中央環境審議会環境保健部会(第34回)議事録

議事録

午後3時00分開会

○近藤企画課課長補佐 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第34回中央環境審議会環境保健部会を開催いたします。

 私、環境保健部企画課の近藤と申します。議事の開始まで進行を務めさせていただきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 委員の皆様におかれましては、ご多忙にもかかわらず、ご出席をいただきまして誠にありがとうございます。

 この会議は、公開で開催をいたします。また、議事に入ります前に、冒頭のみカメラの撮影を許可しております。

 傍聴をいただいている方々には、傍聴券に記載をさせていただいておりますとおり、次の留意事項を守っていただけますようお願いいたします。1番、静粛を命とし、審議の妨害となるような行為は慎んでください。2番、携帯電話等の電源は、呼び出し音が出ないようにして傍聴をしていただければと思います。3番、会議の開始前後を問わず、会議場内において委員等に対して抗議または陳情等はお断りをいたします。4番、その他の事務局の職員の指示に従うようお願いをいたします。以上の事項を守っていただけない場合、退場をしていただくことがありますので、ご協力のほう、よろしくお願いをいたします。

 環境保健部会委員及び臨時委員27名のうち、本日は22名のご出席いただいており、定足数に達しておりますこと、本部会は成立をしていますことをご報告申し上げます。

 まず、審議に先立ちまして、部会に所属する委員の変更について、2件ご報告を申し上げます。

 日本労働組合総連合会総合政策局社会政策局長の交代に伴いまして、井上久美枝委員にかわりまして、新たに小熊栄委員にご参画をいただくことになりました。

 また、電気事業連合会環境専門委員会委員長の交代に伴いまして、井上祐一委員にかわり、新たに河上豊委員にご参画をいただくことになりました。

 どうぞよろしくお願いいたします。

 また、事務局側のほうにも人事異動がございましたので、簡単にご紹介をさせていただきます。

 まず、環境安全課長の立川でございます。

 続きまして、保健業務室長の倉持でございます。

 最後に、石綿健康被害対策室長の高城でございます。

 続きまして、配付資料の確認をさせていただきます。

 資料一覧にありますように、資料1から10を置かせていただいておりますので、資料の不足がございましたら、事務局までお申しつけをいただけますようお願いを申し上げます。

 なお、この度、環境省として、環境負荷削減等の観点から、審議会等のペーパーレス化について試行的に取り組むこととなり、今回の環境保健部会についても、この一環で一部ペーパーレス化をさせていただいております。

 具体的には、今回の環境保健部会については、3件の審議事項に係る資料は、委員の先生方、そして傍聴に来られた皆様に全て配付をさせていただいておりますが、報告事項に係る資料、印刷物は、委員の先生方のみへの配付とさせていただいております。傍聴に来られた皆様につきましては、傍聴券にてお知らせをしておりますとおり、ノートパソコンやタブレット等で環境省のWebサイト上の資料をご覧いただくか、お近くのスクリーンをご覧いただく形にさせていただいております。皆様のご理解とご協力をいただきますよう、お願いをいたします。

 本部会の資料につきましては、原則、全て公開とさせていただきたいと思います。また、本部会終了後に、発言者名を示した議事録を作成いたしまして、委員の皆様方にご確認いただきまして、ご了解をいただいた上で公開をさせていただきたいと考えております。

 ここで、事務局を代表いたしまして、環境保健部長の北島よりご挨拶を申し上げます。

○北島環境保健部長 新年あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 委員の先生方におかれましては、本当に、新年早々、お寒い中ご出席をいただきまして、誠にありがとうございます。また、新たに委員にご就任いただきました先生方には、厚く御礼を申し上げますとともに、環境保健行政の推進のため、ご見識を賜りますようお願いを申し上げます。

 さて、昨年7月には、水俣条約対応検討小委員会におきまして、水銀に関する水俣条約を踏まえた今後の水銀対策に関する第二次答申を取りまとめていただきましたこと、本当にありがとうございました。この二次答申を受けまして、水銀汚染防止法の政省令を策定し、昨年中に公布されたところでございます。引き続き、水銀汚染防止法の施行に向けて必要な準備を進めてまいりたいと考えております。

 また、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約、いわゆるPOPs条約で新たに規制対象物質に加えられました二つの物質群を化学物質審査規制法の第一種特定化学物質に指定する件につきましては、化学物質審査小委員会におきまして、所要のご審議をいただき、昨年8月と10月に二つの答申を頂戴いたしました。答申の内容につきましては、後ほどご説明申し上げます。

 このほか、新規化学物質の審査を初めとする化学物質対策、石綿による健康被害対策等につきましても、ご協力をいただいているところでございまして、これらさまざまなご審議にご尽力をいただきました先生方に、改めて深く感謝を申し上げます。

 本日は、公害健康被害補償法に基づく補償給付額の改定、石綿健康被害救済小委員会の設置、第四次環境基本計画のうち化学物質分野の点検の以上3件についてご審議をいただくとともに、環境保健行政に関する最近の動きについて、ご報告申し上げたいと考えております。

 今後とも、委員の皆様方のご見識を賜りながら、よりよい環境保健行政を進めてまいりたいと考えておりますので、幅広い観点から活発なご議論をお願い申し上げまして、簡単ではございますが、開会の挨拶とさせていただきます。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。

○近藤企画課課長補佐 それでは、ここからは相澤部会長に議事進行をお願い申し上げます。

○相澤部会長 本日は、お集まりいただきまして、ありがとうございました。

 早速でございますけれども、審議に入りたいと思います。

 まず、審議事項の一つ目で、公害健康被害補償法に基づく給付額の改定についてでございます。本件につきましては、資料2のとおり、中央環境審議会に意見を求める諮問が環境大臣から昨年12月22日付で出されております。この諮問は、同じく12月22日付で環境保健部会に付議されましたので、本日、当部会で審議をしたいと存じます。

 それでは、事務局から説明をお願いします。

○倉持保健業務室長 保健業務室の倉持です。それでは、お手元の資料2をご用意いただければと思います。

 資料2の1ページ目でございますが、ただいま部会長からもご説明がございましたが、これが公健法の規定による障害補償費の改定についての諮問書でございます。

 2ページ目の上段が平成28年度の障害補償費の改定額で、男女別・各年齢階層別の月額が記載されております。下段が同じく遺族補償費の改定額ということになります。

 続きまして、3ページ目でございますが、これも部会長からご説明ございましたが、中環審から当部会への付議についての文書になります。

 以降、4ページ目でございますけれども、今回、諮問をさせていただいた公健法の該当条文を参照条文としてお示ししております。第26条第2項に、この障害補償標準給付基礎月額につきましては、労働者の賃金水準、その他の事情を考慮して、環境大臣が中央環境審議会の意見を聞いて定めるということとされておりまして、同じく遺族補償費につきましても、第31条において同様の規定により中央環境審議会の意見を聞いて定めるということにされております。さらに、同じページの下段のほうでございますけれども、障害補償費の月額につきましては、性別及び環境大臣の定める年齢階層別に区分して、毎年度定めるということにされております。同じく、第17条におきまして、遺族補償費につきましても、性別及び環境大臣の定める年齢階層別に区分して毎年度定めるということとされております。

 続きまして、5ページ目をご覧ください。これらの法令の規定に基づきまして、昭和49年に中央公害対策審議会の答申が出ておりまして、こういった補償費の算定についてのルールが定められております。6の(2)におきまして、給付水準は、障害補償費にあっては「賃金構造基本統計調査報告」による労働者の性別及び年齢階層別の平均賃金の80%、遺族補償費にあっては70%とすることが適当であるとされております。さらに、(3)におきまして、その算定の基礎となる賃金は、前年の賃金実績によることとし、その基礎となるデータは、現在の厚生労働省の「賃金構造基本統計調査報告」、いわゆる「賃金センサス」と呼ばれておりますけれども、これと同省の「春闘による賃金引上げ状況調査報告」、この両方を用いて定めるということとされております。

 続きまして、6ページ目をご覧ください。まず、上段の障害補償費の月額についてでございますが、先ほどの2ページ目の額は月額ということになっておりますが、障害補償費につきましては、障害の程度に応じて給付率が定められておりまして、障害度の大きい特級・1級については給付率が1.0、それに次ぐ2級については0.5、3級については0.3という給付率とされております。下段の遺族補償費についてでございますけれども、ここにちょっと具体的な数値は書かれておりませんが、亡くなられた際の死亡原因が指定疾病にどの程度起因しているかということによりまして、その基礎月額に対して100%、75%、50%という給付率とされております。

 続きまして、7ページでございますけれども、障害補償費と遺族補償費については、前年の賃金実績によることとされておりまして、今回の諮問に係ります平成28年度の額につきましては、平成26年の賃金センサスをベースに算定することとされております。この7ページが、その平成26年の厚生労働省の賃金センサスの結果でございます。男女別に、各年齢階層別の現金給与額が記載されております。男女合計での対前年のアップ率は、ここに記載されておりますが、1.7%ということになっております。

 続きまして、8ページをご覧ください。これは同じく平成26年の賃金センサスについて、対前年のアップ率を男女別・年齢階層別に示したものでございまして、対前年のアップ率は、先ほど申し上げましたように1.7%、男女合計で1.7%。男女別に分けますと、男性で1.6%、女子で2.5%という結果になっております。

 続きまして、9ページ目をご覧ください。この賃金センサスの最近10年間のアップ率の推移を春闘の結果とあわせて示しております。男女合計は、この黒い線になっております。男性が緑、女性が紫ということになっておりまして、ご覧いただくとわかりますように、平成25年、昨年は全体的にマイナスと、アップ率はマイナスということだったんですけれども、平成26年は、男女ともにプラスということになっております。

 続きまして、10ページ目をご覧ください。ここから具体的な算定方法になりますけれども、先ほどの答申にもありましたように、障害補償費については、この前々年の賃金センサスによる労働者の性別及び年齢階層別の平均賃金の80%(遺族補償費については70%)に、さらに前年の賃金推計アップ率を乗じて算出するということになっております。また、激変緩和措置を採用しておりまして、平成14年度の改定からは、賃金センサス全体の推移と2.5%以上乖離している年齢階層については、翌年、そのずれを戻す傾向にあることが統計的に有意であったことから、回帰分析手法を用いて、補正して改定額を算定しております。さらに、平成21年度の改定からは、前年の標準給付基礎月額から2%以上増減していた労働者の性別及び年齢階層については、その増減率をプラス・マイナス2%として算定しております。また、賃金推計アップ率の算出に当たりましては、従来、男女同一の賃金推計アップ率を採用していたのですが、平成26年度の改定からは、男女それぞれの賃金センサスを用いて、男女別に賃金推計アップ率を算出しているという運用をしております。

 続きまして、11ページ目ですけれども、賃金アップ率のトレンドグラフということで、これは5歳刻みの各年齢階層、男女別のトレンドを、ここ10年間のトレンドを表したものでございます。これは参考としてご覧いただければと思います。

 続きまして、12ページ目でございますけれども、先ほど10ページ目の説明の中で、平成14年度の改定から回帰分析手法を用いて補正という運用をしているということを説明いたしましたが、これが2.5%以上乖離していた場合の補正に用いる計算式ということになります。12ページ目が男性でございまして、13ページ目が女性ということになります。

 続きまして、14ページ目をご覧ください。14ページ目が、今回の諮問に係ります平成28年度の障害補償標準給付基礎月額の案で、どのように算出したかというのを表形式で表したものでございます。

 まず、③のところに、今回の改定で算出のもとになります平成26年の賃金センサスの各男女別・年齢階層別の額が記載されております。②が、その前の年の平成25年の賃金センサスの額ということになります。この②と③を比較した増減額が④に記載されております。それを額ではなくて率で表したものが⑤の欄のパーセンテージということになります。

 それで、ここの増減率をご覧いただきますと、70歳以上男性と70歳以上女性が、それぞれ5.6%、11.3%ということで、左上のところの①のところに書かれております男子の1.6%、女子の2.5%の増減率よりも、2.5%以上の乖離があるということで、⑥の欄を見ていただきますと、黄色くなっておりますが、4.0%と8.8%になっておりまして、いずれも2.5%以上乖離しておりますので、これは先ほど説明しましたように、補正の対象ということで、回帰分析による補正が必要になる区分ということになります。

 左下のほうに、70歳以上の男女につきまして、補正の計算式が記載されておりまして、⑬の欄に4%と8.8%をxとして入れまして、計算をいたしますと、それぞれの70歳以上男性と女性の補正の率が⑮のところに率として出ております。この率を掛けますと、それぞれ⑨にあります216.8、181.6という補正後の金額になります。

 ⑧の欄は、先ほど③の欄の平成26年の賃金センサスの額に障害補償費の率であります8割、さらに右上の賃金推計アップ率、男性であれば0.3%、女性であれば0.7%をさらに掛けたものが、この⑧の欄の金額になります。それをさらに70歳以上の男女について補正した額が⑨の欄ということで、基本的には、この額が平成28年度の障害補償費の月額ということになります。

