中央環境審議会循環型社会部会(第24回)議事録

日時

平成29年12月1日(金) 14:00~16:00

場所

大手町サンスカイルームA室(東京都千代田区大手町2丁目6番1号 朝日生命大手町ビル27階)

議題

(1)次期循環基本計画(案)の中長期的な方向性等について

(2)その他

議事録

午後2時02分 開会

○総務課長 それでは、若干時間が過ぎまして恐縮でございます。ただいまから中央環境審議会循環型社会部会を開催いたします。

 委員の皆様方におかれましては、御多忙中にもかかわらず御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。進行役を務めます総務課長の和田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 なお、本日は委員総数25名のところ13名の委員の方に御出席をいただいておりまして、部会として成立しておりますことをあらかじめ御報告いたします。

 本日、山田委員の説明員として一般社団法人日本経済団体連合会環境エネルギー本部長、池田三知子様に御出席をいただいておりますので、御承知おきをいただければと思います。池田様、本日はどうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、事務局を代表いたしまして、環境再生・資源循環局長の縄田より御挨拶申し上げます。

○環境再生・資源循環局長 環境再生・資源循環局長でございます。

 委員の皆様方には、本日御多忙の中御出席賜りまして、誠にありがとうございます。

 これまで当部会で御審議、御議論いただいておりました次期循環基本計画の策定のための具体的指針、これにつきましては、去る10月2日に環境大臣のほうに意見具申をいただきました。これを受けまして、10月18日に環境大臣から新たな循環基本計画がいかにあるべきかということで中央環境審議会に対して諮問させていただいているところでございます。

 本日は、特にこの中長期的な方向性等について議論を深めていただきたいというふうに考えております。本日も忌憚のない御意見をどうぞよろしくお願いいたします。

○総務課長 続きまして、お手元の資料の確認でございます。お手元のタブレット端末をご覧いただければと思います。

 資料一覧にありますように、資料につきましては資料1がございます。また、参考資料については1から6まででございます。もしタブレット端末の関連で不具合などございましたら、念のため紙媒体も何部か用意してございますので、事務方のほうにお申しつけいただければと思います。

 また、委員の皆様の机上には現行の循環基本計画を配付させていただいております。必要に応じて御参照いただければと思います。こちらは会議が終了しましたら回収させていただければと思います。不足がございましたら、お知らせいただければと思います。

 それでは、以降の進行につきましては、酒井部会長にお願いしたいと思います。酒井部会長、何とぞよろしくお願いいたします。

○酒井部会長 どうも承りました。それでは、早速議事に入らせていただきたいと思います。

 本日の議題といたしまして、次期循環基本計画(案)の中長期的な方向性等について、を用意いただいております。前回の部会におきまして指針に即して次期環境基本計画の案を検討いただくようお願いしておりました。まずは事務局より資料についての御説明をよろしくお願いいたします。

○リサイクル推進室長(循環型社会推進室長併任) 循環室長の小笠原でございます。

 資料1をお開きいただければと思います。

 これまで指針について意見具申をいただいたわけでございますけれども、指針を踏まえまして、循環計画本体の前半部分を事務局として作成いたしました。この部分について本日は御議論を願えればというふうに思います。

 2ページほど繰りますと目次が出てきますので、目次をご覧いただければと思います。

 今回作成をしましたのは、目次でいきますと、今後懸念される課題と近年の対応という1ポツのところ、それから、2ポツの循環型社会形成に向けた取組の中長期的な方向性というこの1ポツと2ポツの部分でございます。ちょっと指針と変わった部分が1点ございまして、2ポツで2.1、2.2とずっと並んでおりますけれども、これまで今は2.6として並んでおります適正な国際資源循環体制の構築と循環産業の海外展開の推進、これにつきましては、今までライフサイクル全体での徹底的な資源循環、2.3の後に入っていたわけでございますけれども、国内で地域循環圏、ライフサイクル、適正処理、災害廃棄物対策をした後で国際の話をしたほうが整理がよかろうということで、国内の話をした後、2.6という位置で国際資源循環について入れさせていただいているところを指針からちょっと事務局の提示として変更させていただいております。

 それから、3ポツ以降です。3ポツの数値目標、指標数値目標、それから、次のページにいきまして、4ポツの各主体の連携とそれぞれに期待される役割、5ポツの国の取組、それから、6の計画の効果的実施につきましては、次回の部会で御審議いただければというふうに思います。

 そうしましたら、目次の次の1ページをご覧いただければと思います。

 1ページからは今後懸念される課題と近年の対応ということで、今回の循環計画の背景としての課題認識を述べた部分でございます。

 まず、1.1といたしまして不確実性を増す世界と国際協調の進展でございます。大量生産・大量消費社会が世界に広がりつつあって、人口増加や都市化が進行する中で、依然として経済成長から取り残されている人々がいると。こういった状況は循環型社会という観点から見ますと、人口増加や経済成長により、今後資源制約が強まることが予想される。それから、資源価格の高騰、それから、資源の採掘等に伴う環境破壊であるとか資源確保をめぐる紛争の発生などの課題が生ずることが懸念されることでございます。

 それから、そういった経済発展に伴って途上国を中心に資源消費や廃棄物・有害物質の排出量の増大というのも懸念される。それから、海洋ごみですね、海洋中のマイクロプラスチックによる生態系への悪影響も懸念される、こういった経済成長に伴う環境問題が生じていると。このような状況を踏まえて、2015年の国連サミットにおいては、いわゆるSDGsが定められたと。それから、温暖化の分野ではパリ協定がこれも2015年採択されて、世界全体の枠組みができ上がったと。

 2ページのほうにいきまして、資源循環の分野での対応といたしましては、2016年のG7の富山環境大臣会合において富山物質循環フレームワークが採択されて、資源効率性の向上とかに関するG7の共通ビジョンというのを掲げようといったことが合意をされております。それから、2017年5月のG7ボローニャ環境大臣会合においても、ボローニャ・5カ年ロードマップが採択されて、資源効率性等についての合意がなされております。それから、2017年7月のハンブルクサミットにおいて、資源効率性及び海洋ごみがG20で初めて取り上げられたというところでございます。

 このように新興国を中心とする急激な人口増加、経済成長等によりさまざまな課題が生じて世界は不安定化しておりますが、その中で持続可能な社会を目指した国際協調の取組が進められている、こういう時代認識、状況認識でございます。

 それから、国内に目を向けて、1.2は我が国における人口減少・少子高齢化の進展と地域の衰退ということで、3ページをご覧いただきまして、国内においては人口が減少する一方で、高齢化率は上昇を続けていて、2060年には2.5人に1人が65歳以上になると推計をされていると。これも循環型社会への影響という観点からは、3Rの推進により1人当たりの廃棄物の発生量が減少することに加えて、人口減少によって廃棄物の発生量は今後減少していくことが見込まれると。一方で廃棄物処理や資源循環の担い手が不足するとか、今度は再生した資源のリサイクル先の不足といった課題が生ずることが懸念をされると。それから、地域住民の共同体としての機能の低下や高齢化によってごみステーションの運営とか集団回収の実施の困難な地域の増加、それから、ごみ出しが困難となる高齢者の増加、それから、ごみ屋敷の増加といった生活ごみをめぐる課題が増えてくることも懸念されているという状況の認識でございます。

 それから、1.3ですが、日本経済の長期停滞と第四次産業革命ということで経済をめぐる状況ですけれども、我が国経済はバブル崩壊以降、失われた20年とも呼ばれるほど長期停滞していると。4ページのほうにいきまして、この循環型社会への影響という観点からは、日本経済が長期停滞する一方で、循環基本法成立の2000年からの10年間では、国の資源生産性は大きく向上していると。ただ、それ以降、天然資源投入量は横ばいとなって、資源生産性は停滞をしている。このような日本経済の長期停滞を打破して、より少ない資源で中長期的な成長を実現する鍵となるのが第四次産業革命と呼ばれるIoTとかを使った経済社会のイノベーションであると。この辺りも政府全体としていろんな議論がされていますけれども、第5期の科学技術基本計画においては、未来社会の姿としてSociety5.0という概念を提唱して、第四次産業革命のイノベーションをあらゆる産業や社会生活に取り入れることによって、さまざまな社会課題を解決するSociety5.0を実現するということを提唱がされています。このSociety5.0というのは、先端技術をあらゆる産業や社会生活に取り入れて、必要なモノ・サービスを必要な人に、必要なときに必要なだけ提供することによって、さまざまな社会課題を解決する試みであるとされております。

 こういった価値の源泉がモノ・カネからヒト・データに移っていくと、より少ない資源でより大きな豊かさを生み出すこと、すなわち資源生産性を向上することができるのではないか、そういったことが循環型社会の形成にもプラスになるのではないかということを述べております。

 5ページのほうにいきまして、こういった先駆的な動きは国内外で始まっていて、モノの生産・消費からコトの生産・消費に移りつつあるであるとか、シェアリングサービスであるとか、それから、IoT技術等を駆使して、売り切りでなくメンテナンスとかも含めたモノが生み出す機能を継続的に提供するそういったビジネスモデルが生まれているといったことに言及をしております。

 1.4の我が国の循環型社会形成の進展と近年の停滞というところですけれども、我が国においては、いろいろ市民の取組、地域における取組、それから、企業における取組、それから、国におけるような制度づくりとかによって、2000年から10年で循環型社会の形成は大きく進展をしていると。例えば物質フロー指標でいきますと、資源生産性が約5割向上、循環利用率が約5ポイント向上、最終処分量が7割減少など進展をしているところでございます。それから、不法投棄の判明件数も大幅に減少している、それから、有害の廃棄物についても必要な法制度の整備等によりまして適正な管理・処理が進んでいると。しかしながら、近年は資源生産性、循環利用率、最終処分場はいずれも横ばいとなっていると。それから、不法投棄や不適正処理も撲滅には至っていない。それから、2016年には食品リサイクル法に基づく登録事業者が廃棄物を食品として不正に転売するという事案も発生をしている。それから、アスベスト、PCBといったPOPs廃棄物であるとか有害廃棄物について適正な処理・管理を必要とするものが残されている、そういう認識でございます。

 続きまして、6ページのほうにいきまして、1.5でございますが、原発事故による放射性物質に汚染された国土の再生と復興でございます。

 2017年3月末までに帰還困難区域を除く避難指示区域において面的除染が全て完了して、4月までに大熊町、双葉町を除いて全ての避難地域の避難指示が解除されるという大きな節目を迎えたところでございます。それから、福島県内の除染で発生した除去土壌につきましては、中間貯蔵施設の事業が進められておりまして、用地の確保であるとか敷設の整備、除去土壌の輸送等が進められておって、今年の10月には除去土壌の貯蔵も開始をされているところでございます。

