中央環境審議会第20回総会議事録
1.日時
平成26年4月17日(木)
2.場所
砂防会館別館「淀・信濃」
午後5時00分開会
○早水官房総務課長 大変お待たせいたしました。それでは、定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会第20回総会を開会いたします。
私、環境省の大臣官房総務課長の早水でございます。冒頭の部分の進行を務めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
現在、委員25名のうち19名の方が御出席でございますので、定足数を満たしており、総会は成立しております。
また、本日の会議は、「中央環境審議会の運営方針について」に基づきまして、公開としておりますので、申し添えます。
それでは、会議に先立ちまして、石原環境大臣から御挨拶を申し上げます。
○石原大臣 環境大臣の石原伸晃です。
本日は、お忙しい中お集まりをいただきまして、誠にありがとうございます。本当に早いもので、前回の総会から1年が経過しました。
この間、中央環境審議会におかれては、現在国会で審議中の鳥獣保護法の見直しの答申や、私も武内先生のお伴で行ってまいりましたが、
三陸復興国立公園、慶良間諸島国立公園の指定の答申、2013年以降の地球温暖化対策の検討など、大変精力的に御審議をいただき、
この場をお借りして、厚く厚く御礼を申し上げたいと思います。
環境省としましても、この1年間、環境行政に正面から取り組んでまいりました。まず、第一に、東日本大震災以降からの復旧・復興です。宮城県、岩手県における災害廃棄物の処理は、
予定どおり先月の3月31日をもって終了しました。引き続き、遅れている福島県の災害廃棄物の処理に取り組んでいく所存です。
また、除染の推進や中間貯蔵施設の実現は、福島の復旧・復興の基盤として極めて重要であり、なお一層力を入れていかなければならない課題だと承知しています。
放射性物質により汚染された廃棄物の処理や健康管理、健康不安対策も着実に進めてまいります。
第二に、地球温暖化対策についてです。先月、横浜で採択された気候変動に関する政府間パネル、IPCCの報告書を読むと、
今まで以上に断定的な書き方で、既に気候変動の影響がこの地球上に現れているということが示されていたと思います。
我が国は、昨年11月に、2020年度に2005年度と比べて二酸化炭素の排出量を3.8%削減するという、現時点での目標を設定したところです。
今後、エネルギーミックスの検討の進展を踏まえ、これを見直して確定的な目標を設定してまいります。こうした目標の達成、さらにはその後の長期にわたる大幅な削減のため、
再生可能エネルギーを中核とした自立分散型エネルギー社会の創出や、これまでも国民の方々に大変御協力をいただいている大幅な省エネの推進に取り組んでまいります。
また、横浜で開催されたIPCCの総会に合わせて、新たな気候変動キャンペーン「Fun to Share」をキックオフしました。
経団連の米倉会長あるいは日本労働組合総連合の古賀会長を初め、各界、自治体の方々も含め、多くの方々に御参加いただいたところです。
第三に、国民の健康と良好な環境の確保についてです。今年はまだ関東では大きな騒ぎにはなっておりませんが、PM2.5に関しまして、シミュレーションモデルの構築や、
予報・予測精度の向上、さらにはアジアにおける地域的取組の推進に取り組んでおります。また、循環型社会づくり、生物多様性の保全についてもしっかり取り組んでまいります。
委員の皆様には、今後ともこうした環境行政の諸課題に対して、専門的知見に基づく御意見をいただきますとともに、国民の各界・各層の多様な意見を代表していただくことも期待するところです。
忌憚のない御意見の御開陳をよろしくお願い申し上げ、冒頭、環境省を代表しての御挨拶とさせていただきます。今日は、本当にありがとうございます。
○早水官房総務課長 それでは、続きまして、北川環境副大臣及び牧原環境大臣政務官から、一言ずつ御挨拶を申し上げます。
○北川副大臣 環境副大臣の北川知克でございます。
今日は、第20回の中央環境審議会ということで、武内会長を初め、審議会の各委員の皆様方にお集いを賜りまして、また、石原大臣ともども出席をさせていただきまして、感謝を申し上げます。
同時に、先ほど大臣からお話がありましたように、日頃から、環境行政に関わる課題が山積をいたしておりますが、そういう中で、各先生方におかれましては、
各方面から大所高所からの御提案また御意見を賜っておりまして、重ねて感謝を申し上げます。今後とも皆様方の貴重なる御意見を賜りまして、
環境行政が少しでも前へ進むことを請い願いますと同時に、先生方の今後の御健勝と御活躍をお祈り申し上げまして、御挨拶とさせていただきます。本日は、誠にありがとうございます。
○牧原政務官 皆様、こんにちは。環境大臣政務官の牧原でございます。
今日は、第20回の総会、本当に、お集まりいただきましてありがとうございます。武内会長を初め、委員の先生方に心より感謝を申し上げます。
私も就任以来、部屋に、世界一の環境省を目指すというふうに張り紙をしました。そして、この日本の環境の分野で世界が救われる、世界を救わなきゃいけない、
こういう思いで活動をさせていただいているところでございます。
そういう意味で、今日は世界一の中央環境審議会だというふうに思いますので、ぜひ先生方の知恵を賜りながら、私たち日本が環境を通じて世界のリーダーとして世界を救う、
地球を救う、こういうふうになっていければなと思っております。どうぞ御指導のほど、よろしくお願い申し上げます。
○早水官房総務課長 なお、石原大臣、北川副大臣及び牧原政務官につきましては、所用のために途中退席となりますことを御承知おき願えればと思います。
また、井上環境副大臣、それから浮島環境大臣政務官につきましては、本日別の公務がございまして、欠席させていただきますことをお詫びして御報告を申し上げます。
次に、本日出席しております環境省の幹部職員を御紹介させていただきます。
谷津環境事務次官でございます。
白石地球環境審議官でございます。
鈴木官房長でございます。
清水総合環境政策局長でございます。
関地球環境局長でございます。
小林水・大気環境局長でございます。
星野自然環境局長でございます。
塚原環境保健部長でございます。
大臣官房、弥元審議官は少し遅れてまいります。
鎌形審議官でございます。
田中審議官でございます。
平岡審議官でございます。
奥主審議官でございます。
中井秘書課長兼環境政策官でございます。
小川会計課長でございます。
以上でございます。
続きまして、配付資料の確認をさせていただきます。幾つかクリップ止めをしておりますが、最初の紙に配付資料の一覧をつけております。資料1が委員名簿でございます。
資料2が「審議会の審議状況等について」です。それから、資料3がクリップ止めしてありまして、大きな表紙は当面の諸課題について、資料3となっておりますが、
1つ目の束が資料の3-1、3-2、3-3と温暖化対策、除染などの対策、各部局の諸課題というものが1つクリップ止めにしてありまして、
その後ろにパンフレット、循環型社会形成推進基本計画のパンフレットと、水銀に関する水俣条約のパンフレットをつけております。もう一つの小さいクリップが資料3-4のシリーズで、
低炭素社会・循環型社会・自然共生社会の統合についてという資料が、資料3-4という表紙の下に、からまでの資料をつけております。
その後に参考資料として、中央環境審議会の関係法令等をつけております。
以上でございますが、よろしゅうございますか。もし不足のものがありましたら、お申し出いただければと思います。
それでは、ここからの議事進行を武内会長にお願いをいたします。
○武内会長 それでは、私が議事進行をさせていただきます。
皆さん、お忙しい中お集まりいただきまして、どうもありがとうございました。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、まず議題1、各部会の審議状況について、私から報告をさせていただきます。
当審議会の議事運営規則第6条第3項によれば、会長が同意して審議会の決議とした部会の決議について、会長は総会に報告することとされております。
平成25年2月15日、前回の総会でございますけれども、それから平成26年4月16日までの審議状況を資料2として取りまとめておりますので、
これをもって総会への報告とさせていただきたいと思います。
なお、直近の諮問である水銀に関する水俣条約を踏まえた今後の水銀対策につきましては、3月17日付けで諮問されたところであり、資料2の後ろから2枚目に諮問をつけておりますが、
これにつきましては内容が多岐にわたるため、環境保健部会、循環型社会部会及び大気・騒音振動部会のそれぞれの部会に付議をしたところであり、
各部会での御審議をよろしくお願いいたしたいと思います。
以上につきまして、特段の御質問がございますでしょうか。よろしゅうございますか。
(なし)
○武内会長 それでは、次の議題に進めさせていただきたいと思います。
議題2、当面の諸課題についてでございます。
この議題は2つに分けて議論をさせていただきます。
まず環境省から、資料3-1から3-3について説明をいただき、委員の皆様から御意見等をいただきたいと思います。
それでは説明をお願いいたします。
○谷津事務次官 まず、資料3-1をご覧いただければと思います。当面の温暖化対策について、御報告申し上げます。
開けていただきますと、地球温暖化の科学的知見、2ページ目をお開きいただければと思います。
報道でも大分取り上げていただいておりますけれども、IPCCが第5次評価報告書の取りまとめの作業を今、精力的に進めております。
2ページの右側をご覧いただきますと、第1作業部会につきましては、昨年の9月27日に承認が得られました。第2作業部会、影響・適応・脆弱性でありますが、
横浜で3月31日に承認をされてございます。第3作業部会、緩和策でありますが、4月13日、ドイツで承認済みでございまして、全体の統合報告書が今年の10月、
デンマークで承認予定ということでございます。
かいつまんでお話し申し上げますが、4ページ目、第1作業部会であります。まず、観測事実でありますが、最近、海洋のデータが大分蓄積されたということがございまして、
温暖化については疑う余地がないという評価でございます。
そのポツの一番下に、新知見、92年から2005年において、3,000mよりも深い海洋深層においても水温が上昇している可能性が高いという評価も得られております。
温暖化の要因でございますが、これもいつもどういう表現でここの評価をするかというのが1つのポイントでございますが、人間活動が原因であった可能性が極めて高いということでございます。
第4次評価報告書は、非常に高いという評価でありまして、非常にと極めてとどう違うのかというわけであります。英語で言うと、第4次が「very likely」、確実性が90%から100%。
今回が「extremely likely」と、「very」が「extremely」になったということでございまして、確実性が、IPCCの考え方では95%から100%、
90%から95%に確実性が増したというのが今回の評価結果であります。
