第20回中央環境審議会環境保健部会議事録

1.日時

平成20年7月11日(金)17:00~18:29

2.場所

ホテルフロラシオン青山2F「芙蓉の間」

3.議題

【審議事項】
特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律に基づく第一種指定化学物質及び第二種化学物質の指定の見直しについて(答申)
【報告事項】
<1.化学物質対策>
  1. (1)平成18年度PRTRデータの概要等について
  2. (2)平成20年度第1回ナノ材料環境影響基礎調査検討会の開催について
  3. (3)化学物質環境実態調査の結果等について
  4. (4)化学物質の環境リスク初期評価(第6次とりまとめ)の結果について
  5. (5)化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の施行状況について
  6. (6)Japanチャレンジプログラム中間評価(案)について
  7. (7)化学物質審査及び製造等の規制に関する法律の見直しに係る審議について
<2.公害健康被害対策>
  1. (8)公害健康被害の補償等に関する法律の一部を改正する法律の公布について
<3.水俣病対策>
  1. (9)水俣病対策をめぐる現状について
<4.石綿健康被害対策>
  1. (10)石綿による健康被害の救済に関する法律の一部を改正する法律の公布について
  2. (11)石綿の健康影響に関する各種調査について
<5.その他>
  1. (12)熱中症の予防に関するシンポジウムについて

〈配布資料〉

資料1 中央環境審議会環境保健部会名簿
資料2-1 特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律に基づく第一種指定化学物質及び第二種指定化学物質の指定の見直しについて(答申)(案)
資料2-2 見直し後の化管法対象物質数の概況(案)
資料3 報告事項について
参考資料1 PRTRデータを読み解くための市民ガイドブック~平成18年度集計結果から~
参考資料2 かんたん化学物質ガイド塗装・接着剤と化学物質
参考資料3 熱中症環境保健マニュアル
参考資料4  紫外線環境保健マニュアル

〈議事録〉

午後5時00分開会

○上野調査官 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第20回中央環境審議会環境保健部会を開催いたしたいと思います。
 環境保健部会委員及び臨時委員40名のうち、本日は現在24名のご出席をいただいております。過半数の方が出席されておりますので、本部会は成立しておりますことをご報告申し上げたいと思います。
 それでは、まず最初に今回から新たな委員にご参加いただいておりますので、ご紹介いたしたいと思います。
 社団法人日本化学工業協会環境安全委員会委員長、後藤臨時委員でございます。
 議事に先立ちまして、本日付で当環境省環境保健部長の人事異動がございました。この場をかりまして、新旧の環境保健部長からごあいさつを申し上げたいと思っておったところでございますが、前石塚部長におきましては所用によりまして若干おくれております、後ほど到着した時点で再度ごあいさついただくということにしまして、新任の原部長からごあいさつを申し上げます。

○原環境保健部長 本日付で環境省の環境保健部長を拝命しました原でございます。
 本日は佐藤部会長初め、委員の皆様におかれましては、大変お忙しい中をお集まりいただきましてありがとうございます。また、日ごろから環境保健行政の推進に当たりまして、格別のご理解とご支援をいただいておりますことを重ねて御礼申し上げます。
 私は環境保健部に2000年の4月1日から2002年の8月まで、特殊疾病対策室長として水俣病対策をしていた時期がございました。それ以来、また環境保健部へ戻ってきたわけでございますけれども、いろいろなことというのは2年、3年たつと大きく変わっているというのを感じているところでございますが、今回今日づけで環境保健部長を拝命いたしましたけれども、環境保健行政にかかわるさまざまなことがこの数年の間に大きく変わっていることを感じております。その点につきましても、先生方のいろいろなご指導を賜りたいと思っているところでございます。
 本日は特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律、いわゆる化管法と言われる法律に基づく第一種指定の化学物質並びに第二種指定化学物質の指定の見直しについてご審議を賜りたいと考えているところでございます。
 これまでこの化管法につきましては、中央環境審議会、また産業構造審議会の合同会合を設置して、見直しに係る審議をいただいてきたところでございまして、昨年の8月に中間とりまとめをいただきました。これを踏まえまして、対象物質の見直しについてご審議をいただくために、厚生労働大臣、経済産業大臣、そして環境大臣から各関係審議会に対する諮問を行いました。それで、法制定時の対象物質選定の際と同様に、この3審議会の合同会合による審議をいただいたわけでございまして、本年の6月に報告を取りまとめていただきました。
 合同会合の委員の皆様方には、昨年の10月以来、4回にわたりまして闊達なご議論をいただいたと聞いております。厚く御礼を申し上げます。本日はその合同会合でまとめていただきました答申案につきまして、ご審議を行っていただくこととしております。どうぞよろしくお願いしたいと思います。
 このほか昨今の環境保健行政の主な動向につきまして、関係課室から報告をさせていただく予定でございます。特に石綿救済法については、さきの通常国会におきまして、議員立法で改正法が成立しております。また、化審法につきましても、化学物質環境対策小委員会、また小委員会の中のワーキンググループで現在見直しに係る審議を行っていただいております。これらの案件につきましても、ご報告をしたいと思いますので、さまざまな視点からご意見をいただきたいと考えております。
 以上、簡単でございますが、あいさつにかえさせていただきます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

○上野調査官 それでは、このほか前回1月の当部会以降人事異動がございましたので、ご紹介させていただきたいと思います。
 まず、石綿健康被害対策室長の泉でございます。
 情報分析官の山﨑でございます。
 それから、本日付で異動がございまして、2名ほどかわっております。
 まず、保健業務室長の森口でございます。
 同じく本日付の異動でございます。特殊疾病対策室長の椎葉でございます。
 以上、人事異動のご紹介でございます。
 続きまして、お手元にお配りしました資料の確認をさせていただきたいと思います。
 まず、資料1でございますが、1枚紙、中央環境審議会環境保健部会の名簿でございます。
 資料2-1ということで、本日の答申の案につきまして、とじたものがございます。
 資料2-2、見直し後の化管法対象物質数の概況ということで1枚紙が入っているかと思います。
 資料3、報告事項についてという冊子になったものが入っているかと思います。
 それから、参考資料ということで冊子が4冊、まずPRTRデータを読み解くための市民ガイドブック、それから塗料・接着剤と化学物質、それから熱中症環境保健マニュアル、それから紫外線環境保健マニュアルと4種類の参考資料を入れてございます。
 もし過不足等ございましたら、事務局のほうまでお申し出いただきたいと思います。
 それでは、ここから審議に入らせていただきたいと思いますが、ここからの議事につきましては、部会長にお願いしたいと思います。
 部会長、よろしくお願いいたします。

○佐藤部会長 佐藤でございます。
 この時間帯のごあいさつ、こんにちはと申し上げていいのか、こんばんはと申し上げていいのか、ちょっと迷うところなんですけれども、本日は遅い時間にお集まりいただきましてありがとうございます。こういう時間帯に始まったものですから、スムーズな進行を心がけたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、早速審議事項にかかりたいと思います。
 まず、特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律に基づく第一種指定化学物質及び第二種指定化学物質の指定の見直しについて、これについてご議論、ご審議いただきたいと思います。
 先ほど来、何か部長の話にもありましたけれども、これは昨年の9月28日付で環境大臣から中央環境審議会に諮問されて、その後当部会に付議されました。それを受けて、当部会にPRTR対象物質等専門委員会を設置しております。その後、薬事食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会PRTR対象物質調査会、それから化学物質審議会管理部会との合同会合で専門的な観点からご議論をいただき、先日化管法対象物質見直し合同会合報告書として取りまとめていただいております。
 本日はPRTR対象物質等専門委員会の委員長である内山委員にご出席いただいておりますので、合同会議の審議について、内山委員からご報告をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

