第23回中央環境審議会環境保健部会議事録

日時

平成22年1月7日(木)15:00~17:00

場所

経済産業省 別館9階 944会議室

議題

【審議事項】
 公害健康被害の補償等に関する法律の規定による障害補償標準給付基礎月額及び遺族補償標準給付基礎月額の改定について(諮問)
【報告事項】
(1)
水俣病問題について
(2)
化学物質の内分泌かく乱作用に関する取組について
[1]
日英共同研究について
[2]
ExTEND2005の今後の進め方について

配布資料

資料1 中央環境審議会環境保健部会名簿
資料2 公害健康被害の補償等に関する法律の規定による障害補償標準給付基礎月額及び遺族補償標準給付基礎月額の改定について(諮問)
資料3 報告事項について
参考資料1 平成22年度予算(案)の概要(環境保健部)
参考資料2 第2回SAICMアジア太平洋地域会合等の結果について
参考資料3 平成22年春の花粉総飛散量及び飛散開始時期の予測(速報)について

〈議事録〉

午後3時00分開会

○弥元企画課長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第23回中央環境審議会環境保健部会を開催いたします。
 環境保健部会委員及び臨時委員34名のうち、本日は現在23名の委員、臨時委員のご出席をいただいておりますので、過半数の方々がご出席されていらっしゃるということで、本部会は成立しておりますことをご報告申し上げます。
 まず、審議に先立ちまして、臨時委員の新たな任命がございましたのでご報告申し上げたいと思います。恐縮ですが、資料1をご覧いただければと思いますが、環境保健部会の名簿でございますけれども、昨日、平成22年1月6日付で、加来臨時委員が退任されまして、同日付で杉山臨時委員が任命されました。
 杉山臨時委員でございます。ご紹介させていただきます。

○杉山委員 連合の杉山でございます。よろしくお願いいたします。

○弥元企画課長 では、議事に先立ちまして原環境保健部長からごあいさつ申し上げます。

○原環境保健部長 環境保健部長の原でございます。
 環境保健部の先生方におかれましては、新年明けましておめでとうございます。
 いつも年末あるいはこの時期に部会を開かせていただいております。後ほど説明しますように、どうしても開かなければいけない事情がございますので、大変ご迷惑をおかけしておりますことをお詫び申し上げたいと思います。
 その審議していただきます内容は、公健法に基づきます障害補償費の算定の基礎になります障害補償標準給付基礎月額というものを毎年度決めていくということになっております。これにつきましては、一般的な賃金水準の動向にあわせて変えていくということになっておりまして、毎年審議をいただくことになっております。今年も賃金センサスのほうが出まして、それに基づいて、後ほどまた詳しく説明させていただきますけれども、高齢化を反映してかどうかわかりませんけれども、センサスのほうのデータも、高齢者の部分において年齢区分が分けられまして新しい年齢区分ができたりしております。それらのものを含めまして本日審議をいただくことになっております。よろしくお願いしたいと思います。
 また、そのほか報告事項といたしましては、水俣病問題について最近の状況のご報告と、それから化学物質の内分泌かく乱作用に関する取組について報告をさせていただきたいと思っております。どうぞこの部分につきましても忌憚のないご意見をちょうだいできればと思っております。
 どうぞよろしくお願いいたします。

○弥元企画課長 続きまして、お手元にお配りしてございます資料の確認をさせていただきたいと思います。
 まず資料1、今の中央環境審議会環境保健部会の名簿でございます。それから、資料2で諮問の文書がついております。それから資料3、報告事項についてということで、中身として水俣病対策と化学物質対策というものが含まれております。
 それから、参考資料1といたしまして平成22年度予算(案)の概要、参考資料2といたしまして、お知らせでございますが、第2回SAICMアジア太平洋地域会合等の結果について、それから参考資料3、平成22年春の花粉総飛散量及び飛散開始時期の予測(速報)についてという資料でございます。
 足りないものがございましたら。大丈夫でしょうか。
 それでは佐藤部会長、よろしくお願いいたします。

○佐藤部会長 皆様、明けましておめでとうございます。部会長を仰せつかっております佐藤でございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
 環境保健部会第23回、まだ松の内というんでしょうか、7日のこういう早い時期にたくさんの委員の皆様方にお集まりいただきまして、どうもありがとうございます。
 座って失礼いたしますけれども、早速議事を進行させていただきたいと思います。
 まず、審議事項の公害健康被害の補償等に関する法律の規定による障害補償標準給付基礎月額及び遺族補償標準給付基礎月額の改定についてでございます。
 これにつきましては、資料2にございますように、中央環境審議会に意見を求める諮問が環境大臣から12月11日付で出されております。本諮問は、鈴木会長から環境保健部会に12月14日付で付議されましたので、本日この部会において審議させていただきたいと思っております。
 それでは、事務局から諮問の内容についてご説明ください。

