保健・化学物質対策

東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議 | 第12回議事録

日時

平成26年10月20日(月)

場所

三田共用会議所 大会議室(3階)

議事次第

  1. 1.開会
  2. 2.議事
    1.  (1)原発事故による避難や不安等に伴う社会的・精神的影響について
          <ヒアリング>
      •     ○復興庁(被災者の健康・生活支援に関する施策について)
      •     ○厚生労働省(被災者の心のケアと生活習慣病に関する施策について)
    2.  (2)中間とりまとめについて
  3. 3.閉会

                              午後2時00分 開会

○得津参事官 定刻になりましたので、ただいまから第12回東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議を開催いたします。

 まず、本日の出欠状況でございますけども、荒井委員、春日委員、清水委員から、事前にご欠席のご連絡をいただいております。また、石川委員、それから丹羽委員におかれましては、少々遅れるとの連絡が入ってございます。祖父江委員におかれましては、1時間ほど遅れてご出席という連絡が入っております。明石委員、大久保委員につきましては、ご都合により途中退席されるということでございますので、よろしくお願いいたします。続きまして、議事開始に先立ちまして、本会議傍聴者への皆様へ留意事項を申し上げます。円滑に議事を進行させるため、事務局の指示に従っていただきますようお願いいたします。傍聴中は静粛を旨とし、発言・拍手など賛否の表明や、これらに類することにより議事の進行を妨げる行為はご遠慮ください。

 また、ご質問、ご意見がある方は、お配りしております用紙にお書きいただき、事務局にご提出いただきますようお願いいたします。携帯電話等は、音が出ないようにしてください。

 その他、事前にお配りした内容につきましてご注意いただきたいと思います。これらをお守りいただけない場合には退場していただくこともありますので、よろしくご理解のほどお願いいたします。

 それから、昨日、本会議の資料の一部と思われる内容が報道され、大変失礼いたしました。今後とも、引き続き、医学的、科学的な見地から議論は必要でございますけども、事務局としては、さらに資料の管理等について気をつけてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、福山政務官より開会の挨拶を申し上げます。

○福山環境大臣政務官 皆さん、こんにちは。環境大臣政務官の福山守でございます。

 長瀧座長を初めとして、委員の先生方には、大変お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。心より感謝を申し上げます。

 本日は、これまでの委員の皆様のご議論を踏まえ、中間取りまとめのたたき台を示させていただくこととしております。委員の先生方におかれましては、科学的、専門的見地から、さらに議論を重ねていただきたいと考えております。また、この専門家会議は、原発事故による放射線の健康影響などを議論いただく場ですが、本日は、復興庁、厚生労働省より、原発事故による避難や不安などに伴う社会的・精神的影響に係る取組について説明をいただき、本専門家会議の議論の参考としていただければと存じております。本日もどうぞよろしくお願いを申し上げます。

○得津参事官 福山政務官は、公務多忙のため、これにて退席させていただきます。ご理解のほどよろしくお願いいたします。続きまして、本日お配りした資料について確認をいたします。

 まず、お配りしております議事の下のほうに、資料配付の一覧が書いてございますけども、資料1-1として、「被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針」について、これを1-1として配付しております。

 資料1-2としまして、被災者の健康・生活支援に係る関連省庁の取組概要、資料1-2として配付しております。それから、資料2として、中間とりまとめ(叩き台)というものを配付してございます。資料3として、中間とりまとめに向けた論点整理等(線量評価部分以外)のものでございますけども、資料3として配付しております。資料4につきましては、中間とりまとめに向けた線量評価部分の要点ということで、資料4として配付しております。それから、参考資料1は、資料4の追加参考文献ということで配付してございます。参考資料2につきましては、本会議の開催要綱、こちらのほうをお配りしております。過不足等ありましたら、事務局までお申し出いただきますようお願いいたします。

 それから、座席図において、復興庁からのご出席されております小野山参事官補佐が座席表に書いておられますけども、急遽、出席できないということでございまして、代理で粟津主査にご出席いただいております。

 また、委員の先生方にお願いでございますけれども、傍聴者の方から発言者がわからないとのご指摘がございました。ご発言いただく際には、大変恐縮ですけども、お名前をおっしゃってからお話しいただきますようお願いいたします。それでは、これより議事に入ります。以降の進行につきましては座長にお願いいたしす。

○長瀧座長 本日は12回の委員会となります。先生方におかれましては本当に何度もおいでいただきまして、ありがとうございます。本日は、まず議題(1)としまして、原発事故による社会的・精神的影響ということでございます。これにつきましては、本日はほかの省庁の方にもおいでいただきました。後ほどご紹介させていただきますが、とりあえず、その上で、議題(2)として、中間とりまとめについて、議題を進めていきたいと思います。まず、議題(1)ということで、事務局からご説明をお願いいたします。

○佐藤補佐 事務局でございます。

 お手元に資料1-1をご用意いただけますでしょうか。被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針でございます。これは子ども・被災者支援法第5条第1項の規定に基づく基本方針でございます。資料1-1をお手元にご用意いただきたいと思います。被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針でございます。子ども・被災者支援法第5条第1項の規定に基づく基本方針で、この資料自体は、第1回の専門家会議でもお示しした資料ではございますが、再度、提示させていただきます。

 まず、1枚おめくりいただきまして、目次をご確認ください。ローマ数字のⅠとして基本的な方向、そして、ローマ数字のⅡとして支援対象地域に関する事項、Ⅲに被災者生活支援等施策に関する基本的な事項とあります。1、汚染状況調査、2、除染、3、被災者への支援となっておりまして、この被災者への支援の内容は、以下、(1)~(14)まで、これらの項目に沿って記載がされております。このうちの(13)になりますが、放射線による健康への影響調査、医療の提供等という、9ページのところをご覧いただきたいと思います。この項目が、9ページから10ページにかけて記載がございますが、まず、9ページのところ、中段ほどになりますが、ご覧いただきたいと思います。「福島県の全県民を対象とした外部被ばく線量調査や、事故時18歳以下の子どもに対する甲状腺検査等必要な健康管理調査を継続する」とありまして、主な具体的取組ということで、9ページから10ページにかけて、箇条書きになっております。 10ページの(14)とあります、(13)の最後のところから三つ目、下から三つ目のところのポツをご覧いただきたいのですが、「新たに有識者会議を開催し、福島近隣県を含め、事故後の健康管理の現状や課題を把握し、今後の支援のあり方を検討。【環境省】」となっております。こちらの、今、読み上げました内容は、この専門家会議の位置づけでございまして、この専門家会議の所掌ということになります。一方で、この資料、4ページもご覧いただけますでしょうか。例えば4ページの(1)のところの医療の確保という項もありまして、こちらには、医療の確保、また、生活習慣病対策等を推進するということも記載があります。また、別のページになりますが、6ページから7ページにかけて、こちらには、主に心の不調を訴える子ども等に対して、心のケア専門職による訪問、相談等の取組を支援するといったような内容が記載をされてございます。

 こうした原発事故による社会的・精神的影響につきましては、直接、この会議の所掌ではございませんけれども、これまでの専門家会議の中で、度々、話題になったところでございます。本日は、他省庁の取組ということでご紹介をいただくことにいたしました。事務局の説明は以上でございます。

○長瀧座長 前回から引き続いて、ソーシャル、メンタルの問題について議論してまいりました。全体としてパッケージになっておりまして、環境省のこの部会だけではない、いろいろな施策がございますので、今日はそれぞれの省庁の担当の方から現状についてお話を伺うということで、3人の方に来ていただいております。順番にお話しいただきますが、最初は復興庁の粟津主査から、被災者の健康・生活支援に関する施策についてということで、ご説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○復興庁(粟津主査) 復興庁の粟津と申します。被災者支援班というところで、被災者の方の健康・生活支援に関する取組を行っている部署でございます。どうぞよろしくお願いします。

 住宅の再建は、順次進められておりますけれども、完了までには、まだなお数年かかるという状況で、仮設住宅入居者を初めとする避難者の方の健康・生活面での支援というのが非常に重要です。あと災害公営住宅に入居されている方についても、新たな生活の定着までには、なお不便等があるというようなことが懸念されているところです。そこで、昨年の11月に復興大臣のもとに、関係府庁局長級からなりますタスクフォースというものを立ち上げました。そして、現場から寄せられた現状や具体的な課題を総合的に把握いたしまして、避難の長期化や地域によって異なる実情といった現場主義の視点に立脚して検討を進めてまいりました。これまで、復興の加速化としては、住宅の再建や、あと産業の再生というものを中心に進めてきておりましたが、そこに健康・生活支援というものを第3の柱として加えたということになっております。

 放射線の健康影響につきましては、科学的、専門的見地から本会議でご検討いただいていると思いますが、それ以外について、このタスクフォースが担っているというふうに考えております。そして、こちらのタスクフォースで、各府省の既存施策を横断的に点検し直しまして、平成26年度予算措置や、今後の運用改善の方向性などを施策パッケージとして取りまとめたのが、平成25年12月、こちらに策定したもので、その概要を、本日、資料1-2の2ページ目にお示ししております。

 このタスクフォースにおきましては、重点的に5項目で検討を進めてまいりまして、1番目が仮設住宅入居者等の避難者に対する健康支援、2番目が子どもに対する支援の強化、3番目に医療・介護人材の確保、4番目に恒久住宅の整備と仮設住宅等からの移転に伴う課題への対応、5番目に市町村の業務負担に対する支援の強化ということで、進めてまいりました。

 一つ目に、仮設住宅入居者等の避難者に対する健康支援なんですけれども、こちらは体のケアであるとか、心のケア、あと、高齢者対策を行ってきていまして、しかも、各省の取組が行われているということで、それをこちらに示しております。被災地健康支援事業と心のケア支援事業は、厚生労働省のご説明にお譲りしまして、その他の部分について、簡単に触れたいと思っております。

 まず、地域支え合い体制づくり事業ですが、3ページ目の資料になっておりますけれども、この介護等のサポート拠点の整備を行う事業でして、仮設住宅において高齢者が日常生活をしていくために、それを支える総合相談であるとか、あと居宅介護サービス、地域交流、それから支援サービスなどの総合的な機能を有する拠点として、3県で115カ所、平成26年6月時点で設置しているというものがまずあります。

 そして、次のページには、寄り添い型相談支援事業としてありまして、24時間365日無料の電話相談窓口を設置するもので、地域の協力団体と連携しながら、必要に応じて面接相談や同行支援なんかを行うものです。これは社会的包摂サポートセンターが、公募の結果、事業を実施することとしておりまして、全国と被災地を分けて実施しておりますけれども、被災3県では平成25年度に11万件の相談があり、これに対応したというふうに聞いております。

 次に、5ページ目に、「復興支援員」という制度ですけれども、これは被災者の見守りやケア、地域おこし活動の支援等の「復興に伴う地域協力活動」を通じて、コミュニティ再構築を図るものです。これは被災した地方公共団体が、被災地域内外の人材を委嘱して、期間としては1年以上最長5年の期間、特別交付税で支援員の報酬や、活動費を措置するというものです。平成25年度は3県と10市町において181人が活動しているといった状況があります。

 次、7ページ目ですが、東日本大震災による女性の悩み・暴力に関する相談事業ということで、こちらは内閣府で行っている事業ですが、女性の抱えるストレスや、あと、女性に対する暴力という懸念に対して、被災自治体で相談員や相談窓口が不足しているということがあったものですから、それに対応して、全国のNPOや男女センターなどから相談員を派遣するという事業です。また、地元相談員の育成を加速するために、事例の検討であるとか、研修の講師というものも、全国からアドバイザーとして派遣するといった事業になっております。2ページに戻っていただきまして、以上が、大体一つ目の仮設住宅入居者等の避難者に対する健康支援の事業となっております。

 次に、子どもに対する支援の強化といたしまして、被災した子どもの健康・生活対策等総合支援事業というものが、これは平成26年度から新たに行うこととしたものです。8ページ目にパワーポイントをつけておりますが、さまざまな形で被災の影響を受けている子どもたちに対して、一層手厚いケアが必要であると考えていまして、仮設住宅の空き部屋を活用した遊び場であるとか、学習スペースの確保など、子どもが安心して過ごすことができる環境づくりの事業を新たに創設しております。また、長期の避難生活を余儀なくされている子どものいる家庭に対して、心身の健康に関する相談支援を行う訪問事業も新たに創設したところです。その他、(1)~(6)など、総合的な支援を実施する事業というものを行っております。