将来予測でありますけれども、まず全世界が可能な限り対策をとったということになりますと、気温は0.3から1.7℃、海面が0.25~0.55m。非常に高い排出が今後続くというシナリオのもとでは、
それぞれ2.6~4.8℃、0.45~0.82mということでございます。
それで、次の赤ポツでございますけれども、CO2の累積排出量と地表面の平均気温の変化がほぼ直線的だということであります。
次のページをご覧いただきますと、横に1870年からの人為起源のCO2の累積排出量、縦に気温の平年差をとってございまして、
これがほぼ直線になっているというところが今回の報告書の1つのポイントでございます。したがって、これが先にずっと伸びていくといたしますと、
その下に四角で囲っておりますように、2℃未満に抑えるためには、累積排出量を800GtCにとどめる必要があると。今、年平均で約10GtCでございまして、
既に500GtC分が排出されておりますので、このままの排出が続けば、30年で年平均2℃のレベルを超えるということが今回の報告書の1つのポイントになってございます。
続きまして、次の6ページ目でございますが、ここ数十年、全ての大陸と海洋において、気候変動による自然・人間システムへの影響が現れているということでございます。
前回、AR4、第4次評価報告書、2007年でございまして、7年の時間差があるわけでございますけれども、前回は「影響を受けつつあることを示している」という表現になっておりまして、
これが「影響が現れている」というところで、確実性が増したということであります。
(2)懸念の理由の説明というところでございます。5つの包括的な懸念の理由が示されたということでありますが、1ページあけていただきまして、
8ページ目の右のグラフをご覧いただければと思います。これが、5本棒が立っておりますが、これが5つの懸念というものでございます。横に脅威がそれぞれ、
右に行くほど著しい脅威が現れるということでございまして、縦軸が世界平均気温の変化でございます。ゼロが現状ということであります。現状でも、赤いレベルが下のほうまで来ておりますので、
現状でもサンゴ礁など、特に脅威に曝されているシステムではリスクのレベルがかなり高いと。極端な気象現象、これは降雨でございますとか台風、洪水といったようなもの。
次に影響の分布、これは地球全体にいろんな影響が広がっていくと、先進国、途上国問わず、農産物への影響も含めたさまざまな影響が広がっていく。
次の世界総合的な影響、自然生態系への影響、あるいは世界経済への影響、そういったもののリスクでございます。一番右が大規模な特異減少、
例えばグリーンランドの氷床の溶融というようなものでございます。
また、6ページに戻っていただきまして、(2)の懸念の理由の説明の2つ目の黒ポチ、今、口頭で申し上げましたようなことを、3つのバレットポイントで示してございます。
次に、7ページ目、8つの主要なリスクということを挙げております。海面上昇・高潮、洪水、極端な気象現象によるインフラの機能停止、熱波・健康影響、干ばつ・食料安全保障、
また、水資源・農業生産の減少による農村部へのリスク、海洋生態系の損失、陸域・内水生態系がもたらすサービスへのリスク、こういったことが評価されております。
次に、9ページ目でございますが、ワーキンググループ3でございます。
(1)のところをご覧いただきますと、この40年間で排出された人為起源のCO2は、1750年、産業革命以降の累積排出量の約半分、産業革命以降で、
この期間は260年をとってございますので、260年の全体の排出量の半分が直近の40年で排出された、非常に急激に増えているということでございます。
(2)の今後の排出経路、パスの話であります。2℃に抑えようと、大体450ppmということでございますが、そのためには、2010年比で、2050年で40~70%低いと。
したがって、60~30%で全てを賄うという必要があり、2010年にはほぼゼロあるいはマイナス、マイナスという意味は、バイオマスにCCSをつけて実際にマイナスを確保するとか、
大規模な植林をするということで、世界総排出量を実質マイナスにする必要があるという評価になってございます。
2つ目のポイントでありますが、エネルギー効率を急速に改善すると。二酸化炭素をほとんど排出しないようなエネルギー源を現在の3倍から4倍にする必要があると。
次のページをご覧いただきますと、バイオマスCCSなどの必要性が述べられております。
それで、次の11ページでありますが、対策コストの評価、これも1つのポイントでございます。2℃に抑える可能性が高いシナリオでは、
これから今世紀中に消費が3倍から9倍に拡大することを前提として、2100年断面で考えますと、消費が3~11%減少するというようなことでございます。
これが2100年時点での断面での絶対値なのですけれども、変化率というのが米印のところで出ておりまして、今世紀中の消費が年率1.6~3%増加する前提に対して、
0.04~0.14%ポイントの減少に相当するという評価に、これが大きいのか小さいのかというような議論であります。
(4)のところでありますが、先ほど申し上げました低炭素エネルギーといたしまして、再エネ、原子力、CCS付火力またはバイオマスCCS、こういったものが挙げられております。
1つ目のポチでありますが、2℃未満のシナリオでは、2010年と比較して、2050年で一次エネルギーに占める割合を3~4倍、電力に占める割合を2050年に80%以上という必要があると。
一番下に、原子力の評価でありますが、成熟した温室効果ガスの排出の少ない電源という評価とあわせて、一方、コスト、安全性、廃棄物管理等の課題が存在という評価をされております。
次のページに、先ほどの一次エネルギーに対する低炭素エネルギー源のシェアの必要性、あるいはその電力におけるシェアの必要性、これが示されております。
続きまして、国際交渉の流れであります。御案内のように、今年、COP20がペルーのリマで開かれるわけでございます。世界各国は今、2015年、COP21、フランスのパリで今、
見込まれてございますけれども、そこで2020年以降の枠組みに合意をしようと。その後、各国による批准締結の作業をいたしまして、2020年、ちょうど東京オリンピックが開催される年に、
新しい温暖化の国際的枠組みがスタートするという、今、シナリオ予定で進めてございます。
次、15ページでありますが、昨年末のCOP19の決定事項のポイントでございます。次期枠組みにおける各国の約束、英語ではcontributionsと言っております。
全ての国は、来年のCOP21に十分先立って、できる国は来年の第一四半期、3月末までにこのcontributionsの案を示すということが求められております。
そのcontributionsの中身でありますが、その情報については、今年のCOP20までに決定する。目標年次をどうするんだと。ガスのカバレッジはどうするんだというようなことを、
今年の末に決定をし、その情報についてのcontributionsを来年の3月末までに示すというようなことであります。
あと、EUとアメリカの動向を少し御紹介しておきます。
EUでありますが、2014年の1月に欧州委員会が、2030年までの目標とか枠組みを提案いたしまして、今後その採決に向けまして、
今年の10月、欧州理事会までにこれを決定しようというスケジュールでございます。
ポイントだけ申し上げますと、法的拘束力のある削減目標につきましては、30年断面で、90年比40%削減ということにしているわけであります。エネルギーの目標でございます。
再エネのシェアを30年までに少なくとも27%に増やすということであります。各国個別の割り当てはしないということであります。
電力につきましては、再エネ電力の割合を45%に伸ばしていこうというようなことでございます。
次のページ、アメリカであります。2013年6月にオバマ米大統領が、President's Climate Action Plan、気候変動行動計画を示されたわけであります。
その中で、2020年に温室効果ガス排出量を2005年比17%程度削減するという目標を掲げております。いろいろ新設の火力発電所の排出基準などの作業が今、進められているわけであります。
国内対策について、次に触れたいと思います。19ページでありますが、これも先ごろ、大臣から発表させていただきましたが、
第一約束期間、日本は90年比で8.4%マイナスということになっておりまして、6%削減目標は達成をしているということであります。
また、新たな2020年目標でありますが、2005年比で2020年3.8%減ということでございます。これはいろんなところで御説明させていただきましたが、
原発による削減効果を含めずに設定したものであります。
新目標の考え方でありますが、(1)のところ、世界最高水準のエネルギー効率をさらに20%改善すると。再エネ導入もしっかりやっていくということでございまして、
この目標の設定とあわせ、隔年報告書を昨年末に条約事務局に提出してございます。
次の21ページに、グラフでこれまでの目標と今回の目標の強度の比較を示してございまして、むしろ京都目標よりも削減を深掘りしたレベルの目標だということでございます。
今年度、今年の4月から、地球温暖化対策税の税率が約2倍に増えました。我々としてはこの財源を有効に活用して、国内での、あるいは海外での削減の実を上げていこうということでございまして、
1つの例として、再エネ導入加速化プログラム、475億というものを挙げてございます。こういったもので、風力、地熱、バイオ、海洋エネルギー、これをしっかり普及させていくと。
下の四角で、地域から支えるというところをご覧いただきますと、グリーンニューディール基金と、地方公共団体と一緒に取り組んでいく予算として220億計上していると。
次、23ページでありますが、エルテックジャパン(L2-Tech・JAPAN)、こういったことで、Best Available Technologyを環境省が積極的に示し、それをさまざまな施策の、
言ってみれば標準に使っていこうということを今取り組んでいるわけであります。
以上の排出削減サイドの対策、ミティゲーションの対策とあわせて、IPCCの横浜での議論でもございましたが、これからはアダプテーション、適応が大事だということで、
緩和と適応の二本柱で対策を進めていく。そのために、この中環審の地球環境部会に、気候変動影響評価等小委員会をつくっていただきまして、来年の頭を目途に意見具申を頂戴し、
それに基づいて来年の夏を目途に政府としての適応計画をつくっていくという予定で進んでございます。
次に、資料の3-2でございます。
まず、1ページ開けていただきまして、国が実施する除染の進捗状況であります。2ページ目で示しておりますエリアが、国が直接除染を行う直轄除染のエリアでございます。
この11市町村ございますけれども、そのうち田村、川内、楢葉、大熊につきましては、昨年度末までに除染が完了し、田村では避難指示解除が4月1日になされて、
帰還のプロセスに入ってございます。そのほかの市町村につきましても、住宅の除染を中心に今、加速化策を講じているわけであります。
