第17回中央環境審議会環境保健部会議事録

1.日時

平成19年2月16日(金)10:00~12:00

2.場所

中央合同庁舎5号館(6階)共用第8会議室

3.議題

【審議事項】
  1.  (1)公害健康被害の補償等に関する法律の規定による「障害補償標準給付基礎月額」及び「遺族補償標準給付基礎月額」の改定について(諮問)
【報告事項】
  1.  (1)国連環境計画における重金属対策の動向について
  2.  (2)化学物質環境対策小委員会における審議状況について
  3.  (3)化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の施行状況について
  4.  (4)化学物質をめぐる国際潮流に関する国際シンポジウムの開催及びREACHの対応に関する事業者アンケートの実施について
  5.  (5)小児の脆弱性を考慮したリスク評価検討調査(小児環境保健研究プロジェクト)について
  6.  (6)健康リスク評価分野の競争的研究資金創設について
  7.  (7)水俣病対策をめぐる現状について
  8.  (8)石綿健康被害救済法に基づく受付及び認定等の状況について

配布資料

資料1 中央環境審議会環境保健部会委員名簿
資料2 公害健康被害の補償等に関する法律の規定による「障害補償標準給付基礎月額」及び「遺族補償標準給付基礎月額」の改定について(諮問)
資料3 報告事項について
参考資料1 中央環境審議会令・中央環境審議会議事運営規則
参考資料2 中央環境審議会環境保健部会の小委員会、専門委員会の設置について
参考資料3 公害健康被害補償制度について

〈議事録〉

午前10時01分開会

○調査官 ただいまから、第17回中央環境審議会環境保健部会を開催いたします。
 環境保健部会委員及び臨時委員40名のうち、現在22名のご出席をいただいております。過半数の方が出席されておりますので、本部会は成立いたしておりますことをご報告申し上げます。
 まず、審議に先立ちまして資料1をご覧いただきたいと思います。委員名簿でございますが、委員の異動がございましたので、ご報告申し上げます。任期満了に伴いまして池田正之氏、江頭基子氏、清水誠氏が臨時委員を退任されまして、新たに菅野純氏、高橋康夫氏、中田英明氏が臨時委員に任命されました。また、昨年12月より上路雅子氏、新美育文氏の両臨時委員には新たに環境保健部会に所属していただいております。
 なお、須藤隆一氏が委員から臨時委員に、花井圭子氏が臨時委員から委員に任命されましたので、ご報告申し上げます。
 議事に先立ちまして、環境保健部長の上田からご挨拶を申し上げます。

○環境保健部長 環境保健部長の上田でございます。
 委員の先生方には、大変お忙しい中ご参集いただきまして、誠にありがとうございます。また、このたび新たに委員ないしは臨時委員にご就任をいただきました先生方に御礼を申し上げる次第でございます。
 この環境保健部会は、環境保健行政の推進のために極めて重要な審議会でございますので、活発なご議論を今後さらにお願いしたいと考えているところでございます。
 本日ご審議いただきますのは、後ほど詳しくご説明いたしますけれども、公害健康被害の補償等に関する法律における「障害補償標準給付基礎月額」及び「遺族補償標準給付基礎月額」についてでございます。これらの補償費は、いわゆる公健法に基づく認定患者の方々への補償給付の中で中心的な役割を果たしているものでございます。一般的な賃金水準の動向等に応じて毎年改定する、こういうふうになっているわけでございます。環境省としましては、本日の部会のご審議の結果を踏まえて、平成19年度の補償給付の水準につきまして所要の改正手続を図りたい、このように考えているところでございます。何とぞご審議のほどよろしくお願いを申し上げます。
 このほか、昨今の環境保健行政の主な動向について関係課室から報告をさせていただく予定でございます。これらの案件につきましても、ぜひさまざまな視点からご意見をいただきまして、私どもの今後の行政の糧とさせていただきたいと考えております。よろしくお願いしたいと思います。
 以上、簡単でございますけれども、日ごろの御礼とご挨拶にかえさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○調査官 続きまして、お手元にお配りしました資料を確認させていただきます。まず資料1でございますが、中央環境審議会環境保健部会委員名簿でございます。資料2でございます。公害健康被害の補償等に関する法律の規定による「障害補償標準給付基礎月額」及び「遺族補償標準給付基礎月額」の改定についての諮問文でございます。資料3、報告事項についての資料をまとめたものでございます。
 それから、ほかに参考資料としまして、3つほど、参考資料1としまして中央環境審議会令・中央環境審議会議事運営規則、参考資料2としまして中央環境審議会環境保健部会の小委員会、専門委員会の設置について、参考資料3としまして公害健康被害補償制度についての資料を配付してございます。過不足がございましたら、事務局までお申し出いただければと思います。
 それでは、佐藤部会長に議事の進行をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○佐藤部会長 朝早くからお集まりいただきまして大変ありがとうございます。それから、先ほどご紹介がありましたけれども、新たに環境保健部会においでいただくことになった委員の先生方、よろしくお願いいたします。
 まず、審議に入る前に、部会長代理を決めたいと思うんですけれども、お手元の参考資料1というのをご覧ください。これの2ページでございます。そここの第4条第3項には、全体の審議会の会長代理について記載がございます。それから、第6条の第5項には、今、申し上げた第4条第3項は部会長にも準用するというのがございます。これに基づきまして部会長が部会長代理を指名させていただきたいと思います。これまでどおり佐和委員にお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、早速審議に入りたいと思います。本会議は公開で開催いたします。まず、審議事項の公害健康被害の補償等に関する法律の規定による「障害補償標準給付基礎月額」及び「遺族補償標準給付基礎月額」の改定についてです。これにつきましては、資料2にありますとおり、中央環境審議会に意見を求める諮問が環境大臣から2月13日付で出されております。この本諮問は鈴木会長から環境保健部会に同日付で付議されました。そういうことでございますので、本日当部会で審議をしたいと思います。それでは、まず事務局から諮問の内容についてご説明ください。

