中央環境審議会循環型社会部会 家電リサイクル制度評価検討小委員会、産業構造審議会産業技術環境分科会廃棄物・リサイクル小委員会 電気・電子機器リサイクルWG 合同会合(第42回)議事録

日時

令和3年10月12日(火)13 時30 分から15 時30 分まで

場所

Web会議

議題

(1) 事業者排出エアコン回収率向上の取組について
(2) 家電リサイクル料金制度について

出席者

田崎智宏座長、細田衛士座長、石川雅紀委員、伊藤章委員、梅田靖委員、浦誠治委員、大
石美奈子委員、大熊洋二委員、大塚直委員、小原英夫委員、桂川孝裕委員、川村仁志委員、
河野博子委員、小林辰夫委員、崎田裕子委員、杉山涼子委員、高橋修委員、滝沢朝行委員、
西尾チヅル委員、萩原なつ子委員、平岡利枝委員、峯田季志委員、宮野譲委員、村上進亮
委員、山本雅資委員、吉岡均委員、吉村秀則委員

○事務局(小早川)  それでは、定刻となりましたので、ただいまから、第42回産業構造審議会産業技術環境分科会廃棄物・リサイクル小委員会電気・電子機器リサイクルワーキンググループ、中央環境審議会循環型社会部会家電リサイクル制度評価検討小委員会合同会合を開会いたします。

 事務局を務めます環境省環境再生・資源循環局総務課リサイクル推進室の小早川です。よろしくお願いします。

 本合同会合の事務局及び議事進行は経済産業省と環境省で持ち回りとさせていただいており、今回は環境省が進行を務めます。

 まず、委員の交代についてお知らせいたします。

 産業構造審議会の委員を務めていただいた三嶋恒夫様が御退任され、株式会社ヤマダホールディングス代表取締役兼執行役員の小林辰夫様が御就任されました。

 また、中央環境審議会の委員を務めていただいた小迫敏宏様が御退任され、全日本自治団体労働組合総合組織局現業局長の吉村秀則様が御就任されました。

 事務局においても、環境省環境再生・資源循環局廃棄物適正処理推進課長の名倉良雄が筒井誠二へ交代しておりますので、併せて御報告いたします。

 次に、本日の合同会合は、産業構造審議会は20名のうち19名、中央環境審議会は17名全て御出席いただいており、両審議会とも定足数である過半数に達していることを御報告いたします。

 本合同会合は、YouTubeにおいてライブ配信により議事を公開しております。

 また、合同会合終了後に発言者名を示した議事録を作成し、委員の皆様の御了解をいただいた後、公開いたします。あらかじめ御了承ください。

 本日はWeb会議での会合です。発言される場合を除きマイクをミュートにしていただき、ビデオもオフにしてください。御発言の際には、ビデオとマイクをオンにして御発言いただきますようお願いいたします。なお、音声トラブルが起きた場合、事務局側でビデオを強制的にオフする場合がありますが、御了承ください。

 続いて、配付資料につきまして、原則全て公開しており、事前に御案内させていただいた経済産業省及び環境省のWebサイトにて掲載しておりますが、本日はWeb会議システム上でも表示いたしますので、いずれかを御覧ください。資料は議事次第に加え、資料1から3まで御用意しております。御確認ください。

 それでは、以後の議事進行を田崎座長にお願いしたいと思います。田崎座長、よろしくお願いいたします。

○田崎座長  それでは、議事を進めたいと思います。

 本日は前回の会合で議論しました今後の合同会合の進め方に従いまして、家電リサイクル料金制度を中心に各委員から御意見を伺うことといたします。委員の皆様には忌憚のない御意見をいただきたいと思います。

 本日の会議は15時30分終了予定ですので、円滑な議事進行に御協力いただきますよう、よろしくお願いいたします。

 それでは、議事に入りたいと思います。まず議事の1つ目が「事業者排出エアコン回収率向上の取組について」ということで、こちらは三菱総合研究所・森部様から御説明をいただきます。よろしくお願いします。

○森部様  御紹介いただきました三菱総合研究所の森部と申します。よろしくお願いいたします。本日は御説明の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 使用済エアコンの回収率向上に向けた普及啓発及び実態調査に関する取組ということで、御説明させていただきます。

 今回の取組の内容でございますが、使用済家電4品目の回収率のさらなる向上を目的に、回収率向上に特に課題のあるエアコンを対象に実態調査を行うところを、まず1つ目的としております。具体的には排出事業者に着目しまして、回収率が低い理由について仮説を立てて、それらを検証するための調査を行いました。その調査結果を踏まえまして、使用済エアコンの回収率を向上させるための排出事業者向けの普及啓発に関する対象の具体化や、効果的な手段、効果の検証方法というところを検討させていただいています。

 また、検討した普及啓発手法に基づいて、エアコンを対象に普及啓発を実際に実施していく予定になっています。普及啓発に当たっては効果検証のためのKPIも定めまして、普及啓発対象の特徴に応じたきめ細かな取組を検討・実施するところになります。こちらは一般財団法人家電製品協会さんの委託を受けて三菱総合研究所にて実施しているものでございまして、昨年度、今年度と2年間実施しているということで、今も実施中のところで御理解いただければと思います。

 今回の取組のポイントというところで大きく3点、御紹介ができればと思っています。

 これまでの検討・実施内容と左側に書いてあるところで、いろいろと実態調査も行われていましたし、普及啓発も実施されてきたと思っております。

 この辺りの課題として3点考えているところがございます。1点目が消費者のみが対象であり、見えないフローへの実態調査や、普及啓発が不十分であること、2点目がアンケートとかヒアリングを用いた従来型の調査手法であったこと、3点目が単発的な広報に終わっていたところが課題なのかなと感じていたところでございます。今回の取組では、この3点を改善するような形で調査を行わせていただいています。

 1つ目については、目的でも申し上げましたが排出事業者に着目した普及啓発手法を検討しているところです。これまで消費者目線で、消費者対象に行われてきましたが、エアコンについて、家庭用のものは事業者も使っているところが一定程度あるのではないかと仮説を立てまして、こちらで検討しております。

 2点目については、新たな調査手法、切り口ということで、これまでも事業者にヒアリングを行ってきたところですが、事業者のアンケート、ヒアリングモニターを持っているような会社に協力してもらって、ピンポイントで家庭用エアコンの廃棄に携わっている人を、かなりの数を抽出してヒアリングを行うことで、これまでのような無作為抽出で行う調査よりも、より実態を知っている方に直接アプローチすることができまして、これまで分からなかった実態が明らかになったのかなと考えております。

 また、3点目は単発な広報というところから啓発のアクションプランを立てながら、計画的に実行することで御提案しているところになります。

 図示いたしますと、こちらになります。消費者ですとか青い点線のところがこれまでの主なターゲットであったかと思いますが、事業者や工事業者、管理会社等にもターゲティングして、検討しているところがポイントかと理解しております。

 それでは、ここからは実際の調査結果及び取組について御紹介ができればと思います。こちらのページは少し細かくて恐縮ですが、家庭用エアコンの事業者における保有構造を図示したものになります。

 左側から出荷、保有、排出というそれぞれの流れになっていて、大体1,000万台のうちどのくらいが保有されていて、どのくらいが事業者にあるのかというところを推定しているものであります。

 一番パイとして大きいところが賃貸住宅ではないかと推定しています。借家住宅で大体1,800万台のストックがあるところ、そのうち大手賃貸で400万台、その他賃貸で1,400万台というようなボリューム感になります。残りは賃貸住宅に比べるとパイとしては小さくなってきますが、ホテル旅館では大体70万台から80万台、学校では十数万台といったところが規模感としてあるのかなというように見立てております。

 今回、ピンクのところです。大手賃貸、その他賃貸、また学校のところに少し注目して、より深掘り調査を行わせていただいたところです。

 こちらのポテンシャルですが、出荷台数を分母にした回収率を目標に定めている家電リサイクル法でございますので、およそ出荷台数比でいくと十数%ということなので、これが全て回収できれば単純に回収率も十数%上がるような形になるのかなと思っております。そんなに量として少ないというよりか、かなりインパクトのある数値なのかなと思っておりますこの辺りを重点候補対象として検討していきたいと考えております。

 また、事業者で使われている家庭用エアコンの見分け方になりますが、基本的には冷房ですとか、出力のサイズです。冷房能力、暖房能力によって、大きいもの、小さいものというところが変わってきているかと思います。

 また、シングルユースというか、1つの室外機に対して1つの室内機というところが家庭用エアコンでは多いところ、業務用エアコンでは複数タイプになっているところが多くあります。

 あと事業者のほうでも、家庭用と事業用のおおよそ見分けがつくと聞いてございますし、メーカーに問い合わせれば型番から分かるとのことですので、そういう形で見分けはつくのかなと思っているところになります。

 続いて、調査結果の一部を御紹介できればと思います。先ほどのような手法を使って、事業者の方に家庭用エアコンの廃棄方法を聞いております。実際に事業所で家庭用エアコンを使っている方がどのように廃棄したかを確認した結果となっておりまして、N数は200程度でございますが、いろいろな業者に確認が取れたところであります。

 その結果、約半数の事業者が産廃処分許可業者へ処理委託されている実態が分かりました。また、約3割が産廃業者に処理方法を任せており把握できていないところで、なかなかリサイクル券が使用されていない実態が明らかになったのかなと思うところでございます。

 続いて、その方々に家庭用エアコンを廃棄する費用を確認させていただいた結果を示しております。家庭用エアコンの廃棄時の処理費用の内訳は5,000円以上が6割ぐらいに及んでいるところで、一般的な家電リサイクル料金で想定している収集運搬料金とリサイクル料金が合算されたものと理解していますが、かなり高めの料金を徴収もしくは支払われている調査結果となっております。これはNが99になっていまして、先ほどの廃棄されていた方々で処理費用を把握しているところのみの回答となっております。

 続いて、家電リサイクルルートに排出されない理由というところで、この辺りは直接ヒアリング調査を駆使しながら実態解明を行ったところになります。

 大きく2点があぶり出されたのかなと思っていまして、1つは当然なのですが、認知が不足しているところです。ここについては排出者が家電リサイクル券自体を知らない場合ですとか、事業者もリサイクル券を利用できることを知らないケースが散見されました。また、廃棄時に引取依頼先から家電リサイクル券を案内されないところも理由として上がってきたところになります。

 2点目としましては、ほかの行為とまとめて依頼をされている実態が確認できました。リフォームですとか、廃棄以外の行為と一緒に業者に依頼されてしまっているのかなと思っていまして、委託先に依頼していて、排出者自身が廃棄行為を管理・把握していないような事例も確認することができました。

 この2点が主な排出されない理由の調査結果となっております。

 また、個別のケースの詳細を御紹介できればと思います。

 まず、賃貸管理業者の例というところです。賃貸管理業者の個別ケースとしては、3つの点が明らかになったのかなと思っております。

 1つ目は家庭用エアコンの所有者、使用者が重層的というところで、廃棄に当たっての責任者が曖昧だったり、管理の目が行き届きにくいという特徴があるのかと思います。

 2点目は、事業者向け特有の販売チャネルが存在していることです。ここについては誰が家電リサイクル法における小売業者なのかが曖昧で、誰が義務者なのかというところが分からなくなっており、結果的にリサイクルルートに排出されない実態が明らかになっております。

 また、産廃業者への依頼ニーズが一定程度存在するところで、小売業者に回収依頼しにくいケースですとか、あるいは産業廃棄物で処分して、マニフェストさえあれば家電4品目でも問題ないと考えている例を確認することができました。

