産業構造審議会産業技術分科会廃棄物・リサイクル小委員会自動車リサイクルWG中央環境審議会循環型社会部会自動車リサイクル専門委員会 第52回合同会議 議事録

日時

令和2年12月23日(水) 14:00~16:30

場所

Web会議

議題

  1. 自動車リサイクルにおける料金制度について

  2. 日本自動車工業会からの料金、費用に関する提案等について

  3. その他

議事録

○三牧自動車課課長補佐  それでは定刻になりましたので、これより産業構造審議会産業技術環境分科会廃棄物・リサイクル小委員会自動車リサイクルワーキンググループ及び中央環境審議会循環型社会部会自動車リサイクル専門委員会の第52回合同会議を開催いたします。私は経済産業省側事務局の製造産業局自動車課の三牧でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、開催に当たり事務的な事項を御報告申し上げます。本合同会議は両審議会を合わせまして27名の委員で構成されております。本日は現時点で26名の委員にオンラインにて御出席いただいております。

 産業構造審議会自動車リサイクルワーキンググループにつきましては16名の委員に御出席を頂いておりまして、定足数である過半数に達していることを御報告させていただきます。

 なお、中央環境審議会自動車リサイクル専門委員会につきましては定足数の規定はございません。

 続きまして委員の出欠について御報告いたします。産業構造審議会におきましては、本日は三部委員から御欠席の御連絡を頂いております。中央環境審議会におきましては御欠席の委員はおりません。織委員、大塚委員については途中退席されるとお聞きしております。

 また、今回は自動車リサイクルの料金や費用負担に関する議論の回ということで、両座長にも御了解を頂いた上でJARCの阿部専務がオブザーバーとして参加されていますので御紹介いたします。

 続きまして配付資料の確認をさせていただきます。配付資料につきましては、事前に御案内させていただいた経済産業省、環境省ホームページにて掲載させていただいておりますので、回線の関係上、このSkype会議の画面上には表示いたしませんが、委員の皆様はそちらから御確認いただければ幸いです。

 資料は資料1から資料5という形で配付しておりまして、参考資料1と参考資料2がございます。加えて、今回の議論に関連して日本自動車工業会から資料の御提出がございますので、そちらも併せて御案内いたします。

 また、佐藤委員から、審議事項に関する意見を配付してほしい旨、御連絡を頂いておりますので、先ほど委員の皆様にメールにて配付をさせていただいているところですので、そちらも御覧いただければと思います。

 また、本日もSkypeでの審議会ということになりますので、基本的には発言をされる場合を除いてマイクをミュートにしていただければと思います。また、ビデオもオフにしていただければと思いますが、御発言の際にはビデオをオンにして御発言いただければというふうに思います。

 なお、本審議会はオンラインによるライブ配信をさせていただいております。

 それでは早速議事に入らせていただきたいと思います。これ以降の議事進行については村上座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○村上座長  村上でございます。それでは早速議題のほうに入りたいと思います。画面の負荷もございますので、私のカメラはオフにさせていただきたいと思います。

 本日の議事でございますが、議事次第を御覧いただければわかりますように、基本的には自動車リサイクル制度に関する料金制度と費用負担に関することということでございますので、今回は、資料を全部まとめて御説明させていただいた後、じっくり時間をかけての討論といった順番でやらせていただきたいと思います。

 具体的には、まず資料3に基づきまして事務局より自動車リサイクルにおける料金制度についての過去の経緯も踏まえての御説明を頂いた後、資料4、5に基づき、事務局から、料金やJARCの費用負担に関する自工会からの提案に対する対応や考え方について御説明を頂きます。その後、委員の皆様から御意見を頂きたいと考えておりますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 それではまず事務局から資料3の説明をよろしくお願いいたします。

○鳥居リサイクル推進室室長補佐   それでは資料3、「自動車リサイクルにおける料金制度について」を御覧いただければと思います。おめくりいただきまして2ページですが、第50回合同会議において、一部の団体や委員から料金制度の在り方について議論したいとの御意見がございました。

 自動車リサイクルにおける料金制度の在り方を議論する上での主な論点としまして、1.充当方式、自車充当方式か他車充当方式か、2.徴収時点、新車時か廃車時か、3.管理方法、公的管理機関による管理か自動車メーカー等自らの管理か、4.中古車輸出時のリサイクル料金の取扱いがございます。

 おめくりいただきまして3ページ目、自動車リサイクルにおける料金制度の検討経緯についてでございます。この料金制度についてというのは、平成13年の産構審自動車リサイクルワーキング及び中環審自動車リサイクル専門委員会においてそれぞれ検討がなされております。

 ページが飛びますが、7ページを御覧いただければと思います。こちらが平成13年8月の中環審自動車リサイクル専門委員会の中間報告から抜粋したものとなっております。中環審では、販売価格とは別に費用を徴収し、公的機関で管理するというA案と、費用を販売価格に含めて徴収し、企業の内部で管理するB案というものが示されております。

 続きまして8ページ目になりますが、平成13年9月の産構審自動車リサイクルワーキングの第二次報告書でございます。産構審では、充当方式や徴収時点、既販車への対応などをポイントに六つの費用徴収方法案について整理されております。また、新車時徴収の場合に対応を要する点についても検討されております。

 それでは3ページ目にお戻りいただければと思います。こちらの表が当時の議論について整理したものとなっております。①の充当方式については、自車充当方式か他車充当方式かについて検討がされ、自車充当方式を選択されました。この自車充当方式とは、使用済自動車のリサイクル費用を当該自動車の所有者から徴収した料金で賄う方式となっております。また、他車充当方式とは、使用済自動車のリサイクル費用を、その排出時点の新車購入者から徴収した料金で賄う方式となっております。

 他車充当方式の場合ですと、既販車への対応が不要で制度設計が容易ではございますが、受益者と負担者が異なること、ユーザーから徴収する料金がその年の使用済自動車数と新車販売数の関係で変動する等、合理性に欠けること、製品のリサイクル容易性と徴収する料金の水準との間に相関が弱く、自動車メーカーが設計・製造段階から3Rに配慮した自動車を製造しようとしても、ユーザーがこのような自動車を選択するインセンティブが働きにくいこと、自動車メーカー等の間の公平な競争が担保されないことといったデメリットがあるということでございました。

 ②徴収時点について、新車時か廃車時かでございますが、新車時が選択されました。これは、廃車時徴収に比べ、不法投棄増加の懸念が少ないこと、新車販売事業者が料金の徴収窓口となりますので料金の徴収コストや回収ロスが少ないこと、ユーザーにとってわかりやすく負担感が少ないこと、地方公共団体等から新車時徴収を支持する意見が多かったことといった理由からでございます。

 ③費用の管理負担について、公的管理機関を設けるか自動車メーカー等が自ら管理するかでございますが、こちらは公的管理機関による管理が選択されました。これは、自動車メーカー等が自ら管理する場合のデメリットとして、新車時に徴収し、実際に廃棄されるまでの間に自動車メーカー等が倒産・解散した場合に料金が滅失してしまうこと、自動車メーカー等が一定額を積み立てる場合、課税対象となること、個人輸入等少数のユーザーからの費用徴収、管理のための組織が必要となることといったことがあるためでございます。

 おめくりいただきまして4ページ目ですが、新車時徴収に伴いまして預託金の返還についても検討がなされております。最初の、非認定全部利用、解体された自動車を輸出する場合については返還しないこととしております。これは、ユーザーの手から離れた後に解体業者の判断で輸出が行われますので、最終ユーザーの特定が困難であり、返還するとなりますと事務的に煩雑となることなどが見込まれるためでございます。

 続きまして、事故車、エアバッグが展開された、またはフロン類が放出された車についても返還しないこととしております。これは、返還することとした場合、故意にフロン類を放出して返還を求めるといったケースを惹起させる懸念があるためでございます。

 最後に中古車輸出については返還することとしています。当時、輸出ドライブが働き国内での自動車寿命が短くならないか、返還事務コストが発生しないか等の御意見もございましたけれども、国内で何ら再資源化しない自動車のユーザーからも費用負担を求めることは適当ではない、また、自動車の譲渡に合わせて、リサイクル料金についても次のユーザーに転嫁されていきますので、国内でリサイクルに関する費用が支出されない場合については最終ユーザーに返還すべきだといった観点から、最終ユーザーに預託金を返還することと整理されました。

 なお、不適正な返還がなされないよう、運用に努めることとしております。

 おめくりいただきまして、5ページ目からが今回改めて料金制度の在り方を検討する上での論点と課題を整理したものとなっております。

 1.充当方式について、他車充当方式、いわゆる年金方式に変更する場合、制度発足時から指摘されている、受益者と負担者が異なる、新車販売時と使用済自動車数によって料金が変動する等の問題がございます。加えて、現在JARCが管理している預託金の取扱いも課題となります。

 中央の図ですが、現在、自車充当方式において、新車購入者は自車のリサイクル料金をJARCに預託しております。この預託金は現在約9400億円、約8000万台分ございます。これを他車充当方式に変更しますと、預託済みの自動車のリサイクル費用をその排出時点の新車購入者が負担することとなりますので、既存の預託金が使われないこととなります。そうしますと、既存の預託金については現行法で定める目的で使われることがなくなりますので、原則としてユーザーへの返還が必要と考えられます。そのためには、ユーザーへの通知、事務手続、返金手数料等多額のコストが発生すると考えられます。振込手数料だけでも、1件300円とした場合、240億円といったお金が必要となってきます。

 また、他車充当方式の場合、システム維持費は低減するとも考えられますが、料金徴収や管理等のためのコストは引き続き必要となります。

 なお、預託金についてはユーザーの資産となっておりますので、返還しないこととしますと財産権の侵害となる可能性がございます。

 こうしたことから、他車充当方式に変更するためには、法制定時からの問題に加え、返還に伴う多額なコストへの対応が必要となってきます。

 おめくりいただきまして6ページ目でございます。2.料金の徴収時点について、廃車時徴収に変更する場合、制度当初と同じく、ユーザーにとって新車時徴収と比べて経済的負担を強く感じますので、不法投棄や料金の回収ロスの懸念が発生いたします。また、新車販売店以外に引取業者が徴収する仕組みが必要となりますので、料金の徴収コストも増加すると考えられます。そのため、廃車時徴収に変更するためには、こうした課題への対応が必要となります。

 3.リサイクル料金の管理方法についても、自動車メーカー等が管理する方式に変更する場合、倒産・解散した場合に料金が滅失する、課税対象となる、個人輸入等の少数のユーザーのための組織を求められるといった課題に対応することが必要となります。

