中央環境審議会環境保健部会(第30回)議事録

平成26年6月25日(水)13:00~15:04
TKPガーデンシティ永田町 2階 ホール2A

議事次第

1.開会

2.議事

  1. (1)第四次環境基本計画(化学物質分野)の点検について
  2. (2)報告事項 環境保健行政の現状について
    1.   ① 放射線健康管理について
    2.   ② 水銀に関する水俣条約への対応に係る検討状況について
    3.   ③ 化学物質の環境リスク初期評価(第12次とりまとめ)の結果について
    4.   ④ 子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)について
  3. (3)その他

3.閉会

配付資料一覧

【資料】

資料1 中央環境審議会環境保健部会名簿
資料2-1 環境基本計画(化学物質分野)の点検について
資料2-2 環境基本計画(化学物質分野)の点検報告書(案)
資料3 報告事項 環境保健行政の現状について
  1. ① 放射線健康管理について
  2. ② 水銀に関する水俣条約への対応に係る検討状況について
  3. ③ 化学物質の環境リスク初期評価(第12次とりまとめ)の結果について
  4. ④ 子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)について

【参考資料】

参考資料1 重点検討項目の設定について
参考資料2 重点検討項目(案)
参考資料3 重点検討項目案に関連する各省の主な取り組み(案)
参考資料4 第四次環境基本計画(抜粋)
参考資料5 我が国の主な化学物質関係法体系

議事録

午後1時00分 開会

○菊池企画課長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第30回中央環境審議会環境保健部会を開催いたします。

 環境保健部企画課長の菊池でございます。議事の開始まで進行を務めさせていただきます。

 各委員の皆様におかれましては、御多忙にもかかわらず、御出席いただきまして誠にありがとうございます。この会議は公開で開催いたします。

 また、議事に入ります前の冒頭のみ、カメラ撮影を可能という扱いにしております。

 環境保健部会委員及び臨時委員27名のうち、本日は、今のところ19名の御出席いただいておりまして、定足数に達しておりますので、部会として成立しているということを、まず御報告を申し上げます。

 部会に所属する委員の変更について、まず御報告いたしたいと思います。

 本日からお二人の委員に新たに参加していただくことになりました。

 最初に、日本化学工業協会環境安全委員会委員長の交代に伴いまして、これまで御参画いただいた梶原泰裕委員にかわりまして、新たに三隅淳一委員に御参加いただくことになりましたので、御紹介申し上げます。

 次に、名古屋大学大学院環境学研究科教授の高村ゆかり委員にも新たに御参画いただくことになりましたので、御紹介申し上げます。

 続きまして、資料の確認をさせていただきます。

 一番上に議事次第がありまして、裏をめくっていただきますと配付資料の一覧がございます。

 このとおりなんですが、まず、資料1としまして、この環境保健部会の名簿。

 それから、資料2-1としまして、環境基本計画(化学物質分野)の点検についての1枚紙。

 その次に、資料2-1の別添としまして、第四次基本計画の点検の進め方について、2枚紙があります。

 その下に、資料2-2といたしまして、主な資料ですが、環境基本計画(化学物質分野)の点検報告書(案)。

 その下に資料2-2別添といたしまして、重点点検分野に係る関係府省との自主的点検結果の調査票。

 その下に資料3としまして、環境保健行政の現状について。

 その下に、以降、参考資料になりますが、参考資料1としまして、重点検討項目の設定について。

 参考資料2が、重点検討項目(案)。

 参考資料3が、横表ですけれども、各省の主な取り組み。

 参考資料4が、環境基本計画の抜粋となっております。

 もし不足の資料などがございましたら、事務局のほうにお申しつけいただきますようにお願いいたします。

 なお、本部会の資料につきましては、原則、全て公開とさせていただきたいと思います。

 また、部会の終了後に発言者名を示した議事録を作成いたしまして、委員の皆様方に御確認いただきまして、御了解いただいた上で、公開させていただくというふうに考えております。

 それでは、ここで、事務局を代表いたしまして、環境保健部長の塚原から御挨拶を申し上げます。

○塚原環境保健部長 こんにちは。部長の塚原でございます。

 本日は、当環境保健部会に御参集いただきまして、ありがとうございます。

 平素から環境保健行政に御協力と御指導いただいていることにつきましても、改めて厚く御礼申し上げたいと存じます。

 本日の議題でございますけれども、化学物質分野につきましての第四次環境基本計画の点検でございます。

 この点検につきましては、昨年12月に開催されましたこの部会におきまして、点検の重点検討項目の選定につきまして、一度御議論いただいております。

 今回は、この検討項目に沿いました、環境省、それから関係府省の自主的な点検の結果につきまして、それぞれ御報告させていただくことを予定しております。

 この環境基本計画に基づきます、これまでの取組、今後の方向性につきまして、委員の先生方より忌憚のない御意見を賜りますれば大変ありがたいというふうに考えております。よろしくお願いを申し上げます。

 続きまして、報告事項が幾つかございます。

 4点ほどございますけれども、特に、前回の部会で委員の先生方から御指摘がありましたので、特に、本日は原発事故に伴います住民の放射線健康管理につきましても資料を準備いたしまして、御報告させていただきたいと考えております。

 御承知のように、化学的な根拠に基づいて実施することが重要でございますが、日々、医学等の専門家の御意見いただきながら、客観的な情報収集に努めているところでございます。これにつきましても、御説明の後、多くの御意見いただければというふうに存じます。

 今後とも、委員の先生方のお知恵を拝借いたしながら進めてまいりたいと考えておりますので、ぜひ本日は御意見を賜りますようお願い申し上げまして、冒頭で、簡単でございますが、御挨拶とさせていただきます。

 本日はよろしくお願いいたします。

○菊池企画課長 それでは、冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきまして、ここからは中杉部会長に議事進行をお願い申し上げます。よろしくお願いします。

○中杉部会長 本日は、お忙しい中、また、足元の悪い中をお集まりいただきまして、ありがとうございました。

 それでは、審議に入りたいと思います。

 議事次第にあります議事の順番に従って進めたいと思います。

 最初は、第四次環境基本計画の点検についてでございます。

 事務局から資料の御説明をお願いいたします。

○牧谷環境安全課長 環境安全課長の牧谷でございます。着席で説明を申し上げます。

 資料は、2-1、それから2-2、それぞれ別添がございます。それから、参考資料1~5を用意しておりますので、それもあわせてご用意ください。

 まず、資料2-1によりまして、本日の審議いただくに当たりまして、これまでの経緯、それから、今後の予定などについて御説明しながら、本日のお願いしたい議論の御説明を申し上げます。

 まず、昨年6月28日でございますけれども、この部会におきまして重点検討項目の検討をお願いいたしました。

 参考資料1をお開きください。

 ここにありますように、2番にありますように、第四次のこの化学物質分野の重点項目①~⑤がございますが、このうち、今回の点検の対象といたしまして、3にありますように、このうちの①及び②、さらには③未解明問題についても、①に含めて整理するというふうに決まったところでございまして、それに沿って、①の科学的なリスク評価の推進、それから、未解明問題、ライフサイクル全体のリスク削減、このような重点項目とするということになっております。

 引き続きまして、12月20日の部会におきまして、それぞれ、①、②につきまして、少し詳細なる検討内容を御議論いただきました。それが参考資料2及び3でございます。

 ①のほうが、科学的なリスク評価の推進につきましては、このリスク評価を効率的に推進するため、現行のリスク評価を推進するのみならず、リスク評価に係る新たな手法の検討を行う。また、予防的取組の考え方に立って、未解明問題についても研究に積極的に取り組むという考え方のもとに、そこにあるa)~c)について、点検を行うということになりました。

 それから、次の裏のページに行っていただきまして、ライフサイクル全体のリスク削減につきましても同様でございますが、製造・輸入・使用・環境への排出・リサイクル・廃棄のあらゆる段階において適切な手法を組み合わせて対応していくということで、ライフサイクル全体のリスクの削減をするという考え方に基づきまして、やはりa)からb)、c)、d)と、四つの項目について検討するということとなりました。

 資料2-1に戻っていただきまして、こうした審議を受けまして、2014年に入りまして、関係府省の自主的な点検を実施いたしまして、本日は、この自主的点検結果を踏まえた点検報告書(案)を資料2-2として用意いたしました。

 自主的点検結果そのものにつきましては、資料2-2の別添として調査票が束ねてございます。

 全部で41の項目につきまして点検を行いまして、この調査票の調査結果をもとにしまして、2-2の点検報告書(案)をまとめております。

 本日は、これに関する御議論いただきまして、今後の課題について御審議を賜りたいと考えております。今日いただいた御議論をもとに、事務局で今後の課題についての取りまとめを行いまして、次回、8月に予定しております環境保健部会に、その今後の課題を含めた点検報告書(化学物質分野)について御提示し、検討いただくという予定でございます。