 それから、指定廃棄物につきましては、今一次保管されているものについて長期にわたる確実な管理体制を早期に構築する必要があります。福島県内においては、特定廃棄物の埋立処分施設について今年の11月に搬入を開始したところでございます。

 7ページの上の辺りでございますが、福島県外の指定廃棄物については、宮城、栃木、千葉においては各県の実情に応じた処理方針を検討中であるとともに、茨城、群馬については現地保管を継続・段階的に処理を進めていくという方針が決定されているところでございます。

 1.6の大規模災害の頻発と対策の遅れでございます。

 我が国においては、2011年の東日本大震災以降も毎年のように大規模な災害が発生をしております。今後、首都直下地震や南海トラフ巨大地震など激甚な被害をもたらす災害の発生が懸念されているところでございます。このような状況に対して、国土強靱化基本法に基づく国土強靱化基本計画において、起きてはならない最悪の事態の一つとして、大量に発生する災害廃棄物の処理の停滞による復旧・復興が大幅に遅れる事態というふうに書かれているところでございます。これらの対応として環境省では、自治体の取組を加速化するためのモデル事業の実施であるとか、地方環境事務所を事務局とするブロック協議会の設置、指針やマニュアル等の整備を進めてきたところでございます。

 1.7の市民の意識の変化でございます。

 8ページのほうにいっていただきまして、真ん中辺りですけれども、社会貢献の意識や自然環境保護活動の意欲は2009年ごろまでは増加傾向にあったけれども、近年は減少傾向が見られると。循環型社会に関する市民の意識については、ごみ問題の関心がある人、ごみを少なくする配慮をしている人、環境に優しい製品の購入を心がけている人は、2007年には概ね8割以上だったんですけれども、その後は減少傾向にあって、2016年には6割から8割程度となっていると。それから、具体的な3R行動の実施率についても、ごみの分別、詰めかえ製品の使用等を6割を超える市民が行っていただいている3R活動がある一方で、使い捨て製品や無駄なものを買わないであるとか、リユース品の購入などを行う市民は2割以下という状況が続いているところでございます。

 それから、1.8の資源循環及び適正処理の担い手の確保のところで、先ほど申しました人口減少に伴って人材の確保、育成、技術の向上等の必要性が高まっております。

 9ページにいきまして、この流れで一般廃棄物の処理においては適正な資源循環及び処理を進めるためには、行政内他部局、他の主体との連携を図ることが必要であると。産業廃棄物の処理においては、依然として悪貨が良貨を駆逐する競争環境からの脱却が進んでいるとは言えず、適正な処理の実施に加えて、資源循環の高度化や低炭素等に取り組む優良な産廃処理業者が十分に評価されて、安定した経営基盤を確立するとともに、排出事業者責任の徹底をするということ、それから、産廃処理業者と排出事業者の間のよきパートナーシップを構築しているということも重要になるといったことを書いております。

 続きまして、本日の議論の中心になるかと思いますが、循環型社会形成に向けた取組の中長期的な方向性でございます。これは現行の循環基本計画にもこういったパートは書かれておるわけですけれども、今回特に指針において将来の姿を描いた上でバックキャスティング的に検討すると書かれたことを踏まえて、記述を大幅に充実しております。バックキャスティング的に中長期的な社会の姿を記載するものでございます。

 この部分としては、循環型社会を形成するためには、持続可能な社会の実現を見据え、循環型社会に至る中長期的な方向性を各主体が共有した上で、相互に連携・協働しながら自らの役割を果たしていくことが必要不可欠となる。このような各主体の取組が着実に推進されることにより、次のような循環型社会の形成を目指すということで、以下、中長期的にどのような循環型社会の姿を目指すかということを記載しております。基本的に背景・課題と将来像、それから、具体例というそういったふうに分けて記載をしております。

 まず、2.1の持続可能な社会づくりとの統合的取組という部分でございます。

 背景・課題としては、大量生産・大量消費型の社会を構築していく過程でさまざまな問題が生じて、人類の将来の生存基盤を脅かしつつあると。10ページのほうにいきまして、それによって自然破壊であるとか環境汚染とか気候変動とか、そういった問題が起きていると。我々は大量生産・大量消費社会を全世界に広げる道をとることはできない。将来像といたしましては、我々がとるべき道は、大量生産・大量消費型の技術・システム・制度から、できるだけ少ない資源で全ての人が必要とする食料やものを生産し大切に利用することで豊かさを生み出せるような技術・システム・制度、すなわち資源生産性の高い循環型社会を構築して世界に広げることであると。これによって、環境への負荷が地球の環境容量内に抑制されて、現在及び将来の世代の健康で安全な生活と豊かな生態系が確保された世界を目指す道であると。

 このような道を目指すために、環境側面、経済側面、社会的側面が統合的に向上されているような世界、このような環境政策を展開することで、この2.2以下で具体的に示しているような循環型社会の姿が実現されているような、そういう世界を目指すというふうに記載をしております。

 2.2は地域循環圏形成による地域活性化という視点で書いております。

 11ページにいきまして、この地域循環圏絡みの背景・課題でございますが、各地域の特性に応じて循環資源が地域で循環可能なものはなるべく地域で循環、それから、地域の循環が困難なものについては循環の環を広域化させるなど、各地域・各資源に応じた最適な規模での循環が重要であるということ。ページの下のほうの将来像といたしましては、こういった地域循環圏を形成していくためには、地域住民、事業者、いろんな主体の連携が必要であって、さまざまな主体が連携することで地域の共同体を再生して、共同体としての機能の低下や高齢化により生ずる課題の同時解決も目指すという将来像、それから、下のほうで災害に脆弱な地域において、人口減少に伴って災害に脆弱な地域については、無秩序な開発は避けて、自然を復元・再生していくと。災害に強い地域において、コンパクトで強靱なまちづくりを行うということによって、12ページのほうにいきますけれども、災害時の災害廃棄物発生量の低減であるとか防災インフラの整備であるとか自然環境の保全とかコンパクトなまちづくりといった取組を統合的に進めることを目指すというふうにしております。

 12ページのこの地域循環圏の具体例としては、例えば農山漁村においては、バイオマス系の循環資源を飼料等に利用して、これらを利用して生産された農林水産物が地域内で消費されるという地産地消の循環が形成されて、こういった循環によって地域内の資源循環が生まれて地域の活性化につながっていると。それから、農山漁村が都市と近接している場合には、都市部から安定的に一定量が排出されるバイオマス系資源が農村部において利用されて、それがまた都市部において消費されるという都市と農山漁村の循環が形成されている。それから、都市部においてもバイオマス系資源もそうですけれども、プラスチックとか金属系の廃棄物についても、動脈産業やエコタウン、リサイクルポート等のインフラを活用して広域的な循環が形成をされているといった形で、タイプ別に地域循環圏の姿を描いております。

 続きまして、2.3のライフサイクル全体での徹底的な資源循環でございます。

 ここは背景・課題のところで2つ目のパラでございますが、資源の循環と生態系の微妙な均衡を遠い将来にわたって維持し続けることができる究極的な経済社会の物質フローというのを引用しております。これはハーマン・デイリーの3条件というふうに、ハーマン・デイリーという世銀の元チーフエコノミストの方が提唱している概念ですが、今すぐにというものではないですけれども、究極的に持続可能性であるためにはこういう条件が必要だよと、そういう3条件として、木材などの再生可能資源については、1つ目として自然の中で再生されるペースを上回らないペースで利用する必要がある。それから、再生不可能な資源については、枯渇する前にかわりの再生可能資源が開発されるペースを上回らないペースで利用する必要がある。それから、自然の循環や生態系の微妙な均衡を損ねる物質については、自然が吸収し無害化するペースを上回らないペースで自然界に排出する必要があるというものを引用しております。

 将来像でございますが、モノ・カネを付加価値を生み出す競争力の源泉として、今までそういった旧来の経済システムから脱却する必要があると。第四次産業革命によるイノベーションをあらゆる産業や社会生活に取り入れて、経済全体を量から質へ転換し、ヒト・データを価値の源泉とし、必要なモノ・サービスを必要な人に必要なときに必要なだけ提供するといったことで、現在の経済社会の物質フローをライフサイクル全体で徹底的に資源循環を行うフローに最適化することを目指すというふうにしております。

 14ページにいきまして、その具体例として、必要な人、生活者が必要なモノ・サービスをいつどれだけ必要としているかという説明者側の視点から各段階が最適化されている、そういう姿を描いております。この生活者側の視点からということで、あえて使用段階から、普通は上流側から記載する場合が多いと思いますけれども、あえて使用段階のニーズに沿って最適化されているということから使用段階から記載をしております。そういうわけで、まず使用段階の最適化ですけれども、個々の生活者が充実した生活を送るためのサービスができるだけ少ないモノを用いて、できるだけ少ないエネルギー消費・環境負荷で必要なときに必要なだけ提供されていると。そのためにそれに適したサービス、売り切るサービスではなく、最小限のものを提供し長期間サービスに必要な機能が発揮できるよう点検・修繕等を行うそういったビジネスモデルが広がっているという姿を描いております。

 それから、流通段階の最適化としては、生活者が必要なモノ・サービスをできるだけ少ないエネルギー消費・環境負荷で必要なときに必要なだけ受け取れるよう無駄のない流通インフラが整っているという姿。

 それから、生産段階の最適化といたしましては、ライフサイクル全体で天然資源消費・エネルギー消費・環境負荷ができるだけ少ないものを生活者が享受するためのサービスのために必要なものが必要なときに必要なだけ生産されているという姿。それから、資源確保段階についても、まず循環資源、再生可能資源の割合をできる限り高めることで天然資源の利用や有害物質の利用を抑制されている。天然資源を利用される場合も、可能な限り環境負荷が低減されているという姿を書いております。

 それから、15ページのほうにいきまして、ライフサイクル全体の最適化ということで、こういった取組が全体的にも統合されて、各主体が連携してライフサイクル全体の最適化が図られているということ、そういうときに生産者と消費者をつなぐ流通小売業者が大事な役割を果たすのではないかということ、それから、資源循環に関する情報が適切に共有されているということ、それから、廃棄段階の最適化のところは、各段階で不要となったものが技術的及び経済的に可能な範囲で再利用し、再利用できないもので再資源化可能なものは再資源化され、再資源化できないものでエネルギー回収できるものはエネルギー回収し、それもできないもののみ減量化等の中間処理を行った上で最終処分されていると。これは循環基本法に基づく優先順位を改めて記載しております。