 こちらは今御紹介した内容を図示させていただいておりますが、やはり家電リサイクル法で想定していた流れとは違う構造的な課題が存在するのかなと思っていまして、それぞれが複合的に絡み合って、結果的に家電リサイクルルート以外のところに流れていってしまっているのかなと考察しております。

 また、公立学校の個別ケースの詳細を御説明させていただきます。購入と廃棄に関する入札が別々であるという実態が確認できていまして、家電リサイクルルートへの排出機会がなく、産業廃棄物の処分に流れる可能性が確認されています。学校のエアコンは基本的には教育委員会が入札で調達するか、もしくは学校が自ら調達するかというケースがございます。基本は入札で購入し、後の廃棄行為がばらばらになってございまして、購入の際に廃棄という一連の流れが出来上がっていないことが分かりましたので、この辺りはむしろ家電リサイクルの構造ですとか内容を周知することで、家電リサイクルルートへの可能性があるのかなというように考察しているところでございます。

 こういった形で調査を進めていって、対応策として考えている点がこちらのスライドになります。1点目が効果の大きい普及啓発ルートを活用すること、2点目が対象者のインセンティブとなり得るポイントを訴求することでございます。

 1点目については、例えば賃貸管理業者さんにヒアリングを行ったところ、やはり国土交通省から事務連絡をいただくとかなり効果が高い、かなり適正化の流れになるのではないかというような意見もいただいているところでございます。あと業界や地域の有力者からきちんとした発信をいただくと、具体的に下の業者まで発信されるのではないかというような意見もいただいているところになります。

 また、2点目のインセンティブの話につきましては主に3つの観点が調査から得られたところでございます。1点目が、マニフェストさえあれば問題ないという考え方や委託先任せになっているところを改善したり、あるいはフロン類の不適正処理の可能性など、コンプライアンス上の点を訴求するという可能性があるかと思います。2点目、経済性の観点は先ほど御紹介したとおり、家電リサイクルルートの処理のほうが安価なところがあると思いますので、そういったところを訴求する。3点目、利便性については今後大量排出時の効率的なルートを検討されているという話も聞いてございますので、この辺りを効果的に広報することで利便性も訴求できないかなと考えております。

 というところで実態把握と対応策を検討した結果、まさに現在普及啓発をしようとしているところになります。量的な効果が大きい賃貸管理業者と行動変容の可能性が高い教育委員会・学校を対象に、まずはこの2業界から進めていこうと、家電製品協会と連携して進めているところでございます。賃貸管理業者に対しては国交省、教育委員会・学校に関しては文科省と調整を開始しています。業界に適した手法、対象者に適した内容など、きめ細かな啓発を予定しております。

 ここに書いてある取組は今の取組と今後の取組の一例でございまして、きちんと普及啓発のアクションプランを立てながら、1つずつ業界に適した広報、啓発活動を行っていくところでございます。

 以降は詳細の説明資料になりますので、本日の御説明は割愛させていただきます。

 私からの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

○田崎座長  御説明ありがとうございました。

 それでは、議題1の質疑応答に移ります。御質問等のある方は、Web会議システムの挙手ボタンを押していただくようお願いいたします。挙手状態は私が指名するまでキープ状態でお願いいたします。私のほうから順次指名をさせていただきます。指名された方はマイクのミュートを解除し、ビデオをオンにして発言いただければ幸いです。

 なお、委員の皆様全員から御意見、御質問をいただきたいところですが、もし時間が不足した場合には、閉会後に事務局のほうへメールで意見を提出していただくことも受け付けたいと思っております。その場合はメールでの意見提出も含めて議事録に記載いたしますので、その点御了承いただきますよう、よろしくお願いいたします。

 それでは、質疑応答に入りたいと思います。挙手のボタンを押していただければと思います。私のほうで見えている方から指名させていただこうと思います。お二人から手が挙がっておりますので、まず最初に吉岡委員、それから崎田委員でお願いいたします。

○吉岡委員  吉岡です。よろしくお願いします。

 先ほど見せていただいた資料の中で、産廃業者に委託しているケースというのが円グラフで示されていましたけれども、産廃業者に委託されている場合は家電リサイクル券未使用という確認が取れている内容なのでしょうか。御質問です。

○田崎座長  それでは、崎田委員からの御意見、御質問も伺ってからお返事いただこうと思います。崎田委員、お願いいたします。

○崎田委員  今回詳細な調査をしていただいて、ありがとうございます。

 きちんと排出しない理由として認知不足というようなことが一番最初に出てきたのは、ちょっと驚きというか、非常に基本的なところですので、これはしっかりともう一度対策を練り直さなければいけないと強く思いました。

 今回最後に、今後しっかりと国交省や、文科省いわゆる教育関係と連携をして、新しく普及啓発を実施するというようにあります。こういうポイントを絞ってやるのは賛成しますけれども、もう1つ、自治体の普及啓発という役割も大事だと思います。特にごみカレンダーなどに家庭用は書いてありますが、そこに事業者から排出される家庭系に対する取扱いも一言入れていただくとか、やはり自治体の役割というのも位置づけていただければありがたいと思いました。よろしくお願いいたします。

○田崎座長  それでは、今お二人から質問がありましたので、まずこの点についてお答えいただければと思います。

○森部様  御質問いただきまして、どうもありがとうございます。

 1点目の吉岡委員からの御質問ですが、家電リサイクル券を使っているというのは別の選択肢がございますので、家電リサイクル券を使わずに産業廃棄物処分している回答というように御理解いただければと思います。

 また、崎田委員からの御指摘もごもっともかなと思ってございまして、今後の普及啓発の参考とさせていただきたいと思います。ありがとうございます。

 以上です。

○田崎座長  それでは、続きまして、大塚委員と大石委員から御質問いただこうと思います。まず大塚委員、お願いいたします。

○大塚委員  大変有益な検討をしていただいて、ありがたいと思っています。

 簡単な質問2点でございますが、これは産業廃棄物処理業者に出しても、家電リサイクル法上はおそらく罰則に至ることがないということなのかなと思っているのです。むしろ環境省にお伺いしたいところですけれども、指導とか勧告命令の後、罰則というのはあるかもしれませんが、そこをまず教えてください。

 2つ目ですけれども、最後の辺りで経済性というのがあって、家電リサイクルルートによる処理のほうが安価と書いてありますが、これは本当にそうなのかを確認させていただきたいです。どのぐらいの確率かによって対策の取り方が変わってくるような気がしますので、よろしくお願いします。

 以上です。

○田崎座長  では、続いて大石委員、お願いいたします。

○大石委員  御説明ありがとうございました。

 私からも質問といいますか、意見に近いのですが発言させていただきます。先ほどの崎田委員の発言ともつながりますが、今後さらに文科省、国交省も含めて、事業者向け、それから消費者向けに普及啓発を行っていく、というお話でした。今、実際にどのような周知がされているのかも知りたいのですが、家電の回収というのは、ただ単に資源枯渇の問題だけではなく、特にエアコンの場合など、フロン回収は、地球温暖化防止という面でも大変重要な取組でもあることを、ぜひ入れていただきたいと思っております。なぜ正しい方法、ルートで回収する必要があるのかの説明があって、事業者も消費者も納得して適正なルートに出すことにつながると思いますので、是非伝えていかなければいけないと思うのですが、現状はどうなのか、そのあたりの説明はされてるのか、分かれば教えていただきたいと思います。以上です。

○田崎座長  では、お二方から質問をいただきましたので、お答えいただければと思います。

○森部様  御質問ありがとうございます。

 大塚委員から御指摘いただいたところでございますが、1点目のところは環境省からの御回答をお願いできればと思います。

 2点目のところについては、我々も正直ちょっとびっくりしたところがありまして、家電リサイクルルートよりもかなり高額な料金を支払っていただいているケースも確認できたところです。これは実際に何件かヒアリングでも確認させていただいたのですが、1台当たりに換算すると、普通のエアコンの家電リサイクル料金プラス収集運搬料金に比べてかなり高い例が散見されたところがあります。実際にアンケート調査で100件ぐらいのN数でもそういう状況になっておりますので、ここは少なからずファクトであると思っておりますので、重要な観点かなと理解しております。

 大石委員から御質問いただいたところは、フロンの重要性はヒアリング調査の中でも確認させていただいたのですが、なかなか事業者の方の理解がまだまだ得られていないところもあって、もちろんフロン法の話はよく分かっているのですけれども、家電リサイクルのエアコンのフロンというところだとまだまだ、御理解が不十分なのかなと思っております。そこを広報の中でもうたいながらパンフレット等も用意していきたいと思いますので、また御指導いただければと思います。ありがとうございます。

○田崎座長  それでは、罰則の点について環境省、お願いいたします。

○事務局(小早川)  廃棄物処理法に基づき、産業廃棄物として排出された場合には、廃棄物処理法上の処理基準の告示に基づき処理しなければならないとされているところです。排出事業者が自らの廃棄物を適切に排出する責任があるところと、処理業者におかれては廃棄物処理法上の処理基準に基づき処理する義務がかかっているところになります。

○田崎座長  いかがでしょう。よろしいでしょうか。

○大塚委員  大塚ですけれども、ということはあまり罰則はかからないと思ったほうがいいということですか。

○事務局(小早川)  廃棄物処理法の処理基準違反の場合の罰則につきましては、手元ですぐ確認が取れませんので、廃棄物処理法上の罰則の規定について後ほど確認させていただきまして、御回答させていただければと思います。

○大塚委員  排出事業者のほうは、別に何か基準があるわけではないですよね。

○事務局(小早川)  ただ、産業廃棄物になりますので、排出者責任というところはかかっているところです。

○大塚委員  それは一般的な話ですね。

○事務局(小早川)  はい。

○大塚委員  分かりました。

○事務局(小早川)  罰則に関しましては後ほど確認させていただきまして、御回答させていただきます。

○大塚委員  どうもありがとうございました。

○田崎座長  吉岡委員、手が挙がっておりますが、先ほどの質問について何か追加質問でしょうか。

○吉岡委員  私ども実際に産廃業者としての立場から言わせていただきますが、我々も事業所で使っている家庭系のエアコンの廃棄依頼というのを受けています。ケース・バイ・ケースですが、お客様のほうで、排出者側で家電リサイクル券を御用意いただいて、我々が運搬して家電リサイクルプラントに運ぶケースもありますが、我々のほうで家電リサイクル券を購入して、全ての家電に貼付けをして家電リサイクルプラントに持っていくケースもあります。我々ではやっていませんが、実際産業廃棄物処理業者の中でもフロン法についてもちゃんと遵守した上で、フロンの回収の登録をされている事業者が適切にフロンを回収した上で、鉄、銅とかのスクラップとしてリサイクルをしているところもあります。必ずしも家電リサイクルプラントに返らないと、不適正な処理がされているわけではないということだけは申し上げておこうと思います。

 以上です。

○田崎座長  ありがとうございます。

 では、石川委員、手が挙がっておりますので、御質問をお願いいたします。

○石川委員  1点だけ、今論点になっている産廃処分許可業者へ委託したのは43.3%になっているのですが、これに関連して以前から環境省が調査されていて、産廃処理ルートに流れているものというのが、フローとして一応推計があったと思うのです。私の記憶では、それはネグリジブルスモールでなかったかと思うので、その点、このアンケートとの整合性がどうなっているのかを教えていただきたいです。