次に、5ページ目を開けていただきますと、主に市町村による除染が行われている状況でございます。一番上の丸をご覧いただきますと、汚染状況重点調査地域、
これが市町村除染の地域でありますが、現在、100市町村でございます。計画に基づく取組が進んでおりまして、一番下の丸をご覧いただきますと、
福島県内におきましては公共施設で8割、住宅で4割、道路で3割、福島県外では学校・保育園等がほぼ終了、住宅6割、道路9割という進捗率でございます。
1枚開けていただきまして、8ページ目、中間貯蔵施設でございます。除染に伴いまして放射性物質を含みます土壌、廃棄物等が大量に発生いたします。
現時点では、その最終処分の方法を明らかにすることが困難でございますので、最終処分するまでの間、安全に集中的に管理・保管する施設として、
中間貯蔵施設の設置が必要だということでございます。貯蔵するものとしては、汚染除去物と10万Bq/kgを超える放射能濃度の焼却灰でございます。
この中間貯蔵に入れる際に、可燃物は原則として焼却、焼却灰を貯蔵するということでございます。10万Bq/kg以下のものにつきましては、
富岡町の民間管理型処分場で最終処分する方向でございます。
次の9ページ目でありますが、どのような施設のイメージかということであります。貯蔵施設を中核に、
受入・分別、減容化、モニタリング、研究、情報公開、こういった施設の配置を予定してございます。全体のボリューム感覚でありますが、一番下にございますように、
1,500万?~2,800万?を予定しております。
この調整状況でございますが、10ページ目、平成23年10月に最初のロードマップで考え方を御説明させていただきまして、12月に8町村に要請と。
年が明けて24年の3月に3つの町、双葉、大熊、楢葉に分散配置する考え方を説明し、その後、調査を進めてまいったわけであります。
11ページ目でありますが、住民説明会などを経てボーリング調査を3町でやらせていただきました。その結果を御説明すると同時に、
25年の12月には双葉、大熊、富岡、楢葉に中間貯蔵施設、また、最終処分施設の受け入れを要請させていただきました。福島県内から大規模な輸送が必要でございますので、
輸送の検討もあわせてしてございます。
そうした中、今年になりまして、2月に福島県知事から、楢葉を外して、大熊と双葉の両町へ施設を集約してほしいという見直し案の申し入れがございまして、
この3月に2町に集約することを石原大臣から回答させていただいております。引き続き、議会あるいは住民の皆様方に対する御説明ができるように調整を進めてまいります。
次が14ページ、災害がれきでございます。今回、東日本大震災で被災いたしました13道県におきまして、災害廃棄物の発生量2,000万トン、
津波で打ち上げられた堆積物が1,000万トン発生したわけでございます。今年の3月末までの処理ということで、
3年間で処理するという目標を掲げて自治体とともに取り組んでまいったわけであります。3つ目のポチでありますが、
3県では、仮設焼却炉34基、破砕・選別施設24カ所の仮設処理施設を設置いたしまして処理をした結果、15ページでございますが、上のグリーンの棒グラフが災害がれき、
下が津波堆積物でありますが、福島県を除きまして、26年の3月までに両方とも処理は完了したということであります。
その過程で、16ページ目、全国の地方公共団体の皆様方に、地元の住民の方々も含めて御協力いただきまして、広域処理を並行して進めさせていただきました。
その結果、仮置き場の早期解消、あるいは目標の達成が実現できたというふうに考えております。御協力いただきましたのが1都1府16県で、91件の広域処理、
全体で63万トンを受け入れていただきました。
次、17ページでありますが、汚染廃棄物の処理であります。これは特別措置法に基づきまして、8,000Bq/kgを超える濃度レベルの廃棄物につきましては、
国が処理するということになってございます。
18ページ目には、そのうち災害廃棄物の処理状況ということで、福島県の状況を示してございます。このエリアにつきましては、災害廃棄物の処理も、特別措置法に基づきまして、
国が災害廃棄物の処理を行うという整理になってございます。仮設焼却炉の設置を含め、今、処理を急いでいるところでございます。
次、19ページ、関係5県における指定廃棄物、8,000Bq/kgを超える焼却灰等の指定廃棄物につきまして、20ページ、有識者会議を開催させていただいて処理の考え方を示し、
それぞれの県で市町村長会議を、それぞれ宮城、栃木、茨城、千葉、群馬で開催し、ちょうど千葉県で本日、第4回の市町村長会議が開催されておりまして、
副大臣、政務官、また廃棄物・リサイクル対策部長がそちらに行っております。
次の21ページ目、福島の状況でございます。処理をしております。
22ページ目以降が、東日本大震災以降の動きとして、南海トラフでありますとか首都直下型の巨大地震の発生に対して、日本としてどう備えていくのかという検討を進めてございまして、
廃棄物の観点から対策を今、検討してございます。
発生見込み量だけちょっと御紹介しておきます。
24ページでありますが、南海トラフの巨大地震では、災害廃棄物が3億2,000万トン、津波堆積物が約3,000万トン、首都直下型では、災害廃棄物が1億1,000万トンでございまして、
これは東日本大震災と比べますと、南海トラフでは、廃棄物が16倍、津波堆積物が3倍と、首都直下型では、災害廃棄物が5倍ということでございます。しっかり対応してまいります。
続いて、福島の健康管理の問題を簡単に御報告させていただきます。
27ページの一番上の四角をご覧いただきますと、国は、福島県が実施いたします県民の健康管理に関する事業のために、「福島県民健康管理基金」を創設していただいて、
そこに782億の交付金を拠出させていただいているところでございます。27ページの上をご覧いただきますと、この基金で全県民の放射線の推計調査、あるいは18歳以下のお子様、
36万人を対象とした継続的な甲状腺の超音波検査、また、安心・リスクコミュニケーション、こういった取組を今、福島県を中心にやっていただいております。
あわせて、福島県立医大に、放射線医学県民健康管理センターも設置をされました。
29ページでありますが、外部被ばくの推計結果でございます。そこにございますように、99.97%が10mSv未満、99.8%が5mSv未満、低線量という推計結果になっております。
あわせて、30ページでありますが、福島県におきまして、ホールボディカウンターで実測をしていただいております。今年の1月末までに17万8,630名の調査をしていただきました。
99.9%以上が1mSv未満、最大でも3.5mSv未満ということでございます。
31ページに、お子様の甲状腺検査の結果でございます。詳細は省きますが、この調査結果、32ページに調査結果が出ておりますが、23年度、24年度、25年度の中で、
一番右に、がん、ないしがんの疑いという事例が出ておりますが、全体、例えば合計で23万8,000余りの受検者数に対しまして、59といった頻度でございます。
これは次、33ページ、34ページに福島以外の状況をお示ししてございますが、大体同程度の頻度ということでございます。
35、36は国際的な評価の結果でございます。35がWHO、36ページがUNSCEARでございまして、それぞれ詳細は省きますが、福島での今回の被ばくは、
例えばチェルノブイリに比べても非常に低くて、多数の甲状腺がんが発生するような事態は避けることができるであろうというような評価結果になってございます。
少し長くなりましたが、以上でございます。
○武内会長 どうもありがとうございました。
それでは、これまでの谷津次官からの説明及び提出された資料につきまして、御質問、御意見があればお願いをしたいと思います。御発言のある委員は、
お手元の名札をお立ていただきたいと思います。恐縮ですけど、結構今日遠いので、私のほうに見えるように名札を立てていただけるとありがたいと思います。
○谷津事務次官 今、2つのテーマを御説明申し上げましたが、資料3-3で、それ以外の各局・部の課題についても資料を提出させていただいておりますし、
また、各局・部長が出席しておりますので、この2つのテーマに限らず御議論いただければと思います。
○武内会長 わかりました。
それでは、大塚委員、お願いします。
○大塚委員 どうもありがとうございます。温暖化に関して、1点は意見で1点は質問させていただきたいのですけども、1つは26ページでございますが、適応計画の策定なんですけども、
これに関しまして、既に御案内のように、アメリカとかイギリスではかなり前にできていますし、中国とか韓国もできていますので、日本の対応がやや遅れているところがあるかと思います。
私が特に気にしているのは、各省庁でおつくりになっておられるところが、お考えになっておられるところがあって、それはそれで、餅は餅屋でやっていただいていいんですけども、
進捗管理をしていただくような仕組みをぜひ入れていただきたいというのが1点と、それから、やはり対応が少し遅いような気がするので、
できるだけ早くやっていただけるとありがたいということを意見として申し上げたいと思います。
それからもう一つ、質問なのですけども、これは、5ページの累積的な排出量との関係のグラフというのは、今回のIPCCの第5次評価報告書の売りのようなところがあって、
非常に一般的によく知られてきていると思いますが、専門家の方に伺うと、やはりこれは突然出てきたものではなくて、第3次、第4次あたりでも考え方はあったんだけども、
今回非常に大きく取り上げられたというところがあるかと思います。
この累積排出量とほぼ比例関係にあるというのは、どのくらい重視をして対応しなければいけないかということについて、政府のほうでどうお考えか、
環境省でどうお考えかということをお伺いしておきたいところがございます。これ、非常に重視すると、本当にゼロにしなくちゃいけないということになりますし、私もそう思ってはいるのですけども、
特にこれから世界の各国との間でのシェアをどうするかというのが非常に厳しいことになってくると思うんですけども、その辺に関しての認識を共有しておく必要があるかと思いますので、
教えていただけるとありがたいということです。
以上です。
○武内会長 環境省からの御回答は、後でまとめてということでお願いしたいと思いますので、とりあえず質問、それから御意見を承りたいと思います。
細田委員、お願いします。
○細田委員 1点目は地球温暖化の対策で、3-3には資料で出ている地球温暖化対策のための税について質問させていただきます。
先日でしたか、何日か前に、日本経済新聞に特に取り上げられていて、段階的に引き上げていくのだけど、対策のための税が適確に使われているかどうか疑問が残るというような、
私は少し記事が一方的である、最近の日本経済新聞はかなりバイアスがかかっているというのが感覚なのですが、やはり環境省も適確に答える必要があるのではないか、
国民に対して説明責任がある。それに対してどう思われるか、どのように説明するのかということが1点目です。
それから、第2点目は、水俣水銀条約で、実際、早く対応しなければならないものがあるのではないかなというふうに感じておりまして、例えば、細かくなって恐縮ですが、
