第25回中央環境審議会環境保健部会議事録

1.日時

平成23年11月28日(月)10:00~12:02

2.場所

環境省 22階 第1会議室

3.議題

【審議事項】
(1)
環境基本計画の見直しについて(重点分野「包括的な化学物質対策の確立と推進のための取組」)
(2)
公害健康被害の補償等に関する法律の規定による「障害補償標準給付基礎月額」及び「遺族補償標準給付基礎月額」の改定について(諮問)
【報告事項】
(1)
水俣病問題について
(2)
改正石綿救済法について
(3)
化学物質審査規制法におけるリスク評価手法について
(4)
子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)について
(5)
茨城県神栖市における有機ヒ素化合物による環境汚染及び健康被害に係る緊急措置事業の継続・拡充について
(6)
水銀条約に係る国際交渉の動向について
(7)
SAICMに係る国際動向について

〈配布資料〉

資料1 中央環境審議会環境保健部会名簿
資料2-1 環境基本計画の見直しについて(重点分野「包括的な化学物質対策の確立と推進のための取組」)
資料2-2 第四次環境基本計画重点分野「包括的な化学物質対策の確立と推進のための取組」(案)
資料3 公害健康被害の補償等に関する法律の規定による障害補償標準給付基礎月額及び遺族補償標準給付基礎月額の改定について(諮問)
資料4 報告事項について

〈議事録〉

午前10時00分開会

○東條企画課長補佐 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第25回中央環境審議会環境保健部会を開催いたします。
 本日、本来であれば、企画課長の瀬川のほうから司会をすることになっていたのですが、所用がありまして、代わりに司会を務めさせていただきます。企画課の総括補佐をしています東條と申します。よろしくお願いいたします。座って失礼いたします。
 本日は、環境保健部会委員及び臨時委員33名のうち、20名の方のご出席をいただいておりますので、定足数に達しております。本部会は成立しておりますことを、まずご報告申し上げます。
 審議に先立ちまして、資料1をご覧いただきたいと思います。環境保健部会の委員名簿でございます。前回開催後の臨時委員の交代について、ご紹介いたします。高橋滋委員、泉正博委員、杉山豊治委員が退任されまして、井上祐一委員、本日はご欠席ですが、花井圭子委員が臨時委員に任命されましたので、ご報告申し上げます。
 また、事務局のほうにも人事異動がございましたので、簡単に紹介させていただきます。

○桐生特殊疾病対策室長 環境省特殊疾病対策室長の桐生でございます。よろしくお願いいたします。

○桑島石綿健康被害対策室長 石綿健康被害対策室長の桑島でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○瀬川化学物質審査室長 化学物質審査室長の瀬川と申します。よろしくお願いします。

○東條企画課長補佐 では、議事に先立ちまして、環境保健部長の佐藤からごあいさつを申し上げます。

○佐藤環境保健部長 皆さん、おはようございます。何度かごあいさつをさせていただいた方もいらっしゃいますけれども、改めまして、環境保健部長の佐藤でございます。よろしくお願いいたします。
 委員の皆様方には、まずもって、お忙しい中お集まりをいただきまして、本当にありがとうございます。また、平素より環境保健行政の推進につきましてご尽力をいただいておりまして、この場を借りて厚く御礼を申し上げる次第でございます。
 さて、今日の部会でございますけれども、まず、環境保健行政を簡単にご紹介しておきますと、一つは化学物質対策の分野でございまして、第四次環境基本計画の策定に向けた重点分野ということで、具体的な検討を進めております。
 また、もう一つの議題でございます、公健法に関しては、その着実な運用ということで、努力をしているところでございます。
 このほか、詳しくは後ほどの議事の中でご紹介をさせていただきますけれども、水俣病問題に関しましても、訴訟原告の方との和解成立、あるいは特措法による救済を受け入れた団体とチッソとの間の紛争終了のための協定の締結、あるいは特措法本体に基づく救済ということで、私ども、着実に取り組んでおりますし、成果も上げているものではないかと承知をしております。
 また、石綿救済法に関しましては、本年8月に議員立法により改正がなされたところですし、先ほども申し上げました化学物質対策に関しましては、化審法に基づくリスク評価の手法を初め、いわゆるエコチル調査あるいは水銀条約といった国際的な枠組み、取組等に関しまして、様々な動きがあったところでございます。これらにつきましては、今も申し上げましたように、後ほど、報告の形でもお話をいたしますし、どうか忌憚のないご意見をいただきたいと存じます。
 以上、簡単ではございますけれども、冒頭の私からのあいさつにかえさせていただきます。本日はご審議のほど、どうかよろしくお願いいたします。

○東條企画課長補佐 続きまして、お手元にお配りした資料を確認させていただきます。
 配布資料は1から4までございます。資料1が保健部会の名簿でございます。資料2-1、2-2と、今日ご審議いただく化学物質の関係の資料がございます。資料3が公健法の障害補償費に関する諮問の資料でございます。資料4が報告事項となってございます。
 あと委員の先生方のお席だけですけれども、2種類の資料を配付させていただいておりまして、一つが第四次環境基本計画策定に向けた考え方・計画策定に向けた中間とりまとめという、23年8月の総政部会の資料と、あと第三次環境基本計画の冊子でございます。この第三次基本計画の冊子につきましては、後ほど回収させていただきたいと思いますので、その場に置いてお帰りいただければと思います。よろしくお願いいたします。
 過不足等はございませんでしょうか。大丈夫でしょうか。
 それでは、以降の進行は佐藤部会長にお願いします。よろしくお願いいたします。

○佐藤部会長 皆さん、おはようございます。今日は月末の月曜日の朝ということですけれども、多くの委員の先生方においでいただきまして、大変ありがとうございました。
 今日は、先ほど部長からご紹介がありましたが、審議事項は二つ、それから報告事項がたくさんございますようなので、早速審議に入りたいと思います。
 なお、この会議は公開で開催するということになっておりまして、本日もそのようになっております。よろしくお願いいたします。
 それでは、審議事項の1、環境基本計画の見直しについてです。
 これは、まず事務局のほうからご説明ください。

