中央環境審議会総合政策部会環境研究技術専門委員会 地球環境分科会(第2回)議事概要

日時

平成13年5月28日 14:00~17:00

場所

三田共用会議所 第3特別会議室

出席者

〈委員側〉 西岡主査、安岡副主査、秋元委員、田中委員、村上委員、吉川委員
〈環境省側〉 山田大臣官房審議官、松井環境研究技術室長、木村地球環境局研究調査室長、他

議事

(1) 第1回地球環境分科会論点について
事務局より資料2(環境研究技術専門委員会第1回地球環境分科会での主な論点)を説明した。
(2) 総合科学技術会議の審議の状況について
事務局より資料3(総合科学技術会議の審議の状況について)を説明した。
 (田中委員)
事務局より説明あった環境分野の研究開発は、環境省として進める研究開発なのか、それとも国としての研究開発なのか。
 (松井環境研究技術室長)
政府としてのものであるが、環境政策の観点から環境省が行うものもある。
 (田中委員)
予算が付いたときの実行可能性の見通しが必要。
政策立案の中で最終的にどこがその仕事をやるのか念頭におくべき。
 (木村地球局環境局研究調査室長)
どこの省庁がどの課題を担うかは、内閣府で調整・決定する。
6月5日に予定されている重点戦略推進専門調査会第4回プロジェクトのヒアリングを念頭において議論して欲しい。
地球局も関係府省と意見交換を実施している。
 (吉岡委員)
統合化プログラムはいくつ立てるのか。
 (松井環境研究技術室長)
総合科学技術会議でも必ずしも決まっているわけではないが、地球環境は温暖化対策についての一つの方向。
 (田中委員)
環境は他の4分野に比べて幅広いので、焦点を絞り込み、一定の期間に成果をあげるのは困難だが、統合化プログラムをプロジェクト行う際には絞込みが必要。
 (木村地球局環境局研究調査室長)
統合化プログラムではカバー範囲が広くてもメリハリを付けることが必要。
 (安岡副主査)
総合科学技術会議も「温暖化」、環境省も「温暖化」1本で良いのか。
環境省は、地球環境問題全般という視点は残すべきである。
 (田中委員)
政府は医療・福祉・ITと環境が成長分野としているが、行政や研究機関だけで対応できるのか。エコビジネスを生み出しながら、民間活力を活用すべき。
 (村上委員)
当面は総合科学技術会議対応で温暖化問題を議論するが、その後は、他の分野も検討することと認識してよいのか。
 (西岡主査)
その通りである。
(3) 重点戦略プロジェクトのあり方について
木村地球局環境局研究調査室長より
資料4(総合科学技術会議環境プロジェクトに対応した地球環境研究領域における「統合化プログラム」の考え方(案))及び
資料5(地球温暖化統合研究プログラム(試案)全体イメージ図)及び
資料6(地球温暖化統合研究プログラム(試案))を説明した。
 (西岡主査)
説明の考え方、課題の選定はこれでよいか。
 (村上委員)
温暖化問題は、その影響・リスクをどうみるかの合意がないと、対策が進まない。
 (木村地球局環境局研究調査室長)
影響・リスクのためには、将来予測・予測精度の向上が重要。
異なったシナリオのもとに影響・リスクを示すことはできるが、明確なことはわからない。
日本の役割のひとつは、日本やアジアでの影響の予測をきっちり行うこと出有り、そのための取組が必要。
 (村上委員)
日本はIPCC第3次報告をベースとして対応していることはわかったが、予測が不確実なことを米国も分かっているはずだ。何に疑義があるのか。
 (木村地球局環境局研究調査室長)
米国の京都議定書反対理由は、不確実性以外にもカリフォルニア州のエネルギー危機、経済へのダメージ、途上国の未加入問題や、米国公聴会での研究者の批判的意見などによるものではないか。
 (村上委員)
米国が疑義を唱えると日本産業界も誘導されるので、科学的知見を明確にすることが重要。
 (小野補佐)
IPCCレポートには米国も基本的には同意しているが、いつ・どのような対策をとるかについて合意に至っていない。
 (田中委員)