 以上です。

○田崎座長  重要な御指摘ありがとうございます。

 それでは、この辺りの調査を行っている森部様、お願いいたします。

○森部様  石川委員、ありがとうございます。

 石川先生の御理解のとおりでございまして、今環境省の調査の中で把握しているものと比較すると、少し大小関係が合わないところもあるかなと思っていまして、そこについては審議会でも御指摘いただいているとおり、環境省のほうでもより詳細な調査を予定というように聞いてございますので、この辺りは環境省からも御回答を頂戴できればと思います。その辺の整合が取れるのか、取れないのかというところを十分に確認していく必要があると思っております。

 以上です。

○田崎座長  いかがでしょうか。

○事務局(小早川)  環境省の小早川です。

 まず全体フローとの関係でいきますと、全体フロー推計においては、産業廃棄物として処理されているエアコンの台数は2.8万台と推計させていただいているところでございます。御指摘のとおり、こちらの調査についてはサンプルの中でアンケート調査になってくるところだと思いますので、こちらとの整合というところではこれまでの審議会での御指摘を踏まえまして、産業廃棄物処理業者による処理の実態といったところにつきましては、詳細を今後検討していきたいと考えているところでございます。

 環境省からの補足は以上となります。

○田崎座長  ありがとうございます。

 それでは、ほかの委員、何か御質問等ありますでしょうか。――よろしいようですので、ここで質疑を終了いたします。

 続きまして、2つ目の議題に移りたいと思います。「家電リサイクル料金制度について」ということで、こちらは事務局から御説明をお願いいたします。

○事務局(畑谷)  経済産業省の畑谷と申します。

 私から資料3ということで家電リサイクル料金制度について、御説明させていただければと思います。よろしくお願いいたします。

 まず1ページ目、御覧ください。1ページ目は導入ということで、お示ししております。料金制度変更の議論ということで、前回平成26年の見直しにおきまして審議会の報告書の中で、回収率が低い状況や、不法投棄の状況が改善されないといった場合には、購入時負担方式への移行も含めた制度的な見直しを行うことについて国は検討すべきであるというように、報告書として書かせていただいております。

 そのため、購入時に課金する方式、いわゆる前払いということにつきまして変更する目的としては申し上げた2点、回収率と不法投棄というところを見ていく必要があると考えております。この2点につきましては、いずれも現行制度の下では改善の傾向があるということですので、仮に料金制度を変更するということであれば変更によって、この2点の目的をさらに発揮できるかどうかが必須になってくると考えております。

 他方、制度を変更することで生じる課題としまして、料金管理の複雑化など様々な課題があるところも認識しておりますので、新たに必要となる課題に生じるコストと、先ほどの目的の発揮のバランスをどう確保できるかが焦点になるという点、導入でお示しさせていただいております。

 2ページ目、御覧ください。2ページ目は現行料金制度の整理ということで、制度変更を議論するに当たり、現行の仕組みにおいてそもそもどういった機能が維持されているか、運営されているかという点についてピックアップして、整理しているものになります。現行で維持されているような料金収受ですとか、運営機能にある程度支障を来さないようにするところは、料金制度を変える上でも必要になってくる論点かと思っております。

 かいつまんで御説明いたしますと、まず収集運搬料金につきましては適正な原価を勘案して設定するとされておりまして、小売業者が収受をして、収集運搬及びそれに付随する事務の費用に充てることになっております。

 また、再商品化等料金につきましては設定に当たって適正な原価を上回ってはならないことになっておりまして、そちらはRKCを通じてメーカーが受領し、再商品化等に係る費用に充てることになっております。

 3つ目に関して、負担と排出、再商品化の時期に関してですが、現行の仕組みですと、排出者が排出時に排出する製品のリサイクルについて料金を払うということで、いわゆる後払い方式になります。こちらについては後で払うことで製品の長期使用効果が期待される一方、支払い忌避の可能性もあるところで両面あるかと思っております。またリサイクル料金に関しては、そのときのリサイクルコストが反映されやすい構造にもなっておりますので、過不足が発生しにくいところは特徴としてあり得るかと思います。

 下2点につきましてはコスト的な観点になるのですけれども、後払い方式であれば料金を実際に支払うタイミングとリサイクルを実施する時期が近いことになりますので、その分料金を管理しておく仕組みですとか、製品及び製品使用者を管理しておく仕組みは不要になっているかと思っております。

 また一番下ですけれども、製品の購入形態です。例えば既販品ですとか、外国から直接購入したような製品があるかと思うのですけれども、仮に製造業者が撤退した場合、その製造業者の製品に対しても後払いで料金が支払われることになりますので、要しますと製品の購入形態や流通形態に左右されずに料金を回収することができるところは特徴としてあり得るかと思います。

 総じて言えることとしましては、仕組み自体は比較的シンプルであるという点、それからトータルのコストを比較的低めに抑えられているところが特徴としてはあり得るかと思っております。

 一方で、その中で各関係者間の負担ですとか、コストのバランスをどのように取っていくかについては、現行制度においても重要な部分になると考えています。

 3ページ目に参ります。こちら以降が料金制度を変える場合の課題ということで、ピックアップしているものになっておりまして、まずこのページにつきましては、全体的にどういった課題があり得るかということを全体図のような形でお示ししております。4ページ目以降で、もう少し細かく具体的に御説明できればと思っております。

 まず前払い方式といった場合、考えられる方式としましては将来充当方式と当期充当方式があるかと思います。こちらについては前回の会合でも御説明した部分ですので、方式自体の説明は少し割愛させていただければと思っておりますけれども、いずれの方式を取った場合であっても共通する課題として、まず2点考えられるかと思います。

 まず1点目ですけれども、収集運搬料金の扱いということで、本来料金制度を変える目的としましては、後払いでお金を払うことを嫌がるようなところをどう防いでいくかということがあるかと思いますので、収集運搬料金についても併せて前払いにすべきかどうかは論点になりますけれども、将来生じる収集運搬料金をあらかじめ収集することの困難性、適正な排出促進効果が限定的になり得るのではというところは課題としてあるかと思います。

 また2点目は、排出と料金負担の不一致ということですけれども、前払いにする場合、製品を買うときにお金を払いますので、捨てるときには払わないということで、排出時に料金負担を行わないことによって生じる課題が幾つかあると思います。具体的にはフリーライダーへの対応をどうするかという点ですとか、料金管理そのものの仕組みが複雑化することによるコスト増加部分というところがあり得るかと思います。

 真ん中部分ですけれども、こちらは方式をさらに細かく分けた場合どうなのかということになりまして、前回の会合では幾つかお示ししたところですが、集めた料金をどう管理するかということで、資金管理法人をつくって管理する場合と、個社、メーカーごとに管理する場合ということで、さらに2つずつ分かれております。こちらについても4ページ目以降で、もう少し詳しく御説明できればと思っております。

 上の方式と併せて少し異なる部分としましては、製品価格内部化方式というものも十分考えられると思っておりまして、この方式は制度の設計自体に幾つかバリエーションがあるかなと思いますので、一概にこういうものであるとなかなか言いにくい部分はあるのですが、一番の特徴としては、基本的には特別に、料金という形での設定はせずに製品の中、価格の中に含めていくところが特徴だと思っておりまして、そのため、別途料金収受、管理がある程度不要になるところなどがメリットとしてあり得るのかなと考えております。

 こちらについての課題ですけれども、やはり上と共通の部分が幾つかありまして、そもそも収集運搬の在り方ですとか、料金をどう扱うかという点については上の方式と同様に検討が必要だと考えております。

 また併せて、排出時に料金を払わないところも上の方式と同様の部分になりますので、それによって生じる課題というところもある程度共通の部分があると考えております。具体的には財源の過不足ですとか、メーカーの事業撤退、倒産による義務者不存在、フリーライダー対応、税制上の措置ということで、次ページ目以降でもう少し詳しく御説明できればと思います。

 また、製品価格内部化の特徴としては、やはり消費者、排出者の負担部分が明示されないことになりますので、リサイクルに関する費用を誰が幾ら負担しているのかというところが、どうしても見えにくくならざるを得ないということで、リサイクルに携わる関係者間の費用負担のバランスをどう取っていくかという点は、制度を考える上でも工夫が必要になってくる部分ではないかと考えています。

 続きまして、4ページ目に参ります。具体的な課題ということでお示ししているのですけれども、こちらのページは共通課題をもう少し細かく御説明できればと思います。

 1つ目は収集運搬料金の扱いをどうするかということでして、前払い制への移行の目的としては冒頭申し上げた回収率を向上させるということ、それから不法投棄を減らす、抑止するということ。要しますと適正な排出の促進効果をどう発揮していくかということになるかと思います。その場合、排出時のコスト自体を徹底的に小さくしていくことは必要になってきますが、収集運搬料金を購入時課金、つまり前払いにすると、あらかじめ収集運搬料金の金額を将来排出されるときに併せてどういう金額で設定するか、その収受、管理を誰がどのようにやるかというところについては、どうしても検討が必要になってくるかと思います。

 一方で、収集運搬料金を前払いにせず後払いのままにすることも選択としては十分考えられますが、そうしますとリサイクルをする際に収集運搬料金はお金として払わなければいけないということで、本来の目的である適正排出促進の目的達成という観点では、不十分となってしまうのではないかという点については考える必要があるかと思います。

 下は参考で、少し古いデータで大変申し訳ありませんが、以前見直し会合時に収集運搬料金の実態調査をしたときのデータとして、買換えの場合と回収のみの場合で収集運搬料金金額に差額があるようなところと、およそ最頻値として1,500円から2,000円台ぐらいという調査結果がございましたので、参考でおつけしております。

 また下の部分、共通課題の2つ目ということで排出と料金負担の不一致による課題となります。前払い式ですと買うときにお金を払うことになりまして、支払いのタイミングと実際にリサイクルで排出するタイミングが異なってくることになりますので、まず前払いで料金を集めるということであれば、EC事業者も含めた全ての小売業者がどの程度販売したかという台数の把握と、そこから確実にリサイクル料金を集めてくる仕組みがまず必要になってくるかと考えております。

 また、集めたお金に関してはリサイクル料金として一定期間管理しておく仕組みも必要になりますし、仮に海外メーカー製品を直接購入するような場合に関しましては、その製品について排出時まで情報を管理しておく仕組みもある程度必要になってくると思います。

 また、先ほど申し上げた価格に内部化する場合も考えられますけれども、こちらに関しましては、そういった料金の仕組みみたいなものはある程度不要になる一方、メーカーの負担の度合いですとか、メーカー自体の倒産、事業撤退に対する影響への対応は必要になってくるということで、要しますとどうしても現行の仕組みに比べると料金等々の仕組み自体が複雑化せざるを得ないところで、コストの増加があり得る点にどう対応するかというポイントと、コスト増加に伴ってリサイクル料金自体も上昇し得る点について、消費者の理解を得られるかどうかという点があります。

 また、仮に消費者の理解を得られないような場合ですと、消費者に転嫁し切れなかった場合のコスト部分についての負担を、誰がどのように行うべきかというところまで検討しておく必要があるかと思っております。

 5ページ目に参りまして、具体的なモデルとして先ほど4ページ目で申し上げた方式別にどういう課題があり得るかということで、主なものをピックアップしております。

 こちらは将来充当方式の場合ということで、消費者が製品を買ったときにリサイクル料金は預けられますけれども、それは一定期間預けられた状態で、製品が排出されるときに充当されるという仕組みになっています。