 10ページ目、11ページ目ですが、これは文部科学省で行われている事業ですが、子どもの学習支援や、地域住民の学習交流活動など、学びを通じて地域のコミュニティを再生しようという取組を支援する事業、また、スクールカウンセラーを被災自治体に派遣する事業ということも行っております。

 すみません、また2ページ目にお戻りいただけますでしょうか。次に、3本目の柱として、医療・介護人材の確保があります。そして、厚生労働省で行われています地域医療再生基金、地域医療支援センター、被災者健康支援連絡協議会ということで、これらは、例えば都道府県の医療再生計画に基づく事業を実施するための基金を設けるもの。あと、キャリア形成支援と一体的に医師確保の支援を行う地域医療センターの運営経費を支援するもの。また、全国の医療関係団体で医師派遣の調整を行う協議会、このようなことを行っております。また、平成26年度からは、被災地における福祉・介護人材確保事業ということで、特に人材確保が困難となっています相双地域において、相双地域での就労を条件として奨学金を貸与して、2年就労すれば返還免除とするほか、あと、住まいの確保支援などを行っている事業も新たに開始しています。

 そして、4番目に、恒久住宅の整備と仮設住宅等からの移転に伴う課題への対応としまして、地域コミュニティ復興支援事業がありますが、これがパワーポイントで12ページ目になります。これは仮設住宅から災害公営住宅に人が移転していきますと、新たに公営住宅に移った方も、あと仮設住宅に残られた方も、コミュニティが弱体化して被災者が孤立するという問題が生じます。そして、このため、コミュニティ支援として、市町村と社会福祉協議会とNPOが連携しまして、ボランティア等による仮設住宅への見守り活動を行う事業が、この地域コミュニティ復興支援事業です。その他、復興庁のほうで、「新しい東北」先導モデル事業で行っていまして、企業や大学やNPOなど民の力を活用して、幅広い担い手が連携して、東北が抱える課題をいち早く解決し、日本のモデルとなるような取組を採択して実施するものです。これらは子どもの健全育成であるとか、あと高齢者の活力、活用といったことを柱として検討しておりますので、これも、それぞれ、例えば①の避難者に対する健康支援であるとか、②の子どもに対する支援の強化とか、そういったことに資する取組も含まれているところです。

 その他、施策パッケージには書いておりませんが、福島復興加速化交付金で、コミュニティの維持のためのソフト事業であるとか、あと、子どもの運動機会確保のための全天候型運動施設の整備など、そういったことも一括して支援する、福島の再生加速のための交付金というものも設けておりますし、あと、文部科学省では、福島県の子どもたちを対象とした自然体験・交流活動支援事業というものも、平成26年度から行っておりまして、これは学校や社会教育団体が実施する自然体験活動、もしくは県外の子どもたちとの交流活動といったことも支援するようにしております。

 施策パッケージの説明は以上なのですが、最近、復興庁では、被災者の健康・生活支援に関する総合施策というものをまとめております。この先ほど説明しました施策パッケージに位置づけられた施策を着実に進める一方で、現場の課題について、状況把握に努めてきまして、それらの課題に対する検討はずっと続けてきていたのですが、内閣総理大臣――安倍総理大臣が26年7月に災害公営住宅を見られたときに、相談員や復興支援員のより一層の充実確保が必要だということで、住民の健康管理・生活支援に向けた総合施策を策定するように指示がありました。それを受けて、復興大臣のもと、タスクフォースを開催しまして、26年8月、総合施策を策定しました。こちらは支援体制の充実、住居に係るコミュニティ形成の工夫、被災者の心の復興、子どもに対する支援、あと、情報基盤の共有といった形の取組を行うということを方針として示したもので、これを具体化していく作業を行うとともに、復興庁としては、関係省庁と連携しながら、今後も健康・生活支援の取組を進めてまいりたいと思っております。

 以上でございます。

○長瀧座長 どうもありがとうございました。

 では、質問は後で一緒に伺うことにしまして、次に移りたいと思いますが、次は、厚生労働省から被災者の心のケアと生活習慣病に関する施策についてということでございます。障害保健福祉部の精神・障害保健課、福生課長補佐からお願いいたします。

○厚生労働省(福生課長補佐) よろしくお願いいたします。精神・障害保健課の福生と申します。

 私のほうからは、先ほど紹介がありましたように、被災者の心のケア支援事業という形でご説明させていただきたいと思います。

 こちらは、先ほど復興庁からの資料になります2ページのⅠ、仮設住宅入居者等の避難者に対する健康支援の中の2ポツ目に位置づけられているものでございます。心のケア支援事業のページといたしましては、13ページ、14ページでございますので、そちらのほうをご覧ください。

 被災者の心のケア支援事業でございますけれど、平成23年度より、被災3県のメンタルケアを行うことを対象として、各被災3県におきまして、心のケアセンターというものを設置させていただきました。こちらにありますように、岩手県では平成24年2月15日に開設、宮城県では平成23年12月1日に開設、福島県では平成24年2月1日に開設という形になっております。

 主にこちらのほうでは、こちらのほうの業務といたしましては、中ほどに説明がございますけれど、災害関連の精神保健医療福祉対策の総合的なコーディネートを主として、PTSDやうつ病等の精神疾患に関する相談支援、精神障害者に対する相談支援というものを行っております。また、被災者の自宅や仮設住宅等への訪問による支援だとか、病院を拠点とした精神障害者に対するアウトリーチ、また、心の健康に関する情報収集、普及啓発、人材育成、人材派遣をメーンに行っております。

 こちらを図式化したものが次のページ、14ページでございます。心のケアセンターにおきまして、住民のほうから相談等がございましたときに、まず市町村や保健所のほうに健康相談等がございましたら、原則は市町村保健所さんが行っていくところでございますけど、心のケアセンターのほうにおかれましても、適切に市町村保健所への後方支援だとか、人材育成、また、難治性等におかれましては、市町村とともに同行訪問という形で、メンタルケアに対する対策を行っているところでございます。また、心のケアセンターにおきまして、医療機関への受診を促したり、だとか、もしくは、適正な関係機関との連携体制の調整を図るための連携体制の整備、また、こちらにございます被災地で心のケアに携わる職種への研修といった形で、各被災3県におけますメンタルケアに対する対策を行っているところでございます。

 最後に、普及啓発に関しましても、仮設住宅の集会所において、心の健康に係る講話や講演会・サロンの開催等を通じまして、被災県におきます心のケアというものの、まず普及啓発活動と支援というものを行っているところでございます。

 甚だ簡単ではございますけれど、心のケア支援事業については、ご説明を終了させていただきたいと思います。

○長瀧座長 どうもありがとうございました。

 それでは、また引き続いて、次に移りますが、次は、健康局地域保健室の川崎室長補佐にお願いいたします。

○厚生労働省(川崎室長補佐) 厚生労働省健康局地域保健室長補佐の川崎でございます。

 私どもでは、先ほど復興庁より説明がありました2ページ目のⅠ番、仮設住宅入居者等の避難者に対する健康支援の中の1ポツ目、被災地健康支援事業を実施しております。避難生活の長期化に伴った健康状態の悪化を防ぐために、保健師による巡回保健指導、この巡回保健指導等に必要な経費、専門の保健師等を雇い上げる経費などについて、財政支援を行っています。

 資料につきましては、15ページになります。岩手、宮城、福島、この3県に被災地健康支援臨時特例交付金を交付いたしまして、基金を造成していただいているという経費でございます。

 事業については、仮設住宅等を中心とした健康支援に必要な経費を、被災自治体において地域の実情に応じて柔軟に支出できるように、基金としております。金額はこちらの資料に記載しておりませんが、まず平成23年度の3次補正で、被災3県あわせて約30億、それから平成26年度に10億を追加しており、これまでに合計約40億円の財政支援をしております。このうち、福島県につきましては、約15億円を交付ししているところです。

 こちらの15ページの資料に記載している事業は例示でありまして、仮設住宅入居者等を対象とした健康支援活動、それらを担う専門人材の確保、巡回健康相談などに必要な経費でありますとか、健康運動教室の開催、栄養食生活指導などの事業が行われています。

 それから、被災者の特別健診等の事業などこちらの事業で実施していただいております。その年齢制限により対象とならない者に係る健診でありますとか、健診項目の追加でありますとか、被災3県が地域の実情に応じて必要な健康支援を実施する経費として、この被災地健康支援事業というものを実施しております。

 簡単ではございますが、以上でございます。

○長瀧座長 どうもありがとうございました。

 以上でご三方のご説明は終わったわけですが、最初にずっと議論してきているうちに、放射線の直接被害以外に、ソーシャル、メンタルな問題も非常に大きいということが、かなりこの委員会で話題になりました。前回は精神的な立場からお話をいただきまして、保健師さんにも来ていただいて、今回は関係省庁のほうから、ソーシャル、メンタルな部分において、現在行われている施策についてご説明いただきました。そして、それをもとにして、この委員会として、どう中間とりまとめに取り組んでいくかという方向になるのではないかと思うんですが、そういう立場で委員の先生方から、どうぞ、どなたからでも結構でございますので、ご質問がありましたら、どうぞ積極的にお願いします。

○阿部委員 福島医大の阿部と申します。

 私どもは、福島県から委託事業として県民健康調査を実施しています。特にこころのケア等についても、センターの方でこころのケアを支援するときに、当然このふくしまこころのケアセンターとも定期的な会合を行いながら、あるいは地元の保健師さんとも話し合いをしながら、いかに心のケアについて支援していくか議論しております。6方部等に心のケアセンターが設けられておりますが、マンパワーとして十分なのかどうかというのは非常に疑問点の多いところで、十分にやはりそのマンパワーが確保されていない状況の中で、果たして、この事業が十分に展開されているかどうかというのは、若干問題があるんじゃないかと思っています。例えば地元の保健師さん等が一番住民と接していらっしゃるわけですから、その方が、例えば市町村等の中で、その心の問題を持っている方にケアの意味で支援するという機能をやるわけですけども、なかなか保健師さん自体が、こころの問題以外でたくさん業務を持っていますから、なかなか住民に回らない。そういう状況の中で、心のケアセンターとして十分にそこが支援されているかどうか、その点は厚生労働省としてどうお考えなのか、そこを聞きたいと思います。

○厚生労働省(福生課長補佐) ご質問ありがとうございます。マンパワーの件でご質問があったかと思います。マンパワーに関しまして、確かに私たちといたしましても、そういう福島県だけでなく、その他の宮城県、岩手県からも、なかなか人が集まらないというお声をいただいておりまして、決して十分であるとは認識はしていないところです。それに対しまして、私たちとしては、しっかりと予算をつけていただきまして、今、現時点では予算という形と、あと、適切な研修を受ける形をしていただくことで、十分な人材の確保を引き続きお願いしていくところではございます。

○長瀧座長 よろしゅうございますか。

 そこが、問題の大きいのは人だと思うんですね。ですから、人材的に十分に充填されていないという状況の中で、果たして住民の方等の心のケアについて対応できるかどうかと。ですから、単純に募集をかけて、いろいろお願いしても、実際的にはなかなか集まらない状況が続いています。ですから、そこをいかに打開していくかというのが、やはり行政としてどうお考えなのか、その辺もちょっと具体的にお話ししていただければ、ありがたいと思います。

○厚生労働省(川崎室長補佐)

 心のケアにとどまらず、現地での住民に対するケアに関しましては、保健師の活動が非常に重要な役割を担っており、被災地において、保健師が不足していることは、私どもも承知しております。保健師の業務内容に関しましても、多岐にわたる受け持ちをされておりますので、この点につきましては、被災地健康支援事業を活用し、保健師等の人材確保ができるよう、財政支援をしております。

 それから、今年の3月に、復興庁と厚生労働省の連名で、関係の大学であるとか、看護協会等の職能団体などに働きかけをいたしまして、現地での活動に協力していただけるように通知を発出いたしまして、各方面から被災地における保健師活動支援について改めてお願いしたところです。

 また、自治体職員等の派遣制度については、総務省や復興庁での派遣支援の仕組みありますので、各自治体に対しまして、こういった制度を活用して、現地への協力を行うようお願いをしております。

 以上でございます。

○長瀧座長 どうもありがとうございました。

 ほかに、鈴木先生、どうぞ。

○鈴木委員 国際福祉医療大の鈴木です。

 今のことに関連してなんですが、現地でどのくらいのニーズがあるのか。保健師さん、あるいはそういうメンタルケアに派遣してもらいたいという数がどのくらいあって、現状ではどのくらいサプライができているのか、そういう意味での今の事業の効率の評価というのは、やられているんでしょうか。

