題について議論されておりまして、例えば気候変動、資源効率性、2030アジェンダ、生物多様性、都市の役割、海洋ごみ、それから化学物質管理について議論されました。

 この議論の成果は、コミュニケという形でまとめられています。コミュニケの仮訳として化学物質関係のみをまとめたものがございますので、詳細はそちらをご覧いただければと思いますけれども、今後とも化学物質管理に関する取組の重要性を認識するといったこと、それから、2020年以降の化学物質と廃棄物の適正管理に関する国際的な議論の加速化について、引き続き取り組むことで一致といったことが書かれております。

 それから、この化学物質管理のセッションの中では、水銀と子どもの健康と環境に関して主に議論が行われたわけですけれども、水銀に関する水俣条約の早期発効、それから締約国における条約の実施を引き続き支持するといったこと、それから、化学物質が子どもの健康や成長に与える影響を理解するための長期的かつ大規模な疫学調査を高く評価しつつ、今後もこの子どもの健康と環境に関する科学的知見の共有を推進することで一致といったことが書かれています。

 会合では日本での水銀の取組でありますとか、日本での子どもの健康と環境に関する取組についてもご紹介をしたわけですけれども、特に子どもの健康と環境の関係では、日本が行っていますエコチル調査というのは、世界的にも非常に重要視されておりまして、日本での取組が注目されているところが各国の発言を見てよく分かりました。

 それから、その下ですけれども、水銀対策に係る日米協力について資料としてまとめています。

 これまで日米首脳会談で、昨年の4月に安倍首相がワシントンに訪米されたときに、水俣条約の目的に貢献すると合意しており、これを受け昨年8月の日米環境政策対話の中で、当時の望月大臣それからEPA長官の間で、共同声明として、水俣条約の実施に関する協力について確認をしておます。今年の5月、EPA長官が富山環境大臣会合の際に日本に来られ、それにあわせてフォローアップのための共同声明を富山で出しています。

 その具体的な中身は、水銀の部分だけ抜き出して資料として添付していますので、詳細はそちらをご覧いただければと思いますけれども、共同声明の概要としましては、GEF、地球環境ファシリティの資金を活用して、アジア太平洋地域における水銀モニタリングの能力強化を推進するといったこと。それから、条約の有効性評価、条約に基づいて取組がどのように進捗していくかという評価をすることになっていますけれども、関連のモニタリングの計画作りに関して連携するといったこと。それからASGM、零細小規模金採掘での水銀の使用に関しまして、インドネシアでのステークホルダーミーティングの開催でありますとか、地域の水銀フロー評価の実施をするといったことを富山の環境大臣会合にあわせまして、日米の共同声明という形で出しています。

 以上でございます。

○相澤部会長 はい。ありがとうございます。

 それでは、最後に福島県民の件、お願いします。

○前田放射線健康管理担当参事官 はい。放射線健康管理担当参事官の前田でございます。資料6、「福島県県民健康調査「甲状腺検査」の現状について」に沿って説明をさせていただきます。

 2ページ目でございます。この福島県における住民の健康管理等に係る取組についてでございますが、国が交付金を拠出いたしまして、福島県民健康管理基金という基金を造成して、原子力災害から住民の健康を確保するのに必要な事業を中長期的に実施するための基金として設立されてございまして、そちらの基金を活用して、福島県におきまして被ばく線量や健康状態を把握するための健康管理等を実施しているところでございます。

 そして、その中に県民健康調査事業と、そして安心・リスクコミュニケーション事業と2点ございますが、この県民健康調査事業の詳細調査の中に、事故当時概ね18歳以下の子ども約37万人を対象といたしました甲状腺検査、こちらを実施をしているところでございます。

 続きまして3ページ目でございますが、こちらが福島県による甲状腺検査を平成23年10月から行っておりますが、目的といたしましては、現時点での甲状腺の状況を把握するとともに、子どもたちの健康を長期的に見守るということを目的としてございます。