 ただ、ここからさらに、先ほど説明しましたように、激変緩和措置が導入されておりまして、この⑧ないし⑨の額が、現在適用されております平成27年度の障害補償費の月額が⑦に記載されておりますが、この⑦と⑧ないし⑨との差が⑩の増減額、それを率で表したものが⑪の欄の増減率ということになります。この⑪の欄の増減率がプラス・マイナス2.0%を超えているものについては、上下2%の激変緩和措置を採用することになります。

 今回の場合は、男性の場合は、この赤く囲まれています50~54歳の区分と、55~59歳の区分と、70歳以上の区分がプラス・マイナス2.0%を超えておりますので、それぞれ上げ止めないし下げ止めをしておりまして、この赤く囲まれている金額が激変緩和後の金額ということになります。女性につきましては、もうほとんどの年齢階層が2.0%を超えておりますので、25~29歳及び35~39歳の区分以外は全て2%の上げ止めということで、この赤く囲まれた金額が激変緩和後の額ということになります。ということで、最終的には、この赤い枠で囲まれた額が算定された平成28年度の障害補償費月額ということになります。

 続きまして、15ページをご覧ください。これは遺族補償費の月額(案)でございますが、先ほどの計算を、単に障害補償費は8割のところを、ここを7割に変えただけですので、説明は省略させていただきます。

 16ページ目が最後になりますが、このように黄色い色になっている部分がプラス・マイナス2%を超えて激変緩和措置がとられた区分ということになっております。それぞれ障害補償費と遺族補償費の改定(案)ということになります。

 一番最後、16ページ目の左下のところに、参考として年齢階層別被認定者数比率ということで、昨年9月末現在の年齢階層ごとの被認定者数の比率というものを書かせていただいております。ちなみに、被認定者の総数は、昨年9月末現在で3万5,636人となっておりまして、ここでご覧いただくとわかりますように、70歳以上の区分が31.7%ということで、一番多い年齢階層ということになっておりまして、その次が40~44歳、次が35~39歳というような構成になっております。ご審議に当たり、参考にしていただければと思います。

 説明は以上でございます。ご審議のほど、よろしくお願いいたします。

○相澤部会長 どうもありがとうございました。

 それでは、ただいまの内容につきまして、ご意見、ご質問がございましたら、お願いしたいと思います。名札を立てていただければと思います。

 それでは、新美委員、お願いいたします。

○新美委員 基本的なことを伺いたいんですけれども、公健法の給付につきましては、損害賠償責任を前提とした給付ということで、損害賠償の賠償額算定が下敷きにあるかと思います。要するに、実収入が必ずしも把握できない場合には、平均賃金を用いるということでやってきたわけであります。それの8割、7割ということで算定をしていたわけですが、この厚労省の賃金センサスの70歳以上の年齢層をとるというのは、その後、大分たってから行われるようになったんですね。現在の裁判実例を見てみますと、70歳以上について平均賃金をそのまま用いるということはまずない。そういうことを前提にした場合に、単純に件数でアップしているから上げる、下げるということをやるというのは、損害賠償を前提とした救済給付制度ということではないんじゃないかと思うのですが、その辺の検討はなさったんでしょうか。

○倉持保健業務室長 現在のところ、5ページ目の昭和49年の中央公害対策審議会の答申をもとにしているわけでございますけれども、この答申にありますような全労働者の平均賃金を基礎とするという前提に立ちますと、ほかに厚生労働省の賃金センサス以外に参照する適切なデータが現状のところ、なかなかないということで、現在も、この答申をベースに賃金センサスを参考として算出させていただいておりますが、ご指摘も踏まえ、何かほかによりどころとなるようなものがないか、検討していきたいと思います。

○新美委員 この問題は、70歳以上の平均賃金を出した厚労省の統計が出たときから、裁判例の動向をちゃんと調査して、それで確認できたら、そのままやりましょうということで、宿題としてあったはずなんですが、その辺の報告が一度も出ていませんので、どういう考慮をしたのかということを改めてお伺いしたわけです。

○倉持保健業務室長 繰り返しになりますが、過去からご指摘を受けているとは承知しておりますが、現状として、なかなか他にかわるものを見出せないというのが現状でございます。

○新美委員 検討はなさったということですね。

○倉持保健業務室長 現在も並行して検討させていただいておりますし、今後とも検討させていただきたいと思います。

○新美委員 可能ならば、今後、中間報告でも出していただきたいと思います。

○相澤部会長 事務局、よろしいですか。

○倉持保健業務室長 引き続き検討させてください。

○相澤部会長 これから高齢化になって、高齢者も仕事をするようになりますし、また労災のほうも、こういった同じようなことがあって、やはり検討すべき課題かなと思います。

 よろしいでしょうか。事務局でご検討いただいてということで、よろしいですか。新美先生、よろしいでしょうか。

○新美委員 はい。

○相澤部会長 ありがとうございます。

 ほかには、いかがでしょうか。

 崎田委員、お願いします。

○崎田委員 非常に素朴な疑問なんですけれども、基礎給付月額を見ると、2ページのところ、65~69歳の女性というのが、女性の中で、非常に全体がなだらかな曲線を描いていたのが、この年齢だけ非常に落ちているという状態になっているんですが、これは厚生労働省の賃金センサスもそういう状況ですので、こういうふうになるというのは、流れから言えば当然なんですけれども、なぜここが下がるのか少し情報を教えていただければありがたいと思います。

○倉持保健業務室長 賃金センサスのほうについても、ここの部分について、特段解説されているところがございませんので、環境省として、この部分を分析するのはなかなか難しいところがございます。

○崎田委員 ありがとうございます。

 今後、これを実際に個人個人に当てはめていく場合に、そういう質問が必ず出てくるのではないかと思いますので、それなりの情報を調べて、そろえておいていただければありがたいなというふうに思います。

○倉持保健業務室長 ご指摘いただきましたので、厚生労働省などからも情報収集する方向で検討させていただきたいと思います。

○相澤部会長 それでは、わかった内容を崎田委員にご連絡してください。

○倉持保健業務室長 はい、わかりました。

○相澤部会長 ありがとうございます。

 ほかはよろしいでしょうか。

 それでは、改定(案)につきましてはご了承いただいたわけでございますが、2人の委員からご質問があった点につきましては、事務局でできるだけ検討していただいて、中間(案)を出していただくということでお願いしたいと思います。

 では、原案どおり、本日付で当部会から中央環境審議会長に報告いたしまして、会長から環境大臣に答申するよう手続を進めさせていただきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。

(異議なし)

○相澤部会長 それでは、そのようにさせていただきます。ありがとうございます。

 続きまして、審議事項の二つ目、石綿健康被害救済小委員会の設置についてでございます。事務局からご説明をお願いいたします。

○高城石綿健康被害対策室長 

 皆様のお手元に、資料3の資料をご用意願います。

 資料3に基づきまして、石綿健康被害救済小委員会の設置につきまして、(案)について説明をさせていただきたいと思います。

 まず、第1に設置の趣旨でございます。石綿による健康被害の迅速な救済を図るための石綿による健康被害の救済に関する法律がございます。こちらは平成18年3月に施行されまして、これに基づきまして、これまで石綿による健康被害を受けた方及びその遺族に対しまして、各種の救済給付を行っているところでございます。その後、平成23年8月に議員立法による法改正がございまして、この附則に「政府は、この法律の施行後五年以内に、新法の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な見直しを行うものとする。」というものが追加されたところでございます。

 具体的な内容は、2ページ目に記載のとおりでございます。法律の附則の第3条、見直しの状況に下線を引いておりますが、このような規定が追加されているということでございます。

 今般、今年の8月でございますけれども、改正後の施行から5年が経過するということがございまして、改めて運用状況についての評価・検討を行い、これに基づき必要な見直しを検討する必要があるということでございます。このため、小委員会を設置したいという趣旨でございます。

 主な検討課題、この2番目のところでございますけれども、制度全体の状況について評価を行い、結果に基づく必要な見直しの検討を行うことを検討課題としたいと思っております。

 3番目のメンバー構成でございますけれども、委員につきましては、運営規則第8条第2項に基づきまして、部会長の指名により、学識経験者、専門家の方々をもって構成したいと考えております。

 4番目のスケジュールでございますけれども、今後、平成28年2月以降に数回程度開催いたしまして、制度の施行状況の評価及びその評価結果に基づく必要な見直しの検討についてご審議をいただきたいと考えている次第でございます。

 この具体的な内容について、本日、お諮りしたいのが3ページ目にございます。中央環境審議会環境保健部会の小委員会に新たに設置をさせていただきたいということでございます。

 こちらの2番目のところに下線を引いておりますけれども、名称としては、「石綿健康被害救済小委員会」ということでございます。

 (1)でございますけれども、議事運営規則の8条に基づく小委員会として置きたいということ。

 それから、(2)でございますけれども、この救済小委につきましては、法律に基づく石綿健康被害救済制度に関する事項についての調査・審議を行うということでございます。

 (3)につきましては、他の小委と同様に、この小委員会の決議については、部会長の同意を得て部会の決議とすることができることとしたいというものでございます。

 こちらについて、本日、お諮りしたいというところでございます。

 最後のページ、4ページ目でございますが、こちらにただいまご紹介いたしました法律の概要について記載をさせていただいております。

 一番上の黄色い枠組みのところでございますけれども、特にこれまでの目的ですとか、それから改正の経緯等が記載されております。記載のように、平成18年3月27日から施行されているところでございますが、その後、医療費等の支給対象期間の拡大、指定疾病の追加、それから特別遺族弔慰金の請求期限の延長、肺がん等の判定基準の見直し、一般拠出金率の改定など、法律施行後も何度かこちらの制度のほうについて見直しを加え、改正をしてきたという経緯がございます。

 こちらの救済の枠組みについてご説明させていただきたいと思います。真ん中の枠組みでございます。真ん中の枠組みの左の下にございます対象となる被害者または遺族の方々は、緑で書いてございます石綿健康被害救済基金というところに認定の申請をするということになります。その後、環境大臣を経て、中央環境審議会での審議を踏まえて、該当する方については認定の給付を行うというシステムになっております。なお、この救済基金につきましては、事業主、それから国、自治体である都道府県の三者から、基金を募りまして運用をしているというところでございます。

 この救済の対象となる疾病につきましては、こちらに指定疾病ということで記載のとおり、中皮腫、肺がん、その後の見直しによりまして、著しい呼吸機能障害を伴う石綿肺、びまん性胸膜肥厚、こういったものを対象として運用してきております。

 こういう方々がどれだけの給付を受けられるのかというのが、こちらに救済給付ということで書いてございます。被害者が指定疾病にかかった場合、それから遺族が支給を受ける場合ということで、2タイプありますけれども、上の被害者が指定疾病にかかった場合の認定を受けた場合につきましては、医療費の自己負担分、療養手当、葬祭料、救済給付調整金が支給されるということになります。一方、遺族が受けられる場合につきましては、特別遺族弔慰金、それから特別葬祭料ということで、記載の額が給付されるということになっております。

 最後でございますけれども、現在までの指定疾病、それから施行前死亡者の認定の患者の数につきまして、こちらに記載のとおりでございます。まず、指定疾病の部分でございますが、対象疾病である中皮腫、肺がん、石綿肺、びまん性胸膜肥厚ということで、22年度に、石綿肺、びまん性胸膜肥厚というのが加えられておりますけれども、これまで、一番右の合計の欄に記載されておりますけれども、各四つの疾病ごとに、計で6,600名余の方が認定の対象となっているということに加えまして、施行前死亡者の認定状況は、こちらに記載のとおりの3,500名余の方が認定を受けられているという状況にございます。

 このような制度の運用の状況につきまして、評価を行っていただきまして、必要な見直しについて議論をいただきたいと思っている次第でございます。ご審議のほどお願いいたします。

○相澤部会長 ありがとうございました。

 石綿健康被害救済小委員会の設置につきまして、ご説明いただきました。委員の皆様方からご意見ございますか。

 藤井委員、お願いします。

○藤井委員 こういう場ではあまりふさわしくないかもしれないんですが、私の父が京浜工業地帯の労働者で、肺がんと言われたんですが、どうも急激なあの亡くなり方を後から見ると、中皮腫ではなかったかと。解剖をしなかったんですね。それが一つと、私自身が鶴見で育って、近くに石綿の工場があって、もうもうの中で遊んで暮らしたという経験があって、石綿には、かなり思い入れがあります。

 それから、5年前に、この小委員会の設置が議論に上がったときに、ぜひ、関係者、当事者から委員に入れていただきたいという発言をこの環境保健部会でも申し上げました。この間、今回のこの部会に向けて2通要望書も出ていて、それも拝見しました。少し状況も、その5年間でいろいろ動いているところもあると思うんですね。泉南の最高裁の判決もありましたし、それ以上に、障害者の権利に関する条約が発効しているというようなこともあって、ぜひ、小委員会には、そういうような意向も含めながら、小委員会の委員会構成をしていただけたらというふうに思います。