○保健業務室長 お手元の資料2をご覧ください。ただいま部会長からお話しございましたように、2月13日付で環境大臣から鈴木会長あてに諮問がなされ、その裏の2ページでございますけれども、具体的な「障害補償標準給付基礎月額」及び「遺族補償標準給付基礎月額」の諮問の内容が書かれてございます。この内容でいかがかという諮問でございます。
 それから、3ページでございますけれども、鈴木会長から佐藤部会長に付議をするということでございまして、当部会において具体的なご審議をお願いする、こういうことでございます。
 お手元に参考資料3というものがございまして、公害健康被害補償制度の概要についてまとめたものがございます。こちらをご覧いただければと思います。公害健康被害補償制度につきましては、公害被害の特殊性にかんがみまして、汚染原因者負担を前提とした民事責任を踏まえつつ、公害健康被害を迅速かつ公正に保護するために昭和48年に制定された法律でございまして、公害健康被害の補償等に関する法律ということでございまして、今回は、この補償給付の内容の一部につきまして改定をするために諮問をしているということでございます。
 補償等の対象者につきましては、この法律におきましては、指定地域に一定期間在住し、一定の疾病にかかっているということで、申請に基づき都道府県知事等が認定した者ということでございまして、第一種地域と第二種地域に分かれてございます。この第一種地域につきましては、昭和63年の法律改正により現在はすべて解除されておりますけれども、第一種地域につきましては、大気汚染の関係の地域の指定、それから第二種地域は水俣病等の原因物質の因果関係が明らかな疾病が多発している地域を指定したものということでございます。
 具体的には、その次の2ページにございます。旧第一種地域につきましては、現在被認定者の数といたしまして4万8,000人余りの方がいらっしゃるということでございます。本日ご審議いただくものは、実質的にはこの旧第一種地域の指定に係る認定の患者さんの補償給付の内容ということでございます。
 具体的に3ページに、この旧第一種地域の補償給付等の仕組みを図示したものをおつけしております。ただいま申し上げましたように、被認定者の数が現在約4.8万人ということでございますけれども、その補償給付の総額は、これは平成18年見込み額でございますけれども、約592億円ということになっておりまして、これは全額汚染原因者が負担するということでございます。
 その負担につきましては、汚染負荷量賦課金あるいは自動車重量税の引き当てなど、国からの交付金あるいは補助金など、環境再生保全機構を通じまして、各自治体が実施主体となっておりますので、そこから実際には給付等が行われる、こういう仕組みに現在なっているということでございます。
 具体的に、今回はこの補償給付の内容の障害補償費と遺族補償費、これは大体平成18年度の見込み額で300億円ぐらいでございまして、補償給付の内容の約半分を占めているわけでございますけれども、これについて、額の改定についてご審議いただく、こういうことでございます。以下の内容は省略させていただきます。
 資料2に戻らせていただきます。資料2の4ページをお開けください。4ページに参照条文を掲げてございます。公害健康被害の補償等に関する法律、まず障害補償費の額につきましては第26条、それから遺族補償費の額につきましては第31条に規定されてございます。第26条の第2項でございますけれども、障害補償標準給付基礎月額は、労働者の賃金水準その他の事情を考慮して、中央環境審議会の意見を聴いて定めるということになっております。また、遺族補償費の額につきましても、第31条の第2項におきまして、労働者の賃金水準、被認定者または認定死亡者が死亡しなかったとすれば通常支出すると見込まれる経費その他の事情を考慮して、中央環境審議会の意見を聴いて定める、こういうことでございます。両規定がございますので、改定に当たって諮問をしているということでございます。
 その下に、公害健康被害の補償等に関する法律施行令がございまして、それぞれ第12条、第17条におきまして、基礎月額につきましては、性別及び年齢階層別に区分して毎年度定めるということでございまして、毎年度定める前に、今の時期に諮問させていただきまして、答申をいただければ、年度の開始前に告示いたしまして、4月から施行したい、こういうことでございます。
 5ページをご覧ください。具体的にどのように算定をするかというルールにつきましては、昭和49年の中央公害対策審議会の答申に規定してございます。この標準給付基礎月額の算定につきまして、(1)では、この標準給付基礎月額は「賃金構造基本統計調査報告」を用いて、性別及び年齢階層別に区分して定めることが適当である、このようにされてございます。
 それから、(2)でございますけれども、給付水準は障害補償費にあっては「賃金構造基本統計調査報告」による労働者の性別及び年齢階層別の平均賃金の80%、それから、遺族補償費にあっては70%とすることが適当である、このようにされてございます。
 それから、(3)でございますけれども、毎年定めるべきである基礎月額でございますけれども、その算定の基礎となる賃金につきましては、前年の賃金実績によることとしている。その基礎となるデータは、労働省の「賃金構造基本統計調査報告」及び同じく「春闘による賃金引上げ状況調査報告」を用いることとする、このようになってございます。
 以下、具体的に算定の内容をご説明することになりますが、今回も基本的に従来と同様の算定方法によらせていただいているということを、あらかじめ申し上げておきます。
 それから、6ページでございますが、基礎月額を定めますと具体的にどのような額が支給されるかということでございますけれども、まず、障害補償標準給付基礎月額につきまして、これを性別、年齢階層別に定めるということでございますけれども、具体的には、指定疾病による障害の程度に応じて支給されるわけでございまして、この表にございますように、それぞれ障害の程度の区分、特級、1級、2級及び3級とございますけれども、それぞれ右に給付率が書いてございます。1.0から0.3までございますけれども、それぞれの障害の程度の区分に応じまして基礎月額に給付率を乗じまして実際に給付されるということでございます。
 それから、下の2.の遺族補償標準給付基礎月額でございますけれども、これは被認定者が指定疾病に起因して死亡した場合に遺族に支給する基礎となる額でございまして、通常遺族補償費であれば10年間この月額が支払われていく。一時金であれば36カ月分、こういうようなことになっているわけでございます。
 7ページでございます。算定の基礎となる賃金になるものでございまして、賃金構造統計基本調査報告の実績がここに書かれてございます。決まって支給する現金給与額ということでございまして、平成19年の前年ということで、平成18年のデータが欲しいわけでございますけれども、これは平成18年の6月の給与を中心に調べておりまして、その結果が出るのは本年の7月ごろになりますので、残念ながら平成18年のデータというのは用いることができないわけでございまして、直近のデータとしては平成17年のデータを用いるということでございます。
 平成17年は、対前年のアップ率で申しますと0.2%増ということでございます。8ページをご覧いただければと思いますけれども、平成17年の対前年の増減額、増減率をお示ししておりますけれども、全体ではアップ率は0.2%ということでございますけれども、男子は1.2%増に対しまして、女子は1.1%減ということになってございます。
 それから、さらに年齢階層別に見てまいりますと、特に増減の大きいところを申し上げますと、男子では17歳以下のところでマイナス3%、それから60歳以上の2つの階層がございますけれども、マイナス3.2%とマイナス3.8%ということで、大きくなっております。
 それから、男子は大きくプラスになっているところもございまして、40から44歳の年齢階層でプラス3%ということでございます。一方、女子につきましては、20代を除きまして全体でマイナスになっているということでございますけれども、特に17歳以下の階層がマイナス10.3%ということでございますし、また45歳以上の5つの年齢階層がございますけれども、いずれもマイナスで、2%を超えている状況になっているということでございます。
 9ページをご覧ください。具体的にどのように算定するかということでございますけれども、障害補償標準給付基礎月額の例をとらせていただきますと、まず、上に書いてございますのは、賃金構造基本統計調査報告の実績の推移でございます。先ほどご説明しましたように、平成18年の実績というのはまだ出ていないということでございまして、基本的には平成17年のデータが基本になりまして、こちらは性別、年齢階層別にデータもございますので、これをベースに平成18年の予想をするということになるわけでございます。平成18年の予想した推定賃金をどうするかということでございますけれども、下の斜めに線がいっているところがございますけれども、平成17年の実績に対しまして伸び率を予想いたしまして、それで実際の給付基礎月額にする場合には、障害補償費の場合は0.8を乗じるということでございまして、下にございますように、18年の推定から出したものをもって、下の平成19年の基礎月額にしようということでございます。
 さらに次のページをご覧いただきたいと思います。全体の伸び率をどういうふうに予想するかということでございますけれども、春闘と賃金センサス、賃金構造基本統計調査を略して言わせていただいておりますけれども、このグラフの上にございますものが春闘のこれまでの推移のデータでございます。それから、下の太い実線で書かれているものは賃金センサスの推移でございます。
 春闘につきましては、平成18年は対前年のアップ率が1.79となってございます。賃金センサスの平成18年のアップ率を予想する必要があるわけでございますけれども、ここでは春闘の過去10年間ここにお示ししているアップ率の平均と、賃金センサスの過去10年間のアップ率の平均、これを比較いたしますと、春闘の約5分の1に賃金センサスの賃金が下がっているということでございますので、平成18年は春闘のアップ率の1.79に5分の1を乗じまして、賃金センサスの平成18年のアップ率は0.4ということにしようということでございます。具体的な数字はまた後ほど出てまいります。
 次のページをご覧いただければと思います。賃構アップ率のトレンドグラフということでございまして、賃金センサスのアップ率、これを性別、年齢階層別に推移を見ますと、マイナスになった翌年はプラスになる、あるいはプラスになった翌年はマイナスになる、こういうような、揺り戻しの現象が見られるということでございます。したがいまして、このトレンドをそのまま基礎月額の算定に反映させますと、賃金センサスのトレンドをそのまま反映してしまうということがございまして、激変緩和の観点から調整を行わせていただいてございます。それが次のページでございます。アップ率は各年上下するということに対しまして、どういう傾向があるかということで、x軸に当年乖離、y軸に翌年乖離ということで、グラフを作成しているわけでございますけれども、ここでは、特に全労働者平均アップ率からの当年乖離が大きいもの、2.5ポイント以上乖離しているもの、これはプラスの場合もマイナスの場合も両方含まれますけれども、2.5ポイント以上乖離しているものを抽出いたしまして、ここにプロットさせていただいております。これからさらに外れ値を取り除く統計的なプロセスを経ますと、次の13ページにございますようなグラフになるということでございます。一応統計的にもかなり高い相関があるという形になってございます。ここにございますような傾向を平成17年の賃金センサスのデータに当てはめまして、平成18年の賃金センサスを予想する際に適切な補正をさせていただくということでございます。
 次の14ページをご覧いただきたいと思います。左の方には賃金センサスの実績値ということで書かせていただいております。平成17年の賃金センサスの実績値といたしましては、対前年でいいますと0.2%増ということでございます。各性別、年齢階層別に具体的な平成17年の賃金センサスの増減率が書いてございまして、ちょうど真ん中ぐらいに平均増減率、これが0.2%でございますけれども、それと各性別、年齢階層別の増減率を見た場合に、平均増減率との乖離がどれだけあるかということが、ちょうど真ん中のカラムに書いてございます。具体的に女子の65歳以上の欄、一番下の欄を見ていただければと思うんですけれども、平成17年の増減率がマイナス5.2%となってございますけれども、これにつきましては、プラス0.2%の全体の増減率との乖離ということですとマイナス5.4%になるということでございます。マイナス5.4%ということですので、これは2.5ポイント以上の乖離があるということなので、調整をさせていただくということでございます。
 その下に、調整の式を当てはめたものがございまして、平成17年の乖離差、女子の65歳以上でいいますとマイナス5.4%ということですので、これを先ほどの乖離式に当てはめますと、18年の乖離差というのはプラス3.2%余りになるということで、平成18年の推計アップ率0.4%を加え、全体といたしましては、平成18年のアップ率は103.7%、そういう補正をするということでございます。
 具体的にまた上の表に戻っていただきますと、平成18年給付というのがございます。これは現在基礎月額として定められ、お支払いをしている基礎月額でございますけれども、65歳以上の女子を見ていただきますと、平成18年の給付は17万5,700円、こういうことになってございますけれども、これを今申し上げました補正を行わないで単純に賃金センサスからもってきてしまいますと、補正前というところにありますように16万8,300円ということで、今回7,400円の減になってしまうということでございますけれども、ただいま申し上げましたような補正をいたしますと17万5,700円であったものが補正後は17万3,800円ということで、引き下げが緩和されるということでございます。一番右の端には、平成18年の給付に対する今回定めようとしております平成19年の給付の補正後の増減率を書かせていただいております。以上のようなちょっとややこしい補正を行っているものが、この補正後の欄におきまして白抜きにしている箇所でございます。
 同様に、15ページには遺族補償費の給付基礎月額の算定を行ったものがございまして、同様な調整を行っております。
 以上、これまでご説明したものをまとめましたものが、最後の16ページにございますような補償給付等の改定について(案)ということでお示ししたものでございます。この結果といたしましては、障害補償給付基礎月額の改定、男女、計、平均アップ率としましてはマイナス0.2%ということでございまして、遺族補償標準給付基礎月額の改定につきましては、男女、計、平均アップ率マイナス0.3%という、これは単純平均でございますけれども、そういう算定になるということでございます。
 諮問の内容は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○佐藤部会長 基礎月額について、詳細なご説明をいただいたわけですけれども、何かご意見、ご質問も含めてご意見等伺いたいと思います。

