放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料
(平成29年度版、 HTML形式)

第3章 放射線による健康影響
3.6 遺伝性影響

原爆被爆者の子供における出生時の異常(奇形、死産、2週以内の死亡)

原爆被爆者の子供における出生時の異常(奇形、死産、2週以内の死亡)
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原爆被爆により生殖系列細胞のゲノムに誘発された遺伝子変異が、受精後の胚や胎児や新生児の成長に障害をもたらす可能性があるため、1948年~54年に新生児調査が実施されました。しかし、放射線の影響は観察されませんでした*1
小児がん生存者の子供の疫学調査(上巻P104「小児がん治療生存者の子供に対する調査」)の中で、米国/カナダ*2、*3やデンマーク*4、*5で出生時異常などの調査が実施されています。これらの調査でも、男親の被ばくによる先天奇形や死産のリスクは観察されていません。一方、女親の卵巣・子宮の10Gy以上の被ばくでは、子宮機能の低下による早産、死産が増加していました*3

*出典:
1 : M. Ohtake et al.: Radiat. Res. 122: 1-11, 1990.
2 : L.B. Signorello et al.: J. Clin. Oncol. 30: 239-45, 2012.
3 : L.B. Signorello et al.: Lancet 376(9741): 624-30, 2010.
4 : J.F. Winther et al.: J. Clin. Oncol. 30:27-33, 2012.
5 : J.F. Winther et al.: Clin. Genet. 75: 50-6, 2009.

本資料への収録日:平成30年2月28日

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