 特に以下に示すような素材等については、重点的に徹底した資源循環が行われているということで、重点的なものとして挙げている一つとして、まずプラスチックでございますが、まず排出抑制が最大限図られる、リユースも推進されている、それから、使用済みのものについては、海洋等に流出してマイクロプラスチック化することなく適正に排出されて、質の高い再生利用が行われるとともに、再生材は市場で高く評価されて、高く売却されて繰り返し循環利用がされている。それから、バイオマス由来のプラスチックの使用が進むとともに、分解が望ましい用途については、生分解性のプラスチックが使用されている。

 16ページのほうにいきまして、バイオマスについても、肥料やエネルギー等に徹底的に活用されているということ、それから、セルロースナノファイバーなどの高付加価値な化成品が生産をされている。それから、食品ロスについてもその削減に徹底的に取り組まれている。

 それから、ベースメタルやレアメタル等でございますが、小型家電を初め、金属を含有するあらゆる製品等からの金属回収が徹底されて都市鉱山が最大限活用されている。それから、電池についても適正なリユース・リサイクル・処分が進んでいる。鉄鋼スラグ等の産業副産物についても、可能な限り有効利用が図られている。

 それから、土石・建設材料については、セメントについて混合セメントの利用がより一層拡大するとともに、各過程で有用金属の回収が進んでいる。それから、住宅についても長寿命化等が図られるとともに、建設廃棄物や建設副産物の発生抑制が図られている。それから、建築物の解体に当たっては、分別解体等と再資源化等が徹底されている。

 それから、温暖化対策等に新たに普及した製品や素材でございますが、17ページのほうにいきまして、太陽光発電設備については適正なリユース・リサイクル・処分が確実に行われている。それから、リチウムイオン電池、炭素繊維強化プラスチック等についても適正なリユース・リサイクル・処分のためのシステムが構築されている。

 続きまして、2.4の適正処理のさらなる推進と環境再生でございます。

 将来像としては、廃棄物を適正に処理するためのシステム、体制、技術が適切に整備されている。特に産業廃棄物においては、健全な競争環境が確立した社会を目指すと。

 具体例としては、一般廃棄物でいうと、高齢化世帯を対象とした廃棄物収集運搬システムの設計の促進であるとか、処理工程におけるIoT等の活用等によって、社会の変化に応じた処理システムの構築が進んでいる。

 それから、18ページにいきまして、一般廃棄物の処理の中核をなす処理施設の整備については、これもIT技術を活用した高度化、集約等によって効率的に処理が行われるとともに、地域のエネルギーセンターとしての役割を担うと。それから、最終処分量も一層の削減が進むとともに、それでもなお最終処分が必要な廃棄物を処理するために必要な最終処分場が適切に確保されていると。産業廃棄物については、排出事業者責任の徹底、それから、監視体制の構築等により不法投棄や不適正処理が見られなくなっている。それから、循環分野における環境産業全体の健全化及び振興が進んでいる。

 それから、アスベストとかPCB等のPOPs廃棄物、それから、埋設農薬、水銀廃棄物等について適切に管理、処理が行われている。

 それから、2.4.2の廃棄物等に関する環境再生でございます。

 19ページのほうにいきまして、マイクロプラスチックを含む海洋ごみについて発生抑制、回収処理、海洋中の文賦生態系への影響等の実態把握が推進されている。それから、過去に不法投棄や不適正処理が行われた土地については、支障の除去の取組が着実に進められているといった姿を書いております。

 2.4.3の東日本大震災からの環境再生につきましては、放射性物質により汚染された廃棄物の適正処理及び除去土壌の減容・再生利用などを地方公共団体の関係者と連携しつつ、政府一体となって着実に進め、被災地の環境再生を目指すと。それから、廃棄物処理施設の熱電利用や省エネCO型リサイクルの高度化など資源循環を通じた被災地の復興を未来志向で進めていくとともに、地域循環共生圏を被災地で構築して地域を活性化させることを目指すといった将来像を書いております。

 それから、20ページにいきまして、万全な災害廃棄物処理体制の構築ということで、これは将来像として自治体レベル、ブロックレベル、それから、全国レベルで重層的に廃棄物処理施設の強靱化を図って、災害時に自治体を中心に災害の規模に応じて的確に対応できる社会を目指すということで、まず、2.5.1の自治体レベルでございますが、まず、市町村自らが率先して市町村レベルの災害対応力を向上せる努力を継続していると。災害発生時には市町村中心に対応をしていくと。ただし、市町村レベルで対応できない可能性があるときには、躊躇することなく都道府県、環境省等に支援を要請すると。都道府県自らも率先して災害対応力を向上する努力をするとともに、都道府県レベルで対応できるものについては都道府県を中心として対応していくと。

 それから、地域レベルとしては、地方環境事務所が中心となってブロックレベルの災害対応力を向上させる努力を継続している。

 それから、21ページの全国レベルでございますが、環境省はいろんな指針の整備であるとかD.Waste-Netであるとかといったもので全国レベルの支援体制の構築であるとかを通じて、全国レベルの災害対応力を向上させる努力をこれまで継続しているところでございますが、大規模災害発生時には環境省が中心となって現地支援チームの派遣であるとか、広域派遣の調整、それから、財政支援等を早急に実施して的確に全国レベルで対応する必要がある災害について、災害廃棄物を適正かつ迅速に処理できるようになっているという姿を描いております。

 続きまして、22ページの適正な国際資源循環体制の構築と循環産業の海外展開の推進でございます。

 これは具体例といたしまして、22ページの下のところですけれども、まず、適正な国際資源循環体制の構築ということで、我が国が資源効率性や3Rの推進、廃棄物の適正な輸出入に関する国際的な取組をリードするとともに、我が国からの廃棄物の不適正輸出を防止し、適正処理能力を有しない国からの適正な輸入を促進することで、適正な国際資源循環体制が構築されているという姿を描いております。

 続いて23ページにいきまして、2.6.2の今度は我が国の循環産業の海外展開の推進ということで、資源循環に関する我が国のすぐれた制度・システム・技術などをパッケージとして海外展開することで、途上国における循環型社会の形成に貢献し、途上国の生活環境が改善され、世界の資源制約が緩和されているという姿を描いております。

 最後に2.7でございますが、循環分野における基盤整備でございます。

 24ページのほうにいっていただきまして、2.7.1で循環分野における情報の整備ということで、環境に配慮した消費を行うための情報が生活者にわかりやすく提供されている。それから、適正なリサイクルを進めるために必要な情報が関連事業者や生活者間で共有されている。それから、天然資源や廃棄物に関する物質のフローとかストックを把握、評価するための情報が研究機関や行政機関によって収集されているといった姿を描いております。

 それから、2.7.2で循環分野における技術開発、最新技術の活用と対応で25ページのほうにいきまして、IT等の最新技術を活用して技術開発が進められていること、それから、IT等の技術力を生かしたイノベーションにより我が国の国際的な競争力が発揮されているということ、ライフサイクル全体で徹底した資源循環を図るための仕組みや技術が整えられているという姿を描いております。

 それから、2.7.3の人材育成、普及啓発でございますが、これまでに示した社会の実現のために必要な人材が育って、循環型社会の形成に向けて活躍しているということ、全ての人が自らの生き方に合った多様なやり方で環境に配慮したライフスタイルを気軽に楽しむことができているといった姿を描いております。

 以上、雑駁でございますが、全体の概要でございます。

○酒井部会長 どうも御説明ありがとうございました。

 それでは、ただいまの御説明につきまして御質問、御意見を承りたいと思います。いつものように御意見、御質問のある方は名札を立てていただければと思います。恐らくはほとんどの方から本日は御意見があろうかと思いますので、順番にお聞きしてまいりたいと思います。

 では、大迫委員のほうからお願いをいたしましょうか。よろしくお願いします。

○大迫委員 ありがとうございます。

 18ページのところで、適正処理のさらなる推進と環境再生のところの具体例の記載の部分です。18ページの上のほうの辺りから一般廃棄物処理施設の今後のあり方が書かれてありまして、そこでこのエネルギーの活用等を含めて地域の活性化に貢献するというところがございます。そこに長年、私も廃棄物の分野を研究しておりますと、施設がどうしても迷惑施設とか忌避施設というイメージを払拭できないところがあると思いますので、やはり住民との合意形成というのは、古くてまだまだ今後も課題のあるところなので、ここに何か地域に積極的に受け入れられるような地域のインフラになっていくみたいな、そういう施設のあり方論として記載があってもいいんじゃないかというふうに思いました。これが1点目です。

 それから、ちょっとここは難しい問題なのかもしれませんが、19ページの東日本大震災からの環境再生のところで、現在描けている中間貯蔵、県外最終処分に向けての減容・再生利用というところの記載があるわけですけれども、この「など」というところに県外最終処分ということを環境省としてはどうしていくかということもある意味含まれていると理解をしているということ、これはコメントで結構です。

 それから、20ページから21ページにかけてこの災害廃棄物処理体制の構築の自治体レベルでの災害廃棄物対策の加速化のところなんですが、全体的に行政あるいはそれに関わっている主体の中で、いろんな団体とかそういったところの取組の方向性を示す記載がしっかり書かれてあると思っています。1つちょっと書いていないかなと思ったのが、やはり住民に対する記載ですね。やはり最初の初動期ということが分別して持ってきていただくということは、住民協力があっての初動の円滑な処理が求められますので、やはり日ごろから、この最後の辺りでいいと思うんですけれども、この「自治体レベルの」というところの記載の辺りに災害廃棄物に対しての地域住民の理解とか、あるいは自治体への信頼感の醸成を図って、今後高齢化が進むような脆弱な地域であっても、災害に強い地域社会づくりが構築されている、つくられているというような、そういった内容はぜひ必要かなというふうに思います。

