中央環境審議会循環型社会部会プラスチック資源循環小委員会(第7回)議事録

1.日時

 令和2年11月20日(金)14:30~16:30

2.議事次第

(1) 今後のプラスチック資源循環施策のあり方について

(2) その他

3.配布資料

資料0 議事次第

資料1 今後のプラスチック資源循環施策のあり方について(案)

参考資料1 今後のプラスチック資源循環施策の全体像

参考資料2 プラスチックを取り巻く国内外の状況 <参考資料集>

4.議事録

〇平尾室長 それでは定刻になりましたので、ただいまより、「中央環境審議会循環型社会部会プラスチック資源循環小委員会、産業構造審議会産業技術環境分科会廃棄物・リサイクル小委員会プラスチック資源循環戦略ワーキンググループ 合同会議」を開会いたします。

委員の皆様におかれましては、ご多忙なところご出席を賜り、誠にありがとうございます。

事務局を務めます環境省環境再生・資源循環局総務課リサイクル推進室の平尾と申します。よろしくお願いいたします。

はじめに、本日の合同会議について、中央環境審議会の委員数8名のうち現在7名ご出席いただいており、髙村委員が遅れてご出席されると伺っています。また、産業構造審議会の委員数8名のうち8名ご出席いただいております。いずれも定数である過半数に達しており、両会議とも成立しておりますことをご報告いたします。

プラスチック資源循環戦略策定省庁より、消費者庁、農林水産省にもオブザーバーとしてご出席いただいております。

なお、この会議はオンライン会議で開催しております。事前に傍聴希望をいただいた方に同時配信により公開をしております。

また、円滑な議論のために、委員はじめ議論に参加される皆様には可能な限りカメラをオンにしていただくようお願いをしておりますが、通信環境・システムの都合上オフにしている場合がございます。予めご了承ください。

資料については、議事次第、資料1「今後のプラスチック資源循環施策のあり方について(案)」、参考資料1「今後のプラスチック資源循環施策の全体像」、参考資料2「プラスチックを取り巻く国内外の状況<参考資料集>」の合計4種類を用意してございますので、参照いただければと思います。

それでは、ここから議事の進行を酒井委員長にお願いいたします。

〇酒井委員長 はい、平尾室長承りました。本日は第6回合同会議においてご議論いただきました、今後のプラスチック資源循環施策の基本的方向性を踏まえた主な施策について、頂戴した意見を踏まえた修正案を示していただいています。修正いただいた点を中心に事務局より説明をお願いいたします。

〇平尾室長 ありがとうございます。それでは、資料1「今後のプラスチック資源循環施策のあり方について(案)」をご覧ください。大きな修正点は黄色でハイライトしておりまして、その点についてご説明申し上げます。「Ⅰ.考え方」の2つ目のパラグラフでございますが、「徹底したリサイクルによる再生利用、それが難しい場合には熱回収によるエネルギー利用を図ることとしている。その際には、経済性及び技術可能性を考慮するとともに、製品・容器包装の機能確保との両立を図ることとしている。こうした取組の推進に当たっては」と記載してございます。前回、長谷川委員より熱回収や経済性に関するご指摘をいただいたことを踏まえ、追記させていただいております。

2ページ目の1番上の①では、『資源・廃棄物制約、「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」の実現に向けて取り組む必要がある海洋プラスチックごみ問題』の後に、「2050年カーボンニュートラルの実現に向けて取り組む必要がある気候変動問題等」と記載させていただいております。先般10月20日の第6回合同会議の後に、内閣総理大臣によるカーボンニュートラル宣言が行われたため、それを受け止めて追記させていただいております。

それから、下に行っていただき「II.主な施策」の内容です。前回、論点整理ということで、矢じりの下に「具体的には」という書き出しで、星印を付けて、「こうした施策をしてはどうか」と記載しておりましたが、議論を踏まえまして、同意が得られた部分については、言い切る形に修正してございます。「II. 主な施策」の「1.リデュースの徹底」における2ページの最下部の星印を付けた環境配慮設計についてのところでございますが、「設計の標準化などを促す」と言い切り型の文言に変えてございます。

めくっていただきまして、3ページ目の「また、消費者のライフスタイル変革を通じた」という文言で始まるワンウェイのパラグラフでございますが、こちらは宮澤委員、崎田委員よりワンウェイの提供のあり方について、量り売りについてのご議論もあり、しっかりと例示するようにというご指摘もございました。そのため、「提供方法の工夫や軽量化されたものの提供等」と追記させていただいております。また、酒井委員長より消費者の行動変容についてのご指摘もございまして、「消費者の行動変容を促す」と記載させていただいております。

それから、下に行っていただき、「2.効果的・効率的で持続可能なリサイクル」の「(1)リユース・リサイクル可能な製品設計」でございます。4つ目のパラグラフの下の「具体的には、設計の段階から」という星印が付いている部分ですが、前回、石川委員、髙村委員より環境配慮設計についてしっかりと検討していくことが必要だというご議論がございました。詳細な議論は、今後進めていくこととなりますが、現段階で、基本的な事項としていたところを括弧書きで「(基本思想やライフサイクル評価、製品評価の観点等)」と追記させていただいておりまして、環境配慮設計の中身について言及してございます。また、語尾を言い切り型の文言に変えてございます。

めくっていただきまして、「(2)プラスチック資源の回収・リサイクルの拡大と高度化」でございます。まず、「(i)家庭から排出されるプラスチック資源の回収・リサイクル」の「(市町村による分別回収)」でございますが、1つ目の星印を付けた「具体的には、家庭から排出された」という部分では、語尾を「まとめてリサイクルできるよう措置する」と言い切り型に変えてございます。また、下の星印が付いた「また、市町村とリサイクル事業者の双方で」という部分でも、語尾を「合理化のための措置を講じる」と言い切り型に変えてございます。

めくっていただきまして、「(事業者による自主回収)」でございます。5ページ目の最初のパラグラフの下の星印の「具体的には、リサイクルの拡大及び再生素材利用を促すため」という部分でございますが、語尾を「措置を講じる」と言い切り型に変えてございます。また、2つ目のパラグラフの下の星印の「具体的には、消費者へのポイント付与等をはじめとする」という部分も、語尾を「後押しする」と言い切り型に変えてございます。

それから、「(ⅱ) 事業者から排出されるプラスチック資源の回収・リサイクル」でございます。2つ目のパラグラフの下の星印の「具体的には、排出事業者に対し」という部分でございますが、語尾を「これを踏まえた取組を行うことを求める」と言い切り型に変えてございます。その下の星印の「また、リサイクルの拡大及び再生素材利用を促すため」という部分でも、語尾を「措置を講じる」と言い切り型に変えてございます。また、3つ目のパラグラフでは、青野委員、崎田委員より小規模店舗といった実例が分かるようにというご指摘がございましたので、黄色のハイライトの部分でございますが、事業者としていたところを括弧書きで「(例えば、小規模店舗等)」とイメージが湧くように記載してございます。

めくっていただきまして、「(ⅲ)効率的な回収・リサイクルの基盤整備」でございます。6ページ目の2つ目のパラグラフでございますが、宮澤委員よりリチウムイオン電池等の異物混入に対するご指摘がございましたので、「また、リチウムイオン電池等のプラスチック資源への異物混入対策を適切に進める」と記載させていただいております。

それから、「3.再生素材やバイオプラスチックなど代替素材の利用促進」の「(2)バイオプラスチックへの代替促進」の2つ目のパラグラフでございます。別途開催しているバイオプラスチック導入ロードマップ検討会における議論のアップデートを踏まえ、前回のバイオプラスチックについての議論にも対応する形で、「各製品・素材の特性、利用実態とポテンシャルを踏まえ、バイオプラスチック導入に向けた基本的な方針」を追記し、内容の明確化を図ってございます。

それから、7ページ目に行っていただきまして、「4.分野横断的な促進策」の「(4)政府の率先的・基盤的な取組」でございます。青野委員よりいただいた地方公共団体の率先調達に関してのご指摘を踏まえ、「地方公共団体へも率先調達の実施を促す」と追記してございます。

