第9回中央環境審議会環境保健部会議事録

1.日時

平成15年2月13日(木)10:00~12:00

2.場所

環境省第1会議室

3.出席委員

(部会長) 鈴木 継美
(部会長代理) 浅野 直人
(委員) 小早川 光郎  崎田 裕子
清水 誠  羽生田 俊
(臨時委員) 井口 泰泉  今井 武
江頭 基子  香川 順
北野 大  酒井 伸一
櫻井 治彦  高橋 公
只木 可弘  中館 俊夫
森 千里  森田 昌敏
吉岡 義正  若林 明子
(五十音順)
(事務局) 南川環境保健部長  石野企画課長
安達環境安全課長  早水化学物質審査室長
鈴木環境リスク評価室長  古澤保健業務室長
上家特殊疾病対策室長 他  

4.議題

(1) 今後の化学物質の審査及び規制の在り方について
(2) 公害健康被害の補償等に関する法律の規定による「障害補償標準給付基礎月額」及び「遺族補償標準給付基礎月額」の改定について
(3) その他

5.議事

【石野企画課長】 定刻になりましたので、第9回中央環境審議会環境保健部会を開催させていただきます。
 現在、委員及び臨時委員の過半数の方のご出席をいただいておりますので、定足数を満たしており、本部会は成立いたしております。
 なお、本日は、織田委員、藤井委員、池田委員、内山委員、佐和委員、中杉委員、真柄委員、満岡委員からご欠席との連絡をいただいております。
 続いて配付資料の確認をさせていただきます。
               (配付資料の確認)
 資料に不備な点がございましたら、お申し出いただきたいと思います。
 それでは、鈴木部会長に議事進行をお願いします。

【鈴木部会長】 まず、本日の会議ですが、非公開とする理由がございませんので、公開とさせていただきます。
 なお、公健法の補償給付月額の改定を議題にした場合には、これまで非公開の取扱いをしてまいりましたが、森嶌中央環境審議会会長のご指示もございますし、また、私自身も公開しても審議に特段の支障はないと思いますので、今回から公開の取扱いとさせていただきたいと思います。
 審議に先立ちまして、中央環境審議会の委員の改選が行われましたので、新しい委員のご紹介を含めて、事務局から説明をお願いします。

【石野企画課長】 それでは、1月6日付けで委員の改選・再任が行われましたのでご紹介申し上げます。資料1をご覧いただきたいと思います。新しい委員としてお2方が任命されております。織田委員は本日はご欠席でございます。崎田委員でございます。

【崎田委員】 崎田です。どうぞよろしくお願いいたします。

【石野企画課長】 新たな臨時委員としてお3方が任命されております。中館委員でございます。

【中館委員】 中館でございます。よろしくお願いいたします。

【石野企画課長】 森委員でございます。

【森委員】 森です。よろしくお願いいたします。

【石野企画課長】 吉岡委員でございます。

【吉岡委員】 吉岡でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【石野企画課長】 今回ご退任となりましたのが、野中委員、甲斐臨時委員、黒川臨時委員のお3方でございます。以上でございます。

【鈴木部会長】 ありがとうございました。
 次に前回議事録の確認でございますが、資料2の議事録案をご覧いただきまして、修正すべき点がございましたら、来週2月20日(木)までに事務局へお送りいただくということでよろしゅうございましょうか。
 必要な修正をした上で公開したいと考えております。
 それでは審議に入ります。議題の1は「今後の化学物質の審査及び規制の在り方について」の審議であります。
 昨年9月13日に環境大臣より中央環境審議会に対して「今後の化学物質の審査及び規制の在り方について」諮問され、環境保健部会に付議されました。本部会では「化学物質審査規制制度小委員会」を設け、小委員会において審議を進めることといたしました。小委員会では本年1月30日に報告をとりまとめましたので、その報告について本部会で審議を行いたいと思っております。
 まず、小委員会の審議の状況について、小委員長を私自身が務めましたので、私から説明させていただきます。
 化学物質審査規制制度小委員会の委員は、資料3-1の最終ページの名簿にお示ししたとおりでございます。特色は、この部会だけでなく、水環境部会や野生生物部会にも属していらっしゃる方にもご参加いただいて、分野を横断した形の議論をしようと考えて、ある程度うまくいったのではないかと思っております。
 小委員会の審議状況につきましては、資料4の最後にございます。小委員会の第2回会合以降は、厚生科学審議会及び産業構造審議会それぞれの委員会との合同会合において審議を進めました。3つの異なる省の委員会が合体して議論をしたわけです。毎回40名以上の委員が出席するという非常に大きな会合でしたけれども、各審議会の委員が協力して議論を行うことによりまして、意見が1つにまとまりました。
 今回諮問されました内容は、大きく分けまして、生態系保全を視野に入れた化学物質の審査・規制の導入と、より合理的かつ効果的な化学物質の審査の促進等についての検討であったと認識しております。
 これを踏まえて、第2回会合では「環境中の生物への影響に着目した化学物質の審査及び規制の在り方について」、第3回会合では「リスクに応じた化学物質の審査・規制制度の見直し等について」を議題として審議を行いました。
 これらの審議を踏まえまして、昨年12月19日に開催いたしました第4回会合におきまして報告案をとりまとめ、翌日から国民の意見を本年1月20日までの1カ月間募集いたしました。この結果、55の個人・団体から合計332件にわたり幅広いご意見をいただきました。非常に幅が広くて、いろいろと回答に苦労するようなところもないわけではございませんでした。
 これらのご意見を踏まえて、1月30日に開催した第5回会合において報告案から一部記述を修正して、3委員会合同で報告をとりまとめ、また、意見に対する考え方や対応についてもとりまとめを行いました。
 本日は、報告とその概要、報告の参考資料、それに寄せられた意見に対する考え方及び対応についての資料をお配りしてございます。以下、事務局からこれらの内容について説明して下さい。お願いします。