○浅野委員 毎年のことですけれども、こういう補正のやり方で金額を決めてきておりますので、やり方を変えることはむしろ制度の継続性という点から見て好ましくありませんから、この原案でよろしいのではないかと思います。推計をしていますので、ひょっとしたら外れるということがもちろんあるわけですが、それは次の年に、そこでちゃんとリバウンドで補正されていくことになるものと考えます。これまでのほとんどの推計は、若干の例外はあるのですけれども、単純計算よりやや高目のところで補正を加えてきているわけです。ですから、結果的に外れて、下の方に外れていった場合には、給付額がふえるということになりかねないわけですけれども、ここはしようがないですね。制度的にもこれが救済制度だということを考えると、そこで若干多くなってしまっているというようなことを取り上げて問題にすることは余り好ましくない。このような制度は完全に学問的に耐えられるような正確な数字がはじけるものではありませんので、このようなやり方でご勘弁いただく以外にないのではないかと思います。
 遺族補償に関しては、1点だけご指摘申し上げますと、年金を受けられるご遺族は最近ほとんどいらっしゃらなくて、大概の場合は一時金になっているわけです。しかし、一時金も受給時のこの基礎額で計算されてしまいますから、もし大きく下目に外れた予測をしてしまいますとその年度のご遺族は大変な不利益を受けるということになりますから、それも考えますと、やや高目の補正ということを意識として補正を加えるというやり方は、それなりの合理性があると考えざるを得ません。したがって、原案でよろしいのではないかと思います。

○佐藤部会長 原案どおりでよろしいのではないかというご意見をいただきました。また、補正についての考え方を詳しくご披露いただきましたけれども、ほかに。

○吉岡委員 2つご質問をしたいと思います。1つは、12ページ等に掲げてあります統計数値の重相関という言葉なんですけれども、これは単相関のことと同じと考えてよろしいでしょうかというのが一つです。
 もう一つは、6ページにあります区分でありますけれども、特級から3級までありまして、それぞれ内容が定まっているのはもちろんでございますけれども、給付率が特級と1級と同じで、2級のところで0.5と大きく離れている。何か過去の経緯で、本来は特級と1級に違いがあったのだけれども、何か途中の事情があって、例えば0.8のものを1.0に戻したというようなことがございましたのでしょうか。その点をお伺いしたいのですが。

○佐藤部会長 2つ質問がございましたので、お願いいたします。

○保健業務室長 まず、12ページの重相関ということでございますけれども、これは確かに二元の要素でございますので、先生ご指摘のとおり、あえて「重」という言葉を入れる必要があるのかということでございますが、統計のパッケージで計算して、そのまま「重」という言葉を入れさせていただいてしまっているということで、ご理解いただきたいと思います。

○浅野委員 もともと1級、2級、3級という区分があるだけだと単純に考えていただいた方がいいわけです。特級というのは、それに加えてさらに介護手当を付加的に給付しなければいけないような方について、付加給付をするという意味で特級としているわけです。ですから、0.8が1.0に戻ったというような事実はございません。

○佐藤部会長 後から加わって、特に介護給付をしているということで、この制度の中では1というもの、よろしゅうございますか。

○崎田委員 私も、きちんと推計などで出してくださっておりまして、今まで継続しているやり方ですので、これで今年も基本的にはよろしいのではないかというふうに私も思っております。ふと感じたのは、内容とはあれなんですけれども、8ページを拝見していて、女性のお給料の賃金構造が非常に大幅に減っているんですね。これが社会構造としてこういうふうに数字がはっきり出てくるというのは、ちょっと新鮮というか、驚きでして、でもこれがむき出しで反映されるのではなく、いろいろと補てんをして、推計をしてやってくださっているということで、ありがたいなというふうに思っております。
 もう一点なんですが、先ほどもお話がありました。6ページ、障害の程度のところで教えていただきたいのですが、例えば障害を受けていらっしゃる方の障害というのを、特級、1級、2級、3級となっていますが、これをどういうふうに認定するのか。例えば毎年皆さん変わっていくのかとか、その辺の仕組みを教えていただければというふうに思いました。どうしてかといいますと、かなり細かく数字など補てんしているんですが、この給付率、これが何級に当たるかでかなり受け取る方は違ってくるように思うんですけれども、この辺をどういうふうに評価されているのかというあたりを、教えていただければと思います。

○佐藤部会長 これも浅野先生が詳しいと思います。

○浅野委員 私は認定審査の委員もしておりますので、ご説明いたします。認定された方については毎年見直しが行なわれます。もともと障害補償費の受給資格の有無についても認定の有効期間がありますので、有効期間が切れる時期には認定を更新するかどうかが審査されますが、それから、有効期間内であっても、障害補償費の支給を受けられる方については毎年見直しがなされ、ご病状が悪くなられて障害の程度が悪化されたなら障害等級を上げますし、そのままであればそのまま、障害の程度が改善されれば等級を下げるという手続きが行われます。

○佐藤部会長 かなり細かく、ある意味では手間ひまかけてやっていただいているということだろうと思います。
 ほかにご質問とか、ご意見とかございませんか。
 それでは、これまで出たご意見は原案どおりでよろしいのではないかということだと思いますので、そのように決めさせていただきたいと思います。本日付で環境保健部会から鈴木会長に報告し、鈴木会長から若林環境大臣に答申するように手続を進めさせていただきたいと思います。よろしゅうございますか。

(「異議なし」と呼ぶ者あり)

○佐藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、今後の手続について、事務局からご説明ください。

○保健業務室長 本報告につきましては、佐藤部会長から鈴木会長に提出されました後、中央環境審議会議事運営規則第6条第1項に、部会の決議は会長の同意を得て審議会の決議とすることができるとございますことから、鈴木会長の同意が得られれば、中央環境審議会会長から環境大臣に答申されるということでございます。その上で、答申に沿って環境省において所要の改正の手続を行いたいということでございます。

○佐藤部会長 それでは、続いて報告事項に移りたいと思います。報告事項は資料3に基づいてご報告いただきますけれども、まず資料3の(1)国連環境計画における重金属対策の動向から、(4)の化学物質をめぐる国際潮流に関する国際シンポジウムの開催について、事務局からご説明ください。

○環境安全課長 環境安全課からは、(1)と(2)について、ご報告をしたいと思います。
 まず1番でございます。国連環境計画における重金属対策の動向についてということでございます。化学物質管理に関します国際的な枠組みにつきましては、これまでもUNEPを中心としましてPOPs(残留性有機汚染物質)等に対する取り組みが行われてまいりましたけれども、新たなテーマといたしまして、重金属対策が現在非常に話題となってございます。つい先週行われました第24回管理理事会におきましても、水銀を初めとした重金属への取り組みというのが一つ議論となってございます。今後の対応ということにつきましても、規制をどうするか、非常に大きな問題に今後なっていくと考えてございます。これに関連いたしまして、今回の会議に出席をいたしました当課の戸田補佐より、議論の概要とあわせまして、中心的な課題となりました水銀対策につきまして、国内外の状況についてご報告をさせていただきたいと思います。

