保健・化学物質対策

東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議 第5回議事概要

日時

平成26年4月24日(木)13:30~15:10

場所

東京都内(航空会館 501、502会議室)

出席者

(専門家)
明石委員(座長代理)、阿部委員、石川委員、遠藤委員、春日委員、佐々木委員、宍戸委員、清水委員、鈴木委員、長瀧委員(座長)、中村委員、丹羽委員、伴委員、本間委員
(環境省)
浮島大臣政務官、塚原部長、桐生参事官 他

1.UNSCEAR報告書における線量推計について

(独)放射線医学総合研究所の酒井一夫放射線防護研究センター長より、同氏提出資料をもとにUNSCEAR福島原発事故報告書における住民の線量推計について概要説明。委員の主なコメントは以下のとおり。

(1) 不確かさとばらつきについて

  • 報告書で示している線量推計値よりも線量が高い人がいる可能性があるという記載がある一方で、線量推計値は過大評価の可能性があるとの記載があり、相反するように思える。行動や摂取した食物により、個人レベルでは被ばく線量のばらつきが大きいと理解して良いか。
  • 報告書では、当時住民が何を食べていたかという情報がなく、その点について現時点では評価できていない。汚染レベルの高い食物を食べたと仮定して、被ばく線量の推計をすると、どの程度の線量になるかという考察をしている。ただ、ホールボディカウンタの測定結果からは、そのような事例は見つかっていないと評価している。 不確かさをどう評価し、不確かさの程度をいかに狭めていくか、またどのように線量評価につなげるかということが、今後重要な課題。事故直後に地場の産物を実際に食べていたのかを調べて、経口摂取による被ばく線量の不確かさの幅を狭めていくことは今後必要になっていくと思う 。
  • 情報が足りないことによる不確かさ(uncertainty)と、実際に存在しているばらつき(variability)について分けて考える必要がある。推計された被ばく線量は、ある集団の平均値であり、個人レベルでは、平均値からのばらつきがある。

(2) モデルを用いた被ばく線量推計の現状と課題について

  • 避難区域の住民については、避難シナリオに基づいて大気輸送・拡散・沈着モデル(以下「拡散モデル」という。)を用いて線量を推計しており、拡散モデルの高度化は検討が必要。・空気中の放射性物質の濃度については、測定データが限られているため、主に土壌沈着濃度の実測値に基づいて拡散モデルの検証を行い、算出している。拡散モデルを用いるときでも、測定データがあるときは、測定データをベースに計算するという方針がある。

2.UNSCEAR報告書における健康影響について

酒井センター長より同氏提出資料をもとにUNSCEAR福島原発事故報告書における住民の健康影響について概要説明。続いて事務局(環境省)より資料2「将来の科学的研究の必要性」への対応について説明。委員の主なコメントは以下のとおり。

(1) 健康影響の評価について

  • 甲状腺がんについて、チェルノブイリ事故後のように大幅に増加するとは予想されないと評価されているが、現時点では増加の可能性は否定できないと表現すべきではないか。小児甲状腺がんについては、今後よく評価していく必要があると考えている。
  • 線量推計に不確かな要素があるにもかかわらず、健康影響評価では「観察されるとは予想されない」と表現していることについて乖離がある印象がある。
  • 健康リスクについては、過去の疫学研究をもとに計算しており、ある集団の平均被ばく線量と集団の人数から、り患者数が計算される。遺伝性影響、がんは、一定の割合で自然発症があり、そのリスクと比べて追加被ばくによるリスクが小さければ検出できないと言える。
    元々、自然発症として1%の確率で遺伝性影響がある。10mSvの被ばくがどれくらいリスクの増加をもたらすか。それが小さければ個人で見ても検出できないと言える。日本人の50%は生涯のうちにがんになり、30%ががんで死亡する。放射線の影響でがんになったかどうかという議論は決着がつかない。
  • 健康影響の部分は一番大事であり、不確実性があるなかで遺伝性影響は予想されないと言い切れるのか。
  • これまでの知見から、福島での被ばく線量は遺伝性影響を引き起こすには小さすぎるという意味。

(2) 健康影響評価の説明の補足

  • UNSCEAR報告書での健康リスクの見解は、WHO報告書の見解と大きくは変わらない。
  • 「将来の科学的研究の必要性」の提案では、健康調査を福島県で継続して実施することについて言及されているが、福島県外での健康調査の必要性についての言及はない。

(3) 資料2「『将来の科学的研究の必要性』への対応について」の(f-2)甲状腺検査の対照群について

  • 甲状腺検査の対照群については福島県で事故後に生まれた子どもを対象に調査するのが科学的には最も望ましい。
  • 福島県外で大規模な対照群の検査をすることについては、倫理的な問題を慎重に議論する必要がある。
  • 甲状腺検査の対照群については、専門家会議でもよく検討していきたい。(座長)。

以上

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