 さらに、その後、他分野の点検結果も含めて、総合政策部会で、9月、10月と検討が行われまして、年内にはパブリックコメント及び報告書の閣議報告と、このような段取りで進めることとしております。

 さて、そういったことをもとにいたしまして、資料2-2をお願いいたします。

 まず、1ページ目にあります、この報告書の構成について、やや本文がわかりにくくなっておりますので、この構造を御説明いたします。

 二つの重点項目、それぞれにつきまして、(1)に、その基本的方向が書いてあります。それから、(2)として、現状と取組状況につきまして、a)、b)、c)、それから取組状況を、それぞれまとめております。

 現状につきましては、これは可能な限り指標を用いてまとめるということとしておりまして、参考資料4をお願いいたします。

 参考資料4は環境基本計画の抜粋でありまして、そこの122ページ、最終ページを見ていただきますと、そこの4番に取組推進に向けた指標というところがありまして、この「現時点で想定される主な指標は以下の通りである」ということで、環境残留に関する指標、排出状況に係る指標、リスク評価に係る指標と、こういったものが既に提示されております。

 本日の点検報告書におきましては、これらの指標に加えまして、中杉部会長にも御指導いただきながら、場合によっては、より追加的な指標も加えて、現状について評価を試みております。

 それから、取組状況という部分につきましては、それぞれの取組の内容について調査票をもとにまとめてございます。

 以上のような構成となっております。

 それでは、1ページ目をお願いいたします。

 まず、①の科学的なリスク評価の推進でありまして、2ページからが、そのa)のリスク評価の推進、目標値等の設定の内容となっております。

 現状でございますけれども、国はリスク評価を推進する取組といたしまして、ここでは化審法、それから農薬取締法に基づく評価、それから初期的なリスク評価について、記載しております。また、環境目標値の設定につきましても、同じく記載しております。

 まず、2パラ目で書いてございますのが、化審法に関する記述でございまして、御案内のように、新規の物質につきましては、製造・輸入前に届出をするということになっておりまして、また、既存の化学物質につきましても、国が安全性点検を行い、必要な措置を講ずるということになっております。

 また、産業界と国との連携のもとで、OECDのプログラムでありますとか、官民連携での通称Japanチャレンジプログラムというものも実施されてきております。

 また、平成21年の化審法改正に伴いまして、既存化学物質につきましても、製造輸入数量等の届出の対象としましてスクリーニング評価を行い、優先評価化学物質を絞り込んだ上で、試験結果の提出を事業者に求め、リスク評価を行うと、このようなフレームができたところでございまして、その実施状況につきまして、図の表1及び2に示しております。

 3ページ目及び4ページ目をお開きください。

 3ページ目が、有害性クラスの審議物質数の実績でございます。それから、右側の図表2がばく露クラスのスクリーニング評価の結果でございます。実際のスクリーニング評価は、まず図表2のばく露評価、ばく露クラスの選定を行いまして、クラス分けを行い、一定のばく露クラス以上の物質につきまして、左側のその有害性クラスの審議、クラスの評価を行うという順番で行われます。

 この経年的な変化を見ていただきますと、年々、この累積数が増加しているという状況にございまして、平成26年4月現在で、169の物質が優先評価化学物質に指定されているという状況にございます。

 次に、4ページの下のほう、農薬取締法でございますけれども、水産動植物の被害あるいは水質汚濁に係る農薬登録保留基準の設定に関する検討状況を表3に示しております。

 表3、5ページをお開きいただきますと、上が水産動植物、下が水質汚濁関係でございまして、平成26年3月時点でございますが、水産動植物の関係につきましては、224農薬に基準値を設定し、一方、85の農薬については、水系に流出するおそれがないなどの理由で基準値不要というふうにされております。

 また同様に、下の水質汚濁につきましては、182農薬に基準値を設定、それから85につきましては、基準値設定不要というふうに判断されております。

 次に、6ページに参りまして、初期リスク評価について、これまでの実績を示しております。図表4にありますように、折れ線グラフのほうが、毎年実施しました初期リスク評価の物質数の推移でございまして、それから、緑色の棒グラフが、それらの累積数でございます。平成25年12月までに、316について評価を実施しております。

 次に、その下の大気汚染に係る環境基準というところでありますけれども、これは目標値の関係の記述になっております。大気の環境基準につきましては、人の健康の保護の観点から、10物質について定められておりまして、また、有害大気汚染物質という位置づけでの指針値が9物質について定められております。また、水質汚濁に関しましても、人の健康の関係の項目、公共用水域について27、地下水について28項目が設定されております。また、要監視項目につきましても、公共用水域26、地下水24項目が定められております。

 さらに、7ページ目に参りまして、生活環境項目についても、公共用水域において、BOD、COD等の環境基準が定められておりまして、このうち、水生生物の保全に関する項目として、環境基準が3項目、要監視項目が6項目定められている状況にございます。

 以下の取組状況が記述されておりますが、時間の関係もありまして、項目を主に御紹介いたします。

 まず、リスク評価の推進ということで、化審法のその状況が書かれております。

 それから、8ページに参りまして、農薬に関するリスク評価の推進ということでございまして、先ほど御紹介いたしました数字が図表6に掲げてございます。

 それから、9ページに参りまして、農薬のモニタリングの状況が述べられております。また、その中ほど、環境リスク初期評価の実施について書かれております。

 10ページでは、有害性評価の推進といたしまして、化審法で行われている毒性試験の実施に関すること、並びにJapanチャレンジプログラムについて記載しております。また、ばく露評価の関係では、化学物質環境実態調査、いわゆる黒本調査について、書かれております。

 それから、11ページに参りまして、人へのばく露量モニタリング調査でございます。

 それから、12ページでは、PRTR制度による排出量・移動量の把握、公表の実績の記述をしてございます。

 その下、大気環境の常時監視、それから、次のページ、同じく水環境、それから、13ページの下に行きまして、地下水質の常時監視の状況について、記載しております。

 また、目標値の関係につきましては、大気汚染の関係の環境基準でございますが、下から7行目ほどにありますように、マンガンについて、平成26年3月に取りまとめられた報告に基づきまして、4月に指針値の設定が行われている等の内容となっております。

 それから、15ページでは、水質環境基準の見直しに関する記述がありまして、ポツが二つございますが、平成25年度においてはトリクロロエチレンに関する基準の見直しがありまして、0.01mg/Lの見直し行われました。また、要調査項目の改訂を行いまして、新たに208項目が選定されております。

 また、土壌環境基準につきましても、一番下の行からでありますが、1,1-ジクロロエチレンにつきまして、土壌環境基準の見直し作業が行われまして、今年の3月に土壌環境基準の見直しが行われております。

 次に、17ページをお願いいたします。

 リスク評価の効率化に向けた新たな手法の開発でございまして、OECDなどの国際連携を図りながら、定量的構造活性相関(QSAR)でありますとか、トキシコゲノミクス等の新たな手法でありますとか、農薬の環境影響をより的確に評価するための手法の開発が進められております。

 ⅱの、その取組状況にありますように、リスク評価の効率化の取組といたしまして、QSAR等を利用したシステムの開発が行われております。

 また、18ページに参りまして、生態毒性予測システムということで、国立環境研究所で開発しておりますKATEというシステムでございまして、これが最新版、23年3月に2011年版の公開がされております。

 それから、ライフサイクル全体でのスクリーニング・リスク評価手法の調査研究も実施されております。

 農薬に関しましても、鳥類の農薬リスク評価・管理手法のマニュアルの作成が、平成25年に行われております。

 また、生物多様性に配慮した、その評価をするためのメソコズム試験についても検討が進められておりまして、実証試験ができる段階にまで進捗しております。

 19ページでございますが、いわゆる魚、藻類、甲殻類、3種の毒性試験でありますけれども、生態系全体を考慮するという課題に対しまして、統計学的手法を用いた生態系全体へのリスク評価手法の確立を目指した手法の開発が進められております。また、最後に、シンポジウムなどが定期的に開催されております。

 次、20ページでありますが、予防的取組を踏まえた未解明問題の対応といたしまして、ここでは、内分泌かく乱作用の評価手法、それから、ナノ材料に係る各種ガイドラインの策定、それから、子どもの健康と環境に関する全国調査、いわゆるエコチル調査について記載しております。

 まず、内分泌かく乱作用の関係でございますが、図表7にありますように、一番上の欄から見てみますと、信頼性評価というところの選定、107と数字が入ってございます。現在進められておりますExTEND2010の中では、この物質を100程度選ぶというふうになっておりまして、それに基づいて、今、107物質が選ばれております。