○相澤部会長 事務局、いかがでしょうか。

○高城石綿健康被害対策室長 ご質問ありがとうございます。

 こちらの小委員会の構成、これにつきましては、今後、部会長とご相談をさせていただきながら、検討を進めていきたいと思っております。

○相澤部会長 ありがとうございます。

 新美委員、お願いいたします。

○新美委員 私は、この小委員会、非常に期待するところが大きいんですが、イギリスやアメリカ、いわばアスベストの被害の先進国の状況を見ますと、ここ複数年の間に、急速に被害者、患者が増えております。我が国のアスベストの使用状況から比べると、恐らくここ数年の間に、我が国も急速な増加があってしかるべき使用状況だったと思います。ですから、早急にきちんとした救済方法を検討しておくのは非常に重要だと思っております。

 それと同時に、この法律ができた当時のアスベスト被害、関連疾病の研究状況は急速に変わっております。WHOのサイトを見ても、中皮腫はもちろん、肺がん、それから胸膜プラークの問題についても、急速に医学的な知見が変わっておりますので、これは環境省だけでできると思いませんけれども、厚労省と協力しながら探求していっていただいて、それを踏まえて、この小委員会で少し抜本的な議論をしていったらいかがかと思っております。

 それと同時に、これは疾病の対象が違いますけれども、国によっては、労災補償を補完するものというだけではなくて、国自体の救済制度を正面から受け止めようということで動いているところが幾つかございます。そういうところも視野に入れていく必要があろうかと思いますので、その辺は、現在の枠組みも、少し批判的にといいますか、発展的に、きちんと救済できるようにぜひ検討していただきたいと思います。

○高城石綿健康被害対策室長 ご指摘ありがとうございます。ただいまいただいたこともきちんと踏まえながら、小委員会の具体的な議題につきましては、また今後検討していきたいと思っております。

○相澤部会長 ありがとうございます。ご要望ということで、よろしいでしょうか。

 ほかにはいかがでしょうか。菅野さん。

○菅野臨時委員 ありがとうございます。

 前にも同じ意見を申し上げたかもしれないんですが、学問が進んだということで、ばく露された方の発症を抑えるような科学的な研究、医学的な研究がそろそろできるんじゃないかと思うんですが、そこら辺の考察も、どこかでやっていただけたらと思うんですね。一番簡単なのは、アスピリンを飲めば抑えられるんじゃないかというような論議もあったかと思うんですが、今はもっと進んでいるはずなので、よろしくお願いしたいと思います。

○相澤部会長 ありがとうございます。これはよろしいですね。

 どうぞ。岸本先生、お願いします。

○岸本臨時委員 アスベストに関係した疾病に関しましては、確かに5年前、10年前には診断基準として使用していなかった検査方法等がかなり知られてくるようになりました。特に中皮腫も医学的に正しく診断ができるようになってきたことは事実でございます。確かに患者さんが増えているということは間違いないということでございます。さまざまな疾患、例えば石綿肺というようなじん肺、中皮腫、または肺がんの診断・認定基準にも新たな提言がありました。2014年には、フィンランドのヘルシンキで新たに1997年の基準を見直す会がございまして、私と井内委員も行って、そこで発言をしてまいりました。そういうようなことも含めて、この5年後の平成28年8月に関して新たな認定基準について検討ということをやるべきだろうと思います。石綿関連疾患については、やはり専門性が高いということがございますので、そういう観点から検討をしていただければと思っております。

 以上です。

○相澤部会長 ありがとうございます。

 井内委員、お願いします。

○井内臨時委員 井内でございます。

 私は平成18年から、もうずっと10年余り、判定小委員会の委員として、医学的知見から石綿関連疾患というのを見てきたつもりでございます。先ほど岸本先生もおっしゃったんですが、この10年間の間に大変な進歩があったと思います。ただ、その進歩というものを救済制度の中に取り込むということに関しては、幾つかのハードルがあるように思います。

 例えば今ご紹介のあった、昨年行われましたヘルシンキクライテリアという世界的な石綿関連疾患の基準づくりというのがあるんですが、そこに参画しましても、必ずしもクリアカットの結論が出ていない。がんの種類についても、もう少し広いのではないかという意見に関するアンチな論文もまだ出ているというような状況ですので、これを救済制度に直ちに結びつけるというのには、もう少し検討が必要な部分もあろうかと思います。

 ただ、日本国内の状況を見ますと、10年前に比べて、やはり石綿関連疾患に関する関心というのが医療界の中で広がったので、診断精度はかなりよくなってきています。我々が判定をするときに、以前は約半数近くが、これは違うというふうに言っていたものが、もうほとんど、8割、9割は問題ないというところのレベルまで来ています。この状況は、本当に医療関係者の皆様の努力でこうなったと思っておりまして、今後の日本における救済制度の運用については、確かに諸外国では、医学的検証がなくても、アスベストにばく露したら補償したらいいじゃないかという考えがあるのも知っておりますけれども、我々、やっぱり医学者の立場から言えば、きちんとした検証をした上で、きちんとした救済ができるという体制を堅持したいというか、維持していきたいなというふうに思っております。それと、やはり患者さんの救済はいかにあるべきかということをあわせて、この救済小委員会のほうで、これからの10年を見通して検討していただければなというふうに思っております。この委員会の設置については、もちろん大賛成でありますし、見直しは多角的な方面からしなければいけないものだと私も思っております。

 以上です。

○相澤部会長 ありがとうございます。

 それでは、ほかにご意見、ご質問がないようでございましたら、本部会に石綿健康被害救済小委員会を新たに置くことといたしまして、属すべき委員と小委員長の選任につきましては、中央環境審議会議事運営規則第8条に基づきまして、私が指名することにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(異議なし)

○相澤部会長 ありがとうございます。それでは、本部会に石綿健康被害救済小委員会を新たに置くことにいたします。

 続きまして、審議事項の三つ目でございますが、環境基本計画のうち、化学物質分野の点検についてでございます。事務局から、ご説明をお願いいたします。

○立川環境安全課長 環境安全課長、立川と申します。

 お手元の資料、右肩に4-1と書いてあるものをご覧いただけたらと思います。今回、ご審議をお願いしたいことは、平成28年の環境基本計画(化学物質分野)についての点検でございます。

 この環境基本計画は、第四次の環境基本計画でありまして、平成24年4月に閣議決定いたしたものでございます。点検の回数といたしましては、通算4回目ということになります。

 まず、これまでの経緯というところでございますが、平成26年12月に、環境基本計画の点検結果を公表させていただいております。これは化学物質に関する点検結果としては、第四次の計画においては初めてでございますが、通算で言うと、第2回目の環境基本計画の点検の中でやらせていただいたということでございます。その後、昨年9月、平成27年9月に、SAICM国内実施計画点検報告書というものを、関係省庁連絡会議の名のもとにおいて策定しております。このSAICM国内実施計画と申しますのは、国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチで、環境基本計画に加えまして、労働環境、それから家庭用品対策なども含めた、より広範かつ包括的なもの、これを昨年9月の段階で点検をさせていただいております。

 今回、ご審議いただきたい事項につきましては、資料4-2、4-3、4-4というところに書いてございまして、具体的に、どういった項目について点検していったらいいかということでございます。

 右肩に、同じく資料4-5と書いてある資料でございますが、第82回の総合環境政策部会の資料でございます。具体的に、総合環境政策部会において、この第四次環境基本計画の第4回の点検の進め方の記載があります。

 基本的な考え方ということで、四角の中に書いてございますけれども、三つ目のパラグラフでございますが、点検の項目につきましては、平成28年の点検においても、平成26年の点検と同様の重点検討項目について行うこととするという記載がなされております。それから、最後の四角の中のパラグラフ、「また」のところでございますが、この先の話になりますけれども、環境基本計画については、計画策定後5年が経過した時点(平成29年)を目途に計画の見直しを行うということになっておりますので、今度、ご指導いただきます第4回の点検、これは第四次の環境基本計画の最後の点検となります。

 同じく資料4-5でありますけれども、今後の予定というところから、全体のスケジュールが載っておりますけれども、2ページに書いてございますとおり、この後の予定といたしましては、(2)にありますとおり、関係府省によります自主的な点検をしていただいて、それから、(3)の中にありますように、平成28年7月から11月にかけて、総合政策部会におきまして、各重点分野の関連部会での点検結果の報告を行うということになっております。その後、パブリックコメント、さらに中央環境審議会として、閣議報告に向けて検討を進めていくというような予定になっております。

 そういうことも踏まえまして、資料4-1に、平成28年の点検のスケジュールというものが真ん中より下に載っておりますけれども、本日、検討作業・スケジュールの確認をしていただきました上で、重点検討項目についてお諮りしたいということでございます。その後、4月から6月にかけて関係府省の自主的な点検をし、恐らく夏ごろ、また、この部会において、各府省の点検したものを検討・ご審議いただいて、10月から11月に点検報告書として取りまとめをいたします。以下、総政部会としてということになりますけれども、パブリックコメント、報告書の閣議決定といった段取りでございます。

 続きまして、資料4-2、これが重点検討項目の設定についてということでございますが、環境基本計画上の化学物質分野でございますが、資料4-2の2にありますとおり、全部で五つの項目が重点的取組事項ということで掲げられております。

 3番でございますが、重点的取組事項から重点検討項目、今回点検をしていただく項目でございますけれども、こちらにつきましては、3の第2パラにございますとおり、第82回の総政部会において、基本的考え方ということで、先ほど申し上げましたとおり、26年の点検と同様の重点検討項目について点検を行うということになってございます。最後のほうでございますが、二つの重点検討項目、具体的に言いますと2番の①科学的なリスク評価の推進、それから②ライフサイクル全体のリスクの削減と、この2項目について点検をしたいというふうに考えております。なお、③の未解明の問題への対応につきましては、前回も①科学的なリスク評価の推進の中で点検いただいておりますので、今回も同様に、①の中で③も取り扱うということを考えておりまして、①、②、③について点検をしていただいたらどうかということで考えておるところでございます。

 さらに、具体的な重点検討項目は、資料4-3、具体的には資料4-4を見ていただいたほうが、わかりやすく、重点検討項目における各府省の取組例ということで、より具体的な例が書いてございます。

 まず、一つ目の科学的なリスク評価の推進等においては、リスク評価の推進、目標値等の設定という項目がa)ということで書いてございまして、さらにb)ということで、リスク評価の効率化に向けた新たな手法の開発・活用、さらにc)ということで、予防的取組方法を踏まえた未解明の問題への対応ということでございます。

 さらに、3枚目になりますが、ライフサイクル全体のリスクの削減という項目については、具体的にはa)に書いてございますとおり、化学物質の製造・輸入・使用段階の規制の適切な実施や、事業者の取組の促進という項目、さらにはb)の排出・廃棄・リサイクル段階での対策の実施、c)の負の遺産への対応、それからd)の事故等の部分と、こういった4分野を想定しております。

 このような形で、環境基本計画の第4回目の点検をしたいということで、本日、ご審議のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

○相澤部会長 ありがとうございました。

 ただいまのご説明に対して、ご質問、ご意見ございましたら、名札を立てていただきたいと思います。

 崎田委員、お願いいたします。

○崎田委員 来年度の評価項目に関して、きちんとご提示いただきまして、ありがとうございます。

 今回、重点的な項目としたいのは、リスク評価の推進と、その次のページのライフサイクル全体ということで、項目としては適切だというふうに思っておりますが、期待として、もう一つ、最初にご説明のあったSAICMなどの中で、WSSDの2020年目標の達成に向けた評価に関して、いろいろ世界的に意見交換が進んでいるようなんですけれども、日本は、2020年目標の達成、最終的にどういう形で評価を出していくのかとか、そういうことに関して、検討状況、ご提示いただいたICCM4の後の状態などを少し評価させていただくとか、そういうことも必要なのではないかという感じもいたします。

 あと、ライフサイクル全体のリスク削減に関しては、ここに書いてあるような項目でいいと思うんですが、今回、水銀の水俣条約対応で、三つの委員会に分かれたもののうちの二つに参加をさせていただきながら考えましたが、やはりそこをつなぐ、いわゆる化学物質そのものの情報をつないでいくような情報提供の話と、それ全体をどういうふうに社会にきちんとライフサイクル全体で伝えていくかという、いろいろな側面でのライフサイクル全体のことが大変重要な課題だと思っておりますので、そういうふうに多層的にきちんと評価をしていければいいのではないかと期待しています。

○相澤部会長 お願いします。

○立川環境安全課長 ご質問ありがとうございます。崎田先生から二つ、ご意見、ご質問をいただいたかと思います。

 1点目のWSSD2020年目標でございますが、具体的に、2002年のヨハネスブルクサミットで決まった、化学物質が人の健康と環境にもたらす著しい悪影響を最小化する方法で使用・生産されることを2020年までに達成するというものでございますが、具体的に、これに対応してどういったことをやっていくかというのは、かなり広範な事項になろうかと思います。具体的には、リスク評価を進めるということもそうですし、リスク管理として、環境中への排出を最小化するために、今の規制制度がどうあるべきかということを検討するということだと思います。そういうことも念頭に置きながら、今回の点検について、しっかりやっていきたいと思っております。