 対象者でございますが、先行検査は事故当時概ね18歳以下だった全県民、そして本格検査につきましては、その先行検査に加えまして、被災時に胎児であった者等を追加しているということでございます。

 検査方法につきましては、一次検査といたしまして、甲状腺の超音波検査を実施すると。そして5.1mm以上の「結節」や20.1mm以上の「のう胞」を認めた者ですとか、状態から判断して直ちに二次検査を要するB判定、C判定という方につきましては、二次検査を行っているというものでございます。

 続きまして、4ページ目でございます。こちらは先行検査の結果でございます。一次検査におきましては受診率が80%ということでして、このB判定の方が0.8%、C判定の方が1人、0.0%ということでございました。その後行われました二次検査につきまして、102名が手術を受け、101名が「がん」という形で、病理学的にも診断がされているというところでございます。

 この右下のところですが、青森、山梨、長崎の、福島県以外の3県における甲状腺有所見率調査の結果と、この福島県の先行調査の結果を比較してございまして、そしてこのA判定とB判定の割合、もう、ほぼ、福島県とほかの3県で同様だったということで評価されているところでございます。

 そして、5ページ目でございます。こちらは4月の本部会以降に、福島県の県民健康調査の検討委員会が6月6日に開催されてございますので、最新のデータとなってございます。この福島県の検討委員会の資料から作成した甲状腺検査結果の資料でございますが、一巡目の検査は、一次検査の受診率が約8割。二次検査につきましては、この下から3段目ぐらいのところですかね、おおよそ2,100人程度の方が二次検査を受診され、101名の方ががんと診断されているところでございます。二巡目の検査が、この右から2列目でございます。こちらは一巡目よりも受診率が下がってございまして、7割程度ということでございます。二次検査の対象となった方が2,061人、そして二次検査を受けた方が1,345人ということでございまして、うち30人の方ががんと診断されているというところでございます。

 6ページ目でございますけれども、平成26年の環境省の専門家会議の中間取りまとめの概要がこの上の真ん中の主なポイントというところに記載してございまして、そして、その翌平成27年の2月に出されました当面の施策の方向性として、(1)から(4)までの4項目を挙げているところでございます。本日、新しい資料といたしましては、この7ページでございますけれども、この4つの点のそれぞれにつきまして、対応状況をまとめているところでございます。(1)から(4)までございますが、まず、この福島県内及び近隣県における住民の方々への対応という点から申し上げますと、(4)のリスクコミュニケーション事業のところを、まず説明させていただければと思います。

 まず放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料、この改訂を毎年行っているところでございますが、今年も6月に改訂いたしまして、ウェブページによりまして、放射線による健康影響をわかりやすくお伝えするポータルサイト、それを設置して、週に1回更新をしてございます。そして、継続した正確な情報発信を行っているところでございます。

 福島県及び福島近隣県での住民対応に当たる保健医療福祉関係者、教育関係者、自治体職員等に対しまして、対象者のニーズに応じた研修を、平成27年度までに132回開催し、3,973人の方が参加しているところでございます。

 そして、福島県及び福島近隣県での住民の放射線に対する健康不安等の軽減のため、対象者のニーズに応じた内容でのセミナーですとか車座集会、こちらを平成27年度までに130回開催しまして、2,432人が参加しているところでございます。

 そして、住民を身近で支える相談員等に科学的技術的な面から組織的かつ継続的な支援を行うために、「放射線リスクコミュニケーション相談員支援センター」、こちらがいわき市に設置されてございますが、そちらにおきましてニーズ収集のための自治体等への訪問を行ってございます。実績につきましては、昨年度、この自治体への訪問を320回実施してございます。そして相談対応が41件、専門家の派遣が10回、研修会の開催が15回実施してございまして、広報用資料も作成しているところでございます。

