放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料
(令和2年度版、 HTML形式)

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第1章 放射線の基礎知識
1.2 放射性物質

原子の構造と周期律

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原子は原子核とその周りを回る電子から構成されています。原子核はプラスの電荷を持つ陽子と電荷を持たない中性子で構成されており、原子の化学的性質(元素の種類)は陽子の数(原子番号)で決まります。
例えば炭素は陽子が6個の元素ですが、中性子がそれぞれ5個、6個、7個及び8個の炭素が存在しています。いずれも化学的性質は同じです。
これらの原子を区別して呼ぶ場合は、元素名(同種の原子を包括する呼び名)の後に質量数(陽子と中性子の合計数)を付けて、炭素11、炭素12、炭素13、炭素14と呼びます。炭素の中で、自然界で最も多いのは炭素12です。
炭素14は、宇宙線と大気との衝突で生成された中性子が窒素14に当たり、陽子1個を追い出してできる、自然界に存在する放射性物質です。炭素14の原子核には陽子が6個、中性子が8個ありますが、両者の数のバランスが悪く、エネルギー的に不安定な状態です。
炭素14の中の一つの中性子が陽子に変わると、陽子も中性子も7個ずつになって安定します。このとき、余分なエネルギーが電子として放出されます。これがβ(ベータ)線の正体です。つまり、炭素14はβ線を出すことで、陽子数が7個の窒素に戻り、エネルギー的に安定した状態になります。

本資料への収録日:2013年3月31日

改訂日:2019年3月31日

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