○森口保健業務室長 それでは、私のほうから説明させていただきます。
 資料2に沿って説明させていただきますけれども、表紙は、今ほど部会長よりご説明がありましたように、公害健康被害の補償等に関する法律の規定に基づきまして、障害補償標準給付基礎月額、それから遺族補償標準給付基礎月額の改定についてご審議をお願いするという環境大臣からの諮問書でございまして、裏面、2ページ目のほうがその改定額でございます。この金額でよろしいかどうか本日ご審議をお願いするものでございます。
 それから3ページ目が、これも部会長から説明がありましたけれども、鈴木審議会会長から本部会への付議書でございまして、4ページ目からが説明資料という形になってございます。4ページ目をお願いいたします。
 4ページ目から、まず制度の概略の説明をさせていただきますけれども、公害健康被害の補償等に関する法律の関係条文を抜粋してございますが、第26条と第31条、障害補償費と遺族補償費についてでございますが、それぞれ下線にありますように、労働者の賃金水準などを考慮して中央環境審議会の意見を聞いて定めることとされております。そして、下の法律施行令のほうでございますが、その定め方につきまして、性別及び環境大臣の定める年齢階層別に区分して毎年度定めるというふうに、いずれもされております。ということで、毎年この時期にご審議いただいて答申をいただき、所要の手続を行った上で4月より改定を行うということをしているわけでございます。
 続きまして5ページでございますが、こちらのほうで具体的な算定方法が昭和49年の中央公害対策審議会で答申されておりまして、その内容を抜粋したものでございます。
 下線を引いてありませんが、(1)のところで、障害補償費及び遺族補償費の標準給付基礎月額は賃金構造基本統計調査報告、これは厚生労働省のほうで毎年公表しておりますものでございまして、以下「賃金センサス」と略させていただきますけれども、これを用いて、性別、年齢階層別に区分して定めることが適当であると。
 それから(2)で、給付水準は、障害補償費にあっては賃金センサスの性別、年齢階層別の平均賃金の80%、遺族補償費にあっては70%とすることが適当であるというふうにされております。
 それから、(3)でございますけれども、基礎月額は毎年定めるべきであるが、その算定の基礎となる賃金は前年の賃金実績によることと。その基礎となるデータは、当時、労働省と厚生省に分かれておりましたので、労働省の賃金センサス及び春闘の報告を用いることとすると、この2つを参考に定めていくというような意見をかつていただいております。
 それから、次の6ページをお願いいたします。障害補償標準給付基礎月額、それから遺族補償標準給付基礎月額が補償給付の基礎となる金額なんですけれども、これが一体、個々の被認定者さんへの給付額についてどういうふうになるかということでございますが、この基礎月額とはどういうものかということでございますけれども、まず1の障害補償標準給付基礎月額のほうでございますが、基礎月額が定まりますと、指定疾病による障害の程度に応じまして、この程度というのは、労働能力の喪失度または日常生活の困難度ということで、ここにありますように特級から3級までそれぞれ分けられてございますが、それぞれの障害の程度に応じまして、その給付率、特級・1級であれば1.0、つまり10割、3級であれば0.3、3割を基礎月額に掛けた金額が毎月の給付額になるということでございます。
 現在、大気系の認定患者さんは全国で約4万3,000人ほどおりまして、そのうち約2万8,000人、大体65%の方が特級から3級までに該当しておりまして、残り約1万5,000人、35%ほどの方は3級に満たないということで、障害補償給付の対象外という形になっております。さらに、給付を受けている約2万8,000人のうち約2万4,000人が3級の認定を受けております。ですから、給付を受けている方の大部分の方は、基礎月額の3割を給付として支給を受けているというのが現在の状況でございます。
 それから、遺族補償標準給付基礎月額のほうでございますが、これは認定患者が指定疾病に起因して死亡した場合に遺族に対して支払われるものでございまして、毎月、最大10年間にわたり払われる遺族補償費、または一時金として支払う場合には36カ月分を支払うわけでございますけれども、その金額のベースになるのが基礎月額というものでございます。
 こういった形で基礎月額がそれぞれ定まりますと、患者さんへの支払う金額が決まってくるという形になっております。
 以下、7ページ目からが、実際に22年度の今回の算定の計算のやり方の資料になります。
 7ページは、今年度、厚生労働省のほうで公表されました賃金センサスの状況でございます。平成20年の結果が今年度公表されております。賃金センサスといいますのは、基本的に民間の事業所で、企業規模は10人以上の事業所を対象に、短時間労働者を除いた一般労働者が対象となっている賃金でございまして、表を見ていただきまして、先ほど部長のあいさつにもありましたが、去年までは65歳以上が一くくりになってございましたが、高齢化の影響でしょうか、それが65歳から69歳と70歳以上の2つの区分に分けられてございます。
 裏面、8ページをお願いいたします。これが昨年度との増減を示してございますが、男女計、全体では1,800円の減額、対前年比でマイナス0.5%と、男子のほうがマイナス0.8%、女子はプラス0.6%という結果でございました。年齢階層別に見ていきますと、男子のほうは6区分でマイナス、女子のほうは3区分でマイナスというような結果になってございます。
 これをベースに、先ほどご説明いたしましたように、その80%が障害補償費、それから遺族補償費については70%というのが基本になるわけでございますが、先ほど申しましたように、今回決めていただくのは22年度の基礎月額でございますので、21年の賃金水準をベースにしないといけないと。ところが、今回最新のものは、ここにお示ししましたように20年の賃金センサスの結果しかございませんで、21年の賃金センサスの結果というのは来年の春、5月か6月ぐらいにならないと公表されませんので、20年から21年にかけて賃金が上がるのか下がるのか、その推計をしないといけないということになってまいります。
 そこで、次の9ページでございますが、こちらのほうが賃金センサスの春闘の過去10年間のアップ率の推移をグラフに示したものでございまして、黒いほうが賃金センサスでございますが、見ていただいてわかるとおり、15年から5年間ほどはほとんど0%から0.2%、ゼロの線に張りついておりましたけれども、今回、20年の数字が出ましてマイナス0.5%という結果でございました。
 一方で春闘のほうでございますけれども、こちらは大手企業でございますが、数字を見ていただきますと、1%台後半から2%ぐらいで過去10年間ずっと推移してきておると。こちらのほうは定期昇給分も含んでおりますので、賃金センサスよりは高い数字になるわけでございますけれども、見ていただきますと、21年も特に目立った落ち込みは見られていないということでございます。
 この黒い線のほうが21年はどこにいくかということを推計しないといけないわけでございますけれども、春闘のほうは特に落ち込みはないということで、従来どおりのやり方で推計させていただきたいというふうに考えておりまして、従来どおりのやり方と申しますのは、春闘と賃金センサスの比をとりまして、それを、春闘のほうのトレンドは変わりませんので、20年までの春闘と賃金センサスアップ率の比をとりまして、その中位数をとるという形で従来からやらせていただいておりまして、そういう計算をしますと、21年の賃金センサスの推計アップ率を0.0%というふうに今回推計させていただきたいと考えております。これは従来からの推計方法と同じやり方でございます。
 続きまして10ページをお願いいたします。これは賃構アップ率を年齢階層別に過去のトレンドをグラフにしたもので、線が細かったりかすれていたりして、たくさんあって見にくくて申し訳ないですが、真ん中にあります太めの黒い線が全体の賃構の推移でございます。その周りにカラーの細い線が、各性別・年齢階層別の賃構のアップ率、各区分ごとのアップ率をグラフにしたものでございますけれども、全体の線と比べて、その周りに絡んでいる線のほかに、かなり上下に幅広くぶれている、全体と違う傾向のある線があるのが見てとれると思いますが、中には、例えば大きく上にずれた後、翌年は大きく下にずれると。リバウンドと申しますか、反対の方向に大きく動くものがあるのが見てとれると思います。これをそのままダイレクトに基礎月額に反映いたしますと、被認定患者の方々が受け取る給付額が年によって大きく変わるということになりますので、これはなるべく避けたほうがいいということで、平成14年から、こういうふうに大きくリバウンドするものについては、回帰分析しましたところ、リバウンドがあるという傾向が見られるということで、回帰分析による補正を行うということで計算を行っております。
 今回、その補正のための回帰分析の結果が11ページのほうにございますが、当年乖離と翌年乖離をプロットいたしまして、大きく外れている値を除いて、また繰り返しプロット、直線を引いていくということを12回繰り返しましたところ、ここにあります回帰直線が得られて大きな外れ値がないという形になりましたので、この回帰直線をもって今回補正をさせていただきたいと考えております。
 これが従来どおりの手続でございまして、これをまとめまして計算していくとどうなるかというのが12ページと13ページのほうにございます。
 12ページのほうが障害補償標準給付基礎月額でございますけれども、男性、女性、年齢階層別に平成19年と平成20年の賃構の数字がありまして、その増減、それから増減率を記載してございます。今回は、これは障害補償標準給付基礎月額ですから21年の賃構の80%が基礎月額になるわけですけれども、20年から21年を0.0%と推計を置いていますので、20年の賃構の数字の80%が22年給付の補正前の金額になってございます。
 次に、大きく外れたところ、平均増減率の乖離の大きいところの補正でございますが、19年と20年の増減率、左から4つ目のところですが、これが全体の増減率、単純計算しますとマイナス0.54、つまりマイナス0.5から外れているところということで、2.5%以上乖離しているところをピックアップいたしまして、それが平均増減率の乖離の欄で黄色で塗っている5つの枠でございますけれども、これにつきまして先ほどの回帰直線に基づいて補正を行うということで、オレンジと緑の金額が出てきます。つまり、この5つについての補正前の金額を補正後の金額に置き換えるということになります。
 さらに、昨年の本部会におきまして新しいルールを決めていただきました。こういうふうな補正等を行ったとしても、毎年かなり大きく増減していく年齢階層区分があるということで、単年当たりの増減をプラスマイナス2%を上限とするというルールを定めていただきました。それに当たるのが灰色で塗ってあります3区分、男子の65歳から69歳と70歳以上、女子の70歳以上の3区分につきましては、上限2%のルールを適用いたしまして、一番右側の金額、増減率という形にしております。
 この結果、21年と比べて22年の給付額について、増額が一番大きいのは男子の70歳以上、ちょっと数字がありませんので申し訳ありませんが、4,400円のプラスと。率で一番大きく増えているところは男子と女子の70歳以上で2%の増となっております。減額のほうで一番大きいのは、男子の40歳から44歳で6,600円の減。率では、男子の65歳から69歳、女子も65歳から69歳で2%の減というような計算結果となってございます。
 続いて13ページですが、これは遺族補償のほうでございますので、先ほどの80%を70%にして同じ計算をしておりますので、説明は割愛させていただきます。
 以上、最後の14ページでございますが、諮問の表を再度整理してまとめてございますが、上の1が障害補償標準給付基礎月額、2が遺族補償標準給付基礎月額の改定の計算結果でございまして、肌色のところが回帰直線による補正をかけたところ、黄色のところは2%の上限措置がかかっているところということでございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願いいたします。