○内山委員 PRTR対象物質等専門委員会の委員長を務めさせていただきました内山でございます。
 化管法対象物質見直し合同会合におきましては、ただいまご説明ありましたように、平成19年10月29日から4回にわたりまして審議を行いまして、平成20年6月18日に指定の見直し後の第一種指定化学物質の候補として463物質、第二種指定の化学物質の候補といたしまして100物質を選定した報告を取りまとめたところでございます。
 なお、本報告の取りまとめに当たりましては、平成20年4月28日から5月28日の期間におきまして、パブリックコメントを実施しまして、この結果を踏まえて最終的な報告を取りまとめております。
 本報告の内容につきましては、資料2-1をごらんいただければと思います。詳細につきましては、また後ほど事務局のほうから詳しいご説明をいただくと思いますので、ざっと概要をご説明いたします。
 まず、1ページのところにこのたびの化管法対象物質の見直しについての背景ということで、先ほどお話のありました平成19年8月の化管法対象物質についての合同会合とりまとめにおきまして、見直しを実施すべきとされたことを受けまして、その背景としてのことが書かれております。
 それから、1ページめくっていただきますと、2といたしまして、化管法対象物質見直しの考え方ということでまとめております。ここでは有害性の判断基準、それから特定第一種指定化学物質、それから有害性の情報源、それから環境での存在に関する判断基準、それから物質の選定ということで、大まかなところでの見直しの考え方ということをまとめさせていただきました。
 そして、最後に3といたしまして、4ページ目のところに今後の課題ということでまとめさせていただいております。
 今回は化管法の対象物質として新しく加わりましたものと除外されたものがございますので、その除外の対象になった物質についての今後の課題、それから今回の大きな見直しの一つとしてのGHSとの整合化ということもございましたけれども、それのさらなる今後の整合化を目指すというようなことを書かせていただいております。
 それから、5ページ以降は有害性情報の収集・整理のための情報源、これは収集、あるいは整理のときに用いました情報源を別表1としてお示ししております。
 それから、9ページ以降は第一種の指定化学物質及び特定第一種の指定化学物質の候補リストを別表2として掲げさせていただいております。
 ずっとめくっていただきまして20ページからは、第二種指定化学物質の候補を別表3として載せさせていただいております。
 最後に参考資料といたしまして、対象物質の選定基準の詳細ということで、特に下線が引いてありますところは前回の選定基準の見直し、あるいは追加したところを下線を引いた形でお示しさせていただいております。
 これが見直しに対する報告書の概要でございます。
 このたびの見直しによりまして、化管法の対象となる物質の数につきましては、資料2-2にお示ししてございます。
 ここで現行435物質から矢印がありますように、いろいろ見直しを行った見直しの案として全体で563物質、第一種の指定化学物質候補が463物質、その中で特定第一種指定化学物質候補として15物質、それから第二種指定化学物質候補として100物質ということで、除外候補として85物質が差し引き除外候補として挙げております。
 それぞれの詳細につきましては、事務局からこの後ご説明いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 以上で審議の概要報告を終わらせていただきます。

○佐藤部会長 どうもありがとうございました。
 非常に短期間に精力的に会議を開いていただいて、ご議論いただいた上でおまとめいただいたと思いますので、感謝申し上げたいと思います。
 それでは、事務局からの追加の説明をお願いしたいと思います。