水銀血圧計、使われなくなった水銀血圧計が大量に今、医療機関にあって、それが知らないうちに紛失されている。かなり前、1年前くらいでしたか、多分そうじゃないかと思われるのですが、
江東工場の焼却場から水銀が出てしまって大問題になったということがあります。ぜひその辺の対策、早く打たなければいけないものに対しては、
適確な措置をしたほうがいいのではないかなと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
以上です。
○武内会長 ありがとうございました。
藤井委員、お願いします。
○藤井委員 中間貯蔵に係る経緯のところで伺いたいと思います。除染災害健康管理の11、12ページですね。私も環境保全の対策検討会に委員として入っておりまして、
大変大きな問題に関わってまいりました。楢葉を抜いて大熊、双葉という2つの町に設置候補地を2つに集約するという話が決まったことは報道で見ているのですが、
片側、仮置き場の状況が大変悪くなっている場合もあって、町によって、地域によって、本当にフレコンバッグの置き方が随分違うと思います。
平成27年1月から搬入という予定で全体のロードマップをつくったと思いますが、除染が進めば進むほど、その仮仮置き場というか、
置いている状況をどう片側把握しながらこちらのにらみ合いをしているか、大変難しい課題だと思いつつ、フレコンバッグも耐用年数がそんなにあるものではないというふうに思いますので、
その辺のところを少し聞かせていただけたらと思います。
○武内会長 ありがとうございました。
ほかに御意見、御質問のある委員の方はおられませんでしょうか。よろしゅうございますか。
(なし)
○武内会長 それでは、環境省からお答えをお願いしたいと思います。
○関地球環境局長 地球環境局長でございます。
大塚先生から御指摘の累積排出量の5ページのグラフでありますけれども、これは大変深刻なことをわかりやすく表現していただいているというふうに私ども受け止めております。
9ページに第3ワーキンググループの結果を書かせていただいておりますけれども、さらに詳細に分析をいたしまして、2℃目標を実現するためには、
2010年比と比べまして2050年に40%から70%削減が必要であって、2100年にはゼロかマイナスにする必要があると。より詳細な分析も出ておりまして、
全体としては当然IPCCの中で整合しているというふうに考えております。ただ、大変わかりやすくて、そういう意味では極めて重要であると、このように考えております。
それから、細田先生から温暖化対策税の使途について国民にもっと説明責任をと、全く御指摘のとおりでございました。今年度予算では1,100億円を超える予算を頂戴いたしておりまして、
これを温暖化対策のために、再エネ省エネ等々に使わせていただいております。主に地球環境局が使っておりますけれども、どういう効果があるのかということが大変わかりやすいものと、
なかなかぽっと見てわかりにくいものとどうしてもございます。なるべくわかりやすいようなもので、皆さんからいただいた税をこういうふうに使っているというようなものを数多くつくっていきたいと、
このように思っています。私が理解しております中で一番わかりやすいものは、長崎県の五島で浮体式洋上風力発電所というのをやっておりまして、
現場を見ていただくと、見た方が感動いたしまして、しかも大変将来に夢を感じて、実現可能性があるなと、皆さん思っていただいております。
ただ、わかりにくくても重要なものもありますので、そういうものはいろんな形でわかりやすく国民の方にお伝えしていくような努力をさらに一層強めていきたいと、このように考えております。
○清水総合環境政策局長 今の温暖化対策税の使い道に関して、総合環境政策局でもグリーンニューディール基金の事業を行っておりまして、
日経新聞でまさに取り上げられたのも私どもの予算でありますので、少し解説を加えておきたいと思います。
実は21年度に、グリーンニューディール基金で各県にいろんな環境対策をやっていただいております。実はこれは温暖化対策税ではなくて、一般会計の補正ということでありました。
当時は、地域振興とか産業振興なども含めて環境対策を講ずるという、そういう観点で行っていたものでありますので、あの新聞記事の中には、
地域振興などが入っていておかしいんじゃないかみたいな議論があったのですが、一般会計を使ったそういう予算が21年度でございましたので、
あの記事はやや誤解があるというふうに思っております。
それから、23年度以降が、これが温暖化対策税を使った自立・分散型の電源設備を、特に震災の避難所などを中心に置いていこうという、そういう政策であります。
こういう政策についても、透明性を確保するというのは大変重要なことでありますので、各県に評価委員会を置いていただいて、予算の執行についてはきちんとチェックすると。
そのチェック体制をつくった上で環境省にも評価の結果を報告していただくというような形で指導しておりまして、透明性を高める予算執行に心がけていきたいと考えております。
以上のようなことも含めて、よく国民に対してこの予算の使い方、チェック体制などを含め、きちんと説明していきたいと思っております。
○塚原環境保健部長 環境保健部長でございます。細田先生から2点目に御指摘ありました水銀条約関係のことでございますけれども、御指摘いただきましたのは、
東京都の江東区で起こりました清掃工場のトラブルの件だと思いますけれども、現時点で、原因がまだ明らかになっていないという段階でありますが、
東京都で血圧計等が原因ではないかということで東京都医師会に相談をされ、医師会が自主的な回収を進めているということで承知をしております。
水銀条約の関係で国内の担保措置をこれから検討していくわけでありますけれども、こうした取組も踏まえまして、関係省庁、このケースで言いますと厚労省になろうかと思いますけれども、
関係省庁ともよく相談をしながら検討を進めていきたいと考えております。
昨年の10月に条約が採択されたわけでありますけれども、UNEPも2~3年を目途に発効したいというような考え方をお示しされておりまして、
我が国もそのタイミングに合わせて検討を間に合うようにしていきたいというようなことを、内々、内部的に今、政府内でも相談をしながら進めておりますけれども、
ものによってはもう少し早いタイミングで対応していくということも必要かと思いますので、その辺も含めて広く検討していきたいと考えております。
○小林水・大気環境局長 藤井委員から御質問ございました仮置き場、あるいはフレコンバッグについて御説明をさせていただきます。例えば資料の3-2の3ページを見ていただきましても、
これは国直轄の除染の進捗を示したものでございます。11の市町村のうち、4つは計画どおり除染を終えたのでございますが、まだ残りが随分ございます。
しかも、数字を見ていただきますと、面積的には結構大きなところがこれから参りますので、除染の作業というのは大分経験を積んでまいりましたが、
量的には今年度から本当に正念場だというふうに認識しております。
そういう中で、仮置き場をしっかり確保して除染を進めてまいるわけでありますが、逆に仮置き場で管理するものが増えるということでございます。
国直轄の場合には国がしっかり仮置き場につきましては管理をいたしまして、これをチェックしてということは相当しっかりやっております。
見回りもし、安全の確保ということについてもしっかりやっているところでございます。
あと、市町村にやっていただいている部分が随分ございます。中間貯蔵に入れるのはこれで福島県の全体ということになりますので、全体を管理することが必要でございまして、
市町村が除染を行い、仮置き場あるいは現場保管という形で管理をいただくものも、しっかり台帳をつくって管理をいただくということをお願いしておりまして、
今また改めて福島県とも連携をいたしまして、どういう管理がしっかり行われているか、これからまだまだ増えてまいりますので、その進捗がどうか、こういうことも確認をしております。
それで、これをしっかりデータベースとして整理をいたしませんと、いずれ中間貯蔵に運ぶというときにいろいろ支障が生じますので、データベース化ということも考えております。
その中で、安全をしっかり管理していくということも、国がやる部分はもちろんでございますし、市町村がやる部分も県・市町村と連携をしてやると、この辺はしっかりやってまいりたいと思っております。
それから、今御指摘がありましたフレコンバッグの耐用年数、これも私ども気にして調べておりまして、
確かに環境省などがまだ乗り出す前の早い段階で一部脆弱なものがあったということも認識しておりまして、こういうものについては入れ替え作業を行っております。
それから、先ほど申しました全体のチェック、安全性の確認の中で、そういうことがないかどうか、あるいは積み崩れがないか、この辺もチェックをしながら、
無事に搬出できるというところまで持ってまいりたいと考えているところであります。
○武内会長 今村委員、お願いします。
○今村委員 私から、先ほど細田委員のおっしゃった血圧計のことに関しまして、水銀の、環境省からもう既にお答えのあったところですけれども、江東区の焼却炉の問題があった後に、
日本医師会でも、これはあのときははっきりと血圧計ということがわかったわけではないわけですけども、この水銀の廃棄について非常に問題があるということで、
環境保健委員会というのを日本医師会の中に設けておりまして、環境省とも密接にこの連携をとりながら、全国の医療機関に対して水銀血圧計の廃棄については、
取り扱いについて十分周知をしているところであります。それに基づいて、先ほどお話しあったような東京都医師会の独自の取組が行われたと。
ただし、これは全国的にこれからも起こり得るお話ですので、引き続き全国の医療機関に対する啓発は行っていきたいというふうに考えております。
○武内会長 どうもありがとうございました。
浅野委員、お願いします。
○浅野委員 ただいまの今村委員の御発言に関連することとしては、今後の検討の中で、PCBの入っている機器で、
もう使われていないものの回収をきちんとやるためのシステムづくりというものが急がれるだろうと思うんです。PCBは失敗をしているわけです。
これはPCB廃棄物からスタートしていますから、廃棄物にならないと手が出せないという状況で、結局ずるずる今まで来てしまっているのですが、廃棄物になる前であっても、
問題のあるものについてはきちっとチェックができるような体制をつくる必要があると思いますから、ぜひPCBの失敗を繰り返さないようにしていただきたいと思います。
それから、最近、中央環境審議会だけが独自で議論するのではなくて、他の審議会と合同で会議をするという機会が非常に増えていまして、
かつてに比べてこれがうまく機能しているということはそのとおりだろうと思うのです。昔は合同でやりますと、何かけんかするだけで何も決まらないという形で、
今は非常にそういうことがなくなって、お互いが協調してやれるということはいいのですが、ただ困ったことに、そのために非常に、その与えられたテーマの中だけで議論をすると。
そこで合意ができてしまうという傾向があるわけですね。例えば地球局もフロンでは合同でやっていますし、それから廃棄物関係についてはかなり多いわけですね。