○厚生労働省(川崎室長補佐) 個別の業務ごとでの保健師の必要数や不足数などの相談は受けておりますが先ほども触れましたように、保健師の業務範囲は、多岐にわたるので先生がご指摘のように、総合的に何人足りないのか、何人いれば十分なのかというのは、把握できていないというのが実情でございます。

○長瀧座長 ほかにございませんか。

○阿部委員 福島県の場合は、保健師さんも足りませんし、看護師さんも足りない。それから、特に仮設住宅等では、やはりそこはなかなか運動できないとか、いろんな問題がありますので、作業療法士とか、理学療法士、その数も少ないんですね。トータルとして、そういう方面の医療従事者の方が全体的にやっぱり少ないと思うんです。もし、これがなかなか県内から、あるいは県外からも充足されないということであれば、やはりある程度の人材育成もしていかなくちゃいけないのかなという、我々自身はそういう問題意識は持っているんです。ですから、なかなかそういう医療従事者の充足が難しいのであれば、やはり県内でそういう従事者を積極的にこれから育成して、そこで県内のための貢献していただくということも一つの手じゃないかなと、我々自身はそういうふうには思っているところです。

○復興庁(粟津主査) 復興庁の粟津です。先ほども本当に簡潔に触れさせていただきましたが、この8月に総合施策を策定しまして、その中では、支援体制の充実の中の一つに、専門職の人材確保がありまして、医師、看護師、保健師、介護職員、社会福祉士など、それぞれ、本当に足りないという状況があるので、それらについて、どう対応するかということも示しているところです。保健師の確保で言えば、協力依頼通知、先ほど説明ありましたものもそうですが、さらに、どんな働きかけを行うことができるかというのも、今、考えているところですし、あと、医療人材の確保という点で言えば、先日、東北地方に1校を限定して、医学部の新設を認めるという特例も行いましたが、あれも少し長期的な目線にはなりますが、医療人材の確保のために資する取組だというふうには認識しています。

○長瀧座長 どうもありがとうございました。ほかにございませんか。どうぞ。

○阿部委員 東北地方に、仙台に新設医学部もつくるということで、今、審議にかかっていて、最終決定はまだしておりませんけれども、ただ、福島県の場合は、確かに医師不足もあるんです。これは絶対的に数が少ないですから、ほかの都道府県に比べてもですね。それに加えて、それを支えている医療人も全体的に少ない。だから、先ほど言っているように、保健師さんを含めて、作業療法士、理学療法士も不足しています。例えば放射線関係で、臨床放射線技師さんといっても、福島県にはそういう人を育てる、そういう機関がないわけです。大学も学校もないわけです。ですから、そういう状況の中でもあるので、そこは行政、政府としても考えていただきたい。

○長瀧座長 ほかのところでも結構ですから、特にマンパワーが足りないということ、医療職、医師も含めて、足りないということを非常にここで、福島県としては、大いにはっきりとさせたいということ。それに対して、どうも具体的な一対一に対応するようなお話は十分にはいただけなかったと。ただ、漠然とした計画はあって、努力はしているということは伺ったんですけども、いつになったら何%ぐらいのものが見通せるかというところまでは、まだはっきりとご返事いただけないと、そういう感じでよろしいでしょうか。

 どうぞ、ほかに何かございましたら。

○伴委員 東京医療保健大学の伴です。

 そのマンパワーが足りないということになりますと、結局、今いる方への負担が相当大きくなるという現実があると思います。実際に保健師さんが非常に忙しいと。そういう状況で、支援する側をどう支援するかということが、例えばこの14ページの支援者支援というのは、恐らくそういったことを考えての事業なんだろうと思いますけれども、ただ、具体的に、そういったことがどこまで系統的に行われているのでしょうか。つまり、例えば向こうが相談してこなければ何もしないというようなレベルのものなのか、本当に積極的に、そういう人たちがバーンアウトしないようなサポートがあるのか、その辺りはどうなんでしょうか。

○厚生労働省(福生課長補佐) 支援者支援というものに関しまして、こちらに関しまして、心のケアセンターの業務の一環として考えておりまして、その心のケアセンターにおきまして、もう各方々から、やはり支援者のバーンアウトといいますか、そういう声を聞いておりますので、積極的に行っていただいているというふうには伺っております。

○長瀧座長 ほかにございませんか。では丹羽先生、何かございましたら、どうぞ。

○丹羽委員 これ、以前から気になっていることで、ここで質問すべきかどうかはわからないですけど、例えば環境省、規制委員会から始まって、支援チームで、結局、個人線量で行きましょうという流れが一つあります。それで、その個人線量で、もちろんデータが上がってくるんですけど、その個人線量のデータの意味というものをきっちり個人にお返しして、ディスカッションしてというところで、結構保健師さんなんかがどうしても関与しなければならない状況というのが、実際、起こります。それで、今のシステムの縦割りで、やはりこれは環境省、これは厚労省というふうなやり方が、どうしても破綻しそうな気がずっと前からしておりまして、例えばある個人線量で、普通、1~2mSvのところで、例えば3~4mSvの方の個人がおられて、この俺の線量どうしてくれるんだよとかというようなことになると、もうそこのところで手も足も出ないということになります。それに対してちゃんと対応できるようなシステムでないと、それには保健師さんから、除染担当の方から、何からというのがカップルして動かないと、たちまちシステム手がそこで固まってしまう。

 そういうことで、ここでの議論でもずっとそうなんですけど、ここは、線量と直接関係する健康影響なんですよというのは何度もおっしゃっておられて、私は、何度も、いやいや、もっと広がりがあるんだよというようなことを言っているんですけど、その辺りのバランスが、それぞれのパーツを見ていると、いかにも動きそうなんですけど、実際、本当にまとめて動くかというところが、やはり省庁のほうで十分考えて、事によっては省庁をちょっとまたいで、先ほど復興庁とかと相談するというような話をしておられましたけど、そういうことが必要になりますし、例えば医大の場合は環境省からおりてきているシステムで、それが厚労省ときっちりつながっているわけではないように私自身は理解していますんで、その辺りの何か、どういうふうにバランスをとれば、あるいは対応をとればいいかということは、いつも問題意識としてございます。コメントだけですけど、例えば阿部先生、何か補足していただければありがたいんですけど。

○長瀧座長 よかったら、どうぞ。よろしいですか。ずっと議論の中であれですね、このタスクはどこだと。放射線の直接の影響なのか、それ以外にいっぱい現実に問題があるのに、この委員会はどこまでという議論の、今はまさにその最中、そこを議論しているところだと思いますので、どうぞ、ご自由にご質問いただいて。無理につくる必要はございませんが、お時間も迫ってまいりましたので、ちょうど予定の時間ではありますが、これでよろしゅうございますか、ご質問は。それでは、本当にお忙しいところ、おいでいただきまして、ありがとうございました。何か、事務局のほうで。

○佐藤補佐 恐れ入ります、事務局でございます。

 復興庁、厚生労働省からご出席いただいている4名の方々につきましては、公務の都合上、ここで退席とさせていただきます。

○長瀧座長 どうもありがとうございました。

 それでは、今から議題(2)の中間とりまとめにつきまして、始めたいと思います。

 最初に、事務局からご説明いただきます。

○佐藤補佐 事務局でございます。

 お手元に資料2をご用意ください。後ほど、資料3もご説明いたします。この資料2、3につきましては、前回の会議で、座長からの指示により、これまでご議論いただきましたことを踏まえて、事務局で文案を作成したものになります。全て案の段階でございます。会議でのご議論、ご指摘を踏まえまして、修正するものになります。これらの資料につきましては、一旦案をつくった段階で、委員の全員の先生方に事前に照会をさせていただきました。そして、あらかじめいただいたご意見につきましては、可能な限り反映させております。

 本日は、議論途上の事項をまとめた資料3を中心にご議論いただきたいと思いますが、資料2につきましても、当然ご意見を踏まえて修正したいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 では、資料2からご覧ください。中間とりまとめ(叩き台)としてございます。繰り返しになりますが、構成も含めまして、会議でのご議論を踏まえて、変更となる可能性がある段階のものであるということにご注意いただきたいと思います。

 目次を全体的にご覧いただきまして、「はじめに」から「基本的な考え方」、3として「被ばく線量把握・評価」、4として「放射線による健康影響について」、5として「その他の健康影響について」、最後に「終わりに」という構成になってございます。

 1枚おめくりいただきまして、1、はじめにです。はじめにのところでは、今般の原発事故の発生から、この専門家会議の開催に至るまでの経緯について、基本的には事実関係ということで、事務局のほうで文章をつくってございます。

 3ページの上のほうをご覧いただきたいのですが、このはじめにの最後の段落です。今般の原発事故による住民の健康影響は、①として、放射線被ばくによる直接的な生物的影響と考えられるものと、②原発事故による避難や不安等に伴う間接的な社会的・精神的影響と考えられるものの二つに大きく分けられるとしてございまして、①について、この専門家会議が一義的に検討を要請されている分野であるが、中長期的な対応が必要となるものであり、現時点で評価できる内容は限られている。また、②については、環境省のみならず様々な関連省庁の取組を総合的に推進することが求められ、本専門家会議が現時点で提言することが困難な分野も多い。本報告書では、こうした専門家会議の設置趣旨あるいは限界を踏まえた上で、現時点で着手可能な施策の早期実現を目指すため、専門家会議におけるこれまでの検討を踏まえた中間的な議論の取りまとめを行い、必要な施策について専門的助言を行うものであるとしてございます。

 続いて、2の基本的な考え方のところをご覧ください。(1)として、被ばく線量を踏まえた健康リスクについて(LNTモデルの採用)ということを記載してございます。特に前段のところは事実関係かと思いますが、最後の段落をご覧ください。ここの部分、説明が十分でないというご指摘を既にいただいておりまして、本日のご議論を踏まえて、大幅に加筆修正することになろうかと思いますので、その点はご留意いただいて、一旦読み上げたいと思います。今般の原発事故では、これまでの確定的影響(組織反応)の発生は確認されておらず、放射線被ばくによる直接的で生物学的な健康影響については、確率的影響(がん及び遺伝的影響)が主な検討対象となる。専門家会議において被ばく線量に基づく住民の健康リスクを検討するに当たっては、ICRPが「現在の科学的知見に照らして妥当性がある」としているLNTモデルを採用することとしたとしております。文章の修文につきましては、ぜひご指導いただきたいと思います。

 続きまして、(2)からは国際機関による評価ということで、WHOとUNSCEARの評価をそれぞれご紹介してございます。

 4ページ目、5ページ目まで、ざっと見ていただきまして、5ページの中段のところになりますが、③として「2つの報告書に対する専門家会議の見解」というところの記載がございます。ここは「作業中、資料3のp.2-3を参照」というふうに記載しておりますが、ここに限らず、議論中ということでというものにつきましては、資料3で別途整理しておりますので、後ほどご説明させていただきたいと思います。

 続いて、同じくこの資料2の5ページのところからの下ですが、被ばく線量把握・評価につきましては、全体的に作業中ということで、こちらは資料4を参照していただくことになります。また後ほどご説明いたします。資料2の6ページをご覧ください。4ポツとして、放射線による健康影響について整理してございます。まず(1)これまでの対応ということで、①福島県における対応、ここでは県民健康調査を平成23年から開始したということで、その具体的な内容等を記載してございます。続いて、6ページの下のほうになりますが、②の近隣県における対応というところについては、近隣県では、県として特別な健康調査等の実施に着手した例はこれまでにないという辺りの事実関係を書いてございます。7ページをご覧いただきまして、(2)原発事故による放射線の健康への影響が見込まれる疾患についてということで、①甲状腺がん、そして、下のほうで、②甲状腺がん以外の固形がん及び白血病、続いて、8ページになりますが、③としてその他の疾病、このような形で整理してございます。ただ、この構成につきましては、まず、がん全体について述べたほうがよいのではないかというご意見もありますので、また構成についてもご指摘いただければと思います。

 こちらの7ページ~8ページにかけて書いております文章につきましては、基本的にはUNSCEARやWHOではこのように言っているという、あくまでその事実関係を述べたものでございまして、具体的な内容はまだ議論中でございますので、資料3のほうで整理をしてございます。

 続きまして、8ページをご覧ください。(3)ということで、福島県における対応の方向性を書いてございます。①の上のパラグラフをご覧いただきたいのですが、少し読み上げたいと思います。ここでの提言の位置づけを明確化するための記載でございます。福島県における健康調査等のあり方は、一義的には福島県「県民健康調査」検討委員会が検討すべき内容であるが、福島県立医科大学を初めとする多くの関係者の尽力と県民の協力により継続されてきたものであることに敬意を払いつつ、福島県「県民健康調査」検討委員会における検討に資するよう、国の専門家会議として科学的な観点から提言を行うとしてございます。