○木村環境安全課長 ただいまPRTR対象物質等専門委員会の内山座長のほうから、化管法対象物質見直し合同会合におきます審議結果の概要のご説明、ご報告がございました。この結果の概要といたしましては、ただいまの座長のご報告ですべて尽きているわけでございますけれども、事務局のほうから若干これまでの経緯や、また専門委員会での論点、また議論内容などを踏まえまして、お手元の答申案について、より詳細な追加ご報告という形で申し上げさせていただきたいと思います。
 資料の説明の前に、この本審議会に関わります化管法について、まず初めにややくどくなるかもしれませんけれども、簡潔にご説明申し上げさせていただきたいと思います。
 皆様ご承知のように、この化管法はPRTRやMSDSといった処置を講じることによりまして、事業者による化学物質の自主的な管理の改善を促進し、環境の保全上の支障を未然に防止することを目的として、平成11年7月に制定、そして翌年の平成12年3月に施行された法律でございます。
 その附則第3条によりまして、施行後7年を経過した場合において、法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な処置を講じることとされているところでございます。
 これを受けまして、先ほど私どもの部長の冒頭のあいさつの中にもございましたように、中央環境審議会と産業構造審議会合同で、昨年の2月から6回にわたりまして審議会を開催いたしまして、化管法の施行状況に関する評価や課題の抽出を行いますとともに、国際的な整合性にも配慮しながら、今後の方向性についての検討を行いまして、昨年の8月に中間とりまとめといった形で取りまとめを行っていただいたところでございます。
 その中間とりまとめの中で、化管法によります制度自体は定着が図られてきているとはいうものの、施行後の社会動向の変化を踏まえまして、対象物質の見直しや対象業種の拡大、また届出事項の追加や個別情報の開示請求方式の国による公表方式への変更などといったPRTRデータの多面的利用の促進という、こういった制度の見直しと運用の改善に向けた提言を多々いただいたところでございます。
 これらの提言は法律改正を伴いますものから、省令改正で済むようなものまで、様々なレベルのものがあるわけでございますけれども、とりわけ対象物質の見直しにつきましては、平成11年の化管法制定時にも審議会において、対象物質の選定についてご審議をいただいたこともございまして、今回も同様にということで、昨年の9月、中央環境審議会に諮問をさせていただきまして、18回環境保健部会において、化管法における指定化学物質の見直しについてのご審議を賜ったところでございます。
 しかしながら、これらにつきましては、かなり専門的な事項が含まれているということでございましたので、新たにこのための専門委員会を設置して、検討することとされたところでございます。
 これを受けまして、先ほど部会長のほうからご発言がございましたように、部会の下に内山委員を座長としますPRTR対象物質等専門委員会が設置されまして、他の関係省庁の審議と合同で、昨年の10月以来4度にわたりまして審議をしていただいたところでございます。そして、今般パブリックコメントなども踏まえまして、答申案がまとまりましたことから、本日この答申に係る審議事項とさせていただいているところでございます。
 これまでの経緯につきましては、以上でございます。
 それでは、次に答申案の内容について若干補足説明をさせていただきたいと思います。
 先ほどの資料2-1を御覧いただきたいと思います。
 この答申案の構成といたしましては、大きく分けまして1.背景、2.化管法対象物質見直しの考え方、そして最後に3.今後の課題という3つの章立てで構成されているところでございます。
 まず、1ページ目でございますけれども、この1.背景のところにおきましては、化管法における現行の指定化学物質の法的な選定基準と指定化学物質の数、また昨年8月の関係審議会において取りまとめられました中間とりまとめにおきます指摘事項を記載しているところでございます。
 具体的には、化管法における現行の指定化学物質は平成12年の審議会答申でルール化されました物質選定基準に基づいて選定されておるわけでございますけれども、その具体的な選定基準につきましては、その枠内に記載されておりますように、化管法の指定化学物質にはPRTR及びMSDSの両方の対象となります第一種指定化学物質、またMSDSのみ対象となる第二種指定化学物質の2種類がございまして、この第一種指定化学物質におきましては、[1]から[3]のどれかに記載された人、または動植物に相応の有害性がある物質であって、かつ[4]に記載された一定の暴露性を有する物質を指定しているということ。また、第一種指定化学物質におきましても、[1]から[3]に記載された物質であるというところは同様でございますが、[4]'のように、[4]よりは暴露性がやや少ないものの、暴露の可能性が高いものについて指定する形となっているということ。そして、その結果、現行では先ほど内山座長のほうからご報告がございましたように、第一種指定化学物質が354物質、うち特に発がん性の高い第一種指定化学物質が12、また第二種指定化学物質が81と、それぞれ指定されている現状が記載されてございます。
 そして、昨年8月の関係審議会の化管法の見直しに係る中間とりまとめにおきまして、ご提言いただいた内容について、2ページ目の枠組みのほうに記載させていただいてございますけれども、この中で化学物質の製造、輸入、使用の実態は常に変動しており、また有害性などに対する新たな知見も得られてきておりますことから、法施行後の製造や輸入動向、また一般環境中での検出状況や新たな有害性の知見、また5カ年間のPRTR制度に基づく各物質の届出や推計状況、そしてまた環境リスク評価の結果などを考慮して、物質選定の見直しを実施すべきこと。また、化学物質をめぐる世界的な動きでありますGHSとの整合化を目指し、特に特定第一種指定化学物質については、このGHSとの整合化を目指すべきかと。そして、将来必要に応じて指定化学物質の見直しを行うべきことであるなどの観点を踏まえまして、見直しが図られるべきであるという提言が記載されております。
 そして、次に2.の化管法対象物質見直しの考え方のところでございますけれども、今申し上げました背景を踏まえて見直しを進めること、そしてその際の基本的な考え方として、現行の指定化学物質の選定基準を尊重しつつ、化学物質の有害性に関する新たな知見やGHSに関する国連の勧告など、PRTR制度の運用開始後の国内外の状況変化を踏まえ、有害性、暴露、それぞれの観点から必要に応じた見直しをするという基本的な考え方に立って、見直しを行うことということで、専門委員会での合意がなされたところとなってございます。
 そして、具体的には有害性の判断基準といたしましては、その中段から下段にかけて記載してございますように、評価手法の確立やデータ蓄積の観点から、有害性の判断に係る項目として現行の9つの項目を踏襲すること、しかしながら次の3ページの冒頭に記載されておりますように、特定第一種指定化学物質におきましては、有害性に対応した管理を強化していることにかんがみまして、国際的な流れであるGHSの判断に従って、エンドポイントを従来の発がん性からそれに加え、生殖細胞変異原性や生殖発生毒性を加えたということ、また次の有害性の情報源のところにおきましては、最新の科学的知見を踏まえた情報源に更新することといたしまして、具体的には5ページから8ページわたってお示ししている情報源を用いて対応するということで、具体的には前回の答申において用いられました情報源に加えまして、関係3省庁で行ったGHS危険有害性分類事業におきます情報源の中から特に試験条件等の信頼性を確認できるものを優先的に用いるなどのルール化をしているところでございます。
 また、次に環境での存在に関する判断基準といたしましては、化管法施行後5カ年のPRTR届出排出・移動量や届出外排出量の実績を見た場合に、PRTR対象物質のうち、届出の量がゼロで実績のないものが全体の6.2%、届出外移動量も実績がないものが全体の2.8%と例外的な物質を除きまして、環境中への排出実態があるということが明らかになったことから、環境中での存在に関する判断基準としては、現行の基準を引き続き採用することに妥当性があるとの結論になったところでございます。
 また、次の4ページの上段のほうに記載されておりますように、現行の第一種指定化学物質につきましては、環境での存在に関する情報として、製造・輸入量や一般環境中での検出に加えまして、PRTRに基づく排出・移動実績についても考慮することも場合によっては必要で、またその場合には初期リスク評価などにおけるリスクの懸念などを踏まえまして、最終的に第一種指定化学物質として残すこととされたところでございます。
 このような具体的な考えに基づきまして、有害性の判断基準と環境での存在に関する判断基準をともに満たす物質を新たな化管法の対象物質として選定することが適当であるという専門委員会の結論となったところでございまして、具体的には別表2、3として9ページから22ページまで、個別の物質を列挙させていただいているところでございます。
 なお、これらの物質につきましては、類似の構造や毒性を有することから、物質分として扱うことが適当な化学物質につきましては、物質分として指定しますことや元素自体に毒性があり、その化合物も元素と同様の毒性があると評価される物質におきましては、原則として当該元素及びそれを含む化合物全体を対象として、また元素とその化合物が異なる毒性を示す場合には、両者を区別してそれぞれ取り扱うことが適当であるということで、そのような取り扱いをしているところでございます。
 そして、4ページの最後の3.の今後の課題でございますけれども、今回化管法の対象から除外されます現行対象物質のうち、環境での存在にかかる判断基準を満たさなくなったものにつきましても、有害性の観点から引き続き注意を要する物質ということでございますので、また除外に伴う製造量などの増加の可能性もありますことから、これらにつきましては引き続き製造・輸入状況の把握や一般環境中での存在の監視に努める必要があるというようなこと、またこのような物質につきましては、事業者による自主的な取組として今後ともMSDSの提供を継続することが望まれるとしているところでございます。
 さらに、次回の見直しの際には初期リスク評価結果の一層の活用やGHSとのより一層の整合化、また付随的生成物の選定に向けた排出量把握方法の確立などの課題についても取り組んでいく必要があるとの認識が示された形となっているところでございます。
 以上が答申案の内容でございますけれども、できる限り選定基準の透明化を図るために、巻末のほうに選定基準の詳細を記載した資料を参考資料として添付しているところでございます。
 それでは、次の資料2-2をごらんいただきたいと思います。
 先ほど内山座長のほうからもご報告ございましたけれども、先ほどのルールに基づきまして見直しを図った対象物質の現行と見直し案の比較でございます。
 一番左が現行の物質数を示してございます。第一種が354物質、うち特定第一種が12物質、第二種が81物質ということで、全体で435物質、これを先ほどのルールに従いまして作業をしますと、その左から右への矢印というような形に分かれてまいります。
 また、一方右のほうに記載してございますように、各種法令や調査結果などから選定しました候補物質のうちで有害性や暴露情報が化管法の現行の物質選定基準に合致しました218物質を同様のルールに従いまして分類をいたしますと、その図にございますように、今度は右から左への矢印というような形で分かれてまいります。
 したがいまして、これらを統合いたしますと、真中の枠に記載してございますように第一種が463物質、うち特定第一種が15物質、第二種が100物質、全体で563物質ということになるところでございます。
 一方、その真ん中の下のところにもありますように、現行の枠からは85物質が今般除外物質として外れる形となります。これらの物質につきましては、先ほどの資料2-1の3.の今後の課題のところでもご説明申し上げさせていただきましたように、引き続き製造・輸入状況の把握や一般環境中での存在の監視に努めますとともに、事業者による自主的な取組として、今後ともMSDSの提供を継続することが望まれるのではないかというふうに考えているところでございます。
 以上が答申案の全体概要でございますけれども、この案ができるまでにはパブリックコメントも実施いたしまして、25団体・個人から述べ50件のご意見が寄せられております。これらにつきましても、専門委員会のほうで逐次ご検討いただきまして、その上で取りまとめましたのが今回の答申案ということでございますので、事務局といたしましては、この案をそのまま答申案として提出させていただいているところでございます。
 答申案の資料に関連しましての補足説明につきましては、以上でございます。

○佐藤部会長 どうもありがとうございました。
 詳細なご説明をいただきました。
 それでは、今案の取り扱いというか、そういう話が出ましたけれども、この件に関してご質問があれば。
 浅野先生、どうぞ。

○浅野委員 内山委員長を初め、こんな厄介な仕事を短期間でしてくださった委員の先生方に心からお礼を申し上げます。
 あと私もこのPRTRをつくる最初のパイロット事業のときに4,000のリストを見せられて、この中から必要なものを探すんだと言われて、「私は法律専門家だからわからない」と言ったら、「うるさい、やれ」と言われたので、30分意地になって一生懸命見たことがあるんですが、本当に大変な仕事であることはよくわかります。
 それで、内容的にはこれでよろしいんじゃないかと思います。
 それから、パブコメについても今ご説明がありましたので、50のご意見があって、それも委員会で十分にご審議があったということでありますから、了解できました。できればどんな内容かということを通常他の部会では表にして配って、内容は明らかにするということをやっていますので、この部会も多少専門性があるといっても、どういう意見があったのかというようなことをなされることは、今後なさったほうがいいんじゃないかと思います。
 1点だけちょっと気になる点がございましたので、ご質問申し上げるんですが、今後の課題のところで書いてあることはよくわかるわけです。除外の幾つかの判断基準があって、現在では暴露が少ないというようなものについては、ハザードの点ではまだ問題がないわけじゃないんだけれども、暴露の可能性が少ないので、全体としてのリスクがないから外すというものがあると。これは将来的にふえた場合にはまた問題が起こるということなので、これについて事業者による実質的な取組がぜひ必要である。全くそのとおりだと思うわけですが、何がその除外物質に当たるのかということが直接の関係者には十分わかっているんだろうと思いますし、事業者の方もわかっていらっしゃるんだろうと思いますけれども、新規参入者みたいな人もいるかもしれませんから、できればそういうものはちゃんと物質名をここに挙げておいたほうがいいんじゃないかという気がするんですね。
 それで、やや煩瑣かもしれませんが、後に質問に答えてという形で議事録にでもせめてとどめておいていただければという気がいたします。これはお願いでございます。
 以上です。