 以上です。

○酒井部会長 ありがとうございます。一通りお聞きしたいと思います。

 大塚委員、お願いいたします。

○大塚委員 3点ほど申し上げたいと思いますが、全体としては大変力強いものになってきているかなと思って、環境省の方に敬意を表したいと思いますが、1つは14ページのところで最適化という話が出てきて、各段階で生活者の視点から最適化するという話が出てくるんですけれども、最適化というのは結構便利な言葉だと思うんですけれども、具体的に何を目指しているかとちょっとわかりにくいところもあるので、さらにこの最適化をするためにどうやっていくかということに関しては、多分あまり書いていないような感じがいたしますので、ちょっと無理を言って申し訳ないんですけれども、もうちょっと踏み込めないかな、深掘りができないかなということがもしできればですが、ちょっと何か無理を、基本的に評価していますので、ちょっとできない注文をしているのかもしれませんが、多分読者のほうはさーっと読んでしまえばいいんですけれども、具体的にどんなことが最適化なのかなというのをちょっと気になる人がいるかなという気はするので、ちょっと無理かもしれませんが、申し上げておきたいと思います。拡大生産者責任のこともここに書いていただいていて大変結構だと思いますけれども、1つはそれでございます。

 それから、2つ目ですけれども、ちょっとこれも何か全般的な話になっちゃうので、計画の話なのでいいんだと思うんですけれども、最初の1ページのところで不確実性を増す世界の話が1ページから2ページに書いてあって、G7の話とかも出ていて、我が国も属していますので大変結構だと思いますが、世界全体としては、例えば中国の一帯一路の政策のように、多分我が国のこの資源循環政策とか循環型社会の政策とは違う政策を進めている国があり、それが実は優勢になってきているというところがあると思われますので、別に対抗する必要はないのかと思いますが、それに対してどういうふうに見るのかというか、我が国が何かできることも限られているかもしれませんけれども、ちょっとそういうのも入れないと、世界がこれは何か欧米と途上国だけみたいになっているんですけれども、新興国、特に中国の動きというのはこれからますます影響力を発揮すると思うので、何も書いていないのはちょっと落ちているかなという感じはするんじゃないかなということを申し上げておきます。

 それから、若干関連する話かもしれませんが、23ページのところで、2.6.2で資源循環に関する我が国のすぐれた制度・システム・技術をパッケージとして海外展開するというのは私も賛成ですが、ちょっとこれもやっぱり抽象的なので、計画だからこれでいいのかもしれませんが、これもまた難題を突きつけているかもしれませんが、どこをすぐれたと思っていて、どういう制度だったら輸出できると思っているのかという辺りがある程度でもはっきりしないと、ちょっと書いただけになっちゃう可能性もあって、例えば家電リサイクル法をつくったときに、何か世界に誇る制度だみたいなことを最初の答申とかで、もう10年ぐらい前ですけれども、もう20年か、十何年前に書いたりしましたが、多分どこにも輸出されていないかもしれませんが、自動車リサイクルでもそういうことを言っていたことはあるんですけれども、ちょっと気をつけないと、やや我々だけで日本としての悦に入っている感じになっちゃうとちょっとまずいので、もうちょっと具体的にどういうところを学んでほしいのかみたいなことが書けるといいかなと。全てかなり難題を突きつけているような感じがしますので、基本的には積極的に評価しておりますので、大変よくやっていただいているとは思いますけれども、一言申し上げておくということでございます。

○酒井部会長 小林委員、どうぞ。

○小林委員 ありがとうございます。

 今回の基本計画の本文作成ということで、この分野は広い範囲にわたっていますので、いろいろと網羅いただきまして本当にありがとうございます。

 この部分という細かい御指摘じゃなくて、どっちかというと感想的なコメントになってしまうんですけれども、まず1つが第1章での課題と第2章の各項目での課題の整合性だとかダブり感をどう考えていくかについて、読まれる方、読んでほしい方の側に立って全体を通してわかりやすいような表記にぜひともしていただきたいなと思っている点が1点でございます。

 また、いろいろと事象が書いてあるんですけれども、よい事象、悪い事象書いてあるんですが、どちらかに極端に偏っていないか、誤解を招くような表現になっていないかというのを再度見ていただければと思っております。また、特に第2章の部分はそうなのかもしれませんけれども、ちょっと事の大きな話と細かい話が結構入り混じって出てきて、なかなか頭の整理ができない状況でもあるかなと思っていますので、全体を見てバランスよく、細かく表現している部分は落としがないかも含めて御検討いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 もう一点、中間取りまとめにはなかったSociety5.0と循環型社会の形成とのつながりをお示しいただいたことについては、今の時局に即した表現になっているかなと思っております。ただし、4ページの後半でこのSociety5.0の説明部分が若干何か言葉足らずのように感じております。

 既に御存じのことかとは思いますが、内閣府の資料を拝見すると、概念としては新たな経済社会において、サイバー空間とフィジカル、物理的な空間を高度に融合させることにより、多様な・潜在的なニーズをきめ細やかに対応したモノやサービスを提供することで経済的発展と社会的課題の解決を両立して、人々の快適で活力に満ちた質の高い生活を送ることのできる人間中心の社会とありますので、その辺の部分もどうせ書くなら全部書いちゃったほうがわかりやすいんじゃないかなと思いますし、せっかくこのSociety5.0という流れを今回取り入れていただいたので、もう少しこれを中心に書くのも一つの表現の仕方かなと思っております。

 また、あと、モノからコトという表現も何回か出ていますけれども、コトの中にはイコール価値だとか成果ということも私はあるんじゃないかなと思いますので、そういう並行した表現ももし可能であれば御検討いただければと思います。

 以上です。

○酒井部会長 崎田委員、どうぞ。

○崎田委員 ありがとうございます。

 この変化の時期をどういうふうに新しい流れにつくっていくのかということを考えながら、非常に苦労して新しい計画の素案にまとめ上げていただいたということを私もその努力に敬意を表したいと思います。

 その上でやはり3つだけコメントさせていただきたいんですけれども、かなり既に御意見は出てきているところではあるんですが、1つ目はやはり1.7の市民の意識の変化というところで、ここに書いてあること自体は本当に現状のアンケート結果などを明確に書いていただいて、関心は高いんだけれども、実際の行動のところ、選択行動とかがかなり相変わらず低い、これをどうするかというのが今ずっと社会の課題なわけですけれども、それを考えたときに、ここは状況を書いているだけですから、これをどうするんだということを考えて読むと、先ほど大塚委員がいろいろ御指摘された部分の2.3のライフサイクル全体での徹底的な資源循環というところを消費者目線で書いていくというところにあるんだと思いますが、やはり私もここが現実に情報の問題であったり、しっかりとした消費者が取り組みやすいシステムができているかどうかとか、現実のところを考えていくと、この後、これをもとにどういうふうに対策を考えていくかというときにちょっとわかりにくいなという印象が私もしています。

 それで、特に私はライフサイクル全体の最適化という項目で前回も発言いたしましたけれども、例えばいろんな意味の調達、建物をつくる段階あるいは新しいことを実施するための調達、消費者の調達、全ての段階なんですけれども、調達をするときに使い終わった後のことを考えた調達とか、あるいはそれをその後使うことの市場が開発されるとか、そういうことがかなり大きく変化として影響するんじゃないかなというふうに思っています。ここにグリーン調達というふうに一言書いてあるんですけれども、この持っている重要性みたいなのがもうちょっと際立つとうれしいなという思いだけはしておりますので、ちょっとコメントさせていただきます。

 プラスで申し上げれば、今、細田先生、森口先生、そして、杉山さんとか、そういう方の御指導をいただきながら、オリンピック・パラリンピックでの資源管理の方向性というのを今つくっている真っ最中ですけれども、この辺をかなり強調して、新しいこういう方向性に対して一つの事例を提供できればうれしいなということで今取り組んでいます。

 第2点目なんですけれども、2.6.2で循環産業の海外展開の推進というところで、真ん中辺の文章で途上国の支援のために行政や産業界だけではなく、NGOなどと連携して生活に密着した形での新しい支援策が必要だというふうな形が書いてあって、実はこれを書いていただいていることは大変ありがたいと思います。これをどう実現するかという段階で、しっかりとNGOを含めた行政、産業界が連携をしてやればいいと思いますが、ですから、今までもずっとここ何年かそういうことを言いながらいろいろな会議とか国際会議に出ながら、もうここ七、八年取り組んでいますけれども、なかなかこれはできないというのが現実ですので、これをどう具体化するかという辺りの今後一工夫、二工夫も必要なのではないかと思って、この文字の重みというのを一言申し上げたいというふうに思いました。

 3番目、最後なんですが、これは大迫委員が既に御発言されましたけれども、震災廃棄物の記述などが今回非常に増えてきているというのは大変重要なことだと思います。それで、これは実際に災害が起きるということが非常に増えてきておりますので、天候の影響などで増えていますので、やはり御発言のように市民社会がこういうときにすぐにどう対応するかという体制を整えているかどうかということが大事ですので、地域計画をつくるときにきちんと地域の住民を巻き込んでつくる、あるいはしっかりと情報を発信する、あるいは地域での避難を模擬的に実施するときに必ずできるだけ具体的な情報を提供するとか、やはりそういうことを入れていただければありがたいと思います。

 すみません、1つ忘れました。あと、一番最初の現状把握のときに、現在40年、50年前にできたビルなどのインフラが全部更新期に入っていて、これからそういうものの解体廃棄物がかなり出るとか、逆に解体しないで修理していくのかとか、いろんな変化の時期だと思いますが、そういうことに対する記述がすみません、ちょっと読んだときに見つからなかったので、何かそういう現状把握もあっていいのではないかなという気がいたしました。よろしくお願いします。

○酒井部会長 どうもありがとうございました。

 新熊委員、どうぞ。

○新熊委員 ありがとうございます。

 ちょっとある意味細かい話かもわからないんですけれども、さっと読ませていただいて私のちょっと読解力がないせいなのかもだと思うんですけれども、この具体例ですね。課題、そして、将来像、そして、具体例と並んでいるんですけれども、ぱっと読んで具体例は何の例なのかちょっとよくわからなかったんですね。今日御説明いただいて初めてこれが将来像の具体例あるいは中期的な方向性の具体例ということがわかって、ちょっと現状の表現の特に文末の表現なんですけれども、このまま読むと、もう現状を表しているように物すごく誤解される可能性があるかなと思いました。

 例えばこれは全般にわたるんですけれども、例えば16ページのバイオマスというのがありますけれども、食品については、まず本来食べられるにもかかわらず捨てられてしまう食品ロスの削減に徹底的に取り組まれていると。これ何か現状取り組まれているような、そういうふうに全部いつの間にか読んでしまっている自分がいたので、ちょっと「そういう必要がある」とか「そうすべきである」みたいな、何かそういうような表現にこの文末の表現を少し変えられてはどうかなというふうにちょっと感じております。