それから、その下の「III.おわりに」の部分は、前回、「してはどうか」という問いかけ型の語尾にしてございましたが、言い切り型に変えてございます。

資料1の修正点についての説明は以上でございますが、前回、細田座長から全体像が分かるようにとご指摘をいただきまして、参考資料1として「今後のプラスチック資源循環施策の全体像」という資料を用意してございます。そちらをご覧いただけますでしょうか。真ん中に「ライフサイクル全体での現在の主なフロー」を記載してございます。製造事業者等、小売・サービス事業者等よりプラスチックが排出され、消費者を通じて家庭からのプラスチック資源となる、あるいは、排出事業者よりプラスチックが排出され、事業者からのプラスチック資源となり、市町村や自主回収を行う事業者により、これらがリサイクルされ、需要に戻っていくというライフサイクル全体において、今回の議論がどのように関係しているか示したものでございます。製造事業者等については、環境配慮設計の矢印を示しております。小売・サービス事業者等に関しては、リデュースの徹底ということで、ワンウェイの容器包装・製品設計決定者が取り組むべき環境配慮設計や小売・サービス事業者等に対してワンウェイの容器包装・製品について使用の合理化を図るため、事業者が取り組むべき措置を示し取り組みを求め、消費者の行動変容を促すことを記載してございます。

そして、右に行っていただいて、消費者が家庭からプラスチック資源を排出する場合、市町村による分別回収や事業者による自主回収があるということを示してございます。

下部の中央に行っていただきますと、事業者からのプラスチック資源の回収・リサイクルとして、事業者からのプラスチック資源に対しても措置を講じていくことを示してございます。

右に行っていただいて、効率的な回収・リサイクル基盤整備において、プラスチック資源の形状に応じた最適な手法の選択やインフラ整備、リチウムイオン電池等の異物混入対策について記載してございます。

左下に戻っていただきまして、再生素材やバイオプラスチックなど代替素材の利用促進が、温室効果ガス排出ゼロにも重要であるということを示しております。また、中央で、分野横断的な促進策として、消費者、企業、ESG金融、政府の取組に関してまとめております。事務局からの資料の説明は以上でございます。

〇酒井委員長 平尾室長ありがとうございます。ただいま今後のプラスチック資源循環施策のあり方(案)の修正案について説明いただきました。加えて、参考資料1「今後のプラスチック資源循環施策の全体像」について説明いただきました。それでは、ただいまの事務局からの説明を踏まえ、委員の皆様からご意見を頂戴したいと思います。前回同様、発言を希望される方は、WebEx会議システムの挙手機能で発言の意思表示をしていただけますでしょうか。事務局で確認し、順に指名させていただきます。それでは、東京都宮澤委員からお願いいたします。

〇宮澤委員 ありがとうございます。それでは、今回提示いただきました施策の方向性については賛同するものでございますが、3点について、発言させていただきます。

1点目は、2ページ目の上段に記載いただきましたカーボンニュートラル実現に向けた取組についてございます。こちらは大変重要な記載だと受け止めております。東京都も、昨年12月に「ゼロエミッション東京戦略」を策定いたしまして、プラスチックの持続可能な利用を含む資源循環分野につきましても、気候変動対策の柱の1つに位置付け、行動を開始しております。世界の温室効果ガスの排出量の半分は食糧や各種素材等の資源の生産に関わるものでございますので、2050年カーボンニュートラルの実現に向けては、資源利用に関わるCO2排出量の実質0が求められますが、従前の取組の延長線上で達成できるものではないと認識しております。今回の取りまとめに基づき、まずは2025年、2030年を見据えて、あらゆる主体による、さらに一段上の重点的な取組が必要であると認識してございます。

2点目は、4ページ目の市町村と事業者の分別回収でございます。今後、リサイクルの質と量を向上させるためには、住民の皆様の理解と協力が不可欠であり、前回も申し上げましたが、プラスチックのリサイクルによるCO2の削減効果を分かりやすく説明することが有効と考えております。CO2の削減効果には、様々な試算方法があることは承知してございますが、系統電力のCO2排出係数がますます下がっていく流れがありますため、熱回収によるCO2回収効果はますます低減してまいります。2050年CO2排出実質0に貢献するためにも、プラスチック資源の分別収集とリサイクルは不可欠な取組であるということを、CO2削減効果と併せて分かりやすくお示しいただければと思っております。

また、これも前回発言させていただきましたが、6ページ目にリチウムイオン電池等の異物混入対策について追記いただきありがとうございます。こちらは、一般廃棄物、産業廃棄物を問わず、異物混入対策の強化を求める切実な声が、収集運搬業者のみならず、中間処理の業者や自治体の清掃工場の現場から多く寄せられておりますので、ぜひとも、実効性のある対策をお願い申し上げます。

最後、3点目は、6ページ目のバイオプラスチックへの代替促進でございます。カーボンニュートラルを目指す観点からは、バイオマス利用の拡大に伴う熱帯雨林等の減少やそれによる土地利用変化に伴うCO2の排出が大きな課題となります。我が国はバイオマス資源を大量に輸入してございまして、今後のバイオプラスチックの導入に向けた基本的な方針の検討に当たりましては、こうした点についても十分に考慮することが必要と認識してございます。以上3点でございます。ありがとうございました。

〇酒井委員長 宮澤委員どうもありがとうございました。それでは、続きまして坂田委員お願いいたします。

〇坂田委員 はい。日本化学工業協会の坂田でございます。今回の資料「今後のプラスチック資源循環施策のあり方について(案)」では、プラスチック資源とその周辺も含めまして、重要な施策のポイントが網羅されたと思っております。2ページ目で気候変動問題等についても、新たに「2050年カーボンニュートラルの実現に向けて取り組む必要がある」との記載が追加されております。化学産業では、温室効果ガスの削減につながる製品デザインや使用シナリオを化学から提案・発信し、これを可能にする部材の提案と供給に取り組んでいるところでございます。カーボンニュートラルの実現におきましては、化学産業が貢献できる分野の一つであり、プラスチック資源のケミカルリサイクルがポイントになると考えております。プラスチック資源をガス化、油化、モノマー化等、あるいは、加熱による溶融や分解、分留等の処理によって、同一品質の基礎原料に戻して活用する循環型のケミカルリサイクルは、炭素循環や資源循環に大きく貢献が期待できると考えております。

また、化石資源ではなく、プラスチック資源を国産資源として活用する点は、廃棄物の分別という重要な役割を担う国民の理解・協力も得やすいと考えております。

化学産業はケミカルリサイクル技術のレベルアップによって、資源循環効率を高め、追加エネルギーを最小化することで、より大きな温室効果ガス削減につながる繰り返し循環の実現を目指してまいります。ケミカルリサイクルには、追加エネルギーの削減技術や低コスト化等、更なるレベルアップの実現に向けて、産官学を挙げての連携と政府の支援が必要でございます。しっかりと連携を図っていきたいと考えております。

最後ですが、カーボンニュートラルの実現を可能にするためには、ケミカルリサイクルを事業として実施していくことが必要であり、分別されたプラスチック資源の安定供給体制の整備、多大な設備投資を伴うケミカルリサイクルプラント等への財政支援、再生材市場の創造・拡大も含めまして、プラスチック資源循環施策を実現させるための制度整備が進みますことを期待しております。以上でございます。

〇酒井委員長 坂田委員ありがとうございました。それでは、引き続いて石川委員お願いいたします。

〇石川委員 はい。ありがとうございます。プラスチック資源循環戦略について大変多様な内容を分かりやすくまとめていただいたと思っております。大変賛同します。私としては、まとめていただいた戦略を実のあるものにするために、どういうことが重要かという点で発言したいと思います。