 次に、(1)から(3)についてでございます。現在、避難指示が徐々に解除されてございまして、広野町、伊達市、田村市、川内村、楢葉町、葛尾村、南相馬市、この7つの制限地域が解除され、自由な往来が可能な状態になってきてございます。そして、この(1)から(3)でございますが、事故初期の被ばく線量の不確かさの精緻化ですとか、福島県と福島近隣県の疾病罹患動向を把握して、事故初期の影響の把握を行うものでございます。

 (1)の事故初期における被ばく線量の把握・評価の推進につきましては、事故初期の被ばく線量の不確かさなどの問題解消を図るために、平成26年度から国際医療福祉大学クリニックの鈴木元先生を主任研究者とした「東京電力福島第一原子力発電所事故における住民の線量評価に関する包括研究」を、今年度まで実施中でございます。本事業につきましては、このソースタームと申しまして、原子炉損傷によって放射能を持つ核種が放出される際に、その被ばく解析に必要な放射量ですとか核分裂後の生成物質、そういったものについて最新のデータをもとに解析いたしますとともに、大気中に核種が輸送し、拡散し、沈着していくシミュレーションのモデル、いわゆるWSPEEDIですとか、他の線量評価手法を改良し、その有効性を確認しながら、事故初期のより精緻な被ばく線量推計を可能とする調査研究を行っているところでございます。去る6月6日に開催されました福島県の検討委員会で、この事業の概要と進捗状況が報告されているところでございます。

 そして、(2)の福島県及び福島近隣県における疾病罹患動向の把握につきましては、昨年度から大阪大学大学院医学研究科の祖父江先生を主任研究者として、福島県内外での経時的な疾病の動向の把握に係る調査研究事業を開始してございます。具体的には、既存統計情報から、がんですとか、あと循環器疾患、出生時の先天異常など、がん以外の疾患につきまして、経時的な有病率、発症率、死亡率の変化を分析し、福島県内外での比較を行っているところでございます。

 (3)の福島県の県民健康調査「甲状腺検査」の充実につきましては、昨年7月より福島県が甲状腺検査サポート事業を開始し、この事業におきまして甲状腺検査において医療が必要な結節というしこりが見つかった方に対して、医療にかかる経済的負担を支援しつつ、診療状況を提供いただくという取組も行っているところでございます。

 説明は以上でございます。

○相澤部会長 はい。ありがとうございました。

 3つの報告につきまして、委員の先生方からご質問、ご意見がございましたらば、札を立てていただければと思います。

 それでは、藤井委員、お願いいたします。

○藤井委員 福島の件で質問させていただきたいと思います。

 今年、チェルノブイリの30周年ということで、集中して、随分いろいろと情報が出ました。1つお尋ねなんですが、2011年に、ロシア政府からの報告書それからウクライナ政府からの25周年の報告書が出ていますが、それは全部日本語版に、まだなっていないですよね。でも、その存在はご存じかということと、そこにどのぐらい学んでいるかという、それをぜひ伺いたいというのが一つあります。

 つまり、常に、この4ページにあるように、この間もたびたび申し上げてきましたが、この原発由来のものとは考えにくいというこの論拠に、既に狂いが生じている。例えば、3項目の、「事故当時5歳以下はいない」とありましたが、5歳の子にも発現しています。それから、調べていくと、今回いろいろ調べていくと、チェルノブイリの2年目から甲状腺がんが増えていて、むしろ4、5年目に非常に増えていると。そのあたりのことも、特にウクライナの政府報告書がかなり詳しく書かれていると思いますが、そこのチェルノブイリに学ぶというところがこのベースで欠けているのではないかということが、1つ、質問です。

 それからもう1つが、子ども被災者支援法で、先ほどの報告の中に、子どもの保養の話とかは今回報告がありませんでしたが、今、滋賀県で、2カ所で1カ月ずつ、子どもたちの保養キャンプを、2011年からずっとやっているんですが、しています。今回、また二度目、チェルノブイリに行きましたが、ウクライナは特に政治・経済状況が大変悪いですが、健康調査については、非常に、もう90何%受けているということと、それから汚染地以外での保養ということは充実しています。ただ、ほかについては、経済的な状況が悪いので、チェルノブイリ法にのっとったような形では必ずしも施行されていないということも片側ありますが、いずれに――とおいても、子ども支援法とは、日本でつくったものとは全く違う。それからもう1つ、このチェルノブイリ法を施行するに当たって、プリピャチからキエフに避難している、ゼムリャキという避難者の方たちに、今回、随分会ってきました。