○佐藤部会長 ありがとうございました。
 ただいま、全般的な仕組みの説明と、それにのっとって計算していただいた結果をお示しいただいたと思います。これについて何かご質問あるいはご意見等ございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。
 では崎田委員、どうぞ。

○崎田委員 今、非常に仕切りどおり厳正に計算いただということで、大変よくわかりました。
 それで質問なんですが、その結果ですが、65歳から69歳のところが非常に減少しているという、この辺、それで70歳以上でまた持ち直しているわけですけれども、その辺、なぜこういう結果になっているのかという辺りをどういうふうにお考えか、教えていただければありがたいと思います。

○佐藤部会長 では、これは質問なので、事務局のほうから。

○森口保健業務室長 今回、賃金センサスのほうが、従来65歳以上が一くくりになっておりましたのが、65歳から69歳、70歳以上の2つに分かれまして、7ページのほうでございますけれども、その結果、70歳以上の賃金水準のほうが男子、女子とも65歳から69歳より高いという結果、これは去年までこれが全部一くくりになっていましたので、加重平均した金額でなっていたのが2つに分けた結果、高いほうと低いほうに分かれたのがそのまま反映させていただいているということになっています。

○佐藤部会長 よろしゅうございますか。恐らく前までの年齢区分が広かったんでしょうね。今、70歳以上というのが出て、70歳以上で給料をもらっている人というのは、会社の社長とか偉い人なので高くなっているんじゃないかと、そういうことですか。

○森口保健業務室長 5ページのほうでございますけれども、昭和49年の答申の(4)でございますが、この当時もこの辺は問題になったんだろうと思いますが、この当時も65歳以上のものについて一くくりになっていたわけでございますけれども、老齢化に伴う問題をどう考えるかということはあるけれども一くくりに扱ってやると。その当時からそこは割り切ってやっていたというところがありまして、確かに70歳以上で実際に給与をもらっている方というのは限られた方になってくる、それをベースにやっていますのでここが高くなっているんだと思いますけれども、これは今日ご欠席の浅野委員からも以前からこの部会でご指摘を受けていまして、高齢化に伴って新たな金額設定の方法はないのかということで検討はいただいたんですが、今回もまたご意見をいただいたんですけれども、なかなかいい手段が今のところないということで、今回、申し訳ありませんが、従来の考え方をそのまま新しい区分で入れて金額算定をつくらせていただいております。

○佐藤部会長 崎田委員、よろしいですか。
 では、この点についてまだご質問があれば。

○佐々木委員 今の説明では全くわかりません、正直言って、想像でお話しされるのは大変失礼だと思います。したがって分析をきちんとして、だろうという推量のもとでするというのは、私は大変危険だろうと思います。

○佐藤部会長 ほかにこれに関係して。
 新美先生、どうぞ。

○新美委員 この70歳以上の年齢区分が出たというのは、損害賠償法の中でも大変議論になっておるところであります。
 1つは、先ほど憶測だというふうに言われましたけれども、むしろ経験則からいって、年をとっていったら稼働能力は低減するというのは、損害賠償の中では一般に言われているところでございます。この統計値をどう見るかということが一番大きなポイントだと思いますが、もともと統計値をそのまま障害補償費に持っていくこと自体が割り切りをやっているわけですので、この数値をどう使うかというのも一つの政策判断で考えていく必要があるんじゃないかというふうに思います。
 損害賠償で70歳代の区分については、基本的には数値は数値として受けておりますが、何割か差し引いて損害賠償額を算定するというのが現状であります。それは経験則ですね。年をとってたくさん稼げるようになるわけがないでしょうと、そういう判断をしておるということでございます。

○佐藤部会長 ありがとうございました。
 では藤井委員、どうぞ。

○藤井委員 質問というよりも意見です。
 1つは伺いたいのは、6ページの、先ほど4万3,000人対象のうちの3級は2万4,000人というお話がありましたが、できれば特級、1級、2級がそれぞれ何名の方がということが知りたいことと、それから、いつも給付月額を決めるときにはこういう数字を議論するしかないなと思いつつも、実際、各等級、それから男女の年齢層を含めて、どのような暮らしのありようがあるのか、どんな声が上がっているのかという、そういう実際に被害者の方たちの声を感じるということがこの議論ではないものですから、ヒアリングという形なのか、何らかの形でそういう形が1年間の間にあってほしいなという、これは要望です。
 以上です。

○佐藤部会長 ではご質問がありましたので。

○森口保健業務室長 人数のほうですけれども、今の認定患者さんの数ですが、約4万3,000人で、そのうち2万8,000人余りが特級から3級に当たっていまして、これはお亡くなりになったりする方がいますので数字が動いているんですけれども、今手元にある数字で去年の7月の人数ですと、特級は3名、1級が119名、2級が3,765名、3級が2万4,332名という数字でございます。

○佐藤部会長 あと、ご要望のほうについては何かご意見。

○森口保健業務室長 先ほど申しましたように、ほとんどの方が3級の方が非常に多くて、そうしますとこの基礎月額の3割が毎月の支給額と。2ページ目なり最後のページで見ていただきますと、例えば女性の70歳以上の方であれば基礎月額が16万3,500円ということで、その3割ですので5万円程度ということで、これだけでは非常に生活が苦しい、できないと。あと国民年金とかほかの制度からの支給があれば何とか、また夫婦で両方支給を受けていれば生活できるけれども、なかなか厳しい生活状態であるというようなご意見は、患者会のほうからいだたいております。

○佐藤部会長 よろしいですか。
 先ほど御指摘あったように、70歳以上のところでぽこっと上がっているということでございまして、これをどうするのかというのをもう少しご意見をいただきたいと思うんですけれども、何で上がっているのかというのは、佐々木委員のほうから推測で物を言うなというお話がありましたけれども、高給をもらっている人ではないかと言ったのは多分私のほうかなという気もするんですけれども、その理由はともかくといたしまして、この点について何かもう少しご意見を伺っておいたほうがよろしいように思いますけれども、いかがですか。
 どうぞ、高橋委員。

○高橋(滋)委員 私は法律の立場からちょっと申し上げたいのですが、先ほど新美先生も経験則とおっしゃいました。社会的な観念から言って、70歳になって稼働能力があるというのは、一般常識からしてあまり考えられない話ですので、算定方式の資料としては適当でない数字になっているのかなという気がします。
 ただ、今回こういう原案が出てきたところで、急にこれを変えるというのも問題だと思いますので、浅野委員も再三おっしゃっているという話がありましたが、来年度までに少し、先ほど新美委員のようなお話を手かがりに損害賠償の実態などもお調べになって、何らかの補正をかけるようなことをご検討いただきたいと思います。
 以上です。

○佐藤部会長 ありがとうございます。原案どおりでいいけれども、来年度以降はもう少し考えてほしいというご意見だったと思います。
 ほかにご意見、いかがでしょうか。
 新美委員、どうぞ。

○新美委員 私も今年度はやむを得ないと思うんですが、1つ心配なのは、従来65歳以上でまとめていたものですから、70歳以上の収入が65歳から69歳までの部分を食っちゃっているものですから、現実に下がりの率が非常に大きくなっているということだと思います。ですから、今回補正はできないにしても、65歳から69歳がこんなに大きく下がっているということを少し意識しなければいけないというふうに思います。
 ですから逆に言うと、70歳以上のほうが上がっているというのが、先ほど言ったように経験則から言うと異常ですので、従来まとめていた額からの激変措置を少し考慮したほうがいいんじゃないかというふうに思います。ですから、70歳以上のところを2%に抑えていますけれども、これをもう少し下げて65歳からのほうをもう少し上げるという、傾斜配分みたいなことをやったほうがいいんじゃないかという気がいたします。