 4.中古車輸出の際のリサイクル料金の取扱いについては、リサイクル料金は預託金ということでユーザーの資産となっておりますので、国内でリサイクル・処理しない場合に返還しないとなりますと財産権の侵害といったことにもなり得るということで、先ほどの充当方式について他車充当方式に変更しなければ、預託金を返還しないという整理は難しいのではないかと考えられます。

 こちらからの説明は以上です。

○村上座長  ありがとうございます。それでは続きまして、そのまま資料4、5の御説明をお願いいたします。

○三牧自動車課課長補佐  それでは続きまして事務局から資料4に基づいて御説明をいたします。

 9月の合同会議の自工会のヒアリングの際に、自工会から料金や費用に関する御提案等がなされました。資料4はそれに関する事務局としての考え方の案を整理したものでございます。自工会から、料金、費用に関する御提案として、大きく分けて二つ頂きました。一つは、自動車メーカー等が再資源化する際に、リサイクル料金全てではなく実費分のみを受け取るということにしたいというものでございまして、もう一つは、これまで自動車メーカー等が拠出してきた自動車リサイクル促進センター、JARCに対しての財政面での支援を今回終了するということでございます。

 一つずつ御説明をしたいと思います。1ページ目を御覧ください。まず自工会の一つ目の論点ということで御説明いたします。1ページ目にお示ししているとおり、現行ユーザーがJARCにリサイクル料金を支払って、自動車メーカーはASRなどの再資源化をする際に、料金に利息を付した形で全額を受け取っているということでございます。このうち、再資源化等に要した費用を支払った余り分が余剰部分ということでございます。

 こちらを、自工会が提案した方法、ここでは実費請求方式という呼び方をさせていただいておりますが、その方法をとる場合、ユーザーが支払ったリサイクル料金全てではなく、再資源化等に要した費用のみを請求するということで、それ以外は受け取らないということにするということです。そうすると、余剰部分がJARCに蓄積されるということになりますので、それをユーザーに還元する、これが自工会の御提案でございました。

 2ページ目を御覧ください。これを実施するに当たっては幾つか論点がありますので、その論点について御説明したいと思います。論点は大きく三つ示させていただいております。

 一つ目は、料金設定の適正性の問題です。ユーザーがJARCに預託しているリサイクル料金は自動車メーカー等が設定しているわけですけれども、実費請求方式となった場合、メーカー等は黒字を受け取らない一方で赤字を出しても赤字分をプラスとして補てんしてもらうことにはならないことから、赤字にならないために料金を高めに設定する方向に流れやすくなると考えております。ユーザーから頂く料金は適正でなければならないということですので、料金設定において適正性を担保するということがまず一つ重要な論点であると考えております。

 二つ目ですけれども、JARCから自動車メーカー等に実費分を支払うに当たってのシステム運用面での対応ということでございます。現状、自動車メーカー等がエアバッグ、フロン、ASRなどの再資源化物品を受け取ったら、システム上、リサイクル料金全てが自動車メーカー等に支払われる仕様となっておりまして、こういった仕様や運用といったところをどのように変更するということが二つ目の論点でございます。

 三つ目は、JARCに残った余剰金をどのような形でユーザーに還元するかという点でございます。

 これらの論点について、3ページ目と4ページ目でその検討の方向性について御説明したいと思います。まず3ページ目を御覧ください。

 一つ目の論点である料金設定の適正性について、ここに書いてあるとおり、二つの矢じりでお示ししたような方法でその適正性を担保してはどうかと考えております。

 まず一つ目ですけれども、自動車リサイクル法では、メーカー等が設定する料金が適正でない場合、主務大臣が指導や勧告を行うことができるというふうに規定されているところです。そこで、経済産業省、環境省によって、料金の適正性について定期的なヒアリングを行って、料金設定が適正に行われていることを確認するということを考えております。

 もう一つは、毎年合同会議において公表している各自動車メーカーの収支の状況というものがございまして、参考資料2でお示ししておりますが、こちらにおいて、メーカー等が設定した料金と実際に再資源化に要した費用との乖離を示すということでございます。

 参考資料2も御覧いただければと思いますが、現在、そちらの資料のほうには、払い渡しを受けた預託金と再資源化等に要した費用ということをお示ししておりまして、その差額が収支ということで余剰部分ということになります。こちらは、それが今後実費請求方式という形になると、同じになりますので、収支は赤字にならない限りゼロになるということになります。

 そこで、これに加えて、料金から算出される法令上の請求上限額、つまり、ユーザーが預託した料金に利息を付した額といったところも記載をすることで、その額と実費額との乖離額を明確にすることが料金設定の適正性にもつながると考えております。

 続いて論点2のシステム運用面での対応について御説明します。こちらは車台ごとの請求の確定をしなくてはいけないとか、請求にかかるシステム運用面での細かい検討すべき点があると考えておりまして、こういった点を、国、JARC、メーカー等の関係者で詳細に検討していきたいと考えております。

 続きまして4ページ目ですけれども、三つ目の論点、ユーザー還元方法について御説明いたします。まずユーザーに還元するに当たっては、(1)に記載しているとおり、JARCに残った余剰部分を法的にユーザーに還元できる形にしなければならないということです。つまり、当該余剰部分を特預金化することが必要になってくるということになります。現行の法律のままでは、自動車メーカー等が受け取らなかった余剰部分がそのまま特預金になるということにはなりませんので、特預金として主務大臣が認める場合に該当するように法的に位置づける必要がございまして、このために大臣告示の改正ということを行っていきたいと考えております。

 続いて(2)でございますが、特預金は資金管理業務や情報管理業務に充てることができるというふうに法律にも規定されております。それら業務にかかる費用に、余剰部分により発生した特預金を充てて、ユーザーの資金管理料金、情報管理料金の全部または一部を割り引いてはどうかと考えております。具体的な割引率や割引期間については、本方式を開始する時期ですとか余剰部分の額なども含めた試算結果等を踏まえて検討していってはどうかと考えております。

 以上、実費請求方式を検討する上での論点について御説明させていただきました。

 続きまして、自工会の二つ目の提案であるJARCへの自主的な拠出の終了について御説明します。5ページ目を御覧ください。関係する主立った費用をまとめた図をこちらに示しております。この費用の中で青く示した部分がメーカーが自主的に拠出している費用ということになります。この費用が、自工会が今後拠出を終了するとおっしゃっている費用ということになります。

 図の見方を御説明したいと思います。JARCは、自動車リサイクル法上の三つの指定法人、資金管理法人、情報管理センター、指定再資源化機関として指定されております。それらの業務にかかる経費を横の帯で示しておりまして、主立った費用である事業費用、システム関係費用、人件費、施設管理費について縦の帯で示しております。また、横帯の四つ目として、間接部門のその他ということで書かせていただいておりまして、こちらは3指定法人そのものではなく、それに関連しての総務、経理関係ですとか、また、3指定法人とは関係のない、JARCが公益法人として行っている業務、例えば国際貢献といった業務をここに示しております。

 これらがJARCの運営にかかる費用となっておりまして、このうち、指定再資源化の部分は、小規模なメーカー等からの委託を受けて再資源化を行ったり、特預金で離島や不法投棄対策を行っているところ、そういった委託料や特預金で運営されているということになりますが、それ以外の資金管理とか情報管理等にかかる人件費、資料中の③④⑤は全てメーカー等が負担しているという形になっております。

 また、真ん中のシステム関係費用でございますが、資金管理、情報管理にかかる部分は、一定の費用をメーカーとユーザーで折半しておりまして、①と②がメーカー等が負担しているという部分でございます。

 最後に、一番下の「自動車リサイクル法上の自動車製造業者等の業務」と書いているところの横の灰色の横帯ですけれども、こちらは自動車メーカー等がエアバッグ、フロンなどの指定3品目の引き取り後の処理にかかるシステム的な機能を、自動車リサイクルシステムに搭載しているという部分について支払っている費用でございまして、当該費用⑥については自再協やASRチームを経由して自動車メーカー等が支払っているというものでございます。

 続きまして、費用負担に関してのこれまでの経緯ということで、6ページ目で御説明をさせていただきます。まず法案が提出される前の2001年でございますが、費用負担について自動車リサイクルワーキンググループで議論が行われまして、費用負担については最終的にはユーザーが負担するということにはなりますが、そうだとしてもまず一次的な費用負担をする者を適切な役割分担の中で考えるべきだということで議論が行われました。

 その後、2004年、法律が成立して法が施行する前ですけれども、第6回の合同会議において費用負担について具体的な形が示されたところでございます。ここに記載しているとおり、資金管理業務や情報管理業務に要する費用は、料金という形でユーザーが負担するほか、メーカー等が自動車リサイクル制度において中心的な役割を果たすべき存在として自主的にイニシアルコストと一定のランニングコストを負担するということが整理されました。このときの整理は参考資料1にありますので御覧いただければと思いますが、その整理の下で、先ほど御説明した5ページにお示ししたような費用負担を自動車メーカー等が行っているというところでございます。

 その後も費用負担については何度か検討がされており、法施行後の5年目、評価検討の際には、メーカー等が全額負担している人件費の部分についてユーザーと折半するということについての要望が自工会から出されております。しかし、このときは、委員から、時期尚早といったいろいろな意見が出たということもございまして、現状維持という形で落ち着いております。また、10年目の評価検討の際にも議論になりまして、費用負担の在り方を検討するということで10年目の報告書の中には記載されましたけれども、その後具体的な検討は進んでいないという状況であります。

 その中で、(5)に書いてあるとおり、15年目の評価・検討、今回の中で、自工会のほうからJARCの財務面の安定を理由に自主的な拠出の終了というところで意思が表明されたというところでございます。

 続きまして7ページを御覧いただければと思います。このページではJARCの費用負担について今後検討していくに当たって、まず留意すべき点ということでまとめております。まず留意点の一つとして、1ポツでございますが、自動車メーカー等の拡大生産者責任をどのように考えるかという点でございます。第6回合同会議でも、この点は自動車リサイクル制度の中心的な役割を果たすべき存在として一定のランニングコストを負担すると整理されたところでございますが、これが自主的な対応であるという点も踏まえて自動車メーカーの役割をどのように考えていくのか留意していく必要があると考えております。

 一方で、2ポツに書いてあるとおり、余剰金や特預金の存在も留意する必要があると考えております。JARCの資金管理業務ですとか情報管理業務は特預金で充てることができるとされていますが、特預金は毎年20億円程度が発生しておりますし、自工会が受け取らないとして、今後特預金化してくるという部分もありますので、それらの特預金の存在というものは、費用負担について考える上で重要な留意点となると考えております。

 とはいっても、3ポツに記載してあるとおり、特預金というものは何にでも使えるというわけではなく、あくまでも法律上は資金管理、情報管理業務に充てることができるということですので、それ以外の業務、例えばメーカー等の義務として行っている業務ですとか、JARCが指定法人としてではなく公益法人として行っているような、法に基づかない国際関係の業務等には特預金を充てることができないということになります。