これまでも議論してきましたが、プラスチックは非常に多様な場面で高い機能性があるため、代替材を簡単には見つけられないという特徴があります。そういう意味ではこれから行っていく対策も、それぞれの用途の特殊性に合わせて、用途ごとの関係者が連携して、従前まで行ってこなかった工夫や努力がなされなければ減少せず、これまで以上に回収することも簡単ではないと思います。この戦略を進めていくためには、関係者が連携して工夫することが重要ですが、出発点として、製造・販売を行っている企業が自社のこれまでの活動、現在の活動をプラスチック資源循環という視点から見直して、自社はこの問題にどのように対策していくのかというポリシーを明確にしていただいて、できればゴールを示し、それをコミットしていただくことが重要かと思います。これは企業別のアプローチであるため、これに対して、社会全体としてどうなっているのか、政府が眺めなければ分かりません。そのため、政府の役割としては、第1に社会の進捗管理があると思います。そして、実際に実のあるものにしようとすると、用途別にこれまでにはなかった関係者の連携や工夫が必要になります。それぞれの場面において、廃掃法との関係で、「これは一体できるのだろうか」、「こう解釈すればできるのではないか」といった事態が発生することが大いに予想されます。そういう意味では、これまでの経験からすると、廃棄物行政は、自治体が一業務として行っているため、「国の委員会としては、この方向性で行こう」と決め、実際に実施しようとすると、自治体によって判断が分かれるということが往々にしてあります。政府の役割として、廃掃法との関係で、新しい工夫や努力について、どの自治体においても、可能な限り簡単、かつ、一様に判断できるガイドラインの作成等の工夫をしていただきたいと思います。問題が起きる前に先走りして心配するのもおかしな話でありますが、これまで、こうした事態が頻発していたため、ぜひお考えいただきたいと思います。

それから、個別の企業や企業グループによる努力であるため、良いものができた際には、政府としても、それに対する評価、普及の促進、表彰等も考えると良いのではないかと思いました。以上です。

〇酒井委員長 どうも石川委員ありがとうございました。それでは、崎田委員お願いします。

〇崎田委員 はい。崎田です。ありがとうございます。私も今回のまとめに関しては、非常に詳細に文言を追加してくださるなど、非常に配慮していただいておりますので、全体の方針に関しては賛成したいと考えております。今回、こうした中で、2050年カーボンニュートラルという新しい状況を明確に位置付けたということも非常に印象深いと思っております。また、プラスチックはエネルギーのみならず、CO2削減に影響する分野ですので、こうした部分を従前以上に明示していくという様々なご発言やご提言には賛同したいと思います。なお、内容に関しては、環境配慮設計、販売方法、消費者の選択、店頭回収や自治体による製品プラスチックの一括回収等といった、消費者が分別に参加しやすい回収方法、そして、再生資源を社会で活用していくといった、産業界、小売店、自治体、消費者、リサイクル事業者が大きな輪を描いてみんなで作っていくという点が大きな特徴だと思っています。そのため、先進的に取り組んでおられる事業者や自治体が、社会から評価されるような視点を入れ込んだ制度にしていただくとありがたいと思っております。

そして、消費者という視点では、今回の修正の中で、酒井委員長のご指摘により、「II. 主な施策」の「1.リデュースの徹底」において、「消費者の行動変容を促す」という文言が追記されましたが、この問題に関心を持っているNGOや団体は大変に多いですし、社会の多くの消費者団体にも呼びかけながら、消費者の行動変容をしっかり起こしていくように、一緒に取り組んでいきたいと思っております。

なお、最後に1点ですが、今後どのように制度に落とし込むかというところで、「III. おわりに」においても、「予算、制度的対応をはじめ総合的かつ速やかに検討・実施していく」とあります。ぜひ、全体像に関わるものですので、全体感が理解しやすいような制度設計にしていただき、みんなが願った形の制度になっているか、定期的にPDCAサイクルを回しながら取り組んでいければ嬉しいと思っております。ありがとうございました。

〇酒井委員長 どうも崎田委員ありがとうございました。引き続いて湊元委員お願いいたします。

〇湊元委員 はい。日本商工会議所の湊元です。今回提示されました「今後のプラスチック資源循環施策のあり方について(案)」について、大筋の方向性に異論はございません。今後の制度設計に際して、3点留意していただきたいと思っております。

まず、今回プラスチック資源循環の入口から出口まで全体の流れと各主体の役割を示していただきありがとうございます。ただ、全体像の中での数値面からの分析も大変重要だと思っております。新たなプラスチック資源循環の仕組みを構築することによって、今後必要になるリサイクラーの処理能力と現状のリサイクラーの処理能力の差異を確認するなど、社会実装に向けて客観的なデータを基にしたシミュレーションによる検証を行っていただきたいと思っております。

次に、特にプラスチック製の容器包装と製品をまとめて回収し、選別・リサイクルするための環境を整備するに当たっては、4ページ目にある「質的確保」が大変重要であり、「質的確保」への対策を万全に講じていただきますよう改めてお願いしたいと思います。具体的な検討に当たっては、既に構築されている容器包装リサイクル体制に悪影響を及ぼさないよう、十分留意する必要があると思います。現場のリサイクラーや中間処理業者等、関係者の声を十分に聞きながら制度設計を進めていただきたいと思います。併せて、現場の混乱を未然に防ぐべく、随時、関係者と情報共有しながら、検討を進めていただきたいと思います。

3点目は、6ページ目に、代替素材の利用促進について記載されてございますが、今後代替素材の普及が進むと、消費者はプラスチックと区別できず、リサイクル現場で代替素材とプラスチックが混在し、結果として、リサイクルの質が低下することも予想されます。制度設計を進めるに当たっては、代替素材の普及が進むことを想定して、消費者の行動変容を正しく促すためにも、消費者が区別しやすい商品設計・表示となるような仕組み作りが重要であると思いますので、十分配慮願いたいと思います。以上でございます。

〇酒井委員長 どうも湊元委員ありがとうございました。ここで、質問的事項等を含めて、事務局からお答えいただければと思います。

〇平尾室長 一旦ここで回答を申し上げますが、カーボンニュートラルについて宮澤委員、坂田委員、崎田委員よりご指摘がございました。重要な視点だと思い、今回追記させていただいておりますが、この分野から貢献していけることもあると思いますし、国として検討をさらに加速していきたいと思ってございます。現在、行っている検討は間違いなく、その方向に向かっていくものだと思ってございますので、しっかりやっていきたいと思います。

その関連で申し上げると、宮澤委員からご指摘がございましたCO2の削減量を分かりやすく示すという点については、今回は間に合わず、大変恐縮でございましたが、何とか分かりやすく示していきたいと思ってございます。

また、リチウムイオン電池等の異物混入対策について、今回追記させていただいておりますが、非常に重要な視点ですし、実際に現場で事故も起こっており、小型家電リサイクルに関連して議論を積み重ねてきた部分もございますので、一体となって進めていきたいと思います。

また、バイオプラスチックの関係で、原料について熱帯雨林等の問題についてのご指摘もございましたが、今回、全体を貫く視点として、”3R+Renewable”とまとめていただいており、別途開催しておりますバイオプラスチック導入ロードマップ検討会でも、再生可能性については強く意識して議論してございます。ゆくゆくは国産材で回っていくことが非常に望ましいと思いますが、そうした点もしっかり議論していきたいと思います。

また、ケミカルリサイクルの関連でリサイクル設備について支援の話もございましたが、環境省でリサイクル設備の補助に対して次年度に大規模な予算要求を行ってございますので、財政面からもリサイクルの質と量の向上に向けて、財務省とも厳しい議論を行っております。

石川委員、崎田委員より関係者の連携が重要であるというご指摘をいただきまして、まさにその通りだと思います。

社会が評価する仕組みという点も議論いただきました。そういった観点で、しっかりと連携が進み、実を結ぶために進めていかなければならないという想いを改めて持ちました。

進捗管理についても、どのような方法がいいのか、社会全体がどのような方向に進んでいるのか、しっかりと管理していけるように考えたいと思います。

また、石川委員よりご指摘いただいた廃掃法との関係について、制度的な議論は別途必要になると思っておりますが、明確化していくべきだと思ってございます。

崎田委員より制度化に当たっては、全体像の理解が進むようにとご指摘がございました。連携が進むことが重要だと思ってございますので、準備を行っていきたいと思ってございます。