○環境安全課長補佐 それでは、資料3報告事項についての1ページからでございますが、国連環境計画における重金属対策の動向についてということで、ちょっと分厚くて恐縮ですけれども、資料をつくらせていただきましたので、ご説明したいと思います。
 先ほど青木課長からもご説明をいたしましたように、国連環境計画におきましては、2001年以来水銀対策について議論が行われているという状況にあります。
 第2段落、2007年2月、先週でございますけれども、ナイロビで開催された国連環境計画第24回管理理事会におきまして、水銀の世界的な需給と貿易に関する報告書、鉛及びカドミウムによる地球規模での汚染に関する報告書といった報告書が提出されまして、これを踏まえて議論が行われました。我が国といたしましては、水俣病を経験した国として、水銀対策のための国際的枠組みの構築に向けて積極的に貢献したいというふうな発言をいたしまして、議論の結果、水銀対策のための条約の制定の可能性も含めた対策強化の選択肢を検討するための専門家会合の設置といったものが採択されたものでございます。
 決議の概要は下の箱に書いてございますけれども、まず1点目といたしまして、現状の取り組みは不十分である。さらなる対策が必要であるということが1点目。
 2点目といたしまして、水銀対策の優先分野として、幾つかの分野が列挙されたということであります。
 3点目といたしまして、次回に向けまして、水銀の大気への排出及び局地的な水銀汚染に関する報告書の作成作業を開始するということがございます。
 4点目といたしまして、水銀パートナーシッププログラムというボランタリーな対策の枠組みがあるわけですけれども、このパートナーシッププログラムというものの推進のために、枠組みづくりをしていこう。目標や計画、ガイドライン等をつくっていこうということが決議された。
 第5点目といたしまして、先ほど申し上げましたように、水銀対策のための条約の策定やボランタリーな取り組み、この双方のオプションについて検討するための専門家グループを設立して、この会合を2回開催する。次回の管理理事会というのが、2年後、平成21年2月にまた開催されるわけですけれども、ここに最終報告書を提出して、また議論しようということになったわけです。
 最後でございますけれども、水銀だけではなくて、鉛及びカドミウムについても、今回報告書が出されたわけですけれども、まだまだわかっていないことが多いということで、知識のギャップを埋める作業というものを開始するということです。
 2ページにまいりまして、こういった動きを受けまして、環境省といたしましても、今年度から国際的観点からの重金属対策戦略策定のための基礎調査というものを開始したところでございまして、こういった調査を活用して、実効ある対策のための国際的な枠組みづくりに向けて、専門家グループにも当然人も派遣いたしまして、議論に積極的に貢献していきたいというふうに考えているところでございます。
 3ページ以降が参考でございまして、少し分厚くなりますけれども、概要だけご説明いたします。地球規模の水銀汚染の概要ということで、最初の絵が、英語なんですけれども、産業活動開始以前、Pre-industrialの時代には、一番左上にございますように、Natural Emissions、自然の排出、火山とか、そういったところから自然の放出が当然あるわけです。これが大体1,000トンぐらいあったということですけれども、これが現在は下の箱でありまして、Anthropogenic Emissionsというのがありますけれども、人為による排出が2,600トンぐらい、そこに加わっているという状況にありまして、自然の排出を大幅に上回る人為の排出があることによって、大気中の濃度も産業活動開始以前には大気中に1,800トンぐらい漂っていたというものが、大体5,200トンぐらいということで、約3倍ぐらいのレベルにあるということでございます。また、海の濃度についても2倍ぐらいという試算があるわけでございます。
 4ページにいきまして、これはどういうふうな発生源から出ているかということですけれども、上の表を見ていただきますと、一番左端の燃焼施設というのが1,470トンということで、全体1,900トン、プラス300、3ページの表と少し数値が違いますけれども、これは文献が違うということでご容赦いただきたいと思います。燃焼施設からの排出というのがかなりの部分を占めているということであります。ただし、この中には、注の4にございますように、金の採掘による推定排出量というのがもっと多いのではないかともいわれておりまして、この辺はもう少し検証していかなければいけないといわれているところであります。
 水銀というのはどこでどういうふうに使われているかということでありますけれども、世界の水銀需要量というのを見てみますと、4ページの下のグラフにございますように、金銀の採掘、塩素アルカリ工業、電池、この3つの用途で大体75%ぐらいを占めているということで、世界におきましてはこの3つの用途がかなりメジャーな用途にあるというふうに考えられます。我が国の状況につきましては後ほど図がございます。
 こういった状況で、水銀による健康影響というのが5ページにあるわけですけれども、2002年に出されたUNEPによる世界水銀アセスメントでは、この箱に書いてございますような結論になっているということで、3行目に、特に妊婦や幼児等の感受性の高い集団に対し魚または海棲哺乳類の摂食指導・助言をすることが必要となっている。また、通常の魚の摂取は懸念すべき曝露を引き起こすことが想定されないが、汚染された魚または海棲哺乳類を多食する人には健康へのリスクがある。こういうふうな状況にあるということで、特に日本におきましても妊婦等への摂食指導ということがなされているところでありますし、また、特に北方のエスキモーとか、そういった海棲哺乳類を食べるような方々には健康リスクがあるというふうに言われているところであります。
 我が国の状況を見ますと、1956年、1966年あたりを見ていただきますと、大体1,100トン、1966年は1,600トンというふうな状況でございますけれども、次の6ページの上を見ていただきますと、2005年は9.5トンという形になっておりまして、ここには統計上蛍光灯に使用される水銀というのは入っていないということですので、これを大体6.7ぐらいと見積もりますと、大体16トンぐらいということで、昔からすればおよそ100分の1、約1%程度になっているというふうな状況にございます。先ほどご説明いたしました世界でメジャーな用途になっている金銀の採掘、塩素アルカリ工業、電池といったような用途は、特に電池に若干使われておりますけれども、ほとんどないという状況でございます。塩素アルカリ工業は全く使われておりませんし、金銀の採掘というのもございません。
 我が国における大気への水銀の排出量というのも見積もりがございまして、これもちょっと幅がございますけれども、年間19トンから35トンということで、世界全体が約2,000トンぐらいということを考えれば、それの大体1%ぐらいかなということでございます。
 我が国におきましては、次の表にございますように、発生源対策をしておりまして、環境基準も設定されている。大気につきましては指針値でございますけれども、水、地下水について環境基準が設定されて、環境監視も行われている。基準値も、一部地下水については自然由来の高濃度地点がありますけれども、大気、水についてはこれを達成しているという状況にございます。
 貿易なんですけれども、我が国は鉱滓や汚泥、電池、蛍光灯といったものから水銀を回収して、それを輸出しているということがございまして、輸出量として2006年は248トン、約250トンぐらいの輸出がございます。この辺の輸出によって今後途上国等で問題が起こらないようにするというのが、今後の課題というふうに考えているところでございます。
 水銀対策に係る我が国の国際協力ということで、国立水俣病研究センターを通じた協力、また、さまざまな水銀対策に関する国際協力事業を推進しているところでございます。
 (5)といたしまして、先ほど申し上げました有害金属対策戦略策定基礎調査というものを今年度から開始いたしまして、こういった議論に対応していきたいというふうに考えているところであります。
 8ページからが参考2でございますけれども、国連環境計画におけるこれまでの取り組みということで、2001年の決議から2002年の世界水銀アセスメントの公表、2003年、2005年の管理理事会での議論をまとめて記載してございます。水銀パートナーシッププログラムというものが9ページから説明してありますけれども、これもさきにご説明いたしましたボランタリーな水銀パートナーシッププログラムということで、塩素アルカリ工業、製品中の水銀削減、3番といたしまして金の採掘、4番として石炭燃焼における水銀の排出防止、10ページにいきまして、水銀の大気中移動と運命の研究ということで、こういった活動をしている。日本も、特に(5)番のところで積極的に関与しているところでございます。
 参考3が重金属関係の今回の管理理事会の決議を和訳したものでございまして、詳細は割愛させていただきますが、11から14ページまでが決議の和訳でございます。
 参考4といたしまして、他の国際機関諸外国における取組状況ということで、幾つかまとめてございます。特に注目されるのが(2)の国連欧州経済委員会におきましては、1998年に長距離越境大気汚染条約のもとで、重金属議定書というものを採択されておりまして、水銀の排出というものは、欧州におきましては、国際条約のもとにあるという状況でございます。
 (3)欧州連合の動きということで、いろいろ書いてございますけれども、16ページにいきまして、2006年、去年の10月に、欧州委員会から欧州議会に対して水銀輸出禁止規則(案)といったものが提案されました。内容としては、域内からの水銀の輸出を禁止する。域内の貿易はできるわけですけれども、EUからの水銀の輸出を禁止するということと、あとは塩素アルカリ工業での水銀の使用を禁止し、また廃棄する場合には安定な廃棄の方法をとる。こういう内容の規則(案)が提案されたという状況にございます。
 米国におきましては、これはボランタリーな取り組みを強く主張していたわけですけれども、米国国内におきましては、最後にございますような大気中への水銀排出量を1990年基準で2020年までに70%ぐらい削減するというふうな水銀戦略というものを策定しているところでございまして、こういったものも参考にしながら、我が国としても戦略を考えていきたいということを考えてございます。
 私からは以上でございます。