【早水化学物質審査室長】 資料3-1がおまとめいただいた報告でございますが、目次を見ていただきますと、今、鈴木部会長からご説明がありましたように、大きく分けまして2つのパートになっておりまして、「環境中の生物への影響に着目した化学物質の審査・規制について」、後段が「リスクに応じた化学物質の審査・規制制度の見直し等について」ということで、この大きな2つの内容についておまとめていただいております。
 資料の後ろの方には個々のパーツの新しい審査・規制の考え方をフローで示しております。
 本日は、資料3-2として概要をお配りしておりますので、そちらの方でご説明したいと思います。この内容につきましては、前回の環境保健部会でも途中段階ということでご紹介いたしましたが、かいつまんでご説明させていただきます。
 1ページ目でございますが、まず「検討の背景」というのは、既にご説明いたしましたように、国際的動向やOECDによる環境保全成果レビューの勧告等を踏まえまして、環境中の生物への影響に着目した新たな対応とリスクの観点から効果的かつ効率的な化学物質の評価・管理を行うため、検討いただいたということでございます。
 「環境中の生物への影響に着目した化学物質の審査・規制について」という第1のパートでございますが、化学物質の生態系への影響というのは、なかなか定量的な評価が難しいけれども、特定の生物種を用いた生態毒性試験を活用することにより、生態系への影響の可能性が示唆される化学物質を特定できるという、OECDなり国際的に用いられているものを用いまして生態毒性の評価を行うという前提で、化審法におきましても事前審査を行い、それに基づいて規制を行うということでございます。
 規制につきましては、2.の4行目でございますが、生態系への影響の可能性を考慮した適正管理と、生活環境に係る動植物への被害を生ずるおそれがある化学物質に対する製造・輸入制限等の規制ということで、直接規制の導入に当たりましては、従来の公害規制法の考え方の延長で、生活環境の保全という概念の中にいる動植物への影響がある場合に直接規制を導入するという考え方を示しております。入り口のところでは生態系への影響の可能性を考慮した審査と適正管理という形でございます。
 直接規制につきましても2つに分かれまして、特に高蓄積性を有するものについては、高次捕食動物(鳥類、哺乳類のようなもの)に対して毒性がある場合は、現在の第一種特定化学物質と同様の規制、通常の難分解で蓄積性が高くないものにつきましては、従来の指定化学物質と同様の生態影響監視物質というものに対する規制、実際に生活環境に係る動植物への被害を生ずるおそれが認められた場合には、現在の第二種特定化学物質と同じような規制をするという考え方でございます。
 めくっていただきまして、次が「リスクに応じた化学物質の審査・規制制度の見直し等について」ということで、これは化審法全体について見直しをかけた結果でございまして、新たに3つの点を導入することになっております。
 1番目は、難分解性でかつ高蓄積性の性状を有する既存化学物質に対する対応ということで、現在の第一種特定化学物質の前段に当たります難分解性で高蓄積性までわかっている既存化学物質に関して、今まで特段の管理の枠組みがなかったということで、これについて製造・使用実態を把握して、一定の管理をする。その結果を踏まえて、必要な場合には、事業者に対して有害性調査、長期毒性の試験を指示するという考え方を導入しております。
 2番目は、暴露可能性を考慮した新規化学物質の事前審査制度の見直しということで、趣旨としては、環境汚染を通じた暴露可能性が低い新規化学物質については、事前の確認、事後監視により担保するということを前提として、柔軟な対応をするということで、2つのケースに分けてまとめられております。
 1つ目は、事業所内ですべて消費される中間物、閉鎖系用途で使われるもの、あるいは輸出専用品、これは相手国で審査が行われる場合に限っておりますが、そういったものについては、そういう形で扱うことが確実であるということが担保される場合に、事前審査の対象外とできるようにする。
 もう1つは、難分解で高蓄積ではないということまでわかったもので、年間製造・輸入総量が10トン程度までのものについては、特に広範囲な地域の環境中に残留することにより暴露するという可能性が極めて低いと考えられることから、既知見に基づいて毒性の評価をいたしますけれども、毒性試験のデータは10トンまでの間は提出を求めないで、製造・輸入ができることとするという形で、段階的な審査を導入するという考え方でございます。繰り返しますが、これにつきましては、事後監視として報告徴収なり立入検査のようなものをしていくという形になろうかと考えております。
 3番目は、従来の化審法は一度審査が終わったものについて特段の措置がなかったわけですが、薬事法の規定などを参考にいたしまして、審査項目に関して一定の有害性を示す情報を製造・輸入事業者が入手した場合には、国への報告を義務付けるという制度を創設してはどうかという内容でございます。
 最後に、これは恐らく法律の改正という形にはなりませんけれども、既存化学物質について、従来、国が評価するという形になっていたわけですが、最近の国際的な動向などを踏まえまして、事業者と国は、相互に十分連携して、その役割に応じて有害性評価等を計画的に実施するという考え方が示されております。
 以上が大きな2つの点でございまして、その他関連事項としまして、化学物質管理に関する制度間の一層の連携や整合性のある運用、また、リスクコミュニケーションの促進のための情報整備というものも付言されております。
 今申し上げました新しい審査・規制制度のイメージが最後のページにフローで出ております。白い部分が現在の化審法、黒い部分が今回提案されている部分でございます。生態影響のチェックとそれに基づく規制というものは、真ん中のラインの「動植物」と書いてあるところ、「生態影響監視物質」と書いてあるところなど、現在の人健康への影響に関する審査・規制と同様に入れていくという形になっております。第一種、第二種特定化学物質につきましても、動植物への影響で最終的にそこに入ることがあり得るということでございます。
 それから、リスクに応じた審査・規制制度の見直しという観点でいいますと、第1の点の難分解・高蓄積のものに対する対応というのが左側のラインの真ん中にあるものでございます。暴露可能性を考慮した事前審査制度の見直しということにつきましては、右上の、確認を受けたものについて事後監視を前提として製造・輸入を可とするという部分でございます。一番下に示しました有害性情報の報告の義務付けというのが第3点目ということになります。
 以上の内容についてのご提案を報告としてまとめていただいたわけですが、これにつきましては、案の形で前回この部会でもご説明したものについて、12月20日から国民意見を募集しまして、その結果を資料5にまとめております。資料4は、資料3をまとめるにあたっての参考資料でございます。資料5がパブリックコメントの概要でございます。
 めくっていただきまして1ページ目でございますが、先ほど部会長からもご紹介がありましたが、1カ月間に55件、延べ332件の意見が出されております。これは個人と会 社の区別がなかなかつかないものですから、特に区分けの内訳数字は示しておりません。
 その内容につきましては、下にありますように、生物への影響の部分とリスクに応じた……という部分のそれぞれについて同じような数の意見が出されておりまして、その他の意見も出されているという状況でございます。
 以下、次のページ以降に意見が示されておりますが、全部ご紹介する時間がございませんので、主な点だけご紹介いたします。
 まず「生物への影響に着目した化学物質の審査・規制について」というのは、2~3枚めくっていただいたII-1というページからスタートしておりますが、基本的には、既に遅かったというものですとか、早くやるべきだというご意見が出されておりますけれども、具体的なご意見としては、どんな試験法にするか、あるいは判断基準を明確にしてほしいとか、そういった今後検討する部分についてのご意見がいくつか出されておりました。II-2~II-7で、評価方法などについての意見も出されております。そのあたりは今後政府で検討するということですので、指摘の点について参考にしたい、また、判断基準については、なるべく明確化していきたいというようなお答えになっております。
 それに関連しまして、試験実施体制を整備してほしいというご意見がII-17あたり、73番、74番あたりから出されておりまして、また、GLPについても他の制度と整合をとってやってほしいというご意見がありまして、このあたりについては、特に試験実施体制の整備について、本文の方に記載されているところでございます。
 後段の「リスクに応じた化学物質の審査・規制制度の見直しについて」ということでございますが、これはもう少しめくっていただいたIII-1というところからスタートいたします。3つのパートに分けますと、難分解・高蓄積のものについて管理制度をつくることについては、賛成というご意見であります。これと、さっきの生物影響の部分に関して、規制の対象とする「○○物質」という名称について、誤解を招かないような名前にしてほしいという指摘がなされておりました。それについては今後検討するということでございます。
 それから「暴露可能性を考慮した事前審査制度の見直し」ということですが、これは・-6以降でございますが、趣旨としては賛成というご意見が多かったのですが、きちんと担保してほしいというご意見や、輸出専用品について、輸出相手国で問題が生じないようにというご意見が出されております。これらにつきましては、本文の方で既に含まれている内容でございます。
 それから「事業者が入手した有害性情報の取扱いに関する対応」ということで、これは・-14ページあたりから入っておりますけれども、これにつきましては、どんな情報を出すのかということについての判断基準を明確にしてほしいというご意見、また、こういった情報についてなるべく公表してほしいというご意見と、その際に企業秘密というものに配慮してほしいというご意見が出されておりまして、これらにつきましては、その趣旨が既に本文の方に盛り込まれているところでございます。
 最後の既存化学物質の部分につきましては、III-18ぐらいから意見が出されておりますが、これは早くやるべきだ、もっと計画的にやってほしいというご意見がいくつか出されておりまして、これについても本文の中に記載されているとおりでございます。
 ちょっと飛びますが、「IV.その他関連事項」ということで、化学物質対策はいろいろな法律にまたがっているということで、関係制度間の連携をとってほしい、あるいは法体系を見直すなり、IV-1の最初に「化学物質安全庁」のような独立組織をつくるなど組織体制を整備すべきだというご意見も出されております。関係制度間の連携につきましては本文に書かれておりますけれども、その後の法体系の一本化とか組織の一本化の点につきましては、とりあえず制度間、省庁間の連携が第一ですが、そういったものも、連携の状況を見ながら長期的課題として検討すべきというように考え方がまとめられております。
 それから、リスクコミュニケーションの部分についていろいろご意見が出されまして、この部分につきましては、審議会でもご指摘がございましたので、本文の方で少し修正がありました。資料3-1の20ページでございますが、リスクコミュニケーションは分野が幅広いということでございますので、この部分については、この報告の中では、化審法に関連する部分のみということで記述を整理いたしまして、最初にリスクコミュニケーションの重要性を述べていただいて、その中で、OECDの成果レビューで指摘がありました、国において正確な情報の整備、対応の推進等に努めることが求められているということについては、化学物質の審査・規制制度の運用に際して得られた情報の取扱いというのがこの化審法では求められているのではないかということで、一番最後に、化審法で行う部分、「具体的には、……」というところから始まっておりますが、情報の公表の在り方について、先ほど申し上げましたが、「企業秘密の取扱いとの整合性にも留意しつつ、公表の在り方について検討していくべきである。また、国が行った評価内容については、これを関係者にわかりやすい形で公表していくべきである」という考え方をまとめていただきました。ここの部分を少し整理しまして、最終回の会合でご了解をいただいたということでございます。
 その他いろいろ意見が出されておりますが、運用面についてのいろいろなご要望については、今後政府の方で検討するということ、それから判断基準、評価基準の明確化についても同じようなことでございます。
 もう少し数が多かったのは、前の検討会のときのご意見にもありましたが、最近の傾向といいますか、動物実験をなるべく減らしてほしいというご意見でございます。それにつきましては、今、必要最小限のものにしており、動物実験を全く廃止するということはできないけれども、代替試験法などについては、国際的な動向を見ながら、認められてくれば、それを活用するということも検討していかなければいけないということが本文にも記載されておりますし、この考え方・対応にも記載させていただいたところでございます。
 以上のパブリックコメントを踏まえまして、最終的に報告案から特に変わった部分は最後のリスクコミュニケーションの部分でございますが、その他、何箇所か字句修正を行いまして、本文の大筋については変わらないという形で、報告案から案を取っていただいて、資料3-1の形でおまとめいただいたということでございます。
 以上、報告の内容とパブリックコメントの概要につきましてご説明を終わらせていただきます。

【鈴木部会長】 どうもありがとうございました。
 それでは、報告について審議を進めますが、どうぞご遠慮なく。
 資料3-1の1ページのフットノートのところを説明して下さい。