○佐藤部会長 それは今年度もというか。

○新美委員 いや、今年度はその作業はできないでしょうから、来年度からはそういうことを少し考えて処理をしたほうがいいんじゃないかと思います。

○佐藤部会長 ほかにご意見。よろしいですか。
 この議論は毎年しているわけですけれども、その度にいろいろご意見が出てきて、少しずつは修正はしているんだろうと思います。今年度の議論に限ってみますと、賃金センサスのやり方が変わったために少しいびつな形になっているけれども、今回はしようがないだろうと。少しその方法についてお考えになったらというのが、ご意見を集約したところなのかなというふうに思いますけれども、もしそうであるとすれば、この案としては原案のとおりお認めいただくことにして、来年度に向けて少しやり方についても考えていくと。特に70歳以上の部分と65歳から69歳の部分については、かなりいびつなような感じがいたしますので、その辺については特に考えていくというようなことをここでの意見として伺って、原案のとおりお認めしたいと思いますが、よろしゅうございますか。

(「異議なし」と呼ぶ者あり)

○佐藤部会長 ありがとうございます。
 それでは、原案のとおりお認めいたします。
 その後、本日付で環境保健部会から鈴木会長に報告申し上げて、その先は鈴木会長から小沢環境大臣に答申なさると思います。そのように事務局に手続を進めるようにさせていただきたいと思っております。どうもありがとうございました。
 それでは、続いて報告事項に移りたいと思います。
 まず資料3について事務局からまとめて報告していただき、その後、委員の先生方からご質問、ご意見を賜りたいと思います。
 それでは、まず椎葉室長からどうぞ。

○椎葉特殊疾病対策室長 私のほうから、水俣病問題につきまして、現状、それから昨年末にまとめました救済措置の方針の考え方の2点につきまして報告させていただきます。
 資料3の2ページ目をお開きいただきたいと思います。
 まず、救済を求めておられる方の状況でございますが、1つ目が公害健康被害の補償法に基づく救済を求めておられる方々の状況でございます。公健法の認定申請者でございますけれども、現在まだ処分がなされていない方の数でございますが、熊本県が4,000名、鹿児島県が約3,000名、新潟県が約40名ということで、合計7,253名でございます。これは11月末現在の数字でございます。
 2つ目が訴訟による救済を求めておられる方々の状況でございますが、現在、損害賠償請求訴訟が、こちらにあるように5件行われておりますが、最大なのが17年10月に提訴されました不知火患者会の訴訟でございますが、第1陣から第18陣まで合計で2,000名ほどの方が原告ということでございます。それから、19年4月に新潟の3次訴訟、19年10月に互助会訴訟、そして21年2月に不知火患者会の今度は大阪地裁での訴訟、そして21年6月に新潟水俣病の4次訴訟ということでございます。あとこのほか、認定審査の棄却処分の取り消し等の訴訟が3件ほど提訴されております。
 損害賠償請求は5件でございますが、現在、この訴訟している団体の動向でございますけれども、まず不知火患者会のほうでございますが、昨年10月に裁判所の和解に向けての協議のテーブルに乗るよう要請がなされたところでございまして、現在、事前協議を行っているところでございます。また、一番下の新潟水俣病第4次訴訟でございますけれども、こちらも昨年末に同じような要請がなされたところでございます。特措法におきましては、訴訟されている団体との紛争の解決を図ることとされておりまして、今後とも各団体ともしっかりと向き合ってまいりたいというふうに考えております。
 それから、3つ目でございますが、保健手帳による救済を求めておられる方の状況でございます。現在、保健手帳の状況でございますが、この保健手帳は医療費の自己負担分を国と県が助成し、医療機関の窓口での負担がなくなるという制度でございますが、17年10月から申請を受け付けておりますけれども、これについての状況でありますが、まず熊本県が約2万人、鹿児島県が4,000人強、そして新潟県が約400人ということで、11月末現在ですけれども、2万5,500人ほどでございます。
 そして、その下でありますが、認定審査会の状況でございます。16年10月の最高裁判決後止まっていた認定審査会でございますけれども、現在、熊本県、それから新潟県・市のほうでは再開されておりまして、鹿児島県だけがまだ再開されておりませんが、救済措置が実施され次第再開するというご報告を受けております。
 最後の申請者医療事業でございますが、これは一番上の公健法の認定申請をされた方で、処分までの期間が長期間かかるということから、その間の医療費の助成を、例えば6カ月とか1年後に支給されるというものでございまして、医療費の自己負担分を国と県が助成する制度でございます。これにつきましては、上の7,000人ほどの中で約6,000名ほどがこの医療事業の支給を受けているという状況でございます。
 そして、次に3ページでございますが、水俣病被害者の救済及び水俣病問題の解決に関する特別措置法の「救済措置の方針」等についての考え方(環境省案)でございますが、昨年12月25日付で、この救済措置の方針につきまして検討してきたわけでございますけれども、これまで環境省におきましては、被害者団体や関係県を初めとする関係の方々からご意見を伺ってきたところでございますが、いただきましたご意見を生かして現時点での環境省の考え方を取りまとめたところでございます。これを土台といたしまして、引き続き関係の方々のご意見をお伺いしたいという趣旨で公表したものでございまして、次のページからございますが、大きく4つに分かれております。次の4ページを開いていただきたいと思います。
 まず救済措置でございますけれども、原因企業の責任、それから平成16年のいわゆる最高裁判決におきまして公害防止政策が不十分であったと認められました国や熊本県の責任を踏まえまして、水俣病被害者の方々をあたう限りすべて、また迅速に救済するという内容でございます。
 まず(1)でございますが、対象となる方の症候要件やばく露要件の考え方を示したものでございます。
 まず症候要件でございますが、4ページの[1]のところでございますが、通常起こり得る程度を超えるメチル水銀のばく露を受けた可能性がある方のうち、(ア)でございますが、四肢末梢優位の感覚障害を有する方、これに加え、これに当たらない方でありましても、全身性の感覚障害を有する方その他の四肢末梢優位の感覚障害を有する方に準ずる方を対象とするという考え方を示しております。