 続きまして、①として県民健康調査「健康診査」に関する事実関係、そして、これに関する議論につきましては、9ページの上にありますとおり、資料3のほうに整理をしております。

 続いて、②県民健康調査「甲状腺検査」につきましても、同じく資料3のほうに議論の内容を整理しております。

 (4)福島近隣県における対応の方向性でございますが、こちらにつきましても資料3で整理しております。

 9ページの下のほうになりますが、5ポツのその他の健康影響についてはというところで、こちらもWHOとUNSCEARの記載を紹介するにとどめておりまして、資料3のほうに整理をしてございます。

 6ポツで終わりにという、このような流れでご提示をさせていただきました。

 続きまして、資料3をご覧いただけますでしょうか。中間とりまとめに向けた論点整理等(線量評価部分以外)ということで、資料3にまとめております。

 1ページは目次のような形になっておりますが、記載しておりますのは、資料2の項目立てに沿って、資料資3でのページ数を記載しているという、そのような構成となっております。

 おめくりいただきまして、2ページ目、3ページ目をご覧いただきたいと思います。

 まず、2ページ目のほうでは、明朝体で、これまでの会議での指摘や意見を列挙してございます。まだこれは議論の途中ということではございますが、仮にそれを文章にした場合、3ページ目に記載しております網かけ、少しグレーがかかっておりますけれども、これまでの議論を踏まえた文案として、仮のものとして、事務局で整理をさせていただきました。なお、「下線部は事務局による補足」ということで、「(要確認)」とメモ書きを書いてございますが、あらかじめ先生方からいただいたご意見を踏まえながら、事務局として補足をさせていただいたものになります。もちろんこの下線を引いていない部分にも重要な箇所はたくさんございますので、あくまで下線は、そのような目安としていただければというふうに思います。ここのUNSCEARとWHOの二つの報告書に対する専門家会議の見解ということで、それに対する評価を3ページ目にまとめておりますので、ここからは資料3の内容のご説明をしたいと思います。大部になりますので、ポイントになるところを読み上げていきたいと思います。 3ページのところにつきましては、一番下のパラグラフのところをご確認ください。このUNSCEARの見解は云々とあるところですけれども、3行目からです。「線量推計に不確かさがあることを踏まえると、想定される最も高い被ばく線量を受けた小児の集団では、甲状腺がんの罹患リスクが若干増加する可能性が理論的にはあるため、今後甲状腺検査を実施し見守っていく必要がある」というUNSCEARの見解に専門家会議としては同意すると、そのような書き方になっております。

 続きまして、4ページ、5ページ目をご覧ください。こちらは放射線による健康影響について、原発事故による放射線の健康影響が見込まれる疾患についてということで、まず①甲状腺がんについてまとめたものでございます。資料の構成としては先ほどと同様となっておりまして、主にグレーの点線で囲ってあるところをご覧いただきたいと思います。最初のパラグラフの上半分をご覧いただきたいのですが、専門家会議は、甲状腺がんの増加は、自然発症のリスクと比べて追加被ばくによるリスクが小さければ検出できず、仮に推計された被ばく線量の幅の上限値であっても、全体では疫学的に識別できるかどうかの限界の水準であると考える。したがって、今後は、目的を明確化した上でコホート調査を実施し、甲状腺がんが増加するか否かについて、被ばくとの関連も含めて検証していくことが望ましいとしてございます。

 また、二つ目のパラグラフの内容としましては、現在の県民健康調査「甲状腺検査」につきましては、3行目の後半になりますけれども、基本的で詳細な臨床データは、コホート調査を行うに当たって必要となるわけですが、こうした臨床データを確実に収集し、長期にわたって対象集団を観察できる体制の整備が重要であると。そのためには国や県の協力は不可欠であるということを記載しております。

 また、三つ目のパラグラフでは、対照となる集団についての議論を整理したものになります。

 続きまして、6ページ目、7ページ目をご覧いただきたいと思います。こちらは福島県における対応の方向性ということで、①県民健康調査「健康診査」のほうについての議論をまとめたものになります。

 7ページ目をご覧いただきたいと思いますが、二つ目のパラグラフのところは、主に健診項目に関する議論を整理したものになります。

 そして、三つ目のパラグラフのところ、こちらは放射線による特有の健康影響を確認するための検査項目は現時点では把握されていないとした上で、そのため、県民の健康を見守り健康増進を図るという観点からは、全国的に推奨されている健診等の受診率を高める取組も重要としてございます。その他、データを一元的に管理することであるとか、学術的に分析・評価した上で、結果を地域住民や社会に還元するということが望ましいといった内容について記載をしております。

 続きまして、8ページ、9ページをご覧ください。9ページは、11ページまで続いております。ここは福島県における対応の方向性の中で、県民健康調査「甲状腺検査」についての議論を整理したものになります。

 まず、9ページ目の上のところ、最初のパラグラフですが、症状のない子どもを対象として専門家により大規模かつ精緻な甲状腺検査を実施したことは、世界的に見てもこれまでにない。こうした検査をしたことで、甲状腺がんが見つかり、治療につながった人がいる一方で、集中的な検査をしなければ所見が見つからなかったであろう、多くの実施者においては、さまざまな問題が生じることもわかってきたとしております。

 二つ目のパラグラフでは、先行検査で発見された甲状腺がんについて、以下の点から原発事故の由来のものとは考えにくいということで、その理由について4点にまとめてございます。一つ目は線量の違い、二つ目は検査を実施した時期の違い、三つ目は年齢層の違い、四つ目は3県、三つの県で行われた一次検査の結果との比較について述べておるところです。

 9ページの下のパラグラフでは、甲状腺がんの特性について、事実関係を述べたところでございます。ここに限らず、こうしたところにつきましては、できる限り、最終的には出典などを明記するようにはしたいと思いますが、現時点では文章だけで恐縮ですが、ご容赦ください。

 9ページの一番最後からですけれども、こうした甲状腺がんの特性を背景に、症状のない人に対する甲状腺検査については、10ページの冒頭になりますが、以下の3点を慎重に考える必要があるということで、第一に、第二に、第三にということで、甲状腺がんの検査の慎重に考えるべきポイントをまとめております。その上で、外科手術に関しては、このような点に留意する必要があるということを四つ目のパラグラフで書いてございます。特に一番下のところですが、小児の甲状腺がんは成人ほど頻度が高くないため、経験豊富な専門医の慎重な判断の下で適切に手術が行われる必要があるということを記載してございます。

 10ページの下から11ページにかけてのところですが、ご確認ください。県民健康調査「甲状腺検査」は、放射線被ばくを受けた小児において甲状腺がんのリスクが上昇する可能性を懸念して県民の健康管理のために実施されているものであると。一方で、集団に対して実施することでさまざまな問題を生じ得ることから、甲状腺検査は任意で行うべきではないかという意見もあった。こうした多様な側面を持つ検査の実施を推奨できるか否かについては、関係者間で十分な議論を行い、コンセンサスを得る必要があると。県民にとって最もよいやり方を追求することが望ましいということで、これまでの議論をまとめております。

 次のパラグラフは、A2判定の問題について、このような丁寧な説明をより強化していく必要があるのではないかということを記載しております。

 最後は、フォローアップの体制の整備ということについて述べております。

 続きまして、12ページから13ページにかけてのところ、こちらは福島の近隣県における対応の方向性をまとめたところでございます。この辺りも、前回の会議でいろいろとご議論のあったところですが、現時点でまとめられる範囲で、事務局のほうでまとめたものになります。

 13ページの二つ目のパラグラフのところをご確認ください。2行目ですが、近隣県については、福島県でのコホート調査の結果が判明してから対応を開始しても遅くはないのではないかという意見があったと。しかし、近隣県においては、甲状腺がんに対する強い不安から、小児に対する甲状腺検査を施策として実施することを強く要望している住民もいると。しかし、無症状の人に甲状腺検査を実施することとなれば、メリットのほかにさまざまな問題を生じるため、施策として一律に実施するということについては慎重になるべきとの意見が多かったとまとめております。

 その上で、甲状腺検査を希望する、放射線の健康影響への強い不安を持つ住民に対し、自治体はまず、個別の健康相談と放射線に対するリスクコミュニケーション等を通じて、放射線に対する不安への対策に取り組む必要がある。その上で甲状腺検査の実施を希望する住民に対し、自治体は、甲状腺検査を適切に実施することができる専門医療機関に関する情報提供等を行うことが望ましいという内容を記載してございます。

 その他、このページの下のほうには、国も協力をして、全国がん登録も活用しつつ、疾病動向のモニタリングを支援することの重要性について言及をしてございます。

 最後、14ページ、15ページにつきましては、その他の健康影響についてということで、文章を少し、文案を提示したものになります。

 長くなりまして恐縮です。資料2と3のご説明は以上となります。

○長瀧座長 どうもありがとうございました。

 ご説明がありましたように、今までずっと続けてきた11回分の議論、議事録を中心にして、我々が議論したところを事務局として拾って、中間報告のたたき台をつくったということで、非常な努力でここまでおまとめいただいたことには、敬意を表します。ですから、これは分析用の、中身はみんな、我々がしゃべったことだということですので、これ以上に加えるとしたら、今日、うんと議論していただかないと、中間報告に出てきませんので、そういう意味も含めて、十分にここで、それぞれの委員の方のご意見をいただきたいと思います。大体この3につきまして、1時間ぐらいを予定しております。三つぐらいに分けて、大体の予定は立ててございますが、十分にもうお読みいただいたものとして、ご自分のご意見を、ぜひ、自由にここで述べていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 その順番に行くとして、どういうふうに進めていきましょうか。最初に、例えば甲状腺検査の、県民健康調査の甲状腺検査の前までを一つの結びとしまして、15分から20分ぐらいで議論をいただきたいと思うんですが、むしろ、これ、事務局等も、網塗りにしたところを1ページずつ見ていただくほうがいいかな。どうでしょうか。とすると、3ページ、最初には専門家の見解というところだと思いますが、その3ページにつきまして、ご意見がございましたら、どうぞ。

○伴委員 東京医療保健大学の伴です。細かいことですけれども、「LNT仮説」という言葉が出てきますが、現在、「LNT仮説」という言い方は普通しないと思います。LNT仮説というのは、科学的に、要は低線量でも、発がんなら発がんのリスクが直線的に上昇するということを仮説としてのLNT仮説ですけれども、現在のICRPあるいはUNSCEAR等の化学者の見解としては、実際の低線量の線量反応はわからないけれども、リスク推定のための統計モデルとして、LNTモデルを使うという言い方をしますので、その意味では、「LNTモデル」という言い方のほうがより適切だろうと思います。

 それから、もう一つですけれども、リスク評価について、「UNSCEARは、LNTを放射線防護の立場で用いる」というのも、ちょっと言葉としてどうなのかなと思いました。というのは、WHOは実際にLNTモデルに基づいて健康リスクの評価を行っていますけれども、UNSCEARは、直接的に自分たちでその定量的な評価をやっていません。WHOが行った評価をベースに、自分たちの線量評価の結果と照らし合わせてどうかということを言っているだけですので、ちょっと今、具体的な文案は、また後ほどご提案しますけれども、そこもちょっと気になったところです。

○長瀧座長 おっしゃるとおりですよね。ありがとうございます。

 ほかにございませんでしょうか。この部分はこれでいいのかもしれませんが、国際機関の発表に、我々は同意するというだけで終わりになっていいのか、それも考えて、我々はどう考えるというところまで踏み込んだ委員会としての結論にするかということも、お考えいただいたほうがいいのかなと思っております。ほかにどうぞ、このページ、よろしゅうございますか。また後で戻っていただくことも考えます。では、その次に、5ページ、よろしゅうございますか。甲状腺のところです。専門家会議は、甲状腺がんの増加は、自然発症のリスクと比べて追加被ばくによる云々ということです。

 言葉遣い、かなり気をつけて、議事録からとっておりますので、議事録にかなり正確にと、そのところで発言していただいた言葉を使うようにしていると思いますので、ここで訂正がございましたら、ぜひ。

 特に、「被ばく線量推計には不確実性はあるが、不確実性として想定される幅の上限値が問題であり、その値でも健康影響をもたらす可能性は低い」というふうな表現ですが、それでよろしいでしょうか。

○石川委員 5ページ目に入る前に、3ページ目の第2フレーズと第3フレーズが、大変私は重要だというふうに考えていまして、「リスク評価について、UNSCEARが、このLNT仮説を放射線防護の立場で用いる」と、この第2フレーズですね。これは「不確実性が大きく、また、避けられないため、絶対数では評価しないとしている」という、この文言ですよね。これはちょっと私も途中で指摘したことだと思うんです。