これは、湊元委員からご指摘いただいた点にも関連すると思いますが、容器包装リサイクルルートにおける、現場との連携や質的確保の重要性、リサイクラーの処理能力の話もございました。円滑に進むよう取り組んでいきたいと思います。

代替素材の普及に当たって、消費者に分かりやすくしていくという点も同様であると考えてございます。ありがとうございます。経済産業省から補足があれば、お願いいたします。

〇横手課長 ありがとうございます。経済産業省資源循環経済課長横手でございます。平尾室長からお答えいただいた通りでございますが、何点か私からも補足させていただきます。

最も重要であると感じたのは、石川委員がご指摘いただいたように、企業が従前の取組をプラスチック資源循環の観点から見直し、ゴールを示しながら取組を進めていくという点は、まさにその通りでございまして、そうした取組が市場や社会からの評価につながり、企業そのものが持続的な競争力を得ていくのではないかと思っております。この観点からも、湊元委員よりご指摘があったように、そういった商品やサービスが消費者に分かるように届けていく仕組みや、崎田委員よりご指摘があったように、そうした取組が評価される仕組みを環境省とともに作っていきたいと思ってございます。

さらに、各論に対して申し上げると、リチウムイオン電池等の異物混入対策や一括回収における質的確保についてのご指摘もいただきました。まさにその通りだと思ってございまして、既存のシステムに悪影響を及ぼさないように、しっかりと精査して考えて行きたいと思っております。

また、坂田委員よりご発言がございましたように、企業、リサイクラー、自治体を含めて、プラスチック資源循環の実現に向けて、様々な投資、アクションを進めて行かれるということだと思いますので、政府としても可能な限りの応援をしていきたいと思ってございます。以上です。

〇酒井委員長 どうも横手課長ありがとうございました。引き続き、ご意見やご質問をいただければと思います。それでは、青野委員どうぞ。

〇青野委員 はい。大阪市の青野でございます。まず、全体像を非常によくまとめていただいてありがとうございます。前回、私が申し上げた意見も反映していただいており、感謝申し上げます。今回、最終的な取りまとめに入られると思いますが2点ほど要望・意見を述べたいと思います。

まず、1点目は、「2.効果的・効率的で持続可能なリサイクル」の「(2)プラスチック資源の回収・リサイクルの拡大と高度化」でございますが、4ページ目冒頭の1つ目のパラグラフにございます通り、「各主体の連携協働と全体最適化を通じて、費用最小化と資源有効利用率の最大化を社会全体で実現する」という理念がございます。前回も意見がございましたが、プラスチック製品を回収するに当たり、自治体の中には、中継施設等の施設がない自治体もございます。大阪市の場合は、既に中継施設を備えておりますが、これからプラスチック製品も回収するとなると、施設の再整備・増設や回収拡大に伴う装備が必要となると思います。また、中継施設のない自治体は周辺の自治体の既存の施設を活用する等の連携も可能かと思いますので、こうした点での費用低減も可能かと考えております。

もう1点は、焼却工場でプラスチックが混入され、混焼し、熱回収ということで、電気を発電・売却し収入を得ている実情がございます。分別が徹底されていくにつれ、電力に回る熱源が少なくなり、発電が少なくなることが考えられますので、収入減少ということも想定されます。こういった経済影響も含め、社会全体でどのような影響があるのか考慮しつつ、ご議論を深めていただければと思います。よろしくお願い申し上げます。

〇酒井委員長 青野委員ありがとうございました。引き続いて大熊委員お願いいたします。

〇大熊委員 はい。全国都市清掃会議の大熊でございます。今回の「今後のプラスチック資源循環施策のあり方について(案)」については、非常によくまとめていただき、同意したいと思います。それを踏まえて、2点ほど私から意見させていただきます。

いずれも、先ほど東京都宮澤委員よりご発言のあった内容の関連でございますが、1点目はバイオプラスチックの導入に関わる問題でございます。現在、環境省で別途バイオプラスチック導入ロードマップ検討会が実施されておりますが、並行して、自治体でのごみ収集袋等へのバイオマスプラスチック導入に向けたガイドラインの策定の検討が行われております。このガイドラインを策定した後、一斉導入には至らないと思われますが、現在、この原料を輸入販売する事業者が2社のみであるということを聞いております。将来的には、このロードマップに基づき、国内で生産し、循環することが望ましいと思いますが、当面の間は、輸入に頼らざるを得ないと認識しております。そうした場合にも、先ほど宮澤委員からお話がありましたように、現在、バイオPEで問題になっておりますが、サトウキビ畑など相当に生態系を駆逐しているという指摘もございます。自然環境の保全にも配慮しながら供給体制の整備を進めていただければと思います。

2点目は、プラスチック資源の分別・リサイクルのそもそもの意義や効果を、国が主体となって、国民に分かりやすく発信していただければと思っております。現在、プラスチック容器包装の分別回収を行っていない自治体も数多くございます。また、分別回収している自治体も、今後、プラスチック製品の回収が増えますので、国民における分別排出の負担もございます。青野委員からもご指摘がございましたが、自治体の負担も非常に大きくなってきます。それを市民に理解していただかなければなりません。そもそも分別回収し、リサイクルすることが地球環境にとって、非常に効果があることということを、国が市民に分かりやすく発信していただければと思います。例えば、現在、自治体では、プラスチック製品を焼却ごみとして排出していますが、それにより発電するよりも、分別回収し、リサイクルする方がLCAの観点で見てもCO2削減効果が高いと量的な評価ができると、国民の理解につながると思いますので、こうした具体的な発信をしていただけると良いのではないかと思っております。私からは以上でございます。

〇酒井委員長 大熊委員どうもありがとうございました。では、柳田委員どうぞ。

〇柳田委員 はい。よろしくお願いいたします。論点、課題が広範囲に及ぶ中で、網羅的に上手くまとめていただきありがとうございます。私からは3点コメントさせていただきたいと思います。

まず、「I. 考え方」について、視野の広い将来に向けた書きぶりになっていると思います。特に、5つ目のパラグラフにおいては、新型コロナウイルスの感染拡大に伴うプラスチック使用量の増加に対する課題の再認識と解決に向かう意思表示を入れていただいた点は大変良かったと思っております。また、最後のパラグラフにおいて、資源循環の高度化に向けた設計として、海洋プラスチックごみ問題に加えて、カーボンニュートラルの実現やグローバル市場における競争力の確保、消費者のライフスタイルの変革と、重要な観点が明記されており、大変分かりやすいと思います。

2点目でございます。項目としては、「II. 主な施策」の「1.リデュースの徹底」、「2.効果的・効率的で持続可能なリサイクル」、「3.再生素材やバイオプラスチックなど代替素材の利用促進」はいずれも新たなステージに入ってくると思っており、我々事業者としても、7ページ目の「4.分野横断的な促進策」の「(2)企業・地方公共団体による先進的な取組の展開」と上手く結びつけて、具体的な提案を積極的に行っていきたいと考えておりますので、ぜひ、環境整備のご支援のほどお願いいたします。

続いて3点目は、「4.分野横断的な促進策」の「(3)ESG金融による取組の後押し」でございますが、記載の通り、企業価値向上と国際競争力につながる共通基盤の整備は、活動の後押しとして大変効果的でありますので、こちらもぜひ、具体的なところをよろしくお願いいたします。以上でございます。ありがとうございます。

〇酒井委員長 柳田委員どうもありがとうございました。それでは、森口委員よろしくお願いします。

〇森口委員 はい。森口です。ありがとうございます。各委員がご発言されているように、全体としては、多岐にわたる論点を上手くまとめていただきまして、ありがとうございます。