 次に5ページ目でございますが、ばく露要件でございますが、これにつきましては、通常起こり得る程度を超えるメチル水銀のばく露を受けた可能性がある方というのは、熊本県や鹿児島県におきましては、原因企業からの排出が止まった年末の昭和43年12月31日以前、それから新潟県におきましては昭和40年12月末以前に、対象となる地域に相当期間居住していたということで、この周辺水域の魚介類を多食したと認められる方でございます。そしてこれに加えまして、対象地域に相当期間居住していなかった方でありましても、これらの水域の魚介類を多食した方と認めるのに相当な理由がある方も対象とするということで、対象地域に限らず、それ以外の方も対象とするという考え方を示したものでございます。
 次に6ページでございます。対象となる方の判定方法でございますが、これにつきましては、まず救済措置の広報を徹底いたしまして、この救済措置を受ける必要のある方から確実に申請していただけるように広報に努めると。それから、受け付けの期間については、今後検討の上、定めたいと。
 そして、申請していただいた方には神経内科のある公的病院で検診を受けていただいて、各県が設置する判定委員会の意見を聞きまして対象者を判定するということになっております。この判定の方法ですけれども、公的病院の診断書と申請者が提出する医師の診断書、民間診断書と言われておりますが、これを総合して行うということであります。
 5番目でありますが、認められない方でありましても、ご家族の方に患者となられた方がいらっしゃるなど疫学要件の濃厚な方につきましては、もう一度再検診ができるという、これは患者被害者団体のほうからのご意見を踏まえて、ここに新たに設けたものでございます。
 次に、7ページでありますが、実際の支給内容でありますけれども、これにつきましては、一時金、療養費、療養手当の中、療養費だけは医療費の自己負担分が決まっているところでございますが、一時金や手当の額は今後引き続き検討させていただくということにしております。
 その下のところでございますが、治療を受ける際の交通費負担が大きい、例えば離島等の地域の取り扱いでありますとか、一時金のうち被害者団体を通じて支給するいわゆる団体加算金というものにつきましても今後検討するということにしております。これにつきましても被害者団体のほうからのご意見を踏まえたものでございます。
 次に8ページ目でございます。水俣病被害者手帳でございます。これにつきましては新設される手帳でありますが、一時金の対象となるような程度の感覚障害を有しないまでも、一定の感覚障害を有する方で、こむらがえりなどの水俣病にも見られるさまざまな症状を有する方におきましても、水俣病被害者として安心して治療を受けていただけるようにするという手帳でございます。
 [1]に書いてありますように、これを医療機関で提示しますと医療費の自己負担が不要となる手帳でございます。
 これにつきましては、まず、今、保健手帳を持っておられる方につきましては、救済措置の申請をせずに、この被害者手帳の申請をした場合には、公的病院の診断等による判定を行わずに直ちに被害者手帳を交付するという考え方を示しております。
 そして[3]でありますが、その救済措置の申請をしていただいた方につきましては、公的病院の診断を経て判定を受けていただく必要があるわけでございますが、この手帳は、一番下でありますけれども、水俣病に見られる神経症状を有すると認められる方にも交付することとなっております。
 そして9ページでございます。以上につきましては救済措置の方針等の内容でございますが、それ以外の、将来にわたって水俣病被害者の方々が安心して暮らしていける社会を実現することが重要だということで、水俣病発生地域の医療や福祉、もやい直しや健康調査等を適切に実施するということでございます。
 これらの施策は、地元のニーズを適切に盛り込んだ内容となるよう、引き続きご意見をお伺いしながら、以下のような内容を実施することを検討するということで、まず1点目が医療・福祉でございます。特に高齢化が進んでおります胎児性の患者さんやその家族の方々などが安心して住み慣れた地域で暮らしていけるよう、必要な通所やショートステイ等の在宅支援サービス、また重要な医療との連携のあり方など、医療・福祉施策につきまして検討しつつ、所要の取組を行うということにしております。
 (2)は、もやい直しで、よく言われます偏見や差別の解消や、この問題で疲弊した地域の再生を図るための地域社会の絆の修復や地域の再生・融和についての取組を行うこととしております。
 次の10ページでございます。(3)が健康調査等でございますが、メチル水銀が人の健康に与える影響を把握するための調査研究でございます。特に熊本、鹿児島においては昭和44年以降、新潟におきましては昭和41年以降に出生した方のうち、メチル水銀による汚染を受けたのではないかと心配されておられる方々の健康影響についての継続的な調査研究なども行うこととしております。また、治療に関する研究や効果的な疫学手法の開発などの調査研究を進めることとしております。
 (4)は水俣病総合研究センターで、調査研究や情報発信におきまして中核となるような役割を果たしたいと。
 そして(5)でございますが、水俣市は環境モデル都市でございますけれども、環境学習や環境活動にも取り組みながら、新しい形の地域づくりを進めるというような中身になっています。
 あと、11ページはその他の事項でありますが、原因企業がその責任を確実に果たせるように、関係県の措置についても適切な措置を講ずることとしたいということでございます。
 その他必要な事項があれば、これについて定めるという内容となっておりまして、これにつきましては環境省の提案として公表することとしたものでございまして、これを土台として、引き続き関係者各位のご意見を伺ってまいりたいと考えております。
 昨年の27、28日におきましては副大臣が現地を訪問いたしまして、被害者の方々の医療・福祉の状況でありますとか離島の状況を視察したわけですけれども、これに加えまして、この考え方につきましても各団体の方々にお示しし、ご理解をいただけるようご説明したところでございます。引き続き一日も早い救済の実現に向けまして私どもも最大限努力いたしまして、今年の5月1日の慰霊式にはスタートできるようにということで頑張りたいと思います。
 以上でございます。