【早水化学物質審査室長】 言葉遣いにつきまして、前回、櫻井委員からも若干ご指摘がありましたが、本文をまとめるに当たりまして、省略して繰り返しを避けるという意味もあって必要ということで書かせていただいております。この本文では、前回ご指摘がありました、まず上の部分について、「継続的に摂取される場合に人の健康を損なうおそれ」 というものについて「長期毒性」という言葉で置き換えているということでございます。
 それから、全体に「有害性」という言葉が何回か出てまいりますが、この言葉につきましては、通常は人に対する毒性あるいは生物に対する毒性のみを使いますけれども、この法律が、難分解で高蓄積のものに対していろいろな検討をしていくという仕組みになっていることから、特に、例えばさっきの有害性情報の提出に当たっては、いわゆる毒性のデータだけではなくて、難分解であるということ、あるいは高蓄積であるというデータについても出していただきたい、そういうことで「有害性」という言葉を広く使っているということでございます。
 それから、審査・規制法における、「規制」という言葉ですが、これも幅広い意味がございまして、直接規制として排出規制とか製造の禁止とか、そういった形だけを指すケースもありますけれども、ここではもう少し広く、「化学物質の管理や取扱いに関する法的措置を広く指す」ということで、例えば定量的な管理目標値に基づいた制限、これは化審法でいいますと、製造・使用の禁止をする第一種特定化学物質、あるいはその制限をする第二種特定化学物質の最後の部分の規制、そういった直接規制だけではなくて、化審法でいいますと、指定化学物質なり第二種特定化学物質の一般的な規制、すなわち製造量の届出や指針の策定・遵守、表示の義務などの緩やかな管理的な部分について「規制」という言葉でまとめているということでございます。

【鈴木部会長】 ありがとうございました。どうぞ。

【香川委員】 教えていただきたいのですが、製造・輸入総量が年間1トンとか10トンとかとありますけれども、これは日本全体でですね。そうしますと、例えば、ある1社が、ある特定の地域で10トン未満使ったとなったときはよろしいのですか。私が心配なのは、全体に散らばるという考えで規制しているのだと思うのですが、非常に限定された日本の中のある1地点でぎりぎりのものを使っているときに、その点を考慮した対策などはあるのでしょうか。といいますのは、欧米で特定の場所だけでいろいろなことが起きていることがよくありますよね。

【早水化学物質審査室長】 まずご質問の趣旨ですが、これは日本国全体ということですので、ご質問の内容とは外れますが、例えばA社、B社という場合は、A社とB社を足して1トンなり10トンという考え方であります。個々の会社ごとではないということです。これは「総量」ということで表現しております。その場合、ご指摘のように、ある1社が、ある1カ所で使うというケースについても、その会社だけであれば、1トンなり10トンというカウントの中に入ります。それについて問題が起きないかどうかということについてですが、もちろん構造などから見て問題がありそうな物質であれば、事前に確認のところではねることが可能であります。
 もう1つは、この法律の趣旨自体が、環境への残留を通して人への影響あるいは生物への影響を与えるような物質について、製造・使用というところで締めるという考え方でございますので、仮にある1カ所でばっと出ても、そういった形の問題というのは起きにくいのではないかということで、一応1トンなり10トンなりという考え方が示されております。
 事故的な排出で大量に出るようなケースについては、この法律の対象外という形になりますので、仮にそういう問題が起きるようなことがあれば、それは別の法律で管理するという形になろうかと思います。
 残留を通して影響するということについては、1トン以下なり10トン以下ということであると、それほど問題は起きないのではないかという考え方で、事前の確認をした上でオーケーをするという形で考えたわけでございます。

【鈴木部会長】 今の問題についてどなたかほかにございますか。
 香川委員、それでいいですか。

【香川委員】 私は何となく心配なんです。

【鈴木部会長】 どこかが9.999トン入れたらどうするのだ、そういう感覚ですか。

【香川委員】 そうではなくて。

【浅野委員】 多分、ご懸念の点は、本質的な問題としてはあると思います。化審法の世界だけでうまく処理するということはもともと無理でありますから、例えば、仮に100トンであっても、それがどさっと1カ所で使われるという事態は十分考えられる。ある特定の地域に大変なリスクが生じるということはあり得るわけですが、この法律はそもそも化学物質を日本に持ち込む、日本の中でつくるということを抑えようというものであり、持ち込まれたり作られたりした化学物質をその後どう使うかということに関しては、どういう用途かというところまでは届出をさせるのですが、どの地域でどのぐらい使われ、環境中に出てくるかということは、この法律では手が出せない。
 さらに、この法律で指定されている化学物質が農薬として使われる場合には、農薬取締法の世界に入っていきますし、医薬品として使われる場合は薬事法の世界に入っていく。用途のところにいきますと、別の法律がそれを仕切るという仕掛けになっているわけです。しかも、農薬取締法はようやく最近、最後の下流の使い道のところまで規制をかけることになりましたけれども、なかなか最終のユーザーのところでどう使われるかというところまではうまく抑えられるという構造になっていませんから、パブリックコメントに対する合同委員会のお答えの中でも、長期的には全体としての化学物質の適正なマネージメント、管理のシステムを考えていかなければいけない。一挙にそれをこの段階で化審法という世界の中だけで取り扱うことには少し無理があるので、将来の課題であるということになっております。
 ある地域でどれだけ使われていてという話は、PRTR法である程度把握するということになっていますから、そちらの法律の対象物質がこの法律で特例を認めるというようなものとうまくつながるようになれば、割合にその問題もうまく把握できるのですが、問題は、PRTR法でどういう物質を指定するかということについて、どのぐらいタイムリーに変更、追加が可能かということになります。これも制度的にはやって悪いことではないわけですから、本当に問題がありそうであれば、その形で抑えていく。そして、そこでもし本当にある特定地域で大量に使われて、環境中にも出ていることがわかれば、その段階でとりあえずは行政指導のような形が働くでしょうし、さらに必要なら、もっと別の法律を動かすことになると思います。しかし残念ながら、なかなかそこのところで機動的に動く法律がないことは事実でありますから、将来の課題としては、香川委員がおっしゃるとおり問題がありますので、一貫した化学物質管理のシステムをつくっていかなければいけない、ということは、私もかねてから考えておりまして、同じような考えを持っております。

【鈴木部会長】 ありがとうございました。お2人の委員から同じ方向の、今回の改正の穴みたいな部分があるぞ、それは化学物質に対する対策を総合的に考えなければいけない部分なんだ、というようなご指摘だったと理解いたします。しかし、今の議論の範囲ではそれはとりあえずは扱いようがない部分とも言えます。

【香川委員】 将来の課題ということで。

【鈴木部会長】 ほかにございますか。

【高橋委員】 関連なんですが、こういった化学物質の管理状況に関しては、一元的に管理が必要ではないかという意見もあったということですが、それに対する答えが、関係省庁間の一層の連携を図るということと、状況を見ながら長期的に検討すべき課題と考えますという回答になっているんですね。日本の国は、ある種、成熟状況にあるだろうということからいえば、化学物質も含めて、将来的なものということで果たして対応できるのだろうか。この国自身が成熟期を迎えており、既に右肩上がりの成長も含めて、そういうことは余り期待できないという状況からいえば、長期的に対応するということではなくて、可及的かつ速やかにこの辺は対応する必要があるかと思っております。
 また、先ほど部会長が言われたように、今回のこの検討に当たっては、3省の部会、すなわち40名を超える委員の方々が議論されているということ、これはすなわち、縦割り行政の弊害というのか、この国自身が財政的に非常に逼迫している状況においては、この辺はもう少しスリム化し、かつ合理的な対応を検討する段階にあるだろうと思いますので、ぜひこの部分も一歩踏み込んだ対応をしていただければと思います。
 さらに、長期的に検討すべき課題ということについて、長期的とは概ねどのくらいの年数を見越しているのかということもぜひ明らかにされればと思います。まだまだこの国は途上国で、先はまだずっとあるのだということなら、取り締まらなくてもいいかもしれませんが、既に頂点を迎え、成熟している時代においては、この辺のことは従来と同じような対応ではいかんのではないかと思います。以上です。

【鈴木部会長】 新しいものをつくった瞬間に検討を開始して、次の用意をしなければならない、そういう構造になるかと思いますが、事務局、何かありますか。

【南川環境保健部長】 まず、全体としまして、環境省になりましてからこの法律に主管として関わってまいりまして、私どもとしては、環境省が加わることによって、事務的に時間がかかって、1つは、事業者の方にそういうつまらない時間ロス等を与えてはいけないということは強く認識しております。もう1つは、当然ながら、生態系も含めて、より環境面からのチェックがきちんとできるようになったという両方が必要だと思っておりまして、それを常に念頭において対応しております。したがいまして、審議会の委員の数についてのご指摘がございましたけれども、当面は、まず物質の審査についてもできるだけ同時にヒアリングをし、また、審議会もできるだけ同時に開いて、いってみれば、つまらない時間ロスはなくすという効率化はきちんと図る。その上できちんと審査していくということを早く実現したいと思っております。
 それから、今回の法律改正の課題は当然いくつかあるわけでございます。1トン、10トンで大丈夫かという問題もございます。先ほど早水の方から、事前の確認手続をとった上で事後監視もする、必要があれば、立入検査、報告徴収もすると説明しましたけれども、この問題以外に、当然ながら、この制度自身が難分解性のものを対象にしておりますから、それ以外の物質について対応が不十分というような話もございます。ただ、私どもとしては、環境省分だけで考えましても、PRTR法あるいは大気汚染防止法、水質汚濁防止法等があるわけですから、それについては長期的ということでなくて、必要なことは早く対応できるような努力はしていきたいと考えております。