○環境安全課長 それでは、引き続きまして2番でございます。18ページでございます。化学物質環境対策小委員会における審議状況について、説明をしてまいりたいと思います。
 まず、化学物質対策につきまして、我が国における化学物質管理の一つの大きな柱でございます化管法と化審法が、それぞれ平成19年、21年に見直しの時期を迎えるということから、18ページの経緯のところにございますように、昨年11月、環境大臣から中環審に諮問を行ってございます。それを受けまして、前回の本部会におきまして、小委員会の設置を認めていただいたところでございます。
 その後でございますが、12月26日、第1回の小委員会を開催させていただいたところでございます。
 次の19ページに小委員会の名簿をつけさせていただいてございます。小委員長には当部会の部会長の佐藤先生にお願いしてございます。
 26日につきましては、第1回目でございましたので、化学物質環境対策のあり方について、自由討議を行っていただいたところでございます。この際の各委員から出されました意見を整理してまとめたものが別添1となってございます。諮問に当たりましては、化学管理のあり方の見直しについて、昨年の4月にまとめられました環境基本計画の体系に沿いましてそれぞれ議論を行うということで考えておりまして、このまとめにつきまして、意見の整理につきましても、この体系に沿いまして、まず1番が全体に共通する事項、2番が科学的な環境リスク評価の推進、効果的なリスク管理の推進、リスクコミュニケーション、国際的な協調のもとでの積極的対応といったような事項について整理を行ったものでございます。
 また、ご意見の前に、環境基本計画における関連部分について記述をしておりますが、大部でございますので、詳細につきましては後ほどお目通しをいただければと考えてございます。
 それでは、18ページに戻っていただきまして、26日の小委員会におきましては、こうした自由討議とあわせまして今後の進め方につきまして議論いただいております。18ページの中ほどのところの2番にございます。まず、今回の化管法、化審法、それぞれ見直しを行うわけですけれども、まず19年度見直しとなっております化管法につきまして、まず先に審議をしよう。これについては共管となってございます、経産省の産構審と合同で、19年夏をめどに中間の取りまとめを行うこととしております。それ以降のスケジュールにつきましては、今後の小委員会における審議を踏まえて決定するということでまとめていただいたところでございます。
 その後、2月9日でございますが、第1回目の合同会合というのを開催したところでございます。20ページに産構審側のワーキンググループのメンバーをつけさせていただいており、こちらの座長は中西先生にお願いしております。第1回合同会合の内容でございますけれども、これにつきましては33ページをお開きいただきたいと思います。議論につきましては、先ほどお示しをしました別添1、小委員会からの意見の報告なども行いまして、それぞれの委員が自由討議を行うということでございましたが、それとあわせて、合同会合の検討課題及び検討スケジュールについても議論が行われておりまして、この別添2のとおり決めていただいたところでございます。
 今後、この夏に向けまして、6回または7回の合同会議を開催するということ、それぞれ各回ごとに、下にございますようなテーマを決めて議論を行っていくということが決められたところでございまして、次回の会合は3月13日に開催される予定でございます。内容としましては、平成17年度の、これは2月いっぱいをめどにまとめているところでございますが、PRTRデータの概要についてお示しをした後、制度の課題と今後の方向性についてご議論したいということを考えてございます。
 以上でございます。

○化学物質審査室長 それでは、続きまして35ページをお開きいただけますでしょうか。35ページには、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律、化審法の施行状況についての資料をつけてさせていただいております。定形でご報告をさせていただいているものですので、詳細な説明は割愛をさせていただきますけれども、中央環境審議会環境保健部会の化学物質審査小委員会におきまして、新規化学物質、既存化学物質についてご審議をいただいております。前回の環境保健部会以降2回、月一度のペースということで開催させていただいておりまして、第63回、それから第64回の小委員会が開催されておりまして、新規化学物質につきましては延べ47件、既存化学物質については26物質について審議が行われております。
 36ページに移らせていただきますけれども、こちらには、中間物の特例に係る事前審査、審査が簡易なものというふうになっておりますけれども、その審査が142件、それから現在の規制対象物質の指定状況ということで、第一種監視化学物質が3物質追加になっておりますけれども、現状を紹介させていただいております。
 続きまして、37ページに入らせていただきます。こちらの化学物質をめぐる国際潮流に関するシンポジウムの開催及びREACHへの対応に関する事業者アンケートの実施についてという内容の資料でございます。お手元には青いビラも配らせていただいておりますけれども、国際シンポジウムを2つ3月に予定をしているということでございます。このシンポジウムの趣旨でございます。若干説明を37ページに沿ってさせていただきますが、化学物質、国際的な動向を十分踏まえつつ、今後の取り組みを考えていく必要があるわけですが、昨年、特に12月に大きな動きが出てきております。欧州でREACH規則というものが成立をしたということでございます。このREACH、化学物質の登録、評価認可及び制限に関する規則ということでございまして、非常に野心的な要素を含んだ内容ということになっております。
 例えば、これまでの既存化学物質と新規化学物質のわくを取っ払ってしまう、一緒に扱ってしまうというようなことが一つ、それから、リスク対策、リスク評価ということを、これまでは国の責務としておりましたが、これを事業者に転嫁をする。事業者の方にリスク評価をやっていただくような仕組み、また、製品中に含まれる化学物質につきまして、有害なものにつきましてはサプライチェーン全体で、その情報や取り扱いをどうしたらいいのか、そういった情報も含めてこれを共有していく。これまでは川上から川下に情報提供が行われておりましたけれども、例えば川下から川上、逆方向につきましても、例えば新しく別の用途に化学物質を使うというようなことについては、川上にその情報を戻して、新たに必要に応じてリスク評価を行うというような内容が含まれておりまして、極めて新しい要素が入っているということがございます。
 このため、我が国の企業でも、そのREACHへの対応と、ヨーロッパに特に製品を輸出されているインダストリーの方々に対しては、非常に大きな影響を与えておりまして、注目をされております。また、NGO、NPOなどからも新たな方向性を示すものとして注目をされております。
 このほか、カナダで、昨年12月に新しい化学物質管理計画が公表されております。これはカナダのスティーブン・ハーパー首相が、環境大臣とそれから保健大臣と合同で記者会見して発表したものでございまして、こちらは、特に既存化学物質につきまして、優先度の高いものを絞り込んで、約4,000の物質を選んでおりますけれども、その4,000の物質について詳細な安全性評価をやっていくというようなことを発表しています。
 それから、アメリカでも、昨年8月になりますが、米国高生産量チャレンジプログラムというものがあります。これはボランタリーに自主的に事業者の方が既存化学物質の安全性をチェックをしている、自分で費用負担もしながらチェックをしているというものですけれども、高生産量でありながら、たくさんつくられていながら、自分がボランタリーにスポンサー企業になって、毒性情報をつくり出すという、そういう手が挙がらなかった化学物質につきましては、規制によってその情報を収集するという、そういう決定がなされております。
 また、一方アジアに目を向けてみますと、韓国でも、昨年の1月に有害化学物質管理法が改正されまして、またさらにGHS等などへの対応ということがなされておりますし、中国でも欧州の制度を強く意識した化学物質管理制度が制定され、例えば今年の3月には中国版ローズ指令が施行になるというような動向でございます。
 こういったように、化学物質をめぐる国際潮流、常に絶えず変化をしているということでございます。
 一方、国内では、先ほど環境安全課長からご説明ありましたけれども、19年の化学物質排出把握管理促進法の見直し、21年の化学物質審査規制法の見直し、これを念頭に置いて、新しい化学物質環境対策のあり方について検討が始まっているということで、今回海外の化学物質管理に関する最新動向について、さまざまな方々の理解を深めていただくということ、それから今後の化学物質管理のあり方について考えていただく機会を提供するということを目的に、東京と横浜で2つのシンポジウムを予定しております。
 次に、38ページ、次のページをおめくりいただきまして、この2つのシンポジウムは産業界、企業の方々から非常に好評をいただいておりまして、既に受付は終了しているところでございます。第1回の欧州REACHと我が国の対応というシンポジウムでございます。これは3月2日に科学技術館サイエンスホールで開催を予定しておりまして、欧州委員会の環境総局で実際にREACHを担当されている担当官に来ていただきまして、REACHの概要と今後の展望についてご講演をいただいた後、パネルディスカッションとして、欧州REACHと我が国の対応と題して、川上の化学物質をつくっているメーカーの方、そして川中、部品をつくっておられるメーカーの方、川下からは、自動車、電機をつくっている輸出されている企業の方、そしてNGOに集まっていただきまして、パネルディスカッションをしたいというふうに思っております。
 このシンポジウムはポイントは2つあるかなというふうに思っております。これまで化学物質規制というのは、化学物質をつくっておられる企業あるいは輸入されておられる企業だけを基本的には念頭に置いてきたということですけれども、今後は川中、川下の企業の方々まで含めて対応していくことがあるということで、さまざまな関係者に理解を深めていただいて、連携して取り組んでいく必要があるということでございます。そして、連携を深めるにはどうしていけばいいのかということでございますが、少なくとも例えばREACHに関する動向について情報を共有していただく、私どもも情報発信をさせていただくということが一つ、それから、今後の見通しについて、今後どういうふうに化学物質対策が進んでいくのか。既存化学物質対策も含めて、その先の見通しを関係者と共有をしていくということも、今後の非常に重要なことではないかなという問題意識もございまして、そういったことについて議論をしていきたいというふうに思っております。
 REACHという、非常に大きなハードルといいますか、課題ということでございまして、思い出すのは、アメリカのマスキー法というのがございますが、1970年に、クリーンエアアクトの改正法として成立したものでございますけれども、当時自動車の排出ガスを9割削減をするというような、そういう厳しい内容でございまして、とても当時の技術水準では対応できないという声が多かったのですけれども、国内の自動車メーカー、日本の自動車メーカーは大変なご努力をされて、そのレベルをクリアする技術開発が行われて、それが現在の自動車産業界の世界的な躍進にもつながった。環境に取り組むことがまた経済発展にもつながるという成功例の一つということでございまして、REACHへの対応も、今回は特定の産業界だけではなくて、すべての産業界が連携をしなければいけないということで、状況は違いますけれども、連携をしながら、これを乗り越えていくということで、環境にもよく、また新しい経済発展にもつながるというようなことになろうかというふうに思っております。環境省としても情報発信などをして、その後押しをするとともに、今後の化学物質対策のあり方について、そういった対応をどうしていくのかということも含めて、考えていきたいというふうに思っております。
 39ページにまいらせていただきますが、これは2回目のシンポジウムです。諸外国における化学物質管理の最新動向ということでございまして、3月30日に横浜で開催予定でございます。財団法人の地球環境戦略研究機関、IGESと共催ということでございまして、先ほど簡単にご紹介させていただきましたアメリカやカナダの動きにつきまして、担当官にご説明をいただく。また、欧州につきましても、REACHだけのみならず、ローズ指令、その他3R、リサイクルに関係する分野につきましても、化学物質管理の状況についてご報告をいただく。また、中国、韓国の化学物質管理担当官にもご出席をいただいて、情報発信をしていきたいというふうに思っております。
 化学物質につきましては、特に最近東アジアの生産、流通というのがふえてきておりまして、化学物質審査の制度を持っているのは東アジア、日中韓とフィリピンということでございまして、とりわけ日中韓での連携が重要になってきております。将来的には日中韓での制度のハーモナイゼーションというようなことも念頭に置きまして、まずその第一歩として情報交換を進めていくということが大事ではないかというふうに思っております。昨年12月に開催されました第8回日中韓3カ国環境大臣会合、TEMMにおきまして、日本側から情報交換について提案をし、その際の合意文書にそのことが盛り込まれてございます。このため、日中韓の間で作業を今後進めるという段取りになっておりまして、このシンポジウムにあわせて日中韓でも化学物質管理に関する情報交換、これを進めていき、また外部にも発信をしていくということをやっていきたいと思っています。
 40ページ、私の最後のページですけれども、REACHへの対応に関する事業者アンケートの実施ということでございますが、現在国内の製造者、流通者の方々を対象に、REACHへの対応状況や、あるいは今後の課題ということについて、それを明らかにすることを目的にしたアンケートを実施させていただいております。このアンケート、先ほどの2つのシンポジウムでその結果をご報告をさせていただくということを考えておりますけれども、実はREACHに関するアンケートは、国内初めてということでございまして、これはいろいろなところから関心を寄せていただいております。このアンケートの中では、REACHに対する理解、あるいは対応の状況、これに加えまして、今後の化学物質対策に関する意見などについてもお伺いをしておりまして、今後、仕組み、あり方を考えていく上での参考になるものというふうに思っているところでございます。
 私からは以上です。