 この場合の課題として大まかに3点あるかと考えておりまして、まず1点目は既販品の対応ということで、既に世の中に出ている既販品につきましては現行の後払い、排出時負担方式が適用されますので、引き続き後払いで支払う必要があると考えられます。そうなった場合に、前払いと後払いがある程度併存せざるを得ないことが考えられます。具体的には買換えのときなどに、消費者としては一時的に2台分のリサイクル費用を同時に負担するケースが出てくるかと思いますので、それがかえって不適正な排出の誘因につながらないかというところは、慎重に見ておく必要があるかと思います。また後払いと前払いの製品が世の中に混ざることになりますので、既にリサイクル料金が支払われたものと、そうでないものの製品の識別をどのようにするかというポイントについても、どう管理していくかという点は考えなければいけないと思っております。

 識別に関しては2点目にもつながる部分ですけれども、資金管理、情報管理ということで先ほども申し上げた点なのですが、EC事業者を含め、全ての小売業者から販売台数を把握してリサイクル料金を回収する仕組みが必要になることと、集めたお金及び情報を長期に管理し、リサイクル時に支払うということで、そのための業務をする組織が必要になってくるかと思います。

 括弧書きは概算ですが、仮に家電1台当たり2,000円として、年間排出台数約1,400万台で、排出までの年数を10年と考えますと、約2,800億円程度の資金は常に管理しておく組織が必要になってくると考えられます。

 また、3点目は消費者がほかの消費者に転売した場合です。将来充当の場合ですとあらかじめ資金を預かっていますので、その製品をほかの人に転売した場合、最初に買った人に一度預かった料金を還付するかどうかという部分が課題としてあり得るかと思います。返す場合ですとどうしても手続上のコストがかかってくるので、それを誰が負担するかという点が課題になります。還付しないという場合もあるかと思いますが、その場合は第一購入者だけが負担して、譲り受けた後のユーザーは一切リサイクル料金を負担しないのかという話になりますので、そこの消費者間のバランスといったところも見ておく必要があるのかなと思います。

 要しますと、仕組みの複雑化に係るコスト増を誰が負担するかという点、それから、それに伴うリサイクル料金の上昇があり得るという点については注意しておく必要があるかと思います。

 3つ目は財源の過不足リスクということで、将来充当の場合、家電排出におよそ10年程度かかると考えた場合に、将来リサイクル費用がどれだけかかるかというところをある程度予測した上で、現在の料金を設定することになりますので、どうしても徴収過多もしくは過少のリスクが生じる点につきましては将来充当の見ておくべきポイントとしてあるかと思います。

 また、費用を製品価格に内部化するといった場合があり得るかと思います。この場合は料金自体、個社管理という仕組みになるかと思いますので、申し上げたような資金管理組織を新たにつくって、管理コストが生じるところについてはある程度カバーできるかなと思いますけれども、個社自体の倒産、義務者不存在のリスクですとか、個社で管理する資金に法人所得税が課せられるといったところの非課税措置ができるのかどうかというポイントも課題としてあり得るかと思います。

 こちらも要しますと事業者自体の負担増ですとか、実際にいざリサイクルをするといったときに財源自体が足りない、もしくは余剰にあり過ぎるといったことについて、どう対応するかという点が大きな課題としてあるかと思います。

 下のスキーム例は、あくまでも一例ですが、資金管理法人の方式を取り、リサイクル料金は小売から徴収するといった場合に、それぞれリサイクル料金の流れ、家電製品の流れがどのようになっているかという点について、1つのバリエーションとして参考でお示ししているものになります。

 6ページ目に参ります。こちらはモデルの2つ目ということで、当期充当方式の場合の主な課題となります。

 当期充当の場合、将来充当と大きく違うポイントとしましては、実際に製品を買った人が料金を払いますが、払われた料金は自分の買った家電には充てられずに、そのとき別の消費者が排出した家電に充てられるということで、排出者と負担者が一致しないところは将来充当と大きく違うポイントになっております。

 こちらの課題は大まかに2点ございまして、まず財源の過不足というところは将来充当と同じになります。

 ただ、当期充当の場合、違う点としましては、当期の排出台数が当然ありますので、それに係る処理コストについては当然販売台数に基づいて料金が徴収される仕組みになります。その年度における排出台数と販売台数の予測がどのくらいできるのかというところと、実際に料金と費用に差が生じた場合にどう対応していくかということで、要しますと余剰もしくは不足が出た場合に資金の繰越し、または補填をどのようにするかということになります。

 方式別に考えますと、資金管理法人をつくって管理する場合、当期における国内全体の排出台数と販売台数のバランスを見てリサイクル料金を決定していくということで、ある程度どうしても一律的な料金になりやすいところで、それに伴って料金引下げ効果が弱くなってしまうのではないかというところが考えられます。赤字の場合の補填をどうするかという点もあります。

 また、個社管理でやるという場合ですと今申し上げたような話を今度個社ごとに見ていくことになりますので、排出台数と販売台数のバランスを個社ごとに見て、リサイクル料金を個社で決めていくということで、当然赤字の場合は個社ごとに補填していくことになります。

 また、製品価格に内部化する場合も同じく個社でバランスを見ていくことになるのかなと思いますので、赤字補填については同様です。また、仮に製品価格に費用を内部化する場合ですと、製品価格自体の変動リスクも生じかねないところがありまして、要しますといずれの場合も、排出と販売のバランス自体が崩れる場合にメーカーの負担が過大、過少になるということで、持続可能性の観点から制度設計をどうするかという点は工夫が必要かと考えております。

 また、2点目は冒頭申し上げた排出者と負担者の不一致ということで、リサイクル料金を払う者と、リサイクル製品を排出してリサイクルのサービスを受ける者が違うということで、受益者と負担者が違う点の整理、料金というものの性格をどのように考えるかというところの整理が必要になってくるかと思います。

 以上が、制度を変更した場合に生じる課題のうち主なものということで御紹介しております。これらは制度を変える上で避けられない検討課題であるかと承知しておりますので、その解決、対応方法につきましては検討しておく必要があると考えております。

 7ページ目以降は参考ということで幾つかおつけしておりますので、こちらも御紹介させていただきます。

 まず7ページ目は自動車リサイクルの例です。いわゆる自車充当方式で製品を買ったときに料金を払う、かつ払われたお金は資金管理法人で管理されるということで、今御説明した家電に当てはめますと将来充当的な仕組みに近いと思いますので、共通する部分もあり得るという点で紹介させていただいております。

 7ページ目は主な資金の流れということで、自動車リサイクルの場合はフロン類、エアバッグ類、ASRの3品目について、その処理費用がポイントになるのですけれども、処理費用以外に情報管理料金、資金管理料金というものがリサイクル料金に含まれてくる点がポイントになるかと思います。

 下の図は令和元年度における資金の流れということで、ポイントとしましては真ん中、価格の部分でJARCが管理している情報管理、資金管理における特別会計ということで、これに関する支出が年間どの程度あり得るかというところと、上の部分、ユーザーとメーカーがそれぞれどういう割合で分担しているかという点の流れとして、御参考でおつけしております。ユーザーですと情報管理料金で6.6億円、資金管理料金で14.8億円、毎年負担しているところと、メーカーは情報管理の負担金3.1億円、資金管理の負担金4.2億円、これらがJARCに払われているということで、JARCは支出として充てているような流れになっております。

 続きまして、8ページ目に参りまして、自動車リサイクル制度をつくったときのコスト分担の考え方を参考でお示ししております。

 まずイニシャルコストということで、新たに資金管理にかかる費用ですとか、電子マニフェスト制度に要する情報システムのプログラムの構築費用、2005年度までの指定法人JARCの施行準備に要する人件費等ということで、およそ142億円程度は全てメーカーが負担したような形になっております。

 またランニングコストということで、これは毎年かかってくることになるのですけれども、メーカーとユーザーで折半している部分もございまして、例えば②番の情報システム機器に関する費用のところについてはメーカーとユーザーで折半しております。

一方で、資金管理ですとか、情報管理の業務自体に係る人件費、もしくは施設管理費といったところはメーカー側が負担していますし、逆にリサイクル料金の預託収受に要する費用はユーザーが負担しておりまして、主要なもの、上3点を合わせまして先ほどの図の流れから概算しますと、およそ30億円程度は毎年かかってくることになります。家電の場合ですとメーカー、ユーザー以外にも小売業者などが入ってきますので、完全に負担の考え方をそのまま適用できるわけではありませんが、参考として分担の在り方をお示ししているものになっております。

 続きまして、9ページ目に参ります。自動車リサイクルにおいても自車充当から他車充当への変更について検討が行われておりまして、どういった課題があるかということでお示ししております。

 他車充当というのは、いわゆる家電における当期充当方式に近い形と思いますけれども、制度発足時の指摘としては、やはり受益者と負担者が違う点と、新車販売数と使用済自動車数によって料金が変動する点については課題として挙げられております。

 特徴的な点としては、JARCが管理している預託金が現在9,400億円程度まで増えているということで、この取扱いをどうするかという点が課題になっているのと、他車充当方式にしますと長期に資金を管理するシステムといったもの自体は必要なくなるのですが、右側の図にありますように何らかの料金徴収、管理のための機関が必要になってきますので、それに関するコストは一定程度発生せざるを得ないような点については、家電においても共通の部分なのかなと考えております。

 自動車の例としては以上になりまして、続きまして10ページ目になるのですけれども、こちらはPCリサイクルの例ということで、御参考におつけしております。あくまでも一般社団法人のPC3R協会が実施しているスキームで、家庭系PCリサイクルにおける流れということでお示ししております。ですので、このスキームに関してもPC3R協会の会員メーカーに限っている点は御注意いただければと思います。

 大まかな流れとしましては、まず個人、お客様と書いておりますけれども、こちらが各メーカーの窓口に回収の申込みをしまして、メーカーは輸送伝票を送ることになります。真ん中に料金支払いという部分がありますけれども、現在、平成15年10月1日以降に販売されたものはPCリサイクルマークというものがついていますので、こちらについては無償で回収になります。②、③番に関しては、PCリサイクルマークがないPCについては料金支払いをする仕組みである点は御注意いただければと思います。伝票が到着した後、お客様自身で梱包いただいて輸送することで送られる仕組みになっております。

 PCの場合ですと、再資源化のために買取りとしてメーカーが引き取るといったことも行われておりますので、いわゆる家電4品目のようにメーカーによるリサイクルシステムとは少し別の仕組みの中でリサイクルされているものになります。家電リサイクルにおける料金制度ですとか、前払いといった内容とは少し異なる性質のものである点は御注意いただければと思います。あくまで御参考ということで、図としておつけしております。

 続きまして、次の2ページに関しましては不法投棄に関する資料ということで御用意しておりまして、こちらにつきましては環境省から御説明いただければと思います。お願いいたします。

○事務局(小早川)  11ページ目につきましては、参考資料として不法投棄された家電4品目のリサイクルに係る費用(試算)となってございます。

 この試算においては、市町村へのアンケート調査結果として令和元年度の不法投棄で回収された台数約5万台と、一般的なリサイクル料金を掛け合わせて合計金額を試算したものでございます。その結果につきましては、1億3,700万円程度であった試算結果となってございます。

 まず不法投棄で回収された台数のところは、あくまでもアンケート調査により回収されている台数を基にしており、リサイクルに係る費用に関しましては、一般的なリサイクル料金を掛け合わせたところでありまして、この料金には収集運搬料金等は含まれていない試算結果でございます。

 続きまして、12ページ目、お願いいたします。こちらも参考資料といたしまして、家電製品協会のほうで行っていただいています不法投棄未然防止事業協力の概要の資料となってございます。