○佐藤部会長 では、ご質問というかお願いで、どうぞ、事務局のほう。

○木村環境安全課長 まさに浅野委員ご指摘のとおりでございまして、今後外すような物質について具体的に周知徹底というようなことを図っていく必要がございます。したがいまして、私どもこの答申をもしご承諾いただけましたら、今後は政令改正等の法律作業というのに入っていくわけですけれども、その過程の中で周知期間というのも十分配慮させていただきながら、関係事業者初め、関係の方々にしっかりとその内容について示していくような、そういう工夫をぜひさせていただきたいなと思ってございます。

○佐藤部会長 浅野委員、よろしゅうございますか。
 ありがとうございました。
 ほかに。
 大塚委員、どうぞ。

○大塚委員 浅野先生がおっしゃったことと若干関係しますけれども、先ほど課長がお話しになったところでも出ていましたけれども、今回この除外物質が85物質出ていて、新しくこれをまた使うということが将来的に出てくるかもしれないということを考えますと、また近い将来というか、大変な作業なんですけれども、見直しをしていただく必要が出てくるんじゃないかと思います。それが3年なのか、5年なのかというのもよくわかりませんが、リスクのことを考えながら、実際にどういう物質が使われているかということを考えながら、化管法の対象物質というのは選んでいく必要があるということもございますので、それについてはぜひ引き続きご検討いただきたいと思います。
 以上でございます。

○佐藤部会長 ありがとうございました。
 では、何か。

○木村環境安全課長 おっしゃるとおり、社会情勢によって使われる化学物質というのは非常に変わってまいります。したがいまして、私どもも適宜この対象物質については見直しという作業をやっていかなきゃならないというふうに考えてございます。今後の社会情勢の状況を見ながら、引き続きこのような検討作業は粛々とやらせていただきたいというふうに考えているところでございます。

○佐藤部会長 本当に社会情勢が変わっていけばいろいろなものが変わっていくと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
 ほかに。
 どうぞ、酒井委員。

○酒井伸一委員 一番最後の行で、「付随的生成物の選定」云々という指摘があるんですけれども、この「付随的生成物」という言葉の定義と具体的にこれはどういう物質が検討されたのか、ちょっとご紹介いただければ幸いです。

○佐藤部会長 どうぞ。

○木村環境安全課長 この付随的生成物と申しますのは、非意図的に生成される物質ということでございますが、例えば例を挙げればベンゾピレンとか、そのようなものもございますけれども、このようなものについては、把握が技術的に非常に難しい部分もございます。したがって、ここの今後の課題というところでこのような把握方法の確立ということをしっかりと全面にとらえながら、今後精度がある程度以上向上してくれば、将来はこういうような物質もこの中でしっかりと入れていく、そんな方向で考えるという、目出しという形で書かさせていただいている、そんな状況でございます。

○佐藤部会長 よろしゅうございますか。
 ほかにどなたかご質問、特にこれ以上ございませんか。
 もしないようでありましたら、この報告を認めていただいたというふうにしたいと思います。

○後藤委員 ちょっとお願い、よろしいですか。
 対象物質の審議につきましては、関係するステークホルダーからの意見はよく反映していただいて、それについては感謝を申し上げます。また、これまでの私たちの実習活動も全般的に評価していただき、ありがとうございます。今回のように、対象物質がふえても、引き続き積極的に取り組んでいきたいというふうに思っています。
 私からは、対象物質云々ということではなくて、今後についてのお願いを2つ申し上げたいと思います。
 1つは、今回の物質見直し答申を受けて、政令が出ればすぐにMSDSの改定、見直し作業に入るわけですけれども、政令告示内容につきましては、実務上、あるいは事務作業上で支障が出ないような記載内容のあり方などをお願いしたいというふうに思います。
 それから、2つ目にMSDSの利用者への周知徹底につきましては、製品の流れが非常に長い製品が今回の対象物質の中に入っているということもわかっておりますので、したがって周知徹底に相当数の労力がかさむということも考慮して、化管法の届出実施時期につきましては、十分な時間的配慮をお願いしたいということでございます。
 以上でございます。

○佐藤部会長 事務局のほうで。

○木村環境安全課長 できるだけ配慮をするような方向で対応させていただきたいと思います。

○佐藤部会長 よろしゅうございますか。
 それでは、この報告を原案どおりにお認めいただいたということで、環境保健部会から鈴木会長に報告し、鈴木会長から鴨下環境大臣に答申するように手続を進めさせていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。
 ここで石塚前部長がおいでなんですけれども、先ほどちょっとごあいさついただけなかったので、審議の間ですけれども、ごあいさつをお願いしたいと思います。

○石塚前環境保健部長 おくれて参りまして恐縮でございます。
 本日付で原新部長にバトンタッチいたすこととなりました。10カ月という大変短い間でございましたが、本当に先生方にはお世話になった次第でございます。私のほうは本日付で厚生労働省のほうへ戻りまして、食品安全部長というのをやることになっております。BSEとか毒ギョーザのほうとかありますが、環境ホルモンの特にビスフェノールAという哺乳瓶対策なんかもやっておりまして、つい先ごろ食品安全調査会のほうに諮問したということでございまして、何かとまたこちらの環境保健部会ともつながりのあるテーマも課題として幾つか抱えているのではないかと思います。またその節はよろしくお願いいたします。
 思い起こしますと、本当に10カ月という短期でございましたけれども、公健法改正、自動車重量税の引き当て措置でございますとか、これも国会のほうで本当に与野党ねじれ現象ということがあって、大変苦労しましたけれども、何とかこれも延長が10年間認められたということでございます。
 また、全く予想外で、急遽石綿救済法の改正ということになりまして、これは本当にこの環境保健部会の先生方にお諮りすることもなく、議員立法という形で法律が改正されてしまいまして、今日恐らく報告が事後報告ということになってしまって大変恐縮でございます。心苦しいところでございますが、恐らく報告がなされるんじゃないかというふうに考えております。
 この環境保健をめぐるテーマというものは、国民生活の安心・安全ということにだんだん重要性を増している、今後も大変比重が高くなっていくテーマであるというふうに考えております。それだけにこの部会の先生方の使命といいますか、負っていただく役割というものもその重要性がますます増していくんじゃないかというふうに考える次第でございます。今後とも引き続き国民生活の向上のために、ぜひとも貴重なご意見をいただき、事務方をご指導、ご鞭撻いただきたいというふうにお願い申し上げまして、離任のあいさつにかえさせていただきます。本当にありがとうございました。

○佐藤部会長 どうもありがとうございました。
 10カ月という短い時間だったのかなというふうに、私は今思い出しております。食品安全部長というまたこれはBSEにしても、それから北京オリンピックのせいで何だか忘れてきちゃったようですけれども、ギョーザ事件とか、環境保健とはまた違う意味での国民の安全・安心にかかわるお仕事で、また激務だと思いますけれども、ぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。どうもありがとうございました。
 それでは、引き続きまして報告事項に移りたいと思います。
 報告事項はたくさんございますけれども、時間の関係もございまして、1から12について事務局からまとめて報告いただきたいと思います。
 では、よろしくお願いいたします。