 このチェルノブイリ法をつくるときに、この被災者たちが相当入り込んで、意見を言いながらこのチェルノブイリ法ができている。これは、当面、当面ということで、この子ども被災者支援法がずっと動いていますが、当面ではなくて、もう5年、6年目に入っていますから、ぜひ、これでいいのかということと、この形で本当に被災者に向き合えているのかということを考えたときに、今のままをもう一度この、チェルノブイリ法ができたのも5年目。ここもちょうどそういう切れ目に入っていると思いますので、今までの当面の取組ということをずっとやっていくのではなくて、一度立ち止まって学ぶということと、見直しということが必要なんではないかというふうに考えます。

 以上です。

○相澤部会長 どうぞ。よろしいですか。

○前田放射線健康管理担当参事官 では、ご質問いただきまして、ありがとうございます。大きく4点ほど、ご質問いただいたとおり、回答したいと思います。

 1点目が、ロシア、ウクライナの政府の発行した、そういったチェルノブイリについての教訓について学んでいるかどうかということと、あと、当時5歳児の方から今回甲状腺がんの発見が見られたということについての考え方。それからあと、チェルノブイリでは、非常に、健康調査の受診率が高いということについての、それに学んでいくべきじゃないかというお考え方。それから4点目が、子ども被災者支援法に基づく施策について見直しが必要ではないかという4点ということで、まず回答させていただければと思います。

 まず1点目の、この、ロシアですとかウクライナの25周年についての政府文書が発行されたということについては認識いたしてございます。その関連では、この放射線健康管理担当参事官室で各種調査事業を行ってございます。放射線による健康影響ですとか、あと生体影響、そういったもののデータを委託業者にお願いして収集していくということを今年度も行ってございます。そういった中で、確かに英語でとかロシア語で読めないそういった文章について、できるだけ日本語の形で収集していきたいというふうに考えてございます。そしてまた、その日本語の形で調査研究の報告書をいただいた上で、時期が来れば、きちんとチェックした上で、環境省のホームページを通じて、情報を、委託事業の成果として公表していければというふうに考えているところでございますので、そちらについて、またこれからもご意見いただきながら学んでいきたいと思ってございます。

 それから、事故当時5歳児の方が発症したという点につきまして、こちらの6ページで、この主なポイントの丸の2つ目のところで、先行検査で発見された甲状腺がんについて、原発事故由来のものであることを積極的に示唆する根拠を現時点で認められないという結論と、それについてはこの4ページの左下の、5つの点が挙げてございますのは事実でございます。そして、委員がご指摘の点があったのは、こちらの4ページの左の下の小さな三つ目の括弧のところですね。「乳幼児(事故当時5歳以下)はいないこと」ということが、このときの、平成26年12月の中間取りまとめの根拠になっているところでございます。こちら、今回、6月6日の福島県の委員会で公表されました、事故当時5歳児という方につきましては、先ほど5ページで説明しました二巡目の方から出たということでございます。ですので、この一巡目の方については、一番年の若いお子さんが6歳だったという事実はまだ変わってございませんので、この4ページの左下の先行検査の結果の評価として、原発事故由来のものとは考えにくいという評価については変わらないところでございます。またその二巡目の評価が、今後、福島県の委員会で行われているところでございます。梅田部長も、環境省の代表として、その県民健康調査の委員会に参加してございますので、そういった技術的支援も行いながら、動向を見守ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