 それから、2点目のご意見、ご質問でございます。化学物質関係、いろいろなステージ、ライフサイクルのステージがあって、そこをしっかりつないだ情報提供をいろいろやっていかなければいけない、しっかりやっていかなきゃいけないというご意見だと考えております。そこもまさしくおっしゃるとおりでありまして、化学物質関係、いろんな法制度にまたがっておりまして、こうした環境基本計画、それからSAICM国内実施計画もそういう意味があるのでございますが、この環境基本計画が、その総合性を確保するといったことが一つの大きな指標でございますので、こうした計画の点検を通じまして、各制度間の連携がしっかりとれたものになるように、点検を進めていきたいというふうに考えております。

○相澤部会長 菅野委員、お願いいたします。

○管理臨時委員 この設定自体は、とてもよいものだと判断させていただきました。

 一つ、追加的といいますか、もうちょっと気配りをいただけたらありがたいかなと思ったのは、⑤の国際協力・国際協調でありまして、水銀のときにも、輸出入のところで外国とのおつき合いが出たときに、日本の企業が非常に率先して一歩進んだことをやっていて、それを逆に世界的に発信することも重要なのではないかというようなコメントをさせていただいたわけですけれども、⑤に関しては、例えばライフサイクルのところのリスクの削減というときに、輸出入ではありませんけれども、海流とか空気からいろいろなものが来ます。マイクロプラスチックとかも含めて、馬鹿にできないことが多々あるわけですよね。そのときに、自国だけでは閉じていられないという状況において、国際協力、特に開発途上国が一番困っているんだと思うので、昨今、国際的な予算が縮小している傾向があると思うんですが、そこら辺も視野に入れておいていただけるとありがたいかなと思います。

 以上です。

○相澤部会長 お願いします。

○立川環境安全課長 ありがとうございます。

 今、菅野先生から、この化学物質対策、国際協力をして、途上国も視野に置いて、しっかり対策をとっていかなければいけないというご指摘をいただきました。まさしく、例えばでありますけれども、水銀がそういったものの典型かと思っております。世界的には、全世界的に見れば、年間で約4,000トン使われていて、日本での使用量の400倍というようなボリュームになっております。そうした意味で言うと、国内対策だけを進めていっても、環境への負荷は低減できないということでございます。我々も、水銀はもちろん、そのほかの化学物質についても、途上国と連携して、どういったことをやっていったらいいのかということをしっかり取り組んでまいりたいと思います。ぜひとも、菅野委員におかれても、今後ともその点、ご指導のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

○相澤部会長 よろしいですか。ほかにはいかがでしょうか。

 鈴木委員、どうですか。お願いします。

○鈴木臨時委員 ライフサイクル全体のリスクの削減、これは事故等による化学物質が環境に排出された場合の措置という項目を立てられて、これは大変よいことと思いますが、これは環境基本計画の範疇になるのかわからないんですが、化学物質が環境等へ排出された場合の措置ということになりますと、ここに書いてある以外の省庁や措置も恐らく本当は関与してくる可能性があるのではないかなという気がしますので、ご検討いただければと思います。

○相澤部会長 よろしいですか。お願いします。

○立川環境安全課長 鈴木先生、ありがとうございます。

 今、鈴木先生からご指摘いただきましたのは、ライフサイクル全体のリスクの削減の事故等の部分でございますけれども、確かにここに書いてある省庁、環境省と国土交通省だけ書いてございますが、環境を経由する化学物質による汚染といったもの、いろんな役所の所管法で関係しております。そこについては点検でございますので、項目として上がっていないものは、なかなか難しい部分がありますけれども、次の計画も視野に置きながら、しっかり検討していきたいというふうに思います。

○相澤部会長 よろしいでしょうか。

 小山委員、お願いいたします。○小山臨時委員 6ページのライフサイクル全体のリスク削減の中の、個別の質問になりますが、c)過去に製造された有害化学物質の汚染土壌・底質等の負の遺産への対応ということで、詳細な検討内容をお示しいただいていますが、これが資料4-4の同じ項目のところに行った場合に、特に私、普段から申し上げているんですけれども、現在の底質の汚染状況を勘案したときに、これも有害化学物質による汚染を十分考えたほうがいいのではないかと考えておりますが、具体的に言うと9ページのc)のところでは、どこにそれが入ってくるのかを教えていただけないでしょうか。

 底質の話は、ここだけに限った話ではないんだと思うんですけれども、その前の資料のライフサイクルのところに入っておりますので、質問をさせていただいているところです。

○立川環境安全課長 

 こちらにつきましては、底質の部分、負の遺産への対応ということでございますけれども、底質につきましては、明確には、ここの負の遺産への対応に関する取組の中では、計画の中では規定はしていなかったところでございます。土壌等について規定は書いてあるわけでございますけれども、底質については、今までの基本計画の中では、負の遺産への対応というところでは規定はしていないという状況にございます。

○相澤部会長 よろしいですか。

 ○細見臨時委員 恐らく水濁法の常時監視に基づいて、環境基準点をはじめ底質の調査をずっと続けられておりますし、それから、恐らくダイオキシン特別措置法でも、土壌については常時監視が行われていると思いますので、そういう過去の問題に対して、底質のみならず、土壌でも対応されていると思います。

 そのことが1点と、それから、私から質問をさせていただきたかったのは、この重点の取組については、点検については全くこのとおりだと思いますが、一つ質問で、①のリスク評価の推進、目標値等の設定、a)というところですけれども、三つ目の黒四角のところで、ばく露評価の推進というところがあります。ここで言うと7ページの三つの黒のところで、化学物質の人へのばく露モニタリング調査と書いてあって、(環境省)と書いてあるんですが、例えば放射性物質のときもすごく議論されて、屋外と屋内での被ばくの状況も考慮されたばく露が、そういうものが基準と考えて、いろいろ目標値をつくったわけですけれども、化学物質の場合、例えば室内大気といった場合に、これは厚労省との関係かもしれませんけれども、そういうものは含まれているんでしょうか。

○針田環境リスク評価室長 ご質問ありがとうございました。リスク評価室の針田といいます。

 この調査は毎年、もう何十年とやっている調査ですけれども、血液とか尿とか、あとは食事の陰膳とかというのを調べて、その方のトータル量を調べて、オールジャパンで、年間どうなっているのかと。多くは減ってきているんですけれども、そこら辺を追っている調査でして、とりあえず環境省でやらせていただいておりますけれども、必要があれば、関係省庁との連携をとってやっていきたいと思っております。

○相澤部会長 よろしいでしょうか。

 崎田委員、お願いします。

○崎田委員 先ほどの発言の追加なんですが、資料4-3、ちょうど5ページのところなんですが、先ほど科学的なリスク評価の推進のところで、WWSDの2020年目標も踏まえてという発言をしましたけれども、もう少し具体的に申し上げて、この文章を読んでいくと、未解明の問題に対しての予防的取組がc)に入っていますが、未解明の問題ではなくて、リスク評価を推進するために、予防的な精神でその制度をできるだけ推進していくとか、そういう精神と、予防的な取組というのは両面あると思うんですけれども、そういう意味の、リスク評価をきちんと推進するための予防的な視点をより強化するということが大事だと思うんですが、そういう方向に進んでいるのかどうかとか、そういう視点もちゃんと入れて評価をしていくということが大事かなと思います。よろしくお願いいたします。

○相澤部会長 お願いします。

○立川環境安全課長 ありがとうございます。

 リスク評価につきましては、今、崎田先生ご指摘のとおり、未解明の問題にも取り組みつつ、既にある程度こういった方法でやるというルールが決まったものについて、しっかり取り組んでいくということでございますが、具体的なリスク評価については、この立てつけで言いますところの①の科学的なリスク評価の推進等の中のa)リスク評価の推進、目標値等の設定ということであろうかと思います。

 一方、それに従って、リスク管理をしっかりやっていくというところが、②のライフサイクル全体のリスクの削減というところでございますけれども、先生のご指摘は、予防的な観点でしっかり対策をとるべきというご指摘だと思います。それはいろんな予防的という部分がありますけれども、例えばライフサイクル全体で見たときには、廃棄物として出て、それが処理の段階でどうなんだろうかということも含めてですし、それから、事故等というのも、まさしくそういうことかなと思います。そういったステージの問題も含めまして、また、冒頭の未解明の問題というものは、典型的に言いますと、内分泌かく乱問題があるんですけれども、そうしたものもしっかり取り組んで、そこで、ある程度一定の知見が得られたものについては、今の基本的な化学物質関係のスキームの中に取り込んでしっかりやっていくということで考えております。

○相澤部会長 よろしいですか。

○崎田委員 予防的という言葉がどういう意味を持っているのか、あるいは、それがどういうふうに制度の中で生かされているのかというのを明確にしていただくということが、やはり社会との信頼関係づくりとか、そういうことにも非常に関係してくると思いますので、制度の中での予防的な精神で強調するのはどういうところか、例えば化審法など、今、見直しに参加させていただくと、そういうことも非常に強く感じますので、そういう面と、本当に未解明のものを予防的に取り組むと。いろんな視点があると思いますけれども、その全体に関して、きちんと視野に入れていくということが大事ではないかと感じております。よろしくお願いいたします。

○立川環境安全課長 ありがとうございます。ご指摘、基本的に何か事件、事故が起きてから初めてやるということでなくて、ある程度、危ないという情報があったら、その危ないという情報が不可逆的なものであるだとか、重大な影響があるという可能性があるということだったら、しっかり対策に取り組むべきというご指摘だと思っております。そういった形で、我々もしっかり化学物質関係の行政に取り組んでまいりたいというふうに思っております。

○相澤部会長 ありがとうございます。

 ほかにはいかがですか。よろしいですか。

 たくさんご要望をいただきましたので、それを踏まえて、これを進めていっていただければと思います。この化学物質分野の点検につきましては、資料4にございます事項を重点検討項目として進めることとしたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。

(異議なし)

○相澤部会長 ありがとうございます。それでは、そのように進めさせていただきます。

 以上で審議事項は終わりまして、報告事項に移らせていただきたいと思います。

 本日は、6件の報告事項がございますので、3件ずつ二度に分けて報告していただきまして、委員の先生方からのご質問、ご意見は3件ごとに、報告が終わった後にまとめて伺うことにしたいと思います。

 それでは、まず報告事項の①から③につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

○立川環境安全課長  資料5をご覧ください。第4回国際化学物質管理会議(ICCM4)の結果についてご報告申し上げます。

 下側でございますが、まず、ICCM4の概要でございます。このICCM4でございますが、2015年9月にジュネーブで開催されたものでございまして、約800名の方が参加された会議でありますが、このICCMというのは、ここに書いてありますとおり、国際化学物質管理会議でありますけれども、2020年までの最後のICCMというのが、このICCM4でございます。前回のICCM3は、2012年9月にナイロビで開催されまして、次回のICCM5は、恐らくは2020年3月にジュネーブで開催されることになろうかと思います。

 続きまして、次のページ、2番の結果の概要でございます。(1)でございますが、2020年目標の達成に向けた進捗と課題というところでございます。まず一つ目でありますが、SAICMの対象範囲や目的などを定めました包括的方針戦略につきまして、第2次期間の進捗報告がなされました。

二つ目のポツでありますが、我が国からは、SAICM国内実施計画の進捗状況の点検を行いまして、報告書としてとりまとめたことを報告しております。

それから、三つ目のポツでありますけれども、2015年9月に国連総会で持続可能な開発目標、いわゆるSDGsが定められた、採択されたところでありますけれども、この「持続可能な開発のための2030アジェンダ」について、SAICMが主要な役割を果たし得るということを確認しております。

続きまして、4ページ目と書いてある2番、結果の概要の(2)でございます。化学物質の適正管理に関する2020年目標の達成に向けた戦略的アプローチの実施でございます。ここも三つポツが書いてございますが、2020年目標の達成に向けて実施すべき事項を定めた全体方針及び指針が承認されました。具体的には、SAICM、全ステークホルダーに対してこの全体方針及び指針、これを実施するための取組が要請されたということになります。この全体方針及び指針というのはちょっとわかりにくい表現でございますが、SAICMの包括的な実施を支援するためのツールとして定められたものであります。さらに、SAICM事務局に対して進捗報告書、これを第3回の公開作業部会、恐らく2018年という予定になっておりますけれども、それまでに作成することを要請されております。

それから、二つ目のポツでありますが、「環境残留性医薬汚染物質」、これは後ほど、次の報告事項でも少し関連したことを申し上げますが、これを新規の政策課題に登録をするということが承認されまして、リスク評価と対処能力の向上を目指して国際的協力が重要であるということについて合意がなされております。

それから、三つ目のポツでありますが、「毒性が高い農薬」、これはいわゆる新規の政策課題というものにはカテゴライズされておりませんけれども、「毒性が高い農薬」につきまして、各主体が対策の進捗状況を第3回公開作業部会、それからICCM5に報告する、こういったことが盛り込まれた提案が採択されております。