○佐藤部会長 では続いて早水課長、どうぞ。

○早水環境安全課長 今日、化学物質の内分泌かく乱作用に関する最近の取組について一部ご紹介したいと思います。
 めくっていただきまして14ページに2つ書いておりますが、日英共同研究についてということと、それからExTEND2005の今後の進め方についてということでございます。
 まず第1点の日英共同研究についてでございますが、15ページ以降の別添の資料をご覧いただきたいと思いますけれども、これは平成11年に開催されましたG8環境大臣会合において合意されたものでして、1度延長したものですけれども、5カ年間にわたり2回にわたって、化学物質の内分泌かく乱作用に関して英国と共同研究してきた事業でございます。毎年、日本と英国と交互にワークショップを開催しておりまして、今年度は日本で開催する番ということで、下にありますように大阪で11月に開催しております。
 今年度がちょうど5年間の延長の最終年度ということでございますので、今回は第2期の共同研究の成果のまとめ的な発表と、それから次期の研究についての検討をしております。
 参加者でございますが、4番にありますように、本部会の委員でもいらっしゃいます井口先生をはじめ日本側から18名、英国側からは環境省と研究者、合わせまして12名が出席しております。
 結果の概要ですが、まず第2期のプロジェクトの成果についての発表をいたしまして、16ページに行きますけれども、大きく4つの分野ですが、排水由来エストロゲン様作用の評価に関する研究、それからイトヨという淡水魚を用いましたアンドロゲン様作用の評価手法の研究、3つ目が魚類の精巣卵の誘導機構に関する研究、それから魚類のエストロゲン受容体の種特異性の調査、4番目が両生類の生態影響評価手法の研究ということで、これはいずれも生物への影響ということで、人の健康影響の方はこの日英の共同研究では取り上げておりません。これらにつきましてこれまでの成果についての発表がなされたということでございます。
 この成果を踏まえまして、次期の研究をどうしたらいいかということについて議論がされまして、16ページの(2)でございますけれども、2010年以降の共同研究については、これまではどちらかというとある特定の分野という形になっていたのですが、もう少し横断的なテーマを設定した方がいいのではないかということで、基礎的な研究から、応用的といいますか、政策への活用というのも視野に入れたような形で展開していってほしいということを行政サイドからも研究者の方々にお願いをいたしまして、テーマを設定していただいたところでございます。
 それで1番目が、これは従来の1番と類似でございますけれども、下水などの処理排水中、それから環境中の主な内分泌かく乱作用を有すると疑われる化学物質及び新たな化学物質の挙動を推定するための研究、並びにそれら化学物質の環境中への排出を低減するための研究ということです。この「新たな化学物質の挙動」というところに、これは英語ではemerging chemicalsという表現をしておりますが、ここに、前回のこの部会でご指摘のありました医薬品あるいは化粧品といった、英語でPPCPと呼んでいるらしいのですが、そういったものの挙動についても研究するということになっております。これは、日本側は京大の田中先生を中心としたグループでございます。
 それから、2番目としては試験法の開発ということで、これも野生生物に関する試験法の開発ということで、魚でありますとか両生類でありますとか、そういったものの試験法をよりきちっとしたものにしていくという研究でございます。
 3番は、これは少し基盤的な研究になりますけれども、水生生物及びその他の生物の生殖、成長への影響を把握するための試験法の中で、さまざまなエンドポイントの評価、遺伝子レベルとか分子生物学的なアプローチといった内容に関する研究ということでございます。
 最終的に4番として、野生生物への環境リスクの解析ということで、特に個体ではなくて個体群レベルで評価していくという方法をまとめていこうというような内容になっております。
 この4点を中心とする研究を今後5年間でやるということで、ワークショップの最後の段階で、両方の環境省の代表者による調印を行っております。調印された合意の内容は、英文と和文で以下のページにお示しているところでございます。
 これが日英の関係でございまして、第2点がExTEND2005の今後の進め方についてということで、めくっていただきまして24ページをお願いいたします。
 化学物質の内分泌かく乱作用については、環境省では1998年に、いわゆるSPEED'98というものを取りまとめまして、調査研究を開始したところでございます。この中では、優先して調査を進めていく必要性の高い物質群ということで物質をリストアップして、それに基づいて調査研究を行ってまいりました。その結果を踏まえまして、2003年から少し内容を変えていこうということで、2005年に「化学物質の内分泌かく乱作用に関する今後の対応方針について-ExTEND2005」というものを取りまとめまして、現在これに従って調査研究を進めております。
 調査研究の分野は、下にありますように、野生生物の観察、環境中濃度の実態把握、基礎研究、影響評価、リスク評価、リスク管理、情報提供とリスクコミュニケーション、7つの柱ということで、一番最後のページに検討の体制と、実際にどんなことをやっているのかというものをお示ししておりますけれども、さまざまな調査研究を進めております。それにあわせて国際協力関連事業もやっているということで、ただいま申し上げました日英の共同研究もこの中に含まれているということでございます。
 それで、24ページに戻っていただきまして、このExTEND2005が2005年にできたわけですけれども、5年を経過いたしましたので、ここで1度、これまで進められてきた研究成果をレビューして、また今後検討が必要な課題について抽出し、今後どのように進めていくかということを検討してはどうかということで、これも昨年11月に開催されました化学物質の内分泌かく乱作用に関する検討会で私どものほうから提案いたしまして、この検討を今後進めるということをご了承いただいたということでございます。
 検討会のメンバーにつきましては、右側の25ページでございますけれども、本部会の委員でいらっしゃいます北野先生に座長をお願いしておりまして、東京大学の遠山先生が座長代理ということでございます。また、佐藤部会長をはじめ何名かの方に、この部会からも参加をいただいているということでございます。
 検討の進め方ですが、24ページに戻っていただきまして、これまで5年間の研究、それから作用・影響評価などの成果を取りまとめるということと、それを踏まえて今後の進め方に関する方針を検討して、重点的に実施すべき課題を抽出していこうということでございます。
 検討の進め方ですが、先ほどの最後のページにありますように、検討会の下に幾つか部会を設けておりますので、その部会の中で、まず分野ごとにこれまでのレビューをしていただいて、今後の課題を抽出していただいた上で、親の検討会でまとめていくという考え方でございます。
 スケジュールといたしましては、年度内に各部会での検討をお願いいたしまして、その結果を年度末に1度この検討会に上げていただいて、その後、二、三度検討会を開催して、今年の6月ごろまでに今後の進め方を取りまとめていただくということを考えております。これは次年度以降の予算に反映させたいという意図でございます。
 こういった形で、化学物質の内分泌かく乱作用に関しまして、これまでのレビューと今後の進め方というのを、これから半年ぐらいかけて検討していくということでございます。
 資料は以上でございますが、あわせまして、今日、参考資料の2と3を配布しております。
 参考資料2は、国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ、いわゆるSAICMと呼んでおりますけれども、この関係のアジア・太平洋地域の第2回目の会合が11月に開催されておりますので、その結果の概要をお配りしております。
 また、次の参考資料3でございますが、これも環境安全課で行っております、実際には委託先で行っているわけですけれども、この春の花粉の総飛散量、それから飛散開始時期の予測につきまして、昨年末に最初の速報ということで予測結果を公表したものをお配りしております。四角の中に簡単にまとめておりますけれども、飛散量は例年並みか少なくなるということですけれども、レベルとしては花粉症を発症し得るレベルということなので、早めに予防対策をしてほしいという考え方でございます。また、飛散時期は例年よりは少し早く、昨年とほぼ同じというような形で、今のところは予測されております。
 1月下旬ごろに最新の気象予報、それから花芽調査の結果が出ますので、それを踏まえまして、再度、より精緻な予測を公表する予定にしております。
 資料は以上でございますが、最後に、前回のこの部会でご指摘のありました熱中症の環境保健マニュアルの配布状況につきまして、前回説明し切れなかった部分がありますので、今日説明いたします。
 前回会議でお配りしましたマニュアルでございますけれども、昨年の夏につきましては、このマニュアルとあわせましてリーフレット、それから携帯用の小さいカードをそれぞれ1万数千部作成いたしまして、各方面に配布しております。
 配布先といたしましては、主に保健所と高齢者施設、学校関係というものを想定いたしまして、保健所に配布するために地方公共団体の保健担当部署に保健所の数だけ送付しております。それから、高齢者施設につきましては中央組織に数千部ずつ送付いたしまして、配っていただくということをお願いしております。
 それから、前回ご指摘のありました学校関係でございますけれども、文科省の協力を得まして、まず都道府県の教育委員会あてに、各市区町村の教育委員会に行き渡る数だけを送付しております。それから、都道府県の私立の学校の主管課、それから附属学校を含む国立大学に送付しております。あわせまして、部数が足りないということもありますので、文科省経由で依頼文を送付して、学校現場へ周知してほしいという依頼をしております。これにつきましては、その依頼文の中で、環境省のホームページにPDF版を掲載して利用していただけるようにしていること、それから、携帯型のカードにつきましては、携帯電話で簡単に最近はダウンロードができるので、そういったことができるようにするということで、これらのURLの情報を各学校へ周知してくださいということをお願いいたしました。
 これによりまして、各学校からもし個別に要望があった場合には、部数のある限り、冊子あるいはリーフレット、カードというのを送付するという体制で行ったところでございます。
 それから、前回の部会で養護教諭に行き渡るようにというご指摘がありましたけれども、部会の後に佐藤部会長からご助言いただきまして、昨年11月に沖縄で開催されました養護教諭が参加する学校保健学会というものがありましたので、そこで周知できるように、学会の事務局の協力もいただいて、リーフレット、それから携帯型カードを数百部お送りして、そこで配布していただけるように手配したところでございます。
 これが昨年夏と秋の取組でございましたけれども、来年度、今年の夏でございますが、これにつきましては、これまでいただいたご意見なども踏まえまして、学校関係者に適切に行き渡りますよう、周知・配布方法について、改めて検討したいと考えております。
 私の方からは以上でございます。