全体が多岐にわたるがゆえに、石川委員をはじめ、多くの委員がご指摘されている点ですが、全体のシステムを上手く回していくことが重要であり、そのために、国をはじめ、関係者が、全体のシステムが上手く回っているかということをしっかりと見ていく必要があると思います。「III. おわりに」の中で、PDCAを回すといったことも記載されておりますが、定量的な評価が十分になされていないということも含めまして、丁寧に見ていく必要があると思います。定量的な評価ということでは、私自身も専門としておりますLCA等を活用し、リサイクルの効果を分かりやすく見ていくことが重要であるということも多くの委員からご指摘があったかと思います。その点で、やや技術的な観点にはなりますが、新たにケミカルリサイクルや新しい手法を用いて、プラスチックを再度プラスチックに戻していくということが、消費者にとっては分かりやすいと思います。一方で、CO2の削減の重要性が増していく中で、CO2が削減されるということとプラスチック素材を使用することと、どちらが重要なのかといった問題が将来的に生じる可能性があると思います。少々込み入った議論ではございますが、そうした話を含めて、我々としては、何を目指していくべきか合意しなければならないのではないかと思います。国の役割としては、石川委員が既にご指摘され、環境省からお答えのあったところですが、店頭回収等の新しい取組を拡大していく中で、自治体ごとの運用が異なることが障壁になっているということが、本合同会議の早い段階で個別にご指摘がございました。今回の文章の中にも、環境整備を進めるということは書かれているわけですが、国の役割として、その点は非常に重要だと思いますので、よろしくお願いいたします。

国の役割として、全体像を分かりやすく示すということで、参考資料1「今後のプラスチック資源循環施策の全体像」を作成いただき大変ありがとうございます。あえて辛口の事を申し上げると、事業者という表現が散見されるわけですが、今回の戦略においては、事業者の役割は従来以上にクローズアップされているかと思います。ただ、プラスチックが多様な用途に使用されており、事業者も非常に多様であるということで、どのような事業者が、どこで、どのような役割を期待されているのかという点が、この中では十分に表現しきれていないところもあるかと思いますので、そのあたりは、さらに詰めていく必要があるかと思います。特に、家庭から排出されるプラスチック資源のリサイクルに係る質の確保は、こだわっているところであり、従前の審議会でも再三申し上げておりますとおり、プラスチック製品の一括回収に当たっては、質を確保していくために、容器包装に加えて、どのような性質のプラスチックを回収していくのかを、分かりやすく示すことが重要であると思います。容器包装のようにマークを付けることは、事業者の負担もあり、困難かもしれませんが、場合によっては、そのようなことも含めて、どのようなプラスチックを回収していくのかということに踏み込んで考えて行く必要があると思います。

最後に、1点気になっておりますのが、容器包装の中で優等生的に考えられていたペットボトルの、容器包装リサイクル協会ルートにおける本年下期の価格が、急落しているということを伺っております。これには、国際的な事情や新型コロナウイルスの感染拡大、エネルギー価格等様々な問題が影響していると思いますが、従来、経済的に上手く回っていたものも、そうした変動の中で状況が急変していると伺っております。先ほど、経済産業省からも必要な支援は行うといったお話もございましたが、経済全体が厳しい中で大変難しい問題ではありますが、こうした施策を考える上でも、経済的に事業として回らなければならず、事業者には様々な役割を期待していますが、これまでの市場とは状況が異なる中で新たな取組を行うことは、より厳しい部分があろうかと思います。こうした点も見据えつつ、より具体的に実践に結び付けていくことが重要かと思います。この方針そのものは良くできていると思いますが、実践に当たっての障壁は決して低くないと思いますので、他の分野の言葉を借りて恐縮ですが、ふんどしを締めて取り掛からなければならない部分もあり、関係者のご協力が必要ではないかと思います。ありがとうございました。

〇酒井委員長 森口委員どうもありがとうございました。それでは、長谷川委員お願いいたします。

〇長谷川委員 全体として、従前の議論をよくまとめていただき、細田座長、酒井委員長、事務局には感謝申し上げたいと思います。その上で、3点申し上げたいと思います。

まず1点目について。前回の発言を反映していただき感謝申し上げます。特に、1ページ目の「I. 考え方」において、技術的、経済的観点、ならびに、熱回収に関する記載を追加していただきありがとうございます。この「I. 考え方」については、2ページ以降の「II. 主な施策」でも考慮されているものと理解しております。

そうした観点から、具体的な制度設計については、今後の議論によるものと考えておりますが、例えば、5ページ目の「(ⅱ) 事業者から排出されるプラスチック資源の回収・リサイクル」における1つ目の星印にある「プラスチック資源の排出抑制や分別・リサイクルの徹底、体制整備、情報発信等を含め、事業者が取り組むべき措置」の中身には、任意の取組として熱回収も含む形で、検討をお願いしたいと思います。

2点目について。事業者から排出されるプラスチックの再資源化の取組に関しては、前回申し上げた通り、業種あるいは個別の企業によって、プラスチックの扱い方や事情が様々であるため、各社が、自主的に可能な範囲で最大限に取組を推進することを促す形で、制度設計を進めていただければと考えてございます。

3点目は、プラスチック製容器包装とプラスチック製品の一括回収並びに選別工程の一体的運営についての意見です。これについては、4ページ目に記載がありますが、費用の最小化、資源の有効利用率の最大化を社会全体で実現することが求められると考えます。具体的な制度設計に当たっては、この点についてもご配慮いただければと思います。特に、選別工程の一体的運用については、4ページ目に「プロセス全体でコスト低減が見込まれ、かつ、リサイクルに支障がない場合には」という前提が明記されております。この前提に加えまして、容リ法上の特定事業者が不利益を被ることのないよう、国が全体に目配りし、透明性を確保する形で進めていただきたいと思っております。以上です。

〇酒井委員長 ありがとうございます。ここまで5名の委員からご発言をいただきました。ここで一旦事務局にお渡ししたいと思います。どうぞ。

〇平尾室長 ありがとうございます。青野委員から全体最適化といった話の中で、前回もご指摘ございました中継施設について、ご指摘がございました。位置関係も含め千差万別であると考えてございますので、必要な支援等を行っていきたいと思います。

大熊委員のご指摘にも関係している焼却工場の収入や、大熊委員からご指摘のありましたプラスチック資源リサイクルの意義や効果、さらには森口委員からはLCAということでご指摘がありましたが、分かりやすく理解するためのデータについて、しっかりと出していきたいと思います。

バイオプラスチックの原料供給について大熊委員からご指摘をいただきましたが、ご指摘の通り原料が多様化し、国内外で整備するといった方向性で、しっかり進めていきたいと思っておりますし、多面的に全体の供給量が増えていくという見通しの中で、進めていくことが重要であろうと考えております。市場が拡大するに当たって、認証制度やバイオプラスチックの制度設計として財政的支援等、財務省とも議論しつつ様々な施策によりRenewableなバイオプラスチックの推進を、ロードマップに基づき、進めていきたいと思っております。

柳田委員においては、「I. 考え方」について賛同いただき大変ありがたいと思ってございます。先ほども議論のあったように、先進的な取組が評価される仕組み作りということで、先進的な取組を行う企業が評価され、それがさらにビジネスにつながるといった好循環を作っていきたいと思います。ご議論のあった、ESG投資により、企業価値を高めていくという点も、資金面で裏打ちしていくということになっていくかと思います。こちらも別途議論しているESG金融やサーキュラーエコノミーのガイダンスも示しつつ、先進的な取組を行う企業に投資が集まるよう進めていきたいと考えてございます。

森口委員から話があった中で、LCAについては、先ほどもお話しがございました。自治体に対する環境整備ということで、制度的対応が必要と考えておりますが、対応に抜けがないようにしっかりと検討し、実施していきたいと考えております。また、質的向上やLCA等の観点に関わる部分もございます。現場と上手く接合することも含めしっかり進めていきたいと思います。

