放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料
(平成29年度版、 HTML形式)

第2章 放射線による被ばく
2.2 原子力災害

原発事故由来の放射性物質

原発事故由来の放射性物質
閉じる

東京電力福島第一原子力発電所事故により、環境中に放出された放射性物質で、健康や環境への影響において、主に問題となるものは、ヨウ素131、セシウム134、セシウム137、ストロンチウム90の4種類です。そのほかにも様々な物質が放出されましたが、いずれもこの4種に比べると半減期が短いか、放出量が小さいことが分かっています。
ヨウ素131は、半減期が8日と短いのですが、体内に入ると10~30%は甲状腺に蓄積されます。そうなると甲状腺は、しばらくの間、β(ベータ)線とγ(ガンマ)線による被ばくを受けることになります。
原子力発電所の事故による汚染の場合、問題になる放射性セシウムにはセシウム134とセシウム137の2種類があります。セシウム137の半減期は30年と長く、環境汚染が長く続きます。放射性セシウムは化学的性質がカリウムとよく似ているため、体に入った場合は、カリウム同様ほぼ全身に分布します。セシウムやヨウ素の生物学的半減期は年齢によって変わり、若いほど短くなることが知られています。
ストロンチウム90は半減期が長く、化学的性質がカルシウムに似ているため、体に入ると骨に蓄積します。γ線を出さないため、セシウム134及び137ほど簡単にどこにどれだけあるかを調べることはできません。原子力発電所事故の場合セシウム134及び137よりも量は少ないながら、核分裂によって発生したストロンチウム90も存在すると考えられています。東京電力福島第一原子力発電所事故由来のプルトニウム239等も検出されていますが、量的には事故発生前に全国で観測された測定値と同程度です。
(関連ページ:上巻P30「原子炉内の生成物」

本資料への収録日:平成25年3月31日

改訂日:平成30年2月28日

ページ先頭へ