 それと、3番目のフレーズのところで、最後の2行目ですけど、「見守っていく必要がある」というふうにしています。これと、この5ページ目のいろいろ慎重に書かれているのはいいんですけれども、この5ページ目の上のフレーズの3行目のところで、「仮に推計された被ばく線量の幅の上限値であっても、全体では疫学的に識別できるかどうかの限界の水準であると考える」と、この意味がちょっと、要するに、限界の水準であると考えるから、要するに、これ以上、何といいますか、増加しないというふうに言いたいのか、どうかなのか、ということなんですよね。そうすると、考え方としては、3ページ目の第2フレーズと第3フレーズの考え方でやっていますので、ここでこの3行が言い切られると、大変おかしな感じがするというふうに思っています。やはりあくまでも、この3ページ目に書いてあるような、絶対数では評価しないというふうな問題と、それから、見守っていく必要があるということについて、これは大事にしていったほうがいいんじゃないかなというふうに思います。ですから、「限界の水準であるというふうに考える」という、この3行目までのものは、あまり必要があるかどうかというのはちょっと疑問です。

○長瀧座長 どうもありがとうございました。これもできるだけ委員の間でご議論いただいたほうがいいと思いますので、なければ、そのまま事務局が書きますから、どうぞご意見がございましたら、ぜひお願いいたします。伴先生、どうぞ。

○伴委員 伴ですけれども、これは後の線量評価のところの書きぶりと物すごく関係してくると思うんですが、子どもの甲状腺線量の要は分布ですね、集団の中の。そこに関して、やはり我々はかなり不確かだと見ているわけ、情報が不確かであるというふうに見ていて、代表値としては、確かにそんなに高くないかもしれないけれども、それこそ、ここで言っている上限という言い方、上限というのも変な言い方ですけれども、一番高い個人がどれぐらいの線量なのかというのは、ちょっとよくわかっていないところがあると思うんですね。だから、それを一番高い人でもリスクがそんなにあると考えなくていいでしょうというふうに安易に片づけてしまうことには、ちょっと私も抵抗を覚えます。

○長瀧座長 私も、先ほど指摘した部分もそうだと思うんですが、どうぞ。

○本間委員 私も、今の5ページの上、3行なんですが、まず、この「仮に推計された被ばく線量の幅の上限値であっても」と、これの主体が、誰が推計したのか、まずわからない。誰の推計を言っているのかがわからないですよね。ですから、それが、この専門家会議は推計をしているわけではないので、線量把握をしている、これまでの文献からですね。UNSCEARを引くならば、そういうふうに書くべきですし、それをまず指摘したいと。それから、今、伴先生が言われたように、私も、ちょっとこの第1パラの下、3行の「不確実性として想定される幅の上限値が問題であり、その値でも可能性は低い」という、これも、こういうふうに言い切れるのかというのは極めて疑問です。

○長瀧座長 実際の具体的な調査として、ここでの議論として、ですけれども、そこまで行った後、それぞれご意見をいただいた方が、こういう文章にしたらというところまで含めて、事務局にご提案いただけると、この次のときにその文章を直して出せるものですから、そういう形でご提案いただいた方、もし可能な範囲で結構でございますので、文章としてご提案いただくと。お願いいたします。

 鈴木先生、どうぞ。

○鈴木委員 今の議論に関してなんですが、最初に3ページ目の第2パラグラフ、「低線量被ばくにおける健康リスク評価においては、不確実さが大きく、また避けられないため、絶対数では評価しない」と言っているのは、リスクプロジェクトとしてこのぐらいありますよということを一般に公表していかないということだと思っています。ただ、実際にいろんな対策をとるときに、リスク・ベネフィットバランスをとるというようなことを考えていくときに、これは計算自身は、ベースとしてやっていくんだろうと思うんです。その上で、やはり価値判断をするのかなと思っていますから、ここは、私自身はそういうふうに理解しています。

 5ページ目の第1パラグラフ、本間先生のご指摘どおりだと思います。これはUNSCEARの評価をした幅が上・下、それぞれ、3倍程度は評価値の、治療値の上限があるかもしれないというふうに書いている、そのレベルであったとしても、そこで予想される甲状腺がんの数というのが、実際に疫学的に識別できるかどうかという議論だろうと思っています。そういう意味で、第1パラグラフの一番下のところ、「健康影響をもたらす可能性は」じゃなくて、これは「健康影響を識別できる」あるいは「検出できる可能性は少ない」というのが本当の言い方なのかなと思います。

○長瀧座長 これも、先生、ぜひ後で、事務局は議事録から直すと思いますが、できれば適切な言葉をいただければありがたいと。ほかにございませんでしょうか。今の3ページと5ページです。よろしいでしょうか。

 では、その次のページ、まず、今度は7ページでございます。7ページは県民健康調査「健康診査」のところでございます。これもちょっと言葉だけですけども、「県民健康調査の意義を捉え直し、改善に向けた調整を図るべきである」と。ちょっと何か、今までの県民健康調査をやっていただいて、ここまで結果が出てきて、その上で、そのデータがあるから、いろいろと改善策を提言できるという意味で、敬意を払った言い方がどこかにあるといいと思いますが、ただ、ここは、先生、直接何かございましたら、阿部先生、ぜひこのページでも、その次でも結構ですが、ご意見をどうぞ。

○阿部委員 この最初のパラグラフの下線部のところなんですけども、「県民健康調査の意義を捉え直し、改善に向けた調整を図るべき時期に来ている」、確かにこれを3年やっておりますので、当初考えていた調査等が3年経過しましたので、当然そこは一回見直して、今後の県民のためにどうあるべきか、というのは当然だろうというふうに考えております。

 私がちょっと、ここの次のパラグラフのところで、「特に血算については、白血病の早期発見・早期治療につながるという医学的根拠はないため」というふうに書かれておりますけれども、血算というのは、そもそも血液疾患をチェックするための基本的な項目なんですね。ですから、今の被ばく線量等から、直接骨髄障害を与えるだけの高い線量ということは考えておりませんけれども、やはりこれは県民の方も、不安、心配等は持っていると思います。そういうことで、県民健康調査のほうでこの血算を入れているということは、ぜひ理解してほしいというふうに思っております。

 いろいろ書いてありますけれども、県の健康調査の健診のところなんですけども、これはやはり対象者、住民の方に負担がかからないように、特定健診であるとか、総合健診に上乗せして検査を実施しています。ですから、新たにこれを健診しているというわけではなくて、あくまでも、そういう総合健診、特定健診を受けられる方については、検査項目を上乗せしている。健診を受けらないような方については、それと似たような健診を行っているというところです。

 ただ、ここに乳幼児に対しては、血液をとったりするというのは侵襲的ですから、ここはやっぱり慎重にしなくちゃいけないと思います。そのため検査項目も、乳幼児に対してはほとんど血算の項目だけに限定しているそういう状況であります。

○長瀧座長 どうもありがとうございました。

 どうぞ。

○祖父江委員 今の白血病の早期発見・早期治療のところですけども、これ、正確に言うと、血算をすれば、やっぱり早期発見にはつながると思うんですけども、それによって、治療成績が向上するかどうかが定かでないというところだと思います。

 それから、ほかの点もいいですか。最後のパラグラフで、中ほどに「健康不安に対する相談の機会としても活用することが望ましい」というようなことがありますけども、こういう健診とかをする最大の目的は、やっぱり発症予防とか、死亡を減少させるとかいったことだと思いますので、そういうことを福島県の住民の方々において、他の県よりも、さらにそういうことを推奨すると、促進をするというような、もうちょっと積極的な発症予防に関しての取組というような感じのことを書いたほうがよくはないかなと思います。

○石川委員 私は、阿部先生の意見に賛成なんですけれども、日本医師会の石川でございます。

 私、この6ページ目の健診項目のところでも、いろいろ意見を言ったんですけれども、現状の例えば日本医師会では、現在やられている、日本では結構いろんな年齢層で健診をやっていますので、その年齢層の健診にプラスして、いろいろ検査をしたほうがいいんじゃないかということをずっと言ってきました。ただし、特定健診というのは、これは名前でも特定というふうに書いてありますように、それから労働者の健診、言ってみれば、生活習慣病、メタリックシンドロームだとか、そういったものの検出から、生活を変えていくという意味で、特定という名前がついているわけですね。ですから、そこでの健診は、やはり例えば血算をプラスしたり、尿潜血をプラスしたりという、尿潜血をプラスするというのは、私はこれはやっていまして、やはりどうしても特定健診でなくなった項目の一つですけれども、やはり成人の泌尿器系のがんだとか、そういった病気をいろいろと診ることができるので、尿をとって検査をするんだったら、この尿潜血もプラスにしたほうがいいというのは、乳幼児でも同じだと思っております。そういう点で、この間もちょっとつけ加えてということを言いました。

 血算については、これは私も小児科医ですから、この子どもたち、特に赤ちゃんといいますか、乳幼児に採血するというのはなかなか大変でして、これは本当にしょっちゅうやるというものではもちろんありません。しかし、この放射線の造血器に対しての障害だとか、これは全年齢層でも一定の線量であればあるということは言われているわけですから、そういったふうなことも含めまして、私は、節々での血算というのは、やるべきだというふうに思っていますし、それが子どもも毎年だとかということはなくてもいいと思いますけれども、やる必要がある。そして、例えば貧血みたいなものがあった場合に、貧血が検出できるわけですけれども、それもまた、例えば子どもであれば、その方の生活の内容の問題、食べているものだとか、そういったものにもいろいろとチェックもできますので、大変有益だというふうに思っています。ですから、それは全ての子どもにやるということではないにしても、希望があれば、とにかく積極的にやる意義は、私はあるんじゃないかというふうに考えております。

○長瀧座長 どうもありがとうございました。今のお話に対してご意見ございませんでしょうか。結局、ここで議論してきたのは、検査をすれば、そのメリットというか、メリットは幾つか、何がしかのメリットはあるけれども、それを多くの方に全て行うということが、実際のそのメリット、デメリットを比べてどうだろうかと、そんな議論がずっと続いてきたのではないかと思うんですけども、いかがでしょうか、ご意見ございませんでしょうか。特になければ、ここでの議事録にとにかくとどめて、また後で考えると。きちっと議論をするためにしていきたいと思います。それでは、今のその予定ですと、ここが3分の1ぐらいで、その次は、県民健康調査「甲状腺検査」のところ、8ページからの質疑に入りたいと思います。8ページですから、その次の9ページが文面になりますが、ここでいかがでしょうか。どうぞ、祖父江先生。

○祖父江委員 大阪大学の祖父江です。 9ページの最後のパラグラフの真ん中辺りに、韓国の成人女性の事例が書いていますけれども、我が国においても、成人についてはある程度健診の結果があり、それが甲状腺学会等のガイドラインにも、ある程度、健診の結果、どの程度、がんが発見されるかの頻度が書かれていますので、それを引用するのが、まずは筋じゃないかなと思います。それによると、かなり男性、女性で違いますけれども、健診をすれば、0.26%ですとか、0.66%とか発見されますので、罹患率に比べると、かなり大きいということは我が国でも確認されているということだと思います。

○長瀧座長 具体的な報告例をちゃんと引いて、ここで日本でも健診でこれだけというデータを加えるということですね。それと、ちょうど祖父江先生にお話しいただきましたので、この真ん中、「日本の甲状腺がんの年齢調整罹患率」というところがございますけども、10万人当たり4.5~6人でということのほかに、年齢による差をもう少し詳しくここで書いたほうがいいんじゃないかなと。石川先生のお話でも、4歳以下はもうほとんど日本で、少なくともがん登録の中には出ていないということ。10歳以下ですと、10万人というと、ほとんど線が入らないぐらいの値で、それがもう実際、15歳、18歳と、だんだんと増えていくという、そこら辺のことを少し具体的にあったほうが、福島の甲状腺検査の結果を比較するのに年齢が大事だと思いますので、もしできたら、ここはそういうものも加えてもいいかなと。具体的には、先生、よろしくお願いいたします。

