放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料
(平成30年度版、 HTML形式)

第2章 放射線による被ばく
2.3 放射線の単位

等価線量と実効線量の計算

等価線量と実効線量の計算
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全身に均等にγ(ガンマ)線が1ミリグレイ当たった場合の実効線量と、頭部だけに1ミリグレイ当たった場合の実効線量の計算方法を比較してみます。
γ線の放射線加重係数(wR)は1なので、全身に均等に1ミリグレイを浴びたということは、均等に1ミリシーベルト(1グレイ×1(wR)=1ミリシーベルト)を受けていたことを意味します。つまり、等価線量はどの臓器・組織でも1ミリシーベルトです。ここから実効線量を求めるには、組織ごとの等価線量に組織加重係数を乗じて足し合わせます。骨髄、結腸、肺、胃、乳房は、放射線により致死がんを誘発するリスクが高い組織なので、0.12という高い係数が、また、皮膚には全身分の皮膚に0.01という係数が割り当てられています。このように全臓器・組織の等価線量に組織加重係数を乗じて足し合わせると、実効線量は1ミリシーベルトになります。
一方、放射線検査で頭だけ1ミリグレイを受けたような場合、甲状腺、脳、唾液腺といった頭部に存在する臓器や組織では、全体が放射線を受けるため、組織ごとの等価線量は1ミリシーベルトになります。それに対して、骨髄や皮膚のように頭部に全体の一部が存在する組織や臓器は、放射線を受けた部分の割合(骨髄:10%、皮膚:15%)を乗じて等価線量を求めます。それぞれの等価線量と組織加重係数を乗じて、足し合わせると、実効線量は0.07ミリシーベルトになります。
(関連ページ:上巻P36「単位間の関係」

本資料への収録日:平成25年3月31日

改訂日:平成27年3月31日

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