 そして、もう一つは、この構成からして現状の背景・課題、そして、将来像と来て具体例というのがその将来像あるいは中長期的な方向性の具体例を表すということだとして、そしたら、背景・課題、そして、将来像、現状と将来あるべき姿というのを2つ並べて、その上で持ってくるわけですから、将来像と現状を比べてどこが現在最も足りていないのかということの協調すべき点を明確に書かれたほうがよろしいのではないかと思いました。そうすることによって、より具体的に施策として何をすべきなのかということが透けて見えるように、あまりダイレクトに具体的な施策としてこうすべきだみたいなことはこういうところで書けないと思うんですけれども、それが少しもっと透けて見えるような、あるいはちょっと難しいのかもしれないですけれども、もう少し踏み込んで書かれたほうがいいように思いました。

 以上です。

○酒井部会長 杣谷委員、どうぞ。

○杣谷委員 すみません、1点だけ気になるところだけ指摘をします。

 最初に、今後懸念される課題と近年の対応というところのセクションがあって、課題というふうに受け止めるところで、1.5、原発事故における放射性物質の対応なんですが、そこにずっと書いてあるのを読んでいると、指定廃棄物のところもずっと読んでみると、あまり課題として今問題がないような記述のように受け止められて、復興についてもまだまだ大きな課題、克服すべき課題もあるやに私は認識しているんですが、ちょっとさらっとというか、今現状課題としてあまり重くないのではないかみたいな感じになっているのがちょっと気になりましたので、指摘をしておきたいと思います。

 以上です。

○酒井部会長 高岡委員、どうぞ。

○高岡委員 ありがとうございます。

 幾つかありまして、まず全体的には、前回のこの基本計画では幾つか言葉の説明とか、そういうものがあったと思うんですが、ありません。少し一般には難しいと思われるような言葉もあると思いますので、できればつけていただくのがいいのかなと思います。

 言葉もそうですが、幾つか参考文献といいますか、何かバックデータ的なものを示したほうがいいものもあるようにも思いますので、これは計画にはそぐわないのかもしれませんが、図とか表とか、そういうものもあってもいいのかなと思いました。

 それから、将来像を示されておりますが、これはバックキャスティング的にと。ただ、何年後といいますか、どのぐらいのところを見てこの将来像を設定されているのかを示してもらいたいと思います。それぞれの項目によって少しずつ違うような気もしますので、少し統一感といいますか、何年の話かのコンセンサスを得たほうがいいのではないかなと思います。

 あと、少し具体的なところになりますと、11ページの割と最後のほうに災害のことについて書かれております。防災インフラあるいは住んでいるところを変えていくような話が書かれておりますが、これは割と踏み込んで書かれているように思います。環境省でどのぐらい、今この循環部会でどのぐらいこれができるのかなと思うところであります。

 それから、13ページに今後の社会としては自立分散が大変重要になってくるということが記載され、その認識自体はわかるんですけれども、ここも自立分散だけではなく、まだやはり集約化が必要な部分もあるのではないかなと思いますので、少しそういうところも取り入れて書いていただけるのがいいのではないかなと思いました。

 それから、18ページにこれは具体例で大迫委員も取り上げられましたが、いわゆる廃棄物処理施設でのエネルギー化というようなことが具体例では取り上げられています。ですが、ここはまだまだ中小規模も含めて余熱の利用等が現状進んでいないというところがありますので、ここは現状の方でやはり廃棄物のエネルギー化がまだ不十分であるということをぜひとも書いていただきたいと思います。

 最後は東日本大震災のところで19ページになるんですが、ここもどのぐらいの将来像を見据えるかだと思うんですが、もう既にその時期は過ぎているのかもしれませんが、まだやっぱり中間貯蔵は30年というふうな話がありますので、そう考えると、少なくとも中間貯蔵は着実に実施しているとか、何かそういう言葉があってもいいのではないかなと思いました。

 以上です。

○酒井部会長 古尾谷委員、お願いいたします。

○古尾谷委員 幾つかちょっと細かいことなので大変恐縮なんですけれども、まず2ページのところの標題なんですけれども、人口減少、少子高齢化の進展ということであれなんです。私どもも今、政府もそうですけれども、少子高齢化という言い方は最近しなくなっているんですね。少子化と高齢化を分けて考えておりますので、これからまた政府等の会議がありますけれども、それも少子化対策と人口減少を結びつけの話なので、ここら辺の書き方はちょっと政府間で統一していただきたいなという感じを持ちます。

 それから、今、高岡委員おっしゃったとおり、ちょっと用語がわかりにくいことは、私どもは条例とかいろいろなものを計画、策定するときに、意外と多いのは言葉がわからない、意味がわからないという返答が来るんですね。できるだけ特にKPIとか横文字で書くようなものについては、注釈をきちっと書いて、これこれこういう意味ですよとやらないと、誰に対して示しているのかというのがちょっと違ってしまいますので、国民に対して示していくものはわかるようにしていただきたいとぜひお願いをしたいと思います。

 それから、9ページでございますけれども、上段のほうに、今日髙橋委員はいらっしゃらないですか、市町村の方は。ちょっと気になるんですけれども、ここのところに今回の冊子の中で唯一責任とか、そういう言葉が出てくるのはこの部分だけなんですね。「一般廃棄物の処理において、市町村がその地域内における一般廃棄物の統括的責任を有していることを前提としつつ」、かなり注釈的にここに入れ込んであることについては、町村会なり市長会の方のほうにちょっと記述について問い合わせていただければありがたいなと思います。

 それから、次のページ、10ページのところで、これは前々から思っていたんですけれども、地域循環共生圏形成による地域活性化という共生圏の形成による地域活性化なのか、地域活性化による地域循環圏の形成なのかなかなか難しいところだと思いますけれども、ちょっと課題にしたいのは、この共生という言葉をわざわざ入れていることについてはこの間ずっとそうなんですけれども、この一連の流れの中でも地域循環圏という言葉も出てきているんですね。それから、先ほど室長からお話のあった中身は、みんな地域循環圏という言い方をしていらっしゃいました。わざわざ共生という名前を入れることに何か意味付与をしていくのか、ちょっと私にはわかりにくいです。共生という言葉は、福祉の世界やさまざまな世界で今使われますけれども、使い方は慎重にしています。私どもは一緒にやっていくということを地域循環圏は大変大事だと思っておりますし、前の部会でもそのことについて地域循環圏は大事ですよということは言っているんですけれども、共生圏という言い方の中にちょっと違う思い入れが出てくるのか、もう僕は地域循環圏をしっかり形成して廃棄物処理やその他循環型社会を形成していくとすっきり言ったほうがよろしいんじゃないか。

 それから、多種多様なということにも若干引っかかります。どのレベルをもって循環圏と言うのかなかなか難しいところがあります。今、地方は非常に疲弊していく中で、水道や消防などは1県単位で1団体にしていこう、香川県や奈良県、群馬県は既に水道は1団体にしていく方針を全て市町村の責務ですけれども、県なりで統一していくという方向に動き始めていますし、消防も小さな消防本部だけでなくて、もう東京消防庁のように1県1消防という動きが加速化しています。また、国交省がよく都市づくりの中で言っているとおりコンパクトシティ、ある意味でもう都市のほうに、利便性のあるところに集中化していくのは必然になってきているので、その中で資源をどう共有していくのかということのほうに課題が移りつつある。その上で国土を保全していくという流れになってきていると思うんですね。

 ですから、そういう面で言うと、あまり細分化された循環圏の形成というのでは、なりわいをする人たちは困っちゃうと思うんですね。どこに目標を置くのかということをしっかり明示していかないと、例えば廃棄物処理なんかも地域環境事務所を事務局とする地域ブロック協議会と言いますけれども、では、地域ブロック協議会のなす範囲というのは、環境省の組織というのはそう多くありませんので、どの範囲なのか、あるいは都道府県や市町村と協働して、例えば市町村にも昔総務省、自治省のときには広域市町村圏という一つの考え方がありました。だから、広域市町村圏あるいは国交省なんかは河川流域圏みたいな河川の流域全体を流域圏で統括していく。やはり僕は、もうここら辺は今後施策間の統合を図っていく必要があるんじゃないかと思います。

 廃棄物の問題でも上流から流れてくる廃棄物は一斉に管理しないと処理できないので、上のほうをちゃんとやらないと下は困ってしまいますので、ですから、市町村単位での話と同時にそこら辺の循環権をどのレベルにしていくのかということのある程度考え方は、今後整理していったほうが、それで、そこをこのレベルに押していくんだということがないと、さまざまな廃棄物、電化製品なんかのまた部会が別ですけれども、ありますから、ああいうものの処理も小さな単位じゃ無理だと思うんですね。そこら辺をちょっとお願いしたいなと思います。

 それから、廃棄物の関係については、先日国交省から説明を受けたんですけれども、建設技術計画という大きな計画を今国交省がつくっていまして、ITやIoTを活用したとか、あるいはさまざまなものにも全部に投資はできないので、橋を一括して4つあったものを1つにまとめていく計画とか、そういうさまざまなものの中で、その中にやはり廃棄物の処理あるいは災害廃棄物の処理なんかという計画も入ってくるんだろうなと思いますので、政策間のやはり一致が必要なんじゃないかなということを思っております。まだ国交省の計画は表出しされていませんので、これからの話だと思いますけれども、ぜひ省庁間での調整をしていただければなと思います。

 以上です。

○酒井部会長 森口委員、どうぞ。

○森口委員 各論的なところももちろん細かく見ればいろいろあるんですけれども、主に総論的なところを申し上げて、各論は2つだけつけ加えさせていただきたいと思います。

 総論は、これまで御意見を述べられた委員の御指摘のうち、小林委員、それから、新熊委員の御指摘とかなり関わる点でございます。今日はこの6章立てのうちの1章と2章がかかっているわけですけれども、この2章の位置づけがどういうものであるかということをちょっと改めて確認をしておく必要があるのではないかなと思っております。

 基本的にはこれ第三次計画と同じたてつけになっているかと思うんですけれども、2章の現在のタイトルは取組の中長期的な方向性と書かれているわけで、これは三次計画と同じだと思うんですけれども、一次計画では循環型社会のイメージ、それから、二次計画では循環型社会形成のイメージということで、ある種の到達した循環型社会はこんなもんなんだろうなと、こういう書きぶりだったわけですね。それに対して三次計画からもう少し計画が進んで、達成されて、こんなことに取り組まれている社会がいいなと、こう書きぶりになって、それがゆえに2章の文末がこういう書きぶりになっているわけですね。その点において新熊委員のほうからちょっとそこがわかりにくいというか、誤解をする可能性があるんじゃないかと、そういうお話がございました。