続きまして、5ページ目でありますけれども、2020年以降の化学物質及び廃棄物の適正管理、(3)でございます。ここでは、これまでのSAICMの取組状況に関する独立評価の実施、さらには2ポツでありますけれども、会期間プロセスの設置、さらには、こうしたものについて第3回の公開作業部会及びICCM5で検討するといったことが決定されております。

さらに、(4)我が国の化学物質管理に関する取組の発信でございますけれども、二つございますけれども、SAICM国内実施計画の進捗状況点検報告、こちらを日本ブースにおいて配布しております。

さらに、UNEPと共同いたしまして「水銀廃棄物の貯蔵と廃棄の実務のためのソースブック」というものを策定いたしまして、こちらの出版イベントを開催いたしております。

続きまして、スライド上の7ページでございますが、3番、評価及び今後の対応というところでございます。

まず、1ポツでありますけれども、いわゆる全体方針及び指針が承認されましたので、我が国の実施施策の検討に着実に取り組む必要があるかと考えております。この実施施策の検討といたしましては、全体方針及び指針として六つの核となる活動というものが示されておりまして、具体的には国内法規制の話ですとか情報アクセスの促進とか、まさしく先ほどの環境基本計画のところでもご指摘いただいたことでございますが、こうしたもの、さらには進捗評価でありますけれども、こうしたことに我が国としてもしっかり取り組んでいくということが必要と思っております。

それから、2ポツ目でありますけれども、途上国から「毒性が高い農薬」の課題への懸念が示されておりますが、これは日本ではもう、とうに使ってないような農薬のようですが非常に不安感あることが途上国から示されたところであります。そうした意味から、各国の状況・ニーズを踏まえて、しっかり我が国としてもサポートしていく必要があろうかと考えております。

それから、3ポツ目でございますけれども、今後進められる2020年以降の2030アジェンダと適切にリンクをしていく必要があるというふうに考えております。

続きまして、その次の資料6、平成26年度の化学物質環境実態調査の結果についてご報告申し上げます。経緯でございますが、第1パラにございますとおり、昭和49年度に、いわゆる化審法の附帯決議を踏まえて、「化学物質環境調査」が開始されたというものでございます。

2パラの後半でございますが、環境省内の化学物質管理施策等を所管している部署からの要望物質を中心に調査対象物質を選定するという方式でやらせていただいておりまして、調査体系を、後ほど具体的には申し上げますが、「初期環境調査」「詳細環境調査」及び「モニタリング調査」の三つに分類してやらせていただいているところであります。

2番に書いてございますが、具体的な調査の進め方といたしましては、調査対象物質、そういった形で選定する方式でございますけれども、中央環境審議会の環境保健部会に化学物質評価専門委員会、櫻井先生に委員長を務めていただいておりますけれども、こういった専門委員会を設定していただいておりまして、こちらにおける評価等を経て選定しております。

以下、具体的な調査の内容でございます。まず、同じページの下のほう、ア、初期環境調査でございます。初期環境調査につきましては、このページに書いてございますとおり、化管法の指定化学物質の指定、その他化学物質による環境リスクに係る施策について検討する際の基礎資料とすることを目的として行っているものでございます。

具体的な結果につきましては、5ページに別表1というものがついてございます。これは見ていただくといろんな物質があるんですけれども、今回の特徴といたしまして、先ほどのICCM4のところでも少し触れたんでありますが、環境中の医薬品等につきまして国際的な関心が高まっているということから、環境省として情報収集・整理を行うということといたしまして、その一環として環境実態調査を行いました。まず、環境水中の濃度、それから生態影響情報が報告されている物質を選定いたしまして、その上で生態リスクを検討する必要性が高い物質といたしまして、具体的にはナンバー4のシリーズでありますけれども、クロルテトラサイクリンの仲間、それから、ナンバー5のところでありますけれども、トリクロサン、それから、ナンバー13のところでございますが、この中の一つでありますスルファメトキサゾール、これを選定いたしました。今回の調査では、こうした3物質と一斉分析が可能な物質について調査を行ったものであります。ここに書いてございますとおり、いろいろな物質が測定されております。具体的には個々の物質のリスク評価、特に生態リスク評価はこれからというステージでございますが、今後、我々、生態リスク評価に移っていくわけでございますけれども、これらの物質につきましては、特に医薬品については、過去の報告でもあるんでありますけれども、下水処理水中でそれなりの濃度に検出される傾向があるということが既に報告されておりまして、今回の私どもの調査でも、下水処理水の混入割合が高い水域からは検出されるという傾向がございます。下水処理水の割合が高いというと、自然環境中ではちょっと珍しく思われる方もいらっしゃるかもしれませんけれども、実は、例えば隅田川の下流域なんかですと、既に4分の3ぐらいは下水処理水といった状況でありますので、どうしてもそういうところから検出されるという状況にございます。生態リスクはなかなか情報が少ないものですからこれからやるということになりますが、ご関心の高い人健康への直接的なリスクにつきましては、これまた厚生労働省さんが過去調査をされて、また、WHOが一定の見解を出しておりますけれども、濃度的に言えば、直接的な人健康に与えるリスクは、いわゆる一日許容摂取量等々と比較するとかなり低いので、そういったリスクは大丈夫だろうといったことが示されております。我々が今回行った調査も、物質が違ったり、濃度が多少違ったりということはございますけれども、大体同じような結果かなと思っておりますけれども、生態リスクについてはこれからという状況にございます。また、こうした物質が検出されているということにつきましては、我々だけで保有するのではなくて、厚生労働省にも情報提供しているところでございます。

この初期環境調査が少し珍しいものをやったということでございまして、そのほかの調査といたしましては、2ページ目でございますけれども、2ページ目のイ、詳細環境調査ということで、これは化審法の優先評価化学物質のリスク評価を行うために行っているものでございます。

それから、ウでありますけれども、モニタリング調査ということで、化審法の特定化学物質等々について、また、POPs条約に対応するための条約対象物質、これについて経年変化を把握するといったことで、この二つのカテゴライズの調査もしております。

具体的な結果は後ろのほうについてございますけれども、詳細環境調査につきましては、往々にして非常に雑駁な言い方でございますが、だんだんこの分析技術というものが進歩してまいりましたので、検出下限値が下がってまいりました。そのことに恐らく伴うだろうと思っておりますけれども、検出される割合というものが少し出てきたというような状況にございます。

それから、モニタリング調査、これは継続的に経年的に調べているということを申し上げましたが、基本的には資料の4ページ目に書いてございますけれども、総じて横ばい又は減少傾向にあるという状況にございます。水質及び底質についてはこうだと書いてございますし、生物、それから大気についても同じような横ばいないし、または減少している傾向というようなことでございます。

以上が資料6の化学物質環境実態調査、いわゆる黒本の関係でございます。

続きまして、報告事項の三つ目でございますが、資料7、水銀に関する水俣条約への対応についてご報告申し上げます。冒頭部長からもありましたとおり、昨年、先生方のご指導をいただきまして、答申をまとめていただきまして、昨年の6月に「水銀による環境の汚染の防止に関する法律」が全会一致で可決成立いたしました。さらに、夏に水銀に関する水俣条約対応検討小委員会、本日も先生方いらっしゃっておりますけれども、第二次答申ということで取りまとめていただきまして、この第二次答申を踏まえまして、政令及び省令を検討し、昨年のうちに閣議決定ないし公布といった手続が終わっております。ご指導いただき大変ありがとうございました。本日は政省令の概要についてご説明申し上げたいと思います。

1枚おめくりいただきまして、水銀による環境汚染防止に関する法律、関係政省令・告示の概要というところでございます。まず、1番でございますけれども、水銀による環境の汚染の防止に関する法律施行令でございます。(1)が「特定水銀使用製品」ということで、一定量以上の水銀を含むものについて、条約より厳しい水銀含有量の基準を定めたり、また、条約よりも早い時期から製造を規制するといった措置をさせていただいております。具体的には、ここの表にありますとおり、乾電池、ボタン形酸化銀電池等々、それから、下から二つ目の一般照明用のランプとしては、典型的なのは蛍光灯でございますが、こうしたものについて深掘りをしたもの、あるいは前倒しをしたものといった形で新たに製造を規制するといったことで対応をさせていただいております。なお、ここでは「製造を規制する」という書き方をしておりますけれども、別の法律、具体的に言うと外為法でありますけれども、こちらのほうで輸入もリンケージして対応するということでございます。

それから、(2)水銀等の使用に係る規制を行う製造工程として、アセトアルデヒド製造工程等を定めるということでございますが、こちらのほう、具体的には国内の実態は既にございません。したがいまして、禁止する明文がなかったので、こうした法制度で禁止措置をとるんでありますけれども、国内の実態はないというものが(2)でございます。

それから、(3)貯蔵に係る規制を行う水銀等ということで、こちらの記載がありますとおり、水銀、それから6種類の水銀化合物を定めております。

さらに、(4)ということで、その他所要の事項ということで、関係政令の規定整備を定めたところでございます。

それから、2番の省令でございます。 (1)水銀含有再生資源、こちらのほうは、水銀については、むしろ今までは廃棄物というよりは有価物という形で、実は銅よりも高いというものでございますので、有価物という形で動いておったんですけれども、やがてこうした形で水銀の用途が狭められていくという過程において、廃棄物になるだろうということも想定いたしまして、また、現在、有価物であるということもしっかりやっていかなきゃいけないということで、水銀含有再生資源について、該当要件についてバーゼル条約の該当要件と同様にして、バーゼル条約附属書に掲げる処分作業がされ、また、処分作業が意図されるもののうち有用なものについてはしっかり水銀含有再生資源ということで対応していこうというものでございます。

続きまして、(2)既存の用途にない水銀使用製品、これは新用途水銀使用製品という名称にしたわけでございますけれども、それを製造・販売する場合の事業者による評価の方法を定めたというものでございます。具体的に、水銀を使用しない案を含めて、客観的・科学的な項目によって、新製品が人健康、それから、生活環境の保全に寄与するかどうか、これを評価して、であれば新用途水銀としていいんじゃないかといった形で、かなり厳格な方法で新用途について評価をするということにしております。その評価の方法、あるいは手続を定めたものでございます。

それから、(3)水銀等の貯蔵に関する定期的な報告、この対象者や報告事項を定めたものでございます。なお、対象者といたしまして、この表に書いてございますとおり、水銀又は水銀化合物を30kg以上貯蔵するものということになっておりまして、条約上はかなりもっと大きな量であるわけでございますけれども、これは消防法に準拠いたしまして、こうした数値で対応するとしたところでございます。

その他(4)、(5)といった形で規定を設けております。

さらに、3番の告示でございます。水銀等の貯蔵、それから水銀含有再生資源の管理の指針を定めたものでございます。

なお、法律の施行日でございますが、4番にありますとおり、ほとんどの部分は水俣条約が日本国について効力を生ずる日ということでございまして、水俣条約の発効の日ということになります。現段階におきまして、条約の締結国は20カ国という状況でございます。条約の発効は、50カ国の締結の日の後90日目ということでございます。日本の状況、冒頭申し上げましたとおり、条約の担保のために必要な法律、それから政省令は昨年のうちに全て完了しておりますので、あとは締結のみということで、外務省において最終的な調整が行われてというふうに承知しております。

以上でございます。

○相澤部会長 ありがとうございました。三つの項目についてご報告いただきましたので、それについてご意見やご質問がございましたらお願いしたいと思います。

浅見委員、お願いします。

○浅見臨時委員 資料5の国際化学物質管理の会議に関しまして、教えていただきたいことがございます。4ページ等に、「毒性が高い農薬」について、各主体が対策の進捗状況を報告することというのがございまして、先ほど途上国での使用が課題となっているというようなお話がございましたけれども、もう少し詳しく、どのような点が課題になっていて、毒性が高いというのが人へなのか、食品としてとか、生態系に対してというような、もしわかればで結構なんですけれども、どのようなコンテクストでこのような話題になったのか教えていただけるとありがたく存じます。

○相澤部会長 お願いします。

○立川環境安全課長 昨年9月に開催されたICCM4においては、具体の物質の名称ですとか、どういう経路という言い方は、具体の議論がなかったところでありまして、そこは、これまで聞いている情報によればということでありますけれども、相当程度古いタイプの農薬について、さまざまな場面で、関連してくるんですという言い方でありました。そうした古い農薬がこうした途上国に移って、どう処分したらいいのかということも含めて、ここの毒性の高い農薬については議論があったところであります。

 そういった意味で、ばく露経路云々という話はあまりなかったのでありますけれども、一方で、こうした毒性の高い農薬という部分に関しましては、具体的にもっといろいろ対応をとっていこうじゃないかという話もあったんでありますけれども、厳しく対応するということについては、一部の途上国から懸念が示されたところでございますけれども、もう一方の懸念といたしまして、各国の主権に関わる話なので、あまり厳しいことは言ってほしくないといった途上国もありまして、途上国の中でもいろいろありました。何かわからない農薬がいっぱい自分の国に集まってきたんだけど、どうしたらいいだろうかといった不安を訴える国がありつつ、そうした農薬について、どういうものは使っちゃいけないとか、そういった踏み込んだところまではあまり言ってくれるなという国もありといった状況でありました。繰り返しますが、個別の農薬名ですとか、ばく露の場面といったのは、このICCM4自身ではあまりご指摘はなかったところであります。