○早水環境安全課長 環境安全課長の早水でございます。よろしくお願いいたします。座って説明させていただきます。
 それでは、資料2-1、それから2-2でご説明させていただきます。
 まず、2-1で経緯などにつきましてご説明をいたします。今回の環境基本計画の見直しですけれども、現在は第三次計画ということですが、第四次をつくるということで、今年の3月に中環審に対する諮問がなされておりまして、総合政策部会ので審議をされております。それで、8月に、今日、別途お配りしております「中間とりまとめ」というものが全体としてまとめられております。その中で、第四次基本計画につきましては、重点分野ということで九つ設定されておりまして、そのうちの9番目が「包括的な化学物質対策の確立と推進のための取組」ということでございます。
 この資料2-1の3ページ以降に、その抜粋で化学物質に関係する部分を掲げておりますけれども、我が国の状況、それから政策の基本的方向の後、今後の基本計画の構成ということで、5ページに⑨ということで、包括的な化学物質対策の確立と推進のための取組というところがまとめております。これが基本計画の化学物質部分の基本的な考え方に当たる部分でございます。読ませていただきますと、「水俣病に代表される公害健康被害の多くは、化学物質を原因とするものであり、化学物質による環境汚染を防止することは、環境政策の基本的な使命である。このため、ヨハネスブルグサミットで合意された国際目標の達成に向けて、様々な対策手法を組み合わせつつ、影響を受ける側の視点に立った対策やライフサイクル全体を考慮した対策や未解明な問題等への対応の強化などを含めた包括的な化学物質対策を計画的に進めていくことが必要であり、対策の実施により国民の不安を払拭するためにも、本分野を重点分野として位置づける必要がある。」ということでございます。
包括的な化学物質対策ということで、影響を受ける側の視点、それから、ライフサイクル対策、未解明な問題への対応といった幅広い部分を今回入れようということで、題名を掲げているところでございます。
 1ページに戻っていただきまして、総合政策部会で、この中間とりまとめに基づきまして、パブリックコメント、それから各種団体、関係省との意見交換を実施されまして、そのあたりを受けて、検討の進め方としましては、重点分野ごとに主担当の委員を決定して、検討するということになり、化学物質につきましては、今日ご出席の中杉先生に主担当となっていただいております。
それで、分野によって進め方はまちまちでございまして、部会を何度も開くというところもございますけれども、化学物質の部分につきましては、むしろ、様々な分野に関係するということで、ほかの部会にご所属の先生方にも加わっていただく形で、検討会というものを設置しまして、資料の一番最後の6ページにつけておりますけれども、この部会からも多くの委員の方が関わっていただいております。この検討会で、関係府省の意見、協力も得つつ、検討してきたということでございます。
 2ページをめくっていただければと思いますが、検討会はこれまで2回を開催いたしまして、今日の資料の2-2のものをまとめていただいたということでございます。
 なお、化学物質対策分野以外の、例えば水俣病問題、アスベストの被害の問題あるいは花粉症対策、熱中症といった問題につきましては、環境保健ということで、重点取組分野の後ろの5ページの一番下にありますけれども、環境保全政策の体系及び計画の効果的実施というところで記載をするということになっております。
 また、先ほど、ちょっとご説明しましたが、他部局の分野も含むということで、例えばですけれども、大気分野につきましては、アスベスト対策、それからVOC対策といったところは大気の方で書かれますが、ダイオキシンあるいは有害大気汚染物質といったところは、こちらの化学物質の方で書くというような切り分けをしております。水の部分、それから廃棄物の部分なども、後ほどご説明しますが、関係する部分はこちらに書いて、分割するか、あるいは一部重複をして書くという形で、化学物質の部分をなるべく包括するように整理をしております。
 2ページに戻っていただきまして、内容を後ほどご説明しますけれども、先に今後の進め方についてご説明いたしますと、今日、この部会でご意見をいただいたものを踏まえまして、明後日、30日に先ほどの検討会を最終的に開催いたしまして、取りまとめるということでございます。それにつきまして、12月14日の総合政策部会にご報告することになります。中杉先生からご報告いただくという形になろうと思います。それを踏まえて、全体をくっつけた第四次基本計画の全体の原案が総政部会でまとまりまして、パブリックコメント、閣議決定という形で、年度内に確定という進め方というふうに聞いております。
 以上が、経緯と今後の進め方でございます。
 それでは、化学物質対策分野の内容を資料2-2で説明させていただきます。
 まず、全体の総論ということで、化学物質は非常に利便をもたらしているけれども、有害性もあるということで、リスク評価をして、その結果に基づきリスクを低減して、情報共有をするということが基本であるということで、第一次環境基本計画で環境リスクの概念を打ち出ししまして、第二次、第三次と経ております。第三次では、リスク評価、リスクの最小化、理解の共有、国際的視点ということで、方向性が打ち出されております。
 その後、2002年のいわゆるWSSDの目標であります、「化学物質が、人の健康と環境にもたらす著しい悪影響を最小化する方法で使用、生産されることを2020年までに達成する」という、2020年までに悪影響の最小化という目標が合意されておりまして、それに向けて、国際的にはSAICMというものが進められております。これは、今日、後ほど報告事項でご説明をさせていただきます。
これを受けまして、国内的にはPRTR制度の改正、化審法の改正などで個別の施策を進めておりますが、この目標の達成に向けましては、様々な対策手法を組み合わせた包括的なアプローチによって、化学物質のライフサイクルにわたるリスク低減をする必要があるというのが総論のまとめでございます。
 以下、各論に入りますが、取組状況と課題ということで、まず、リスク評価につきましては、一般用途(工業用)の化学物質について、化審法に基づくリスク評価、それから、OECDの高生産量化学物質プログラムなどによりましてリスク評価が進められており、農薬については農薬取締法に基づく評価が進められております。
 それから、ばく露情報については、各種のモニタリングやPRTR制度による排出量のデータが得られております。
 リスク評価の手法につきましては、OECDの枠組みなどで様々な新しい方法が開発されているということです。
 目標の達成に向けて、ばく露情報の一層の集積化と手法の高度化を進めていく必要があるというまとめでございます。
 それから、リスク管理につきましては、化審法、農取法で入り口の規制、それから排出に関しては、PRTR制度や、大防法、水濁法による排出規制ということで、法改正なども行われているとしております。
 そのほか、土壌汚染に関しては土壌汚染対策法、それから、廃棄物につきましては廃掃法、あるいはPCB特措法によるPCBの処理、それから、有害物質の回収・再生利用などの推進が進められており、また、ダイオキシン対策が進められているということでございます。
 このほか、事業者による自主管理としまして、レスポンシブル・ケアとか、あるいはJIPSという取組が進められておりまして、こういった取組によりまして、成果は上がっているけれども、一層効率的、効果的に制度を運用していく必要があるということで、関係法令・制度間の連携強化が必要ということでございます。
 それから、安全・安心の確保ということですけれども、事業者による取組、国による取組、地方公共団体による取組で、リスクコミュニケーションを進めておりますけれども、昨年実施しました世論調査で、なお化学物質の安全性についての「不安が多い」という回答が多いということで、一層の取組が必要な状況であります。
 また、予防的観点から、未解明な問題に対応するということで、内分泌かく乱あるいはナノ材料といったものへの取組や、エコチル調査なども進めているということでございます。
 また、震災関係では緊急モニタリングの実施ということでございます。
 これらによりまして、リスクコミュニケーションを一層進める必要があるということでございます。
 それから、国際的な課題につきましては、先ほど申し上げましたSAICMというもので、全体的な取組を進めております。特にアジア太平洋地域の代表ということで、副議長を日本が務めているという状況でございます。
 条約関係につきましては、ストックホルム条約の推進、それから、水銀条約については、これも後ほどご説明いたしますが、今、交渉中ということで、積極的に貢献をしていこうとしております。
 それから、GHS、OECDによる取組への参加、アジアの協力などを進めておりますけれども、一層これらについて進めていく必要があるということでございます。
 そういうことで、これらを踏まえまして、中長期的な目標としては、以上の取組状況と課題を踏まえて、環境リスクを低減することにより、国民の安全を確保し、国民が安心して生活できる社会を実現するためにということで、四つ目標を掲げております。一つは、先ほどのWSSDの2020年目標の達成。それから、国民の健康や環境を守るとの視点に立った、製造から廃棄に至るライフサイクル全体を通じたリスク低減、それから、未解明問題への対応なども含めて、「包括的な化学物質対策」の確立と推進を図ること。それから、様々な主体が理解と相互信頼を深めて、各役割に従ってリスク低減をしていただくこと。それから、国際協力・国際協調を進めるということでございます。
 以上を踏まえまして、施策の基本的方向性としては五つ掲げておりますけれども、基本的には、様々な制度の有機的な連携と、それから様々な主体の協力ということで、いろんな手法のベスト・ミックスということでございます。リスク評価の推進、それから、ライフサイクル全体のリスク削減、未解明の問題への対応、安全・安心ということでリスクに対する理解の共有、それから、SAICMなど国際的な対応への強化ということでございます。アジアへの協力も含めております。
 次に主体ごとに期待される役割ということで、この計画全体は、基本的には国の施策でございますけれども、その中に入れております各主体の役割ということで、国民につきましては、情報の入手と適切な理解、それから、リスクや負荷の低減のための行動の期待、事業者については、自主的な法令遵守はもとより、自主的な取組の推進、それから情報の提供といったあたりが加えられております。
 めくっていただきまして、6ページですが、国、地方公共団体ということで、国の取組としては基盤の整備、法律の運用、制度の運用などでございますけれども、また、各主体の取組の参加と透明性の確保ということで、様々な主体との対話の推進というものも掲げております。
 また、地方公共団体で地域の実情に応じた取組の推進ということも期待されております。
 以上、基本的な考え方を踏まえまして、取組事項を五つのパートに分けて書いております。
 まず、科学的なリスク評価の推進につきましては、法律に基づくリスク評価を推進して、規制措置を講じていく。それから、環境調査を必要に応じて実施する。それから、手法の開発ということで、QSAR(構造活性相関)の活用あるいは新たな手法の検討など。それから、農薬についても、生態系関係のリスク評価の可能となるような知見の集積と検討。
 それから、化審法や農取法でカバーできない、非意図的な生成物質などにつきましては、初期的なリスク評価を実施していく。それから、有害大気汚染物質あるいは水質環境基準といったことについても、順次目標の設定、見直しを進めるということでございます。
 ライフサイクル全体のリスク削減につきましては、化審法、農取法に基づいて措置を進めていくということで、特に流通過程における適切な化学物質管理を進めるということを考えております。
 また、排出関係は、PRTR制度の適切な運用、大防法、水濁法の規制の実施、ダイオキシン類の対策の実施、それから、排出経路・ばく露経路が明らかでない物質については、リスク評価の結果を踏まえた対応、それから廃棄物対策の推進、さらには、土壌汚染対策あるいはPCBの処理の推進というものが、引き続き、考えられております。
 また、ライフサイクルの各段階での整合性を確保していくこととし、特にその整合の確保のために、必要に応じて見直しをしていくとしております。特に廃棄段階については、有害性を有する有機フッ素化合物、臭素系難燃材などを含有する製品の適切な取扱などをこれからさらに進めていくということでございます。
 また、事業者による安全な化学物質の代替、あるいはグリーンケミストリーといったものの推進なども進めていくということでございます。
 未解明の問題の対応につきましては、三つ目でございますけれども、以下をはじめとするということで、例示をしております。エコチル調査の関係、あるいは、内分泌かく乱作用、複合影響、生態系への影響、ナノ材料への取組などをこれから進めていくということでございます。
 また、安全・安心の一層の推進ということで、モニタリング調査の実施とリスク評価への活用、それから、めくっていただきまして8ページですが、PRTR制度により得られる排出量等のデータのばく露評価への活用、それから、リスクコミュニケーションの推進、人材育成、情報の伝達のための枠組みの整備などといったものを掲げております。
 また、国際協力・協調の推進ということで、SAICMに基づく国内実施計画の策定、それから条約の遵守、水銀条約の交渉の推進、国内担保措置の検討、OECDの取組、それからアジア地域の取組を掲げおります。
 また、指標につきまして、最後にまとめておりますけれども、なかなか定量的な指標が難しいことから、幾つか可能性があるものということで、目標値の達成率あるいはモニタリングの実施状況、濃度の増減傾向、PRTR制度の排出量の状況、リスク評価の実施状況などを掲げております。
 少し長くなりましたが、以上、8ページにわたります環境基本計画の化学物質分野につきまして、検討委員会でこれまでまとめられたものを案としてお示ししたということでございます。今日、この場でご審議をいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

○佐藤部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、検討会の座長を務めていただいている中杉委員から、ご追加がありましたらお願いします。

○中杉委員 若干の補足をさせていただきます。
 今回の項目として、重点取組事項を五つ上げました。若干この項目名だけ読みますと、前回の基本計画とはあまり変わり映えがしないように見えるのですが、今回は特に、先ほど早水課長のほうから説明がありましたように、ライフサイクル全体を見ようと。その中でも特に廃棄物というところを少し着目しようということと、包括的な対策ということで、いろいろな法制度がございますが、その間の関連をうまくとっていこうということを強調しております。
 また、安全・安心ということでは、やはり消費者のところへ情報を伝えるというところがやはり弱くなっているので、そこを強調しようというような形にしてございます。そんなことで取りまとめをさせていただきました。
 ただ、この環境基本計画は6年間の計画でございまして、ここに記載する事項は、6年間に行えること以上のことは書けないものですから、若干あいまいさが残るところがあるかと思います。
 それから、もう一つ、最後に一つだけお話ししておきますと、東日本大震災については、非常に重要なことであるということで、総政部会のほうでも、何らかの形で環境基本計画に盛り込もうということになっているのですが、放射性物質の点についてはどうするかということが問題になりました。この件につきましては、総政部会の部会長代理の浅野先生と相談をさせていただいて、放射性物質については全体で記載をするので、各取組事項のところでは、それをしなくてよろしいというご指示をいただいておりますので、ここでは省かせていただいております。
 以上でございます。

○佐藤部会長 どうもありがとうございました。
 ただいま、環境基本計画の見直しについて、早水課長から概要をご説明いただいて、それから、その重点分野の一つである「包括的な化学物質対策の確立と推進のための取組」の検討の状況をお知らせいただきまして、中杉先生からもご追加がございました。
 主に、この資料2-2についてご議論いただきたいと思うのですけれども、ご質問あるいはコメント等ございましたらお願いいたします。それで、これは11月30日に検討会を開くわけですけれども、そのときにまた議論をさせていただくということです。いかがでしょうか。
 じゃあ、眞柄先生から。

○眞柄委員 よくまとめられておりますが、ほかの人の健康に関わるセクターを関係している立場から、環境省にお願いしたいのは、いわゆる食品安全委員会が人の健康に関わる目標値を定めていますけれども、それをベースにして、例えば人の健康に係る環境基準を環境省が設定していく段階での、ある種のルールのようなものが明快になっていないのではないかというふうに思います。
 それと、もう1点は、PPCPのような、ある種、環境ではないかもしれませんが、環境中にそういう化学物質が現に排出されているわけでございますので、そういうものに対して、環境サイドとしてどうアプローチをするかという2点をどのように議論されたか、伺えればありがたいと思います。

○佐藤部会長 一つはご要望で、もう一つは質問だったような気がするのですけれども。2番目の話は、事務局、何か。

○早水環境安全課長 それでは、私のほうからお答えします。最初の点につきましては、水・大気局関係の問題とも関わると思いますので、中杉先生とご相談して、どのようになっているのか、一応確認をしていきたいと思っております。
 それから、PPCPというのは、環境中に出る医薬品とか、あるいはパーソナルケアの日焼け止めクリームなどのことで、以前この部会でもご指摘がありましたが、そういったものが環境中に出たときにどうなるかということについてのご指摘と思います。
 これにつきましては、予算要求を毎年検討はするのですが、やはりほかのいろいろな分野の中に紛れて、なかなか新規には取りにくい状況になっております。ただ、内分泌かく乱作用の取組の一環で、一部、情報収集をしておるのと、それから、日英共同研究の中で、一部、京都大学の田中先生に入っていただいているばく露関係の分野で、対象に入れております。まだ少し勉強している段階ということで、ご理解をいただければと思います。
 以上です。