みんなそれぞれのところのその枠の中ではきちんと合意ができていくのですが、広がりがなくなってしまう。
ですから、やはり環境省が1つの局にいる以上、事務方としてはパートナーの役所との間でここがおかしいといって議論を、
対立軸を見つけるようなことばっかりに情熱を燃やしているような面があるような気がするのです。そうじゃなくて、もっと環境政策全体を見渡して、
その観点からどうしたらいいのかとか、これとこれとこれはどうつないだらいいのか、ここでどういう、抜けている問題があるので、それをどうしたらいいのか、
その全体を見渡す目を環境省が見失ってしまうといけないと思うのです。現在の環境省は、どうしても仕事が各局、各課に分散してしまって、そこで全部自己完結的に進められているので、
全体を見渡すということがほとんどできていないような気がします。そのためにあちこちに漏れがあるとすれば非常に大きな問題があって、せっかく合同会議をやっていい面があるのですが、
逆にそれが裏目になって問題点が消えてしまう、あるいはつながなければならないところがつながれないということが起こってしまうのです。
これは部会長としての責任もありますから、折に触れ発言はしているわけですけども、ぜひ考えていただきたい。
1つ例を挙げますと、フロンと温室効果ガス対策というのは非常に重要でありますし、比較的やればうまく効果を上げることができるということですから、きちんとやればいいのですけども、
実際やってみますと、家電系のものについて、法制度に穴があいているということがわかったんですね。そのことを全く知らないでフロン法の改正をやっていますので、
家電はもう全部そっちでできるものと思い込んで、穴あき状態が起こってしまっている。じゃあ、これはどこが担当するのかということになると、環境省の中でも、関係するところに話を持っていくと、
うちじゃありませんと、こういう話になるわけですが、うちじゃありませんと言わないでうちがやりますというふうに言ってもらわないと話が先へ進まないんですよ。
ですから、とにかく縦割りで自分の枠の中だけで物事を済ませようという発想を極力避けて、関係するところときちんと協議をして、両方でやりましょうみたいなことを言っていかないと、
何しろ相手は強大な役所で、徹底的に縦割りの役所ですから、それと同じような形で、カウンターでこちらが縦割りでやっている限り、全然環境政策が進まないということも起こりかねないので、
これは実際体験をしながら感じていることですから、総会の場ですから、ぜひよろしくお願いしたいと。それぞれの部会でもまた、
それぞれの部会長としての責任を果たしていくつもりでありますけれども、一言申し上げたいと思って発言いたしました。
○武内会長 どうもありがとうございました。
環境省から何かございますか。
○塚原環境保健部長 環境保健部長でございます。御指摘ありがとうございます。十分肝に銘じて対応させていただきたいと思っています。
審議会レベルの行動というお話が、今、浅野先生からございましたけれども、役所間でも関係府省との連絡会議でありますとか、それから省内につきましても、
関係各課の検討チームを設置しております。省内で言いますと地球環境審議官に、チーム長になって仕切っていただいておりますので、そういった場も活用しまして、
漏れのないように検討を進めていきたいと考えております。
○谷津事務次官 浅野先生の御指摘でございます。まず1点目の廃棄物になってからでないと制度に乗ってこないということを繰り返すべきではないという御指摘はそのとおりでございまして、
しっかり製品の使用段階でどういう対応をとるのかということも含めて考えてまいりたいと思います。
それと、環境省が縦割りでどうするのだという御指摘がございました。これも本当におっしゃるとおりでございまして、改めてしっかり対応してまいりたいと思います。
○武内会長 どうぞ、河野委員。
○河野委員 浅野委員の御発言に関連して、私も少し意見を申し述べたいと思います。何についてかというと、審議会の運営方法についてなんですけれど、私は地球部会にも属しているんですが、
急に思い出したのですが、去年のCOP19に出す削減目標をめぐる議論というのは、結構、地球部会と、あと産構審と合同部会でやっておりましたが、
結局、水面下では経済産業省と環境省がずっとするどく対立をして、それがもつれ込み、8月中に決めるはずだったのが決められずずるずるいき、だけども、そういう部会の場では一切意見の対立、
どうしてそう考えるのかということは表に出ず、なぜ出ないかというと霞が関の常識としては、Aという省とBという省がこういうふうにけんかしているということを出すことはあり得ない、
政府は1つだからという、そういうことのもとで出てこないということが続きました。
私が思うには、その審議会の意味というのは、審議会を開くことで事務局の皆さんがかなり、徹夜というか大変な思いをして資料をおつくりになる。
審議会を開かれると同時に資料がオープンになることで、より多くの国民がその資料を見ることができて、なおかつ審議も聞きながら、あるいは議論もできるという、1つ情報公開みたいな、
国民的な議論を巻き起こすという意味があると思うんです。そういう意味から言うと、地球部会の人数がまためちゃくちゃ、合同部会なのですごく多くて、
めちゃくちゃ多い中でろくな議論もできないということもあると思うので、それで、私自身はずっと温暖化の交渉というか気候変動の交渉を、
2005年からつぶさに現地にも行って毎年見ていますけれども、かなり来年の3月末までにできる国は出す。日本が出せるのかというと、
非常に危機感というか、出せないんじゃないかとひそかに思っているんですけれども、さっき縦割りの話がありましたが、環境省内の縦割りだけでなくて、
政府部内の経済産業省と環境省の縦割りみたいなものってなかなか悪くなっていて、それぞれ交渉の場とかそういう場にも、それぞれがそれぞれ出すものだから、
国民の税金の無駄遣いにもなるし、中の議論も十分できているのかというと、非常に疑問に思うところもあるんですね。
ですから、今後、審議会をやる上で、もちろん合同で、意味のない対立をするのではなくて、お互いにいろいろ検討していくということが重要なのですが、
それ以前に、それだけではなくて、また地球部会の、中環審としてもまた開く必要があれば、それはそれで別途開いて、十分議論を積み重ねて、
それで産構審側とも話をするみたいなダブルの構造をするとか、そうしないと何か結局何のために審議会に出ているのかという、何も意味ないじゃないかと。
単なる時間の無駄遣いみたいな気がどうも私はしてなりませんので、その中央環境審議会のあり方、これから非常に、2014年、15年、大事なフェーズになってくるわけで、
どういう運営をしたらいいのかということも、私ども委員の責任でもあるので、当然ながら事務局の皆さんも十分に考えて、国民全体がいろんな議論、
いろんなデータを見ながら議論ができるような形でやっていただきたいと思います。
○武内会長 ありがとうございました。
何かございますか。
では、関局長、お願いします。
○関地球環境局長 ありがとうございます。審議会の場でも地球環境部会の場でも、辛口のコメントをいつもいただいておりまして、大変ありがとうございます。
御指摘、一々ごもっともでありまして、私どももなるべく無駄をなくして意味のある議論をしたいと考えています。職員も大変へとへとに疲れておりまして、ただ反省を込めて申し上げますと、
なかなか、それぞれ環境省は環境省の立場で温暖化対策を一歩でも進めたいと。ただ、それぞれ司、司でありまして、立ち位置が違いますとプライオリティの置き方が少しずつ違ってまいりますので、
そこで縦割りは縦割りでありますけれども、国全体としてベストなものになるような意見調整をするのにどうしても時間もかかります。
合同の審議会の場でも、委員の先生方、それぞれ意見が当然異なっておりますので、ただ最後は国全体としてこの時点でベストなものにしたいということで、
御意見を参考にさせていただきながら、一歩でも二歩でも改善するように頑張ってまいりたいと思っております。
○武内会長 どうもありがとうございました。
まだ御意見があろうかと思いますが、もう一つの議題もございますので、この辺で議論を終了させていただきたいと思います。環境省におかれましても、
本日の御意見を参考にしつつ、施策を進めていただければと思います。
次でございます。資料3-4の低炭素社会・循環型社会・自然共生社会の統合についてでございます。これについては、一昨年4月に閣議決定された第4次環境基本計画において、
持続可能な社会を構築する上で安全の確保を前提に低炭素・循環・自然共生の各分野を統合的に達成するという方向性が掲げられたことを踏まえ、
環境省内でいろいろと検討が進められておるところでございますので、そのことについて皆さん方からの御意見を伺いたいと思います。
まず、説明をお願いいたしたいと思います。
○清水総合環境政策局長 総合環境政策局長の清水です。私からは、資料3-4のというものを使って、環境省の今行っています検討と、それから既存の環境基本計画などの関係について、
御説明をしたいと思います。
その上で、現在、環境省の中で、低炭素・循環・自然共生施策の統合的なアプローチを、プロジェクトチームなどをつくりながら検討しておりますので、
その責任者である中井環境政策官からさらに御説明をしたいと思います。
まず、資料3-4のでございますが、これが左側に環境基本計画などの既存の計画の考え方を枠で囲ってありまして、
右側に今回の環境省で行っている検討で目指すべき社会像・戦略などを左右対比した形での資料をつくっております。
まず、左のほうでございますが、今、武内会長からも御指摘ありましたが、24年に策定されました第4次環境基本計画におきましては、持続可能な社会として、「安全」を前提として、
「低炭素」・「循環」・「自然共生」が統合的に実現された社会を実現するということを規定したわけであります。
こういった記述は、これまで下のほうに、これまで類似の基本計画がございました。例えば第1次基本計画の中の長期目標とか、あるいは第2次基本計画、真ん中ぐらいに書いてありますが、
ここで環境面、経済面、社会面を統合させるというような政策領域での議論を経て、さらには、平成19年に、21世紀環境立国戦略という形など、
こういった考え方を発展した形で出てきたものであります。
こういった考え方を、一番下にピンクの枠で囲んでおりますが、地域に落とし込んだ考え方といたしましては、循環型社会形成基本計画の中では、「地域循環圏」というような考え方。
あるいは、生物多様性国家戦略の中では、「自然共生圏」というような考え方も出てきたわけであります。
こういった従来の環境基本計画の考え方に対応した形で、環境省においてはプロジェクトチームを設定して、低炭素・自然共生・循環の統合的アプローチを検討しているわけであります。
今回の検討の概要、右のほうに書いてございますが、まず、目指すべき社会像といたしましては、こういった4次計画の低炭素・循環・共生が統合的に達成するというような理念に沿ったビジョン、
後で御紹介しますが、環境・生命文明社会というような形で打ち出しております。
次に、施策を展開する際の重点事項と書いてございますが、ここでは環境問題と同時に、例えば少子高齢化でありますとか、人口減少でありますとか、地域経済の衰退など、