 こちら家電4品目に関しまして不法投棄の未然防止事業に積極的に取り組む自治体を対象に、その費用の一定割合を製造業者等が助成する制度となってございまして、下の図を御覧いただければと思いますが、防止費用といたしましてはパトロール費用等に関しまして、おおむね助成率50%で助成されているところで、引渡事業といたしましては、引渡事業を実施するに当たり必要となる撤去費用でありますとか、引渡費用、リサイクル料金等に関しまして助成率100%で助成されているところで、積極的に取り組む自治体に対して不法投棄未然事業協力を製造業者等が行っていただいている制度の概要となります。

 こちらの参考資料の説明は以上となります。

○事務局(畑谷)  ありがとうございます。

 最後、13ページ目になります。料金制度に関する今後の検討案ということで、現時点の案としてお示ししているものになります。

 これまで申し上げてきたところですが、現状制度変更においてはどうしても多様な課題があること、また現行制度がこの20年で定着して運用されている中で、冒頭申し上げた目的、回収率の向上と不法投棄の抑止の目的達成の見通しが現時点で十分立ちにくい制度変更に対してコストをかけるべきかという点につきまして、今回のタイミングで料金制度を見直すことが適当かどうかを御提案しているものになります。ただ、あくまでも回収率向上ですとか、不法投棄を減らすための対策自体は必要になりますので、こちらは引き続き必要である点に関しましては変わりません。

 そういったところを踏まえまして、今後の社会経済環境の変化等も踏まえて現行制度や、もしくは制度変更の課題という点に関しての議論というものを別の検討会といった場に引き継げればと検討しております。そのための目的、内容、ポイントとしましては、現行の料金制度の変更が不法投棄の減少、回収率の向上という目的達成に効果を発揮できるかという点、それから内容につきましては現行制度、制度変更の課題に関して、もう少し実務的な面から検討を加えられるかというポイントがあるかと思います。検討のポイントも、あくまでも案ということで、現在このような方向性があり得るとしてお示ししているものになります。

 こちらの検討会の位置づけとしましては、今回の審議会において最後、報告書という形で整理させていただくかと思いますが、通例ですと、その報告書に関して翌年度にフォローアップの会合等を行っているかと思いますので、フォローアップの会合時までに検討会を開催し、検討結果を最後、何らか会合にお示しするような流れもあり得るということで検討しているところになります。

 料金制度に関する資料としまして御説明は以上になります。よろしくお願いいたします。

○田崎座長  ありがとうございます。

 それでは、料金制度についての質疑応答に移りたいと思います。先ほどと同じように挙手ボタンを押していただけますと、私のほうで指名させていただきますので、順次御発言いただければと思います。本日、料金制度についてのみでも質疑の時間を50分、多めに取っております。もし足りなくなる場合にはまたメールで意見提出することもできますので、その点改めて御了承いただければと思います。

 それでは、手が挙がっている方から一人一人指名させていただきます。まず石川委員、お願いいたします。

○石川委員  叡啓大学の石川です。

 まず制度変更を議論する視点として、社会全体の観点から変更によって社会的な便益が増えて、社会的なコストが下がるのだということに着目して検討すべきだと思います。

 結論として、私は料金制度を前払いに変更するべきではないと思います。その根拠としては、御説明の中でもありましたが、これまで見直しのたびにこの論点は議論してきたのですが、前回の見直しのときに現行制度を変更する必要がないと、変更しないほうがいいという結論になっております。そのとき以降で新たな状況が発生して、もう一度議論しなければいけないという状況が私には見当たらないというのが1つあります。

 まず不法投棄件数を見てみると、ここ数年底打ちではありますけれども漸減傾向にあって、2019年の値は制度発足以来最少になっている。これは実際発見された数だけであるという話もありますけれども、発見されていない不法投棄は増えているという定性的な情報も私は聞いたことがない。もしあるのであれば教えていただきたいです。それから絶対数を見たときに2019年度5万台余りで、これは出荷台数2,300万台と比較すると0.2%、全体として見れば少ない部分です。

 不法投棄の問題というのは特定の自治体、捨てられやすい自治体があって、そこでは大きな問題だと思います。私はその問題を軽視するつもりは全くありませんけれども、全体のバランスを見たときに、社会全体としては不法投棄が集中するような特定の自治体の局所的な問題だと思いますから、この問題に対する対策として制度全体を変更するというのは目的と手段がマッチしていない。不法投棄が集中しやすい自治体に対する、地域の特性に応じた個別的な対策を考えるべきだと思います。

 それから回収率を見ると近年4年間で50%ぐらいだったところ、全体的に見れば、現行制度で関係者の努力によって問題が緩和される方向に行っているのは間違いがない。この時点で、この制度を根本的なレベルから変更を行うというのは私の判断では失うものが明確で大きくて、得られる成果は不確かで、かつ成果があるかどうかも私には確信が持てない。

 それよりは、もっと大きな問題としては最初の資料で示していただきましたけれども、エアコンの問題のほうが重要な問題で、これこそ我々が取り組むべき問題だと思います。これは大石委員からも御指摘がありましたし、フロンの問題を含んでいるので、温暖化の問題として重要です。

 さらに産廃事業者に対するアンケートと、これまで環境省でフローとして推計していた値にギャップがあるというのは、埋めなければいけない。こういう問題に対する対策として、これまでの4年間回収率が上がってきたということは、私自身は個別的な排出ルートを小分けにして問題点を特定して、関係する事業者、業界グループとか、そういうところに働きかけてきた。これは関係者の努力が大変だったのですけれども、それによる効果だと思います。その中の1つは、静脈の入り口としてのヤード業者に対する規制があったのですけれども、それも含めてデータが上がってきているので、これをエアコンの回収率の問題に適用すれば改善するのではないかと思います。

 残された問題としてネット通販とか、空き家の問題があるのですけれども、これについてはまず現状、実態をきちんと調査した上で対策を立てるべきではないかと思います。

 以上です。

○田崎座長  ありがとうございました。

 それでは、続きまして大塚委員、お願いいたします。

○大塚委員  大塚です。

 石川先生に全部言われてしまったような感じなのですけれども、非常によくまとめていただいて、いろいろな論点が全部出ている感じで大変よかったと思っております。

 それで特に申し上げておきたいのは、今まさに石川先生がおっしゃったこととの関係で、今後別のところで検討していただくときに、この論点の中に今のネット通販の話とか、空き家の話はぜひ検討いただきたいと思います。

 前回の報告書を踏まえて、今回制度を変えるかどうかについて検討を行うとすると、その間に社会経済におけるどういう変化があったかを考える必要がありますが、今の2点辺りが変わってきつつあるところと思います。家電4品目に関しては結構かさばるものだということがあって、ネット通販はそれほど多くないので、取りあえず大きな問題にはなっていないと思います。今後は分からないということもございますので、ネット通販特有の問題として考える点もあるのかもしれませんけれども、検討はしておいたほうがいいかと思います。これから次の見直しの時期までの間にネット通販が増えたりする傾向が続くといろいろ困るかもしれないので、その検討はしたほうがいいかなと思っております。

 それから全体の話は私も今までしていますし、前回と違ってどこが重要で、何が変わったかということを中心に考えていく必要があると思っているところですけれども、仮に白地から考えるとしても個社管理方式を取る場合、税の問題は避けられず、財務省が税金を取るということは、自動車リサイクルのときの検討からするとほぼ確実なので、ここでは恐れと書いていただいていますが、恐れではなくて多分確実なのだと思うのです。その辺は環境省か、経済産業省のほうにお答えいただければありがたいと思います。

 それから当期充当方式で資金管理法人方式の場合については、受益者と負担者が分離するのが大問題になります。自動車リサイクルの場合は、あるメーカーが昔はたくさん販売していたけれども、今販売量が少ないことが問題になっており、そういう不公平に耐えられるかということが問題になったのです。当期充当方式で資金管理法人の場合はその問題があるのでちょっと難しいいうことで最後、将来充当方式で、資金管理法人方式というのはあり得るわけですけれども、これが制度変更に伴って相当のコストがかかったり、預託金制度について車検のようなシステムが必要になることをどう考えるかという問題になるかなと思っております。

 ということで1つだけ追加的に申し上げておくと、資料9ページの自動車リサイクルのところは、解体業者さんが提案されていることで、必ずしも賛成でないような業界もあることを伺っておりまして、こちらのほうに自動車リサイクルが進むことが決まったわけでは全然ないので、それは一言申し上げておきたいと思います。

 以上です。

○田崎座長  ありがとうございます。

 それでは、続きまして山本委員、お願いいたします。

○山本委員  石川委員がおっしゃったことはまさにそのとおりで、順調な形で来ているのは本当にそのとおりなのだと思うのです。その一方で、もしそれが企業サイドの持ち出しで何か維持されているみたいなことがあると持続可能ではないのではないかなと思いまして、これは料金制度ということなので、それに対応した柔軟な料金設定が担保されていくべきなのだろうと思っています。

 例えばリサイクル料金ですと、今後リサイクルできるものが少なくなってくるような、冷蔵庫のガラスみたいなものとかもある中で、値上げや値下げのようなもの、料金を変えていくことがすごく難しいような状況というのはあまりよくないのかなと思っています。

 それから収集運搬のほうなのですけれども、スケールメリットが出にくいところだと思う中で、小売さんが実際にトラックに載せる前までのいろいろ様々な顧客対応みたいなところは、この価格に十分に反映されているのかどうかというところと、その結果、企業さんサイドの持ち出しが本当にないのかどうかというところについて、何か既に収支的にもし確認できるものがあるのであれば確認したいですし、その辺りの状況についてもお伺いしたいなと思います。それがきちんと支払われるべきところに支払われているということであれば、私も石川委員と同じ理由で、今回いろいろな料金制度についての変更というところに着手するのは時期尚早なのかなと。ただ、検討していく余地はあるだろうと思っております。

 以上です。

○田崎座長  ありがとうございます。制度変更はまだ時期尚早で、検討のほうは続けるべきという御意見ですよね。

 では、続きまして浦委員、お願いいたします。

○浦委員  御説明ありがとうございました。

 リサイクルの適切な方法、どの方式が適しているかは今後議論されるということですけれども、私からリサイクル料金の使途については、やはり方式を問わず徴収した料金がリサイクルに適切に用いられること。さらにリサイクル関連産業の健全な育成につながり、リサイクル回収拠点の拡大や、特にこれまでの議論の中で少し課題として挙がっていました、現場や人材への投資が進むようにすることが肝要と考えます。そのためにも、業界として事業者が一定の収益を上げられるような、さらなるリサイクル率向上に寄与する好循環を生み出せるような投資については検討していただきたいと思っています。

 また、その一環として、これまでの議論で出ておりましたがリサイクル券の電子化などについては、引取りの現場における効率的な運用のための投資ということは早急に検討をお願いしたいと思います。

 また、将来的にはトレーサビリティにも資するマイナンバーの活用等も検討していただきたいと思っております。

 以上です。

○田崎座長  ありがとうございます。

 それでは、続きまして崎田委員、お願いいたします。

○崎田委員  崎田です。

 この料金の見直しについて、古いことを申し上げるようですが、20年ほど前の家電リサイクル法の最初の仕組みづくりの検討にも実は参加しておりまして、そのときには、やはり回収率アップとか、不法投棄をなくすために消費者側の意識をしっかりと高めていくに当たって、商品選択の際にリサイクルなど商品の一生を考えて、そのコストも含めて支払う制度がいいと考えて、そういう意見を申し上げていました。結果的にはそういう制度ではなくて後払いの制度になりましたけれども、ですから、その後の検討のときにはもう一度、常にきちんと考えていくことに賛成してきました。