○佐藤部会長 よろしゅうございますか。
 続いて、藤井委員、どうぞ。

○藤井委員 東日本大震災の関連で、先ほど、中杉委員から、放射性物質についての扱いは伺いました。この部会の中の今日の資料の中にも、東日本大震災による環境問題について、アスベスト云々ということが書いてありますね。環境汚染による健康被害の発生が懸念されると。そして、2-2の中にも2カ所、東日本に触れている。4ページのところで、「先般の東日本大震災により被災した事業所からの有害物質漏出等による環境汚染が懸念されていることから、被災地において緊急モニタリングを実施している」。そして、最後のところにもう1カ所、7ページの最後のところから、「東日本大震災の被災地における環境モニタリング調査を継続的に実施する」。ここの部会では、文字に表れたのはここだけですが、この検討会の中で、どのようなことがもう少し話されたのか、もし時間があれば、内容をお聞かせいただけたらと思います。
そして、記載については、もう少しここが太るのか、太らないのか、文言で言えば、このあたりにおさまるのか、そのあたりのことを聞かせていただけたらと思います。

○佐藤部会長 これも事務局でいいですか。

○早水環境安全課長 先に私のほうから。東日本大震災の部分の取り扱いは、これも総政部会全体の中でどう取り扱うかというのは、まだ不確定な部分がございまして、それで、今、我々が行っている部分を最小限記載をしております。場合によっては、この部分も全部、その本体の東日本大震災を取り扱う部分に吸収されてしまうかもしれないのですが、とりあえず、化学物質の部分で書けるところは書いているというのが今の状況でございます。
 このモニタリングにつきましては、水・大気局がそれぞれ、環境基準などが設定されている項目あるいはアスベストといった、いわゆる有害性がかなり高いというものについて、第二次補正で、この春にモニタリングを実施しております。第三次補正で、さらに予算をいただいておりますので、水・大気局が継続的に行う部分と、それから、環境保健部につきましても、この三次補正で、いわゆるPOPsのような残留性の強い物質、それから環境基準はないけれども、PRTRの対象になっているような物質のうち、排出量が多いようなものについて、今年度後半にモニタリングを実施する予定です。また、来年度以降も継続して、3年程度はフォローできるようにということで、今、予算要求をしている状況でございます。
 もし、中杉先生から補足がありましたらお願いします。

○佐藤部会長 中杉先生。

○中杉委員 東日本の放射性物質は別に扱うということですので、この関係の化学物質絡みの話は、実は、水環境部会、水環境に対する取組の中でも書かれているので、最終的に総政部会に出てきて、議論をしたときにどういうふうにするか、今のところ、具体的に調査をして、モニタリングをしてみなければわからないので、具体的に何からするというところまで書き込めないのが現状だろうというふうに思っています。

○佐藤部会長 よろしゅうございますか。
 じゃあ、お待たせしました。新美委員、お願いします。

○新美委員 リスクをいかに低減させて、うまく管理するかという検討会のご報告は、しっかり書けていると思います。ただ、一つ気になりますのは、リスクが現実化したときにどうするのかという点については何も触れられていないことです。それはご議論されたのでしょうか。
リスクが現実化したらどう対応するのかということも検討しなければ、リスク対策にならないと思うのです。その辺はどうでしょうか。この検討会でやらないとしたら、どこでご議論されることになるのでしょうか。

○佐藤部会長 これは早水課長から。

○早水環境安全課長 今のご指摘は、被害者救済的な部分という意味でしょうか。

○新美委員 それもあります。典型的には、医薬品ならば副作用救済基金というものがありますが、そういったものは、一切、視野に入れていないのかということです。

○早水環境安全課長 化学物質対策を書く場合は、やはりそのリスク評価、リスク管理という、未然防止の部分が中心になりますので、対策の中には、もちろん、事業者に対する規制措置、例えば水濁法によります排出停止とか、そういった形のものも当然含まれております。あるいは、化審法に基づく罰則などもあるわけですけれども、その後の被害者救済の部分は、境界領域ではありますが、ここの部分か、あるいは環境保健一般のほうに入ってくるかもしれません。その境界領域の部分については、場合によって書いた方がいい部分があるかもしれませんので、少し検討させていただければと思います。

○新美委員 なぜかと申しますと、リスクを低減してもゼロにはならないわけです。したがって、それについて、どこかで触れておかないとまずいのではないかという気がしたからです。

○佐藤部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、崎田委員。

○崎田委員 ありがとうございます。私、この総政部会の検討に参加をしているので、本当はここで質問するのはあれなのですが。ちょっと今の全体の説明を伺って、一つだけ気づいたことがあるので、申し訳ありません。ちょっと質問という形でやらせていただきます。
3ページのところで、上の段落の真ん中辺に、「事業者による自主的な取組が行われている」というようなことが書いてあります。それで、下の安全・安心の一層の確保のところも、「地方公共団体においても、事業者及び地域でのリスクコミュニケーションなどを頑張る」というようなことが書いてある。一応書いてあるのですが、たしか、今までも、例えば大規模な事業者さんは、法律の規制などがかなり明確にかかってくるという前提で、自発的にどんどん先に先にと取り組んでいただく傾向が強いのですが、地域の中小事業者さんは、やはり景気に物すごく左右されて、なかなか取組が進まないということが、地域のほうではかなり大きな課題になっているというふうに感じております。
地方公共団体の取組に関して、いろいろ時々出てくるのですけれども、非常に書きぶりが平板な感じで、この辺に関して、何かもう少し視点を強く持ったほうがいいのかなということも気になりました。これは要望ということで、よろしくお願いしたいと思います。

○佐藤部会長 どうもありがとうございました。
 ほかに何かご質問あるいはご意見、コメントございますか。
 じゃあ、須藤先生、どうぞ。

○須藤委員 先ほどから、東日本大震災の被災地域での環境モニタリング調査等のご発言もあるのですが、私自身は、被災地のど真ん中にいて、地方公共団体のこの方面のお手伝いもいたしております。
具体的には、例えば、がれきの処理は平成26年の3月までにやるということで、各地域ごととか、市町村ごとで契約をしながら進めてはいるのですが、現在の段階から見ても、かなり遅れております。
それで、いろいろ遅れている理由の中には、最終処分のところへ持っていく見通しがないとか、例えば津波堆積土の中に有害物質が含まれている可能性が高いとか。「懸念」と、いろいろとここに書いてありますが、懸念なのか、実際にそうなのかは不十分にしても、いろいろな問題を含んでいて、今の環境基本計画の中でこういうことをすべて扱えるとは私も思いませんし、ちょうど6年間かかるそうでございますので、その6年間の半分以上に関わる問題が被災地の問題で。しかも、面積も500平方キロだったか、すべてそういうぐらいの広い範囲でもございますので、日本の何分の1かのところに関わる問題であります。
そういう意味で、継続的にモニタリング調査をするとかということは、それでいいんですが、この中に書くというよりも、先ほど、一括してどこかに、放射能の問題も、それから被災地の問題も、化学物質の問題も、一括して書かれるということなのですが、何となく部門別になってしまうと、要するに、クロスメディアというか、相互関係がかなり入り乱れておりますので、この辺のところを十分配慮していただいて、一括にするにしろ、こういうふうに分断するにしろ、もう少し踏み込んだ部分を記載していただいたほうがいいかなと思いますし。例えば議事録等でもこのようなことを残していただいて。この文章の中ではあっさりしていいのですが、現実に携わっている者としては、大変その辺を憂慮しておりますので、ご配慮を一層よろしくお願いしたいと思います。

○佐藤部会長 どうもありがとうございました。
 大事なご指摘だと思いますので、よろしいですか。どうぞ。

○早水環境安全課長 先ほども少し申し上げましたが、全体をくっつけるときに、恐らくその東日本大震災の部分の記載と、それから放射線の部分については私どもの理解では別に用意されていると思っておりますが、それを合わせたときにどういうふうに記載するかということについては、全体的な調整が総合政策部会のほうで恐らくなされるだろうと考えております。
それを踏まえまして、化学物質部分の書き方も、これより減るのか、増えるのか、そのあたり、また中杉先生を通して、また調整をさせていただければと思います。

○佐藤部会長 部分的なものを見ていただいているので、中杉先生、ご追加は。

○中杉委員 須藤先生のご指摘、そのとおりだと思うのですが、多分分野ごとに切ってしまうと、こんな表現になる。全体としてまとめたほうがいいだろうという、ある程度の認識は持っておりますので。総政部会で話を、これを説明するときに、そのようなご意見があったということを申し上げ、全体像をどこに持っていこうというふうに議論していこうと考えております。

○佐藤部会長 ありがとうございました。
 今のことに関係して、藤井委員、どうぞ。

○藤井委員 恐れ入ります、今の崎田委員と、それから須藤委員のことにも関してなのですが、5ページの主体ごとに期待される役割のところで、この分類が、ここの場合は国民、事業者、そして、国及び地方公共団体となっているのですが、部会によっては、いろいろそこの中にもう一つ、NGOにNPOという主体者が出てきたり。それから、少なくとも、国と地方公共団体は分けて、主体のそれぞれの取組が盛られているところもあります。
 ここで、先ほど崎田委員が、地方公共団体のところが非常にあっさりとというか、非常にシンプルに書かれているからというのがありますが、ここは、少なくともその主体をもう少し考慮したほうが、配慮したほうがいいのではないかという気がします。

○佐藤部会長 そういうご意見でしたけれども。

○早水環境安全課長 第三次基本計画をベースに、そのまま持ってきておりますが、ご意見を踏まえまして、明後日の検討会でまた議論をさせていただければと思います。よろしくお願いします。

○佐藤部会長 ほかによろしゅうございますか。
 どうも貴重なご意見をありがとうございました。
 本日いただいたご意見を十分に踏まえさせていただいて、11月30日に行われる検討会では、重点分野「包括的な化学物質対策の確立と推進のための取組」を取りまとめていただきたいというふうに思います。それは中杉委員から総合政策部会に報告をいただくということになっておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、続いて、次の議題、審議事項の(2)の公害健康被害の補償等に関する法律の規定による「障害補償標準給付基礎月額」及び「遺族補償標準給付基礎月額」の改定についてでございます。
 これについては、資料3がございまして、中央環境審議会に意見を求める諮問が環境大臣から11月16日付で出されております。同日に、本諮問は鈴木会長から環境保健部会に付議されましたので、今日、環境保健部会で審議していただきたいということでございます。  それでは、事務局から、諮問の内容についてご説明ください。