 書きぶりの問題とともに、2章が結構今回既に分厚くなっていて、これは2章の中に将来像だけではなくて、ある種の現状と課題の整理をされている。でも、これは1章と一部ダブるんじゃないかと、こういう御指摘が既にあったわけですね。三次計画の2章は全部で5ページしかないんです。四次計画は既に今17ページぐらいあって、三次計画ではそれに対してこの後で国の取組というのが多分次回にかかるんだと思うんですけれども、三次計画は国の取組、25ページありました。

 したがって、単純に5倍書くということにはならないと思うんですけれども、この2章と5章の書き分けをよく考えておかないと、2章で既に書きたいことがたくさんあるので、今お書きになっていると思うんですが、正直申し上げて、ちょっと2章としては記述が細かいんじゃないかなというのが私の印象でございます。具体例として書いていただくのはいいと思うんですけれども、それは場合によっては5章にとっておくようなこともあると思いますので、2章の中でこうやっていて、こういうことをやりたいな、なっていてほしいなという取組の話を少し細かいことと大きな話とちょっと混ぜて書いてしまうと、ちょっと後で5章を書くときに齟齬を来さないかなというのがちょっと2章を拝見したところでございます。

 したがって、ちょっとそこの整理をした上で2章の書きぶりが変わるかもしれないなということを期待して、あまり2章を今日の段階で個別に指摘することは差し控えたいと思うんですけれども、さりながらちょっと2点だけ申し上げておきたいと思います。

 1点目は、19ページの2.4.3の東日本大震災からの環境再生であります。ここにお書きになることは、基本的には災害廃棄物の問題ですとか放射性物質、汚染された廃棄物の処理の問題、先ほど来中間貯蔵の話等々出ているわけですが、環境再生とか復興とかということになると、当然循環基本計画の中だけでは扱い切れない極めて大きな問題だと思いますので、そういったこととこの循環基本計画の中で、現在の記述の中でいうと、必ずしもあまり手厚く書かれているわけではないので、ここに書かれているからといって、ああ、ここに任せていいんだなと。ほかのところで、では、これはもう循環基本計画でやってくれるんだなというふうに思われてはいけないなと思いますので、ここに何を書いて、書かれていないことはどこでやられるのかということをやっぱり整理があった上でここは書いていただきたいなと思います。

 部局で環境再生と資源循環が一つの新しく局になったということで、ここの部分を触れられることは当然だと思うんですけれども、一方で環境再生としておやりになることを全てこの循環基本計画の中に書き切るのかというと、私はそうではないんじゃないかなと思っておりまして、そこのところのちょっと整理をどういうふうにお考えになっているのかは教えていただければと思います。

 ページをちょっと戻るんですけれども、これはすごく細かい話です。16ページ辺りに素材別の取組の話が出ておりまして、素材別のと申し上げたんですが、これは素材別で整理をされているのか産業別で整理をされているのか少しちょっとミックスされているようなところがあるかなと思いました。具体的にはセメントのところで、土石・建設材料のところでセメントについてと言いながら、各工程で有用金属の回収が進んでいると書かれているので、これは土石・建設材料の材料としての話をしているのか、産業の工程の話をしているのかがちょっとミックスされているような気がしますので、どうしても入れ子になる部分は出てくるかと思いますけれども、この辺り、2.3の3番目のところのテーマのライフサイクル全体での徹底的な資源循環をどういうたてつけで書いていくのかというところを少し整理していただければと思います。

 以上、3点でございます。

○酒井部会長 ありがとうございます。

 では、池田説明員、どうぞ。

○池田説明員 環境省事務方におかれましては、大作長文の案文作成、お疲れさまでございます。気づいた点が多々ありましたので、誠に恐縮ですけれども、主なものについて御指摘させていただきたいと思います。

 3ページからの1.3、日本経済の長期停滞と第四次産業革命の章でございます。日本経済は長期低迷していると評価をしていますが、3ページから4ページの13行目までの記述は、政府としての経済認識と一致しているのかどうかと疑問を持ちました。本年度の政府年次経済財政報告でも緩やかな回復が続く日本経済と評価しておりますし、今般、いざなぎ景気を超えて戦後2番目の長さの景気拡大とされております。また、安倍政権のもとでアベノミクスの成功というものを非常に強調されている中で、日本経済の長期低迷と位置づけた計画が果たして閣議決定していただけるのかどうか疑問を持ちます。

 2013年5月に決定された現在の循環型社会基本計画の中で、4ページの3行目以降に、2012年11月から緩やかな回復基調が続きと記載していただいていますが、2013年以降の経済情勢で評価し、見出しをつけて論理展開をしていくことが適切なのではないかと感じました。

  9行目からこれまでの日本経済の長期停滞の分析について記載がありますが、経済界としては少し違和感があります。これはほかの事項の記載においても感じるのですが、日本を自虐的に評価し過ぎるところがあるように思えます。

 また、4ページ目の14行目以降の段落で、長期停滞というのを前提としない書きぶりにすると変わるとは思いますが、「循環型社会という観点から」で始まる段落は、我が国の循環型社会形成の進展について述べようとしている内容であり、「日本経済はSociety5.0」というところに記載するよりも1.4のほうに統合したほうがいいのではないかと感じました。また、1.3の後段に第四次産業革命によってSociety5.0を実現するという記述がありますが、第四次産業革命はプロセス、目指すべき社会はSociety5.0であり、見出し等でもSociety5.0を強調したら良いのではないかと感じました。

 5ページから記載の1.4我が国の循環型社会形成の進展と近年の停滞についても意見がございます。細かな点ですが、5ページの7から9行目にある記述で、「大規模公共工事の減少によって循環型社会の形成が進展」や、「産業構造の変化によって循環型社会の形成が進展」という表現は因果関係に違和感がございます。あえて「大規模公共工事の減少や産業構造の変化等の影響もあり」という記述は書く必要がないのではないかと思います。各主体が取組を進めてきた結果、大きく進展してきたということでよいのではないかと感じました。

 また、5ページの下から6行目の記載内容にも意見がございます。これはかねてから経済界として主張している点ですが、資源生産性というのは内外の経済情勢、資源価格、為替など変動要因が多岐にわたるので、循環型社会の形成に向けた進展をこれでもって図ることは適切ではないのではないかと考えます。

 また、そうした指標の問題とは別に、1.4の見出しに近年の停滞や循環型社会の形成に向けた進展は停滞とありますが、循環型社会形成に向けて真摯に取り組んでいる経済界の認識においては、リサイクル・リデュース・最終処分量の減少というのは限界に来ているという認識があるので、循環型社会の形成に向けた進展は限界に来ていると記述したほうが納得感があります。これは異論があるかと思いますが、御検討いただければありがたいと思います。

 一方で、不法投棄や不適正処理の撲滅というのは、犯罪行為なので限界と位置づけることは適切ではないと考えております。

 8ページ以降に記載の1.8の資源循環及び適正処理の担い手の確保についてですが、循環型社会の形成に向けて資源循環の担い手の確保は重要な課題であると考えております。担い手の確保は中小企業だけではなく循環型産業全体にとっての課題なので、全体の課題として記述するのがよいのではないかと思います。

 また、細かな点ですけれども、9ページの11行目で適正な対価の支払いの重要性の記述というのは、安価な価格を提示し、不適正な処理を行う悪質な処理業者の排除というものを意図したものではないかと推察いたしますが、現在の書きぶりというのは、処理を受託する優良な処理業者に適正な価格を支払われていないとも読み取れる表現なので、表現を修正していただきたいと考えます。

 第2章の中長期的な方向性について9ページ目以降に持続可能な社会づくりとの統合的取組について記載がありますが、こちらについても意見がございます。9ページから10ページ目にかけて「我々」という言葉が幾つも出てきております。この「我々」とは誰なのか不明確に思えます。人類なのか、先進国の人々なのか、日本人なのか日本政府なのかよくわからないので、教えていただきたいと思います。

 9ページから10ページにかけて記載の背景・課題、将来像については、とても熱い文章になっております。特に将来像では、我々は資源生産性の高い循環型社会を構築し、世界に広げることで資源をめぐる争いがない世界であるとか、誰もが必要な食料を確保できる世界などが循環型社会によって実現できるかのような書きぶりになっていて、それが地球の限界に達しつつある我々に残された唯一の道であり希望であると締めくくられていますが、循環型社会によってユートピアが実現するかのように書かれている点については、違和感があります。現実は市場経済のもとで経済社会は動いているし、循環型社会の構築でそのような世界を描くというのは少し無理があるのではないかと感じております。

 先ほど御質問ありましたが、この中長期的な方向性をいつの時点に描くのかということにも関係しますが、私は2030年から2035年ぐらいのスコープを描いていると認識していたので、2035年でこのような世界を描くというのが政府の計画として適当なのかどうか、疑問を感じました。

 森口先生からもお話しありましたが、そもそも中長期的な方向性というのは1ポツに記載の課題と、近年の対応を受けて書く章であると思うので、2ポツに記載の中長期的な方向性の中に将来像の前に背景・課題という項目を含めることは少しわかりづらく、冗長な印象を受けました。

 また、10ページ目の10行目以降に記載のある、「このような道を目指すため」以降の箇所は、持続可能な社会づくりとの統合的取組を述べるという意味で、重要な箇所であると認識をしています。具体的な指針においても環境、経済、社会課題の統合的な取組の重要性というものが明記をされております。ただ、今回の案文を見ますと、「環境政策を的確、強力に推進することとともに」という記述になっていて、環境政策を優先するようにも受け取れる表現になっていますが、統合されるのではなくて統合的に取り組まれることが重要である思っており環境政策、経済政策、社会政策が統合的に取り組まれている、という表現に修正をしていただきたいと思います。

 11ページ目以降に記載の、2.2の多種多様な地域循環共生圏形成による地域活性化についても意見がございます。具体的には、11ページの5から7行目の記載内容です。先ほども似たような指摘がありましたが、地域で循環可能な資源はなるべく地域で循環させ、地域での循環が困難なものについては循環の輪を広域化させるなど、各地域・各資源に応じた最適な規模での循環が重要というのは、原則狭い地域での循環を促進すべきとも解釈されがちでございます。効率性、経済合理性にも配慮して、我が国全体として循環型社会を構築していくということが、2.1でも記されている環境社会、経済の統合的な取組ということなので、この表現ぶりを修正していただきたいと考えます。