 そして、3点目の、チェルノブイリに学ぶということで、2年目から少し甲状腺がんが増えてきたということと、4、5年目から有意に増えてきたんじゃないかということでございます。そちらのデータも、ちゃんとチェルノブイリの報告という形で収集してございますし、一部は統一的基礎資料の中にも、チェルノブイリの結果なども広報してございますので、そういったチェルノブイリに学ぶということについては、引き続きやっていきたいというふうにございます。

 ただ、今のところの評価といたしましては、この6ページにございます中間取りまとめの段階のものが最新のものでございますし、また、福島県の今年の3月に公表しました、これまでの健康調査の結果についての評価についても同様な形でございますので、今のところ、有識者による検討の結果を見る限りにおきましては、その原発事故によって甲状腺がんが顕著に増えているという状況にはないということでございます。ただ、この原発事故由来かどうかというものにつきまして、今までデータとして、本当は横軸に放射性の被ばく線量、縦軸に甲状腺がんの罹患率という形で見ないといけないところが、チェルノブイリのデータもそうなんですが、事故から何年たったかということしか今データがないということでございます。

 ですので、そういう意味でいきますと、7ページの(1)番でございますが、事故初期における被ばく線量の把握。これは放射線による影響とみなす上で重要なことになってまいりますので、その被ばく線量の精緻化、これを進めていくということが重要かと思ってございます。それによって、被ばく線量が多くなればなるほど甲状腺がんが増えたかとか、そういう線量と発症との相関関係、そういったものを今後また追求していきたいというふうに考えております。そういったデータが出た段階で、また本部会に報告してまいりたいというふうに考えているところでございます。

 それからあと、チェルノブイリにおいては、健康調査の受診率が90%を超えていたということでございます。先ほども、福島の一次検査の結果で、一巡目が8割、二巡目7割ということで、事故当時18歳以下だったお子さんも、もう、上のお子さんは23歳となってございますので、だんだんと、高校を卒業して進学とか就職という形で、福島県から移動される方、移住される方も多いということを伺ってございまして、なかなかこの追跡が難しくなってきているというのは事実でございます。ですので、今現在、県外でこの甲状腺検査を受けられる機関が105ございますので、そちらをまたこれから増やしていくというふうな取組と、その甲状腺検査のサポート事業という形で、医療費の自己負担分を補助しながら、診療情報のデータをいただいていくというふうなことを続けていくということで、この受診率のアップに引き続き取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。

 それからあと、最終、4点目の子ども被災者支援法に基づく対策の見直しということでございますが、この当面の施策の方向性については、まず科学的な根拠によって進めていく、科学的知見に基づいて対応していくことが必要というふうに考えてございますので、こういった(1)から(4)、こういったものを当面進めていくということによりまして、まずエビデンスに基づいた環境行政、環境保全行政を進めていくという観点から、データの収集にまず努めていきたいというふうに考えているところでございまして、その後に必要な施策の見直しなどについては、また先生方のご意見をいただきながら検討していく必要があるというふうに考えてございますので、まずはこの(1)から(4)をできるだけスピードを上げて対応していきたいというふうに考えているところでございます。