○木村環境安全課長 それでは、まず化学物質対策関係でございます。
 (1)としまして、平成18年度PRTRデータの概要等についてでございます。お手元の資料3の1ページ目をお開きいただきたいと思います。
 平成18年度のPRTRデータが出てまいりました。これで先ほどのこの制度ができまして、第6回目の集計という形になります。
 その概要でございますけれども、お手元の資料の真ん中より下にも記載させていただいておりますように、届出事業所数が4万980事業所ということで、前年度に比べまして約200の事業所がふえており、微増の傾向でございます。それに対しまして、届出排出量が24万5,000トン、それから届出移動量が22万5,000トンとそれぞれ排出量、移動量ともに前年よりも少なくなっているという状況でございます。
 また、その次のページを見ていただければと思いますけれども、届出外の排出量につきましても31万5,000トンということで、前年度に比べて減少という傾向ということで、法律本来の趣旨である有害な化学物質の低減に努めていくという企業の努力というものが少しずつ着実に実ってきているというふうに感じているところでございます。
 それでは、次に2つ目の報告事項としましてナノ材料環境影響基礎調査検討会についてでございます。
 お手元の次のところをめくっていただければと思いますけれども、これにつきましてはこのナノ材料と申しまして、フラーレン用の化合物ですとか、あるいはカーボンナノチューブ、また金属、あるいは金属化合物などの超微粒子など、特異な物理的形状を有する新しい機能素材というものが最近技術革新とともに開発が進んでいるところでございます。
 このような開発が非常に進んでいるわけでございますけれども、一方、環境や生体中の動向に対する知見、すなわち生体や環境への影響といったものについては、その知見が著しく不足しているという状況下にございます。
 今般、国内にありましても、厚生労働省におきましては、労働安全衛生の立場、また酸化チタンなどの化粧品等による健康被害の有無のような観点というようなところで、検討会を立ち上げてございますけれども、そもそもこのような動きはOECD、あるいはISOといった、そのような国際機関においても、健康影響、環境影響といったものに対する検討がされてきている、そういう状況にかんがみまして、私ども環境省におきましても、環境中における、また環境や生体中の動向に関する知見というものに対する検討会という形で、今般基礎調査検討会を立ち上げさせていただいたところでございます。
 この目指すところは、今後の検討の中で環境保全ガイドラインのようなものができ得ないかということで、検討会を開催させていただいているところでございますけれども、あわせましてどういったところを重点的に研究していく必要があるかといった研究の方向性などもあわせまして、この検討会でご提言をいただければというふうに考えているところでございます。
 今後、全部合わせて4回ぐらいの検討会を考えているところでございますけれども、できれば来年の1月ぐらいにはそのまとめに入っていければというふうに考えているところでございます。
 次に、3点目、化学物質環境実態調査の結果、進捗状況等についてのご報告を申し上げます。
 これにつきましては、私どもいわゆるエコ調査と呼んでいるもので、非常に歴史が長い調査でございますけれども、今般平成18年度の結果がまとまりました。また、19年度の調査に取りかかっております。そのご報告ということでございます。18年度、初期環境調査、56物質(群)を調査しまして、そこに記載されているような水質13物質(群)等以下のものを検出してございます。また、詳細環境調査におきましては、38物質(群)を調査しまして、水質11物質などを検出してございます。そして、モニタリング、これは定期的に調べる調査でございますけれども、18物質(群)を調査しまして、水質10物質(群)、底質10物質(群)等を検出しているところでございます。
 また、19年度につきましては、それぞれ初期環境調査を29物質(群)、また詳細環境調査を25物質(群)、それからモニタリング調査を18物質(群)を調査するという形で現在やっているところでございます。
 それから、次に化学物質の環境リスク初期評価(第6次とりまとめ)の結果についてでございます。
 この化学物質の環境リスク初期評価と申しますのは、化学物質による環境汚染を通じて人の健康や生態系に好ましくない影響を与えることを未然に防止するために、実施しているものでございまして、これについて検討する委員会は中央環境審議会の別の化学物質評価専門委員会の下に設置されています。この委員会において、審議して取りまとめられているものでございますけれども、今般、人の健康へのリスク評価、また生態リスク評価、両方を評価した物質が21物質、そして生態リスク評価のみの物質が11物質、それぞれなされてございます。そして、その結果、6物質が詳細な評価を行う候補という形で評価されたということでございますので、今後これらの物質につきましては、関係のそれぞれの法律等、また関係の施策をしているところと連携いたしまして、より詳細な評価なども含めた対応を考えていきたいというふうに考えているところでございます。

○戸田化学物質審査室長 続きまして、化学物質審査室でございますけれども、(5)から(7)までをまとめてご説明させていただきます。
 まず、(5)の化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律、化審法の施行状況、12ページでございますけれども、化審法の施行につきましては、特に監視化学物質の判定などにつきまして、中央環境審議会等の審議会の意見を聞くということになっておりまして、中央環境審議会におきましては、環境保健部会の下に化学物質審査小委員会を設けていただきまして、年に大体10回ペースで開催をしております。前回の部会以降は4回、第76回から第79回審査小委員会が開催されておりまして、延べ194件の新規化学物質について審議をいただいております。その数については、表にあるとおりでございます。
 また、次のページ、13ページにはこれまでの審議物質数が書いてございます。このような状況でございます。
 13ページにございますJapanチャレンジプログラムにつきましては、これは次の15ページ以降でご説明いたしますので、ここでは割愛させていただきまして、次の中間物等の特例に係る事前確認・事後監視の状況ということでございまして、中間物や閉鎖系等用途、輸出専用品といったものにつきましては、環境に影響を与えないということの事前確認を受けることによって、製造・輸入ができるという制度になっておりまして、平成19年度は225件の事前確認を実施しました。
 また、こういった事前確認が実際に環境に影響を与えていないということを確認するために、立入検査をしておりまして、平成19年度は28件、平成20年度は今年の6月末までの段階で11件の立入検査をしているという状況でございます。
 3.の規制対象物質の指定状況ということでございますけれども、前回の部会以降、3月21日に新たな告示を行いまして、第二種監視化学物質33物質、第三種監視化学物質54物質の新規指定をしてございます。
 続きまして、Japanチャレンジプログラムの中間評価ということでございます。
 Japanチャレンジプログラムといいますのは、これは官民連携既存化学物質安全性情報収集・発信プログラムというものでございまして、平成17年度から開始したものでございます。これまで国のみで既存化学物質の安全性の試験等を行ってきたわけでございますけれども、今後は事業者の方々にご協力をいただいて、進める必要があるということで、産業界の自主的な協力を得まして進めてきたものでございます。これが平成17年度に開始されたときに、平成20年の春以降に中間評価を行うということになっておりまして、この中間評価につきまして、Japanチャレンジプログラム推進委員会という外部専門家を入れた組織で中間評価(案)が作成されたということで、先日、その中間評価(案)のパブリックコメントを開始したところでございます。
 その状況でございますけれども、我が国で1,000トン以上製造、または輸入されている優先情報収集対象物質645物質のうち、海外で情報収集の対象になっていない126物質を対象としております。この126物質の中で89物質、さらにこれに加えて対象外の3物質についてスポンサーの協力が得られております。16ページの冒頭にございますけれども、「本プログラムは全体として適切な枠組みであった」というふうに評価されておりますけれども、その前の段階で「当初の提案よりも遅れが見られるものの」ということで、当初の予定では平成20年度末までにほとんどの物質について情報収集を終えるということが当初の目的であったことから、これはなかなか予定どおりにはいかなかったというふうな評価がされております。
 今後の進め方でございますけれども、16ページの(3)に書いてございますように、スポンサーの獲得については、今後とも努力するということと、4番目の丸にありますけれども、こういったプログラムにより得られた安全性情報を用いて、国において有害性評価を実施していくということと、スポンサー企業に対しては遅くとも平成23年度中に安全性情報を提出していただくことにしております。来年4月以降の取組につきましては、今後の化学物質審査規制法、化審法の見直しの動向を踏まえつつ、検討をするということにしておりまして、その化審法の見直しの状況につきましてご報告したのが(7)、17ページ以降でございます。
 化審法の見直しにつきましては、前回の部会におきましても化学物質環境対策小委員会における検討の開始についてご説明をさせていただいたところでございます。
 背景のところにございますように、世界的な目標として2020年までに化学物質の影響を最小化させるという目標がございまして、内外において大きな動きが見られます。例えば、欧州における新たな化学物質規制であるREACHといったようなものがございます。こういった動きが見られる中で、第3段落でございますけれども、平成18年11月に今後の化学物質環境対策のあり方について諮問がなされました。その一環として化管法の見直しにつきましては、先ほど木村課長からご説明がありましたように、昨年の8月にその中間答申が取りまとめられたというところでございます。化審法につきましては、今年の1月に厚生科学審議会及び産業構造審議会との合同委員会を設けて審議を開始したところでございます。
 その合同委員会の下に化審法の見直しの課題や対策オプション、論点といったようなものを整理するために、さらにそのワーキンググループを設置しまして、これまで4回、会合を開催いただきました。第4回、最後のワーキンググループが昨日開催されまして、そこに今後の化学物質管理のあり方の論点として出させていただいたものが別添1の19ページになりますけれども、今後の化学物質のあり方の特に化審法の見直しにつきましての論点ということでございます。
 (1)といたしまして、先ほど申し上げました2020年目標というものが基本となるだろうということ。(2)として、段階的なリスク評価体系の構築というのが化審法の見直しの課題であるということで、この(2)の第2段落で現行の化審法では、まずハザードの観点から監視化学物質を指定するということになっております。この現行の仕組みは、23ページにその図がございますけれども、ハザードによって新規化学物質につきまして、また既存化学物質につきましても、その物質固有の有害性を持って第二種監視化学物質、第三種監視化学物質というものを指定して、これをリスク評価を経て第二種特定化学物質に指定するという仕組みになっております。これをどういうふうに改めるかということでありまして、19ページに戻っていただきまして、(2)の第4段落の「そこで」というところからですけれども、そこでまずは一定数量を超えて上市されているすべての化学物質について製造・輸入数量と用途情報を把握して、環境へのばく露とハザードに関する既知見等を踏まえて評価を行って、優先評価化学物質といったものをアイデンティファイしていくということでどうかということで、その辺のスキームが22ページの図で示してあるようなものでございます。こういった優先評価化学物質というものを既存化学物質についても、また新規化学物質についても基本とすべきではないかというふうな論点メモを提出いたしました。
 20ページ、(3)でございますけれども、こういった段階的リスク評価体系における情報収集のあり方ということで、第2段落にございますように、いろいろな既存の知見、または分子構造等から毒性を予測するようなアプローチを使いまして、まずは一時的なスクリーニングを行います。こういった評価でリスクが十分に低いと判断できないものが優先評価化学物質ということで、こういったものについては20ページの最後の段落にございますけれども、一定の法的な関与のもとで有害性情報、用途情報等の収集を進めるということで、まずはすべての化学物質について製造量等の情報を収集し、その中で優先的なものについて有害性やさらなる詳しい用途情報を提出いただくというふうなスキームを提案したところでございます。
 (4)といたしまして、リスクが高いと評価された化学物質については、第一種特定化学物質、または第二種特定化学物質というものに指定して、管理をしていくということ。また、(5)といたしまして、リスクに関する情報の公開と継続的な評価・管理の実施ということで、化学物質を使用する事業者や消費者への情報提供、またデータベース等による有害性情報の提供といったようなものを積極的に行う必要があるのではないかというふうな論点メモを提出させていただいたところでございます。
 昨日の議論におきましては、大体こういったスキームで今後見直すべきではないかという一定のご理解をいただいたものと考えておりますので、今後8月28日開催予定の化学物質環境対策小委員会と他の2審議会との合同会合において、さらに詳細にご議論いただきたいというふうに考えているところでございます。
 化審室からは以上でございます。