【鈴木部会長】 ありがとうございました。ほかにございますか。

【若林委員】 余り意見がないようなので、感想と意見を言わせていただきたいと思います。化学物質管理の中に生態系保全を入れたというのは、我が国にとってはかなり画期的な変化というか、前進だというふうに感じました。1986年の段階でも当時の環境庁がそういう動きをしたのに対して、うまくいかなかったということだったようで、我が国はこの分野では諸外国より10年あるいは20年ぐらい後れをとっているわけです。今回、大枠が決まったということで、細部はこれから政府の中で詰めていくということですが、後れた分だけ諸外国ではそれなりの実績がありますので、そういうものを参考に、さすが日本はすばらしい制度を作ったというような形になるように細部の詰めをしていただきたいと思います。

【鈴木部会長】 どうもありがとうございました。

【浅野委員】 先程の高橋委員の「長期的」ということについて、南川部長の説明に少し補足した方がいいだろうと思いますのは、環境基本計画の中で、戦略プログラムで化学物質による環境リスクのマネージメントといっているわけです。環境基本計画は5年で見直すという約束になっていますから、少なくとも化審法改正が終わったので、化学物質の戦略プログラムの問題は解決済みということにはなるまいと思います。ですから、5年のタームでレビューするときに、どこまで進んだのかということが問題になりますから、高橋委員がおっしゃる長期的ということも、実際には環境基本計画の見直しに合わせて考えるべきだろう。だから、むしろ「中期的」というぐらいの言い方をした方が現実にはいいだろうと思います。その辺はパブリックコメントに対する答えを書くときに、あの場ではなかなか環境基本計画まで引っ張り出してああだ、こうだという議論はできませんので、こういう形になっていますけれども、大変重要なご指摘をいただいていると思いますから、議事録にとどめて、ぜひ部長も頑張っていただきたい。

【鈴木部会長】 大事なポイントの議論が出たと思います。どうもありがとうございました。

【崎田委員】 生活者の視点で動いておりますと、ここのところ、化学物質に関して大変関心も高くなってまいりましたので、こういうふうに一歩一歩改正されていくということは大変うれしく感じています。それで今後なんですが、先ほど来お話があるようなPRTR法のこととか、今、検討会に入らせていただいているGHSをどういうふうに普及啓発していくかとか、これから情報が急激に増えてくるというふうに感じますので、特に産業界の方だけではなくて、後々、消費者がどういうふうにこういうものを使っていくかということは、消費者にとっても大変重要になってまいりますので、どういうふうにこういう法体系なり、いろいろなものが変わっていくのかということをできるだけわかりやすく伝えていくようにしていただければありがたいと思います。そういう意味も込めて、リスクコミュニケーションのところをきちんと書き換えていただいたというふうに伺って、大変うれしく思います。よろしくお願いいたします。

【鈴木部会長】 実際の生産・消費・廃棄、すべてのプロセスにわたって目が行き届かなければいけないという話になるのだろうと思います。

【南川環境保健部長】 問題意識を十分持って対応させていただきます。

【鈴木部会長】 それは信用していますから。
 時間が押してきました。まだご意見がおありになるかもしれませんが、この本小委員会報告につきましては、本部会として、このとおり了承いただいたものとしてよろしゅうございましょうか。
             〔「異議なし」との声あり〕

【鈴木部会長】 ありがとうございました。
 本部会におきましては、小委員会の報告どおり部会の報告とすることを了承していただいたということになります。
 これにつきましては、森嶌会長にご報告いたします。
 その後の取扱いにつきましては、事務局から説明して下さい。

【石野企画課長】 ありがとうございました。
 部会から報告をいただいた件につきましては、森嶌部会に提出いただきますが、この審議会の議事運営規則の第6条に「部会の決議は、会長の同意を得て審議会の決議とすることができる。」という規定がございまして、森嶌会長の同意を得ました上で、中央環境審議会の答申としていただきたいと考えております。
 環境省といたしましては、答申を踏まえまして、経済産業省及び厚生労働省とともに化学物質審査規制法を改正する法律案を今の通常国会に提出する予定でございます。
 以上です。

【鈴木部会長】 それでは、続いて議題の2に入ります。「公害健康被害の補償等に関する法律の規定による『障害補償標準給付基礎月額』及び『遺族補償標準給付基礎月額』の改定について」です。
 本議題の件につきましては、環境大臣から中央環境審議会に意見を求める諮問が1月
27日付けで出されております。本諮問は森嶌会長から環境保健部会に付議されましたので、本日当部会で審議したいと思います。
 それでは、事務局からご説明下さい。