 これらにつきまして、信頼性評価ということで、主に文献調査によりまして、更なる試験に進むかどうかという判断をいたします。

 この実施状況でございますが、そこの文章中、「平成25年度で89物質」とございますが、これは、失礼いたしました。「79」の間違いでございます。それから、「そのうち29物質について」とありますが、これは「35物質について」の誤りでございます。訂正いたします。失礼いたしました。

 35物質について第1段階の試験管内試験を実施しておりまして、更に6物質について第1段階生物試験を実施していると、このような状況にあります。

 次に、21ページをお願いいたします。

 取組状況でございまして、疫学研究といたしましてエコチル調査であります。これは10万組の親子を対象として、子どもが13歳になるまでの追跡調査をするという疫学調査であります。

 現在、スタートから3カ年が経過いたしまして、目標である10万人を達成しております。今後は、この追跡調査を本格化するとともに、5,000人程度を対象としまして、面談調査あるいは環境測定を実施する、詳細調査を実施するということで進めてまいります。

 次に、評価技術・手法の検討で、内分泌かく乱作用のリスク評価手法の検討でありますけれども、こういったリスク評価を進めるに当たっての評価手法、試験法の開発も同時に進められております。OECDテストガイドラインなどを目指しまして、報告書の作成等を進めているという状況にあります。

 22ページの上から4行目からですが、生態影響の評価手法の確立のための評価、並びに試験手法の確立も進められております。

 それから、複合影響評価等の調査ということで、個々の物質のみならず、複数の化学物質のばく露による影響を考えるための調査研究が進められております。平成25年度におきましては、複合影響評価ガイダンス(試案)の項目が検討されております。

 次、23ページでありますが、ナノ物質の有害性検討も進められております。

 二つ目のポツにありますように、リスク評価手法の確立ということで、24年度、25年度におきまして、評価技術に関する試験でありますとか、評価手法の暫定案の取りまとめなどが行われております。また、この影響の未然防止のための方策検討事業ということで、24年度、25年度、それぞれ検討が進められております。

 次に、環境中の微量な化学物質による影響の評価につきまして、これは、前回、相澤委員から、化学物質過敏症についても点検対象とすべきという御意見をいただいたことに対応いたしまして、この点検の項目に含めております。

 それでは、次の25ページをお願いいたします。

 大きな検討項目の二つ目、ライフサイクル全体のリスク削減でありまして、a)~d)に分けております。

 a)のほうが製造・輸入・使用段階まで、b)が排出・廃棄・リサイクル段階、c)が過去に製造された有害化学物質あるいは土壌・底質等の負の遺産への対応であります。d)が事故対応となっております。

 まず、a)の関係が26ページからでございまして、ここでは化審法における一般化学物質についての届出の分布が書かれております。平成21年の法改正を踏まえて、新たな仕組みが23年度から導入されていることを踏まえて、この間の実績について記述しております。

 また、27ページの図9を御覧いただきますと、農薬の出荷数の推移であります。また、化審法における新規の届出件数の推移が図10に書いてありまして、40年間の推移で見ると、長期的には増加傾向で推移しているということがございます。

 また、28ページには、少量新規の届出件数の増加状況が記載されております。

 28ページの本文中にありますように、第11の表を御覧いただきますと、いわゆる第一種特化物の指定状況を書いておりまして、現在、合計30物質が指定されております。また、図12を見ていただきますと、第二種の特定化学物質のうちで、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン及び四塩化炭素の、出荷量の減少傾向の推移が示されております。

 取組状況でございますけれども、まず、化審法の規制の実施がございます。

 30ページにあります。それから、農薬取締法による規制の実施ということで、先ほどの8ページ、9ページの再掲でございます。

 それから、やや飛んでおりますが、31ページをお開きいただけますでしょうか。

 31ページにおきまして、脚注欄にライフサイクル全体のリスク低減に関する施策のうち、本計画に含まれないものとして、食品の関係、それから、水道水の関係を記述しております。これは前回におきまして、消費段階のばく露についても点検の中に含めるべきではないかという大塚委員、浅野委員の御指摘、それから、水道法の取組についても点検に含めてほしいという浅見委員の御意見、それから、他省におけるモニタリングについても記述すべきであるという中杉委員からの御意見などを踏まえまして、記載しております。

 内容といたしましては、食品、それから、家庭用品につきまして、これ自体は環境基本計画に記載されていないということでありまして、直接の点検対象ではございませんが、参考的にライフサイクルという観点から全体を示すということは有益でございますので、注釈として書いております。

 食品につきましては、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会において、規格基準の設定の考え方が示されておりまして、「合理的な達成可能な範囲でできる限り低く設定する」という、いわゆるALARAの原則に基づく基準値やガイドラインの設定が行われております。

 また、これに基づきまして、米中のカドミの基準の見直しでありますとか、フラトキシンに係る規制の見直し、あるいは妊婦への魚介類の摂取、水銀に関する注意事項、こういったものが進められております。

 32ページに参りまして、食品の安全性の向上に向けた取組といたしまして、その下から2行目辺りから、農蓄水産物、それから、食品中の含有実態調査が行われております。また、水道水の水質管理の取組についても記載しております。

 ちょっと説明を飛ばした部分がございまして、26ページ、全体に係る話でございますが、製造、これは輸入・使用段階での取組につきまして、前回、やはり浅野委員から、代替物質への転換の取組について、民間の促進策をどう講じているか。それから、フロンの代替に関する取組についても調べてほしいという御意見がありました。

 まず、代替物質の技術開発状況につきまして、これを経済産業省に照会した結果、現在、行っている取組はないという回答でございました。

 それから、フロンの関係でございますが、現在、この環境保健部会と並行的に地球環境局におきましても点検が行われておりまして、この中でフロンの代替物質の取組の内容が記載される予定となっております。したがいまして、この中で核物質関連の取組が実施されている場合には、本点検報告書にも盛り込む予定でございますが、いずれにしても、次回、8月の部会までには確定させる予定としているところでございます。

 さて、また戻りまして、33ページをお願いいたします。

 次に、排出・廃棄・リサイクル段階での対策に関しまして、33ページでは、PRTR制度の排出量・移動量の推移を記載しております。

 また、34ページからありますように、ベンゼン等の基準の超過状況につきまして記載しておりまして、2008年以降、超過率はほぼ0%という状況になっております。

 また、34ページの中ほど、「また、」のところでありますが、水質汚濁に関する健康項目の環境基準の超過状況につきまして、図表15で示しております。

 ここで、1点、補足でありますが、2012年の数字がこの図表15から漏れておりまして、2015年度においては1.0%という数字が入っております。追加をお願いいたします。

 次に、取組状況でございますが、まず一番下、34ページの下から、PRTR制度に関する取組、それから、35ページに参りまして、大気汚染防止法に基づく措置が書かれております。

 また、中ほど、水質汚濁防止法に基づく規制といたしまして、特に中杉委員から、前回、地下水汚染の未然防止措置としての取組についても記載してほしいということでございましたので、そこの中ほど、「汚水又は廃液を排出する」というパラから始まりますところでありますけれども、「28有害物質等の排出基準又は地下浸透基準を定め、これに適合しない排出・浸透を禁止している」というふうに記載しております。

 次に、35ページの下でありますが、ダイオキシン類対策特別措置法に基づく取組といたしまして、国内削減計画に基づく取組が進捗して、現在、5年連続でほぼ100%の大気環境基準の達成となっている等の記載をしております。

 また、廃棄物処理法に基づく取組としまして、例えば平成25年度には、ヘキサブロモシクロドデカン含有廃棄物の分解実証試験でありますとか、26年度には、この処理方法の検討が行われております。

 また、36ページの下には、バーゼル条約に基づく有害廃棄物の輸出入の届出に係る事務の状況が図表16にまとめております。

 それから、37ページには、家電リサイクル法及び自動車リサイクル法、それから、廃棄物処理法の広域認定制度による拡大生産者責任、それから、環境配慮設計のさらなる推進でございます。

 これにつきましても、前回、大塚委員、浅野委員から御要請がありました。このうち、環境省における取組として、この家電リサイクル法による取組並びに自動車リサイクル法による取組等が書かれております。また、経済産業省の関係では、2000年代後半において、いろいろと取組が実施されていたけれども、その後、民間において十分に実施されているということで、今回の24年、25年という点検対象期間においては、特段の取組や実施はされていないという回答いただいております。家電法、それから自動車リサイクル法に基づく取組の状況は、記載のとおりでございます。

 時間の関係で、39ページに参りますと、過去に製造された有害物質の取組等でございますが、まず、PCB特措法に基づく処理の実績の状況が図表17に書いております。

 それから、40ページの図表18におきましては、農用地土壌汚染対策法に基づく事業の進捗状況が書いてございまして、平成24年度末におきまして、対策進捗率91%となっております。

 また、取組状況といたしまして、土壌汚染対策法による取組状況が41ページの図表19、それから、同じく41ページには、PCB特別措置法による取組で、PCB廃棄物の全体累積処理台数、最後に、農用地汚染防止法における取組が記載されております。