地球温暖化の影響には、地域差がある。米国は食料生産影響を特に研究している。
人為的発生の予測は不可能。ゆえに、シナリオを作り、その中で政策決定を行っていくことが必要。
シナリオの設定も研究課題であり、予測をうまく行う研究を推進すべき。
 (西岡主査)
科学技術は進んではいるが、まだ、基本的な部分に研究課題がある。
地域的シナリオを明らかにして、何を行うかを明確にする。国益を前面には出せないが、念頭に置くことは必要。
不確実性の中でどのような政策決定をしていくかの研究も必要。
 (吉川委員)
資料5の全体イメージ図に、「温室効果ガスが気候へどのように影響するか?」と入れ、影響・リスクの部分は「どのレベルで人間や生態系に影響を与えるか?」としてはどうか。
 (秋元委員)
地球環境がどうなるのかの情報をベストにとるためにはどうするか。
地球環境問題は、温暖化だけでなく大気汚染などの分野も取り組まねばならない。
地球温暖化とその他の分野の関連についての研究をどうするかが問題。
 (木村地球局環境局研究調査室長)
重点化の際、どこかに焦点を絞らなければならないから、温暖化を総合的な研究プログラムとしたものである。
 (秋元委員)
東アジア発展の日本への影響は大きいので、温暖化と一緒に大気汚染を考えるべき。気候変動と大気質変動をパラレルに評価することも必要。
 (西岡主査)
中環審としては、総合科学技術会議と別にあってもよいのではないか。
 (秋元委員)
中環審では、温暖化以外にも横並びに考えるべき。
 (安岡副主査)
中環審と総合科学技術会議の重点の置き方がわからないのでモヤモヤしている。
 (松井環境研究技術室長)
本会議の中間報告は総合科学技術会議を意識しているが、最終報告には温暖化以外の研究課題も含むことになる。
 (安岡副主査)
そうであるにしても、わかりやすいように一文を入れるべき。
 (田中委員)
資料5の中心は、気候変動枠組み条約第2条の目的をどう達成するかということだが、地球温暖化のリスクはどんなものか、人や生態系に重大な影響を及ぼさないレベルでの安定化をどうするかも入るべき。
 (吉川委員)
モニタリングは全ての局面で重要。
 (木村地球局環境局研究調査室長)
全てを新しく行うということではなく、既存データも活用したい。
 (秋元委員)
資料6は、今後、地球環境研究総合推進費でやっていくものなのか。
 (木村地球局環境局研究調査室長)
資料6に入っていなくても、推進費で取り扱わないということではない。
 (秋元委員)
資料6には、エアロゾル等の温暖化に直接起因する研究は書かれているが、そうでない大気質や土地利用との関連を調べる研究の記述がない。
 (西岡委員)
温暖化関連の研究は簡単に触れ、温暖化をシャープに絞り込むことでどうか。
 (安岡副主査)
総合科学技術会議と中環審の温暖化への視点は同じなのか。
 (木村地球局環境局研究調査室長)
総合科学技術会議の6月5日の省庁ヒアリングでは、他の省庁もそれぞれの考えを述べるが、連携のための事前調整をしている。
 (西岡主査)
分科会としては、科学的に何の研究が本当に必要かを描けばよいのではないか。
 (田中委員)
資料5には気候変化だけでなく環境変化も入れ、それに対する問い・課題を入れるべき。
環境省としても体制を整え、モニタリングを強化すべき。
 (吉川委員)
モニタリングを一つの柱に出来ないか。
 (木村地球局環境局研究調査室長)
前回の指摘を受けモニタリングを記載した。各省のデータをまとめるシステム作りのほか、独自のものものも構築していきたい。
 (安岡副主査)
全体として、アジアを対象とする研究は可能か。
 (西岡主査)
気候的、影響面、国際貢献、生態系の類似等からアジア太平洋は重要。
 (田中委員)
アジア太平洋の研究が他の地域に生かせるようにしてすべきである。
 (秋元委員)
ユーラシア大陸のヨーロッパとアジアとの関連などの研究もありうる。
 (松井室長)
第2回専門委員会は6月5日10時より三田共用会議所にて行う。
各委員の追加の意見は、31日までにメールまたはFAXで回答願いたい。

以上