○加藤保健業務室長 それでは、資料3に沿いまして、事務局から説明をさせていただきたいと思います。
 まず、今、部会長からご説明いただきましたように、資料3の1ページ目は、大臣から審議会の会長への諮問でございます。
 そして、2ページ目につきましては、今回、諮問させていただきます、平成24年度の障害補償費、あと下の表につきましては、遺族補償の標準給付基礎月額の改定案となっております。
 3ページ目は、この部会への付議でございます。
 資料の4ページ目をご覧いただけますでしょうか。
 公害健康被害の補償等に関する法律の二十六条にございますように、標準基礎月額につきましては、2の下線が引いてある「労働者の賃金水準その他の事情を考慮して、政令で定めるところにより、環境大臣が、中央環境審議会の意見を聴いて定める」というふうに、法律上、規定されております。また、遺族補償費についても同様の規定がございます。
 政令の規定につきましては、4ページの下のほうに記載させていただいてございますように、下線部の「性別及び環境大臣の定める年齢階層別に区分して、毎年度定める」となっております。このため、毎年、この審議会に諮問させていただいているものでございます。
 資料5ページに移らさせていただきます。
 この標準給付基礎月額の算定ですけれども、(1)のように、この基礎となるものは、「賃金構造基本統計調査報告」を用いるというふうにされております。これは昭和49年の中公審の答申で定められているものです。
  (2)の「この給付水準は、障害補償費にあっては「賃金構造基本統計調査報告」の労働者の性別及び年齢階層別の平均賃金の八〇パーセント、遺族補償費にあっては七〇パーセントとすることが適当である」というふうに定められております。
 また、(3)ですけれども、この標準基礎月額は、毎年定めるという形になっておりますが、「この算定の基礎となる賃金は、前年の賃金実績によることとし、その基礎となるデータは労働省の、これは今現在は厚生労働省になっておりますけれども、「賃金構造基本統計調査報告」及び同省の「春闘による賃金引上げ状況調査報告」を用いることとする」とされております。
 このような枠が決められており、以下に述べさせていただくように算定しております。
 資料の6ページは、この障害補償費給付基礎月額につきまして、被認定者の指定疾病による障害の程度に応じて支給する額を示したものです。障害の程度によりまして、特級から3級という形になっております。特級の方は、労働をすることができず、かつこの表にございますように、常時介護を必要とされる方というふうになっております。これに該当する方につきましては、その額の給付率が1.0とありますので、100%となっております。1級も同じように1.0ですので100%、2級に該当するということになりますと、0.5、50%、3級に該当すると0.3、30%という形になっております。
 遺族補償費につきましては、この指定疾病に起因して死亡した場合に、被認定者の遺族に対して支給する遺族補償費及び一時金の算定の基礎となる額というふうになっております。
 資料の7ページは、厚生労働省の賃金構造基本統計調査報告の結果でございます。最新の結果は平成22年度のものとなっております。表にございますように、男女あるいは年齢をまとめた平均値につきましては、月32万3,000円、平成21年度の調査よりも1.5%の上昇となっております。
 8ページは、先ほどの7ページの表のうち、平成21年から22年度の増減をまとめたものでございます。先ほど、男女計、年齢計は、32万3,000円と申し上げましたけれども、平成21年度の調査の平均値からの変更額は4,900円の増額、率としては1.5%とです。この表を見ていただきますと、平均では1.5%増額になっておりますけれども、男性、女性の年齢階層によっては、統計調査上、減額となっている年齢層もございます。
 次に、資料9ページのほうをご覧いただけますでしょうか。
 これは春闘及び賃金構造基本統計調査報告のアップ率の過去の推移を示したものでございます。赤い線は春闘アップ率、黒い線が賃金構造基本統計調査、いわゆる、この表では賃金センサスと表記させていただいておりますけれども、この二つを示させていただいているものでございます。
 この二つの過去のトレンド等を使いまして、以下の改定案の計算をしています。資料10ページをご覧いただけますでしょうか。
 これは線が多くて、非常に複雑、見づらいものになって恐縮でございますけれども、これは男女別あるいは年齢階層別に、過去の賃構アップ率のトレンドを示したものです。先ほどから説明させていただいております基本統計調査のいわゆる男女計、年齢計をしたものは、黒い線として太線で示したものですが、男女別、年齢階層別に見ますと、平均から大きく乖離して推移している階層があるということが見てとれるかと思います。
 平均から大きく乖離しているというような場合については資料の11ページのグラフに示すように整理、解析しました。過去の実績データにおいて、いわゆる当年乖離、当年にある年齢層が平均からどれくらい乖離しているかというのを横軸、その翌年度の乖離度を縦軸に示したもので、平均から当年該に、いわゆる右側のほうにありますように上昇しますと、翌年は平均から下がる傾向になっております。これを踏まえまして、このグラフから得られる乖離式でもって補正をしております。
 次に、資料12ページをご覧いただけますでしょうか。
 以上の算定の方法により障害補償費の標準基礎月額を計算したものを一覧として示させています。
 表の見方としましては、左側から右側のほうに向かって計算をしているというふうにご覧いただければと思います。まず、[3]の列にあります、平成22年の賃金構造基本統計調査報告に対しまして、平成23年度は賃金アップ率が0.1%になるであろうと、事務局としては推計をさせていただきまして、[8]の列にございますように、男性、女性、各年齢ごとに賃構推計アップ率を加算した、いわゆる金額を算定しております。
 さらに、平均から大きく乖離している場合には、11ページに示したような補正を加えています。例えば、列[6]で、男性60歳から64歳のところが3.2%減というように大きく平均値から外れた場合に補正をしておりまして、補正した結果は、[9]の列に示しています。
 更に上下2%緩和措置を加えています。[7]の列、現時点で支給されている平成23年度の標準基礎月額と改定案、列[8]または[9]の列とを比較して、改定案で、昨年度よりも大幅に支給額が増減する場合は、表の一番右側のほうに示しているように、上下2%緩和措置を適用しています。
例えば男性の30歳~34歳では、賃金センサスから計算した増減率がマイナス2.1%ですが、マイナス2%よりも減少幅が大きい場合には減少を2%に抑える。あるいは、男性の65歳~69歳の列[11]のとおり4.1%増額の場合も増額を2%にとどめるというような形で、上下2%緩和措置を適用しています。この上下緩和措置は平成21年度から導入しています。
 資料13ページにつきましては、同様の計算を、遺族補償につきましては、賃金センサス70%を基本とするという形で計算したものです。
 資料14ページは以上を一つの表にまとめたものです。例えば男性30歳~34歳の表の枠中に二つの数字が載っておりますけれども、左側は、上下2%緩和措置の適用前の値、右側は適用後です。緩和措置を適用した場合には、その値を、改定案として提案させていただいております。
この結果、男女計の平均は、今年は0.1%の増という形になっています。遺族補償費につきましても、同じように、男女計、平均アップ率0.1%となっております。
 説明は以上でございます。

○佐藤部会長 どうもありがとうございました。
 補償の標準給付基礎月額の説明を、毎年お話を伺うのですけれども、なかなか複雑で、理解するのが難しいのですが、基本的には賃金センサスに基づいて一定の補正を加えて、あまり前の年と変わらないようにするということでございます。
 何かご質問、ご意見ございますでしょうか。よろしゅうございますか。
 新美先生、どうぞ。

○新美委員 昨年もこの会合で申し上げたのですが、70歳以上の層で逆に平均賃金額が高くなっています。このことについて、どうするかということです。昨年は、事前に相談を受けたときに、賃金センサスの方式が変わってからそれほど時間がないものですからから、賃金センサスどおりでやむを得ないですねと、ご回答した記憶があるのですが、その際に、裁判例では、この70歳以上については、データがあることは認めた上で、押しなべてすべてに当てはめられるのかは疑問があるということで、「特段の事情がない限りは」とか、「周囲の事情から見るならば」と述べた上で、当該額に7掛けとか8掛けをしていることがしばしばみられると申し上げました。そして、裁判例などどうなっているのか調べた上で、次回には提案してくださいということを申し上げたと思いますが、その辺は調査された上での提案なのでしょうか。

○佐藤部会長 どうぞ、事務局のほうで。

○加藤保健業務室長 新美委員からご指摘の件につきましては、私ども、事務局側で、裁判例等について少し情報をいただけるように、関係する機関に問い合わせをしてみましたが、参考にできるケースが十分蓄積していないものと判断しています。そういうこともありまして、今回の算定におきましては、従来どおりのやり方を踏襲させていただいております。
 以上でございます。

○佐藤部会長 事例がなかったということですね。
 ほかにご意見ございますでしょうか。
 浅野委員は、今日、ご欠席でございますけれども、浅野委員からご意見をいただいているようでございますので、事務局からご紹介いただけますか。

○加藤保健業務室長 浅野委員からコメントをいただいておりますので、私どものほうから、この場で読み上げさせていただきたいと思います。
 「本日は、講義があり審議会に出席できません。誠に申し訳けありません。
 本議題につきましては、次のように考えますので、書面で意見をさしあげます。」ということで、「平成22年厚生労働省賃金構造基本統計調査報告では男女計、年齢計が対前年比1.5%であった。この結果を踏まえ、平成24年度の障害補償及び遺族補償の標準基礎月額の男女計平均アップ率は0.1%増、なお、昨年は0.7%減となっている。
 70歳以上の改定案については対前年比で男性では2%減、女性では2%増となっており、昨年までと同様に70歳以上は65歳~69歳よりも高くなっている。もっとも、賃金構造基本統計調査報告では、男性の70歳以上については、65歳~69歳よりも賃金が低い結果となっている。しかしこれは、賃金構造基本統計調査報告の結果とともに激変緩和措置を適用したためと理解される。この点については過去に指摘されたところであるが、このような制度の運用については、継続性の観点も不可欠である。激変緩和措置の導入が賃金構造基本統計調査報告の結果が大きく変動した場合のために設けられており、今回もその適用はやむを得ないものと考えられ、従来の算定方式に沿ったものであることを勘案するならば、改定案は妥当なものと考える。」というようなコメントをいただいております。

○佐藤部会長 ありがとうございました。妥当なものであるというご意見をいただいたかと思います。
 新美委員からのご指摘は、確かにごもっともというところもあって、私自身も、この制度が決まったのは昭和48年から49年で、何かもう少し考え方があるのかなという感じもしておるのですけれども、何せ大本が法律に書いてあることだし、そう簡単にはいじれないみたいですけれども、そういう方向でお考えいただいたり、あるいは環境保健部会でも、また折りを見て議論をいただければというふうに思います。
 それで、事務局ご提案の原案で、よろしゅうございますか。

(「異議なし」と呼ぶ者あり)

○佐藤部会長 それでは、本日付で、環境保健部会から中央環境審議会の鈴木会長に報告し、鈴木会長から細野環境大臣に答申するように、手続を進めさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
 それでは、報告事項に移ります
 各課室からたくさんございますけれども、まず、資料4に基づいて、事務局からまとめて報告いただいた後に、委員の先生方からご質問、ご意見をお受けしたいというふうに思います。
 それでは、事務局、要領よく、手際よく、時間を守ってお願いいたします。