 説明は以上でございます。

○相澤部会長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。

 崎田委員、お願いいたします。

○崎田委員 ありがとうございます。コメントを1つと質問を1つ、したいと思いますが。

 コメントのほうは、今、資料6でお返事があった内容にもうかなり含まれていますのでコメントにいたしますが、福島の甲状腺検査に関して、福島県全体の状況では、ほかの県と変わらないというような結果が出ておりますけれども、どこにお住まいだったかという被ばく線量によっての違いがどう出てくるのかなど、これからきちんと見ていっていただくこと自体は大変重要だと思っております。先ほどの返事の中で、7ページの「事故初期における被ばく線量の把握・評価の推進」と書いてあります。やはりここを丁寧にやっていただきながら、被ばく線量の高い地域にお住まいだったご家族の方、お子さんたち、そういう方たちに対するフォローを、できるだけきちんととっていただきながら支えていただくということが非常に重要だと思っております。双葉郡の福島第一に非常に近いところから避難されて、埼玉で暮らしておられる方とよくお話ししますが、ご家族全員が、これからどうなるんだろうという恐怖感はやはり非常に強いものがありますので、現実的な状況と、この(4)のリスクコミュニケーションのところと、やはりこの辺の両面から支えていただくというのが大変重要だと感じますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 もう一点質問に関しては、資料4の熱中症のところですが、熱中症で亡くなる方がおられる、そういうことを考えると、やはり非常にこの問題はこれからとても重要な視点だとここのところ感じております。特に、1ページ目の一番下の⑤の、今後の夏季のイベントということですが、東京オリンピック・パラリンピックは真夏の開催ですので、その時期に、海外から訪れた方に被害が出ことになったら大変な話ですので、やはりどういうふうに、まちや、暮らし方なり、いろんな意味で対応していくのかというのは、今から計画を立てて、トライ・アンド・エラーをしていきながら2020年に向かっていくということが大事ではないかと思っています。

 既にそういうようなことをやっておられると思いますが、どんなふうにお考えになっているかをちょっとお聞かせいただきたいと思いました。よろしくお願いします。

○相澤部会長 はい。ありがとうございます。

 井内委員、お願いします。

○井内委員 井内でございます。

 先ほどの福島の放射線被ばく事故のほうに話が戻るんですが、今後の施策の方向性に関して、先ほどからご指摘あるように事故初期の被ばく線量を把握するということが大変重要であるということは、サイエンティフィックに非常に重要な点だと思うんですが、これが、広島の経験から言いますと、大変難しい。これもよくご存じだと思いますが、それをどのように評価のシステムをつくっていかれるかというのは、鈴木先生も広島におられましたのでよくご存じだと思うんですけれども、過去の広島でのさまざまな経験というのを参考にされて、これをぜひきちっと決めないと、やはり、とにかくサイエンティフィックに評価されるデータを我々がきちんとこの反省の上につくっていくということにならないと思うので、ぜひ、ここはよろしくお願いをしたいと思います。

 それからもう1点は、7ページの(2)にあった、福島県内の経時的な疾病の動向調査ですね。これは、27年度から始められたということなんですが、どの程度の期間をやるというような方向性が出ているのかどうか。これは、放射線被ばくの問題というのは大変長期にわたる問題になるので、例えば3年とか5年の調査研究で結論が出るというようなものではないので、以前にも申し上げたと思いますが、かなり長期的な視点に立った追跡調査というのが必要だということを、もう一度ちょっと確認をしていただければと思います。

 2点です。どうもありがとうございます。

○相澤部会長 はい。

 ほかにはよろしいでしょうか。

(なし)

○相澤部会長 はい。それでは、今のご質問にお答えいただけますか。

○前田放射線健康管理担当参事官 では、崎田委員のリスクコミュニケーションについてのコメントと、井内委員の、線量評価と疫学調査についてのコメントについて答えさせていただきます。

 まず、このリスクコミュニケーションの推進につきましては、この放射線リスクコミュニケーション相談員支援センター、こちらの運営委員会に崎田委員もご参加いただいてございますので、また引き続きご助言いただきながら進めていきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 また、線量評価のシステムについて井内委員のご指摘でございますけれども、私も広島県の放射線影響研究所、一度見学させていただきまして、広島、長崎の原爆のときに、家の位置がどういった位置で、そのときにどういった姿勢で被爆者の方がおられてと、そういう外部被ばくのデータを非常に細かにとっておられたというふうな印象を持ってございまして、その広島、長崎の原爆は外部被ばくが中心だったんですが、今回の福島については、外部とまた内部と、両方とございます。そして、割と長期にわたって被ばくし続けた――内部被ばくは特にそうだと思いますが、被ばくし続けた可能性がございますので、そのあたり、どういった核種とか、放射性物質が輸送されて沈着していったかということと、その対象の住民の方がどういった行動をとられたかというふうなモデルを、鈴木先生のところで厳密に、緻密な研究をされているというふうに伺ってございますので、またそのあたりは鈴木先生とも相談しながら進めていきたいというふうに考えてございます。