現在の日本が直面しているようなさまざまな経済社会的な問題を同時に解決できるような形で意識した政策を検討しようという、そういう問題意識で書いております。
これは第2次計画の中で、環境面、経済面、社会面を統合的に向上させるというような考え方に沿った形、その時点での問題意識をさらに発展させたものというような位置づけができるかと思います。
また、施策の構成要素も分野横断的・統合的な考え方を極力採用した形で検討しております。
要すれば、今回の環境省における検討は、従来の環境基本計画などの考え方を踏まえ、さらに統合的なアプローチで発展させることを狙ったものでありますので、
こういった考え方のもとでどういう形で戦略をつくり、どういう形で地域に落とし込んでいくかという検討の内容については、引き続き、中井課長からよろしくお願いします。
○中井官房秘書課長 秘書課長兼官房政策官をやらせていただいています中井でございます。座って御説明させていただきます。
資料3-4の2つ、ととございます。のほうは参考資料ということで、で掲げてございます問題意識、現状把握についてのバックデータでございます。あわせてご覧いただきながらと思います。
の「低炭素・循環・自然共生施策の統合的アプローチによる社会の構築(案)~環境・生命文明社会の創造~」という表紙をおめくりいただきたいと思います。
今、清水局長から御紹介ございましたように、24年に4次計画を策定いただきました。そこで低炭素・循環・自然共生の統合ということが明確にうたわれ、
また、その前の段階から、2次計画において環境政策というものが経済面、社会面と統合的に全体として機能するのだという御提言がある中で、
いわばこれは環境省としても非常に悲願でございました地球温暖化対策税、これが24年10月から導入されるというところで、政策のツールが非常に広がってきている状況があったと。
この予算ということから申しますと、エネルギー特会の規模も、当初環境省の400億弱の規模から、実は26年に、先ほどございましたけど、1,100億規模というところに至ってございます。
このような予算、これをいかに有効に使うかという御指摘がまさしくある中で、環境省としてもこれはやはり本気に、今、もちろん除染であるとか東日本の震災の後の津波の対応とか、
そういうものの対応ということで、悶絶しながらやってきた歩みの中で、温暖化対策税収というもの、千載一遇の政策ツールもいただくというところで、貴重な環境基本計画の御指摘を踏まえて、
これは本気に政策展開するんだというところの思いを、実は水面下、昨年から省内にチームをつくりながら、それこそ横断的な視点で検討を進め、
実は今日御紹介させていただく基本的な構想の萌芽みたいなものは、26年の予算に既に生かされているというような状況でございます。
そういう背景のもとで、1ページ目でございますが、持続可能な社会というテーマで、持続可能性ということでずっと来ているわけですけども、一言で突き進みますと、
安全・安心を基盤にした循環・低炭素・自然共生、この3つの同時統合、統合的達成というところが究極の持続可能な社会であろうと。
これを環境・生命文明社会という、新しい、持続可能な社会とイコールでございますけども、そういう形の名前をつけてもいいような段階に立ち至って、
そういうことから政策展開を広げられるような手段も今やできてきたと、こういうことでございます。問題意識としては、これはもう中環審が明確に認識している問題意識でございますが、
エネルギー、枯渇性のエネルギー・資源の大量生産・大量消費の社会が、自然の物質循環、生態系の均衡を不可逆的に損なっているという強烈な問題意識、
温暖化の先ほどの報告にあるような持続可能を阻害する状況になっていると。本来持つ恵みと強さを喪失していると。こうした中で、やはり自然の循環の健全性を保ち、
同時に自然の循環の力をうまく利用させていただくという視点が不可欠になっている状況であると。
一方で、世界に先行して日本においては、本格的な人口減少、少子高齢化に突入しておりまして、あらゆるもののシステム対応というものが問われていると。
また、その医療費の問題を初め、いかに健康に人生を全うするかというところの「健康寿命の延伸」という課題に差し当たっていると。
また、経済という局面を見ますと、長い間のデフレということが今、やっとその脱却への道が見えるかどうかという局面でございますが、震災以後、特に化石燃料の大量輸入による資金の流出、
長きにわたる地域経済の疲弊、少子高齢化の中で農林業の後継者の不足等、非常に経済問題としても根本的な対応を迫られるという状況の中でいろいろやってきた結果として、
国家レベルでは1,000兆を超える財政赤字の深刻化というところで、経済力の陰り、国際的なプレゼンスが下がっていくという、今までどおりのままではいかんという中で、
今どうやるかということがまさしく政府全体でも問われているという状況です。
それで、これは1つ大きなポイントとして、震災、東日本震災というものを風化させることなく、大きくは日本の転機として捉えるということは、これは環境政策の大きな柱ではないかと。
東日本震災を契機にコミュニティや人と人とのつながりの重要性、こういうもので、やはり量から質への転換が問われるという局面に、まさしく我々は立ち至っているということでございます。
こういうことから言って、やはり新たな持続可能な成長、持続可能な社会ということでずっとやってきておりますけども、1つ、やはり3つの社会、3つの統合ということ、
究極でいくべきところは、あるべき社会像というものをしっかりと打ち出すということかなという問題意識でございます。豊かな環境という基盤の上で命と暮らしが調和する、
また、人口の減少の局面という、世界人口がまだ2100年に向かって上昇していく中、日本が先駆的に人口減少、少子高齢化に立ち至っているような、
これは大きな世界の転換期の中の日本の立ち位置ということでは、世界へ発信するという視点からも文明論的な視点に立った
「将来に亘って続いていく持続可能な社会」を求める絵姿が求められているという、こういう問題意識でございます。
そうした中で、22世紀、今は21世紀の14年ということでございますが、22世紀に向けるような、人々が充実した暮らしを享受できる本格的なビジョンというものを骨太に、
中環審の先生方の知恵をいただきながら、環境省としても推し進めていきたいということで、環境・生命文明社会と書いてございますが、それは目指す社会の絵姿というようなことで言えば、
やはり地域ごとに多様な自然の循環がもたらす再生エネルギーや地域資源が非常に循環していく真の循環型の社会であると。
森、里、川、海といった生態系のネットワークが豊かで、自然環境が良好に創出されているというようなことが達成されるのをどう実現していくかということが問われる。
そうしたものは、低炭素・循環・自然共生が統合的に達成された社会ということが言えるであろうと。
また、経済の局面から言いまして、海外からの依存というものは、資金の面からも、海外に出ているものをいかに国内地域の中で回していくかという、
国内地域の経済循環というものがより拡大している世界、自立・分散型のエネルギーということをベースに、そういうことが可能になるであろうと。
また、人と自然の関係において、これはまさしく生態系の中の人間も自然の一部だというのは、これは日本人がもともとアイデンティティとして持っている自然観、
そういうものに基づいて、心豊かに健康で快適な暮らしを送れていると、そういう社会を何としても少子高齢化の中で実現していきたいと。
そして最後に、世界を先導するビジョン、今、これから日本で展開していくようなこと、また、日本の最先端の環境技術を展開していくということで、
技術に合わせて社会のコンセプト、そういうものも展開していくというようなことが、まさしく次のステージであろうということで、
次のページでは、低炭素・循環・自然共生の統合的なアプローチの具体化ということで、目標として、「良好な環境」を基盤として、現下の国民的諸課題を解決しつつ、
将来にわたって充実した暮らしができる社会を目指すというふうに目標を掲げてございますが、それをいかに政策展開していくのかという視点で戦略を例示してございます。
一番下に矢印が、太い矢印の手前に上向きの矢印で書いてございますが、まずは、これは4次計画でもしっかりとうたっていただいたような、安全・安心という基盤があろうということなんですが、
これは放射性物質、化学物質、不法投棄対応であったり、さまざまなこと、水俣、公害の健康への対応であったり、震災の後の除染等、こういうようなものに、まさしく環境政策として、
逃げないで真正面に時間をかけ、本当にやってきていると。そういうものを踏まえるからこそ、やはり次の社会というものが、もう二度とこういうような苦しいことが起こらないようなということを、
本気で前向きな政策を展開していくということで、戦略を立てていくという発想でございます。
5つほどになってございますが、左から、地域経済循環の拡大、これはミクロベースで、地域という視点で、先ほどの問題意識でも言いましたような地域資源を有効活用し、
自立・分散のエネルギー、また、地域資源が有効活用される中で経済が活性していくということを目指す戦略。また、グリーン経済成長の実現ということで、これはトータルで、
マクロベースで環境のグリーン化と、経済のグリーン化ということの視点を捉え、投資であったり、貯蓄の活用、さまざまいろいろな施策をマクロとしてもきっちりやっていくという、
資金の投資への配分とかいうことも含めてやっていくと。真ん中は、健康で心豊かな暮らしの実現ということで、自然の恵みを受けて豊かで健康に暮らす、まさしくライフスタイル、
それを可能とする社会のシステムと、こういうようなところを具現化しようという戦略。次には、技術です。この技術も、あるべき社会論からバックフォーキャストで、
資源制約を前提とした中で豊かに暮らせる技術というものを目指すと。一番右が、そういう日本の知見、技術、そうしたものを世界に、アジアに打って出るというものでございます。
そういう形で、一番下で具体的アプローチといたしまして、「低炭素生産性の向上」などの供給サイドの施策との相乗効果を発揮しつつ、こういうような基本戦略の中で、
「環境付加価値」というものを投資・消費に対する需要を喚起し、「良好な環境」の創出により国民の生活の質の向上をしていくということです。
社会システム・ライフスタイルという1つの軸と、技術の開発という2つのイノベーション軸を展開してまいりたいと。
また、地域から世界までということで、足元の地域から地球全体のところまでを視野に入れた施策展開ということがあるだろうということで、次のページをおめくりいただきまして、
これは今の文章を図式化したものでございます。低炭素・循環・自然共生の統合的アプローチで、我が国が直面する課題を解決すべく、
「社会システム・ライフスタイルイノベーション」という、この十字のバツの縦軸の下のほう、社会システム・ライフスタイルイノベーションという基軸と、
上の技術イノベーションという基軸、この2つの軸を右側の日本の地域づくりに生かすと。また、左側の、それをアジア、世界に出していくと。こういうことで展開していくという発想でございます。