○石川委員 日本医師会の石川ですけれども、例えば8ページ目の一番上に、「無症状の人に対する甲状腺検査」とか、それから、いろんなところに「症状のない人に対する」とか、いろいろ書いてありますけれども、基本的には、これは鹿児島の子どもたちだとか、そういう方にやるわけではなくて、やはり一定放射線の影響があった可能性の高い方たちにやるわけでありますから、何も症状がないということは言えないと思います。この甲状腺の検査を症状のある子どもというのはどういう子どもなのかと。むしろ教えていただきたいぐらいなんですよね。ですから、やはり私たちが言っているように、このいろいろな放射線の影響のあった地域の方で、例えば福島県以外の方であれば、一定そういう希望も含めて、門戸を広げたほうがいいんじゃないかということを言っているわけです。ですから、ちょっとこの書き方、症状のない方といったら、これは確かに遠方でやる方については、これはちょっとおかしいかなと思いますけれども、今言っているのは、そういう放射線の影響の可能性のある方ということで言っているわけですから、そこはちょっと書き方を変えていただいたほうがいいかもしれません。

○長瀧座長 可能性については、今まで議論してまいりまして、ちょっと先生のおっしゃった可能性が大きいからという言葉は、あまり今まで出てこなかったと思うんですけれども、症状のない人のスクリーニングということ、それのメリット、デメリットは随分議論してきましたよね、ここでね。確かに、じゃあ、症状があるかという、もう一つ、先生のお話の症状があるとは何ですかということで、私も甲状腺が専門ですのでお話ししますと、これは触診でわかるということで、もうこれはチェルノブイリのときも、アメリカのネバダで実験がありましたときも、さんざん甲状腺のスクリーニングは話題になりまして、スクリーニングで、もちろん今も5mmでもわかりますし、5mmでもわかる。1cm以下でもわかると。しかし、具体的に何か考えるとすると、1cm以上であるとか、じゃあ、その1cmになったらさわってわかるんですかという話になって、じゃあ、本当に、当時の話ですけども、2cm以上になったら手術しますということになると、2cm以上になったら、よっぽどな医者であっても、ちゃんと触診してわかると。それが症状というふうな感じだと思います。甲状腺がんについての症状というのは、ですね。どうぞ。

○阿部委員 福島医大の阿部と申します。

 石川委員の話とちょっと連動する部分はあるんですけれども、やはりこの福島における県民健康調査における甲状腺の検査というのは、バックグラウンドとして、やはりこの原発事故以降の甲状腺の被ばく、それは福島県民の方が大変心配されている、不安を持っているというバックグラウンドがあるんですね。ですから、いろんな立場の人がいろんな話もされていて、かなり情報的にも混乱しているという状況ですので、やはり一番は、住民の方のそういう甲状腺の問題に対する不安であるとか、心配を解消するというのがやっぱり一番の目的だと思うんですね。ですから、これは通常のがん検診、平時におけるがん検診とはちょっと質的に内容が異なるというふうに考えているんです。だから、そこのバックグラウンドをやっぱりきちんと話をしないと、やっぱり通常のがん検診と同じようなレベルの話というのはちょっと異なるのではないかというふうに思っています。ですから、この「無症状」という言葉も、やはりそこは誤解のされないように、きちんと書かれたほうがいいんじゃないかなというふうに思っております。それから、A2判定について、いろいろ書いてありますけれども、これはご存じのとおり、甲状腺検査判定のときはA1とA2と、BとCというふうに分けています。A1の場合は全く嚢胞も結節もない。A2の場合は、一応結節の場合は5mm以下、嚢胞の場合は20mm以下というふうに分けています。それ以外はBに来て、Cの場合は緊急的に早く診たほうがいいだろうというふうに判定される。そこのA2判定を例えば超音波をして結節とか嚢胞がある場合は、やはりそれはあるというふうに住民の方に正確にお伝えしないとだめだと思うんですね。A2の場合余計な心配をされないように、大丈夫です、次回の検査まで経過を見ても、大丈夫ですよというメッセージを伝えているわけです。だから、我々としては、そういうことが住民、対象者の方に対して、そういうメッセージも伝えておりますので、ここはもうちょっと書きぶりを変えられたほうがいいのかなという印象を持っています。

 それから、第2の擬陽性の話が出ていますけれど、これはいろいろご意見を賜りたいと私自身は思っています。細胞診の結果として、陰性の方がいて、それに対して、かなりデメリットがあるんじゃないかなという話で、擬陽性という話になっておりますけれども、私どもが擬陽性というふうに考えているのは、これ、手術をして、それで1例だけ結節があったというような、それは最終的には、やっぱり擬陽性の症例でなかったのかなというふうに判断します。ですから、この細胞診のレベルの話で、これを擬陽性というふうに判断していいのかどうか。例えば、これ、甲状腺検査の場合、子どもたちを集団でこれだけの規模でやるというのは、今までほとんど例がない検査規模です。子どもたちの甲状腺の検査を診る専門家というのは非常に少ない。そういう状況の中で、その細胞診の数がちょっと増えているというのは、恐らく、当初、それをもうちょっと幅を広げて、なるべく安全性のために少し多目にやったと思います。我々も、経験を積み、知見も高まってまいりましたので、多分この細胞診の数というのは、現在は少なくなってきているんですね。だから、そこのバックグラウンドということを理解されて、こういうふうにまとめられているのかどうか、ちょっと私はわかりませんけれども、そういう状況があるということを理解していただきたいと思います。

○長瀧座長 あくまでもこれは議事録の中から、先ほどから申し上げましたように、議事録の中から事務局が拾い上げてつくったということで、私も全く関与しておりませんし、客観的な、その表現が、阿部先生、具体的な検討をして、具合が悪いということであれば、ぜひ言っていただいたほうがよろしいと思います。

 その擬陽性、陽性という言い方、そこら辺がなかなかあれでしょうね、実際の表現のときに、客観的に見れば心配だから検査するというのが一番簡単な誰でもできる方法ですけれども、じゃあ、検査してみたら、たくさんの人が見つかっちゃったというときにどうするかというのは。どうぞ。

○石川委員 日本医師会の石川ですけれども、この10ページ目の第1、第2、第3というところについては、実際に臨床をやっている人間としては、私は、賛成できない表現がいっぱいあります。例えばこの「無症状で自然経過をたどり、死亡にはつながらなかった可能性のある甲状腺がんを発見することにより」ということなんですけども、発見されて、基本的には、これは確かに早くて、ずっとそのままでもいいというふうなことがあっても、僕は発見するということは非常に大事だというふうに思っていますし、例えばこれは「心身の負担につながる結果となることが懸念される」といっても、現在、そういう検査をするところでは、もう既に心身の負担が出てきているわけですから、私はきちんとそういうことを、今は悪性か良性かわからない状態だとか、そういうことも臨床の中にはあるわけですよ。胃がんなんかで、大変程度の悪い胃炎の所見のところで、胃がんの前症状の所見だということもあって、何回も何回も患者さんに検査をかなり2~3カ月に1回とか、そういう形でやって、いよいよがんが出てくるということがあるとか、そういうこともあるわけですね。ほかでもいろんなことはあって、その時々に患者さんはもちろん不安を持つと思いますけれども、その不安と寄り添って、要するに、経過を見ましょうということで、一緒になってやっていくのが我々の役目だというふうに思っていますので、僕は、ご心配で、いろいろ甲状腺検査をやるとか、健診をやるとかといった方についての結果、あるいは予想できるもの、こういったことについてはきちんと説明責任を発揮するということで、そういう体制を同時につくるということが一番大事だというふうに思っております。

○長瀧座長 どうもありがとうございました。今、そういうご意見に対して、よろしゅうございますか。どうぞ。

○祖父江委員 大阪大学の祖父江と申します。臨床の先生方の感覚からすると、今の石川先生のご意見ですけれども、臨床の先生の前に来られる患者さんはやっぱり症状があって、何らかそれに関しての原因を追究して、解消するというようなことを求めて来られる方に関しては、それに対して寄り添って、いろいろ一緒に考えるということは、重要なんだと思いますけれども、今回、対象としているのは、健康であり、その人たちに何も甲状腺に関して問題のない人に検診、検査を行うということですから、胃がんの検診も検診です。ですから、無症状の方に関して検診を行うと。ですから、がん検診を勧めるのは、もちろん無症状の人に対して、それが、利益が不利益を上回ると考えるものに対して、そのがん検診として採用しているわけですね。甲状腺がんの検診というのは普通の方にはやりません。これは、ですから、利益が不利益を上回ると判断できない。むしろ不利益が利益を上回ると判断されるので、むしろ抑制的に考えるわけですね。一般の方に関するがん検診のガイドラインは今のような形で考えてやっています。その考え方は、基本的には福島の方々にも、基本としては適用するべきだと僕は思います。確かに放射線の状況があるので、そのことに関しての特別な配慮というのは要りますけれども、基本としてのがん検診の考え方というのは、今の多くの人に不利益をもたらすようなものはしない。利益が不利益を上回ると考えるものに関してガイドラインで推奨するということだと思います。

○長瀧座長 これは少し科学的な冷静な反応、議論ができない感じのムードですので、事務局、何とかしていただけませんか。

○得津参事官 すみません、冒頭にも申し上げていますけども、静粛に議事運営の妨げになるようなことはしないようにお願いします。もしご意見等ある場合は、冒頭にも申し上げていますけども、ご意見とかご質問がある場合には、お配りした用紙にお書きいただき、事務局に提出をお願いします。

○長瀧座長 やじ、その他で、ここで所信が、委員の方が思うことがしゃべれないということは非常に困りますので、それぞれ、委員の方の見識で正しいと思われることをこの会議では発言いただくということを、傍聴者のお話は無視として、科学的にお話しいただきたいと思います。どうぞ、鈴木先生。

○鈴木委員 国福大の鈴木です。

 甲状腺がん、被ばく者に関する甲状腺のスクリーニングに関して、一つ、アメリカとイタリアの合同でつくったガイドラインがあります。その中で、無症状の人に、一般に甲状腺エコー検査は推奨しないというガイドラインになっていますが、その中で、被ばく線量が高い方に関しては、リスクがあるからスクリーニングするというふうになっています。この間、ずっと議論しているのは、じゃあ、甲状腺線量が、本当に今回、非常に高い、リスクが高くなるようなものだったかということが最初にまず議論したことだろうと思います。それはとりあえず置いておきます。2番目として、例えば原爆被ばく者あるいは整形外科、脊柱側湾とか、そういうような脊柱の問題があって、小児のときにX線検査で被ばくした子どもたちの疫学フォローアップデータというのがあります。この人たちには乳がんはきっちり増えてくるというようなデータが出ているんですが、その人たちは甲状腺がんでは一人も亡くなっていません。原爆被ばく者に関しても、特に甲状腺のスクリーニング検査をしないで、ずっとフォローしてきて、一般に甲状腺が大きくなって受診したような、いわゆる臨床的な甲状腺腫大があった人たちに関して、まずデータがとられていったという歴史がございます。ですから、皆さん、小児甲状腺がんも、早期発見しないと非常にまずいというふうに、思ってられるかもしれませんが、私の印象はそうではありません。やはりちゃんと甲状腺が少し大きくなってきたというようなことが他覚的に、あるいは自覚的に感じられた段階で受診しても、十分間に合う疾患だろうと私は思っています。

○長瀧座長 どうもありがとうございました。ほかに何かございませんか。

 確かに、甲状腺がん、これはがんというのは、甲状腺学会では、甲状腺がんという名前を、がんという名前をつけるから非常にあれなので、もう心理的にがんだと。だけど、実際に組織学的にがんであっても、それ自身は良性の腫瘍と同じような経過をとるものがたくさんあるということの感覚的な問題がいまだに解決しないものですから、確かに印象的には。ただ、ネバダでございました核実験があって、そして、アメリカのかなりの部分で100mSv以上の被ばくがあったというときがございまして、その際にも議会がちゃんと調査をして、そして、どの地域に、いつ生まれた方の被ばく線量はこれぐらいだというようなことを計算したことがございます。じゃあ、その人たちにどうするかという議論、これはもう20年ぐらい前の話ですけれども、そのころの超音波の技術と、それから手術の技術とを比べて、結局、そのメリット、デメリットの議論を随分何度も繰り返しまして、アメリカでは、その当時の話ですが、検査はしないことにするということで、実際、行われなかったということがあります。それぐらい、考え方によって、メリット、デメリットが違うような疾患であるということはご理解いただきたいなという感じはします。

○北島環境保健部長 会場が発言しにくいようなやじが飛んだりしておりますので、ここで10分間の休憩を入れさせていただきたいと思います。それまでに、今の内容をもう一度、この先、議論いたしますので、ご確認いただくということで、よろしくお願いいたします。

(休憩)