 これらの留意事項を踏まえて、ページ8に記載しているとおり、事務局として費用負担についての今後の方向性について案を整理しております。そちらについて御説明をさせていただきます。

 まずポイントの①でございますが、前のページの3ポツで御説明したとおり、資金管理業務、情報管理業務以外の業務については法律上特預金を充てることができないということですので、ページ5で示した⑥の部分、自再協、ASRチーム負担分の費用ですとか、⑤の一部である法に基づかない業務にかかる費用といったところは特預金自体を充てることができないということになります。したがって、こちらの費用をどのようにするかということについては、自動車メーカー等に御検討いただく必要があるというふうに整理させていただいております。

 続きましてポイントの二つ目でございますが、自動車メーカー等の自動車リサイクル制度における中心的な役割ということですけれども、こちらは今後も変わらないと考えておりまして、自動車メーカー等が費用面を含めた制度運営安定化に対する支援を行う存在であるという考え方は今後も維持するべきではないかと考えております。

 その上で、ポイント③に記載しておりますが、ページ5の①から④、あとは⑤の管理部門も指定法人業務にひもづくような業務を行っている部分がありますが、そちらの部分はJARCの資金管理業務や情報管理業務の費用として自動車メーカー等が今後受け取らないとしている余剰金も含めた特預金、そういった増加してくる特預金をもって対応が可能であるということもございますので、メーカー等が自主的に拠出した費用にこれらの特預金を充てることとしてはどうかと考えております。

 ただし、その上で今後特預金を本制度において必要な使途に活用する中でJARCの安定的な運営が保てないというふうに判断される場合については、自動車メーカー等が自動車リサイクル制度の中心的役割を果たすべき存在として自主的な拠出を再開するという形にしてはどうかと考えております。

 9ページ目を御覧いただければと思います。一定の想定の下、今後発生する特預金に、資金管理料金とか情報管理料金の割引き、またはメーカーがこれまで自主的な拠出分としてあってきた単年度の費用のイメージを記載しております。記載のとおり、従来約20億円程度の特預金が発生しているということでございまして、これに加えてメーカー等が余剰分を受け取らないということになると、これは令和元年度ベースの金額ではございますが、同等の金額が発生した場合、約41億円の特預金が新たに発生するということになります。これを合わせると約60億円程度の特預金の発生ということになり、これに対して特預金の出えんというところを矢印の先で示しているというところです。

 令和元年度ベースで考えたときに、従来から出えんしている離島・不法投棄対策等の費用は約4億円ということでございまして、これに加えてユーザーに対する還元というところも書かせていただいております。

 こちらは資金管理料金、情報管理料金の全部または一部の割引きということでございますが、1台当たり290円の資金管理料金が、約500万台の新車販売台数で掛け、また、1台当たり130円の料金掛ける新車販売台数の500万台ということで、仮に料金全部を割り引くとした場合でも、合計で約21億円の特預金の出えんになるというイメージでございます。

 それに加えて、その下に記載しているメーカーの自主的拠出分約6億円というところを書かせていただいておりますが、特預金で充当したということにすると、これらを見ても大分余りが存在するということでございまして、その後の割引きやその他に活用することが可能ということが見てとれるかと思います。

 最後に10ページ目でございますが、今後の毎年の特預金発生見込額ということで、一定の想定の下でシミュレーションをしたものをお示ししております。棒グラフの青い部分が、メーカー等が今後受け取らないとしている余剰部分が特預金になる額の想定で、棒グラフのオレンジ部分が従来発生している特預金の想定額ということになっていて、その推移を示しているということでございます。

 これに対してJARCの運営費用としてメーカー等の自主的拠出分約6億円を、また、資金管理料金、情報管理料金を割り引いたとしたときの額を仮に21億円ということで、線グラフで横置きをしているということでございます。

 このグラフについて1点御注意いただきたいのは、このメーカー余剰部分の考え方のところでございます。メーカーの余剰部分の多くは利息ということになりますので、余剰部分はリサイクル料金に付加される利息の額と比例するということで、この青いグラフは、2019年度のメーカー等の余剰金41億円を基準として、2020年度以降、各年度の想定利率から単純に割り戻して算出した数字ということになっております。ということで、利息以外の要素を考慮に入れていないということになりますので、利息の定価により余剰部分も下がっていくということは表示されているところでありますが、加えてASRの処理量なども今後上がってきているということもありまして、さらに黒字幅の減少ということが起こると考えておりまして、実際にこう示しておりますが、もっと早く特預金化する余剰部分は減っていく可能性があることを御理解いただければと思います。

 ただ、いずれにせよ、従来の特預金の発生という部分もございますし、ユーザーへの割引きにせよ、メーカー等への自主的拠出に充当するにせよ、すぐに財源がなくなるような状況ではないということはイメージできるかと思います。

 以上、資料4の御説明とさせていただきます。

 続きまして資料5の御説明をさせていただきます。資料5は、先ほど御説明した資料4における指定法人JARCの費用負担の考え方を文章で整理したものでございます。

 まず1ページ目でございますが、1ポツに従前の整理ということでまとめております。従前の整理においては、(1)自動車リサイクル法における規定ということで、まず三つの指定法人、資金管理法人、情報管理センター、指定再資源化機関というところの法的整理を書かせていただいております。

 まず、資金管理法人、情報管理センターに関しては、それぞれ資金管理料金、情報管理料金という形で、ユーザーから料金を徴収しておりますし、特預金を充当することができるということで規定されておりますので、そのことを書かせていただいております。また、指定再資源化機関については、小規模事業者からの委託で再資源化を行う際の委託料ですとか、離島・不法投棄対策等の特預金の活用といったところで費用を賄っております。

 そういった規定上の整理に加えて、(2)に記載しておりますが、自動車製造業者等の役割ということで、制度の中心的役割を果たすべき存在として、自動車メーカー等がJARCのイニシアルコストを支払って、一定のランニングコストも自主的に負担をしてきたところでございます。

 めくっていただいて、次の2ページ目でございますが、今後の費用負担の考え方ということでまとめさせていただいております。法施行15年目を迎えて、制度が安定的に運用されているという現状を踏まえて、(1)で自動車所有者、ユーザーの負担、(2)でメーカー等の負担ということで整理をさせていただいております。

 まず(1)ユーザーの負担ということでございますが、こちらは法に基づいて資金管理料金や情報管理料金をユーザーが負担するということになっておりまして、今後も引き続きこれをもってJARCの運営費用に充てるということが適当と書かせていただいておりますが、一方で、離島・不法投棄対策や、将来、情報システムの大規模改造等の指定法人業務への出えんのために留保すべきだと考えられる額を超えてもさらに特預金があるというような場合は、特預金をもってユーザーの負担を軽減するということが考えられるということで整理させていただいております。

 続きまして、(2)メーカー等の負担でございます。こちらは、まずは制度における中心的な役割として引き続き指定法人業務に必要な費用面も含めた制度運営の安定化に対する支援を行う役割がメーカーにあるとした上で、今後、メーカー等の余剰部分が特預金化するなどさらに特預金が増える見込みであるということから、今後、特預金を留保すべきだと考えられる額以上存在する場合は、特預金をメーカー等の自主的な拠出分に充てて、拠出を休止するということが考えられると整理させていただいております。

 ただし、将来的にユーザーの負担軽減措置の実施状況も勘案しながら、制度における特預金を出えんする必要のある使途の見通しも踏まえた上で、指定法人業務を安定的に運営できないというふうに判断されるような場合は、自動車メーカー等が制度における中心的役割を果たすべき存在として自主的な拠出を再開することが適当であるというふうに整理させていただいております。

 以上が私からの資料5の説明になります。

○村上座長  どうもありがとうございます。それでは自由討議に入る前に、これまでの事務局の説明に関連して自工会のほうから提出していただいている資料について説明する時間が欲しいと伺っておりますので、5分程度ということだと思いますが、嶋村委員、説明をお願いいたします。

○嶋村委員  村上座長、貴重なお時間をありがとうございます。それでは資料に基づきまして、自動車メーカーの果たす中心的な役割と取組ということにつきまして、補足的に少し自工会より御説明をさせていただければと存じます。

 次のページをお開きください。まず自工会の取組の考え方でございますが、最初の四角のところにも書いておりますように、自工会はこれまで自動車リサイクルの運用におきまして中心的役割を果たすということを基本方針に、各種取組を法施行前から実施してまいりました。しかしながら、真ん中のところに書いておりますが、一方で、この中心的な役割を果たすということ自体は本質的な目的ではなく、中心的な役割を果たして何のためにどういう方法でその目的を達成するかと、それらを論理的にちゃんと整理して取り組むことが重要と考えております。逆に言えば、的外れな取組で中心的役割を果たしてもそれは意味がない取組ということになるということでございます。

 具体的にそういった観点で整理したのがその下の図でございまして、一番左に中心的な役割を果たすということを基本方針に置きつつ、取組領域を整理いたしますと、現場サイドとバックヤード、すなわち促進センターになりますが、そのそれぞれの領域で、まず適正処理・リサイクルの促進という目的達成のために、どういう手段でその目的を達成するかというふうに、それぞれの目的をちゃんと設定して、その手段を考えて取り組んでいく必要があるということで、過去の取組も含めて、それを具体的に整理したのが次のページでございまして、一番左の縦書き部分が領域でございまして、その右の1)適正処理・リサイクルの促進という目的達成のために、例えば①のリサイクルインフラの構築というところでは、法施行前の話にはなりますが、自動車メーカーとしては法で義務づけられたメーカーの業務の仕組みを当然作らないといけませんが、それ以外の、法の範疇を超えて、例えば解体業者さんの移動報告の仕組み作りとか、そういったところまでを当時は自工会中心に検討してまいりました。

 また、その下のリチウムイオンバッテリーなどはまさに法の対象外ということでございますが、まだ発生はほとんどありませんが、いち早く自主的に仕組み構築の取組を推進するということで、自動車リサイクルにおける適正処理とリサイクル促進という目的を達成するように自工会としては取組を進めてきております。

 また、その下でございますが、適正処理の促進という目的達成のためには、やはり自治体さんの取締りが非常に重要ということも考えまして、自治体職員の集合研修へ出向きまして、自治体職員の方の業務習得の御支援やその下の取締りの立ち会いというところも本年度も10回近く同行させていただいておりますが、こういったことも、法の範疇を超えて、法の安定運用に向けた各種取組ということで行っているところでございます。