○相澤部会長 ありがとうございます。

 藤井委員、お願いします。

○藤井委員 資料6の医薬品の検出状況の中で、先ほど課長が下水処理水についての言及をしてくださいました。混入割合が高いところについては検出されるけれども、健康被害には特に影響ないというお話があったと思うんですが、この医薬品の下水処理水については、全国でいろんな水系に、タイプによって定点観測しているところがあるでしょうか。琵琶湖でも一部そういう懸念が示されているんですが、きちっと定点観測のところまで行っていないのではないか、その辺のところで、先ほどの荒川か隅田川かな、ちょっとお話が出たと思いますが、その辺り、医薬品について情報があれば教えていただきたいと思います。

○相澤部会長 お願いします。

○立川環境安全課長 今ご指摘いただきました医薬品の件でありますが、いわゆる定点観測、継続的なモニタリングをやっているという情報は、私ども持っておりません。ただし、どういった状況にあるかということ、先ほどごくごく簡単に申し上げたんでありますけれども、私も昔担当したことがあるんですけれども、平成19から21年度にかけまして、医薬品がいろんな河川水に含まれているということが大分話題になりました。そのころ、水道事業体、水道関係者が原水で調査したり、それから浄水で調査したり、下水道の関係者が下水処理水で調査をしたりということをやっております。それが平成19から21年ということですので、今から7~8年前の状況でございます。

 さらにその後2012年にWHO、世界保健機構が、飲料水中に含まれる医薬品の濃度についてどうだろうかと一定の見解を出しておりまして、その際には、ごくごく低濃度であり、最小有効量に比べると何桁も低いので、とりあえず問題はないんであろうといった見解をお示しになっております。そうしたことで、継続的な調査はなされておらないのでありますけれども、我々もそういった意味で言うと、散発的にこの調査をさせていただいたわけですが、状況としては、たまに気になってこうやっていろんなところで調査しているといったのが実態的な状況かなと思います。

○藤井委員 状況はわかりました。

○相澤部会長 では、小山委員、お願いします。

○小山臨時委員 今の医薬品の話ですけれども、私、鹿児島から来ておりまして、鹿児島はご存じのように畜産、酪農が盛んで、意外とそっちでも動物医薬として使われている薬品が結構あるんですね。それは下水処理場に入ってこないんです。直接流れていっておるところがかなりあるかと思います。そういうことも念頭に置いて、今後もし調査をするんであれば、その調査点というようなものも考えていただければ幸いです。

○相澤部会長 はい、お願いします。

○立川環境安全課長 ご指摘ありがとうございます。先生おっしゃいますとおり、例えば抗生物質といったジャンルで見ると、医薬品よりも動物用の抗生物質のほうが使用量から見ると多いということがあろうかと思います。今回調査したところは、どちらかというと都市域の、都市域という言い方というよりは大都市の河川の下流であったり、河口であったりというところで、どう見ても下水処理水の混入率が高いところであったというところでありますけれども、今後どういった形で調査していくかというのは今後の検討課題でございますけれども、いろんな状況の地域、水域において調査をする必要があるかもしれないということで先生のご意見を賜りたいというふうに思っております。

○相澤部会長 崎田委員、お願いします。

○崎田委員 今の資料6の医薬品などが下水処理水の割合の高いところから出てくるという話ですが、今後なんですけれども、下水処理水だけではなくて、いろんな大気とか、そういうのにもつながってくると思うんですが、家庭でそういう医薬品を扱う量が増えてきたり、飲み残しとか、そういうのが非常に増えてくると、どういうふうに処分するのかというのがかなり課題になりつつあると思っています。EUなど取材に行ったときには、ある都市では自治体が医薬品メーカーの業界の協力で袋を配って医薬品を回収するという、事業者さんの協力でそういうようなシステムを自治体がつくっていたり、いろいろ考えていくためのきっかけになるデータの一つとも考えられますので、せっかくのこういうデータをいろんなところで、きちんと情報提供して活用していけるように、そういうような配慮もしていただければありがたいなというふうに思います。よろしくお願いいたします。

○相澤部会長 お願いします。

○立川環境安全課長 ありがとうございます。我々としても環境省の枠組みだけでなくて、関係省庁と連携して、こういった問題にどうやって取り組んでいったらいいのかということを検討してまいりたいというふうに思っております。

○相澤部会長 ありがとうございます。

ほかはいかがでしょうか。よろしいですね。ありがとうございました。

続きまして、報告事項のうちの化学物質審査規制法に係る最新動向ということでお願いいたします。

○福島化学物質審査室長 化学物質審査室長でございます。よろしくお願いいたします。

 では、資料8-1を御覧ください。本日2件の御報告でございまして、1点目が、冒頭、部長からもありました第一種特定化学物質の化審法の規制対象物質の追加指定についてでございます。2点目が、化審法施行状況検討会の設置について御報告いたします。

 まず、1点目の第一種特定化学物質の追加指定でございますけれども、これは昨年の6月の環境保健部会に御報告した以降の進展を本日は御報告したいと思います。

化審法でございますけれども、御存じのとおり、人の健康や環境に支障を及ぼすおそれがある化学物質を審査あるいは規制するという法律でございますけれども、この中で資料の2ページの上、スライド番号でいくと3番でございますが、PCBと同様の環境残留性、生物蓄積性、長期毒性、我々、PBT性状と言っておりますけれども、PCBと類似の性質を持つような物質につきましては第一種特定化学物質に指定して、製造・使用を原則禁止するという規定がございます。

 国際的には、資料の2ページの下でございますけれども、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約、いわゆるPOPs条約で国際的にもこういう物質についての取組が行われておりまして、そのオレンジのボックスにありますとおり、この条約、2004年に発効しておりますけれども、そのボックスの下でございますけれども、POPs条約で規制対象にされた物質につきましては、工業用の化学物質、いわゆる一般化学物質につきましては化学物質審査規制法で第一種特定化学物質に指定することでもって国内で製造・使用をコントロールする。農薬用途のものにつきましては、農薬取締法で別途担保するということを行っているところでございます。

 この条約で国際的に規制対象とすべき物質というのが、締約国会議で2年に1回議論されまして、折々追加されておるという状況でございます。

 続きまして、資料、3ページの上、スライド番号でいくと5番でございますけれども、最新の締約国会議が昨年の5月に開催されまして、そこにあります3物質群が新たに条約の規制対象として追加されております。このうちの多くにつきましては、国内で既に担保済みでございますけれども、一番上のポリ塩化ナフタレン(PCN)というもののうち、これはその右に構造式がございますけれども、亀の甲が二つある中に塩素、元素が2から8くっついているというものでございますけれども、このうち塩素数が3から8のものについては、既に国内では第一種特定化学物質に指定して規制済みでございましたけれども、塩素数2のものが条約上も規制対象に追加されたということで、この製造・使用等の禁止を国内で新たに行わなくてはいけないということでございます。また、2番目のヘキサクロロブタジエン、これは既に国内でも規制済みでございますけれども、一番下のペンタクロロフェノールとその塩及びエステル類という物質につきまして、農薬としての用途につきましては既に農薬取締法で措置済みでございますけれども、農薬以外の用途、具体的には殺菌剤などの使用につきまして国内で新たに規制措置を講じなくてはいけないという状況でございました。

 これを受けまして、3ページの下のスライドでございます。昨年の6月に環境大臣から、このストックホルム条約の新規対象物質の化審法第一種特定化学物質への指定についてという諮問がなされまして、即日、環境保健部会に付議されまして、6月15日の環境保健部会で御審議いただいたところでございます。その環境保健部会の御審議を経まして、こちらにおいでの白石先生に委員長を務めていただいております化学物質審査小委員会、本日御出席の先生方ですと、白石先生を初め、菅野先生、小山先生、鈴木先生、田辺先生に御参画いただいております。この小委員会で昨年の6月から厚生労働省と経済産業省との合同審議を始めまして、2回に分けて結論を出していただいております。

 1番目の結論といたしましては、①でございますけれども、この条約で指定されました2物質につきまして、化審法の第一種特定化学物質に指定することが適当であるという結論をいただいておりまして、この小委員会の決議につきましては、相澤部会長とも御相談の上、技術的な内容でございますので、その小委員会の決議でもって答申という形で、昨年8月に第一次答申を出させていただいております。

 続きまして、条約の中では、特定の用途で、他のもので代替できないものについては例外的に使用を認めるという適用除外の規定がございまして、この2物質分につきまして、国内で現に使用していらっしゃる方がいて、代替ができない場合には、どうしても必要だという場合には適用除外を設けることができるんですけれども、これにつきましては、国内の使用状況あるいは将来の使用の見込みといったものを調査いたしましたところ、特に国内では適用除外を設ける必要はなかろうという結論を10月にいただいておりまして、これも同じく小委員会の決議でもって第二次答申という形で出させていただいております。

 続きまして、お手元の資料の4ページ、上のスライドでございます。あとはこの2物質群につきまして、海外から日本にその物質を使っております製品が輸入されて、環境汚染が生じて、被害が生じることを防止しなくてはいけないということでありまして、国内におけますこれらの物質が使用されている製品の使用状況ですとか、製造・使用の状況、あとは海外でのこういった物質が使われている製品の製造・使用の状況というものにつきまして、国内の実態、あとは外務省に依頼いたしまして、世界各国の日本大使館あるいは公使館によります調査というのを実施いたしました。

その結果、日本に入ってきて汚染が生じる可能性がある製品といたしまして、4ページ、下の(2)に書いてあります製品でございますけれども、こういったものにつきましては、国内に輸入される可能性がなくはないということが判明いたしました。これらにつきまして、同じく昨年の10月に小委員会でこれらの製品をリストアップして、輸入を禁止することが適当であるという結論をいただきまして、答申をいただいております。

これらの2回の答申を踏まえまして、現在、政令の策定作業を行っているところでございまして、スケジュールといたしましては、資料の5ページの上に載せてございますけれども、今現在、TBT通報というWTO、世界貿易機関に我が国としてこういう輸入の規制を行うという情報をお知らせして、各国から意見を求めているところでございます。並行して国内でもパブリックコメント手続を行っておりまして、こういうものを踏まえまして、2月には政令公布の上、本年4月から化学物質としてのこれら2物質の製造・使用の原則禁止と。あとは、10月からはこれらの物質が使われております、先ほどお示しいたしました製品群につきまして、輸入の禁止ということを予定しているところでございます。

以上が1番目の御報告でございます。

続けて、2番目の御報告でございますけれども、化審法施行状況検討会の設置についてでございます。これにつきましては、資料の6ページの上のスライドを御覧ください。この化学物質審査規制法は、これまで時々の状況の変化に応じまして数回の改正を経ておりますけれども、最新の改正が平成21年改正でございます。平成21年改正化審法は平成23年4月に全面施行されておりまして、今年の4月で施行から5年が経過するということでございます。この21年改正化審法の附則の中で、法施行5年目に施行状況を点検して、必要に応じて必要な措置を講ずるということが規定されております。このため、関係審議会、関係審議会と申しますのは、中央環境審議会のみならず、経済産業省、厚生労働省の審議会でございますけれども、この3省の関係審議会によります審議に先立ちまして、この平成21年改正化審法の施行状況につきまして予備的な点検・検討を行い、課題の整理を行うということでこの検討会を設置してございます。

構成といたしましては、その下にありますとおり、3省の共同設置ということで、関係の学識経験者、有識者の皆様から構成されておりまして、環境保健部会からは本日御欠席でありますけれども、大塚先生に共同座長として御参画いただくほか、本日御出席の菅野先生、崎田先生、鈴木先生に委員としてお入りいただいているところでございます。

検討内容といたしましては、6ページ、下のスライドでございますが、まずは、その審議会での審議に先立って施行状況の点検ということで、そこに書いてあります項目につきまして、今現在、施行状況の点検を行っていただいているところでございまして、今後、課題の整理と今後の対応の方向性などについて御議論いただき、先々の審議会の審議に向けた予備的な検討を進めていただいているところでございます。

予定といたしましては、その下にございますとおり、昨年の8月から検討を始めていただきまして、年度内の取りまとめに向けまして作業を進めているところでございまして、結果がまとまれば、また来年度の環境保健部会に御報告いたしまして、必要に応じまして、またさらなる審議をお願いしたいというふうに思っているところでございます。

以上、2件御報告でございました。

○相澤部会長 報告事項のうち、第一種特定化学物質の追加指定につきまして、本日、化学物質審査小委員会の委員長の白石委員がご出席でございますので、小委員会の審議について一言ご発言いただきたいと思いますので、お願いします。

○白石委員 白石でございます。化学物質審査小委員会の委員長を務めさせていただいております。

 本件につきましては、小委員会が参加する化審法の共管の3省の合同審議会、室長からご説明ありましたとおり、厚労省、経産省の審議会と合同で、去年の6月から9月にかけて主要な検討を行いました。会議は公開ということで行っております。