○佐藤部会長 続いてどうぞ。

○上野調査官 続きまして、公害健康被害対策についてご説明したいと思います。
 資料28ページでございます。
 公害検討被害の補償等に関する法律の一部を改正する法律の概要ということで、資料が1枚載っております。
 ご案内のとおり、公害健康被害補償法の、被認定患者のうち大気系の患者さんが現在4万6,000人ほどいらっしゃいますが、この方に対して自治体を通じて補償を行っております。その費用につきましては、工場等から汚染負荷料賦課金として8割、それから自動車分ということで2割、これが自動車重量税からの引き当てをしているということで仕組みが成り立っておるわけでございますが、この当部会で本年1月23日、この自動車部分につきましてご議論いただきまして、その際に平成20年度以降も引き続き自動車重量税収の一部を引き当てる方式によることが適当であると判断されるという結論をいただいたわけでございます。これをもとにしまして、時限で平成19年度までの引き当て措置だったところを延長するべく、法案を国会に提出いたしました。
 この提出いたしましたが、今般の国会はご案内のとおり道路特定財源の関係がかなりもめたというような話もございます。それから、ねじれといったことがあったということで、この法案は3月31日までの成立を目指して、国会で審議していただくべくお願いしたところでございますが、若干のおくれが生じまして、結果的には3月25日に衆議院を通過した後、4月9日に参議院を通過して、4月16日に公布施行されたというような形ではございます。しかしながら、患者さんに対する補償につきまして、特段の支障は現在のところ生じておらないというような形になっております。
 それから、28ページ右下の四角にありますとおり、従来は最長でも5年の時限で延長をお願いしておったところですが、今回は平成20年度から10年間の延長ということで、この引き当て措置の延長をお願いしておりまして、10年間の延長ということが国会で認められました。したがいまして、これからといいますか、かなり長いスパンで安定的な運用ができるものと考えておるところでございます。
 簡単でございますが、以上公害健康被害補償法、先般この保健部会でご議論いただきまして無事通過したというご報告でございます。

○佐藤部会長 続いてどうぞ。

○泉石綿健康被害対策室長 それでは、石綿関係でございます。資料34ページに基づき、冒頭部長からのごあいさつにもございました石綿の救済法の改正についてご説明したいと思います。
 石綿救済法につきましては、18年3月に施行されて以来、2年3カ月ほどたっておりますが、これまで小委員会の判定の先生方のご尽力もございまして、約3,500の方々の認定を進めてきているところでございます。もともと法律には5年以内の見直しというのがあるところでございますが、それを待たずに、制度を発足当初には想定していなかったような課題が出てまいりましたので、それに緊急的に手当てをするという観点から、今回議員立法によりまして法改正がなされたものでございます。
 内容でございますが、34ページに6点ほど書いてございますが、簡単にご説明したいと思います。
 まず、1.でございますけれども、現在の制度では医療費・療養手当をお支払いするのが申請の日からということになっておりますが、どうしてもなかなか診断がつかないようなケースもあって遅れがちであるということでございまして、これを申請の日ではなくて療養開始日、いわゆる初診日に当たりますが、その日から支給すると。それから、遡及は最大3年間といたしまして、また医療費等が、亡くなった時点で300万円に満たない場合には、その差額を支給すると、こういう形になってまいります。
 2番が制度発足後の未申請死亡者ということでございますが、制度発足後に申請をしないままお亡くなりになった方につきましては、これまで制度の対象外でございました。こうしたケースが、例えば解剖によって初めてわかるというようなケースが結構あるというようなお話がございまして、このような方たちも対象にするというのが今回の改正でございまして、請求は亡くなってから5年間可能、また給付の内容は特別遺族弔慰金等約300万円を支給するというものでございます。
 3番目は制度発足前の死亡者、これは現在の制度におきまして、特別遺族弔慰金というものがございますが、この請求期限が法施行日から3年間で、来年の3月までとなっておりましたが、当初予想された対象者の中で必ずしもすべての方が申請しているわけではないということがございまして、これをさらに3年間延長するというものでございます。
 それから、4番目は、これは厚生労働省分の労災にかかわるところでございますが、まず特別遺族給付金といたしまして、制度が始まる前に労災の時効を迎えていた方に対する給付金の制度がございますが、これも同じように請求期限を3年間延長して平成24年3月までとするというのが(1)でございます。
 また、(2)は制度が発足後にまた労災の時効を迎えた方については、今は対象外になっておりますが、法施行日の5年前の日から法施行日の前日までに亡くなった方につきまして、対象とするということでございます。
 また、5番目といたしまして、関係の情報の公開ですとか、周知に関する規定が入ってきております。
 また、施行日でございますが、公布の日から6月以内ということでございまして、12月の初旬あたりをめどに現在関係規定の整備ですとか、それから制度の普及、周知というところに取り組んでいるところでございます。
 続きまして、少し飛びますけれども、41ページのほうをお願いいたします。
 石綿健康被害に関しましては、関連する調査を進めております。ここには2つご紹介しております。内山先生に座長をお務めいただいております石綿の健康影響に関する検討会のほうでご審議いただいている疫学的なものでございます。
 まず、3の(1)のところでございますが、これは健康リスク調査と申しまして、事業所があって、その周辺の方々に被害がある可能性のある地域ということで、18年度は3地域、それから19年度はさらに鶴見、羽島、奈良県の3カ所を加えて6地域におきまして、希望される住民の方の検診を行っております。
 その結果でございますけれども、6地域合計で1,800人を超える方が受診されまして、この中では労働現場と関連するばく露のある方が1,011人、またそれが明らかでない方が803人ということでございまして、この方々の中で一定の割合で石綿ばく露の所見でございます胸膜プラークが見つかってきているということでございます。
 また、42ページの(2)でございますけれども、これは環境再生保全機構のほうで認定をするに当たりまして、申請時に申請者の方々からアンケートをいただいておりまして、その中で過去の職歴、居住歴などのデータを集めているものでございまして、約8割5分の方からお答えいただいております。それを集計した結果でございます。
 概要は(2)のところにございますけれども、職業性ばく露の可能性のあった方が半数を超えていたということ、また丸の3つ目でございますけれども、過去の居住歴で一番長く住んだところというのを調べてみますと、都道府県別では兵庫県、市区町村別では尼崎市で最も多かったということでございます。今年度につきましても、この調査をさらに続けていくこととしております。
 以上でございます。