○桐生特殊疾病対策室長 それでは、まず、(1)の水俣病問題について、担当しております特殊疾病対策室よりご説明させていただきます。座ったまま失礼いたします。
 お手元の資料、資料4でございますが、ページをめくっていただきまして、2ページ、2、3が水俣病問題に関してございますが、まず2ページから、簡単にご説明させていただきたいと思います。
 水俣病対策の現状についてということで、1ポツの取組の現状と2ポツの公健法等の状況というふうに二つの構成になってございます。
 まず、1ポツの取組の現状について。この中身については[1]か[4]までございますけれども、まず[1]の水俣病被害者救済特措法、以下、ここでは特措法と略させていただきますけど、それに基づきます「救済措置の方針」に基づく救済でございます。
これは昨年4月に閣議決定されました「救済措置の方針」に基づき、昨年の5月1日からこの救済の受付を開始しておりまして、対象者の判定を進めまして、昨年の10月1日からチッソ及び昭和電工から一時金の支払いも開始されてございます。今後も引き続き、対象者の判定等を円滑に行う必要があるというふうに考えてございます。
 申請者数でございますけれども、10月末現在の数字でございますけれども、救済措置の申請者数で約3万1,000名、また、保健手帳等からの切替申請者が約1万7,000名になってございます。
 [2]の訴訟関係でございますけれども、いわゆるノーモアミナマタ訴訟の和解でございます。これは本年の3月に各裁判所で和解が成立してございます。それぞれ、熊本地裁、大阪、新潟、東京の4地裁で、ここに書いてございますような人数の方々との和解が成立したところでございます。
 [3]の特措法の受入団体とチッソとの協定締結ということでございますけれども、特措法に基づいて、その救済措置を受け入れいただきました3団体、出水の会、芦北の会、獅子島の会、その3団体とチッソとの間で、紛争終結の協定が今年3月に締結されたところでございます。
 あと[4]でございますけれども、地域づくり対策ということでございますけれども、[1]から[3]までのような救済や和解紛争の解決とともに、地域における医療福祉や、また、地域の再生、また、地域の融和、もやい直しと言っておりますけど、そういったものを引き続き推進していくということでございます。
 2ポツの公健法に基づく認定申請者等の状況についてでございますけれども、まず[1]、最高裁判決後に増加しました認定申請につきましても、先ほど申し上げましたような特措法に基づく救済等が進みまして、処理が進みまして、現在、未処分者数といたしましては448件でございます。
 [2]の関係県市の認定審査会の審査状況でございます。それぞれ平成19年または平成20年に審査を再開いたしまして、その後、各県市におきまして、年に1回から数回の審査会が順調に開催されているところでございます。
 [3]については、訴訟の状況でございますけれども、ノーモアミナマタ訴訟は和解成立いたしましたが、現在、継続している訴訟といたしまして、大きく二つございます。一つは新潟の3次訴訟と言われているものでございます。もう一つは熊本のほうでございますけれども、互助会訴訟と言われている、この2件について継続している状況でございます。また、認定申請の処分に対する取消訴訟といたしまして、これとは別に2件が係争中でございます。
 2ページ目については、以上でございます。
 3ページについて、閣議決定の救済措置の方針について、再度、ご説明させていただきたいと思っております。
 1ポツとして、その救済措置の方針そのものでございますけれども、この救済の対象や支給内容、また、申請の受付期限、そういったことが閣議決定に定められてございます。
 (1)の救済の対象でございますけれども、これについては、通常起こり得る程度を超えるメチル水銀のばく露を受けた可能性がある方で、四肢末梢優位の感覚障害等の症状を有する方、こういった方が救済の対象ということで定められてございます。
 (2)の支給内容でございますけれども、対象になる該当する方については、一時金として1人当たり210万円、その他、協定を結んだ団体等につきましては、団体加算金として、(2)の[2]に書いてあるような支給額について支払うということにされております。そのほかの支給といたしまして、療養費や療養手当、また、地域によっては、離島加算の手当等が支払われることになってございます。
 (3)の申請の受付期限でございますけれども、開始については昨年の5月1日から開始しておりまして、終期については閣議決定では定められてございません。平成23年末までの申請状況を被害者関係団体とも意見交換の上で十分に把握して、申請受付の時期を見きわめるというようになってございます。
 2ポツの被害者手帳でございますけれども、これは、一時金の対象となった方や、それ以外にも一定の症状がある方、そういった方々に対して交付される手帳でございますけれども、この該当になった方には療養費が支給されるということになってございます。医療費の自己負担分ということになってございます。
 3ポツとしまして、その他ということで、関係事業者、国及び熊本県が、すべての水俣病被害者の方々に対してお詫びの意を表するということや、また、地域振興、調査研究、国際協力を進めるということが閣議決定に書かれているところでございます。
 以上、資料4の(1)の水俣病問題について、ご説明させていただきました。

○佐藤部会長 では、続いてどうぞ。

○桑島石綿健康被害対策室長 引き続きまして、石綿の改正石綿法について、ご説明を申し上げます。資料は6ページでございます。  さきの通常国会におきまして、議員立法によりまして石綿法が改正されてございます。そのご報告をさせていただきます。
 改正の概要のところをご覧いただきます。特に、今回、括弧して書いてございますが、(環境省関係)について、絞ってご説明をさせていただきます。
 (1)でございます。特別遺族弔慰金等の請求期限の延長ということでございます。[1]、[2]と、二つに分けてございますが、法の施行前にお亡くなりになられた方、それから[2]で、法が施行された後に死亡されて、未申請の方々、この二つに分けてございます。一つ目の[1]でございますけれども、法の施行前にお亡くなりになられたご遺族が申請されるわけでございますけれども、改正前は、「法の施行日から6年」ということで定めてございましたけれども、10年延長いたしまして、「法の施行日から16年を経過したとき」まで請求することができます。
 [2]でございますが、同じように、未申請の方々が死亡されてから、今までですと5年でございましたけれども、それを10年延長いたしまして、15年にしてございます。まとめますと、申請期限が10年延びたというふうにご理解をいただければと思います。
 それから、(2)でございます。検討ということでございますが、いわゆる見直し規定を定めさせていただいてございまして、2行目に書いてございますが、「施行後5年以内に、法の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な見直しを行うものとする」ということでございます。5年以内でございますので、5年たたなければいけないというわけではございません。その間に必要があれば見直しをさせていただくというようなことでございます。
 その下に、厚生労働省関係の改正も、参考として記載をさせていただいてございます。総じて、それぞれの申請の期限を10年延ばすということでご理解をいただければと思います。
 それから、7ページのほうに移っていただけますでしょうか。
 この法改正に伴いまして、今後の取組ということでございます。国会の審議の中でも様々なご指摘をいただいてございましたけれども、やはり中心となりますことは、制度の周知・広報がまだまだ足りないのではないかと。国民の皆様方、それから医療機関の皆様方にも、なかなかこの制度が浸透していないというようなご指摘を多々いただいたところでございます。
なかなか私ども、すべてに行き渡ってというわけにはいきませんけれども、対応として、[1]、[2]、[3]ということで、大きく取り組みをさせていただいたところでございます。今後も、引き続きでございますけれども、患者さん方あるいは医療機関、一般の方々への周知・広報に努めてまいりたいと思ってございます。内容は記載のとおりでございます。
 それから、二つ目として、全般、もっと大きな話でございますけれども、運用の改善・強化や調査研究等の推進ということで書かさせていただいてございます。
 法に基づきまして、法の施行5年目に当たりまして、本部会のもとに設置されてございますけれども、石綿健康被害救済小委員会を設置してございます。その中でいろいろとご議論いただきまして、本年6月に二次答申を取りまとめていただいてございます。その中では、下線が引いてございますけれども、「当面は現行の基本的な考え方を維持していくこととするほかない」とされるとともに、つまり、大きな枠組みは変えませんけれども、健康管理のあり方、それから労災との連携の強化、認定に係る対応の迅速化に向けた取組の強化、それから特別遺族弔慰金等の対象者への周知に関して、答申をいただいているところでございます。
これらの答申を踏まえまして、運用の強化・改善、調査研究の推進を図るというようなことでございまして、まずもって、取りまとめをいただきましたこと、改めて御礼を申し上げますとともに、これらの指摘を踏まえまして、制度の運用の改善に努めてまいりたいというふうに考えてございます。その答申の一部については、その参考以下に記載をさせていただいているところでございます。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。

○佐藤部会長 続いて、どうぞ。

○瀬川化学物質審査室長 続きまして、化学物質審査規制法におけるリスク評価ということで、現状の報告をさせていただきます。  資料の10ページになります。
 先生方にご審議いただきまして、まとめていただきました改正化審法でございますが、平成21年5月、改正され、本年4月に全面施行をしております。改正化審法の大きな改正ポイントの一つでございますけれども、それまで、化審法、法の対象といたします、その物質、化学物質の選定において、有害性に着目して選んでおりましたけれども、改正化審法におきましては、ばく露の状況についても勘案するということで、リスク評価を導入し、措置の必要な化学物質を選定しております。
具体的には、リスク評価を行うべき化学物質、優先評価化学物質というふうに呼んでおりますが、これをスクリーニング評価を行って、指定した上で、国がリスク評価を行うという、そういった体系を導入しております。
 2.現在の状況でございます。本年1月にスクリーニング評価手法について取りまとめをいただきまして、旧化審法に基づいて第二種及び第三種の監視化学物質に指定された物質から順次スクリーニング評価を行っております。本年4月に88物質を当面の優先評価化学物質として指定をしております。
 また、本年6月から、これら優先評価化学物質について、どんなリスク評価を行うかということについて、化審法を所管いたします3省合同で専門家による審議会、私ども、中環審環境保健部会にお願いしておりますのは、化学物質審査小委員会にお願いをしておりますが、ここでリスク評価手法についておまとめいただき、9月下旬から10月にかけてパブリックコメントの手続をとっております。これについては、現在、いただきましたご意見をもとに取りまとめを順次進めております。
 3.今後の予定でございますが、まず、優先評価化学物質のリスク評価を行います。現在、パブリックコメントをいただきました内容を精査中でございますけれども、年内にはリスク評価手法として取りまとめを行い、公表を行いたいというふうに思っております。また、優先評価化学物質に指定しました88物質のうちから、リスク評価を順次実施をしてまいります。
 また、先ほど、当面の優先評価化学物質というふうに申し上げましたが、優先評価化学物質の追加についても順次進めてまいります。既に国内外で有害性の情報が収集・評価されている一般化学物質について評価を行い、年明けにも3省合同で審議をする予定にしております。
 以上でございます。