○得津参事官 それでは、ここで、会議の再開をいたしたいと思います。よろしくお願いします。

○長瀧座長 それでは、再開いたしますが、どうぞ、ご自分の思うとおりのことをお話しいただければと思います。今、ちょうど10ページ目の議論の最中だったと思いますが、今、途中、中断した鈴木先生あるいは祖父江先生、ございましたら、どうぞ。あるいは、もう時間がなければ、書いて、後でお示しいただいても結構です。そのエッセンスだけお話しいただいても結構です。結局、リスクが少ないときの健康管理、疾患の健康管理をどうするかということなので、これが福島で甲状腺というと、いろんな感情的な部分も出てきますけれども、これを一般論的な医学の問題、あるいは公衆衛生的な問題としてリスクが少ないと。要するに、放射線によって上がる率は少ないけれども、放射線に関係のない、その病気はたくさんあるというようなときに、どういう健康管理がいいのかという、そういう問題だろうと思いますね。特に甲状腺の場合は、がんであっても、ここにもちょっと書いてありますが、ラテントのがんが10%ぐらいはあるかもしれないと。ですから、放射線に関係のないのを調べれば、10人に1人ぐらい、がんが見つかるかもしれないような疾患であると。そこで、実際にスクリーニングをして、放射線によってどれぐらい上がるかというと、その率はもう10人に1人なんていうようなものじゃなくて、全然桁が違って挙がると。そういうときに全員を調べて、放射線に関係のないがんを見つけると、病気を見つけるということ、見つけるべきかどうかですね。そういうリスクの低いときの健康管理をどうするか。先ほど、祖父江先生がおっしゃったがん検診というのは、やはりそれだけ頻度が高くて、だから、それをやることによって、患者さんを見つけることによってメリットがあるというお話だろうと思うんですけども、そういう一般化したような議論で、健康診査、健康診断があるべき姿というか、科学的に議論していただいてもいいのかなという感じもいたしますが。どうぞ。

○祖父江委員 大阪大学の祖父江です。

 この資料3の9ページの一番冒頭にあるこの記述が、今回はとにかく重要なところだと思うんですけれども、今回、30万人の子どもたち、お子さん方に検診をして、100人程度のがんが見つかったと。このデータをとにかくよく見るということが一番重要で、その結果をもって、今後の甲状腺がん検査のやり方を決めるというのが一番適切なことだと思います。過去、成人に対しての甲状腺の検査の結果というのはありますけども、小児に対して、今の超音波の検査の基準で、これだけの規模の検診を行ったことはほかにないわけですから、その結果の精緻な検証というのが必要なんだ、というふうに思います。

○長瀧座長 どうもありがとうございました。おっしゃるとおり、今までデータがないんだから、今度出た結果を評価しようとしても、評価する相手がないと、そういう状況だと。そして、一つずつ、我々は勉強して、例えばもう最初に正常の人が半分もいないと、ものすごいパニックになりました。だけど、やってみると、ほかの地域でもたくさん異常の人が見つかるということで、半分ぐらいしか正常人がいないということに対しての不安は、そういうことでだんだんとなくなってきたということで、結局、これは福島で検診を続けた結果を、その時点、その時点で分析して、次にどうするかということに生かしていくということに尽きるのではないかと思うんですが、確かに消えてしまうのもかなりあるんですね。窒素が出て、2次検査に持っていこうとして、持っていったけれども、そしたら30%ぐらいの人は小さくなったり、あるいは所見がなくなったということもあるし、そういう段階だということは、初めて、今度の調査を行ってわかったわけですから、そういうわかったデータを一歩ずつ分析して、次にどうやったら本当に県民の甲状腺を心配している方たちに役に立つかという真剣な議論をしなきゃならない。これは、ただ漠然とした客観的なもの、総論的な、印象的なものではなくて、一つ一つ、現在、我々が得ているデータを真剣に議論して、そして、それが本当に子どもたちのためになるのかどうか、そういう議論がこの委員会に求められているように感じております。ほかにございませんでしょうか。どうぞ。

○伴委員 東京医療保健大学の伴ですけれども、ちょっとこの甲状腺の議論で、集団への対応と個人への対応ということが少しごっちゃになっているような気がするんですね。特に疫学的なアプローチとしての集団を考えたときに、全体の線量が低ければ、それは検出できないではないかというのは、それは確かにそうかもしれないんですが、先ほど来、申し上げているように、線量の分布に関して、我々は確実なことを言えないでいるわけですね。そうすると、ある程度高い線量を受けた子どもはいるかもしれない。もちろん100mSvぐらい、200mSvぐらいになったから、必ず甲状腺がんになるというものではないにしても、少なくともそれぐらいの被ばくを受ければ、甲状腺がんのリスクが増加するというふうなエビデンスは存在するわけですよね。そういう人たちをもし絞り込むことができるとすれば、やはり状況は変わってくるかもしれないというふうに思いますから、だから、確かに過ぎてしまったことですから難しいんですけれども、やはり引き続き、その初期の線量の再構築ということに関して、努力をすべきだというのは一つあると思います。

 それから、ここで言っているような、見つけなくてもいいがんを見つけてしまっているのではないか。それによるデメリットがあるのではないかということに関しては、確かに重要な視点なんですけれども、同時に、多かれ少なかれ、被ばくしたという現実がある福島県の方々にとって、やはり検査してほしいと思うところもあると思うんですね。そこのバランスは、専門家の議論も大事ですけれども、やはり当事者がどう考えるかということが非常に重要だと思いますので、これはここで何かできることではないかもしれませんが、やはり今後、県民健康調査というものを行うに当たって、受検者である当事者の方の意見を聞いていくということは非常に重要なんじゃないかと思います。

○長瀧座長 どうもありがとうございます。もうそのとおりの、今までも議論をしてきたように思いますが、結局、我々、この委員会は専門家会議として、専門家としての意見を、正しいというか、今わかる範囲での議論をまとめて、それを何らかの形で正しい情報として、その住民の方に伝わるような努力はその次の段階、そして、実際に診療という行為を受けるかどうかということは、その当事者と、我々がここで提言するような客観的な状況とあわせて、そして、その当事者の人たちが判断されるというような、今までの議論の動きで感じておりますけれども、いかがでしょうか。それでは、時間もかなり迫ってまいりましたので、ここに関しては、今、甲状腺のところに関しては、あと、それぞれの方、事務局でまとめますので、もうこの次の会までの間に、かなり往復をしてご意見を反映させるようなまとめ方をしていただく。これは事務局によろしくお願いいたします。その次は、資料の12ページからになりますでしょうか。12ページから14ページ、近隣県――これも大きな問題ですね――に関してということで、まとめたものは13ページと15ページ、そこまで含めて、これよりご議論いただきます。ここも先ほどの伴先生のお話と同じように、書いてありますのは、リスクコミュニケーションを通じて、その上で、希望する方に検診というようなお話がこの議論では多かったというふうに事務局がまとめておりますけども。

○中村委員 東北大の中村ですが、前回の委員会でも議論がいろいろありまして、福島県に比べれば近隣は、線量は非常にレベルとしては低いので、要するに、むしろ心理的な不安のほうが問題ではないかということなので、そういう不安を訴える住民に対して、まずはリスクコミュニケーションあるいは心理的ないわゆるカウンセリングというのを、最初に希望者に対してはやって、その上で、どうしても、甲状腺検査を受けたいという人に受けるなとは言えないでしょうから、そういう希望者に対してのみ行うのがいいという議論があったと思いますので、私はそういう方向がいいと思います。福島県とは、ちょっと対応は違うのではないかと思います。

○長瀧座長 どうもありがとうございます。ほかに、近隣県について、ご意見ございませんでしょうか。今のこの真ん中の一律に実施することについては慎重であるということですね。ほかに、ぜひここでご発言いただかないと。佐々木先生、どうぞ。

○佐々木委員 近隣県にも、福島にも通じることだと思いますけれども、前回の会議のときに、川上先生、大久保保健師からのお話を伺いました。その中で、差別意識というものをご自分で感じたり、あるいは周辺の人が感じたりということがある。私は、たしか「スティグマ」という言葉で質問をしたと思いますが、頻度としてはそんなに大きくなく、20%ぐらいというお話だったとおいますが、その深刻さが非常に大きいという話があったかと思います。そういう差別意識というものは、極力やはり増長しないような配慮が必要だということをどこかで述べておいたほうがよいのではないかと私は思います。そういう視点から見ますと、特別なことはできるだけ避けたほうがいい。もちろんどうしてもやるべきことは、きちんと理由を明らかにしてやらなければいけないと思いますけれども、極力、現在ある一般的な制度、先ほど石川先生も言われたように、日本の制度、各年齢層について、それぞれの検診の制度もありますので、そういうものを極力利用・活用するということが大事なのではないかと思いますので、そういう視点は、前回、たしか川上先生、大久保保健師さんがおっしゃった点だと思いますので、加えておいたほうがいいのではないかと思います。ありがとうございました。

○長瀧座長 どうもありがとうございます。そのスティグマという点は、いろいろなところで話題になっておりまして、確かに、もう直接あれでしたね、被災者と呼ばれたくないという人たちのお気持ち、あるいは被ばく者と呼ばれたくないという二世の方たち、そういう気持ちも、やはりここで酌んだ上で、我々、専門家会議としては判断すべきではないかと。どうもありがとうございました。ほかにございませんでしょうか。

 ここまでで、今の資料3については終わりということで、よろしゅうございますか。まだこの次も議論をする時間がございますので。それでは、その次、資料4でいいんですか、説明としては。事務局のほうから、資料4についてお話しいただけますでしょうか。

○佐藤補佐 では、資料4をお手元にご用意ください。中間とりまとめに向けた線量評価部分の要点(修正案)としてございます。こちらは第9回専門家会議で資料1として提示いたしましたものを、ご議論いただいた内容や、委員の先生方からのご意見、ご指摘を踏まえて、修正した案として提示しております。

 本日は、お時間も、残りの時間が短くなっておりますので、後日、ご意見をいただければと思いますが、基本的な構造と、あと、まとめの部分について、ご説明しておきたいと思います。まず、1、基本的な考え方ということで、(1)から次のページにかけて、(5)まで、基本的な考え方をお示ししております。

 そして、2、被ばく線量の把握・評価ということで、(1)として事故初期の甲状腺被ばくについて、福島県内について、まず①から②に、福島県における実測値及び推計値について、そして、UNSCEARによる推計値について記載をしておりまして、4ページの③が、そのまとめになっております。特にまとめの部分についてはご確認をお願いしたいと思います。続きまして、5ページ目以降は、事故初期の甲状腺被ばくについての福島県外に関するデータを整理しております。6ページの④のところに、そのまとめを記載してございます。④のところを特に丁寧に確認していただければと思います。続きまして、この6ページの半ばのところ、(2)からは外部被ばくについてということで、福島県内、そして、福島県外について、それぞれ、データをお示ししております。その中で、6ページの2)にJAEAによる推計値についてとありますが、こちらには、参考資料1がこの関係の資料となっております。第8回の参考資料で出したものがアップデートされておりますので、それを参考資料1としておつけしておりますので、後ほどご確認いただければと思います。

 8ページの上のところに③とありまして、福島県内における外部被ばくに関するまとめを記載しております。続いて、福島県外についてのデータを整理しておりまして、9ページの上のところですが、③ということで、福島県外における外部被ばくに関するまとめを記載しております。

 それ以降は、(3)ということで、内部被ばくについて、同様に福島県内、県外について、それぞれ記載をしておりまして、最後の11ページのところに、まとめた形で、内部被ばくについてまとめの文章を記載しております。資料4、ざっとご説明させていただくのにとどめますが、以上のこの内容につきまして、あらかじめ本間委員のほうにご指導をいただいたものであることを申し添えたいと思います。資料4のご説明は以上とさせていただきます。

○長瀧座長 どうもありがとうございました。

 非常に線量のところで、何度も最初のうちに議論をしたものでありますが、細かくまとめのときには、事務局が実際に委員の方と直接お会いしながら、いろいろと教えていただきながら、まとめたところもあると伺っております。いかがでしょうか、ご意見ございませんか。どうぞ。