○佐藤部会長 では、最後の熱中症。

○木村環境安全課長 最後は熱中症の予防に関するシンポジウムの結果でございます。
 そもそも過去100年の気温変化を調べてみますと、およそ3度、特にこの東京は上昇してございます。また、過去30年の間に都心の真夏日がおよそ1カ月増加してございまして、特に最低気温が25度以上の熱帯夜、これが年間で半月以上も増加している状況でございます。また、一日のうち30度を超える時間というもの、これも過去30年間におよそ年間で約400時間も増加し、ほぼ倍増している状況下になってきておりまして、その結果と申しましょうか、昨年の平成19年の夏におきましても、日本の最高気温を更新するような猛暑でございました。
 そういうことで、熱中症で倒れられる方、また亡くなられる方も最近激増してきてございます。こういうようなことにかんがみまして、本年度の熱中症の予防に主眼を置いたシンポジウムをさせていただいたところでございます。総計200名ぐらいの方々が参りましたけれども、それ以外にもこれらの情報はインターネット等で流しまして、なるべく広く国民の方々に訴えるという形をさせていただいているところでございます。
 資料の説明は以上でございます。
 なお、お手元に参考資料として4つばかり配付してございますので、若干これらについてもご説明申し上げたいと思います。
 まず、1点目、お手元のPRTRデータを読み解くための市民ガイドブックということで、先ほど平成18年度のPRTRのデータをかいつまんで申し上げましたけれども、この中でPRTRの仕組みやどのような業種が多いかとか、あるいはどのような化学物質が多いかとか、いろいろと分析した結果がこの冊子によくまとまって書かれていると思っておりますので、ご活用いただければと思います。
 2点目、塗料・接着剤と化学物質ということで、この種の課の所管を越えて化学物質とその他の関係ということに着目した小冊子をいろいろとつくってございます。これが5冊目になりまして、生活、あるいは乗り物、それから洗剤とか殺虫剤とか、そのようなものを過去につくってございますけれども、今般、塗料と接着剤と化学物質というテーマで、このような形のものをつくりました。そして、これはインターネットの中でもEラーニングというやり方で自由に子供等などが勉強もできるような方式を工夫してさせていただいているところでございます。
 その次に3点目、先ほど申しました熱中症環境保健マニュアルの2008版でございます。特に熱中症については、小さな幼児、小・中・高校生のような特に運動する世代の方、それから壮年期で労働関係で熱中症になる方、さらに高齢者においても、高齢者の方で家の中にいても熱中症になることが少なからず起こることが分かっていますので、それぞれのステージごとに分けた対応、方策等々を記載したものを出しまして、広くPRさせていただいているところでございます。
 最後に4点目、紫外線環境保健マニュアルということで、今般、環境中の紫外線によって健康被害が昨今増加傾向にあるといわれてございまして、一般の方々は紫外線に対する知識がまだまだ不足しているということもございますので、今般、紫外線予防マニュアルを作成しまして、広くPRをさせていただいているところでございます。
 以上でございます。

○佐藤部会長 どうもありがとうございました。
 ただいままとめてご報告をいただきましたけれども、何かご質問、あるいはコメント等あれば伺いたいと思います。
 もし資料について言及されるときには、厚手のものなので、ページ数を言っていただけると大変ありがたいと思いますけれども、浅野委員、どうぞ。

○浅野委員 資料3の16ページに「報告書が提出された物質が少数に留まっている」という記載があって、23年までに報告をしていただきたいということが書かれているわけですが、一体どのぐらいの物質、スポンサーがついている物質数はわかったんですが、これまでに報告が出ているのでしょうか。
 それから、「インセンティブが働かない」というご意見が出てくるのは何となくわかるんですけれども、こういうのはだれがスポンサーなのかということが報告の中でちゃんと明示されていて、社会的責任をちゃんと果たしているということが明らかになるというようなことは全くなくて、報告はスポンサーの名前なしで出すというふうになっているんでしょうかという、それがご質問です。
 それから、もう1点は20ページでしょうか、19ページ以下の化審法の今後の管理のあり方について、私もここに書かれている論点メモの考え方、新しいスキームというものについては、前からこのような取扱いが必要だと考えておりましたし、異論がないところです。できるだけすべての物質について量を把握するということから始めるというのはいいことだなと思いますが、ただ何しろ既存化学物質がものすごい数があるわけですから、これは既存のものに一斉に遡及してやるというようなことになった場合の混乱もありそうな気がするので、タッチゾーンをどう考えてこの提案をしておられるのか、そのあたりをご説明いただければと思います。

○佐藤部会長 3つご質問あったかと思いますけれども、戸田室長のほう、よろしくお願いします。

○戸田化学物質審査室長 現在Japanチャレンジプログラムですでに報告がなされた物質数につきましては、今調べております。
 Japanチャレンジプログラムのスポンサーの公表ですけれども、データが出されましたら、それはもちろんどういうスポンサーが協力したんだということはぜひとも社会的に明らかにしておく必要があると思います。中間評価の案を現在パブコメにかけておるところですけれども、その中にもこの企業が何物質についてご協力をいただいたということは明示しております。積極的に公表いただいた企業については、社会的に評価されるようにすべきだということにつきましては、推進委員会におきましても、指摘をされたところでございますので、我々としてもそういうふうに責任も明らかにしつつ、また協力をしていただいたところについては、積極的に公表・広報していくということに努めたいというふうに考えております。
 次に、すべての化学物質について、製造・輸入量を把握するというのは、これは確かに大変な作業ではございますが、現在は経済産業省におきまして承認統計でございますけれども、一応既存化学物質すべて、全2万物質について3年に1回、製造・輸入量を報告いただいておりますので、これをさらに徹底するためには法定する必要があろうということでございます。
 そういうことですので、これが3年に1回にするのか、毎年にするのかというふうな論点はあるかと思いますけれども、まず最初にその量を把握するということにつきましては、これは実施可能であろうというふうに考えております。ただし、これらのリスクをスクリーニングしていくという作業につきましては、これはかなりのワークロードが発生すると考えられますので、これは効率的な仕組みをつくっていかなければいけないということで、現在さらにご審議をいただいているというところでございます。

○佐藤部会長 ちょっとお待ちください。
 今のに関連してですか。
 どうぞ、眞柄先生。

○眞柄委員 指定の見直しをどれぐらいの期間を想定して次の見直しに入るかということが一つ、それと関連して、2週間ほど前、WHOで飲料水のガイドラインの会議がありました。そのときに強く感じましたのは、IPCS、つまりEHCとCICADとJMPRの作業のスピードがどんどん、どんどん遅くなってきています。そういう意味で、我が国もWHOのそういうレビューが済んだレポートを参考にしながら評価をしているわけですが、国際的に昔の勢いが全くないと言っていいというぐらいになっておりますので、従来逐次改正というようなことも考えていたわけですが、そんな話はとても無理だというふうに印象を受けましたので、逆に言えばそういうところを逆に我が国政府がサポートするのか、あるいはサポートしつつもこういうものですから、逐次改正というよりはある程度期間を置いて、例えば5年なら5年、10年なら10年というようなタイムスパンを決めてやったほうが、今、浅野先生がお話があったチャレンジプログラムなんかも生きてくるんじゃないかなと思いますが、そこらあたりの見通しでも聞かせていただければ大変ありがたいんですが、よろしくお願いします。