【古澤保健業務室長】 それでは、資料6をご覧いただきたいと思います。ただいま部会長からお話がございましたように、「公害健康被害の補償等に関する法律の規定による障害補償標準給付基礎月額及び遺族補償標準給付基礎月額の改定について」、本年1月27日付けで環境大臣から中央環境審議会会長あてに1ページにございますように諮問がなされております。
 次の2ページがその改定案でございます。
 また、3ページは、この諮問について環境保健部会に付議する旨の付議書でございます。
 続きまして、この案を諮問させていただくに至りました経緯、理由等につきましてご説明させていただきます。4ページをご覧下さい。
 障害補償標準給付基礎月額は、障害補償費の算定の基礎となるものでございまして、性別・年齢階層別に定めることになっております。この基礎月額に、4ページの表にございますような障害の等級に応じた給付率、例えば2級の患者さんであれば 0.5、3級の患者 さんであれば 0.3を掛けることで、個々の受給者に対する給付額が決まることになります。
 遺族補償標準給付基礎月額も同様に、遺族補償費及び遺族補償一時金の算定の基礎となるものでございまして、性別・年齢階層別に定めることとされております。
 次に、この標準給付基礎月額の算定方法でございますが、5ページに関係条文を抜粋してございますのでご覧いただきたいと存じます。アンダーラインを引いてありますところ、公健法第26条の第2項でございますが、障害補償標準給付基礎月額は、労働者の賃金水準その他の事情を考慮して、中央環境審議会の意見を聴いて定めることとなっております。また、これを受けて、その下の方にございます施行令で、性別・年齢階層別に区分して、毎年度定めるということが規定されております。遺族補償費に関しましても同様でございます。
 さらに、次の6ページを開いていただきますと、この審議会の前身である中央公害対策審議会の昭和49年の答申がございます。アンダーラインの部分をご覧いただきますと、給付水準は、障害補償費にあっては「賃金構造基本統計調査報告」、いわゆる賃金センサスによる労働者の性別及び年齢階層別の平均賃金の80パーセント、遺族補償費にあっては70パーセントとすべきこと、また、その算定の基礎となる賃金は、前年の賃金実績によることとし、その基礎となるデータは、旧労働省、現在の厚生労働省が毎年公表している「賃金構造基本統計調査報告」、いわゆる賃金センサスと「春闘による賃金引上げ状況調査報告」、いわゆる春闘アップ率を用いることとされております。
 以上の算出方法を図式化したものが次の7ページにあります概念図でございます。例えば、昨年、平成14年度の基礎月額をどのように算出したかを見てみますと、図の上の紫色のところが「賃金構造基本統計調査報告」(以下「賃金センサス」と略称いたします)の実績の推移でございます。例年、この2月ないし3月という時期には前々年の賃金センサスしか公表されておりません。したがいまして、基礎月額を算定するためには、その時点で公表されている前々年の賃金センサスの実績値から前年の賃金を推計しております。昨年の例では、平成12年から13年にかけての賃金のアップ率について、春闘のアップ率を参考として1.0%と推定いたしましたので、平成12年の賃金センサスに1.010を掛けて平成13年の推計賃金を算出し、さらにこれに0.8を掛けて、下の黄色の棒グラフの平成14年度の障害補償標準給付基礎月額を算出しております。
 なお、遺族補償標準給付基礎月額の場合にも、計算式の0.8のところが0.7に変わるだけで、それ以外は同様でございます。
 平成15年度の標準給付基礎月額を算定するに当たりましても、同様に平成13年の賃金センサスに推定アップ率を掛けて平成14年の平均賃金を推計し、さらにそれに0.8を掛けて算出するということになりますので、要はその推定アップ率、この図でいえば、一番右の緑色の欄にあります計算式のクエスチョンマークの部分について、平成14年の春闘アップ率を参考にしてどのように見積もるかということがポイントになるわけでございます。
 そこで、次の8ページをお開きいただきたいと存じます。このグラフは、過去10年の春闘と賃金センサスのアップ率の推移を示したものでございます。過去10年の両者の関係を見てみますと、近年の不安定な経済情勢を反映したのでしょうか、年によって大きな変動がございます。例えば、平成6年には賃金センサスのアップ率が春闘アップ率にかなり近い数値を示しておりますし、逆に、平成10年には賃金センサスがマイナスとなっておりまして、春闘アップ率との間に大きな格差がございます。そこで、このような極端な年から順に格差の小さい年、大きい年を両側から除いていきますと、中間的な年として残りますのは、今年の場合ですと、平成7年と平成13年になりますが、そのあたりでは賃金センサスのアップ率は概ね春闘アップ率の1/2程度になっております。昨年も同様に、中間的な年では約1/2となっておりましたことから、平成13年の賃金センサスのアップ率を平成13年の春闘アップ率2.06%の1/2、すなわち1.0%と推定いたしましところ、その後、公表されました実績値のアップ率も1.0%で、推定値とほぼ一致したところでございます。
これらのことから、今回の推計アップ率につきましても、昨年同様の考え方によりまして、平成14年の春闘アップ率1.66%の1/2、すなわち0.8%とすることが妥当と考えております。
次に9ページの表をご覧下さい。この表は平成13年の賃金センサスの対前年増減額と増減率を示したものでございます。これによりますと、全労働者の平均アップ率は+1.0%ですが、性別・年齢階層別に見ますと、大きなばらつきがございまして、男子の65歳以上の階層のように額にして2万円、率では7.3%も増えている階層がある一方で、女子の17歳以下の階層のように金額で1万4,200円、率にして9.4%逆にマイナスになっている階層もございます。このため、この額をもとに推計アップ率 0.8%、すなわち先ほどの計算式のクエスチョンマークの部分を1.008として単純に計算いたしますと、そこから得られる標準給付基礎月額におきましても、年齢階層によっては対前年度比でかなり大きな変動が出てくることになります。そこで、昨年同様、変動が非常に大きい年齢階層につきましては、激変を緩和する観点から補正を行うことが適当と考えております。
次の10ページのグラフをご覧下さい。このグラフは、賃金センサスが現在と同じ形で集計を行うようになりました昭和54年以降の性別・年齢階層別の対前年アップ率の推移を示したものでございます。これを見ますと、ある年において全労働者の平均アップ率から大きく乖離した階層があった場合、その翌年は逆の方向、すなわち、大きくプラス方向に乖離した翌年は逆に平均アップ率よりマイナス方向に、また、大きくマイナス方向に乖離した翌年は逆にプラス方向にリバウンドする傾向があるように感じられます。そこで、その傾向を統計学的に確認するため、回帰分析を行いました結果が資料の11ページ以降にございます。
 11ページは、昭和54年以降のデータにおいて、それぞれの年の全労働者平均アップ率から3ポイント以上乖離していたケースをすべて抽出いたしまして、それがその翌年の平均アップ率からの乖離とどのように相関しているかについて回帰分析を行った結果でございます。グラフは、横軸にその年の平均アップ率からの乖離を、縦軸にその翌年の平均アップ率からの乖離をとっておりますが、ご覧のような相関関係が見られております。さらに、このデータについて、予測値と観測値との残差がその標準偏差の2倍、2σを超えるようなはずれ値を除外するといった一般的な統計学的手法に基づくデータ処理を施しますと、12ページのようになります。
 この結果、平均アップ率からの乖離が3ポイント以上の場合には翌年は一定程度その反動が見られることが統計学的にも確認されましたが、ちなみに、抽出するデータの範囲を平均アップ率からの乖離が2ポイント以上のところまで広げますと、このような相関傾向は見られなくなります。
 以上のことから、平均賃金の推計をより精密に行う観点から、平成13年の賃金センサスにおいて対前年平均アップ率 1.0%からの乖離が3ポイント以上あった年齢階層につきましては、このグラフから求められましたy=-0.5047xという算式に基づきまして、平成14年の推計アップ率 0.8%に対して予想される乖離幅を求め、その年齢階層の推計アップ率について補正を行うことが適当と考えております。
 なお、この補正の方法は、昨年の本部会でご了承いただいたものと全く同様でございまして、本日はあいにくご欠席ですが、ご専門の佐和委員にも事前にご確認いただいているものでございます。
次に13ページをお開き下さい。ただ今ご説明した考えに基づきまして、該当する年齢階層の推計アップ率を補正した結果がこの表の一番右側の欄になります。今回補正の対象となりますのは、平成13年の賃金センサスの対前年増減率が平均アップ率1.0%と比べて3ポイント以上乖離していた年齢階層ということになりますので、男子では17歳以下と60~64歳と65歳以上の3つの階層、女子では17歳以下と65歳以上の2つの階層で、合わせて5つの階層が該当いたします。補正の結果、最もアップ率の大きかった男子の65歳以上のところでは、補正前は額で1万5,700円、率にして7.1%のアップであったものが、補正により額で8,200円、率にして3.7%のアップとなります。また、ダウン率の最も大きかった女子の17歳以下の階層では、補正前は額で8,100円、率にして 6.9%のダウンであったものが、補正により額で2,200円、率にして1.9%のダウンでおさまることとなりまして、どちらの場合も激変が緩和されることになります。
 なお、男子の17歳以下に関しましては、今年だけ見ますと、補正によってアップ率が更に大きくなっておりまして、激変の緩和と逆行しているのではないかというふうにも見えるわけでございますが、この階層に関しましては、もしもこの方法による補正を昨年から導入していなかったといたしますと、平成14年度に10%以上の大幅アップとなり、15年度は一転してマイナス改定となるところだったものが、補正の効果によりまして、14年度 5.4%、15年度 3.4%というように2年連続のなだらかな上昇へと激変が緩和されたものでございます。
 次の14ページは、遺族補償標準給付基礎月額に関する同様の表でございます。平均賃金の80%か70%かという違いはございますが、基本的には障害補償費と全く同じ方法で算定いたしております。
 以上の考えで作成いたしましたのが、最後のページにあります諮問案でございます。この結果、障害補償標準給付基礎月額につきましては、男女計の平均アップ率で対前年度比0.4%というわずかですがアップという案となっております。
 以上、よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

【鈴木部会長】 ありがとうございました。ご意見がありましたらどうぞ。
特にございませんか。 これは2年前のものが土台になるわけですよね。そうすると、今度は2年先のことを考えると、今年の春闘などの影響がもろに出てきそうな感じですが、その辺はどう思いますか。

【古澤保健業務室長】 経済情勢というのはなかなか予測が難しいものでございまして、2年後のことを現在で何とかと申し上げられませんが、今、部会長からお話がございましたように、2年前のものを基礎とするということで、過去にも一度マイナス改定となったことがございます。資料の7ページの概念図をご覧いただきますと出ておりますけれども、平成9年から平成10年にかけまして、実績の方が-0.7%と初めて実績でマイナスになった年がございました。平成10年にマイナスになった結果が反映されて、基礎月額についてもマイナス改定を行った年がございましたが、それが平成12年度でございます。あくまで実績値をもとにして算定してきておりますので、統計のまとめ、公表の時期の遅れというようなことがございまして、実際の経済の状況とは若干タイムラグが生じるということかと存じます。

【鈴木部会長】 そうですね。だけど、実際に何とかある種の平準化を考えて、激変が起こらないようにしたいという、これはある種の善意ですが、それが経済の側ががたがたものすごく大きく動いてしまったことによって、実態と著しく食い違うような出来事が起こりかねない。それを今からどう考えておくかというのは、さっきの5年よりはもうちょっと忙しい話かもしれませんが。
 何かご意見ございませんか。
 これまでのやり方に従って、今年はこれでということでございますが、よろしゅうございましょうか。
             〔「異議なし」との声あり〕

【鈴木部会長】 どうもありがとうございました。
 それでは、諮問のとおり了承したことにいたします。
 この後、部会から森嶌会長に報告いたします。
 その後の取扱いについては、事務局から説明して下さい。

【石野企画課長】 ありがとうございました。
 本報告につきましても、鈴木部会長から森嶌会長にご報告いただいた後に、議事運営規則第6条の規定に従いまして、会長の同意を得られますれば、中央環境審議会の答申としていただきたいと考えております。
 その後、環境省において所要の改正の手続を行う予定でございます。

【鈴木部会長】 ということでございます。どうぞよろしく。
 それでは「その他」でございますが、5件の報告を予定しております。資料7から資料11まででございますが、化学物質対策がかなり急速に展開してきたこともありまして、その辺に報告の力点があろうかと思います。事務局からどうぞ。