 それでは、43ページ、最後の事故の関係の取組内容であります。

 現状といたしましては、大防法並びに水濁法に基づき施設の設置者に応急措置の実施や都道府県への通報・届出を義務づけております。また、環境省では、自治体に対するマニュアルの策定を行っております。

 取組状況でございますけれども、まず、大気汚染防止法による取組、それから、水濁法に基づく事故時の届出でございまして、例えば平成23年度におきましては、事故時の届出503件となっております。

 また、44ページでありますけれども、海上における環境・防災の充実強化ということで、これも、中杉委員、それから、小山委員から御意見いただいたことに対応して、記載しております。ここにありますように、海上保安庁での防除措置の件数として、平成25年、135件等という数字となっております。

 次に、その他の取組ということで、水環境の危機管理・リスク管理推進事業ということ。それから、下のほうに油等汚染対策国内対応事業といたしまして、沿岸の脆弱な海域図というものをつくっております。また、油のみならず、有害危険物質の流出事故に対応した脆弱海岸海域図というものもございまして、この追加・変更の更新等の作業が進められております。

 以上、大変長くなりましたが、説明は以上でございます。

 なお、内容が非常に広範にわたりますので、本日は、関係省庁並びに環境省内の関係部局に陪席いただいておりますので、個別の回答につきましては、それぞれの担当から申し上げたいと思います。

 以上です。

○中杉部会長 ありがとうございました。

 本日は、今御説明いただいた部分につきまして、今後に向けた課題を抽出するということが本日の議題でございます。

 先ほど事務局から御説明ありました資料2-2の中に(1)、(2)というふうに書いてありますが、その後ろに(3)で、今後に向けた課題でしたか、そういうものが出てきます。

 それに向けての御意見をいただければと思います。基本的には、点検項目が今年は二つの項目でございます。化学物質に絡めた非常に広い問題があるかと思いますが、この項目について点検するということでございますので、その関連のものについての御意見いただければ。

 いただいた御意見をもとに、課題として修正していくということで、事務局からお答えいただくんですけども、これは質問に対してということで、やっている、やっていないというのを事務局と論争するのは目的でございませんので、そこのところはそういう了解でお願いたします。

 御質問、御意見のある方は札を立てていただければと思います。

 では、浅野委員、どうぞ。

○浅野委員 まず、総括的な意見ですが、点検項目について、ほとんど落ちることなく丁寧に記載してくださっていると思います。

 それから、他の領域でやるかもしれない事項についても記載されていますが、しかし、今回、循環型社会形成推進に関しては、主に国際的な取組に重点を置いて点検するという予定になっていますので、ここにあります循環型社会形成にも関連する事項については、ここで書いていただくことが適当であると思います。つまり、重複することはありませんので、これでよろしいのではないかと思います。

 その意味で、ここに書かれている中で、特にPCBについてですが、細かいことですけど、41ページの記載のうち、点検という以上、過去のことを書くわけですから、「検討を行った」というようになっていなきゃいけないんだろうと思います。「行う」と書くと、これから検討するように受けとめられてしまいます。しかし、委員会の検討は、概ね3月までに終わっており、その後、年度をまたがってからは、計画の見直しについての了承を与えるということしかやっていません。そのことは前の部分にちゃんと書いてあります。

 多分ほかでは書かれないということになりそうですから、課題としてぜひ記載する必要だと思います点は、10年延ばしましたので、また10年というのはあり得ない。かならずやりとげなくてはいけない、という点です。

 この点は特にPCB処理施設が立地されている地域の自治体や住民の方々から厳しい御意見がありました。今回は我慢するけども、もうこれ以上、延びるのは我慢ならんということが言われています。そういう意味でも、ここに書いたほうがいいだろうなと思っております。PCB処理については、制度がPCB廃棄物となったものを扱うということになっています。そのため、PCBが含有される機器であっても、それが現役で使われている限りそれに対しては、処理の義務がないことになってしまう。そうすると、次の期限が来ても、その時点で現役で使われているものがあれば、それまでに処理を済ませる義務がないということが起こってしまうので、際限なく、後になって処理しなければならないものが出てくるおそれがある。だから、今は使われているものでも、さっさと廃棄してもらって、処理のほうに回してもらわなきゃいけません。

 このことは、この検討委員会でも多くの方々から意見が出ていますし、また、地域の方々に御同意いただくときの話し合いの中でもさんざん指摘されていて、必要な措置を講じるということが行政側からも言われていますので、そういうことも含めて課題であることを確認しておかなくてはいけないだろうと思います。

 それから、あと1カ所、こういう書き方でいいのだろうなと思うのですが、24ページに、取組の内容としての記述のうちに自ら課題を書いておられます。

 しかし、取組の内容の部分は「こういうことをやりました」ということを書くのであればそれはそのように統一しておいて、この部分は課題のほうに移しておいたほうがいいかもしれません。 あと、温暖化との関係では先ほど課長からコメントいただきましたが、フロンについては法律を改正しています。その施行にむけての検討の中で特に代替物質の早期の導入というようなことについて、かなり突っ込んだ議論をやっていますので、場合によっては、その部分はこちらのほうに移していただいてもいいかもしれません。この点は地球環境部会でも議論をした後に、調整していただければと思います。

○中杉部会長 もう少しほかの委員からも御意見いただいて、まとめて答えていただこうと思います。

 崎田委員、どうぞ。

○崎田委員 ありがとうございます。

 細かく御報告いただきましたが、私から、3点ほど質問させていただきたくおもいます。

 まず、23、24ページの辺りですが、ナノ材料のリスク評価などに関して、現状はこのナノ物質が、非常に増えている状態ですので、その計測法を定着させる、あるいは、規制が必要なのかどうか判断していくというのは、できるだけ早く進めたほうがいい形だと考えております。

 24ページのこの部分の最後の5、6行に、今後の課題のような点が数行書いてありますけれども、ここはもう少しきちんと、全体的な状況を早く集めて、その規制が必要かどうかの判断を早くしていく。特に海外は、規制に対する考え方などが早く動いていると思いますので、そういうものをもう少しきちんと捉えて判断していくようなことを、今後、早急にやっていただくことが大事なのではないかと感じています。

 その次は、ライフサイクル全体のリスクの削減という重点検討項目②のところです。いろいろな取組が書いてありますが、私は、例えば水俣条約に関する報告はこの次の項目にありますように水銀のライフサイクル全体できちんと管理し、それを世界的に取り組んでいくようにしたのが、非常に大きな方向性だと思っております。例えば、そういうようなことに貢献したということも、一つの成果としてここに加えておいてもいいのではないかという印象がいたしました。御検討いただければと思います。

 それと、最後のほうに、もう一つ、土壌のところがありましたけれども、土壌環境の中で、実は最近私は、国土交通省の港湾局が主催する、今後の日本の港湾の環境対策についてという懇談会に参加させていただいております。そこでの一番喫緊の課題としては、港湾内の、いわゆる廃棄物の埋立地が中心なのですが、そういうところの設置から管理、そして、その跡利用等、そうしたことに関して、環境基準をきちんとしていくということが大事です。しかしかなりそこの土壌に関する基準が厳しくなってきたことで、跡地利用は、埋め立ててから100年ぐらい管理していないと、何も使えないというような状態になる等、いろいろな現状を伺うようになりますと、やはり環境を大事にするのももちろん大事ですけれども、そういう総合的なところの視点を持っていないと、いろいろな事業が進んでいかないという状況になります。ですから、できれば、そういうことに関して、環境省の環境保健の部署と、廃棄物の部署と、そして、国土交通省のそういうところの港湾の部署と、定期的に検討していただくような方向性を持っていただいてもいいのではないかと感じました。よろしくお願いいたします。

○中杉部会長 それでは、大塚委員。

○大塚委員 主に3点、質問とか意見を申し上げさせていただきたいと思います。

 一つは、20ページの予防的取組方法を踏まえた未解明の問題への対応でございますが、全般的に言って、ここで挙げていらっしゃるものは代表的なものだと思いますけども、これだけで十分なのかどうかということがあるかと思います。

 全く一例にすぎませんが、例えばネオニコチノイド系の農薬のミツバチの問題とか、予防的取組方法として検討しなければいけない問題がほかにもあると思いますので、できれば挙げていただきたいということでございます。

 第三次環境基本計画の点検のときに、予防的取組方法に関しては、かなり各課で検討いただきましたので、かなり網羅的に対応していただいていると思いますが、それなども御参照いただきながら、もう少し追加していただけるとありがたいと思います。

 それから、二つ目ですけども、この化学物質の内分泌かく乱物質作用につきましては、まだ検討を進めていただいているということなんだと思いますけども、90年代の終わりからずっと続いてきている問題なので、どういうふうに進展してきて、どういう段階にあるのかということをもう少し説明していただけるとありがたいのかなと思います。

