放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料
(令和2年度版、 HTML形式)

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第4章 防護の考え方
4.1 防護の原則

参考レベルを用いた被ばくの低減

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原子力発電所事故等による被ばくを合理的に低減する方策を進めるときには、国際放射線防護委員会(ICRP)の2007年勧告における参考レベルという概念が用いられています。事故や核テロのような非常事態が起こった場合には、緊急時被ばく状況として、重大な身体的障害を防ぐことに主眼をおいて対応します。このため、線量限度計画被ばく状況における全ての規制された線源からの被ばくに対するもの)は適用せず、一般人の場合で年間20~100ミリシーベルトの間に参考レベルを定め、それ以下に被ばくを抑えるように防護活動を実施します。平常時には起こり得ない身体的障害が、非常時には起こり得ます。そこで、その防護対策が、平常時の対策(将来起こるかもしれないがんのリスクの増加を抑えること)より優先して行われます。その後、回復・復旧の時期(現存被ばく状況)には、一般人の場合で年間1~20ミリシーベルトの間に参考レベルが定められ、防護の最適化が行われます。
一人一人が受ける線量がばらついている状況において、不当に高い被ばくを受ける人がいないようにすることが参考レベルの目的です。全体の防護のための方策を考える際に、参考レベルを超えて被ばくするおそれのある人がいる場合には、それらの人々に重点的に対策を講じます。その結果、集団内の線量分布が改善し、参考レベルよりも高い線量を受ける人がほとんどいない状況が達成されたときには、必要に応じて、さらに低い参考レベルを設定して線量低減を進めます。このように、状況に合わせて適切なレベルを設定することで、被ばく低減を効率的に進めることができます。

本資料への収録日:2013年3月31日

改訂日:2019年3月31日

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