その中で、この軸の中に、先ほどの5つの戦略を位置づけてございます。真ん中にグリーン経済成長というマクロで経済を捉える視点、
そして地域経済循環の話は、そのミクロの話は右側にございます。それで、健康で心豊かな暮らしの実現ということ、社会システム・ライフスタイルイノベーションの基軸に沿った形での展開、
また、技術ということで未来を支える技術の開発・普及という展開、左の緒言では、環境外交を通じた22世紀型パラダイムの展開というものでございます。
こういうもので、今日は個別の施策の中身までは御紹介できないのですけれど、こういうようなものを、さらにこの戦略を、具体的な施策を充実させて、
いろいろな目標を持ちながら力強く施策を展開していくということをもってして、低炭素・循環・自然共生の統合的達成と、環境と経済と社会という3統合と、この話を一緒に解決するべく、
力強くやっていくという、大変壮大というか、力がこもっているんですけど、これを何とかしていきたいと。そのための政策手段もいただいたという発想でございます。
参考イメージということで、22世紀の新たな社会像のイメージ(地域循環共生圏)と。先ほどの清水局長の御紹介もございましたように、循環型基本計画であるとか、
生物多様性国家戦略で、既に地域循環圏、自然共生圏という提言をいただいてございますが、これもあわせたような地域循環共生圏というイメージですね。
森、里、川、海という土地の現象の中で、農村、漁村、都市と、それぞれが自立・分散的に地域循環していくというものが、かつ、それぞれの特色の中での循環があり、補完し合うという、
そういうイメージをここには掲げておりまして、さまざまなこういうイメージに沿った、これを具現化するための各種の計画の調整であるとか、さまざまな展開が可能になっていくということでございます。
説明は以上でございます。
○武内会長 どうもありがとうございました。
今日は、先ほどの議論の中でも出てまいりました、環境省の中での施策の間がかなり縦割りになっているというようなことを少し問題視して、事務局の側ではより統合的なアプローチで、
かつ、より理念的な検討を進めることによって大きく政策を前に進めていきたいということで、これは事務局で作業をしていただいておりまして、
その一部については今年度の予算の中にも反映しているわけですけれども、やはりこの問題については、中央環境審議会として、やはりきっちりと議論をさせていただきたいということで、
この場に出させていただいているということでございます。
時間もあまりございませんけれども、皆さんからの御意見をいただきたいと思います。
藤井委員、お願いします。
○藤井委員 先ほど数字の中で、地球温暖化対策税が1,100億になったという話がありました。かつて竹下総理のとき、3,300集落あって、
どの町も市町村が1億で地域の再生をという話がありました。今、1,700くらいの集落になっているので、
これは1,700億円になったらば各市町村に地球温暖化に向けての知恵比べをせよというふうになったらいいなと思いながら、今お話を伺っていました。特に少子高齢化についても、
先ほどのIPCCの報告を見ても、地球温暖化が待ったなしの中で、実はもう地域は、少子高齢化はもうとうに進んでいる、
過疎化もとうに進んでいる、そんな中でもこの地域に住み続けたいという人たちがいろんな知恵比べをしているわけです。この地域経済循環圏なんていうのはまさにそうで、
自分たちの地域にあるシーズをどう生かしながら、地域の中で経済が回るかということをやっていますので、
ぜひその地域の知恵をどういうふうにとりながら具体的なイメージをつかむかということをぜひ取り込みながらこの理念を形にしていくということを強く、早くやっていただきたいというか、
ともにやっていかなければいけないという印象を持ちました。
○武内会長 ありがとうございました。
中杉委員、お願いします。
○中杉委員 ありがとうございます。少しコメントということでございますけども、これ、安全を前提としてと、私は主に安全のほうを担当しておりますので、
安全を前提として簡単に切り捨てられているような感じがいたします。基本的には、低炭素・循環・自然共生というと、どこの局かなというのは思い浮かぶ話で、
私のおつき合いしているところは安全を前提としてそこで決めるから、あとは引き受けてやりなさいよというふうに捉えてしまうような感じがいたします。
多分この安全というのも、全国一律というのが基本なのかもしれませんけども、その地域地域のものがあって、地域の循環という話のようなことを考えると、
それぞれ、それぞれの場所で特徴があるわけですね。そういうことまで含めて考えていく必要があるのだと、そこのところがこの中では少し抜けているのかなと。
具体的な例を言いますと、物質の循環、循環という言葉を使われているという中では、物、マスとしての物質の循環じゃないですけども、1つの例を挙げると、元素としての循環というものを少し、
ものを見ていかないと、安全のほうは立ち行かないし、経済圏としても、例えば農業生産でいくつかの例を挙げると、農業生産で、肥料で投入をしなきゃいけない。
それで家畜が排せつして、それを肥料にして、それを環境にまた出してという流れの中でいくと、それをうまく循環しないといけないわけです。
でも、日本の国内で、かなりの地域ではその循環がうまくいかないようになっている。そういうところをどう考えているか。それは結局、湖の富栄養化とか、それから地下水汚染だとか、
そういうものにはね返ってくる。そういうところも踏まえて少し考えていく必要があるのではないか。これをどう入れるのかはなかなか難しいと思いますけど。
特に安全の部分は、私も環境基本計画で化学物質のリスクの担当をさせていただいて、その点検の取りまとめをしようと思っているのですが、
これは環境保健部会の担当なのですが、実は環境保健部会だけではなくて水の部会もあるし、大気の部会もあるし、循環の部会もあるし、それから土壌農薬部会もある。
この全部が関わってくるわけですね。これらを全体に統合してやらなきゃいけないというので、私も今、環境保健部会長として、どういうふうに全体で意見をまとめるか苦慮しているわけですけども、
そういうところを、どこが議論するんだろう。環境保健部で、それを全体として統括して見ていくというわけには必ずしも今なっていない。先ほど浅野先生が言われたとおりだろうと思います。
そういうところをこの中で少し組み入れて、安全の部分についても同じようなことができるような形でしていただければというふうに思っております。
○武内会長 ありがとうございました。
大塚委員、お願いします。
○大塚委員 どうもありがとうございます。3点ほど少し気がついたことを申し上げたいと思いますけども、大変おもしろいと思いましたが、
1つは、環境、経済、社会の統合というのは割と出ていると思うんですけども、低炭素と循環と自然共生の統合というのが、僕はあまりきちんと出ているとは思えないところもあって、
例えば低炭素と循環と統合ということだと、卑近な例ですみませんけど、例えば印刷してある紙のリサイクルをどこまで白くするかというようなことで、緊張関係にあるわけですね、場合によっては。
あまりリサイクルを過度にやり過ぎるとエネルギーを使い過ぎるというような問題もありますし、
それから、低炭素とそれから自然共生との関係だと、低炭素はちょっと、私もさっき申し上げたことと関係しますけど、適応の問題というのはまさに自然共生と大きくつながる問題ですので、
待ったなしでやらなくてはいけないと思うのですけれども、そういう連携の話があまり出てきていないような気がして、ぜひそういうところも書いていただければ、
あるいは入れて検討していただければというのが1点。
それから、もう一つは、今、中杉先生がおっしゃったことも若干関係しますけれども、安全・安心という話は結局汚染の話なのですけれども、ですから公害の話だということになりますが、
汚染に関しての問題が、3つの社会の統合というところに入ってきていないということで、汚染は、それはなくせばいいから当たり前なのかもしれませんけども、
今、放射性物質に汚染された除染とか、あるいはPM2.5とか、まだ問題になっているわけですので、汚染に関しての目標というのは恐らく非悪化ということだと思うのですけど、
悪化させないということ、あるいはよりよくするというところにあると思いますが、非悪化原則というのはヨーロッパでも結構言われていますけども、
そういう考え方をやはり汚染に関しても出していかないと、3つのことだけでいいのかという問題はあるのかなというのが2点目でございます。
それから、3点目として申し上げたいのは、この議論をすることによってどういう効果を考えておられるかというところは検討していっていただくといいと思いますが、
例えば直ちに出てくるようなのが、循環と自然に関しては基本法があるけども、低炭素に関してはまだできていないというような話が当然出てくると思いますし、
先ほどの御議論でもあったと思いますけど、高齢化社会とか人口減少とか、あるいは財政赤字の話も出ていたと思いますけども、恐らく日本が今一番直面している重要な問題が、
当然、環境問題を考える上でも重要になってくるという視点は大変重要だと思いますので、中央環境審議会としてもそういう狭い意味の環境問題だけではなくて、
日本がこれからどうやって持続可能な社会をつくっていくかということに関連する発言、発信をしていくべきだと思っておりまして、この点もどんどん進めていただければ大変ありがたいと思っております。
以上です。
○武内会長 ありがとうございました。
細田委員、お願いします。
○細田委員 この資料3-4のというのは非常によくできていて、私はすばらしいと思います。ただし、ここに書かれていることを、私は環境省の一人一人の職員に共有していただきたいと思うんですね。
その心はこうです。確かにここに書かれてあることはいいのですけれど、例えば日本国内で資源循環しようと思っても、非常に制約があってできないとか、
一方、スクラップ、雑品はという形で、非常に重要な静脈型の資源が流れていってしまう。一方で、逆に途上国は、途上国から日本にスクラップとして輸出したい。
その途上国は、これはもうバーゼル対象外ですと言って環境省に持っていくと、バーゼル対象外であるというお墨つきを持ってこいなんて馬鹿なことを言われてしまう。
そうすると、せっかく日本で、低公害で資源循環ができるのに、それを阻害しているのが環境省だということになるわけですよ。
ですから、私の言いたいのは、ここに書いてあることを一人一人の職員が共有して、本気でこれをやるんですね。そのためにやっぱり自分も責任をとって、ある程度のリスクを冒して、
ある程度ここは規制を緩和しましょう。実は環境省もバーゼルに関しては、認可する前に期間が物すごく短縮されたんです。それは非常に、私は評価しております。
だけど、もう一歩踏み込んで、ここに書いてあることを実施するためには、一体何が必要なのかということを、本当に皆さんで議論していただきたい。これが私の強い願いです。
以上です。
○武内会長 ありがとうございました。
住委員、お願いします
○住委員 非常に野心的な案だと思うのですが、この中で、実は環境省が、ある意味で日本とか世界の社会全部に責任を持つと宣言しているようなものなのですね、これは。