○弥元企画課長 平成22年度の環境保健部の予算の概要が参考資料1でお配りしてありますので、1つだけ、最初のものについて紹介させていただきたいと思います。
 全体としては、「子どもの健康と環境」を始めとした化学物質対策という1本の柱と、それからもう一つ、水俣病等の公害健康被害・石綿健康被害・毒ガス弾等対策という大きな2つの柱で構成されておりますが、その一番最初に紹介してあります、右ページに個票がついておりますけれども、子どもの健康と環境に関する全国調査でございます。大きく予算額が拡大しております。来年度は30億円を超える予算を計上しているという状況にございますけれども、1枚おめくりいただきますと、図などを使いまして説明を書かせていただいております。
 右上のほうにロゴマークみたいなもので「Eco&Child」と書いてありますが、これをさらに縮めまして、我々は「エコチル調査」と呼んでおりますけれども、近年、子ども─特に胎児からですけれども─をめぐる環境の状況が大きく変化してきていて、その影響ではなかろうかと思われるような、例えば先天性の奇形でありますと、ここ25年でほぼ2倍に増加していると。それから、アレルギー疾患でありますと、ここ30年で3倍にも増加しているというようなことで、これはやはり、近年急激に変化した要因である化学物質によるばく露が何がしかの大きな影響を及ぼしているのではなかろうかということで、ほかにも胎児あるいは子どもに対して影響を及ぼす要因というのはいろいろありますけれども、環境省として、環境中の化学物質によるばく露が影響を及ぼしているのではなかろうかということで、日本全国での大規模な疫学調査を行いたいという話でございます。
 目的、目指すところとしましては、右下のほうに書かせていただいておりますけれども、子どもは小さな大人ではないということで、特に胎児から始まりまして、子どもが心も体も成長していく過程でいろんなものの影響を受けますけれども、そういう影響を受けやすい、小児の脆弱性と申しておりますけれども、これを考慮した環境リスク管理を今後しっかり行っていかないと、将来を担う子どもたちの健康が危ないという認識に立った大規模な疫学調査のスタートということでございます。
 これまで2年ほどかけまして準備を行ってまいりました。日本全国で調査を立ち上げるために、さまざまな医療機関などのご協力が得られるように、どういうふうな調査をすれば求める成果、結果が得られるかといったような手法の観点や、調査を実施していく体制づくりを検討してまいりました。来年度から本格実施ということでございますが、国立環境研究所を中心に置きまして、国立環境研究所が研究を実施するという形で、全国の医療機関などにご協力いただく形で進めていきたいというふうに考えております。
 まず最初は、来年度後半にならないとスタートはできないと思っておりますけれども、下の囲みの中に2つ目の箱で書かせていただいておりますが、調査対象者の登録をしていただきたいと思っております。3年ほどかけまして、まず最初は妊婦さんですけれども、全国で約10万人にお願いいたしましてご協力いただきたいと思っております。
 妊婦さんに始まりまして、その生まれたお子さんもそうですけれども、父親の方からも協力をいただきたいと思っておりまして、例えば妊婦さんの血液、それからへその緒の血液とか、父親の血液とか、母乳でありますとか、そういったようなものをいただく形で、10万組のお母さんとお父さんと子どものデータ、生体試料をいただいて、国環研にデータバンク、生体試料のバンクとして蓄積し、その後、数年かけて10万人分を分析します。かつ、お子さんが生まれた後は毎年、半年置きに身体の発達をチェックしたり、精神神経の発達をチェックしたり、アンケート調査を行うといったようなことで、体のみならず心の面も見ていきたいと思っておりますので、13年間ぐらい、生まれる前から始まりますので、小学校6年生、13歳になるまでということで、足かけ13年間ずっと同じお子さんを追いかけていくという大規模なコホート調査を実施したいと考えております。そういったことを行うことによって環境リスク管理体制をつくっていきたいという、その本格実施の1年目、最初の年の来年度の予算として31億円強を計上しているというものでございます。
 ほかのものはまた後でご覧いただければと思います。
 以上です。

○佐藤部会長 ありがとうございました。
 議事次第にはなかったものも含めてお三方からご報告をいただいたわけでございますけれども、何かご質問あるいはご意見等ございますでしょうか。
 崎田委員、どうぞ。

○崎田委員 質問というよりはコメントということで、今、最後に丁寧にご説明いただいたエコチル調査の予算額が非常に増えているということで、厳しい仕分けの中を、これはしっかり評価していただいているというのは大変ありがたいと思っています。これは16年間ということですので継続が大切だと思いますので、スタートの予算だけではなく、継続に関してしっかりと続けていただければありがたいなと思います。
 それと、予算額が急に大きくなったということで、今まであきらめていた管理体制の強化とかいろんなことが強化できると思いますので、その辺をしっかりともう一度再構築というか、基本的な計画を強化して進めていただければありがたいなと思います。
 もう1点だけ、先ほど一番最初の日英共同研究のところで、16ページなんですけれども、今年度の調査に関して、基礎研究から応用研究、政策に生かせるほうまでというようなご提案の中で、[1]に排水処理中のものなども考えて、化学物質の環境中への排出を低減するための研究をするというふうにあります。この辺も大変重要なことだというふうに感じました。
 低減するということに関しては、生産段階や消費者の段階、そして例えば下水処理とかいろんな段階があると思うんですが、実は下水道に関して、今、温暖化対策などの関連から見ても、全国の下水道の設備のアップというか、それが大変遅れているということが、この分野ではかなり問題になっていて、これから新しいものにつくりかえるという計画がどんどんできてくる時期だと思いますので、そういう時期に合わせて適切な情報提供とか連携をしていただいて、より排出削減につながると大変うれしいなというふうに思っております。よろしくお願いいたします。

○佐藤部会長 どうもありがとうございました。ご発言の前半部分は応援のエールで、後半の部分はご要望だったと思います。ありがとうございました。
 では藤井委員、どうぞ。

○藤井委員 水俣関係で伺いたいと思います。
 先ほど室長から、12月27、28日と副大臣が現地にいらしたというお話がありましたが、特措法及びこの方針をいろんな方たちに多分ご説明なさって、お話を伺ったと思うんですが、そこでどのようなお話が出たかを幾つか伺いたいということと、それから、今日たまたま配っていただいた予算案の中の水俣病の経費のところを見ると、この方針案が決定した後の予算ですね、使うという。とすると、そこでどのような意見が出て、この後、予算執行までにどのようなプロセスを考えていらっしゃるかということを含めて伺いたいと思います。
 この予算の中に、先ほど現状の報告、数字、毎回公健法の認定に申請者、それから裁判を含めてたくさんの方たちが出てきているわけですが、毎回申し上げるように、基本的に全体の実像が明らかになっていないために、多分この数字はもっと増えるんだろうと。ここの中に、水俣関連の予算の中に、調査とか、こんなふうな調査をしたいとか、調査手法の開発とか、そういうことが盛られていないことが大変欠けているのではないかという思いがあるんですが、その辺りのところで幾つかお話が伺えたらありがたいです。

○佐藤部会長 それでは、ご質問だったので、椎葉室長。

○椎葉特殊疾病対策室長 27、28日の副大臣の水俣訪問でございますけれども、副大臣のほうは、あちらの福祉施設「ほっとはうす」でありますとか「ほたるの家」だとか、それから離島であります獅子島や御所浦島などにも行きまして、そしてその合い間に各被害者団体に会いました。その被害者団体のほうは、認定を受けられた方々、今回救済を求めておられる方々、訴訟を求めておられる方々、それから保健手帳を今持っておられる方々、さまざまな方に会いまして、さまざまなご意見をお伺いしたところでございます。
 その中で救済措置の方針の考え方を示したところ、これについて評価があるところと、実は中身の中で、一時金や手当の額が引き続き検討ということで、具体的なところが何もないというご批判的な意見や、せっかく副大臣が来てくださって我々の意見・要望がかなり入っていると。例えば地域指定以外のところも入っているとか、それから再検診も入っているとか、離島や団体加算金についても入っているとか、医療・福祉についてはかなり踏み込んでおられるというようなこと。それから被害者手帳につきましても、現在手帳を持っておられる方がそのまま引き続き被害者手帳に移行するといったことなど、そういった前向きな意見もございましたし、逆に具体的なところがないというご批判も受けたところでございます。
 そういったご意見を踏まえまして、これを土台として引き続き関係者の意見を聞きながら、救済措置の方針を定めていきたいと考えております。あたう限りすべて迅速に救済するという考え方でやらせていただきたい。
 あと、実際これにつきまして訴訟をやっている団体とも会いまして、訴訟につきましても和解に向けた事前協議も進めておりますが、そういったものも今後取り組んでいくというところでございます。
 それから予算でございますが、参考資料1の、ページ数は振っていませんが、真ん中辺りの後ろのほうで、水俣病総合対策関係経費で115億9,100万円を計上しておりますが、昨年度から比べますと約1億円の増でございます。この増につきましては、特に2の事業計画の(2)の医療・福祉対策や地域の再生・融和のところの、特に胎児性水俣病に関するさまざまな支援に関する事業について膨らませたところでございます。
 それから、(1)の救済に関係した経費でございますけれども、これは基本的に前年度同でございますが、救済措置というのも、救済措置の中身が、まだ一時金の額とか手当の額が決まっておりませんので、そういった具体的な金額が盛り込めなかったんですが、それで前年度同としておりますけれども、救済措置の方針ができた暁には必要な経費をとりまして、あたう限りすべての方が救済できるように努力していきたいというところでございます。
 それから、調査研究につきましても、別途、この関係経費ではなくてほかの研究経費のところで要求させていただいておりまして、必要な研究ができるように努力していきたいと考えております。
 以上でございます。