 調査しているとか、評価しているということだけが書かれていると、国民から見ると、あまり進んでいないように見えるものですから、今まで御検討いただいていたことの集大成のようなことをもう少し書いていただいたほうがいいのではないかということでございます。

 それから、第3点でございますが、38ページのところの拡大生産者責任による環境配慮設計のさらなる推進というところですけども、先ほど御説明いただきましたが、ちょっとよくわからなかったんですけども。あと、浅野先生からも、この点は循環のほうでは扱わないので、ここで書いてくれていいという御趣旨だったかと思いますけど、ということだとすると、このさらなる推進に寄与している例をもう少し書いていただければありがたい。ただ、「寄与している」と書いてあると、どう寄与しているかがよくわからないものですから、具体的な例とか数字を出していただけると、大変ありがたいと思います。

 以上です。

○中杉部会長 それでは、藤井委員、どうぞ。

○藤井委員 13ページの水環境の常時監視のところで、多分もう数値的に、「結果は以下のとおりであった」という書きぶりしか仕方がないのかなと思いつつ、常に、この湖沼のCODのところが非常に達成率が低いわけで、前年より少しよくなったということだけではなくて、何々等が考えられるとか、これだけでは、また今年もそうだったか、今回もそうであったかで、ずっと来ていると思いますので、その書きぶりのところの工夫がいただきたいというのが一つ。

 それから、最後のページの事故等による化学物質の環境への云々のところで、ここの項では難しいのかと思いますが、原発による放射性物質をどのように化学物質として管理していくのかの項はどこで扱うのか。この事故等のここではなくて、どこの分野でやるのかということを教えていただきたいと思います。

 それから、あとは、あまりここの全体のチェック項目の本質的なことではないんですが、4ページの農薬のところです。

 現場の農家さんの中では、禁止されたもの、秘蔵されているもの、非常にたくさん農薬があって、こういう現場の禁止されているものなんかについてのチェックというのは、地域ごととか、そういうところでなされているんでしょうか。

 滋賀県でも、かつて河川域に、農薬の使えなくなった缶、さびた缶が、河川掃除のときに出てきたとか、やぶの間に入っているとか、それから、もしかしたら、見えない間に廃棄物の中に出されているとか、そういうことも含めて、直接ここには関係ないかもしれませんが、その現場のチェックなどがどういうふうに考えられているかということがわかれば教えていただきたい。

 以上です。

○中杉部会長 あと、菅野委員。

○菅野委員 現場に近い人間として、3点ほど。

 4ページの、ばく露評価外が多いという点、これは、別にこの比率が特段、問題になるかという問題なんですが、これと22ページの複合の件が実は絡みまして、似たようなものが複合した場合にどう考えるかというのが、化審法の場合、ハザード評価からばく露評価に移行した瞬間に、新たに生じる問題なんですね。

 似たものが10個集まったら、ばく露評価がクラス外でなくなってしまうという可能性があるということなので、複合影響の研究等に関しては、違う種類のものの複合影響を見るという研究もあると思うんですが、似たものがどこまで加算されるかということで、この新たなばく露評価を導入した化審法にどう対応するかというのも、将来的にお考えになる点として挙げていただけたらというのが一つであります。

 もう一つは、情報提供は、17ページのQSAR・トキシコゲノミクスのところで、OECDの枠組の話ですが、最近は「AOP(Adverse Outcome Pathway)」という用語を採用する傾向にありまして、そこは分子機構から生態影響までを一つのメカニズムをベースにつなげていって、対応を考えようということになってきておりますので、そこら辺を将来的にはこちらでも導入されたらいかがかという情報提供になります。

 最後は、ちょっと重なるんですが、現場で担当しておる者からしまして、23ページ、24ページのナノマテリアルでございます。

 これはヨーロッパもFP7からHorizon2020に移りつつあるところで、ヨーロッパはナノクラスターという巨大な組織が動いております。アメリカのほうはNIOSHを中心にやっているんだと思うんですが、何を申し上げたいかというと、これはモニタリングにしろ、ハザード同定にしろ、製造元から何から全てが一堂に会さないと全く進まないものなんですね。

 新たなものをつくっている側が提供してくれないと、試験も、測定法も、何もできないということでありまして、そこはEUのHorizon2020もかなり苦労しているところなんですが、日本の場合は、どうしても材料側となると物材研や、省庁でいうと経済産業省に、安全性のほうになると厚労省、環境になると環境省ということで、なかなか一堂に会さないわけです。今後、もう一度、特にナノの件については、オールジャパンで組織をぜひ組む方向で、御検討願えたらと思います。○中杉部会長 花井委員、どうぞ。

○花井委員 まず、一つ目なんですが、10ページの上のところにあります、化学物質審査規制法における各種毒性試験等の実施という項目のところなんですが、ここのポツの二つ目のところに、「QSAR構築のための生態影響試験を実施した」というふうにあるわけですが、これは後ろのほうの17ページから、QSAR・トキシコゲノミクス等の開発・活用の中の――これは18ページに入りますけども――生態系毒性予測システムと同様のものなのかというのが、質問の一つです。

 そして、精度が高くて、信頼性も高いQSARの構築は、数多くの化学物質を効率的にチェックできることから大変期待しておりまして、ぜひとも、その実現に向けて、さらなる推進をお願いしたいということが大きく一つです。

 二つ目ですが、23ページのほうに行きまして、これはナノ材料のリスク評価手法の検討についてでございますが、ナノ材料の利用が拡大している一方で、ナノ素材のばく露による中皮腫などの発がん性について、何年も前から欧米で指摘されてきたかと思います。日本でもリスク評価手法が検討されていることは評価しているわけですが、研究を実施しているという報告ではなくて、できましたら、その進捗状況について御報告いただきたいと思います。

 あわせまして、こうしたさまざまな検討はいつごろまで続けるのかという、そのタイムスケジュールを出していただけないものかという要望を意見として述べさせていただきたいと思います。

 以上です。

○中杉部会長 とりあえず、ここで、御質問を中心にお答えいただいたほうが。大分時間が押して心配していますので、あとは課題として受け止めさせていただくということになるかと思いますけども、事務局のほうで、御質問があった部分について。私も全部フォローできているわけではないので。

○木村化学物質審査室長 それでは、化学物質審査室長でございます。

 化審法関連のところで、幾つかあったところについてお答えしますが、まず、一番最後に花井委員からありましたQSARの話ですけれども、10ページのところと18ページのところの関係ということですが、生態影響に関してのQSARを構築してきましたというところを18ページのところでは書かせていただいておりまして、10ページのところでは、そのQSARモデルを構築する上の基礎となる生態毒性データをとるための試験をやってきたということを書かせていただいております。このQSARの進捗について、さらに推進していくという考え方を我々は持っております。

 それから、菅野委員から、複合ばく露をどう考えるかというところがありましたけど、化審法の運用の中でも、類似の物質というのはいろいろとありまして、それをスクリーニング評価、さらにはリスク評価の中で、どう扱っていくかというところの課題は我々も認識を持っておりまして、そこのところは、現在、いろいろと評価する中で検討しているところでございます。

 AOPについても、今後の重要なポイントだというところは、我々も同様の認識を持っております。

 化審法関連は、大体以上だったかと思います。

○中杉部会長 今の事務局のお話、お答えがあったけど、化審法の絡みは、化審法の審査の中で十分課題だというふうに認識されていますので、それはそれで、そちらで進めていただくということでよろしいのかなと。もう十分組み込みされている話だろうというふうに、私は理解しておりますけども。

 ほかに。

○牧谷環境安全課長 藤井委員からの御質問で、放射性の事故に関する取組ですが、少なくとも、この環境基本計画の化学物質分野とは別に整理をされているものですから、当部会での検討点検項目にはならないだろうと思います。

 放射性事故については、政府全体で考えますと、事故調査委員会等もございますから、そういったところでもされるのかなと思いますけども、基本計画での整理については今、確たる答えを持っておりません。

 それから、農薬の関係で、藤井委員から御質問があったんですが、いいですか。

○農水省 農水省農薬対策室の楠川と申します。

 禁止されている農薬が農家のところにまだ残っているんじゃないか、そういうチェックはどのようにしているのかという御指摘だったと思います。

販売禁止農薬は、最近に指定されたものもございますが、多くは、10年、20年以上前に禁止になったものです。

 そうはいっても、農家の方は物持ちがよろしいので、納屋の中に、ラベルが読みにくくなってしまったようなかなり古い農薬があるということは、実態としてあるというふうに聞いております。

 したがいまして、まずは一つの枠組みとして、不要になった農薬を、農家の出す廃プラスチックなどと一緒に回収し、産業廃棄物としての処理を代行するというサービスを、実費を徴収して農協がやっているというものがございます。