○佐藤部会長 では、続いて、どうぞ。

○戸田環境リスク評価室長 それでは、環境リスク評価室でございますけれども、資料の31ページからでございます。子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)の状況につきまして、報告をさせていただきたいと思います。
 この前回の環境保健部会、本年の2月25日にございました。それ以降の進捗を中心にご報告をさせていただきたいと思います。
 このエコチル調査といいますのは、32ページに事業の概要ということで記載してございますけれども、「環境中の化学物質等が子どもの健康に与える影響を明らかにするための大規模な出生コホート調査である」ということで、10万組の親子の協力を得て、13歳になるまで質問票等により追跡調査するということであります。
体制といたしましては、環境省の企画立案のもとに、その国立環境研究所がコアセンターとして実施機関となり、国立成育医療研究センターがメディカルサポートセンターとして支援をいただいており、全国15地域の大学等からなるユニットセンターと協力して実施するということで、そのユニットセンターから、さらにその協力医療機関、334ございますけども、そういった協力医療機関の方々にご協力をいただきつつ、実施をしているということであります。
 また、諸外国の調査も、米国でも、そのナショナル・チルドレンズ・スタディというものが、現在、パイロット調査中でございますけども実施されており、こういった調査などとも連携していくということでございます。
この辺の進捗につきまして、2ポツが平成22年度以降の進捗状況というところでございますけれども、前回以降ということで、おめくりいただきまして、33ページの平成23年1月24日とございますが、この辺から参加者の募集を開始しているというところであります。一部のユニットにおきましては倫理審査などがございまして、1月24日にちょうど開始するということはできておりませんけども、年度内にはすべてのユニットにおいて開始をしたというところでございます。
3月11日に東日本大震災がございまして、宮城、福島のユニットにおきましては影響が生じたということでありますが、宮城におきましては、一部、その医療機関が再開できていない地域もございますけども、基本的には全地域におきまして、一応調査体制は回復したというふうな状況でございます。福島におきましては、その沿岸部においては、やはりまだ再開の目処が立っていないというふうな状況にございます。
 次に、8月ぐらいに、書いてございませんけども、このエコチル調査の対象となる妊婦さんは、その8月以降が出産予定日であるという方をその対象としておりますので、8月ごろから出産が本格化しているというふうな状況にございます。
 9月にバルセロナにおきまして、国際環境疫学会という国際的な学会があったわけですが、この学会で、エコチル調査について発表するとともに、国際的なデータ比較、また、プロトコル、できるだけ共通的なものを使おうというふうな、国際的な連携を深めるために、WHOが中心になりまして、国際作業グループというものが設置をされまして、その第1回会合がバルセロナで開催をされました。
その後、9月29日にありますけども、企画評価委員会というものを開催いたしまして、今後、年次評価を行うということで、現在、ユニットセンターに、現地調査に出かけたりしているというふうな状況にございます。
 ちょっとリクルートの状況だけ簡単にご説明しますと、34ページに募集・登録開始等というところがございますけれども、リクルート者数につきましては、ちょっと古いデータで恐縮です。最後の2行になりますが、9月30日時点で約1万5,000人ということであります。また、その生体試料につきましては1万2,000件、これは延べではございませんで、妊娠初期の生体試料ということで1万2,000件、すべて出産時の試料でありますが、そういったものをあわせるともっと多くなりますが、このような状況になるということであります。
 また、その国際的な連携でございますけれども、同じく34ページの下の4行ほどにございます。先ほど、バルセロナの会合につきましてご説明いたしましたけども、先月にはボルチモアで第2回、来月になりますが、ドイツのボンで、さらに、来年の2月には北九州でその会合を行うということになっております。また、国際小児がんコホートコンソーシアム、これはI4Cというものでありますけども、これにつきましても、10月12日に参加を決定したということでございます。こういった国際的な連携にも努めているというところでございます。
 エコチル調査につきましては、以上でございまして、次に、続いてで恐縮ですけれども、39ページ以降にございます。茨城県神栖市における有機ヒ素化合物による環境汚染及び健康被害に係る緊急措置事業の継続・拡充についてということでございまして、これも前回の環境保健部会以降、進捗がございましたので、その報告をさせていただきたいと思います。
 めくっていただきまして、40ページにその背景が記載してございます。
 平成15年3月ですが、茨城県神栖町、現在は神栖市でございますけども、におきまして、有機ヒ素化合物による地下水汚染と健康被害が発覚しまして、これは、当初、旧軍の毒ガス、化学兵器の投棄によるものかというふうな疑いもあったわけですけども、その後、不特定の第三者がこのジフェニルアルシン酸というものが混入したコンクリート塊のようなものを不法投棄したということが原因であるというふうに判明をした事案でございます。
 この事案に対応しまして、平成15年6月に閣議了解をいたしまして、緊急措置事業というものを始めてございます。これにつきましては、内容は、医療費や療養手当等の支給、また、協力金の支給による集中的な健康管理調査ということで、早急に症候及び病態についての解明を図り、もっと健康不安の解消に資するというのが目的でございます。
これにつきましては、5年後の平成20年5月に見直しといいますか、継続の決定がございまして、そのときに、3年後、平成23年6月を目的に再度見直すというふうにされていたところがございまして、今般、これの見直しを行ったということでございます。
 この見直しのために、2ポツの(1)にございますが、最初にリスク評価第2次報告書というものを取りまとめました。リスク評価の中間報告書というのを平成20年の3月にまとめたものでございますけども、これの第2次ということで取りまとめたものでございまして、参考2としまして、43ページのほうにちょっと飛んでいただきたいと思いますが。43ページに第2次報告書の概要ということで、記者発表したものがございます。本体につきましてはウェブで公開しておりますけども、概要ということでありまして、平成20年の中間報告以降、新たに得られた知見ということで、点線で囲った中に書いてございます。
まず、ラットにおいて、DPAAの長期投与、2年間の試験を行いまして、長期毒性に係る無影響量というものを算定したというものであります。また、そのラットの長期毒性試験において、発がん性が認められなかったという結果でございます。サルにおいて、特に中枢神経に蓄積が見られたというふうな結果が出ました。
 人への健康影響でありますが、DPAAによると考えられる症状、めまい、ふらつき、震えといったものでございますけども、こういった症状につきましては、飲用中止から数週間、長くても数カ月で軽快、消失しているけども、脳の血流低下や糖代謝機能の低下は数年以上にわたって見られるということで、現在でも、こういった検査結果を見ると、こういった機能の低下というのは見られるということであります。
 小児においては、精神遅滞と判定される状況が継続している方がいらっしゃるということであります。
 健康リスク評価として、地下水中のDPAA濃度が0.01㎎、ヒ素化合物の環境基準と同じですけども、これ以下であれば、人において毒性は認められないという、そういう暫定的な指針があるわけですけども、これについては見直す必要はないという、このような結果が得られたということであります。
 戻っていただきまして、40ページでございますけども、この報告書を受けまして、臨床検討会という検討会におきまして、臨床的な観点から検討をいただいたということでありまして、この臨床検討会からの意見として、参考3ということでつけてございます。
 いろいろ前後して、大変恐縮ですが。意見としては、51ページに臨床検討会の意見ということで書いてございます。2点ございまして、この緊急措置事業については継続することが必要であると。さらに、小児期にDPAAにばく露され、精神遅滞が継続している方につきましては、より綿密な病態や経過の把握等が必要であるという意見でございます。
 理由としては、DPAAの影響については、さらなる経過の観察によらなければ未解明な部分も多くと。先ほど申し上げました各種の機能の低下というのが続いているというふうな背景もございます。
 2番目といたしまして、その小児期にばく露を受けた方の中に、精神遅滞が継続されている方が認められると。こういった理由で意見をいただいたということでございます。
 この意見を踏まえまして、40ページに戻っていただいて恐縮ですが、(1)の緊急措置事業の継続決定しました。同時に(2)にございますが、小児期にばく露されて、相当程度の精神発達への影響が見られた方につきましては、その精神発達調査というものを新たに開始するということにしたということでございまして、その内容につきましては、41ページに記載のとおりでございます。
医療手帳等の交付は、現在のところ、150名の方、また、健康管理調査を行っている方々は29名、小児精神発達調査ということで、新たに4名の方を対象として、現在、実施をしているという状況でございます。
 環境リスク評価室からは、以上でございます。