【安達環境安全課長】 それでは、資料7につきましてご報告させていただきます。
 ご案内のとおり、昭和49年以来、毎年、化学物質環境汚染実態調査、いわゆる黒本調査を実施してきております。先般、平成13年度に採取しました物質についてのデータがまとまりまして、本部会の下に設けられております化学物質評価専門委員会でのご審議を経まして、2月6日に公表いたしましたので、その概要についてご報告させていただきます。
 なお、今回公表いたしましたのは、資料7-2に付けてございます概要版でございまして、いわゆる黒本につきましては、例年どおり夏前に作成したいと考えております。
 それでは、資料7-1に基づきましてご報告させていただきます。
 まず、1の総点検調査の結果でございますが、これにつきましては、基本的に初めて環境調査するというものでございます。水系及び大気系の一般環境におきまして、平成13年度は合計25物質(群)について調査を行っております。なお、物質としても全く初めてというものにつきましては、今回3物質取り組んでおります。
 その結果でございますが、[1]の水系調査にございますように、水系につきましては12物質(群)について調査しております。次ページの表1に具体的な物質名を示しているところでございます。これらの物質について、それぞれ残留が予測されるような媒体(水質・底質・魚類)を選びまして、全国57地点で調査を実施しております。その調査地点あるいは調査結果につきましては、資料7-2の4~5ページに調査地点、6~7ページに調査結果を示してございます。
 この結果でございますが、7物質(群)が検出されております。この結果を踏まえまして、長鎖塩素化パラフィン類につきましては、環境リスク評価を行う化学物質の候補とする必要があるという評価結果をいただいております。また、トリブチルフェノール及びポリ塩化ナフタレン、いずれも化審法の一特、つまり製造・輸入が禁止されている物質でございますが、これらにつきましては、モニタリング調査の候補物質とする必要があるという評価結果をいただいております。
 次に[2]の大気系の調査でございますが、大気系につきましては、13物質(群)について、同じく次ページの表2に物質名を示してございますが、全国22地点で調査を実施しております。調査地点につきましては、資料7-2の5ページの日本地図に書き込んでいるところでございます。
 その結果、11物質(群)が検出されております。これを踏まえまして、トリクロロエタン、塩化エチル、塩化メチル、アクリル酸エチルにつきましては、環境リスク評価を行う化学物質の候補とする必要があるという評価結果でございました。
 めくっていただきまして、次にいわゆるモニタリング、経年的あるいは継続的に調査を行っているものでございます。(2)の底質モニタリングの結果でございますが、平成13年度は化審法に基づく一特を中心に、20物質について全国20地点で調査を実施しております。また、調査地点、調査結果につきましては、資料7-2の17ページ、18ページに示しているところでございます。
 結果でございますが、そこに示しておりますように、20物質すべてが検出されております。POPs条約の対象物質も多いわけでございますが、これらの物質については今後とも監視を継続する必要があるとされております。
 (3)の生物モニタリングの結果でございますが、同じく一特を中心とする18物質について全国21地点の魚類(スズキ、サンマ等)7種、貝類(ムラサキイガイ等)2種、鳥類(ムクドリ等)2種について調査を実施しております。具体的には、資料7-2の27ページ、28ページの日本地図に書き込んでございます。
 結果でございますが、魚類からは18物質すべてが、貝類からは15物質が、鳥類からは12物質が検出されております。これらの物質につきましては今後とも監視を継続する必要があるとされております。
 めくっていただきまして、2.の指定化学物質等検討調査の結果でございます。化審法に基づく指定化学物質あるいは第二種特定化学物質について、環境中での残留性及び人への蓄積状況等を調査するものでございます。
 まず、環境残留性調査の結果につきましては、クロロホルム等9物質について全国の水質、底質あるいは大気で調査を行ったところ、9物質すべてが検出されております。この地点及び結果につきましては、資料7-2の37~40ページに示しているところでございます。
 また、暴露経路調査として、室内空気及び食事についての調査を行っております。この結果、室内空気につきましては、クロロホルム等6物質の調査を行ったところ、全物質が6地区で検出されております。また、食事につきましては、クロロホルムのみの調査を行っておりますが、これにつきましても7地区すべてで検出されております。
 これらを踏まえまして、(3)にございますような考察を行ったところ、全体では9物質でございますが、そのうち、TBT、TPTにつきましては、次の3.のところで出てまいりますので、この2つを除く7物質すべてが環境中に広範囲に残留しているという結果を得ました。ただし、経年変化があまり見られないということで、調査間隔を長くして、調査を継続する必要があるという考察結果が得られております。
 ここには書いてございませんが、平成14年度からは、この部会でもご報告させていただきましたように、黒本調査体系の見直しを行っております。モニタリング対象物質につきましても、物質選定委員会でその優先順位を検討するというやり方になっておりますが、今年度に取り組む化学物質としては、物質選定委員会で、これら7物質については14年度のモニタリングの対象としておりません。TBTとTPTのみがモニタリングの対象となっております。
 次に3.の有機スズ化合物(TBT、TPT)に関する調査結果でございます。生物、水質、底質を対象として調査を実施いたしました。
 (1)の調査結果につきましては、いずれも近年では概ね横ばいの傾向にあるという結果でございます。データにつきましては、資料7-2の46ページに結果を示してございます。
 考察といたしましては、これら両物質は、生産あるいは開放系用途の使用はほとんどないということで、汚染状況は更に改善されていくものと期待されるが、一方、未規制国の存在に伴う汚染も考えられますので、引き続き環境汚染状況を監視していく必要があるとされております。
 めくっていただきまして、最後の非意図的生成化学物質汚染実態追跡調査の結果でございます。過去にはダイオキシンあるいは臭素化ダイオキシン等の調査も行っておりましたが、ご案内のとおり、ダイオキシンにつきましては特別措置法による調査に移行しておりますし、また、平成11年度、12年度と行いました臭素化ダイオキシンの調査につきましても、リスク評価に基づく調査に移行しております。したがいまして、13年度はPCBのみについての調査を行っております。
 結果につきましては、資料7-2の50~51ページにございますように、依然として広範な地点の環境中に存在しているということで、全地点の全媒体において検出されております。
 PCBは、POPs条約に掲げられている物質でもございますし、全地球的な汚染監視の観点からも、今後さらにモニタリングを継続し、その消長を追跡する必要があるとともに、PCBの環境中の組成につきましても調査することによりまして、汚染機構の解明に努める必要があるという評価結果をいただいております。
 黒本調査につきましては以上でございます。