 それから、少し前になりますけれども、既にそのとき販売禁止農薬になっていたものが農産物から残留として検出されたことがありました。これは、農薬を見ても販売禁止農薬とわからないものですから、その農薬を間違ってラベルどおりに使ってしまい、そのまま農産物に残留してしまったというものでしたので、その結果を踏まえまして、私どもで販売禁止農薬の回収の強化を行いました。これは、その農薬と、もう一つ、最近禁止になったものを含めまして、メーカーが通常は有償で実施する回収を、農家の方が例えば農協まで持っていくと、その農協で荷詰めをして、農協からの送料も含めメーカー負担で受け付けるという仕組みとして回収を強化したというものです。

 そのほかにも、農協が積極的にチェックリストのようなものをつくって、こういったものは禁止になっていますとか、あるいは、そのほか、有効期限が切れているような農薬はないかということを呼びかけて、定期的に納屋のチェックといったようなものを実施している農協もあると聞いております。

○中杉部会長 ほかに、環境省ないしは各省で、関連でお答えする部分はありますか。

○牧谷環境安全課長 先ほどの藤井委員の御質問に対して、ちょっと補足が必要になりまして。

○菊池企画課長 すみません。藤井先生からの御質問は、福一原発などの放射性物質による汚染をどうするか、それをどうするか、基本計画の点検で、どこでやるのかという御質問だったと思うんですけれども、一応、資料2-1の別添を見ていただきますと、2ページ目のところで、重点分野と、それから年度ごとの計画がありまして、「復旧・復興」に関するものと「汚染回復等」。これは26年度の点検ということになっております。

 総合環境政策局のほうに聞いてみているんですけれども、今の中環審の中でも、どういう体制でこのパートを点検するかということを、今、検討中であるということです。いずれ点検することになると思うんですけど、その方式については、今、まだ定まっていないということでございます。

○中杉部会長 多分、化審法、化管法の中の対象物質に放射性物質が入るかどうか。これは放射性物質を環境基本法から除いたことによって、化管法、化審法をどういうふうに対応するか。大気と水はもう大体終わったんですけども、廃棄物、土壌と、それから、化管法、化審法、化学物質絡みの話はどう扱うかというのはペンディングになっています。それは、いずれ議論をしなきゃいけないので、事務局のほうで整理していただいて、一度、ここでまた議論していただくことは、それは、この環境保健部会が絡む法律については、こうしますということで議論していただく必要があるんだろうと思うんですけど。

 そういう限定ですけど、全体でどうするかということは、ここで、この部会でやるということには必ずしもなっていないんですけども、化管法、化審法については、どうするかということは決着を求められているので、そういうふうになるだろうと思いますけど。

 浅野先生。

○浅野委員 今の件についてではなくて、先ほど崎田委員が発言された中の最後のコメント部分です。

 埋立地の問題についての御発言がありましたが、これは、本当は廃リ部か、水局がちゃんと答えなきゃいけないと思うのですけども、どういう文脈でその御議論が国交省の委員会であったかはわかりませんから何とも言いようがないのですが、少なくとも海面埋立に関しては、先般の土対法改正のときにいろいろと議論して、かなり手当てしています。

 特に、しゅんせつ土砂を使っての海面埋立の場合には、海洋汚染防止法の規定と、それから土対法の規定の間には齟齬があるということがわかったものですから、それで、これは政省令でですが、手当てがしてあって、少なくとも海洋汚染防止法でちゃんと基準をクリアできる埋め立てが行われているような場合に、そこを土対法上は特例扱いにするということにしてあるはずです。

 ただ、廃棄物による埋め立ての場合はそうはいかない。

 もともと廃棄物を埋めている最中の埋立処分場には環境基準の適用がないわけです。埋め立てが終わった瞬間にふつうの土地に戻りますから、そこで環境基準との関係が問題になるわけですが、廃掃法のほうでも既にある程度は手当て済みで、廃棄物処分場の跡地については、そこで指定をしておいて、現状をいじるような場合には届けてもらって、やり方がおかしい場合は、やめてくださいみたいなことを言えるようになっているわけです。であるとすれば、やっぱり海洋の埋め立ての場合でも、廃棄物処分場として埋め立てた場合には、そこにあるものは廃棄物ですから、それは陸上の埋め立てとちがって特例扱いにするというわけにはまいりません。それはしようがないという気もいたしますが。

 もし、積極的にあとでその跡地を利用してということを考えるのであれば、今後の検討として、海面の埋め立てで廃棄物を処分するときには前処理を徹底的にやって、一切問題がないものがここに埋まっているというようなことが明らかになるような、そういう埋立しておいて、その上で、そういう場所に関する特例を考えるというようなことがあるのかもしれません。しかし今のところは、そんなふうの特例という仕組みもないから、しようがないんじゃないかなという気がいたします。

 

○中杉部会長 浅野先生に御説明いただきましたけど、私は土壌農薬部会長でもあるので。

 御指摘の話は、海面の埋め立てだけではなくて、いわゆる自然由来の土壌汚染というものをどう扱うかというのは、一応、浅野先生が言われたように、いろいろと手当てしてきてはいます。手当てしてきているけども、それで十分なのかどうかというところに関しては、いろいろと御意見があるところで、一つの課題であることは間違いないというふうに思います。

 ですから、そこら辺の考え方の整理をすべきだということで、課題で書くというのは、土壌農薬部会長としても、そのとおりではないかというふうに思いますので。

 例えば土対法を、次にまた改正しなければいけませんので、そのときにどういうことをやるかという課題として上げておくというのは、十分考え得るだろうというふうに思います。

 とりあえず、事務局は、そのほかの問題について、いろいろと御意見いただいて、例えば、大塚先生のネオニコの話は、実は新たな問題じゃなくて、今の農薬取締法の中で、もうミツバチの試験の結果というのは報告されている。試験を行ってもらって、報告してもらっている。

 それを農薬の登録保留基準云々の審査の中に入れていないというだけの話で、全く新しい問題では必ずしもない。制度の問題であろうというふうに私は考えていますので、そこら辺のところは、一応、農薬小委員会でも議論して、農薬部会でも議論して、御説明いただいていますので。また農薬部会のときにも、もう一回、この計画について土壌農薬部会で御説明いただいて、御意見をいただこうと思いますので、またそこのところで議論させていただければと思います。

 とりあえずよろしいでしょうか。

 鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 一つは、まず連携みたいなことなんですけども、いただいた中で、例えば化学物質審査規制法に関わる活動は、経済産業省さん、私が承知している限り、厚労省さんは非常に密接な連携が実施されていて、一種、成功例ではないかと私は思っておりますので、そのことをもっと積極的に主張されてもよいのかなというふうな印象は持ちました。

 一方で、率直に申しまして、今度、ライフサイクルのほうは、いただいた文書を見ますと、あまり積極的に推進されていないともとれるような気もいたします。それが正しいかどうかはわかりませんが、もし可能であれば、関連された省庁さんもあわせて、考え方をお示しいただければという希望があります。

 あともう一つは、このいただいた資料の中で印象的というか、28ページに、少量新規の物質数が非常に増えているグラフがありまして、多分この辺りの化学物質のこの事業の中で非常に増えているという、割合めずらしく見える図でありまして、こういう図が出てくるというのは、もちろんこれは少量新規という制度が有効に機能しているという証拠でもあると思いますが、多分ここに課題があるという意味でもあるかと思いますので、ここについても、もう少し考え方を、環境基本計画の達成あるいは今後の課題という点で考え方を整理していただければ、いい方法かなと思いました。

 以上です。

○中杉部会長 ありがとうございました。

 大分時間が過ぎていまして、私も本当は何点か、今、先生方が申し上げたぐらいのコメントがあるんです。時間の関係で、ここで御意見いただけなかった方については、一度御意見いただいた先生方でも結構でございますけど、一週間ぐらいの間に、事務局に御意見をお寄せいただいて、それも課題として、事務局が記載する上での検討をさせていただくと、そういうふうな整理をさせていただこうと思います。とりあえずよろしいでしょうか。

 そういうことで、出していただいたものを踏まえて、先ほどちょっと申し上げました土壌農薬部会にもこれをかけますし、今度、循環部会でもこれを御説明して、循環の部会の先生方、関連の先生方がおられますので、そこでも御意見いただく。

 あと、大気は部会とうまく合わないので、できないかもしれませんけど、水部会と、そちらのそれぞれについても、この包括的な化学物質対策の確立と推進のための取組関連の部分がございますので、そこで御紹介して、その部会に関連する部分についての御意見をいただいて、それらを含めて事務局で整理をしていただいて、この文章を直していただく部分は直していただく。それから、3の課題の部分について、つけ替えていただくというふうな形で整理していただいて、次回の部会のときに完成版、一応事務局としての完成版をお示しいただいて、また先生方の御意見いただこうというふうに考えていますが、そういうことでよろしいでしょうか。