 今回いろいろ資料を出していただいて、結果的に回収率も着実に上昇していること、そして不法投棄も減ってきていること、リサイクル料金の透明性がかなり確保され、それなりに下がってきているとか、そのように制度は安定して運営されてきているというように私も感じることができます。

 今回もし前払いに変えることを考えると、いろいろな資料を拝見すると収集運搬料金をどの段階で払うのか。排出時に払うとなると消費者行動として、最初にリサイクル料金、最後に運搬料金と二度払うことは、消費者行動は変わらないということにもなります。しかも個体管理とか、新しいシステムをもし構築するとなると、消費者の払うリサイクル料金などが上昇する可能性もあるということで、性急に結論を出すというよりは制度全体をじっくりと考えていくような、継続審議をしていくということが現状はいいのではないかと私も考えます。

 ただし、今後その制度をきちんと考えていくときには前払いか、後払いかということだけではなくて、今サーキュラーエコノミーの流れにきちんと乗れる制度になっているか、再商品化率だけではなく製品に再生資源がきちんと戻っているか、あるいはリユースが徹底されているかどうか。そのような点とか、あるいは先ほどお話がありましたインターネット通販とか、テレビショッピングとか、いろいろ多様な販売形態が出てきていますので、社会経済システムの大きな変化の中でどういうシステムがいいのか。その辺をきちんと考えることが重要だと考えています。

 ですから、今日の資料で最後のページに今後の検討案ということで、いろいろ制度全体をちゃんと継続して考えていったらどうかというようにきちんと意思表示をしてくださっていますけれども、私はこのように制度全体を新しい社会変革の中でどのように持っていくのが適切か、じっくりと考えていくという方向性に関して賛成したいと考えています。よろしくお願いいたします。

○田崎座長  ありがとうございます。

 今までに5名の委員から御意見をいただきました。おおむねいろいろな意見をいただいたと思っておりますけれども、事務局から回答すべきところがあればお願いしたいと思います。特に課税について、ちょっと難しいのではないかという意見も出ている点の質問だったかと思います。いかがでしょうか。

○事務局(畑谷)  課税に関しましては自動車リサイクルの議論にもありまして、非課税にできるかどうかというポイントについては、検討すべき課題として挙げられていたと承知しております。大塚委員のおっしゃるとおり、資料上はおそれと書かせていただきましたけれども、確実に検討が必要な課題になっていると思っております。

 また、幾人かの委員から御質問いただきました点で、まず不法投棄全般を考えたときにというお話ですけれども、料金制度自体も今回あくまでも家電4品目についての料金制度ということで、不法投棄に関して4品目以外もございますので、仮に前払いになったとしても、料金支払い以外の部分で不適正な排出を生じさせるような要因があれば、その効果は限定的になってしまうのではないかというところは考えられるのかなと思います。ですので、そういった部分に直接改善する手を打つほうが、制度全般を変更するよりもよりローコストで同じ効果を期待できるのでは、という点は、検討すべきポイントなのかなと考えております。

 また、幾人かの委員から社会経済の変化というお話があったかと思います。社会経済の変化に関しては大まかに3点ほどあるのかなと思っておりまして、小売側の変化というところ、それから排出側の変化、リサイクルの資源価格等に関する局面という3点があるかと思います。

 小売の変化に関しては購買時点の変化ということになりますけれども、EC事業者等が増えているということで、そういったところからリサイクル料金を徴収する仕組みがつくれるかが、まずポイントとしてあるかと思います。

 また、排出側の変化という意味では高齢化ですとか、人口減少というのがあり得るのかなと思います。その場合、いずれも家電の買換え需要が減少する要因になり得るのかなと思っておりまして、前払いですと当然製品の販売台数に応じてリサイクル料金が集まる仕組みになっていると思いますので、そういった局面で収支をきちんと維持できるかというところは、検討のポイントとしてあるかと思います。

 また、最後はリサイクルの今後の局面ということになりますが、前払いであれば、将来充当、当期充当のいずれの場合でも、将来のリサイクル費用ですとか、当期の販売、排出台数など、リサイクル料金の設定にあたって本来考慮すべきであるリサイクルにかかる費用とはまた少し違う要素が入ってくるのかなと思っておりますので、資源価格の動向などが見通しにくい現状において、料金の要素を複雑にしてしまう点については、前払い制度の適否を検討していく上ではかなり慎重な検討、注意が必要になってくるのかなと考えております。

 経済産業省からは以上になります。

○田崎座長  では、質疑を続けたいと思います。

 それでは、続きまして平岡委員、お願いいたします。

○平岡委員  平岡です。

 私は、リサイクル料金の支払い方式変更の見直しというのは時期尚早と考えます。石川委員からもございましたけれども、不法投棄等の課題は特定の自治体の課題であると軽視してはいけないことだと思うので、今日の議論には直接的に関係ないのですが、不法投棄に関して少しコメントさせていただきたいと思います。

 義務外品をどのように処理したらよいのか分からない方に対して、その方法を提示することは不法投棄をさせないための有力な手段であると考えます。環境省はアクションプランにおける義務外品対応で、全体の自治体での回収体制構築を約束されていますので、引き続き実施状況等のフォローアップ並びに未導入自治体への働きかけをしっかり行っていただきたいと考えます。

 また、環境省には違法回収業者への取締りもしっかり対応いただきたいと思いますが、同時にWebに目安箱のようなものを設置し、気兼ねなく通報できるようにして市民の目を積極的に活用するなど、行政としても情報を集めて対応につなげていけるようにしてはいかがでしょうか。料金見直しというよりは、やはり不法投棄等の課題を解決するために、どういった施策が打てるかというところを今は議論をすべきではないかと思っております。

 私からは以上です。

○田崎座長  ありがとうございます。

 それでは、続きまして吉村委員、お願いいたします。

○吉村委員  私のほうから、先ほどもありましたけれども不法投棄に関することであります。先ほどおっしゃっていました不法投棄ゼロに持っていくことは必要でありますけれども、現状自治体職員において権限が付与されておらずということで、例えばそういった現場に出くわしたとしても、不法投棄をしている業者を含めて対応ができず、自治体職員としては指導しかできない状態でありますので、抑止に対する対応については不十分さを感じているところでございます。

 その上で罰則のさらなる強化についてであります。発生抑制の手法の1つとして考えられますけれども、その場合でも不法投棄や適正処理への取締りの権限の強化、さらには資金やマンパワーの強化、利活用など既存の制度の枠を超えた対応をお願いしたいと考えております。

 また併せまして、回収されたリサイクル料金の使途に関してですが、資源循環を担うべき自治体の関係部局、または販売店において、今現状人手が削られて、ぎりぎりの人員配置の中で進められております。そうした中で手間もコストも大きく、資金の流れの展開図にはこういったところがなかなか表れておりませんので、そういったところも含めてコストや手数も考慮した使途と制度設計について検討をお願いしたいと考えております。

 私からは以上であります。

○田崎座長  ありがとうございます。

 それでは、続きまして梅田委員、お願いいたします。

○梅田委員  今日の資料で前払い方式に移行する制度的なコストと、それから前払い方式を維持するためのコストが高いことは割とはっきりしていたのではないかと思います。その意味では、私自身は支払い方式を変えることが時期尚早というよりは、余り意味がないのではないかなという気がしています。

 質問は、資料の2ページ、3ページの辺りに後払いだと製品の長期使用が期待されると書いてあるのですけれども、これって本当かなと思うところが若干あって、要は製品を買い換えるか、買い増すか、それとも使用を終了して廃棄する場合だと思うのですけれども、買換えのときは後払いも前払いも消費者個人にしては同じようなことです。長期の使用が期待されるとすると、廃棄だけをする場合、新しく買わない場合だけだと思うのですけれども、その場合もどっちかというと単身赴任をやめたとか、使用者が亡くなってしまったとか、ライフステージが変わる場合が多いと思うので、余り効果がないのではないかなという気がしています。

 似たような話で、不法投棄については石川委員がおっしゃっていましたけれども、前払い方式にすると回収率が上がるというのはかなり怪しいのではないかなと思っています。それが大きく言って1つ質問したいことです。

 あと崎田委員のほうでサーキュラーエコノミーの考え方という話は、指摘としては非常に重要だと思います。ただ、サーキュラーエコノミーの考え方というのは、どっちかというと廃棄物処理というのではなくて資源を有効に利用という話ですし、経済性というか、資源循環によって利益を出すということです。そういう点でいうと現状の家電リサイクル法とはかなり距離があるので、そっちのほうに動くのは大事だと思いますが、かなり時間をかけて考えなければいけないのではないかなと思いました。

 以上です。

○田崎座長  ありがとうございます。

 それでは、続きまして吉岡委員、お願いいたします。

○吉岡委員  不法投棄に関して1点お話しすると、私、不法投棄現場の撤去作業とかに結構行っていますが、先ほどから出ていますように特定の家電には限らないのです。ただ、結構山になっていますとテレビとか家電品が目を引くことはありますけれども、不法投棄については家電のリサイクル制度自体ではなくて、ほかの廃棄物も含めて抜本的に取り組むべきだと思います。

 先ほど平岡委員からあった市民の目を活用するというのは非常にユニークで、いい考え方かなと思います。今ほとんどの方がスマートフォンを持たれていますので、結構撮影されているのがニュースとかでも流れていきますから、不法投棄を抑止していく上では、いろいろな市民の方の目も活用していくのは1つ方法かなと思います。

 あと、回収率とか不法投棄が家電料金の支払い制度を変えていく上でテーマになっていたのですが、回収率の向上についても上がってきていますし、これは経産省、環境省の努力を含めて上がってきているのだと思います。ただ、エアコンの回収率が上がらないのは、もうはっきり申し上げますと、有価価値が高いから家電のリサイクルプラントに返ってこないものだと思っています。この四、五年でエアコンの回収率が上がってきているのは、中国が廃家電品の輸入を規制したことが直接的な一番大きな原因だと思っています。有価価値が高くて、さらに海外に持っていったほうが処理する人件費コストが安いので海外に資源が流れていたのかと。変な言い方ですけれども、中国の輸入規制も回収率向上に寄与しているのかなと思います。

 今家電リサイクルプラントさんで、銅とか鉄はもともとリサイクルがしやすいので市場に流れていますけれども、プラスチックについても各メーカーは自社の製品に転嫁するように努力されています。プラスチックの場合はいろいろな樹脂があるので、彼らが言うところの製品から製品という水平リサイクルはなかなか難しいところでありますけれども、家電に使われているプラスチックって結構いい材料を使われているので、そういったものを、少し品位は落ちますけれども別の部材に転用していくことはしています。

 ただ、これは家電のメーカーに限らなくていいのかなと思いますけれども、再生資源を積極的に活用してもらうためには、再生されたプラスチックを使っているメーカーに対する何かインセンティブを考えていただけたらなというのが私の考えです。

 以上です。

○田崎座長  ありがとうございます。

 それでは、4名の委員から意見をいただきましたので今のところで一旦切らせていただきまして、事務局から何か回答すべきところはありますでしょうか。

○事務局(小早川)  環境省の小早川です。

 まず平岡委員から御指摘いただきました義務外品の回収体制の構築というところ、御指摘のとおりと思っております。今後とも引き続きフォローアップをするとともに、市民目線での排出しやすいやり方というところを検討していければと思っております。御指摘ありがとうございます。