【鈴木部会長】 ありがとうございました。
 次に、化学物質の環境リスク初期評価等(第2次とりまとめ)の結果について。

【鈴木環境リスク評価室長】 資料8に基づきまして、「化学物質の環境リスク初期評価等(第2次とりまとめ)の結果について」ご報告申し上げます。
 これは平成15年1月21日に、四角の中の第1段落にありますが、中央環境審議会の環境保健部会化学物質評価専門委員会の審議を経てとりまとめたものでございまして、当日の資料は膨大なものでございますが、この概要版に基づいて公表いたしております。また、主要な資料につきましては、環境省のホームページ上で閲覧できますし、それぞれ希望される方には適宜配布しているところでございます。また、昨年度と同様、第2巻として、昨年も第1巻を作りまして、各部会の委員の皆様方にも配付したところでございますが、近々とりまとめてまた配付することになっております。何分、第2次とりまとめというくらいですから、昨年度ようやく第1回目の成果が出たということで、まだなじみの薄い分野でございますので、この部会の皆様にもう一回この趣旨・目的等を説明させていただきたいと思います。
 1ページにありますように、世界で約10万種、我が国で約5万種流通していると言われる化学物質の中には、人の健康及び生態系に対する有害性を持つものが多数存在しており、環境汚染を通じて人の健康や生態系に好ましくない影響を与えるおそれがある。
 こうした影響を未然に防止するために、潜在的に人の健康や生態系に有害な影響を及ぼす可能性のある化学物質が、大気、水質、土壌等の環境媒体を経由して環境の保全上の支障を生じさせるおそれ、これを環境リスクと呼んでおりますが、これについて定量的な評価を行う。有害性と環境中からの汚染による暴露を定量的に比較することを定量的な評価といっておりますが、これを行うこと自体が環境リスクの評価というものでございますが、その結果に基づいて環境リスクの低減対策を進めていく必要があるということでございます。
 こうした背景から、先ほども言いましたように、昨年度新たに設置しました化学物質評価専門委員会におきまして、平成9年度から12年度にかけて環境リスク評価室で試行錯誤してまいりました環境リスク初期評価のパイロット事業を公表するとともに、今申しました第1巻としてとりまとめたところでございます。
 その次の段落にいきまして、化学物質の環境リスク評価は大きく3つの作業構成要素からなっておりまして、[1]にありますように、人の健康及び生態系に対する有害性を特定し、用量-反応関係を整理する「有害性評価」と、[2]の人及び生態系に対する化学物質の環境経由の暴露量を見積もる「暴露評価」を行う。これについて、[3]にありますように、両者の結果を数字の上で比較することによって、リスクが高いか低いかという程度を判定するものでございます。
 平成9年度から12年度にかけては、対象物質39物質について行ってきたものでございますが、昨年1年間につきましては、その後、3つのポツにありますように、健康リスク及び生態リスクにわたる環境リスク初期評価を1年間13物質行っております。また、生態リスク評価につきましては、生態影響に関する知見の整理が進めやすいため、健康リスク評価とは別に独立して追加的に69物質を行っております。作業としては初期評価と全く同じものでございますが、そういう結果で、要するに健康リスク評価は13物質で、生態リスク初期評価については13+69物質、都合82物質について初期評価を行ったという結果になっております。
 また、新たな試みとして、発がん性評価について、定量的リスク評価が行える物質について6物質、定性的評価にとどまったものが19物質という概要になっております。
 具体的には、その結果について、2ページにまいりまして、(2)にあります表を見ていただきたいと思います。これは健康リスク及び生態リスク共通に行った初期評価結果でございまして、表にありますように、残念ながらといいますか、幸いといいますか、健康リスク初期評価においては、Aの「相対的にリスクが高い可能性があり「『細な評価を行う候補』」であるという物質は、13物質のうち、該当するものはございませんでした。ただ、Bの「リスクはAより低いと考えられるが『環境情報の収集が必要』」ということで、アクリロニトリル、クロロホルム等5物質が挙げられております。Cは比較的低いということで、当面作業は必要ないというものでございます。それから、情報が足りなくて判定ができないというものが3物質ということでございます。
 同じく生態リスクに関しましては、「詳細な評価を行う候補」の物質が4-t-オクチルフェノール、クロロホルム及びノニルフェノールと3物質ございました。また、「関連情報の収集が必要」ということで、ご覧の2物質、Cが5物質、Dが3物質という結果になっております。
 生態リスクに関しましては、先ほど説明しましたように、この13物質のほかに追加的に同じ作業を69物質やっておりまして、これが3番目、3ページの上の表でございます。69物質のうち、情報不足で判定ができなかったものがございまして、それは2ページの表でいえばDに該当するのですが、判定ができたものだけの結果を申し上げますと、36ありまして、36の内訳として、Aの「詳細な評価を行う候補」が19物質、Bが3物質、Cの「更なる作業を必要としない」のが14物質という結果になっております。
 言い忘れましたが、具体的な物質ごとの判定は、5ページ以下の表になっておりますので、後ほどご覧いただきたいと思います。結果の概要だけ説明させていただきます。
 それから、この1年間かけて新たに行った発がん性評価につきましては、どういう物質を選んだかというのは、平成9年度から12年度に実施されたパイロット事業において今後の課題とされた発がん性に関する評価について、具体的にはIARCという、がんに関する国際機関が行った発がん性に関する分類において、1と2Aと2Bというのがありますが、1と2A以上の発がん性が比較的高い物質を対象にして評価を試みました。具体的に、先ほど言いました平成9年度から12年度に対象にした39物質と、今年対象にした13物質のうち、1と2Aの分類に該当する発がん性が高いだろうと言われている物質について行っております。
 特に定量的な評価が行えたものが6物質ありまして、その結果がこの表になっております。Aの相対的にリスクが高い可能性がある、これは発がんのリスクが高い可能性があるものでございますが、これにより「詳細な評価を行う候補」とされたものが塩化ビニルモノマー、これは環境媒体としては地下水から高く検出されている地点がありましたので、地下水を飲料水として使用する場合がございますので、食事からの暴露に加えて、地下水を飲料水として使用している場合には発がん性のリスクが比較的高くなる可能性があり、これについてもより詳しい評価を行う必要があるとされたものでございます。
 ホルムアルデヒドにつきましては、一般大気に関して発がんのリスクが比較的高い可能性があるという地点がありました。これについては、室内空気のデータにおいて高いというようなデータがございましたので、一般大気及び室内空気それぞれホルムアルデヒドについてはより「詳細な評価を候補」であると判定されました。
 Bの「関連情報の収集が必要」とされたものがエチレンオキシドでございます。
 これが定量的な評価の成果でございますが、表の下の[3]にありますように、まだ数字として比べるには十分なデータがない物質について評価を行ったところ、それを定性的な評価と呼んでおりますが、その中でも比較的発がん性が高そうだということで、これについて何とか数字で比較すべきだと判定された物質がアクリロニトリル以下5物質でございます。
 以上につきまして、記者レクなどをして公表したところ、多くの一般紙にも、特に発がんの相対的なリスクが高いという塩化ビニルモノマー、ホルムアルデヒド等について取り上げられたところでございます。
 4ページにまいりまして、こうした成果の今後の対応でございますが、(1)にありますように、評価結果を広く国民に知っていただこうということで、第2巻としてとりまとめるとともに、インターネットも活用して成果を広く公開していきたいと考えております。
 また、詳細評価に結びつけることが重要なわけでございますが、[1]にありますように、発がん性の定量的リスク評価の結果、詳細評価の候補とされたホルムアルデヒド、塩化ビニルモノマーにつきましては、それぞれ関係部局と連携の下で今後の対応を図っていきたいと考えております。
 [2]の生態リスク初期評価により詳細な評価を行う候補とされた22物質につきましては、水生生物の保全のための水質環境基準の設定について、中環審の水環境部会に設置されて専門委員会において審議を進めているところでございますので、この結果を勘案しつつ今後も検討を進めていただくよう働きかけていきたいと考えております。
 その他、(3)にありますように、情報不足で判定不能あるいはより詳細なデータを必要とされたものについては、情報の収集に努めるということを考えております。
 また、(4)にありますように、さらにリスク評価の手法の改善を図りつつ、PRTRのデータ等から排出量あるいは暴露量が多いと考えられる物質を効率的に選定していきたいと考えております。
 (5)の今後の課題については、技術的なものでございますので、ご覧いただければと思います。以上でございます。

【鈴木部会長】 次は化学物質審査小委員会の審議状況について。

【早水化学物質審査室長】 では、私の方から資料9に基づきまして説明させていただきます。
 資料9に化学物質審査小委員会の審議状況をお示ししております。平成14年3月の部会で、年に1回のご報告をさせていただいておりますが、その後、1年間の状況を表にまとめております。
 委員長は、今日ご欠席でございますが、中杉委員でございます。この1月の改選によりまして、若干の委員の異動がございましたので、そこの表にあります平成15年1月以降の第20回、第21回は、今お配りしております新しい先生方でご審議をいただいたところでございます。
 その結果ですが、(2)にありますように、毎月20~30、最後の回は多かったのですが、そのぐらいの数の審査を行っていただきまして、1年間で225物質について3省一致した結論が得られております。その結果、30%弱が「指定化学物質」に該当、「第一種特定化学物質」に該当は0、いずれにも該当しない、いわゆる規制対象とならないと判断されたものが164物質でございました。
 なお、生態影響等に関しましては、先ほどご説明しましたように現行の化審法では規制対象ではございませんが、データが添付されたものについて、生態影響等に関して一応チェックしていただいておりまして、環境への影響に留意すべき等の附帯意見が出されたものは32物質ございました。このうち、「指定化学物質」に該当するものが24物質、そうでないものが8物質でございまして、これらについては、事業者に対して、こういう意見が出たということをお示しするとともに、環境省における施策で留意するということにしております。最後の[3]、生態影響はあるけれども規制対象にならないものについては、今後、化審法の改正がなされれば、こういったものも規制の対象とすることができるようになるということでございます。
 既存化学物質につきましても、既に厚生労働省、経済産業省の方で試験が終わったものについて順次評価をするということで審議をしております。20物質について審議いたしましたが、まだ3省全部終わっていない物質などもございまして、審議により結論を得られたものは11物質でございます。これはすべて「指定化学物質」に該当と判定されており、そのうち、環境への影響に留意すべき等の附帯意見が出されたものは5物質となっております。これは既存物質の点検結果の中で、有害性が高そうなものから順次審査をしておりますので、たまたま全物質が「指定化学物質」に該当するものであったということでございます。
 なお、この審議会でございますが、上の表の下に括弧して書いてありますけれども、第21回につきましては、3省の審議会を試験的に合同で開催しました。現在、3省の体制は、ヒアリングは合同で行っておるものの、審議会は従来それぞればらばらでやってまいりましたが、先ほど南川部長からもお話しさせていただきましたように、3省ばらばらではよくないのではないかということで、平成15年4月以降は、審査の小委員会について、予備審査と本審査、いずれについても3省合同でやるということで、今調整を進めているところでございます。
 裏側にその他、若干の審議事項についてお示ししております。
 これらの結果、平成15年1月末までに告示された規制対象物質数は、第一種特定化学 物質、第二種特定化学物質、指定化学物質のそれぞれについて、そこにありますような数に なっております。
 私の方からは以上でございます。

【鈴木部会長】 次は、公害健康被害の補償等に関する法律の一部改正について、石野課長。

【石野企画課長】 公害健康被害補償予防制度に関係する法改正、制度改正についてご説明いたします。
 資料10が「公害健康被害の補償等に関する法律の一部改正について」というものでございます。
 「改正の理由」の(1)に書いてございますが、自動車重量税収からの引当措置、公健法に基づく補償の財源として、全体の財源のうち2割を自動車負担分ということで、自動車重量税収引当てという措置がございますが、これにつきまして、昨年末に当部会におきましてご議論を賜りまして、検討結果をいただいておりますが、これまでの措置を延長するということでございまして、平成14年度末をもって引当措置の期限が到来しますので、それを5年間延長するという趣旨の改正を行いたいということが1点でございます。
 もう1点は、実は公害健康被害補償予防協会の事務所が今、都内、六本木にございますが、ここに書いてございますように、多極分散型国土形成促進法の移転基本方針等に基づきまして、移転が義務付けられたということもありまして、神奈川県川崎市に移転いたします。そのことも併せてこの法律の改正に盛り込んで出すということでございます。先週の金曜日、2月7日に閣議決定をして国会に提出したところでございます。
 資料11をご覧いただきます。「特殊法人等整理合理化計画への対応について」でございます。環境省に今2つの特殊法人がございますが、そのうちの1つが公害健康被害補償予防協会、もう1つが環境事業団でございます。これについて、特殊法人改革の観点から見直しがなされまして、大きくは、箱に書いてございますが、建設譲渡事業の廃止、PCBの廃棄物処理、これはいずれも環境事業団に絡む部分でございますが、建設譲渡事業を廃止する、PCBの廃棄物処理については、特殊会社において行うことにするという方針でございます。3番目に、公害健康被害の補償、予防もあわせてございますが、その他、地球環境基金等の業務については、新たに独立行政法人によって実施するという整理をいたしまして、その趣旨の新法であります「独立行政法人環境再生保全機構法」と「日本環境安全事業株式会社法」という2本の法律を出すということでございます。これは今、最後の手続の段階でございまして、明日、閣議決定をして国会に提出する予定になっております。
 以上でございます。
 その他の資料12と13は、配付させていただきますが、説明は省略させていただきたいと思います。