 加えて右側に強化というふうに書いております部分は、昨今の時勢も踏まえて今後力を入れていく部分というところも整理をしております。

 次のページをお開きください。こちらのページには、例えば法の安定運用においてそのベースとなる部分で法の認知度向上というものがやはり重要になると考えまして、下半分のところにございますとおり、①の促進センターの周知活動への協力もそうですが、②の効果の高いと考えられる消費者団体の方の活動への御協力ということもこれまで積極的にさせていただいております。

 また、次のページでございますが、こちらはバックヤードサイド、つまり、促進センター支援の部分でございます。人・物・金で整理をいたしまして、例えば一番上の「人」であれば、①の専門人材の供出ということで、2005年の立ち上げ当初は6070名の促進センターの中で約35名の出向者を派遣させていただきまして、実務運用の安定化、そしてプロパー職員の育成というところに当たりまして、おかげさまで今は促進センターも多くの優秀なプロパー職員が育っておりますため、出向者もおおむね引き上げまして、人の面での支援というものはほぼ終了ということでさせていただいております。

 二つ目の「物」という面でございますが、御承知のとおりシステム大改造を今迎えておりますので、この部分は新システムのさらなる高度化と安定運用という目的達成に向けて、大幅にサポートを強化して進めているところでございます。

 そして最後の「金」の部分でございますが、ここは前回の御説明のとおり、立ち上げ時期においては200億円程度を拠出させていただきましたが、今回、ランニングコストの財務面での安定化ということで拠出を休止させていただきたいと考えているところでございます。

 最後のページでございますが、いろいろと自工会の法の範疇を超えた自主的な各種取組ということで御説明をさせていただきましたが、今後の対応についてということで、一つ目の四角にもございますように、自工会は今後とも法運用において中心的な役割を果たすという基本方針は何も変わりませんし、その方針の下、リサイクルの促進・高度化と法運用の安定化という大きな二つの目的のために自主的な取組を随時検討し、計画的に推進してまいりたいと考えております。

 少し小さい字で書いておりますが、実はこの考え方は20年前のこの審議会にて自工会が発表した当時の考え方ほぼそのものでございまして、我々といたしましては当時の先人の思いをこれからも引き継いでまいりたいと考えております。

 そういった面で、次の四角に書いておりますように、今回、センターへの財務面での支援は休止をさせていただきますが、今後万一センターが財務面で不安定化すれば、その際は自主的な支援を再開させていただきたいと考えております。

 いずれにしましても、自工会は今後とも制度の安定運営という目的の達成に向けて、中心的な役割を果たすという基本方針の下、各種効果的な取組を、時世に応じまして積極的に推進していく所存でございますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 最後に、ここには書いておりませんが、本日の議論とは直接関係はないかもしれませんが、先般、御承知のとおり菅総理から2050年のカーボンニュートラルを目指すという話が出ていることは皆様も御承知のことだと思います。今回、自動車リサイクル法の見直しで、具体的な議論というのはまだ話が出たばかりで、産業界はもとより国民生活にも関わる大きな話でございますので、なかなか自動車リサイクルに落とし込んで考えるということは現時点では少し難しいことも承知しておりますが、この点に関しましては、今後どのような形で自動車リサイクルに関わってくるのか、もっと言えば、自動車リサイクルという社会システムにおいて、個別には、例えばASRのリサイクルであったり、自主取組のリチウムイオン電池であったり、例えば解体をはじめリサイクル業界のカーボンニュートラルを実際にどうやって進めるのかというところなど、いろいろと話があろうかと思います。そういったカーボンニュートラルの社会を目指す中での課題等は、何があって、どういった時間軸で、何をしていくべきなのかという、今、時代の大きな転換点を迎えているということもありますので、こういったことも今後自工会としては中心的な役割を果たすという基本方針の中でしっかり考えてまいりたいと思っておりますし、こういった議論も時世に合わせて必要なのではないかと考えているところでございます。

 長くなりましたが、私からの御説明は以上でございます。どうもありがとうございました。

○村上座長  ありがとうございました。それではここまで御説明いただいた点について委員の皆様から御意見を頂きたいと思います。御発言を希望される際にはSkypeのメッセージ機能をお使いいただきましてお名前をお書きいただければと思います。こちらのほうから順次指名させていただきたいと思います。

 指名された方はマイクのミュート解除、ビデオオンというところで、ビデオオンは難しければ構わないかもしれませんが、よろしくお願いいたします。

 今回は、冒頭に申しましたとおり非常に重要な論点になっております。できるだけ多くの委員の皆様からの御意見を頂きたいと思っておりますので、場合によっては私から指名させていただくこともあるかもしれませんが、その際はぜひ御発言をよろしくお願いいたします。

 それでは最初の御発言希望に移りたいのですが、大塚先生、まずよろしくお願いいたします。織委員が急いでおられるようですので、物すごく長くなるようでしたら手短にお願いいたします。

○大塚委員  私も中途退出するので、それほど長くはしゃべりません。それで早く手を挙げさせていただきました。申し訳ありません。

 この制度ができたときに関わっていらっしゃった先生方が大分少なくなっているので一言申し上げておきたいところがございますが、まず年金方式に移行するかという問題との関係では、先ほど環境省からも御説明がございましたように、随分これについては検討をさせていただいたと思います。

 今、年金方式にすることの最大の問題点は、この8600億円をどうするかということ、返却自体にコストがかかるという、あまり適切ではないようなことになってしまうということも含めて、なかなか難しいのではないかということがございます。

 当初は、公的な管理機関ではないメーカーさんに自分で管理していただくということも検討対象にはなっていましたが、最大のポイントは、メーカーが一定額を積み立てる場合に課税対象になってしまうということで、そこは財務省がお譲りにならないということがございましたので、そこがネックになってその選択肢は非常にうまくいかなくて、私も結構主張させていただいたのですが、そういう結果になっておりますので、ここはなかなか変えにくいのではないかということでございます。

 それから、もう一つの後ろのほうの論点でございますが、資料5の最後にお書きいただいていますことと関係いたしますが、永田先生がよく自動車メーカーは統括的責任があるということをおっしゃっておられましたが、その根拠は拡大生産者責任と関連しているわけでございまして、拡大生産者責任としての統括的責任ということを結構おっしゃっていましたけれども、ここで言う中心的役割というのも同じことで、先ほど自工会の方から非常に力強いお言葉を頂いて大変ありがたいと思っていますが、今回こういう変更をするとしても、資料の最後にお書きになっていただいているように、JARCの安定的な運営が保てないと判断される場合には自動車メーカー等が自動車リサイクルの中心的役割を果たすということで、自主的な拠出を再開していただくということを私からもぜひお願いしたいと思いますし、先ほど力強くおっしゃっていただきましたので安心はしておりますが、その点は重要なことだと思っております。

 以上でございます。

○村上座長  どうもありがとうございました。せかしてしまったようで申し訳ございません。

 それでは織委員、続いてお願いできますか。

○織委員  ありがとうございます。この制度自体は今、大塚先生もおっしゃっていましたけれども、私も当初から議論に関わってきて、すごくジャパン方式として当時に合理的な設計がなされていると思います。

 やはり中心となるのは、自動車メーカーの拡大生産者責任のとり方を明確にするということが何よりも重要だと思います。中心的な役割についてということを今メーカーの方がおっしゃっていましたけれども、消費者も社会全体としても納得できる、目に見える形で、お金の支払いではないけれども、目に見える形で示していただくということが今後の変換においては一番重要になっております。

 また、自動車についてはリサイクル原資の確保、自動車自体の在り方、電気自動車の変換ですとかそういったものに対応できる制度であることということも次に必要になってくると思います。

 そして、個々人に少額が返還されていくよりも、今のこの大きな金額こそがまさに技術革新やいろいろなところに使い道があると思いますので、この大きな金額として有効に使えるように、リサイクル料金の使途についての柔軟な対応ができるように、そういった形での制度設計をしていくということが必要ではないかと思います。

 以上です。

○村上座長  ありがとうございました。それでは続きまして酒井康雄委員、お願いいたします。

○酒井委員  ありがとうございます。自動車リサイクル機構の酒井です。資料3のリサイクル料金の料金制度に関してですが、リサイクル料金の徴収時期ですとか管理方法に関しては現行どおりで全くいいと考えております。ただ、充当方式ですが、やはりこれは自車充当方式、他車充当方式ということに関しては、私どもでも御提案させていただきましたが、他車充当方式と考えております。

 私たち業界からの提案としましては、社会情勢の変化に応じて柔軟にASR処理が確実にできるような、柔軟な運用ができるようにということを主な理由としておりましたけれども、先ほど自工会の嶋村さんからも御発言がありましたけれども、やはり社会全体としてカーボンニュートラルな社会をいつまでに目指すという目標をはっきりと作ったわけですし、また、車の社会自体が100年に一度の変革期といったようなことを迎えている時期ですから、ASRを円滑に処理するとか減量するといったところを超えて、例えばASRゼロを目指していくとか、カーボンニュートラルのために何ができるのだろうか、何が求められるのだろうかというところまで想像力を持って今議論をすべきだろうと思っております。そういった意味で、やはり充当方式は見直すべきではないかと考えております。

 今回、前回の合同会議で事務局からその方向性に関連して解体インセンティブ制度ということをお示しいただいたと思いますが、現場の感覚といたしますと、あちらにあるものをこちらに持ってくるというような方法で本当に実効性のある仕組みが作れるのかということについては疑問を感じておりますし、実際にその案の中でもコンソーシアム方式をとるというような提案がございましたけれども、個別、車台別の管理にはやはりいろいろと無理があるということが理由になっているのではないかと思いますので、年金方式、他車充当方式の導入の論拠としたいと思います。

 そして既存の預託金は9400億円があるわけですけれども、この扱いについては、基金のような形にして将来のリサイクル費用に充てていくということで、法の目的から外れることはないのではないかと考えておりまして、私たちで9400億円をベースに簡単に試算をしてみたところ、輸出返還制度を廃止して、既存の預託金9400億円の中から毎年かかるリサイクル費用の半分を拠出するということにすると、新規のユーザーさん、新しく車を買うユーザーさんからのリサイクル料金徴収額は現行の3分の1程度で済むのではないかと。しかもこの制度は、現在の預託金のボリュームからしますと40年から50年は制度が維持できるというような計算結果が出てきます。車の使用年数がさらに延びていくようであれば、さらに制度が維持できる年数は延びていくのではないかと考えます。