 それでは、そのようにさせていただきます。

 それでは、本日予定されていました審議事項はこの1件でございますけども、事務局より、その他、報告事項が何件かございますので、御説明をお願いいたします。報告事項につきましても、まとめて事務局から御報告いただいて、先生方からの御意見、御質問は、最後にまとめて伺うことにいたします。じゃあ、よろしくお願いいたします。

○桐生放射線健康管理担当参事官 放射線健康管理担当参事官でございます。

 前回の部会でも御指摘がありましたけれども、放射線の健康管理に関して御説明させていただきたいと思います。環境保健部では、部長からの挨拶にもありましたように、この事故後に住民の放射線の健康管理を担当しております。本日、用意、資料3のほうを御覧になっていただきたいのですけれども、これに基づいて、15分程度、御説明させていただきたいと思います。

 資料3の1ページからでございますけれども、大きく内容が二つに分かれております。

 一つ目は、福島県が行っております県民健康調査、その概要についての資料でございます。二つ目は、現在、環境省で私どもが検討している健康管理のあり方の専門家会議、その概要についてでございます。

 大きくそういった二部構成になってございます。

 まず、前半の福島県の県民健康調査について御説明させていただきたいと思います。

 1枚、資料をめくっていただきまして、3ページ、上のほうの図でございますけれども、これが福島県の県民健康調査の概要図でございます。大きく左側の線量を把握する基本調査と、右側の健康状態を把握する詳細調査と、そういった二つに分かれております。

 左側の線量を把握する基本調査は、文字どおり、被ばく線量を把握するものでございまして、右側の健康状態を把握する調査、これは大きく四つの検査から成っております。

 1点目が甲状腺の検査、特に甲状腺の超音波検査でございます。事故当時、18歳以下のお子さんを対象に実施しているものでございます。

 2点目が健康診査ということでございますけれども、既存の健診、特定健診とか、職域の健診、また、学校健診、そういった健診のデータを活用して健康診査を行い、また、一部の地域では上乗せ検査を行うというような検査でございます。

 3点目は、ちょっと小さな文字ですけれども、こころの健康度・生活習慣に関する調査ということで、アンケート調査、質問紙調査を実施しているところでございます。

 4点目は妊産婦に関する調査でございまして、これも、やはり質問紙調査を行い、不安の高い方等には相談等に応じるというような支援策も、あわせて講じているところでございます。このような県民健康調査を事故が起きた年から実施しているところでございます。

 3ページ目の下の図でございますけれども、これは基本調査についての説明でございます。

 線量を把握する調査でございますけれども、事故当時の行動記録を、質問票をもちまして調査します。

 そして、1枚めくっていただきまして、4ページ目の上の図でございますけれども、線量のマップがございまして、それと、調査で行った行動状況と、それを突き合わせて、被ばく線量、特に外部被ばく線量を推計するというものでございます。特に、調査は、事故後4カ月間の被ばく線量を把握するということでございます。

 4ページ目の下の図が、その結果でございます。99.8%の方が5mSv未満ということでございます。

 なお、対象者は、当時の全県民約200万人で、そのうち回答いただいているのが約25%でございます。

 次のページをめくっていただきまして、5ページ目の上でございますけれども、こちらについては、内部被ばくの調査でございます。内部被ばくにつきましては、福島県でホールボディカウンターの検査を実施しているところでございます。

 この4月までで約19万人の方に実施しておりまして、ほとんどの方は1mSv未満、26名の方は1mSvを超えている方がございますけれども、それ以外の方は1mSv未満という結果になってございます。これは実施時期から主にセシウムによる被ばくを測ってございまして、ヨウ素による甲状腺の被ばくについては検出できておりません。

 5ページ目の下でございますけども、詳細調査の四つのうちの一つの甲状腺の検査でございます。

 事故当時18歳以下だった当時約37万人ですけれども、その方を対象にした甲状腺の超音波検査を、この3月までで一巡を終了したところでございます。今後は、20歳までは2年に1回、それ以降は5年に1回の頻度で継続して実施していくという計画になってございます。その結果でございますけれども、5ページ目の下の2のほうを御覧になっていただきたいんですが、約30万人の方が一巡目の検査を終えまして、そのうちの、結果が右側にございますけれども、甲状腺がんというふうに、二次検査を受診して、がんの疑いになった方が90名ございまして、さらに診断を進めたところ、手術により、がんと確定した方が50名、現在も疑いの方が39名、手術で結果的に良性だった方が1名、そういった結果でございます。

 次のページを御覧になっていただきたいんですが、6ページ目の上でございます。

 これは、この甲状腺がんの先ほどの超音波検査をほかの調査と比較したものでございます。その発見率についての比較でございます。ちょっと小さい字で恐縮ですけれども、一番上に上げているのが、この福島県の調査で、約30万人弱の方に検査を行った結果でございます。

 次の行にあるのが、県外の3県で、環境省が実施していた調査でございますけども、約4,300人のお子さんに対して甲状腺の超音波検査を実施しております。そこで1名の方が、がんが発見されてございます。

 その下が岡山県の大学生の調査、その下が千葉県の大学生、さらに、一番下が東京都の高校生の調査ということで、それぞれ、約数千人~1万人弱の調査を行って、がんの方が3名、4名、1名という形で発見されてございます。

 それぞれ、人数が少ないところはございますけれども、発見率をそれぞれ10万人当たりで出しますと、福島県の調査が、疑いの例も含めて10万人当たり30名、福島県以外の3県の調査が約20名、岡山では130名、千葉で40名、東京都で約30名、それぞれ、そのぐらいの頻度ということで、それぞれ、対象者年齢が異なっていたり、また、検査方法も異なっているということもございまして、単純には比較はできないんですけども、概ね同程度の発見率というふうには考えているところでございます。

 下のスライドでございますけれども、UNSCEAR、国連の科学委員会でございますが、その報告書がこの4月に公表されたところでございます。

 この報告書は、世界中の科学者が集まりまして、今回の事故による放射線の特に被ばくの評価を行ったものでございます。そして、その結果をまとめたものが、ここにございますように、「今後、がんや遺伝性疾患の発生に識別できるような変化はなく、胎児への影響の増加もない」というふうに予測してございます。

 また、小児の甲状腺がん、先ほどの超音波検査でございますけれども、「チェルノブイリ事故後に見られたような多数の甲状腺がんが発生する事態は避けることができるであろう」というふうに予測してございます。

 また、3点目として、「最も高い線量の被ばくを受けたような子どもの集団、そういったものがあるとすれば、がんの増加が検出される可能性が理論的にはあり得るけれども、実際には検出困難であろう」というようなことを指摘して、また、「さらに評価を行っていく必要がある」と、そういった報告書をまとめているところでございます。

 以上が、前半の県民健康調査の概要、また、UNSCEARの報告書についても触れさせていただきました。

 7ページからが、2点目の環境省で検討している健康管理のあり方に関する専門家会議でございます。

 7ページは、その開催要綱でございますけれども、今回の事故を受けまして、専門的な、医学的な見地から、専門的に健康管理の条件上や課題を把握する必要があるということで設置された専門家会議でございます。

 検討内容については、中ほど3番目にございますように、大きく三つございます。

 一つは被ばくの線量把握・評価に関すること。二つ目が健康管理、特に健康調査に関すること。3番目が医療に関する施策のあり方に関することと、そういった大きく三つの検討項目になってございます。

 若干飛びますけれども、この三つの検討項目のもとになったものが、1枚めくっていただきまして9ページにございます。9ページに、子ども被災者支援法という法律がございまして、それに基づきまして基本方針というのを策定してございますけれども、その下のほうにアンダーラインが書いてございますように、「新たに有識者会議を開催して、事故後の健康管理の現状や課題を把握して、今後のあり方を検討する」ということや、その「事故による放射線の健康への影響が見込まれ、支援が必要と考えられる範囲などを検討する」ということがございます。こういったことに基づいて、この会議が設置されたところでございます。

 8ページ目に戻りまして、会議の委員は、ここに書いてございますメンバーでございますけれども、下から5番目の長瀧長崎大学名誉教授に座長を務めていただいているところでございます。

 10ページが、子ども被災者支援法の条文でございます。

 ここの13条というところに健康影響に関する調査や医療の提供についての条文がございまして、それをもとに検討しているということでございます。

 11ページ目を御覧になっていただければと思うんですけども、この検討会は昨年の11月から検討を開始しておりまして、今までで、被ばく線量の評価について一定の方向性が取りまとめられつつあるところでございます。今後、さらに何回か検討して、報告を、中間取りまとめを夏ぐらいまでには行う予定で考えてございます。