参考資料1「今後のプラスチック資源循環施策の全体像」では、ご指摘の通り、「事業者」が多義語になっていますので、どのような工夫が可能かは検討が必要ですが、書きぶり等留意したいと考えてございます。また、市況の関係で、色々ある状況でございますが、このような時だからこそ容器包装リサイクルルートが安定していくことが重要だと考えてございます。今後の社会に浸透させるに当たって、先ほどライフサイクル全体ということを申し上げましたが、需要を作っていくことも重要だと考えておりまして、経済全体として今回の新型コロナウイルスの感染拡大のような外的要因にもしっかり対応できるような循環経済、循環型社会にしていかなければいけないのではないかと考えてございます。

それから、長谷川委員よりご指摘のあった、今後の制度設計というところで、ご指摘の通り、現段階で詰め切れていない部分はございます。ゆくゆくは、しっかりと議論してまいりたいと考えてございます。容器包装リサイクルプラスチックの話もございましたが、システム全体の接合の仕方といったところで、実務は動いておりますので、そういったところと上手く接合するようにやっていきたいと考えております。経済産業省から補足があればお願いします。

〇横手課長 はい。経済産業省横手でございます。私から補足的な点のみ何点か申し上げます。柳田委員・長谷川委員のご意見にも関連すると思いますが、まさに石川委員からのご指摘にお答えした通りで、事業者が自らの取組をプラスチック資源循環の観点から顧みて、ゴールを含めて、最大限取り組んでいることを対外的に発信していくことがあらゆるものの出発点ではないかと思っております。業種・業態によっても事情は異なるため、リサイクルでなければならない等の細かい内容は関係なく、あらゆる事業者が自らの立場で、自らのビジネスモデルに引き直して、もう一度見直した上で、ベストエフォートを取っていくということが貴重な考え方であると考えております。

そうした中で、ESG投資については、平尾室長からも回答がありましたが、金融機関の方々とお話をしていても、我々で言うところの「価値観」、グローバルで言うところの「コーポレート・パーパス」である企業の経営理念の中に、「循環」といったコンセプトがどの程度位置づけられているかということが、投資家から見ても非常に重要なメッセージであるというご意見をよく耳にします。従来の環境対策としての3Rを越えて、事業活動そのものの中で、循環を取り込んでその中で付加価値を出していくといった好循環を作っていくということが最も重要なのではないかと思っております。

その上で、細かな点については回答のあった通りですが、参考資料において「事業者」が一括りになっているというご指摘は、まさに今申し上げた通りでございます。今後、制度をしっかりと整備していく中では、インパクトの大きいマテリアリティの高い業種をイメージしながらしっかり考えて行きたいと思います。

また、その際には容器包装リサイクルルートを含め、既存のシステムに悪影響が及ばないことはマストだと思っておりますので、そういった点を意識しながら進めていきたいと思っております。

さらに、ペットボトルについては、足元は出口市場が縮小しているということですので、短期的には厳しい状況ということだと思いますが、ペットボトルに関して言うと、飲料業界が2030年にはすべてのペットボトルを再生材やバイオプラスチックにするというメッセージを発信しているというところで、中長期的にはそうした市場が生まれつつあると思っております。但し、どれだけニューノーマルな世界で市場が回復してくるのかまだまだ見えないところもございますので、そうした状況も踏まえながら、サステナブルな制度設計をしっかりと考えて行きたいと思ってございます。以上です。

〇酒井委員長 どうも横手課長ありがとうございました。それでは、第3ラウンドに行かせていただきたいと思います。大塚委員お願いいたします。

〇大塚委員 はい。3点ございます。基本的には、もちろん賛成でございまして、参考資料1「今後のプラスチック資源循環施策の全体像」を提示していただき、全体像が分かるようになったため、非常に良かったと思っております。この仕組みを支えていくものとして、ここには記載されておりませんが、先ほど石川委員がご発言されていたように、ゴールを設定し、それにコミットしていくということが重要だと思います。どのように進めていくかは考える必要があると思いますが、それが第1点でございます。

2つ目は、左下にございます「再生素材やバイオプラスチックなどの代替素材の利用促進」や再生プラスチックの利用でございます。これは、本合同会議の早い段階で私が発言し、長谷川委員にも賛同していただいたものですが、再生プラスチックを作っても、使ってもらわないと社会で回っていかないため、実はここが極めて重要なところかと思います。この点は、本日の午前中に、酒井先生が座長を務められた自動車リサイクルに関する検討会があり、そこで、再生品に対しての規格が必要ではないかという問題が出てきて、プラスチックの資源循環についても十分に検討し、連携したいと自動車リサイクル課の方もおっしゃっていました。今回、追記するようにと申し上げるわけではないですが、必要に応じて、規格についても考えて行くと良いのではないかと思います。

3点目は、ESG金融についての意見でございます。先進的・率先的に取り組んでおられる企業に対して、投資や金融の面でプラスの評価により後押していくことが、こうした仕組みを推進するために非常に重要だと思います。ただ、ESG金融は、投資家側に情報を伝えていかなければ、投資家が全て調べてくれるという訳ではございませんので、企業が自らの取組を、アニュアルレポート等で公表していくことが必要になってきます。また、時間は要すると思いますが、そうしたものの取りまとめ等、目標に対する進捗状況をどのように把握していくかということも、徐々に考えていく必要があると思います。温暖化対策であれば、自主行動計画、現在では低炭素社会実行計画が実施されております。どのような形にしていくかは今後検討することになりますが、いずれにしても、そのようなものを将来的な見通しの1つとして、お考えいただくのも良いのではないかと思います。賛成ですが、コメントさせていただきました。ありがとうございます。

〇酒井委員長 大塚委員どうもありがとうございました。それでは、馬場委員お願いいたします。

〇馬場委員 ありがとうございました。私も特段異論はございませんが、今後具体的な施策の検討で引き続き重要になることがあるかと思いまして、発言させていただきます。

「I. 考え方」にも追記していただきましたように、前回の合同会議開催後に、内閣総理大臣より2050年にCO2排出実質0を目指すことを宣言されました。まずは、温室効果ガスに対する施策が国内でも議論されていくと思いますが、施策の1つとして、プラスチックを含む素材産業のCO2排出に改めて焦点が当たるのではないかと考えております。具体的には、生産時のCO2排出を抑制する技術革新に加え、製品に適切な量の素材の使用、リユース・リサイクル可能な環境配慮設計、使用済みになった後の措置といったライフサイクル全体でのCO2削減が引き続き重要であり、本合同会議での議論をきっかけに、今後環境整備が進むことを期待しております。

先ほど他の委員からESG投資に関して、インベストメントチェーンにおける競争力強化についてのご指摘がございました。日本のプラスチックメーカーがグローバルなサプライチェーンにおいて、企業間の競争力をより一層高めるためにも、日本が市場に供給するプラスチック資源循環の量や質を十分に高めていくことと、それを支える国内の環境整備が今後重視されるのではないかと思っております。背景として、AppleやVolkswagenといった強力なブランドが2030年や2050年に製品をCO2排出量0で作ると意欲を示しており、将来的に、採用するプラスチックには、質の高いリサイクル素材やバイオプラスチック等、環境配慮設計でスコープ3のカテゴリー1に当たるような、調達した物品のCO2を削減することを表明しております。そうしたメーカーが、具体的にどういったことを要求してくるかは、メーカーがよくご存じのことだと思いますが、日本全体として、そうした企業が日本の商品を調達対象として評価できる、質と量を供給できる、資源循環の体制作りを、ややスピードアップしていく必要があると考えております。そうしたことを実現していくためにも、今回の 今後のプラスチック資源循環施策のあり方(案)は、今後のプラスチックサプライチェーンの国際競争力強化につながると思いますし、今後の議論でもこうした観点を念頭においていきたいと思います。長くなりましたが、以上です。