 もう一つ、輸出返還制度に関しては、前回問題提起させていただいておりますが、現行制度の下では廃止できないという御説明がありましたけれども、もう一度問題点を整理するという意味で、2点ほどお願いしたいのですが、輸出返還を受けた最終所有者が、その車をどのくらいの期間所有されていたものかということは多分登録情報からわかるのではないかと思いますが、1年以上所有していた人を調べるだけでも、我々の感覚からすると1年以上所有していた人はかなり少ないと思っていますので、手間が大変なようであれば1年以上所有していた人だけを調べていただくとか、どのくらいの割合がいたか調べていただくというようなことが一つ目にお願いしたいことと、それから150万件余りの輸出返還がされているわけですけれども、返還先は果たして何件あるのか、これもかなり150万台、150万件の返還先ということで、どの程度返還元に返っているのか、そしてまた、例えばその返還を受けているうち、例えば上位10%でどのくらいの件数と金額が返還されているのか、こういうところを教えていただければと思っております。

 以上です。

○村上座長  ありがとうございました。続きまして武藤委員、お願いいたします。

○武藤委員  私からは、意見として資料3のリサイクル料金の充当方式についてです。先ほど酒井委員からのお話の続きにもなるかと思います。私の意見については、佐藤委員がペーパーを出していらっしゃって、それを読ませていただくと、大体佐藤委員の意見に賛成です。

 まず、事務局のペーパーですと5ページのところにポンチ絵が書いてあって、JARCから既販車についての預託金について、「既存の預託金は不使用」というふうに青い線があって×があるかと思いますが、これをそのまま使うことにすれば、既販車については自車充当方式でそのまま運用する、今後販売する新車については他車充当方式を適用すると。つまり、およそ15年間は2つの方式が並列して進んでいくと。そして、15年くらいたつと他車充当方式に一本化されるということを考えているので、そういう方式ができないかということが私の提案です。

 その他については、基本的に事務局の御提案の内容に賛成です。

 以上です。

○村上座長  ありがとうございます。それでは引き続き井岡委員、お願いいたします。

○井岡委員  まず資料1のところですが、他車充当方式というのは一見良さそうには見えますが、ユーザーへの返還のコストが、本当にするとしたらちょっとコストがかかり過ぎるのではないかと思います。

 また、徴収が新車時か廃車時かということでは、廃車時ではユーザーは経済的に負担感を感じて不法投棄につながるのではないかと思います。

 私としてはまだ委員にならせていただいて1年もたっていないので、まだまだ理解していないところがあると思いますが、このシステム自体は本当にその当時よく練られて作られているのではないかと思いました。

 2019年9月に永田先生が出された紙を読ませていただいたのですが、それを読むと、不法投棄・不適正保管は、かなり減ったとはいえ、まだまだ各地にあるようです。豊島問題さえまだ完璧には終わっていないということもあるようで、それからまた中国の廃プラ輸入禁止の問題もあり、これからは国内での循環が必要となり、コスト高につながっていく可能性があると思います。こういう中で、やはりいろいろな変更、制度の変換は慎重にお進めになるべきだと考えております。

 また、2番目の問題については、資源効率を高めるサービスや技術は業界様の御努力でどんどん進化していっていると思いますが、反面リスクもありますし、その備えが必要と考えます。自動車業界様としては、取り巻く状況の変化が激しくなって、転換期を迎えていらっしゃるとお察しいたしますが、これからもEPRの面でも中心的役割を進んで果たしていっていただきたいと願っております。

 以上です。

○村上座長  ありがとうございました。それでは引き続き鬼沢委員、お願いいたします。

○鬼沢委員  私は資料4のところで質問と意見です。資料4の4ページにあります自動車メーカーが請求しなかったリサイクル料金についてという、ユーザー返還方式の論点3のところですけれども、私は実費請求方式でいいと思っております。その中で、ユーザーの情報管理料金、資金管理料金の一定の割引というのは、やはりユーザーにとって一番目に見えるところで、金額的には少ないかもしれませんけれども、それはやったほうがいいと思いますし、3ページで提案されていた料金設定について、「定期的にヒアリングを行い」とありますが、この定期的というのはどのくらいのことを想定されているのか、年に1回行うのか、3年に1回くらいやるのか、その辺をもし考えていらっしゃるのであれば教えていただきたいと思います。

 ユーザー返還方式については、早急に進めていただくほうがいいのではないかと思います。

 以上です。

○村上座長  ありがとうございました。それでは引き続きということで赤穂委員、お願いします。

 また、ちょっと前までにお手を挙げていただいている乗田委員のところで一度切らせていただいて、根村委員はその後でお願いしようと思っておりますのでよろしくお願いいたします。

 それでは赤穂委員、お願いいたします。

 赤穂委員、いかがでしょうか。ミュートでしょうか。

 赤穂委員、もしうまくいかないようであれば事務局に御連絡いただくか、取りあえずメッセージを頂けますか。

 わかりました。後ほどということで、一旦先へ進めさせていただきたいと思います。

 それでは佐藤委員、お願いいたします。

○佐藤委員  私からはペーパーを出させていただきましたので重複は避けますが、まずリサイクル料金の充当方式については、他車充当方式を基本として新車時の徴収、それから公的管理機関による管理が良いと思います。

 現在、自車充当方式を基本としていますが、これとの整合性については、先ほど御意見があったように、全部基金にして、総合的に管理するというやり方と、それから、一部自車充当と他車充当を並行して走らせていくという二つの考え方があると思います。

 どちらがいいかですけれども、楽なほうとしては、1回今までに預かっている金額も基金にしてしまって、その中の使途を合理的に自由化して、それから新規の購入者にはリサイクル料金を安く設定することがいいのではないかと思います。

 他車充当方式に変更した場合、既にリサイクル料金を支払った人に返還しなければいけないということを事務局から言われています。もし、制度変更により既存の自動車所有者に対しリサイクル料金を返還してしまったらリサイクル料金はもらっていないことになります。もう1回徴収するというのは変です。基本的には、自動車所有者が払ったリサイクル料金は、基金としては自分の車のリサイクル料金に使うわけですから、多対多の対応の中で自動車所有者が個々の預託金について財産権を持っているとか、違う使途に使うことは自動車所有者の財産権の侵害になるということは私には到底理解できません。

 しかも、この預託金の特預金の発生が、事務局の資料では今後発生が抑制されるというふうになっていますが、これは発生し続けることを前提とした抑制なので、特預金の残高自体はどんどん増えていくわけです。事務局の試算でも、あと5年間で約300億円の特預金が増えます。残高では500億円になってくるわけです。このように特預金がどんどん膨れていくということは、管理コストも大きくなります。せっかくシステムを改造するのであれば、もっと軽いシステムにして運用するというのが、私はトータルの自動車リサイクル制度の運用コストの低減、それから使途の自由化につながると思います。

 特に、リサイクル料金の使途の自由化というのは非常に重要だと思います。リチウムイオン電池その他が、まだ十分にリサイクル技術できていない、また、その設備投資も必要である、処理料金も必要であるという中で、適正なリサイクルを進めるためにはリサイクルの預託金も最大限に活用するということが、日本の循環型社会の実効性としては重要であると思っております。

 以上です。

○村上座長  ありがとうございました。それでは一旦次で切りたいと思います。乗田委員、よろしくお願いいたします。

○乗田委員  ちょっとビデオの調子が悪いので声だけかもしれませんが、よろしくお願いいたします。

 実は私は資料3のページ6、中古車輸出の際のリサイクル料金の取扱いについてお聞きしたいと思っておりました。ただ、先ほど酒井委員が非常に細かく、またその背景までも御説明されましたので、むしろそちらにゆだねさせていただいたほうがいいかもしれません。実は私の疑問点は、輸出の現場で見てみますと、実際に150万台ですか、中古車が輸出されるときに、既に1台1台のお値段が、例えばどこどこ向けはFOBがいくらだと、何年式のこの乗用車はいくらだということになっていて、もうリサイクル料金がどうなっているかなどということはビジネスの中でほとんど反映されていないということがうかがえます。

 そしてリサイクル料金返還のルールを知っていらっしゃる人、つまり、これをうまくやれば、リサイクル料金が1台1万円くらいが返ってくるということを知っていらっしゃる人は、自分が100台売ったら結構なお金になる。でもそういったことは全然関係なく、売ることでビジネスを成り立たせています。そういったことは知らない人は返還を求めない。つまり、せっかく自動車リサイクル法というきっちりした枠組みの中で運用されていたものが、中古車の輸出というところになると全くないがしろというと語弊があるかもしれませんが、法律の趣旨からはずれた行為が行われている。それはやはり無駄であり、返還しないということでいいのではないかと私は思っています。

 ただ、先ほどの事務局からの御説明では、他車充当方式に変更すること云々とありますが、その他に、他の委員の方からもいろいろと御提案がありましたけれども、自車充当なのか他車充当なのか、それとは別の議論で進めていただいても、ちょっとそれとは切り離して、やはり中古車輸出の際のリサイクル料金は返還しないということを考えていただく法律の変更といいましょうか、システムの変更を考慮いただくのがよろしいのではないかと考えております。

 以上です。失礼いたしました。

○村上座長  ありがとうございました。それでは一度ここで切らせていただいて、すみませんが、赤穂委員は再開後にお願いいたします。取りあえず事務局から、ここまでの御意見に対して回答いただけるものは回答いただけますか。

○三牧自動車課課長補佐  まず御質問を頂いた点について御回答いたしたいと思います。

 鬼沢委員からはメーカー等へのヒアリングということでどのような形でやられるのかという御質問があったかと思います。こちらに関しては、詳細は今後検討してきたいと思っておりますが、例えば新車を販売するタイミングですとか、あとは大きな料金体系の変更をするような、考え方を変えるといったときなど、そういったどこかのタイミングでさせていただこうと考えております。

 また、自動車リサイクル機構の酒井委員から、輸出返還に関して2点御質問を頂いておりました。こちらに関しては、すみませんが、ちょっと今手元にデータがございませんので、また確認をして御提示させていただきたいと思います。

 質問に対しては以上です。

○村上座長  他には何か、コメントに対しての回答などもよろしいですか。

 環境省側も特になしでよろしいでしょうか。

○三牧自動車課課長補佐  御意見に関しては、後でまたまとめてコメントいたします。

○村上座長  わかりました。取りあえず質問のところだけをまとめて御回答を続けるということにさせていただければと思います。

 それでは先へ進めさせていただきたいと思います。頂ける御質問、御意見は頂きたいと思いますので、先ほど一度飛ばさせていただいた赤穂委員をさせていただいてから根村委員とさせてください。

 それでは赤穂委員、お願いいたします。

○赤穂委員  先ほどは失礼いたしました。まず、リサイクル制度そのものについていろいろな御意見を今伺いました。私はおおむね今の枠組みを継承していくべきではないかと思っていましたが、いろいろな委員の方から輸出車の扱いについていろいろな御意見があることを今日伺いまして、やはり御提案があったように、現状、どのくらい最終ユーザーさんが保有されているのかというような調査が可能であればやっていただければと思います。