○佐藤部会長 続いて、どうぞ。

○早水環境安全課長 それでは、環境安全課のほうから、最近、特に進捗しております化学物質の国際関係の中から二つ取り上げまして、ご説明をさせていただきます。
 まず、53ページ、(6)水銀条約に係る国際交渉の動向についてということでございます。
 54ページ、55ページに資料がございます。
 水銀条約の交渉につきましては、昨年から始まりまして、今年の1月に千葉で第2回の交渉委員会を開催いたしましたが、この10月末から11月の頭に第3回の交渉委員会がナイロビで開催されております。これには、やはり130カ国から政府代表が参加いたしまして、交渉は実務レベルということで、環境省からは私以下、数名の参加者が交渉に参加しております。また、ほかに外務省、経済産業省から参加をしているということでございます。
 なお、日本は、アジア太平洋地域のリージョナル・コーディネーター(地域コーディネーター)を務めておりますので、いわば地域会合の座長役ということでございまして、この第3回会合の準備会合として、9月に神戸でアジア太平洋地域会合を開催して、準備のための地域内での検討を行っております。また、この第3回会合においても、毎日、地域会合を開いているという状況でございます。
 この第3回の交渉委員会では、条文案が初めて示されました。条文案の概要を参考1ということで、57ページに1枚でお示ししておりますが、もともとは60ページほどの大作でございまして、これまで出された各国の意見をもとに、ここにも一部ありますけれども、様々なオプション、あるいは代案、あるいは括弧書きのいろいろな表現といいますか、盛り込む内容の案が様々示されているというものでございます。それにつきまして、各条項を順次議論をしていったということでございます。
 54ページに戻りますけれども、事務的な手続に関する条文などについては、法律の専門家グループで法的な検討も開始されております。
 今回は、特に各分野ごとに作業グループ(コンタクト・グループ)というものを設置しまして、人力小規模金採掘、製品・製造プロセス、排出、廃棄物・保管関係、それから資金関係、それから普及啓発など、6分野について本格的に細かい議論がなされております。
 その結果でございますが、[1]の人力小規模金採掘、いわゆるASGMというものでございますが、それと[4]の保管、廃棄物及び汚染サイト、この二つ、それから[6]の一部の普及啓発の部分については、この様々ある案文の中から、論点整理が進みまして、条文案の修正が行われ、概ね一つの条文案が最終的に新たに提案されるという形に整理されております。
 また、[2]の製品、それから製造プロセスにつきましても、どんなものがあるかとか、あるいは適用・猶予をどう考えるかといったことについて、論点整理がある程度進んできております。
 一方ですけれども、[1]の大気等への排出について、それから[5]の資金関係につきましては、先進国と新興国あるいは途上国との間で、なお議論が分かれているという状況でございます。
 また、この[1]から[6]に入っておりません、水銀の供給、それから国際貿易の部分は、これは製品・製造プロセスの部分の議論の後に議論をするということで、今回のINC3では議論があまりされていないということでございます。
 こういったことで、かなり進んではきているけれども、まだ残っている部分もあるというところでございます。
 それで、55ページにまいりますが、次回はどうするかということですけれども、今回の議論を踏まえまして、条文が修正できるところについては、条文の修正案を事務局が作成します。それから、INC3と4の間で、専門家会合を資金について開催する。それから、すみません、次の「事務局に寄る」の「寄」の字が平仮名のほうがよろしいと思いますが、ミスプリントで恐縮でございますが、技術的文書の整理が、多分、大気への排出の分になろうと思いますけれども、一部、作業が行われるということでございます。それらを踏まえまして、第4回会合はウルグアイで来年の6月に開催される予定でございます。
 以前、ご報告していると思いますが、最終的には2013年までに第5回まで会議をやりまして、それで取りまとめた後に、2013年に条約の採択署名のための会議を日本で開催ということが、一応決定しております。
 それで、今後の課題ということですけれども、特に大気への排出、それから資金、技術支援、実施支援といったところで合意形成が必要であり、ほかの部分についてもまだ未定のところについては合意形成が必要となっているということでございます。それから、国内につきましては、これを受けた国内措置の検討、それから事務的には外交会議の開催準備の本格化ということでございます。国内措置の検討に当たりましては、本日ご出席の大塚先生を中心に、請負先の研究会におきまして専門家の方々にご助言をいただきながら、予備的な検討を進めております。将来的には、この部会でも本格的にご議論をいただくことになろうかと思います。
 水銀条約につきましては、以下、資料に条文案の概要と、その他、これまでの経緯が59ページ、それから、国内外における水銀の利用・排出状況を62ページ以降にまとめておりますが、時間の関係で説明を省略させていただきます。
 最後に、SAICMについてということで、先ほどの環境基本計画にも出てまいりましたけれども、これについて簡単にご説明をいたします。
 64ページを見ていただければと思いますが、SAICMについては、これまで、あまりこの部会でご説明をしていなかったかと思いますけれども、2002年のヨハネスブルグサミットを受けて、2006年の第1回の国際化学物質管理会議(ICCM)で合意をされた「国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ」ということで、その頭文字をとってSAICMと名づけております。2020年目標として「化学物質による著しい影響の最小化」というものを目標として掲げ、それを実現するための様々なリスク評価、リスク削減、予防的アプローチ、それから情報の収集・提供、各国における体制整備、途上国への協力の推進などを定めた国際戦略でございます。
 SAICMの概要につきましては、69ページ以降に簡単にまとめておりますけれども、全体が3部構成になっておりまして、政治的な宣言である「ドバイ宣言」において、2020年目標あるいは子どもなど脆弱な集団の保護、ライフサイクルにわたる知識の統合などといった目標をまず掲げた上で、包括的方針戦略、OPSと呼んでおりますが、そこで対象範囲、目的、財政的支援などについて書かれております。
 その下に、70ページになりますが、さらに世界行動計画というものが整理されております。ただ、これはガイダンス文書というようなもので、作業領域が36、それから行動項目273となりますけれども、各国がいろいろな取組を検討する際のガイダンスという形で整理をされております。必ずしも全部合意をされているというものではないということですけれども、今後、各国がいろいろ検討する際の指標となるようなものということでございます。
 64ページに戻っていただきまして、そういったことで、SAICMを2006年から進めているということですけれども、3年ごとに大きな会議を開催して、その進捗は確認することになっており、2009年に第2回のICCMが開催されております。その後、64から65ページにかけてですが、2回、アジア太平洋地域の会合を開催した後、この11月に公開作業部会がベオグラードで開催されております。これは来年の9月に開催予定のICCM3、第3回会合の準備ということでございます。この結果につきましては、67ページに概要をまとめておりますけれども、約100カ国、250名の参加で、日本からは私他が出席しているということでございます。日本は、こちらについても、アジア太平洋地域の副議長となっており、そういった立場で、やはりアジア太平洋地域の会議のケアをしております。
 OEWGで実際に検討された内容は、68ページでございますけれども、第2回のICCMで幾つか新しい課題が提案されまして、それについて、これまで重点的に議論されてきました。それがナノテクノロジーの関係、電気電子製品に含まれる有害物質、製品中の化学物質、塗料中の鉛、この四つに加えて、化審法でも一部対象になっている有機フッ素化合物、ペルフルオロ化合物に関する問題、この五つについては、進捗状況の確認と、それから今後の取組について議論がされております。
 1番と2番については、先ほどご説明した、SAICMの本体の世界行動計画の中に組み込むという方向について、合意をされております。
 また、4の塗料中の鉛については、世界的に廃絶をしていくという方向について合意をされております。
 それから、(2)でありますが、こういった新規の課題に新たな提案がありまして、内分泌かく乱物質と、先ほど、眞柄先生からもご指摘がありました、環境残留性の高い医薬品汚染物質というものが提案をされたわけですが、内分泌かく乱物質については、一部、異論がありましたけれども、第3回ICCMで議論していくということになりましたけれども、2番(医薬品)のほうは今回、見送りということになりまして、第3回以降にまた改めて議論しましょうということになっております。
 また、資金の関係については、当面、最初のスタートのところで資金提供した「クイックスタートプログラム」というものは、少し延長するということが合意されておりますが、長期的な資金の支援オプションについては、今後の検討課題ということで、まだ議論をされたのみということでございます。やはり資金問題が、こちらでも今後の検討課題になっているということでございます。
 こういった下準備を踏まえて、来年の9月に第3回のICCMが開催される予定ということでございます。
 戻っていただきまして、65ページでございますが、SAICMについての我が国の実施状況ということでございますけれども、第三次環境基本計画へ位置づけるとともに、先ほどもご説明した化審法の改正あるいはPRTRの見直し、エコチル調査といったところについては、基本計画に沿った取組とともに、SAICMに沿った取組でもあるということでございます。
 また、関係省庁連絡会議を設置し、さらに公開セミナーを開催したりしているということで、今年は10月に海外の人たちも呼びまして、66ページでございますけれども、特にステークホルダーの参加、様々な主体の参加についての講演・パネルディスカッションを行っております。
 今後の国内の取組につきましては、国内実施計画を来年の9月のICCM3までに策定をするということを既に関係省庁連絡会議で合意しておりまして、今後、関係省庁と連携しながら作業を進めていきたいと考えております。この部会にも適宜ご報告をし、ご意見をいただくということを考えております。また、この部会とは別に、先ほどのステークホルダーの参加ということで、「化学物質と環境政策対話」というものを立ち上げて、様々な方々のご意見を反映させる場をつくっていく予定にしております。
 なお、先ほどご説明した環境基本計画とこの実施計画の関係でございますが、一番下にありますけれども、環境基本計画のほうが上位ということで、それを踏まえながら、SAICMの国内実施計画を実際のアクションプランのような形でつくっていくということを考えており、上下関係にありますけれども、例えばSAICMについては化学物質対策を広く拾いますので、環境以外の、例えばですが、労働安全とか、そういった部分も含むということで、少し横にはみ出す部分もあるということでございます。
いずれにしても、環境部分については、環境基本計画の記述対応を踏まえて、実施計画をつくっていきたいということでございます。
 以上、SAICMについての、国際、国内の状況についてご説明させていただきました。
 以上でございます。

○佐藤部会長 どうもご報告ありがとうございました。
 たくさんご報告をいただいたので、多分たくさんご質問とかコメントがあるのかと思いますので、お伺いしたいと思います。
 恐縮ですが、発言される方は名札を立てていただきましたら、私の右手のほうから順番に発言いただくことになろうかと思います。ただ、もし何か関連することがあったら、ちょっと声をかけていただければ、順番を変えます。それから、もし資料に言及されるときには、ページ数を最初におっしゃっていただけると、わかりやすいかと思います。
 それでは、どうぞ、ご質問、コメントをお願いいたします。どなたでも。
 じゃあ、まず、一番右は須藤先生から。

○須藤委員 どうもありがとうございました。
 先ほども大震災のところのお話をしたのですが、ちょっとそれに関連して、エコチル調査のことでお伺いいたします。
 宮城ユニットセンターやら、それから福島ユニットセンターやらが入って、とりあえずは対応できるというふうに伺ったので、それはそれでよろしいのですが、ただ、宮城の例でいきますと、各主体が集まって宮城県民会議というようなものを開かれておりまして、各主体の人が集まった中で、最も強い意見というのが、もちろん中身は放射線のこともあるのですが、妊婦と、それから乳幼児に強い影響があるであろうということで、その辺をはっきりとさせてほしいという要求がかなり強く出ております。
そういうこともございますので、こういう中では、制度設計は前からやられているから、間に合うはずはないとは思うのですが、ぜひ評価だとか、それから影響ですか、こういうところをずっと長くやる調査の中で、ぜひその問題を取り上げていただけるような中身にしていただきたいし、間に合うのであるならば、若干そういうような評価項目等も入れていただければ、大変ありがたいと思います。
 以上です。

○戸田環境リスク評価室長 放射線の健康影響につきましては、ご存じかと思いますけども、福島県でございますけども、福島県民健康管理調査でかなり綿密な調査が行われるというところがございます。その県民健康管理調査の中心になっていらっしゃるグループがありまして、そのグループに、たまたまですけども、そのエコチル調査の福島ユニットセンター長も入っていただいておりますので、我々もいろいろとお話は聞いているところでございます。
 エコチル調査で、改めて放射線のばく露量について調べるということは、これはなかなか難しいところがございますけども、そういったデータとリンクすることができるかということにつきまして、これは、今後、どういうふうな仮説を立てて調査していくのかということも含めまして、今後、継続的に話し合いをしていきたいというふうに考えているところでございます。

○須藤委員 ありがとうございました。

○佐藤部会長 関連するので、崎田委員、どうぞ。

○崎田委員 関連で、私もその辺の質問をさせていただこうと思ったのですが、既にエコチル調査は制度が進んでいるので、なかなか難しいというのはもう十分承知の上で、これから、きっと放射線に関する健康影響の調査というのを、やはり大規模な形で国が実施しなければいけない状況になると思うので、これだけ大きなエコチル調査とそれが何かうまく連携をして、費用対効果もうまくやるという意味も込めて、何か少し工夫ができないかというのはずっと思っておりまして、ぜひそういう可能性を考えながら制度設計していただければ、ありがたいというふうに思います。よろしくお願いします。

○佐藤部会長 藤井先生、どうぞ。

○藤井委員 図らずも、須藤委員、崎田委員と全く同じ視点で質問しようと思っておりました。ともかく、初期からの調査を本当に始めないと取り返しがつかないと思いますので、始めると。その制度設計にすぐに取りかかっていただきたいという、その要望です。

○佐藤部会長 何かございますか。

○戸田環境リスク評価室長 同じ答えになると思いますが、特に初期からやらなければいけないということが、まさに、これは福島県民健康管理調査の中で中心になっていらっしゃる先生方がお考えになって、まさに、行動調査もされているというところかと思います。
エコチル調査につきましては、福島県におきましては、現在のところ、約7,000名が対象になる調査でございますので、そのデータ数の中で、どういうことが言えるのかということも含めて考えなければいけないというふうに考えておりますけれども、継続的にその相談をさせていただきたいというふうに思っております。