 それから、この(2)の大阪大学の祖父江先生の研究班でございますが、まず、この既存統計ということでございまして、こちらも研究班会議に前回一度参加させていただきまして、まさにどの段階からスタートするかということで、既存統計としては、遡りの形で、昭和50年とか60年ぐらいから、死亡率とか、がん登録のデータとか、そういうものを遡ってどこまで見るほうがいいのか、そして平成23年を境にどういうふうに変化したか、そういうバックデータをどこまで遡って見るかということにかなり議論されていた記憶がございます。まず、ベースラインをどういうふうにとるか。その後、2011年以降、何年後まで追いかけていくかというので、チェルノブイリのケースでも、先ほど4年後ぐらいから増え出したというご発言もございましたが、その後、10年、15年と、だんだんと、事故当時0歳から4歳だったお子さんについては、発症率が伸びていったというふうなこともチェルノブイリの事例でございますので、そちらにつきましては、現在、調査研究事業ということで行ってございますが、この調査研究事業が続く限りは続けていきたいというふうに考えてございます。

 以上でございます。

○相澤部会長 はい。ありがとうございます。

 よろしくお願いします。

○立川環境安全課長 はい。続きまして、環境安全課長立川でございますが、熱中症につきまして崎田委員からご質問いただきましたので、お答え申し上げたいと思います。

 熱中症、特に、委員ご指摘の部分、海外の方がオリ・パラに来られて、そういった方に被害が出ないようにと、どういった取組をされているかというご質問をいただきました。

 まさしく、オリンピック・パラリンピックというのは国家行事でございますので、内閣官房が中心となりまして、オリンピック・パラリンピックの熱中症対策についての関係省庁連絡会議というものが設置されております。もちろん、環境省もそこに参画しております。

 そこの中において、例えばイベントでございますので、会場をどういうふうに今設計していくのかという話もございますし、それから、どうしてもイベント特有の、何といいますか、列ができる、と。そういった列の工夫も必要だよねということがありますし、それから、やっぱり、異常を訴える方はどうしても出るので、それに対応した緊急搬送、どういうふうな医療体制を構築すべきかといったことも話題になっております。さらに、外国人という視点で言いますと、必ずしも熱中症というもの、すなわち蒸し暑いということについて、その結果、体の具合が悪くなるということをご存じないという方もいらっしゃるということもございますので、そういう方への広報というものもしっかりやっていかなきゃいけないという話がございます。

 こうした問題につきまして、2020年を待つことなく、さまざまなイベントの機会、それから、実は明日も外国から来られた方に向けた声かけのイベントというものが渋谷であるのですけれども、そういった形を活用しながら、どういうふうにやったら、できるだけ予防ができ、どういうふうに軽症化できるかということの取組をしていきたいというふうに思っております。

○相澤部会長 はい。ありがとうございました。

 ほかにはよろしいでしょうか。

(なし)

○相澤部会長 はい。ありがとうございます。

 それでは、今日は事務局の準備していただいた資料が大変よくて、順調に議論が進みまして、ありがとうございました。なお、まだ先生方からいただいたご意見ございましたので、それを参考に今後の環境保健行政を進めていただくようお願い申し上げます。

 それでは、本日予定の議題はこれで終了いたしましたので、事務局にお戻しいたします。

○大森環境保健企画管理課長 はい。本日は活発なご審議、貴重なご意見、どうもありがとうございました。議事録の扱いと次回の日程について、お伝えいたします。

 冒頭も申し上げましたけれども、本日の議事録は、原案を作成しまして、委員の皆様にご確認いただいた後で、環境省のウェブサイトに掲載する予定ですので、よろしくお願いいたします。

 次回の日程につきましては、また改めて調整させていただきたいと思います。

 それでは、以上で第36回中央環境審議会環境保健部会を終了したいと思います。どうもありがとうございました。

午前11時54分閉会