〇酒井委員長 馬場委員どうもありがとうございました。それでは、髙村委員お願いいたします。

〇髙村委員 はい。髙村でございます。遅れて入りましたので、前半の議論を伺っておらず、重複する部分もあるかと思いますが、いくつか発言させていただきたいと思います。今回取りまとめていただいた内容については、従前の議論を丁寧にまとめていただいたと思います。特に、何人かの委員からもご発言ございましたが、先般の2050年カーボンニュートラルについても言及していただき、これは、プラスチック資源循環にも関わる非常に重要な長期的なガイダンスだと思いますので、こうした点についてもきちんと言及されておりありがたいと思っております。これを踏まえ、今後のプラスチック資源循環も改めて考えなければならないと思います。

1点目は、今回のプラスチック資源循環における個人的に重要な目玉は、作られて廃棄されたものをどのようにリユース・リサイクルしていくかといいうことはもちろんですが、それを回していくために、製品のあり方から真正面に取り組むという戦略、そのための施策を打ち出している点ではないかと思います。今回3ページ目に追記していただいておりますが、非常に重要なのが環境配慮設計でございます。また、そのために基本的な事項についてできるだけ明確に示していくことが非常に重要だと思います。そういう意味では、3ページ目に追記していただいた部分は非常に適切であり、ありがたいと思っております。例えば、先日の経済財政諮問会議において、新成長戦略の議論がされておりますが、経済界の議員が冒頭で出された意見書の中でも、グリーン需要の拡大を明確にうたっておられます。もちろん、これから先の技術・研究開発は重要ですが、同時に、そうした技術・研究開発を支えるために、現在の事業を拡大する必要があります。そのためにも、日本の事業者が持っていらっしゃる技術を上手く市場化していく、つまり、使われるようにしていくといったグリーン需要の拡大が非常に重要だと思います。需要の拡大については、特に再生素材やバイオプラスチックの部分に記載されておりますが、全体として、プラスチックを可能な限り使用しない、あるいは、代替にしていくに当たり、そうした製品の需要をどう獲得していくかということを重視することは、新型コロナウイルスの感染拡大の状況下においても、非常に重要であると思います。私が申し上げたかった規格について、先ほど大塚委員からご指摘いただきましたが、例えば、今回の製品設計の基準というのも、グリーン需要を喚起していく手法であると思います。取組を底上げし、その技術を市場で使われるように推奨していくという総合的な需要喚起策をぜひお願いしたいと思います。

2つ目は、バイオプラスチックについての意見でございます。今回も追記していただいておりますが、現在、バイオプラスチック導入ロードマップを検討していただいていると思います。社会問題へのソリューションに応える新たな技術開発として、バイオプラスチックには大変期待しております。先ほど、馬場委員からご指摘がありましたが、世界的な基準で、質の高さをロードマップの中で示していくことが非常に重要であると思います。これは既に、バイオ燃料に関しては、資源エネルギー庁や国土交通省によって、持続可能性や間接的土地利用変化を含む食料競合の問題やライフサイクル温室効果ガス排出に係る認証等について、議論していただいております。この分野にESG投資、特にグローバルなESG投資を持ち込むためには、目指すべき質の高いバイオプラスチックのあり方を、ぜひ、ロードマップの中で示していただきたいと思います。

最後でございますが、今回、製品から処分まで、全体を見通した総合的な戦略の具体化を示していただいたと思ってございます。「III. おわりに」に「予算、制度的対応をはじめ総合的かつ速やかに検討・実施していく」と記載していただいてございますが、ぜひ、お願いしたいと思います。総合的に実施していくためには、統合的な法的基盤が非常に重要であると思っております。この点についても、おそらく検討を進めてくださっていると思いますが、前回、事務局の横手課長からも回答いただきました通り、プラスチックという素材に着目した包括的な資源循環戦略という、非常にチャレンジングな施策を作っていただいておりますので、それに相応する、総合的、かつ、包括的な法的基盤の準備を検討いただきたいと思います。以上です。

〇酒井委員長 髙村委員どうもありがとうございました。これでほぼ全員の委員から意見をいただいております。佐藤委員、手が挙がっておりませんがよろしいでしょうか。

〇佐藤委員 はい。結構です。

〇酒井委員長 はい、どうもありがとうございます。それでは、ただいまの第3ラウンドでいただいたご意見に対して、事務局からの回答をお願いいたします。

〇平尾室長 それでは、環境省から回答します。大塚委員や髙村委員、馬場委員からお話のあった、需要と供給の点でございます。再生プラスチックを作っても使用されなければ、循環しないというご指摘については、その通りだと思ってございます。

AppleやVolkswagenの例もありました。Appleの方には、環境省にお越しいただいて、CEチャレンジを発足したこともございましたが、スコープ3のようにサプライチェーン全体の話から、それを再生させていくという話もいただきました。そういった、プッシュ型よりも需要を喚起するプル型の手立てが必要なのではないかと考えております。今回、全体的に上流からの議論となっていると理解しております。前半の議論でもございました、先進的な取組が評価されるようにというご指摘にも直結するかと思いますが、需要の創出や地方公共団体での取組が進むような方法論をしっかりと考えて行きたいと思います。

石川委員や大塚委員からもご指摘のあった、目標を設定し、どのようにコミットしていくかという点は、実行に移すべくしっかりと議論していきたいと思います。

また、ESG金融関連では、大塚委員や馬場委員から言及がありましたが、金融機関や投資家側のみならず、企業側の情報開示が必要だというご意見はその通りだと思っております。企業側が情報を開示し、金融機関や投資家がそれを見るといったエンゲージメントが進むようにしたいと考えてございます。ガイダンスの中でも双方の取組が進むようにしたいと考えてございます。

バイオプラスチックに関する髙村委員からのご指摘については、バイオプラスチック導入ロードマップ検討会で議論しているところではございますが、バイオプラスチックの普及を進めていく中で、新たな課題を引き起こすということであれば、世の中の支持も得られませんし、また、2030年には200万トン使用という非常に高く野心的な目標を掲げておりますが、これは、こうした課題の解決なくして達成されるものではないと思っておりますので、総合的に対応しながら進めていきたいと思います。

自動車リサイクルの話やバイオ燃料の話もございますが、縦割りは悪だと認識しておりますので、政府全体として、整合を持った取組を進めていきたいと思います。

さらに、髙村委員からご指摘のあった制度的対応についても、そういった思想をもって、上手く実務が回るように連携を進め、社会全体が評価する仕組みを検討していきたいと思います。環境省からは以上でございます。経済産業省から補足があれば、お願いします。

〇横手課長 はい。ありがとうございます。3名の委員からいただいたご意見、主にグローバルな産業競争力につなげていくというご指摘と、再生素材やバイオプラスチックといった環境配慮型の製品が評価される出口市場の創出・拡大が重要だというご指摘の、2点が重要なメッセージと理解しました。

1点目はまさに、その通りだと思ってございます。今回、再生素材を調達しやすいようなプラスチック資源の回収体制や環境配慮型の製品製造等、まさにそのためのものだと思っています。馬場委員よりAppleやVolkswagenの調達の例をご紹介いただきましたが、まさにそうした動きは、日本の強みを活かせる分野なのではないかと思ってございます。すなわち、日本は昔からよく「すり合わせ」と言われますが、サプライチェーンの中で相互に連携しながら、製品の質を高めてきたという歴史がございます。また、とりわけ素材産業、特に、機能性素材の分野では、グローバルリーダーと言えるだけの競争力を持っています。そのため、プラスチックの分野で環境配慮型に舵を切るということは、日本の産業競争力の強化につながるものであると思っております。そのためにも、上流から下流まで含めて、資源循環ができる体制の整備を進めることが、今回の1番の目的であると思ってございます。

そうした意味で、出口市場の創出・拡大についてのご指摘は、難しいものがありますが、「3.再生素材やバイオプラスチックなど代替素材の利用促進」の3つ目のパラグラフに認証や政府調達を含め記載させていただいております。こうした仕組みや予算的なもの等、様々な政策ツールをしっかりと考えて行き、市場作りに行政も取り組んでいきたいと思っております。その上で、最後に、髙村委員から法的基盤についてのご指摘がございました。何かしらの制度的基盤がなければ進まないということはありますので、環境省と一緒になって、準備していきたいと思います。以上です。