○佐藤部会長 報告事項まだあるのですけれども、長丁場になりますので、ここで一度とめていただいて、(1)から(4)までの今ご説明いただいたことに、ご質問あるいはご意見等があれば伺いたいと思います。

○中杉委員 一番最初の金属の話ですけれども、こういう金属というのは、結局はなくなるわけはないので、循環をしていってどう管理していくかということが非常に重要になると思うんですけれども、我が国に入ってきている水銀の量というのは、6ページのところにありますけれども、水銀の輸出入に出てくるようなこういう輸出入だけではなくて、化石燃料に含まれて入ってくる量というのは、かなりの量になる可能性がある。それをどうやって管理していくか、重要な要素になりますので、この辺の情報もしっかり押さえていく必要があると思います。

○崎田委員 今、ご説明いただいた中で、欧州などでのREACHなど、新しい動きの中で、日本も非常に積極的に委員会を開催しているというお話を伺いました。私は、ぜひこういうことを積極的に情報発信をしながら進めていただければありがたいなというふうに思っています。なぜかと申しますと、やはりこういう新しくしっかりと企業の方にも参加していただき、情報をはっきりと把握して、それを発信していくことで、そういうことの管理を徹底して、社会の負荷を下げていくという、こういう新しい中では、市民自身が自分たちの役割も築いていく。そういうようなことも大変重要だと思っています。そういうときに、今までこの分野というのは、そういう市民に近いところの情報というのは、できるだけ最後に出していくというか、どうやって出すか、すごく気を遣いながら出してくださるという状態だったと思うので、例えばGHSなども随分早くから国連の方で世界的に取り入れましょうと決まって、2008年までに世界的に取り入れましょうということで、最初は日本も2006年までには取り入れますというふうに積極的にお話しされていたと思うんですが、今は割にさりげなくご検討を進めていらっしゃると思うんです。こういうことが普通の製品にどんどんついていくことで、市民も暮らしの中で自分たちがきちんと選択し、きちんと使い、きちんと処理をするということが求められているのがわかっていくんだと思います。ぜひいろいろな情報を広く市民を巻き込んで発信しながら、こういう検討をしていっていただければ大変ありがたいなというふうに思っております。よろしくお願いいたします。

○佐藤部会長 ご要望ということで伺いたいと思います。

○佐和委員 6ページに関して、全く素人で、素朴な質問をするわけでございます。96年と2005年が2つちょうど並んでいるので比較しやすいので申し上げます。疑問点を申し上げますと、まず2005年でその他というのが96年の2倍になっているわけです。こういうデータとしてその他がほとんど4分の3を占めるというのは、よくわからないんです。その他の中身は一体何ですか。
 もう一つは、電気機器というのがございます。電気機器の中になぜ蛍光灯が含まれなくて、すぐ下に文章で書かれているんですが、円グラフの中におさめられている量は実際9.5トンですね、それに対して6.7トンですから、ばかにならない数字なわけです、その辺を。
 それから、最後にもう一つ、これは96年と2005年で、わずか10年の間に量的にいえば25トンから9トンへというふうに激減しているわけですが、何かこういうのの背景、つまり水銀を使わなくて済むような、そういうテクノロジカル・イノベーションのようなものがあったのか。新しい材料が何かあったのか、その辺のことについて教えていただきたいと思います。

○佐藤部会長 今、ご質問が3点あったと思いますが。

○環境安全課長補佐 その他につきましては、非鉄金属需給統計の中で「その他」というふうに書いてございまして、これは業界の人にもいろいろ聞いているのですけれども、なかなか情報が集まらないところで、現在調査中でございます。
 これが減った背景といいますか、1986年ぐらいから96年までで電池がかなり減っているというのは、これは電池のゼロ水銀化、アルカリ電池の中のゼロ水銀化というのがどんどん進んでいったということでございまして、96年から計量器が減ってきているのは、恐らく、温度計とか、または血圧計とか、そういったもののデジタル化が進んでいったというふうなことがあるのかなというふうに考えているところでございます。
 蛍光灯が抜けているというのは、これも業界のヒアリングの中でこれが抜けているというふうなことが指摘がありましたので、たまたま需給統計からは抜けているということのようでございますので、詳細につきましては我々としても把握しておりません。

○佐藤部会長 先ほど中杉先生からのご指摘もありましたけれども、中身がもうちょっとわかるようなデータというのがあるといいなというふうに思います。

○藤井委員 水銀に関して、6ページ、16ページと重ねて質問します。輸出量が249トンになっているということで、輸出量と輸出金額は出ているんですが、このことによって途上国に問題が起きないようにというのが課題ですというコメントがありました。どういう国に、どういう地域に、どういう分野にという、そういう輸出側がきちんと管理しているかどうかというのが一つ。
 水銀については、水俣の問題もあるので、日本がオピニオンリーダーになりたいということを頭におっしゃいましたが、ならば、16ページにあるように、EUがもう2011年7月以降水銀の輸出をEU域内から外には禁止するという方向を打ち出していますが、日本についてはどうなっているのか。その2つについてお願いいたします。

○環境安全課長補佐 輸出量につきましては、現在これを管理する制度がございませんので、相手先を見てみますと、7ページにございますように、イランなどに輸出されているということであります。この辺、業界によりますと、イランではアルカリ製造の工場に使われているのではないかというふうな推測はございますけれども、現在これを管理する制度がないという状況でございます。
 先ほどご指摘ありましたように、欧州では2011年に域外への輸出を禁止するということで、域内では流通できるわけですので、例えば、蛍光灯の製造などにつきましても、域内で調達すれば済むわけですけれども、日本につきましては、例えば蛍光灯を東南アジアでつくるためにこれを輸出するというふうなことが現在行われているところでありますので、そういったところもあるということを考慮に入れた上で、どういうふうに欧州の動きに対応してどのように貿易を管理していくのかというのが、これからの課題というふうに考えております。そういった枠組みづくりに向けて、関係省庁とも協議しながら、対策を進めていきたい。これはこれから始めていく分野というふうに考えております