 次に、2.3のライフサイクル全体での徹底的な資源循環についての意見を述べます。14ページの5行目に生産段階の最適化とあります。修繕・交換・分別、アップデート等が容易となる設計を実現しようとした場合、例えば自動車産業であれば、認証制度や車検制度など国の制度との整合性の確保が課題になると想定されます。新たなビジネスモデルの広がりについて述べる際には、国の制度との最適化が図られているという将来像をあわせて記載をしていただきたいと思います。

 15ページに記載のライフサイクル全体の最適化については、ライフサイクル全体での資源利用の最適化という記載にしていただいたほうが意味がしっかりと伝わるのではないかと考えます。

 また、15ページの13行目から15行目にある記載についてですが、需給バランスに関する情報、生産履歴や使用履歴に関する情報等々が適切に共有と記載がありますが、それぞれどのような情報を、誰から誰に開示するということを意図されたものなのか、よくわからないので、ぜひ御教示いただきたいと思います。これらの情報を広く共有するということについては疑問がありますし、現実的に対応できるものなのかどうか疑問もありますので、丁寧に御説明、加筆していただくなり再考していただきたいと考えます。

 15ページの2.3.1のプラスチックについても意見がございます。「使用済みのものについては海洋等に流出してマイクロプラスチック化することなく適正に排出され」とありますが、使用済み製品の排出時の課題はマイクロプラスチック化の問題に限らないと思います。また、マイクロプラスチックの問題自体も研究途上であって、その原因というのは、我が国の使用済み製品の不適正な排出に限らないとも考えられます。使用済み製品については適切に排出され、循環利用が進む姿に焦点を当てて記述していただいて、マイクロプラスチックの問題は別途切り分けて記述したほうがよいのではないかと思います。その際、国際的な実態把握の重要性というものをまずは強調していただきたいと考えます。

 最後でございますが、15ページの2.3.1のプラスチックの4行目のところで「再生材は市場での需要が多く高く売却され」という記述は、目指すべき姿ということは理解できますが、課題が多いのも事実でございます。実現不可能なことを記述することのないように、規制物質を除去する技術の進展や、再生材を再生するコストと売却価格のバランスなど乗り越えなければいけない課題についても加筆していただければありがたいと考えます。

 以上でございます。

○酒井部会長 それでは、後から札を立てていただいた委員の方がおられますので、まず、まだ1回目の発言がまだの方は一通り聞かせていただきたいと思います。

 枝廣委員、どうぞ。

○枝廣委員 ありがとうございます。3点お伝えできればと思っています。

 1つ目は、この方向性はある意味理想的なイメージなので、異議なしというか、そうなってほしいなというふうに思います。恐らく多くの人が関心を持って読むのは、では、それをどうやって実現していくのということなので、それは今日の議論ではなく次回かと思いますが、そこのところがどれぐらいきちんと書き込めるかということだというふうに思っています。

 その上で2点、ぜひもう少し第1章、第2章でも深くできないかなと思うところがあります。1つは先ほどもコメントがありましたが、人々の意識というか、ものの豊かさから心の豊かさ、これはすごく大事なことだと思っています。循環型社会をつくっていく上で人々の価値観がどのように変わってきたか。例えば私が関わっている島根県の海士町では、ないものはないということをスローガンにしていて、もう必要なものは全てある。今ないものはなくていいんだ。必要だったら自分たちで何とかしていく。徹底的にいろんなものを使い回して、新しいものを求めることなく豊かな生活をしている。そういう価値観を持っているわけですが、そういったことはすごく大事だと思っています。ここはこういうことがあるという言及にとまっているのですが、もう少し人々の価値観とかライフスタイルとか踏み込んでいけないかなと思います。例えばシェアリングとかミニマリスト的なところの言及もありますが、単にこういうのもあるというよりも、もう少しこの循環型社会ということの分析なり意味づけなりができないかなと思います。

 その一方で、循環型社会だけではなくて温暖化も含め日本の一般の方々の環境意識が下がってきている。そこに対する分析も単に減少しているというだけではなくて、それがないと、多分じゃあどうしていくという打ち手を考えるのがすごく難しくなるかなと思っています。

 もう一点は、人口減少・高齢化のところです。これは例えば循環型社会を進める上で人手が足りなくなるということもそうですし、ここに書いてあるように空き家であるとか、例えば分別回収も高齢化によってできなくなってくるとか、そこのところをもう少し踏み込んだ形で分析できればと思っています。もしくはどういった形で、例えば空き家に対しても処理が適切に行われているという理想像は書いてあるんですが、その前に例えばこのままいくと3軒に1軒が空き家になるという状況をどのように認識しているか、もしくはこれは環境省の範囲だけでは難しいかもしれませんが、今、年間の出生数が100万弱、年間の新築住宅着工数が100万弱、どう考えても未来の空き家を一生懸命つくっているとしか思えないようなそういった中で、将来的に空き家もしくはそれによる廃棄物がたくさん出てくることが想定される。それに対しての対策だけではなくて、そもそも生み出すところにどう踏み込んでいくかということも考えることができたら、より深まるのではないかと思っております。

 以上です。

○酒井部会長 大熊委員、どうぞ。

○大熊委員 循環型社会のこの計画の中に災害廃棄物のことがここまで非常に力を入れて書かれているということは、非常にすばらしいことじゃないかと思います。ここにどこまで書くのが必要なのかというのもあるんですけれども、やはり今までの環境省が経験されたことを踏まえてここに書かれていると思うんですが、先ほど実は大迫委員のほうから御指摘があったと思うんですけれども、やはり今までの現場の状況を踏まえて、非常に復旧・復興に大きく影響するのが実は国民、市民の排出時の分別ですとか資源化というところなんですね。それがきちんとできていると復旧も早いですし、そういったことが実は国民、市民の方に知られていないんですね。

 ですから、ここでこういった細かいことを書くかどうかというのはあるんですけれども、非常に大事な視点なので、こういう計画の中でもそういったことが大事だよということがやっぱり示されると、それをきっかけとしてマスコミの方にも非常にPRしていただきたい部分でもあるんですけれども、事前にそういうことは大事だということが非常に必要ですので、そこは指摘していただけたらいいんじゃないかなと思います。

 それと、この中にさらに財政支援ということまで書いていただいているので、ここでは処理施設の復旧に関する財政支援等ということで21ページの一番下のところに記載されているんですけれども、実際に東日本ですとか、あるいは熊本ですとか今回の北九州の北部の災害なんかで経験しているのは、収集運搬の部分で我々全都清も環境省さんと一緒に他都市から応援に入って、そういうふうな復旧ということでやるわけなんですけれども、それができる自治体というのは、実は政令市ですとか、やはり中核的な都市ですとか、かなり体力のあるところでないと即座に対応できないという現実があります。頻繁にこれまで起こってきますと、実はそこの財政負担というものも結構なものに頻発されると出てくるんですね。もちろん施設についての支援というのは、もうきっちり制度として出ているんですけれども、そういった部分もここに書くかどうかは別にしてなんですけれども、意見としてソフトの面でそういう背景もあるので、そういった支援も少し念頭に置いて、これはこれからマニュアルとかをつくられると思いますので、そういった中でも議論があると思いますけれども、そういったきめ細かさみたいなところも少し書けるのであれば、どこかに引っかけて書いていただけるとうれしいなということでございます。

 以上でございます。

○酒井部会長 それでは、最後に白石委員、お願いいたします。

○白石委員 どうもありがとうございます。

 全体としては特によくまとまっていると思っております。既にいろんな方からコメントがあるんですけれども、各論になりますけれども、2.3のライフサイクル全体での徹底的な資源循環というところなんですけれども、課題・背景で第四次産業革命のことを述べられております。その後に物質循環、自然界の物質フローの話が来ております。将来像で見ますと、また第四次産業革命のお話が出てくるというふうに、要はモノ・カネからヒト・データに移るというところで、この視点がデータの重要性というのを多分おっしゃっているんだと思うんですけれども、それの整理の関係がうまく理解できないというところが若干見受けられて、各論になると、具体例では必要なモノ・サービスは何か、どれだけ必要としているかというのを生活者の視点から段階的に最適化されていくということを書いてあるんですけれども、実際に中を見てみますと、モノの流通とかモノの製造というところに何か特化されたように表面的に見ると読めてしまって、物質のモノとサービスあるいは情報との関係の整理がもう少しつつかないかなという印象を受けました。

 もう一点は同じなんですけれども、例えば流通段階の最適化というところがございますね。ここでは生活者が必要なモノ・サービスをできるだけ少ないエネルギー消費・環境負荷で必要なときに必要なだけ受け取れるよう無駄のない流通インフラということが書かれていますけれども、この流通インフラは多分情報インフラとかそういうのを含めて見るべきだと思うんですけれども、そういうことがちょっと読めないなというところと、それから、ライフサイクル全体での最適化というところで、これも情報の重要性を述べられているんですけれども、そこで例えばライフサイクル全体での最適化を図る際に主導的な力を発揮することが期待できるのは、つなぎとめることができる流通・小売業者であるというふうに書かれているんですけも、確かにそれは主導的な役割を進めていただきたいと思うんですが、実際にそういうことが可能なのか、もっとほかの主体がやるべきこともあるのではないかということで、ここが少し書き過ぎなのかなという感じを受けました。

 以上です。

○酒井部会長 どうもありがとうございました。今日は非常に丁寧に各委員から現時点のドラフトに対するコメントを頂戴できたと思っております。

 この後、事務局のほうからこのコメントに対して回答いただける部分は回答いただくということでやっていただきたいと思いますが、全体を通じて共通して聞かせていただきましたのが、1つはこの中長期的なイメージの将来像の時期のイメージです。これに関してはちょっとぜひ大体どの時点を念頭に置いたらいいのかということは、冒頭で御説明いただければと思います。

 それとあと、この第四次の基本計画の構造といいますか、つくり立てということで、今回1章、2章の説明でありますが、全体としてのボリューム感、それと、今後記述されようとしている3章以降との関係、このところは森口委員からも御指摘がございましたので、その辺りのイメージを現時点で考えておられることは含めていただければありがたいと思っております。

 それと、古尾谷委員からの地域循環圏、それを地域循環共生圏と、こう称することに対しての意味づけという点も今回極めて重要なポイントかと思いますので、この3点についてはすみませんが、御回答の中で含めていただきますようにお願いいたします。

