保健・化学物質対策

東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議 | 第11回議事概要

日時

平成26年9月22日(月)17:00~19:30

場所

東京都内(環境省 第一会議室(中央合同庁舎5号館 22階))

出席者

(委員)
阿部委員、石川委員、遠藤委員、大久保委員、春日委員、佐々木委員、宍戸委員、鈴木委員、祖父江委員、長瀧座長、中村委員、丹羽委員、本間委員
(ヒアリング講師)
川上憲人教授(東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野)大久保淳子保健師(福島市保健福祉センター地域保健係長)
(環境省)
福山政務官、北島部長、得津参事官 他

1.健康不安対策について

事務局より、資料1について説明。

その後、川上氏より、提出資料「福島県における放射線健康不安の実態把握と効果的な対策手法の開発に関する研究 研究成果の紹介」に基づいて研究成果を説明。続いて大久保氏より、地元保健師からみた健康不安対策について講演。

委員の主なコメントや質疑は以下のとおり。

  • 食品検査、WBC検査、個人線量計などの線量の測定については、単に数値を返すだけでは不十分であり、線量が高いと判明した時などに対応できる体制が必要。
    → 測定結果の説明のときは納得しても後で不安が戻ってくる。不安を共有して納得につなげる、少人数の話し合いのプログラムが有用だと思う。
    → 結果を説明したときには理解した人でも、1~2日後には、また不安になる。不安な状態と安心した状態を行きつ戻りつするプロセスはどうしてもある。いつでも相談できる体制作りが必要と思う。
  • 線量の測定結果の数値が、自宅周辺の線量などといった形で自分の生活の中で位置づけられなければ、その「行きつ戻りつする」時間が長くなってしまうのではないか。
    → 1人1人に丁寧に説明を行っていくしかない。線量が「高い」「低い」のイメージは1人1人で異なり、一般論や科学的な知見を説明しても本人の納得にはつながらない。自分で納得してもらえるよう支援することが重要。
  • 資料にある「過度の不安(放射線ストレス)」との意味は、「体調に影響を与えるくらい程度の大きい不安」と理解してよいか。
    →  そのとおり。この研究では、不安のために自分らしい生活ができない状況を「過度な不安(放射線ストレス)」と表現している。
  • 不安のないように長期的に見守るためにどうすべきと思われるか。
    → 事故時において赤ちゃんのいた母親、小学生の子供のいた母親、妊婦だった方、それぞれ抱えている不安は異なるため、世代に合わせた対応が必要と思う。長期的に見守ることができる体制の整備を希望する。
  • 寄り添って話を聞くことが良いといっても、現場の保健師は忙しくて大変だろう。環境省への要望があればぜひ言っていただきたい。
    → 余裕がなく、他の市町村との情報交換もできていない。「放射線」を前面に出したものではなく、通常の保健業務の中で寄り添っていくことが良い。通常業務のマンパワーを増やし、相談したいときに相談できる体制が望まれる。

2.健康管理のあり方について

事務局より、資料2について説明。

【論点1】「事故による放射線の健康への影響が見込まれる疾患について」及び【論点4】「健康不安について」に関する委員の主な意見は以下のとおり。

  • 直接的な健康影響だけではなく、避難された方の生活環境・社会環境が大きく変わったことによる健康影響についても議論いただきたい。
    → 健康については、いろいろな問題が出ているので、省庁間の連携が重要と認識。中間とりまとめでは、当面取り組むべきこととともに、中長期的に対応が必要なこと、他省庁との連携が必要なことについても、それぞれ記載するということになるのではないか。
  • 放射線の健康影響と放射線以外の災害に伴う健康影響の2つの項目立てとし、2つ目の項目への対策の中に健康不安対策があるように、項目立ての枠組みを見直すべき。
  • 放射線の直接影響よりも、ストレスによる健康影響の方が重要。
  • 放射線への不安がもとで生じる健康影響は、論点1に含めるべき。
  • 論点1は放射線との起因性が科学的に明確な疾患であり、論点4が健康不安についてまとめてあるが、論点4で、事故の健康不安による健康影響が実際に起きていると記載すべき。
  • 生活習慣病も含めて、これからの健康管理にどう結び付けるかという考えに基づき、丁寧にまとめていただきたい。論点1と論点4を切り分けず、健康影響を広くとらえるべき。

【論点3】「福島近隣県における対応の方向性」に関する委員の主な意見は以下の通り。

  • 健康不安については、検査をすれば不安が解消するわけではないことはわかっているが、要望があれば、検査できるように門戸を広げておいた方がいい。いきなり超音波検査をやらなくてもいいかもしれないが、不安について話を聞く体制を作ることが重要。
  • 福島県の近隣県は、福島県と比べてはるかに線量が低く、影響は、福島県より少ないと考えるべき。甲状腺がんの成長には時間がかかるため、近隣県については、福島県で何らかの変化があってから対応を検討しても、十分に間に合うと考える。
  • 検診のデメリットがあるため、全員を対象にするのは望ましくないが、不安を抱えた希望者への限定的な検診はあってもいい。その場合、十分な事前説明を行い、きちんとした専門医が診ることが重要。
  • 不安を解消する一つの手段として検診の機会を提供することは行政としてやるべき。
  • 甲状腺超音波検査で不安は解消されない。住民と話をすることが不安への対応として必要。
  • 甲状腺検査は、事前説明だけでなく、検査結果の説明等のフォローアップが大切。
  • 不利益が利益を上回るために受けないことを奨励しているがん検診もあることを知ってほしい。本人が知らない不利益があることについては、専門家は説明すべき。そのことを十分に説明しないことは、専門家として責任ある行為とは思えない。
  • 近隣県の住民の健康不安に対しては、何らかの対応は必要だが、対応の方法として、情報提供や話し合いの場を作るのか、あるいは検診をふくめるのか、選択があると思う。ただ検診を行う場合、精度管理、データ管理も含めてすべて必要。
  • 不安を抱いている検診希望者には、不安を取り除くメンタルサポートをまず行うべき。
  • 検診のメリット・デメリットについて評価した上で甲状腺検査の実施の是非について結論を出すことになる。被ばくによる健康リスクが低く、検診のメリットの程度が非常に低い状況の中で、甲状腺スクリーニングをやるかどうかについて議論をしているのであって、不安のある人が甲状腺検査を受けることを妨げるものではない。ただ、国のお金で国として積極的に検診をすることは別の話であり、政治的な意味を持つので反対。第一の優先課題は、委員会の検討範囲を超えたところだが、精神的な影響であるとして記載すべき。
  • 実際に住民が心配している地域もあるので、きめ細かいアプローチが必要。福島県内と県外で分けて議論をしているが、被ばく線量だけでは線引きできないのではないか。
  • 福島県では、甲状腺検査を30万人の方に対して実施したが、その結果をよく見ることが必要。30万人の方に検診をすれば100人の方にがんが見つかる。今後、他の地域で実施すれば、同じ頻度でがんが見つかることを認識し、それを受け入れられるのか、よく考えた方がいいと強く思う。

<文責 環境省放射線健康管理担当参事官室 速報のため事後修正の可能性あり>

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