放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料
(平成29年度版、 HTML形式)

第5章 国際機関による評価
5.3 UNSCEAR2013 年報告書

UNSCEAR2013 年報告書(8/9)公衆の被ばく線量評価 不確かさ

UNSCEAR2013 年報告書(8/9)公衆の被ばく線量評価 不確かさ
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国連科学委員会(UNSCEAR)は、東京電力福島第一原子力発電所事故からの放射性物質による公衆の被ばく線量評価は、不十分な知識と情報に基づいて一定の仮定を前提として行われており、その結果には不確かさが含まれていると評価しています。
1.地表に沈着した放射性核種の測定レベルに関わる不確かさ
・セシウム134とセシウム137の測定値の不確かさは比較的小さい
・ヨウ素131については、半減期が約8日であり、測定前に放射性壊変が進んでいたことによる不確かさが大きい
2.時間の経過に伴う放射性核種の放出率の推移と放出時の気象情報についての知見に関する不確かさ
・平成23年3月に避難した人々の線量推定は、拡散シミュレーションの結果に基づいた
・この場合、最大4~5倍の過大あるいは過小評価の可能性がある
3.甲状腺吸収線量評価に影響する不確かさ
・大気中の粒子状及びガス状のヨウ素131の相対量のデータがなく、各放出量は同等であると仮定したため、主要な被ばく期間にわたり最大2倍の不確かさを有している
4.食品中の放射性核種濃度の設定に伴う不確かさ
・事故後初期には最も高濃度の食品の特定が優先されたため、モニタリングの対象となった食品はランダムにサンプリングされておらず、評価に使用した平均濃度値が過大評価の原因になった可能性がある
・食物の流通・消費のパターンの想定(福島県産品摂取量の過大評価)にも不確かさがあった
・食品の放射性物質濃度の測定値が検出限界以下の場合、一律に10ベクレル/kgとしたため、最初の一年間の食品摂取による内部被ばく評価は過大になった
5.日本人の甲状腺への放射性ヨウ素の取り込み率に関する不確かさ
・日本人の甲状腺への放射性ヨウ素の取り込み率は、標準的な国際放射線防護委員会(ICRP)のモデルと異なっている可能性がある(不確かさの度合いはほかの項目より小さく、これによる被ばく線量減少は30%より小さい)

【報告書記載箇所】
・UNSCEAR報告書(科学的附属書A, 日本語版P57~58, 第110~115項、附録CのⅣ 「不確かさ」, P188~192, 第C113~C131から作成)

本資料への収録日:平成27年3月31日

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