 塩素数が2以上のポリ塩化ナフタレン、ペンタクロロフェノールとその塩及びエステル類の第一種特定化学物質の指定につきましては、諮問を受けた10日後、6月に懇談会という形式で開催し、審議いただいて、7月の小委員会で議決していただきました。また、個別の適用除外の取扱い及びこれらの物質群が使用されている製品の輸入を禁止するものの指定等につきましては、9月の小委員会で議決させていただきました。

資料の8-2、8-3、二つの答申がついておりますけれども、この二つの答申がまとまりまして、小委員会ご参加の委員のご協力のたまものでございまして、感謝申し上げます。

事務局には、引き続き所要の手続を進めて、POPs条約の適切な履行に努めていただきたいと思います。

以上です。

○相澤部会長 ありがとうございました。

 それでは、引き続きまして、報告事項の5について、事務局からご説明をお願いいたします。

○針田環境リスク評価室長 続きまして、環境リスク評価室より報告事項⑤の化学物質の環境リスク初期評価(第14次取りまとめ)の結果についてご報告いたします。資料番号9番になります。

 (1)の対象物質のところにございますとおり、平成27年12月24日に公表した初期リスク評価でございまして、この環境保健部会の下に設置されております化学物質評価専門委員会においてご議論いただきまして、その結果を公表したものでございます。今回は、健康リスクと生態リスクの双方の初期評価をしたものが15物質、また、生態リスク初期評価のみを行った物質が7物質となっております。

 評価は、真ん中の表の左側に書いてありますけれども、今後の対応に関しまして、詳細な評価を行う候補となるものがA、関連情報の収集が必要となるものがB、現時点では更なる作業の必要性は低いというものがCという形で分けております。

 (2)の結果といたしまして、まず健康と生態の両方を対象とした15物質についてですけれども、この真ん中の表の右側のところにありますけれども、健康リスク初期評価では、Aといたしまして1,1-ジクロロエチレン、1物質、B1といたしましてブロモジクロロメタンとヘキサメチレン=ジイソシアネートの2物質、B2といたしまして3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシル=イソシアネートなど4物質、Cといたしましてアジピン酸など8物質となっております。

 生態リスク初期評価の結果ですけれども、この一番右端のところですけれども、Aといたしましてセレン及びその化合物の1物質、B1といたしまして1,1-ジクロロエチレンなど3物質、B2がN,N-ジシクロヘキシルアミンなど2物質、Cがアジピン酸など6物質となっております。

 次のページに入りまして、裏側に入りまして、追加的に実施した生態リスク初期評価、生態リスクのみを行った7物質の結果ですけれども、Aといたしまして、N,N-ジメチルオクタデシルアミンとN,N-ジメチルドデシルアミンの2物質、B2が2,5-ジクロロアニリン、1物質、Cがオクタクロロスチレンなど4物質というふうになっております。

 一番下の(3)の留意事項に記しておりますけれども、今回の結果は初期評価でありまして、直ちに環境リスクの抑制などが必要というふうに判断されるわけではございません。なお、Aとなった物質に関しましては、省内外の関係部局にも情報提供しているところでございます。

 環境リスク評価室からは以上でございます。

○相澤部会長 それでは、最後になりますが、6番目の東京電力福島第一原子力発電所事故におけます放射線に係る住民の健康管理についてご説明をお願いいたします。

○得津放射線健康管理担当参事官 放射線健康管理担当参事官、得津でございます。

 東京電力福島第一原子力発電所事故の放射線に係る住民の健康管理ということで、これまでもこの部会でご説明をさせていただいておりますけれども、最近の状況も含めて、ご説明をさせていただきたいと思います。

 資料10でございますけれども、福島で行われている県民健康調査でございますが、概要としましては、被ばく線量の把握、これが「基本調査」ということになっております。それから、健康状態の把握ということで、2の①から④でございますけれども、甲状腺の超音波検査、こちらは事故時18歳以下だった全県民に行ってきているものでございます。②の健康診査については避難区域の住民等ということでございますし、③のこころの健康度・生活習慣に関するものについても同様でございます。それから、④の妊産婦に関する調査、これについても県内2万人ということで継続して行っております。ここで何らかの支援が必要になった場合には、県立医大のほうから支援等につながっていくという形になっておるところでございます。

 基本調査、次の2ページにございますけれども、これは直近の県民健康調査検討委員会で示された資料ですけれども、こちらは、今まで46万6,102人の方が調査票を出して、外部被ばく線量が推計をされているという状況でございます。今申し上げましたのは、放射線業務従事者を含めた数字でございますので、純粋に住民の方という観点で言えば45万7,031人ということになりますけれども、99.8%が5mSv未満、99.9%以上が10mSv未満という状況でございます。これはあまり状況として変わってはおりません。

 次のページでございますけれども、甲状腺検査のほうでございます。こちらは、チェルノブイリの事故では、事故後4~5年目から甲状腺がんが増加したという報告がございまして、福島の場合でもそういったことが心配されたということから、甲状腺の状況を把握するということと、子どもたちの健康を長期に見守るという視点で、福島県が県民健康調査の一環として実施しているというものでございます。

 対象者につきましては、先行調査、これは23年から25年度に実施したものでございまして、こちらのほうは事故時に18歳以下だった全県民37万人を対象にして実施しているものでございます。その次に、26年度から本格検査ということで始まっておりまして、こちらのほうは、事故時に胎児等であった者も含めて38万人という形で対象をやや拡大をしてきているということでございます。2年に1回検査を受けるということになりますので、2年で二巡目を完了するということになります。20歳になるまでは2年に1回、20歳を過ぎると5年に1回と県のほうでは決められており、それに従って実施をされているというものでございます。

 調査方法としましては、(3)にありますが、甲状腺の超音波検査を一次検査で実施をして、超音波の所見からA1、A2、B、Cという4区分に分ける。A1は何も変化がないというものと、A2につきましては小さなしこり、あるいは小さな「のう胞」、液体がたまった袋ということで、通常、臨床上見られるものとして、正常なものとして捉えられているものということになります。ややサイズが大きいもの、しこりでいえば5.1、「のう胞」では20.1mm以上のものについてはB判定、画像上、直ちに二次検査を要するものについてはC判定という、そういう4区分で行われているというものでございます。二次検査には、B、C判定の場合に回ってくるということになりまして、この場合は問診、それから詳細な超音波検査、血液検査、尿検査、必要に応じて穿刺吸引細胞診というものを実施するということになっております。

 次の4ページでございますけれども、先行検査の概要ということで、こちらのほう、資料をお示ししております。37万人中30万人の方が受診をしているということでございます。先ほどもご説明した4区分については、その右側の表に書いてございますが、A1が大体15万4,600人ぐらいと、A2が14万3,500人という状況でございます。B、C判定については、2,294名ということになっております。

このB、C判定の方については、スライドの左側のほうにありますが、二次検査に回りまして、113名の方が「がん」あるいは「がんの疑い」というところまで診断がなされて、99名の方が手術を受けて、98名の方が「がん」という診断が確定をしております。1名の方が手術をした結果、「良性」だったということでございます。残り14名については「がん疑い」ということで、現在手術等を待機している、あるいは経過観察中という状況であるというものでございます。

こちらは、福島県での状況になりますけれども、同じように青森、山梨、長崎の3県で24年度に甲状腺の有所見がどの程度があるかというものを実施しております。スライドの右側の下半分に書いてありますが、3県で実施をしまして、その結果が上の表にありますが、4,365人の方が一応調査をお受けいただいたという状況でございます。B、C判定を見ていただきますと、合わせて1%で、福島の場合は0.8%ということでございまして、福島県と超音波の所見については、ほぼ同様の結果が得られているという状況がわかっているということでございます。

左側の一番下のちょっと緑がかった部分でございますけれども、先行検査の甲状腺がんでございますけれども、こちらは原発事故由来のものとは考えにくいという評価をいただいているところでございます。簡単に申し上げますと、チェルノブイリの事故よりも線量が低いという評価。事故後4~5年目からチェルノブイリで増えたということでございまして、まだそういう時期に至っていないということ。福島の場合は6歳より上の方に見つかっておりますけれども、チェルノブイリの場合は乳幼児でも見つかっているというところが違っていると。それから、先ほども申し上げました3県調査のことと、それから、成人で超音波の検査をしますと、通常の罹患率の10倍から50倍ぐらいの計算上の推計が出ているということでございますし、こういったことを総合的に勘案すると、考えにくいという評価はいただいているという状況でございます。

次のスライド、5ページになりますが、現在までの検査を総括した表になってございます。今、二巡目が行われているということで、右から2列目を見ていただきますと、37万9,952人が対象ということでございまして、今、19万9,772人の方が検査をお受けいただいているという状況でございます。現在のところ、39名の方に、がんあるいはがんの疑いという状況がわかってきているということでございます。こちらの検査の確定状況については27年9月末分でございますので、今後も今年度中行われる部分について順次データが入ってくるという状況かと思っております。

それから、一番下の※でございますけれども、一巡目の先行検査では1,356人、二巡目の検査で637人の方が、いわゆる通常診療ということで専門医の医療管理下に置かれて、健康保険の中でしっかり見ていくような形になっているというものでございます。

それから、次のページは福島県のホールボディカウンタの状況でございます。こちらのほうは、表を見ていただければおわかりいただけますが、事故後ほぼ10カ月程度では1万5,409名の方がお受けいただいているという状況でございます。ほとんどが1mSv未満という状況でございますが、事故当時については一番高い人でも3.5mSv程度の預託実効線量があったという状況でございます。

平成24年2月以降が、いわゆる慢性摂取というシナリオのもと、内部被ばく測定を行っておりますけれども、こちらは、ほぼ全員が1mSv未満という状況でございます。今こういう状況になっているというものでございます。

それから、過去にもご説明したかもしれませんが、平成26年4月2日に国連の原子力放射線の影響に関する国連科学委員会の報告が出ているというものでございます。こちらについては、かなりの分量になっておりますので、主なポイントだけご紹介ということで抜き出しております。四つの矢羽根で書いてございますけれども、不妊、それから胎児への障害、こういった確定的影響は認められない。それから、がんや遺伝性疾患の発生率に識別できるような変化はないという予測をしているということ。それから、甲状腺がんについても大幅に増加する事態が起きる可能性は無視することができると。最も高い線量の甲状腺被ばくを受けた子どもの集団においては、理論上増加が検出される可能性があるけれども、今後この状況を綿密に追跡して、さらに評価を行っていく必要があるであろうというコメントがなされているという状況でございます。

ここまでが健康管理の状況でございまして、あと、放射線に係る健康不安対策ということの取組も行っているところでございます。こちらは水色の網かけの二つ目の丸にありますけれども、研修とかリスコミ活動で使うような基礎資料、こういったものをこれまでつくってきておりますけれども、最新の知見、それから最新の状況を踏まえて改訂したり、それから住民からの放射線に関する健康影響等の相談に対応できる人材の育成、それから住民の方々を交えた意見交換会、特に今は少人数制のものをやって、双方向の意見交換ができるようにという形で、車座集会ということで配慮を進めてきているというところでございます。

こういう取組はしているということと、水色の下から二つ目の丸になりますけれども、リスコミの拠点の運営、それから帰還する住民を身近で支える相談員、こういったものがありますが、そういった方の技術的なサポートをする支援拠点の運営、こういったものも実施しているところでございます。

 次のスライドでございますけれども、その一環として放射線リスクコミュニケーション相談員支援センターというものを平成26年5月にいわき市のほうに設置をしております。これは環境省の委託事業として行っているものでございまして、27年度については、専従の職員6名、それから専任の職員3名、常駐の専門家4名、交代で1日1名が配置できるような形でシフトを組んでいるという状況でございます。この状況については、運営については専門家の先生方からもいろいろご指導等いただいておりますけれども、当部会の崎田先生にも委員に加わっていただいて、活動状況についてはご指導いただいているという状況でございます。

 それから、やはり帰還をする際の相談ということになりますので、かなり個別性の高い相談にも対応できるようにという形になっています。特に水道水の安全に関するものというのは非常に住民の方々の関心が高まってございまして、最近このセンターにおいては水道水の安全に関する研修会というものを実施しております。こちらについては、地域の水道企業団等々に関わっていただいて実際の現場を施設見学したり、国立保健医療科学院の専門家、当部会の浅見委員にもご参画いただきまして、助言・意見交換を行っているという状況でございます。

 また、ほかのいろんな分野の相談があっても相談員を支援できるようにということで、スライドの右のほうに専門家ネットワークの登録ということで、各分野いろんな方々を登録しておりまして、必要に応じて、こういった方々のサポートが得られるような配慮をしているという状況でございます。