 その上で、今の枠組みをなぜ維持していくべきだと考えているかといいますと、やはり先ほど嶋村さんもおっしゃいましたように、これからカーボンニュートラルの時代に突き進んでいくわけでして、自動車リサイクルについても今後大きな変動があるかと思います。リサイクルにおいてもカーボンニュートラルというものを当然ながら目指していくべきですし、その際に、電動化になったときに、今のリサイクルの経済的な循環がどのように変わっていくのかということを考えたときに、例えば今、エンジンの部品取りでこの分野は経済的に回ったりしているわけですけれども、電動化になって部品取りが難しくなるとか、あとはリチウムイオン電池の処理の難しさなどを考えますと、今、預託金は大変たくさん積み上がっていますが、資金的な問題が先々安定的にいくかどうかというのはまだ不確実なところもあるかと思います。そういう意味では、現行、資金的にある程度余裕を持っていくことが必要なのではないかと思っています。ということで今の制度を維持すべきだと考えています。

 また、自工会さんから二つの提案がございました。これについてもおおむね賛同したいと思います。まず、ユーザーの負担を割引する制度を今後導入するということは高く評価したいと思います。また、今までメーカーが負担していた管理費、人件費等について、JARCの負担へと移行させるということについて、JARCの独立性という、本来あるべき姿になるという点で賛同したいと思います。その上で、先ほど、自動車メーカーとして当然ながら財務の安定化が失われたときには必ず自主的な拠出を再開するという力強い言葉も頂けましたので、メーカーの責任というのはこれからも当然ながら引き続きあるということをしっかりと踏まえた形で制度が回っていくということを期待して賛同したいと思います。

 以上です。

○村上座長  どうもありがとうございました。それでは根村委員、よろしくお願いいたします。

○根村委員  よろしくお願いいたします。大きく2点を申し上げたいと思います。私どもといたしましては、リサイクル制度についてはおおむね現状のままでよいと考えておりました。と申しますのは、他の方からも御意見がありましたように、まだまだこの法律ができたときの課題というものが完全に解決されているわけではないということ、それから、現状が、特預金のことは別にいたしまして、非常にうまく進んでいるのではないかということ、そして今後自動車が大きく変化していく中で、今ここで大きく変更するタイミングであるかというところで疑問を感じているということです。

 また移行期間中、システムの二重管理などによって管理料金が非常に増えることは消費者、ユーザーとしてどうかと疑問に感じておりますので、現状のままで良いのではないかという立場でございます。

 それから、自工会さんのほうから御提案がありました件についてはおおむね賛成でございます。

 1点だけ質問させていただきたいのは、特預金からユーザーに還元するということは非常にありがたいのですが、以前話に出ていましたように、再生資源などを多く使用した自動車に関する割引も行った上でのということで、二重に還元されることもあると考えて良いのかという点です。

 以上となります。よろしくお願いいたします。

○村上座長  どうもありがとうございました。それでは最後に質問があったかと思いますので、事務局でよろしいですか、御回答をお願いします。

○鳥居リサイクル推進室室長補佐   最後に根村委員から御質問がございました、環境配慮設計の進んだ車への割引というところですけれども、以前からユーザーインセンティブ制度ということで御議論をしていただいておりまして、引き続き検討中となっております。課題となっている部分などが解決されましたら、こちらの料金の割引も行っていきたいと考えております。

○村上座長  御質問の趣旨は、その話と、今日出ていた情報管理料金等による割引というのは別の話というか、両方が重なっても別にいいのかという確認だったと思いますが、まさしくインセンティブのほうがうまくいけば、両方引かれる場合もあるという理解でよろしいですか。

○鳥居リサイクル推進室室長補佐   はい。御認識のとおり、現在ユーザーインセンティブ制度で検討しているのが車のリサイクル料金本体というところで、今回御提案しているのが情報管理料金と資金管理料金というところで別の部分になりますので、場合によっては両方割引がかかってくるということもあるかと思います。

○村上座長  ありがとうございました。というところで根村委員、よろしいでしょうか。もし問題があればおっしゃっていただければと思います。

○根村委員  まさしく村上先生が補足してくださったとおりの趣旨でございました。ありがとうございました。

○村上座長  どうもありがとうございます。それでは引き続き、もし御意見、御質問等がおありであれば、メッセージ欄に頂ければと思いますが、いかがでしょうか。

 山田委員、お願いいたします。

○山田委員  大きな論点について意見を申し上げます。一つは自工会の負担金休止ですが、10年前は時期尚早だったのかもしれませんけれども、現在は終了してもよい環境が整いつつあると思います。現行のリサイクル制度も十分に独り立ちして強くなっていること、余剰金があること、そういうことを考えると、いわば善意で拠出金をずっと求めるのはもう筋が通らなくなりつつあるのではないかと思います。拠出金の休止は賛成というか理解します。

 もう一つ、自車充当方式か他車充当方式かということですが、これはちょっと判断ができませんけれども、というのは、他車充当方式のほうがシンプルで合理的で筋が通っていると思います。歴史的経緯もあって自車充当方式になっているのでしょうけれども、問題は、より良さそうな年金方式に移行するときの移行コストがどのくらいなのかということがよくわからなくて、資料3の5ページだと、例えば一人一人に返す手数料だけで単純計算で240億もかかると、これが本当であれば、これほど膨大な移行コストを費やしてまで変えるほどのものかということになると思いますし、佐藤委員がおっしゃったように、これはとても財産権の侵害にはならないということであれば、移行コストはずっと低くなるので、よりベターな年金方式に移行するというアイデアもあるかと思います。でも移行コストがどのくらいなのかがよくわからないと、結局、判断できないのではないかと思います。

 以上です。

○村上座長  ありがとうございます。今の移行コストの件ですが、何か事務局から補足できることが現時点でおありであれば、おっしゃっていただけますか。

○藤岡自動車リサイクル室長  各委員におかれましては御意見をありがとうございます。

 コストについては、ざっくりと、例えば一番わかりやすい振込手数料ということで例示をさせていただきましたが、実際にはこの作業を本当にやるということになりますと、事務局人件費、あるいはお知らせ等々の郵送費その他もかかってまいりますので、本当にかかるということになれば大きなお金がかかるだろうと思っております。

 そもそも返還をしなければならないのかどうかという点についてはまた後ほどまとめて申し上げたいと思っておりますが、本当にやるとすると、このくらいでは収まらない数字になるのではないかと思っております。

○村上座長  どうもありがとうございました。それではもう少し引き続き御意見を頂いてから、事務局のほうから意見に対しては整理をしたいということのようですが、いかがでしょうか。

 嶋村委員、どうぞお願いいたします。

○嶋村委員  資料3の他車充当、自車充当等の議論に対する意見でございますが、自工会は最初から当然関わって、方針もいろいろと検討してきて、現時点で今の方式になっているというところは、当然、経緯も含めて全て認識をしているところでございます。その上で、佐藤先生から、紙に書いておられましたが、書かれていらっしゃることはそのとおりで、佐藤先生もよく御理解いただいていらっしゃると思いますが、他車充当方式は、今となってみては他車充当方式、年金方式のほうがよかったという反省というか、当時の判断はそれで正しかったのですが、今、考えてみると他車充当方式のほうがより良かったかもしれないというところは現時点で思うところではございます。

 ただ、今回も、そういう面で他車充当方式は何が良かったかというと、一番大きな点は、自車充当方式というのは、結局、15年間、その車にお金をくっつけて、促進センターで管理コストをかけて管理をして、15年後に実費を支払おうと思ったら、実費と15年前に取った金額との差が出てくると、そして現時点では、メーカー各社、もちろん赤字のメーカーもいらっしゃいますが、少し多くお客様から頂き過ぎていたというのが今の状態で、要するに15年後の処理料金を予測しないといけないというところ、そこの部分が、ユーザー視点で考えた場合、最も大きなマイナス点だったと思います。

 そういう面で、年金方式にすれば、来年処理する費用を今年払うということで、そこの差は当然小さくなりますので、ユーザーにとってもより実費に近い金額をお支払いいただくことができると、そういう制度だったというふうに現時点では思うところでございます。

 そういった反省も踏まえて、今回自工会から提案させていただいた実費請求方式というのは、まさに他車充当のメリットと同じようなメリットを、返るお金が手数料として還元される、お客様が、この部分は他車というふうに変わってしまうところは若干ありますが、とはいえ、お客様にその部分が還元されて、お客様が払っている金額がより実費に近くなるという、現行制度で240億という手数料、返金のコストが出ておりましたが、多分240億では済まなくて、多分500億円くらいかかると思いますが、そういったコストをかけるよりも、現時点においては、一旦実費請求方式に今回自工会のほうで変えたいということで、これをやってみてうまくいけば、あともう一つは、システムの今回の大改造で、促進センターも今回頑張って、自工会も当然いろいろとシステム部隊が応援しまして、以前200億円くらいのシステムを作ってしまいましたが、このコストを大きく下げられないかということで促進センターも頑張ってやっているところでございます。そういう面で、15年間お金をためておくシステム関係のコストも非常に高かったのですが、そういった面でもコスト低減も進めていこうということで、今時点においては、現行の法律の中ででき得ることをなるべくやって、理想の形にまずは近づけていこうということで、今の方式で取りあえずもうちょっと頑張ってみるということで、自工会としてはいいのではないかというふうに思ってはおります。

 ただ、先ほども申し上げましたとおり、カーボンニュートラルの話とか電動化とか、いろいろな話が今後変わっていきますので、次のシステム大改造は20年後で、ちょうど2040年、2050年を目前とした10年前くらいになろうかと思いますが、そのときはひょっとしたらガラガラポンで、法律の大改造もひょっとしたら必要なのかもしれませんが、現時点においては今のやり方に改良を加えてやっていくのがいいのではないかと思っております。

 長くなりましてすみません。以上でございます。

○村上座長  ありがとうございました。既に2周目の御発言の御希望をたくさん頂き始めていますが、まだ御発言いただいていない方で、もし御発言の御希望があればおっしゃっていただければと思いますが、いかがでしょうか。

 佐藤委員、鬼沢委員、酒井委員、別に当てないという趣旨ではございませんので、ちょっと順番の調整だけさせていただきたく、御理解を頂ければと思います。

 突然で申し訳ありませんが、事情を長く御存じでもおありだと思うので、細田委員、何かあれば御発言を頂いてもよろしいでしょうか。

○細田委員  まず自車充当方式、他車充当方式についてはさんざん議論して、武藤さんや残っている委員の方はやり尽くした議論でわかっていると思いますが、どちらもメリット・デメリットがあります。私はフリーテイクバックを主張した1人ですけれども、税政の関係で、大塚委員が言ったように、それはちょっとゆがみを与えてしまうということで、ではその中間形態の他車充当か自車充当かで、自車充当は相当大変だろうということで私は他車充当を主張しました。しかし、この時点で考えてみると、今、他車充当に変えるのはちょっとしんどいというのが正直な気持ちです。

