放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料
(平成29年度版、 HTML形式)

第3章 放射線による健康影響
3.6 遺伝性影響

ヒトでの遺伝性影響のリスク

ヒトでの遺伝性影響のリスク
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動物実験では親に高線量の放射線を照射すると、子孫に出生時障害や染色体異常等が起こることがあります。しかし人間では、両親の放射線被ばくが子孫の遺伝病を増加させるという証拠は見つかっていません。国際放射線防護委員会(ICRP)では、1グレイ当たりの遺伝性影響のリスクは0.2%と見積もっています。これはがんの死亡リスクの20分の1にも満たない値です。さらに付け加えるなら、ICRPは自然発生的な突然変異確率を2倍に増加させる被ばく線量(倍加線量)がヒトとマウスで同じ1Gyであると仮定していますが、ヒトで遺伝性影響が確認できていないことから、過大評価である可能性もあります。
原爆被爆者二世を対象として、死亡追跡調査、臨床健康診断調査や様々な分子レベルの調査が行われています。こうした調査結果が明らかになるにつれ、従来心配されていたほどには遺伝性影響のリスクは高くないことが分かってきたため、生殖腺の組織加重係数の値も、最近の勧告ではより小さい値に変更されています。

本資料への収録日:平成25年3月31日

改訂日:平成30年2月28日

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