 私からの説明は以上でございます。

○相澤部会長 ありがとうございました。三つの項目についてご報告いただきましたので、ご質問、ご意見があればよろしくお願いしたいと思います。

 藤井委員、お願いいたします。

○藤井委員 福島関連、今ちょうど得津さんが座ってらっしゃるので、ここで質問させていただきます。前回は県立大学の報告書を送っていただいて、ありがとうございました。今日報告を伺いながら、この間もずっとそうですが、間もなく5年になる中で、今日の委員の中にもお医者様もいらっしゃるし、ちょっとご意見を伺えたらと思いますが、4ページの国内外の専門家の見解としてという、このチェルノブイリの4~5年後のこの物差しの話と、それから国連の報告書。今の時点で、環境省は福島に向けて、こういう理解をしている、こういう評価をしているということで本当にいいのかどうか。さまざまな見解が出ていることは環境省もご存じだと思うんですが、前回申し上げましたが、こういう見解に対して、住民のレベルでも、それからお医者さんのレベルでも、さまざまそうではないという話もあると思いますが、前回、この見解に対して問題ありという情報もきっちり集めていらっしゃいますかという質問をいたしました。その後、そういうことについて心をいたしながら、そういうこともなさっているか、そのことを伺いたいと思います。

○得津放射線健康管理担当参事官 いろんな意見があるというのは新聞報道でもございますので、関連の方がどういう発表をされているかとか、論文として発表される方等もおりますので、そういった情報の収集等は適宜しております。

 それから、私どもといいますか、国内外の主たる専門家はその原発事故由来のものとは考えにくいという評価をしていますが、実際に、先ほどご説明したとおり、二巡目でがんのほうが見つかっているという状況もございます。放射線の影響をちゃんと見ていくには、かなり長期的に見ていかなきゃいけないと考えておりますので、福島の県民健康調査、特に甲状腺検査がしっかり長期的に実施できるということ、これが非常に重要なことだと思っていますし、その結果をしっかり注視していくということが重要だと思っております。

 また、科学的な見解については、専門家同士でいろいろ、これから議論をされることだと思っておりますし、チェルノブイリの事故に関してUNSCEARから3回か4回ぐらい報告が出ておりますけれども、これまで世界中で報告されたいろんな論文について、UNSCEARのほうで改めていろいろ検証して、唯一、小児の甲状腺がんが増えたということは、UNSCEARの報告の中でも認めているという状況でございます。これからいろんな報告が出てきて、そういったものは国際的にもいろいろ評価をされていくということになるかと思いますし、そういった状況を我々もしっかり見つつ必要な対応をやっていく。それから、住民の方々等については非常に不安を持っている方もいまだたくさんおると思います。こちらについては県立医大のほうでもチームをつくって、非常に心配なっている方はサポートチームをつくってサポートしたり、あるいはよろず相談ということで、検診の結果をお返しするときとか、それから、学校で保護者の方にご説明するときには医大の専門の先生方がご説明をしたりということで、不安の解消を図っているという状況でございます。引き続きいろんなご意見があるというのは承知をしているので、これからもそういう情報収集等には努めていくようにしたいと思っています。

○相澤部会長 それでは、佐々木委員、お願いいたします。

○佐々木臨時委員 藤井委員に関連して、今の説明で大体わかりましたのですが、例えば4ページの緑色の枠の中、こんな中身を住民の皆さんに説明されているのでしょうか、大変不安に思います。お答え願います。

○得津放射線健康管理担当参事官 住民の方々には、ここに書いてあることを実際に活用する場合もありますけれども、恐らく個々の検査結果についての説明とかということになると、かなり個別的な話で、もっと詳しいことを専門家の先生がお話ししているケースがあるかと思います。相談用のブースを設けたりしたり、特に保護者の方は非常に心配になっているというのは事実としてありますので、こういう事実はありながらも、医大のほうでもう少し丁寧なご説明をされているというふうには承知をしております。

○佐々木臨時委員 わかりました。この中身は、私は心証を害するかなと思いますので、丁寧に、丁寧に対応していただければと思いでおります。よろしくお願いいたします。

○相澤部会長 井内委員、お願いします。

○井内臨時委員 先ほどの藤井委員のご質問に対して、私、広島大学の医学部におりまして、30年ぐらい被ばく者の発がんの調査に関わってきましたので、少しコメントをさせていただきたいと思います。

 まず、被ばく線量から見て、このUNSCEARの報告がいかなるものなのかということについては、広島で被ばくをした人というのは平均が5Svなんですね。どのぐらいの発がん率があるかというのはご存じかと思いますが、残念ながら広島の場合は100mSv以下のデータはないんですね。ないというのは、そういう低線量被ばくの方を追っかけている研究データがない。ですので、恐らくUNSCEARの研究は、例えば世界中で見ると、空中からの自然放射線が6mSvとか7mSvあるような地域もあるわけで、そこのデータ等々も勘案して、こういう結論になったんだと思っています。

 本当に安全なのかということについては、先ほどご説明もあったように、5年程度のフォローアップではだめで、広島ではいまだにコホートスタディーを続けているわけですね。被ばく者が5万人と非被ばく者コントロールの方が5万人で、その10万人のコホートスタディーというのが実に60何年続いているわけで、今でも新しいデータが出てくるわけであります。

 私が思うのは、今、子どもの甲状腺がんについて随分注目が集まっていますけれども、本当は被ばくされた方は全員200万人でしょうか、福島県民の方。全員をやるというのはとても難しいかもしれませんけれども、少なくとも今、厚労省が進めているがん登録というのがありますので、がん登録をきちっと福島県内で、組織切片というんですけれども、私たち病理診断をつける立場の人間から言うと、どんな病気が起こったかということをより詳細にデータをとることができるんですね。そういうものをきちんと集めて、これを長い経過で、本当に最低でも30年、40年、追っかけていくことが、世界的なデータをつくる意味でも大変重要なことだろうと私は思っているんです。今の小児の甲状腺がんというのは、恐らく他県と、つまり被ばくをした人としない人で違いがない。それは甲状腺の研究をしている方はわかっていると思いますけど、チェルノブイリではret遺伝子という特殊な遺伝子の変異が起こっているわけです。そういうものは全然見られていないし、やはり直接的な被ばくと関係のある甲状腺がんの発生だとは思われていないわけですよね。しかし、この後どうなるかということについては誰も知らないわけですから、我々とすると、先ほど言いましたように、もっと長期的な観点に至って、この200万人の福島県民の方々のフォローアップは必要だと思っています。現時点で、そのように基礎的な研究をやりますよという説得がまずベースにあって、福島県民の方々の心のケアをされていくと、十分にこれからもフォローしていきますのでという形で施策を進めていかれるのが、私自身が広島にいて思ってきたことでありますので、藤井委員のご質問に答えているかどうかわかりませんけれども、ちょっとコメントをさせていただきました。

 以上です。

○相澤部会長 ありがとうございます。

 崎田委員、お願いいたします。

○崎田委員 私も今の福島の件なんですけれども、この状況をどう評価するかというのとはまた別に、例えば4ページ、5ページで、今、がんの疑いとか、がんというふうに評価されているご本人とそのご家族というのは、私たちが考えている以上に不安なお気持ちを持っておられるというふうに感じています。そういう方をフォローすることに対して、先ほど県立医大のサポートというお話がありました。ぜひ、いわゆる医学的にサポートと、もう少したってくると暮らしとか自分の生き方とか、そういうメンタルなところのフォローも継続して大事になってまいりますので、例えば環境省のこの分野の皆さん、今、相談員制度の相談員の方をサポートするというセンター運営などもされておられますので、そういう医学的なもの、プラス暮らしとかライフスタイル、生き方、暮らし方とか、そういうことに対してどう寄り添っていくか、その辺まで視点を広げていただくということもあり得るんではないかなと思って、伺っておりました。

 後半の支援センターなんですが、私も少し関わらせていただいて、この1年間で本当にいろいろな組織との横の連携を皆さん図って、非常に急激にこの一年で体制を整備してきておられるというふうに感じております。ただし、相談員の方をフォローするわけで、直接本当に不安な住民の方ではないので、なかなか効果が見えにくいというところだと思いますけれども、できるだけ、どういうふうに実際の効果がつながっているのか見えるような形で、相談員の方をフォローしていただければありがたいなというふうに思います。よろしくお願いします。

○得津放射線健康管理担当参事官 ご指摘ありがとうございました。甲状腺がんと診断された方あるいはその疑いの方というのは、ご指摘のように非常に不安を抱いているという状況かと思います。これは環境省の施策ではないんですけれども、厚生労働省でがん診療連携拠点病院という指定の制度を設けておりまして、その中で、いわゆるメンタル部分のサポートなどを担う、相談支援センターというのを拠点病院に置きなさいということになっております。そういった枠組みの中でも、先生ご指摘のようなアプローチはされているんだと思いますし、そういう実情も我々は把握しながら、私どもでやっております相談員支援センター、こことどういう連携がとれるのかとか、そういったことも少し模索してまいりたいと思います。

 それから、先ほどがん登録の話が井内先生からもございましたけれども、こちらは今年から全国がん登録法というのが施行されておりまして、私ども研究班の中で福島県、それからその近隣県においてもがん登録等の罹患動向、こういったものをしっかり把握していく必要があるだろうということで、いわゆるデータをレビューするような研究組織の立ち上げも今年度から行っております。こういう組織の中で、どういう疾病発生動向があるのかということを、しっかり把握し適切に対応してまいりたいと思っております。

 以上でございます。

○相澤部会長 ありがとうございます。ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。

(なし)

○相澤部会長 それでは、どうもありがとうございました。事務局におかれましては、委員の皆様方の貴重なご意見がございましたので、これを参考にしていただいて、今後の環境保健行政を進めていただくようお願い申し上げます。

 大変長時間にわたりまして議論いただきまして、どうもありがとうございます。

○今村委員 1点だけ。

○相澤部会長 どうぞ。

○今村委員 もう終わりかけで恐縮ですが、医師会の今村と申します。報告事項の2のところで、医薬品の環境での検出状況というお話が相当出たので、このデータを改めてずっと見せていただいていたんですけれども、資料6の5ページのところで、先ほどご説明いただいた抗生物質のお話があったと思うんですけれども、この表の中で検体と地点というところで、例えば3のクラリスロマイシン、13/17というのは17検体のうち13検体が検出されたと、そういう理解でよろしいんですよね。

○立川環境安全課長 はい、おっしゃるとおりです。

○今村委員 そうすると、ゼロというのはほとんど何も出ていないということですね。これを見ると、臨床上、非常に使用頻度の高いお薬だけが出ていて、実際上、こんな薬、今どき使ってないというものは当然のごとくゼロになっていて、こういうものをずっと調べ続けるのかどうかということ。先ほどお話があった在宅の関連で今、長期投与だとか残薬だとかというのは大変問題になっていて、薬剤の処理というか、廃棄から起こってくるとすると、その抗生物質等については、基本的にはそんなに長期に処方されるお薬では原則としてない。ただし、クラリスロマイシンだとかエリスロマイシンについては長期処方がされているお薬ということで、そういう影響があるかもしれない。そうであれば、もっと一般のほかの薬剤で対象になるものを調べると、どこから出てきているのかという推測もできるのではないかなと思っています。何でも全部調べればということではなく、市販でよく使われているお薬を中心に調べられたらいいのではないかなと思ったので、ご意見として申し上げさせていただきました。

以上です。

○立川環境安全課長 ありがとうございます。今ご指摘いただきました資料6の別表1、いろんな医薬品が書いてあるもので、そういう感じになってしまっておるんですけれども、基本的には、環境の水中濃度、それから生態影響情報が報告されている物質を選定して、まずこの辺からやったらどうだろうかという物質を選定した上で調査にかかったのですが、一斉分析になると、一緒にこれも測れますという物質があったものですから、それでいろいろ測ったと。結果的にある意味、今のご指摘のとおり使用量が多い、クラリスロマイシンというのは典型的に、私も家の中で調べたら、子どもが副鼻腔炎なんかだと、かなり長期にわたって処方されるということで使用量が多いというものでありますけれども、そういったものは比較的濃度が、検出割合が高いという結果になっております。今後こういった調査をどういうふうにやっていくかということでございますけれども、先ほど小山委員からもご指摘がありましたが、医薬品のみならず、動物用の医薬品も含めて考えていかなければならないかもしれませんので、関係府省とも少し相談しながらその辺は調べていきたいと思っております。

 なお、そういった意味で言いますと、これらの薬剤について、物によっては違いますけれども、今ご指摘いただきましたクラリスロマイシンなんかは典型的に、一部液体タイプもありますけれど、ほとんどは丸薬タイプなので、廃棄した結果というよりは、摂取して、それで未代謝というものなのかなというふうに思っております。

 以上です。

○相澤部会長 よろしいでしょうか、追加ございませんでしょうか。

それでは、これで本当に終了させていただきます。

それでは、事務局にお返ししますので、よろしくお願いします。

○近藤企画課課長補佐 本日は活発なご議論いただきまして、ありがとうございました。最後に、議事録の扱いと次回の日程についてお伝えを申し上げます。

本日の議事録につきましては、原案を作成しまして、委員の皆様にご確認をいただいた後、環境省のウエブサイトに掲載をする予定ですので、よろしくお願いをいたします。

 また、次回の日程につきましては、改めて調整をさせていただきます。

 それでは、以上で第34回中央環境審議会環境保健部会を終了したいと思います。どうもありがとうございました。

午後5時41分閉会