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第2回 生態系保全等に係る化学物質審査規制検討会
議事要旨


日  時 平成13年10月25日(木)10:00~12:00

開催場所 環境省第3会議室(合同庁舎5号館26F)

出席委員
中杉委員  飯塚委員  井上委員  大塚委員  北野委員
鳥居委員  中下委員  畠山委員  吉岡委員  若林委員
欠席委員 池田委員
事務局
小沢企画課長 安達環境安全課長
早水化学物質審査室長 鈴木環境リスク評価室長
江口企画課課長補佐 新田化学物質審査室室長補佐
山崎環境リスク評価室室長補佐 他
オブザーバー 厚生労働省医薬局化学物質安全対策室
経済産業省製造産業局化学物質安全室 他

資料の公開等について
・ 本日配付したすべての資料については、公開することとされた。
・ 第1回議事要旨案については、欠席委員に確認後、座長一任で確定し、公開することで了承された。

前回の補足説明
事務局より参考資料1について紹介し、畠山委員、若林委員が補足説明を行った。
1)確認事項
 本検討会では、農薬については農取法の範疇であるから議論しないと理解していたが、なぜ農薬による影響の事例を出したのか。→白アリ駆除剤や抗菌剤のように農薬のような毒性を持つものがあることや、農薬でも農薬以外の目的で使用される可能性があることもあり、因果関係の事例として示したもの。

議事
(1) 議題1 化学物質の生態影響評価の技術的可能性について
 事務局より資料2~7について説明。主な議論は以下のとおり。
1) 確認事項
  • 資料2の魚類の試験の表中の「助剤」について、「なるべく避ける」という表現があるが、原文はどうなっているか。→事実確認して必要なら修正する。
  • 資料7のEUにおける、新規化学物質と既存化学物質に関する環境有害物質についての記述が不適切。→削除する。
  • 資料7のEUの「R50」「R51」「R52」の注釈の和訳は適切か。→英文の表現を付け加える。
  • 資料7の豪州の新規化学物質の取扱に関する勧告は、強制力を伴うのか。→リスク評価を担当している豪政府が勧告するが、実際の規制は州政府が行うこととなっているため、勧告に基づいて州政府が何らかの措置を講じるということとなる。
2)試験方法について
  • 助剤の使用に関しては、我が国では生態毒性のポテンシャルを見るためできるだけ高い濃度でも毒性を見ていくという考え方に対し、欧州では実際に溶けているものが毒性を発現する、というように根本的に考え方が異なっている。
  • 藻類の試験について、着色物質を試験する場合は物質そのものの色により光が遮られるために、生長阻害率が大きくなる。OECDでも問題になっていると聞いている。
  • 単一種の試験だけでなく、複数種や生物間の相互関係に関する試験についても、評価システムを考える上で重要であり、検討課題としてとどめておく必要がある。→OECDでは、そういう議論はなされていないが、学会レベルでは議論されていると聞いているので、可能であれば整理したい。
  • 単一種の影響がわかっているものであれば、生物間の相互関係については、食物連鎖の関係などから生態学的にもある程度は推測できる。
  • 化学物質によっては、水中から底質に蓄積するものもあるので、例えばlogPowが大きく毒性が高いものなどについては、底質の試験を組み込んでいくことも必要である。
3)QSARの利用について
  • QSARは、スクリーニングとして利用できるという考え方がある一方で、ほんのわずかな化学物質の構造の違いで生物への作用が大きく異なったり、生体反応には物理反応でも化学反応でもない生物反応がすることなどから、役立たないという考え方もある。
  • 米国では、実測データがないことを前提として、積極的にQSARを活用していくという考え方なのに対し、EUでは、実測データを補完するという意味合いでQSARを利用しているという違いがある。QSAR自体の技術的な議論だけでなく、規制体系の中でどう取り扱っていくかを議論して行くべき。
4)諸外国のデータベースについて
  • 米国のECOTOXのデータは信頼性に欠けると聞いたことがあるが。→信頼性については情報量に応じて3段階に分けて分類されており、すべてが信頼性のあるデータではないが、信頼できるデータも収載されている。
5)議論の進め方・審査のあり方について
  • 生態影響の評価法や規制方法については、今後どう議論していくのか。→今回は各国それぞれのやり方で生態影響の評価や規制がなされているという事実を紹介した。次回以降には、具体的な中身について議論していただきたい。
  • 諸外国の化学物質の審査・規制のやり方(例えばリスク評価を行う)と化審法とでは随分違っているので、それぞれのやり方について整理して欲しい。
  • スキーム全体を見直さねばならないのか、取り急ぎ生態影響を組み込んでいくこととするのか、また、化審法だけですべてをカバーすることができるのか、議論していく必要がある。
  • 化審法は事前審査の法律であるが、事前審査の段階で完璧を期すのは無理があり、事後管理と併せて化学物質の安全性を確保して行くべきである。
  • 生態影響で規制することには限界があると思う。規制と自主管理の兼ね合いが重要である。
  • 生態系保全については、ハザードのみの評価ではなく、暴露評価を含めたリスク管理との関係が大きいという印象を受けた。→EUではハザードのみで評価し、分類・表示しているという例もあり、生態影響はリスク評価で、と直結するわけでもない。
  • 化審法は、生態系保全について日本だけ行ってないので対応しなければならないということだが、人の健康保護については諸外国と仕組みが異なっているが、うまく行っているので問題はないということか。→例として、日本では濃縮度試験を要求しているが、諸外国ではもっとlogPowを活用しており、企業から不満が出されているという事例がある。ただし、POPsの観点で濃縮性が重要視されてきていることに留意すべき。
6)まとめ
 中杉座長が、生態影響評価の方法は、実施が可能なだけの材料があり、諸外国の状況を踏まえて我が国の審査・規制においてどのように活用していくか、今後議論していくこととしたいととりまとめた。

(2) 議題2 その他
  • 次回検討会は11月29日に開催することとされた。