○佐藤部会長 それでは、続いて佐々木委員、どうぞ。

○佐々木委員 エコチル調査について大変丁寧に説明していただきましたこと、感謝したいと思っております。また、前回の会合のときの熱中症等々につきましても、追ってお知らせを私どもにいただいたことに関しても大変感謝したいというふうに思っております。
 そこで要望ですけれども、国環研が中心になってやってくださるということですので、心配はないと思いますけれども、今の日本は非常に情報漏れやら何やらありますものですから、その辺りの情報管理がきちっとできるように、これまでと同じように私どもにもお知らせをいただければありがたいと思っております。
 それからもう一つは、私、学校現場にいた人間としてその辺りが大変気になっているところでございますけれども、学校は温度差がありますので、6年生までの子どもを追跡することになるわけでしょうけれども、大変温度差がありますものですから、その辺りも十分配慮していただいて、人任せではなく、時には抽出を見るということも必要だろうというふうに思いますし、そんな要望もお願いできればと思っております。
 さらには、国環研に全部お任せする、学校現場は上から下に来て、そしてそれを現場の教員がするということがほとんどでありまして、それを報告してそれで終わりということが、私の今までの経験で大変あるものですから、そこにいろんな部分のぎくしゃくしたものがありますものですから、今回はそういうことはないだろうというふうに思いますけれども、どんなふうにして調査を進めていくかという情報も、手順ですね、そんなことも私どもに今日のようにお知らせをいただければ大変ありがたいと思っております。よろしくお願いいたします。要望です。

○佐藤部会長 幾つかご要望があったかと思いますけれども、できる限り受け入れていただければというふうに思います。
 ほかに。須藤先生、どうぞ。

○須藤委員 1つだけお願いをさせていただきます。
 最後のご説明の化学物質の内分泌かく乱作用の今後の展開の問題でございますが、水の環境基準は水生生物の環境基準というのをつくっておりまして、もう既に亜鉛が4年前に決まって、現在、類型当てはめしているわけです。次の物質について遅れておりまして、現在、対象物質と目標値ということが検討が進んでいるわけでございますが、その中に内分泌かく乱化学物質も二、三、優先物質の中に入っているわけです。
 そういう中で、従来も多少あったわけですけれども、こちらの化学物質の検討と水の環境基準の検討がちぐはぐになるようなことがあってはいけないし、整合性をとらせたほうがいいし、同じことを同じようにやってもしようがないので、できるだけ効率よくやらせていただいて、こちらでやっていることだったらそのまま水の中に使ってもいいでしょう、水でやっていることはそのまま生かしてもいいでしょうと、こう思いますので、項目を見ますとそんな気が、これは以前からしていたわけでございますが、両方整合性をとらせて進めさせていただきたいと思うし、環境基準になったらかなり重くなるので、先に環境基準を決められてしまったらそちらも困るでしょうから、そういうことはぜひうまい具合に整合性をとらせていただいたほうがよろしいんじゃないかと、こういうふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

○佐藤部会長 ありがとうございました。
 何か課長のほうでご発言ありますか。よろしいですか。ぜひ横の連携もとりながら進めていただきたいと思います。
 ほかにはどなたかご発言ございませんか。
 吉岡先生、どうぞ。

○吉岡委員 水俣病に関して非常に単純な質問をさせていただきたいと思います。
 今回このように系統的といいますか、これまで落ちていたところを全部拾い上げて実行していこう、しかも速やかに、かつ、あたう限りやっていこうということで、私は非常に評価したいと思っております。
 それで、今回の措置によって、これ以上訴訟等は起こらないであろうという予測で行っておられますでしょうかというのが質問です。

○佐藤部会長 では質問でしたので。

○椎葉特殊疾病対策室長 訴訟は実際誰でも起こせることになっておりますけれども、あたう限り今回の救済措置の中で救済したいということで、あたう限りの方が救済されれば結果として訴訟もなくなるのではないかと。現在訴訟を続けておられる方がおられますけれども、そういった方とも向き合って、何とか紛争の解決に向けて努力をしていきたいと考えております。

○佐藤部会長 ぜひそういう方向で進んでいただきたいと思います。
 ほかにご発言は。
 では井内委員、どうぞ。

○井内委員 私、石綿対策に関わっておって、この審議会のメンバーに入れていただいております。それで、今のご説明にはなかったんですが、少し発言をさせてください。
 石綿による健康被害というのは、実は労働者が職業上ばく露されて、いわゆる労災補償という形で補償されていた方の歴史は非常に長いわけでありまして、それに対して環境省が使っておられます一般生活環境下でのばく露の被害者というのは、ここ何年かの間に明らかになってきたという事実があります。
 それで、我々は専門家が少ないものですから、両省の被害者の認定という作業に加わらせていただいているんですが、時として感じるのは、労災で認められる患者さんの判定基準と、一般環境下での被害者の判定基準というのが少しずれている、あるいは診断の方法あるいは救済の仕組みというのがずれているというところに少し違和感を感じる。同じ人間が同じ障害、被害を判定するのに違った基準でやるというのは、なかなか苦しいところがございます。それをいかに整理するかということについて、それぞれの省庁のお立場というのはあるんだろうと思うんですが、ひとしく同じ国民でありますので、厚生労働省の担当部局と環境省の担当部局というのがその辺をすり合わせをしていただいて、我々専門委員の意見をうまく利用していただくというか、そこら辺の仕組みがこれから考えられていかなきゃいけないんじゃないかというふうに常々感じております。
 これは要望でありまして、なかなか難しい、片や大変な長い歴史のある補償制度、片や救済という立場でスタートしたというところがあるのは重々承知の上で、医学的な判断と、それからこういう救済とか補償という制度の少しずれが起こりつつあるというふうに感じますので、ぜひその辺の整理を進めていただければなというふうに常々感じておりますので、ちょっと発言させていただきました。
 以上です。

○佐藤部会長 どうもありがとうございました。
 この部会のメンバーの中でも、井内先生を初め石綿の判定小委員会の先生方が何人かいらっしゃるんですけれども、私なんか、大変な仕事をなさっていただくことに感謝と敬意を申し上げたいと思います。その井内先生からのご要望でなかなか難しいことだと思いますけれども、泉室長のほうから。

○泉石綿健康被害対策室長 今、井内委員のほうからご指摘ございました救済と労災の関係でございますが、おのずと制度の成り立ち、例えば誰がお金を払って何に給付するかといったところが違いますので、さまざまな点で相違が出てくるというのは制度の成り立ちから仕方ないところがございます。しかし、先生が今ご指摘になりましたのは、例えば中皮腫という医学的な診断を確認するという点では同じはずであるのに、求める資料の精度や判断のプロセスに違いがあっておかしいのではないかと、そういったご指摘だろうと思います。
 実務上、いろいろ課題はございますけれども、厚生労働省とも情報交換もしておりまして、また厚生労働省のほうでも、そういった診断をしていくためのシステムについていろいろ検討がなされているというふうに聞いておりますので、今後とも医学的な判断のプロセスを、同じものを見ているはずであれば同じようにしていくということにつきましては、努力をしていきたいと思っております。ご指摘ありがとうございました。

○佐藤部会長 どうもありがとうございました。
 ほかに。よろしゅうございますか。
 いろいろご質問、ご意見をいただいて、かなり難しいものもあったかと思いますけれども、できるだけよい方向に行ければなというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 これ以上ご発言がないようでございましたら、本日の部会はそろそろ閉じたいと思いますが、よろしゅうございますか。
 それでは、今日はどうもありがとうございました。

○弥元企画課長 ありがとうございました。
 次回の日程につきましては、また後日、事務局から調整させていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
 また、本日の議事録につきましては、原案をこちらで作成いたしまして、先生方にご確認いただいた上で、環境省のホームページに掲載するという予定でございますので、これもよろしくお願いいたします。
 それでは、以上で第23回中央環境審議会環境保健部会を終了したいと思います。
 どうもありがとうございました。

午後4時30分閉会