〇酒井委員長 どうも平尾室長、横手課長ありがとうございました。一点、大塚委員と髙村委員からご発言のあった規格の点について、方向としては、認証整備というところで読み込むことになると思いますが、経済産業省も相当力を入れて取り組んでおられる分野かと思いますので、簡潔に現在の状況をご説明いただけますでしょうか。

〇横手課長 ありがとうございます。まさに、規格・認証については、様々な面で検討しています。国際標準という観点で申し上げると、TC61がプラスチック関連の規格でございまして、その中のWG5で、リサイクルについての国際規格作りの議論がございます。日本に関しては、日本プラスチック工業連盟が事務局を務めておりますが、日本として、こうした規格作りに、ケミカルリサイクル等も含め、提案等していくことを、検討しているところであります。

また、海洋生分解性プラスチック等の規格作りも進めているところでございます。

その他にも、ケミカルリサイクルという観点では、再生材なのかバージン材なのかの判別が難しくなる点に対し、坂田委員の日本化学工業協会にて、どのようにトレースし、再生材であると示していくのかといった点を含めて、業界としての規格作りを始めようという動きが進んでおります。経済産業省としても、民間を含めた規格作りを、しっかりと応援したいと思っているところでございます。以上です。

〇酒井委員長 はい。どうもありがとうございます。これに対して、環境省から補足ございますか。

〇平尾室長 大丈夫です。

〇酒井委員長 はい。それでは、一通りご意見をいただいたかと思いますが、ここまでの審議をお聞きいただき、改めて追加の発言をされたい方がおられましたら、意思表示をしてください。よろしいでしょうか。それでは、一通りご意見を頂戴いたしましたので、ここで細田座長からご意見いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

〇細田座長 議論が、最終段階に煮詰まってきていると思います。本日は特に、参考資料1「今後のプラスチック資源循環の全体像」を拝見し、こうした図式化により様々なことが見えてきたと思います。文字で記載するのも良いですが、この図を見ますと、生産物連鎖が記載されているため、流れや、その流れの中で我々が何をしていくべきか、という全体像がよく分かります。全体像や俯瞰性が、発生抑制も含めた資源の循環利用においては極めて重要と思います。よく表されていると思います。先ほども委員からご指摘がありましたが、よく見てみると、エッジがあることが分かります。例えば、事業者からのプラスチック資源が市町村とつながっているなど、この図では、廃掃法や容リ法とどのように関係しているのかが分かる。隠されていたエッジがだんだんと見えてきて、我々が次にやるべき具体策は何かということが、非常によく見えてくるという意味で、良いと思います。特に、この図からは、各主体が責任をもって、自主的にどう役割を果たしていくかという全体観が見えてきます。

ここで、少々エピソード的な話をさせていただきます。先日、ある全国紙に、プラスチックが海に流れてマイクロプラスチックとなった際に、魚が食べられるプラスチックを開発し、製品化しようとしている大学があるという記事があり、非常に驚きました。何故かというと、その3か月ほど前にNHKで、ある高校生のグループが、同様に、プラスチックが海に流れてマイクロプラスチックとなった際に、魚が食べようとすると苦み成分で吐き出してしまうプラスチックを開発し、製品化しようとしているという特集があったためです。食べられるプラスチックと苦みのあるプラスチックが一緒に海に流れたとき、魚はどうなってしまうのかと思いました。これは笑い話ですよね。つまり、言いたいことは、非常に小さな境界条件で解を取ると、食べられるプラスチックも、苦みのあるプラスチックも解になり得ますが、高度なプラスチックの循環利用を考える場合には、そうした小さい境界条件で作った解は、私は、解にならないと思います。まず、考えるべきは、発生抑制であり、この生産物連鎖の中で何をどう回していくかです。そして、今のエピソードで言うと、散逸性の高いプラスチックからとにかく発生回避するということが最も重要であり、もし発生したら、完璧に回収するシステムが必要です。日本はその技術を持っているわけですから、それをより充実させるだけの話であると思います。その上で、万一漏れてしまい、食べられるプラスチックと食べられないプラスチックがあったとしても、それは末梢な問題です。

言いたいことは、やはり、全体性・俯瞰性を考えることが、非常に重要であるということです。そういう意味では、PDCA等を含めて、我々が具体的にどのように進めていくかということが、この図を見るとよく分かると思います。そういう意味では、両省には非常に感謝しております。ありがとうございます。

〇酒井委員長 細田座長、どうもありがとうございました。それでは、私からも一言御礼を含めて発言させていただきたいと思います。本日の皆様からのご意見、ここまでの尽力を交えた調整で、大きな方向性についてほぼ合意されつつあるのではないかと認識しております。もちろん、詳細な作業や検討が、依然として相当多く控えていることは予想されますが、方向性という意味で、消費者の行動変容等を含めた流れというものは、決まりつつあるのではないかと思います。

本日聞かせていただいたご意見の中で、石川委員と大塚委員を中心に、ポリシーとゴールを設定し、それにコミットするという1つの流れとしての原則を大事にしてはどうかというご発言をいただきました。対外発信、情報発信ということも積み重ねながら進めていくことになろうかと思いますので、こうした発信の信頼性を確保、維持する工夫が、今後の制度設計において重要な点であるという認識を強く持った次第です。

そういう意味では、最後に細田座長が触れてくださった全体の俯瞰性や境界条件といった点は、ポイントになってくるように思います。相当な知的作業の蓄積になるのではないかと思います。私からは以上にさせていただきます。

それでは、本日皆様方からいただきましたご意見・ご議論に基づき、本日ご提示いただいた「今後のプラスチック資源循環施策のあり方(案)」については、若干、文言についてのご意見もございましたので、私と細田座長にご一任いただき、事務局と調整を行った上で、パブリック・コメントの実施を考えてまいりたいと思いますが、ご了承いただけますでしょうか。

〇委員一同 異議なし。

〇酒井委員長 それでは、パブリック・コメントに進めていくことをご了承いただけたということで、整理させていただきます。合意いただけたことに深く感謝申し上げたいと思います。本日は2時間の予定でお時間を確保いただいておりますが、若干、時間がございますので、議論の整理の中で、最後にご発言されたい方はいらっしゃいますでしょうか。

〇大塚委員 すみません。大塚です。

〇酒井委員長 大塚委員どうぞ。

〇大塚委員 この案でパブリック・コメントを募集いただくことは、私も大賛成でございますが、その上で発言させていただきます。今回の件は、様々な関係者が参加し、極めて迅速に一定の結論を得たということで、非常に良かったと考えております。他方で、特に中環審として、要点については網羅的に検討するというのが従来の議論のスタイルであると思います。熟慮を尽くして、国民に審議の過程を明らかにするという観点も重要であると考えており、この点を指摘しておきたいと思います。どうもありがとうございました。

〇酒井委員長 大塚委員どうもありがとうございます。非常にスケールが大きく、多様な要素の関連する課題であるため、ご発言いただいた熟慮が必要な場面は、今後もあるかと思います。個人的には、そこへの注意と理解したいと思います。ありがとうございました。他にはございますでしょうか。よろしければ、事務局に進行をお返ししたいと思います。平尾室長どうぞ。

〇平尾室長 ありがとうございます。委員の皆様には、大変有意義、かつ、活発なご議論をいただきました。ありがとうございました。酒井委員長からもございました通り、今後のプラスチック資源循環施策のあり方(案)については、いただいた意見を踏まえ、1ヶ月ほどパブリック・コメントを実施することを考えてございます。

次回の日程については、決まり次第、事務局より改めてご連絡させていただきます。本日の議事録については、委員の皆様にご確認いただいた後、経済産業省及び環境省サイトに掲載する予定でございます。

それでは、以上を持ちまして本合同会議を閉会いたします。本日はどうもありがとうございました。

(了)