○藤井委員 ちょっと驚きましたが、管理体制がないということ、現状はわかりました。

○佐藤部会長 現状、こういうことなので、その先どうするのかという議論は進めていかなければいけないと思います。

○花井委員 私も全く同じ質問をしようと思っていました。今の回答に対して、再質問になりますが、先ほどの説明で、開発途上国で問題が起こらないように、起こるのではないかというニュアンスでしたが、現在これらの国に輸出している企業が現地でどういう扱い方をされているか、そういうことに対しては全く何もないということなのでしょうか。それから、不法投棄された産業廃棄物の中に含まれていた場合、それは追いようがないとは思うのですが、その辺は政府としてどのように認識しているのでしょうか。先ほど中杉先生から化石燃料に含まれているのはどうなるのかとありましたが、それと同じように、不法投棄された産業廃棄物が相当あるとも聞きますが、そこに含まれていた場合どうするのか。不法投棄それ自体が問題なんですが、その辺の把握のあり方と、あるいはどのように認識されているのか、ぜひ教えていただきたいと思います。

○環境安全課長補佐 まず、産業廃棄物の管理につきましては、もちろんこれは水銀が含まれるものは特別管理産業廃棄物ということで管理はされているわけです。不法投棄対策というのは、もちろんそれが起こらないように対策を、廃棄物リサイクル対策部において対策が講じられているというふうに理解しております。
 現在、輸出先でどういうふうに扱われているかということを管理する仕組みがないのかというご質問でございますけれども、これは確かに現在のところ水銀を含む農薬につきましては、これは輸出の際には相手方に通報しなければいけないという仕組みになっておりますけれども、農薬以外の水銀につきましてはそういう制度がないという状況でございます。これにつきましても、先ほどから申し上げておりますように、これから何らか対策を立案していくということを考えております。

○環境安全課長 若干追加をさせていただきますけれども、水銀につきましては、例えばこの部屋に蛍光灯がございます。蛍光灯を光らせるためにどうしても水銀が必要だというふうに、代替するのがないものもございますし、また、一方で例えば金の採掘の際に利用しているようなものについては、それはほかの用途で代替できるといったものもございます。当然日本のような先進国ではもう既に使われていないような技術もございます。ですから、そうした枠組みづくりということとあわせまして、途上国においてそうした先進国で既に使われているような技術について支援をするかどうか。実際に途上国における水銀のさまざまな濃度測定とか、そうした技術の支援といったようなものも、まず枠組みづくりの前に極めて重要なものだと思っております。そうしたものがまず整っていくということとあわせて、仕組みをどうするか。両方必要になってくると思っております。
 まず、前段の技術支援とか、そうしたものについて、現在日本として非常に、ある意味国立水俣病総合研究センター等で非常に高いものを持っているものがございますので、これはかねてからずっと行っております。今後もその分についてまずしっかりやっていく。あわせまして、国際的な枠組みについても積極的に貢献していくということで考えているところでございます。

○花井委員 質問ですが、これらの国に対して何年間輸出しているのですか。今、課長がおっしゃった取り組みはとても大切だと思うのですが。何十年なのか、最近始まったのか、その間全く日本から何の支援もなく輸出していたということなのか、そこを知りたいと思います。

○環境安全課長補佐 この輸出につきましては、最近の200トンというのは、これは国内の生産量が大体100トンぐらいといわれておりますので、恐らく、在庫を放出したのではないかということを業界の方がおっしゃっていたところであります。大体このくらい、100トンぐらいのレベルで最近5年間ぐらいはそのくらいの輸出がされているというふうな統計がございます。こういった問題がございますので、こういった問題を解決するために、現在条約交渉について、これから検討しようということで、日本もその中で積極的な貢献をしながら、まさに条約等の議論をしていきたいというふうに考えているところでございます。

○佐藤部会長 まだご議論あるかと思うんですけれども、残りの部分がございますので、そちらへ移らせていただきたいと思います。もし時間がありましたらまた戻れるかと思うんですけれども。それでは、続いて(5)小児の脆弱性を考慮したリスク評価検討調査から、(8)の石綿健康被害救済法に基づく受付及び認定等の状況について、事務局からご説明ください。

○環境リスク評価室長 それでは、41ページから44ページまでが私からご説明をさせていただきます。
 前回12月6日の第16回の当部会におきまして、小児環境保健に関する取り組みについてご紹介させていただいたわけですが、その後の進捗状況について、追加してご報告をさせていただきます。
 前回ご説明させていただきましたように、平成18年8月に小児の環境保健に関する懇談会報告書を取りまとめていただきました。この報告書に基づきまして、小児の環境保健に関する研究プロジェクトを平成19年度予算として要求中であるということを前回ご報告いたしました。41ページに事業計画を書いてございます。2.事業計画といたしまして、研究基盤の整備、研究拠点群の形成、人材養成等々でございます。また、重点プロジェクト研究の推進として、そこに掲げてあります5つのテーマについての研究を推進していくということをうたっております。
 続いて42ページは、41ページの内容をシェーマにしたものでございます。41ページでご紹介いたしました重点研究につきましては、そのうちの一部を競争的研究資金すなわち科研費として創設をすることを進めております。それが43ページでございます。
 次に、44ページをお開きください。競争的研究支援でございますが、既存の環境技術の開発等推進費という枠組みの中に、(1)に書いております基盤研究開発という分野がございます。その中の一分野といたしまして、次世代型環境リスク評価技術等分野が既にございましたので、この中に健康リスク評価分野を新たに創設して、新たな分野として規定をした上で、公募をすることとしました。
 公募のテーマとしては、大きく分けて、小児の脆弱性を考慮したリスク評価の研究、環境リスク評価手法に関する研究、社会における環境リスクのとらえ方(リスク認知)に関する研究の3分野を公募することといたしました。
 新たな分野を創設いたしましたので、44ページの下段に書いてございますように、研究の評価をしていただく総合研究開発推進会議に新たに健康リスク評価分科会を設置し、採択等の評価をお願いしていくこととしております。
 既に、2月8日に報道発表をしておりまして、2月8日から2月28日までの公募期間で、現在、研究を募集中でございます。
 以上、簡単でございますが、ご紹介をさせていただきました。

○特殊疾病対策室長 続きまして、45ページの水俣病対策について、ご説明をさせていただきます。
 まず、水俣病対策をめぐる現状です。現状について、5点、簡単にご説明させていただきます。
 公健法の認定申請が出ており、1月20日現在で4,917名いらっしゃいます。それから、損害賠償訴訟、この原告が1,150名でございます。新保健手帳につきまして、これが7,876名の方が現在交付をされているというところです。
 次に、認定審査会の再開と検診医の確保のところでございますが、熊本県で2年間に及びとまっておりました認定審査会が再開されたというニュースがございました。
 それから、最後ですが、申請者医療受給者の増加、これは認定申請者がふえており、3,561名という状況です。
 続きまして、次のページです。これは与党の動きということでご報告させていただきます。与党に水俣病問題に関するプロジェクトチームというのがございまして、1つは課題といたしまして、救済策を検討するにしてもそのデータがない、未整備であるということ。それから、もう一つは先ほど申し上げました認定審査会が再開していないということがございまして、これを受けて課題の解消をするためにはどうしたらいいかという話です。少なくとも環境整備をしようというのが一つ。
 それから、認定審査会を再開して、認定基準を満たす方については早期に救済する方向で検討しようではないかというところでございます。これを用いまして、平成19年度の予算を活用して、ご自分が被害を受けたというふうに思っておられる方々の人数や症状、あるいは日常生活の支障の程度について実態を調査しようということです。こういうものを通じて認定審査会を再開したらどうかというところです。
 既に国では調査費については確保しておりまして、現在、熊本、鹿児島、新潟の3県にご協力をいただいているというところです。このような今後のデータが得られることを見きわめて、検討していこうということです。
 以上です。

○石綿健康被害対策室長 引き続き、石綿による健康被害の関係でございます。47ページ、認定作業を進めております受付状況でございますが、これまでに3,658人の患者さん及びご遺族の方からの申請がございました。対応状況でございますけれども、現在療養中の患者さんに関しましては、1,573人のうち1,120人の方につきまして、何らかの処分を一度は行ったということでございます。内訳はご覧のとおりでございます。
 それから、施行前死亡者ご遺族の方への支給でございますけれども、これも2,085人の申請のうち1,665人の方につきまして何らかの処分を行ったという形でございます。こういう形で認定作業を進めております。
 以上でございます。

○佐藤部会長 それでは、後半部分の(5)から(8)までについて、何かご質問、ご意見等があれば伺いたいと思います。

○藤井委員 水俣病対策の件で、45ページのところで、熊本県が認定審査会については委員の内諾が得られて手続が行われているというふうにありますが、次のページにある認定審査会再開による認定基準を満たすものの早急な救済とありますが、この間ずっと水俣に関する懇話会などを含めて最高裁の判決以降認定基準を見直さないという国と、それから懇話会の対立構造などをメディアを通して見てきております。この中で、熊本が何ゆえにというか、ダブルスタンダードでは、審査会を開けないと主張していたのに、どのようなことでこの課題を突破できたのか。では、なぜ鹿児島はできないのかという、そこのあたりを教えていただきたいと思います。