 一つどうしても難しいところは、運用上のことと理論的なことで、例えば私が今燃料電池車を買って、今リサイクル料金を払って、それで他の自動車を処理する、これは本当にいいのでしょうか。全然違うものを処理している。もちろん家電リサイクルというようなものはそういうこともわからないわけですけれども、自動車は確知制度があるにもかかわらず全く違う性質のものに処理、リサイクルで使っていいのか。なぜ私のお金がそうなるのかといったときの説明は一体どうやってつけるのかということについては、私の中ではまだ整理がついていません。性質が極めて似通っていて定常状態ならいいのですが。

 もう一つは、勝ち組の自動車メーカーはもっと勝ち組になってしまう。過去が少なくて、現在たくさん売っているメーカーは得になるわけです。過去にたくさん売って今売上げが減っているメーカーは、過去のたくさん出てくるものを今の少ない販売台数で処理しなければいけないから、静脈側の料金設定が動脈側を規定するという話は本当にいいのかということも私はいまだに悩んでいる点で、そういうデメリットがある。もちろんフレキシブルというメリットもあるわけです。

 それで今、自車充当方式を変えるそれほどのメリットがあるのかと言われたときには、私は、答えはノーとしか言えない。例えば今、過去のものを返還するかどうか、あるいは二つのシステムを共存させるか、私は二つのシステムを共存させるというのは、それこそ運営費用がひどくてヒューマンパワーもかかるし、それから説明責任をどうつけるのかも大変な問題だと私は思います。そう考えたときには、ちょっと今の段階でこれを他車充当方式に変えるのは、私は現実的ではないと思っております。

 それからもう一つ、最後に、自工会のお申し入れですが、私はそのとおりではないかと思いますが、公益法人のあれで、指定法人ではないところのお金をどうするかと。自再協の部分でしたか、そういった細かいディテールをちゃんとクリアしておく必要があろうという気がします。それができさえすれば、自工会のお考えは今はもう認めるべきではないかと思います。

 以上です。ありがとうございました。

○村上座長  どうもありがとうございました。突然振ってしまいまして申し訳ありませんでした。

 まだ時間がありそうに私の手元では見えていますが、他に御発言希望の方はおられますか。2周目に入る前にもうお1人、お2人は頂けると思います。例えば、全く自治体関係からの御意見を頂いていないので、例えば尾邊委員はいかがでしょうか。もし難しければ難しいということでも結構です。

○尾邊委員  自治体関係から言いますと、最初の議論にあった徴収時期、新車か廃車かといえば、家電リサイクル法は後払いということで、不法投棄がなかなかなくならないという状況から考えると、やはり新車時に徴収するのが当然だと思います。

 それから、中古車輸出で自動車のお金を返還しているということに鑑みますと、やはりせっかくリサイクル料金として徴収したお金を、エンドユーザーが輸出するという時点でエンドユーザーに返す必要はないのではないかと思います。それが二つ目です。

 三つ目として、せっかくお金がたくさん余っているという言葉は失礼ですが、あるならば、より高度なリサイクルとか資源循環型社会を形成するに役立てるべきではないかと、返還するとわずかなお金にはなると思いますが、それよりは高度なリサイクルとかそういった面に役立てるべきではないかと考えております。

 以上でございます。

○村上座長  どうもありがとうございました。突然振ってしまって申し訳ございませんでした。

 それではそろそろ2周目の御発言を希望している皆様に回したいと思います。お待たせしました。佐藤委員、どうぞよろしくお願いいたします。

○佐藤委員  輸出については、私も輸出に関して返還するというのはあまり合理性がないと思っております。事業目的で中古車を大量に買い集めて輸出する場合に、利息も含めてリサイクル料金を返還するというのは、制度全体の目的から考えると合理性に欠けると思います。

 また、それからリサイクル料金については実費精算請求にすることは、実質的には他車充当方式です。そもそも、自車充当での完結型というのは論理的にあり得ません。購入してから10年以上たったリサイクル料金を正確に見積もることは不可能です。他車充当方式をどんどん浸透させていくということしかないわけです。そうすると、もうここでガラガラポンで基金にしてしまったほうが、その後の管理コストははるかに安いと思います。

 事務局の資料において、制度を変化させるためには、リサイクル料金を所有者に返還しなければならないという前提にたっていることが、私にはどうしても理解できませんけれども、返してしまえば、もう1回徴収しなかったら、今までの人はただ乗りしていることになります。それは明らかに不当かつ違法だと思いますので、返す必要は全くないと思います。

 以上です。

○村上座長  ありがとうございました。それでは鬼沢委員、お願いいたします。

○鬼沢委員  すみません。2回目です。先ほどちゃんと申し上げなかったところもあるので申し上げたいと思います。リサイクル料金を、15年間、資金管理でちゃんと管理していくには膨大なコストもかかるということで、今回自工会から実費請求方式という提案がされたことは非常にいいことだと思っております。

 それと、やはり細田先生がおっしゃったように、自分の乗っている車が今、例えばハイブリッドではない車のリサイクル料金を払っておきながら、十数年後の将来、実際にはそうではない車のリサイクルに使われることもある可能性が考えられ、リサイクル料金を払っているユーザーにしたら何となくそこはすっきりしない部分なのではないかということは言えると思います。そういうことで、自車充当方式を他車充当方式に今変えるというよりは、今回、自工会からとてもいい提案が二つされておりますので、これをまずやってみて、それからの検討でもいいのではないかと思っております。

 以上です。

○村上座長  どうもありがとうございました。それでは酒井康雄委員、お願いいたします。

○酒井委員  2回目ですみません。ありがとうございます。まず自車充当方式、他車充当方式のことを皆さんすごくたくさん御議論いただいていますが、先ほど自工会の嶋村さんから、今から考えると他車充当方式も良かったのではないかというお話がありましたけれども、私は自車充当方式でスタートしたということは良かったと思います。

 というのは、やはり個々の、これだけ細かく車台番号別に車が細かく管理できている国というのは世界にそれほどないと思いますが、その車台番号に紐付けて、きっちりと車が生まれてから処理されるまでの管理ができてきたというのは、やはり自車充当方式があったからだと思いますし、だからこそ15年間にわたって、多分15年間ですから8000万台といった数の車が処理されたと思いますが、これはやはり自車充当方式でやったからこれだけの知見が積み上がっていると思います。

 だからこそ今、より簡易な方法に、その知見をもとにすべきなのではないかということが一番のポイントだと考えていまして、それから移行するためのコストについて山田委員からの御指摘があったりしていましたけれども、佐藤委員も返還することは考えられないとおっしゃいましたけれども、私も今のものを全部返還するということを考えたら、移行コストは非常に莫大になるということは理解できますし、そのリサイクルに対して、自動車ユーザーが負担すべきコストということで考えると返還する理由はないのではないかと。負担者と受益者という言葉が出てきて、それが1台1台の車に紐付けた形で理解されているように私には聞こえますが、この問題について、負担者は確かに車のユーザー、所有者ではありますが、受益者というのは国民全体というか、日本国全体というか、それが受益者である、車の所有者が車のリサイクルに関わるものについては負担するけれども、受益者になるのは国全体といったような考え方なのではないかというふうに私としては感じているところがあります。

 以上です。

○村上座長  どうもありがとうございました。それではその他に御意見がおありの方はいかがでしょうか。大分時間もたってまいってはおりますが、まだ何かあればお受けしたいと思いますが、いかがでしょう。

 よろしいでしょうか。

 そうしましたら、そろそろまとめて、頂いた御意見に対して事務局から御発言があればよろしくお願いしたいと思います。

○藤岡自動車リサイクル室長  各委員におかれましては様々な観点から御意見を賜りまして誠にありがとうございます。

 また、佐藤委員からも個別にペーパーをちょうだいいたしました。非常に今後のことを思っての御意見ということで、本当にありがたいことだと思っております。

 今までの議論をお伺いさせていただきましたが、私ども、経済産業省としての見解をお答えさせていただきたいと思っております。

 まず、先ほど細田委員、あるいは大塚委員もおっしゃいましたけれども、法制定当時のいろいろな議論のことを御存じの方がいらっしゃいますが、御発言もございましたとおり、自車充当方式というところに整理された理由については引き続き考慮されるべきものが今も一応あるという認識ではおります。

 その上で、まず佐藤委員から他車充当方式にすべき理由の一つといたしまして、縷々挙げていただいておりますが、特預金の発生というものも、これほど積み上がるものだとは想定されていなかったのではないかというところもあったと思います。我々としましても、この特預金が多額に積み上がることを決して良しと考えているわけではございません。

 他方、この特預金というのは、輸出取戻し事項のようにユーザー側からの取戻請求権を行使されないものといったお金であったり、非認定全部利用のように、ユーザーが使用済自動車として引き渡した後に不要となるような場合、特預金があるということを法律上も規定し、予定しているというところでございまして、いわゆる発生する前提で、その上で指定法人の運営費に充当したり、リサイクル料金の割引を行ったりすることができる規定を設けているという整理とさせていただく関係から、発生そのものが問題になるものというところまでは至っておりません。

 それから、ユーザーにリサイクル料金を返還しなくても良いのではないか、そもそも返還するのはナンセンスという御指摘を頂いております。リサイクル料金については法律の中で自分の車の再資源化を行う費用として、義務を課す形で徴収をしているもの、それを預託しているということでございます。この徴収の目的が、今回はユーザーの理由によってなくなってしまう、あるいはその使途が変わってしまうということであれば、預託金である以上、ユーザーに返還されるべきものというふうに引き続き事務局としては考えております。

 預託金は特別な場合返還されないという御指摘を頂いておりますが、自動車が国内で使用されている限り必ず廃棄されるということからこのような規定になっているものでございまして、一方で中古車として輸出される場合には、国内で再資源化されないことから現に返還されているというのは皆様も御案内のとおりかと思います。法78条の返還において手数料を徴収しておりますのは、ユーザー側の事情によるもの、輸出するという事情によるものから、受益者負担の規定を記載しているものということになります。

 財産権の侵害もどうだろうかという御指摘を頂きました。財産権の侵害について絶対に間違いないということをこの場で申し上げることもございませんが、一方で、少なくとも、自動車ユーザーが自動車購入時に自車の再資源化の義務を課されて徴収されているということを考えますと、一応返還が原則という立場に立たざるを得ないと考えております。

 また、先ほど委員の中からも、自分のお買いになった車と車種が全く異なるようなものに負担をするということについて違和感を覚えるという御発言もありましたように、国民感情を考慮したときに、これを直ちに返還しなくても問題ないというところまではちょっと申し上げられないのではないかと思っております。