○佐藤部会長 これもどうぞ、戸田室長。

○戸田化学物質審査室長 まず、その前に浅野先生からご質問のあった、Japanチャレンジ報告書を提出済みの物質数はどうなのかということですけれども、ちょっと正確な数は手元に資料がないため分からないのですが、これは平成20年度末までにできれば情報収集をしたいということですので、まだその期限まではもう少し間がありますが、現時点ではそんな状況だということでございます。
 指定見直しをどうするのか、いつまでにするのかということでございますけれども、この辺につきましては最初の優先評価化学物質というものをそういう制度をつくった際には、現在の監視化学物質のうち、ばく露のある物質を優先評価物質にしていくと、まずはそういう形でとらえられるのかなというふうに我々としては考えているところでございますけれども、実際のスクリーニング作業、すべての化学物質について、製造・輸入量を届けていただいて、そこから簡易な手法を用いて絞り込みをしていくという作業につきましては、これは時間がかかるものだろうというふうに考えております。
 現在、国際的な、世界的な目標として2020年までに化学物質の影響を最小化させるということで、例えばREACHにおいても2018年までにすべての物質の登録が完了するというふうなスケジュールが示されているところでございますので、そういった2020年目標を達成するには、いつまでにスクリーニングをしてどういう順序で第2次、第3次のリスク評価をしていくのかということを考えていかなければいけないというふうに考えておりまして、最終的な目標としてはヨハネスブルグのサミットで合意した2020年目標というのがあるのかなというふうに考えております。
 国際機関でございますけれども、例えばOECDにおきましては、既存化学物質の高生産量化学物質の評価というのは、これはどちらかというと加速してございまして、産業界の協力もありまして、かなりの物質について出てきているという状況にあろうかと思いますので、そういったところには我が国としてもJapanチャレンジプログラム等を通じて、積極的に貢献しているところでございますし、国際的な連携というのは十分図っていきたいと考えております。

○佐藤部会長 浅野委員、眞柄委員、よろしいですか。
 ほかにどなたか。
 吉岡委員。

○吉岡委員 同じ制度のことですけれども、ひとつお尋ねしたいのですが、この22ページの図を見ますと、既存化学物質というものと新規化学物質というものの2つがございます。これは現在我々が呼んでおります新規化学物質、あるいは既存化学物質というふうにとらえて間違いないかと思いますが、REACHの場合はこうした区別というものは今後しないで、全部みんな同じように扱うという方針が一つ、それからもう一つは情報の川下、あるいは川上への伝達というのは大きな柱になっているかと思います。
 既存化学物質というのをつくられてから30年以上たっている法律でございますから、いい加減新規化学物質も既存化学物質も同じような取り扱いをしても、問題はないんじゃないだろうかというふうには私は思っておるんですけれども、そういうことの議論というものはなされたのでしょうか。

○佐藤部会長 これも戸田室長から。

○戸田化学物質審査室長 ワーキンググループにおける議論では、現在の新規化学物質の事前審査というのは、これは堅持すべきであるというふうなご議論をいただいたものと考えております。REACHにおきましては、確かに既存化学物質についてはかなり情報収集を強化しておりますけれども、逆に新規化学物質については事前審査というものを廃止しておりますので、そういった方向をとるのではなくて、あくまでも新規化学物質の事前審査は堅持する。堅持するけれども、既存化学物質の情報収集をどのように強化するかという観点からご議論をいただいているものと考えております。

○佐藤部会長 吉岡委員、よろしいですか。

○吉岡委員 ここで議論をしてもよろしいんですか。

○佐藤部会長 ちょっとそれは

○吉岡委員 報告を受けて質問をしただけのことで、議論をするわけじゃないから。

○佐藤部会長 そういうご意見もあったというところにここではとどめさせていただきたいと思うんですけれども。
 次、藤井委員、どうぞ。

○藤井委員 戸田室長とのやりとりがありますが、その関連を離れてよろしいでしょうか、まだほかの委員の方で……。

○佐藤部会長 そうですね。今、化学物質の対策について幾つかご質問ありましたけれども、そのご質問はよろしいですか。
 じゃ、どうぞ、藤井委員。

○藤井委員 私の場合は報告の中で水俣病対策をめぐる現状についてが抜けていますので、今日異動になられたかなと思いつつも、水俣病については触れていただきたいので、ぜひご報告いただきたいと思うのですが。

○佐藤部会長 これはお願いします。

○椎葉特殊疾病対策室長 それでは、31ページをごらんいただきたいと思います。
 水俣病対策をめぐる現状でございますが、まず一番最初にございますけれども、16年の最高裁判決後、公健法の認定申請者が急増しておりまして、5月31日現在でございますが、現在6,000名が手を挙げているという状況でございます。
 それから、2つ目でございますけれども、新たな損害賠償請求訴訟の提訴と原告の増加ということで、現在3つの損害賠償訴訟が行われております。そして、このほかにちっちゃい字で書いておりますが、3件、処分の取消訴訟等が提訴されているところで、6件裁判が今行われているところでございます。
 そして、その次でありますが、新保健手帳というのが17年10月から設けられたわけでございますが、これも申請がかなり増加しておりまして、後ろの次のページに32ページに申請件数と新保健手帳の交付件数がどんどん右肩上がりに増加しているという状況がございます。
 そして、その次のほうでございますが、31ページの下から2番目のところでございますが、認定審査会でございますが、これは実際認定する際には審査会が開かれるわけでございますが、熊本県、鹿児島県、新潟県・市でございますが、ずっと審査会が開かれてない状況でございまして、熊本県におきましては19年3月に再開、これは2年7カ月ぶり、鹿児島県におきましては17年3月から審査が再開されてないという状況ということでございます。
 一番下でございます。申請者医療事業の受給者の増加でありますが、これは合計が5,340名ということで、こういうことで16年の最高裁判決後、さまざまな動きがあったわけですが、現状として余りよろしくない状況が今あるということでございまして、これにつきましては私は今日から室長になったわけでございますが、全力を尽くしてやりたいというふうに考えております。
 以上でございます。

○佐藤部会長 藤井委員、よろしゅうございますか。

○藤井委員 議論の場ではないと伺っていますので。

○佐藤部会長 何か。

○上野調査官 水俣病関係で若干補足してこちらで説明させていただきたいと思います。

○中尾企画課長補佐 企画課の中尾と申します。
 水俣病につきましては、今年の1月の部会でもご報告させていただいたのですが、今与党のほうで政治救済のプロセスが動いてございます。平成7年に政治解決が行われまして、それと同様に四肢末梢優位の感覚障害の方々に対しまして、一時金150万円、手当月額1万円と、あと医療費の自己負担分を支給するという案で現在調整が行われているところでございます。
 その調整案が出ましたのが昨年10月でございまして、その後患者団体で2団体ほど受け入れていただいている団体もあるのですが、まだ訴訟を続けていくと、受け入れていただいてない団体もございます。また、原因企業におきましても、まだ受け入れていただいていないという状況でございます。

○佐藤部会長 どうもありがとうございました。
 ちょっと私もご報告がないので気になったんですが、いただいた進行表に説明省略とあって、何か紙上発表のような形なのかなということがあったものですけれども、どうも着任早々ご報告いただきありがとうございました。
 ほかに何かご質問、ご意見ある方いらっしゃいませんでしょうか。
 特にございませんでしょうか。
 もしなければ、全体を通じて何か。
 これもございませんか。
 それでは、特にご発言ないようなので、本日の会議を終了させていただきたいと思います。
 事務局のほうから何かご発言ございますでしょうか。

○上野調査官 私のほうから1点だけ、本日の議事録につきまして、毎回同じでございますが、原案を作成しまして委員の皆様方ご確認いただいた上、環境省のホームページに掲載する予定でございますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。

○佐藤部会長 それでは、以上で第20回中央環境審議会環境保健部会を終了したいと思います。
 こういう時間に始まりましたのですけれども、スムーズなご進行にご協力いただきまして、どうもありがとうございました。
 それでは、終了したいと思います。

午後6時29分閉会