○特殊疾病対策室長 ご説明させていただきます。
 なぜ開かないかというか、そもそもこれは法律で決まっている事務でございますので、私どもとしては認定審査会を開けていない状況が基本的には異常な状況と認識しておりまして、開いていただくのが制度上は当然のこととなっております。ですから、熊本の場合には制度に則って開催していただいたということと認識しております。鹿児島県につきましては、関係の方々のご同意が得られないというようなことがあるのではないかと思っております。当方といたしましては、現在、鹿児島県だけが開けないという状況でありますので、今後お願いしてまいりたいと考えております。

○佐藤部会長 ほかにいかがでしょうか。

○浅野委員 藤井委員が、先ほど水俣病の懇話会のことに触れて発言をされましたが、懇話会報告を詳細に読めば、ちゃんと懇話会としては一定の理解を示して、合意をしておられるという事実がありますから、別に対立をしているわけではないということを確認しておかなければいけないと思います。最高裁の判決も、認定基準そのものには触れていないということは、これは法的には客観的にそのとおりです。この点についても懇話会では十分議論された上で、一定の結論を出しておられるということはご指摘申し上げておかなければいけないと思います。
 次に、研究費に関してですが、多少気になりますのは、環境リスク評価というテーマについては、ほかの研究費でも結構同じものが出てくるわけです。ですから、同じ環境省の中で所管しておられる研究費の仕分けが必ずしも十分に局間でできていないのではないかという心配があります。ですから、同じような研究が両方にそれぞれ出てくるという事態は余り好ましくないですね。新しい制度をおつくりになるのは一向に構わないのですが、他の局でやっておられる研究費の分野とよく調整をして、そこで行政指導して、出てきたものを、これはこちらで審査を受けるべきだというふうにしていただかないと、環境保健分野のものが地球環境の方に来たりすることが結構あります。さらに地球環境の方にこられますとその種のものはどうしても不利に扱われますということがございます。ですから、ぜひ、これ自体は悪いことではないと思いますので、ご留意いただきたいと思います。
 また、前の議題で話題になっておりました外国への輸出の問題ですが、これはたまたまセンシティブな水銀の問題が出てきたのでびっくりしたということであるかもしれませんが、もっと単純な自動車ですら中古車の輸出実態がどうなっているかさっぱりわからないという状態であって、例えば香港向けに輸出されている、しかし香港でそんなに走るはずがない台数が香港に輸出される。そこからまたどこへ行くかは全然わからないという実態があるわけです。このように、物の流れを我が国がどこまで正確に把握するかは、政策を考える上でも重要な課題です。せめてその突破口を開くという意味でも、こういうセンシティブな有害物質について道が開ければいいのではないかと思います。ぜひ担当部局では、国際条約の締結も含めて、この辺についてやっていただきたいと思いますし、国内の措置として、条約がなくてもできることがあるだろうという気がいたします。つまり、マニフェストというのは国内限りのものなんですけれども、国際的なマニフェストを義務づけるというのはないわけではないだろうと前から思っているのですが、一般的にあらゆる物についてそんなことを要求するのは無理だといわれそうですから、せめて有害物質についてはそこまで追っかけられるような仕組みを先行的に考えてみるとほかに広げやすいということがあると思います。ですから、驚いたということはそのとおりですけれども、もっと我々は別の分野、こんなものすらわかっていないという驚きを日常的に体験しておりますので、ここはぜひ関係省庁の間の連携をとりながら、進めていただきたいことだと思います。

○佐藤部会長 いろいろご意見を伺ったと思います。ほかに何かご質問等ございませんか。

○中杉委員 先ほどの話題に戻ってしまうのですけれども、先ほどご説明があった水銀農薬については国際条約があるということです。条約では水銀そのものは対象になっていないということですか。そこへ入れるような議論というのは今のところ全く起きていないということでしょうか。

○環境安全課長補佐 それは一つのオプションとして考えられております。あとはポップス条約の中で有機水銀を何とか入れられないかという議論というような議論が、オプションが提出されている状況でございます。

○佐藤部会長 もう既に出ておりますけれども、前半部分についても議論がなされております、それでも結構でございます。

○崎田委員 質問をさせていただきます。47ページの最後のところなんですけれども、石綿のところ、ここなんですが、3,650人で、今、療養中の方が1,573、療養者が大体1,120、こういうデータが出ていますが、これはまだこれからこういう方がふえるという状況での把握か、その辺の状況を教えていただければありがたいなというふうに思っています。そして、それに関する療養状況とか、体制が整っているかどうか、今、数字だけだったので、もうちょっとご説明いただければありがたいというふうに思います。よろしくお願いします。

○石綿健康被害対策室長 制度の紙をお持ちすればよろしかったかもしれません。石綿健康被害につきましては、救済法という制度ができておりまして、石綿による健康被害をこうむった中皮腫の方、あるいは肺がんの方については認定をして救済をするということでございます。そういうための制度ができておりますから、患者さんそのものは、石綿による健康被害そのものが曝露してから30年、40年たって発症するという特性があるものですから、これからまだまだしばらく出てくるだろうという想定のもとに対応をしております。
 療養の体制というのは、病院の体制のことでございますか。

○崎田委員 いわゆる救済法に基づく体制整備という、その辺は問題なく進んでいるかどうかというふうに、全体論で伺いました。

○石綿健康被害対策室長 全体で申し上げれば、当方の制度は金銭を支払うという仕組みでございますけれども、その中には当然医療費も入っています。その医療費を受けて療養を受ける病院というのも、これは厚労省の担当になりますけれども、それぞれ専門の病院をつくったりして、あるいは関連の医療機関の方々に対するある意味の研修のようなことも行って体制を高めているという状況でございます。

○佐藤部会長 認定に携わっていらっしゃる先生方もいらっしゃいますけれども、何か。

○井内委員 今、室長から説明があった認定制度そのものが、さまざまマスコミからも批判を受けたりしておりますけれども、実は、中皮腫と肺がんという、2つの重篤な悪性腫瘍に関する認定作業というのは、大変難しいというのが現状でございます。私は病理という、病気の診断をつけるところにおるわけでありますけれども、中皮腫という病気というのは、医学的な基準での診断というのは大変難しい。つまり、ほかのものがまじってしまう。中皮腫でないのに中皮腫だといわれていたり、逆に、本当に中皮腫であるのに、中皮腫としての診断がうまくついていないという例が、私の今の感じでは10%から20%ぐらいまじっている。ですから、それをうまく峻別しませんと、正しい保障というのはできていないというふうな格好になろうと思うので、その辺に時間をかけているというふうに思います。
 それから、肺がんの場合ですと、ご存じのように肺がんの七、八〇%というのはたばこが主原因だというふうにいわれておりますので、そこにアスベストによる肺がんであるということを決めるサイエンティフィックな証拠というものが十分でないわけです。それを厳密にやろうとすれば大変厳しくなるし、緩めればアスベストで本当にこの人が肺がんになったのかなというふうな人まで救わなければいけない。救済制度そのものの根幹にかかわる問題でございまして、大変難しいというのが現状です。そういうことを担っている我々としては大変苦しい立場におりますけれども、できるだけ救済の方向で考えるというふうにはしております。
 医療現場ではどうかということでございますけれども、そういう可能性のある患者さんを診られたドクターへは、どんどん情報が流れておりますので、多くの場合しっかり申請をしていただいていると思います。ただ、残念なことに、認定ということになりましても、実は中皮腫に関していえば治療法がほとんどない。平均余命が1年ちょっとぐらいしかない。肺がんについても、治療効果のある方もいらっしゃいますけれども、やはり重篤な病気だということで、その後のことを考えると、認定という作業が済んだ後も、患者さん、それから家族の方には大変な負担がかかっていることは事実だというふうに思います。それを含めて、制度をうまく運営していくということに関しては、関係者が努力をしなければいけない状況だろうというふうに思っております。認定作業に関しては1カ月に2回ぐらい集まって、皆さんで一生懸命急いで認定結果が出るように、最大限努力はしているつもりでございます。
 以上です。

○佐藤部会長 井内先生から、実際に認定にかかわっていらっしゃるわけですけれども、ご苦労というか、大変だというお話を伺いましたけれども、本当に私も大変だなというふうに思っております。
 ほかにございませんか。もしこれ以上ご発言がなれれば、そろそろ時間でございますので、議論を閉じたいと思っておりますけれども、事務局から何かございますか。

○調査官 2点ほどございます。
 1点は、次回の日程でございますが、後日事務局から調整させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 あと一点は、本日の議事録についてでございますが、原案を作成しまして、先生方に郵送による確認をいただきまして、その後、環境省のホームページで掲載する予定にしておりますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。

○佐藤部会長 それでは、本日の会議のすべてをこれで終了したいと思います。どうもありがとうございました。

午前11時55分閉会