 しかし、いずれにしましても、制度設計の方法によっては返還しなくてもよいという御意見については理解をいたしました。ただ、そのような設計が許されるかどうかという点で申し上げると、制度設計をする我々事務局としては困難と考えているところでございます。

 また、他車充当方式に移行する際に、預託金を返還せずに今後の基金にするとか、あるいは今後購入する自動車のリサイクル料金を大幅に割り引くと、いろいろとやり方についても今例示を頂戴いたしました。これは考え方次第ということになりますが、現状で走っております8000万台の車に対して幾らかのリサイクル料金を確実にお預かりしているという状況であります。これを基金化して別のところに使う、あるいは、これは自車充当として使うほか、いろいろな高度化等に使うという考え方それ自体もあるかもしれませんが、確実に言えますことは、今お預かりしているものを減らしていくということになります。最終的に他車充当方式というところに至った段階でどういうことが起きているかというと、例えば今の数字で申し上げると、世の中には8000万台がありますけれども、その中で処理されるのが例えば300万台としたときに、その300万台のお金を次の新車のときに充てていただくということで、その費用だけは確保されているということになりますが、他に走っている恐らく7700万台については他車充当で進んでいくとするならば、そこの部分は今後取っていくといった基本的な考え方になろうかと思います。

 したがいまして、これが悪いということを申し上げているわけではなく、こういう制度体系、あるいは徴収も含めてですが、こういう費用を誰がどういう形で負担するのかという議論も必要になってくるのではないかと考えます。

 リサイクル料金で、資源循環の様々な局面でリサイクル料金を活用すべきだという御意見も頂戴いたしました。使途を自由化するという御意見については、特定の物品の再資源化費用を、現状、ユーザーに御負担していただくという現行料金制度ではなく、自動車ユーザーとして、自動車あるいは自動車に派生するリサイクル全般にかかる費用をどれだけどういう形で負担していくかという議論だと思います。したがって、自車充当か他車充当かの適否のその先を見据えたお話というふうに承った次第でございます。

 ご案内のとおり自動車は100年に一度の大変革の時期にございます。次世代車という話も我々のテーマの中に入れさせていただいておりまして、今後自動車のリサイクルにおける様々な変化に備えるという観点で現行の自動車リサイクル制度が十分なのかどうかという議論は当然あり得ることだと思っております。そういう意味で、総合的な今後の検討の必要性ということをおっしゃっていただいたものというふうにも受け止めさせていただいた次第でございまして、将来に向けた御意見として承りたいと考えているところでございます。

 長くなりましたがもう一つ、中古車輸出の御意見も頂いております。15年前の審議会のときにもこの点については大変な御議論があったというふうに承知をしております。確かに輸出をされる事業者さんが直前に購入されて、それほど長く置かない形で輸出をされる、そのときにリサイクル料金が利息丸ごと返ってくるという点についての御指摘ということかと思います。当時もこの点については本当にいろいろと議論があったというふうに承知をしております。

 ただ、事務局といたしまして、これはまたいろいろな御意見を頂く可能性もあるので難しい話だと思いますが、当然輸出業者さんも買取りに当たってどこかから買い付けるときにはリサイクル料金を御負担して、すなわち国内で乗ることもあり得ますので、リサイクル料金を御負担されて一定の金額を払って仕入れていらっしゃるという状況だと思います。したがって、払っているものについて輸出業者のところだけを切る、払わなくていいという整理については、相当法律的な点について深い検討をなさねばならないと。それから、預託金制度であるということ、それから、自リ法の中では料金を承継している、みなし承継という規定も置かれていて、これは一連の、新車時に徴収してから適切に最後に処理をするための料金をつなぐという概念でできているルールでございます。こういったところにも全て響いてくるということでございますので、実情としてどうなのかという御疑問については理解はいたしますが、慎重に検討しなければならない問題ではないかと思っております。

 いずれにしても、多くの御意見を頂いたということは事実でございますので、この審議会の中で結論めいたことを申し上げられるかどうかは何とも申し上げかねますが、課題の一つとして引き続き考えていかなければならないことだというふうに承知をしているところでございます。

 事務局からは以上でございます。環境省から引き続きありましたらよろしくお願いいたします。

○福井リサイクル推進室室長補佐  委員の皆様方におかれましては貴重な御意見を賜りましてありがとうございます。

 事務局からのお答えとしては、今経済産業省さんにお答えしていただいたとおりと同様の認識でございまして、こちらのほうからの補足としましては、先ほど藤岡室長にもお答えいただきましたけれども、自車充当方式か他車充当方式かの意見のポイント一つとして、特に実際の自動車の販売ですとか、自動車リサイクルの制度が大きく変わる中で、カーボンニュートラルも見据えて、制度的に柔軟に、使途も含めて対応したほうがいいのではないかといった御議論があったかと思います。

 そうした点については非常に重要なポイントだというふうには思っておりまして、私どもは今回の自動車リサイクル制度の見直しの論点の一つとしまして次世代自動車への対応というものも論点として入れておりますので、議論の中身としては、自車充当方式か他車充当方式かという点よりは、次回以降の論点整理をする中で、実際の自動車への対応という中で、特にカーボンニュートラルへの対応をどうすべきかと、今後の大きな議論の中で引き続き委員の皆様方からいろいろな御意見を頂いて、この制度そのものがどうあるべきかという大きな観点から引き続き課題について把握をして議論をしていければと思っております。

 私からの補足としては以上になります。

○村上座長  どうもありがとうございました。それでは最後に行く前に、鬼沢委員から何か確認されたいことがあるということですので、手短にお願いできますか。

○鬼沢委員  申し訳ありません。今、事務局の藤岡さんの御説明でよくわかりましたので結構です。ありがとうございます。

○村上座長  わかりました。どうもありがとうございます。

 それではもう最後が迫ってきておりますので、最後に中環審酒井座長のほうから御意見を頂ければと思います。酒井先生、よろしいでしょうか。

○酒井座長  村上座長、どうもありがとうございます。今日は料金制度を中心に活発に議論された内容を十分に聞かせていただきました。一つの論点、他車充当方式を現時点で再度考えるかどうかというところに関しては、最後の藤岡室長の整理、そしてそれに同意見であるという環境省の見解というところで、ほぼ整理がつきつつあるかという気はしておりますが、何より制度の当初から関わっておられた細田先生からの今日の御発言というのは極めて重いものがあったと認識しております。

 そういう意味では、賛否両論のそれぞれの論拠は十分に認識をしながら、整理として今回の報告にまとめていくことができればありがたいと思っております。

 それからもう一つの料金制度の論点でございましたJARCへの自工会の自主的な拠出を終了させることに関しては留保付きで進めたいという事務局提案、ほぼ反対の御意見もなかったので、この点に関しては、今日ほぼ合意できたのではないかと認識しております。システムの当初の運用ということでの貢献を、約15年間果たしてきていただいたことに関しては深く感謝申し上げなければならないだろうと思っています。

 それから、今日の議論の中で自工会の嶋村委員からの御発言、2050年のカーボンニュートラルに向けての検討の必要性ということの端緒に触れられました。また、赤穂委員からもその趣旨の意見は拝聴させていただきました。この10月末に菅首相が宣言された方向性というのは、この分野にとっても極めて重いものがあろうかと思っております。現時点でもグリーンイノベーション戦略会議のほうで議論を深められている段階と聞いておりますし、また、今後様々な検討がなされていくという話になろうと思います。

 恐らく自動車分野というのは、製品ということ自体も非常に大きな関心を呼ぶものであるかと思いますが、再資源化分野においても極めて大きな課題であろうというふうに認識をしております。まだリサイクル制度の3品目対象と言っている中の冷媒一つにいたしましても、また、ASRということでのプラスチック素材が混在した中での組成といったところをどう考えるということを含めて、様々なことを今後考えていかねばならないだろうと思います。

 それには相当の時間も、それから相当の知見も必要になるということでしょうが、今回の検討は、ちょうどその最中にこういう大きな課題を背負っているという認識でおります。今回の報告をまとめる時期に向けて、この課題についても一定の議論をぜひさせていただきたい、共に考えさせていただきたいと思っております。

 特に中心的な役割を担ってもらっている自動車メーカーの方々には、この問題に関しての今後の考え方、少なくとも基本的なベクトルの方向性だけでも何とかまとめることができないか、そういうことでの知見の提供をぜひお願いをしたいと思っておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 今日聞かせていただいた中環審の座長からとしての見解ということで述べさせていただきます。村上先生、どうもありがとうございました。

○村上座長  どうもありがとうございました。私からも少しだけ整理させていただきますが、既に酒井先生におまとめいただいたとおりだと思っております。まず、他車充当と自車充当の話ですが、整理は基本的にはついたようにも聞こえますが、非常にいろいろな思いを持った方のきちんと根拠を持った議論をたくさん頂きましたので、基本的にはそれをきちんと整理していって最後の取りまとめにつなげていくようにしたいと思っております。もし必要な議論があるとすれば、両座長共に事務局と一緒に考えて進めていくということで進めさせていただければと思います。

 また、自工会さんからの提案については、おおむね御異論ないということですので、そのままという方向ではないかと考えております。

 そのほか、いろいろな議論がありました。最後に酒井先生におっしゃっていただいたことを繰り返しませんが、やはりかなり大きな課題がこのタイミングでたくさん出てきていると理解しておりますので、そのあたりの整理も引き続きやらせていただければと思っておりますし、必要な議論はまた引き続き審議会の中でさせていただければよいと考えております。

 それでは本日は大変有意義な御意見をたくさん頂きました。最後に事務局から議事の取扱い等についての説明をお願いいたします。

○三牧自動車課課長補佐  本日はお忙しいところ、闊達な議論及び円滑な進行に御協力を頂きまして誠にありがとうございました。

 本日の資料につきましては既にウェブサイトにて公開させていただいております。

 また、本日の議事録についても、後日、各委員に御確認を頂いた上でウェブサイトに公開させていただきますので御了承いただければと思います。

 年内の審議会は本日をもって終了となります。大変お世話になりました。年明け後、次回の審議会は来年の2月22日を予定しております。議題としては、これまでの審議会での議論を踏まえて、取りまとめに向けて改めて全体の論点整理をするという形で考えております。詳細は追って事務局より御連絡させていただきますのでよろしくお願いできればと思います。

○村上座長  どうもありがとうございました。それでは本日の会議はこれにて終了とさせていただきたいと思います。年末のお忙しいところ、お集まりを頂きましてありがとうございました。また、今年はいろいろなことがございまして、皆さん御苦労が絶えなかったかと思いますが、どうぞよいお年をお迎えいただければと思います。

 それでは誠に活発な議論を頂きましてどうもありがとうございました。これにて終了とさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。