○リサイクル推進室長(循環型社会推進室長併任) 貴重な御意見、どうもありがとうございます。

 まず、年限のことでございますけれども、現行の循環計画においては2030年というのをイメージしております。それを5年機械的にスライドすると2035年ということになります。これを書くかどうかというのは議論をしましたけれども、書くという選択もあるかと思いますが、この事務局案としては、中身的に2035年とぴちっと決め切れないものもあるので、我々の案としては書かない形でお出しをしております。ただ、そこは示すべきだという御議論もあろうかと思います。というのがその点でございます。

 それから、構造のボリューム感につきましては、ちょっとまだ定量的には我々も考え切れていないですけれども、量的には多分現行の循環基本計画に比べると中長期のイメージをかなり丁寧に、あと、問題認識もかなり丁寧に書いているので、量的にはかなり膨らんでいるので、本日もちょっと簡素化すべきではないかという御意見、あと、重複している部分もあるのではないかという御意見もございましたので、ちょっと国民の読みやすさの点も考えて検討していくことが必要だというふうに考えております。

 それから、地域循環共生圏という用語でございますけれども、これにつきましては、今並行して環境基本計画の議論をしておりまして、環境省としては循環、低炭素、自然共生の統合的な推進ということで考えておりまして、地域においても縦割りということではなく、3社会を統合的に推進していきたいということで、環境基本計画でも地域循環共生圏という言葉を使う方向で議論をしておりますし、循環計画においても、そこは歩調を合わせて地域循環共生圏という用語で案として入れさせていただいているところでございます。

 それから、個別の御指摘で、新熊委員から具体例というところが何の具体例かわからないという御指摘をいただきました。これ構造上、将来の姿だというところが最初に書いてあって、それがずっと後ろにかかっているのでわかりにくいという構造的な問題がありまして、我々も非常に説明する度に御説明しながらやっているわけでございますけれども、具体例のところに将来像の具体例と示すなりして、もう少しわかりやすいようにちょっと工夫をしてみたいというふうに思います。

 それから、池田説明員のほうから政府の経済認識との齟齬はないのかという御指摘をいただきましたけれども、この記載については、内閣府のいろんな経済関係のものと歩調を合わせて記載しておりまして、内閣府さん等にも御相談をしているところで、齟齬のあるような記載にはなっていないというふうに認識をしております。

 それから、目指すべき社会としてSociety5.0、第四次産業革命よりSociety5.0というところを打ち出すべきではないかという御指摘をいただきまして、そこはちょっとそういった方向で検討をさせていただきたいと思います。

 それから、資源生産性について御指摘をいただきました。資源生産性はG7とかG20でも重要な指標だといって、世界的にもそういう認識が進んでいるところでございまして、循環基本計画において重要な指標であるというふうに考えております。

 あと、9ページで「我々」は誰かということで、これは日本人全体というふうに考えております。

 とりあえず私のほうからは以上でございます。

○廃棄物適正処理推進課長 災害廃棄物につきましては、量が増えておりますところをサポートしていただきまして、どうもありがとうございます。最終的には全体のボリュームを見ながら調整がなされるものと思います。

 複数の先生方から人々の区分、分別に関する考え方あるいはそういったことを情報として流すことが必要だという御指摘をいただいております。これは大変重要な点であります。実際私どもも住民の方々に適切な情報、災害廃棄物を当面仮置き場が設置されるまでは御自宅で持っていてくださいといった広報あるいは区分をしっかりしてくださいといった広報がいかに重要かということは、本当に身に染みて思うところでもございます。どんな記述がいいのかについては、少し引き取って考えさせていただきます。

 以上でございます。

○総務課長 すみません、私のほうから残り全部カバーできているかどうかちょっと、ほかのさらなる追加があるかもしれませんが、私の気づきの点のところから。

 まず、東日本大震災と原発事故からの環境再生・復興の関係で、結構重要な指摘をいただいたと思っています。大局的なところから言うと、森口先生から御指摘いただいたように、循環基本計画で全部カバーしているわけではないですよねというところ、ここのところをよく考えたら、まず我々は頭が当たり前になっていて、しっかりここの中で表現し切れていなかったかなというのはあります。

 もちろん東日本大震災などなどのほうは法の体系とかも違っていたりしていたり、それに基づく別途の政府方針なんかというところもありますので、そういうところの観点も必要に応じて触れながらという前提で、一方では、例えば指定廃なんかの例について言うと、あまりあっさり書き過ぎて、何も問題なくて順調ですみたいに見えちゃうとか、その話と逆連動しているんじゃないかなと実は思っておりますので、書くべきところはきちっと書いた上で、ただ、循環基本計画の傘の中に入らない部分もあるというところをしっかり表現できるような形にしたいなと思います。非常にそこが抜けていると思っております。1点はそういう意味で、東日本大震災の関係であります。

 それから、国際の関係でも幾つか御指摘を受けていたと思いますけれども、例えば中国を中心とする、欧米だけではなくてという意味での国際ストラテジー、中国ストラテジーとの関係をどうするんだというところなんかもよく見た上でというようなところ、そういうところも深読みできるような形で少し考えてみたいなと思いますし、もちろんそうじゃなきゃいけないと思っています。

 また、パッケージとしての海外展開とかインフラ何とかというのは、最近少し大きなトレンドになっていますけれども、それを書くにしても、具体的に何がパッケージでどのように展開するんですかというところについてはちょっとわかりにくいというか舌足らずのところもあったかと思いますので、そこについても少しよく考えてみたいと思います。

 その国際の中では、崎田先生のほうから特にNGO、私も非常に重要な御指摘だなと思っておりまして、どちらかというと、まだ循環の世界での海外展開、世界でのNGOというところのキーワードがうまく結びつくステージにまだ至っていないかなという意味があって、そういう意味では、次の取組としては非常に重要なことじゃないかなと思います。どちらかというと、NGOで国際というと、一番伝統的な貧困緩和だったりとかソーシャル・ディベロップメントだったりというところから始まって、ずっとこう来てようやく廃棄物の世界にもというところにつながる非常に重要な御指摘じゃないかなと思っていますので、引き続きよろしくお願いをしたいと思います。

 ちょっと僕、今思いつくのは以上でございますが、次長は何か。

○環境再生・資源循環局次長 少し全般的な話で、今日は森口先生も含めて割と全体の構成とか、どちらにどこまで書くのかみたいなところでいろいろ貴重な御意見をいただきました。それから、やっぱりある程度シャープに書こうとすると、言葉として少なくなっていくんですけれども、どんどん説明し出すとどんどん膨れていくということで、本日の時点でもかなりボリュームとしてはありますが、やっぱり全体としては物すごく社会が大きく変わっていると。我々の取組も今までの取組とは全くやっぱり意識を変えていかなきゃいけないという危機感が背景にあって、いろんなことをここに盛り込もうということで、いろいろ先生方のお知恵もかりながら原案をつくっているというところです。

 これから後ろを具体的に書いていく中で、当然前のほうも整理させていただきますと、今日はかなり具体的な御意見もたくさんいただきましたので、そういうのをうまく入れ込みながら、ややトレードオフになるような御意見もありますから、そこのバランスをとりながらちょっと全体を恐らく整理していくという作業が必要となってまいるかと思います。本当にそういう意味では、大変たくさん網羅的に御意見をいただけましたので、それを受けてしっかりと整理させていただきたいというふうに思います。

○酒井部会長 どうもありがとうございました。

 今日御意見をお聞きしている中で、1つは池田説明員と、それから、もう退席されましたけれども、小林委員のほうからSociety5.0の指摘がございました。この点は政府としての科学技術基本計画の骨格となっているキーワードでもございますので、ここに重点を置いてという方針、事務局のほうもその方針でというふうに先ほど室長のほうからございました。おそらく1.3節の日本の経済の長期停滞と第四次産業革命、この第四次産業革命のところがSociety5.0というイメージになっていくのではないかと思います。実際に書き込まれている内容も極めてその方向で現在書かれておられますので、その方向で整理いただけるものというふうに認識をしております。

 ただ、Society5.0という言葉でこれを国民、市民の方にどう伝えるかというのは、これはこれでなかなか難しい話で、この言葉だけで済むかということについては、ちょっと工夫が必要でしょうし、まして世界にこれをどう伝えるかということになりますと、またまた悩ましい話になりますので、ここはともに悩ませていただければというふうに思っております。

 今日用意しております時間は4時まででございます。一巡で御意見をいただきましたが、最後にどうしてもという御意見がございましたら数名お受けしたいと思います。

 では、大塚委員から。さっと挙がりましたので、大塚委員にお聞きしたいと思います。

○大塚委員 一言だけですけれども、その目標の年次をどうするかという話で、あまり今の段階だとお示しにならないという可能性が先ほどの御答弁だとありそうですが、ちょっと私の意見としては、やはり示していただいたほうがいいかなとは思っていまして、何もないとこれからふわっとした形でこちらのほうに進めていきたいと国では思っていますというだけのことになってしまう可能性がちょっとあるので、もちろん担当者は一生懸命おやりになっていただけるとは思いますけれども、やはり年次が決まっていないと担当者もどんどんお変わりになることもあって、それまでにやらなくちゃいけないんだという姿勢が出てこなくなるので、これはやはり入れていただいたほうがいいんじゃないかなと思います。

 それで、もし2050年までとかもっと長いタームでやるべきことがあったら、それはそれでちょっと特別扱いをして、これは長期的なものだけれどもというようなことを例えば書いていただくとかという方法はあるとは思いますので、私は第一次環境基本計画のイメージがちょっと強いのかもしれませんが、ちょっとこれは年次がないと、申し訳ないですけれども、計画とはなかなか言いにくいのではないかなという気もちょっといたしますので、一言申し上げておきます。

○酒井部会長 ありがとうございます。それでは、今の御意見は今すぐ御回答いただけるものではないと思いますので、検討事項としてお持ち帰りいただければというふうに思っております。

 それでは、本日非常に闊達な御意見、御議論どうもありがとうございました。いただいた修正意見につきましては、次回部会に向けて事務局において必要な修正をお願いし、次回部会におきましては、次期環境基本計画の全体について審議できるよう、事務局におきましては、本日の議論を踏まえまして準備をお願いできればというふうに思っております。

 それでは、本日は以上で閉じたいと思いますけれども、最後にその他、事務局から何かございましたらよろしくお願いいたします。

○総務課長 部会長、ありがとうございました。

 次回の循環型社会部会につきましては、年が明けまして2月15日木曜日の15時から17時を予定しておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。詳細につきましては、事務局から改めて御連絡を差し上げたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 本日は誠にありがとうございました。

午後3時57分 閉会