【鈴木部会長】 これまでの説明に何かご質問はおありでしょうか。
 いろいろなことがかなり急速に動いていますが。

【崎田委員】 個人的には資料12も説明をいただきたいのですが。なぜかといいますと、今、いろいろな調査結果などがしっかり出てきまして、これをどう読むか、専門家の方はおわかりでも、市民がこれをどう読むか、そこが大変重要になってくると思います。そういうときに「化学物質アドバイザー」という存在がきちんと機能して下さるというのは大変重要なことだと思って今伺っておりましたので、ぜひご説明いただいた方がありがたいと思います。

【安達環境安全課長】 それでは、資料12につきましてご説明させていただきます。なお、この説明をするに当たっては、リスクコミュニケーション全体の取組についてもご説明した方がいいかと思いますので、ごく簡単にご説明させていただきます。
 基本的に、多数の化学物質についての毒性、有害性、リスクについては、必ずしもすべてがわかっているわけではないということもございまして、国民の方々が化学物質に対する不安をお持ちであるというような中で、そういった不安の解消のためには、すべての方々が情報を共有し、相互理解の下に取組を進めていくというリスクコミニュケーションの推進が必要であろうと考えております。その中で、情報の整備と対話の推進ということを進めているわけでございますが、その一環として今回、この化学物質アドバイザーという事業についてパイロット的に始めようというものでございます。

【鈴木部会長】 例えば私はなれますか。

【安達環境安全課長】 それにつきましては、試験が2回ございますので、詳しい要件につきましては、めくりまして、3.あるいは4.のところにございますように、まず、資格といたしまして、4.の(2)にございますように、大学レベルの「化学」等の課程を修了していること。これは先生、オーケーでございます。その他、実務経験5年以上、また、こういう時代でございますので、パソコン、インターネットがちゃんと使えるというようなこと等々の受講資格をお持ちの方がまず申し込んでいただく。今回40名、東京、大阪20名ずつの講習を予定しておりますが、既にそれ以上の方の応募がございますので、簡単な試験をさせていただいて、講習を受けていただく方をまず選抜する。その後、2日間の講習を行いまして、最後に面接等を踏まえて、これまでの経験からすると、大体1/3ぐらいしか通らないという厳しい試験をやりますので、それでも多分、鈴木先生は通られるかと思いますが。
 そうして合格された方について、環境省の委託先に登録いたしまして、化学物質アドバイザーと申しますのは、化学物質についてわかりやすく説明する、いわゆる通訳的な立場の方として、例えば企業が地元説明会をする際にお呼びするとか、あるいは行政が説明会を開くときにお呼びするとか、呼びたい方から登録簿を見ていただいて、こういう人を呼びたいというお話がありましたら、実際にお話をしてから派遣する。
 なお、派遣のための旅費等につきましては、パイロット期間中は環境省の方でみます。謝金につきましては、基本的に当事者同士のお話し合い。ただし、上限だけは決めさせていただくという仕組みで、これからパイロット事業を通じまして、今後のこういったアドバイザー制度の運用等について検討していきたいと考えております。

【鈴木部会長】 ありがとうございました。もっとお知りになりたいかもしれませんが、環境情報科学センターが連絡先で事務局になっていますので、そちらの方に、あるいは安全課の方にでもお問い合わせいただければ、詳しくご説明をいただけると思います。
 ほかにございませんか。

【浅野委員】 資料8で第2次の評価の対象にした物質、「PRTR対象物質等」と書いてあるのですが、「等」ということは、つまりPRTR対象物質でないものも入っていると理解できるのですが、その結果として出てきたものでPRTRの対象に入っていないものがあるかないか、それだけ確認したいのです。もしあるとすれば、それはどうするのかということもできればお聞かせいただきたい。

【鈴木環境リスク評価室長】 選定する際には、一番核となるのは、ただいま進行中のPRTR制度で、排出量が多いものについては、特に有害性との比較が大事だと。

【浅野委員】 そんなことを聞いているのではありません。「等」と書いてあるから、そうでないものもあるのかということをお尋ねしたいだけです。

【鈴木環境リスク評価室長】 そのほか、例えば環境ホルモンに関して検討会の方で研究しておりますが、その中で、ホルモン作用があると指摘されたものについては、一般毒性と併せて最終的な判定を完結すべきだということで、例外的に入れております。例えば2ページの真ん中の表にあります4-t-オクチルフェノールやノニルフェノールについては、PRTR対象外でありますが、対象物質として入ってきておりまして、こういう判定に……。考え方としては、その他、黒本などでモニタリングでキャッチされたようなもので有害性が高そうなものということですが、結果的にリスクが高そうなものでPRTR対象物質以外のものというと、今詳しく調べないとありませんが、目ぼしいものはないということでございます。後ほど整理して回答させていただきます。

【鈴木部会長】 急には出てきませんね。

【浅野委員】 いずれにせよ、こういう結果が出たのだったら、それを既存の制度ときちっと結びつける努力をしなければいけないので、ただ研究しますでは、なかなか国民は納得できない部分があります。入っていないなら、入っていないものはちゃんと関係省庁と協議して入れるということが必要ですし、入れることができれば、よく知りませんけれども、どういうものかもわからないし、非意図的生成物質のようなものだとなかなかうまくいかないのだろうなと思いますが、いずれにせよ、しっかりやっていただきたいということです。

【鈴木部会長】 ありがとうございました。
 ほかにありますか。
よろしければ、事務局からの説明はこれで終わりにして、最後に南川部長から一言ご挨拶をいただきます。

【南川環境保健部長】 本日はどうもありがとうございました。
今日ご議論いただきました中で、まず化審法でございますが、昭和61年以来の大改正でございます。環境省にとりましては、主管に入ってから初めての改正でございます。法文作りを急ぎまして、なおかつ充実したものにいたしまして、我が国の化学物質対策が充実したと国際的にも言えるようなものにしていきたいと思いますし、これによりまして、委員の皆様方が海外の会議に出ても、肩身の狭い思いをされないような形にしていきたいと考えております。
 もちろん国会で議論いただくわけでございますが、国会で通していただいた後も、実は施行まで大変でございます。通常、そう長くは施行準備期間がとれませんので、その間、必要な政令、省令あるいは告示、ラボラトリーの選定等を含めて、実は大変タイトなスケジュールが予想されるわけでございます。そういう中でぜひいろいろ皆様方からまたご意見を伺い、それを踏まえて良いものにしていきたいと考えております。
 なお、今日配付しました資料4は、化学物質関係の参考資料でございまして、この中には、今日もいろいろ指摘がございましたGHSとか、いろいろな最新情報が入っておりますので、参考までに使っていただければと思います。
 もう1つ今日ご議論いただきました公健法関係でございますが、本日お決めいただきました給付額につきましても、公健法の延長が決まって初めて働くわけでございます。これにつきましては、多分、これ自身は大きな議論はないと思います。ただし、私ども、昭和63年の旧1種地域解除時の附帯決議に従いまして、いろいろ調査あるいはそれに踏まえての救済策等を検討するようにという宿題があるわけでございまして、そういった調査もずっとやってきているわけでございます。これにつきましては、引き続きいろいろなところで、去年の東京裁判のこともございまして、ご指摘を受けるだろうということは予想しております。私ども、できるだけ現地も見るようにしておりますけれども、全体としての本格調査設計を急ぎたいと考えております。ただ、これまで得られた調査結果等を踏まえますと、旧1種地域にあるような、単なるあの地域に住んでいて、また、ぜん息等の病気であるからをもって救済策の対象にするということではきっとないのだろうと思いますので、これまでのそういった新しい知見も入れながら、必ずしも現在の制度に縛られない形で調査を仕組みたいと考えております。そういう意味では大変な調査になると思いますけれども、またいろいろな形で報告をしながら、ご意見を伺いながら進めていきたいと考えております。
 全体としまして、化学物質問題は、事前の管理あるいは事後の対策も含めて、大変問題が広がっております。国際的な舞台でも従来のWHOが中心になっていた舞台から、OECDあるいは国連等に話が広がっておりますし、先週行われたUNEPの管理理事会でも、重金属を含めた化学物質問題が非常に大きなトピックになっております。そういう中で、私ども環境保健部自身がこういった化学物質問題の中核を担う部としまして、引き続きしっかり仕事をやっていきたいと考えております。
 そういう意味で環境保健部会の皆様方にはぜひ引き続きよろしくお願いしたいと思います。本日はどうもありがとうございました。

【鈴木部会長】 どうもありがとうございました。
 その他に事務局から何かありますか。

【石野企画課長】 次回の日程につきましては、後日事務局から調整させていただきますので、よろしくお願いいたします。以上でございます。

【鈴木部会長】 それでは、本日の会議はこれで終了いたします。ありがとうございました。

--了--

ページ先頭へ