 12ページを御覧になっていただきたいんですが、これが、現在、検討している線量評価のまとめの骨子案の資料でございます。

 ごくごくかいつまんで御説明させていただきますが、1番目の基本的な考え方といたしましては、今回の事故に伴う住民の被ばくを把握するということでございますけれども、全て、個々人を網羅的に評価するわけではなくて、全体像を把握するということでございます。そして、データについて、実測値やシミュレーションのデータ、環境モニタリングのデータ等をそれぞれ、信頼性とか妥当性についても評価を行ったところでございます。

 大きく、被ばくにつきましては、三つに分けてございます。

 事故初期の甲状腺の被ばくと、2点目が外部被ばく、3点目が内部被ばく、大きくそういった三つに分けて、評価してございます。

 それぞれについて、2.から結果がございますが、簡単に御説明させていただきます。

 2.の(1)が事故初期の甲状腺の被ばくでございます。

 12ページの中ほど、2.の(1)でございます。

 結果だけ簡単に御説明すると、12ページ、一番下のポツにございますが、初期の甲状腺の線量の調査を行っておりまして、その結果が、下から2番目でございますけれども、0.2μSv/hという基準を下回っていたということでございます。この0.2μSv/hというのは、1歳児の甲状腺の線量100mSvに相当する被ばく線量でございます。

 次のページを御覧になっていただきまして、13ページの下でございますけれども、一番下のポツに、先ほどのUNSCEARの報告書では、この被ばく線量の評価を避難指示がなされた地域で15~83mSv、また、その他の地域では33~52mSv、そういった評価をしているところでございます。100mSvを指標にしますと、それより低い値ということになります。

 14ページに飛びますけれども、14ページの下から数行のところに(2)外部被ばくとございます。

 この外部被ばくにつきましては、先ほど御説明した基本調査の結果では、99%が5mSv未満というような結果が出てございます。

 これも、UNSCEARの報告書が15ページの中ほどにございますけれども、15ページの上から5番目のポツで、1年間の被ばく線量が1.6~13mSvというような結果になってございます。

 次のページ、16ページでございますけれども、(3)内部被ばくの推計でございます。

 内部被ばくにつきましても、先ほどホールボディカウンターを御説明しましたけれども、約20万人弱の方を検査して、ほぼ全ての方が1mSv未満という結果になってございます。

 16ページ、一番下にございますUNSCEARの報告書でも、1.9mSvというような推計をしているところでございます。

 以上のような線量の評価になってございますけれども、17ページを御覧になっていただくと、UNSCEARの報告書の中で、今後の科学的研究の必要性ということで、幾つか御指摘いただいております。大気拡散シミュレーションや、確率的なアプローチで、線量の分布をより定量化する必要があるとか、また、生体検査を行う必要があるとかいう御指摘をしていただいております。また、超音波検査については継続する必要がある。

 次のページを見ていただきまして、甲状腺の発生率については定量化する必要があるという御指摘、また、最後になりますけれども、甲状腺の検査について、個人線量が適切に評価されている人から成るコホート調査を確立する必要がある、そういった御指摘がございます。こういった御指摘を踏まえて、現在、健康管理のあり方について検討しているところでございます。

 今後、こういった検討と、さらに健康調査、健康管理のあり方、リスク評価、そういったものを行って、まとめに進めていきたいと思います。

 また、まとまった段階で御報告させていただきたいというふうに思っております。

 以上でございます。

○牧谷環境安全課長 次に、水銀に関する水俣条約への対応に関する検討状況でございます。

 21ページをお願いいたします。

 昨年10月の外交会議で水俣条約が採択されたことを踏まえまして、我が国の対応のあり方について、本年3月17日付で中央環境審議会会長に宛て、諮問が行われております。

 これを踏まえて、当環境保健部会、4月の部会におきまして、小委員会を設置するということを御了解いただきまして、その第1回の小委員会が5月30日(金)に開催されました。

 この開催に当たりましては、経済産業省の産業構造審議会の制度構築ワーキンググループと合同開催の形で開催されております。

 メンバーは、この表のとおりでございますが、中環審の小委員会につきましては、大塚委員に委員長として就任いただいております。

 この内容でございますが、22ページ及び23ページからの資料でございますが、第1回目ということがございまして、23ページから始まる、水銀に関する国内外の状況について御説明を申し上げました。

 24ページに、その目次がございます。

 健康のリスクでありますとか、あるいは、我が国あるいは世界の水銀の利用の実態、それから、我が国の水銀対策の現状等々につきまして御説明を申し上げました。

 こういった議論を通しまして、幾つかの御意見いただきまして、それらは、例えば条約に規定しております水銀廃棄物、それから、暫定的保管の対象となる廃棄物でない水銀という、こういうカテゴリーがあるわけですが、これらの考え方をよく整理することによって、この境目にどちらにも整理されない水銀がないようにするということが必要であるというような御意見をいただきました。

 また、国内での水銀の保管あるいは処分、輸出、これらをトータルでよく見て検討する必要があると、こういった御意見もございました。

 今回、この諮問は、環境保健部会を含めて三つの部会に付議が行われているわけでございますが、大気・騒音振動部会に小委員会、それから、循環型社会部会については専門委員会が同じく立ち上がっておりまして、5月30日、それから6月4日に、それぞれ、第1回の審議が行われております。

 今後は、いただいた御意見を踏まえて、こういった三つの部会の小委員会、専門委員会の間での連携をよくとって進めるということとしております。

 24ページに、今後の検討の進め方にありますように、その2番のスケジュールを御覧いただきますと、今年の夏から秋にかけまして、個別事項の検討並びに取りまとめの検討いたしまして、年末に向けて、パブリックコメントなどの手続を経て、取りまとめる予定としております。

 以上でございます。

○長坂環境リスク評価室長 続きまして、環境リスク評価室から、2点、簡単に御報告させていただきます。

 41ページを御覧ください。

 化学物質の環境リスク初期評価(第12次とりまとめ)の結果についてでございます。

 1枚めくっていただきまして、43ページに簡単に概要をまとめてございます。

 平成25年12月27日でございますが、化学物質評価専門委員会におきまして御審議いただきまして、健康リスクと生態リスクの双方を対象とした環境リスク初期評価、14物質について取りまとめをいただきました。その結果は、そこの表にあるとおりでございまして、このA、B、Cという三つのランクに分けてございます。

 Aが、詳細な評価を行う候補の物質で、一番黒に近いほうのグレーというものになります。健康リスク初期評価では、1物質、ベンズアルデヒド。生態リスク初期評価におきましては、1物質、ジメチルアミンがその候補となってございます。

 B、Cについては、御覧のとおりでございます。

 留意事項にありますとおり、今回の結果から直ちに環境リスクの抑制が必要であると判断されるわけではございませんで、特に、このAとなった物質につきましては、省内関係部局あるいは厚生労働省に、今後の検討につなげていただく候補として情報を提供してございます。

 初期リスク評価につきましては、以上でございます。

 もう1枚めくっていただきまして、次はエコチル調査についてでございます。

 47ページを御覧ください。

 エコチル調査は、御案内かと思いますが、環境中の化学物質等が子どもの健康に与える影響を明らかにするということで、平成22年度から開始してございます。10万組の親子の協力を得まして、母体血、臍帯血、母乳等に含まれる化学物質を測定して、その子どもの健康状態を13歳に至るまで質問票等により追跡調査するというものでございます。

 進捗状況を簡単に御説明いたしますと、48ページをまず御覧ください。

 昨年1年間でどのようなことがあったかというのを簡単に申し上げますと、平成25年11月15日に国際シンポジウムを開催、26年1月31日に3周年記念シンポジウムを開催、そして、3月20日にリクルートの目標登録参加者である10万人に到達いたしまして、3月31日に参加者の募集を終了してございます。

 次のページに行っていただきまして、そのリクルートの状況と今後でございますが、49ページの(2)のところを御覧ください。

 今御説明いたしましたとおり、3月20日に10万人に到達いたしました。実際の参加者のリクルート数ですが、今年の5月27日時点の集計ですが、10万3,028名。同意率が約78%、父親のほうの同意者数は4万9,544名、これは母親の同意者数に対する割合としては約48%となってございます。そして、出産数につきましては約8万2,000名ということで、リクルートについては順調に終了したという状況でございます。

 その少し下に書いてございますが、今後の調査につきましては、生まれてきた子どもに対する追跡調査及び生体試料の化学分析を本格的に実施するとともに、本年の10月から詳細調査、この10万人の中から5,000人を抽出して対象といたしまして、医師による健康調査、生体試料採取、精神発達調査、それから、環境試料の採取ということを開始することとしてございます。

 このエコチル調査は、今後、フォローアップの段階に入ってまいりますので、いかに成功させるかが重要になりますが、広報活動、普及啓発等にも努めてまいりまして、エコチル調査が順調に進展するように進めてまいりたいと思います。

 以上でございます。