 もう1点、平岡委員、また吉村委員等から御指摘いただいております不法投棄対策というところでありますと、家電だけに限らず、特に産業廃棄物の不法投棄が多い中においては、その辺りのホットラインを環境省のほうで整備させていただいておりまして、技術的な助言等も自治体さんのほうにさせていただいているという取組、これまでも行ってきているところでございます。

 さらに各委員から御助言いただきましたとおり、例えば市民の目の活用といった、不法投棄対策をどのようにしていったらより効果的にできるのかというところを検討していければと思いますし、御助言も踏まえて、そういった良い取組が自治体のほうに広まるよう、何かできないかといった辺り、環境省としても考えていきたいと思っております。御指摘、御助言いただきまして、ありがとうございます。

 環境省からは以上です。

○田崎座長  経産省からありますか。

○事務局(畑谷)  資金の流れになかなか表れないようなところというお話がございました。そちらについてはおっしゃるとおりの部分があるかと思っておりまして、繰り返しになりますけれども、料金制度以外の部分について不適正な排出を生じさせる要因について、手続的な部分ですとか、トランザクション的な部分というものがあるかと思います。これは排出者の行動というところでも注目する必要があるかと思っておりますし、現場的な負担というものについては別の改善方法でも解消できる部分は十分にあるのかなと考えておりますので、こうした部分に着目して小分けにして直接改善する手を打っていくようなことが、結果的にコストも低く抑えられるというところは検討のポイントとしてあるかなと思います。

 また、長期使用効果のお話がございましたけれども、こちらは家電リサイクル法制度の創設当初の効果としては挙げられていたところがあるのですが、やはり両面あると思っております。結果的に後払いであるから長く使おうという意識もあれば、逆に捨てるときにお金がかかってしまうという部分もございますので、この効果については取り立てて一方に非常に効果があるということはなく、両面の作用があるのかなと考えているところであります。

 経産省からは以上です。

○田崎座長  ありがとうございます。

 それでは、また質疑を続けたいと思います。お二人の委員が手を挙げております。まず大熊委員、お願いいたします。

○大熊委員  私のほうから、ちょっと意見を述べさせていただきます。

 大多数の皆さんと認識が違うのかもしれないですが、まず実績の捉え方でございます。確かにここ10年間で見ますと、平成26年度までは何万単位で減っているわけですけれども、逆に27年度以降は頭打ちになっておりまして、この3年間は5万台ということで横ばいの傾向にあるということ。それと我々現場の認識としては、この5万台というのは決して少ない台数だと思っておりません。さらに減少させるためには、あらゆる政策といいますか、手段というものを常に検討していかなければならない。そのうちの1つとして、料金制度の変更の議論というのは必須だろうと思っています。

 また、ほかの不法投棄と一緒になっているという御指摘もありましたけれども、やはり家電につきましては火災の危険もありますし、特に放置された冷蔵庫ですとか洗濯機の中に子供が入り込んで、出られなくて命を落としたようなこともございます。そういった意味では、ほかの家具なんかとは違って非常に危険な不法投棄物であるということもあって、我々としては現場で通報があればいち早く撤去せざるを得ないことになっています。そういった意味でも、この家電4品の不法投棄をさらに減らしていかなければならないという観点からいっても、ぜひ前向きな制度の議論を進めていただきたいと思っております。

 以上でございます。

○田崎座長  ありがとうございます。

 それでは、続きまして桂川委員、お願いいたします。

○桂川委員  私のほうから幾つか発言させていただきたいと思います。

 まず料金制度変更の議論に当たりましては、前回平成26年の見直しの報告書において、国が制度的な見直しの検討を行う条件として挙げられております回収率と不法投棄だけではなく、不法投棄対策に係る費用など制度実施に伴い発生する社会的コストの比較や、サーキュラーエコノミー、また、カーボーンニュートラル、購買行動の多様化等、時代の趨勢に応じた新たな視点も取り入れ、多面的・総合的に進めるとともに、短期的な視点にとどまらず、中長期的な視点から検討することが極めて必要であり、現行制度、後払い方式が定着して運用されていることを理由に、見直しについて消極的になることはないと考えているところでございます。

 また、料金制度に関する議論を別の検討会等に引き継ぐこととしてはどうかという提案が示されておりますが、今後取りまとめられる本合同会合の報告書などを踏まえて考えるべきものと思いますので、現段階において判断するのは難しいことを申し述べておきたいと思います。

 仮に、別の検討会等に引き継ぐにいたしましても、本合同会合と同様に各界の代表、ステークホルダーによる構成では議論が膠着するのではないかと思われます。議論の場を変えるということではなく、むしろ制度変更に係る論点や課題等に関する定量的な事実や具体的な対応策等を国からお示しいただいた上で、議論することのほうが重要ではないかと考えているところでございます。

 なお、不法投棄に関する資料が出されておりますので一言申し述べたいと思いますが、資料3の1ページ、黄色の枠の2つ目で「現行制度の下で改善傾向」とされておられますが、同ページの右側の棒グラフを拝見いたしますと直近3年間は横ばい傾向とも見受けられます。市町村が回収した台数以外にも不法投棄された小売業者や土地の所有者等が回収した台数、市町村が存在を認知しているもののまだ回収していない台数、そもそも存在自体が認知されていない台数などもあり、その全容が明らかになっているわけではありませんので、市町村が回収した台数をもって改善傾向にあるとされるのはいかがなものかと思っております。

 また、現場では廃家電製品等がヤードに積み上げられている様子が確認できますので、その一部が適正なリサイクルにつながっていないのではないかということを考えますと、やはり対策の強化は必要であると思っております。

 また、資料3の11ページにおいて市町村が回収した不法投棄廃家電4品目のリサイクルに係る費用。言い換えれば、本来不法投棄をした者が支払うべきリサイクル料金が試算されておりますが、不法投棄対策に係る費用については、このほかにも関係主体がそれぞれリサイクル料金や撤去運搬費用、未然防止に係る費用等を負担しておりますので、その辺は御理解いただきたいと思っております。

 私からは以上でございます。

○田崎座長  御意見ありがとうございます。桂川委員、少し確認させてください。不法投棄の問題があるという認識で、そこは改善すべきだというお考えですけれども、料金制度も変えるという御意見なのでしょうか。

○桂川委員  現場で不法投棄対策に取り組んでいる者としては、やはり今の後払い方式では不法投棄の大幅な改善は期待できないというように認識しております。そういう意味では変えていくべきではないかと考えております。

 以上でございます。

○田崎座長  その場合に前払いの方式でもいろいろな方式があって、その中でどれを取るべきかということについての御意見はあるのでしょうか。

○桂川委員  自治体によっても意見は多様であるかと思いますので、まず、社会的コストの削減効果や想定される仕組みなどについて、具体的かつ定量的にお示しいただき、それらを踏まえて考えていきたいと思いますけれども、個人的には、製品価格に内包するというのがいいと思っております。もちろんそれにはいろいろな意見があると思います。自動車リサイクルも例として出していただいていますが、そのようにできるわけでありますから、そういうことも含めて、家電リサイクル料金制度のあり方について検討を進めていくべきではないかと個人的には思っております。

 私からは以上です。

○田崎座長  ありがとうございます。明確になりました。

 それでは、まだ委員の方から手が挙がっております。小原委員、お願いいたします。

○小原委員  JEITAの小原です。

 JEITAのほうから2点確認というか、意見だけ言わせていただきます。まとめていただいた資料は、まさにそのとおりだと思います。課題点は同意ということです。我々として倒産した会社の製品のリサイクルといったものをちゃんと考えねばならぬということと、あとは多大な社会的なコストを強いるフリーライダーの対策です。そういったものをしっかりと見た上で、全体コストとしてどうなるのか。全体を見た対策の効果、優先度決めをぜひデータに基づいた形で議論を行う。そういった形であってほしいなと思いますので、意見として言わせていただきます。

 以上です。

○田崎座長  ありがとうございます。

 あと3名の委員の方から手が挙がっております。時間がないので、まず3人の方から御意見をいただこうと思っております。大石委員、お願いいいたします。

○大石委員  環境省に最初に質問しようと思っていたのですが、聞きそびれましたので、不法投棄の中身について教えていただきたいと思います。先ほど、不法投棄の中には、たんすなど、他のものも入っている、というお話でしたが、例えば家電の中でも、家電4品目以外の小型家電なども入っているのではないかと思うのですが、どうなのでしょうか。不法投棄の内訳の実態を、もう少し詳しく教えていただきたいと思っております。そのうえで、先ほど吉岡委員からお話がありましたように、やはり家電4品目に限らない、ということであれば、今回支払い方式を、前払いにしたからといって、不法投棄の状況は、これ以上、格段に変わることは期待できないのではないかと考えます。もしここで料金制度を見直すことを真剣に考えるのであれば、それこそ家電4品目に限らず小型家電も含めて考えるべきで、資源全体を、今後私たちがどのように回していくかという大きな視点で、リサイクル料金の在り方を考えていかなければいけないのではないかなと思いました。質問と、それから意見です。

 以上です。

○田崎座長  ありがとうございます。

 それでは、続きまして西尾委員、お願いいたします。

○西尾委員  時間がないので、もう意見を申し上げるのはやめようかなと思ったのですけれども、やはり一言申し上げたくて、申し上げます。

 既に多くの委員から出ていますけれども、回収率を上げる取組をするか、不法投棄を減らせるのかという観点で料金制度を見直すということ。さらに加えて、私も思っておりましたけれども、この制度当初から20年たって社会経済環境が変化することで機能疲労を起こしているというか、これも機能疲労なのかもしれませんけれども、この制度そのものを見直さなければいけないのかどうかという観点から見るべきだと思います。

 それで回収率を上げる取組については今日、三菱総研からきちっとした新しいデータも示されましたし、それから不法投棄が減らせるかについても、今まさに大石委員がおっしゃられましたけれども、本当に家電によるものがどのぐらいあるのか。それから家電リサイクル法を変えることでどのぐらい減らせるのかといったところまで踏み込んで、もう少し示すことが重要だろうと思います。

 その中で私自身は、基本的に家電リサイクル法の料金制度を変えることで、この問題は解決しないと思っております。今回御提案いただいている方法で料金制度は見直さなくてもいいのではないかなと思っていますけれども、料金制度を見直すことで改善できることと、そうではなくてそれ以外の支援策で対応すべきことをきちっと分けて資料にお示しすることが、最終案をまとめるに当たって重要なのではないかなと思いました。

 以上でございます。

○田崎座長  ありがとうございます。

 それでは、高橋委員、お願いいたします。

○高橋委員  皆様からの様々な御意見を聞いて私もいろいろと思うところはあるのですけれども、まず今日、事務局から御説明いただいた課題というのは、これまで挙げられた課題について改めて繰り返されたものであろうと思っております。これらの課題について解決が不可能なのだということであれば、私どもとしても料金制度変更の検討を再度お願いしたいといったことは申し上げないわけで、個別にはいろいろと申し上げたいことがたくさんあるのですけれども、ここで時間もないですし、そもそもこの会議の場ですと一人一言ということである以上、なかなか踏み込んだ議論ができないかなというのが前々から思っていることで、別なところでしっかり一つ一つ議論していく場を設定していただけるようなことには期待をしております。

 いろいろと申し上げたいことがあるのですけれども、まず回収率が上がったというのは、少なくとも私どももこの間相当努力してきたわけで、その努力の結果で上がらないということはまずなかったのだろうと思います。ですので、上がったのだからもうこの議論は終わりなのだというようなことはちょっと違うのかなと思っています。

