放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料
(令和2年度版、 HTML形式)

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第6章 事故の状況
6.1 福島第一原発事故の状況

事故の要因(推定)地震と津波の影響

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地震発生直後、運転中であった東京電力福島第一原子力発電所の1~3号機は、全ての原子炉が自動停止しました。
停止後のプラントにおいても、炉心の燃料の崩壊熱を冷却する必要があります。東京電力福島第一原子力発電所では、送電鉄塔の倒壊等による外部電源喪失のため非常用ディーゼル発電機が自動起動し、通常の冷温停止に向けた手順が進められました。
しかし、その後の津波の襲来を受けて、起動した非常用ディーゼル発電機や配電盤等が被水・冠水し、6号機を除き全ての交流電源が喪失すると共に、冷却用の海水ポンプも機能を喪失しました。1号機では原子炉を冷却する機能が喪失しました。2号機及び3号機では交流電源がなくても駆動できる冷却設備(2号機:原子炉隔離時冷却系1、3号機:原子炉隔離時冷却系と高圧注水系2)でしばらく原子炉を冷却していましたが、やがてこれらも停止して崩壊熱を冷却する手段を失うこととなりました。
こうした事態を受け、1~3号機では、消防ポンプ等を用いた代替注水を行うべく作業が進められましたが、津波の再来の恐れなどもあり、代替注水に切り替えるまでの間、炉心を冷却するための注水ができない状態が続きました。1号機では14時間程度、2号機は6時間半程度、3号機では6時間半程度、炉心への注水が停止していたとみられています。さらに、代替注水系には隠れたバイパスが多く、注入した水を効果的に炉心冷却に供することができず、炉心溶融に至りました。

1. RCIC: Reactor Core Isolation Cooling System

2. HPCI: High Pressure Coolant Injection System

本資料への収録日:2013年3月31日

改訂日:2019年3月31日

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