○佐藤部会長 ありがとうございました。  今の関連のご発言、それでよろしいですか。  じゃあ、大塚委員、どうぞ。

○大塚委員 化審法との関係で、ちょっとお伺いしておきたいのですけども。先ほどご説明いただきましたように、優先評価化学物質が88物質指定されたということですが、この(3)のリスク評価手法についての10ページのところにございますように、優先評価化学物質は第二種とか第三種の監視化学物質以外からも、もちろん指定される可能性はあるので、そのスクリーニング評価をこれから行われるということが最後のほうに書いてありましたけれども、これはどれぐらいのスピードでおやりになるというおつもりかというのを、ちょっとお伺いしておきたいと思います。

○瀬川化学物質審査室長 スピード感覚ということにつきましては、まだ具体的なスケジュールは立てておりません。ただ、ここで書いております、国内外で既に有害性情報が収集・評価されている一般化学物質というのは、例えば初期リスク評価を行った物質ですとか、あるいはばく露評価がある程度できている物質ということで、目鼻をつけておりますので、できるところから順次やっていくという感じだと思います。
 ちなみに、88の物質に関しましても、やはり指定することによって、事業者の方々が気をつけて使っていただく。あるいは、他の物質への代替を進めていただくといったアナウンス効果、政策としてのアナウンス効果がございますので、先生おっしゃるように、優先評価化学物質への指定というのも、ある程度のスピード感をもってやっていこうと思っております。ただ、具体的なスケジュールについては、まだ決まっておりません。

○佐藤部会長 よろしゅうございますか。

○大塚委員 既存化学物質に対応するということで、非常に鳴り物入りで入ったものなので、ぜひ積極的に進めていただければ大変ありがたいと思います。

○佐藤部会長 今の化審法、優先評価物質について、何かご追加とかございますか。  じゃあ、菅野先生、どうぞ。

○菅野委員 リスク評価を導入したことで、有害性評価とばく露量評価があるわけですが、有害性評価のほうはかなり透明性のある状態で、いわゆるエキスパートジャッジというのですか、そのぶれの幅を皆さんの前で論議しているのですが、ばく露量評価のほうのそういう吟味がまだ追いついていないように見えるんですね。
ぜひ、我々、常にこういうことは申し上げているのですが、ばく露量評価側のファインチューニングのほうを進めていただけたらと。特に環境のものに関しては、何回も言って申し訳ありませんが、カドミウムが落ちたりとか、そういう事情があるわけですけども、そういうことがなぜ起こるかということも含めて、ぜひ検討していただけたらと思います。

○佐藤部会長 確かに以前、ご指摘もあったかと思いますが、何かありますか。

○瀬川化学物質審査室長 ご指摘ありがとうございます。ばく露量評価につきましても、例えば、そのPRTRの対象物質でありましたらそのデータを、あるいは基礎のモニタリングデータということで、できるだけ使うデータについて、信頼性の高いもの、あるいはオープンになっているものを使うとともに、オープンにしていくという努力もしていきたいというふうに思っております。
 また、ばく露に関しましては、幾つか複数のモデルを使った評価も行ってまいります。これは化学物質の、主には事業上からの拡散あるいは輸送に関するモデルが主になると思いますが、そういったばく露のモデルについても、その構築の概念ですとか、あるいは諸要素について、できるだけわかりやすくお示しするということを、今後、させていただこうというふうに思っております。

○佐藤部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、じゃあ、崎田委員、2回目ですけれども。

○崎田委員 もう一つ、別の発言をさせていただきたいというふうに思っておりました。それで、資料の40ページなんですけれども、茨城県神栖市でのこの有機ヒ素化合物による影響に関してなのですが、実は今回の資料を拝見して、最初の3行目に背景として、「旧日本軍ではなくて、その後、不特定の第三者による不法投棄によるものと判明」というふうにあります。こういうこともあって、今回、第四次環環境基本計画の文言の中にも、廃棄物とか、廃棄物処理とか、そういうことに関する重要性というのがかなり書き込んであるのですけれども、まだまだ社会全体で、そういう処理に関するところまで、きちんと責任を取らないといけないというところが、あまり危機感として伝わっていないような感じがいたします。
こういう本当に被害を受けられた方の大変さを思えば、もう少しやはり不法投棄の危機感とかそういうものを、今後、強調して発信していただいて、こういうことをなくしていくということを強く進めていただければ、うれしいというふうに思っております。よろしくお願いします。

○佐藤部会長 何かございますか。特にありませんか。
 廃棄物のほうでしっかりやっていただければというふうに思います。
 それでは、お待たせしました。新美委員、どうぞ。

○新美委員 どうもありがとうございます。
 私は、改正石綿救済法について、コメントをさせていただきます。
 議員立法でこの法律ができたということですが、環境省がこの法律をどう運用するか、制度設計も含めて本格的に検討するべき時期ではないかと思います。
 イギリスのHealth and Safety Agencyでしょうか。そこが2009年に出した中皮腫に関する報告書の中で、中皮種の診断基準と診断技術が向上した結果、相当数の患者さんを把握でき、その症例等の分析によると、従来中皮腫はアスベストの職業ばく露を原因とするものがほとんどだと思われていたが、職業曝露を受けた労働者の家族がほとんどではあるが、環境ばく露によると思われる中皮腫患者が相当数に上るとしています。
我が国の改正石綿救済法も、どちらかというと、職業ばく露による被害者を中心とし、それから漏れ出た患者について、何とか一定の救済をしようとしていますけれども、そのイギリスのレポートを見ますと、それでは十分ではないという状況が生じてくるのではないかと思います。したがって、今少しきちんと石綿による被害について把握する必要があるだろうと思います。
 中皮種に関して言うと、30年のその潜伏期間といいますか、がんの細胞に発展するまで30年程度かかって、それから中皮種として診断されるまで5年程度かかるというような病気らしいですが、そういうことも含めて、少しきちんとやらなければいけない。アスベストを禁止してからの年数を考えますと、これからも相当数に上る患者さんが出てくることがイギリスでは懸念されております。日本も同じような状況になるのではないかと思います。
 それからもう一つは、そのリポートで書かれているわけではありませんが、中皮種と肺がん、それから石綿肺とでは、石綿と疾病との間の関与の仕方が相当程度違うとされています。それを全部を一緒くたにして扱っているような現行法では、必ずしも適切かつ十分な救済にはならないと考えます。一括して、見舞金程度の給付をするというのならば、あまり心配をする必要はないだろうということになりますが、救済をより手厚くするなり、きめ細かにするなどもう少し詰めていくとなると、相当程度議論をしないといけないのではないかと思います。
以上のことから、改正石綿救済法は、環境問題として正面から議論していく体制をぜひとっていただきたいと思います。

○佐藤部会長 井内先生、関連で。

○井内委員 今のことについて、少し意見を述べさせていただきます。
 私は、その石綿救済法に関連して、判定小委員会のメンバーをやっているわけです。それで、この石綿の環境ばく露による被害者、これは労災も含めてなのですけれども、一番大事なのは、医学的判定というのがまず大事ですよね。今おっしゃったように、中皮腫、肺がん、それから石綿肺と、この三つの疾患を挙げても、それぞれその道の専門家が集まりまして、集議してその基準をつくり、その判定をやっているわけですね。例えば一番最初におっしゃった中皮腫のことに関しては、イギリスのそのレポートは存じ上げていますけども、私が調べた範囲内では、1995年から2006年まで、中皮腫による死亡者数というのは500人から1,000人に倍増したんですね。その中身を見てみますと、一番増えているのは男性の胸膜中皮腫といって、これが一番、アスベストばく露に関係すると思われますが、ここは3倍に増えているんです。
ところが、例えば女性の胸膜中皮腫、これは環境かもしれませんけど、これは2倍ぐらいしか増えていない。例えば中皮腫、それ以外に中皮腫は腹膜にも出るのですが、それは全く増えていないですね。
ですので、私たちが今見ている中皮腫の増加というのは、恐らく1960年代から90年代に、我々がたくさん使用したアスベストの吸引による労働災害であろうと。もしも、これが環境ならば、もう少しいろいろなところに、いろいろな年齢層に、あるいは男女を問わず、出てきてもいいのではないだろうかというような印象を持っていて、その辺の課題がこれからあるだろうと思っています。
ですから、ある人の中皮腫を見つけて、これが環境によるのか、それとも、労働ばく露によるのかというのは、実は決めやすそうで、非常に決めにくい部分があるということをご承知おきいただいて、慎重に検討しているということを申し上げておきたいというふうに思います。
 以上です。

○佐藤部会長 どうもご追加、ありがとうございました。
 ほかに。三浦先生、どうぞ。

○三浦委員 ただいまのご意見に関してですけれども、中皮種と、それから肺がん、石綿肺、全く違う病気ですね。今、もう肺がんは、かなりの治癒率、早期発見によりまして、石綿によるものであっても、早期発見によって、ほぼ5年生存率が非常に大幅に延びてきています。ところが、中皮種については、まだ残念ながら非常に低い。そして、治療法もまだまだ過渡期といいますか、やっと少しずつ進歩している段階で。そういう意味では、非常に死亡率の高いものですので。そういう点でも、中皮種と肺がん、石綿肺、その他の疾患と同列というのは、やはりちょっと、私たち臨床医から見ますと、もうちょっと何か区別できないのかなというのが、私の実感であります。

○佐藤部会長 ありがとうございました。
 何か、桑島室長ございますか。

○桑島石綿健康被害対策室長 いただいたご指摘、ありがとうございます。先ほども少しご説明の途中に入れましたけれども、今年の6月に小委員会から二次答申をいただきまして、その中では、今の枠組みを変えないでということで、お答えをいただいてございます。様々なご意見をいただいておりますので、先ほどの法改正のご説明の中に、5年以内の見直し規定というものもございますので、様々なご意見をいただきながら、必要に応じて、そのご意見を具現化してまいりたいと思ってございます。
 以上でございます。

○佐藤部会長 どうもありがとうございました。
 この救済制度のあり方についても、情報の提供とか、調査研究の推進とか、今後に向けての検討というのが入っておるようでございますので、ぜひその辺も含めて、よろしくお願いしたいということだと思います。
 電気が消えたのは、ちょうど12時になって、お昼になって、もうやめろという合図かなとも思いますけれども。何かご発言が特になければ、この辺で議事を終了させていただきたいと思うのですけれども、よろしゅうございますか。
 どうも貴重なご意見をたくさんいただきまして、ありがとうございました。
 それでは、マイクを事務局のほうにお返しいたします。

○東條企画課長補佐 本日は、活発なご審議を本当にありがとうございました。
 本日の議事録は原案を作成し、委員の皆様にご確認をいただいた後、環境省ホームページに掲載する予定ですので、どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、以上で、第25回中央環境審議会環境保健部会を終了したいと思います。どうもありがとうございました。

午後0時02分閉会