そうすると、それに向けて払うべき部分も非常に大きいということを理解していただきたい。
それはどういうことかといいますと、例えばいろいろな観測データとかいろいろなデータとか、そういうものがやはり絶対的に必要になってくるのですね。それで、従来、環境行政というと、
狭い範囲内に閉じこもった部分が、多分どんどんもっと広がっていくと僕は思います。そういうところの部分を、
やはりきちんとデータとしても持っておくような覚悟が必要になってくるのではないかなと思います。
一例を申しますと、今、GOSAT、それからGOSAT-2、人工衛星を使って、CO2を含めてそういうのをはかるということを環境省が始めています。
従来、地球環境衛星というのは、文科省の、NASDAのいわゆる開発のものとして始められてきた部分があるのですが、どんどん実用化という形になってきた中で、
環境省がやっぱりそういう、割と基盤的なデータなんかをきちんと維持していくという責任が出てきますので、そういうことの部分、
それから、あとはいろいろなモニタリングだとかさまざまなデータベースなんかを維持していくこと、それから、それを大量に配っていくような、リアスがいいかどうかは別としても、
そういう大きなデータセットを社会に配っていく、そういうようなファンクションを環境省がやっぱり維持していかなきゃならなくなるような気がしていますので、
その辺のことをよく考えると、本当に日本、環境・生命文明社会全体を支えていくんだと思うならば、それに必要なインフラが結構あります。
お金がかかって、さしてみんなやりたくないようなものがいっぱいありますが、それをやはりぜひとも考えていただきたいのと。
それから、このタイトルを見ますと、加藤三郎さんの顔がぱっとちらついてきて、何かそういう気分になります。ということはどういうことかというと、
やはりNGOとかNPOとか、従来と違うエージェントの人を入れ込んでいくようなストラテジがやはりいるのではないかなと。
これですと従来の行政というフレームワークだけでやっている感じがするのですが、加藤さんも長年言っていらっしゃることもありますし、
何かその辺もうまくやったらいいのではないかなと、これは単なる感想ですが、以上です。
○武内会長 浅野委員、お願いします。
○浅野委員 これまでの環境基本計画で考えてきた流れをずっと追っかけていって、今日の課題を整理するとこんなことになるだろうという整理を示されたわけで、
これはこれとしてよくわかるわけですね。ただ、環境基本計画は閣議決定されるもので、政府全体が取り組むという基本があるわけですね。
その点がこの環境・生命文明社会の創造に向けてという環境省のペーパーになると、にわかに環境省の中だけでできることを一生懸命整理してみようという色彩が若干あって、
このままでいくと、せっかく環境基本計画の持っている力強さが、すっと抽象化されて、ソフト面だけが協調されるということになっては困るので、さらにこれはこれからきちんと議論していって、
この部分はどこにお願いすると、どこにきちんとやってもらうと、どういう政策にきちんと中に入れてもらうというような発信までやっていかないと、下手をするとまずいということになる可能性がある。
非常によくまとまっているだけに、怖いものがあるなと思って聞いていました。ですから、ぜひ、これは完成品が出たのではなくて、中環審でこれから議論してくれという趣旨でしたから、
しっかりと会長のもとで議論していく必要があるだろうと思います。
細かいことは、ない物ねだりみたいにあまり言うのはもうやめておきますけども、1点だけ少し気になりますのが、安全ということでさっき中杉さんが言われたのですが、
このペーパーの中では、健全な国民生活の基盤確保という形で基本戦略のところにずっとできて、ただしやはりひっかかるのは、
水俣病問題や除染などの困難な課題が生じたことにずっと取り組んできた経験を踏まえてというのが、きちんとやったことを生かしてという心意気で書かれているのなら若干問題ですね。
失敗の経験をきちんと生かさなければいけないと思う。
つまり何かというと、リスクをきちんと認識するとかリスクをきちんとコミュニケーションするということに失敗してしまったのですよ。ですから、全く理解されないままに余計なことをやらされてきたのが、
このテーマだと思う。その辺のところの認識を持たなければいけないので、公害問題のときと大分違ってきたのはそこではないかなとつくづく感じていて、とにかくがれきの処理で、
住民との対話集会でどつかれた人間としては、つくづくそれを思うわけです。ですから、その辺のところはこの中にきちんと入れておかなければいけないので、
美しいことばかりが書かれているというんじゃない、それは十分わかって書かれているのだろうと、一言申し上げておきたいと思います。
○武内会長 ありがとうございました。
佐藤委員、お願いします。
○佐藤委員 見せていただいて、本当にすばらしい、意欲的な案だなということを思ったんですけど、一方で、環境省の中でも縦割りがすごくあるという中で、
このライフスタイルとか、それから暮らしとかいう問題は、環境省だけで本当に解決できる問題ってそんなにたくさんはないのではないかなと。
そういう意味では、どういうふうにほかの省庁に語りかけていくかとか、それから、生活者自体もそうだと思うんです。生物多様性にしても、温暖化にしても、
一人一人の暮らしに非常に関わっていることなので、直接やはり働きかけるということも必要になってくると思いますので、
これまで以上に多分違うアプローチの仕方というのが必要なのではないかなと思います。
今回、このほかのプロジェクトにありました三陸復興国立公園なんかにしても、新しい国立公園のつくり方みたいなことで、今、いろんな試行錯誤をやっていらっしゃると思うんです。
こういうところからやっぱり学んで、人々とどういうふうにつながっていくかということを深く考えて一緒に行くという姿勢が大事ではないかというふうに思いました。
○武内会長 ありがとうございます。
ほかに、よろしゅうございますか。
それでは、あとは環境省で、今いただいた御意見について何かございましたら。
○中井官房秘書課長 貴重な御意見をたくさんいただきまして、ありがとうございます。安全・安心のところにつきましては、御指摘を踏まえて大いに工夫したいと思います。
その部分でのいろんな環境の通常的なモニタリングも含めて、いかにきちんとやっていくかというのがいかに大変かというのは、実は身をもってみんなわかっていまして、
それをきちんと、実はお金のかかる世界でありまして、温暖化対策税を有効に、自然共生・循環型と合わせて展開する一方で、
実は一般会計のそういうベーシックな環境政策を支えるものも充実させていく展望も持っているということは加えさせていただきたいと思いますが、大変重要な課題であるというふうに思っています。
そういう意味で、これで一体何を目指しているのということの1つの目指すものは、きっかけはそういうところがあったのです。予算ということも実はあったということを申し述べたいと。
あとは、大変貴重な御意見なので、私より、次官か官房長に答えてもらったほうがいいかと思います。
○武内会長 それでは、どうぞ。
○谷津事務次官 先ほどの中井課長の御説明にあったように、地球温暖化対策税という、低炭素社会を実現するための財源というところから議論が始まりまして、
当然ながら循環型社会、自然共生と低炭素が密接に関連するという発想に立って、低炭素社会を中核にした3社会統合という議論が出発点だったものですから、
少し環境政策の全体像からすると、安全・安心がうまく盛り込まれていないというきらいがございます。工夫いたします。
それと、細田先生の御指摘でございますが、これだけ環境政策が地域経済、あるいは日本のマクロ経済に大きな影響を及ぼし得る状況になってきていると。
そこまでようやく、環境省、あるいは環境行政も質的に転換して、体力もついてきたという状況ですが、では個々の環境行政の政策判断にきちんと生きているのかというところが、
まさに先生の御指摘のポイントではないかと思います。
我々も廃棄物行政をやり、あるいは地球温暖化行政をやる中で、いわゆるそのエネルギーなり資源と直接関係している領域ですので、
地域、あるいはマクロの経済ということも十分に頭に置いた行政連携ができるように、よく省内でやっていきたいと思います。ありがとうございました。
○武内会長 どうもありがとうございました。
私も今日、皆さん方のお話を伺って、大変参考になりました。特に安全・安心は、私の感じでは、この全体のストーリーが、将来像を前提にしているために、
現在ある問題を明確化していないというところが少し大きいのではないかと思うのです。ですから、そういう意味で低炭素でない状況の問題点を考えれば、
いわゆるローカルな環境汚染とも結びついてくるというふうなところでつながってくるという話になり得るので、
少しその辺で、安全・安心が全体に染み渡るような形で全体をもう一度考え直してみるとかなりよくなるのではないかなというような、そういう印象を私は持ちました。
いずれにいたしましても、今日で終わりということではなくて、私としては、これをこれからの将来、また新しく環境基本計画を考えるというようなことも念頭に置きながら、
短期及び中長期的な環境政策のあり方の1つの素材としてこれを活用したいというふうに思っておりまして、
そのためには、ぜひこの中央環境審議会の総会の場でこれをオーソライズしていただきたいと思っております。
そこで、私からの提案でございますけれども、本日の議論を踏まえて、一度私に預からせていただきまして、各部会長の方々とも方向性について相談し、
また事務局とも調整した上で、もし可能であれば、6月に本日の御意見を反映して、具体化された案についてもう一度この総会を開催させていただきまして、
そこで皆さんに御審議いただいて取りまとめたいと。最終的にどういう格好で大臣にお出しするかということについては、また次回説明をさせていただきたいと思いますけれども、
そのような形で進めさせていただきたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。
(異議なし)
○武内会長 どうもありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきたいと思います。部会長も、下手をすると部会長相互に縦割りが発生しますので、
そういうことのないように議論をしていきたいと思っております。
それでは、ちょうど時間も参りましたので、残る議題、その他について、環境省から説明をお願いしたいと思います。
○早水官房総務課長 どうもありがとうございました。
2点ございます。本日の議事録につきましては、本日御出席の各委員の方々にお送りして、確認をいただいた後にホームページで公開をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
また、次回の日程でございますが、武内会長の御予定も確認しながら、6月ということでございましたので、6月中に開催する方向で調整をさせていただきたいと思いますので、
よろしくお願いいたします。
事務局からは以上でございます。
○武内会長 よろしいですか。
それでは、これで散会とさせていただきます。どうもありがとうございました。
午後6時57分開会