○本間委員 原子力機構の本間です。まず、今日、事務局から参考資料でお配りいただいた、これは我々のグループの参考文献として提出いただきましたが、体としましては、何回目はちょっと忘れましたが、ご紹介いただいたんですが、そのときの資料がプレゼン資料で、安全研究センターの報告のプレゼン資料だったので、私は、その際、前の事務局の方たちだったんですが、ペーパーがありますからというふうにお知らせしておいたので、今回、参考資料としてつけていただきました。それから、この中間とりまとめの線量評価部分は、先ほどの健康管理の部分でも、リスクに関しては、かなり国際機関のデータをリファーしていると。UNSCEARの評価をリファーしているわけですけれども、実際、この専門家会議の当初、最初の数回は、実測ベースの日本で得られた、特に個人モニタリングのデータについて、かなり詳細な議論をしたと思うんですが、ただ、福島事故の場合、初回の議論でも、そういう個人モニタリングのデータがあれば、それを最も重要視すべきだという議論があったわけです。その次に環境のデータを、測定データをベースにし、シミュレーションは非常に不確実さが大きいという議論をしたと思うんですが、そういう意味では、個人モニタリングのデータというのは非常に限られていると。環境のデータについては、特に土壌中のセシウムについては、かなり豊富にあるということで、UNSCEARの報告というのは、それをベースにしているという意味では、個人モニタリングの次に重視されるべきものをきちっと評価し、かつ、その福島県だけではなくて、その近隣県も評価しているという意味では、この資料4は、これまで出てきた資料よりも、UNSCEARについてきちっとまとめてあるということで、次の健康管理にもつながるのではないかというふうに思います。一つだけ、ちょっと強調しておきたいのは、3ページの表1、これもUNSCEARからとった表ですけれども、ここで、予防的避難地区あるいは計画的避難地区、避難対象外地区という、「地区」という言葉が使われているんですが、一方で、UNSCEARの評価は、その上の注にありますように、予防的避難地区であれば、その双葉町、大熊町、富岡と、こういうふうに書かれた地域の中の行政区界の部分、それから計画的避難区域に関しても、飯舘、南相馬あるいは浪江の県民調査のいわゆる18パターンというものをベースにして評価をしていますから、「地区」という言葉に気をつけなきゃいけないんですが、18パターンのそれぞれが一つの地区――避難地域に関してはですね――に対応するわけで、その18パターンの地区の平均線量を出しているというふうにご理解していただきたいんです。そうすると、ここで、それを全部まとめた形で予防的避難地区というふうに書いて、「地区平均だ」というような言葉が文章中にあると、予防的避難地区全体の平均値であるというふうに誤解をしてしまうので、そこだけ注意をしていただきたいというふうに思います。ですから、予防的避難地区の値が、例えば成人に対して、この表1では7.2~34という幅があるというのは、先ほど言いました、その18パターンのこの中に入る幾つかある地区の、それの平均値の幅であるというふうに理解するのが正しいと思うので、UNSCEARの日本語の翻訳版に、この「地区」というのは両方の意味で使われているということで、それだけちょっとご指摘したいというふうに思います。この評価、そういう意味では、UNSCEARをかなり全てにわたってリファーしているんですが、もう少し事務局で次回までにお願いしたいのは、先ほどちょっと議論がありましたけれども、不確実さの問題をもう少し丁寧に書いていただきたいと。UNSCEARの評価のところは、ここの基本的考え方にありますが、一つは、セシウムの土壌沈着をベースにしているので、その地区内におけるばらつきというのがあるわけですね。平均値の周りにばらついているわけですから、それが本文中では、実効線量に関して、ファクター2から3の開きがあるという記載がありますので、そういうこともきちっと、まず、ばらつきについて記載していただきたい。それから、特に避難前と避難中については、ヨウ素の最も甲状腺の線量が問題になるわけですが、その評価においては、いわゆる環境中のダストのデータ、空気中濃度のデータがほとんど高濃度の地点ではなかったと。唯一、大量にあるのは、残念ながら、我々、JAEAがはかった東海の地区だけと。そういうことで、そこはシミュレーションに頼らざるを得なかったと。シミュレーションの不確実さに関しては、ファクター4から5ぐらいの過小、過大評価があるというふうに記載しておりますので、それについても丁寧に記載していただきたいというふうに思います。もう一つは、この表1の避難対象外地区のところに括弧書きで、食物摂取の寄与の線量が書いてあります。左側については書いていないんですけれども、予防的及び計画的避難区域、ただし、食物摂取線量の評価というのは、UNSCEARでは県単位でやっていますので、福島県の場合は、ここに書いてある幼児、1歳児であれば、32.8というのが一律の値になります。他県で、周辺県では、それは表2に書いてありますが、表2に括弧書きで、それが食物摂取線量の寄与というふうに書かれています。

 表1に戻っていただくと、その予防的、計画的避難のところには括弧書きがないんですが、実際には、この括弧書きである線量が食物摂取として、この避難しておられた方たちにも適用されている。原文のほうにもそういう記載がちょっと欠けているんですが、なぜかというと、例えば双葉町の方々が埼玉へ移転しているというケースがあるので、そうすると、埼玉では別の値になるんですね。避難後の食物摂取寄与がですね。それで、明示的にそういうふうに書かれていなくて、ただ、大方の避難された方は、福島県内の方が多いので、それは避難前であろうと、どちらか、避難後であろうと、その寄与を考慮して福島県の値が適用されているというふうに考えていいと思います。この食物摂取線量については、もう少し不確実さが多分大きくて、それについて、ファクター幾つという書き方はしていません。ただ、やり方として実測値をベースにして、食物ではかられた量をベースに評価しているという点がありますが、それが、いわゆる食物摂取制限をするために、政府が、厚労省ほかがはかっているので、かなり高い部分をとってきていると。つまり、ランダムなサンプルでないという嫌いがあるので、そういう評価では過大評価になりやすいという部分があります。

 ただし、それからもう一つ、長期的に見ると、つまり、この資料の最後の項目の内部被ばく、つまり、セシウムでの長期的な1年間の食物の寄与に関しては、ここでやったのは、全て県内産のコンタミされているものをとったというような、これも安全側の評価をしていますので、そこは明示的に報告書に書かれていますから、長期的な部分はあれなんですが、短期の部分についての、つまり、ヨウ素の飲料水、食物寄与の不確実さというのは、極めてわかりにくいと。わかりにくいというのは、非常に難しいと。不確実さについて言う言葉ですね。それはUNSCEARの報告書をじっくりそこの部分を見ていただきたいんですが、それも定量的に幾つという書き方はあまりしていないと思います。

 以上です。

○長瀧座長 どうもありがとうございました。かなり本間先生にいろいろとお手伝いいただいたんですが、これに対して、何かご意見ございましたら。中村先生。

○中村委員 このUNSCEARのレポートは、最初に出たときには、いろんな安全側の評価をしたと書かれています。例えば内部被ばくの経口摂取に関しては、地元の食品が、流通していなかったのを、流通していたとしてそのまま食べたと評価しているとか、そういう点です。その後、例えばiodineに関しては、iodine-129のデータを使って、131の分布を評価するとか、日本のいろんな測定データを入れて、新たに見直したのを出すという報告も私は聞いたんですが、それはどうなっているのでしょうか。これは質問なんですが。

○伴委員 よろしいでしょうか。東京医療保健大学の伴です。

 UNSCEAR評価に関わった者としてお答えしますが、ただ、UNSCEARで、次、どうするかというのは決まっているわけではありません。まだこれは出たばっかりですから、ただ、この後、何年かたって、データが蓄積していったときに、またこのレポートの改訂ということは行われるはずです。

 ついでに、すみません、私の意見ですけれども、先ほど本間先生がおっしゃったように、やはり不確かさということをもう少し丁寧に扱うべきだと思います。何かUNSCEARの値は過大評価になっているからという形で片づけてしまうのではなくて、ある部分に関しては過大評価であるかもしれない。でも、別の部分に関しては過小評価になっているかもしれない。いずれにしても、不確かさがこれだけある状況で、我々はどこまで考えることができるのかということが大事だと思いますし、その意味では、この資料4の4ページのところですよね。先ほど来、私が申し上げている甲状腺の等価線量は、一番高い人がどれぐらいかというのは、やっぱりわからないんですよ。これは自信を持って言うことができないから、「100mSvを超える被ばくを受けた幼児が存在する可能性は小さい」というふうに言ってしまうのは、ちょっと語弊があるんじゃないかなと。それから、全体を見ましたときに、全体としては低いかもしれないけれども、その分布の裾が幾つであるか。それが100mSvを超えていないというふうには、私は言い切れないと思うんです。そういう人が多少いたとしてもおかしくないと思っています。

○長瀧座長 どうもありがとうございました。大分これは非常に全体としてクリアにまとめていただいて、特に、この委員会としての見解みたいなものも最後におまとめいただいていますので、非常に形として、まとまった形でありますので、大きく直すというよりも、今お話のあったような場所を訂正していくということで、具体的に訂正する場所を後でご連絡いただければ、それはよろしくお願いいたします。全体として、その線量の評価の不確かさと、今度は健康にそれを持ってきて、健康管理をするときの不確かさと、どうバランスをとって考えていくかというのは、やっぱりこの委員会の一番難しいところだと思うのですけれども、これは線量のまとめとして、これでいただきました。それから、丹羽先生、さっき、ご質問のとき、僕、飛ばしちゃったのか、何か、13ページから15ページ、ご質問があるとおっしゃっていた。どうぞ。

○丹羽委員 最後のやつを飛ばしたかな、なんて思ったんですけど、飛ばしたんですか。

○長瀧座長 いや、先生、ご質問しなかったので。

○丹羽委員 だから、あれのディスカッションがなかったので、最後のところのページの。それで、あれっと思ったんですが。

○長瀧座長 13と15ですね。

○丹羽委員 はい。資料3です。

○長瀧座長 資料3の13ページのところ。

○丹羽委員 これに関しては、書き方の問題であるとは思いますけど、きれいに、例えば2番目のパラグラフ、「原発事故で生じた不安には、放射線に関する健康不安と、避難に伴って日常生活に支障をきたすことで生じた不安がある」という、まずセンテンスがあります。その上のほうでは、「原発事故で生じた長期の避難等に伴い、生活習慣が大きく変化し、引き起こされた過大なストレスなどに起因する健康状態の悪化が懸念されている」、上のやつで見たら、この中に別に放射線の不安は入っていないわけですよね。だから、何かその全体の整合性があまりよくない文言だなと思いながら読んでおりましたので、ディスカッションしなかったので、コメントでもまたメールでお送りしようかと思っていたところでございます。

○長瀧座長 ぜひ、時間も限られておりますので、ご意見を皆様から今後もコメントの形で、具体的な形でご提案いただければ、非常に事務局は助かると思いますので。さて、それで、ある程度、予定されたものはどうですか、事務局のほうはよろしいですか、それで。それでは、そういうことで、今日の資料をさらにご確認いただいて、追記、訂正を要する箇所があれば、事務局にご連絡いただきたい。まとめのほうで具体的に書いていただきたいということ。それから、本日のご意見、あるいは、今後いただくご意見を反映しまして、次の中間とりまとめの案を作成して、次回の会議で議論できるように、事務局が準備するという予定でおります。事務局によろしくお願いいたします。

○得津参事官 本日、ご議論いただいたこと、それから、各委員から寄せられたご意見を踏まえて、次回までに中間とりまとめの案を作成するように作業を進めてまいりたいと思います。具体的には、本日いただいたご意見、これをまず事務局のほうで整理をさせていただきまして、それを各先生方のほうにまたお送りをさせていただきます。また、必要に応じて、具体的に加筆修正をお願いするということになりますけども、特に線量関係のところについては、かなり具体的にご指導いただかなければいけない部分もありますので、本間先生、伴先生には、またご指導をよろしくお願いしたいと思っております。

 また、ほかの部分についても、非常に多岐にわたってご意見をいただいておりますので、それぞれの先生方にいろいろ確認をさせていただき、作業を進めさせていただきたいと思います。恐らく何回かやりとりをするという形になろうかと思いますけども、ご多忙のところで恐縮ですが、どうぞよろしくお願いしたいと思います。それから、放射線による住民の健康影響につきましては、中長期的な課題として考えておりまして、現段階ではまとめられるものを中間とりまとめとして、できるだけ早くまとめていきたいと考えておりまして、できることから速やかに着手していきたいという事務局の考え方でございます。引き続き議論をするものをありますけども、こういうふうな趣旨をぜひご理解いただいて、ご協力をいただければと考えております。以上でございます。

○長瀧座長 どうもありがとうございました。

 ご意見に従って中間報告をということでございますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 それでは、本日の議事は以上で終了いたしますが、最後に、次回のことについて、事務局からお願いします。

○佐藤補佐 事務局でございます。

 次回、第13回目の専門家会議の開催につきましては、11月26日水曜日を予定しております。会場につきましては、調整中ですので、後日お知らせいたします。また、本日の議事概要及び議事録についても、後日公開とさせていただきます。事務局からお送りいたしますので、後日ご確認をお願いいたします。事務局からは以上です。

○長瀧座長 どうもありがとうございました。

 それでは、これをもちまして、第12回の専門家会議を終了といたします。

 どうもありがとうございました。

                                   午後4時41分 閉会