 それと事務局の御説明の資料の中で、再三シンプルでということが繰り返されてきたわけなのですけれども、私どもこの仕組みがシンプルだと思っていないところでございます。要するに我々が料金の製品内部化にこだわっているのは、今の複雑なリサイクル券システムというものをなくしたいというか、それこそシンプルにしたいという思いが1つ目的としてあります。

 今の仕組みというのは排出者が特定の排出物に個別に対応する形で費用を負担しますから、とにかくいつ誰が何を幾らでという個人情報を含む個品管理の仕組みになっているわけなのですけれども、シンプルな仕組みという点でいいますと、私たち小売業者は今小型家電リサイクル法での回収拠点にもなっているのですけれども、小型家電については認定事業者に引き渡す仕組みはもう既に電子化されて、ペーパーレスになっています。今様々な業務がデジタル化されてDXを推進している中にあって、この家電4品目のリサイクル法は始まってから20年以上たつのですけれども、旧態依然として5枚の複写の紙の伝票に手書きで作業をしている。そういった現場を見ておりますと本当にいつの時代なのだろうというか、非常に強い違和感を感じるわけで、そういったことを解決する上でも、やはり料金は先に取っておく仕組みにするのが一番シンプルな方法ではないかなと思っています。それが目的で我々が主張していることの1つなのです。

 そのほかにもたくさんあるのですけれども、時間もないですのでこのくらいにしておきますが、いろいろなことについての精査は今後の検討会に引き継ぐということですから、しっかり精査されることを私どもとしては期待しております。

 以上です。

○田崎座長  ありがとうございます。

 それでは、最後に大塚委員に質問していただいて、議題2の質疑を終わりにしたいと思います。

○大塚委員  申しわけありません。さっきちょっと言い忘れたことを一言だけ申します。この四、五年で変わった社会の変化として、次の検討会でぜひ検討していくことに入れていただきたいというお願いですが、DfEの話も書いてあるのですけれども、海外メーカーの製品が増えてきていて、海外のメーカーの製品を日本のメーカーの名前で販売するものも結構出てきていることが新聞報道とかに出ています。そういうことになってくると、この家電リサイクル法の仕組みでDfEに対して寄与していくというEPRの考え方が入っているのですけれども、それがなかなか伝達しにくくなっている。インセンティブを与えにくくなって、もともとインセンティブを料金の設定のところで与えにくいという問題もありますが、形の上でも与えにくくなってくるところがある。その辺のDfEのところの観点をどうすべきかということは、御検討いただけるとありがたいということをちょっと申し上げておきます。

○田崎座長  それでは、ここまでの意見につきまして、事務局から特に回答すべきところがありましたらお答えいただければと思います。いかがでしょうか。――では、まず環境省からお願いいたします。

○事務局(小早川)  大石委員から御指摘いただきました不法投棄の内訳というところでございます。5万台とお示しさせていただいたのは、あくまでも家電4品目に関しての調査結果でございます。

 あと不法投棄というところでいきますと、環境省は産業廃棄物の関係で、これも自治体へのアンケート調査を実施させていただいております。こちらピーク時に比べますと、平成15年辺りになりますが74.5万t。すみません、こちら台数ではなくtでの調査結果になりますが、投棄台数としては74.5万tというところから、直近最新の値ですと令和元年で7.6万tという不法投棄の重量が報告されているところでございます。台数と重さを一概に比較は困難かと思いますけれども、家電製品については5万台というところで、仮に1台100kgとした場合には0.5万tといったオーダーになるかなというところで、御参考までに情報提供させていただければと思います。こちら御紹介しました産業廃棄物の不法投棄の重さに関しましては、直近令和元年度7.6万tというところになりますが、多くは産業廃棄物であることが内訳として分かっているところでございます。

 環境省からは以上となります。

○田崎座長  ありがとうございます。

 続きまして、経産省からお願いします。

○事務局(畑谷)  髙橋委員からお話がありました点でございます。資料ではシンプルというように申し上げたのですけれども、もちろん現行制度に全く問題がないということを言いたかったわけではなく、申し上げたかったこととしては制度に関する全般のトータルのコストを下げることと、負担をなるべく全員で分担して制度自体を持続可能なものにしていくことが重要だと考えておりますので、その点はおっしゃるとおり、料金収受、管理の仕組みといった個別の点について部分的に負担を改善するようなことはもちろんやっていくべきだと思いますし、まずはそうした対策が求められているということだと思っております。

 また最後、大塚委員からお話がありましたDfEの点につきましては、海外製造の製品の設計自体もメーカーから指示するようなことは実際やっているように聞いてはおります。小さいメーカーで実際に行われているかというところは、現在手元に情報がなくてお答えできませんが、基本的には設計の指示は行われ、DfEの観点が設計に反映されていると承知しているところであります。

 経産省からは以上です。

○田崎座長  ありがとうございました。

 それでは、以上で議題2の質疑を終了いたします。十分に意見を表明いただけなかった方は、会議終了後に事務局に御連絡いただければと思います。

 それでは、閉会に向けて産業構造審議会の細田座長から、まず御意見をお伺いしたいと思います。

○細田座長  大分議論が進んできたと思います。また両省の用意していただいた資料も非常に微に細に、制度設計の詳細を明らかにしてくださいまして、非常に役立ったのではないかと感謝しております。

 それで不法投棄の問題は本当に悩ましくて、本当は不法投棄をした人が払わなければいけないのですけれども、それができない。そうすると起きてしまったことをどうするのか、起こらないためにどうするのかということを丁寧に議論していく必要があるだろう。そういう意味で別に議論が終わってしまったということはないわけで、これは常にPlan・Do・Check・Actionをかけていく必要があるだろうと思います。

 先ほど高橋委員のほうからシンプルだということがありましたけれども、御理解いただきたいのはあるところをシンプルにすると、ほかのところは複雑になるということもあるわけです。前払いにするとシンプルになるということはあり得ないです。先ほどあった課税制度のことから、一次物流のことから、制度設計そのものがものすごくまた違うところで複雑になってくる。

 つまり言いたいことは、もちろん高橋委員のおっしゃったこともよく分かりますけれども、全体を俯瞰的に見てバランスよくどうやったら、あるところは不都合があるけれども、あるところは都合がよくなって、全体観から見ると、ああ、これがいいのだなと。ある人に余りにも負担をかけてはいけない。そういう意味で、もちろん流通の方にも負担をかけないようにしなければいけないですし、自治体の方々にも不法投棄で御迷惑をかけないようにしなければいけないけれども、全体を見た場合に、やはりゆがみをゼロにできないです。そういう意味でなるべく少なく、皆さん不満はあろうけれどもここまでなら我慢できるなというような、100点満点ではないけれども80点ぐらいの解答のものをどうやってつくり上げるかについて、私たちは議論を続けなければいけないだろうと思っております。そういう意味で今日の議論は、皆さんいろいろな方々に言っていただいたものを、指摘されたメリット、デメリットを考え合わせながら次の一歩につなげていければいいなと思っております。

 以上でございます。

○田崎座長  ありがとうございます。

 それでは、私のほうからも本日の審議を少し総括させていただきます。

 まず本日、議題が2つありましたけれども、基本的には料金制度以外のところで回収率を向上させ、不法投棄が減少していくのかという話、それから料金制度を変えてどうしていくのかという話、だったと思います。回収率向上と不法投棄減少、まだまだ取り組んでいくことについては特に反論はなく、皆さん合意で、改善していくべきということだったと考えております。特に事業者からの排出、エアコンの回収率向上につきましては、今回の資料でこれまでよりも取組の着眼点というか、取っかかりというものが見えてきておりますので、これを踏まえて今後の検討につなげていけることができればと思っております。

 料金制度につきましては今日いろいろな意見が出ましたけれども、まず現時点で制度を変更することについてはすべきでなく、まだ様子を見るべきであろうというような意見が多数だったと思います。そうでない意見につきましても、具体的にどういう方式にするかという点についてはまだいろいろな意見が出ており、制度変更によって本当にメリットが得られるのか、デメリットが大きくないか、本当に効果が得られるのかということについて、いろいろな意見が出されたかと思っています。

 今後の社会環境の変化に対応することを踏まえても、今日の議論はそこまで十分に議論できていないところもありますので、やはり別の検討会で料金制度につきましては引き継いでいただいて、じっくり検討することが適切だと私のほうでは感じているところであります。

 産構審の細田座長、そのような形で別の検討会に引継ぐ部分は引き続き議論をしていく、そうでない部分については着実に改善しなければならないことを実施していく、そのような進め方の方向についてどのようにお考えになりますでしょうか。

○細田座長  今田崎座長がおっしゃられた形の提案に同意いたしますので、その方向でお願いいたしたいと思います。

○田崎座長  ありがとうございます。

 それでは、料金制度につきましては、議論を別の検討会に引き継ぐ方向として進めていきたいと思います。

 最後に、事務局から連絡事項があれば発言をお願いいたします。

○事務局(小早川)  本日は委員の皆様から貴重な御意見をいただき、ありがとうございました。

 次回の議題といたしましては、報告書案について議論を行いたいと思います。関係者の皆様、また御協力をお願いいたします。

 会議に関し日程等の詳細につきましては、委員の皆様に改めて事務局より御連絡させていただきます。

 それでは、以上をもちまして、第42回産業構造審議会産業技術環境分科会廃棄物・リサイクル小委員会電気・電子機器リサイクルワーキンググループ、中央環境審議会循環型社会部会家電リサイクル制度評価検討小委員会合同会合を終了いたします。ありがとうございました。

                                  ――了―― 

<以下、会議後に委員から頂戴したコメント>

○河野委員

 私も、多くの委員がおっしゃったように、「今回のタイミングで料金制度を見なおすことは適当ではない」と思います。

 ただ、本日の審議会では、委員数人から「社会経済環境の変化を十分検討してほしい」「家電リサイクル制度自体が、時代の流れにあわなくなっているのではないか」「サーキュラーエコノミーというより大きな流れに向かい、どうあるべきか(リサイクル諸制度を再構築するべきではないか)」などの意見が出されました。より大きなコンテキストで、料金制度の変更を含めた制度のあり方を検討するべきという考えが示されたと思います。

 それに対し、資料3の家電リサイクル料金制度についての最終ページ、「料金制度に関する今後の検討案」の書きぶりは、やや雑駁で、とにかく別検討会を立ち上げ、そっちで引きついでもらえばよい、という安直な感じがします。

 経済産業省、環境省、および産構審、中環審の両座長は、今後の検討の道筋(家電リサイクルだけでなく、より大きな視点で考えた時に、リサイクル制度の問題をどう考えているのか、時代の変化を踏まえて検討するポイントはどこか、など)をどのようにお考えか。それは、審議会のとりまとめに反映されるのでしょうが、改めて、上記4者のお考えを伺い、この審議会全体でざっくばらんにディスカッションする場を設けていただきたいと思います。

 「新たに設けられる別の検討会」の位置づけも、はっきりしません。その点についても、経産省、環境省、産構審、中環審の両座長のお考えをお聞きしたく存じます。

○小林委員

 今回から委員として参加させて頂きます小林です。どうぞよろしくお願い致します。

さて、今回は主に料金制度について議論されましたが、今後、別検討会を立上げ、継続的に議論されるとのことでした。現行方式も含め、それぞれの方式についての社会的なメリットデメリットをもう一度整理し、共通認識の元、より深く議論するべきだと思います。